明 細 書
Alicyclobacillus属細菌の特異的検出方法
技術分野
[0001] 本発明は、 Alicyclobacillus属細菌、特に、 Alicyclobacillus acidoterrestrisを特異的 に検出するための方法に関する。さらに、本発明は、 Alicyclobacillus属細菌、特に、 Alicyclobacillus acidoterrestrisに特異的な DNA配列を増幅するためのプライマー及 び当該 DNA配列を特異的に標識するためのプローブ、並びに該プライマー及び該 プローブの組み合わせに関する。 背景技術
[0002] Alicyclobacillus属細菌は、酸性および高温の条件下でよく生育し芽胞を形成すると いう特徴をもつ細菌である。 Alicyclobacillus属細菌は、芽胞を形成することから Bacill us属に分類されていた力 その特異な性質及び 16S rDNAの遺伝子配列から、 199 2年に Bacillusとは独立した新しい属に分類されるものとして提案された。
[0003] 前述のように高温条件下で酸性を好むという特異な性質を持つことから、当初 Alicy clobacillus属細菌は基礎的な研究材料として非常に注目されていた。し力し、 1984 年に西ドイツで起ったリンゴジュースの大規模な微生物汚染の原因が Alicyclobacillus acidoterrestris(A. acidoterrestris)であることが判明すると、当該細菌は、食品事故を 引き起こす細菌として問題視されるようになった。その後、日本においても A.acidoterr estrisによる酸性飲料の汚染事故 (異臭)が報告されるようになった (非特許文献 1)。
[0004] 従来、 A.acidoterrestrisを検出するための方法として、ペルォキシダーゼ法((社)日 本果汁協会 耐熱性好酸性菌統一検査法 平成 15年 3月 17日、および、特許文献 1 を参照のこと)と温度差法((社)日本果汁協会 耐熱性好酸性菌統一検査法 平成 1 5年 3月 17日を参照のこと)が採られてきた。
[0005] ペルォキシダーゼ法は、 A. acidoterrestrisがバニリン酸を資化してグアイアルコー ルを生産する能力を有することに基づく方法である。当該方法は、グアイアルコール を過酸ィ匕水素とペルォキシダーゼで処理することにより生成されたテトラグアイアルコ 一ルの吸光度を測定することによって判定を行う。し力しながら、この方法は、菌の活
性に左右されるため、判定結果が偽陽性又は偽陰性になりやすいという欠点をもつ。
[0006] 温度差法は、 A. addoterrestrisと他の耐熱性好酸性菌の生育至適温度が異なるこ とに基づく方法である。当該方法では、被験菌を異なる温度で同時に培養し、各培 養温度でのコロニー形成の有無を観測することによって判定を行う。しかしながら、こ の方法は、結果が得られるまでに 3〜4日の時間を必要とするという欠点を有する。
[0007] また、細菌の汚染の有無を検出する方法として慣例的に用いられているの力 シー クエンス法である。この方法では、被験菌の DNA (例えば、 16S rDNA)の塩基配列を 決定し、得られた配列をデータベースと照らし合わせ、それらの相同性力 菌種を同 定する(例えば、非特許文献 2)。しかし、このような塩基配列を基にした菌種の同定 法は、ほぼ間違いなく細菌の特定ができる一方で、結果が得られるまでに 3〜4日の 時間を必要とし、又操作が煩雑であり且つ高コストであるという問題をもつ。
[0008] 昨今、食品の安全性に対する消費者の意識が高まって 、る中で、食品事故を未然 に防ぐための対策を講ずることが一層重要とされている。そこで、 A. acidoterrestrisを はじめとする食品汚染の原因菌となり得る Alicyclobadllus属細菌を特異的に検出す るためのより迅速且つ低コストな手段が強く求められている。
特許文献 1:特開 2004-201668公報
非特許文献 1 :後藤慶ー 高温性好酸性芽胞形成細菌: Alicyclobadllus属細菌防菌 防黴 Vol.28 No.8 499-508 (2000)
非特許文献 2 :佐々木次雄、棚元憲一、平成 13年度「日本薬局方の試験法に関する 研究」研究報告 遺伝子解析による微生物の迅速同定法 医薬品研究 33(12) 7 63-769(2002)
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0009] 本発明の課題は、 Alicyclobadllus属細菌を他の細菌と区別して特異的に検出する ための迅速且つ簡便な方法を提供することである。又、本発明は、力かる方法を好適 に実施するために用いられるツールを提供することを課題とする。
課題を解決するための手段
[0010] 本発明者らは、 Alicyclobadllus属細菌を特異的に検出するための新規な方法を開
発すべく鋭意研究を行った。その結果、ある特定の配列を有するオリゴヌクレオチド をプライマーとして用いて PCRを実施することにより、 Alicyclobacillus属細菌が特異的 に有する DNA配列を増幅することができ、又、ある特定の配列を有するオリゴヌクレオ チドをプローブとして用いることにより、得られた増幅 DNA産物(PCR産物)を選択的 に標識することができることを見出し、これにより、 Alicyclobacillus属細菌を、大腸菌、 枯草菌、黄色ブドウ球菌及びサルモネラ菌といった他の属に属する細菌と区別して 特異的に検出することが出来ることを確認した。更に、本発明者らは、かかるプライマ 一及びプローブを用いることにより、 Alicyclobacillus属細菌の中でも、特に食品事故 を引き起こす細菌として問題視されている、 A. acidoterrestrisを特異的に検出するこ とが出来ることを確認した。本発明は、力かる知見に基づいて完成するに至ったもの である。
すなわち、本発明は、以下の態様を有する。
項 1.
