運動ニューロン疾患治療薬
技術分野
本発明は、 運動ニューロン疾患、 特には、 筋萎縮性側索硬化症 (ALS)の治療及 び/又は予防用医薬に関する。 明
背景技術
筋萎縮性側索硬化症 (Amyotrophic lateral scleros is: ALS)は、 通常、 中高年 食 m
期に発症し、 大脳、 脳幹、 脊髄の運動神経が選択的に侵される神経変性疾患であ る ( Cleveland DW and Rothstein JD, 2001, Nat Rev Neurosc i 2 : 806-819 ; Hand CK and Rouleau GA, 2002, Muscle Nerve 25 : 135—159) 。 ALSは、 外眼筋を 除く全身の随意筋に筋萎縮、 筋力低下を起こし最終的に呼吸不全に陥り、 発症か ら通常 3〜 5年で死にいたる難病である。
リルゾール (Ri luzol e) は、 これまで米国及ぴ日本において ALSに対して認証 された唯一の薬剤である。 リルゾールはもともとグルタミン酸の放出を抑制する 抗けいれん薬として開発されたが、 幾つかの臨床試験では ALS患者の延命にわず かな効果しか示さないと報告されている (Rowland LP and Shneider NA, 2001, N Engl J Med, 344, 1688 - 1700 ; Turner MR and Partem MJ, 2001, Semin Neuro 1 21 : 167-175)。 また、 繊毛性神経栄養因子 (CNTF)及びインスリン様成長因子 I (IGF-I)を含む広範囲な因子が臨床試験で試されたが、 成功には至っていない (Mi l ler RG et al . , 1996, Ann Neurol 39 : 256-260)。 従って、 ALSに対して有 効な治療薬が存在しないのが現状である。
ALSの約 10 %は家族性 (FALS) で、 この大部分は常染色体優性遺伝である。 1993年、 Rosenらは常染色体遺伝の家系の解析から、 21番染色体に存在するスー パーォキシドジスムターゼ 1 (S0D1) 遺伝子を原因遺伝子として初めて特定した (Rosen DR, et al. , 1993, Nature 362 : 59-62)。 FALSの約 20%が S0D1遺伝子変 異を原因としており、 その変異の殆どはミスセンス点変異である。 既に、 S0D1に
は FALSを引き起こす 100以上の変異が見い出されている (Cleveland DW and Rothstein LD, 前掲) 。 また、 複数のグループによって、 FALS関連変異 S0D1遺伝 子が神経細胞死を誘引することが報告されている (Rabizadeh S, et al. , 1995, Proc Natl Acad Sci USA 92:3024-3028; Durham HD et al. , 1997, J Neropathol Exp Neurol 56:523-530; Ghadge GD et al. , 1997 J Nerosci 17:8756- 8766等) 。 このように、 変異 S0D1の過剰発現によって、 インビトロで神 経細胞死が誘導されることに加え、 ALS患者の脊髄でカスパーゼ 3の活性化が観察 されている。 よって、 神経細胞死抑制は、 ALSに対する治療薬の開発における重 要なターゲットとなる。
これまで、 変異 S0D1の過剰発現による神経細胞死に対して抑制 (拮抗) 作用を 示すものとして、 先に述べた CNTF、 IGF- 1以外に Bcl2、 非特異的カスパーゼイン ヒビター zVAD— fmk (Kostic V, et al. , 1997, Science 277:559—562; Azzouz M, et al. , 2000, Hum Mol Genet 9:803-811; Li M, et al. , 2000, Science 288 :335 - 339)や新しく発見された劣性遺伝型 FALSの原因遺伝子 ALS2の産物である ァ リ シ ン ( alsin) 等がある (Kanekura K, et al, 2004, J Biol Chem 279:19247-19256)。
一方、 ADNFまたは ADNF9 (activity-dependent neurotrophic factor) は 9個 のアミノ酸残基 ( Ser-Al a-Leu-Leu-Arg-Ser-11 e-Pro-Al a) からなる短いぺプチ ドであり、 もともと Gozesらによって VIPで刺激したァス トロサイトの培養培地か ら精製された (Brenneman DE and Gozes I, 1996, J Clin Invest 97:2299—
2307; Brenneman DE, et al. , 1998, J Pharmacol Exp Ther 285:619 - 627;
Blondel 0, et al. , 2000, J Neurosci 20:8012-8020) 。 ADNFはアミロイ ド j3を 含む幾つかの神経傷害による神経細胞死から神経細胞を保護することが示されて レヽる ( Brenneman DE, et al. , 1998, J Pharmacol Exp Ther 285:619-627;
Glazner GW, et al. , 2000, J Neurochem 73:2341-2347)。 ADNFは、 通常、 低濃 度、 例えば、 フェムトモル範囲で活性があり、 ナノモル範囲以上でその保護効果 が失われるというユニークな神経保護因子であるが、 このユニークさがゆえ、 抗 アルツハイマー (AD)病薬として開発が断念されたという経緯がある。
従って、 本発明は、 ALSの病因となる神経細胞死を抑制し、 筋萎縮性側索硬化
症の治療に有効な医薬を提供するこ とを課題とする。 発明の開示
本発明者らは、 上記課題を解決すべき鋭意研究を重ねた結果、 Activity- Dependent Neurotrophic Factor (以下、 「ADNF」 と称する) カ 、 変異スーパー ォキシドジスムターゼ 1 (S0D1) 遺伝子によって誘導される神経細胞死を有意に 抑制 (拮抗) し、 また、 ALSのモデルマウスにおいて運動機能を改善し、 ALS発症 を遅延させる作用を有することを見出し、 本発明を完成するに至った。
即ち、 本発明は以下の発明を包含する。
(1) 以下の( 〜 (c)に示すオリゴペプチド、 または薬学的に許容されるそれら の塩を有効成分として含有する、 運動ニューロン疾患の治療及び/又は予防用医 薬。
(a) Ser- Ala- Leu- Leu - Arg- Ser - l ie- Pro - Ala (配列番号 1 ) で示されるァミノ 酸配列からなるオリゴぺプチド
(b) Ser- Ala - Leu - Leu - Arg - Ser- l ie- Pro- Ala (配列番号 1 ) において、 1若し くは数個のアミノ酸が欠失、 置換、 揷入、 又は付加されたアミノ酸配列からなり、 かつ、 変異スーパーォキシドジスムターゼ 1遺伝子による神経細胞死抑制活性を 有するオリゴぺプチド
(c) (a)又は (b) のオリゴペプチドの修飾オリゴペプチド
