明 細 書
液体吐出装置及び液体吐出方法
技術分野
[0001] 本発明は、基材の表面に液滴を吐出する液体吐出装置及び液体吐出方法に関す る。
^景技術
[0002] 従来、基材の表面に液滴を吐出するインクジェット記録方式としては、圧電素子の 振動によりインク流路を変形させることによりインク液滴を吐出させるピエゾ方式、イン ク流路内に発熱体を設け、その発熱体を発熱させて気泡を発生させ、気泡によるイン ク流路内の圧力変化に応じてインク液滴を吐出させるサーマル方式、インク流路内 のインクを帯電させてインクの静電吸引力によりインク液滴を吐出させる静電吸引方 式が知られている。
[0003] 従来の静電吸引方式のインクジェットプリンタとして、特許文献 1 , 2に記載のものが 挙げられる。力かるインクジェットプリンタは、その先端部からインクの吐出を行う複数 の凸状インクガイドと、各インクガイドの先端に対向して配設されると共に接地された 対向電極と、インクガイドごとにインクに吐出電圧を印加する吐出電極とを備えている 。そして、凸状インクガイドは、インクを案内するスリット幅が異なる二種類のものを用 意し、これらのものを使い分けることで、二種類の大きさの液滴を吐出可能とすること を特徴とする。
そして、この従来のインクジェットプリンタは、吐出電極にパルス電圧を印加すること でインク液滴を吐出し、吐出電極と対向電極間で形成された電界によりインク液滴を 対向電極側に導いている。
特許文献 1:特開平 8 - 238774号公報
特許文献 2 :特開 2000— 127410号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0004] し力、しながら、上記従来例には、以下の問題があった。
(1)微小液滴形成の安定性
ノズノレ径が大きいため、ノズルから吐出される液滴の形状が安定しない。
(2)高印加電圧
微小液滴の吐出のためには、ノズノレの吐出口の微細化を図ることが重要因子とな つてくるが、従来の静電吸引方式の原理では、ノズル径が大きいことにより、ノズル先 端部の電界強度が弱ぐ液滴を吐出するのに必要な電界強度を得るために、高い吐 出電圧(例えば 2000[V]に近レ、非常に高レ、電圧)を印加する必要があった。従って、 高い電圧を印加するために、電圧の駆動制御が高価になり、さらに、安全性の面から も問題があった。
(3)吐出応答性
上記の特許文献 1, 2に開示されたインクジェット装置では、上記(2)と同様の理由 により高い吐出電圧の印加により吐出を行うため、メニスカス部の中心に電荷が移動 するための電荷の移動時間が吐出応答性に影響し、印字速度の向上において問題 となっていた。また、インクに対するパルス電圧を印加することのみによりインク吐出を 行うために、そのパルス電圧を印加する電極に高電圧を印加する必要があり、上述し た(2)、(3)の問題を助長する傾向にある、という不都合があった。
(4)吐出量の安定性
上記の特許文献 1, 2に開示された従来のドロップオンデマンド型静電吸引型インク ジェット方式では、吐出の制御は印加電圧の ON/OFFによって行われる方式、あるい は、ある程度の直流バイアス電圧を印加しておき、それに信号電圧を重ねることによ つて行われる振幅変調方式が用いられている。し力しながら、吐出休止後、再度吐出 開始する際の時間応答性が悪ぐまた吐出量も不安定になる問題があった。
また、上記(1)一 (4)の問題点は、基材及びノズノレ周辺の電界強度がノズノレの先端 部から基材までの距離の変化によって影響を受けることによつても生じていた。なお、 ノズノレの先端部から基材までの距離は、フィードバック制御により或る程度の精度で 一定の値に保つことが可能である。しかし、基材表面のうねりや、複数のノズルを配し た場合のノズル位置の精度、基材を固定するステージの精度、ノズルを固定するステ ージの精度などを組み合わせて総合的に高い精度で前記距離を一定の値に保つこ
とは困難である。このため、工業的には、ノズルから基材までの距離の精度が悪くて も、上記(1)一(4)の問題点を改善することが望まれてレ、る。
[0006] 本発明の課題は、ノズノレの先端部から基材までの距離の変化に関わらず、基材及 びノズノレ周辺の電界強度の変化を抑制することができる液体吐出装置及び液体吐 出方法を提供することである。
課題を解決するための手段
[0007] 本発明の第 1の側面によれば、本発明の帯電した溶液の液滴を基材に吐出する液 体吐出装置であって、
内部直径が 25[ / m]以下の先端部から前記液滴を吐出するノズルを有する液体吐 出ヘッド、と、
前記ノズノレ内の溶液に吐出電圧を印加する吐出電圧印加手段とを備え、 前記ノズノレの先端部から前記基材までの距離 h [ μ m]は、
l/h2< 4 X 10— 4
を満たす。
[0008] 以下、ノズル径という場合には、液滴を吐出する先端部におけるノズノレの内部直径
(ノズルの先端部の内部直径)を示すものとする。なお、ノズル内の液体吐出穴の断 面形状は円形に限定されるものではなレ、。例えば、液体吐出穴の断面形状が多角 形、星形その他の形状である場合にはその断面形状の外接円が 25[ μ m]以下となる ことを示すものとする。
以下、ノズル径或いはノズルの先端部の内部直径という場合において、他の数値 限定を行っている場合にも同様とする。また、ノズル半径という場合には、このノズル 径(ノズノレの先端部の内部直径)の 1Z2の長さを示すものとする。
[0009] 本発明において、「基材」とは吐出された溶液の液滴の着弾を受ける対象物をいい 材質的には特に限定されない。従って、例えば、上記構成をインクジェットプリンタに 適応した場合には、用紙やシート等の記録媒体が基材に相当し、導電性ペーストを 用いて回路の形成を行う場合には、回路が形成されるべきベースが基材に相当する こととなる。
[0010] 上記構成にあっては、ノズノレの先端部に液滴の受け面が対向するように、ノズル又
は基材が配置される。これら相互の位置関係を実現するための配置作業は、ノズノレ の移動又は基材の移動のいずれにより行っても良い。
また、ノズノレ内の溶液は吐出を行うために帯電した状態にあることが要求される。そ のため、溶液の帯電に必要な電圧印加を行う帯電専用の電極を設けても良い。
そして、ノズル内において溶液が帯電することにより電界が集中し、溶液はノズル先 端部側への静電力を受け、ノズノレ先端部において溶液が盛り上がった状態(凸状メ ニスカス)が形成される。このとき、ノズルは絶縁破壊強度 10[kV/mm]以上の材料で 形成されているので、当該先端部からの放電が効果的に抑制され、溶液の電荷のチ ヤージが効果的に行われる。そして、溶液の静電力が凸状メニスカスにおける表面張 力を上回ることにより、凸状メニスカスの突出先端部から溶液の液滴が基材の受け面 に対して飛翔し、基材の受け面上には溶液のドットが形成される。
[0011] このように溶液の静電力は、吐出量や臨界電圧を変化させるものであり、基材及び ノズノレの周辺に作用する電界の強度 E [V/m]によって影響を受ける。この電界強
total
度 E は、ノズノレに集中して生じる集中電界強度 E [V/m]と、ノズルと基材との間に total loc
生じる非集中電界強度 E [V/m]とから、例えば以下の式のように表される。
E =E +E
total loc gap
また、集中電界強度 E は、ノズル径 R[ / m]と、ノズノレに印加される電圧 V[v]とに
loc
よって以下の式のように表される。
E =V/kR (但し、 kは定数)
また、非集中電界強度 E は、ノズルから基材までの距離 h[ β m]と、ノズノレに印加
gap
される電圧 Vとによって以下の式のように表される。
E =V/h
gap
以上の式から、距離 hの微小変化に対する電界強度 E の変化率 (微分係数)は、
total
E ' =-V/h2
total
となる。これにより、 lZh2の値が小さい程、距離 hの微小変化に対する電界強度 E total の変化率が 0に近づくことが分かる。
[0012] このようにすれば、ノズノレの先端部から基材までの距離 h[ x m]が 0く l/h2 (=— E
く 4 X 10— 4を満たすので、距離 hの微小変化に対する電界強度 E の変化
total
率が 0に近い。従って、ノズノレの先端部から基材までの距離 hの変化に関わらず、基 材及びノズル周辺の電界強度 E の変化を抑制することができるため、従来と比較し
total
て、微小液滴形成及び吐出量の安定性を高め、かつ吐出応答性を改善し、かつノズ ルの先端に高電圧を印加することができる。
[0013] なお、上記構成にあっては、ノズルから基材までの距離 hが上記の式を満たすこと の他に、ノズノレを従来にない超微細径とすることでノズル先端部に電界を集中させて 電界強度を高めることに特徴がある。ノズルの小径化に関しては後の記載により詳述 する。かかる場合、ノズノレの先端部に対向する対向電極がなくとも液滴の吐出を行う ことが可能である。例えば、対向電極が存在しない状態で、ノズル先端部に対向させ て基材を配置した場合、当該基材が導体である場合には、基材の受け面を基準とし てノズル先端部の面対称となる位置に逆極性の鏡像電荷が誘導され、基材が絶縁 体である場合には、基材の受け面を基準として基材の誘電率により定まる対称位置 に逆極性の映像電荷が誘導される。そして、ノズル先端部に誘起される電荷と鏡像 電荷又は映像電荷間での静電力により液滴の飛翔が行われる。