(1)被験試料について、配列番号 1に示す塩基配列と少なくとも 90%の同一性を示 す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド及び配列番号 2に示す塩基配列と少なくとも 9 0%の同一性を示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド力もなるプライマーセット、 または配列番号 3に示す塩基配列と少なくとも 90%の同一性を示す塩基配列を有す るオリゴヌクレオチド及び配列番号 4に示す塩基配列と少なくとも 90%の同一性を示 す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなるプライマーセットを用いて PCRを行う 工程、
(2)得られた PCR産物を、配列番号 5または 6に示す塩基配列と少なくとも 90%の同 一性を示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなるプローブとハイブリダィズさ せる工程、及び
(3)上記で得られたハイブリダィズ産物を検出する工程
を有する、 Alicyclobacillus属細菌の特異的検出方法。
項 2.
(1)被験試料につ!、て、配列番号 1に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド及び 配列番号 2に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、ま
たは配列番号 3に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド及び配列番号 4に示す 塩基配列を有するオリゴヌクレオチド力 なるプライマーセットを用いて PCRを行うェ 程、
(2)得られた PCR産物を、配列番号 5または 6に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオ チド力 なるプローブとハイブリダィズさせる工程、及び
(3)上記で得られたハイブリダィズ産物を検出する工程
を有する、項 1に記載の Alicyclobadllus属細菌の特異的検出方法。
項 3.
前記プローブが固相に固定ィ匕されて 、る、項 1に記載の Alicyclobadllus属細菌の特 異的検出方法。
項 4.
上記(3)検出工程の前に、ノ、イブリダィズ産物を固相に固定ィ匕する工程
を有する、項 1に記載の Alicyclobadllus属細菌の特異的検出方法。
項 5.
Alicyclobadllus属細菌が、バニリン資化性を有する、項 1に記載の方法。
項 6.
Alicyclobadllus J¾糸田菌力 Alicyclobacillus acidoterrestrisである、 5に己載の方法 項 7.
(1')被験試料について、配列番号 1に示す塩基配列と少なくとも 90%の同一性を示 す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド及び配列番号 2に示す塩基配列と少なくとも 9 0%の同一性を示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド力もなるプライマーセットを 用いて PCRを行う工程、
(2')得られた PCR産物を、配列番号 6に示す塩基配列と少なくとも 90%の同一性を 示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド力もなるプローブとハイブリダィズさせるェ 程、及び
(3')上記で得られたノ、イブリダィズ産物を検出する工程
を有するか、または
(1")被験試料について、配列番号 3に示す塩基配列と少なくとも 90%の同一性を示 す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド及び配列番号 4に示す塩基配列と少なくとも 9 0%の同一性を示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド力もなるプライマーセットを 用いて PCRを行う工程、
(2")得られた PCR産物を、配列番号 5または 6に示す塩基配列と少なくとも 90%の同 一性を示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなるプローブとハイブリダィズさ せる工程、及び
(3")上記で得られたハイブリダィズ産物を検出する工程
を有する、 Alicyclobacillus acidoterrestrisの特異的検出方法。
項 8.
(1')被験試料につ!、て、配列番号 1に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド及び 配列番号 2に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなるプライマーセットを用 いて PCRを行う工程、
(2')得られた PCR産物を、配列番号 6に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドか らなるプローブとハイブリダィズさせる工程、及び
(3')上記で得られたノ、イブリダィズ産物を検出する工程
を有するか、または
(1")被験試料について、配列番号 3に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド及 び配列番号 4に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなるプライマーセットを 用いて PCRを行う工程、
(2")得られた PCR産物を、配列番号 5または 6に示す塩基配列を有するオリゴヌタレ ォチド力 なるプローブとハイブリダィズさせる工程、及び
(3")上記で得られたハイブリダィズ産物を検出する工程
を有する、項 7に記載の Alicyclobacillus acidoterrestrisの特異的検出方法。
項 9.
前記プローブが固相に固定化されて 、る、項 7に記載の Alicyclobacillus acidoterrest risの特異的検出方法。
項 10.
上記 (3')または(3")の検出工程の前に、ノ、イブリダィズ産物を固相に固定ィ匕するェ 程を有する、項 7に記載の Alicyclobacillus acidoterrestrisの特異的検出方法。
項 11.
被験試料が飲食物、化粧品、ヘアケア化粧品、デンタルケア製品またはそれらの原 料である、項 7に記載の Alicyclobacillus acidoterrestrisの特異的検出方法。
項 12.
(1"')被験試料について、配列番号 1に示す塩基配列と少なくとも 90%の同一性を 示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド及び配列番号 2に示す塩基配列と少なくと も 90%の同一性を示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド力もなるプライマーセット を用いて PCRを行う工程、
(2"')得られた PCR産物を、配列番号 5に示す塩基配列と少なくとも 90%の同一性を 示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド力もなるプローブとハイブリダィズさせるェ 程、及び
(3"')上記で得られたハイブリダィズ産物を検出する工程
を有する、バニリン資化性を有する Alicyclobacillus属細菌の特異的検出方法。
項 13.
(1"')被験試料について、配列番号 1に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド及 び配列番号 2に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなるプライマーセットを 用いて PCRを行う工程、
(2"')得られた PCR産物を、配列番号 5に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド 力もなるプローブとハイブリダィズさせる工程、及び
(3"')上記で得られたハイブリダィズ産物を検出する工程
を有する、項 12に記載のバニリン資化性を有する Alicyclobacillus属細菌の特異的検 出方法。
項 14.
前記プローブが固相に固定ィ匕されている、項 12に記載のバニリン資化性を有する Ali cyclobacillus属細菌の特異的検出方法。
項 15.
上記(3 "')の検出工程の前に、ハイブリダィズ産物を固相に固定ィ匕する工程を有す る、項 12に記載のバニリン資化性を有する Alicyclobadllus属細菌の特異的検出方法 項 16.
被験試料が飲食物、化粧品、ヘアケア化粧品、デンタルケア製品またはそれらの原 料である、項 12に記載のバニリン資化性を有する Alicyclobacillus属細菌の特異的検 出方法。
項 17.
