明 細 書 スルホン酸エステル化合物およびそれを用いた蛍光プローブ 技術分野
本発明は、 スルホン酸エステル化合物およびそれを用いた蛍光プロ一 ブに関する。 背景技術
生体内で活性酸素種の発生が宂進されることにより、 様々な疾病が惹 起されることが明らかになってきている。 したがって、 活性酸素種の生 体内ダイナミック解析は、 病因や病態等の解明に不可欠である。 活性酸 素種の解析においては、 蛍光プローブによるバイオイメージング法が中 心的役割を担っている。 スーパ一ォキサイドの発生が全ての活性酸素種 生成の源流にあるため、 その解析は非常に重要である。 しかし、 スーパ 一オキサイドに対する蛍光プローブとしては、 ヒドロェチジン (HE) (下記スキーム 1 ) しか存在しない。 (HEについては、 例えば、 (1) M. Nakano, Cell. Mol. Neurobiol. 1998, 18, 565-579; (2) C. L.
Murrant, M. B. Reid, Microsc. Res. Tech. 2001, 55, 236-248; (3) M. M. Tarpey, I. Fridovich, Circ. Res. 2001, 89, 224-236; (4) T. Munzel, I. B. Af anas ' ev, A. L. Klescchyov, D. G. Harrison, Arterioscler. Thromb. Vase. Biol. 2002, 22, 1761-1768; (5) M. D. Esposti, Methods, 2002, 26, 335-340; (6)G. Rothe, G. Valet, J. Leukoc. Biol. 1990, 47, 440-448; (7) W. 0. Carter, P. K.
Narayanan, J. P. Robinson, J. Leukoc. Biol. 1994, 55, 253-258; (8) V. P. Bindokas, J. Jordan, C. C. Lee, R. J. Miller, J.
Neurosci. 1996, 16, 1324-1336; (9) A. B. Al-Me di, H. Shuman, A. B. Fisher, Am. J. Pysiol. 1997, 272, L294-L300; (10)L. Benov, L. Sztejnberg, I. Fridovich, Free Radic. Biol. Med. 1998, 25, 826- 831.等を参照のこと。 )
(ェチジゥム)
スキーム さらに、 HEの発蛍光機構はスーパーォキサイドによる酸化反応に基 づくため、 特異性 (選択性) に問題がある。 すなわち、 活性酸素種の多 くが酸化剤として働く結果、 HE の酸化は他の活性酸素種によっても起 こり、 その程度は、 ペルォキシナイトライト >ヒドロキシルラジカル > スーパーオキサイド >過酸化水素の順である。 また、 HEは、 チトクロ ーム c によっても酸化を受けることが知られている。 したがって、 HE を用いて得た蛍光応答は、 スーパーオキサイド発生量ではなく、 "活性 酸素種を含む生体内酸化剤のトータル発生量" の指標として活用すべき であると考えられている。 一方、 スーパーオキサイドの還元力に基づく プローブとしては、 ニトロブルーテトラゾリゥム (NBT) がある。 NBT は、 スーパ一オキサイドにより還元を受け、 青色色素ジフオルマザンに 変換される。 しかし、 吸光プロ一ブ NBT には、 N0S 等の様々な還元酵 素により還元を受ける、 生成するジフオルマザンが不均化や酸化により NBT に変換される等の問題があるだけでなく、 フローサイトメトリー、
共焦点レーザー顕微鏡等の先端蛍光解析法には利用できない。 このよう な背景の下、 高選択的にスーパーォキサイドに応答する蛍光プローブの 開発が細胞生理学的観点等から待ち望まれている。
一方、 ァセチルコリンエステラーゼ(AChE)アツセィ等のアツセィ方法 は、 生化学や医療の技術分野において重要である。 そのようなアツセィ 方法には、 メルカプト基 (チオール基) を有する化合物を検出できる化 合物 (メルカプト基検出用化合物) が有用であると考えられる。 これま でにメルカプト基検出能を有する化合物が実際にいくつか開発されてお り、 それらはおおむね次の type l〜3の 3種類に分類できる。 すなわち、 [type 1]は蛍光性化合物の導入試薬、 [type 2]はメルカプト基のラベル 化剤であり、 [type 3]はメルカプト基との反応に基づく発色試薬である 。 これら typel〜3に属する化合物の例示およびそのメルカプト基検出機 構の概要を、 下記スキーム 2に示す。
9 10
DC
O
[type 2】
:N、 zヽ。
N02 N02
11 12
スキーム 2 化合物 9等の t ype 1 に属する試薬は、 専ら蛍光標識したタンパク質 や核酸の合成目的に用いられているが、 AChEアツセィ等に用いるには次 のような難点がある。 すなわち、 まず、 化合物 9は、 その生成物 1 0と同 様に蛍光性化合物である。 従って、 AChE アツセィゃ AChE 阻害活性の 測定を 9 を用いて行なった場合、 酵素反応後において 9 と 1 0 の分離 操作が必ず必要となるため煩雑である。 また、 9 におけるメルカプト基
との反応部位であるマレイミド Onaleimide)はアミン類ゃアルコール類 などの他の求核試薬とも反応するため、 特異性 (選択性) の点で難点が ある。
次に、 化合物 11 等の type 2 に属する試薬は、 専ら分離分析用のラ ベル化剤として利用されている。 type 2 の試薬 11 は非蛍光性であり 、 メルカプト基と反応することにより蛍光性色素である 12 を与える。 従って、 9 とは異なり反応後における試薬の分離操作は必要としない。 しかし、 11 も様々な求核剤と反応し、 12 と類似の蛍光性化合物を与え るため、 AChE アツセィ等に用いるにはやはり特異性の点で難点がある 。 ただし、 様々な求核剤と反応することはそれら求核剤のラベル化剤と して有利であるため、 11 は、 アミン類ゃチオール類の. HPLC 分析にお けるラベル化剤として重宝されている。
type 3 の試薬 13 (Ellman' s reagent) は、 AChE アツセィに実際使 用されている試薬である。 しかし、 13 自身の水溶液中での安定性が悪 いこと、 つまり、 ブランク応答が大きいことに起因する低感度という問 題点がある。
なお、 チオールに対し選択的に反応する化合物の例としては、 これら type 1〜3以外に、 スルホンアミド化合物 15 のチオールによる脱保護 反応も報告されている (Fukuyama, T., et al. , Tetrahedron Lett., 1997, 38, 5831-5834)。 化合物 15 における芳香族求核置換反応は、 ァ ミノ化合物に比べてチオール化合物により、 より円滑に進行すること、 すなわち、 ァミノ化合物の場合、 15 に対して大過剰を用いて長い反応 時間が必要であることが報告されている。 しかし、 化合物 15およびその 生成物はともに蛍光を示さないため、 チオール検出用化合物としての利 用は全く望めない。
+ S0
2
スキーム 3 以上の通り、 ァセチルチオコリン(acetyl thiochol ine)を基質として 用いる AChE アツセィ法をより一般的な手法として活用する等の観点 から、 化合物 13 等にとって代わる新しいメルカプト基検出用化合物の 開発が待ち望まれている。 発明の開示
したがって、 本発明は、 スーパ一オキサイドやメルカプト化合物に高 選択的に応答する蛍光プローブ等に使用可能な新規有機化合物を提供す ることを目的とする。 前記課題を解決するために、 本発明は、 下記一般式 ( I ) で表される 構造を含むスルホン酸エステル化合物を提供する。
( I )
式 ( I ) 中、 原子団 A— Oは、 スルホニル基との共有結合を切断する とにより蛍光性化合物を形成する原子団であり、 原子団 Aに結合する
原子団 B— S 0 3 _ は 1つでも複数でも良く、 Bは、 1個または複数 の電子吸引基で置換された環であり、 前記電子吸引基は、 ハロゲン化ァ ルキル基、 ニトロ基、 およびシァノ基からなる群から選択される少なく とも一つを含み、 Bは、 複数存在する場合は同一でも異なっていても良 い。 本発明のスルホン酸エステル化合物は、 前記一般式 ( I ) で表される 構造を有することにより、 例えば、 ヒドロキシルラジカルおよび過酸化 水素に応答せず、 スーパーォキサイドだけに対して応答する高選択的な 蛍光プローブ、 またはメルカプト化合物に対し高選択的に応答する蛍光 プローブ等の用途に使用することができる。 さらに、 本発明のスルホン 酸エステル化合物を用いた蛍光プローブは、 スーパーォキサイド以外の 細胞内活性酸素種例えばヒドロキシルラジカルおよび過酸化水素のみな らず、 他の生理学的活性物質に対する応答が極めて低く、 スーパーォキ サイドまたはメルカプト化合物に対して高選択的に応答する蛍光プロ一 ブとして使用することも可能である。 前記他の生理学的活性物質は、 例 えば、 ァスコルビン酸、 1, 4—ヒドロキノン等の還元性化合物、 ダル コース、 プロピルアミン、 ジェチルァミン等の求核性化合物、 ならびに チトクローム P450リダクタ一ゼ + NADPH系およびジァフオラーゼ + NADH 系等の還元酵素系が挙げられる。 なお、 本発明で 「メルカプト化合物」 とは、 メルカプト基 (_ S H基) を有する化合物全般を指し、 メルカプ ト基が結合している原子は炭素原子でも良いしそれ以外の任意の原子、 例えば窒素、 リン等であっても良いものとする。 図面の簡単な説明
図 1は、 化合物 I dのスーパーォキサイド検出性能を示すグラフである
図 2は、 化合物 I dを細胞系に応用した試験結果を示すグラフである。 図 3は、 化合物 I dを細胞系に応用した試験結果を示すその他のグラフ である。 '
図 4は、 化合物 5 a、 7、 6a、 8aおよび I dのそれぞれについて、 スーパ
—ォキサイドまたはダルタチオンに対する特異性を示すグラフである。 図 5は、 ダルタチオンおよびシスティンに対する蛍光応答を示すダラ フであり、 図 5 Aは化合物 6aについての、 図 5 Bは化合物 8aについての 測定結果を示す。
図 6は、 アセチルコリンエステラーゼ活性と化合物 8aの蛍光応答との 関係を示すグラフである。
図 7は、 化合物 8aによるネオスチグミンおよびピリドスチグミンのァ セチルコリンエステラーゼ阻害活性測定結果を示すグラフである。 図 8は、 化合物 8aのア -S-ATPに対する蛍光応答を示すグラフである。 発明を実施するための最良の形態
まず、 スーパーォキサイド検出における本発明の化合物の特徴を説明 する。
従来の蛍光プローブ HE は酸化反応により蛍光化合物に変換される 。 したがって、 上述したように特異性に関して問題がある。 一方、 還元 反応に基づく発蛍光機構を利用する蛍光プローブは存在しないが、 吸光 プローブとしては NBT がある。 NBT の場合、 単純な還元反応を発蛍光 機構とするため、 逆反応つまり生成する色素の NBT への変換反応が存 在する。 それに対して、 前記一般式 ( I ) の化合物における発蛍光機構 は、 単純な酸化還元反応ではなく、 例えば芳香族求核置換反応により誘 起される脱スルホニル化反応に基いている。 すなわち、 例えば下記スキ
ーム 4のようにである。 ただしスキーム 4は例示に過ぎず、 本発明を限 定するものではない。
1a: X=Y=H 2a: X=Y=H 1b: X=CI, Y=H 2b: X=CI, Y=H 1c: X=F, Y=H 2c: X=F, Y=H 1d: X=Y=F 2d: X=Y=F スキーム 4 従って、 前記一般式 ( I ) で表される本発明の化合物によれば、 HE における問題点を回避できるだけでなく、 NBT における逆反応も起こら ないと考えられる。 このような発蛍光反応に基づき蛍光プローブを設計 開発したのは本発明者らが初めてである。
なお、 スキーム 4の反応のより具体的なメカニズムは、 例えば下記ス キーム 5のように推定される。 ただし、 スキーム 5は推定可能なメカ二 ズムの一例を示すに過ぎず、 本発明を何ら限定しない。
16b: X=CI, Y=H
16c: X=F, Y=H
16d: X=Y=F
17a: X=Y=H
17b: X=CI, Y=H
17c: X=F, Y=H
17d: X=Y=F
スキーム 5 次に、 メルカプト化合物検出における本発明のスルホン酸エステル化 合物の特徴を説明する。
本発明のスルホン酸エステル化合物は、 メルカプト基検出用化合物と しては、 前記 type 3 に属するが、 既存の type 1—3 の試薬に比べて以 下のような特徴を有する。
本発明のメルカプト化合物応答型蛍光プローブの発蛍光機構は、 例え
ば、 下記スキーム 6による芳香族求核置換反応に基づくものと推定され る。 ただし、 スキーム 6は推定可能なメカニズムの一例を示すに過ぎず 、 本発明を限定するものではない。
8a: X=Y=H 16a: X=Y=H
8b: X=CH3> Y=H 16b: X=CH3, Y=H
8c: X=H, Y=CH3 16c: X=H, Y=CH3
このような反応による発蛍光は、 本発明の化合物のようなスルホン酸 エステル化合物については報告例がない。 そして、 本発明の化合物は、 前記一般式 ( I ) で表されることにより、 ァミノ化合物等と比較してメ ルカプト化合物に対し高特異的かつ高感度に応答する。 さらに、 前記原 子団 A— 0とスルホニル基との共有結合を切断することにより蛍光性化 合物を形成するため、 反応後における化合物の分離等を行なわず簡易な 操作でメルカプト化合物の検出を行なうことも可能である。 したがって 、 従来のメルカプト化合物検出用試薬では達成できなかったアツセィ系 の構築が、 本発明の化合物を用いて行えると期待できる。
