明 細 書
複素環化合物の製造方法
技術分野
[0001] 本発明は、医薬として有用な 2—メチルー c— 5—{4— [5—メチルー 2—(4ーメチ ルフエ-ル)ー1, 3—ォキサゾールー 4 ィル]ブチル } 1, 3 ジォキサン—r— 2 一力ルボン酸 (以下、 NS— 220と 、う)の製造方法に関するものである。
[化 1]
NS - 220
背景技術
[0002] NS— 220は、血中トリグリセリドの低下作用、及び低比重リポ蛋白質コレステロール
(以下、 LDL— Cという)の低下作用を有し、さらに血糖低下作用、血中インスリン低 下作用、又は高比重リポ蛋白質コレステロール (以下、 HDL— Cという)の増加作用 若しくは動脈硬化指数〔非高比重リポ蛋白質コレステロールと HDL-Cの比であり、 ( 総コレステロール値― HDL- C値) ZHDL- C値で算出する。〕低下作用等を有して いる。従って、冠動脈疾患、脳梗塞、高脂血症、動脈硬化症、糖尿病、高血圧、若し くは肥満に対する予防薬又は治療薬として有用である (例えば、特許文献 1参照。 ) o NS— 220は、下記の方法により製造できることが知られている(例えば、特許文献 1参照。)。
Br e
Me
Me
,C02Me 一 6
人 o — 220
NS— 220はシス体であるため、製造中間体であるメチル シス一 5— (4 クロロブ チル) 2—メチルー 1, 3 ジォキサン 2 カルボキシレート(化合物 4)は、そのシ ス一トランス混合物 (ィ匕合物 4,)をカラムクロマトグラフィーで分割することにより製造さ れていた。し力しながら、この従来方法では、不要なトランス体は廃棄せざるを得なく 、製造効率の点で問題がある。また、工業スケールでの大量合成において、カラムク 口マトグラフィ一による精製方法を用いることは、相当量のシリカゲル、溶媒を使用せ ざるを得なく、製造原価が高騰するとともに、使用済溶媒が環境に悪影響を与えるこ と〖こなる。更に、操作工程も煩雑であり、困難性も伴う。
[0003] 一方、 NS 220の製造原料である 4ーメチルー N— (2 ォキソプロピル)ベンズァ ミド (化合物 6)は、既知の N—(2 ォキソプロピル)ベンズアミド (ィ匕合物 6' )の製造 方法に準じて製造することができる。しかしながら、下記の通り、いずれの既知の製造 方法も工業スケールでは満足しうるものではない。
[0004] 化合物 6の製法の公知枝術
(1)製法 A
上記製法 A (例えば、非特許文献 1〜2参照。)は、原料である化合物 9が非常に高 価であり、トータル収率も 58%しかない。更に、製造中間体である化合物 11の製造 において、後処理に大量の水と塩酸を使用しなければならず、かつ、反応液に水や 塩酸を加えるときに温度調整が必要であり、その操作も煩雑である。
(2)製法 B
[化 4]
HC1
13
上記製法 B (例えば、非特許文献 3参照。)は、原料である化合物 13が化学的に不 安定であり、また、該化合物 13は市販されておらず、原料合成(3工程)を行う必要が ある。
(3)製法 C
[化 5]
上記製法 C (例えば、非特許文献 4参照。 )は、トータル収率が 18%し力なく(ィ匕合 物 6'の場合)、また、反応後処理において化合物 6の結晶化が困難である。
(4)製法 D
[化 6]
6
上記製法 D (例えば、非特許文献 5参照。)は、トータル収率が 15%しかない (ィ匕合 物 6,の場合)。
(4)製法 E
[化 7]
上記製法 E (例えば、非特許文献 6〜7参照。)は、試薬にクロムやルテニウム等の 金属を用いるため、別途廃棄処理が必要となり、また、生成物にこれら金属が含有す る可能性がある。
上述の通り、 NS 220の重要な製造原料である化合物 6の製造方法にっ 、ても、 工業スケールでは満足しうるものではな 、。
[0009] 特許文献 1:国際公開第 01Z90087号パンフレット
非特許文献 l :J.Chem. Soc, 1948, 310-315
非特許文献 2 : Tetrahedron Lett., 2000, 41, 8969-8972
非特許文献 3 : J.Am. Chem. Soc, 1991, 113, 2247-2253
非特許文献 4 : Chem. Lett., 1989, 449-452, 515-518,569-572