但し、本発明の構成は、対向電極を不要とすることを可能とする力 対向電極を併 用しても構わない。対向電極を併用する場合には、当該対向電極の対向面に沿わ せた状態で基材を配置すると共に対向電極の対向面がノズルからの液体吐出方向 に垂直に配置されることが望ましぐこれによりノズル一対向電極間での電界による静 電力を飛翔電極の誘導のために併用することも可能となるし、対向電極を接地すれ ば、帯電した液滴の電荷を空気中への放電に加え、対向電極を介して逃がすことが でき、電荷の蓄積を低減する効果も得られるので、むしろ併用することが望ましい構 成といえる。
[0014] また、前記距離 hは、
lZh2< 2 X 10— 4
を満たすこと好ましい。
[0015] このようにすれば、前記距離 hが lZh2< 2 X 10— 4を満たすので、距離 hの微小変化 に対する電界強度 E の変化率がより 0に近い。従って、基材とノズル先端との間隔
total
の変化に起因する基材及びノズル周辺の電界強度 E の変化を、より小さく抑えるこ
total
とができる。
[0016] 本発明の第 2の側面によれば、本発明の帯電した溶液の液滴を基材に吐出する液 体吐出装置であって、
内部直径 Rが 25[ μ m]以下の先端部から前記液滴を吐出するノズルを有する液体 吐出ヘッドと、
前記ノズノレ内の溶液に吐出電圧を印加する吐出電圧印加手段とを備え、 前記内部直径 R [ μ m]と前記ノズルの先端部から前記基材までの距離 h [ ju m]と は、
l/ ( l + 5R/h) > 0. 8
を満たす。
[0017] ここで、距離 hの微小変化に対する電界強度 E ( = E + E )の変化率は、電界
total loc gap
強度 E に対する非集中電界強度 E の割合が小さい程、つまり電界強度 E に対 total gap total する集中電界強度 E の割合が大きい程、小さくなる。そして、電界強度 E に対す
loc total る集中電界強度 E の割合とは、
loc
E /E + E = { (V/kR) / (V/kR) + (V/h) }
loc loc gap
= l/ { l + (kR/h) }
で表されるものである。
[0018] このようにすれば、内部直径 R m]と、ノズルの先端部から基材までの距離 h m]とが l / ( l + 5R/h) > 0. 8を満たすので、つまり、定数 k= 5としたときの電界強 度 E に対する集中電界強度 E の割合が 0. 8より大きいので、距離 hの微小変化 total loc
に対する電界強度 E の変化率が小さい。従って、ノズルの先端部から基材までの
total
距離の変化に関わらず、基材及びノズル周辺の電界強度 E の変化を抑制すること
total
ができるため、従来と比較して、微小液滴形成及び吐出量の安定性を高め、かつ吐 出応答性を改善し、かつノズノレの先端部に高電圧を印加することができる。
[0019] また、前記距離 hは 500 [ z m]以下であることが好ましい。
このようにすれば、前記距離 hが 500 [ x m]以下であるので、吐出電圧を低くするこ とができるとともに、吐出された液滴の着弾精度を高めることができる。
[0020] 本発明の第 3の側面によれば、帯電した溶液の液滴を基材に吐出する液体吐出方
法であって、
液体吐出ヘッドとして、内部直径が 25[ μ m]以下の先端部から前記液滴を吐出す るノズルを有するものを用い、
前記ノズノレの先端部から前記基材までの距離 h [ x m]を、
lZh2< 4 X 10— 4
とした状態で、
前記ノズノレ内の溶液に吐出電圧を印加することにより前記ノズルから前記液滴を吐 出させる。
[0021] このようにすれば、ノズノレの先端部から基材までの距離 h[ x m]を 0く l/h2 ( =— E
W)く 4 X 10— 4とした状態とすることにより、液滴の吐出の際における距離 hの微 total
小変化に対する電界強度 E の変化率が 0に近くなる。従って、ノズルの先端部から
total
基材までの距離の変化に関わらず、基材及びノズル周辺の電界強度 E の変化を
total
抑制することができるため、従来と比較して、微小液滴形成及び吐出量の安定性を 高め、かつ吐出応答性を改善し、かつノズノレの先端に高電圧を印加することができる
[0022] また、前記距離 hを、
l/h2< 2 X 10— 4
とした状態で、
前記ノズノレ内の溶液に吐出電圧を印加することが好ましい。
[0023] このようにすれば、前記距離 hを l/h2< 2 X 10— 4とした状態とすることにより、液滴 の吐出の際における距離 hの微小変化に対する電界強度 E の変化率がより 0に近
total
くなる。従って、基材とノズル先端との間隔の変化に起因する基材及びノズル周辺の 電界強度 E の変化を、より小さく抑えること力できる。
total
[0024] 本発明の第 4の側面によれば、帯電した溶液の液滴を基材に吐出する液体吐出方 法であって、
液体吐出ヘッドとして、内部直径 Rが 25[ μ m]以下の先端部から前記液滴を吐出す るノズノレを有するものを用い、
前記内部直径 R[ μ m]と前記ノズルの先端部から前記基材までの距離 h[ μ m]と
を、
l/ (l + 5R/h) > 0. 8
とした状態で、
前記ノズノレ内の溶液に吐出電圧を印加することにより前記ノズルから前記液滴を吐 出させる。
[0025] このようにすれば、内部直径 R[ a m]と、ノズルの先端部から基材までの距離 h[ μ m]とを lZ (l + 5R/h) > 0. 8とした状態で液滴を吐出させることにより、つまり、定 数 k = 5としたときの電界強度 E に対する集中電界強度 E の割合を 0. 8より大きく
total loc
した状態とすることにより、液滴の吐出の際における距離 hの微小変化に対する電界 強度 E の変化率が小さくなる。従って、ノズノレの先端部から基材までの距離の変化 total
に関わらず、基材及びノズル周辺の電界強度 E の変化を抑制することができるた
total
め、従来と比較して、微小液滴形成及び吐出量の安定性を高め、かつ吐出応答性を 改善し、かつノズノレの先端に高電圧を印加することができる。
[0026] また、前記距離 hを、 500 m]以下とした状態で、
前記ノズノレ内の溶液に吐出電圧を印加することが好ましい。
[0027] このようにすれば、前記距離 hを 500 [ μ m]以下とした状態で液滴を吐出させること により、吐出された液滴の着弾精度を高めることができる。
[0028] 本発明においては、ノズル径を 100[ /i m]未満、好ましくは 20 [ /i m]以下、より好まし くは 10 m]以下とすることにより、電界強度分布が狭くなる。このことにより、電界を 集中させることができる。その結果、形成される液滴を微小で且つ形状の安定化した ものとすることができると共に、総印加電圧を低減することができる。また、液滴は、ノ ズルから吐出された直後、電界と電荷の間に働く静電力により加速されるが、ノズノレ 力 離れると電界は急激に低下するので、その後は、空気抵抗により減速する。しか しながら、微小液滴でかつ電界が集中した液滴は、対向電極に近づくにつれ、鏡像 力によりカロ速される。この空気抵抗による減速と鏡像力による加速とのバランスをとる ことにより、微小液滴を安定に飛翔させ、着弾精度を向上させることが可能となる。 また、ノズルの内部直径は、 8[ μ πι]以下であることが好ましい。ノズルの内部直径を 8[ μ πι]以下とすることにより、さらに電界を集中させることが可能となり、さらなる液滴
の微小化と、飛翔時に対向電極の距離の変動が電界強度分布に影響することを低 減させることができるので、対向電極の位置精度や基材の特性や厚さの液滴形状へ の影響や着弾精度への影響を低減することができる。
さらに、ノズルの内部直径を 4[ x m]以下とすることにより、顕著な電界の集中を図る ことができ、最大電界強度を高くすることができ、形状の安定な液滴の超微小化と、 液滴の初期吐出速度を大きくすることができる。これにより、飛翔安定性が向上するこ とにより、着弾精度をさらに向上させ、吐出応答性を向上することができる。
また、ノズノレの内部直径は 0.2[ x m]より大きい方が望ましい。ノズノレの内径を 0·2[ μ m]より大きくすることで、液滴の帯電効率を向上させることができるので、液滴の吐出 安定性を向上させることができる。
さらに、上記各側面において、
(1)ノズルを電気絶縁材で形成し、ノズノレ内に吐出電圧印加用の電極を揷入あるレ、 は当該電極として機能するメツキ形成を行うことが好ましい。
(2)上記各側面の構成又は上記(1)の構成にぉレ、て、ノズルを電気絶縁材で形成し 、ノズノレ内に電極を挿入或いは電極としてのメツキを形成すると共にノズルの外側に も吐出用の電極を設けることが好ましい。
ノズノレの外側の吐出用電極は、例えば、ノズルの先端側端面或いは、ノズルの先 端部側の側面の全周若しくは一部に設けられる。