(2) 以下の(a)又は (b)のオリゴペプチドをコードする DNAを有効成分として含有 する、 運動ニューロン疾患の治療及び/又は予防用医薬。
(a) Ser- Ala- Leu - Leu - Arg - Ser- l ie - Pro - Ala (配列番号 1 ) で示されるァミノ 酸配列からなるオリゴぺプチド
(b) Ser - Ala- Leu- Leu- Arg- Ser- lie- Pro- Ala (配列番号 1 ) において、 1若し くは数個のアミノ酸が欠失、 置換、 挿入、 又は付加されたアミノ酸配列からなり、 かつ、 変異スーパーォキシドジスムターゼ 1遺伝子による神経細胞死抑制活性を 有するオリゴぺプチド
(3) 運動ニューロン疾患が、 筋萎縮性側索硬化症 (ALS)である、 (1)又は(2)に記 載の医薬。
(4) 運動ニューロン疾患の発症を遅延させ、 運動ニューロン疾患患者の運動機能 を改善させる効果を有する、 (1)又は(2)に記載の医薬。
(5) 以下の(a)又は (b)のオリゴペプチドと他のペプチドからなる融合ペプチド。
(a) Ser - Ala— Leu - Leu - Arg - Ser - lie - Pro - Ala (配列番号 1 ) で示されるァミノ 酸配列からなるオリゴぺプチド
(b) Ser- Ala- Leu- Leu - Arg- Ser- lie- Pro- Ala (配列番号 1 ) において、 1若し くは数個のアミノ酸が欠失、 置換、 挿入、 又は付加されたアミノ酸配列からなり、 かつ、 変異スーパーォキシドジスムターゼ 1遺伝子による神経細胞死抑制活性を 有するオリゴぺプチド
(6) 他のぺプチドが、 細胞外分泌のためのシグナルぺプチド及び/又は精製 ·検 出用のタグべプチドである、 (5)に記載の融合べプチド。
(7) 以下の(a)又は (b)のオリゴペプチド、 または(5)に記載の融合ペプチドをコ 一ドする DNA。
(a) Ser- Ala - Leu- Leu- Arg - Ser- lie- Pro- Ala (配列番号 1 ) で示されるァミノ 酸配列からなるオリゴぺプチド
(b) Ser-Ala- Leu - Leu- Arg- Ser- lie-Pro - Ala (配列番号 1 ) において、 1若し くは数個のアミノ酸が欠失、 置換、 挿入、 又は付加されたアミノ酸配列からなり、 かつ、 変異スーパーォキシドジスムターゼ 1遺伝子による神経細胞死抑制活性を 有するオリゴぺプチド
(8) (7)に記載の DNAを含有する組換えベクター。
(9) (8)に記載の DNAにより形質転換された形質転換体。
(10) (9)に記載の形質転換体を培地に培養し、 得られる培養物から発現させたォ リゴペプチドを採取することを特徴とする、 以下の(a)又は (b)のオリゴぺプチ ドの製造方法。
(a) Ser- Ala- Leu- Leu- Arg- Ser- lie- Pro- Ala (配列番号 1 ) で示されるァミノ 酸配列からなるオリゴぺプチド
(b) Ser- Ala- Leu- Leu - Arg- Ser- lie- Pro- Ala (配列番号 1 ) において、 1若し くは数個のアミノ酸が欠失、 置換、 挿入、 又は付加されたアミノ酸配列からなり、 かつ、 変異スーパーォキシドジスムターゼ 1遺伝子による神経細胞死抑制活性を
有するオリゴぺプチド
本発明はまた、 上記の医薬製造のための上記( 〜 (C)に示すオリゴペプチド、 または薬学的に許容されるそれらの塩の使用;上記(a)〜 (c)に示すオリゴぺプ チド、 または薬学的に許容されるそれらの塩の有効量をヒ トを含む哺乳動物に投 与する工程を含む運動二ユーロン疾患の治療方法も包含する。 図面の簡単な説明
図 1 ( A) は、 コントロールベクター(pEF - BOS vector)、 野生型 S0D1遺伝子 (wt-SODl) を導入した神経細胞株 (F11細胞)の細胞死率を示す。 図 1 ( B ) は、 コントロールベクター(pEF - BOS vector)、 変異 S0D1遺伝子 (G85R- S0D1) を導入 した神経細胞株 (F11細胞)の細胞死率を示す。 図 1 ( C ) は、 ADNFまたは HNGの 存在下または非存在下、 コントロールベクター(pEF-BOS vector)、 野生型 S0D1遺 伝子 (wt- S0D1) 、 変異 S0D1遺伝子 (A4T- S0D1, G85R-S0D1, または G93R- S0D1) を導入した神経細胞株 (F11細胞)の細胞死率を示す。
図 2 Aは、 変異 S0D1遺伝子 (A4T- S0D1, G85R-S0D1, または G93R- S0D1) を導入 した神経細胞株 (F11細胞)に誘導された細胞死に対する ADNFの濃度依存的抑制効 果を示す。 また同図下は、 免疫プロッ トによる S0D1タンパクの発現量を示す。 図 2 Bは、 変異 S0D1遺伝子 (A4T-S0D1, G85R-S0D1, または G93R-S0D1) を導入 した神経細胞株 (NSC34細胞) に誘導された細胞死に対する ADNFの濃度依存的抑 制効果を示す。 また同図下は、 免疫プロットによる S0D1タンパクの発現量を示す。 図 3 Aは、 コントロールベクター(pEF-BOS vector)、 ΙΟΟηΜ ADNF存在下または 非存在下で変異 S0D1遺伝子 (A4T-S0D1) を導入した神経細胞株 (F11細胞)に誘導 された細胞死に対する、 ウォートマニン(W)、 ジェニスティン(G;)、 PD98059 (PD)、 SB203580 (SB) , AG490 (AG)、 KN93 (KN)、 または HA1004 (HA)の影響を示す。 ま た同図下は、 免疫プロットによる S0D1タンパクの発現量を示す。
図 3 Bは、 コントロールベクター(pEF-BOS vector)、 ΙΟΟηΜ ADNF存在下または 非存在下で変異 S0D1遺伝子 (G85R- S0D1) を導入した神経細胞株 (F11細胞)に誘 導された細胞死に対する、 ウォートマニン(W)、 ジヱニスティン(G)、 PD98059
(PD) , SB203580 (SB)、 AG490 (AG)、 KN93 (KN)、 または HA1004 (HA)の影響を示
す。 また同図下は、 免疫プロットによる S0D1タンパクの発現量を示す。
図 3 Cは、 コント口ールベクタ一(PEF- BOS vector)、 100 nM ADNF存在下また は非存在下で変異 S0D1遺伝子 (G93R-S0D1) を導入した神経細胞株 (F11細胞)に 誘導された細胞死に対する、 ウォートマニン(W;)、 ジヱニスティン(G)、 PD98059 (PD)、 SB203580 (SB)、 AG490 (AG)、 KN93 (KN)、 または HA1004 (HA)の影響を示 す。 また同図下は、 免疫プロッ トによる S0D1タンパクの発現量を示す。
図 4 Aは、 コントロールベクター(pEF-BOS vector) , 100 fM ADNF存在下また は非存在下で変異 S0D1遺伝子 (A4T- S0D1) を導入した神経細胞株 (F11細胞)に誘 導された細胞死に対する KN93または KN92の影響を示す。 また同図下は、 免疫プロ ットによる S0D1タンパクの発現量を示す。
