明 細 書
高分子ミセル型 MRI造影剤
技術分野
[0001] 本発明は、核磁気共鳴画像造影剤に関し、より具体的には、ガドリニウム (Gd)内包 高分子ミセルを有効成分とする造影剤に関する。
背景技術
[0002] がんに対する療法は外科療法、放射線療法、化学療法の 3つに大別される。各療 法の進歩によって、有効率 ·治癒率は向上を続けているものの、がん発生率の上昇 に追いつけずに、死亡率の増加を許しているのが現状である。これらの療法に共通 しているのは、がんが早期に発見されれば治療成績は大きく向上することである。よ つて診断技術の進歩はがん死亡率低下に大きく貢献できる。
[0003] がんの診断技術には、採取した細胞の組織学的診断、血液の生化学的検査、画 像診断等がある。画像診断は、 X線 CT、核磁気共鳴画像 (Magnetic Resonance Imaging,以下、 MRIと略す)、超音波画像などがあるが、その中で、 MRIは X線な どの被爆がなく非侵襲性であり、 X線 CTに次ぐ解像度が得られることなどが特長であ る。
[0004] この MRIの診断精度を上昇させる目的で、 MRI造影剤が用いられて!/、る。 MRI造 影剤を血液内に投与した後に、 MRIの撮影を行う。この MRI造影剤として頻繁に用 V、られて 、るのは Gd原子を配位した低分子キレートイ匕合物である。この様な錯体ま たは複合体の代表例は商品名 Magnevistの下に市販されて!、る Gd— DTP Aである (DTPAとは低分子キレート化剤のジエチレントリアミン五酢酸であり、 1分子の DTP Aが Gdl原子を配位している)。このキレート化剤中の Gd原子は周辺に存在する水 分子の水素原子に働きかけて、その T1 (縦緩和時間)を短縮させる。 MRI測定の際 に種々の装置パラメーターを適切に設定することで、この短縮した T1を有する水分 子をその他の水分子と画像上で明確に区別することが可能となる。よって、この T1短 縮効果のおかげて、 MRI画像上で高いコントラストを与えることができる。 Gd— DTP Aは主に血液をコントラスト高く映し出すことで、ガン組織の異常血管形成を明瞭に
することで画像診断に役立てている。よって、 Gd— DTPAそれ自体は固形ガンなど に選択性があるわけではない。また、 Gd— DTPAは低分子であるために血管から組 織への浸透が速 、ので、造影剤が生体に注入された後すぐに MRI造影を開始しな ければならない。たとえば患者が急に気分が悪くなつて 2時間ほど休息するような場 合には、 MRI造影は造影剤の注入力もやり直さねばならな 、。
[0005] 以上のような低分子 MRI造影剤の弱点を補い、さらに性能の高い造影剤の開発を 目指して、 MRI造影効果のある Gd原子を高分子に結合させる研究が 1980年代から 行われてきた。これらの研究は、主として、高分子の性質によって造影剤が固形がん などに夕ーゲティングされ、標的に選択的な MRI画像が得られ、疾患のより正確な診 断に役立て得ることを可能にすることを目的とし、さらには、高分子造影剤は血管から 組織に拡散する速度が低分子造影剤よりも遅いことを利用し、投与後に適切な造影 ができる時間範囲を広くし、患者及び医師の両方にとって MRI診断がより容易なもの とすることを目的としている。
[0006] この高分子化 MRI造影剤の代表例としては、天然の高分子であるアルブミンや多 糖誘導体や合成のポリ(L-リジン)誘導体を用いたものなどがある。より具体的には、 以下の 3つの例を挙げることができる。 Wikstromらは、アルブミンにキレート剤 DTP Aを複数結合させそれに Gd原子を配位させた MRI造影剤を報告して ヽる(非特許 文献 1参照。 ) o Gd原子が高分子物質のアルブミンに結合することにより、 Gd原子あ たりの T1を短縮能力(緩和能という)は低分子の Gd— DTPAに比べて約 4倍に増加 して 、る。これは Gd原子が高分子物質に結合することで Gd原子の動きが規制される ために、緩和能が上昇するものと理解されている。この緩和能の上昇は、高分子 MR I造影剤の特長の 1つである。また、 Corotらは多糖のカルボキシメチルデキストランに キレート剤である DOTA (テトラァザシクロドデカン四酢酸)を結合させ、それに Gdを 配位させた高分子 MRI造影剤を報告している (非特許文献 2参照)。この例でも高分 子化することにより、 T1の緩和能は上昇し、対応する低分子 MRI造影剤である DOT A— Gdの 3. 4に対し、高分子化したものでは 10. 6と 3倍程になっている。この研究例 ではラットに投与したときの血漿中濃度変化も観察している。静脈内投与後 30分で、 投与量の 40%より少し多 、量が血漿中に存在したと報告されて 、る。対応する低分
子の造影剤 DOTA— Gdに比べると約 5倍高い濃度である力 固形がんにターゲティ ングまたは送達するためには、これでも血液循環性は不足していると考えられる。
[0007] 高分子の構造を最適化し、血液中を長期間に渡って安定に循環し、固形がんへの 選択的ターゲティング (またはデリバリー)をもっとも良く達成し得た研究例は、 Weissl ederらによるものである(非特許文献 3参照)。彼らは、ポリ(L リジン)にポリエチレン グリコール鎖を結合させた高分子をキヤリヤーに用いることで、 DTPAに配位した Gd を、血液中を長期間渡って安定に循環して固形がんにターゲテイングすることに成功 している(150g程度の体重のラットに投与 24時間後の、固形がんへの蓄積量が約 1 . 5%doseZgであった)。し力し、この場合でも明確ながんの画像を得ることに成功し ていない。
