明 細 書
トナー用樹脂およびトナー組成物
技術分野
[0001] 本発明は電子写真、静電記録、静電印刷等に用いられるトナー用樹脂およびトナ 一組成物に関する。
背景技術
[0002] トナーの低温定着性能を向上させる目的で、ノくインダ一としてポリエステル樹脂を 用レ、ることが従来より知られている(特許文献 1、 2等)。また、低温定着性改良の目的 で、結晶性樹脂を含有させる方法も提案されてレ、る (特許文献 3等)。
特許文献 1 :特開昭 62— 78568号公報
特許文献 2 :特開昭 62— 178278号公報
特許文献 3 :特開 2003— 337443号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0003] しかし、トナーの低温定着性をさらに向上させるためには、分子量を下げる必要が ある力 そうした場合、高温高湿度下でのトナーの耐ブロッキング性が劣るという問題 点を有していた。また、結晶性樹脂を含有させた場合、粉砕が悪化するという問題点 を有している。
課題を解決するための手段
[0004] 本発明者はこれらの問題点を解決するべく鋭意検討した末、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、〔1〕酸価が 6mgK〇H/g以下かつ水酸基価が 10〜80mg K〇H/gのポリエステル樹脂(a)と、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸、並びに それらの酸無水物および低級アルキル (炭素数 1〜4)エステルからなる群から選ば れる 1種以上のカルボン酸 (b)が反応されてなるポリエステル樹脂 (A)からなり、 (a) と (b)の反応時の(a)に由来する水酸基の当量を OHa、 (b)に由来するカルボキシ ル基の当量を COOHbとするとき、当量比 OHa/C〇OHb = 0. 55〜: 1. 0であり、ポ リエステル樹脂(A)の酸価が 13〜50mgKOH/gかつ水酸基価が 8mgKOH/g以
下であるトナー用樹脂;〔2〕酸価が 13〜50mgK〇HZg、水酸基価が 8mgK〇HZg 以下、かつ THF不溶解分が 1〜50重量%であるポリエステル樹脂 (Α' )力もなり、 ( A' )を構成するポリオール成分の 30〜: 100モル%が炭素数 2〜6の脂肪族ジオール であり、 (Α' )を構成するカルボン酸成分が 3価以上の芳香族ポリカルボン酸を含有 するトナー用樹脂;並びに、〔3〕上記いずれかのトナー用樹脂と、着色剤、並びに、 必要により離型剤、荷電制御剤、および流動化剤から選ばれる 1種以上の添加剤か らなるトナー糸且成物;である。
発明の効果
[0005] 本発明のトナー用樹脂を用いることにより低温定着性に優れるトナーとすることがで き、トナーの耐ブロッキング性も良好である。また、トナー製造時の樹脂の粉砕性に優 れること力ら、工業生産時に経済的にトナーを生産することができる。
発明を実施するための最良の形態
[0006] 以下、本発明を詳述する。
本発明のトナー用樹脂は、特定酸価および特定水酸基価を有するポリエステル榭 脂(a)と、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸、並びにそれらの酸無水物および低 級アルキル(炭素数 1〜4)エステルからなる群から選ばれる 1種以上のカルボン酸(b
)を反応させることで得られるポリエステル樹脂 (A)からなる。
[0007] ポリエステル樹脂(a)としては、 1種以上のポリオール成分と、 1種以上のポリカルボ ン酸成分を重縮合して得られるものが好ましい。
[0008] ポリオール成分のうち 30〜100モル0 /0力 S、炭素数 2〜6の脂肪族ジオールであるの が保存安定性の点から好ましい。さらに好ましくは 40〜: 100モノレ0 /0、とくに好ましくは
50〜: 100モノレ0 /0、ちっとち好ましくは 80〜: 100モノレ0 /0である。
なお、ポリエステル樹脂 (A)は、ポリエステル樹脂(a)にカルボン酸 (b)を反応させ て得られるものである力 、(A)を構成するポリオール成分としても、上記のものが好 ましい。
炭素数 2〜6の脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、 1, 2_プロピレンダリ コール、 1 , 3 _プロピレングリコール、 1, 4_ブタンジオール、 2, 3_ブタンジオール 、 1, 5_ペンタンジオール、 2, 3_ペンタンジオール、 1 , 6—へキサンジオール、 2,
3—へキサンジオール、 3, 4—へキサンジオール、およびネオペンチルグリコール等 のアルカンジオールなどが挙げられ、 2種以上を併用してもよい。これらの中で好まし くは、エチレングリコール、 1, 2 _プロピレングリコール、およびネオペンチルグリコー ノレであり、さらに好ましくはエチレングリコール、および 1, 2_プロピレングリコールで あり、とくに好ましくは 1 , 2_プロピレングリコールである。
[0009] 炭素数 2〜6の脂肪族ジオール以外のポリオール成分のうち 2価アルコール(ジォ ール)としては、炭素数 7〜36の脂肪族ジオール(1 , 7_ヘプタンジオール、ドデカ ンジオール等);炭素数 4〜36のポリアルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコ ール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコー ル等);上記炭素数 2〜36の脂肪族ジオールの炭素数 2〜4のアルキレンォキシド( 以下 AOと略記する)〔エチレンォキシド(以下 EOと略記する)、プロピレンォキシド( 以下 POと略記する)およびブチレンォキシド等〕付加物(付加モル数 2〜30);炭素 数 6〜36の脂環式ジオール(1 , 4ーシクロへキサンジメタノール、水素添加ビスフエノ ール A等);上記脂環式ジオールの炭素数 2〜4の AO付カ卩物(付カ卩モル数 2〜30); ビスフエノール類(ビスフエノール A、ビスフエノール Fおよびビスフエノール S等)の炭 素数 2〜4の AO付加物(付加モル数 2〜30)等が挙げられ、 2種以上を併用してもよ い。
