ゲル、その製造方法、吸水性樹脂、潤滑材及び細胞培養用基材 技術分野
[0001] 本発明は、架橋ポリマーからなる網目構造に他のポリマーが絡み付いて構成される セミ相互侵入網目構造を有するゲル及びそのゲルの製造方法、並びにそのゲルを 利用した吸水性榭脂、潤滑材及び細胞培養用基材に関する。
背景技術
[0002] 液体と固体との 2相コロイド系であるゲルは、高柔軟性や高保水性等の優れた特性 を有し、これらの特性を利用して、産業上の利用用途が従来から様々に検討されて いる。例えば、特許文献 1には、ゲルに対して直鎖状高分子が混合されているか又は グラフト重合されてなる低摩擦材料が開示されている。
[0003] ところが、従来のゲルは機械的強度が著しく低いため、耐強度や耐久性が不足し 易ぐ利用用途が著しく制限されていた。
[0004] そこで、ゲルの機械的強度を高めるための技術が様々に検討され開発されている( 例えば特許文献 2〜7及び非特許文献 1〜4)。これらの中でも例えば特許文献 2に は、第一の架橋ポリマー力 なる網目構造中でモノマーを重合し架橋させることによ り、第二のポリマーを形成し、第一の架橋ポリマーと第二のポリマーとが互いに絡み 合った相互侵入網目構造又はセミ相互侵入網目構造を有するハイド口ゲルを生成す る技術が記載されている。なお、「相互侵入網目構造」とは、ベースとなる網目構造に 他の網目構造が絡み付 、た網目構造を指し、また「セミ相互侵入網目構造」とは、ベ ースとなる網目構造に直鎖状ポリマーが絡み付 、た網目構造を指す。
特許文献 1 :特開 2002— 212452号公報
特許文献 2:国際公開第 03Z093337号パンフレット
特許文献 3:特開 2004 - 91724号公報
特許文献 4:特開 2002— 053762号公報
特許文献 5 :特開 2002— 053629号公報
特許文献 6:特開昭 57— 130543号公報
特許文献 7:特開昭 58— 36630号公報
特 S干文献 1: J.P.Gong, Yoshinori Katsuyama, Takayuki Kurokawa, YoshihitoOsada , Double-Network Hydrogel with Extremely High Mechanical Strengtn , Advanced Materials, 15, 1155-1158 (2003)
特言午文献 2 : H. Haraguchi, T. Takeshita, "Nanocomposite Hydrogels: A Unique O rganic— Inorganic Network Structure with Extraordinary Mechanical, Optical, and Sw elling/De— swelling Properties", Advanced Materials, 14, 1120—1123 (2002) 非特言午文献 3 : Y. Okumura, Kohzolto, "The Polyrotaxane Gel: A Topological Gel by Figure— of— Eight Cross— links", 13, 485-487 (2001)
非特言午文献 4 : Long Zhao, Hiroshi Mitomo, Naotsugu Nagasawa, Fumio Yoshn, Tami kazu Kume, "Radiation synthesis and characteristic of the hydrogels based on carbo xymethylated chitin derivatives , Carbohydrate Polymers, 51, 169-175 (2003) 発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0005] し力しながら、本発明者らは、特許文献 2に開示された技術を発展させてゲルの強 度をさらに向上させるベく鋭意研究を継続した結果、特許文献 2〜7及び非特許文献 1〜4に開示された技術の開発思想とは異なる知見を得た。即ち、例えば特許文献 2 又は非特許文献 1に開示された技術では、ゲルの強度向上に最も重要な因子は、第 一の架橋ポリマーに対する第二のモノマーのモル比及び第二のポリマーの架橋度で あると考えられており、特に特許文献 2に開示された技術では、第二のポリマーがごく 僅かな架橋構造を有すること具体的には第二のポリマーの架橋度が 0. 001mol% 以上であることがゲルの強度を高める最適条件であるとしているが限界がある。
[0006] 本発明の目的は、ゲルの有する高柔軟性や高保水性等の優れた特性を損なうこと なぐゲルの強度を飛躍的に向上させることのできる技術を提供すること、さらにはそ のゲルを利用し各種用途を提供することである。
課題を解決するための手段
[0007] 本発明に係るゲルは、架橋ポリマーで構成される網目構造に非架橋ポリマーが侵 入し物理的に絡み付いたセミ相互侵入網目構造を有し、良溶媒による平衡膨潤時に
おいて、膨潤度が 5以上で、かつ、前記良溶媒の重量含有率が 80%以上で、かつ、 破壊エネルギーが 700jZm2以上 2000jZm2以下である構成を採る。
[0008] すなわち、架橋ポリマーでない第二のポリマーが架橋構造を全く有することなく線 状で高分子量となっている。そして、第二のポリマーが架橋構造を採るよりもむしろ非 架橋ポリマーを採る場合に限りゲルの強度が特異的に向上することを見出した。 発明の効果
[0009] 本発明によれば、架橋ポリマーからなる剛直で、かつ、空洞部の散在する網目構造 に、所定条件を満たす柔軟性の高い非架橋ポリマーが侵入して物理的に絡み付くた め、生体組織に匹敵するかそれ以上の力学強度及び耐久性を備えるゲルを提供す ることがでさる。
図面の簡単な説明
[0010] [図 1]本発明に係るゲルの有するセミ相互侵入網目構造を模式的に示す図
[図 2]セミ相互侵入網目構造における架橋ポリマーからなる網目構造の空洞部を模 式的に示す図
[図 3]本発明に係るゲルの亀裂先端部において、セミ相互侵入網目構造が変形する 様子と、非架橋ポリマーがある速度領域で化学的な架橋によらず物理的な絡み合い による過渡的網目を形成することによって亀裂進行の抵抗力となる様子と、を模式的 に示す図
[図 4]濃厚溶液状態における非架橋ポリマーに過渡的網目が形成される外力の速度 領域を模式的に示す図
[図 5]本発明に係るゲルの破壊エネルギーと非架橋ポリマーの重量平均分子量 Mと
w の相関を模式的に示す図
発明を実施するための最良の形態
[0011] 本発明の骨子は、架橋ポリマー力もなる空洞部の散在する網目構造に、前記空洞 部を満たす大きさのランダムコイル形態をとる非架橋ポリマーが絡み付いたセミ相互 侵入網目構造を有するゲルを形成することである。ランダムコイルの大きさは、非架 橋ポリマーの分子量に依存する。
[0012] 以下、本発明の実施の形態について、適宜図面を参照しつつ詳細に説明する。
[0013] 本発明に係るゲルを評価するに際して、その力学強度を示す指標として「圧縮強度 」を、またその破壊力学的な丈夫さを示す指標として「破壊エネルギー」を使用する。 「圧縮強度」は、ゲルの破壊に必要な応力を初期の面積で割った値で示され、「破壊 エネルギー」は、ゲルの定常的な破壊進行に用いられた仕事量を破断面積で割った 値、即ち破断面を形成するために必要なエネルギーで示される。従って、ゲルの優 劣を示す指標としては、破壊に至るまでの変形率が極めて大き 、と 、うゲルの特性を 勘案すれば、圧縮強度よりも破壊エネルギーを用いる方が適切である (Y.Tanaka, K. rukao, Y. Miyamoto, Fracture energy of gels , i e European Physical Journal , 3, 395-401 (2000)参照)。