図 4 Bは、 コントロールベクター(pEF - BOS vector)、 100 fM ADNF存在下また は非存在下で変異 S0D1遺伝子 (G85R- S0D1) を導入した神経細胞株 (F11細胞)に 誘導された細胞死に対する KN93または KN92の影響を示す。 また同図下は、 免疫ブ ロットによる S0D1タンパクの発現量を示す。
図 4 Cは、 コントロールベクター(pEF-BOS vector)、 100 fM ADNF存在下また は非存在下で変異 S0D1遺伝子 (G93R- S0D1) を導入した神経細胞株 (F11細胞)に 誘導された細胞死に対する KN93または KN92の影響を示す。 また同図下は、 免疫プ ロットによる S0D1タンパクの発現量を示す。
図 4 Dは、 100nM ADNF存在下または非存在下で変異 S0D1遺伝子 (A4T- S0D1, G85R-S0D1, または G93R- S0D1 ) とキナーゼ不活型 CaMKIIまたはキナーゼ不活型 CaMKIVを F11細胞に二重導入したときの細胞死を示す。
図 5 Aは、 コントロールベクター(pEF-BOS vector)、 100 fM ADNF存在下また は非存在下で変異 S0D1遺伝子 (A4T-S0D1, G85R-S0D1, または G93R- S0D1) を導入 した神経細胞株 (F11細胞)に誘導された細胞死に対する IPALぺプチ ド (IPALDSLKPANEDQKIGIEI) の影響を示す。
図 5 Bは、 コ ン ト ロールベクター(pEF- BOS vector)、 種々の濃度の ADNF
(SALLRSIPA)または ADNF8 (ALLRSIPA)の存在下で変異 S0D1遺伝子 (G93R- S0D1) を 導入した神経細胞株 (F11細胞)の細胞死率を示す。
図 6は、 G93A-S0D1トランスジエニックマウスの運動機能に対する ADNF icv注
入の影響を示す。 以下、 本発明を詳細に説明する。 本願は、 2004年 4月 8日に出願された米国仮出 願 60/560, 254号の優先権を主張するものであり、 該特許出願の明細書及び/又は 図面に記載される内容を包含する。
1 . 本発明の医薬
本発明の医薬の有効成分であるオリゴペプチドは、 Ser- Ala- Leu- Leu- Arg- Ser- Ile-Pro-Ala (配列番号 1 ) で示されるアミノ酸配列からなるオリゴぺプチドで ある。
上記オリゴペプチドは、 変異スーパーォキシドジスムターゼ 1 (以下、 「変異 S0D1J と記載する) 遺伝子による神経細胞死抑制活性を有する限りにおいて、 上 記のアミノ酸配列において 1若しくは数個のアミノ酸が欠失、 置換、 挿入、 又は 付加された変異オリゴペプチドをも含む。 上記の 「1から数個」. の範囲は特には 限定されないが、 例えば、 1 〜5個、 好ましくは 1〜3個、 より好ましくは 1〜2個 のアミノ酸を意味する。
他のアミノ酸への置換としては、 疎水性アミノ酸 (Ala、 Ile、 Leu、 Met, Phe、 Pro、 Trp、 Thr、 Val)、 親水性アミノ酸 (Arg, Asp, Asn、 Cys、 Glu、 Gln、 Gly、 His、 Lys、 Ser、 Thr)、 脂肪族側鎖を有するアミノ酸 (Gly、 Ala、 Val、 Leu、 Ile、 Pro) 、 水酸基含有側鎖を有するアミノ酸 (Ser、 Thr, Tyr)間の置換などが含ま れうる。 但し、 これらは置換の好ましい具体例を例示したものにすぎず、 変異 S0D1遺伝子による神経細胞死抑制活性を維持する限りは他のアミノ酸で置換する ことも可能である。
また、 上記の変異 S0D1遺伝子とは、 野生型ヒト S0D1のアミノ酸配列 (配列番号
5) において、 開始コドン (Met)の次の Alaを 1位として数えて 4位 (配列番号 5で は 5位) の Alaが Thrに置換した S0D1、 85位 (配列番号 5では 86位) の Glyが Argに置 換した S0D1、 93位 (配列番号 5では 94位) の Glyが Argに置換した S0D1をそれぞれ コードする遺伝子をいう。
また、 上記のオリゴペプチド、 その改変オリゴペプチドは、 化学的修飾及ぴ生
物学的修飾されていてもよい。 修飾の例としては、 例えば、 アルキル化、 エステ ル化、 ハロゲン化、 又はアミノ化などの官能基導入、 酸化、 還元、 付加、 又は脱 離などによる官能基変換、 糖化合物 (単糖、 二糖、 オリゴ糖、 若しくは多糖) 又 は脂質化合物などの導入、 リン酸化、 あるいはピオチン化などを挙げることがで きるが、 これらに限定されることはない。
上記の改変オリゴぺプチド又は修飾オリゴぺプチドが、 配列番号 1に記載のァ ミノ酸配列を含むオリゴぺプチドと同等の変異 S0D1遺伝子による細胞死抑制活性 を有することは、 本明細書の実施例に詳細かつ具体的に記載した試験方法によつ て、 又は上記試験方法に適宜の改変や修飾を加えることにより、 当業者が容易に 確認することができる。
上記の各種オリゴぺプチド (以下、 オリゴぺプチドには改変オリゴぺプチドゃ 修飾ォリゴペプチドも含むものとする) は遊離形態であってもよいが、 酸付加塩 又は塩基付加塩であってもよい。 酸付加塩としては、 例えば、 塩酸塩、 硫酸塩、 硝酸塩、 リン酸塩などの鉱酸塩; クェン酸塩、 シユウ酸酸塩、 マレイン酸塩、 酒 石酸塩などの有機酸塩を挙げることができる。 塩基付加塩としては、 例えば、 ナ トリウム塩、 カリウム塩、 カルシウム塩、 マグネシウム塩などの金属塩;アンモ 二ゥム塩; メチルアンモニゥム塩、 トリェチルアンモニゥム塩などの有機アンモ 二ゥム塩を挙げることができる。
さらに、 これらのオリゴぺプチド又はその塩は、 水和物又は溶媒和物として存 在する場合がある。
上記オリゴぺプチドは、 公知のぺプチド合成の常法に従って合成できる。 例え ば 「ザ. ペプチド (The Peptides)」 第 1卷(1966年) [Schreder and Luhke 著、
Academic Press, New York, U. S. A. ] 、 あるいは 「ペプチド 合成」 [泉屋ら著、 丸善株式会社(1975年)] の記載に従い、 具体的には、 アジド法、 酸クロライ ド法、 酸無水物法、 混合酸無水物法、 D C C法、 活性エステル法 (P--トロフエニルェ ステル法、 N—ヒ ドロキシコハク酸イミ ドエステル法、 シァノメチルエステル法 など) 、 ウッドワード試薬 Kを用いる方法、 カルボイミダゾール法、 酸化還元法、
D C C—アディティブ (H O N B、 H O B t , H O S u ) 法など、 各種の方法に より合成することができる。 これらの方法は、 固相合成及び液相合成のいずれに
も適用できる。