非特許文献 5 : Chem. Pharm. Bull, 1979, 27, 1181-1185
非特許文献 6 : TetrahedronLett" 1985, 26, 3433-3436
非特許文献 7 : Syn丄 ett., 1999, 10, 1642-1644
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0010] 本発明の主目的は、工業スケールでの大量合成に適した、 NS— 220の新規な製 造方法を提供することにある。
課題を解決するための手段
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、 NS— 220の製造中間体であるメチル シ スー5—(4 クロロブチル)ー2—メチルー 1, 3 ジォキサンー2 カルボキシレート (化合物 4)、メチル 5— (4 ョードブチル)—2—メチル—1, 3 ジォキサン— 2— カルボキシレート(化合物 5)及びメチル シス 2—メチルー 5 - {5-[ (4 メチルベ ンゾィル)ァミノ] 6 ォキソヘプチル } 1 , 3 ジォキサン 2 カルボキシレート( 化合物 7)を高純度に製造できる工業的製造方法、及び、 NS— 220の製造原料であ る 4ーメチルー N—(2 ォキソプロピル)ベンズアミド (化合物 6)の工業的製造方法 を見出し、本発明を完成した。
本発明としては、例えば以下の方法を挙げることができる。
(1)メチル 5—(4ークロロブチル)ー2—メチルー1, 3 ジォキサン 2 カルボキ シレートのシス トランス混合物 (化合物 4' )を、塩基存在下で加水分解することを特 徴とする、メチル シス一 5— (4—クロロブチル) 2—メチル 1, 3 ジォキサン一 2 カルボキシレート (化合物 4)の製造方法、
(2)メチル 5— (4 ョードブチル)—2—メチル—1, 3 ジォキサン— 2—カルボキ シレートのシス トランス混合物 (ィ匕合物 5' )を、塩基存在下で加水分解することを特 徴とする、メチル シスー5—(4ーョードブチル)ー2—メチルー1, 3 ジォキサン 2 カルボキシレート (化合物 5)の製造方法、
(3)メチル 2—メチルー 5 - {5-[ (4 メチルベンゾィル)ァミノ] 6 ォキソへプチ ル} 1 , 3 ジォキサン 2 カルボキシレートのシス トランス混合物(化合物 7, ) を塩基存在下で加水分解することを特徴とする、メチル シスー2—メチルー 5— — [ (4 メチルベンゾィル)ァミノ] 6 ォキソヘプチル } 1 , 3 ジォキサン一 2 - カルボキシレート (化合物 7)の製造方法、及び
(4) 4ーメチルー N— (2 ヒドロキシプロピル)ベンズアミド(ィ匕合物 20)を 2, 2, 6, 6 —テトラメチル— 1—ピベリジ-ルォキシラジカル及び次亜塩素酸ナトリウムを用いて 酸ィ匕することを特徴とする、 4—メチル N— (2—ォキソプロピル)ベンズアミド (化合 物 6)の製造方法。
発明を実施するための最良の形態
L化合物 4の 1¾告方法
NS— 220の重要な製造中間体である化合物 4は、以下の方法で製造することがで きる。
[化 8]
後述の試験例に示す通り、化合物 4'は、塩基存在下で加水分解することによりトラ ンス体が優先的に加水分解されるため (選択的加水分解)、用いる塩基の量を調節 することにより加水分解率を制御することができ、シス Zトランス比が 9Zl〜50Zlで ある化合物 4を容易に製造することができる。
また、本選択的加水分解により生成するトランス体の割合が多い 5—(4 クロロブ チル)ー2—メチルー 1, 3 ジォキサンー2—力ルボン酸(ィ匕合物 21)は、ケタール交 換することにより、化合物 4'に再生することができる。従って、再生した化合物 4'を同 様な選択的加水分解することによりィ匕合物 4を再度得ることができる。
従来は、カラムクロマトグラフィーにより得られたシス体のみを利用し、不要なトランス 体は廃棄されていたが、選択的加水分解による化合物 4の製造方法は、不要なトラン ス体を再利用することができ、効率よく NS— 220を合成することができる。
本選択的加水分解反応に用いうる溶媒としては、基質である化合物 4'が溶解する ものであれば特に問わないが、ァセトニトリル、 Ν, Ν ジメチルホルムアミド、トルエン 、テトラヒドロフラン、 Ν-メチル -2-ピロリドン、 1, 3 ジメチル一 2—イミダゾリジノン、ァ セトン、メタノールが適当であり、ァセトニトリル、 Ν, Ν ジメチルホルムアミド、テトラヒ ドロフランが好ましい。