[0010] ポリオール成分のうち 3〜8価またはそれ以上のポリオールとしては、炭素数 3〜36 の 3〜8価またはそれ以上の脂肪族多価アルコール(グリセリン、トリェチロールェタン 、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールおよびソルビトール等);上記脂肪族多 価アルコールの炭素数 2〜4の A〇付加物(付加モル数 2〜30);トリスフヱノール類( トリスフヱノール P A等)の炭素数 2〜4の AO付加物(付加モル数 2〜30);ノボラック 樹脂(フエノールノボラックおよびクレゾ一ルノボラック等:平均重合度 3〜60)の炭素 数 2〜4の AO付カ卩物(付カ卩モル数 2〜30)等が挙げられ、 2種以上を併用してもよい これらの炭素数 2〜6の脂肪族ジオール以外のポリオール成分の中で、好ましくは、 炭素数 4〜36のポリアルキレンエーテルグリコール、炭素数 6〜36の脂環式ジォー ル、炭素数 6〜36の脂環式ジオールの炭素数 2〜4の AO付加物、ビスフエノール類
の炭素数 2〜4の A〇付加物、およびノボラック樹脂の炭素数 2〜4の AO付加物であ り、さらに好ましくビスフエノール類の炭素数 2〜3の AO (E〇および Zまたは P〇)付 加物、およびノボラック樹脂の炭素数 2〜3の A〇(EOおよび Zまたは P〇)付加物で ある。
[0011] ポリカルボン酸成分のうち脂肪族 (脂環式を含む)ジカルボン酸としては、炭素数 2 〜50のアルカンジカルボン酸(シユウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、レパルギ ン酸、およびセバシン酸等)、炭素数 4〜50のアルケンジカルボン酸(ドデセニルコハ ク酸等のアルケエルコハク酸、マレイン酸、フマノレ酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコ ン酸、およびグノレタコン酸等)、などが挙げられる。
芳香族ジカルボン酸としては、炭素数 8〜36の芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソ フタル酸、テレフタル酸、およびナフタレンジカルボン酸等)などが挙げられる。
[0012] ポリカルボン酸成分のうち、 3〜6価またはそれ以上の脂肪族 (脂環式を含む)ポリ カルボン酸としては、炭素数 6〜36の脂肪族トリカルボン酸 (へキサントリカルボン酸 等)、不飽和カルボン酸のビュル重合体 女平均分子量 (以下 Mnと記載、ゲルパー ミエーシヨンクロマトグラフィー(GPC)による):450〜: 10000] ( α—ォレフイン/マレ イン酸共重合体等)等が挙げられる。
ポリカルボン酸成分のうち、 3〜6価またはそれ以上の芳香族ポリカルボン酸として は、炭素数 9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、およびピロメリット酸等)、不 飽和カルボン酸のビュル重合体 [Μη : 450〜10000] (スチレン/マレイン酸共重合 体、スチレン Ζアクリル酸共重合体、およびスチレン/フマル酸共重合体等)等が挙 げられる。
ポリカルボン酸成分として、これらのポリカルボン酸の、無水物、低級アルキル(炭 素数 1〜4)エステル(メチルエステル、ェチルエステル、イソプロピルエステル等)を 用いてもよい。
[0013] これらのポリカルボン酸成分のうち好ましいものは、炭素数 2〜50のアルカンジカル ボン酸、炭素数 4〜50のアルケンジカルボン酸、炭素数 8〜20の芳香族ジカルボン 酸、および炭素数 9〜 20の芳香族ポリカルボン酸であり、さらに好ましくは、アジピン 酸、炭素数 16〜50のアルケニルコハク酸、テレフタル酸、イソフタル酸、マレイン酸、
フマル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、およびこれらの併用であり、とくに好ましくは、 アジピン酸、テレフタル酸、トリメリット酸、およびこれらの併用である。これらの酸の無 水物や低級アルキルエステルも、同様に好ましい。
[0014] また、ポリカルボン酸成分としては、芳香族ポリカルボン酸と脂肪族ポリカルボン酸 とからなり、芳香族ポリカルボン酸を 60モル%以上含有するものが好ましい。芳香族 ポリカルボン酸の含有量は、さらに好ましくは 70〜99モノレ0 /0、とくに好ましくは 80〜9 8モル%である。芳香族ポリカルボン酸が 60モル%以上含有されていることで、樹脂 強度が上がり、低温定着性がさらに向上する。
[0015] 本発明においてポリエステル樹脂(a)は、通常のポリエステル製造法と同様にして 製造することができる。例えば、不活性ガス(窒素ガス等)雰囲気中で、反応温度が 好ましくは 150〜280°C、さらに好ましくは 160〜250oC、とくに好ましくは 170〜235 °Cで反応させることにより行うことができる。また反応時間は、重縮合反応を確実に行 う観点から、好ましくは 30分以上、とくに 2〜40時間である。
このとき必要に応じてエステル化触媒を使用することもできる。エステルイ匕触媒の例 には、スズ含有触媒 (例えばジブチルスズォキシド)、三酸化アンチモン、チタン含有 触媒〔例えばチタンアルコキシド、シユウ酸チタニルカリウム、テレフタル酸チタン、テ レフタル酸チタンアルコキシド、およびチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミ ネート)とその分子内重縮合物〕、ジノレコニゥム含有触媒 (例えば酢酸ジノレコニル)、 および酢酸亜鉛等が挙げられる。反応末期の反応速度を向上させるために減圧する ことも有効である。
ポリオール成分とポリカルボン酸成分との反応比率は、水酸基とカルボキシル基の 当量比 [〇H]/[CO〇H]として、好ましくは 1. 5Zl〜lZl、さらに好ましくは 1. 2 Zl〜: lZl、とくに好ましくは 1. lZl〜lZlである。なお、上記反応比率は、反応 中に系外へ除去される成分があるときは、その分を除外した比率である。
[0016] ポリエステル樹脂(a)は、酸価が 6 (mgKOH/g,以下の酸価も同様)以下かつ水 酸基価が 10〜80 (mgKOHZg、以下の水酸基価も同様)である。酸価は、好ましく は 5以下、さらに好ましくは 4以下であり、水酸基価は、好ましくは 15〜65、さらに好 ましくは 20〜58である。酸価が 6より多い場合、あるいは水酸基価が 80より多い場合
は、ポリエステル樹脂(a)の重縮合が不十分で、低分子量成分が多いこと示しており
、保存安定性が悪化する。また水酸基価が 10より小さい場合は、カルボン酸 (b)との 反応効率が悪くなる。
ポリエステル樹脂(a)の酸価、水酸基価をこれらの範囲とするには、ポリオール成分 とポリカルボン酸成分との反応比率で調整するのが有効である。
[0017] 上記および以下においてポリエステル樹脂の酸価および水酸基価は、 JIS K007 0 (1992年版)に規定の方法で測定される。
なお、試料に架橋にともなう溶剤不溶解分がある場合は、以下の方法で溶融混練 後のものを試料として用いる。