[0008] 非特許文献 1 : Investigative Radiology, 24, 609— 615 (1989)
非特許文献 2 : Acta Radiologia, 38, supplement 412, 91—99 (1997) 非特許文献 3 : Drug Targeting, 4, 321—330 (1997)
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0009] 本発明の目的は、血液中を長期間に渡って安定に循環して固形がんにターゲティ ングし、し力も明確ながんの画像を得ることのできる造影剤を提供することにある。 課題を解決するための手段
[0010] 本願の発明者らは、例えば、 Weisslederらによる造影剤系の使用に際して、必ず しも明確ながん画像が得られな 、のは、がん組織のみではなく正常組織の血管まで も高いコントラストになってしまうことに、主たる原因が存在すると推測した。より具体的 には、一般に、高分子物質が血流からがん組織に移行する速度は遅いため、大量の 高分子をがん組織に移行させるためには、長 、時間血液を循環させて移行する機会 が多く得られるように造影剤系を設計する必要があり、他方、カゝような造影剤系はが ん組織に充分ターゲティングされた時点でもなお正常の血管中に多量の造影剤が 残っていて、正常組織とがん組織との大きな信号強度の差が得られない状態となると 推察した。
[0011] このような推察に基づいて、本発明者らは Gd—高分子コンジュゲートが、がん組織
または部位で解離しやすいが、正常の血管の血流中ではある程度安定に Gd原子を ブロックした状態を維持しうる Gd—高分子コンジュゲートを提供すべく研究してきた。 その結果、ある一定の Gd内包高分子ミセルが上記目的を達成できることを見出した
[0012] こうして、本発明によれば、内部コアにガドリニウム (Gd)原子を含有し、そして外部 シェルが親水性ポリマー鎖セグメントを含んでなる高分子ミセルであって、生体内で 固形がん組織もしくは部位に送達され、その内部に集積された後に高分子ミセル構 造を解離しうる高分子ミセルが提供され、力かる高分子ミセルを有効成分として含ん でなる MRI造影剤が提供される。
[0013] 好ましい態様の本発明としては、前記の高分子ミセルカ 親水性ポリマー鎖セグメ ントと側鎖にカルボキシル基及びキレート化剤残基を有するポリマー鎖セグメントとを 含んでなるブロックコポリマーと、該ブロックコポリマーに配位したガドリニウム原子と、 ポリアミンとから形成されるものが挙げられる。
[0014] さらに好ましい態様の本発明としては、前記のブロックコポリマー力 ポリ(エチレン グリコール) block ポリ(ァスパラギン酸)であって、ァスパラギン酸の反復単位の 5 一 30%にキレート化剤残基が導入されており、そして該ブロックコポリマーに Gd原子 が配位した形態にある高分子ミセル及びその MRI造影剤としての使用も挙げられる
[0015] また、別の態様の本発明として、該高分子ミセルを形成できる特定のブロックコポリ マーも提供される。
発明の効果
[0016] 本発明によれば、上記のごとき高分子ミセルを MRI造影剤に使用することにより、 正常組織内の血管と固形がん組織における水の T1緩和能力を明確に区別できる。 つまり、本発明に従う、高分子ミセル (高分子が数百分子程度会合して形成する、内 部コアと外部シェルの 2層構造力も構成されており、さらにコア部に Gd原子が配位し ている。)というナノサイズのキヤリヤーシステム力 MRI画像でのコントラストを作り出 す Gd原子を固形がん局所に選択的に運搬 (ターゲティング)することで、従来の MRI がん診断システムでは得られな力つた、微小がんを明確に描き出すことを可能とする
。なお、 Gd原子は、その周辺に存在する水分子の水素原子に働きかけて、その Tl ( 縦緩和時間)を短縮させる。この T1短縮により MRI画像上に高いコントラストがもたら される。
[0017] 理論に拘束されるものでないが、本発明の高分子ミセルはなぜ固形がんにターゲ ティングでき、そして本発明の高分子ミセルはなぜ固形がん組織に高い MRIコントラ ストをもたらすかについては、次のように理解されている。固形がん組織を構成する 血管は、高分子やナノサイズの微粒子に対する透過性が異常に亢進していて、かつ 正常の組織では血液力 移行してきた高分子物質の排出経路であるリンパ毛細管が 欠落するという特性を有する。このような特性によって、高分子やナノサイズの微粒子 はがん組織に選択的に集積、つまりターゲテイングされる。このような効果は、 EPR効 果 (Enhanced Permeability and Retention effect)として知られている(Mat sumura, Y. et al., Cancer Res., 46, 6387— 6392 (1986)参照)。 EPR効果を 示すにはその表面が細胞に接着しない性質の高分子やナノサイズであればよぐが ん細胞に対する特異抗体などを必要としな 、ことが大きな特長である。この効果によ つて、正常組織に比べて 3— 10倍の濃度でがん組織に夕ーゲティングできることが様 々な例で示されている。例えば、抗がん剤を固形がんにターゲテイングしたものとして 、本発明者でもある横山、岡野らが開発した、抗がん剤アドリアマイシンを内包した高 分子ミセルシステムが挙げられる(M. Yokoyama, et al., J. Drug Targeting, 7 (3) , 171— 186 (1999)参照。)。