配列番号 1に示される塩基配列と少なくとも 90%の同一性を示す塩基配列を有する オリゴヌクレオチド、配列番号 2に示される塩基配列と少なくとも 90%の同一性を示す 塩基配列を有するオリゴヌクレオチド、配列番号 3に示される塩基配列と少なくとも 90 %の同一性を示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド、及び配列番号 4に示される 塩基配列と少なくとも 90%の同一性を示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドから なる群より選択される少なくとも 1つのオリゴヌクレオチドからなる、 Alicyclobacillus属 細菌に特異的な DNA配列を増幅するためのプライマー。
項 18.
配列番号 1に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド、配列番号 2に示される塩 基配列を有するオリゴヌクレオチド、配列番号 3に示される塩基配列を有するオリゴヌ クレオチド、及び配列番号 4に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなる 群より選択される少なくとも 1つのオリゴヌクレオチドカゝらなる、項 17に記載の Alicyclob acillus属細菌に特異的な DNA配列を増幅するためのプライマー。
項 19.
下記(a')または(b')の!、ずれかの、 Alicyclobacillus属細菌に特異的な DNA配列を増 幅するためのプライマーセット:
(a')配列番号 1に示される塩基配列と少なくとも 90%の同一性を示す塩基配列を有 するオリゴヌクレオチド力 なる forwardプライマー、及び配列番号 2に示される塩基配 列と少なくとも 90%の同一性を示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなる rev erseプライマーを有するプライマーセット、
(b')配列番号 3に示される塩基配列と少なくとも 90%の同一性を示す塩基配列を有 するオリゴヌクレオチド力 なる forwardプライマー、及び配列番号 4に示される塩基配 列と少なくとも 90%の同一性を示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなる rev erseプライマーを有するプライマーセット。
項 20.
下記(a)または(b)の!、ずれかの、項 19に記載の Alicyclobacillus属細菌に特異的な DNA配列を増幅するためのプライマーセット:
(a)配列番号 1に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド力 なる forwardプライ マー、及び配列番号 2に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなる revers eプライマーを有するプライマーセット、
(b)配列番号 3に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド力 なる forwardプライ マー、及び配列番号 4に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなる revers eプライマーを有するプライマーセット。
項 21.
下記(c')または(d')の!、ずれかの、 Alicyclobacillus属細菌に特異的な DNA配列を標 識するためのプローブ:
(c')配列番号 5に示される塩基配列と少なくとも 90%の同一性を示す塩基配列を有 するオリゴヌクレオチド力 なるプローブ、
(d')配列番号 6に示される塩基配列と少なくとも 90%の同一性を示す塩基配列を有 するオリゴヌクレオチド力 なるプローブ。
項 22.
下記(c)または(d)の!、ずれかの、項 21に記載の Alicyclobacillus属細菌に特異的な DNA配列を標識するためのプローブ:
(c)配列番号 5に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなるプローブ、
(d)配列番号 6に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなるプローブ。 項 23.
項 17に記載する(a)及び (b)並びに項 18に記載する(a' )及び (b ' )力もなる群より選 択される少なくとも 1つのプライマーセットと、項 19に記載する(c)及び (d)並びに項 2
0に記載する(c' )及び (d' )からなる群より選択される少なくとも 1つのプローブを有す る、 Alicyclobadllus属細菌を特異的に検出するための試薬キット。
項 24.
配列番号 1に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド、配列番号 2に示される塩 基配列を有するオリゴヌクレオチド、配列番号 3に示される塩基配列を有するオリゴヌ クレオチド、及び配列番号 4に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなる 群より選択される少なくとも 1つのオリゴヌクレオチドの、 Alicyclobadllus属細菌に特異 的な DNA配列を増幅するための PCRにおけるプライマーとしての使用。
項 25.
下記(a)または(b)の!、ずれかのプライマーセットの、 Alicyclobacillus属細菌に特異 的な DNA配列を増幅するための PCRにおける使用:
(a)配列番号 1に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド力 なる forwardプライ マー、及び配列番号 2に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなる revers eプライマーを有するプライマーセット、
(b)配列番号 3に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド力 なる forwardプライ マー、及び配列番号 4に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなる revers eプライマーを有するプライマーセット。
項 26.
下記(c)または(d)の!、ずれかのプローブの、 Alicyclobacillus属細菌に特異的な DN A配列を標識するための使用:
(c)配列番号 5に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなるプローブ、
(d)配列番号 6に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなるプローブ。 項 27.
配列番号 1に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド力 なる forwardプライマ 一、及び配列番号 2に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド力 なる reverse プライマーを有するプライマーセット、並びに、配列番号 6に示される塩基配列を有 するオリゴヌクレオチド力 なるプローブ、或いは、
配列番号 1に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド力 なる forwardプライマ
一、及び配列番号 2に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド力 なる reverse プライマーを有するプライマーセット、並びに、配列番号 5又は 6に示される塩基配列 を有するオリゴヌクレオチド力もなるプローブ、
の Alicyclobacillus acidoterrestrisの特異的検出のための使用。
項 28.