混練装置 : 東洋精機 (株)製 ラボプラストミノレ MODEL30R150
混練条件 : 130°C、 70i"pmにて 30分
[0018] ポリエステル樹脂(a)の分子量は、ピークトップ分子量(以下 Mpと記載)が 2000〜
10000であること力 S好ましく、 Mp力 2500〜9000であること力 Sさらに好ましレヽ。
[0019] 上記および以下において、ポリエステル樹脂の分子量(Mpおよび Mn)は、 GPCを 用いて以下の条件で測定される。
装置 (一例) : 東ソー (株)製 HLC— 8120
カラム(一例): TSK GEL GMH6 2本 〔東ソ一 (株)製〕
測定温度 : 40°C
試料溶液 : 0. 25重量%の THF溶液
溶液注入量 : 100 μ ΐ
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 東ソー製 標準ポリスチレン (TSKstandard POLYSTYRENE ) 12点 (Mw 1050 2800 5970 9100 18100 37900 96400 190000 355000 1090000 2890000 4480000)
得られたクロマトグラム上最大のピーク高さを示す分子量をピークトップ分子量 (Mp )と称する。また、トナー用樹脂粒子の分子量の測定は、トナー用ポリエステル樹脂中 の任意の粒子 1粒を取り出し、これを THFに溶解し、不溶解分をグラスフィルターで ろ別したものを試料溶液とした。この測定を 10粒子にっレ、て測定した。
[0020] ポリエステル樹脂 (A)は、ポリエステル樹脂(a)と、カルボン酸 (b)を、反応時の混 合比が、(a)に由来する水酸基の当量を OHa、(b)に由来するカルボキシノレ基の当 量を COOHbとするとき、〇Ha/CO〇Hb = 0. 55〜: 1. 0の当量比で反応させて得 られる。〇Ha/CO〇Hbは、好ましくは 0. 58〜0. 9であり、さらに好ましくは 0. 6〜0 . 85である。〇HaZCO〇Hbが 0. 55を下回ると分子量が十分に上がらないので、ト ナー化時の耐ホットオフセット性が低下する。 1. 0を超えると樹脂の流動性が低下し 、トナー化時の低温定着性が低下する。
[0021] カルボン酸(b)としては、モノカルボン酸、ポリカルボン酸のいずれも使用可能であ る力 S、モノカルボン酸とポリカルボン酸の比率は、反応に使用するカルボン酸の全力 ルボキシル基の当量を 100とするとき、モノカルボン酸由来のカルボキシル基とポリ力 ルボン酸由来のカルボキシル基の当量比が、(0〜50) / (50〜: 100)が好ましぐ (0 〜20) / (80〜100)がさらに好ましい。モノカルボン酸由来のカルボキシルの比率 が 50以下であると架橋が不足せず、樹脂の強度が十分に得られる。また、反応生成 物の酸価を所定範囲に調整しやすい。
また、カルボン酸成分として、酸無水物および、低級アルキル (炭素数 1〜4)エステ ル(メチルエステル、ェチルエステル、イソプロピルエステル等)を用いてもよレ、。
[0022] カルボン酸 (b)として用いるモノカルボン酸のうち、脂肪族 (脂環式を含む)モノカル ボン酸としては、炭素数 1〜50のアルカンモノカルボン酸(ギ酸、酢酸、プロピオン酸 、ブタン酸、イソブタン酸、力プリル酸、力プリン酸、ラウリン酸、ミリスチノレ酸、パルミチ ン酸、ステアリン酸等)、炭素数 3〜50のアルケンモノカルボン酸(アクリル酸、メタタリ ル酸、ォレイン酸、リノール酸等)などが挙げられる。
芳香族モノカルボン酸としては、炭素数 7〜36の芳香族モノカルボン酸 (安息香酸 、メチル安息香酸、フエニルプロピオン酸、およびナフトェ酸等)などが挙げられる。
[0023] (b)として用いるポリカルボン酸のうち、脂肪族 (脂環式を含む)ジカルボン酸、芳香 族ジカルボン酸、 3〜6価またはそれ以上の脂肪族 (脂環式を含む)ポリカルボン酸、 および 3〜6価またはそれ以上の芳香族ポリカルボン酸としては、前記ポリエステル樹 脂(a)に用レ、るものと同様のものが挙げられる。
これらの中で、 2価以上の芳香族カルボン酸が好ましぐ 3〜6価またはそれ以上の
芳香族ポリカルボン酸がさらに好ましぐトリメリット酸、および無水トリメリット酸がとくに 好ましい。
[0024] ポリエステル樹脂 (A)は、下記の範囲の酸価および水酸基価を有するように調整す る以外は、ポリエステル樹脂(a)と同様の製造法で得ることができる。
(A)の酸価は、 13〜50であり、好ましくは 15〜40である。また水酸基価は、 8以下 であり、好ましくは 6以下である。
酸価が 13を下回ると定着の強度が弱まる。また水酸基価が 8を超える、あるいは酸 価が 50を超えると、環境条件の影響を受けやすくなり、安定性が悪化する。
[0025] ポリエステル樹脂 (A)の THF不溶解分は、 1〜50重量%が好ましぐ 2〜35重量 %がさらに好ましい。 THF不溶解分が 1重量%以上であると耐ホットオフセット性が 良好であり、 50重量%以下であると低温定着性が良好である。
[0026] 上記および以下においてポリエステル樹脂の THF不溶解分は、以下の方法で求 めたものである。
試料 0. 5gに 50mlの THFを加え、 3時間撹拌還流させる。冷却後、グラスフィルタ 一にて不溶解分をろ別し、グラスフィルター上の樹脂分を 80°Cで 3時間減圧乾燥す る。グラスフィルター上の乾燥した樹脂分の重量と試料の重量比から、不溶解分を算 出する。
[0027] ポリエステル樹脂(A)の分子量は、 Mp力 4500〜15000であること力 S好ましく、 Mp 力 5000〜12000であること力さらに好ましレヽ。
[0028] 本第 1発明の樹脂と同様の製法により得ることができるポリエステル樹脂の中でも、 酸価が 13〜50mgKOHZg、水酸基価が 8mgKOHZg以下、かつ THF不溶解分 力^〜 50重量%であるポリエステル樹脂であって、それを構成するポリオール成分の 30〜: 100モノレ% (好ましくは 80〜: 100モル0 /0)が炭素数 2〜6の脂肪族ジオール(好 ましくは 1 , 2_プロピレングリコール)であり、構成するカルボン酸成分が 3価以上の 芳香族ポリカルボン酸を含有するポリエステル樹脂 (Α' )は、 3価以上の芳香族カル ボン酸が架橋剤として作用し、十分な樹脂強度が得られるためトナー用樹脂として特 に適している(本第 2発明)。
カルボン酸成分中の 3価以上の芳香族ポリカルボン酸の含有量は、好ましくは 1〜
30モノレ0 /0、さらに好ましくは 2〜20モル0 /0である。 30モル0 /0以下であると、樹脂の流 動性が良好で、トナー化時の低温定着性が向上する。