[0018] 固形がんを MRI画像上で選択的に高いコントラストを与える工夫は、上述のターゲ ティング効果の他にもう一つある。それはミセル構造の形成'解離に基づく T1短縮能 の変化である。血液中の循環を通して高分子ミセルの固形がんへのデリバリーの概 念図を図 1に示す。図 1に示されるように、血液循環中に高分子ミセル構造を形成し ている間は、 Gd原子はミセルの内部コアにあって外側の水分子からは隔離されてい るので、水分子の T1を短縮する能力を充分に発揮することができない。つまり、高分 子ミセル構造が維持されている場合は MRIコントラストの上昇は起こらない。他方、が ん組織にターゲテイングされた高分子ミセルは徐々に Gd結合ブロックコポリマーと正 荷電ポリマーに解離する。この解離した状態では、 Gd原子は水分子に近づくことが
できるので、 T1短縮能を発揮してがん組織の高いコントラストを与える。さらに、高分 子に結合している Gd原子は、高分子によって動きが制限される効果によって、 Gd原 子一個あたりの T1短縮能が遊離の Gdそれ自体よりも 2— 3倍に増加することが知ら れている。仮に血液循環中にミセル構造が解離しても、腎臓のろ過作用によって解 離したブロックコポリマーは、速やかに尿中に排出されてしまうので、血液に高いコン トラストを与えることはない。一方、がん組織では解離した Gd配位ブロックコポリマー でも組織中に保持されるには充分な大きさであり、その結果、長い時間がん組織にと どまって高い MRIコントラストをもたらし続けるものと解される。
図面の簡単な説明
[0019] [図 1]本発明の高分子ミセルの血液中の循環を通して固形がんへのデリバリーの概 念図である。
[図 2]本発明の高分子ミセルの好ましい 1例の製造方法及び構造を模式的に示す概 念図である。
発明を実施するための最良の形態
[0020] 以下、本発明の各構成についてさらに詳細に説明する。本発明に従う、高分子ミセ ルは、水性媒体中で、ポリマー分子が数百程度会合して形成する分子集合体であつ て、内部コアと外部シェルの 2層構造力も構成されており、さらにコア部に Gd原子が 配位している。該高分子ミセルは、生体内(例えば、ヒトを初めとする哺乳動物におけ る)で固形がん組織もしくは部位に送達しそして集積されるものであるから、ナノサイ ズ、例えば、直径が lOnm— lOOnm程度の超微粒子の形態にある。本発明にいう、 「固形がん組織に集積された後に高分子ミセル構造を解離しうる」挙動は、例えば、 固形がん組織の in vitroモデルとなりうる、血中の食塩濃度より高い食塩濃度の水 溶旅中で高分子ミセルが解離する力否力を測定することにより確認できる。
[0021] 力 うな高分子ミセルを形成する高分子は、親水性ポリマー鎖セグメントと、 Gdに配 位できる側鎖を有するポリマー鎖とを含んでなるブロックコポリマーであって、ポリアミ ンの存在下の水性媒体中で上記のようなナノサイズの超微粒子たる高分子ミセルを 形成し、そして、例えば固形がん組織中で高分子ミセル構造を解離 (dissociation) することができるものであれば、如何なる種類のブロックコポリマーであってもよい。し
たがって、ブロックコポリマーは外部シェルを形成する親水性ポリマー鎖セグメントは 、本発明の目的に沿うものであれば、如何なる水溶性ポリマーに由来するものであつ てもよい。しかし限定されるものでないが、ブロックコポリマーはポリエチレングリコー ル、ポリ(ビュルアルコール)およびポリ(ビュルピロリドン)に由来するポリマー鎖セグ メントを含む。同様に、ブロックコポリマーのもう一方のセグメントである、 Gdに配位し て Gdを固定できる内部コアを形成するポリマー鎖セグメントは、効果的に Gdに配位 できる側鎖を有するポリマー由来のものであって、本発明の目的に沿うものであれば その種類を問わない。このようなポリマー鎖セグメントの具体的なものとしては、ポリ( ァスパラギン酸)、ポリ(グルタミン酸)、ポリ(アクリル酸)およびポリ (メタクリル酸)に由 来するセグメントであって、反復単位中のカルボキシル基の一定のものにキレートイ匕 残基が導入されたセグメントを挙げることができる。