以下、 本発明の実施形態について説明する。
前記式 ( I ) 中の原子団 Bは、 前記の通り 1個または複数の電子吸引 基で置換された環であるが、 1個または複数の電子吸引基で置換された 芳香環または複素芳香環が好ましい。 すなわち、 原子団 Bを形成する環 が芳香環または複素芳香環であれば、 スーパーォキサイド検出用プロ一 ブゃメルカプト化合物検出用プローブに用いる場合の検出能がより高く なることが期待される。 すなわち、 例えば反応が前記スキーム 5や 6の ように単なる求核置換反応ではなく芳香族求核置換反応になると考えら れるため、 より検出能に優れることが期待できる。
前記式 ( I ) 中の原子団 Bにおいて、 前記電子吸引基は、 炭素数 1〜 6の直鎖もしくは分枝ハロゲン化アルキル基、 ニトロ基、 およびシァノ 基からなる群から選択される少なくとも一つが好ましく、 スーパ一ォキ サイドゃメルカプト化合物に対する検出能等の観点からは、 ニトロ基お よびトリフルォロメチル基の少なくとも一方を含むことがより好ましく 、 ニトロ基を含むことがさらに好ましい。 なお、 前記原子団 Bは、 必要 に応じ、 ハロゲン化アルキル基、 ニトロ基、 およびシァノ基以外の電子 吸引基、 例えばハロゲン原子等でさらに置換されていても良いし、 電子 吸引基以外の任意の基、 例えばメチル基、 イソプロピル基、 メ卜キシ基 等でさらに置換されていても良い。 また、 前記原子団 Bにおいて、 前記 環が、 ベンゼン環、 ナフタレン環、 アントラセン環、 ピレン環、 ピリジ ン環、 ピロール環、 チォフェン環、 フラン環、 ベンゾピリジン環、 ベン ゾピロール環、 ベンゾチォフェン環、 およびべンゾフラン環からなる群 から選択される少なくとも一つであることがより好ましい。
前記原子団 Bは、 2, 4—ジェトロフエニル基、 4一二トロフエニル基、 2—二トロフエニル基、 2—二トロ— (4一トリフルォロメチル) フエ二
ル基、 2—ニトロ一 4—メトキシフエ二ル基、 4一二トロー 2—メトキシフ ェニル基、 2—二トロー 4一メチルフエニル基、 4一二トロ— 2—メチルフ ェニル基、 2—二トロー 4, 6—ジメチルフエニル基、 4—ニトロ— 2, 6—ジ メチルフエニル基、 2—ニトロ一 4 _クロ口フエ二ル基、 4_ニトロ一 2— クロ口フエ二ル基、 および 2—二トロー 4一イソプロピルフエニル基から なる群から選択される少なくとも一つであることが蛍光プローブの感度 およびス一パーォキサイドゃメルカプト化合物に対する特異性 (選択性 ) の観点からさらに好ましく、 2,4—ジニトロフエニル基、 2—ニトロ一 (4 -トリフルォロメチル) フエニル基、 2—二トロ一 4ーメトキシフエ ニル基、 4一二トロー 2—メトキシフエ二ル基、 2—ニトロ— 4—メチルフ ェニル基、 4一二トロ— 2—メチルフエニル基、 2 _ニトロ— 4, 6—ジメチ ルフエ二ル基、 4_ニトロ一 2, 6—ジメチルフエニル基、 2—ニトロ一 4— クロ口フエ二ル基、 4一二トロー 2—クロ口フエ二ル基、 および 2—二ト 口一 4一イソプロピルフエニル基からなる群から選択される少なくとも 一つであることが一層好ましく、 2, 4—ジニトロフエニル基であること が特に好ましいが、 これ以外にも種々の基が可能である。 なお、 特定の物質を検出するためのプローブに用いる場合、 特異性 ( 選択性) の観点から、 他の物質に対する応答をなるベく低く抑えること が好ましい。 ただし、 特定の物質以外に対して応答することが、 前記特 定の物質を検出するためのプローブに用いられる可能性を排除するもの ではなく、 測定条件を適宜設定すること等により、 前記特定の物質の検 出用に用いることが充分可能である。 本発明のスルホン酸エステル化合 物は、 前記式 ( I ) に示す範囲内で適宜分子設計することにより、 スー パーォキサイドおよびメルカプト化合物のいずれかに高い特異性を示す スルホン酸エステル化合物を得ることができる。 なお、 本発明のスルホ
ン酸エステル化合物を用いた蛍光プローブの特異性 (選択性) は特に限 定されないが、 好ましくは、 例えば以下の通りである。 すなわち、 スー パーォキサイドまたはメルカプト化合物に対する蛍光応答が、 過酸化水 素に対する蛍光応答の 1 0倍以上であることが好ましく、 2 0倍以上で あることがより好ましく、 1 0 0倍以上であることが特に好ましい。 前 記スーパーォキサイドまたはメルカプト化合物に対する蛍光応答の上限 値は特に限定されないが、 例えば過酸化水素に対する蛍光応答の 1 0 0 0倍以下である。 また、 前記スーパ一オキサイドまたはメルカプト化合 物に対する蛍光応答は、 ヒドロキシルラジカル、 グルコース、 ァスコル ビン酸、 1, 4 —ヒドロキノン、 プロピルァミン、 またはジェチルアミ ンに対する蛍光応答の 1 0倍以上であることが好ましく、 2 0倍以上で あることがより好ましく、 1 0 0倍以上であることが特に好ましく、 上 限値は特に限定されないが、 例えばこれらいずれかの物質に対する蛍光 応答の 1 0 0 0倍以下である。 前記スーパーォキサイドまたはメルカプ ト化合物に対する蛍光応答は、 チトクローム P450リダクタ一ゼ + NADPH 系またはジァフオラーゼ + NADH系に対する蛍光応答と比較した場合は 、 4倍以上が好ましく、 5倍以上がより好ましく、 1 0倍以上がさらに 好ましく、 2 0倍以上が特に好ましく、 上限値は特に限定されないが、 例えばこれらいずれかの系に対する蛍光応答の 1 0 0倍以下である。 な お、 これらは、 スーパーオキサイドまたはメルカプト化合物と前記各物 質とを等モル量で比較した値であるものとし、 測定温度は 3 7 °Cであり 、 励起波長は 485 ± 20 皿であり、 放射波長は 530 ± 20 nmであるものとす る。 ただし、 本発明の蛍光プローブを用いた測定条件がこれに限定され るものではなく、 あらゆる測定条件が可能である。
本発明のスルホン酸エステル化合物をスーパ一ォキサイド検出用プロ ーブに用いる場合は、 特異性 (選択性) の観点から、 前記式 ( I ) 中の
原子団 Aに結合する原子団 B— S 0 3 _ が複数であるスルホン酸エス テル化合物が好ましく、 この場合において、 前記式 ( I ) 中の原子団 B における前記電子吸引基がニトロ基およびトリフルォロメチル基の少な くとも一方を含むことがより好ましく、 前記電子吸引基はニトロ基を含 むことがさらに好ましい。 原子団 Bは、 2, 4—ジニトロフエニル基、 4一 ニトロフエニル基、 2 _ニトロフエニル基、 2—二トロ— (4一トリフル ォロメチル) フエニル基、 2—二トロー 4—メトキシフエニル基、 4一二 トロ— 2—メトキシフエ二ル基、 2 _ニトロ—4—メチルフエニル基、 4一 二トロー 2—メチルフエニル基、 トニトロー 4, 6—ジメチルフエニル基 、 4一二トロー 2, 6—ジメチルフエニル基、 2—ニトロ一 4—クロ口フエ二 ル基、 4—ニトロ一 2—クロ口フエ二ル基、 および 2—ニトロ _ 4 _イソ プロピルフエニル基からなる群から選択される少なくとも一つであるこ とが一層好ましく、 2, 4—ジニトロフエニル基、 2—ニトロ一 (4一トリ フルォロメチル) フエニル基、 2—二トロー 4ーメトキシフエ二ル基、 4 —ニトロ— 2—メトキシフエ二ル基、 2—二トロー 4—メチルフエニル基 、 4—ニトロ— 2—メチルフエニル基、 2—二トロー 4, 6—ジメチルフエ二 ル基、 4一二トロー 2, 6—ジメチルフエニル基、 2—二トロ— 4—クロロフ ェニル基、 4—ニトロ一 2—クロ口フエ二ル基、 および 2—ニトロ一 4 _ イソプロピルフエニル基からなる群から選択される少なくとも一つであ ることがより一層好ましく、 2, 4ージニトロフエニル基であることが特 に好ましい。 また、 前記式 ( I ) 中の原子団 Aに結合する原子団 B— S〇3— が 1つであるスルホン酸エステル化合物をスーパ一ォキサイド 検出用プローブに用いる場合は、 スーパーォキサイド選択性の観点から 、 前記式 ( I ) 中の原子団 Bにおいて、 前記電子吸引基がニトロ基を 1 個のみ含むことが好ましい。 このような原子団 Bとしては、 例えば上記 のような、 2 _ニトロフエニル基、 4一二トロフエニル基またはこれらか
ら誘導される基等がある。 ただし、 本発明におけるこれら以外のスルホ ン酸エステル化合物もスーパーォキサイド検出用蛍光プローブに当然使 用可能である。
また、 本発明のスルホン酸エステル化合物は、 メルカプト化合物検出 用プローブに用いる場合は、 特異性 (選択性) の観点からは、 前記式 ( I ) 中の原子団 Aに結合する原子団 B— S 0 3 _ が 1つであることが 好ましい。 この場合において、 より高い特異性およびメルカプト化合物 検出能等の観点から、 前記式 ( I ) 中の原子団 Bにおいて、 前記電子吸 引基が二ト口基を含むことがより好ましく、 複数の二ト口基を含むこと が特に好ましい。 例えば、 前記式 ( I ) において、 原子団 Bが、 2, 4一 ジニトロフエニル基、 4一二トロフエニル基、 2—二トロフエニル基、 1 —ニトロ— ( 4一トリフルォロメチル) フエニル基、 2—ニトロ—トメ トキシフエ二ル基、 4 _ニトロ一 2—メトキシフエ二ル基、 2—ニトロ— 4 —メチルフエニル基、 4一二トロー 2—メチルフエニル基、 2—二トロー 4, 6—ジメチルフエニル基、 4一二トロ— 2 , 6—ジメチルフエニル基、 - ニトロ一 4一クロ口フエ二ル基、 4—ニトロ— 2—クロ口フエ二ル基、 お よび 2—二トロー 4—ィソプロピルフエニル基からなる群から選択され る少なくとも一つであることがさらに好ましく、 2, 4—ジニトロフエ二 ル基、 2—ニトロ一 (4—トリフルォロメチル) フエニル基、 2—ニトロ —4—メトキシフエ二ル基、 4—ニトロ— 2—メトキシフエ二ル基、 2—二 トロ— 4—メチルフエニル基、 4一二トロー 2—メチルフエニル基、 2—二 トロ一 4, 6—ジメチルフエニル基、 4—ニトロ— 2, 6—ジメチルフエニル 基、 2—ニトロー4一クロ口フエ二ル基、 4—ニトロ一 2—クロ口フエニル 基、 および 2—ニトロ— 4—イソプロピルフエニル基からなる群から選 択される少なくとも一つであることが一層好ましく、 2 , 4—ジニトロフ ェニル基であることが特に好ましい。 しかしながら、 これら以外のスル
ホン酸エステル化合物も、 当然メルカプト化合物検出用プローブに使用 可能である。 本発明のスルホン酸エステル化合物における前記式 ( I ) 中の原子団 A—〇においては、 例えば、 〇原子が芳香環または複素芳香環に直接結 合していることが、 蛍光プローブに使用する場合のより高い検出能等の 観点からさらに好ましい。 本発明のスルホン酸エステル化合物において 、 前記原子団 A— Oとスルホニル基との共有結合を切断することにより 形成される蛍光性化合物は、 フルォレセィン、 レゾルフィン、 7—ヒド ロキシクマリン、 1 一ナフトール、 2—ナフトール、 1—ヒドロキシァ ン卜ラセン、 2—ヒドロキシアントラセン、 9ーヒドロキシアントラセ ン、 1—ヒドロキシピレン、 1ーヒドロキシァクリジン、 2—ヒドロキ シァクリジン、 9ーヒドロキシァクリジン、 2—ヒドロキシキノロン、 4ーヒドロキシキノロン、 5—ヒドロキシキノロン、 6—ヒドロキシキ ノロン、 8—ヒドロキシキノロン、 4ーヒドロキシ一 7 —ニトロ一 2— ォキサ一 1, 3 —ジァゾ一ルまたはそれらの誘導体であることが好まし いが、 これらには限定されず、 あらゆる蛍光性化合物が可能である。 な お、 前記蛍光性化合物が 7 _ヒドロキシクマリンであるか、 または 7— ヒドロキシ— 4 _ (トリフルォロメチル) クマリン以外の 7—ヒドロキ シクマリン誘導体である場合は、 前記原子団 Bは、 2, 4—ジニトロフエ ニル基、 2—ニトロ— (4 _トリフルォロメチル) フエニル基、 2—二ト ロー 4ーメトキシフエ二ル基、 4—ニトロ—2—メトキシフエニル基、 2— ニトロ— 4一メチルフエニル基、 4一二トロー 2—メチルフエニル基、 2— ニトロ一 4, 6—ジメチルフエニル基、 4一二トロー 2, 6—ジメチルフエ二 ル基、 2—ニトロ一 4—クロ口フエ二ル基、 4—ニトロー2—クロ口フエ二 ル基、 または 2—ニトロ— 4一イソプロピルフエニル基であることがより
好ましい。 前記フルォレセイン誘導体は、 フルォレセインの 2位、 4位 、 5位および 7位のうち少なくとも一つが炭素数 1〜6の直鎖もしくは 分枝アルキル基、 またはハロゲンで置換された誘導体であり、 前記 7— ヒドロキシクマリン誘導体は、 7—ヒドロキシクマリンの 4位が炭素数 1〜6の直鎖もしくは分枝アルキル基、 またはトリフルォロメチル基で 置換された誘導体であることがより好ましい。 前記原子団 A— 0とスル ホニル基との共有結合を切断することにより形成される蛍光性化合物と して特に好ましい化合物の具体例は、 例えば、 フルォレセイン、 2 , 7 ージクロロフルォレセィン、 2, 7ージフルオロフルォレセィン、 4, 5—ジフルオロフルォレセイン、 2, 4 , 5 , 7—テトラフルオロフル ォレセイン、 2 , 7ージメチルフルォレセィン、 4, 5ージメチルフル ォレセイン、 2 , 4 , 5, 7—テトラメチルフルォレセイン、 2, 7 - ジィソプロピルフルォレセィン、 2, 7 _ジー t—ブチルフルォレセィ ン、 2 , 7—ジメトキシフルォレセィン、 2, 4—ジフルオロー 5, 7 ージメチルフルォレセィン、 レゾルフィン、 2 , 8—ジクロロレゾルフ イン、 7—ヒドロキシー 4一 (卜リフルォロメチル) クマリン、 および 7—ヒドロキシー 4ーメチルクマリンである。 次に、 本発明のスルホン酸エステル化合物は、 例えば下記式(i;)〜 (iv)のいずれかで表されることがより好ましい。
