明 細 書
可視光で光触媒活性を有する Ti酸化物膜およびその製造方法 技術分野
[0001] 本発明は、主として自動車用の防曇ガラスに用いられる可視光光触媒性を有する T i酸ィ匕物膜およびその製造方法に関する。
背景技術
[0002] 近年、酸ィ匕チタンなどが示す光触媒機能を利用した応用商品の開発が盛んである 。たとえば、光を照射することにより、有機物質を分解し、防汚 (特に、有機系物質除 去)、抗菌、大気清浄などを目的とした光触媒性能を利用する商品の開発が検討さ れている。
[0003] また、近年、ガラス基板などの透明基体上に光触媒材料を薄膜として形成し、形成 された膜の光触媒性能を利用することにより有機物質を分解し、防汚 (有機系物質除 去)、抗菌、大気清浄などが可能であることが分かり、上記光触媒性能を利用した建 材用ガラス、自動車などの車両用ガラスなどへの応用が期待されている。
[0004] しかし、通常の酸ィ匕チタンでは励起光として 380nm未満の紫外線が必要である。
通常の励起光源である太陽光や人工光では紫外線よりも可視光線のほうがより多く のフオトンを含むため、通常の酸ィヒチタンでは励起光の大部分を利用できず、効率と V、う観点力もも好ま U、とは言えなかった。
[0005] 近年においては、紫外光を使用することができない場所に好適に用いられる可視 光応答性を有する光触媒の研究が盛んに行われてきている。例えば、非晶質又は不 完全な結晶質の酸ィ匕チタン及び Z又は水酸ィ匕チタンを、アンモニア又はその誘導体 の雰囲気下で加熱し、生成する材料の波長 450nmにおける光吸収率が原料酸ィ匕 チタンィ匕合物の 450nmにおける光の吸収より大きい時点で加熱を終了させる方法 により、可視光応答の光触媒が得られることが開示されている(例えば、特許文献 1お よび 2参照。 ) oしかし、本方法はアンモニア雰囲気での加熱であり、大気雰囲気加熱 ではない。よって、実用上雰囲気制御可能な加熱炉が必要であり、かつアンモニア ガスの漏洩防止などの設備コストも力かる問題があった。さらに加熱温度条件として
は 250°Cから 550°Cについての記載がされている力 550°Cを超える温度域に関す る記載はない。
[0006] 通常自動車用などの車両用ガラスでは、製造工程においてガラス基板の強化、曲 げカ卩ェが行われる。このガラス基板の強化、曲げ工程の最高温度は 600°C— 700°C でかつ大気中で行われることが多い。従って特許文献 1または 2記載の可視光応答 の光触媒では、ガラス基板上の酸ィ匕チタンを強化、曲げ工程の温度条件に加熱する と、可視光城での光吸収が小さくなり可視光応答性が得られない可能性があった。そ のため車両用には使用しにくぐ用途が限定されていた。また本材料を薄膜ィ匕するた めの工程も必要であり、設備コストの上昇を招く恐れがあった。
[0007] またアンモニア雰囲気での加熱を要しな 、方法として、光触媒膜表面より深!、層に おける OZTi原子数比が、表面における OZTi原子数比よりも小さい酸ィ匕チタン系 光触媒を製造するための方法が開示されている (例えば、特許文献 3参照。 ) 0この 引用文献における光触媒は、チタンアルコキシドとァセチルアセトンなどのキレートイ匕 剤との錯体を、酸ィ匕性雰囲気で好ましくは 400— 700°Cで加熱する事により得られる ものであるが、チタンアルコキシドとキレート化剤の使用により製造コストがかかること 、 OZTi比の原子数比を表面と内部で制御するのが困難であることなどの製造上の 問題点があった。例えば、加熱温度を高くすると完全に光触媒膜の内部も酸化され てしまうため、温度はなるべく高く上げすぎないことが好ましい旨の記載がある力 実 施例の記載は 500°Cのみであり、車両用ガラスのようにガラス基板の強化、曲げ工程 を必要とする工程では、この加熱温度では OZTi比の原子数比を表面と内部で制御 するためには製造条件が極めて限定されるなどの問題があった。
[0008] さらに可視光応答性を有する光触媒を得るための方法として、酸化チタンへの N、 S、 Cなどのァニオンドーピング又は Cr、 V、 Niなどのカチオンドーピング又はァニォ ンとカチオンとの共ドープといった方法が開示されている(例えば、 Nドーピングの例 として特許文献 4および 5参照。スパッタ法による酸ィ匕チタンへのァ-オンド一プの例 として特許文献 6参照。;)。これらの引用文献によれば、ターゲットに Ti、 TiO又は Ti
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Sを用い、 RFマグネトロンスパッタ等にて成膜後、 550°C程度 2時間で加熱処理する
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ことにより可視光応答光触媒が得られる旨が記載されているが、これらの製造方法で
は TiOターゲットや TiSターゲットなどのセラミックスターゲットを用いた場合には RF
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スパッタ法でし力成膜できな 、と 、う制約があった。 RFスパッタ法は製造設備も直流 (DC)スパッタ設備に比べ高価で、かつ成膜速度が遅いため、製造コストがかかると いう問題があった。またターゲットに Tiを用いた場合では、 DCスパッタが可能である 力 反応性スパッタにより TiONなどの酸窒化物を成膜する方法も同様に成膜速度 が遅いという問題があった。
[0009] さらに、スパッタ法により成膜した TiOを NH雰囲気又は NHを含む雰囲気下でラ
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ンプ加熱し TiONからなる可視光応答光触媒が得られる旨の記載がなされて!/ヽる(例 えば、特許文献 7参照。 )0しかし、本方法では NH雰囲気が必要であり、大気雰囲
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気での加熱ができないため、ガラスの強化、曲げ工程への適用不能と考えられるた め、用途が限定されるという問題があった。