力べして、本願発明で使用することのできるブロックコポリマーの具体的なものとして は、ポリエチレングリコール block ポリ(ァスパラギン酸)、ポリエチレングリコール b lock ポリ(グルタミン酸)、ポリエチレングリコール block ポリ(アクリル酸)、ポリエ チレングリコール block ポリ(メタクリル酸)、ポリ(ビュルアルコール) block ポリ( ァスパラギン酸)、ポリ(ビュルアルコール) block ポリ(ァスパラギン酸)、ポリ(ビ- ルアルコール) block ポリ(グルタミン酸)、ポリ(ビュルアルコール) block ポリ( アクリル酸)、ポリ(ビュルアルコール) block ポリ(メタクリル酸)、ポリ(ビュルピロリド ン) block ポリ(ァスパラギン酸)、ポリ(ビュルピロリドン) block ポリ(グルタミン酸 )、ポリ(ビュルピロリドン) block ポリ(アクリル酸)およびポリ(ビュルピロリドン) bio ck ポリ(メタクリル酸)力 なる群より選ばれるブロックコポリマーのカルボキシル基を 介して、必要によりリンカ一も介して、キレート化剤の残基が共有結合したものを挙げ ることができる。なお、これらのブロックコポリマーは、ポリマー主鎖のいずれかまたは 両末端が、他の機能的な分子、例えば、抗体、抗原、ハプテン、等を結合し得るよう に修飾されているものも包含する概念として使用している(後述する式中の X基参照) 。キレート化剤残基が未結合のブロックコポリマーは、それ自体既知のものが多ぐか りに新規なものであっても、それ自体既知の方法、例えば、ポリ(アミノ酸)セグメントを 有するブロックコポリマーにあっては、米国特許第 5, 449, 513号明細書 (特開平 6—
107565号公報に対応する)に記載の方法にしたがって、そしてポリ(メタ)アクリル酸 セグメントを有するものにあっては、 K. Matyjaszawski et al., Chem. Rev., 1 01 , 2921— 2990 (2001)に記載の Atomic Transfer Radical Polymerizatio nにより得ることができる。
[0023] ブロックコポリマー中の、ポリエチレングリコール部のような親水性ポリマー鎖セグメ ントの分子量は 2000— 2万程度が好ましぐ 4000— 12000程度がさらに好ましい。
[0024] リンカ一の具体的なものとしては、 - NH(CH ) - NH (nは 1
2 n 一 6の整数)、すなわち、ェ チレンジァミン(一 NHCH CH NH—)、へキサメチレンジァミン(一 NH (CH ) NH—)
2 2 2 6 等、が挙げられる。
[0025] キレート化剤残基は、本発明の目的に沿うものである限り、限定されるものでないが
、ジエチレントリアミン五酢酸(DTP A)、テトラァザシクロドデカン(DOTA)、 1, 4, 7 —トリス(カルボキシメチル)—10— (2,ーヒドロキシプロピル)— 1, 4, 7, 10—テトラァザ シクロドデカン (D03A)等力もなる群より選ばれるキレート化剤に由来する残基であ ることができる。なお、言うまでもなぐキレート化剤は、ガドリニウム原子をキレートでき るように、キレートに必要な基以外の部分で上記リンカ一又は酸素原子に結合される
[0026] なお、リンカ一を介してキレート化残基を結合する場合、キレート化残基が結合され ずに残るリンカ一の割合はできるだけ少ないことが好ましぐ遊離のリンカ一の割合は 、全リンカ一に対して 1/2以下が好ましぐさらに好ましくは 1/3以下である。
[0027] 本発明で好ましく使用することのできるブロックコポリマーとしては、それぞれキレー ト化剤残基が一定のカルボキシル基に導入されたポリエチレングリコール block—ポ リ(ァスパラギン酸)、ポリエチレングリコール block ポリ(グルタミン酸)を挙げること ができる力 これらを例に、さらに詳細に説明する。
[0028] これらのブロックコポリマーは、より具体的には下記の式(1 )、(1 )、(1 )、(
A-1 A-2 B-1
1 )、(1 )、(1 )、(1 )又は(1 )で表される。
[0029] [化 1]
(ュ A
X-(OCH2CH2^(CH2)~Y"{COCHNH; f
COOR
( 1 E- 2^
X-(OCH2CH2) {CH2) Y^-{NHCHCO†^ Z
CH2
COOR
―】)
(lc
X
- (CH
2) Y~ (NHCHCO-) ~ 2
CH2
CH2COOR
(1D )
X- C^CH^ (CH2) Y^ (COCH2CH2CHNH
COOR
X-(OCH2CH2)^(CH2)7Y-(NHCHCH£CH2CO ^-Z
COOR
[0030] 上記各式中、 Xは水素原子、 C Cアルキル、ヒドロキシー C Cアルキル、ァセタ
1 6 1 6
ールもしくはケタール化ホルミル C— Cアルキル、アミノー C Cアルキルまたはべ
1 6 1 6
ンジル基を表し;
Zは水素原子もしくはヒドロキシ、 C— Cアルキルもしくは C Cアルキルォキシ、フ
ェニルー C Cアルキルもしくはフエ-ルー C Cアルキルォキシ、 C Cアルキルフ
1 4 1 4 1 4 ェ-ルもしくは C Cアルキルフエ-ルォキシ、 C Cアルコキシカルボ-ル、フエ-
1 4 1 6
ルー C Cアルコキシカルボ-ル、 C Cアルキルアミノカルボ-ル、またはフエ-ル
1 4 1 6
—C Cアルキルアミノカルボ-ル基を表し;
1 4
nは lO— 10, 000の整数であり、
sは O— 6の整数であり、
ORは、 0H、リンカ一(好ましくは、 NHCH CH NH )またはリンカ
2 2 2 一一キレートイ匕 剤残基〔好ましくは、
-NHCH CH NHCOCH (HOOCH―)— NCH CH N (CH CH COOH)— C
2 2 2 2 2 2 2 2
H CH N—(CHCHCOOH) 〕を表し、ここで、キレート化残基は p + qの総数の 5—
2 2 2
30%であり、
pおよび qは、相互に独立して 1一 300の整数であり、
Y1は NH—または Ra—(CH ) Rb を表し、ここで Raは OCO、 OCONH