X1、 X2、 Y1および Y2は、 それぞれ水素原子、 炭素数 1〜6の直鎖 もしくは分枝アルキル基、 またはハロゲンであり、 同一でも異なってい ても良く、
X 3は炭素数 1〜 6の直鎖もしくは分枝アルキル基、 またはトリフルォ
ロメチル基であり、
R1および R3は、 それぞれ水素原子、 ニトロ基、 メチル基、 クロ口 基またはメトキシ基であり、 同一でも異なっていても良く、
R2および R4は、 それぞれ水素原子、 ニトロ基、 トリフルォロメチ ル基、 メチル基、 イソプロピル基、 クロ口基またはメトキシ基であり、 同一でも異なっていても良く、
かつ、 R1および R2のうち少なくとも一方はニトロ基であり、 R3およ び R4のうち少なくとも一方はニトロ基であり、 式(iv)中、 X3が炭素数 1〜6の直鎖もしくは分枝アルキル基である場合は、 R1および R 2はい ずれも水素原子以外の基である。
メルカプト化合物検出用プローブに用いる場合は、 前記式(ii)〜(iv) のいずれかで表され、 R1および R2のうちいずれもがニトロ基であるこ とがさらに好ましい。
本発明のスルホン酸エステル化合物の特に好ましい例としては、 例え ば、 下記式 1および 3〜 8のいずれかで表される化合物がある。
OO'SOO/S I OAV lSZ,L00^00Zdf/13d
式 1および 8中、 X1、 X2、 ェぉょび ま、 それぞれ水素原子、 メチル基またはハロゲンであり、 同一でも異なっていても良く、 式 4、 5および 6中、 R1は水素原子、 ニトロ基、 メチル基、 クロ口基または メトキシ基であり、 R2は水素原子、 ニトロ基、 トリフルォロメチル基 、 メチル基、 イソプロピル基、 クロ口基またはメトキシ基であり、 かつ 、 R1および R2のうち少なくとも一方はニトロ基である。
これらのうち、 スーパーォキサイド検出用プローブに用いる場合は、 下記式 l a〜 l d、 3、 4 a〜4 e、 5 a、 5 b、 6 aおよび 6 bのう ちいずれかで表されるスルホン酸エステル化合物が特に好ましく、 メル カプト化合物検出用プローブに用いる場合は、 下記式 5 a、 6 a、 7、 8 a、 8 bおよび 8 cのうちいずれかで表されるスルホン酸エステル化 合物が特に好ましい。
8a: X=Y=H
8b: X=CH3, Y=H 8c: X=H, Y=CH3
前記一般式 (I) で表される本発明のスルホン酸エステル化合物の製 造方法は特に限定されず、 公知のスルホン酸エステル化合物の製造方法 等を適宜用いることができるが、 例えば、 下記式 (Π) の化合物と下記 式 (III) の化合物とを化合させる工程を含む製造方法により製造する ことができる。
(II) (III) 式 (III) 中、 X5はハロゲンであり、 Aおよび Bは前記式 (I) と 同じである。 また、 前記式 (Π) の化合物としては、 例えば前記蛍光性 化合物等が使用でき、 好ましい蛍光性化合物は例えば前述の通りである 。 すなわち、 式 (II) の化合物としては、 例えば、 下記式で表されるフ ルォレセインおよびその誘導体、 レゾルフイン、 7—ヒドロキシ—4— (トリフルォロメチル) クマリン、 7—ヒドロキシ— 4ーメチルクマリ ン等の蛍光色素があるが、 これらに限定されず、 種々の化合物を使用で さる。
、ゝ
、 ―ノ し ΌΗ
蛍光色素
フノレ才レセイン
(fluorescein)
7—ヒドロキシー 4一
[7-hydroxy-4- (tnfluoromethyl)
7—ヒドロキシ一 4_
メチルクマリン
[7-hydroxy-4-methylcouraarinj
なお、 本発明で 「ハロゲン」 とは、 任意のハロゲン元素を指すが、 例 えば、 フッ素、 塩素、 臭素およびヨウ素があげられる。 ハロゲン化アル キル基としては、 特に限定されないが、 例えば、 メチル基、 ェチル基、 n -プロピル基、 イソプロピル基、 n-ブチル基、 イソブチル基、 sec-プチ
ル基および t er t-ブチル基等をそれぞれハロゲン化した基があげられ、 トリフルォロメチル基が特に好ましい。
前記式 ( I ) で表される化合物に互変異性体、 立体異性体、 光学異性 体等の異性体が存在する場合は、 それら異性体も本発明の化合物に含ま れる。 さらに、 前記式 ( I ) の化合物およびその他本発明に係る化合物 が塩を形成し得る場合は、 その塩も本発明の化合物に含まれる。 前記塩 は特に限定されず、 例えば酸付加塩でも塩基付加塩でも良く、 さらに、 前記酸付加塩を形成する酸は無機酸でも有機酸でも良く、 前記塩基付加 塩を形成する塩基は無機塩基でも有機塩基でも良い。 前記無機酸として は、 特に限定されないが、 例えば、 硫酸、 リン酸、 塩酸、 臭化水素酸お よび、 ヨウ化水素酸等があげられる。 前記有機酸も特に限定されないが 、 例えば、 p—トルエンスルホン酸、 メタンスルホン酸、 シユウ酸、 p 一ブロモベンゼンスルホン酸、 炭酸、 コハク酸、 クェン酸、 安息香酸お よび酢酸等があげられる。 前記無機塩基としては、 特に限定されないが 、 例えば、 水酸化アンモニゥム、 アルカリ金属水酸化物、 アルカリ土類 金属水酸化物、 炭酸塩および炭酸水素塩等があげられ、 より具体的には 、 例えば、 水酸化ナトリウム、 水酸化カリウム、 炭酸カリウム、 炭酸ナ トリウム、 炭酸水素ナトリウム、 炭酸水素カリウム、 水酸化カルシウム および炭酸カルシウム等があげられる。 前記有機塩基も特に限定されな いが、 例えば、 エタノールァミン、 トリェチルァミンおよびトリス (ヒ ドロキシメチル) ァミノメタン等があげられる。
前記本発明の化合物の塩の製造方法も特に限定されず、 例えば、 本発 明の化合物に、 前記のような酸や塩基を公知の方法により適宜付加させ る等の方法で製造することができる。
本発明の蛍光プローブは、 前記本発明のスルホン酸エステル化合物を
含むことにより、 スーパ一ォキサイドゃメルカプト化合物に対し高い選 択性を示す。 したがって、 本発明の蛍光プロ一ブは感度および精度に優 れ、 本発明の蛍光プローブ、 またはそれを用いたスーパーオキサイド検 出方法もしくはメルカプト化合物検出方法は、 例えばバイオイメージン グ方法等への応用に適している。 したがって、 本発明のスルホン酸エス テル化合物は臨床分析用試薬等の用途にも適する。
なお、 本発明のスルホン酸エステル化合物の構造はその用途により限 定されないが、 用途に応じて構造を適宜選択して使用することが好まし い。 スーパ一ォキサイド検出用蛍光プローブまたはメルカプト化合物検 出用プローブに本発明の化合物を用いる場合、 それぞれの用途に好まし い化合物は、 特異性 (選択性) の観点から前述の通りである。 本発明の 蛍光プローブは、 これら本発明の化合物を含むことにより、 スーパーォ キサイドまたはメルカプト化合物に対し高い特異性 (選択性) と検出能 を有することが可能である。 本発明の蛍光プローブは、 前記の通りバイオイメージング等の用途に 適しているが、 これ以外にも種々の用途に使用可能である。 本発明のス —パ一ォキサイド検出用蛍光プローブの用途は特に限定されないが、 例 えば、 ブロッテイング (転写) を用いたアツセィ方法、 スーパ一ォキサ イドジスムターゼ定量方法、 機能性食品または医薬のスーパーォキサイ ド消去能測定方法、 臨床分析方法、 および医薬のスクリーニング方法等 に適している。 また、 本発明のメルカプト化合物検出用蛍光プローブの 用途は特に限定されないが、 例えば、 キナーゼアツセィ方法、 ァセチル コリンエステラーゼアツセィ方法、 ブロッテイング (転写) を用いたァ ッセィ方法、 臨床分析方法、 および医薬のスクリーニング方法に適して いる。 以下、 これらの方法についてより具体的に説明する。
ブロッテイング (転写) を用いたアツセィ方法とは、 支持体上にプロ ッティング (転写) した物質を本発明の蛍光プロ一ブを用いて検出する 工程を含むアツセィ方法である。 その操作等は特に限定されず、 前記物 質を前記支持体上で本発明の蛍光プローブと反応させる以外は公知の手 法を適宜用いることができる。 前記支持体も特に限定されず、 例えばァ ガロースゲル、 ポリアクリルアミドゲル、 ニトロセル口一ス膜、 ナイ口 ン膜等の公知の物が使用可能である。 例えば本発明の蛍光プローブおよ び前記支持体を含むキットを適宜設計することにより、 前記プロッティ ングを用いたアツセィ方法に使用することができる。
次に、 本発明のス一パーオキサイド検出用蛍光プローブを用いたス一 パーォキサイド定量方法は、 本発明のスーパーォキサイド検出用蛍光プ ローブをスーパーォキサイドと反応させた後の蛍光応答を、 前記反応を スーパーォキサイドジスムタ一ゼ含有試料の存在下で行なった場合と非 存在下で行なった場合とで比較することにより行なう。 例えば、 前記ス ーパ一オキサイドジスムタ一ゼ含有試料として、 ヒトもしくは動物の体 液またはその体液から抽出した試料を用いて前記スーパーォキサイドジ スム夕ーゼ定量方法を行なうことにより、 前記ヒトまたは動物の体液中 のス一パーォキサイドジスムタ一ゼ濃度を測定することができる。 さら に、 前記スーパーオキサイドジスムターゼ定量方法は、 例えば、 機能性 食品または医薬のスーパ一ォキサイド消去能測定にも応用することがで きる。 すなわち、 前記スーパーオキサイドジスムターゼ定量方法を用い てヒトまたは動物の体液中におけるス一パーォキサイドジスムターゼ濃 度を測定する工程と、 その後前記ヒトまたは動物に機能性食品または医 薬を投与する工程と、 投与後に再び前記スーパーォキサイドジスム夕ー ゼ定量方法を用いて前記ヒトまたは動物の体液中におけるスーパ一ォキ サイドジスムターゼ濃度を測定する工程とを含む方法により、 前記機能
性食品または医薬のスーパ一ォキサイド消去能を測定することができる 。 例えばこれらの測定方法を用いてヒトまたは動物に対するアツセィを 行なうことにより、 スーパ一オキサイドに関連する疾患の治療、 予防ま たは症状の軽減のための医薬のスクリーニングを行なうことも可能であ る。 そして、 これら測定方法に適したキットは、 本発明のスーパーォキ サイド検出用プローブを含むキットを適宜設計することにより得られる 次に、 本発明のメルカプト化合物検出用プローブを用いたキナーゼァ ッセィ方法は、 例えば、 キナ一ゼおよびァ- S-ATPを用いて基質をチオリ ン酸化する工程と、 前記チォリン酸化された基質を本発明のメルカプ卜 化合物検出用プローブを用いて検出する工程とを含む。 前記基質として は、 例えばタンパク質が使用できる。 すなわち、 キナーゼおよび ATPに よりタンパク質をリン酸化するところ、 ATPに代えてァ- S-ATPを用いれ ば、 タンパク質をチォリン酸化することができる。 そのチォリン酸化夕 ンパク質を本発明のメルカプト化合物検出用プローブにより検出するこ とでキナーゼアツセィ方法を行なうことができるのである。 前記キナー ゼアツセィ方法は、 抗体を用いて前記キナーゼを試料から分離する工程 をさらに含むことが好ましい。 このキナーゼアツセィ方法に適したキッ トは、 例えば、 本発明のメルカプト化合物検出用プローブ、 ァ -S-ATPお よび基質を含むキットを適宜設計することで得られ、 キナーゼの抗体を さらに含むことが好ましい。
次に、 本発明のメルカプト化合物検出用蛍光プローブを用いたァセチ ルコリンエステラーゼアツセィ方法は、 例えば、 ァセチルチオコリンと ァセチルコリンエステラーゼとの反応によりチォコリンを生じさせるェ 程と、 前記チォコリンを本発明のメルカプト化合物検出用蛍光プローブ を用いて検出する工程とを含む。 このァセチルコリンエステラーゼアツ
セィ用キットは、 本発明のメルカプト化合物検出用蛍光プローブおよび ァセチルチオコリンを含むキットを適宜設計することで得られる。 ' 以下、 一般的なキナーゼアツセィおよびァセチルコリンエステラーゼ
(AChE)ァッセィについて説明するとともに、 前記本発明のキナ一ゼァッ セィおよびァセチルコリンエステラーゼ(AChE)アツセィの利点について 述べる。
AChE やキナーゼ等の酵素の場合、 その発現量よりむしろ活性量が生 命現象と深く関与する。 それらの簡便な酵素活性アツセィ法の開発は、 臨床的観点から非常に重要であるとともに、 新薬開発という視点からも 非常に意義深い。 すなわち、 酵素活性の測定法は、 ある疾病に対する病 態の診断法として利用できるだけでなく、 新薬シーズとなる酵素阻害剤 のスクリーニング法としても活用できる。 診断法およびスクリーニング 法のどちらの目的に利用する場合においても、 アツセィ法は、 操作的に 簡便で、 短時間で測定できる、 環境に優しい手法であることが好ましい 従来用いられてきた AChE またはキナーゼのアツセィ法の一つに、 RI で標識した基質 ac e ty l cho l i ne (3H 標識) または ATP (32P 標識) を 用いるラジオアツセィがある。 この手法には高感度という利点があるが 、 RI を使用するため、 環境に対する影響という観点から問題がある。 AChE アツセィについては別法として E l lman ' s reagent を使う方法が あるが、 前述の通り感度に関する問題点がある。
さらに、 キナーゼアツセィ法について非放射性手法として、 ェンザィ ムィムノアッセィが従来から用いられている。 これらの操作手順は以下 の 2種類がある。 すなわち、 (1 ) 固定化基質のリン酸化—酵素修飾抗 体によるリン酸化基質との抗原抗体反応—洗浄—酵素反応による発色ま たは化学発光—検出、 および (2 ) 固定化基質のリン酸化→ピオチン修