配列番号 1に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド力 なる forwardプライマ 一、及び配列番号 2に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド力 なる reverse プライマーを有するプライマーセット、並びに、配列番号 6に示される塩基配列を有 するオリゴヌクレオチドからなるプローブ、のバニリン資化性を有する Alicyclobacillus 属細菌の特異的検出のための使用。
[0012] 以下、本発明をより詳細に説明する。
[0013] 本発明は、被験試料を対象として、 Alicyclobacillus属に属する細菌(本書において 、単に、 Alicyclobacillus属細菌ともいう)を特異的に検出する方法を提供する。当該 本発明の方法は、基本的に、(l) PCR (Polymerase Chain Reaction)を利用して Alicy clobacillus属細菌が特有に保有する DNA配列を増幅するための工程(PCR工程)、( 2)当該 PCR工程によって増幅された Alicyclobacillus属細菌特有の DNA配列(PCR産 物)を、プローブとハイブリダィズする工程 (ノヽイブリダィゼーシヨン工程)、及び(3)当 該ハイブリダィゼーシヨン工程で得られたハイブリダィズ産物(PCR産物-プローブ)を 検出する工程 (検出工程)を有する。
[0014] (l) PCR工程
PCR工程は、基本的に少なくとも (I)変性、(II)アニーリング、及び (III)伸長の 3つのス テツプを繰り返し実施することによって行なわれる。本発明の方法で用いられる PCR 工程は、上記 (II)アニーリングのステップにおいて、配列番号 1に示す塩基配列と少 なくとも 90%の同一性を示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなるプライマー と配列番号 2に示す塩基配列と少なくとも 90%の同一性を示す塩基配列を有するォ リゴヌクレオチドからなるプライマー、または配列番号 3に示す塩基配列と少なくとも 9 0%の同一性を示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなるプライマーと配列 番号 4に示す塩基配列と少なくとも 90%の同一性を示す塩基配列を有するオリゴヌク
レオチドからなるプライマーをそれぞれプライマーセットとして、さら〖こ好ましくは、配 列番号 1に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなるプライマーと配列番号 2 に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなるプライマー、または配列番号 3に 示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなるプライマーと配列番号 4に示す塩 基配列を有するオリゴヌクレオチドからなるプライマーをそれぞれプライマーセットとし て用いることを特徴とする。
[0015] なお、これらのプライマーは 5'末端が標識されているオリゴヌクレオチドであってもよ い。プライマーとして力かる 5'末端が標識されているオリゴヌクレオチドを用いると、 5' 末端が標識された態様で PCR産物を取得することができる。 5'末端の標識には、制 限はされないが、例えば、ジゴキシゲニン(DIG)、ピオチン、アビジン、ストレプトアビ ジン、酵素(西洋わさびパーォキシダーゼ(HRP)、アルカリフォスファターゼ (AP)等) 、放射性同位体 (32P、 131I、 3 、 45Ca、 3H、 WC等)、蛍光色素 (例えば、 CyDye、フルォ レセインイソチオシァネート(FITC)、テトラメチノレローダミンイソチオシァネート (TRIT C)等)等の当該分野で使用される標識剤を同様に使用することができる。好ましくは 、ジゴキシゲニン、ピオチンである。
[0016] 最も好適なプライマーセットとしては、下記 (A)または (B)に示す、 forwardプライマー と reverseプライマーからなるプライマーセットを挙げることができる。またこれらの forwa rdプライマー及び reverseプライマーも、上記と同様に、各々 5'末端が標識されている オリゴヌクレオチドであってもよ ヽ。
(A)プライマーセット
forwardフフィマ ~~: cacgtgggcaatctgccttt (酉己列番 1 J
reverseプフィマ1 ~~: gagccgttacctcaccaact ( C列 ¾·号 2)
(B)プライマーセット
forwardプフィマ1 ~~: cagactggaataacactcgg (目 cl列 ¾·号 d)
reverseフフィマ ~~: ctacgcatcgtcgccttggt (酉己列番 4)
これらの各プライマーは、常法(例えば、ホルムアミド法(Beaucage and Carruthers, Tetra. Letts. 22:1859-1862, 1981)又はトリエステル法(Matteucci and CaruthersJ. Amer. Chem. So , 103, 3185, 1981) )により合成することができる。簡便には、自動
合成装置を用いて合成したり、受託業者カゝら合成品を入手することもできる。
[0017] ここで、 PCRを行う被験試料は、 Alicyclobacillus属細菌を含み得るものであればよく 、特に制限されない。なお、「含み得る」とは Alicyclobacillus属細菌を含む可能性のあ るものであればよぐ実際に Alicyclobacillus属細菌を含んでいる必要はない。かかる 被験試料としては、特に制限されないが、飲食物、化粧品、ヘアケア化粧品、デンタ ルケア製品またはそれらの原料等といった Alicyclobacillus属細菌を含むことによって 商品価値や安全性が損なわれる製品である。特に好ましくは飲食物である。
[0018] なお、力かる被験試料は、 PCR工程に供される前に、必要に応じて、 DNA抽出、溶 菌、インキュベーション、静置培養、振とう培養、濃縮、希釈、均質化等の操作を行つ てもよい。