2 r 、 NHC
0、 NHCONH、 COOまたは CONHを表し、 Rbは NHまたは Oを表し、そして Y2は C Oまたは RC—(CH ) Rd—を表し、ここで Rcは OCO
2 r 、 OCONH、 NHCO、 NHCO
NH、 COOまたは CONHを表し、 Rdは COを表し、そして rは 1一 6の整数を表す。 なお、キレートイ匕剤残基の数力 ¾ + qの総数の 5— 30%であるから、当然ながら p + qは 4以上である。
[0031] また、ブロックコポリマーとしては、下記式 (2)に示されるものも好ましく用いることがで きる。
[0032] [化 2]
X ~ OCH,CH,¾^OCOCH,CH ~ (CH2 fC)m-Y (2 )
COOR
(ただし、 Xは水素原子、 C— Cアルキル、ヒドロキシー C— Cアルキル、ァセタールも
1 6 1 6
しくはケタール化ホルミル C— Cアルキル、アミノー C— Cアルキルまたはべンジル
1 6 1 6
基; R1は水素原子又はメチル基; Yは水素原子、 OH, Br, OR2, CN、 OCOR2, NH ,
2
NHR2又は N(R ) (R2は、
を示す); mは 4一 600の整数; ORは 0H、リンカ一またはリンカ一—キレート化 剤残基を表し、ここで、キレートイ匕残基は mの 5— 30%である)。
[0034] このようなキレート化剤残基を担持するブロックコポリマーは、本発明に従う、高分子 ミセルを形成するブロックコポリマーとして好ましく使用でき、し力も本発明者の知る限 りでは、従来技術文献未載の化合物である。したがって、本発明に従えば、上記の式 (1 )、(1 )、(1 )、(1 )、(1 )、(1 )、(1 )又は(1 )で表されるキレ
A-1 A-2 B-1 B-2 C一 1 C— 2 D— 1 D— 2
一ト化剤残基を担持するブロックコポリマーも提供される。
[0035] 本発明に関して使用する C Cアルキルまたは C Cアルキルォキシ等の基中の
1 6 1 6
アルキル部分は、炭素原子数が 1一 6のアルキルであり、メチル、ェチル、 n プロピ ル、 iso プロピル、 n—ブチル、 tert—ブチル、 n—へキシル等を意味する。また、本明 細書で用いる式中の結合またはリンカ一は、示されている方向性を以つて各基また はセグメントもしくはブロックを結合または連結して 、るものと理解されて 、る。
[0036] 上記のキレート化剤残基を有するブロックコポリマーは、都合よくは、例えば次の反 応スキームに準じて製造でき、次いで Gdに配位させることができる。なお、下記の反 応スキームは、好ましいブロックコポリマーの一例の製造方法を示している力 他のブ ロックコポリマーも同様な方法により製造することができる。また、下記反応スキームの 各工程自体は、当業者が化学常識に基づいて容易に実施することができ、また、下 記実施例に条件を詳細に記載して 、るので、実施例の記述に準じて容易に実施す ることがでさる。
反]^スキーム:
3]
以 ではァスパラギン酸残基を α —アミ ドと アミ ドを区別せずに (Asp) と表す。
COOH
となる
[0038] [化 4]
よって、 CH3 - OCH2CH2); CH2NH ^ As )m
CH3 OCH2CH2 CH2NH ^Asp)m
PEG-P(Asp-ED) COR,
R] = OHまたは NHCH2CH2NH2
PEG-P(Asp-ED-DTPA) COR2
PEG-P(Asp-ED-DTPA-Gd)
[0039] 高分子ミセルの形成:
上記のようにして得られる Gd担持ブロックコポリマーとポリアミンとを、ブロックコポリ マーのカルボキシル基 (-COOH)対ポリアミンのアミノ基 (一 NH )の比が 1: 5— 5: 1
2
、好ましくは 1 : 2— 2 : 1となるよう調節した混合水溶液を調製し、必要により pHを 6. 5 一 7. 5に調節した後、室温で、必要により加温もしくは冷却し、数分乃至数時間攪拌 し、分画分子量 1, 000の透析膜を使用して蒸留水に対して透析することにより高分 子ミセルを調製できる。混合水溶液は、必要により、水混和性の有機溶媒、例えば、 ジメチルスルホキシド(DMSO)、 N, Nジメチルホルムアミド(DMF)、ェチルアルコ ール等をカ卩えてもよい。本発明で使用するポリアミンは、上記のブロックコポリマーと 高分子ミセルを形成することができるものであれば如何なる種類、如何なる分子量で あってもよい。限定されるものでないが、好ましく使用できるポリアミンとしては、ポリ(L リシン)、ポリ(D—リシン)、ポリ(Lーァノレギニン)、ポリ(D—ァノレギニン)、キトサン、ス ペルミン、スペルミジン、ポリアリルァミン、プロタミン等を挙げることができる。そして、 力ようなポリアミンの分子量は、 500— 50, 000のものが好ましく使用できる。
[0040] 図 2に、以上で説明した高分子ミセルの製造方法及び構造の好ましい 1例を模式 的に示す。
[0041] こうして得られる高分子ミセルは、上述した作用効果を奏し、該作用効果は、上記 のように図 1に模式的に示されて 、る。
[0042] 以下、具体例を挙げ、さらに本発明を具体的に説明する力 これらは本発明の理解 を容易にする目的で提供するものである。
[0043] 実施例 1:キレート化剤残基を有するブロックコポリマーの製造