飾抗体によるリン酸化基質との抗原抗体反応 洗浄→ 7ビジン修飾酵素 との複合体形成—洗浄→酵素反応による発色または化学発光—検出、 と いう手順である。 これらの手法には、 リン酸化された基質に対して特異 的な修飾抗体が必ず必要である、 という問題点がある。
前記本発明のキナーゼアツセィおよびァセチルコリンエステラーゼ (AChE)アツセィの利点について述べれば、 以下の通りである。 すなわち 、 まず、 操作が簡便である。 具体的には、 AChE アツセィでは、 酵素反 応と発蛍光反応を同時に行なうこともでき、 キナーゼアツセィでは、 酵 素反応の後発蛍光反応を行なうという簡単な操作で測定することも可能 であり、 試薬として酵素基質とプロ一ブのみを用いて測定することもで きる。 さらに、 本発明のメルカプト化合物検出用蛍光プローブを用いる 測定方法の検出感度は、 化学発光のそれに匹敵し得ることも期待できる 前記本発明のァセチルコリンエステラーゼアツセィ方法またはキナー ゼアツセィ方法を用いてヒトまたは動物に対するアツセィを行なうこと により、 例えば、 アセチルコリンまたはキナーゼに関連する疾患の治療 、 予防または症状の軽減のための医薬のスクリーニングを行なうことも できる。 前記アセチルコリンまたはキナーゼに関連する疾患は、 特に限 定されないが、 例えば、 癌、 アルツハイマー病、 高血圧症、 狭心症、 心 筋梗塞等の動脈硬化性疾患、 関節炎等の炎症性疾患、 および種々の代謝 性疾患等が挙げられる。
以上説明したような本発明のス一パーォキサイド検出用プローブおよ びメルカプト化合物検出用プローブを用いてヒトまたは動物に対するァ ッセィを行なうことにより、 様々な臨床分析方法を実施することができ る。 このため、 本発明のスルホン酸エステル化合物は、 前記の通り臨床 分析用試薬の用途に適し、 また、 この臨床分析用試薬を含むキットを適
宜設定することで、 様々な用途に適した臨床分析用キッ卜が得られる。 また、 本発明のスルホン酸エステル化合物は、 メルカプト化合物検出 用蛍光プローブの製造のために使用することもできる。 さらに、 本発明 のスルホン酸エステル化合物は、 キナーゼアツセィ用蛍光プローブの製 造、 アセチルコリンエステラーゼアツセィ用蛍光プローブの製造、 また はブロッティング法に用いる蛍光プローブの製造のために使用すること も可能である。 以下、 本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。 しかし、 この実 施例は本発明の例示に過ぎず、 本発明はこれに限定されない。
(実施例 1 )
本実施例では、'前記化合物 la— ld、 3、 4a, 4b、 5a、 5b、 6aおよび 6bを合 成し、 さらに、 これら化合物のスーパーオキサイド検出用蛍光プローブ としての機能を評価した。 また、 細胞系への応用試験も行なった。
(測定条件等)
核磁気共鳴 (NMR) スペクトルは、 測定機器として、 JE0L社製 EX- 270 (商品名) H測定時 270 MHz) を用いて測定した。 ケミカルシ フトは百万分率 (p pm) で表している。 内部標準 O p pmには、 テト ラメチルシラン (TMS) を用いた。 結合定数 (J) は、 ヘルツで示し ており、 略号 s、 d、 t、 q, mおよび b rは、 それぞれ、 一重線 (singlet), 二重線(doublet)、 三重線(triplet)、 四重線(quartet)、 多 重線(mult iplet)および広幅線(broad)を表す。 質量分析 (MS) は、 JE0L 社製 JMS-700 (商品名) を用い、 高分解能 (HRMS) Z高速原子衝撃法 ( FAB) により行った。 赤外吸収 ( I R) スペクトルは、 日本分光株式会
社製 VALOR- III (商品名) を用い、 KB r法により行った。 元素分析は 、 ャナコ株式会社製 CHN CORDER MT-5 (商品名) を用いて行った。 融点 は、 ャナコ株式会社製 MP- S3 (商品名) を用いて測定した。 蛍光強度測 定は、 特に示さない限り、 米国 PerSeptive Biosystems社製の機器 CytoFluor II mul t i el 1 fluorescence plate reader (商品名^) を用レ ^ 、 励起 (excitation) および放射 (emission) フィルターをそれぞれ 485±20 および 530±25 Mにセットして行なった。 カラムクロマトグ ラフィー分離には、 シリカゲル (メルク社製、 シリカゲル 6 0 (商品名 ) ) を用いた。 全ての化学物質は、 試薬級であり、 特に示さない限り、 アルドリツチ社、 ランカスター社、 東京化成株式会社、 ナカライテスク 株式会社、 および和光純薬株式会社のいずれかから購入した。
(合成)
[la—Id の合成]
化合物 la— Idは全て同様の方法により合成した。 すなわち、 まず、 それ ぞれに対応するフルォレセイン 2a— 2d を準備した。 具体的には、 2aおよ び 2bは市販品を使用し、 2cおよび 2dは W.- C. Sun, K. R. Gee, D. H. Klaubert, R. P. Haungland, J. Org. Chem. 1997, 62, 6469- 6475.に 記載の方法で合成した。 次に、 このフルォレセイン (1.0 g) と 2, 4 ージニトロベンゼンスルホニルクロリ ド (2.2 eq) のジクロロメタン (20 mL) 懸濁液に 0 で 2, 6—ルチジン (5.0 mL) を加えた。 得られ た混合液を室温で 4〜 6時間撹拌した。 反応液をジクロロメタン (200 mL) で希釈し、 1M塩酸 (200 mL X 2) および飽和食塩水 (200 mL) で洗 浄し、 硫酸マグネシウムにより乾燥した。 減圧下溶媒を留去し得た残渣 をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (ジクロロメタン) により精製 して目的物を得た。 以下に、 化合物 la— Idの収量および機器分析値を示
す la: 1.4 g (59%) as slightly ye 1 low powder. m. p. 131- 135° C. 'H-薩 R (270 MHz, d6-DMSO, TMS): δ = 9.11 (d, H,H = 2.3 Hz, 2H; aromatic), 8.62 (dd, 3JH,H = 8.6 Hz, 4JH,H = 2.3 Hz, 2H; aromatic), 8.36 (d, 3JH,H = 8.6 Hz, 2H; aromatic), 8.05 (d, 3JH,H = 7.3 Hz, IH; aromatic), 7.85-7.73 (m, 2H, aromatic), 7.39-7.36 (m, 3H; aromatic), 7.00-6.98 (m, 4H; aromatic). FTIR (KBr): リ = 1770 (CO, s), 1557 (N02, s), 1541 (N02, s) cm—1. FAB HRMS calcd for C32H17N4017S2 (MH+) : 793.0030; found: 793.0017. lb: 1.0 g (47%) as slightly yellow powder. m. p. 199- 202。 C. 'H-NMR (270 MHz, d6— DMSO, TMS): δ = 9.12 (d, 4JHiH = 2.1 Hz, 2H; aromatic), 8.66 (dd, 3JH,H = 8.7 Hz JH,H = 2.1 Hz, 2H;
aromatic), 8.43 (d, 3JH;H = 8.7 Hz, 2H; aromatic), 8.05 (d, 3JH>H = 7.4 Hz, IH; aromatic), 7.86-7.74 (m, 2H, aromatic), 7.59 (s, 2H; aromatic), 7.43 (d, 3JH;H = 7.4 Hz, IH; aromatic), 7.23 (s, 2H; aromatic). FTIR (KBr): リ = 1773 (CO, s), 1558 (N02, s), 1541 (N02, s) cm-1. Elemental analysis (%) calcd for C32H14C12N4017S2: C 44.61, H 1.64, N 6.50; found: C 44.54, H 1.82, N 6.27. FAB HRMS calcd for C32H15C12N4017S2 (MH+): 860.9251; found: 860.9221. lc: 1.5 g (67¾) as a white crystal. m. p. 140—146° C (from AcOEt). 'H-匪 R (270 MHz, d6_DMS0, TMS): δ = 9.13 (d, JH;H = 2.0 Hz, 2H; aromatic), 8.66 (dd, 3JHiH = 8.7 Hz,4JH,H = 2.0 Hz, 2H;
aromatic), 8.43 (d, 3JH,H = 8.7 Hz, 2H; aromatic), 8.04 (d, 3JH,H =
7.3 Hz, 1H; aromatic), 7.85-7.32 (m, 2H, aromatic), 7.58 (d, JH;F = 6.3 Hz, 2H; aromatic), 7.43 (d, 3JH,H= 7.4 Hz, 1H; aromatic), 7.13 (d, 3JHiF = 10.2 Hz, 2H; aromatic). FTIR (KBr): v = 1774 (CO, s), 1557 (N02, s), 1542 (N02, s) cm一1. Elemental analysis (%) calcd for C32H14F2N4017S2-C4H802: C 47.17, H 2.42, N 6.11; found: C 47.20, H 2.47, N 6.03. FAB HRMS calcd for C32H15F2N4017S2 (MH+): 828.9842; found: 828.9847.
Id: 1.1 g (51%) as a white crystal. m.p. 155-160° C (from AcOEt-hexane). -薩 R (270 MHz, CDC1
3, TMS): δ = 8.74 (d,
4J
H,
H = 2.1 Hz, 2H; aromatic), 8.63 (dd,
3J
H,
H = 8.7 Hz ,
4J
H,
H = 2.1 Hz, 2H; aromatic), 8.40 (d,
3J
H,
H = 8.7 Hz, 2H; aromatic), 8.09 (d,
3J
H,
H= 6.9 Hz, 1H; aromatic), 7.83-7.72 (m, 2H, aromatic), 7.21 (d,
2.1 Hz, 2H; aromatic). FTIR (KBr): v = 1775 (CO, s), 1558 (N02, s) , 1542 (N02, s) cm—1. Elemental analysis (%) calcd for C32H12F4N4017S2: C 44. 5, H 1.64, N 6. 8; found: C 44.35, H 1.64, N 6.24. FAB HRMS calcd for C32H13F4N4017S2 (MH+): 864.9653; found: 864.9625.
[3 の合成]
テトラフルオロフルォレセイン 2d (1.0 g) と 2—ニトロ一 4一 (トリ フルォロメチル) ベンゼンスルホニルクロリ ド (2.2 eq) のジクロロメ タン (20 mL) 懸濁液に 0°Cで 2, 6—ルチジン (5.0 mL) を加えた。 得られた混合液を室温で 4時間撹拌した。 反応液をジクロロメタン (200 mL) で希釈し、 1M塩酸 (200 mL x 2) および飽和食塩水 (200
mL) で洗浄し、 硫酸マグネシウムにより乾燥した。 減圧下溶媒を留去し 得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (ジクロロメタン) に より精製して目的物を得た。 以下にこの化合物の収量および機器分析値 を示す。
3: 2.1 g (92%) as a white crystal. m. p. 138-142° C (from AcOEt). Ή-NMR (270 MHz, d6- DMS0, TMS): δ = 8.84 (s, 2H;
aromatic), 8.47 (d, 3JH,H = 8.4 Hz, 2H; aromatic), 8.40 (d, 3JH,H = 8.4 Hz, 2H; aromatic), 8.05 (d, 3JHiH = 6.9 Hz, 1H; aromatic), 7.86-7.74 (m, 2H, aromatic), 7.46 (d, 3JH,H = 7.4 Hz, 1H;
aromatic), 7.15 (dd, 3JHjF = 10.2 Hz, 4JH>F = 2.1 Hz, 2H; aromatic). FTIR (KBr): ソ = 1776 (CO, s) , 1557 (N02, s) cm—1. Elemental analysis (%) calcd for C34H12F10N2013S2-C4H802 : C 45.70, H 2.02, N 2.81; found: C 45.56, H 1.82, N 2.73. FAB HRMS calcd for C34H!3F10N2013S2 (MH+): 910.9699; found: 910.9674.