なお、ポリエステル樹脂 (Α' )を構成する原料の組成と好ましいもの、 (Α' )の分子 量、並びに酸価、水酸基価、および THF不溶解分の好ましい範囲は、ポリエステル 樹脂 (Α)と同様である。
[0029] 本発明のトナー用樹脂中には、ポリエステル樹脂 (Α)と共に、 THF不溶解分を含 まなレ、(Α)以外のポリエステル樹脂(Β)を含有してもよレ、。なお、以下、ポリエステノレ 樹脂 (Α)は、ポリエステル樹脂 (Α' )を含む意味で用いる。
ポリエステル樹脂(Β)は、通常、 1種以上のポリオール成分と、 1種以上のポリカル ボン酸成分を重縮合して得られる。
[0030] ポリオール成分のうち、ジオールとしては、炭素数 2〜6の脂肪族ジオール、炭素数
7〜36の脂肪族ジオール、炭素数 4〜36のポリアルキレンエーテルグリコール、炭素 数 2〜36の脂肪族ジオールの炭素数 2〜4の AO付加物(付加モル数 2〜30)、炭素 数 6〜36の脂環式ジオール、炭素数 6〜36の脂環式ジオールの炭素数 2〜4の AO 付加物(付加モル数 2〜30)、およびビスフエノール類の炭素数 2〜4の AO付加物( 付加モル数 2〜30)等が挙げられ、 2種以上を併用してもよい。これらの具体例として は、前述のポリエステル樹脂(a)に用いるものと同様のものが挙げられる。
[0031] ポリオール成分のうち、 3〜8価またはそれ以上のアルコールとしては、炭素数 3〜3 6の 3〜8価またはそれ以上の脂肪族多価アルコール、脂肪族多価アルコールの炭 素数 2〜4の AO付加物(付加モル数 2〜30)、トリスフヱノール類の炭素数 2〜4の A 〇付加物(付加モル数 2〜 30)、ノボラック樹脂の炭素数 2〜4の AO付加物(付加モ ル数 2〜30)等が挙げられ、 2種以上を併用してもよい。これらの具体例としては、前 述のポリエステル樹脂(a)に用レ、るものと同様のものが挙げられる。
[0032] これらポリオール成分中好ましいものは、炭素数 2〜6の脂肪族ジオール、炭素数 4 〜36のポリアルキレンエーテルグリコール、炭素数 6〜36の脂環式ジオール、炭素 数 6〜36の脂環式ジオールの炭素数 2〜4の A〇付加物、ビスフヱノール類の炭素 数 2〜4の AO付加物、およびノボラック樹脂の炭素数 2〜4の A〇付加物であり、さら に好ましくは、炭素数 2〜6の脂肪族ジオール、ビスフエノール類の炭素数 2〜3の A
〇(EOおよび P〇)付加物、およびノボラック樹脂の炭素数 2〜3の AO (E〇および P 〇)付加物である。
[0033] ポリカルボン酸成分のうち、脂肪族 (脂環式を含む)ジカルボン酸、芳香族ジカルボ ン酸、 3〜6価またはそれ以上の脂肪族 (脂環式を含む)ポリカルボン酸、および 3〜 6価またはそれ以上の芳香族ポリカルボン酸としては、前記ポリエステル樹脂(a)に 用レ、るものと同様のものが挙げられる。
ポリカルボン酸成分として、これらのポリカルボン酸の、無水物、低級アルキル(炭 素数 1〜4)エステルを用いてもよい。
これらのポリカルボン酸成分のうち好ましいものは、前記ポリエステル樹脂(a)に用 レ、るポリカルボン酸と同様である。
[0034] ポリエステル樹脂(B)の酸価は、 2〜80力 S好ましく、 5〜50がさらに好ましぐ 10〜3 0がとくに好ましい。
また水酸基価は、 60以下が好ましぐ 50以下がさらに好ましぐ 5〜45がとくに好ま しい。
[0035] ポリエステル樹脂(B)の分子量は、 Mp力 3000〜: 10000であること力 S好ましく、 Mp 力 3500〜9000であること力 Sさらに好ましレヽ。
[0036] 本発明においてポリエステル樹脂(B)は、通常のポリエステル製造法と同様にして 製造することができる。例えば、前述のポリエステル樹脂(a)の製造法と同様の方法 が挙げられる。
ポリオール成分とポリカルボン酸成分との反応比率は、水酸基とカルボキシル基の 当量比 [〇H]/[CO〇H]として、好ましくは 2/1〜: 1/2、さらに好ましくは 1. 5/1 〜: ίΖΐ. 3、とくに好ましくは 1. 3Z1〜: 1/1. 2である。
[0037] 本発明のトナー用樹脂は、ポリエステル樹脂 (A)単独でも優れた定着性を示すが、 ポリエステル樹脂 (A)と共にポリエステル樹脂(B)を含有することでさらに優れた定着 性が得られる。この時、(A)と(B)の重量比は、(A)と(B)の合計を 100としたとき、 (2 0〜: 100) Z (0〜80)が好ましく、(30〜99) / (1〜70)がさらに好ましく、(40〜90) Ζ (10〜60)がとくに好ましい。ポリエステル樹脂 (Α)の比率力 20以上であると樹 脂強度が上昇し、高温域での定着性が良好である。
[0038] 本発明のトナー用樹脂は、ポリエステル樹脂 (A)のみ、またはポリエステル樹脂 (A )とポリエステル樹脂(B)のみからなることが好ましいが、本発明のトナー用樹脂の特 性を損なわない範囲で、他の樹脂を含有してもよい。他の樹脂としては、(A)、(B)以 外のポリエステル樹脂、ビュル系樹脂 [スチレンとアルキル (メタ)アタリレートの共重 合体、スチレンとジェン系モノマーとの共重合体等]、エポキシ樹脂(ビスフエノール A ジグリシジノレエーテル開環重合物等)、ウレタン樹脂(ジオールおよび/または 3価以 上のポリオールとジイソシァネートの重付カ卩物等)などが挙げられる。
他の樹脂の Mnは、 1000〜100万力 S好ましい。他の樹脂の含有量は、好ましくは 1 0重量%以下、さらに好ましくは 5重量%以下である。
[0039] ポリエステル樹脂を 2種以上併用する場合、および少なくとも 1種のポリエステル樹 脂と他の樹脂を混合する場合、予め粉体混合または溶融混合してもよいし、トナー化 時に混合してもよい。
溶融混合する場合の温度は、好ましくは 80〜: 180°C、さらに好ましくは 100〜: 170 。C、とくに好ましくは 120〜160°Cである。
混合温度が低すぎると充分に混合できず、不均一となることがある。 2種以上のポリ エステル樹脂を混合する場合、混合温度が高すぎると、エステル交換反応による平 均化などが起こるため、トナーバインダーとして必要な樹脂物性が維持できなくなる 場合がある。
[0040] 溶融混合する場合の混合時間は、好ましくは 10秒〜 30分、さらに好ましくは 20秒 〜10分、とくに好ましくは 30秒〜 5分である。 2種以上のポリエステル樹脂を混合する 場合、混合時間が長すぎると、エステル交換反応による平均化などが起こるため、ト ナーバインダーとして必要な樹脂物性が維持できなくなる場合がある。