固相法では市販の各種べプチド合成装置を利用することができる。 必要に応じ て、 官能基の保護及び脱保護を行うことにより効率的に合成を行うことができる。 保護基の導入及び脱離方法については、 例えば、 プロテクティブ ' グループス · イン · ^Γ' ~力ニック · シンセンス (Protective Groups in Organic Synthesis) 、 グリーン (T. W. Greene) 著、 ジョン ' ワイ リー ' アンド ' サンズ ·ィンコーポ レイテッド (John Wiley & Sons, Inc. ) (1981年) などを参照することができ る。
得られたオリゴペプチドは、 通常の方法に従い脱塩、 精製することができる。 例えば、 DEAE—セルロースなどのイオン交換クロマトグラフィー、 セフアデック ス LH- 20 、 セフアデックス G- 25 などの分配クロマトグラフィー、 シリカゲルな どの順相クロマトグラフィー、 0DS—シリカゲルなどの逆相クロマトグラフィー、 高速液体クロマトグラフィーなどが挙げられる。
上記ォリ ゴペプチ ドは、 変異 S0D 1遺伝子による神経細胞死を抑制し、 神経細胞保護作用を有する。 また、 上記オリ ゴペプチ ドの神経保護作 用は、 IPALペプチドにより阻害されないこと (後記実施例 5 ) 、 また、 該オリゴ ぺプチドの N末のアミノ酸の 1個を欠失させてもその作用が示されたこと (後記 実施例 6 ) から、 従来報告されるアミロイ ド i3傷害による神経細胞死に対する拮 抗作用とは異なる機序 (新しい機序) によるものである。
従って、 該オリ ゴペプチ ドは変異 S0D 1遺伝子による神経細胞死に 起因して運動ニューロ ン機構が破綻する疾患、 例えば、 筋萎縮性側索 硬化症 (ALS)に対して用いると、 神経細胞死を抑制することによって、 該疾患の 治療を行うことができる。 本明細書において、 「運動ニューロン疾患」 とは、 運 動を制御する身体の上位および下位運動ニューロンに進行性、 退行性障害をきた す神経変性疾患をいう。 代表的には筋萎縮性側索硬化症 (ALS)が挙げられ、 脊髄 性筋萎縮症 (SMA: ゥヱルデニッヒ ·ホフマン病、 ケーベルベルク · ゥェランダ 一病) 、 球脊髄性筋萎縮症 (BSMA:ケネディ ·オルター · スン症候群) などが 含まれるが、 これらに限定はされない。 本発明の医薬は上記運動ニュー ロ ン 疾患の発症を防止または遅延する予防剤としての作用、 及ぴノ又は運動二ュ
一口ン疾患を正常な状態に回復させる治療剤としての作用を有している。 本発 明の医薬はまた、 運動ニューロン疾患に起因する病態の改善に有効である。 病 態の改善とは、 例えば、 筋萎縮、 筋力低下、 球麻痺 (顔面 ·咽頭、 舌の筋萎縮、 筋力低下、 それによる言語障害、 嚥下障害) 、 筋肉の線維束性収縮、 呼吸障害の 改善をいう。
本発明の医薬は、 上記ォリ ゴぺプチ ドの精製標品を、 公知の種々の方 法にて各種製剤形態に調製し、 医薬組成物と して提供するこ とができる。 本発明の医薬を経口投与する場合は、 錠剤、 カプセル剤、 顆粒剤、 散剤、 丸剤、 内用水剤、 懸濁剤、 乳剤、 シロップ剤等に製剤化するか、 使用する際に再溶解さ せる乾燥生成物にしてもよい。 また、 本発明の医薬を非経口投与する場合は、 静 脈内注射剤 (点滴を含む) 、 筋肉内注射剤、 腹腔内注射剤、 皮下注射剤、 坐剤な どに製剤化し、 注射用製剤の場合は単位投与量アンプル又は多投与量容器の状態 で提供される。
これらの各種製剤は、 製剤上通常用いられる賦形剤、 増量剤、 結合剤、 湿潤剤、 崩壊剤、 潤滑剤、 界面活性剤、 分散剤、 緩衝剤、 保存剤、 溶解補助剤、 防腐剤、 矯味矯臭剤、 無痛化剤、 安定化剤、 等張化剤等などを適宜選択し、 常法により製 造することができる。 また、 医薬組成物中、 有効成分であるオリゴペプチドの含 有量は、 例えば 0. 1〜10重量%程度とすればよい。
本発明の医薬は、 前述の疾患の予防治療薬剤として用いる場合、 ヒ ト、 マウス、 ラット、 ゥサギ、 ィヌ、 ネコ等の哺乳動物に対して非経口的にまたは経口的に安 全に投与することができる。 本発明の医薬の投与量は、 投与対象の年齢、 投与経 路、 投与回数により適宜変更しうる。 例えば、 オリゴペプチドの有効量と適切な 希釈剤及び薬理学的に使用し得る担体との組み合わせとして投与される量は、 例 えば、 1日につき体重 lkgあたり l〜500 / gの範囲内である。
また、 本発明の医薬の有効成分は上記オリゴペプチドをコードする DNA (遺伝 子) であってもよい。 上記オリゴペプチドをコードする遺伝子を上記疾患に対す る遺伝子治療剤として使用する場合は、 該遺伝子を注射により直接投与する方法 のほか、 該遺伝子が組込まれたベクターを投与する方法が挙げられる。 ベクター としては、 アデノウイルスベクター、 アデノ随伴ウィルスベクター、 ヘルぺスゥ
イノレスべクター、 ヮクシニアウイ/レスべクター、 レトロウイルスベクター等が挙 げられ、 これらのウィルスベクターを用いることにより効率よく投与することが できる。 また、 上記遺伝子をリボソームなどのリン脂質小胞に導入し、 そのリポ ソームを投与する方法を用いてもよい。
遺伝子治療剤の投与形態としては、 大腿四頭筋、 大臀筋等への局所投与、 ある いは、 通常の静脈内、 動脈内等の全身投与のいずれでもよいが、 局所投与が好ま しい。 さらに、 カテーテル技術、 外科的手術等と組み合わせた投与形態を採用す ることもできる。
2 . オリゴペプチドをコードする DNAの発現系
本発明の医薬に使用する上記オリゴペプチドはまた、 通常の遺伝子工学的手法 に従って生産することもできる。 すなわち、 上記オリゴペプチドをコードする DNAを含む組み換えベクターを作製し、 該ベクターにより形質転換された微生物 (形質転換体) を調製し、 該形質転換体を培養した培養物から所望のオリゴぺプ チドを分離 ·精製することができる。
かかる遺伝子工学的手法によるオリゴぺプチド生産にあたり、 上記オリゴぺプ チドの N末端に細胞外分泌のためのシグナルぺプチドを付加した融合べプチドの 形で発現させることにより、 該オリゴペチドを宿主細胞外に積極的に分泌させる ことができる。 さらに、 該シグナルペプチドとオリゴペプチドの間、 またはオリ ゴペプチドの C末端に、 精製 ·検出用のタグを付加することもできる。
融合タンパク質を作製する方法は、 上記オリゴペプチドをコードする DNAと他 のぺプチドをコ一ドする DNAをフレームが一致するように連結してこれを発現べ クタ一に導入し、 宿主で発現させればよく、 すでに公知の手法を用いることがで きる。
シグナルペプチドとしては、 宿主細胞の種類に応じて公知の任意の分泌タンパ ク質のシグナルペプチドを用いることができるが、 例えば、 動物細胞を用いる場 合、 各種サイトカインなどの増殖分化因子やそのレセプターなどの N末端に存在 するシダナルぺプチドなどが挙げられる。
また、 精製 ·検出用のタグとしては.、 当該分野において公知のものを用いるこ
とができ、 例えば、 FLAG、 6 XHis、 10 X His、 インフルエンザ凝集素 (HA) 、 VSV- GPの断片、 T7- tagヽ HSV- tag、 E- tag等が挙げられる。
これらべプチド配列をコードする DNAを挿入物として含有するベクター各宿主 (大腸菌、 酵母、 動物細胞) は市販されている。