[0014] 図 1に、本発明に係るゲルの有するセミ相互侵入網目構造を模式的に示す。ゲル の基本骨格を構成する架橋ポリマーは、網目の極めて疎な部分である空洞部の散在 する剛直な網目構造を形成し、一方で非架橋ポリマーは、この空洞部に集中的に存 在し、柔軟性を保ちつつ、その末端部で架橋ポリマーの網目構造に物理的に絡み 付いている。
[0015] ここで、「物理的に絡み付いている」とは、二つ以上の非連続的な線状の物体が共 有結合等による結合した状態には無いが、空間的な位置を束縛され得る位置関係を 取って 、る箇所が少なくとも 1つ存在し、且つ前記双方または何れか一方が物理的 に破壊または変形されなければ、ほどけない状態をいう。ただ、微視的で、そもそもそ のままでは目視できない状態にあるもの等の場合には、電子顕微鏡写真を用いるな ど、そのものを確認するに相応の状態において、他の部分と比し、極めて接近した箇 所が少なくとも 1つ存在すべきである。し力しながら、溶液中に存在するポリマー同士 の物理的な絡み合いについては、光学顕微鏡等で確認できないだけでなぐ電子顕 微鏡写真を用いた場合にも確認できな 、ほどに微視的な部分で物理的な絡み合 ヽ を形成しているため、動的光散乱装置等によりその存在を示唆し得るのみである。ま た、以下においては、この空洞部含有架橋ポリマーに非架橋ポリマーが絡み付いた 構造をダブルネットワーク(DN)と呼ぶこともある。
[0016] この架橋ポリマー力 なる空洞部の散在する網目構造は、例えばビュルモノマーと ジビュルモノマーとのラジカル共重合によって形成される。ビュルモノマーとジビュル
モノマーとはラジカル重合における反応性が異なるため、これらを共重合させると、反 応初期にミクロゲルが形成され、それが成長することでミクロゲル同士の架橋が生じ て不均一な網目構造が形成される(Erik Geissler, "Dynamic light scattering from pol ymer gels , Chapter 11th, 471-511、 Edited by WYNBrown, 'Dynamic Light Scatteri ng -The Method and Some Applications-" CLARENDON PRESS, OXFORD (1993) 参照)。このようにして形成された架橋ポリマーの網目構造は、溶媒を大量に吸収し て平衡膨潤に達すれば、膨潤度の上昇に伴って網目の粗密差が拡大することで、空 間的に不均一性が極めて高くなる(Hidemitsu Furukawa, Kazuyuki Horie, "Swelling- induced modulation of static and dynamic fluctuations in polyacrylamide gels observe d by scanning microscopic light scattering , Physical Review E, 68, 031406 (2003)、 Mitsuhiro Shibayama, "Spatial inhomogeneity and dynamic fluctuations of polymer ge Is", Macromol. Chem. Phys., 199, 1-30 (1998)参照)。また、電解質の架橋ポリマー からなる網目構造と非電解質の架橋ポリマーからなる網目構造とを比較すると、それ らの架橋度が同じであれば、平衡膨潤度及び網目の不均一性は前者の方が後者に 比べて著しく大きい。そのため、電解質の架橋ポリマーからなる網目構造には、網目 の極めて疎な部分即ち空洞部が確実に散在すると考えられる。なお、動的光散乱法 による測定データは、この考えを支持している。
[0017] 一方で、本発明において「非架橋ポリマー」とは、架橋度が 0. 001mol%未満のポ リマー、好ましくは全く架橋されていないポリマーを指し、また架橋度は非架橋ポリマ 一を重合する際に添加される架橋剤の量力も算出される。架橋度が小さいポリマー は、ゲルを形成しないゾル状態で溶媒に可溶であり、柔軟性が高ぐランダムコイルを 形成し易い。
[0018] 図 2に、セミ相互侵入網目構造における架橋ポリマー力もなる網目構造の空洞部を 模式的に示す。非架橋ポリマーは、この空洞部内において移動や変形を自由に行え るため、ランダムコイルになっていると考えられ、統計的にはその直径 d 7?はポリマー 溶液の固有粘度 [ 7? ]と重量平均分子量 Mと力 次の式によって算出される (M.-M.
Kulicke, R. Kniews e, J. Klein, Preparation, Characterization, solution Properties and Rheological Behaviour of Polyacrylamide", Progress in PoymerScience, 8, 373—4
68 (1982)参照)。
[0020] この式力 算出される非架橋ポリマー力もなるランダムコイルの直径が架橋ポリマー 力もなる網目の平均間隔の凡そ 10倍以上になると、セミ相互侵入網目構造を有する ゲルの力学強度及び破壊エネルギーが特異的に向上し始める。すなわち、この場合 の非架橋ポリマーの分子量は重量平均分子量で 106以上になっており、物理的な絡 み合いが十分生じ得る程の濃度でポリマーが存在していることになる。このような現 象が生じる機構は、非架橋ポリマー力 なるランダムコイルがその重合度の上昇に伴
V、大きくなつて架橋ポリマー力 なる網目構造に散在する空洞部を満たすようになる と、換言すれば非架橋ポリマー力 なるランダムコイルの直径がその空洞部の直径よ りも大きくなると、架橋ポリマーと非架橋ポリマーとが物理的に絡み合うようになり、そ の絡み合いに起因する擬似的な架橋点を形成することによってこれらのポリマーが 連続した網目のように振舞うためであると推測される。翻って、非架橋ポリマーからな るランダムコイルの直径がその空洞部の直径よりも小さければ、架橋ポリマーと非架 橋ポリマーとの間に擬似的な架橋点が形成されないため、セミ相互侵入網目構造に おいては非架橋ポリマーの存在によって粘度が高くなつた溶媒に架橋ポリマーが膨 潤して!/、るだけの状態となることから、そのゲルの力学強度及び破壊エネルギーが著 しく向上することはない。
[0021] また、セミ相互侵入網目構造において非架橋ポリマー力もなるランダムコイルの直 径がその空洞部の直径よりも大きくなると、ゲルの力学強度及び破壊エネルギーが 特異的に向上する機構については、次のように説明することもできる。即ち、セミ相互 侵入網目構造は空間的に硬 、部分 (架橋ポリマーの密な部分)と柔らか 、部分 (架 橋ポリマーの極めて疎な部分即ち空洞部における非架橋ポリマー)とを有する高次 構造であり、外力が加わりこの硬い部分に応力の集中点が生じて亀裂が発生しても、 亀裂が柔らかい部分に達するとその先端で応力が散逸し、亀裂先端の曲率が非常 に大きくなることによってその亀裂進展が停止する、という機構である。従って、セミ相 互侵入網目構造を有するゲルでは、非架橋ポリマーによって拡散され得る応力を超
える極めて大きな外力が加えられない限り、亀裂は長い距離を進展することができな くなり、微視的に破壊が生じてもそれが巨視的な破壊に至ることはない。つまり、本発 明に係るゲルであれば、巨視的な破壊に至る臨界値が著しく上昇するため、非常に 大きな外力が加えられない限り破壊されることはない。仮に、架橋ポリマーの網目構 造が均一であれば、このような巨視的な破壊に至る臨界値の著しい向上は見られな い。