[0010] またカチオンドーピングの例として、アナターゼ型 TiOに Cr、 Vなどの金属元素を
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イオン注入し加熱処理を行うことにより可視光応答光触媒を得ることが可能である旨 の記載がなされている(例えば、特許文献 8参照。 )0しかし、本方法はイオン注入と いう方法を用いることから設備コストがかかること、薄膜の場合、膜面内の均一性を得 るには製造時間がかかること等の問題があった。
[0011] 光触媒機能を示す酸ィ匕チタン力 なる膜の形成方法として、ウエット法が主として検 討されてきた (例えば、特許文献 9参照。 )0前記ウエット法としては、例えば、酸ィ匕チ タンの微粒子を有機または無機のノインダにより固定する方法や、チタン有機金属 溶液からゾルゲル法で形成する方法が挙げられる。前記ウエット法によれば、タイル のような小さい面積を有する基板に対して液を塗布することにより、光触媒機能を示 す酸ィ匕チタン力もなる膜を形成することができる。しかし、窓ガラスのような大きい面積 を有する基板に対して液を塗布する場合、形成された膜の厚さは均一にならず、形 成された膜の耐擦傷性も不十分であった。また、塗布液を一定の状態に保管してお くことは非常に困難であった。
[0012] ウエット法における前述したような問題点を解決するために、光触媒性能を有する T i酸化物膜を真空蒸着法で形成する手段が開示されて!ヽる (例えば、特許文献 10参 照。 ) o本引用文献には、 T艘ィ匕物膜の上に Si酸ィ匕物膜を積層することにより、暗所
での親水性保持時間が大幅に改善されることが示されている。しかし、真空蒸着法で は、大きい面積を有する基板に τ艘化物膜を形成した場合、ウエット法と同様、膜の 厚さの均一性を維持することが難しいという欠点があった。特に、建築用ガラスや車 両用ガラス等の用途のガラス基板に Ti酸ィ匕物膜を形成した場合、膜厚の均一性、透 明性、光学特性、外観等が良好であることが要求されるため、真空蒸着法でこの性 能を実現することは困難であった。
[0013] 一方、建築用や車両用の熱線反射ガラスの製造に用いられる、金属ターゲットを用 Vヽた DCスパッタ法は、大き ヽ面積を有する基板に均一な膜厚を有する膜を容易に 形成でき、かつ形成された膜の基板への密着性も優れており、また、スパッタターゲ ットの保管にも特別な注意を必要としないという利点を有している(例えば、特許文献 11参照。;)。しかし、通常のチタン金属ターゲットを用いた DCスパッタ法においては、 酸素などの酸ィ匕物ガスをスパッタガス中へ混入させる必要があるため、 Ti酸ィ匕物膜 の成膜速度が非常に遅くなるという欠点があった。
[0014] 上記問題点を解決するために、デュアルマグネトロンスパッタ装置やプラズマェミツ シヨンによる制御を用い、チタン又は酸ィ匕チタンターゲットでチタン酸ィ匕物を成膜した のち、大気雰囲気で加熱処理することにより光触媒性酸化チタンを得る方法が開示 されている(例えば、特許文献 12または 13参照。;)。しかし、本方法では成膜後のチ タン酸ィ匕物の可視光域における吸収量がほとんどないか、あつたとしても大気ァニー ルにより可視光域における光吸収が容易に消失すると考えられる。よって、紫外光に 対して光触媒活性を有する旨の記載はあるが、可視光に対して光触媒活性を有する 旨の記載はない。
[0015] 特許文献 1:特開 2002— 255555号公報
特許文献 2:特開 2002-331225号公報
特許文献 3:特開平 10- 146530号公報
特許文献 4:WO0lZ010553号公報
特許文献 5:特開 2001— 207082号公報
特許文献 6:特開 2001—205103号公報
特許文献 7:特開 2003— 40621号公報
特許文献 8:特開平 9- 262482号公報
特許文献 9:特許 2865065号公報
特許文献 10:特開 2000— 53449号公報
特許文献 11 :特開平 10- 289165号公報
特許文献 12:特開 2003—117404号公報
特許文献 13 :特開 2003-49265号公報
特許文献 14:特開 2003— 117406号公報
特許文献 15 :特開平 8— 158048号公報
特許文献 16:特開 2003 - 293119号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0016] 本発明は、可視光応答性を有する光触媒による親水性、防曇性を有し、透明性に 優れ、かつガス分解性を有する Ti酸化物膜、該 Ti酸化物膜付き基体および該 Ti酸 化物膜の製造方法の提供を目的とする。
課題を解決するための手段
[0017] 本発明は、基体上に形成された Ti酸化物膜であって、 lOOmWZcm2の輝度を有 するキセノンランプの光を、 400nm未満の紫外光をカットして前記 Ti酸ィ匕物膜に照 射しながら前記 Ti酸ィ匕物膜に電圧を印カロしたときの電流値が、暗所における前記 Ti 酸ィ匕物膜に該電圧と同じ電圧値を印加したときの電流値に対して 1000倍以上であ ることを特徴とする Ti酸化物膜、および基体上に形成された Ti酸化物膜であって、前 記 Ti酸ィ匕物膜がアナターゼ型の結晶構造を有し、前記 Ti酸ィ匕物膜の表面層が TiO
2 であり、前記 Ti酸ィ匕物膜の内部が TiOであり、かつ前記 Ti酸ィ匕物膜中のチタン、窒 素および酸素の含有割合の合計が 99. 0質量%以上である Ti酸ィ匕物膜を提供する
[0018] また、本発明は、基体上に形成された前記 Ti酸ィ匕物膜の上にオーバーコートを形 成してなる前記 Ti酸化物膜、前記 Ti酸ィ匕物膜の膜厚が 5— 600nmである前記 Ti酸 化物膜、前記 Ti酸化物膜の表面層が、膜の表面から 3— 20nmの範囲である前記 Ti 酸化物膜、前記 Ti酸ィ匕物膜の 400nmの波長における吸収率が 0. 3— 40%である