[0019] PCR工程において、(I)変性は、二重鎖の DNAを一本鎖 DNAに解離させるステップ である。その限りにおいて制限されないが、通常 92〜96°C、好ましくは 94°C前後で 0.5 〜1分、好ましくは 0.5分程度処理することによって実施することができる。次いで行わ れる (II)アニーリングは、変性によって解離した一本鎖 DNAに相補的な塩基配列を有 するオリゴヌクレオチドを結合させて二本鎖を形成する反応である。かかる (II)ァニーリ ングは、前述するプライマーセット、最も好ましくは上記(A)または (B)のプライマーセ ットの forwardプライマー及び reverseプライマーの存在下で行われる。制限はされな いが、当該 (II)アニーリングステップは通常 50〜68°C、好ましくは 60°C前後で 0.5〜1分 、好ましくは 0.5分程度処理することによって実施することができる。この際、上記 (I)変 性ステップで形成された一本鎖 DNA上に、上記使用のプライマーの塩基配列と相補 的な塩基配列がある場合に、当該プライマーは、その一本鎖 DNAの相補的な塩基配 列部位に結合する。次いで行われる (III)伸長ステップは、上記一本鎖 DNAに結合し たプライマーを起点として、当該一本鎖 DNAを铸型に、塩基配列を伸長していくステ ップである。力かるステップは DNAポリメラーゼと四種類の塩基〔デォキシヌクレオシド 三リン酸(dNTP mixture) :dATP、 dCTP、 dGTP及び dTTP〕の存在下で行われる。特 に制限されないが、当該 (III)伸長ステップは、通常 70〜74°C、好ましくは 72°C前後で 0.5〜2分間、好ましくは 1分程度処理することによって実施することができる。
[0020] なお、通常上記のステップ (I)〜(: III)を含む PCR工程は、少なくとも、铸型 DNAとなり
得る DNAを含む被験試料、 PCRバッファー、プライマーセット、 dNTP mixture,及び D NAポリメラーゼを含む一反応液中で、温度の上下 (例えば、 94°C前後→55°C前後→ 72°C前後→94°C前後)等のサイクルを繰り返すことによって実施することができ、斯く して DNA合成の連鎖反応が起こり、当該反応液内で、被験試料に含まれる DNAを铸 型として forwardプライマー及び reverseプライマーの間に挟まれた特定の塩基配列を 有する DNAを増幅することが可能となる。なお、上記 PCRのサイクル数は、特に制限 されないが、通常 20〜40回、好ましくは 25〜35回を挙げることができる。
[0021] なお、上記反応において DNAポリメラーゼは、 PCRで一般に使用される DNAポリメラ ーゼを広く使用することができる力 市販の耐熱性ポリメラーゼ、例えば、 Taq(Promeg a社製)、 KOD(TOYOBO社製)、 Pfo(Promega社製)、 Vent(NEB社製)等を好適に用い ることがでさる。
[0022] また、 PCR産物を標識された形態で取得する場合には、前述するようにプライマー として 5'末端が標識されてなるオリゴヌクレオチドを使用してもよいが、それ以外に、 上記反応で使用する dNTP mixture (デォキシヌクレオシド三リン酸の混合物)として、 dATP(5,-デォキシアデノシン 5'-三リン酸)、 dCTP(5,-デォキシシチジン 5'-三リン酸 )、 dGTP (5,-デォキシグアノシン 5'-三リン酸)及び dTTP(5,-デォキシチミジン 5'-三リ ン酸)にカ卩えて、例えばジゴキシゲニン (DIG)やピオチン (Biotin)で標識してなる DIG - 11- dUTP(5,-デォキシゥリジン 5'-三リン酸)や Biotin- 16- dUTP等のように、任意の 標識剤で標識されてなる dUTPを含むものを使用することもできる。また dNTP mixture として dATP、 dCTP、 dGTP及び dTTPのいずれか少なくとも 1つが放射性同位体(RI) 、化学発光剤、または蛍光色素などの任意の標識剤で標識されてなるものを使用す ることちでさる。
[0023] PCRバッファ一は、使用する DNAポリメラーゼの種類等に応じて、適宜調製すること ができる。簡便には市販品を用いることもできる。
[0024] また上述する PCRの反応条件 (反応温度、反応時間、反応サイクル等)は一例であ つて、使用する DNAポリメラーゼの種類、目的 PCR産物の大きさ、各プライマーの Tm 値などに応じて、適宜設定し調整することが可能である。
[0025] なお、 PCR反応の温度制御は、簡便には、市販のサーマルサイクラ一(例えば、 iCy
cler Thermal Cycler(Bio- Rad Laboratory社製)、 TaKaRa PCR Thermal Cycler(TaKa Ra社製)等を用いて行うことができる。
[0026] (2)ハイブリダ一ゼーシヨン工程
本発明で 、うハイブリダ一ゼーシヨン工程は、上記 PCR工程によって増幅された DN A配列(PCR産物)を、当該 DNA配列を特異的に認識するオリゴヌクレオチドプローブ (ハイブリダ一ゼーシヨンプローブ)とハイブリダィズさせる工程である。
[0027] ここでプローブとして用いられるオリゴヌクレオチドとしては、配列番号 5に示す塩基 配列と少なくとも 90%の同一性を示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド、及び配 列番号 6に示す塩基配列と少なくとも 90%の同一性を示す塩基配列を有するオリゴ ヌクレオチド、より好ましくは、配列番号 5に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド 、及び配列番号 6に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを挙げることができる。 最も好適なプローブとしては、下記 (C)または (D)に示すオリゴヌクレオチドからなるプ ローブを挙げることができる:
(C)ブローブ: gtgctaatgccggataatacacggg (酉己列 号 5)
(D)プローブ: acttgtgttgaaagatgcaac (配列番号 6)。
[0028] なお、これらのプローブは、適当な標識剤で標識されて ヽてもよ ヽ。ここで標識剤と しては、前述するようにジゴキシゲニン(DIG)、ピオチン、アビジン、ストレプトアビジン 、酵素(西洋わさびパーォキシダーゼ (HRP)、アルカリフォスファターゼ (AP)等)、放 射性同位体 (32P、 1311、 3¾、 45Ca、 3H、 WC等)、蛍光色素 (例えば、 CyDye、フルォレセ インイソチオシァネート(FITC)、テトラメチノレローダミンイソチオシァネート (TRITC)等 )等の当該分野で一般的に使用される標識剤を広く挙げることができる。
[0029] プローブは前述するプライマーセットとの特定の組み合わせで使用されることが好 ましい。 Alicyclobacillus属細菌を他の属に属する細菌から区別して特異的に検出す る方法において、上記のプローブはいずれも、前述するプライマーセット、最も好まし くは上記(A)または (B)のプライマーセットを用いた PCR工程で得られる PCR産物との ハイブリダィゼーシヨンに好適に使用することができる。
[0030] ここで Alicyclobacillus属以外の細菌としては、大腸菌、枯草菌、黄色ブドウ球菌、サ ルモネラ菌等を挙げることができる。また Alicyclobacillus属細菌としては、好適には A1