[0022] 図 3に、本発明に係るゲルの亀裂先端部において、セミ相互侵入網目構造が変形 する様子と、非架橋ポリマーがある速度領域で過渡的網目を形成することによって亀 裂進行の抵抗力となる様子と、を模式的に示す。本発明に係るゲルは外力に対する 速度依存性を示し、このゲルの高強度化にとって最適な外力の速度は、セミ相互侵 入網目構造における架橋ポリマーの網目構造に散在する空洞部において、非架橋 ポリマー同士が絡み合いによる過渡的網目を形成し得る速度領域に相当すると考え られる。
[0023] また、図 4に、濃厚溶液状態における非架橋ポリマーに過渡的網目が形成される外 力の速度領域を模式的に示す。図 4に示すように、非架橋ポリマーの運動速度よりも 亀裂先端の亀裂進行速度が速い場合には、図 3下段に示すように伸張状態から (B) 非架橋ポリマーの切断が優先的に生じてしまうため、ゲルの力学強度及び破壊エネ ルギ一は低下する、と考えられる。一方で、非架橋ポリマーの運動速度よりも亀裂先 端の亀裂進行速度が遅い場合には、図 3下段に示すように伸張状態から (A)非架橋 ポリマーの滑りが優先的に生じてしまうため、やはりゲルの力学強度及び破壊エネル ギ一は低下する、と考えられる。このようなゲルの力学強度及び破壊エネルギーの低 下は、加えられる外力の速度が物理的に絡まり合った濃厚溶液状態にある非架橋ポ リマーの運動速度よりも著しく遅い場合には、非架橋ポリマーが流動的に振舞ってし まい、一方でそれよりも著しく速い場合には、非架橋ポリマーが移動や変形を行う時 間的余裕を失いガラス状態になってしまう、ことに起因して生じる、と考えられる。
[0024] しかし、セミ相互侵入網目構造において非架橋ポリマーが流動的に振舞ったりガラ ス状態になったりする間の速度領域では、濃厚溶液状態にある非架橋ポリマーは、 絡み合いによる過渡的網目を形成してゴムに似た物性を示すようになると考えられる
ため、亀裂先端部で生じた応力を拡散させることができる。つまり、濃厚溶液状態で ある非架橋ポリマーによって形成された過渡的網目は、化学架橋点を有しないため に過剰な応力が加わる (応力集中が生じる)と滑り合うことができ、この滑りの際の摩 擦によって応力を熱に変換して拡散させる。従って、非架橋ポリマーは、高濃度溶液 に近い状態で流動性を保ちつつゆっくりと運動していることが好ましい。ちなみに、こ の過渡的網目の弾性率は、架橋ポリマーで構成される剛直な網目の弾性率よりも十 分小さくなければならない。
[0025] 端的に言うなら、架橋ポリマーの網目構造力 成る空洞部および非架橋ポリマーの 物理的絡み付きは、クラック (亀裂)に力かる応力集中を回避でき、破裂に力かるエネ ルギーを分散することができ、「クラック止め」になる。
[0026] 従って、セミ相互侵入網目構造を有するゲルの力学強度及び破壊エネルギーは、 非架橋ポリマーの運動速度と加えられる外力の速度との関係に応じて変動し、非架 橋ポリマーの運動速度に近い速度で加えられた外力に対して最大となる。そこで、ゲ ルの温度又はゲルを膨潤させる溶媒の粘度や相溶性等を調節することによって非架 橋ポリマーの運動速度を変化させれば、ゲルの力学強度及び破壊エネルギーが最 大となる外力の速度領域を変化させることができる。
[0027] 図 5に、架橋ポリマーからなる空洞部の散在する網目構造に非架橋ポリマーを絡み 付けたセミ相互侵入網目構造を有するゲルについて、その破壊エネルギーと非架橋 ポリマーの重量平均分子量 Mとの相関を模式的に示す。なお、図 5には、アクリルァ
w
ミドメチルプロパンスルホン酸 (AMPS)とジビュルモノマーとから生成した架橋ポリマ 一にポリアクリルアミド (PAAm)力 なる非架橋ポリマーを絡み付けた例を示す。また 、図 5では、セミ相互侵入網目構造力 非架橋ポリマーだけを取り出してその重量平 均分子量 Mを測定することが困難なため、予め非架橋ポリマーの重合条件とその重
w
量平均分子量 Mとの相関を把握しておき、その相関力 セミ相互侵入網目構造に おける非架橋ポリマーの重量平均分子量 Mを推定した。
[0028] 図 5に示すように、このゲルの破壊エネルギーは、非架橋ポリマーの重量平均分子 量 M 1 X 106付近力 著しく上昇して 4 X 106付近で頭打ちになっている。これは、非 w
架橋ポリマーからなるランダムコイルが重量平均分子量 M 1 X 106付近になると架橋
w
ポリマーの網目構造に散在する空洞部を満たし始め、重量平均分子量 M 4 X 106
w
付近にまで達すると、その空洞部がランダムコイルでほぼ満たされてしまうためである と推測される。従って、非架橋ポリマーの大きさ (重合度)には、セミ相互侵入網目構 造に散在する空洞部の大きさに依拠する最適範囲が存在すると考えられる。
[0029] ここで、非架橋ポリマーは、ほとんど分岐の存在しない直鎖ポリマーでもあるから、 重合度即ちポリマーの長さはその分子量に略一次関数的に比例する。従って、物理 的絡み付きに最適な分子量が存在するとの事実は、即ち、網目構造を有する架橋ポ リマーに対して、非架橋ポリマーが物理的に絡み付くに十分適した長さが存在するこ とを示す。図 1を参照して推考するに、非架橋ポリマーの長さが十分に長くないと架 橋ポリマーの網目構造力 非架橋ポリマーが滑り抜けてしまうことが予想される。或い は、非架橋ポリマー自体が十分に巻きのあるランダムコイルを構成できず、架橋ポリ マーに引っ掛力ることなくセミ相互侵入網目構造を構成できないことも予想できる。こ れを擬似的な架橋点が形成されないと言いかえてもよい。従って、セミ侵入網目構造 とは、非架橋ポリマーのランダムコイル直径が架橋ポリマーの網目の平均間隔より遙 かに大き 、ときのみに生じる構造でもある。
[0030] このように、架橋ポリマー力 なる剛直で空洞部の散在する網目構造にその空洞部 を満たす大きさの非架橋ポリマーが物理的に絡み付いたセミ相互侵入網目構造を有 するゲルであれば、良溶媒による平衡膨潤時において膨潤度が 5以上で、かつ、良 溶媒の重量含有率が 80%以上であっても、外力が加えられた際に非架橋ポリマー が過渡的網目を確実に形成することができるため、破壊エネルギー 700jZm2以上 2 OOOjZm2以下と 、う従来達成し得な力つた高 、耐久性を実現することができる。
[0031] また、このゲルは、良溶媒による平衡膨潤時にぉ ヽて核磁気共鳴測定を行うと、分 子間の相互作用の存在によって現れる化学シフトが観測されないという特徴を有する 。この観測結果は、非架橋ポリマー間に水素結合よりも強い分子間相互作用が存在 しないことを意味している。このように非架橋ポリマー間に水素結合よりも強い分子間 相互作用が存在しなければ、架橋ポリマー力 なる網目構造に散在する空洞部にお いて、非架橋ポリマーの流動性や運動性が損なわれないため、ゲルの破壊エネルギ 一が効果的に向上する。
[0032] これを裏付けるかのように、このような高破壊エネルギーを呈するダブルネットワーク ゲルを他のメカニズムに対して提案されたような理論、例えばレイク一トーマス (Lake —Thomas)理論、では説明できず、もしレイク一トーマス理論で概算されるなら、破 壊エネルギーは lOjZm2付近にしかならず、実験値よりも 2桁も低 、ものとなる。