本発明の組換えベクターは、 適当なベクターに上記オリゴぺプチドをコ一ドす る遺伝子を連結することにより得ることができる。 該遺伝子を挿入するためのベ クタ一は、 宿主中で複製可能なものであれば特に限定されず、 例えば、 プラスミ ド DNA、 ファージ DNA等が挙げられる。 プラスミ ド DNAとしては、 大腸菌由来のプ ラスミ ド、 枯草菌由来のプラスミ ド、 酵母由来のプラスミ ドなどが挙げられ、 フ ァージ DNAとしては; ファージが挙げられる。 さらに、 レトロウイルス又はワク シニアウィルスなどの動物ウィルス、 パキュ口ウィルスなどの昆虫ウイノレスベタ ターを用いることもできる。
ベクターに上記遺伝子を挿入するには、 まず、 精製された DNAを適当な制限酵 素で切断し、 適当なベクター DNAの制限酵素部位又はマルチクローニングサイト に挿入してベクターに連結する方法などが採用される。
上記オリゴペプチドをコードする DNAは、 その DNAの機能が発揮されるようにべ クタ一に組み込まれることが必要である。 そこで、 本発明のベクターには、 プロ モーター、 上記 DNAのほか、 所望によりェンハンサーなどのシスエレメント、 ス プライシングシグナル、 ポリ A付加シグナル、 選択マーカー、 リボソーム結合配 列 (SD配列) などを含有するものを連結することができる。 なお、 選択マーカー としては、 例えばジヒ ドロ葉酸還元酵素遺伝子、 アンピシリン耐性遺伝子、 ネォ マイシン耐性遺伝子等が挙げられる。
本発明の形質転換体は、 本発明の組換えベクターを、 目的とする DNAが発現し 得るように宿主中に導入することにより得ることができる。 ここで、 宿主として は、 前記遺伝子を発現できるものであれば特に限定されるものではない。 例えば、 大腸菌 (Escherichia coli ) 等のェシエ リ ヒ ア属、 バチルス · ズブチリ ス
(Baci llus subtilis) 等のバチルス属に属する細菌;サッカロミセス ·セレビ シェ Saccharomyces cerevisiaeリ 、 シゾサ ッ カ ロ ミ セ ス · ホ ンべ
(Schizosaccharomyces pombe) 等の酵母;サル糸田胞 COS— 7、 Vero、 チャイニーズ
ハムスター卵巣細胞 (CH0細胞) 、 マウス L細胞、 ヒ ト GH3、 ヒ ト FL細胞等の動物 細胞が挙げられる。
組換えベクターの宿主の導入方法としては、 宿主の種類に応じて、 例えばエレ タ トロポレーシヨン法、 リン酸カルシウム法、 酢酸リチウム法、 リポフエクショ ン法、 ウィルス法等が挙げられる。 また、 上記の各宿主細胞への遺伝子導入は、 組換えベクターによらない方法、 例えばパーティクルガン法なども用いることが できる。
オリゴペプチドは、 前記形質転換体を培養し、 その培養物から採取することに より得ることができる。 「培養物」 とは、 培養上清のほか、 培養細胞若しくは培 養菌体又は細胞若しくは菌体の破砕物のいずれをも意味するものである。
本発明の形質転換体を培地に培養する方法は、 その宿主細胞の培養に用いられ る通常の方法に従って行うことができる。
大腸菌や酵母菌等の微生物を宿主として得られた形質転換体を培養する培地と しては、 微生物が資化し得る炭素源、 窒素源、 無機塩類等を含有し、 形質転換体 の培養を効率的に行うことができる培地であれば、 天然培地、 合成培地のいずれ を用いてもよい。 炭素源としては、 該生物が資化し得るものであればよく、 ダル コース、 フラク トース、 スクロース、 デンプン等の炭水化物、 酢酸、 プロピオン 酸等の有機酸、 エタノール、 プロパノール等のアルコール類が用いられる。 窒素 源としては、 アンモニア、 塩化アンモニゥム、 硫酸アンモ-ゥム、 酢酸アンモニ ゥム、 リン酸アンモニゥム等の無機酸若しくは有機酸のアンモニゥム塩又はその 他の含窒素化合物のほか、 ペプトン、 肉エキス、 コーンスチープリカー等が用い られる。 無機塩類としては、 リン酸第一カリウム、 リン酸第二カリウム、 リン酸 マグネシウム、 硫酸マグネシウム、 塩化ナトリウム、 硫酸第一鉄、 硫酸マンガン、 硫酸銅、 炭酸カルシウム等が用いられる。
培養後、 オリゴペプチドが菌体内又は細胞内に生産される場合には、 菌体又は 細胞を破砕することにより該オリゴペプチドを抽出する。 また、 オリゴペプチド が菌体外又は細胞外に生産される場合には、 培養液をそのまま使用するか、 遠心 分離等により菌体又は細胞を除去する。 その後、 タンパク質の単離精製に用いら れる一般的な生化学的方法、 例えば硫酸アンモニゥム沈殿、 ゲルクロマトグラフ
ィー、 イオン交換クロマトグラフィー、 ァフィ二ティークロマトグラフィー等を 単独で又は適宜組み合わせて用いることにより、 前記培養物中から目的とするォ リゴぺプチドを単離精製することができる。 発明を実施するための最良の形態
以下、 実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、 これらの実施例は本 発明を限定するものでない。
なお、 以下の実施例において記載する神経細胞株を用いたすべての実験は、 独 立した導入と処理を少なくとも 3回繰り返したもので、 各々基本的に同じ結果を 得た。 統計解析は一方向 AN0VAとそれにつづく Bonferroni/Dunn post-hoc testに て実施され、 pく 0. 05を有意と評価した。
また、 動物実験については、 北米祌経学会の動物及ぴヒ ト使用法則 (Pol ic ies on the Use of Animals and Humans in Neuroscience Research, the Soci ety for Neuroscience)と、 慶應大学動物実験委員会の実験動物の使用と飼育ガイ ド フ ィ ン (Gui del ine for Care and Use of Laboratory Animals of KEIO University)に従って実施した。 すべての実験手順については慶應大学実験動物 委貝会 (Institutional Animal Experiment Committee at KEIO Univers ity)の許 可を得た。
(実施例 1 ) 変異 S0D1遺伝子により誘導される神経細胞死の ADNFによる抑制 (1) 試験材料
野生型 S0D1の cDNA (配列番号 4 ) 、 変異 S0D1 (A4T - S0D1、 G85R- S0D1、 G93R-
S0D1 ) の cDNAは東京大学医学部辻省次博士から譲与された。 キナーゼ不活型
CaMKIIと CaMKIV cDNAは USスタンフォード大学のハワード、 シュルマン博士から 譲与された。 ADNF ( SALLRSIPA:配列番号 1 ) 、 ADNF8 (ALLRSIPA:配列番号
2 ) は合成した (Glazner GW, et al. , 1999, J Neurochem 73 : 2341—2347)。
IPALペプチド (IPALDSLKPANEDQKIGIEI:配列番号 3 ) , Zamost iano R, et al . ,