前記 Ti酸ィ匕物膜、前記 Ti酸ィ匕物膜中のチタンおよび酸素の含有割合の合計が 99. 0質量%以上である前記 Ti酸化物膜、前記 T艘ィヒ物膜と基体との間に下地膜を形 成してなる前記 Ti酸化物膜、前記基体がガラス基板、特に UVカットガラスである前 記 Ti酸ィ匕物膜、および前記 Ti酸ィ匕物膜が車両用ガラスの内面に形成されている前 記 Ti酸化物膜を提供する。
また、本発明は、前記 Ti酸化物膜が表面に形成されている Ti酸化物膜付き基体を 提供する。
[0019] 本発明は、基体上に、チタンおよび酸素の含有割合の合計が 99. 0質量%以上で ある TiO (1 < χ< 2)力も構成されるスパッタターゲットを用いて、希ガス、窒素含有 ガスおよび酸素含有ガスと力 なる群力 選ばれる 1種以上のガスの雰囲気中、スパ ッタ法により Ti酸化物膜を形成した後、前記 Ti酸化物膜を酸素存在下で 400— 750 °Cで 1一 28分間焼成することを特徴とする Ti酸ィ匕物膜の製造方法、および前記 Ti酸 化物膜の成膜時の圧力が 1. 5— 6Paである前記 Ti酸ィ匕物膜の製造方法、および基 体上に、チタンおよび酸素の含有割合の合計が 99. 0質量%以上である TiO (Kx く 2)力も構成されるスパッタターゲットを用いて、希ガス、窒素含有ガスおよび酸素 含有ガスとからなる群力 選ばれる 1種以上のガスの雰囲気中、スパッタ法により Ti 酸化物膜を形成した後、 1. OPa以上の成膜圧力でスパッタ法により Si酸化物膜を形 成した後、酸素存在下で 400— 750°Cで 1一 28分間焼成することを特徴とする Ti酸 化物膜の製造方法を提供する。
発明の効果
[0020] 本発明の T艘ィ匕物膜は、可視光応答性を有する光触媒による親水性、防曇性を有 し、透明性に優れる。さらに、ガス分解性も有するため、自動車等の車両用の防曇ガ ラスとして有用である。 UV光をカットするような性能を有する車両用の防曇ガラスの 車内側に本発明の Ti酸ィ匕物膜を設けることにより、 UV光が十分に存在しなくとも防 曇性、親水性が十分に発揮されるため特に好ま 、。
図面の簡単な説明
[0021] [図 1]ガラス基板上に T艘ィ匕物膜が形成された T艘ィ匕物膜付きガラス基板の概略横 断面図の一態様である。
[図 2]Ti酸ィ匕物膜上にオーバーコートが形成された Ti酸ィ匕物膜付きガラス基板の概 略横断面図の一態様である。
[図 3]T艘ィ匕物膜と基板との間に下地膜が形成された T艘ィ匕物膜付きガラス基板の 概略横断面図の一態様である。
符号の説明
[0022] 10 :Ti酸ィ匕物膜付きガラス基板
20 :ガラス基板
30 :Ti酸化物膜
40 :ォーノ一コート
50 :下地膜
発明を実施するための最良の形態
[0023] 一般に、スパッタ法にお!、て、ターゲット表面のスパッタが行われる部分が金属状 態にある場合は、酸化状態にある場合と比較して、 1個の正イオンが衝突すること〖こ よりスパッタされる原子または分子の数 (以下、スパッタ 'ィ一ルドという。)が大きいこと が知られている。例えば、チタンの場合、チタン金属のスパッタ 'ィールドは、酸ィ匕チ タンのスパッタ 'ィールドの約 20倍である。このため、チタン金属のターゲットを用いて チタン酸ィ匕物を反応性スパッタにより成膜し Ti酸ィ匕物膜を形成する場合、その成膜 速度を向上させるためには、ターゲット表面を金属状態または部分的に酸ィ匕した状 態とし、かつ、基板 (基体)上では Ti酸化物膜が得られるような状態、すなわち酸化状 態に維持することが重要となる。このような調整は、投入電力に応じて導入酸素量を 増減させ、成膜室のスパッタガス中の酸素濃度を制御することにより行われる。しかし 、ターゲット表面の状態が数秒の単位で変化するのに対し、導入酸素量を変化させ るためには数十秒間の時間が必要であるため、前記調整を正確に行うことは困難で ある。なお、本明細書において、「可視光域」とは、 400— 780nmの波長範囲を意味 する。
[0024] 一方、 TiO (1 <χ< 2)力も構成されるスパッタターゲット(以下、単に TiOターゲッ トという。)をアルゴンなどの希ガスをスパッタガスとして用いてスパッタすると、スパッタ の行われているターゲット表面は、 TiOよりもチタン金属に近くなる。よって、 TiOの
スパッタ.ィ一ルドは、酸化チタンのスパッタ.ィ一ルドの約 10倍になることが見出され ている。すなわち、 TiOターゲットを用いてスパッタすると、チタン金属を用いる場合 と比較して、約 10倍の成膜速度で Ti酸ィ匕物膜を形成することができる。
[0025] しかし、通常の溶射法により形成された TiOターゲットを用いてスパッタ法により基 板上に形成した Ti酸ィ匕物膜は、可視光城の光による光触媒活性 (以下、可視光光触 媒性という。)を示さなカゝつた。その原因を解明するために、溶射法により形成された TiOターゲットの組成分析を行ったところ、前記 TiOターゲット中に酸素およびチタ ン元素以外の微量な不純物が約 2. 0質量%程度混入していることがわ力つた。そこ で、チタンおよび酸素の含有割合の合計 (以下、 TiO純度という。)が 99. 0質量% 以上 (すなわち、前記の微量不純物がターゲット全体の 1. 0質量%未満)の TiO ら構成されるスパッタターゲット(以下、高純度 TiOターゲットという。)を形成し、高純 度 TiOターゲットを用いてスパッタ法により Ti酸ィ匕物膜を形成した。しかし、形成され た高純度の T雄ィ匕物膜も可視光光触媒性を示さな力 た。
[0026] 次に、成膜直後の Ti酸ィ匕物膜の薄膜構造を XRD (X線回折)分析により分析した。
その結果、形成された Ti酸ィ匕物膜はアナターゼ型の結晶構造ではなくアモルファス となっていることが確認された。一般に、アナターゼ型の結晶構造を有する Ti酸ィ匕物 膜が光触媒機能を発現することが知られている。そこで、 Ti酸化物膜の形成後、焼 成を行い、膜の再結晶化を試みた。その結果、 Ti酸化物膜の膜構造が再結晶化に よりアモルファス力もアナターゼ型の結晶構造へと変化していることが XRD分析によ り確認された。しかし、焼成後の Ti酸化物膜も必ずしも可視光応答性を発現するもの ではなかった。
本発明者らは、さらなる研究〖こより、 Ti酸化物膜の形成後の焼成条件を調整し、より 高!、温度で短!、時間焼成することで、焼成後の膜が可視光光触媒性を示すことを見 出した。