[0033] また、このゲルは、良溶媒による平衡膨潤時にお!、て、架橋ポリマーの弾性率 (a) に対する非架橋ポリマーの過渡的弾性率 (b)の比 (bZa)が ΙΖΙΟΟ以上 1Z5以下 であることが好ましい。ここで、非架橋ポリマーの過渡的弾性率 (b)の算出方法につ いて説明する。非架橋ポリマー溶液に対する応力を段階的に増加させることによって 生じる歪 (e)を観測することにより、小さい応力( σ )に対する歪の線形関数「e=J σ」 の係数であるクリープコンプライアンス (J)を得る。このクリープコンプライアンスがある 速度領域にぉ 、て一定値 (定常状態コンプライアンス)を示すとき、この定常状態コン プライアンスの逆数が非架橋ポリマーの過渡的弾性率 (b)に相当する。
[0034] このように、良溶媒による平衡膨潤時において、非架橋ポリマー間に水素結合より も強 、分子間相互作用が存在せず、或 、は架橋ポリマーの弾性率に対する非架橋 ポリマーの過渡的弾性率の比が 1Z100以上 1Z5以下であるセミ相互侵入網目構 造を有するゲルであれば、ー且亀裂が生じてもその亀裂先端部で生じて 、る応力が 非架橋ポリマーの過渡的網目の形成によって熱に変換されて効果的に拡散されるた め、破壊エネルギーが確実に 700jZm2以上 2000jZm2以下となる。
[0035] さらに、このゲルは、架橋ポリマーの良溶媒による平衡膨潤度が 5〜: LOOOであり、 非架橋ポリマーの重量含有率が架橋ポリマーの重量含有率よりも高 、、ことが好まし い。また、このゲルは、非架橋ポリマーの重量含有率がゲルにおける架橋ポリマー及 び良溶媒の合計重量に対して 10〜40%であることが好ましい。
[0036] このゲルを構成する架橋ポリマーは、平衡膨潤度が高ぐ高分子鎖が大きく伸展し た剛直性の高いものである必要があり、具体的には、良溶媒による平衡膨潤度が 5〜 1000 (溶媒含有率 80〜99. 9w%)となるように架橋されていることが好ましい。なお 、架橋ポリマー自体の力学強度は、それほど高い必要はない。なお、ゲルの初期弹 性率は、この架橋ポリマーからなる網目構造の初期弾性率によってほぼ定まり、非架 橋ポリマーがゲルの初期弾性率に与える影響は極めて小さい。従って、架橋ポリマ
一の架橋度を調節することにより、ゲルの初期弾性率を調節することができる。
[0037] また、この架橋ポリマーは、強電解質であることが好ましい。本発明者らは、電解質
Z非電解質の架橋ポリマーと、電解質 Z非電解質の非架橋ポリマーと、の組み合わ せでセミ相互侵入網目構造を有するゲルを作製したところ、いずれの組み合わせに ついても力学強度の向上が見られたが、力学強度及び破壊エネルギーが著しく向上 した組み合わせは、強電解質又は全解離した弱電解質の架橋ポリマーと、非電解質 の非架橋ポリマーと、の組み合わせだけであった。従って、本発明では、強電解質又 は全解離した弱電解質の架橋ポリマーと非電解質の非架橋ポリマーとを組み合わせ て使用することが好ましい。なお、架橋ポリマーが電解質であっても非架橋ポリマーを 絡み付けた後であれば、イオン強度の高い溶媒に浸漬しても、ゲルの収縮度は著し く小さい。
[0038] また、この非架橋ポリマーは、非電解質で柔軟性の高いこと、架橋ポリマーと静電 相互作用や疎水結合等の相互作用がないか、あつたとしても極めて弱いこと、等の 特徴を有することが好ましい。ここで、非架橋ポリマーは、架橋ポリマーからなる網目 構造内で濃厚溶液又はゾルの状態であり、それ自体は卵白のような流動性を持ち外 形を維持することができな 、。
[0039] また、本発明に係るゲルにおける非架橋ポリマーの重量含有率は、高分子量の非 架橋ポリマーが十分な物理的絡み合いを生じ得る濃度以上にすることが必要である という観点から、架橋ポリマーに対して 5〜: LOOモル倍の範囲であることが好ましい。 また、良溶媒による平衡膨潤時のゲルにおいて、非架橋ポリマーの濃度は、低すぎ ても高すぎてもゲルの力学強度が向上しないため、良溶媒に対して 0. 5〜5molZL (3. 5〜35%)であることが好ましい。さらに、非架橋ポリマーに架橋構造が全く含ま れていない場合には、非架橋ポリマーは、その濃度が溶媒に対して 0. 5〜5molZL (3. 5〜35%)であり、かつ、その分子量が後述の下限臨界分子量以上であることが 好ましい。
[0040] この非架橋ポリマーの下限臨界分子量とは、濃厚溶液粘度の分子量依存性が、ポ リマー間の絡み合いによって 〜Mから 7?〜Μ3· 4に変化する臨界点を与える分子 量よりも 10〜: LOO倍大きぐかつ、その重合度(ポリマーユニット数)力 SlOOOO程度力
それ以上の分子量を指す。非架橋ポリマーの平均分子量が下限臨界分子量以上で あれば、セミ相互侵入網目構造を有するゲルの力学強度及び破壊エネルギーはそ の分子量に伴って向上し、その平均分子量が上限臨界分子量以上になれば、ゲル の力学強度及び破壊エネルギーは一定値を示すようになる。従って、図 5に示す例 で言えば、非架橋ポリマーの下限臨界分子量は、ゲルの破壊エネルギーが特異的 に向上し始める重量平均分子量 M 1 X 106付近となり、非架橋ポリマーの上限臨界
w
分子量は、ゲルの破壊エネルギーが頭打ちになる重量平均分子量 M 4 X 106付近
w
ということになる。なお、非架橋ポリマーの下限及び上限臨界分子量は、架橋ポリマ 一からなる網目構造に散在する空洞部の大きさに依拠して変化する。
[0041] 非架橋ポリマーが占有する体積は、架橋ポリマーからなる網目構造に散在する空 洞部の体積以上であることが好ましい、即ち非架橋ポリマーは架橋ポリマー力もなる 網目構造に十分に絡み付いていることが好ましい。また、架橋ポリマーからなる網目 構造に散在する空洞部周辺には、とりわけ網目の密な部分があり、その密な部分に 対して非架橋ポリマーが十分に絡み付 、て 、れば、その密な部分に存在する非架 橋ポリマーは、拡散速度が著しく遅くなつて架橋点のように振舞う。従って、非架橋ポ リマーは、架橋ポリマー力 なる網目構造に散在する空洞部をまたがってその両末端 で少なくとも 2つの架橋点を有し、さらにその空洞部を完全に満たす体積を有するこ とが好適である。ちなみに、非架橋ポリマーの分子量は統計的な平均値で示される ため、全ての非架橋ポリマーの両端が架橋ポリマー力 なる網目構造に散在する空 洞部をまたがって架橋点を形成した場合における非架橋ポリマーの平均分子量が上 限臨界分子量ということになる。
[0042] このような架橋ポリマー及び非架橋ポリマーを構成する原料モノマーとしては、 2— アクリルアミドー 2—メチルプロパンスルホン酸 (AMPS)、アクリルアミド(AAm)、ァク リル酸 (AA)、メタクリル酸、 N—イソプロピルアクリルアミド、ビュルピリジン、ヒドロキシ ェチルアタリレート、酢酸ビュル、ジメチルシロキサン、スチレン(St)、メチルメタクリレ ート(MMA)、トリフルォロェチルアタリレート(TFE)、スチレンスルホン酸 (SS)又は ジメチルアクリルアミド等が例示される。また、非電解質の非架橋ポリマーを構成する 原料モノマーとしては、フッ素含有モノマー、具体的には 2, 2, 2—トリフルォロェチ
ルメチルアタリレート、 2, 2, 3, 3, 3 ペンタフルォロプロピルメタタリレート、 3— (ぺ ルフルォロブチル) 2 ヒドロキシプロピルメタタリレート、 1H, 1H, 9H へキサデ カフルォロノ-メタクリレー卜、 2, 2, 2—トリフルォロェチルアタリレー卜、 2, 3, 4, 5, 6 ペンタフルォロスチレン又はフッ化ビ-リデン等が例示される。また、架橋ポリマー 又は非架橋ポリマーには、ジエラン、ヒアルロン酸、カラギーナン、キチン又はアルギ ン酸等の多糖類、或いはゼラチンやコラーゲン等のタンパク質を使用することもでき る。