(1)アルカリ加水分解
ポリエチレングリコール block ポリ( 13一べンジル Lーァスパルテート)(以下、 PE G— PBLAと略記する。)のポリエチレングリコールの分子量が 5, 000で j8—べンジル Lーァスパルテートの重合度力 4のもの 1. 00gを取り、 0. 5Nの水酸化ナトリウム水 溶液を j8—べンジル Lーァスパルテートユニットに対し 3. 0倍モル等量カ卩えて、室温 で 15分程攪拌した。溶液が透明になったところで、 6N塩酸を |8—べンジル Lーァス パルテートユニットに対し 10倍モル等量カ卩えた。その後、この混合液を 0. 1N塩酸、 次いで蒸留水中で透析した。最後に凍結乾燥して、ポリエチレングリコール block—
ポリ(ァスパラギン酸)(以下、 PEG-P (Asp)と略記する。)を得た。このアルカリ加水 分解によって、ポリエチレングリコール block ポリ(ァスパラギン酸)のポリ(ァスパラ ギン酸)部分の主鎖の約 75%が |8—アミドィ匕すること、およびブロックコポリマーの主 鎖の分解が起こらな 、ことが確認されて 、る。
[0044] 以上と同様の手順により下記の表 1に示す 3種の PEG— P (Asp)を得た。
[0045] [表 1]
表 1 PEG-P (Asp)ブロックコポリマーの合成 ァスパラギン酸
Run コード P E G分子重 (Asp)ユニット数
5000-26 000 26
2 5000-44 000 44
3 12000-26 000 26
4 12000-49 000 49
[0046] (2)エチレンジァミン(ED)ユニットの結合
PEG— P (Asp)のポリエチレングリコールの分子量が 5, 000でァスパラギン酸のュ ニット数力 s44のもの 391mgを取り、ジメチルスルホキシド 7. 8mLに溶解し、 N— Boc —エチレンジァミン 144mgと水溶性カルボジイミド 166mgをカ卩えて室温で 4時間攪拌 した。反応溶液を分画分子量 1, 000の透析膜を用いて、蒸留水に対して透析し、凍 結乾燥でポリマーを回収した。次に、このポリマーをトリフルォロ酢酸に溶かし、 0°Cで 1時間攪拌することで Boc基を脱離させた。その後、反応溶液を分画分子量 1, 000 の透析膜を用いて、蒸留水に対して透析し、凍結乾燥でポリマーを回収した。ェチレ ンジァミンユニットの導入数は1 H— NMR測定により求め、 16であった。
[0047] 以上と同様の手順により表 2に示す 10種の PEG— P (Asp— ED)を得た。
[0048] [表 2]
表2 PEG-P (Asp-ED)ブロックコポリマ一の合成
Asp
Run コード P E G分子量 ュニット数 (ED)ュニット数
1 5000-26-5 5, 000 26 5
2 5000-44-9 5, 000 44 9
3 5000-44- 13 5, 000 44 13
4 5000-44- 16 5, 000 44 16
5 5000-44-22 5, 000 44 22
6 12000-26-6 12, 000 26 6
7 12000-26-7 12, 000 26 7
8 12000-26- 10 12, 000 26 10
9 12000-49- 13 12, 000 49 13
10 12000-49- 19 12, 000 49 19
[0049] (3) DTPA (ジエチレントリアミン五酢酸)ユニットの結合
PEG— P (Asp-ED) 5000— 44 9 (表 2の run2) lOOmgをジメチルスルホキシドに 溶かし、エチレンジァミン残基に対して 1. 5倍モル等量のトリェチルァミンと 5倍モル 等量の DTPA無水物を加え、室温で 1日攪拌した。得られた溶液を水に対して透析 し、凍結乾燥した。得られた DTP A導入ブロックコポリマー(PEG— P (Asp— ED— DT PA) )の DTP Aユニットの導入数は1 H— NMR測定により求め、 6であった。
[0050] 以上と同様の手順により表 3に示す 9種の PEG— P (Asp— ED— DTPA)を得た。
[0051] [表 3]
表 3 PEG-P(Asp-ED-DTPA)ブロックコポリマーの合成
Asp ED DTPA
Run コ一ド P E G分子量 ュニット数 ュニット数ュニット数
1 5000-26-5-4 5, 000 26 5 4
2 5000-44-9-5 5, 000 44 9 5
3 5000-44-9-6 5, 000 44 9 6
4 5000-44-9-7 5, 000 44 9 7
5 5000-44-16-7 5, 000 44 16 7
6 5000-44-16-9 5, 000 44 16 9
7 12000-26-6-4 12, 000 26 6 4
8 12000-26-7-5 12, 000 26 7 5
9 12000-26-10-4 12, 000 26 10 4
[0052] 実施例 2 : Gd (ガドリニウム原子)の結合
PEG— P (Asp— ED— DTP A) 5000—44—16—9 (表 3の run6)20mgを蒸留水 1.5m Lに溶かし、 DTP A残基の 2. 0モル等量の Gdを GdCl水溶液として加え、 15分室温
3