[0027] 以上、本発明者らは、従来の TiOターゲットとは異なる高純度の TiOターゲットを 用いて Ti酸ィ匕物膜をスパッタ法により形成した後、ある特定の雰囲気 ·温度 *時間で 焼成することにより可視光光触媒性が発現することを見出した。さらに、本発明の Ti 酸化物膜は、 lOOmWZcm2の輝度を有するキセノンランプの光を、 400nm未満の
紫外光をカットして前記 Ti酸ィ匕物膜に照射しながら、前記 Ti酸化物膜に電圧を印加 したときの電流値が、暗所における前記 Ti酸ィ匕物膜に同様の電圧を印カロしたときの 電流値に対して 1000倍以上、好まし <は 5000倍以上、 10000倍以上、 50000倍 以上、特に好ましくは 100000倍以上となることを見出した。なお、全体として 100m WZcm2の輝度を有するキセノンランプの光につ!、て、 400nm未満の紫外光をカツ トした場合、キセノンランプ光の可視光の輝度は 95mWZcm2程度になると考えられ る。本発明の Ti酸化物膜は、可視光城の光を照射した場合であっても、生成したキヤ リアを表面に十分輸送することが可能であるという理由で可視光光触媒性が発揮さ れるため好ましい。なお、可視光の輝度は 30mWZcm2以上あれば十分である。
[0028] 通常、キセノンランプの光は、 200nm程度力 近赤外領域まで広い波長範囲を有 する光であり、全体として lOOmWZcm2程度の輝度を有している。し力し、フィルタ 等により 400nm未満の光をカットすることで、キセノンランプの光は、 400nm以上の 可視光力 近赤外領域の光となる。この可視光力 近赤外領域の光を Ti酸ィ匕物膜に 照射しながら電圧を印加すると、 Ti酸化物膜が可視光光触媒性を有していれば、光 によって励起されたキャリアを表面に取り出すことが可能となり電流 (光応答電流)が 発生する。一方、暗所 (可視光領域の光の輝度が無視できる程度に小さい場所を意 味し、例えば輝度が 0. lmWZcm2未満の場所)に Ti酸化物膜を設置し、該 Ti酸ィ匕 物膜に電圧を印加しても光応答電流は発生しな 、。
[0029] 前述したような可視光から近赤外領域の光を照射した場合の電流値 (可視光応答 電流値)と暗所に設置した場合の電流値(暗電流値)との比(光応答電流比)をとるこ とで、 T艘ィ匕物膜の可視光光触媒性を定量的に見積もることが可能である。比をとる 理由は、チタン酸ィ匕物が真性半導体に近いことを考慮している。すなわち仮に可視 光応答電流が高い場合でも暗時の電流が高い場合には、真性半導体としての性能 は不十分であると考えられる力 である。電流値を測定する場合、 Ti酸ィ匕物膜に印 加する電圧は 100Vとしている。なお、—100Vから 100Vまでかける電圧を大きくして いくと、電流値もそれに比例して増加していくことを確認し、ォーミック接触が取れたこ とを確認した上で電流値を測定する必要がある。また、上記電流値の測定は、真空 中で行うことが膜表面に吸着した酸素、水、有機物等の影響により抵抗値が変動す
ることを抑制できる点で好ま 、。
[0030] また、上述したとおり、 Ti酸ィ匕物膜に可視光光触媒性を発現させるためには、種々 の特定条件が必要となる。例えば、可視光光触媒性を発現させるためには、酸素欠 損型の TiOターゲットを用いることが必要である。酸素欠損型の TiOターゲットを用 いて形成した膜がなぜ可視光光触媒性を示すのか、また、金属 Tiターゲットを用いて 形成した膜がなぜ可視光光触媒性を示さな!/ヽのか、詳細なメカニズムは不明である。 し力し、アルゴン等の希ガスを用いて TiOターゲットを用いてスパッタすると、スパッタ の行われているターゲット表面は TiOよりもチタン金属に近くなるものの、ターゲット 自体は約 1200°C以上ときわめて高温で焼結されているため、熱的に安定ィ匕した酸 素欠損型の TiO粒子が基板上に堆積していき、 Ti酸ィ匕物膜が構成されているものと 考えられる。よって、酸素欠損型である TiOが堆積した状態も熱的に安定であると考 えられる。
[0031] これに対し、金属 Tiターゲットを用いて酸素等の存在する酸ィ匕性雰囲気にて酸ィ匕 物モードで成膜された酸ィ匕チタン膜は、特に基板が加熱されて ヽな ヽ状態では熱的 に安定でない TiOが堆積した状態になっていると推定される。つまり、 TiOターゲッ トを用いて成膜することで、 Ti酸ィ匕物膜中に熱的に安定な欠陥を有することとなり、そ の結果、大気中での焼成後も可視光に吸収を有するような Ti酸ィ匕物膜形成が可能と なったと考えられる。カロえて、後述するような酸素存在下で膜を焼成することで膜表 面が TiOの状態となり、可視光吸収で生じた正孔の表面で再結合が抑制され、可視
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光光触媒性が発現するものと推定される。
[0032] なお、酸化チタンの膜を形成する別法として、酸ィ匕チタンターゲットを用いる方法も ある。し力し、この方法では、ターゲットが導電性を有しないため DCスパッタ法を用い ることができず、 RFスパッタ法でのみ製造可能であるため生産性の点で好ましくな ヽ 。また、酸ィ匕チタンターゲットを用いて形成された酸ィ匕チタン膜は、希ガスと酸素ガス 力もなるスパッタガスを用いて成膜した場合は、 TiO膜となっており可視光光触媒性
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を有さない。また、希ガスのみのスパッタガスを用いてスパッタ成膜した場合は、若干 酸素欠損型になっている可能性もあるが、熱的に安定な欠陥を有しないため、可視 光光触媒性を有さない。