(1)及び(2)により、上記各側面による作用効果に加え、吐出力を向上させることが できるので、ノズノレ径をさらに微細化しても、低電圧で液滴を吐出することができる。 ( 3)上記各側面の構成、上記(1)又は(2)の構成において、基材を導電性材料または 絶縁性材料により形成することが好ましレ、。
(4)上記各側面の構成、上記(1)、 (2)又は(3)の構成において、吐出電圧印加手 段よる吐出電圧 Vを、
[数 1]
で表される流域において駆動することが好ましい。
ただし、 y:液体の表面張力(N/m)、 ε 0:真空の誘電率(F/m)、 d:ノズル直径(m) 、 h :ノズル一基材間距離 (m)、 k:ノズル形状に依存する比例定数(1.5く kく 8.5)とする。 ノズノレ内の溶液に対して上式(1)の範囲の吐出電圧 Vの印加が行われる。上式(1 )において、吐出電圧 Vの上限の基準となる左側の項は、従来におけるノズル一対向 電極間での電界による液体吐出を行う場合での限界最低吐出電圧を示す。本発明 は、前述したように、ノズルの超微細化による電界集中の効果により、微小液滴の吐 出を、従来技術では実現されなかった従来の限界最低吐出電圧よりも低い範囲に吐 出電圧 Vを設定しても、実現することができる。
また、上式(1)における吐出電圧 Vの下限の基準となる右側の項は、ノズル先端部 における溶液による表面張力に抗して液滴の吐出を行うための本発明の限界最低 吐出電圧を示す。つまり、この限界最低吐出電圧よりも低い電圧を印加しても液滴の 吐出は実行されないが、例えば、この限界最低吐出電圧を境界とするこれより高い値 を吐出電圧とし、これより低い値の電圧と吐出電圧とを切り替えることで、吐出動作の オンオフの制御を行うことができる。即ち、電圧の高低の切替のみにより吐出動作の オンオフの制御が可能となる。なお、この場合、吐出のオフ状態に切り替える低電圧 値は、限界最低吐出電圧に近いことが望ましい。これにより、オンオフの切替におけ る電圧変化幅を狭小化し、応答性の向上を図ることが可能となるからである。
(5)上記各側面の構成、上記(1)、 (2)、 (3)又は (4)の構成において、印加する吐 出電圧が 1000V以下であることが好ましい。
吐出電圧の上限値をこのように設定することにより、吐出制御を容易とすると共に装 置の耐久性の向上及び安全対策の実行により確実性の向上を容易に図ることが可 能となる。
(6)上記各側面の構成、上記(1)、 (2)、(3)、(4)又は(5)の構成において、印加す
る吐出電圧が 500V以下であることが好ましい。
吐出電圧の上限値をこのように設定することにより、吐出制御をより容易とすると共 に装置の耐久性のさらなる向上及び安全対策の実行により確実性のさらなる向上を 容易に図ることが可能となる。
(7)上記各側面の構成、上記(1)一(6)のいずれかの構成において、ノズノレと基材と の距離が 500[ μ m]以下とすることが、ノズル径を微細にした場合でも高い着弾精度を 得ることができるので好ましレ、。
(8)上記各側面の構成、上記(1)一(7)のいずれかの構成において、ノズノレ内の溶 液に圧力を印加するように構成することが好ましレ、。
(9)上記各側面の構成、上記(1)一(8)いずれかの構成において、単一パルスによ つて吐出する場合、
[数 2] ε
τ =—
σ (2) により決まる時定数 τ以上のパルス幅 A tを印加する構成としても良い。ただし、 ε : 溶液の誘電率 (F/m)、 σ:溶液の導電率(S/m)とする。
発明の効果
[0030] 第 1及び第 3の側面によれば、基材とノズノレ先端との間隔の変化に関わらず、基材 及びノズノレ周辺の電界強度の変化を抑制することができるため、従来と比較して、微 小液滴形成及び吐出量の安定性を高め、かつ吐出応答性を改善し、かつノズルの 先端に高電圧を印加することができる。
[0031] また、第 2及び第 4の側面によれば、基材とノズル先端との間隔の変化に関わらず、 基材及びノズノレ周辺の電界強度の変化を抑制することができるため、従来と比較し て、微小液滴形成及び吐出量の安定性を高め、かつ吐出応答性を改善し、かつノズ ルの先端部に高電圧を印加することができる。
図面の簡単な説明
[図 1 A]ノズル径を φ 0.2 [/im]とした場合に、ノズノレと対向電極との距離が 2000[μ m] に設定されたときの電界強度分布を示す。
[図 1B]ノズノレ径を φ 0.2 [/im]とした場合に、ノズルと対向電極との距離が 100[μπι]に 設定されたときの電界強度分布を示す。
[図 2Α]ノズル径を φ 0.4 [ zm]とした場合に、ノズノレと対向電極との距離が 2000[ μπι] に設定されたときの電界強度分布を示す。
[図 2B]ノズノレ径を φ 0.4 [ zm]とした場合に、ノズルと対向電極との距離が 100[ xm]に 設定されたときの電界強度分布を示す。
[図 3Α]ノズル径を φ 1 [ zm]とした場合に、ノズノレと対向電極との距離が 2000[ xm]に 設定されたときの電界強度分布を示す。
[図 3Β]ノズノレ径を φ 1 [μπι]とした場合に、ノズルと対向電極との距離が 100[ zm]に 設定されたときの電界強度分布を示す。
[図 4A]ノズル径を Φ8 [/im]とした場合に、ノズルと対向電極との距離が 2000[ μπι]に 設定されたときの電界強度分布を示す。
[図 4B]ノズノレ径を φ 8 [μπι]とした場合に、ノズルと対向電極との距離が 100[/im]に 設定されたときの電界強度分布を示す。
[図 5A]ノズル径を Φ20 [/im]とした場合に、ノズルと対向電極との距離が 2000[ μπι] に設定されたときの電界強度分布を示す。
[図 5B]ノズノレ径を φ 20 m]とした場合に、ノズルと対向電極との距離が 100[/i m]に 設定されたときの電界強度分布を示す。
[図 6A]ノズル径を Φ50 [/im]とした場合に、ノズルと対向電極との距離が 2000[ μπι] に設定されたときの電界強度分布を示す。
[図 6B]ノズノレ径を φ 50 [μ m]とした場合に、ノズノレと対向電極との距離が 100[μ m]に 設定されたときの電界強度分布を示す。
[図 7]図 1一図 6の各条件下での最大電界強度を示す図表を示す。
[図 8]ノズノレのノズル径とメニスカス部における最大電界強度との関係を示す線図で める。
[図 9]ノズノレのノズル径とメニスカス部で吐出する液滴が飛翔を開始する吐出開始電
圧、該初期吐出液滴のレイリー限界での電圧値及び吐出開始電圧とレイリー限界電 圧値の比との関係を示す線図である。
[図 10A]ノズル径とメニスカス部の強電界の領域の関係で表されるグラフである。
[図 10B]図 10Aにおけるノズノレ径が微小な範囲での拡大図を示す。
[図 11]第一の実施形態たる液体吐出装置のノズノレに沿った断面図である。
[図 12A]溶液の吐出動作と溶液に印加される電圧との関係を示す説明図であって、 吐出を行わなレ、状態を示す図である。
[図 12B]溶液の吐出動作と溶液に印加される電圧との関係を示す説明図であって、 吐出状態を示す図である。
[図 13A]ノズル内流路の他の形状の例を示す一部切り欠いた斜視図であり、溶液室 側に丸みを設けた例を示す図である。
[図 13B]ノズノレ内流路の他の形状の例を示す一部切り欠いた斜視図であり、流路内 壁面をテーパ周面とした例を示す図である。
[図 13C]ノズノレ内流路の他の形状の例を示す一部切り欠いた斜視図であり、テーパ 周面と直線状の流路とを組み合わせた例を示す図である。
[図 14]距離 hと E /Vとの関係を示す図である。
gap
[図 15]距離 hと E ' /Vとの関係を示す図である。
total
[図 16]距離 hと E / (E +E )との関係を示す図である。
loc gap
[図 17]本発明の実施の形態として、ノズルの電界強度の計算を説明するために示し たものである。
[図 18]本発明の一例としての液体吐出装置の側面断面図を示したものである。
[図 19]本発明の実施の形態の液体吐出装置における距離一電圧の関係による吐出 条件を説明した図である。
発明を実施するための最良の形態
以下の各実施形態で説明する液体吐出装置のノズル径は、 25[ /i m]以下であること が好ましぐさらに好ましくは 20[ μ πι]未満、さらに好ましくは 10[ / m]以下、さらに好ま しくは 8[ / m]以下、さらに好ましくは 4[ μ πι]以下とすることが好ましい。また、ノズル径 は、 0·2[ μ πι]より大きレ、こと力 S好ましい。以下、ノズノレ径と電界強度との関係について
、図 1一図 6を参照しながら説明する。図 1一図 6に対応して、ノズル径を φ
0.2,0.4, 1,8,20 111]及び参考として従来にて使用されてぃるノズル径( ) 50[ /1 111]の場 合の電界強度分布を示す。
ここで、各図において、ノズノレ中心位置とは、ノズル先端の液体吐出孔の液体吐出 面の中心位置を示す。また、各々の図の Aは、ノズルの先端部と対向電極との距離 力 ¾000[ z m]に設定されたときの電界強度分布を示し、 Bは、ノズルの先端部と対向 電極との距離が 100[ μ πι]に設定されたときの電界強度分布を示す。なお、印加電圧 は、各条件とも 200[V]と一定にした。図中の分布線は、電荷強度力 l X 106[V/m]から 1 X 107[V/m]までの範囲を示している。