[4a および 4b の合成]
4aおよび 4bはいずれも同様の方法により合成した。 すなわち、 まず、 テ トラフルオロフルォレセイン 2d (2.0 g) と 2—二トロ一 4 _ (トリフ ルォロメチル) ベンゼンスルホニルクロリ ドまたは 4一二トロベンゼン スルホニルクロリ ド(1.1 eq) とのジクロロメタン (20 mL) 懸濁液に 0 °Cで 2, 6—ルチジン (1.1 eq) を加えた。 次に、 得られた混合液を室 温で 4時間撹拌した。 反応液をジクロロメタン (200 mL) で希釈し、 1M 塩酸 (200 mL) および飽和食塩水 (200 mL) で洗浄し、 硫酸マグネシゥ ムにより乾燥した。 減圧下溶媒を留去し得た残渣をシリカゲルカラムク 口マトグラフィー (ジクロロメタン一アセトン =20 : 1) により精製
して目的物を得た。 以下に化合物 4aおよび 4bの収量および機器分析値を 示す。
4a: 0.72 g (22%) as yellow powder. m.p. 118-135° C (from AcOEt-hexane). 匪 R (270 MHz, CD3CN, TMS): δ = 8.36 (d, 4JH>H = 1.2 Hz, 1H; aromatic), 8.32 (d, 3JH,H = 8.2 Hz, 1H; aromatic), 8.19-7.99 (m, 1H; aromatic), 7.82-7.70 (m, 2H; aromatic), 7.27- 7.24 (m, 1H, aromatic), 6.68 (dd, 3JH,F = 10.1, 3JH,H = 2.4 Hz, 1H; aromatic), 6.49 (dd, 3JH,F = 10.1 Hz, 4JH,F = 2.4 Hz, 2H; aromatic) . FTIR (KBr): v = 3208 (OH, br), 1766 (CO, s), 1557 (N02, s) cm"1. FAB HRMS calcd for C27HUF7N09S (MH+) : 658.0043; found: 658.0040.
4b: 0.6 g (21%) as yellow powder. m.p. 245-250° C (from AcOEt-hexane). Ή-NMR (270 MHz, CD3CN, TMS): 6 = 8.45-8.40 (m, 2H; aromatic), 8.24-8.20 (m, 2H; aromatic), 8.02-7.99 (m, 1H; aromatic), 7.82-7.70 (m, 2H; aromatic), 7.27-7.23 (m, 1H, aromatic), 6.64 (dd, 3JH,F = 10.1, 3JHiH = 2.3 Hz, 1H; aromatic), 6.47 (dd, 3JH>F = 10.9 Hz, 4JH,F = 2.3 Hz, 2H; aromatic)). FTIR (KBr): y = = 3183 (OH, br), 1747 (CO, s), 1538 (N02, s) cm"1. Elemental analysis (%) calcd for C26HuF4N09S : C 52.98, H 1.88, N 2.38; found: C 53.01, H 2.15, N 2.23. FAB HRMS calcd for C26H12F4N09S (MH+): 590.0169; found: 590.0161.
[5a および 5b の合成]
5aおよび 5bはいずれも同様の方法により合成した。 すなわち、 まず、 5a または 5bに対応するレゾルフイン ·ナトリウム塩 (2.0 g) のピリジン
(20 mL) 懸濁液に一 40 °Cで 2, 4—ジニトロベンゼンスルホニルクロ リ ドまたは 2—二トロー 4一 (トリフルォロメチル) ベンゼンスルホ二 ルクロリ ド (1.1 eq) を加えた。 次に、 得られた混合液を一 40〜一 2 0°Cで 4時間撹拌した。 反応液をジクロロメタン (200 mL) で希釈し、 1M 塩酸 (200 mL x 2) および飽和食塩水 (200 mL) で洗浄し、 硫酸マ グネシゥムにより乾燥した。 減圧下溶媒を留去し得た残渣をシリカゲル カラムクロマトグラフィー (ジクロロメタン一アセトン = 2 0 : 1 ) に より精製して目的物を得た。 以下に収量および機器分析値を示す。 5a: 0.9 g (24%) as an orange crystal. m. p. 213-215° C
(from benzene). 'H-匪 R (270 MHz, [D] 6DMS0, TMS): δ = 9.13(s, 1H; aromatic), 8.62 (d, 3JH>H = 8.7 Hz, 1H; aromatic), 8.34 (d, 3JH'H= 8.7 Hz, 1H; aromatic), 7.90 (d, 3JH,H = 8,7 Hz, 1H;
aromatic), 7.55 (d, 3JH,H = 9.8 Hz, 1H; aromatic), 7.47 (s, 1H, aromatic), 7.25 (d, 3JH,H = 8.7 Hz, 1H; aromatic), 6.85 (d, 3JH>H = 9.8 Hz, 1H; aromatic), 6.29 (s, 1H; aromatic). FTIR (KBr): リ = 1622 (CO, s), 1558 (N02, s), 1517 (N02, s) cm— Elemental analysis (%) calcd for C18H9N309S: C 48.76, H 2.05, N 9.48, S 7.23; found: C 48.88, H 2.27, N 9.26, S 7.17.
5b: 1.2 g (30 ) as an orange crystal. m. . 204-207° C (from AcOEt). 'H-醒 R (270 MHz, CDC13, TMS): δ = 8.35 (d, 3JH,H = 8.1 Hz, 1H; aromatic), 8.15 (s, 1H; aromatic), 8.01 (d, 3JH,H = 8.1 Hz, 1H; aromatic), 7.81 (d, 3JH,H = 8.4 Hz, 1H; aromatic), 7.42 (d, 3JH,H= 9.7 Hz, 1H; aromatic), 7.27-7.23 (m, 2H,
aromatic), 6.87 (dd, 3JH,F = 9.7, 3JH,H = 2.0 Hz, 1H; aromatic),
6.33 (d, 4JH>H - 2.0 Hz, 1H; aromatic). FTIR (KBr): v = 1647 (CO, s), 1561 (N02, s) cm—1. Elemental analysis (¾) calcd for C19H9F3N207S: C 48.93, H 1.95, N 6.01; found: C 48.75, H 2.05, N 5.76. FAB HRMS calcd for C19H10F3N207S (MH+): 467.0161; found: 467.0149.
[6a および 6b の合成]
6a および 6bはいずれも同様の方法で合成した。 すなわち、 まず、 7— ヒドロキシ一 4一 (トリフルォロメチル) クマリン(1.0 g) と 2, 4一 ジニトロベンゼンスルホニルクロリ ドまたは 2—二トロー 4— (トリフ ルォロメチル) ベンゼンスルホニルクロリ ド (1.1 eq) とのジク口ロメ タン (20 mL) 懸濁液に 0°Cでトリエチルァミン (1.1 eq) を加えた。 次に、 得られた混合液を室温で 1時間撹拌した。 反応液をジクロ口メタ ン (200 mL) で希釈し、 1M塩酸 (200 mL) および飽和食塩水 (200 mL) で洗浄し、 硫酸マグネシウムにより乾燥した。 減圧下溶媒を留去し得た 残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (ジクロロメタン) により 精製して目的物を得た。 以下に収量および機器分析値を示す。
6a: 1.9 g (95%) as a white crystal. m.p. 123-124.5° C (from benzene). Ή-NMR (270 MHz, [D]6- DMS0, TMS): δ = 9.13 (d, 4JH,H= 2.3 Hz, 1H; aromatic), 8.64 (dd, 3JH,H = 8.7 Hz, 4JH>H = 2.3 Hz, 1H; aromatic), 8.35 (d, 3JHjH = 8.7 Hz, 1H; aromatic), 7.79 (dd, 3JH,H= 8.9 Hz, 3JH,H= 1.5 Hz, 1H; aromatic), 7.54 (d, 4JH,H = 2.5 Hz, 1H, aromatic), 7.32 (dd, 3JH,H= 8.9, 4JH,H = 2.5 Hz, 1H; aromatic), 7.15 (s, 1H; aromatic). FTIR (KBr): v = 1751 (CO, s), 1558 (N02, s), 1542 (N02, s) cm—1. Elemental analysis (%)
calcd for C16H7 F3N209S: C 41.75, H 1.53, N6.09; found: C 41.74, H 1.63, N 5.92. FAB HRMS calcd for C16H8F3N209S (MH+): 460.9903; found: 460.9888. 6b: 2.0 g (95¾) as a white crystal. m.p. 134.5-136° C
(from AcOEt-hexane). Ή-NMR (270 MHz, [D] 6-DMS0, TMS): δ =
8.82 (s, 1H; aromatic), 8.33 (d, 4JH,H = 1.5 Hz, 2H; aromatic),
7.83 (dd, 3JHiH= 8.9 Hz, 4JH,H = 1.8 Hz, 1H; aromatic), 7.57 (t, 4JH,H= 2.2 Hz, 1H; aromatic), 7.34 (dt, 3JH,H = 8.9 Hz, 4JH,H = 2.2 Hz, 1H, aromatic), 7.15 (s, 1H; aromatic). FTIR (KBr): v = 1752 (CO, s), 1557 (N02, s) cm—1. Elemental analysis (%) calcd for C17H7F6N07S: C 42.25, H 1.46, N 2.90; found: C 42.24, H 1.55, N 2.72. FAB HRMS calcd for C17HsF6N07S (MH+) : 483.9926; found: 483.9925.
(スーパーォキサイド選択性蛍光プローブとしての評価)
化合物 la〜ldについてス一パーォキサイドとの反応性を調べたところ、 いずれもスーパーォキサイドと反応して蛍光応答を示すが、 Idが感度等 の点で特に優れていることが分かった。 そこで次に、 主として前記化合 物 Idを試験用化合物として用いてスーパ一ォキサイド選択性蛍光プロ一 ブとしての性能を評価し、 さらに細胞系での試験も行なった。 以下、 こ れらの試験について説明する。
[ 1 - 1. スーパーオキサイドに対する反応性]
以下のようにして、 化合物 Idとスーパーオキサイドとの反応性を試験し た。 すなわち、 化合物 Id (0.25 匪 ol)を、 K02 (5 eq)とともに、 DMS0と
H 7. 4の 10 mM HEPES緩衝液との混合液(1 : 1) 中、 室温で 10分間反応さ せたところ、 フルォレセイン誘導体 2dに由来する蛍光が確認された。 生 成物を調べたところ、 I dは完全に消費されていることが分かり、 さらに 0. 24 腿 o lの 2, 4—ジニトロフエノールが単離された。 生成物の同定は、 -醒1、 IRおよびマススぺクトルを市販の化合物と比較することにより 行なった。 この反応機構は明らかではないが、 例えば下記スキーム 7の ように推定される。 K02が大過剰存在したにも関わらず 2, 4—ジニトロフ ェノ一ルの発生量は I dに対しほぼ 1等量であったことから、 二度目の脱 離反応 (17dから 2dへの変換反応) はスーパーオキサイドとの反応では なくむしろ別の機構により起こっているとも思われる。 ただし、 スキー ム 7は、 あくまでも化合物 I dに対し上記の条件で推定されるメカニズム の一例に過ぎず、 本発明を限定するものではない。
1d
16d
OH-
17d 2d + 0ク N- -S03H
スキーム 7
[ 1 - 2 . スーパ一オキサイド選択性 (1 ) ]
まず、 化合物 Idのスーパーォキサイド選択性蛍光プロ一ブとしての性能 を試験したところ、 Id はスーパーオキサイドに対して優れた特異性を 有することが分かった。 図 1にその試験結果を示す。 同図は、 化合物 Id を H202または酵素的に生成させたスーパーォキサイドと反応させて蛍光 発光を追跡した結果を示すグラフであり、 横軸は反応時間 (秒) 、 縦軸
は蛍光強度 (au) を表す。 図中、 (a)は HPXおよび X0存在下、 (b)は HPX、 X0および SOD存在下、 (c)は HPX、 X0および SODの存在する嫌気性条件下、 そして(d)は H202のみと反応させたときの結果をそれぞれ示す。 以下、 図 1の試験結果についてさらに詳細に説明する。
まず、 図 1 (a)に示す通り、 Idは、 ヒポキサンチン (HPX)/キサンチ ンォキシダーゼ (X0) 系から発生したスーパーオキサイドに反応して蛍 光応答が短時間に顕著に増加したことから、 スーパ一ォキサイドに対し 高い感度を有していることが分かった。 より具体的には、 HEPES緩衝液 ( H 7.4, 10 mM, 2.5 mL)中、 37°Cにおける化合物 Id (16 xM)、 キサン チンォキシダ一ゼ(X0, 0.01 U/mL) , およびヒポキサンチン(HPX, 40 M)の酵素反応を、 励起 (excitation) 波長 511 nmおよび放射 ( emission) 波長 531 腿で追跡したところ、 化合物 2dの形成 (前記スキー ム 4) に由来する蛍光応答が観測され、 図 1 (a)に示すお上がりの ( progressive) 曲線が得られた。 なお、 スーパーオキサイドジスム夕ー ゼ(S0D) (40 U/mL)をさらに添加する以外は同様にして試験したところ、 図 1 (b)に示す通り蛍光応答が顕著に阻害されたことから、 図 1 (a)の蛍 光応答はスーパ一ォキサイドに起因することが確認された。
そして、 図 1 (d)に示す通り、 化合物 Idと H202 (40 M)との反応は、 無 視できるほど小さな蛍光強度増加を引き起こしたのみであった。 すなわ ち、 Id は、 過酸化水素に対しほとんど応答せず、 スーパ一オキサイド に対して優れた特異性を有することが示された。
さらに、 図 1 (c)に示す結果から、 化合物 Idは、 従来のスーパーォキ サイド検出剤であるニトロブルーテトラゾリゥム(NBT)と比較して利点 を有していることが分かる。 具体的には以下の通りで.ある。 NBTは、 ス 一パーォキサイド 02—·により還元される性質を有していることから分光 光度測定等のプローブ等に利用されている。 しかし、 ΝΒΠこは、 スーパ
ーォキサイドのみならず生体系に存在するリダクタ一ゼによっても還元 されてしまうという大きな問題がある。 そこで、 化合物 Idによる 02—·の 検出が同様の問題を有するか否か、 嫌気性条件下で化合物 ld, XO, HPX および SODを用いた酵素反応により試験したところ、 図 1 (c)に示す通 り、 X0還元体に起因する Idから 2dの生成は非常に低速度であった。 この 結果は、 キサンチン- X0系による NBTからホルマザンへの還元では好気性 条件下よりも嫌気性条件下の方がより高速度で還元されたという観測結 果とはっきり対照的である。 このように、 化合物 Idを用いた蛍光に基づ く 02_·の検出では、 細胞内リダクタ一ゼによる複雑化は排除されるかま たは顕著に低減されることが示された。
[ 1 - 3 . スーパーオキサイド選択性 (2 ) ]