[0033] 本発明に用いられる高純度 Τ )χターゲットは、溶融法または焼結法のどちらを用い ても形成できる。溶融法であれば、例えば、高純度の酸化チタン粉末、または高純度 の酸ィ匕チタン粉末と高純度のチタン粉末との混合物を原材料とし、プラズマ熔射装 置を用いて原材料を半溶融状態とし、半溶融状態となった原材料を金属基板上に付 着させ、直接スパッタ用ターゲットとして用いられるターゲット層を形成する。焼結法で あれば、例えば、高純度の酸化チタン粉末、または高純度の酸ィヒチタン粉末と高純 度のチタン粉末との混合物を非酸ィ匕雰囲気中でホットプレス (高温高圧プレス)して 焼結することによりターゲットが形成される。本発明においては、ターゲットが長時間 使用可能である点、ターゲット厚の厚いターゲットを形成しやすい点、および型の中と V、う閉空間で焼結するので不純物が焼結中に混入しにくい点で、焼結法を用いてタ 一ゲットを形成することが好ましい。なお、溶射法では、不可避的に Feなどの不純物 を多く含むため、 Ti酸ィ匕物膜中に Feなどに起因する欠陥準位を形成しやすぐ光触 媒性能が発揮されにくいため、焼結法を用いることがより好ましい。
[0034] 可視光光触媒性を示す Ti酸化物膜を基板上に形成するためには、 TiOターゲット の TiO純度が 99. 0質量%以上であることが必要である。原材料である酸化チタン 粉末およびチタン粉末を高純度とすることにより、 TiOターゲット中の TiO純度が 99 . 0質量%以上の TiOターゲットを形成することができる。 TiOターゲット中の TiO 純度は、形成される Ti酸化物膜の可視光光触媒性の観点から、 99. 5質量%以上で あることが好ましぐ 99. 9質量%以上であることがさらに好ましい。このような高純度 の TiOターゲットを用いることで、可視光光触媒性が発揮しやすい Ti酸化物膜を形 成することが可能となる。なお、 TiOターゲット中のチタンおよび酸素以外の不純物 の含有割合の合計は、 1質量%未満、 0. 5質量%未満、特に 0. 1質量%未満である ことが好ましい。
[0035] 本発明にお 、ては、スパッタ法として、直流(DC)スパッタ法、交流 (AC)スパッタ法 や高周波(RF)スパッタ法が用いられる。 ACスパッタ法としては、 100Hz— 100kHz の周期的に繰り返される間欠的な負電位をターゲットに印可するスパッタ法などが挙 げられ、また、 RFスパッタ法としては、 100kHz以上の交流電力を投入するスパッタ 法などが挙げられる。生産性の観点から、 DCスパッタ法を用いることが好ましい。ス
ノ ッタ法を用いることで、より大面積の基板に、面内の膜厚の均一性よく成膜すること ができ、かつ純度の高い膜を形成できることから、本発明の Ti酸化物膜の構成要件 を満たす上で好ましい。また、スパッタ法を用いることにより、膜の強度を強くすること が可能で、自動車用や建築用などの耐擦傷性が要求される用途に使用可能となる 点で好ましい。
[0036] 高速に、かつ可視光光触媒性を示す Ti酸化物膜を形成するために、スパッタガス( 成膜時導入ガス)として、希ガス、窒素含有ガスおよび酸素含有ガスとからなる群から 選ばれる 1種以上のガスを用いる。前記希ガスとしては、 Ar、 He、 Ne、 Krおよび Xe 力 なる群力 選ばれる 1種以上が挙げられる。
[0037] 前記窒素含有ガスとしては、窒素、 NH等が例示される。成膜時の導入ガス中の窒
3
素含有ガスの含有量は、可視光光触媒性の向上の観点から、 3体積%以上、特には 90体積%以下であることが好ましい。また、膜中の窒素原子の含有量は、 0. 5— 5質 量%であることが好ましい。さらに、窒素のドープ量を増大させるために、スパッタガス に H Oを添カ卩してもよい。さらに、スパッタガス中に酸素含有ガスを添カ卩してもよい。
2
前記酸素含有ガスとしては、 O から選ば
2、 NO
2、 NO、 CO、 Oおよび CO力 なる群
3 2
れる 1種以上が挙げられる。前記酸素含有ガスのスパッタガス中の含有量は、成膜速 度の観点力 少ない方が好ましい。しかし、膜中にある程度の酸素を含有させること により、酸素負イオンのダメージを極力減らすることができるため欠陥準位の生成が 抑制され、かつ結晶性が向上するという理由で可視光光触媒性が向上すると考えら れる。よって、スパッタガス中にはある程度の酸素が含有していることが好ましぐスパ ッタガス中の酸素含有ガスの含有量は、 1一 10質量%であることが成膜速度の点で 好ましい。
[0038] Ti酸化物膜の成膜直前の残留ガス圧は、水の影響でバンド準位が生成されると ヽ う理由で低い方が好ましぐ 1 X 10— 3Pa以下であることが好ましい。また、 Ti酸化物膜 の放電電力密度は、成膜速度の点、およびイオンダメージを低減し膜質を良好とす る点から 0. 007— 8. 6WZcm2であることが好ましい。また、スパッタガス中に窒素が 入っている場合は、放電電力密度が 0. 007— 6. 4WZcm2以下であることが窒素に よるダメージを最小限に抑えることができ好ましい。なお、放電電力密度とは、放電電
カをスパッタターゲットの面積で除した値である。
[0039] Ti酸ィ匕物膜の成膜時の圧力は、焼成後の膜の結晶性向上およびプラズマ中の負 イオンまたは正イオンによるイオンダメージ低減による膜質の向上の観点から、 1. 5 一 6Paであり、 2— 6Paであることが好ましい。 1. 5— 6Paとすれば、焼成後に、膜が アナターゼ型の結晶構造を有することとなり、膜が可視光光触媒性を発現するため 好ましい。
[0040] Ti酸化物膜を形成後、酸素存在下 400— 750°Cで 1一 28分間焼成、特に 500— 7 50。Cで 1一 28分間焼成、 600— 700。Cで 1一 28分間焼成、さらには 400— 750。C で 1一 15分間焼成、 500— 750。Cで 1一 15分間焼成、 600— 700。Cで 1一 15分間 焼成することが好ましい。 400°C未満では焼成の効果が十分に発揮されず、 750°C 超ではガラス基板が軟ィ匕し商品性を損なう。特に 500°C以上であれば、可視光光触 媒性が高く発揮されるため好ましい。また、 1分間未満では焼成の効果が十分に発 揮されず、 28分間超では可視光光触媒性が発現しにくいため好ましくない。また、 1 5分超であると、可視光光触媒性が低下しやすくなる点であまり好ましくない。可視光 光触媒性が発現する理由は、上記焼成を施すことで、 Ti酸化物膜の表面層のみを 酸化し、 Ti酸ィ匕物膜の内部を酸素欠損を有する TiOとしたまま膜の表面層のみを完 全な TiO膜とすることができるためと推定される。