図 7に、各条件下での最大電界強度を示す図表を示す。なお、図 7中、「ギャップ」 とは、ノズルの先端部と対向電極との距離 [ μ m]のことである。
図 1一図 6から、ノズノレ径が φ 20[ μ πι] (図 5)以上だと電界強度分布は広い面積に 広がっていることが分かった。また、図 7から、ノズルの先端部と対向電極との距離が 電界強度に影響していることも分かった。
これらのことから、ノズノレ径が φ 8[ /ι πι] (図 4)以下であると電界強度は集中すると共 に、対向電極の距離の変動が電界強度分布にほとんど影響することがなくなる。従つ て、ノズノレ径が φ 8 m]以下であれば、対向電極の位置精度及び基材の材料特性 のバラツキや厚さのバラツキの影響を受けずに安定した吐出が可能となる。
次に、上記ノズノレのノズル径とノズルの先端位置に液面があるとした時の最大電界 強度と強電界領域の関係を図 8に示す。図 8に示すグラフから、ノズル径が φ 4[ μ πι] 以下になると、電界集中が極端に大きくなり最大電界強度を高くすることができるの が分かった。これによつて、溶液の初期吐出速度を大きくすることができるので、液滴 の飛翔安定性が増すと共に、ノズルの先端部での電荷の移動速度が増すために吐 出応答性が向上する。
続いて、吐出した液滴における帯電可能な最大電荷量について、以下に説明する 。液滴に帯電可能な電荷量は、液滴のレイリー分裂(レイリー限界)を考慮した以下 の(3)式で示される。
[数 3]
g = 8 x x ( 0 x y x ) 2 (3) ここで、 qはレイリー限界を与える電荷量 (C)、 ε 0は真空の誘電率 (F/m)、 γは溶 液の表面張力(N/m)、 dは液滴の直径 (m)である。
0
上記(3)式で求められる電荷量 qがレイリー限界値に近いほど、同じ電界強度でも 静電力が強ぐ吐出の安定性が向上するが、レイリー限界値に近すぎると、逆にノズ ルの液体吐出孔で溶液の霧散が発生してしまい、吐出安定性に欠けてしまう。
ここで、ノズルのノズノレ径とノズルの先端部で吐出する液滴が飛翔を開始する吐出 開始電圧、該初期吐出液滴のレイリー限界での電圧値及び吐出開始電圧とレイリー 限界電圧値の比との関係を示すグラフを図 9に示す。
図 9に示すグラフから、ノズノレ径が φ 0.2[ /ι πι]から φ 4[ /ι πι]の範囲において、吐出 開始電圧とレイリー限界電圧値の比が 0.6を超え、低い吐出電圧でも比較的大きな帯 電量を液滴に与えることができ、液滴の帯電効率が良い結果となっており、該範囲に おいて安定した吐出が行えることが分かった。
例えば、図 10A及び図 10Bに示すノズノレ径とノズノレの先端部の強電界(1 X 106 [V/m]以上)の領域をノズルの中心位置からの距離で示したものの値との関係で表さ れるグラフでは、ノズノレ径が φ 0.2[ μ m]以下になると電界集中の領域が極端に狭くな ること力 S示されてレ、る。このことは、吐出する液滴は、加速するためのエネルギーを十 分に受けることができず飛翔安定性が低下することを示す。よって、ノズル径は φ 0.2[ μ m]より大きく設定することが好ましい。
なお、上記図 7においては、ノズルの先端部と対向電極とのギャップを 2000 z m及 び 100 / mであるとして説明したが、着弾精度を考慮すると、ノズノレの先端部と基材 との距離は 500 /i m以下であることが好ましい。そのため、以下の液体吐出装置の構 成を決定するにあたっては、ノズルの先端部と基材との距離を 500 μ m以下とした場 合は勿論、 100 μ ΐη以下とした場合についても検討を行っている。
[第 1の実施形態]
(液体吐出装置の全体構成)
以下、本発明の第 1の実施形態である液体吐出装置 20について図 11及び図 12に 基づいて説明する。図 11は後述するノズル 21に沿った液体吐出装置 20の断面図 であり、図 12は溶液の吐出動作と溶液に印加される電圧との関係を示す説明図であ つて、図 12Aは吐出を行わない状態であり、図 12Bは吐出状態を示す。
この液体吐出装置 20は、帯電可能な溶液の液滴をその先端部から吐出する超微 糸田径のノズノレ 21と、ノズノレ 21の先端部に対向する対向面を有すると共にその対向面 で液滴の着弾を受ける基材 Kを支持する対向電極 23と、ノズル 21内の流路 22に溶 液を供給する溶液供給手段 29と、ノズル 21内の溶液に吐出電圧を印加する吐出電 圧印加手段 25と、吐出電圧印加手段 25による吐出電圧の印加を制御する動作制 御手段 50とを備えている。なお、上記ノズル 21と溶液供給手段 29の一部の構成と吐 出電圧印加手段 25の一部の構成は液体吐出ヘッド 26として一体的に形成されてい る。
なお、図 11では、説明の便宜上、ノズノレ 21の先端部が上方を向き、ノズル 21の上 方に対向電極 23が配設されている状態で図示されているが、実際上は、ノズル 21力 S 水平方向か或いはそれよりも下方、より望ましくは垂直下方に向けた状態で使用され る。
(溶液)
上記液体吐出装置 20による吐出を行う溶液の例としては、無機液体としては、水、 COC1、 HBr、 HNO、 H PO、 H SO、 SOC1、 SO CI、 FSO Hなどが挙げられる
。有機液体としては、メタノール、 n—プロパノール、イソプロパノール、 n—ブタノール、 2—メチノレ一 1_プロパノール、 tert-ブタノール、 4-メチル一2—ペンタノール、ベンジ ノレアルコール、 ひ—テルピネオール、エチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリ コーノレ、トリエチレングリコールなどのアルコール類;フエノール、 o_クレゾール、 m—ク レゾール、 ρ_クレゾール、などのフエノール類;ジォキサン、フルフラール、エチレング リコーノレジメチノレエーテノレ、メチノレセロソノレブ、ェチノレセロソノレブ、ブチノレセロソノレブ、 ェチノレカノレビトーノレ、ブチノレカノレビトーノレ、ブチノレカノレビトーノレアセテート、ェピクロ口 ヒドリンなどのエーテル類;アセトン、メチルェチルケトン、 2—メチルー 4_ペンタノン、ァ セトフヱノンなどのケトン類;ギ酸、酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロ口酢酸などの脂肪酸類
;ギ酸メチル、ギ酸ェチル、酢酸メチル、酢酸ェチル、酢酸 - n -ブチル、酢酸イソブチ ノレ、酢酸 3—メトキシブチル、酢酸 _n_ペンチル、プロピオン酸ェチル、乳酸ェチル 、安息香酸メチル、マロン酸ジェチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジェチル、炭酸ジ ェチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、セロソルブアセテート、ブチルカルビトール アセテート、ァセト酢酸ェチル、シァノ酢酸メチル、シァノ酢酸ェチルなどのエステル 類;ニトロメタン、ニトロベンゼン、ァセトニトリル、プロピオ二トリル、スクシノニトリル、八 レロニトリノレ、ベンゾニトリノレ、ェチノレアミン、ジェチノレアミン、エチレンジァミン、ァニリ ン、 N—メチルァニリン、 N, N—ジメチルァニリン、 o—トルイジン、 p—トルイジン、ピペリ ジン、ピリジン、 ひ一ピコリン、 2, 6 ノレチジン、キノリン、プロピレンジァミン、ホノレムアミ ド、 N—メチルホルムアミド、 N, N—ジメチルホルムアミド、 N, N—ジェチルホルムアミド 、ァセトアミド、 N—メチルァセトアミド、 N—メチルプロピオンアミド、 N, N, Ν', Νしテト ラメチル尿素、 Ν メチルピロリドンなどの含窒素化合物類;ジメチルスルホキシド、ス ルホランなどの含硫黄化合物類;ベンゼン、 ρ—シメン、ナフタレン、シクロへキシルベ ンゼン、シクロへキセンなどの炭化水素類; 1 , 1—ジクロロェタン、 1 , 2—ジクロ口エタ ン、 1 , 1 , 1-卜リクロロェタン、 1 , 1 , 1 , 2-テ卜ラクロロェタン、 1 , 1 , 2, 2-テ卜ラクロ口 ェタン、ペンタクロロェタン、 1 , 2—ジクロ口エチレン(cis—)、テトラクロロエチレン、 2— クロロブタン、 1 クロロー 2—メチノレプロパン、 2—クロロー 2—メチノレプロパン、ブロモメタ ン、トリブロモメタン、 1-ブロモプロパンなどのハロゲン化炭化水素類、などが挙げら れる。また、上記各液体を二種以上混合して溶液として用いても良い。
さらに、高電気伝導率の物質 (銀粉等)が多く含まれるような導電性ペーストを溶液 として使用し、吐出を行う場合には、上述した液体に溶解又は分散させる目的物質と しては、ノズルで目詰まりを発生するような粗大粒子を除けば、特に制限されない。 P DP、 CRT, FEDなどの蛍光体としては、従来より知られているものを特に制限なく用 レ、ることができる。例えば、赤色蛍光体として、(Y, Gd) BO: Eu、 Y〇: Euなど、緑
3 3