で攪拌した。ブロックコポリマーのカルボキシル基と等モル等量の EDTA (エチレンジ アミン四酢酸)を加えて 10分攪拌した後、分画分子量 1, 000の透析膜を用いて、蒸 留水に対して透析し、凍結乾燥でポリマーを回収した。 Gdの導入量は ICP (Inducti vely Coupled Plasma)発光分析装置を用いて決定したところ、 7と求まった。
[0053] 以上と同様の手順により表 4に示す 17種の PEG— P (Asp-ED-DTPA-Gd)を得 た。
[0054] [表 4]
表 4 PEG-P( Asp-ED-DTPA-Gd )ブロックコポリマーの合成
Asp ED DTPA Gd
Run コード P E G分子量 ュニッ ト数 : ニッ ト数 :ュニッ ト数 :ェニッ ト^:
1 5000-26-5-4-4 5, 000 26 5 4 4
2 5000-26-5-4-3 5, 000 26 5 4 3
3 5000-26-5-4-2 5, 000 26 5 4 2
4 5000-44-9-5-3 5, 000 44 9 5 3
5 5000-44-9-6-7 5, 000 44 9 6 7
6 5000-44-9-7-15 5, 000 44 9 7 15
7 5000-44-16-7-4 5, 000 44 16 7 4
8 5000-44-16-9-6 5, 000 44 16 9 6
9 5000-44-16-9-7 5, 000 44 16 9 7
10 12000-26-6-4-5 12, 000 26 6 4 5
11 12000-26-6-4-4 12, 000 26 6 4 4
12 12000-26-6-4-2 12, 000 26 6 4 2
13 12000-26-7-5-6 12, 000 26 7 5 6
14 12000-26-10-4-6 12, 000 26 10 4 6
15 12000-26-10-4-4 12, 000 26 10 4 4
16 12000-26-10-4-3 12, 000 26 10 4 3
17 12000-26-10-4-2 12, 000 26 10 4 2
[0055] 実施例 3 :ブロックコポリマーとポリカチオンポリマーによる高分子ミセル形成
PEG— P (Asp-ED-DTPA-Gd)とポリカチオンポリマーを別々に 0. 5Mの NaCl 水溶液に溶かし、 pHを 6. 8-7. 2に調整した。この両液を同量混合し室温で 15分 攪拌した後、分画分子量 1, 000の透析膜を用いて、蒸留水に対して透析した。得ら れた溶液と PEG— P (Asp-ED-DTPA-Gd)の 2倍希釈溶液につ!、て、以下の測定 を行った。
[0056] (1)ゲルパーミエーシヨンクロマトグラフィー
(2)動的光散乱
(3) 一 NMRによる水の Tl (縦緩和時間)の測定
a)まず、ゲルパーミエーシヨンクロマトグラフィーによってミセル構造形成の確認を行 つた o
[0057] 表 5に平均分子量 15, 000のポリアリルァミンと PEG— P (Asp— ED— DTP A— Gd) ブロックコポリマーを混合した結果を示す。ブロックコポリマーの流出体積は 6. 2mL より大きぐまたポリアリルァミンの流出体積は 10mLである。よって、 6. 2mLより小さ な流出体積が得られれば、高分子ミセル構造が形成していることがわかる。表 5に示 すように、 2種類のブロックコポリマーを各々荷電比 0. 5, 1. 0, 2. 0でポリアリルアミ ンと混合したところ、いずれの場合も流出体積は 6. 2mLより小さぐミセル構造が形 成して 、ることがわ力つた。 Run2の高分子ミセルの平均粒径を動的光散乱測定装 置で計測したところ 55nmであった。また、試した荷電比の中ではいずれのブロックコ ポリマーの場合も荷電比 2. 0の場合力もっとも流出体積が小さぐもっとも安定なミセ ル構造ができていた。そこで以下の検討は荷電比 2. 0で行った。
[0058] [表 5]
表 5 PEG P (Asp ED DTPA Gci)とポリアリルァミン (ΡΛΑ) からのミセル形成
PEG- P (Asp- ED DTPA- Gd) 荷電比 ゲル濾過クロマ トダラフィ一
Run の構造 (コード) -NH 2/-C00H 流出体積 (mL)
1 5000-44- 16-9-7 0. 5 4. 0
2 5Ο00-Ί4- ] 6-9-7 ! , 0 5. 6
3 5000-44- 16-9-7 2. 0 3. 3 A 5000-44-9-5-3 0. 5 Ί. 5
5 5000 44-9- 5 - 3 〖. 0 5. 5
6 5000- 1-9-5-3 2. 0 4. 2
[0059] b)次に、ブロックコポリマーとポリカチオン力 成る高分子ミセルが標的組織 '臓器に ターゲティングされた後、徐々にミセル構造を解離させて、標的組織'臓器で緩和能 を増加させることができるかのモデル実験を行った。
[0060] PEG— P (Asp— ED— DTP A— Gd) 5000— 44— 16— 7— 4と平均分子量 15, 000の ポリアリルアミン力 成る高分子ミセルに血液中の濃度より 3倍以上高い濃度の 0. 5 Mの NaClを添カ卩して、室温で約 15分経過した後ゲルパーミエーシヨンクロマトグラフ ィーを測定した。下記の表 6に示すように、 0. 5, 1. 0, 2. 0のいずれの荷電比にお