さらに、 上記と異なる条件で、 化合物 la〜ldの全てについて、 H202お よびそれ以外の各種求核剤、 還元剤等との反応性も試験した。 より具体 的には、 XO- HPX系、 XO- HPX-S0D系、 H202、 ァスコルビン酸、 1 , 4 —ヒ ドロキノン、 プロピルァミン、 ジェチルァミン、 ダルコ一ス、 エステラ ーゼ、 チトクローム P450リダクタ一ゼ + NADPH系およびジァフオラ一 ゼ + NADH系のそれぞれについて蛍光応答を測定した。 操作は以下の通 りである。 すなわち、 まず、 la〜ldおよび上記各試薬を、 それぞれ pH 7.4の 10 mM HEPESに溶かし、 溶液を調製した。 次に、 96ゥエルミクロ プレートを準備し、 各ゥエルに、 前記 la〜ldのうちいずれかの溶液(25 (i , 170 L)を入れ、 さらに、 ブランク溶液 30 n または反応させ ようとする試薬の溶液 30 il を加えた。 ゥエル中における最終的な濃 度は、 la〜dについては 21.3 M、 X0については 13. 1 mU/mL, HPX, H202、 ァスコルビン酸、 1 , 4ーヒドロキノン、 プロピルァミン、 ジェ チルァミン、 グルコース、 NADPHおよび NADHについてはそれぞれ 50
M each、 チトクローム P450リダクターゼは 68 mU/mL、 ジァフオラー ゼは 65 mU/iL, エステラーゼは 0.5 U/mLとなるように調製した。 そし て、 そのままゥエル中で 37°Cで 10分間反応させた後に蛍光応答を測定 した。 蛍光強度測定は、 〗ASC0社製 FP- 750 spectrofluorometer (商品 名) に、 JASC0社製 ETC- 272 Peltier thermos tat ted single cell holder (商品名) または Molecular Devices社製 SpectraMax GeminiEM fluorescence plate reader (商品名) を装備して用い、 励起波長およ び放射波長は、 la, lbおよび lcについてはそれぞれ 485および 515 nm に、 Idについては 511および 540 nmに設定して測定した。 その結果、 下記表 1に示す通り、 la〜ldのいずれも、 X0- HPX系および X0- HPX- S0D 系に対する結果から、 ス一パーォキサイドに対しては優れた感度で応答 を示すことが確認されたが、 H202、 ァスコルビン酸、 1, 4ーヒドロキ ノン、 プロピルァミン、 ジェチルァミン、 およびグルコースに対しては まったく応答せず、 エステラーゼに対しても無視できるほど小さな応答 を示したのみであった。 なお、 チトクローム P450リダクターゼ + NADPH 系およびジァフオラ一ゼ + NADH系においても、 スーパーオキサイド検 出に影響するほどの応答はないことが分かった。 la、 lb、 lcおよび Id は、 0.1 M Et4NC104を含む CH3CN- H20 (3: 1)でのポル夕ンメトリ一測定に おいて- 0.5 V vs. SCE付近で陰極応答を示すことから、 スーパーォキ サイド以外の細胞内リダクターゼによる還元でスーパーォキサイド検出 が阻害されることも予想されたが、 その予想に反して上記の通りスーパ —ォキサイドに対し高い選択性を示した。
(表 1) la、 lb、 lcまたは Idの、 各種生物学的反応剤または酵素系に対 する蛍光応答比較 反応剤または酵素系 蛍光応答
la lb lc Id ブランク 10 10 10 10
X0-HPX 70 288 797 554
AU nr Λ UJJ 12 22 4o DU
H202 10 11 11 11 ァスコルビン酸 10 11 11 11
1,4一ヒドロキノン 10 11 10 11 プロピルアミン 10 10 10 10 ジェチルァミン 11 10 10 11 グルコース 10 10 10 10
17 20 23 15
(※上記表 1の数値は、 ブランク時の蛍光応答強度を 10として算出した 相対的な蛍光強度値である。 ) [2. 定量性]
96ゥエルミクロプレートアツセィにより、 HPX I X0系における前記プロ ーブ (化合物 Id) の蛍光応答における感度および定量性を試験した。 具 体的には、 Idの DMS0溶液 (10 mM) を HEPES(pH 7.4, 10 mM)で 400倍に希 釈してプローブ溶液を調製し、 このプローブ溶液(150 2L)を HPXの HEPES溶液 (10 および X0の HEPES溶液 (0.26 U/mL, 10 ill) と混 合し、 37 で 10分間静置した後に蛍光強度を測定した。 HPX濃度を様々
に変化させて測定を行なったところ、 HPX濃度の検出限界値は 5.0 mol (RSD, n=8; 2.7%) であり、 細胞レベルの解析に対応可能な値であるこ とが分かった。 さらに、 HPXが前記検出限界値から 10.0 nmolまでの間で 良好な直線較正曲線が得られたことから、 Idの蛍光応答は HPXと X0との 酵素反応により生成した 02—·の量に対し良好な依存性を示すことが確認 された。 この直線較正曲線の相関係数は 1.000、 傾きは 0.58 au/pmolで めった。
また、 蛍光強度の測定機器およびアツセィ条件を変える以外は上記と 同様にして定量性を試験したところ、 やはり優れた定量性を示すことが 確認された。 すなわち、 アツセィ条件については、 Idの DMS0溶液濃度を 5 mMとし、 これを HEPES(pH 7.4, 10 mM)で 400倍に希釈してプローブ溶 液を調製することと、 プローブ溶液使用量を 180 zLとすること以外は 上記と同様に行なった。 蛍光強度測定は、 】ASC0社製 FP- 750
spectrof luorometer (商品名) に、 ; TASC0社製 ETC- 272 Peltier thermostat ted single cell holder (商品名) または Molecular Devices社製 SpectraMax GeminiEM fluorescence plate reader (商品 名) を装備して行なった。 その結果、 HPX濃度の検出限界値は 1.0 pmol (RSD, n=8; 2.9%) であり、 HPXが前記検出限界値から 2.0 nmolまでの間 で相関係数 0.9993および傾き 0.80 au/pino 1の良好な直線較正曲線が得ら れた。 直線較正曲線の傾きが上記と異なるのは、 蛍光強度の単位が任意 単位であり、 測定機器が異なることに由来する。
[3. 細胞系への応用]
好中球 (neutrophils) をフオルポールエステルで刺激するとス一パ一 ォキサイドを産生することが知られている。 この現象を測定する蛍光プ ローブとしての Idの可能性を、 フオルボール ミリステート アセテート
(PMA)で刺激した好中球を用いて試験したところ、 Idは細胞系において もス一パーォキサイドを感度よく検出できることが明らかになった。 具 体的な試験方法は以下の通りである。
まず、 健康なポランティアの提供による全血をへパリン化し、 大日本 製薬株式会社製モノポリ分離溶液 (Mono- Poly resolving medium) を加 えて遠心分離した。 分離後、 細胞を PBS (-) で二回洗浄し、 PBS (+)を 用いて 1X106個または 1X105個 細胞/ mL濃度で再懸濁させ、 これを使用 時まで氷冷条件下で保存した。 なお、 PBSとは phosphate buffered salineすなわちリン酸緩衝生理食塩水であり、 PBS (+)とは 0.54 mMの CaCl2 および 1.22 mMの MgS04を含む PBSを指し、 PBS (—)とはそれらを含 まない PBSを指す。 このようにして得た細胞懸濁液(100 L)と、 プロ一 ブ溶液(25 M in PMS (+), 50 L)と、 PMA溶液(0. 64 fiU in PBS (+), 50 L)またはブランク溶液(PBS (+), 50 L)とを、 96ゥエル平 底ミクロタイ夕プレート (旭テクノグラス株式会社製) 中に添加した。 直ちに蛍光強度測定 (タイム 0時点での測定) を行ない、 その後 37°Cで 120分間インキュベートした。 インキュベーションの間、 前記細胞の蛍 光強度の変化を 30分ごとに測定した。 全ての測定は、 米国 PerSeptive Biosystems社製の機器 CytoFluor II multiwell fluorescence plate reader (商品名) を用い、 励起 (excitation) および放射 (emission) フィルターをそれぞれ 485±20 および 530±25 nmにセットして行なつ た。
図 2のグラフに、 上記試験の結果を示す。 同図は、 各ゥエル中の細胞 数が 1.0X104個または 1.0X105個である場合について、 それぞれ PMAの存 在下または非存在下での結果を示す。 横軸はインキュベーション時間 ( 分) 、 縦軸は蛍光強度 (au) である。 同図から分かる通り、 化合物 Idに よるアツセィは、 PMA刺激好中球が 02 を放出することをはっきりと示し
た。 蛍光強度増加は無刺激細胞においても観測されたが、 これは、 従来 の研究によれば、 使用した組織培養プレート表面と細胞との相互作用に より好中球の活性化が起こるためであるとされている。
なお、 蛍光強度測定機器を変えて、 すなわち、 IASC0社製 FP-750 spectrofluorometer (商品名) に、 ; fASCO社製 ETC- 272 Peltier thermostatted single cell holder (商品名) または Molecular Devices社製 SpectraMax GeminiEM fluorescence plate reader (商品 名) を装備して用いることと、 蛍光強度の変化を 15分ごとに測定するこ と以外は上記と同様に試験を行なったところ、 やはり同様の結果が確認 された。 図 3のグラフに、 その結果を示す。 各ゥエル中の細胞数は 1.0 X105個であり、 横軸はインキュベーション時間 (分) である。 縦軸は 蛍光強度 (au) であり、 8ゥエルについて得た実測値の平均値土標準偏 差で表している。 蛍光強度の数値が図 2と図 3とで異なるのは、 単位が 任意単位であり、 測定機器が異なることに由来する。
さらに、 化合物 Idの好中球に対する毒性を、 トリパンブルー染色法で 細胞生存率 (cell viability) を見積もることにより評価した。 すなわ ち、 好中球 (1.0X105個細胞) を、 ヒト血清アルブミンによりコートさ れたガラス製試験管中、 化合物 Id (6.25 /ιΜ) および PMA (0.16 M) の両方が存在する条件下、 どちらか一方のみの存在下、 ならびにどちら も存在しない条件下において、 37 で 120分間インキュベートし、 イン キュベート前に対するィンキュベート後の細胞生存率を測定した。 その 結果、 Idおよび PMAのどちらも存在しない存在下では、 インキュベート 後の細胞生存率はィンキュベ一ト前に対して 98%であった。 これに対し 、 1のみの存在下ではインキュベート後の細胞生存率は 95%、 PMAのみの 存在下では 93%、 1および PMAがともに存在する条件下では 97%であった 。 すなわちいずれの条件下でも好中球の死滅はほとんど起こっていない
ことが分かる。 このように、 PMAのみならず化合物 Idも、 120分間のイン キュベーシヨンにおいて好中球に対し毒性を示さないことが確認された 上述の結果は、 化合物 Idから 2dへの還元的脱保護が 02—·により効果的 に誘起されることをも示し、 したがって、 化合物 Idが、 PMA刺激好中球 から放出される 02_·検出用新規蛍光プローブとして機能する上にィンキ ュベーション中細胞に損傷を与えないことをも示した。 このプローブお よびその同族体は、 細胞由来 02—'の測定を容易にし、 ミトコンドリアの みならず、 食細胞 (phagocytes) や脈管細胞 (vascular cells) により 発現される酸化的ストレスの動的機能 (dynamic functions) の解明に も役立つことが期待できる。
[4. その他の化合物についての試験]
化合物 Idと同様に 2, 4—ジニトロベンゼンスルホ二ル基を含む la— lc、 5aおよび 6aについてスーパ一ォキサイド検出用蛍光プローブとしての性 能を試験したところ、 いずれもスーパーォキサイドにより脱保護され、 各々対応する蛍光色素へ変換されることが明らかになった。 さらに、 2, 4—ジニトロベンゼンスルホニル基に代えて 4一トリフルォロメチルー 2 一二トロベンゼンスルホ二ル基を導入した 3、 4a、 5bおよび 6b、 ならび に 4一二トロベンゼンスルホ二ル基を導入した 4bも同様にスーパーォキ サイドにより脱保護され、 蛍光色素に変換されることも分かった。 した がって、 フエノール性色素と 2, 4—ジニトロベンゼンスルホニル基、 一トリフルォロメチルー 2—二トロベンゼンスルホニル基または 4一二ト 口ベンゼンスルホニル基の組み合わせからなる化合物は、 いずれも同様 にスーパ一ォキサイド検出用蛍光プローブとして利用できると考えられ る。 例えば下記スキーム 8のようにである。 さらに、 これらの組み合わ
せに限定されず、 前記一般式 ( I ) の範囲内で本発明の化合物を自由に 設計して本発明者らの開発した発蛍光機構を活用することにより、 使用 目的に適う特性を有する蛍光プローブ用化合物を自在に設計開発できる と期待できる。 本発明の化合物の用途としては、 例えば、 スーパ一ォキ サイドを用いた微少着色技術への応用等、 多種多様な用途が考えられる
プローブの合成
スーパーオキサイドの検出
(還元的脱スルホニル化)
スキーム 8 (実施例 2)
本実施例では、 実施例 1で合成した化合物に加え、 前記式 4(;〜 4e、 7お よび 8a〜cで表されるスルホン酸エステル化合物を合成した。 そして、 これら化合物について、 メルカプト化合物検出用蛍光プローブとしての 機能性を試験した。 蛍光強度測定は、 特に示さない限り、 ; IASC0社製 FP-750 spectrofluorometer (商品名) に、 ; iASCO社製 ETC-272 Peltier
thermostatted single cell holder (商品名) または Molecular
Devices社製 SpectraMax GeminiEM fluorescence plate reader (商品 名) を装備して用い、 測定した。 それ以外の測定条件等は実施例 1と同 様である。
[4cの合成]
まず、 テトラフルオロフルォレセイン (2.0 g) と 2 _ニトロベンゼン スルホニルクロリ ド (1.1 eq) のジクロロメタン (20 mL) 懸濁液を調 製した。 次に、 この懸濁液を 0°Cに冷却し、 その温度で 2 , 6 _ルチジ ン (1.1 eq) を加えた。 得られた混合液を室温で 4時間撹拌した。 その 反応液をジクロロメタン (200 mL) で希釈し、 1M塩酸 (200 mL) およ び飽和食塩水 (200 mL) で洗浄し、 硫酸マグネシウムにより乾燥した。 さらに、 減圧下溶媒を留去し、 得られた残渣をシリカゲルカラムクロマ 卜グラフィ一 (ジクロロメタン一アセトン = 2 0 : 1 ) により精製して 、 目的の化合物 4cを得た。 以下にこの化合物の収量および機器分析値を 示す。
4c: 0.66 g (22%) as a dark yellow crystal. m.p. 234-246° C (from AcOEt-hexane). lH -匪 R (270 MHz, [D]6DMS0, TMS): δ =11.33 (s, 1H, C00H), 8. 7 (t, 3JH,H = 8.9 Hz, 2H; aromatic), 8.17 (t, 3JH,H = 7.7 Hz, 1H; aromatic), 8.05-7.97 (m, 2H; aromatic), 7.85- 7.73 (m, 2H; aromatic), 7.43 (d, 3JH,H = 7.4 Hz, 1H, aromatic), 7.02 (d, 3jH F = io.1 Hz, 1H; aromatic), 6.59 (d, 3JH,F = 10.9 Hz, 2H; aromatic). FTIR (KBr): v = 3254 (OH, br), 1752 (CO, s), 1553 (N02, s) cm"1. FAB HRMS calcd for C26H12F4N09S (MH+):
590.0169; found: 590.0167.