色蛍光体として、 Zn Si〇: Mn、 BaAl O : Mn、(Ba, Sr, Mg) 0 -ひ— Al〇: Mn
2 4 12 19 2 3 など、青色蛍光体として、 BaMgAl 〇 : Eu, BaMgAl 〇 : Euなどが挙げられる。
14 23 10 17
上記の目的物質を記録媒体上に強固に接着させるために、各種バインダーを添カロ するのが好ましレ、。用いられるバインダーとしては、例えば、ェチルセルロース、メチ
ノレセルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ヒドロキシェチノレセノレロース等の セルロースおよびその誘導体;アルキッド樹脂;ポリメタタリタクリル酸、ポリメチルメタク リレート、 2—ェチルへキシルメタタリレート'メタクリル酸共重合体、ラウリルメタタリレー ト · 2—ヒドロキシェチルメタタリレート共重合体などの (メタ)アクリル樹脂およびその金 属塩;ポリ N—イソプロピルアクリルアミド、ポリ N, N—ジメチルアクリルアミドなどのポリ( メタ)アクリルアミド樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル 'スチレン共重合体、スチレン' マレイン酸共重合体、スチレン 'イソプレン共重合体などのスチレン系樹脂;スチレン' n—ブチルメタタリレート共重合体などのスチレン.アクリル樹脂;飽和、不飽和の各種 ポリエステル樹脂;ポリプロピレン等のポリオレフイン系樹脂;ポリ塩化ビュル、ポリ塩 化ビニリデン等のハロゲン化ポリマー;ポリ酢酸ビュル、塩化ビュル'酢酸ビュル共重 合体等のビュル系樹脂;ポリカーボネート樹脂;エポキシ系樹脂;ポリウレタン系樹脂 ;ポリビュルホルマール、ポリビュルブチラール、ポリビュルァセタール等のポリアセタ ール榭脂;エチレン.酢酸ビュル共重合体、エチレン.ェチルアタリレート共重合樹脂 などのポリエチレン系樹脂;ベンゾグアナミン等のアミド樹脂;尿素樹脂;メラミン樹脂; ポリビニルアルコール樹脂及びそのァニオン力チオン変性;ポリビュルピロリドンおよ びその共重合体;ポリエチレンオキサイド、カルボキシル化ポリエチレンオキサイド等 のアルキレンォキシド単独重合体、共重合体及び架橋体;ポリエチレングリコール、 ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコーノレ;ポリエーテルポリオール; S BR、 NBRラテックス;デキストリン;アルギン酸ナトリウム;ゼラチン及びその誘導体、 カゼイン、トロロアオイ、トラガントガム、プノレラン、アラビアゴム、ローカストビーンガム 、グァガム、ぺクチン、カラギニン、にかわ、アルブミン、各種澱粉類、コーンスターチ 、こんにやぐふのり、寒天、大豆蛋白等の天然或いは半合成樹脂;テルペン樹脂;ケ トン樹脂;ロジン及びロジンエステル;ポリビュルメチルエーテル、ポリエチレンィミン、 ポリスチレンスルフォン酸、ポリビニルスルフォン酸などを用いることができる。これら の樹脂は、ホモポリマーとしてだけでなぐ相溶する範囲でブレンドして用いても良い 液体吐出装置 20をパターンニング方法に使用する場合には、代表的なものとして はディスプレイ用途に使用することができる。具体的には、プラズマディスプレイの蛍
光体の形成、プラズマディスプレイのリブの形成、プラズマディスプレイの電極の形成 、 CRTの蛍光体の形成、 FED (フィールドェミッション型ディスプレイ)の蛍光体の形 成、 FEDのリブの形成、液晶ディスプレイ用カラーフィルター(RGB着色層、ブラック マトリクス層)、液晶ディスプレイ用スぺーサー(ブラックマトリクスに対応したパターン 、ドットパターン等)などが挙げることができる。ここでいうリブとは一般的に障壁を意味 し、プラズマディスプレイを例に取ると各色のプラズマ領域を分離するために用いら れる。その他の用途としては、マイクロレンズ、半導体用途として磁性体、強誘電体、 導電性ペースト(配線、アンテナ)などのパターンユング塗布、グラフィック用途として は、通常印刷、特殊媒体 (フィルム、布、鋼板など)への印刷、曲面印刷、各種印刷 版の刷版、加工用途としては粘着材、封止材などの本発明を用いた塗布、バイオ、 医療用途としては医薬品 (微量の成分を複数混合するような)、遺伝子診断用試料等 の塗布等に応用することができる。
[0038] (ノズル)
上記ノズノレ 21は、後述するノズルプレート 26cと一体的に形成されており、当該ノズ ルプレート 26cの平板面上から垂直に立設されている。また、液滴の吐出時において は、ノズル 21は、基材 Kの受け面 (液滴が着弾する面)に対して垂直に向けて使用さ れる。さらに、ノズル 21にはその先端部からノズルの中心に沿って貫通するノズノレ内 流路 22が形成されている。
[0039] ノズノレ 21についてさらに詳説する。ノズル 21は、その先端部における開口径とノズ ノレ内流路 22とが均一であって、前述の通り、これらが超微細径で形成されている。具 体的な各部の寸法の一例を挙げると、ノズル内流路 22の内部直径は、 25[ μ πι]以下 、さらに 20[ z m]未満、さらに 10[ z m]以下、さらに 8[ z m]以下、さらに 4[ x m]以下が好 ましぐ本実施形態ではノズノレ内流路 22の内部直径が l[ x m]に設定されている。そ して、ノズノレ 21の先端部における外部直径は 2[ x m]、ノズル 21の根元の直径は 5[ μ m]、ノズノレ 21の高さは 100[ z m]に設定されており、その形状は限りなく円錐形に近い 円錐台形に形成されている。また、ノズルの内部直径は 0.2[ z m]より大きい方が好ま しレヽ。なお、ノズノレ 21の高さは、 0[ x m]でも構わなレヽ。
[0040] なお、ノズル内流路 22の形状は、図 11に示すような、内径一定の直線状に形成し
なくとも良い。例えば、図 13Aに示すように、ノズル内流路 22の後述する溶液室 24 側の端部における断面形状が丸みを帯びて形成されていても良い。また、図 13Bに 示すように、ノズル内流路 22の後述する溶液室 24側の端部における内径が吐出側 端部における内径と比して大きく設定され、ノズル内流路 22の内面がテーパ周面形 状に形成されていても良レ、。さらに、図 13Cに示すように、ノズル内流路 22の後述す る溶液室 24側の端部のみがテーパ周面形状に形成されると共に当該テーパ周面よ りも吐出端部側は内径一定の直線状に形成されていても良い。
[0041] (溶液供給手段)
溶液供給手段 29は、液体吐出ヘッド 26の内部であってノズル 21の根元となる位置 に設けられると共にノズル内流路 22に連通する溶液室 24と、図示しない外部の溶液 タンクから溶液室 24に溶液を導く供給路 27と、溶液室 24への溶液の供給圧力を付 与する図示しなレ、供給ポンプとを備えてレ、る。
上記供給ポンプは、ノズル 21の先端部まで溶液を供給し、当該先端部からこぼれ 出さない範囲の供給圧力を維持して溶液の供給を行う。
供給ポンプとは、液体吐出ヘッドと供給タンクの配置位置による差圧を利用する場 合も含み、別途、溶液供給手段を設けなくとも溶液供給路のみで構成しても良い。ポ ンプシステムの設計にもよる力 S、基本的にはスタート時に液体吐出ヘッドに溶液を供 給するときに稼動し、液体吐出ヘッドから液体を吐出し、それに応じた溶液の供給は 、キヤビラリ及び凸状メニスカス形成手段による液体吐出ヘッド内の容積変化及び供 給ポンプの各圧力の最適化を図って溶液の供給が実施される。
[0042] (吐出電圧印加手段)
吐出電圧印加手段 25は、液体吐出ヘッド 26の内部であって溶液室 24とノズル内 流路 22との境界位置に設けられた吐出電圧印加用の吐出電極 28と、この吐出電極 28に常時,直流のバイアス電圧を印加する直流電源 30と、吐出電極 28にバイアス 電圧に重畳して吐出に要する電位とするパルス電圧を印加する吐出電圧電源 31と を備えている。
[0043] 上記吐出電極 28は、溶液室 24内部にぉレ、て溶液に直接接触し、溶液を帯電させ ると共に吐出電圧を印加する。
直流電源 30によるバイアス電圧は、図 12Aに示すように、溶液の吐出が行われな い範囲で常時電圧印加を行うことにより、吐出時に印加すべき電圧の幅を予め低減 し、これによる吐出時の反応性の向上を図っている。
吐出電圧電源 31は、図 12Bに示すように、溶液の吐出を行う際にのみパルス電圧 をバイアス電圧に重畳させて印加する。このときの重畳電圧 Vは次式の条件を満た すようにノ ルス電圧の値が設定されてレ、る。
[数 4]
ただし、 y:溶液の表面張力(N/m)、 ε :真空の誘電率(F/m)、 d:ノズル直径 (m)
、 h :ノズル一基材間距離 (m)、 k :ノズル形状に依存する比例定数(1.5く kく 8.5)とする。 なお、上記条件は理論値であり、実際上は、凸状メニスカスの形成時と非形成時に おける試験を行レ、、適宜な電圧値を求めても良レ、。
本実施形態では、一例として吐出電圧を 400[V]とする。
[0044] (液体吐出ヘッド)