いても NaCl添加前は流出体積が 5. 0-5. 7mLの範囲にあって高分子ミセル形成 を示していたもの力 NaCl添加後は流出体積が 10— l lmLと大きくなつた。これは、 NaCl添カ卩によって高分子ミセル構造が解離したことを示す。この事実は生体内の N aClを主とするイオンによって本発明に従う高分子ミセルのミセル構造が徐々に解離 するということも示す。
[0061] [表 6]
表 6 Ρ - Ρ (Λί -ί¾- ί)ΤΡΛ- Gd)とポリアリルアミン (ΡΛΛ) 力'ら成るミセル構造の塩による解離
ゲル滤過ク マトグラフィ一 流出体積 (ml)
PEC-P (Asp-ED-OTPA-Gd) 荷電比
Ru" の ffi.ift f つ一ト') -ΝΊ! 2AC00H Na 添加前 C1添加後
1 5000-44-16-7-1 0. 5 5. 0 1 1
2 5Ο00-44- Ϊ 6-7-4 J , 0 5. 7 ] 0
3 5000-44- 16-7-4 2. 0 5. 6 10
[0062] 下記の表 7には 2種類のポリカチオン(ポリアリルァミンとプロタミン)を用いて PEG— P (Asp— ED— DTP A— Gd)との高分子ミセルを形成させることでの、緩和能 (R1)の 変化をまとめた。緩和能 (R1)は式 1によって得られる値で、これが大きいほど Gdl原 子あたりの水の縦緩和時間(T1)を短縮させる能力が高いことを示し、 MRI画像上で の高 、コントラストを得ることができる。
[0063] 表 7の Runlで示すように、分子量 15, 000のポリアリルァミンと高分子ミセルを形成 すると、ブロックコポリマー単独(すなわち高分子ミセルを形成していない状態)よりも 30%程度緩和能 R1が小さくなつた。ブロックコポリマー組成の違う run2では、ミセル 形成によって緩和能がより大きく変化した。ポリカチオンとして天然の塩基性ペプチド であるプロタミンを用いた run3, 4の場合には、大きな緩和能の変化がみられ、ミセル 形成に伴って緩和能が run3の場合には約 lZl5、run4の場合には 1Z5となった。 以上より、高分子ミセル構造の形成 '解離に伴って緩和能を大きく変化させ得るという 、高分子ミセル MRI造影剤の基本設計が実証されたこととなる。
[0064] [数 1]
式 1 緩和能 の定義 T , :造影剤存在下での水の縦緩和時間(s)
τ s :水の縦緩和時間 (造影剤非存在下) (s)
― R】 ' tGd]
T i R i :緩和能 (隱。1 . ' り
[Gd] :造影剤中に含まれる Gd原子の濃度 (mmol )
[0065] [表 7]
表 7 高分子ミセル形成による緩和能 (R 1 ) の変化
- 1 - 1 緩和能(Rl) (mmol
PEG- P (Asp- ED- DTPA- Gd) ブロックコポリ '
Run
の構造 (コード) ポリカチオン 高分子ミセル形成後 単独
12000-26-10-4-2 ポリアリルアミン 6. 1 4. 4 5000-44-9-7-15 ポリアリルアミン 9. 3 1.
12000-26-7-5-6 プロタミン 6. 5 0. 42 5000-44-9-6-7 プロタミン 18 3. 6
[0066] 実施例 4 : ブロックコポリマーの組成の緩和能 R1に及ぼす影響
ブロックコポリマーの組成の緩和能 R1に及ぼす影響を表 8にまとめた。 3種の PEG- P(Asp- ED- DTPA)にそれぞれ、 Gdの結合数を変えたものについて pHが 2.8— 4.8の酸性と、 pHが 6.9— 7.3の中性での緩和能 R1を測定した。どの Runでも酸性よりも 中性での緩和能 R1が小さくなつた。また、同じ PEG- P(Asp-ED-DTPA)を用いて結合 Gd数を変えると、結合 Gd数が多い方が緩和能 R1が大きくなることがわ力つた。 (それ ぞれ Runl— 3、 Run4— 6、 Run7— 9)また、 Runl— 3と Run4— 6を比べるとエチレンジァ ミン(ED)基の結合数の少ない Run4— 6の方力 緩和能 R1が大きくなることがわかった 。さらに、ポリエチレングリコール鎖の長さが異なる Run4— 6と Run7— 9を比べると、ポ リエチレングリコール鎖の長さが短い Run7— 9が高い緩和能 R1を示すことがわかった
[0067] [表 8]
表 8 高分子組成よる緩和能 (R 1) の変化 緩和能 R1 (mmoL . —s1 )( 括弧内は pH)
PEG-P (Asp-ED-DTPA-Gd)
Run
の構造 (コード) 酸性側 中性側
1 12000-26-10-4-6 12 (3.8) 6.8 (6.9)
2 12000-26-10-4-4 11 (2.8) 6.5 (7.0)
3 12000-26-10-4-3 5.5 (4.8) 4.0 (7.0)
4 12000-26-6-4-5 16 (4.4) 8.2 (7.3)
5 12000-26-6-4-4 10 (3.8) 7.7 (7.2)
6 12000-26-6-4-2 5.9 (3.8) 5.7 (7.3)
7 5000-26-5-4-4 16 (3.6) 14 (7.2)
8 5000-26-5-4-3 10 (3.5) 11 (7.0)
9 5000-26-5-4-2 6.7 (4.2) 7.3 (7.0) 産業上の利用可能性
本発明によれば、正常組織内の血管と固形がん組織における水の T1緩和能力を 明確に区別できる造影剤が提供される。したがって、本発明は造影剤の製造業、造 影剤を使用する医療診断業で利用できる。