本選択的加水分解反応に用いる溶媒の量は、基質である化合物 4'を溶解する量 であれば特に問わないが、基質である化合物 4'に対して 0. 5〜: L0倍量 (容量 (mL)
Z重量 (g) )が適当であり、 1〜5倍量がより好ましい。
本選択的加水分解反応に用いうる塩基としては、通常のエステルの加水分解反応 に用いる塩基であれば特に問わないが、水酸化ナトリウム、水酸ィ匕カリウム、水酸化リ チウム、水酸ィ匕セシウムが適当であり、水酸化ナトリウム、水酸ィ匕カリウムが好ましい。 本加水分解反応に用 、る塩基の量を制御することにより、基質である化合物 4 'の 加水分解率を制御することができる。加水分解率が低いと、未反応のトランス体が多 く残り、加水分解率が高いと化合物 4の収率が低下する。用いる塩基の量は、用いる 基質である化合物 4'のシス Zトランス比や、用いる溶媒の種類、量によっても異なる 力 基質である化合物 4'に対し、 0. 1〜0. 6倍モル量が適当であり、 0. 2〜0. 4倍 モノレ量カ S女子ましく、 0. 25〜0. 35 モノレ量カ り女子まし!/ヽ。
本加水分解反応の反応温度は、用いる溶媒の沸点以下の温度であれば特に問わ ないが、一般に 0〜60°Cの範囲が好ましぐ 10〜40°Cの範囲がより好ましぐ 20〜3 0°Cの範囲がより好ましい。
本加水分解反応の反応時間は、反応溶液中における基質の濃度などにもよるが、 30分〜 10時間の範囲が好ましぐ 1〜5時間の範囲がより好ましい。
本ケタール交換反応は一般的な反応であり、公知の方法により行うことができるが、 例えば、三フッ化ホウ素ジェチルエーテルコンプレックス存在下、ピルビン酸メチルを 添カロすること〖こより行うことができる。
本ケタール交換反応に用いうる溶媒としては、基質である化合物 21が溶解するもの であれば特に問わないが、トルエン、ァセトニトリルが適当であり、トルエンが好ましい 本ケタール交換反応に用 、る溶媒の量は、基質である化合物 21を溶解する量であ れば特に問わな 、が、基質である化合物 21に対して 1〜: L0倍量 (容量 (mL) Z重量 (g) )が適当であり、 3〜5倍量が好ましい。
本ケタール交換反応の反応温度は、用いる溶媒の沸点以下の温度であれば特に 問わないが、一般に 0〜60°Cの範囲が好ましぐ 20〜40°Cの範囲がより好ましぐ 2 5〜35°Cの範囲がより好ましい。
本ケタール交換反応の反応時間は、反応溶液中における基質の濃度などにもよる
1S 30分〜 10時間の範囲が好ましぐ 1〜5時間の範囲がより好ましい。
このように、化合物 4は、カラムクロマトグラフィーによらず、工業スケールでの大量 合成に適した加水分解により製造することができる。更に、不要なトランス体を再利用 できることから、製造効率の向上も図ることができる。
II.化合物 5の製造方法
NS 220の重要な製造中間体である化合物 5は、上記化合物 4の製造方法と同 様に、以下の方法で製造することができる。
[化 9]
後述の試験例に示す通り、化合物 5'は、塩基存在下で加水分解することによりトラ ンス体が優先的に加水分解されるため (選択的加水分解)、用いる塩基の量を調節 することにより加水分解率を制御することができ、シス Zトランス比が 9Zl〜50Zlで ある化合物 4を容易に製造することができる。
また、本選択的加水分解により生成するトランス体の割合が多い 5—(4ーョードブ チル)ー2—メチルー 1, 3 ジォキサンー2—力ルボン酸(ィ匕合物 22)は、ケタール交 換することにより、化合物 5'に再生することができる。従って、再生した化合物 5'を同 様な選択的加水分解することによりィ匕合物 5を再度得ることができる。
従来は、カラムクロマトグラフィーにより得られたシス体のみを利用し、不要なトランス 体は廃棄されていたが、選択的加水分解による化合物 5の製造方法は、不要なトラン ス体を再利用することができ、効率よく NS— 220を合成することができる。
本選択的加水分解反応に用いうる溶媒、溶媒の量、塩基、塩基の量、反応温度及 び反応時間、並びに、本ケタール交換反応に用いうる溶媒、溶媒の量、反応温度及 び反応時間は、上記化合物 4の製造方法と同様である。