1999, Neurosci Lett 264 : 9- 12)はペプチド研 (大阪) から購入した。 抗 S0D1抗 体は MBL (名古屋) から購入した。 PD98059, SB20380, AG490, KN93, KN92,
HA1004は Calbiochem - Novabiochem (SanDiego, USA)力 ら購入した。
ラット胎児 13日 (E13) の初代培養神経細胞とマウス神経芽腫細胞 NTG18のハイ ブリツド細胞である F11細胞は、 .18°/。FBS (Hyclone, Logan, UT) と既報の抗生物質 ( Platika D, et al. , 1985, Proc Natl Acad Sci USA 82:3499-3503; Yamatsuji T, et al. , 1996, Science 272:1349—1352; Huang P, et al. , 2000, Mol Hum Reprod 6:1069 - 1078; Niikura T, et al. , 2001, J Neuroscience, 21 :1902 - 1910) を含む Ham s F— 12培地 ( life Technologies, Gaithersburg, MD) で培養した。
NSC34細胞は運動神経系のマウス胎児脊髄初代培養細胞とマウス神経芽腫細胞 NTG18のハイプリッド細胞で、 10%FBSと抗生物質 (Cashman NR, et al. , 1992, Dev Dyn 194 :209 - 221; Durham HD, et al, 1993, Neurotoxicology 14 :387 - 395) を含む丽 EM培地で培養した。
(2) 試験方法
(2-1) 神経細胞死試験
上記 F11細胞 ( 7xl04 cells/well, 6 - well プレー ト, Ham' s F - 12 (18%FBS) 培地 で 12- 16時間培養) に野生型 S0D1遺伝子または変異 S0D1遺伝子 (A4T, G85R, G93R) をリポフエクシヨ ン (S0D1遺伝子 0.5 g; Lipof ectAMINE 1 μ ΐ; PLUS Reagent, 2μ 1) で無血清下 3時間の条件で導入し、 Ham' s F - 12 (18%FBS) で 2時 間培養した。 培地を ADNF存在下または非存在下の Ham' s F- 12 (10%FBS) に交換し、 導入から 72時間後、 細胞死率を既報のトリパンブルー排除法 (Hashimoto Y, et al. , 2001, J Neurosci 21:9235-9245; Hashimoto Y, et al, 2001, Proc Natl Acad Sci USA 98:6336-6341) で測定することよって得た。
また、 上記 NSC34細胞 (7xl04 cells/well, 6- well プレート, FBS10% DMEM培 地 で 12-16時間培養) に野生型 S0D1遺伝子または変異 S0D1遺伝子 (A4T, G85R, G93 ) をリポフエクシヨ ン (S0D1遺伝子 0.5 g; Lipof ectAMINE 1 μ 1; PLUS Reagent, 2 1) で無血清下 3時間の条件で導入し、 DMEM(10%FBS)で 21時間培養 し、 さらに 48時間後、 N2サプリメント (インヴィ ト口ジヱン) を加えた DMEDで培 養した。 導入から 72時間後、 細胞死率を同様にトリパンブルー排除法で測定する ことによって得た。
(2-2) 免疫ブロット解析
免疫ブロット解析を、 既報に従い (Hashimoto Y, et al. , 前掲 2報) 、 実施 した。 野生型 S0D1遺伝子または変異 S0D1遺伝子のタンパク発現を調べるため、 各 S0D1遺伝子導入細胞の溶解液を SDS- PAGEに供した (20 /z gZlane) 。 PVDFシート に電気的にプロットした後、 通常の方法でブロッキングし、 抗 S0D1抗体と反応さ せ、 1: 5000希釈でホースラディッシュ パーォキシダーゼ結合抗マウス IgG抗体 (Bio-Rad Lab. Hercules, CA, USA) と反応させた。 抗体と反応したバンドを ECL (Amersham Pharmacia Biotech, Uppsala, Sweden)で検出し 7こ。
(3)結果
(3-1) F11細胞への変異 S0D1遺伝子導入による神経細胞死誘導の確認
F11細胞に、 0. 25 i g, 0. 5 / g,または l. O w gの野生型 S0D1 (wt S0D1) cDNA、 ま たは変異 S0D1 (G85R-S0D1) cDNAを導入し、 72時間後、 細胞死率をトリパンプル 一排除法により測定した。 コントロールとしてベクター、 pEF-BOS (vector)を用 いた。 0. 25 / gまたは 0. 5 // g野生型 S0D1 cDNAの導入による細胞死率は約 10%であ り、 コントロールベクターを導入したものと同様であつたが、 l g導入により、 細胞死率は 45%となり、 たとえ野生型であっても過剰発現させると細胞死が起こ ることがわかった (図 1 (A) ) 。 一方、 0. 25 g G85R-S0D1 cDNAの導入による 細胞死率は 17%で、 ややコントロールベクター導入より高く、 0. 5 ;z g、 1. 0 の G85R-S0D1 cDNA導入による細胞死率は、 各々 50、 60%という値であった (図 1 ( B ) ) 。 以上の結果に基づいて、 F11細胞の細胞死を誘導するための 3種の変異 S0D1遺伝子導入 cDNA量は、 0. 5 // gと決めた。
(3-2) 変異 S0D1遺伝子により誘導された神経細胞死に対する ADNFの効果
変異 S0D1遺伝子により誘導された神経細胞死に対する ADNFの効果を試験した。 また、 比較として、 S14G Humanin (HNG)を用いた。 S14G- HN (HNG)は複数のァルツ ハイマー病関連傷害による神経細胞死を防ぐが、 変異 S0D1遺伝子による神経細胞 死を防ぐことができなかったと報告されている (Hashimoto Y, et al. , 前掲 2 報) 。
F11細胞に、 100fM ADNFまたは 10nM HNGの存在下または非存在下で、 野生型
S0D1遺伝子、 変異 S0D1遺伝子 (A4T- S0D1、 G85R- S0D1、 G93R-S0D1) (0. 5 μ g) を
導入し、 72時間後、 細胞死率をトリパンブルー排除法により測定した。 コント口 一ノレとしてベクター、 pEF- BOS (vector)を用いた。
変異 S0D1遺伝子の導入により、 40〜50%の細胞死が起こった (図 1 ( C ) ) 。 一方、 コントロールべクターの導入によってはわずか 10%の細胞死が起こるのみ であった。 100fMの ADNFを加えると、 これら変異 S0D1遺伝子による細胞死はコン トロールレベルまで下がった。 これに対して、 10nM HNGは、 変異 S0D1遺伝子によ る細胞死を低下させることはできなかった (図 1 ( C ) ) 。
(実施例 2 ) ADNFによる神経細胞死抑制の濃度依存的効果