[0043] また、本発明に係るゲルは、純水中での含水率が 10〜99%であることが好ましぐ より好ましくは 50〜95%、さらには 85〜95%が好適である。このようにゲルが多量の 純水を含有すれば、ゲルの溶媒吸収率が高くなると同時にその透過性が向上するの で、このようなゲルは、高吸水性榭脂、ソフトコンタクトレンズ又は液体クロマトグラフィ 一用分離架体等の用途、或いは徐放性が要求される用途に有用である。
[0044] また、このゲルは、純水中から生理食塩水中に移し替えたときの体積維持率が 20 〜95%、さらには 60〜95%、特には 70〜95%であることが好ましい。また、このゲ ルは、一旦乾燥しても再膨潤することで元の物性を取り戻すことができ、その再膨潤 時の溶媒は水に限定されないという特徴も有している。従って、このゲルをォムッ等 の吸水剤として利用すれば、尿等の浸透圧の高い溶液でも大量に吸収できるため、 圧迫や衝撃に強ぐかつ、液漏れし難い高付加価値の衛生生理用品を提供すること ができる。
[0045] また、このゲルについて、架橋ポリマーと非架橋ポリマーとによって構成されるセミ 相互侵入網目構造に、さらに他のポリマーを絡み付力せてもよい。このセミ相互侵入 網目構造の表面層は最後に付加されたポリマーによって支配的に占有されるため、 セミ相互侵入網目構造に他のポリマーを絡みつ力せれば、その他のポリマーの特性 をゲルに付与することができる。従って、特許文献 1に開示された技術を利用して、こ のセミ相互侵入網目構造に電解質ポリマーを混合したりグラフト重合したりして自由 末端鎖を形成すれば、力学強度及び破壊エネルギーの極めて高 ヽ低摩擦材料を得 ることでさる。
[0046] また、このセミ相互侵入網目構造を構成する非架橋ポリマーの側鎖を公知の手段
で化学修飾することにより、非架橋ポリマーの運動速度を変化させて、ゲルの膨潤度 特性、破壊エネルギー及び粘弾性特性を調節することができる。
[0047] また、本発明に係るゲルを多価イオンの含有溶液に浸漬して膨潤させることにより、 セミ相互侵入網目構造を構成する架橋ポリマーや非架橋ポリマーが具備する特定の 官能基と前記多価イオンを反応させて、そのセミ相互侵入網目構造の表面及び内部 にお 、て多価イオンを含有するキレート錯体ゃコロイドを形成し、ゲルの物性を変化 させることができる。一般に、ゲルにおいて、金属イオンの含有率が高くなると、その 含水率は小さくなり、かつ、力学強度が大きくなる。本発明に係るゲルでは、外力が 加えられた際に非架橋ポリマーが過渡的網目を形成する必要があるため、架橋ポリ マーカもなる網目構造と多価イオンとが錯体ゃコロイドを形成し、かつ、非架橋ポリマ 一は多価イオンと錯体ゃコロイドを形成しないことが好ましい。また、このゲルにおけ る多価イオンの含有率は、純水による平衡膨潤時に 0. 01〜: Lmol/Lが好ましぐさ らには 0. 03-0. 3mol/Lが好適である。また、多価イオンとしては、錯体を形成し 得る金属イオンであればその種類を特に限定されるものではなぐ例えば亜鉛イオン 、鉄イオン、ニッケルイオン、コバルトイオン又はクロムイオン等が挙げられる。また、こ れらの多価イオンと錯体を形成しうる官能基としては、例えばカルボキシル基、スルホ ン酸基又はリン酸基が挙げられる。
[0048] また、本発明に係るゲルの表面電位を調節することにより、その表面に内皮細胞を 付着させて増殖させることができる。従って、本発明に係るゲルにおけるセミ相互侵 入網目構造の表面層の物性を支配する非架橋ポリマーの種類を選択したり、その非 架橋ポリマーの側鎖をィ匕学修飾したりすることにより、極めて耐久性の高い細胞培養 用基材を得ることができる。
[0049] また、上述の通り、架橋ポリマーからなる剛直で、かつ、空洞部の散在する網目構 造に、所定条件を満たす柔軟性の高い非架橋ポリマーが侵入して物理的に絡み付 Vヽた本発明のゲルを用いて吸水性榭脂ゃ潤滑材ゃ細胞培養用基材等を構成するこ とにより、これらの産業用材料の力学強度や耐久性を改善することができる。
[0050] 本発明に係るセミ相互侵入網目構造を有するゲルの製造方法は、特に限定される ものではな!/、が、先ず反応性の異なるモノマーをラジカル共重合させて空洞部の散
在する架橋ポリマーを形成し、次 ヽでこの架橋ポリマーを架橋剤を含有しな 、モノマ 一溶液に浸漬しつつこのモノマー溶液力 非架橋ポリマーをラジカル重合によってこ の架橋ポリマーに絡み付かせる逐次重合法が好ましい。また、架橋ポリマーからなる 網目構造に散在する空洞部をより大きくするには、反応性の異なるモノマーをラジカ ル共重合させてポリマーをー且形成し、そのポリマー溶液に他の架橋剤を添加したり ガンマ一線照射等を行ったりしてポリマー同士をさらに重合させる方法が好適である 。さらに、このセミ相互侵入網目構造を有するゲルをさらに他のモノマー溶液に浸漬 して、このゲルに第三、第四の非架橋ポリマーを絡み付けてもよい。
[0051] このような架橋ポリマー力もなる網目構造の形成においては、適当な濃度の電解質 ビュルモノマーに対して 0. 001〜0. lmol倍のジビュルモノマーを架橋剤として加 え、これらをラジカル共重合させることが好ましい。架橋剤としては、 N, N'—メチレン ビスアクリルアミド(MBAA)やエチレングリコールジメタタリレートが例示される。ちな みに、弱電解質のビュルモノマーを用いる場合には、対イオンの交換や pHの制御に より、その解離度を高めて力も反応を開始させる必要がある。また、架橋ポリマーを生 成する反応系にその貧溶媒を加えることで、架橋ポリマーから構成される網目構造の 不均一性を高めることができる。また、架橋ポリマーのラジカル重合時に、その網目 構造の内部に微粒子を混入させておいて、網目構造の形成後にその微粒子を溶解 等によって取り除くことにより、その網目構造の不均一性を高めてもよい。
[0052] また、逐次重合法を用いて架橋ポリマーからなる網目構造に非架橋ポリマーを絡み 付ける際には、架橋ポリマーは、溶媒を除去されていても、合成直後であっても、平 衡膨潤であってもよい。さらに、この架橋ポリマーが非架橋ポリマーのモノマー溶液に 浸漬されて平衡膨潤状態になった後、即ちその網目構造の内部と外部とでモノマー 濃度がほぼ等しくなつた後に、初めてそのモノマーの重合が行われるようにすること が好ましい。なお、このモノマー溶液において、モノマーに対するジビュルモノマー 等の架橋剤の濃度は 0. O01mol%未満である必要がある。このような逐次重合法に よれば、架橋ポリマーが十分膨潤した状態で非架橋ポリマーの重合が行われるので 、非架橋ポリマーが架橋ポリマーに絡み付いても、その体積増加率は高々数十%に 留まる。なお、このセミ相互侵入網目構造にさらに第三、第四のポリマーを絡み付け
るには、前述した非架橋ポリマーの重合手段と同様の手段によればよい。
[0053] なお、このセミ相互侵入網目構造の表面及び内部に多価イオンを含有する錯体ゃ コロイドを形成するには、前述の方法で製造したゲルを一旦真空乾燥させた後、この 乾燥させたゲルを多価イオンの含有溶液中に浸漬すればょ 、。
実施例
[0054] 先ず、本発明に係るゲルの比較対照として、特許文献 2における実施例 1で記載さ れた方法を用いて、架橋ポリマーからなる空洞部が散在する網目構造に「架橋度 0. lmol%の第二のポリマー」が侵入し物理的に絡み付!/、たセミ相互侵入網目構造を 有するゲルを作製した。具体的には、以下のとおりである。
[0055] (比較例 1)
<架橋ポリマーからなる空洞部の散在する網目構造の形成 >