このように、化合物 5は、カラムクロマトグラフィーによらず、工業スケールでの大量
合成に適した加水分解により製造することができる。更に、不要なトランス体を再利用 できることから、製造効率の向上も図ることができる。
III.化合物 7の製造方法
NS— 220の重要な製造中間体である化合物 7についても、化合物 4と同様の方法 で製造することができる。
5' 6 7
化合物 5'と化合物 6の縮合反応は塩基存在下で行うことができるが、塩基として、 水酸化ナトリウム、水酸ィ匕カリウムなどのアルカリ金属の水酸ィ匕物を用いる場合は副 生成物として水が生成するため、過剰の塩基を添加して本反応を行うことにより、生 成した化合物 7'の加水分解反応を同時に行うことができる。
後述の試験例に示す通り、化合物 7'についても、塩基存在下で加水分解すること によりトランス体が優先的に加水分解されるため(選択的加水分解)、用いる塩基の 量を調節することにより加水分解率を制御することができ、シス Zトランス比が 9Zl〜 50Z1である化合物 7を製造することができる。
本反応に用いうる溶媒としては、基質である化合物 5'及び化合物 6が溶解するもの であれば特に問わないが、 N, N—ジメチルホルムアミド、 N-メチル -2-ピロリドン、 1, 3—ジメチルー 2—イミダゾリジノンが適当であり、 N, N—ジメチルホルムアミドが好ま しい。
本反応に用いる溶媒の量は、基質である化合物 5'及びィ匕合物 6を溶解する量であ れば特に問わないが、基質である化合物 5'に対して 0. 5〜: L0倍量 (容量 (mL)Z重 量 (g) )が適当であり、 1〜5倍量が好ましい。
本反応に用いうる塩基としては、通常の縮合反応及びエステルの加水分解反応に 用いる塩基であれば特に問わないが、水酸化ナトリウム、水酸ィ匕カリウム、水酸化リチ ゥム、水酸ィ匕セシウム、水素化ナトリウムが適当であり、水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ゥムが好ましい。
本反応に用いる塩基の量を制御することにより、化合物 7'の加水分解率を制御す ることができる。また、化合物 5'と化合物 6の縮合反応に等モル量の塩基が必要であ る。従って、本反応に用いる塩基の量は、用いる基質である化合物 7'のシス Zトラン ス比や、用いる溶媒の種類、量によっても異なるが、基質である化合物 5'に対し、 1. 1〜1. 6倍モル量が適当であり、 1. 1〜1. 4倍モル量が好ましい。
本反応の反応温度は、用いる溶媒の沸点以下の温度であれば特に問わないが、 一般に 0〜60°Cの範囲が適当であり、 10〜30°Cの範囲が好ましい。
本反応の反応時間は、反応溶液中における基質の濃度などにもよるが、 30分〜 1 0時間の範囲が適当であり、 1〜5時間の範囲が好ましい。
このように、化合物 7についても、工業スケールでの大量合成に適した加水分解に より製造することができる。また、本反応は、化合物 5'と化合物 6との縮合反応と同時 に行うことができるため、 NS— 220の製造工程を 1工程削減することができ、製造効 率の向上も図ることができる。
IV.化合物 6の製诰方法
NS— 220の重要な製造原料である化合物 6は、以下の方法で製造することができ る。
[化 11]
工程 2 6
2, 2, 6, 6—テトラメチルー 1ーピベリジ-ルォキシラジカル(以下、 TEMPOという )と次亜塩素酸ナトリウムを用いることにより 4—メチル N— (2—ヒドロキシプロピル) ベンズアミド (化合物 20)を酸ィ匕することにより製造することができる。
後述する試験例に示す通り、本製造方法は、以下、 TEMPOと次亜塩素酸ナトリウ ムを用いるため、従来の製法で用いられていた金属化合物を使用しない。また、本製 造方法は、高収率であり、用いる原料が安価で入手可能であるため製造コストが低 減でき、操作も 2工程と短ぐ各反応の後処理も非常に簡単である。 工程 1
工程 1は、酸クロリドとァミンとのアミド形成反応であり、常法により製造することがで きる。
本アミド形成反応に用いうる溶媒としては、基質である化合物 18が溶解するもので あれば特に問わないが、トルエン、ァセトニトリル、 N, N ジメチルホルムアミド、 N-メ チル- 2-ピロリドン、 1, 3 ジメチルー 2 イミダゾリジノンが適当であり、トルエン、ァ セトニトリルが好ましい。