F11細胞または NSC34細胞を用いて、 変異 S0D1遺伝子 (A4T- S0D1、 G85R- S0D1、 G93R-S0D1) の導入により誘導される神経細胞死に対する ADNFの濃度依存的効果 を確かめた。
F11細胞または NSC34細胞に、 pEF- B0S, A4T-S0D1, G85R-S0D1または G93R- S0D1 cDNAを導入し、 ADNFの濃度を(10aM, lfM, 100 fM, ΙΟρΜ, InM, ΙΟΟηΜ) 増加させ、 72時間後、 細胞死率をトリパンブルー排除法により測定した。
10aMの ADNFでは細胞死抑制がほとんどなかったが、 100fM の ADNFは完全にこれ ら 3種類の変異 S0D1遺伝子による細胞死率をコントロールレベルまで減少させた (図 2 A) 。 このとき、 変異 S0D1遺伝子による細胞死に対する ADNFの完全な保護 作用は、 10nM以上でも認められた。 これらの結果から、 変異 S0D1遺伝子による神 経細胞死に対する ADNFの抑制活性は、 濃度依存的であることがわかった。
また、 NSC34細胞を用いた実験でも、 同様に 100 fM ADNFで 3種類の変異 S0D1遺 伝子による神経細胞死を完全に抑制できることがわかった (図 2 B ) 。 F11細胞 の場合と同様に、 神経細胞死に対する ADNFの抑制活性は濃度依存的であり、 その 効果は 10nM以上でも減少することはなかった。
さらに、 いずれの細胞を用いた試験においても、 S0D1遺伝子の発現レベルは、 ADNF処理によって影響されないことを確認した。
ADNFは 10nM以上でその神経細胞保護作用が消失することが報告されている
(Brenneman DE, et al. , 1996, J Clin Invest 97 : 2299-2307.; Brenneman DE, et al. , 1998, J Pharmacol Exp Ther 285 : 619—627)。 この結果と一致して、 本
発明者らも ADNFがアミロイ ド j3傷害や変異 APP遺伝子などのアルツハイマー病関 連傷害に対する神経細胞死に対しては、 nM濃度以上でその細胞死抑制活性が低減 することを確認している (Hashimoto Y, et al. , 2001, Proc Natl Acad Sci USA 98 :6336 - 6341)。
従って、 本試験で確認された、 変異 S0D1による神経細胞死に対する ADNFの濃度 依存的な神経細胞保護効果は、 アミロイド 神経毒性に対するものとは異なると 考えられた。
(実施例 3 ) ADNFの神経保護作用に関する解析
ADNFによる細胞内シグナル伝達を調べた。 F11細胞に、 pEF- B0S、 または変異 S0D1 (A4T-S0D1, G85R-S0D1, G93R-S0D1) cDNAを導入し、 100nM ADNF存在下また は非存在下で、 10nMのウォートマニン (PI3キナ-ゼ阻害剤) 、 100;ζ Μジェネス ティン (タイ口シンキナーゼ阻害剤) 、 50 / M PD98059 (ΜΕΚ阻害剤)、 20 μ Μ SB203580 (ρ38 ΜΑΡΚ阻害剤)、 l ^ M AG490 (JAKキナーゼ阻害剤)、 5 μ Μ ΚΝ93(力 ルシゥム/カルモジュリン依存性キナーゼ阻害剤) 、 または 10μΜ HA1004 (プロ ティンキナーゼ Α阻害剤) を反応させた。 導入から 72時間後、 細胞死率をトリパ ンブルー排除法により測定した
A4T-S0D1, G85R-S0D1, G93R- S0D1における結果をそれぞれ図 3 A〜 Cに示す。 ADNFによる神経保護作用はウォートマニン (W)、 PD98059(PD), SB203580 (SB), AG490 (AG), HA1004(HA)に影響されなかったが、 ジェネステイン(G)、 KN93 (KN) によって抑制された (図 3 A〜C) 。 このことは、 ADNFは何らかのチロシンキナ 一とカルシウム Zカルモジュリン依存性キナーゼ (Ca腿) を介して神経保護作用 を発揮し、 PI3キナーゼ、 MEK, p38MAPK, JAK2、 PKAを活性化してその神経保護作 用を発揮しないことを示唆した。
(実施例 4 ) ADNFシグナル経路下流における CaMKIVの介在
ADNFの神経保護作用に対する KN93の影響を調べた。 F11細胞に、 pEF- B0S、 また は変異 S0D1 (A4T-S0D1, G85R - S0D1, G93R-S0D1) cDNAを導入し、 100 fM ADNF存在 下または非存在下、 KN93 (10nM, 50ηΜ, ΙΟΟηΜ, 500ηΜ, Ι μ Μ, または 5/z M) また
は KN93の不活型物質である ΚΝ92 (5 μ Μ)を反応させた。 導入から 72時間後、 細胞死 率をトリパンブルー排除法により測定した
A4T-S0D1, G85R-S0D1, G93R- S0D1における結果をそれぞれ図 4 A〜Cに示す。 ADNFによる神経保護作用は 50nMの KN93によって部分的に抑制され、 1 /z Mでほ ぼ完全に抑制された。 また、 KN93はいずれの濃度においてもコントロールレベル の細胞死率に影響を与えなかった。 予想どおり、 不活型の KN92は ですら、 ADNFの活性に影響を与えなかった。 免疫ブロットで検出した変異 S0D1のタンパク の発現も、 KN93または KN92により影響を受けなかった。 この KN93の濃度依存的阻 害は A4T- S0D1、 G85R- S0D1、 G85R- S0D1のいずれの導入細胞にも同様に観察された (図 4 A〜C ) 。
次に、 ADNFの神経保護作用に対するキナーゼ不活型 CaMKI Iまたはキナーゼ不活 型 CaMKIVの影響を調べた。
NSC34細胞に、 pSR - alpha, A4T-S0D1, G85R- S0D1または G93R- SODl cDNAと pSR- alpha,キナーゼ不活型 CaMKII,またはキナーゼ不活型 Ca腿 IVを導入し、 この細胞 をさらに ΙΟΟηΜの ADNFの存在下又は非存在下で培養した。 導入から 72時間後、 細 胞死率を測定した。
コントロールベクターもキナーゼ不活型 CaMKIIも ADNFの神経保護作用に影響を 与えなかった。 これに対して、 キナーゼ不活型 CaMKIVは ADNFの神経保護作用を抑 制した (図 4 D ) 。 これにより、 CaMKIIではなく Ca腿 IVが ADNFシグナル経路の下 流に存在していることが示唆された。 また、 キナーゼ不活型 CaMKIIもキナーゼ不 活型 CaMKIVもコントロールレベルの細胞死率には影響を与えなかった。
(実施例 5 ) FALS関連傷害に対する ADNF神経保護作用と、 アミロイ ド /3傷害に対 する保護作用との相違
IPALぺプチド (IPALDSLKPANEDQKIGIEI:配列番号 3 ) はァミロイ ド j3による細 胞死に対する ADNFの保護作用を阻害することが報告されている (Zamostiano R, et al., 1999, Neurosci Lett 264 : 9- 12)。 そこで、 変異 SODl遺伝子による細胞 死に対する ADNFの保護作用に IPALぺプチドがどのように影響するかを確かめた。