icyclobacillus acidoterrestris (A. acidoterrestris)を挙げること力 Sでさ 。当該 A. acido terrestrisは、バニリン資化性を有し、し力も高温条件で酸性を好むという性質をもつ ことから、特に食品分野では、従来より酸性飲料の汚染 (悪臭)の原因菌として問題と されている細菌である。また、 A. acidoterrestrisはそのバニリン資化性に基づいて悪 臭を発生しえる菌であることから、飲食物だけでなぐ化粧品、ヘアケア製品、デンタ ルケア製品、香料などの、香りが重要とされる製品においても、当該 A. acidoterrestri sのコンタミネーシヨンは問題となる。
[0031] Alicyclobacillus属細菌の中でも特に A. acidoterrestrisを特異的に検出するために は、配列番号 1に示される塩基配列と少なくとも 90%の同一性を示す塩基配列を有 するオリゴヌクレオチドと配列番号 2に示す塩基配列と少なくとも 90%の同一性を示 す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、より好ましくは配列 番号 1に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと配列番号 2に示す塩基配列を有 するオリゴヌクレオチド力もなるプライマーセット、最も好ましくは上記 (A)のプライマー セットを用いた PCR工程で得られる PCR産物に対して、配列番号 6に示す塩基配列と 少なくとも 90%の同一性を示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなるプロ一 ブ、より好ましくは配列番号 6に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなるプ ローブ、最も好ましくは上記 (D)のプローブを用いることが好適であり、また、配列番 号 3に示す塩基配列と少なくとも 90%の同一性を示す塩基配列を有するオリゴヌタレ ォチドと配列番号 4に示す塩基配列と少なくとも 90%の同一性を示す塩基配列を有 するオリゴヌクレオチド力もなるプライマーセット、より好ましくは配列番号 3に示す塩 基配列を有するオリゴヌクレオチドと配列番号 4に示す塩基配列を有するオリゴヌタレ ォチドからなるプライマーセット、最も好ましくは上記 (B)のプライマーセットを用いた P CR工程で得られる PCR産物に対して、配列番号 5または 6に示す塩基配列と少なくと も 90%の同一性を示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド力もなるプローブ、より 好ましくは配列番号 5または 6に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド力 なるプ ローブ、最も好ましくは上記(C)または(D)のプローブを用いることが好適である。
[0032] また、 Alicyclobacillus属細菌の中で、バニリン資化性を有し悪臭の原因となり得る A.
acidoterrestris、 A. hesperidumおよび A. hespendensisを、 Alicyclobacillus属以外の
細菌やバニリン資化性のない Alicyclobadllus属細菌と区別して特異的に検出するた めには、配列番号 1に示す塩基配列と少なくとも 90%の同一性を示す塩基配列を有 するオリゴヌクレオチドと配列番号 2に示す塩基配列と少なくとも 90%の同一性を示 す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、より好ましくは配列 番号 1に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと配列番号 2に示す塩基配列を有 するオリゴヌクレオチド力もなるプライマーセット、最も好ましくは上記 (A)のプライマー セットを用いた PCR工程で得られる PCR産物に対して、配列番号 5に示される塩基配 列と少なくとも 90%の同一性を示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなるプロ ーブ、より好ましくは配列番号 5に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなる プローブ、最も好ましくは上記(C)のプローブを用いるのが好適である。
(3)検出工程
当該検出工程は、上記ハイブリダ一ゼーシヨン工程によって得られたノヽイブリダィズ 産物(PCR産物-プローブ)を検出する工程である。当該検出は、例えば、(l)PCRェ 程において、 5'末端を標識したプライマー若しくは標識核酸を含む dNTP mixtureを 用いることによって、標識 PCR産物を得ている場合には、当該 PCR産物 (標識 PCR産 物-プローブ)の標識を指標として、また (2)ハイブリダ一ゼーシヨン工程において、ノヽ イブリダィゼーシヨンプローブとして標識プローブを用いることによって、標識ハイブリ ダイズ産物(PCR産物-標識プローブ)を得て ヽる場合には、当該プローブの標識を 指標として行うことができる。当該検出のために使用される標識剤としては、ジゴキシ ゲニン (DIG)、放射性同位体 (32P、 131I、 35S、 45Ca、 3H、 14C等)、蛍光色素 (例えば、 Cy Dye,フルォレセインイソチオシァネート(FITC)、テトラメチルローダミンイソチォシァ ネート (TRITC)等)を用いることが好ましい。力かる標識剤の検出は、使用する標識 剤に応じて慣例的な方法により行うことができる。例えば、ハイブリダィズ産物がジゴ キシゲニン (DIG)で標識されて!ヽる場合には、当該標識ハイブリダィズ産物をアル力 リフォスファターゼ (AP)やパーォキシダーゼ (POD)などの酵素で標識した抗ジゴキ シゲニン抗体と反応させ、次いで当該酵素の基質 (APの場合は、 Nitroblue tetrazoliu m chloride及び 5- blomo- 4- chloro- 3- indolyl phosphate: PODの場合は、 TMBまたは 2 ,2'-アジノビス (3-ェチルベンゾチアゾリン- 6-スルホン酸 (ABTS) )と反応させて発色を
検出する方法を;ハイブリダィズ産物が蛍光色素で標識されている場合は当該標識 ノ、イブリダィズ産物の蛍光強度を検出する方法を;ハイブリダィズ産物が放射性同位 体で標識されて ヽる場合は、当該標識ハイブリダィズ産物の放射能の有無をオートラ ジオグラフィーを用いて検出する方法を挙げることができる。
[0034] (4)固定化工程
なお、本発明の方法は、上記(2)ハイブリダィゼーシヨン工程に先だって、プローブ を任意の固相に固定ィ匕する固定ィ匕工程、または上記(3)検出工程に先だって、 (2) ハイブリダィゼーシヨン工程で得られたハイブリダィズ産物を任意の固相に固定ィ匕す る固定ィ匕工程を有することもできる。