100 X 100 X 2mmのシリコン榭脂板からカッターで外辺長 80 X 80mm,幅 5mm の枠を切りだし、枠の 1箇所 3mmの溝を空けた。このシリコン榭脂枠を 2枚の 100 X 1 00 X 3mmのガラス板で挟み付けて、重合容器を組み立てた。
[0056] モノマーである 2molZLの 2 アクリルアミド 2 メチルプロパンスルホン酸 (AM PS)水溶液 25mlと、架橋剤である 2molZLの N, N'—メチレンビスアクリルアミド( MBAA)水溶液 lmlと、開始剤である 0. ImolZLの 2—ォキソダルタル酸水溶液 1 mlとを合わせ、水で調整して水溶液 50mlを得た。
[0057] この水溶液を窒素ガスを用いて脱酸素した。 、て、この脱酸素水溶液を前記重 合容器の一方のガラス板に置かれたシリコン榭脂板の開口部に流し込み、シリコン板 上に他方のガラス板を重ねて前記開口部周辺をシールした後、波長 365nmの UVラ ンプ(22W、 0. 34A)を用いて紫外線を常温で 6時間照射して重合させることにより、 架橋度が 4mol%で空洞部が散在する不均一な網目構造を有するゲル (半製品)を 作製した。なお、架橋度の計算は、以下の通りである。
[0058] { (MBAA水溶液濃度 X量) Z (モノマー濃度 X量) } X 100
= { (2mol/L X lml) / (2mol/L X 25ml) } X 100
=4mol%
[0059] <相互侵入網目構造又はセミ相互侵入網目構造の形成 >
モノマーである 5molZLのアクリルアミド (AAm)水溶液 40mlと、架橋剤である 0. 2molZLの MBAA水溶液 lmlと、開始剤である 0. ImolZLの 2—ォキソグルタル 酸水溶液 lmlとを混合し、水で調整して水溶液 (浸漬溶液) 200mlを得た。この浸 漬溶液を窒素ガスを用いて脱酸素した。この時の開始剤濃度は、 0. lmol%であつ た。なお、架橋度の計算は以下の通りである。
[0060] { (0. 2mol/L X lml) / (5mol/L X 40ml) } X 100
=0. lmol%
[0061] 次 ヽで、前記浸漬溶液と前記ゲル (半製品) 4gとをそのゲルより十分に大きな容量 のシール容器に入れた。この容器を 4°Cの冷蔵庫に 24時間設置し、前記浸漬溶液 中のモノマー、架橋剤及び開始剤を前記ゲルに拡散'浸透させた。この工程におい て、浸漬溶液の濃度を一様にする目的で時々容器を静かに振盪した。なお、このェ 程において、前記ゲル (半製品)は平衡膨潤してその体積が約十倍になり、網目の不 均一性が拡大して、空洞部が散在する網目構造が形成される。
[0062] 次いで、前記浸漬溶液からゲル (半製品)を取り出し、適当な大きさに裁断した後、 このゲルを 100 X 100 X 3mmの 2枚のガラス板の間に気泡が混入しないように挟持 した。この 2枚のガラス板の周囲 4辺をシールした後、波長 365nmの UVランプ(30 W、 0. 68A)を用いて紫外線を常温で 6時間照射した。このとき、前記ゲル中に拡散 した AAmモノマーが重合して第二のポリマーが生成されることにより、相互侵入網目 構造又はセミ相互侵入網目構造を有するゲルが得られた。このゲルにおける第二の ポリマーの架橋度は、 0. lmol%であった。なお、その架橋度の計算は以下の通り である。
[0063] { (0. 2mol/L X lml) / (5mol/L X 40ml) } X 100
=0. lmol%
[0064] このようにして得られた相互侵入網目構造又はセミ相互侵入網目構造を有するゲ ルを純水(良溶媒)中で平衡膨潤させた。純水による平行膨潤時のゲルにおいて、架 橋ポリマーの重量含有率は 1. 5%であり、第二のポリマーの重量含有率は 10. 5% であり、純水の重量含有率は 88%であり、架橋ポリマーの平衡膨潤度は 44であり、 ゲル自体の平衡膨潤度は 8であった。
[0065] そして、このゲルについて、下記の手段により、「初期弾性率」、「圧縮強度」、「破壊 エネルギー」及び「水素結合より強い分子間相互作用の有無」を測定した。このゲル の構成及び測定された特性について、下記「表 1」にまとめて示す。
[0066] (実施例 1)〜(実施例 3)
前記比較例 1において、く相互侵入網目構造又はセミ相互侵入網目構造の形成 >における下記の点を変更する以外は同様にして、セミ相互侵入網目構造を有する ゲルを作製した。
[0067] モノマーである 5molZLのアクリルアミド (AAm)水溶液 40mlと、開始剤である 0.
ImolZLの 2—ォキソグルタル酸水溶液 lZ20ml (50 μ 1)とを混合し、水で調整し て水溶液 (浸漬溶液) 200mlを得た。この浸漬溶液における開始剤濃度は、 0. 005 mol%である。なお、この開始剤濃度の計算は以下の通りである。
[0068] { (0. lmol/L X l/20ml) / (5mol/L X 40ml) } X 100
=0. 005mol%
[0069] また、浸漬溶液から取り出した後に 2枚のガラス板で挟持したゲル (半製品)に対し て、波長 365nmの UVランプ(30W、 0. 68A)を用いて紫外線を常温で、実施例 1 では 10時間、実施例 2では 8時間、並びに実施例 3では 6時間照射することにより、 前記ゲル (半製品)を構成する空洞部の散在する網目構造に、所定の重量平均分子 量 Mの非架橋ポリマーを生成すると伴に絡み付けて、セミ相互侵入網目構造を有 w
するゲルを得た。
[0070] このようにして得られたセミ相互侵入網目構造を有するゲルをそれぞれ純水(良溶 媒)中で平衡膨潤させた。純水による平行膨潤時のゲルそれぞれにおいて、架橋ポ リマーの重量含有率は 1. 5%であり、非架橋ポリマーの重量含有率は 10. 5%であり 、純水の重量含有率は 88%であり、架橋ポリマーの平衡膨潤度は 44であり、ゲル自 体の平衡膨潤度は 8であった。これらのゲルの構成及び測定された特性につ!、て、 下記「表 1」にまとめて示す。
[0071] (実施例 4)
前記実施例 3と同様にして得られたセミ相互侵入網目構造を有するゲルにおける 非架橋ポリマーであるポリアクリルアミド (PAAm)に対して、次の手段を用いて化学
修飾を施した。
[0072] <マンニッヒ反応による PAAm側基の化学修飾 >
150mlの純水に 35%のホルムアルデヒド水溶液 1. 2mlを溶解し、トリエチルァミン をカロえて pH9. 0に調整後、 70度になるまで加熱した。この熱反応溶液中に、純水中 で平衡膨潤に達した板状 (厚さ約 5mm)のゲル 25gを入れて、メチロール化反応を 開始させた。反応開始から 1時間経過後、この板状のゲルを反応系外に取り出し、大 過剰の冷水に膨潤させてメチロールイ匕反応を停止させた。この反応により PAAmに 導入されたメチロール基の導入率を既知の方法により算出したところ、約 30%であつ た。
[0073] このようにして得られたメチロールイ匕されたセミ相互侵入網目構造を有するゲルを 再度純水中で平衡膨潤させた。純水による平行膨潤時のゲルにおいて、架橋ポリマ 一の重量含有率は 1. 5%であり、非架橋ポリマーの重量含有率は 12. 5%であり、 純水の重量含有率は 86%であり、架橋ポリマーの平衡膨潤度は 44であり、ゲル自体 の平衡膨潤度は 7. 4であった。このゲルの構成及び測定された特性について、下記 「表 1」にまとめて示す。
[0074] (比較例 2)
<架橋ポリマーからなる空洞部の散在する網目構造の形成 >