溶融混合する場合の混合装置としては、反応槽などのバッチ式混合装置、および 連続式混合装置が挙げられる。適正な温度で短時間で均一に混合するためには、 連続式混合装置が好ましい。連続式混合装置としては、エタストルーダー、コンティ ニァスニーダー、 3本ロールなどが挙げられる。これらのうちエタストルーダーおよびコ ンティニァスニーダ一が好ましレ、。
粉体混合する場合は、通常の混合条件および混合装置で混合することができる。
粉体混合する場合の混合条件としては、混合温度は、好ましくは 0〜80°C、さらに 好ましくは 10〜60°Cである。混合時間は、好ましくは 3分以上、さらに好ましくは 5〜 60分である。混合装置としては、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、およびバン ノ リーミキサー等が挙げられる。好ましくはヘンシェルミキサーである。
[0041] 本発明のトナー組成物は、バインダー樹脂となる本発明のトナー用樹脂と、着色剤 、および必要により、離型剤、荷電制御剤、流動化剤等の 1種以上の添加剤を含有 する。
[0042] 着色剤としては、トナー用着色剤として使用されている染料、顔料等のすべてを使 用することができる。具体的には、カーボンブラック、鉄黒、スーダンブラック SM、ファ 一ストイェロー G、ベンジジンイェロー、ピグメントイエロー、インドファーストオレンジ、 ィルガシンレッド、パラ二トロア二リンレッド、トルイジンレッド、カーミン FB、ピグメントォ レンジ R、レーキレッド 2G、ローダミン FB、ローダミン Bレーキ、メチルバイオレット Bレ ーキ、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、ブリリアントグリーン、フタロシアユング リーン、オイルイェロー GG、カャセット YG、ォラゾールブラウン Bおよびオイルピンク 〇P等が挙げられ、これらは単独でまたは 2種以上を混合して用いることができる。ま た、必要により磁性粉 (鉄、コバルト、ニッケノレ等の強磁性金属の粉末もしくはマグネ タイト、へマタイト、フェライト等の化合物)を着色剤としての機能を兼ねて含有させる ことができる。着色剤の含有量は、本発明のポリエステル樹脂 100部に対して、好ま しくは:!〜 40部、さらに好ましくは 3〜: 10部である。なお、磁性粉を用いる場合は、好 ましくは 20〜150部、さらに好ましくは 40〜120部である。上記および以下において 、部は重量部を意味する。
[0043] 離型剤としては、軟ィ匕点が 50〜: 170。Cのものが好ましぐポリオレフインワックス、天 然ワックス、炭素数 30〜50の脂肪族アルコール、炭素数 30〜50の脂肪酸およびこ れらの混合物等が挙げられる。ポリオレフインワックスとしては、ォレフィン (例えばェ チレン、プロピレン、 1—ブテン、イソブチレン、 1—へキセン、 1—ドデセン、 1—ォクタ デセンおよびこれらの混合物等)の(共)重合体 [ (共)重合により得られるものおよび 熱減成型ポリオレフインを含む]、ォレフィンの(共)重合体の酸素および Zまたはォ ゾンによる酸化物、ォレフィンの(共)重合体のマレイン酸変性物 [例えばマレイン酸
およびその誘導体(無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチルお よびマレイン酸ジメチル等)変性物]、ォレフィンと不飽和カルボン酸 [ (メタ)アクリル 酸、ィタコン酸および無水マレイン酸等]および/または不飽和カルボン酸アルキル エステル [ (メタ)アクリル酸アルキル(アルキルの炭素数:!〜 18)エステルおよびマレ イン酸アルキル(アルキルの炭素数 1〜18)エステル等]等との共重合体、およびサ ゾールワックス等が挙げられる。
[0044] 天然ワックスとしては、例えばカルナゥバワックス、モンタンワックス、パラフィンヮック スおよびライスワックスが挙げられる。炭素数 30〜50の脂肪族アルコールとしては、 例えばトリアコンタノールが挙げられる。炭素数 30〜50の脂肪酸としては、例えばトリ アコンタンカルボン酸が挙げられる。
[0045] 荷電制御剤としては、ニグ口シン染料、 3級ァミンを側鎖として含有するトリフエニル メタン系染料、 4級アンモニゥム塩、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体、 4級アンモ ニゥム塩基含有ポリマー、含金属ァゾ染料、銅フタロシアニン染料、サリチル酸金属 塩、ベンジル酸のホウ素錯体、スルホン酸基含有ポリマー、含フッ素系ポリマー、ハロ ゲン置換芳香環含有ポリマー等が挙げられる。
[0046] 流動化剤としては、コロイダルシリカ、アルミナ粉末、酸化チタン粉末、炭酸カルシゥ ム粉末等が挙げられる。
[0047] 本発明のトナー組成物の組成比は、トナー重量に基づき、本発明のトナー用樹脂 力 好ましくは 30〜97重量%、さらに好ましくは 40〜95重量%、とくに好ましくは 45 〜92重量0 /0 ;着色斉 1Jが、好ましくは 0. 05〜60重量0 /0、さらに好ましくは 0.:!〜 55重 量%、とくに好ましくは 0. 5〜50重量%;添加剤のうち、離型剤が、好ましくは 0〜30 重量%、さらに好ましくは 0. 5〜20重量%、とくに好ましくは 1〜: 10重量%;荷電制 御剤が、好ましくは 0〜20重量%、さらに好ましくは 0. :!〜 10重量%、とくに好ましく は 0. 5〜7. 5重量%;流動化剤力 S、好ましくは 0〜: 10重量%、さらに好ましくは 0〜5 重量%、とくに好ましくは 0. :!〜 4重量%である。また、添加剤の合計含有量は、好ま しくは 3〜70重量%、さらに好ましくは 4〜58重量%、とくに好ましくは 5〜50重量% である。トナーの組成比が上記の範囲であることで帯電性が良好なものを容易に得る こと力 Sできる。
[0048] 本発明のトナー組成物は、混練粉砕法、乳化転相法、重合法等の従来より公知の いずれの方法により得られたものであってもよい。例えば、混練粉砕法によりトナーを 得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を乾式ブレンドした後、溶融混練し 、その後粗粉砕し、最終的にジェットミル粉砕機等を用いて微粒化して、さらに分級 することにより、体積平均粒径 (D50)が好ましくは 5〜20 x mの微粒とした後、流動 化剤を混合して製造することができる。なお、粒径 (D50)はコールターカウンター [例 えば、商品名:マルチサイザ一 III (コールター社製)]を用いて測定される。
また、乳化転相法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を 有機溶剤に溶解または分散後、水を添加する等によりェマルジヨンィ匕し、次いで分離 、分級して製造することができる。トナーの体積平均粒径は、 3〜: 15 / mが好ましい。