[0035] 当該プローブ又はハイブリダィズ産物の固相への固定ィ匕は、制限はされないが、好 とができる。具体的には、ピオチンで標識したプローブを、或いはピオチンで標識し た PCR産物を用いて調製されたハイブリダィズ産物(ピオチン標識 PCR産物-プロ一 ブ)またはピオチンで標識したプローブを用いて調製されたノ、イブリダィズ産物(PCR 産物-ピオチン標識プローブ)を、予めアビジン (またはストレプトアビジン)を結合させ てお ヽた固相と反応させることによって、ピオチンとアビジン(またはストレプトアビジン )との結合を介して、固相に固定ィ匕することができる。プローブを固定ィ匕する場合、当 該プローブにハイブリダィズさせる PCR産物は、前述する検出のために好適に用いら れる標識剤で標識されて ヽることが好ま ヽ。ハイブリダィズ産物を固定ィ匕する場合、 ハイブリダィズ産物のピオチンで標識されて ヽな 、側(すなわち PCR産物がピオチン で標識されて 、る場合はプローブ、プローブがピオチンで標識されて!、る場合は PC R産物)は、前述する検出のために好適に用いられる標識剤で標識されていることが 好ましい。斯くして、固相に固定ィ匕させた特定のハイブリダィズ産物を特異的に検出 することが可能となる。
[0036] すなわち、本発明の Alicyclobacillus属細菌、特に A. acidoterrestrisを特異的に検 出する方法は、好適には PCR ELISAの原理を利用して行うことができる。 PCR ELISA とは、 PCRにより増幅された産物の有無を ELISAにより検出する方法である。 PCR ELI SAでは、予め PCR産物及びプローブをそれぞれ別の標識剤で標識しておく。次いで
、プローブと PCR産物をハイブリダィズさせてハイブリダィズ産物を形成させ、当該ハ イブリダィズ産物の PCR産物またはプローブのいずれかの標識剤を介して固相に固 定化する。その後、固相に固定化されな力つた物質を取り除き、次いで、ハイブリダィ ズ産物の標識剤(固定ィ匕に使用しない別の標識剤)を任意の検出用物質 (例えば、 抗体など)で検出する。なお、カゝかる説明は、本発明の 1つの実施形態として使用す る PCR ELISA法の原理についてより容易に理解するための単なる説明であり、この方 法に限定されるものではない。 PCR ELISA法の詳細な手順については、 Roche Mole cular Biochemicals PCR Applications Manual 2nd edition等を参照することができる。
[0037] なお、上記固定ィ匕に使用される固相としては、特に制限されることなぐ当該分野で 使用されるシャーレやプレート(マイクロプレートを含む)、ストリップ、ビーズ等を広く 用!/、ることができる。
[0038] 本発明は、また上記 Alicyclobacillus属細菌、特に A. acidoterrestrisを特異的に検 出する方法に利用されるプライマー(プライマーセット)及びプローブを提供する。こ れらのプライマー(プライマーセット)及びプローブについては、前述の通りである。
[0039] 本発明は、本発明の Alicyclobacillus属細菌、特に A. acidoterrestrisを特異的に検 出する方法を簡便に実施するために好適に利用される試薬キットを提供する。当該 試薬キットは、キットの構成成分として、少なくとも上記プライマー (プライマーセット) 及びプローブを含むことを特徴とする力 他の成分として、例えば PCRバッファー、 D
NAポリメラーゼ、 DIG- 11- dUTPや Biotin- 16- dUTPを含んでいてもよい dNTP mixture 、滅菌水、固相(マイクロプレートなど)等を 1種または 2種以上組み合わせて含むも のであってもよい。
発明を実施するための最良の形態
[0040] 以下に本発明の実施例を示すが、かかる実施例は本発明をより容易に理解するた めの単なる例示であって、本発明を限定することを意図しない。
実施例 1
[0041] 1.微生物からの DNA溶液の調製
単離し 7こ Alicyclobacillus acidoterrestris、大月昜歯、 Escherichia coli)、枯草! ¾ (Bacill us subtilis)、黄色ブ rゥ球菌 (Stapnylococcus aureusノ及びサルモネフ菌 (Salmonella
enteritidis)を白金耳で釣菌し、 PrepMan Ultra(Applied Biosystems)200 μ Lに懸濁 した。この懸濁液を 100°Cで 10分間加熱することにより、細胞を溶菌した。 3000rpm で 5分間遠心した後、上清を回収し、 DNA溶液とした。
2. PCR ELISA法
PCR ELISA法には、以下の表 1に示す組み合わせの forwardプライマー、 reverseプ ライマー及びプローブを用いた。このプローブは、 3'末端をピオチン標識して用いた 。 3,末端のビォチン標識は、市販のキット Biotin-16-2',3し dideoxy-uridine-5し tripho sphate (Roche社)を用いて行った。また、標識方法については、 Schmitz, G.G. et al. (1990) Anal. Biochem. 192, 222.を参照のこと。なお、プライマー名の F及び Rは、そ れぞれ forward (順方向)及び reverse (逆方向)を意味する。また、プローブ名の Pは、 probe (プローブ)を意味する。
[0042] [表 1]
[0043] 2—1. PCR
先ず、上記の表 1に示す No. l〜No. 4の forwardプライマー及び reverseプライマ 一のセットを用いて、 PCRを行った。ジゴキシゲニン(DIG)標識には、 dATP、 dCTP、 d GTP、 dTTP及び DIG- 11- dUTPを含む試薬を備える市販のキット PCR ELISA (DIG- L abeling) (Roche社製)を用いた。この PCR ELISA (DIG- Labeling)を用いて PCRを行う ことにより、増幅産物中に DIG-11-dUTPが取り込まれ、 DIG標識された増幅産物が得 られる。
[0044] PCRの反応溶液を、以下の組成になるように調製した。
DNA溶液 2 . 5 μ 1
1 0 X PCRバッファー (TaKaRa製) 2 . 5 μ 1
PCR DIG label ing mix (Roche社製) 2 . 5 μ I
forwardプライマー ( 5 0 p M) 0 . 2 5 μ 1
reverseプライマー ( 5 0 p M) 0 . 2 5 μ I
Taq ポリメラーゼ(5 Units) (TaKaRa社製) 0 . 0 5 μ I
Water,—steri le, PCR grade (Roche社製) 6 . 9 5 ji 1
合計 2 5 μ I
PCRの反応条件は、以下の表 2に示す通りである。
[0045] [表 2]
94 °C X Γ) m i n.
i
35 cyc l es
i
72 °C X 10 mi n.