液体吐出ヘッド 26は、図 11において最も下層に位置し、可撓性を有する素材(例 えば金属,シリコン、樹脂等)からなる可撓ベース層 26aと、この可撓ベース層 26aの 上面全体に形成される絶縁素材からなる絶縁層 26dと、その上に位置する溶液の供 給路を形成する流路層 26bと、この流路層 26bのさらに上に形成されるノズノレプレー ト 26cとを備え、流路層 26bとノズノレプレート 26cとの間には前述した吐出電極 28が 介挿されている。
[0045] 上記可撓ベース層 26aは、上述の如ぐ可撓性を有する素材であれば良ぐ例えば 金属薄板を使用しても良い。このように、可撓性が要求されるのは、可撓ベース層 26 aの外面であって溶液室 24に対応する位置に、後述する凸状メニスカス形成手段 40 のピエゾ素子 41を設け、可撓ベース層 26aを撓ませるためである。即ち、ピエゾ素子 41に所定電圧を印加して、可撓ベース層 26aを上記位置において内側又は外側の
いずれにも窪ませることで溶液室 24の内部容積を縮小又は増加させ、内圧変化によ りノズノレ 21の先端部に溶液の凸状メニスカスを形成し又は液面を内側に引き込むこ とを可能とするためである。
[0046] 可撓ベース層 26aの上面には絶縁性の高い樹脂を膜状に形成し、絶縁層 26dが 形成される。かかる、絶縁層 26dは、可撓ベース層 26aが窪むことを妨げないように 十分に薄く形成されるか、より変形が容易な樹脂素材が使用される。
そして、絶縁層 26dの上には、溶解可能な樹脂層を形成すると共に供給路 27及び 溶液室 24を形成するための所定のパターンに従う部分のみを残して除去し、当該残 存部を除いて除去された部分に絶縁樹脂層を形成する。この絶縁樹脂層が流路層 2 6bとなる。そして、この絶縁樹脂層の上面に面状に広がりをもって導電素材 (例えば NiP)のメツキにより吐出電極 28を形成し、さらにその上から絶縁性のレジスト樹脂層 或いはパリレン層を形成する。このレジスト樹脂層力 Sノズノレプレート 26cとなるので、こ の樹脂層はノズノレ 21の高さを考慮した厚みで形成される。そして、この絶縁性のレジ スト樹脂層を電子ビーム法やフェムト秒レーザにより露光し、ノズル形状を形成する。 ノズノレ内流路 22もレーザカ卩ェにより形成される。そして、供給路 27及び溶液室 24の パターンに従う溶解可能な樹脂層を除去し、これら供給路 27及び溶液室 24が開通 して液体吐出ヘッド 26が完成する。
[0047] なお、ノズルプレート 26c及びノズル 21の素材は、具体的には、エポキシ、 PMMA 、フエノール、ソーダガラス、石英ガラス等の絶縁材の他、 Siのような半導体、 Ni、 SU S等のような導体であっても良い。但し、導体によりノズルプレート 26c及びノズル 21 を形成した場合には、少なくともノズノレ 21の先端部における先端部端面、より望ましく は先端部における周面については、絶縁材による被膜を設けることが望ましい。ノズ ル 21を絶縁材から形成し又はその先端部表面に絶縁材被膜を形成することにより、 溶液に対する吐出電圧印加時にぉレ、て、ノズル先端部から対向電極 23への電流の リークを効果的に抑制することが可能となるからである。
[0048] (対向電極)
対向電極 23は、ノズノレ 21の突出方向に垂直な対向面を備えており、かかる対向面 に沿うように基材 Kの支持を行う。ノズル 21の先端部から基材 Kまでの距離 h[ μ m]
は、 500 [ μ ΐη]以下となっており、更に 1/h2く 4 X 10— 4、好ましくは 1/h2く 2 X 10— 4 に設定されている。
また、この対向電極 23は接地されているため、常時,接地電位を維持している。従 つて、ノズノレ 21の先端部と対向面との間に生じる電界による静電力により吐出された 液滴を対向電極 23側に誘導する。
なお、液体吐出装置 20は、ノズノレ 21の超微細化による当該ノズノレ 21の先端部で の電界集中により電界強度を高めることで液滴の吐出を行うことから、対向電極 23に よる誘導がなくとも液滴の吐出を行うことは可能ではある力 ノズノレ 21と対向電極 23 との間での静電力による誘導が行われた方が望ましい。また、帯電した液滴の電荷を 対向電極 23の接地により逃がすことも可能である。
[0049] ここで、基材 Kとノズノレ 21との周辺に作用する電界の強度 E は、ノズノレに集中し
total
て生じる集中電界強度 E と、ノズルと基材との間に生じる非集中電界強度 E とから
loc gap
、例えば以下の式のように表される。
E =E +E
total loc gap
このうち、集中電界強度 E は、ノズノレ径 R m]と、ノズルに印加される電圧 V[v]
loc
とによって以下の式のように表される。
E =V/kR (但し、 kは定数)
loc
また、非集中電界強度 E は、ノズルから基材までの距離 h[ β m]と、ノズノレに印加
gap
される電圧 Vとによって、以下の式のように表される。なお、図 14に E /Vと距離 hと
gap
の関係を示す。
E =V/h
gap
これらの式から、距離 hが変化する場合に、距離 hの変化に対する電界強度 E の
total 変化率 (微分係数)は、図 15に示すように、 E ' =_V/h2となる。なお、距離 hが変
total
化する原因としては、基材 Kの表面のうねりや、液体吐出ヘッド 26におけるノズノレ 21 の位置精度の劣化、基材 Kを固定する対向電極 23の位置精度の劣化などがある。
[0050] (動作制御手段)
動作制御手段 50は、実際的には CPU, ROM, RAM等を含む演算装置を有する 構成であり、これらに所定のプログラムが入力されることにより、下記に示す機能的な
構成を実現すると共に後述する動作制御を実行する。
上記動作制御手段 50は、直流電源 30によるバイアス電圧の印加を連続的に行わ せると共に、外部からの吐出指令の入力を受けると吐出電圧電源 31にパルス電圧の 印加を行わせることによってノズル 21の先端部力、ら液滴を吐出させる。
[0051] (液体吐出装置による微小液滴の吐出動作)
図 11及び図 12により液体吐出装置 20の動作説明を行う。
溶液供給手段の供給ポンプによりノズル内流路 22には溶液が供給された状態にあ り、力、かる状態で定常的に直流電源 30から吐出電極 28にバイアス電圧が印加され ている(図 12A)。かかる状態で、溶液は帯電すると共に、ノズル 21の先端部におい て溶液による凹状に窪んだメニスカスが形成される(図 12A)。
そして、外部から動作制御手段 50に吐出指令信号が入力されると、吐出電圧電源 31からパルス電圧が吐出電極 28に印加される。ノズノレ 21の先端部では集中された 電界の電界強度による静電力により溶液がノズル 21の先端側に誘導され、外部に突 出した凸状メニスカスが形成されると共に、力かる凸状メニスカスの頂点により電界が 集中し、ついには溶液の表面張力に抗して微小液滴が対向電極側に吐出される(図 12B)。このとき、基材 Kの表面のうねりなどに起因してノズル 21から基材 Kまでの距 離 h[ β m]が変化しても、この距離 h[ β m]は 0く 1/h2 (=_E ' /V)く 4 X 10— 4、 total
好ましくは 1/h2く 2 X 10— 4を満たすので、上記図 15に示すように、距離 hの変化に 対する上記電界強度 E の変化率は 0に近くなつている。
total
[0052] 以上のような液体吐出装置 20によれば、基材 Kからノズル 21の先端部までの距離 hの変化に関わらず、基材 K及びノズノレ 21の周辺における電界強度 E の変化を抑
total
制することができるため、従来と比較して、微小液滴形成及び吐出量の安定性を高 め、かつ吐出応答性を改善し、かつノズノレ 21の先端部に高電圧を印加することがで きる。
また、前記距離 hが 500 [ z m]以下であるので、吐出された液滴の着弾精度を高め ること力 Sできる。
[0053] また、吐出の有無にかかわらず、溶液に対しては直流電源 30により常に一定の電 圧を印加することとなるので、溶液に対する印加電圧を変化させて吐出を行う場合と
比較して、吐出の際の応答性の向上及び液量の安定化を図ることが可能となる。
[0054] さらに、上記液体吐出装置 20は、従来にない微細径のノズノレ 21により液滴の吐出 を行うので、ノズノレ内流路 22内で帯電した状態の溶液により電界が集中され、電界 強度が高められる。このため、従来のように電界の集中化が行われない構造のノズル (例えば内径 100[ μ πι])では吐出に要する電圧が高くなり過ぎて事実上吐出不可能 とされていた微細径でのノズルによる溶液の吐出を従来よりも低電圧で行うことを可 能としている。
そして、微細径であるがために、ノズノレコンダクタンスの低さによりノズノレ内流路 22 における溶液の流動が制限されることから、その単位時間あたりの吐出流量を低減 する制御を容易に行うことができると共に、パルス幅を狭めることなく十分に小さな液 滴径(上記各条件によれば 0.8[ μ m])による溶液の吐出を実現している。
さらに、吐出される液滴は帯電されているので、微小の液滴であっても蒸気圧が低 減され、蒸発を抑制することから液滴の質量の損失を低減し、飛翔の安定化を図り、 液滴の着弾精度の低下を防止する。