2
[0041] Ti酸ィ匕物膜の表面層を完全な TiO膜とすることにより可視光光触媒性が向上する
2
メカニズムは明確には分かっていない。しかし、 Ti酸ィ匕物膜の表面層が TiO膜となる
2 ことで、膜表面の正孔の輸送特性が向上し、可視光の吸収により生じた正孔力 TiO となった表面層での再結合が抑制され可視光光触媒性が高まるものと推定される。
2
なお、膜の XRD分析による測定結果から、(101)又は (004)のピークがアナターゼ 型の結晶構造となっていることを示すピークとして利用される。また、本発明の Ti酸化 物膜付きガラスが自動車用のガラスとして用いられる場合には、加熱によりガラスを曲 げカ卩ェする工程を経ることになる。よって、曲げ工程において上記焼成を併せて行う ことができる点で本発明は優れて!/、る。
[0042] Ti酸ィ匕物膜の表面層とは、全体の膜厚にもよる力 前記膜の表面から 3— 20nm、 特〖こ 3— 10nm、さらには 3— 5nmの範囲を意味し、上記範囲が酸化されれば、可視
光光触媒性の向上には十分であると考えている。また、 Ti酸ィ匕物膜の表面層とは、 全体の膜厚に対して、膜の表面力も 5— 60%の範囲を意味する。なお、膜を焼成し た後、窒素ガス雰囲気下でァニールすることで可視光光触媒性は減少する。これは 、膜表面の表面酸化が消失するためと考えられ、膜表面の表面酸化が可視光光触 媒性の発現に一役買つていることが推定される。また、 Ti酸化物膜の上にオーバー コートを形成した後に焼成した場合であっても、膜の種類や膜厚にもよるが、同様に Ti酸ィ匕物膜の表面のみを焼成することが可能である。
酸素存在下とは、酸素が 5体積%以上含まれている雰囲気をいい、大気中であるこ とがコストの面力 好まし 、。
[0043] 引用文献 16には、高純度 TiOターゲットを用いて、光触媒応答性を有する Ti酸化 物膜を形成する方法が開示されており、後焼成温度が 200°C— 650°Cで 30分間一 2時間が好ましい旨の記載がなされている。しかし、本発明者らが検討した結果によ れば、 30分間一 2時間という長時間の焼成では、可視光光触媒性が発現しないこと が判明した。これは高温で長期間の焼成では、逆に Ti酸ィ匕物膜表面の酸素が抜け やすくなることから、最表面層が TiOから TiO (1 < χ< 2)になるためと推定される。
2
[0044] Ti酸化物膜の内部を酸素欠損型とすると、可視光域における吸収率が向上する一 方、膜中で光励起に生じた正孔の輸送特性が低下し、逆に可視光光触媒性が低下 すると考えられる。よって、可視光光触媒性を最大限発揮させるために、最も効率の よい可視光における吸収率が存在する。例えば、膜厚が 50nmの Ti酸ィ匕物膜の場合 、 400nmの波長における吸収率力 SO. 3— 40%、好ましくは 0. 3— 5%、さらに好まし くは 0. 3— 2%である。吸収率を 0. 3— 40%とすることで、可視光による光励起で生 じる電子—正孔対の生成量と、欠陥の数を最低限にすることによる電子—正孔輸送特 性のバランスが最適となり、可視光光触媒性を最大限発揮させることが可能となる。 本発明においては、 TiOターゲットを用いて Ti酸ィ匕物膜を形成することで、 Ti酸ィ匕 物膜の内部 (膜表面力 内側に入った部分)に酸素欠損が生じ、結果的に上記のよ うな好ましい吸収率となっていると推定される。なお、吸収率とは、吸収率(%) = 100 (透過率 (%) +反射率 (%;) )により計算される値である。
[0045] 本発明は、上記 TiOターゲットを用いて基体上に Ti酸化物膜を形成する。ここで、
基体は該 Ti酸化物膜を形成するための担体で、具体的にはガラス基板やセラミック ス基板、セラミックス (タイル等)および外壁材等が挙げられる。通常は透明性に優れ るガラス基板が汎用性の面力 使用される。形体は板状体に限定されない。
[0046] 図 1は、本発明の好ましい実施形態である、ガラス基板 20上に Ti酸ィ匕物膜 30が形 成された Ti酸ィ匕物膜付きガラス基板 10の概略横断面図を表したものである。
本発明における Ti酸ィ匕物膜 30の膜厚は、可視光光触媒性、透明性およびコストの 観点から、 5— 600nm、特に 10— 250nm、さらには 50— 250nmであることが好まし い。また、前記 Ti酸ィ匕物膜を形成したガラス基板の可視光透過率は、 70%以上であ ることが視認性の点で好まし 、。
[0047] また、 Ti酸ィ匕物膜中のチタン、酸素および窒素の含有割合の合計は、 99. 0質量 %以上、 99. 5質量%以上、特に 99. 9質量%以上あることが可視光光触媒性の点 で好ましい。窒素を含んでいると、可視光光触媒性が向上するため好ましい。 Ti酸化 物膜中の窒素の含有割合は 0. 1— 5質量%、 0. 5— 5質量%、特に 0. 5— 3質量% であることが好ましい。なお、可視光光触媒性を発現させるためには、 Ti酸ィ匕物膜中 には窒素を含有して 、る必要はな 、。 Ti酸化物膜中には窒素を含有して 、な 、場合 には、 Ti酸ィ匕物膜中の TiO純度が 99. 0質量%以上であることが膜中に生成した正 孔等のキャリア輸送特性を向上できる点で好ましい。
[0048] さらに、図 2のとおり、 Ti酸化物膜 30の上にオーバーコート 40を設けてもよい。ォー バーコートとしては、低屈折率膜であることが好ましぐこの場合は、低反射性、耐久 性、ニュートラルな色調などを考慮し Ti酸ィ匕物膜およびオーバーコートの膜厚が決 定される。オーバーコートとしては、 Si酸化物膜が例示される。オーバーコートの膜厚 は、 1一 120nmであることが好ましい。 lnm未満ではオーバーコートの効果が十分 に発揮されず、 120nm超では焼成の効果が Ti酸化物膜に届かず、可視光光触媒 性が減少する可能性がある。オーバーコートの成膜方法は、スパッタ法等の乾式法、 湿式法等特に限定されない。オーバーコートをスパッタ法により成膜する場合は、成 膜圧力を 1. OPa以上、特に 1. 5Pa以上とすることが、成膜時の Ti酸ィ匕物膜へのィォ ンダメージを低減し、 Ti酸ィ匕物膜の高 、可視光光触媒性を維持できる点で好まし!/ヽ 。 Si酸化物膜をスパッタ法で形成する場合、シリコンターゲットによりスパッタガスとし