100 X 100 X 0. 1mmのシリコン榭脂板からカッターで外辺長 80 X 80mm,幅 5m mの枠を切り出し、この枠の 1箇所に 3mmの溝を空けた。このシリコン榭脂枠を 2枚の 100 X 100 X 3mmのガラス板で挟み付け、重合容器を組み立てた。
[0075] モノマーである 2molZLの AMPS水溶液 25mlと、架橋剤である 2molZLの MB AA水溶液 lZ8ml(125 1)と、開始剤である 0. ImolZLの 2—ォキソダルタル酸 水溶液 lmlとを混合し、水で調整して水溶液 50mlを得た。
[0076] この水溶液を窒素ガスを用いて脱酸素した。つづ 、て、この脱酸素水溶液を前記 重合容器の一方のガラス板に置かれたシリコン板の開口部に流し込み、シリコン板上 に他方のガラス板を重ねて前記開口部周辺をシールした後、波長 365nmの UVラン プ(30W、 0. 68A)を用いて紫外線を常温で 6時間照射して重合させることにより、 架橋度が 0. 5mol%で空洞部が散在する網目構造を有するゲル (半製品)を作製し
た。なお、架橋度の計算は、以下の通りである。
[0077] { (MBAA水溶液濃度 X量) Z (モノマー濃度 X量) } X 100
= { (2mol/L X 0. 125ml) / (2mol/L X 25ml) } X 100
=0. 5mol%
[0078] <相互侵入網目構造又はセミ相互侵入網目構造の形成 >
モノマーである 5molZLのアクリルアミド (AAm)水溶液 40mlと、架橋剤である 2m olZLである MBAA水溶液 lmlと、開始剤である 0. ImolZLの 2—ォキソグルタル 酸水溶液 lZ20ml (50 μ 1)とを混合し、水で調整して水溶液 (浸漬溶液) 200mlを 得た。この浸漬溶液を窒素ガスを用いて脱酸素した。この浸漬溶液における開始剤 濃度は、 0. 005mol%である。なお、開始剤濃度の計算は以下の通りである。
[0079] { (0. lmol/L X l/20ml) / (5mol/L X 40ml) } X 100
=0. 005mol%
[0080] 次 ヽで、前記浸漬溶液と前記ゲル(半製品) 0. 3gをそのゲルより十分に大きな容 量のシール容器に入れた。この容器を 4°Cの冷蔵庫に 24時間設置し、前記浸漬溶 液中のモノマー、架橋剤及び開始剤を前記ゲル (半製品)に拡散させ浸透させた。こ の工程において、浸漬溶液の濃度を一様にする目的で時々容器を静かに振盪した 。この工程において、ゲル(半製品)が平衡膨潤してその体積が 250倍以上になった
[0081] 次いで、前記浸漬溶液からゲル (半製品)を取り出し、適当な大きさに裁断した後、 このゲルを 100 X 100 X 3mmの 2枚のガラス板を用いて、ガラス板の間に気泡が混 入しないようにして挟持した。この 2枚のガラス板の周囲 4辺をシールした後、波長 36 5nmの UVランプ(30W、 0. 68A)を用いて紫外線を常温で 10時間照射した。この とき、前記ゲル中に拡散した AAmモノマーが重合することにより、相互侵入網目構 造又はセミ相互侵入網目構造を有するゲルが得られた。
[0082] このようにして得られたゲルを純水中で平衡膨潤させた。純水による平行膨潤時の ゲルにおいて、架橋ポリマーの重量含有率は 0. 1%であり、第二のポリマーの重量 含有率は 5. 9%であり、純水の重量含有率は 94%であり、架橋ポリマーの平衡膨潤 度は 1360であり、ゲル自体の平衡膨潤度は 17であった。このゲルの構成及び測定
された特性について、下記「表 1」にまとめて示す。
[0083] (比較例 3)
前記比較例 1において、く架橋ポリマー力 なる空洞部の散在する網目構造の形 成 >で使用される AMPS及び MBAAの重量含有率と、 <相互侵入網目構造又は セミ相互侵入網目構造の形成〉で使用される AAm及び MBAAの重量含有率とを 変更する以外は同様にして、相互侵入網目構造又はセミ相互侵入網目構造を有す るゲルを得た。
[0084] このようにして得られたゲルを純水中で平衡膨潤させた。純水による平行膨潤時の ゲルにおいて、架橋ポリマーの重量含有率は 0. 7%であり、架橋ポリマーの架橋度 は 2mol%であり、第二のポリマーの重量含有率は 9. 3%であり、第二のポリマーの 架橋度は 0. lmol%であり、純水の重量含有率は 90%であり、架橋ポリマーの平衡 膨潤度は 103であり、ゲル自体の平衡膨潤度は 10であった。このゲルの構成及び測 定された特性について、下記「表 1」にまとめて示す。
[0085] (比較例 4)
前記比較例 1において、く相互侵入網目構造又はセミ相互侵入網目構造の形成 >で MBAAを使用しない以外は同様にして、セミ相互侵入網目構造を有するゲル を得た。
[0086] このようにして得られたゲルを純水中で平衡膨潤させた。純水による平行膨潤時の ゲルにおいて、架橋ポリマーの重量含有率は 1. 5%であり、架橋ポリマーの架橋度 は 4mol%であり、非架橋ポリマーの重量含有率は 10. 5%であり、純水の重量含有 率は 88%であり、架橋ポリマーの平衡膨潤度は 44であり、ゲル自体の平衡膨潤度は 8であった。このゲルの構成及び測定された特性について、下記「表 1」にまとめて示 す。
[0087] (比較例 5)
前記比較例 1において、く相互侵入網目構造又はセミ相互侵入網目構造の形成 >を次のように変更した以外は同様にして、セミ相互侵入網目構造を有するゲルを 得た。
[0088] <セミ相互侵入網目構造ゲルの形成 >
モノマーである 5molZLのアクリルアミド (AAm)水溶液 40mlと、開始剤である 0. ImolZLの 2 -ォキソダルタル酸水溶液 1 mlとを混合し、さらに連鎖移動剤として 2- メチルカプトエタノールを 5. 6 1加え、水で調整して水溶液(浸漬溶液) 200mlを得 た。この浸漬溶液に対して窒素ガスを用いて脱酸素した。この浸漬溶液における開 始剤濃度は、 0. lmol%である。なお、開始剤濃度の計算は以下の通りである。
[0089] { (0. 2mol/L X lml) / (5mol/L X 40ml) } X 100
=0. lmol%
[0090] 次 、で、前記浸漬溶液とゲル(半製品) 4gをそのゲルより十分に大きな容量のシー ル容器に入れた。この容器を 4°Cの冷蔵庫に 24時間設置し、前記浸漬溶液中のモノ マー、架橋剤及び開始剤を前記ゲルに拡散させ浸透させた。この工程において、浸 漬液の濃度を一様にする目的で時々容器を静かに振盪した。この工程において、前 記ゲルが平衡膨潤してその体積が約十倍になることにより、網目構造の不均一性が 拡大して、空洞部が散在する網目構造が形成される。
[0091] 次いで、この浸漬溶液からゲルを取り出し、適当な大きさに裁断した後、このゲルを 100 X 100 X 3mmの 2枚のガラス板を用いて、ガラス板の間に気泡が混入しないよう にして挟持した。この 2枚のガラス板の周囲 4辺をシールした後、波長 365nmの UV ランプ(30W、 0. 68A)を用いて紫外線を常温で 10時問照射した。このとき、前記ゲ ル中に拡散した AAmモノマーが重合することにより、セミ相互侵入網目構造を有す るゲルが得られた。
[0092] このようにして得られたゲルを純水中で平衡膨潤させた。純水による平行膨潤時の ゲルにおいて、架橋ポリマーの重量含有率は 1. 6%であり、架橋ポリマーの架橋度 は 4mol%であり、非架橋ポリマーの重量含有率は 8. 2%であり、純水の重量含有率 は 89%であり、架橋ポリマーの平衡膨潤度は 44であり、ゲル自体の平衡膨潤度は 8 . 5であった。このゲルの構成及び測定された特性について、下記「表 1」にまとめて 示す。