[0049] 本発明のトナー組成物は、必要に応じて鉄粉、ガラスビーズ、ニッケノレ粉、フェライ ト、マグネタイトおよび樹脂(アクリル樹脂、シリコーン樹脂等)により表面をコーティン グしたフェライト等のキャリアー粒子と混合されて電気的潜像の現像剤として用いられ る。トナーとキャリアー粒子との重量比は、通常 1/99〜: 100/0である。また、キヤリ ァ粒子の代わりに帯電ブレード等の部材と摩擦し、電気的潜像を形成することもでき る。
[0050] 本発明のトナー組成物は、複写機、プリンタ一等により支持体 (紙、ポリエステルフィ ルム等)に定着して記録材料とされる。支持体に定着する方法としては、公知の熱口 ール定着方法、フラッシュ定着方法等が適用できる。
実施例
[0051] 以下実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものでは なレ、。
実施例および比較例で得られたトナー用ポリエステル樹脂の性質の測定法を次に 示す。
1.酸価および水酸基価
JIS K0070 (1992年版)に規定の方法。
なお、試料に架橋にともなう溶剤不溶解分がある場合は、以下の方法で溶融混練 後のものを試料として用レ、た。
混練装置 : 東洋精機 (株)製 ラボプラストミノレ MODEL4M150 混練条件 : 130。C、 70ι·ρπιにて 30分
2.軟化点の測定
フローテスターを用いて、下記条件で等速昇温し、その流出量が 1/2になる温度 をもって軟化点とした。
装置 : 島津 (株)製 フローテスター CFT—500
荷重 : 20kg
タ : 1mm Φ— lmm
昇温速度 : 6°C/min.
[0052] 実施例 1
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、 1 , 2—プロピレングリコ ール(以下プロピレングリコールと記載) 950部(12. 5モル)、テレフタル酸ジメチル エステル 922部(4. 8モル)、アジピン酸 37部(0· 25モル)、および縮合触媒としてテ トラブトキシチタネート 3部を入れ、 180°Cで窒素気流下に、生成するメタノールを留 去しながら 8時間反応させた。次いで 230°Cまで徐々に昇温しながら、窒素気流下に 、生成するプロピレングリコール、水を留去しながら 4時間反応させ、さらに 5〜20m mHgの減圧下に反応させ、軟ィ匕点が 85°Cになった時点で取り出した。回収されたプ ロピレングリコールは 521部(6. 9モル)であった。取り出した樹脂を室温まで冷却後 、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(al)とする。
ポリエステル樹脂(al)の酸価は 2、水酸基価は 57、 Mnは 2000、 Mpは 3500であ つた。
[0053] 冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ポリエステル樹脂 (al) 5 00部、無水トリメリット酸 40部(0. 21モル)、および触媒としてテトラブトキシチタネー ト 3部を入れ、系内の気相を窒素置換したのち、 180°Cで常圧密閉下 2時間反応後、 220°Cで、 5〜20mmHgの減圧下に反応させ、軟化点が 180°Cになった時点で取り 出し、室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。反応時の〇HaZC〇〇Hb = 0. 81であ つた。これをポリエステル樹脂 (A1)とする。
ポリエステル樹脂(A1)の酸価は 17、水酸基価は 2、 Mnは 5200、 Mpは 9400、 T
HF不溶解分は 34重量%であった。
[0054] 冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフエノール Α·Ε02モ ノレ付カロ物 379部(1. 2モノレ)、ビスフエノーノレ Α· Ρ〇2モノレ付カロ物 447咅 (1. 3モノレ) 、テレフタル酸 332部(2. 0モル)および縮合触媒としてテトラブトキシチタネート 3部 を入れ、 230°Cで窒素気流下に生成する水を留去しながら 5時間反応させた。次い で 5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が 2以下になった時点で 180°Cに冷却 し、無水トリメリット酸 40部(0. 21モル)を加え、常圧密閉下 2時間反応後取り出し、 室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂 (B1)とする。
ポリエステル樹脂(B1)の酸価は 21、水酸基価は 37、 Mnは 2000、 Mpは 4200、 THF不溶解分は 0重量%であった。
[0055] ポリエステル樹脂(A1) 500部とポリエステル樹脂(B1) 500部を、コンティニァスニ ーダ一にて、ジャケット温度 150°C、滞留時間 3分で溶融混合した。溶融樹脂を室温 まで冷却後、粉砕機にて粉碎し、粒子化して本発明のトナー用樹脂(1)を得た。
[0056] 実施例 2
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、実施例 1で得たポリエス テル樹脂(al) 500部、無水トリメリット酸 50部(0. 26モル)、および触媒としてテトラ ブトキシチタネート 3部を入れ、系内の気相を窒素置換したのち、 180°Cで常圧密閉 下 2時間反応後、 220°Cで、 5〜20mmHgの減圧下に反応させ、軟ィ匕点が 160°Cに なった時点で取り出し、室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。反応時の〇Ha/CO〇 Hb = 0. 65であった。これをポリエステル樹脂(A2)とする。
ポリエステノレ樹脂(A2)の酸価は 27、水酸基価は 1、 Mnは 4500、 Mpは 8000、 T HF不溶解分は 20重量%であった。
[0057] ポリエステル樹脂 (A2) 500部と実施例 1記載のポリエステル樹脂(B1) 500部を、 コンティニァスニーダ一にて、ジャケット温度 150°C、滞留時間 3分で溶融混合した。 溶融樹脂を室温まで冷却後、粉砕機にて粉砕し、粒子化して本発明のトナー用樹脂 (2)を得た。
[0058] 実施例 3
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、プロピレングリコール 950