本アミド形成反応に用いる溶媒の量は、基質である化合物 18が溶解する量であれ ば特に問わな 、が、基質である化合物 18に対して 1〜 10倍量 (容量 (mL) Z重量 (g ) )が適当であり、 3〜6倍量が好ましい。
本アミド形成反応の反応時間は、反応溶液中における基質の濃度などにもよるが、 30分〜 8時間の範囲が適当であり、 1〜4時間の範囲が好ましい。
本アミド形成反応の反応温度は、用いる溶媒の沸点以下の温度であれば特に問わ ないが、一般に 20〜60°Cの範囲が適当であり、 0〜40°Cの範囲が好ましい。 本アミド形成反応に用いる 19の量は、用いる溶媒の種類や量、反応温度、反応時 間により異なるが、 18に対して 1〜10倍モル量が適当であり、 1. 5〜5倍モル量が好 ましい。 工程 2
工程 2の酸ィ匕反応に用いうる溶媒としては、基質である化合物 20が部分的にでも
溶解するものであれば特に問わないが、ァセトニトリル、酢酸ェチル、酢酸イソプロピ ル、トルエンが適当であり、ァセトニトリル、酢酸ェチルが好ましい。
本酸化反応に用いる溶媒の量は、基質である化合物 20を部分的にでも溶解する 量であれば特に問わないが、基質である化合物 20に対して 1〜40倍量 (容量 (mL) Z重量 (g) )が適当であり、 3〜20倍量が好ま 、。
本酸化反応に用いる TEMPOの量は、用いる溶媒の種類や量、反応温度、反応時 間により異なるが、基質に対して 0. 005〜2倍モル量が好ましぐ 0. 1〜1倍モル量 力 り好ましい。
工程 2の酸化反応の反応温度は、一般に— 20〜30°Cの範囲が適当であり、 - 10 〜20°Cの範囲が好ましぐ 0〜10°Cの範囲がより好ましい。
工程 2の酸化反応の反応時間は、反応溶液中における基質の濃度などにもよるが 、 30分〜 10時間の範囲が好ましぐ 1〜5時間の範囲がより好ましい。
実施例
以下に、本発明にかかる試験例及び実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明する 試験例 1 メチル シス 5— (4 クロロブチル) 2 メチル 1. 3 ジォキサン 2 カルボキシレート (化合物 4)の製诰方法の枪討
シス体とトランス体の加水分解速度の違 、を利用してシス体である化合物 4を効率 よく合成することができるかどうかについて検討した。
具体的には、特許文献 1に記載の方法により合成した、シス Zトランス比が 3. 4/1 の化合物 4'を、等倍量 (容量 (mL)Z重量 (g) )の溶媒に溶解し、各種塩基を化合物 4'に対して所定モル量を加え、 20°Cで 2〜15時間加水分解反応を行った。その後、 反応後の加水分解率及び加水分解されて ヽな ヽィ匕合物 4'のシス Zトランス比をガス クロマトグラフィー(GC)により算出した。その結果を表 1に示す。
GCの分析条件
装置 : HP 6890 Series
カラム : CBP1— S25— 050 (島津株式会社)
カラムオーブン温度: 170°C
注入口温度 : 210°C
検出器温度 : 250°C
キヤリャガス :アルゴンガス
キヤリャガス流:! : 2. OmLZ分
検出器 : FID検出器
[表 1] 塩基の量 加水分解率
未反応化合物 4の 塩基の種類 C化合物 4 ' に 溶媒の種類
シス Z トランス比 対するモル量)
N a O H 0 . 3 0 D M F 2 8 . 1 1 8 2 Z 1
N a O H 0 . 3 0 D M I 2 7 . 2 1 7 9ノ 1
N a O H 0 . 3 0 N P 2 7 . 2 1 8 2 / 1
N a O H 0 . 3 0 アセ トン 2 8 . 6 2 1 8 / 1
N a O H 0 . 3 0 T H F 3 1 . 1 2 9 4 / 1
N a O H 0 . 3 0 M e O H 2 9 . 1 2 2 7 Z 1
N a O H 0 . 3 5 M e C N 3 2 . 5 4 9 7 / 1
N a O H 0 . 3 0 M e C N 3 0 . 6 2 1 8 Z 1 a O H 0 . 3 0 卜ルェン 3 0 . 6 1 5 9 Z 1
K O H 0 . 3 5 D M F 3 3 . 6 2 9 0 1
K O H 0 . 4 0 M e C N 4 0 . 8 8 6 3 / 1