て酸化性ガスを用いて Si酸化物膜を形成する方法や、 Si酸ィ匕物ターゲットを用いて スパッタガスとして希ガスを用いて Si酸ィ匕物膜を形成する方法が挙げられる。
[0049] さらに、図 3のとおり、 Ti酸ィ匕物膜 30とガラス基板 20との間に下地膜 50を設けても よい。ガラス基板としてアルカリ含有ガラスを用いる場合は、前記下地膜としてはアル カリバリアの機能を有する膜 (アルカリバリア膜)であることが好ましぐ Si酸化物膜、 Si 窒化物膜、 A1窒化物膜等が例示される。下地膜の膜厚は、 10— 150nmであること が好ましい。下地膜の成膜方法は、スパッタ法等の乾式法、湿式法等特に限定され ない。スパッタ法を用いる場合、 Si酸化物膜、 Si窒化物膜、 A1窒化物膜は、それぞ れの対応する金属ターゲットを用いて反応性スパッタ法で形成できる。また、基板側 力 順に、アルカリバリア膜、中間屈折率膜 (屈折率 = 1. 6-2. 2)、 Ti酸ィ匕物膜の 構成とすることで、透過率が向上した可視光光触媒性を有する Ti酸化物膜付きガラ ス基板を形成できる。
[0050] また、基板から Ti酸化物膜、 Si酸化物膜の順に形成することにより、これらの膜を下 地膜とすることも可能である。このような構成とすることで各層の膜厚を調整することに より、低反射性能や近赤外領域での高反射性能を併せ持った Ti酸化物膜付きガラス 基板の形成が可能となる。
[0051] また、基板であるガラスの熱膨張係数と Ti酸ィ匕物膜の熱膨張係数とを近 ヽ値にす ることにより、後加熱処理時の膜の割れやはがれ及び基板のそりを抑制することがで きるという点で好ましい。ガラスの熱膨張係数は、 Ti酸化物膜の熱膨張係数が結晶 状態に関係なくほぼ一定であることを考慮すると、 30 X 10— 7— 100 X 10— 7Ζκであ ることが好ましい。
[0052] 本発明は、これらの可視光応答光触媒を用いたことを特徴とする防曇、親水、ガス 分解、防汚、防カビ、抗菌、大気清浄等の機能が付与された Ti酸化物膜付き基体、 特に Ti酸ィ匕物膜付きガラス基板をも提供できる。この Ti酸ィ匕物膜付きガラス基板とし ては、建築用ガラス、車両用ガラスまたはその他各種の産業用ガラスなどを挙げるこ とができる。さらに、 Ti酸化物膜上に Si酸化物膜を積層させ、防曇性、親水性のガラ ス基板として用いると、暗所においても親水性を維持でき、かつ低反射性能が得られ るという理由により特に好ましい。防汚、大気清浄機能は、 Ti酸ィ匕物膜が UV光照射
により有機物を分解する速度によって評価される。前記速度が高いほど、 Ti酸化物 膜が高い防汚、大気清浄機能を有することを意味する。また、可視光応答光触媒に よる親水性は、 Ti酸ィ匕物膜に UV光を含まない可視光を照射した後における Ti酸ィ匕 物膜と水との接触角により評価され、前記接触角が 0 (ゼロ)。 に近くなるほど、 Ti酸 化物膜が高 、可視光光触媒性を示して 、ることを意味する。
[0053] 本発明に使用するガラス基板は、特に限定されないが、 UVカットガラスを使用する ことが、 UV光が透過できない箇所においても可視光応答性を有する本発明の光触 媒膜を十分に活用でき好ましい。前記ガラス基板の厚さは、 1. 0— 20mmであること が強度と視認性の両立の点で好ましい。また、ガラス基板は無色であっても着色され ていてもよい。前記ガラス基板の可視光透過率は、視認性の観点から、 70%以上で あることが好ましい。ガラス中にアルカリ金属が含まれている場合は、アルカリ成分の Ti酸ィ匕物膜への拡散を防止するため、下地膜を形成することが好ましい。
[0054] また、 400nmの波長における透過率が 60%以下である UVカットガラス上に、本発 明の可視光光触媒性を有する Ti酸化物膜を施し、膜面を自動車等の車両の内面、 または建造物の内面に用いることで、 UVカット性能と防曇性、親水性、ガス分解性、 防汚性、防カビ性、抗菌性、大気清浄機能性等を併せ持った T雄ィ匕物膜付きガラス 基板の提供が可能となる。また、ガラス基板の形状は平板状であっても異型状であつ てもよい。
[0055] また、本発明の Ti酸化物膜は、紫外線による人体への健康、美容上の被害防止、 部屋内部の建材への紫外線による劣化防止といった社会的要求から、遮熱膜ゃ榭 脂膜などの紫外線透過率が低くなる膜がガラス基板に付加されたガラス上や、快適 性を高めるための遮熱性膜が付与された Low— Eガラス上や、防犯性を高めるため に榭脂をガラスとガラスとの間に挟んだ合わせガラス上に形成することも可能である。 また、本発明の Ti酸化物上に Si酸化物積層を形成することにより、高透過機能と防 汚性とを両立させることが可能となる。よって、高透過機能をメンテナンスフリーでか つ継続的に維持することが可能となり、これらの膜付きガラス基板を例えば太陽電池 用カバーガラス等にも応用可能である。
[0056] また、自動車などの車両用ガラスにおいても人体への健康、美容上の被害防止、
車両内の内装材への劣化防止、快適性を高めるための UVカットガラスが多用されて きている。さらに安全性を高めるためのウィンドシールドガラスにおいてはガラスとガラ スの間に榭脂を挟みこんだ合わせ構造となっている。上記ガラスは、紫外線透過率 が低いため、 UV光のみに応答する従来の光触媒膜を車内側へ形成しても、その光 触媒性は十分に発現しない。しかし、本発明の Ti酸化物膜は、可視光光触媒性を有 するため、車内側に Ti酸化物膜を施すことで防曇性、親水性を有するガラスとして好 適に車両用に用いることが可能である。
実施例
[0057] 以下、本発明の実施例(例 1一 20、 38— 44、 46— 48)および比較例(例 21— 37、 45、 49一 51)を挙げてさらに詳細に説明する力 本発明はこれらに限定されない。 なお、以下の説明において、アルゴンガスと窒素ガスの混合割合、およびアルゴンガ スと酸素ガスの混合割合は体積比である。