1
4 f or ever
[0046] 2— 2. ELISA(DIGの検出)
DIG標識された PCR産物の検出のために、市販のキット PCR ELISA (DIG Detection ) (Roche社製)を用いて、以下の操作を行った。
[0047] 先ず、 DIG標識された PCR産物を変性させて 1本鎖にした後、 3 '末端をピオチン標 識したプローブと混合し、 50°Cにて 90分間振とうした。この反応液をストレプトァビジ ン固相化マイクロプレート(Roche社製)にカロえ、 50°Cで 90分間振とうを行った。キット 付属の洗浄液で 5回洗浄を行った。次いで、ペルォキシダーゼ (POD) (Roche社製) で標識された抗 DIG抗体 (Roche社製)を加え、次いで、 37°Cで 30分間振とうした。そ の後、キット付属の洗浄液で 5回洗浄を行った。 PODの基質である 2,2'-アジノビス (3- ェチルベンゾチアゾリン -6-スルホン酸 (ABTS™)を添加し(ここでは、キット付属の AB TS™1錠を 5 mlの基質バッファーに溶解したものを使用した)、 37°Cで 30分間振とうを 行った。得られたサンプルについて、主波長 492nm及び副波長 620nmにて、吸光 度を測定した。吸光度が 1. 0以上である場合 + +、 1. 0〜0. 2である場合 +、 0. 2
以下である場合一として判定を行った。
3. PCR ELISAの結果
結果を以下の表 3に示す。
[表 3]
[0049] 表 3に示されるように、 No. l〜No. 4の全ての組み合わせにおいて、 A.acidoterres trisが検出されたが、大腸菌、枯草菌、黄色ブドウ球菌及びサルモネラ菌は検出され なかった。
4.
No. l〜No. 4の全ての組み合わせにおいて、 A.acidoterrestrisを他の属の細菌か ら区別して特異的に検出することができた。中でも、 No. 1及び 2のプライマー及びプ ローブの組み合わせにつ!/、ては、 A.acidoterrestrisと他の属の細菌との判定結果の 差が大きぐ非常に特異的に A.acidoterrestrisを検出することができることが分かる。 実施例 2
[0050] 1. DNA溶液の調製
AlicyclobacillusJ¾に属する 4種類の糸田菌である A.acidoterrestris、 A.acidocaldarius、 A .hesperidensis及び A.hesperidumを用いて、実施例 1と同様の手順に従って、 DNA溶 液を調製した。
2. PCR ELISA法
実施例 1と同様に、 PCR ELISA法を行った。プライマー及びプローブについては、 前記表 1の No. l〜No. 4に示す糸且み合わせの forwardプライマー、 reverseプライマ 一及びプローブを用いた。
[0051] 3. PCR ELISAの
結果を以下の表 4に示す。
[0052] [表 4]
[0053] 表 4〖こ示されるよう〖こ、 No. 2 4のプライマー及びプローブの糸且み合わせにおいて は、 A.acidoterrestrisのみが検出され、他の Alicyclobacillus属細菌は検出されなかつ た。 No. 1の糸且み合わせにおいては、 A.acidoterrestrisに加え、 A.hesperidum及び A. hesperidensisも検出され、 A.acidocaldariusについては検出されなかった。
4.考察
No. l No. 4の全ての組み合わせにおいて、バニリン資化性を有し汚染の原因 菌として多数報告されて 、る A.acidoterrestrisが検出され、バニリン資化性を有さず 汚染の原因菌としても報告されて ヽな 、A.acidocaldariusにつ!/、ては検出されなかつ た。
[0054] 特に、 No. 2 4のプライマー及びプローブの糸且み合わせでは、 A.acidoterrestrisを 他の全ての Alicyclobacillus属細菌から区別して特異的に検出した。それゆえ、 No. 2 4の組み合わせは、 A.acidoterrestrisのみを特異的に検出する組み合わせとして 有用である。
[0055] 一方、 No. 1プライマー及びプローブの糸且み合わせは、 A.acidoterrestrisと比べて 低レベルではある力 バニリン資化性を有し汚染の原因菌となり得る A.hesperidum及 び A.hesperidumの近縁種である A.hesperidensisをも検出する。それゆえ、 No. 1の組 み合わせは、バニリン資化性を有し異臭を引き起こし得る種類の Alicyclobacillus属細 菌を包括的に検出する場合に有用である。
産業上の利用可能性
[0056] 本発明は、迅速、簡便、且つ低コストな Alicyclobacillus属細菌の特異的検出方法を
提供する。
[0057] 本発明では、 Alicyclobacillus属細菌に特異的な DNA配列を増幅するプライマー及 び当該 DNA配列を特異的に標識するプローブを用いるため、 Alicyclobacillus属細菌 に特異的な DNA配列に基づ 、て、該細菌を他の属の細菌から区別して特異的に検 出することが可能である。それゆえ、本発明を用いれば、菌の活性に影響されること なぐ Alicyclobacillus属細菌を検出することができる。
[0058] 本発明の方法は、 PCRを利用する方法であるため、被験試料中の Alicyclobacillus 属細菌が少量であっても検出することができ、検出感度が高い。
[0059] また、本発明のプライマー及びプローブの組み合わせによっては、バニリン資化性 を有する Alicyclobacillus属細菌を包括的に検出したり、 Alicyclobacillus acidoterrestr isのみを特異的(又は、選択的)に検出したりすることができる。
[0060] 本発明の方法は、菌の培養や DNA配列決定といった時間の力かる操作を必要とし ないので、迅速に Alicyclobacillus属細菌を検出することができる。また、本発明の方 法は、配列決定のための高価な試薬や機器を必要としないので、低コストで行うこと が可能である。