K O H 0 . 3 5 e C N 3 3 . 2 3 Z 4 / 1
K O H 0 . 2 0 M e C N 2 1 . 8 1 0 0 Z 1
K O H 0 , 4 0 卜ルェン 3 9 . 3 4 4 2 Z 1
L i O H 0 . 3 5 M e C N 3 3 . 4 2 3 5 / 1 し i O H 0 . 3 0 卜ルェン 3 2 . 6 1 1 1 / 1
C s O H 0 . 2 0 M e C N 2 2 6 9 . 0 / 1 表 1に示す通り、塩基の量を増減することにより、化合物 4'の加水分解率を制御す ることが可能であることを見出した。また、トランス体の加水分解速度は、シス体のカロ 水分解速度に比べ非常に早ぐ加水分解率が 21. 8%であるときに、未反応の化合 物 4'のシス Zトランス比は 10Zl、加水分解率が 40. 8%であるときに、未反応の化 合物 4,のシス Ζトランス比は 86. 3Z1であった。
シス Ζトランス比が 9以上(シス体が 90%以上)であれば、その後の各反応における 精製工程でトランス体を除去することができる。従って、加水分解率を 20%以上に制 御すれば従来のカラムクロマトグラフィーを用レ、ることなぐ化合物 4を製造することが 可能である。
今回の検討は、シス Ζトランス比が 3. 4Z1の化合物 4'で行った力 上述の通り、 加水分解率を制御することにより、シス Ζトランス比に関係なく、本製造方法を用いる
ことができる。
[0017] 試験例 2 メチル シス 5—(4ーョードブチル) 2 メチルー 1. 3 ジォキサン
2 カルボキシレート (化合物 5)の製诰方法の枪討
シス体とトランス体の加水分解速度の違いを利用してシス体である化合物 5を効率 よく合成することができるかどうかについて検討した。
具体的には、特許文献 1に記載の方法により合成した、シス Zトランス比が 3. 6/1 の化合物 5'を、等倍量 (容量 (mL)Z重量 (g) )のァセトニトリルに溶解し、水酸化ナ トリウムをィ匕合物 5'に対して 0. 4倍モル量を加え、 20°Cで 2時間加水分解反応を行 つた。その後、反応後の加水分解率及び加水分解されていない化合物 4'のシス Zト ランス比をガスクロマトグラフィー(GC)により算出した。 GCの測定条件は、試験例 1 と同様である。その結果、加水分解率が 39. 5%であるときに、未反応の化合物 4'の シス Zトランス比は 148. 9Z1であった。
従って、化合物 5'を用いた化合物 5の製造方法は、試験例 1の化合物 4'を用いた 化合物 4の製造方法と同様、加水分解率を制御することにより、シス Zトランス比に関 係なぐ本製造方法を用いることができる。
[0018] 試験例 3 メチル 2 メチルー 5 一「(4 メチルベンゾィル)ァミノ 1 6—ォキ ソヘプチル 1 1. 3 ジォキサン 2 カルボキシレー卜 (化合物 7)の ¾告 法の檢 試験例 1と同様の方法によりィ匕合物 7について検討した。
具体的には、特許文献 1に記載の方法により合成した、シス Zトランス比が 3. 5/1 の化合物 7'を、 3倍量 (容量 (mL)Z重量 (g) )の溶媒に溶解し、各種塩基を化合物 4'に対して所定モル量をカ卩え、 10〜20°Cで 2時間加水分解反応を行った。その後、 反応後の加水分解率及び加水分解されていない化合物 7'のシス Zトランス比を HP LCにより算出した。その結果を表 2に示す。
HPLCの分析条件
装置 : Shimadzu LC—10A
カラム : COSMOSIL 5C- 18-AR 150 X 4. 6mm (ナカライテスタ株式会 社)
カラム温度: 40°C
移動層 :ァセトニトリル Z水 Zメタンスルホン酸 = 550Z450Z1
流速 :1. OmLZ分
検出器 : UV検出器
測定波長 :254nm
[表 2]
表 2に示す通り、化合物 7'の加水分解によっても、試験例 1の化合物 4'の結果と同 様、塩基の量を増減することにより、化合物 7'の加水分解率を制御することができ、 加水分解率を制御すれば従来のカラムクロマトグラフィーを用いることなぐ化合物 7 を製造することが可能である。
試験例 4 4ーメチルー N—(2 ォキソプロピル)ベンズアミド (化合物 6)の製造方 法の枪討