[0093] (比較例 6)
前記比較例 1において、く相互侵入網目構造又はセミ相互侵入網目構造の形成 >を次のように変更した以外は同様にして、セミ相互侵入網目構造を有するゲルを
得た。
[0094] <セミ相互侵入網目構造ゲルの形成 >
モノマーである 5molZLのアクリルアミド (AAm)水溶液 40mlと、開始剤である 0. ImolZLの 2—ォキソグルタル酸水溶液 lZ20ml (50 μ 1)とを混合し、水で調整し て水溶液 (浸漬溶液) 200mlを得た。この浸漬溶液に対して窒素ガスを用いて脱酸 素した。この浸漬溶液における開始剤濃度は、 0. 005mol%であった。なお、開始 剤濃度の計算は以下の通りである。
[0095] { (0. lmol/L X l/20ml) / (5mol/L X 40ml) } X 100
=0. 005mol%
[0096] 次 、で、前記浸漬溶液とゲル(半製品) 4gをそのゲルより十分に大きな容量のシー ル容器に入れた。この容器を 4°Cの冷蔵庫に 24時間設置し、前記浸漬溶液中のモノ マー、架橋剤および開始剤を前記ゲルに拡散させ浸透させた。この工程において、 浸漬液の濃度を一様にする目的で時々容器を静かに振盪した。この工程において、 前記ゲルが平衡膨潤してその体積が約十倍になることにより、網目構造の不均一性 が拡大して空洞部が散在する網目構造が形成される。
[0097] 次いで、前記浸漬溶液力 ゲルを取り出し、適当な大きさに裁断した後、このゲル を 100 X 100 X 3mmの 2枚のガラス板を用いて、ガラス板の間に気泡が混入しない ようにして挟持した。この 2枚のガラス板の周囲 4辺をシールした後、波長 365nmの UVランプ(30W、 0. 68A)を用いて紫外線を常温で 10時問照射した。前記ゲル中 に拡散した AAmモノマーが重合して非架橋ポリマーが生成されることにより、セミ相 互侵入網目構造を有するゲルが得られた。
[0098] <マンニッヒ反応による PAAm側基の化学修飾 >
150mlの純水に 35%のホルムアルデヒド水溶液 1. 2mlを溶解し、トリエチルァミン をカロえて pH9. 0に調節後、 70度なるまで加熱した。この熱反応溶液中に、純水中で 平衡膨潤に達した板状 (厚さ約 5mm)のセミ相互侵入網目構造を有する前記手段に よるゲル 25gを入れて、メチロールイ匕反応を開始させた。その反応開始から 1時間経 過後、その熱反応溶液中にさらに 50%ジメチルァミン水溶液 9. 5mlをカ卩えた。それ 力も 30分間経過後、前記ゲルを反応系外に取り出し、大過剰の冷水に膨潤させて
反応を停止させた。この反応により PAAmに導入されたメチロール基及びカチオン 基の導入率を既知の方法により算出したところ、それぞれ約 30%であった。
[0099] このようにして得られたメチロールイ匕及びカチオンィ匕されたセミ相互侵入網目構造 を有するゲルを再度純水中で平衡膨潤させた。純水による平行膨潤時のゲルにお いて、架橋ポリマーの重量含有率は 2. 2%であり、非架橋ポリマーの重量含有率は 1 4. 8%であり、純水の重量含有率は 83%であり、架橋ポリマーの平衡膨潤度は 44で あり、ゲル自体の平衡膨潤度は 6であった。このゲルの構成及び測定された特性に ついて、下記「表 1」にまとめて示す。
[0100] [ゲルの諸特性の測定]
ゲルの「初期弾性率」及び「圧縮強度」の測定には、 ORIENTIC社製 TENSILON型 式 RTC- 1150A (試験機 A)又は ORIENTIC社製 TENSILON型式 RTC- 1150A型 式 RTC-1150A (試験機 B)と新居製作所社製 アタッチメント金具とを用いた。試験 機 Aは、 250N以下、試験機 Bは 10kN以下の応力を測定することができ、測定する ゲルの力学強度に応じて使い分けた。
[0101] 先ず圧縮試験を行い、ゲルを直径 9mmの円形状カッターにより厚さ 5mm程度の 円筒状に切り抜き、試験機 A又は Bに接続したアタッチメント金具 (上下圧縮板型)を 用いて、ゲルの高さ方向の歪に対して 10%Zmin (例えば、 5. Omm厚のゲルであ れば 0. 5mm/min)の圧縮速度でそのゲルに生じている応力を測定した。
[0102] そして、ゲルの初期弾性率は、前記圧縮試験によって得られた歪一応力曲線の歪 が 10%未満で直線性の高い領域における曲線の傾きから以下の式によって算出し た。また、ゲルの圧縮強度は、ゲルが破壊されることにより、測定中リアルタイムでモ 二ターに出力される歪一応力曲線の傾きが変化したときの応力、或いはモニターに 出力される歪一応力曲線の傾きが変化しないとしてもゲルの破壊が確認された時の 応力と表面積とから以下の式によって算出した。
[0103] (初期弾性率) = (応力) I (歪率)
(圧縮強度) = (破断時の応力) / (非変形時の表面積)
[0104] また、ゲルの破壊エネルギーにつ ヽても試験機 A又は Bを用いて測定した。ゲルの 破壊エネルギーは、 JIS K— 6252 トラゥザ型 1/2サイズの金属性カッターで切
り抜いた厚さ 4. 0〜5. Ommのゲルを、アタッチメント金具(引っ張り試験用固定器具 )で固定し、定常的な破壊が起こる条件で 500mmZminの速度で引き裂き試験を行 い、その試験結果を以下の式に当てはめることによって算出した。
[0105] 尚、通常、破壊された面としては、破壊の左右または上下など、破壊位置を基準と して、両側の二面が得られる力 ここでは議論を簡単にするため、片面のみのモデル を考える。
[0106] (破壊エネルギー) = (定常的な破壊に要した仕事) / (破断面積)
= (定常的な破壊時の平均的な力) Z (ゲルの厚さ)
[0107] また、非架橋ポリマー間又は第二のポリマー間における「水素結合よりも強い分子 間相互作用の有無」については、ゲルに対して核磁気共鳴測定を行い、分子間相互 作用の存在によって現れるはずの化学シフトが観測される力否かによって判定した。
[0108] また、セミ相互侵入網目構造における非架橋ポリマーの重量平均分子量 Mは、予
w め非架橋ポリマーの重合条件とその重量平均分子量 M との相関を把握しておき、そ の相関に基づいて非架橋ポリマーの重合条件力 算出した。
[0109] [表 1]
実施例 1〜実施例 3で得られたゲルの構成及び特性を対比することによ
り、セミ相互侵入網目構造を構成する非架橋ポリマーの重量平均分子量 Mが大きく なるに従って、ゲルの破壊エネルギーが向上することが判る。なお、表 1では、非架 橋ポリマー(B)の重量平均分子量 Mは 10を底とする指数関数で表記されている。
[0111] 本明細書は、 2004年 6月 25日出願の特願 2004— 187954に基づく。この内容は すべてここに含めておく。
産業上の利用可能性
[0112] 本発明に係るハイド口ゲルは、力学強度及び破壊ヱネルギ一が高ぐ透明で、柔軟 性、物質透過性及び耐衝撃性を備えているので、ォムッ、衛生用品、除放剤、土木 材料、建築材料、通信材料 (例えば軸受、ケーブルやその継手)、土壌改質剤、コン タクトレンズ、眼内レンズ、ホロ一ファイバー、人工軟骨、人工関節、人工臓器 (例え ば人工血管や人工皮膚)、燃料電池用材料、ノ ッテリーセパレータ、床ずれ'褥瘦防 止マット、クッション、潤滑材、化粧水等の安定剤や増粘剤、細胞培養用基材、ドラッ グデリバリーシステム (DDS)、薬物の運搬架体、特定物質のセンサー又は力テーテ ルの先端に利用するソフトァクチユエ一ター等に利用することができる。