[0055] なお、ノズル 21にエレクトロウエツティング効果を得るために、ノズノレ 21の外周に電 極を設ける力、また或いは、ノズノレ内流路 22の内面に電極を設け、その上から絶縁 膜で被覆しても良い。そして、この電極に電圧を印加することで、吐出電極 28により 電圧が印加されてレ、る溶液に対して、エレクトロウエツティング効果によりノズノレ内流 路 22の内面のぬれ性を高めることができ、ノズノレ内流路 22への溶液の供給を円滑 に行うことができ、良好に吐出を行うと共に、吐出の応答性の向上を図ることが可能と なる。
[0056] また、吐出電圧印加手段 25ではバイアス電圧を常時印加すると共にノ ルス電圧を トリガーとして液滴の吐出を行っているが、吐出に要する振幅で常時交流又は連続 する矩形波を印加すると共にその周波数の高低を切り替えることで吐出を行う構成と しても良い。液滴の吐出を行うためには溶液の帯電が必須であり、溶液の帯電する 速度を上回る周波数で吐出電圧を印加していても吐出が行われず、溶液の帯電が 十分に図れる周波数に替えると吐出が行われる。従って、吐出を行わないときには吐 出可能な周波数より大きな周波数で吐出電圧を印加し、吐出を行う場合にのみ吐出
可能な周波数帯域まで周波数を低減させる制御を行うことで、溶液の吐出を制御す ること力 S可能となる。かかる場合、溶液に印加される電位自体に変化はないので、より 時間応答性を向上させると共に、これにより液滴の着弾精度を向上させることが可能 となる。
[0057] [第 2の実施形態]
次に、本発明の第 2の実施形態である液体吐出装置 20Aについて図 11に基づい て説明する。なお、本実施形態の説明において、第 1の実施形態の液体吐出装置 2 0と同一の構成については同符号を付し、重複する説明は省略するものとする。
[0058] 本第 2の実施の形態における液体吐出装置 20Aは、ノズル 21の先端部の内部直 径 R[ z m]と、ノズル 21の先端部から基材 Kまでの距離 hとが lZ (l + 5R/h) > 0. 8を満たすようになつている。
ここで、距離 hの微小変化に対する電界強度 E ( = E +E )の変化率は、図 16
total loc gap
に示すように、電界強度 E に対する集中電界強度 E の割合が大きい程、小さくな
total loc
る。但し、電界強度 E に対する集中電界強度 E の割合とは、
total loc
E /E +E = (V/kR) /{ (V/kR) + (V/h) }
loc loc gap
= l/ { l + (kR/h) }
(但し、 k:定数)
で表されるものである。
[0059] 以上のような液体吐出装置 20によれば、定数 k= 5としたときの電界強度 E に対
total する集中電界強度 E の割合が 0. 8より大きいので、距離 hの微小変化に対する電
loc
界強度 E の変化率が小さい。従って、基材 Kからノズル 21の先端部までの距離 h
total
の変化に関わらず、基材 K及びノズノレ 21の周辺における電界強度 E の変化を抑
total
制することができるため、従来と比較して、微小液滴形成及び吐出量の安定性を高 め、かつ吐出応答性を改善し、かつノズノレ 21の先端部に高電圧を印加することがで きる。
[0060] [液体吐出装置の理論説明]
以下に、本発明による液体吐出の理論説明及びこれに基づく基本例の説明を行う 。なお、以下に説明する理論及び基本例におけるノズノレの構造、各部の素材及び吐
出液体の特性、ノズル周囲に付加する構成、吐出動作に関する制御条件等全ての 内容は、可能な限り上述した各実施形態中に適用しても良いことはいうまでもない。 (印加電圧低下および微少液滴量の安定吐出実現の方策)
従前は以下の条件式により定まる範囲を超えて液滴の吐出は不可能と考えられて いた。
[数 5] dく
2
(4)
λ は静電吸引力によりノズル先端部からの液滴の吐出を可能とするための溶液液
C
面における成長波長(m)であり、 λ =2 π y hV ε で求められる。
c o
[数 6] dく
(5)
[数 7]
本発明では、静電吸引型インクジェット方式において果たすノズノレの役割を再考察 し、従来吐出不可能として試みられていなかった領域において、マクスゥヱルカなど を利用することで、微小液滴を形成することができる。
このような駆動電圧低下および微少量吐出実現の方策のための吐出条件等を近 似的に表す式を導出したので以下に述べる。
以下の説明は、上記各本発明の実施形態で説明した液体吐出装置に適用可能で ある。
いま、内径 dのノズルに導電性溶液を注入し、基材としての無限平板導体から hの
高さに垂直に位置させたと仮定する。この様子を図 17に示す。このとき、ノズル先端 部に誘起される電荷は、ノズル先端の半球部に集中すると仮定し、以下の式で近似 的に表される。
[数 8] ΰ = 2πε0 Υά (フ) ここで、 Q :ノズル先端部に誘起される電荷(C)、 ε :真空の誘電率 (F/m)、 ε:基
0
材の誘電率(F/m)、 h:ノズル—基材間距離(m)、 d:ノズル内部の直径(m)、 V:ノズノレ に印加する総電圧 (V)である。 a:ノズル形状などに依存する比例定数で、 1一 1.5程 度の値を取り、特に dくく hのときほぼ 1程度となる。
また、基材としての基板が導体基板の場合、電荷 Qによる電位を打ち消すための逆 電荷が表面付近に誘起され、それらの電荷分布により、基板内の対称位置に反対の 符号を持つ鏡像電荷 Q 'が誘導された状態と等価となると考えられる。また、基板が 絶縁体の場合は、基板表面で分極により逆電荷が表面側に誘起され、誘電率によつ て定まる対称位置に同様に反対符号の映像電荷 Q 'が誘導された状態と等価となる と考えられる。
ところで、ノズル先端部に於ける凸状メニスカスの先端部の集中電界強度 E [V/m] loc. は、凸状メニスカス先端部の曲率半径を R[m]と仮定すると、
[数 9]
kR (8) で与えられる。ここで k :比例定数で、ノズル形状などにより異なるが、 1.5— 8.5程度の 値をとり、多くの場合 5程度と考えられる。 (P. J. Birdseye and D.A. Smith, Surface Science, 23 (1970) 198-210)。
今簡単のため、 dZ2 = Rとする。これは、ノズル先端部に表面張力で導電性溶液 がノズルの半径と同じ半径を持つ半球形状に盛り上がつている状態に相当する。
ノズノレ先端の液体に働く圧力のバランスを考える。まず、静電的な圧力は、ノズル 先端部の液面積を S[m2]とすると、
(7)、(8)、 (9)式より α = 1とおいて、
[数 11]
一方、ノズル先端部に於ける液体の表面張力を Psとすると、
[数 12]
ここで、
Ί:表面張力(N/m)、である。静電的な力により流体の吐出が起こる条件は 、静電的な力が表面張力を上回る条件なので、
[数 13]
となる。十分に小さいノズル直径 dをもちいることで、静電的な圧力が、表面張力を上 回らせる事が可能である。この関係式より、 Vと dの関係を求めると、
[数 14]
が吐出の最低電圧を与える。すなわち、式(6)および式(13)より、
[数 15]
[0064] ある内径 dのノズルに対し、吐出限界電圧 Vcの依存性を前述した図 9に示す。この 図より、微細ノズルによる電界の集中効果を考慮すると、吐出開始電圧は、ノズル径 の減少に伴い低下する事が明らかになった。
従来の電界に対する考え方、すなわちノズルに印加する電圧と対向電極間の距離 によって定義される電界のみを考慮した場合では、微細ノズノレになるに従レ、、吐出に 必要な電圧は増加する。一方、局所電界強度に注目すれば、微細ノズノレ化により吐 出電圧の低下が可能となる。
[0065] 静電吸引による吐出は、ノズノレ端部における液体 (溶液)の帯電が基本である。帯 電の速度は誘電緩和によって決まる時定数程度と考えられる。
[数 16] ε
τ =―
σ (2) ここで、 ε:溶液の誘電率(F/m)、 σ:溶液の導電率(S/m)である。溶液の比誘電 率を 10、導電率を 10— 6 S/mを仮定すると、 て = 1.854 X 10— 5secとなる。あるいは、臨界 周波数を MHz]とすると、
[数 17]
f
J c - £ (14) となる。この fcよりも早い周波数の電界の変化に対しては、応答できず吐出は不可能 になると考えられる。上記の例について見積もると、周波数としては 10 kHz程度となる 。このとき、ノズノレ半径 2 z m、電圧 500V弱の場合、ノズノレ内流量 Gは 10— 13m3/sと見積 もること力できる力 上記の例の液体の場合、 10kHzでの吐出が可能なので、 1周期 での最小吐出量は 10fl (フェムトリットル、 lfl : 10— 15 1)程度を達成できる。
[0066] なお、各上記本実施の形態においては、図 17に示したようにノズノレ先端部に於け る電界の集中効果と、対向基板に誘起される鏡像力の作用を特徴とする。このため、 先行技術のように基板または基板支持体を導電性にすることや、これら基板または基 板支持体への電圧の印加は必ずしも必要はない。すなわち、基板として絶縁性のガ ラス基板、ポリイミドなどのプラスチック基板、セラミックス基板、半導体基板などを用 レ、ることが可能である。