4 メチル N— (2 ヒドロキシプロピル)ベンズアミドに種々の酸化剤を適用しィ匕 合物 6の製造を検討した。
具体的には、金属化合物以外の種々の酸化剤を用いて 4ーメチルー N—(2 ヒド ロキシプロピル)ベンズアミドの酸ィ匕反応を行い、収率を HPLCにより算出した。その 結果を表 3に示す。
HPLCの分析条件
装置 : Shimadzu LC—10A
カラム : COSMOSIL 5C- 18-AR 150 X 4. 6mm (ナカライテスタ株式会 社)
カラム温度: 40°C
移動層 :ァセトニトリル Z水 Zメタンスルホン酸 =400Z600Zl
流速 :0. 6mLZ分
検出器 : uv検出器
測定波長 :254nm
[表 3]
表 3に示す通り、殆どの酸化剤の組み合わせでは、酸化反応が十分に進行しない 力 TEMPOと次亜塩素酸ナトリウムの組み合わせのみ力 他の酸化剤に比べ、特 段優れていることが分かった。 TEMPOは、公知の酸化剤ではある力 4ーメチルー N- (2—ヒドロキシプロピル)ベンズアミドの酸化反応において、 TEMPOと次亜塩 素酸ナトリウムの組み合わせが特段優れて 、ることは、従来技術からは全く想到し得 ないものであり、力かる酸化剤を見出したことにより、医薬として有用な NS-220の重 要な製造原料である化合物 7を高収率で容易に製造できることが可能となった。
実施例 1 選択的加水分解で化合物 4を得る製造工程を含む NS— 220の製造 (工程 1)選択的加水分解による化合物 4の製造
化合物 4' (シス Zトランス = 3Zl)は、特許文献 1記載の方法により製造した。かか る化合物 4'
700gをァセ卜二トリノレ 700mLに溶解し、水酸ィ匕ナ卜リウム水溶液 195. 8g (99%水 酸化ナトリウム 44. 8g、水 151g)を添カ卩した。 20〜30°Cで 2時間撹拌した後、トル ェン 700mLと水 700mLを添加し、分層した。有機層を減圧濃縮して、化合物 4 (シ ス Zトランス = 98. 4/1. 6)を 441. 4g得た。なお、水層は実施例 2に使用した。
(工程 2)化合物 5の製造
工程 1で得た化合物 4 441gにょう化ナトリウム 442g、アセトン 820mLを添カロ して 15時間還流した。反応後、反応液を減圧濃縮し、残さに水 500mL、トルエン 840mLを添加して分液抽出した。有機層を塩ィ匕ナトリゥム水溶液
420mLで洗浄後、硫酸マグネシウム 42gで乾燥した。ろ過した後、減圧濃縮して化 合物 5の油状物 559gを得た。
該油状物 lOOgに n—ヘプタン 500mLを添カ卩し,撹拌下- 26°Cまで冷却した。析 出した結晶をろ過し、室温で減圧乾燥して, 白色結晶の化合物 5を 83. 2gを得た。
(工程 3)化合物 7の製造
化合物 4 14. 0g、化合物 6 9. 39g、 DMF 42mlを攪拌しながら、水酸化力リウ ム 2. 97gを 0°C以下で分割添加した。添加後、 20°Cで 2時間攪拌した後、反応液 にトルエン 84ml、水 84mlをカ卩えて分層し、上層を 1%塩酸水溶液 29. 8g、 5% 塩化ナトリウム水溶液 28. Ogで洗浄し、減圧濃縮して液量を調製し、化合物 7のト ルェン溶液 59. 6gを得た。
(工程 4)化合物 8の製造
工程 3で得られた化合物 7のトルエン溶液 59. 6gを攪拌下、塩ィ匕ォキサリル 6. 2g を滴下した。 50〜55°Cで 1. 5時間攪拌した後、水 4. lml、 15%水酸ィ匕カリウム水 溶液 45. 9gを加えて 2時間攪拌した。分層後、上層を水 17mlで洗浄して化合物 8 のトルエン溶液を得た。
(工程 5) NS - 220の製造
工程 4で得られた化合物 8のトルエン溶液に、水酸ィ匕ナトリウム 3. 27gを水 16ml に溶カゝした溶液、及び、メタノール 6. 3mlを添カ卩した。 50〜55°Cで 3時間攪拌した 後分層し、下層にトルエン 76mlを添加し、濃塩酸 8. 2gで中和して熱時抽出した 。上層を水 15mlで熱時洗浄し、 2°Cまで冷却後晶析し、析出した結晶をろ過、 50°C で減圧乾燥して粗製 NS— 220 (トランス体 0. 1%)を 9. 43g得た。力かる粗製 NS—