部(12. 5モル)、ビスフエノーノレ A. E02モル付加物 158部(0. 5モル)、テレフタル 酸ジメチノレエステノレ 824. 5¾ (4. 3モノレ)、アジピン酸 109. 5¾ (0. 75モノレ)、およ び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート 3部を入れ、 180°Cで窒素気流下に、生成 するメタノールを留去しながら 8時間反応させた。次いで 230°Cまで徐々に昇温しな がら、窒素気流下に、生成するプロピレングリコール、水を留去しながら 4時間反応さ せ、さらに 5〜20mmHgの減圧下に反応させ、軟化点が 85°Cになった時点で取り出 した。回収されたプロピレングリコールは 577. 6部(7. 6モル)であった。取り出した 樹脂を室温まで冷却後、粉碎し粒子化した。これをポリエステル樹脂(a2)とする。 ポリエステル樹脂(a2)の酸価は 1、水酸基価は 34は、 Mnは 3000、 Mpは 6100で あった。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ポリエステル樹脂 (a2) 5 00部、無水トリメリット酸 30部(0. 16モル)、および触媒としてテトラブトキシチタネー ト 3部を入れ、系内の気相を窒素置換したのち、 180°Cで常圧密閉下 2時間反応後、 220°Cで、 5〜20mmHgの減圧下に反応させ、軟化点が 170°Cになった時点で取り 出し、室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。反応時の〇Ha/C〇〇Hb = 0. 65であ つた。これをポリエステル樹脂 (A3)とする。
ポリエステル樹脂(A3)の酸価は 18、水酸基価は 2、 Mnは 5000、 Mpは 8700、 T HF不溶解分は 28重量%であった。
[0059] ポリエステル樹脂 (A3) 500部と実施例 1記載のポリエステル樹脂(B1) 500部を、 コンティニァスニーダ一にて、ジャケット温度 150°C、滞留時間 3分で溶融混合した。 溶融樹脂を室温まで冷却後、粉砕機にて粉砕し、粒子化して本発明のトナー用樹脂 (3)を得た。
[0060] 実施例 4
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた加圧可能な反応槽中に、プロピレング リ ーノレ 1064奋 (14. 0モノレ)、テレフタノレ酸 498奋 (3. 0モノレ)、了ジピン酸 29 (0 . 2モル)、および縮合触媒としてテトラブトキシチタネート 3部を入れ、系内の気相を 窒素置換してから、 150°Cまで昇温した後、系内を窒素にて 0. 3MPaに加圧した。 2 30°Cで生成する水とプロピレングリコールを留去しながら 8時間反応させた後に、系
内の圧力を常圧に戻した。次いで 230°Cで、 5〜20mmHgの減圧下で生成する水と プロピレングリコールを留去しながら反応させ、軟化点が 90°Cになった時点で取り出 した。回収されたプロピレングリコールは 798部(10. 5モル)であった。取り出した樹 脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(a3)とする。 ポリエステノレ樹脂(a3)の酸価は 1、水酸基価は 45、 Mnは 2200、 Mpは 4800であ つた。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ポリエステル樹脂 (a3) 5 00部、無水トリメリット酸 40部(0. 21モル)、および触媒としてテトラブトキシチタネー ト 3部を入れ、系内の気相を窒素置換したのち、 180°Cで常圧密閉下 2時間反応後、 220°Cで、 5〜20mmHgの減圧下に反応させ、軟化点が 170°Cになった時点で取り 出し、室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。反応時の〇^½/〇〇〇^¾ = 0. 64であ つた。これをポリエステル樹脂 (A4)とする。
ポリエステル樹脂(A4)の酸価は 25、水酸基価は 2、 Mnは 5200、 Mpは 8900、 T HF不溶解分は 24重量%であった。
[0061] ポリエステル樹脂 (A4) 500部と実施例 1記載のポリエステル樹脂(B1) 500部を、 コンティニァスエーダーにて、ジャケット温度 150°C、滞留時間 3分で溶融混合した。 溶融樹脂を室温まで冷却後、粉砕機にて粉砕し、粒子化して本発明のトナー用樹脂 (4)を得た。
[0062] 実施例 5
実施例 2記載のポリエステル樹脂 (A2)を本発明のトナー用樹脂(5)とした。
[0063] 比較例 1
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、実施例 1記載のポリエス テル樹脂(al) 500部、無水トリメリット酸 70部(0. 36モル)、および触媒としてテトラ ブトキシチタネート 3部を入れ、系内の気相を窒素置換したのち、 180°Cで常圧密閉 下 2時間反応後、 220°Cで、 5〜20mmHgの減圧下に反応させた力 軟化点は 110 °C以上にはならなかったので取り出し、室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。反応時 の OHa/CO〇Hb = 0. 46であった。これをポリエステル樹脂(C1)とする。
ポリエステル樹脂(C1)の酸価は 55、水酸基価は 1、 Mnは 2800、 Mpは 3500、 T
HF不溶解分は 0重量%であった。
[0064] ポリエステル樹脂(C1) 500部と実施例 1記載のポリエステル樹脂(B1) 500部を、 コンティニァスニーダ一にて、ジャケット温度 150°C、滞留時間 3分で溶融混合した。 溶融樹脂を室温まで冷却後、粉砕機にて粉砕し、粒子化して比較用のトナー用樹脂
(6)を得た。
[0065] 比較例 2
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、実施例 1記載のポリエス テル樹脂(al) 500部、無水トリメリット酸 30部(0. 16モル)、および触媒としてテトラ ブトキシチタネート 3部を入れ、系内の気相を窒素置換したのち、 180°Cで常圧密閉 下 2時間反応後、 220°Cで、 5〜20mmHgの減圧下に反応させ、軟ィ匕点が 180°Cに なった時点で取り出し、室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。反応時の〇Ha/CO〇 Hb= l . 08であった。これをポリエステル樹脂(C2)とする。