また、上記各実施形態において電極への印加電圧はプラス、マイナスのどちらでも 良い。
さらに、ノズルと基材との距離は、 500[ μ πι]以下に保つことにより、溶液の吐出を容 易にすることができる。また、図示しないが、ノズル位置検出によるフィードバック制御 を行い、ノズルを基材に対し一定に保つようにすることが望ましレ、。
また、基材を、導電性または絶縁性の基材ホルダーに裁置して保持するようにして も良い。
[0067] 図 18は、本発明の他の基本例の一例としての液体吐出装置のノズル部分の側面 断面図を示したものである。ノズノレ 21の側面部には電極 15が設けられており、ノズノレ 内溶液 3との間に制御された電圧が印加される。この電極 15の目的は、
Electrowetting効果を制御するための電極である。十分な電場がノズルを構成する 絶縁体に力かる場合この電極がなくとも Electrowetting効果は起こると期待される。し かし、本基本例では、より積極的にこの電極を用いて制御することで、吐出制御の役 割も果たすようにしたものである。ノズノレ 21を絶縁体で構成し、先端部におけるノズ
ルの管厚が 1 β m、ノズノレ内径が 2 μ m、印加電圧が 300Vの場合、約 30気圧の
Electrowetting効果になる。この圧力は、吐出のためには、不十分であるが溶液のノ ズノレ先端部への供給の点からは意味があり、この制御電極により吐出の制御が可能 と考えられる。
[0068] 前述した図 9は、本発明における吐出開始電圧のノズノレ径依存性を示したものであ る。液体吐出装置として、図 11に示すものを用いた。微細ノズルになるに従い吐出開 始電圧が低下し、従来より低電圧で吐出可能なことが明らかになった。
[0069] 上記各実施形態にぉレ、て、液体吐出の条件は、ノズル一基材間距離 (h)、印加電圧 の振幅 (V)、印加電圧振動数 (f)のそれぞれの関数になり、それぞれにある一定の条 件を満たすことが吐出条件として必要になる。逆にどれか一つの条件を満たさない場 合他のパラメーターを変更する必要がある。
[0070] この様子を図 19を用いて説明する。
まず吐出のためには、それ以上の電界でないと吐出しないというある一定の臨界電 界 Ecが存在する。この臨界電界は、ノズル径、溶液の表面張力、粘性などによって変 わってくる値で、 Ec以下での吐出は困難である。臨界電界 Ec以上すなわち吐出可能 電界強度において、ノズル一基材間距離 (h)と印加電圧の振幅 (V)の間には、おおむ ね比例の関係が生じ、ノズル一基材間距離を縮めた場合、臨界印加電圧 Vを小さく する事が出来る。
逆に、ノズル-基材間距離 hを極端に離し、印加電圧 Vを大きくした場合、仮に同じ 電界強度を保ったとしても、コロナ放電による作用などによって、流体液滴の破裂す なわちバーストが生じてしまう。
[実施例 1]
[0071] ぐ第 1の実施の形態の実施例 >
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるも のではない。
本実施例においては、上記第 1の実施の形態の液体吐出装置 20として、以下の表 1に示すように、ノス、ノレ 21の先端咅 B力ら基材 Kまでの £巨離 h力 S 150, 85, 55 [ z m]で あるもの、つまり 1/h2の値が 4. 4 X 10—5、 1. 4 X 10—4、 3. 3 X 10— 4のものを形成した
(実施例 1一 3参照)。また、対照として、前記距離 hが 30 [ μ πι]であるもの、つまり 1 /h2の値が 1. 1 X 10— 3のものを形成した(比較例 1参照)。なお、これら実施例 1一 3 及び比較例 1における距離 hの値を計測したところ、液体吐出装置の機械的精度と、 基板 Kの表面のうねり等とによって ± 5 [ x m]の誤差が生じていた。
また、これら実施例 1一 3及び比較例 1において、溶液には「銀ナノペースト」(商品 名:ハリマ化成株式会社製)を用いた。また、ノズル 21として、先端部の内部直径が 1 [ z m]であるガラス製のノズノレを用いた。また、吐出電圧電源 31による矩形パルス電 圧は 350 [V]とした。更に、基材 Kとして、ガラス板を用いた。
[0072] [表 1]
[0073] これら実施例 1一 3及び比較例 1の液体吐出装置によって溶液を 1000滴吐出し、 基材 Kの表面に着弾したドットの径、つまり着弾径を計測した。これら着弹径のバラッ キの変動率(=標準偏差/平均値)を求めたところ、上記表 1のようになった。なお、 着弾径の計測は、ドットの画像を画像処理した後、画像中のドットの外径を計測する ことにより行った。ドット画像の撮影には、キーエンス社製のレーザー顕微鏡を用いた
[0074] 表 1から分かるように、 1 /h2の値が 4 X 10— 4以下である実施例 1一 3では、着弹径 の変動率が 5%より小さぐ良好な結果が得られた。更に、 lZh2の値が 2 X 10— 4以下 である実施例 1, 2では、着弾径の変動率が 2%以下であり、より良好な結果が得られ た。一方、 1/h2の値が 4 X 10— 4より大きい比較例 1では、着弾径の変動率が 10%で あり、良好ではない結果となった。
以上から、 1/h2の値を 4 X 10— 4以下、好ましくは 2 X 10— 4以下とすることにより、微 小液滴形成及び吐出量の安定性を高め、その結果、ドットの形状をより均一化できる
ことがわかる。
[実施例 2]
[0075] <第 2の実施の形態の実施例 >
本実施例においては、上記第 2の実施の形態の液体吐出装置 20として、以下の表 2に示すように、前記距離 h[ z m]とノズルの直径 R[ x m]との組合せ (h, R)が(230 , 2. 5)、(130, 2. 5)、 (80, 2. 5)、 (230, 6)、 (130, 6)、 (240, 9)であるもの、 つまり l/ (l + 5RZh)の値力 SO. 95, 0. 91 , 0. 86, 0. 88, 0. 81, 0. 84であるも のを形成した(実施例 4一 9参照)。また、対照として、前記距離 hとノズルの直径 と の組合せ(h, R)力 S (30, 2. 5)、(80, 6)、(30, 6)、 (140, 9)、 (80, 9)、 (30, 9) であるもの、つまり lZ ( l + 5R/h)の値力 71, 0. 73, 0. 50, 0. 76, 0. 64, 0. 40であるものを形成した(比較例 2— 7参照)。なお、これら実施例 4一 9及び比較例 2 一 7における距離 hの値を計測したところ、液体吐出装置の機械的精度と、基板 の 表面のうねり等とによって ± 5 [ /i m]の誤差が生じていた。
また、これら実施例 4一 9及び比較例 2— 7において、溶液には「銀ナノペースト」 ( 商品名:ハリマ化成株式会社製)を用いた。また、ノズノレ 21として、ガラス製のノズル を用いた。また、吐出電圧電源 31による矩形パルス電圧は 350 [V]とした。更に、基 材 Kとして、ガラス板を用いた。
[0076] [表 2]
ノズル直径 距離 h 着弾径の変動率
1/ (1 +5R/h)
L u mJ [%J 実施例 4 2. 5 230 u. yo 1
「
実施例 5 2. 5 130 U. 91
実施例 6 2. 5 80 0. 86 0
「
比較例 2 2. 5 30 0. 71 10 実施例 7 6 230 0. 88 2 実施例 8 6 130 0. 81
比較例 3 0 U. / Ό 比較例 4 6 30 0. 50 1 8 実施例 9 9 240 0. 84 3 比較例 5 9 140 0. 76 5 比較例 6 9 80 0. 64 8 比較例 7 9 30 0. 40 25 "
[0077] これら実施例 4一 9及び比較例 2— 7の液体吐出装置によって溶液を: LOOO滴吐出 し、基材 Kの表面における着弾径を計測した。これら着弾径のバラツキの変動率(= 標準偏差 Z平均値)を求めたところ、上記表 2のようになった。
[0078] 表 2から分かるように、 1/ (1 + 51 /11)の値が0. 8より大きい実施例 4一 9では、着 弾径の変動率が 5%より小さく、良好な結果が得られた。一方、 l/ ( l +5RZh)の 値が 0· 8以下である比較例 2—7では、着弾径の変動率が 5。/。以上であり、良好では ない結果となった。
以上から、 17 ( 1 + 51¾71 )の値を0. 8より大きくすることにより、微小液滴形成及 び吐出量の安定性を高め、その結果、ドットの形状を均一化できることがわかる。
[0079] また、表 2からは、ノズルの先端部の内部直径が小さいほど、距離 hの変化に起因 する着弾径の変動率が小さレ、ことが分かる。
産業上の利用可能性
[0080] 以上のように、本発明に係る液体吐出装置及び液体吐出方法は、ノズルの先端部 から基材までの距離の変化に関わらず、基材及びノズル周辺の電界強度の変化^
抑制するのに有用であり、特に、微小液滴形成及び吐出量の安定性を高め、かつ吐 出応答性を改善し、かつノズノレの先端部に高電圧を印加するのに適している。 符号の説明
20 液体吐出装置
21 ノズノレ
25 吐出電圧印加手段
26 液体吐出
K 基材