220 2. Ogを酢酸イソプロピル 30mlに 72°Cで溶解させ、熱時ろ過した後、ろ液を 1 . 4hかけて 72°Cから 20°Cまで冷却して晶析し、析出した結晶をろ過、 50°Cで減圧 乾燥して目的の NS— 220 1. 53g (卜ランス体く 0. 1%)を得た。なお、 NS— 220 のシス Zトランス比は HPLCにより算出した。
HPLCの分析条件
装置 : Agilent 1100 Series
カラム : Cadenza CD— C18 250 X 4. 6mm (インタタト株式会社) カラム温度: 40°C
移動層 :ァセトニトリル Z水 Zメタンスルホン酸 = 550Z450Z1
流速 : 0. 7mLZ分
検出器 : UV検出器
測定波長 :240nm
[0021] M2 イ^^ 4'の力 t!Tk分解により 成したイ^ ^ )21からイ^^ 4' する 她
実施例 1の工程 1で得た水層に、濃塩酸 128. 3g、トルエン 700mLを添カ卩して 抽出し、トランス体リッチな化合物 21を回収した。回収したィ匕合物 21のトルエン溶液 50mLに、ピルビン酸メチル 19. 5g、三フッ化ホウ素エーテルコンプレックス 6. 9g を添加して, 60°Cで 8時間反応した。反応後、 20%水酸ィ匕ナトリウム水溶液 77ml、 10%水酸ィ匕ナトリウム水溶液 39ml、 10%塩化ナトリウム水溶液 10mlで順に洗 浄した。有機層を減圧濃縮して、化合物 4'を 2. 4g得た。
[0022] 実施例 3 選択的加水分解で化合物 7を得る製造工程を含む NS— 220の製造
(工程 1)選択的加水分解による化合物 7の製造
シス Zトランス比が 3Z1である化合物 5は、特許文献 1記載の方法により製造した。 力かる化合物 61. lgとィ匕合物 6 34. 4gを DMF 192mlに溶解させ、冷却撹拌下 85%水酸ィ匕カリウム水溶液 13. 6gを添加した。 15°C以下で 4時間 撹拌した後、ト ルェン 385ml、 水 385mlを添カ卩して抽出した。有機層を 1%塩酸水溶液 137 ml、水 128mlで順に洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過後、一部減圧 濃縮して、化合物 7 (シス Zトランス = 14. 8)のトルエン溶液を得た。
(工程 2)化合物 8の製造
工程 1で得られた化合物 8のトルエン溶液を用いて、実施例 1の工程 4の方法と同 様にして、化合物 8のトルエン溶液を得た。
(工程 3) NS - 220の製造
工程 2で得られた化合物 8のトルエン溶液を用いて、実施例 1の工程 5の方法と同 様にして、精製 NS— 220 21. 5g (トランス体 0. 3%)を得た。
[0023] 実施例 4 TEMPO及び次亜塩素酸ナトリウムを用いた化合物 6の製造
(工程 1)化合物 20の製造
p 卜ノレ才イノレク PU 100. Ogを 1 アミノー 2 プ ノ一ノレ 79. 2g、卜!;ェチノレ ァミン 78. 5g、トルエン 500mlの溶液中に滴下した。 20°Cで 1時間攪拌した後、 水 500mlを添加し、析出した結晶をろ過、 50°Cで減圧乾燥して、白色結晶の化合 物 20 117. 0gを得た。
(工程 2)化合物 6の製造
工程 1で得たィ匕合物 20 30. 0gに TEMPO 0. 4851g、臭ィ匕ナトリウム 15. 97g 、硫酸マグネシウム 9. 34g、酢酸ェチル 450ml、水 30mlをカ卩え、次亜塩素酸ナ トリウム水溶液 (有効塩素 5%以上) 222. 2gに炭酸水素ナトリウム 6. 52gを溶力し た溶液を 2〜― 10°Cで滴下した。 0°Cで 40分間攪拌した後分層し、上層を、よう化力 リウム 2. 58gを 1%塩酸水溶液 56. 6gに溶解した溶液、 10% -Na S O水溶液 1
2 2 3
20ml、炭酸水素ナトリウム水溶液 60ml、塩化ナトリウム水溶液 60mlで洗浄後、 硫酸マグネシウム 6. 00gで乾燥した。ろ過後、減圧濃縮後の残さにシクロへキサン 240mLを添加し、析出した結晶をろ取した。メチル t—ブチルエーテル 30mlで 洗浄、 50°Cで減圧乾燥して、白色結晶の化合物 6 20. 88gを得た(トータル収率 6 6%)。
産業上の利用可能性
[0024] 上述の通り、本発明にかかる製造方法は、従来の製法に比べ、カラムクロマトグラフ
ィ一による分割を必要とせず、また、金属化合物を用いることなぐ医薬として有用な
NS - 220を製造することができる。