[4dおよび 4e の合成]
2一二トロベンゼンスルホエルク口リ ドに代えて 2—二トロ一 4—メト キシベンゼンスルホニルク口リ ドを用いる以外は 4cの合成と同様にして 4dを得た。 さらに、 2—二トロベンゼンスルホニルクロリ ドに代えて 4 一二トロー 2—メトキシベンゼンスルホニルクロリドを用いる以外は 4c の合成と同様にして 4eを得た。 以下に、 これらの収量および機器分析値 を示す。 4d: 0.46 g (15¾) as dark orange powder. m. p. 1U_125°
Ή-NMR (270 MHz, CD3CN, TMS): δ = 8.07-8.01 (m, 2H; aromatic), 7.79-7.68 (m, 2H; aromatic), 7.36 (s, 2H; OH and aromatic), 7.20-7.16 (m, 2H; aromatic), 6.41 (dd, 3JH,F = 9.5, 3JH,H = 2.2 Hz, 1H; aromatic), 6.34 (dd, 3JH,F = 10.2 Hz, 4JH,F = 2.0 Hz, 1H;
aromatic), 3.99 (s, 3H; 0CH3) . FTIR (KBr): y = = 3227 (OH, br), 1755 (CO, s), 1552 (N02, s) cm—1. Elemental analysis (%) calcd for C26HuF4N09S : C 52.98, H 1.88, N 2.38; found: C 53.01, H 2.15, N 2.23. FAB HRMS calcd for C27H14F4N010S (MH+): 620.0275; found: 620.0280.
4e: 0.52 g (17%) as dark orange powder. in. p. 127-144° C. 1H-匪 R (270 MHz, CD3CN, TMS): δ = 8.10-8.05 (m, 2H; aromatic), 7.95-7.90 (m, 2H; aromatic), 7.79-7.68 (m, 2H; aromatic), 7.18 (d, 3JH'H= 6.9 Hz, , 1H; aromatic), 6.39 (dd, 3JH,F = 9.6, 3JH,H = 2.0 Hz, 1H; aromatic), 6.33 (dd, 3JH,F = 10.3 Hz, 4JH,F = 1.9 Hz, 1H; aromatic), 4.12 (s, 3H; 0CH3) . FTIR (KBr): v = 3222 (OH,
br), 1763 (CO, s), 1538 (N02, s) cm— FAB HRMS calcd for C27H14F4N010S (MH+) : 620.0275; found: 620.0280.
[7の合成]
まず、 4-メチルー 7-ヒドロキシクマリン(4- methy卜 7- hydroxycoumarin) (1.0 g) の 2ジクロロメタン (20 mL) 懸濁液を調製し、 0°Cに冷却し 、 その温度でトリェチルァミン (1.2 eq) を加えた。 これを 5 分間撹拌 した後、 2, 4-ジニトロベンゼンスルホニルクロリド (1.2 eq) を更に加 えた。 得られた混合液を室温で 4—6 時間撹拌した。 その反応液をジク ロロメタン (200 mL) で希釈し、 1M塩酸 (200 mL) および飽和食塩水 (200 mL) で洗浄し、 硫酸マグネシウムにより乾燥した。 減圧下溶媒を 留去し得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (ジクロロメタ ン—アセトン = 2 0 : 1) により精製して目的の化合物 7を得た。 以下 にこの化合物の収量および機器分析値を示す。
7: 2.2 g (95%) as white needles, m.p.188-190° C (from benzene). Ή-NMR (270 MHz, CDC13, TMS): δ = 8.75 (d, JH,H = 2.0 Hz, 1H; aromatic), 8.45 (dd, 3JH;H = 8.6 Hz, "H,H = 2.0 Hz, 1H; aromatic), 8.16 (d, 3JH,H = 8.6 Hz, 1H; aromatic), 7.75 (d, 3JH>H = 8.6 Hz, 1H; aromatic), 7.21-7.16 On, 2H; aromatic), 6.31 (s, 1H; aromatic), 2.41 (S, 3H; CH3) . FTIR (KBr): v = 1732 (CO, s), 1560 (N02, s), 1537 (N02, s) cm"1. FAB HRMS calcd for C16HnN209S (MH+): 407.0185; found: 407.0184. [8a〜c の合成]
4 -メチル _ 7-ヒドロキシクマリンに代えて 8a〜(:の構造にそれぞれ対応
するフルォレセイン(fluorescein)誘導体(1.0 g)を用いる以外は化合物 7の合成と同様にして、 化合物 8a〜cをそれぞれ合成した。 以下にこれら の化合物の収量および機器分析値を示す。 8a: 0.63 g (37¾) as a yellow solid, m.p. 125—147° ;H- 醒 R (270 MHz, CD30D, TMS): δ 8.87 (d, 4JH,H = 2.8 Hz, 1H;
aromatic), 8.44 (dd, 3JH,H = 9.2 Hz, 4JH,H = 2.8 Hz, 1H; aromatic), 8.03-7.98 (m, 1H; aromatic), 7.81-7.69 (m, 2H; aromatic), 7.33- 7.16 (m, 3H; aromatic), 6.90-6.81 (m, 2H; aromatic), 6.69-6.55 (m, 3H; aromatic). FTIR (KBr): v = 3438 (OH, br) 1736 (CO, s), 1539 (N02, s) cm-1. FAB HRMS calcd for C26H15N20nS (MH+) :
563.0397; found: 563.0396.
8b: 0.75 g (46%) as a yellow solid. m.p. 131-156° に 'Η- 醒 R (270 MHz, CDCl3, TMS): <5 8.70 (s, 1H; aromatic), 8.58 (d, 3JH;H = 8.4 Hz, 1H; aromatic), 8.32 (d, 3JH>H = 8.4 Hz, 1H, aromatic), 8.06 (d, 3JH,H = 6.8 Hz, 1H; aromatic), 7.71-7.66 (m, 2H; aromatic), 7.15 (d, 3JH,H = 6.8 Hz, 1H; aromatic), 7.05 (s, 1H; aromatic), 6.66 (s, 1H; aromatic) , 6.63 (s, 1H; aromatic), 6. 7 (s, 1H; aromatic), 5.67 (s, 1H; OH), 2.06 (S, 6H; CH3 x 2). FTIR (KBr): v = 3318 (OH, br), 1735 (CO, s), 1557 (N02, s), 1542 (N02, s) cur1. FAB HRMS calcd for C28H19N20nS (MH+): 590.0710; found: 599.0698. 8c: 0.62 g (38%) as a yellow solid, m.p. 143-158° C (from
CHCI3). Ή-NMR (270 MHz, CDC13, TMS): δ 8.67 (d, JH>H = 2.1 Hz,
1H; aromatic), 8.55 (dd, 3JH,H = 8.6 Hz, JH;H = 2.1 Hz, 1H;
aromatic), 8.25 (d, 3JH,H = 8.6 Hz, 1H, aromatic), 8.01 (d, 3JH,H = 7.1 Hz, 1H; aromatic), 7.72-7.60 (m, 2H; aromatic), 7.16 (d, 3JH,H = 7.4 Hz, 1H; aromatic), 6.73 (d, 3JH,H = 7.4 Hz, 1H;
aromatic), 6.60 (d, 3JH,H = 8.7 Hz, 1H; aromatic), 6.55 (d, 3JH,H = 8.7 Hz, 1H; aromatic), 6. 8 (d, 3JH,H = 8.7 Hz, 1H; aromatic), 5.50 (s, 1H; OH), 2.44 (S, 3H; CH3), 2.38 (S, 3H; CH3) . FTIR (KBr): v - 3266 (OH, br), 1735 (CO, s) , 1558 (N02, s), 1541 (N02, s) cm— FAB HRMS calcd for C28HlgN2OnS (MH+) : 590.0710; found: 599.0705.