ポリエステル樹脂(C2)の酸価は 4、水酸基価は 4、 Mnは 4400、 Mpは 7500、 TH F不溶解分は 41重量%であった。
[0066] ポリエステル樹脂(C2) 500部と実施例 1記載のポリエステル樹脂(B1) 500部を、 コンティニァスエーダーにて、ジャケット温度 150°C、滞留時間 3分で溶融混合した。 溶融樹脂を室温まで冷却後、粉碎機にて粉砕し、粒子化して比較用のトナー用樹脂
(7)を得た。
[0067] 比較例 3
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた加圧可能な反応槽中に、プロピレング リ ーノレ 1292奋 (17. 0モノレ)、テレフタノレ酸 714奋 (4. 3モノレ)、了ジピン酸 44 (0 . 3モル)、および縮合触媒としてテトラブトキシチタネート 3部を入れ、系内の気相を 窒素置換してから、 150°Cまで昇温した後、系内を窒素にて 0. 3MPaに加圧した。 2 30°Cで生成する水とプロピレングリコールを留去しながら 4時間反応させた後に、系 内の圧力を常圧に戻した。次いで 230°Cで、 5〜20mmHgの減圧下で生成する水と プロピレングリコールを留去しながら反応させ、軟化点が 80°Cになった時点で取り出 した。回収されたプロピレングリコールは 876部(11. 5モル)であった。取り出した樹 脂を室温まで冷却後、粉碎し粒子化した。これをポリエステル樹脂(a' 1)とする。
ポリエステル樹脂(a' 1)の酸価は 1、水酸基価は 93、 Mnは 1200、 Mpは 2500で あった。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ポリエステル樹脂 (a' 1) 500部、無水トリメリット酸 70部(0. 36モル)、および触媒としてテトラブトキシチタネ ート 3部を入れ、系内の気相を窒素置換したのち、 180°Cで常圧密閉下 2時間反応 後、 220°Cで、 5〜20mmHgの減圧下に反応させ、軟化点が 145°Cになった時点で 取り出し、室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。反応時の〇^¾7〇〇〇^¾ = 0. 75 であった。これをポリエステル樹脂(C3)とする。
ポリエステル樹脂(C3)の酸価は 33、水酸基価は 9、 Mnは 2300、 Mpは 4100、 T HF不溶解分は 49重量%であった。
[0068] ポリエステル樹脂(C3) 500部と実施例 1記載のポリエステル樹脂(B1) 500部を、 コンティニァスエーダーにて、ジャケット温度 150°C、滞留時間 3分で溶融混合した。 溶融樹脂を室温まで冷却後、粉碎機にて粉砕し、粒子化して比較用のトナー用樹脂 (8)を得た。
[0069] 実施例〔6〜: 10〕 ·比較例〔4〜6〕
本発明のトナー用樹脂(1)〜(5)および比較のトナー用樹脂(6)〜(8)それぞれ 1 00部に対して、カーボンブラック MA— 100 [三菱化学 (株)製] 8部、カルナバワックス 5部、荷電制御剤 T— 77 [保土谷化学 (製)] 1部を加え下記の方法でトナー化した。 まず、ヘンシェルミキサー [三井三池化工機 (株)製 FM10B]を用いて予備混合し た後、二軸混練機 [(株)池貝製 PCM— 30]で混練した。ついで超音速ジェット粉砕 機ラボジヱット [日本ニューマチック工業 (株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機 [ 日本ニューマチック工業 (株)製 MDS— I]で分級し、粒径 D50が のトナー粒 子を得た。ついで、トナー粒子 100部にコロイダルシリカ(ァエロジル R972 :日本ァェ ロジル製) 0. 5部をサンプルミルにて混合して、本発明のトナー組成物(T1)〜(T5) 、および比較用のトナー組成物 (Τ6)〜 (Τ8)を得た。
下記評価方法で評価した評価結果を表 1に示す。
[0070] [表 1]
トナ一 No. MFT HOT 耐プロッキング性 粉砕性
°C °C μ m トナー組成物 (T1) 1 25 230 1 2 トナー組成物 (T2) 1 20 230 ◎ 1 1 トナー組成物 (T3) 1 20 230 © 1 2 トナ一組成物 (T4) 1 25 230 ◎ 12 トナー組成物 (T5) 1 0 230 © 1 1 比較用トナー組成物 (T6) 120 190 Δ 1 1 比較用トナー組成物 (T 7) 135 230 ◎ 15 比較用トナー組成物 (T 8) 140 220 〇 1 3
[評価方法]
〔1〕最低定着温度 (MFT)
市販複写機 (AR5030;シャープ製)を用いて現像した未定着画像を、市販複写機 (AR5030;シャープ製)の定着機を用いて評価した。定着画像をパットで擦った後 の画像濃度の残存率が 70%以上となる定着ロール温度をもって最低定着温度とし た。
〔2〕ホットオフセット発生温度(HOT)
上記 MFTと同様に定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価し た。ホットオフセットが発生した定着ロール温度をもってホットオフセット発生温度とし た。
〔3〕トナーの耐ブロッキング性試験
上記トナー組成物を、 50°C-85%R. H.の高温高湿環境下で、 48時間調湿した。 同環境下において該現像剤のブロッキング状態を目視判定し、さらに市販複写機 (A R5030:シャープ製)でコピーした時の画質を観察した。
判定基準
◎:トナーのブロッキングがな 3000枚複写後の画質も良好。
〇:トナーのブロッキングはないが、 3000枚複写後の画質に僅かに乱れが観察さ れる。
△:トナーのブロッキングが目視でき、 3000枚複写後の画質に乱れが観察される
X:トナーのブロッキングが目視でき、 3000枚までに画像が出なくなる。
〔4〕粉砕性
二軸混練機で混練、冷却したトナー粗粉砕物(8. 6メッシュパス〜 30メッシュオンの もの)を、超音速ジェット粉砕機ラボジェット [日本ニューマチック工業 (株)製]により下 記条件で微粉砕した。
粉砕圧: 0. 5MPa
アジヤスターリング: 15mm
ノレ一バーの大きさ:中
粉砕時間:10分
これを分級せずに、体積平均粒径をコールターカウンタ一一 ΤΑΠ (米国コールター •エレクトロニクス社製)により測定し、粉碎性のテストとした。本測定法では、体積平 均粒径が 12 μ m以下であると、粉砕性が良好であると言える。
産業上の利用可能性
本発明のトナー組成物およびトナー用樹脂は、低温定着性、耐ホットオフセット性 に優れる静電荷像現像用トナーおよびトナー用樹脂として有用である。