F11細胞に、 pEF-B0S、 または変異 SODl遺伝子 (A4T-S0D1, G85R-S0D1, G93R-
S0D1) cDNAを導入し、 lO w Mの IPALペプチド存在下で lOOfM ADNFを反応させ、 導 入から 72時間後、 細胞死率を測定した。 IPALペプチドは 3つの変異 S0D1遺伝子に よる細胞死に対する ADNFの抑制活性を阻害せず、 また、 変異 S0D1遺伝子による細 胞死に影響を与えなかった (図 5 A) 。 また。 この時、 IPALペプチド自体は、 コ ントロールレベルの細胞死に影響を与えなかった。
(実施例 6 ) ADNFの N末欠失体の効果
ADNF8 (ALLRSIPA:配列番号 2 )は ADNFの N末端ァミノ酸が 1残基欠除したもの であるが、 アミロイ ド ]3または TTXによる神経細胞死に対して、 何の抑制効果も なレヽと幸 |¾告されてレヽる (Brenneman DE, et al. , 1998, J Pharmacol Exp Ther 285 : 619-627)。 そこで、 G93A- S0D1が起こす細胞死に対する ADNF8の効果を確かめ た。
F11細胞に、 pEF-BOSまたは G93A- S0D1 cDNAを導入し、 ADNF (SALLRSIPA)または ADNF8 (ALLRSIPA)を種々の濃度で反応させ、 導入から 72時間後、 細胞死率を測定 した。 ADNF8は、 G93R-S0D1による細胞死を ΙΟρΜで完全に抑制し、 変異 S0D1遺伝子 による神経細胞死抑制に効果があつたが、 その効果は ADNFに比べると 100倍低い ことがわかった (図 5 B ) 。
(実施例 7 ) ALSモデル動物による運動能力試験
(1)使用動物
93位に Glyから Alaへの変異 (G93A)を有する、 ヒ ト FALS関連変異 S0D1遺伝子を 発現するトランスジエニックマウス (Tg) マウス (以下、 「G93A- S0D1 Tgマウ ス」 と称する) は ALSのモデルマウスとして最も確立されたものである (Gurney ME, et al. , 1994, Science 264 : 1772—1775 ; Gurney ME, et al. , 1997, J Neurol Sci 152 Suppl 1 : S67- 73)。 G93A- S0D1 Tgマウスは、 正常に生まれた後、 全例ヒ ト ALSと極めて似た症状を発症し、 急速に死に至る。 G93A- S0D1 Tgマウス はヒ ト ALSに臨床的にも病理学的にも似ている運動神経細胞退行を発症し、 これ まで世界的にも ALSの最も優れたモデルとされており、 ALS患者のための有効な候 補薬を同定するために使用されている。
(2)試験方法
上記モデルマウスを使って、 G93A- S0D1による神経毒性に対する ADNFの効果を' in vivoで確力めた。
G93A-S0D1 Tgマウスは Jackson Laboratories (Bar Harbor, ME)力 ら購入した。 G93A-S0D1 Tgマウスは、 C57BL/6Jマウス (CLEA Japan, Inc. ) との交配によりへ ミ接合体マウスと して維持した。 マウスは SPF室 (specific pathogen- free animal f aci l ity; 23 ± 1°C、 55 ± 5%湿度) で 12時間 明 喑サイクル (7 : 00AM- 7 : 00PM) で飼育した。 ガンマ一線照射した Picolab Rodent Diet20 (PMI Feeds Inc. St. Louis, M0)と次亜硫酸ナトリウム (5ppm) 入り無菌脱イオン蒸留水を 自由に与えた。
G93A-S0D1 Tgマウスを生後 10週間目に腹腔内注射により 10 %ネブタール ( sodium pentobarbital 60rag/kg) で麻酔し、 定位装置手術台上でマウス用 C315GS- 4力二ユーラシステム (Plastics One Inc. , Roanoke, VA) を無菌下でマ ウス左脳室に頭蓋骨にドリルで穴をつくることにより移植した。 力二ユーラを手 術用接着剤と歯科用セメントにより固定した。 生後 80日目にマウスを無作為に生 理食塩水 (コントロール) 投与群 (n=8) と ADNF投与群 (n=l l) に分け、 前者に は生理食塩水 3 を、 後者には 3 μ 1 の 30nmol ADNFを各日実験終了時まで脳室内 ( i. c. v. ) 注入した。 注入は、 力-ユーラチューブ (C232, PE50/Thin wall, Plasti c One) によってハミルトンシリンジに繋いだ C315IS- 4内力二ユーラ(ハミ ルトンシリンジ)によって行った。
運動機能 (モーターパーフォーマンス) は毎週ローターロッド (CLEA Japan Inc. ) により評価した。 力二ユーラの移植後、 マウスを 2日間ローターロッドに 慣れさせた。 マウスを 5rpmで回転する枝に載せ、 留まることのできる時間を自動 的に検出した。 マウスが 7分間ロッド上に留まれば、 スコア 7分としてテストを 終えるプロ トコールと した (Li M, et al., 2000, Sci ence 288 : 335-339 ; Kaspar BK, et al., 2003, Science 301:839~842) 。 病気発症の定義として、 マ ウスがローターロッドに 7分間留まれなくなった 1日目を病気発症とした。
また、 死亡の定義として、 マウスを仰向けにして 30 秒以内に元に戻れない時 を死亡とした (Li M, et al . , 前掲) 。
(3)結果
ADNF処理した ALSマウスは 16週目で有意にコントロールマウスよりモーターパ フォーマンスが良く、 ADNFで処理したマウスは運動機能の低下を起こさず維持し たことを示唆している (図 6 ) 。 しかしながら、 このコントロールマウスと ADNF 処理マウスの差は、 後に 18〜20週で消失した。
また、 生理食塩水投与群と ADNF投与群における発症日数と生存日数は、 下記表 1を示す。 表 1 生理貪塩水投与群 (n=8) ADNF投与群 (n=l l)
発症日数 122. 5± 7. 2 127. 3±2. 6
生存日数 156. 8± 3. 5 155. 3士 2. 2 生理食塩水投与群と ADNF投与群では、 病気発症についての有意差は得られなか つたものの、 遅れる傾向にあった。 ALSコントロールマウスの平均生存日数およ ぴ ADNF処理群の平均生存日数は各々、 156. 8± 3, 5日、 155. 3± 3. 7日であり、 生存 率には違いのないことが確認された。 本明細書で引用した全ての刊行物、 特許及び特許出願をそのまま参考として本 明細書に組み入れるものとする。 産業上の利用可能性
本発明によれば、 変異スーパーォキシドジスムターゼ 1 (S0D1) 遺伝子によつ て誘導される神経細胞死を有意に抑制 (拮抗) し、 筋萎縮性側索硬化症 (ALS)を はじめとする運動ニューロン疾患の発症を遅延させ、 運動ニューロン疾患患者の 運動機能を改善させる効果を有する医薬が提供される。 従って、 本発明の医薬は、 運動ニューロン疾患を治療及び/又は予防に有用である。