(メルカプト化合物応答型蛍光プローブとしての評価)
[ 1. メルカプト化合物に対する特異性]
化合物 ld、 5a、 6a、 7および 8aについて、 実施例 1の [ 1— 3. スーパ 一オキサイド選択性 (2) ] と同じ条件で、 スーパ一オキサイドおよび チオールの一種であるダルタチオン (glutathione, GSH)に対する反応 性をそれぞれ試験した。 図 4に、 その結果を示す。 縦軸は蛍光強度であ り、 対照に対する%(% of control)で表している。 図示の通り、 Idはス ーパ一ォキサイド選択性 (特異性) に優れ、 5a、 6a、 7および 8aは、 ス —パーォキサイドに対する応答も示すもののメルカプト化合物選択性に 優れていることが分かった。 また、 化合物 8bおよび 8cも、 ダル夕チオン に対し高感度に応答することを確認した。 これらのことから、 フエノー ル性水酸基を有する蛍光性化合物である 7—ヒドロキシクマリン、 レゾ ルフィンおよびフルォレセィンならびにそれらの誘導体の〇一 2 , 4一 ジニトロベンゼンスルホ二ル化体は、 ダル夕チオンやシスティンなどの メルカプト化合物に対して短時間にかつ高感度に応答するプ ϋーブとし
て特に好ましいと思われる。 さらに、 5a、 6a、 7、 8a、 8bおよび 8cにつ いて、 前記表 1 (実施例 1の [ 1一 3 . スーパーオキサイド選択性 (2 ) ] ) に示した各化合物に対する応答を実施例 1と同条件で試験した結 果、 全くと言って良いほど応答を示さなかった。 すなわち、 化合物 5a、 6a、 7、 8a、 8bおよび 8cは、 H202ゃァミン等、 メルカプト化合物以外の反 応剤にほとんど応答しないことから、 メルカプト化合物に対する選択性 がきわめて高いことが分かった。
[ 2 . メルカプト化合物応答型蛍光プローブとしての評価]
次に、 化合物 6aおよび化合物 8aについて、 メルカプト化合物応答型蛍光 プローブとしての性能を評価した。
チオールの一種であるグル夕チオン (gl u t a th i one, GSH) および シ スティン(cys t e i ne) を用い、 化合物 6aおよび 8aの、 メルカプト化合物 に対する定量性等を評価した。 すなわち、 まず、 化合物 6aの E tOH 溶液 (10 mM) を調製し、 それをさらに pH 7. 4の HEPES緩衝液で 500 倍希釈 し、 化合物 6aを含むプローブ溶液を調製した。 次に、 このプローブ溶液 200 il l および様々な濃度のダル夕チオンまたはシスティン溶液(pH 7. 4の HEPES緩衝液に溶かしたもの) 10 μ を 96 穴マイクロプレート の各ゥエルに加え、 37 ° C で 10 分間放置して反応させた。 さらに、 ィ匕 合物 6aに代えて 8aを用いる以外は同様にして 8aを含むプローブ溶液を調 製し、 このプローブ溶液についても 6aを含むプローブ溶液と同様にして チオール溶液と反応させた。 そして、 反応後それぞれのゥエルについて 蛍光応答を測定した。 測定は、 6a の場合 λ βχ = 383 nmおよび λ em = 500 nm、 8a の場合 λ ex = 483 nmおよび λ em = 515 腦で行なった。 な お、 A ex は励起波長を、 λ„ は放射波長をそれぞれ示す。
図 5に、 上記蛍光応答の測定結果を示す。 図 5 Αは 6aについての、 図
5 Bは 8aについての測定結果を示すグラフである。 同図に示す通り、 6a を用いた場合、 GSH および cysteine の検出限界はどちらも 7 pmol で あり、 7 pmol ― 1000 pmol の濃度範囲で良好な検量線が得られた。 な お、 GSHについては、 傾き = 0.37 au I pmoK 相関係数 (r) = 0.9998 であり、 cysteineについては、 傾き = 0.66 au I pmoK r = 0.9995で あった。 一方、 8a を用いた場合、 GSH および cysteine め検出限界は 各々 2 および 1 pmol であり、 その検出限界から 1000 pmol の濃度範 囲で良好な検量線が得られた。 GSHについては傾き = 4.25 au I pmoK 相関係数 (r) = 1.0000であり、 cysteineについては傾き = 4.82 au I pmoK r = 0.9999であった。
これらの結果から、 6a および 8a が、 メルカプト化合物応答型蛍光 プローブとして利用できることが示された。 具体的には、 前記相関係数 (r)の値から非常に優れた定量性を持つことが分かり、 傾きの大きさか ら高い感度を有することが分かる。 特に 8aは感度が高かった。
さらに、 6a または 8aを含む蛍光プローブは、 反応時間が非常に短く て済むことと、 6a および 8a自体は蛍光性を持たず、 反応で生成する色 素のみが蛍光性を有するため反応の前後で試薬の分離操作が不必要であ ることが特徴的であった。
さらに、 上記の 6a または 8aを含む蛍光プローブを、 チオールに代え て水酸基ゃァミノ基などを含む他の求核剤を用いる以外は同様の条件で 反応させたところ、 まったく蛍光を示さないことが確認された。 すなわ ち、 これらの蛍光プロ一ブは、 水酸基ゃァミノ基等に応答せず、 メルカ ブト化合物に対し高い特異性 (選択性) を有することが分かった。
なお、 化合物 5a、 7、 8bおよび 8cについても同様に試験を行ない、 同 様の結果を確認した。
[ 3 . アセチルコリンエステラーゼアツセィ]
下記スキーム 9に示す通り、 ァセチルチオコリンを基質、 ァセチルコリ ンエステラーゼを酵素として酵素反応させるとメルカプト化合物 (チォ ール) の一種であるチォコリンが生じる。 このチォコリンを、 例えば下 記スキーム 1 0のように本発明のスルホン酸エステル化合物により検出 すれば、 アセチルコリンエステラーゼ(ace tyl cho l ines t erase, AChE) の活性が短時間で測定できると期待できる。 なお、 スキーム 1 0は可能 なメカニズムの一例を示すに過ぎず、 本発明を限定するものではない。 ァセチルコリンエステラーゼ SH
ァセチルチオコリン チォコリン
(acetyl thiocholine) (thiocholine)
スキーム 9
スキーム 1 0 本発明者らは、 実際に上記各化合物がァセチルコリンエステラーゼの 活性測定に使用できることを確認した。 化合物 8aについて具体的な操作 を以下に示す。 すなわち、 まず、 化合物 8aの EtOH溶液 (10 mM) を調製 し、 それをさらに pH 7. 4の HEPES緩衝液で 500 倍希釈し、 化合物 8aを 含むプローブ溶液(20 M)を調製した。 一方、 市販のァセチルチオコリ ンを pH 7. 4の HEPES緩衝液に溶かした溶液(1 mM)を調製した。 さらに、 様々な濃度 (活性量) のアセチルコリンエステラーゼ(AChE) 溶液(pH
7.4の HEPES緩衝液に溶かした溶液) を調製した。
次に、 前記プロ一ブ溶液 200 L, ァセチルチオコリン溶液 10 L、 および様々な濃度 (活性量) のアセチルコリンエステラーゼ(AChE) 溶 液 10 Lを 96ゥエルミクロプレートの各ゥエルに加え、 37° C で 1 0 分間酵素反応を行なった。 その直後に、 λ6Χ (励起波長) = 83 およ び λ (放射波長) = 515 nmで蛍光応答を測定した。 図 6に蛍光応答の 測定結果を示す。 同図において、 横軸は AChE活性量 U)であり、 縦軸 は蛍光強度 (au) である。 図示の通り、 各ゥエルについて得られた蛍光 応答は AChE の活性量に対して良好な依存性を示した。 さらに、 0.1 " 0.5 の範囲では、 AChE 活性と蛍光応答の間に良好な直線関 係が観察された (傾き = 28.8 au / U、 r = 0.9998) 。 本 AChE アツ セィは、 バックグランド応答が小さいことに起因する感度の良さだけで なく、 反応時間が 10 分と非常に短いことが特徴であった。
さらに、 上記アツセィ法が AChE 阻害薬の活性測定にも活用できるこ とを、 良く知られている抗コリン薬であるネオスチグミン (
neostigmine) およびピリ ドスチグミン (pyridostigmine) を用いて確 認した。 具体的な操作は以下の通りである。 すなわち、 まず、 8aを含む プローブ溶液、 ァセチルチオコリン溶液、 およびアセチルコリンエステ ラーゼ(AChE)溶液を上記と同様にして調製した。 ただし、 AChE溶液の濃 度 (活性量) は 5 U/mLに固定した。 一方、 様々な濃度の ネオスチグミ ン溶液およびピリドスチグミン溶液 (いずれも pH 7.4 HEPES緩衝液に溶 かしたもの)を調製した。 そして、 このプローブ溶液 (25 M, 150 βί)、 ァセチルチオコリン溶液 (1 mM, 10 L)、 AChE溶液 (5 U/mL, 10 ill) および様々な濃度のネオスチグミン溶液またはピリ ドスチグミ ン溶液を、 96ゥエルミクロプレートの各ゥエルに加え、 37° C で 10 分 間酵素反応を行なった後、 各ゥエルについて蛍光応答を測定した。 測定
は、 λ。χ (励起波長) = 483 nmおよび λ em (放射波長) = 515 nmで行な つた。 そして、 蛍光強度から阻害%値を算出し、 阻害活性曲線を作成し た。 図 7に、 その阻害活性曲線を示す。 横軸はネオスチグミンまたはピ リ ドスチグミンの濃度 ( mol) であり、 縦軸は蛍光強度から算出した 阻害%値である。
図 7の阻害曲線からネオスチグミンおよびピリ ドスチグミンの IC50 値を見積もったところ、 0.18 および 0.29 M となった。 これら の値は、 ネオスチグミンおよびピリドスチグミンの IC5。 値として周知 の文献値と一致していないが、 それは測定条件等が異なるためである。 しかしながら、 これら両抗コリン薬の IC5。 値間の相対的な程度差は文 献値と良い相関を示した。 すなわち、 化合物 8aが、 AChE阻害薬に対し精 度の良い活性測定剤として使用可能であることが分かった。
AChEアツセィゃ AChE阻害活性の測定は、 AChEが関与する疾患、 例えば アルツハイマー病等の診断や新薬候補化合物のスクリーニングに非常に 重要である。 特に、 AChE阻害薬は、 近年アルツハイマー病治療薬として 注目を集めており、 本発明のスルホン酸エステル化合物は、 上記の試験 結果によれば AChE阻害薬のスクリーニングに大いに役立つことが期待で きる。 [4. チォリン酸基応答型プローブとしての活用]
さらに、 チオール (— SH基が炭素原子に結合した化合物) 以外のメル カプト化合物に対する蛍光プローブとしての、 本発明のスルホン酸エス テル化合物の可能性を検討した。 より具体的には、 化合物 5a、 6a、 7お よび 8a〜8cが、 アデノシン 5' -[ァ -チォ]三リン酸(adenosine 5' -[r- thio] triphosphate, ァ- S-ATP) やアデノシンーチォリン酸(adenos ine monothiophosphate, S-AMP) が有するいわゆるチォリン酸基中のチォ一
ル基に対しても応答することを明らかにした。 化合物 8a〜8cおよびァ S-ATP を用いた試験結果について以下に述べる。
8aの溶液(20 Μ, 200 n l) および様々な濃度の ァ- S- ATP の溶液 ( いずれも pH 7. 4のイミダゾール緩衝液に溶かした溶液) を 96-穴マイク 口プレートの各ゥエルに加え、 37° C で 180 分間反応を行なった後、 各ゥエルについて蛍光応答を測定した。 測定は、 λ εχ (励起波長) = 83 nmおよび λ (放射波長) = 515 nmで行なった。 図 8にその結果を示す 。 図示の通り、 反応後に観察された応答は、 ァ- S-ATP 濃度に対して良 好な依存性を示した。 また、 検出限界は 5 pmo lと、 8aが T - S- ATPに対 して高感度であることを示した。 また、 8b および 8c において同様に 試験を行なったところ、 8aよりもさらに高感度にァ- S- ATP を検出でき ることも明らかになった。
このように、 チォリン酸基に対し 8a〜8c が応答を示したことから、 これらの化合物をメルカプト化合物応答型蛍光プローブを用いることに より、 下記スキーム 1 1および 1 2に示す概念に基づいてキナーゼアツ セィが構築できると期待される。 実際に 8aを用い、 チォリン酸基の導入 程度が異なるチォリン酸化タンパク質 (シスメックス株式会社から提供
) に対する蛍光応答を測定したところ、 導入程度に応じた蛍光応答が得 られた。 ーゼ
スキーム
スキーム 1 2 上記スキーム 1 1および 1 2についてより具体的に説明すると以下の 通りである。 キナーゼは ATP 存在下タンパク質のチロシン残基等の水 酸基をリン酸化する酵素であるが、 ATP の代わりに ァ- S-ATP を用いて 本酵素反応を行なうとチオリン酸化されたタンパク質が生成する。 この チオリン酸化タンパク質をチオール応答型蛍光プローブで検出すればキ ナ一ゼアツセィがおこなえる。 このキナーゼァッセィを臨床診断に使用 する時の実際の方法としては、 例えば下記 (1 ) および (2 ) の二通り が考えられる。 ( 1 ) キナーゼの特異的基質を固定化したマイクロプレートを用いる 方法は、 例えば下記(i)〜(v)の操作を順番に行なうことで実施できる。
(i)試料 (血液または組織) からの分析対象キナーゼの抗体を用いた分 離、 すなわち免疫沈降 (immunoprecipitation)
(ii)分離したキナーゼおよびァ -S- ATP による固定化基質のチオリン酸 ィ匕、 すなわちキナ一ゼによる酵素反応(enzyme reaction with kinase) (iii)添加物の洗浄除去(wash- out)
(iv)チォリン酸基応答型プローブとの反応による発蛍光(fluorescing process)
(v)蛍光プレ一トリ一ダ一による検出(detection) (2) キナーゼの特異的基質をブロッテイングする方法は、 例えば下 記(i)〜(V)の操作を順番に行なうことで実施できる。
(i)試料 (血液または組織) からの分析対象キナーゼの抗体を用いた分 離、 すなわち免疫沈降(immunoprecipitation)
(ii)分離したキナーゼおよび T-S-ATP による基質のチォリン酸化、 す なわちキナ一ゼによる酵素反応(enzyme reaction with kinase)
(iii)チオリン酸化された基質の分離とそのメンブレン(膜)上へのプロ ッティング (separat ion and blotting on a membrane)
(iv)チオリン酸基応答型プローブとの反応による発蛍光(fluorescing process)
(v)蛍光イメージアナライザーによる検出(detection) 上記 (1) または (2) の方法によれば、 特異的な抗体ならびに基質 を用いることにより、 様々な生命現象 (細胞の分化、 分裂および増殖、 ならびに周期) に関する数多くのキナーゼの中から、 ある特定のキナー ゼを特異的に検出できると考えられる。 従って、 チォリン酸基応答型プ ローブは、 キナーゼ活性量を測定するための研究用試薬としてだけでな
く、 癌診断等の臨床への応用も期待される。 以上説明した通り、 本実施例の結果から、 本発明のァセチル AChE ァ ッセィおよびキナーゼアツセィでは、 環境に影響を及ぼす放射性同位体 ラベルを用いることなく、 簡便な測定が行なえることが分かった。 具体 的には、 AChE アツセィでは、 酵素反応と発蛍光反応を同時に行なうこ ともでき、 キナーゼアツセィでは、 酵素反応の後発蛍光反応を行なうと いう簡単な操作で測定することも可能であり、 試薬として酵素基質とプ ローブのみを用いて測定することもできた。 さらに、 本発明のメルカプ ト化合物検出用蛍光プローブを用いる測定方法の検出感度は、 前述の実 施例の結果から、 化学発光のそれに匹敵し得ると考えられる。
さらに、 本発明のメルカプト化合物検出用プローブを用いたその他の 酵素活性測定法も、 酵素反応によりそれらの酵素基質からチオールが生 成するように分子設計することで、 簡単に構築できる。 例えば下記スキ ーム 1 3のようにである。 このような利点を考慮すると、 メルカプト化 合物応答型蛍光プローブは、 様々な酵素アツセィキットの構築に適した 多様な機能を持つ試薬として期待できる。
スキーム 1 3
産業上の利用の可能性
'以上説明した通り、 本発明のスルホン酸エステル化合物は、 スーパー ォキサイドに対して高選択的に応答する蛍光プローブの用途に適する。 蛍光プローブは、 現在の細胞生理学研究において重要な試薬であり、 さ らに、 蛍光顕微鏡を用いる画像解析システムやフローサイトメトリー ( セルソ一夕一) における最近のハ一ドおよびソフト面の著しい発展を考 慮すると、 今後益々蛍光プローブの市場は広がると考えられる。 本発明 は、 例えばバイオイメージングゃ臨床分析等に適し、 活性酸素種ゃァセ チルコリンエステラーゼと関連のある疾患に対する新しい治療法や創薬 シ一ズを開発するために良好に用いることができる。 特に、 メルカプト 化合物検出用プロ一ブは、 ァセチルコリンエステラーゼ活性の検出や力 イネ一スアツセィへの利用を通じて、 アルツハイマー病や癌等の治療薬 のスクリーニング等に役立つことが期待できる。 さらに、 本発明のスル ホン酸エステル化合物の用途は蛍光プローブに限定されず、 あらゆる用 途に使用可能である。