[0058] <TiOターゲットの形成 >
(形成例 1)
高純度の TiO粉末 (高純度化学研究所製、グレード:スリーナイン)を準備し、カー
2
ボン製のホットプレス用型に充填し、アルゴン雰囲気中 1200°Cで 1時間保持の条件 でホットプレスを行った。このときのホットプレス圧力は 50kgZcm2であった。得られ た焼結体を 200mm X 70mm、厚さ 5mmの寸法に機械加工し、 TiOターゲットを形 成した。ターゲットは銅製のバッキングプレートにメタルボンドで接着して用いた。
[0059] (形成例 2)
市販の TiO粉末(平均粒径 10 m以下)を準備し、ボールミルにて PVAバインダ
2
と水とを媒体として 3時間湿式混合し、得られたスラリをスプレイドライヤを用いて造粒 し、 20— 100 mの粒径のセラミックス粉末を得た。ターゲット金属ホルダとして 220 mm X 90mmの銅製プレーナを用い、その外表面を Al O砥粒を用いて、サンドブラ
2 3
ストにより表面を荒らし粗面の状態にした。
[0060] 次に Ni— A1 (重量比 8: 2)の合金粉末を還元下のプラズマ溶射 (メトコ溶射機を使用 )し、膜厚 50 mのアンダーコート層を施した。この還元下のプラズマ溶射は、プラズ マガスに Ar+Hガスを用い、 42. 5LZ分の流量で 700A、 35kVのパワーで印加を
行!ヽ 1万一 2万 °Cの Ar + Hガスプラズマにより Ni— A1の合金粉末を瞬時に加熱し、
2
ガスとともにターゲット金属ホルダ上に輸送し、そこで凝集させて行った。次に Ή金属 粉末を用い、上記同様のプラズマ溶射をし、 50 mの厚みのアンダーコート層を形 成した。さらに前述のセラミックス粉末を用いて、同様の還元下のプラズマ溶射法によ り最終厚み 5mmのセラミックス層を形成し、 TiOターゲットを形成した。
[0061] <TiOターゲットの TiO純度測定 >
形成例 1および 2によって得られた TiOターゲットの不純物濃度の分析を行った。 T iOターゲットの一部をめのう乳鉢で粉砕し、 6モル%の塩酸水溶液を用いて粉末を 溶解し、 ICP (誘導結合型プラズマ発光分析装置)を用いて分析した。形成例 1の Ti Oターゲットの TiO純度は 99. 97質量%であり、形成例 2の TiOターゲットの TiO 純度は 97. 20質量%であった。以下、実施例(例 1一 53)においては、形成例 1の Ti Oターゲットを高純度 TiOターゲット、形成例 2の TiOターゲットを低純度 TiOター ケッ卜といつ o
[0062] < Ti酸化物膜付きガラス基板の形成および評価 >
(例 1)
真空チャンバ一内に高純度 TiO (x= l. 984)ターゲット(ターゲット面積: 200mm X 70mm)、ガラス基板(コ一-ング # 1737、 1. 1mm厚、可視光透過率 91% QlS R3106 (1998年)による。以下同じ。;))をセットし、残留ガス圧が 1 X 10— 3Pa以下に なるまで真空に排気した。次いで 3. 9Paまでアルゴンガスを導入した後、 DCスパッ タ (放電電力 = 750W)により、 Ti酸ィ匕物膜付きガラス基板を得た。このとき、 Ti酸ィ匕 物膜の膜厚は 50nmであった。膜厚は接触式膜厚測定装置 (Veeco社製: Dektak) により測定し、以下の例についても同様とした。成膜時に基板加熱は行わな力つた。 その後、大気中で 650°C、 10分間焼成し、 Ti酸ィ匕物膜付きガラスを得た。なお、この 焼成条件では、 Ti酸ィ匕物膜の表面が TiOであり、内部が TiOの状態になっている
2
ことが推察される。
[0063] なお、 Ti酸ィ匕物膜の組成はターゲットとほぼ同じであった。なお、他の例における T i酸ィ匕物膜の組成は、スパッタガス中に窒素が含まれていない場合には、例 1と同様 にターゲットとほぼ同じであった。一方、スパッタガス中に窒素が含まれている他の例
では、 Ti酸ィ匕物膜中に窒素が 1. 5-2. 0質量%含有されており、窒素以外の Ti酸 化物膜の組成はターゲットとほぼ同じであった。また、形成された Ti酸化物膜付きガ ラス基板の可視光透過率は 70%以上であった。
[0064] 形成された Ti酸化物膜付きガラス基板の形成条件を表 1、表 2に示す。また、形成 された Ti酸ィ匕物膜付きガラス基板の親水性、防曇性、結晶構造、ガス分解性および 光応答電流比につ 、て評価した結果を表 3に示す。
なお、コーユング # 1737のガラス基板は無アルカリガラスであり、ソーダライムガラ スとは、ガラス中にアルカリが含有して!/、るアルカリガラスである。
得られた Ti酸ィ匕物膜付きガラスの評価方法は、以下のとおりである。
[0065] (1)親水性
得られた T艘ィ匕物膜に、汚染源としてエンジンオイル (トヨタ自動車株式会社製:製 品名キャスルモーターオイル)を光触媒膜上に 0. 22cm3塗布した後、 1時間放置し た。その後、接触角が 50± 10° になるように水洗後、乾燥して試験用試料を作製し た。
[0066] この試験用試料に、蛍光灯 (ナショナルパルック 18W)の光 (紫外線カットガラス (旭 硝子社製:商品面 UVFL、 )により 400nm未満の光をカットした光)を 3cmの距離を おいて試験用試料に照射し、経時的に接触角を測定した。
接触角の測定は、接触角計 (協和界面科学社製: CA— X150型)を用い、純水によ る液滴について測定した。なお、試験用試料表面での紫外線の光量を UV線量計(ト プコン社製: UVR— 1)で測定し、検出限界以下であることを確認した。また、試験用 試料に照射される可視光の光量を照度計 (トプコン社製: IM— 2D)により測定し、 14 000ルクスであった。測定時の温度は 25± 3°Cであり、相対湿度は 50± 10%であつ た。
表中の評価結果の記号は、〇:接触角が 24時間で 1. 5° 以上低下したもの、△: 接触角が 24時間で 0— 1. 5° 未満低下したもの、 X:接触角が低下しない、または 上昇したものであることを意味する。
[0067] (2)防曇性
得られた T艘ィ匕物膜に 30日間、(1)と同様の可視光を照射し、照射後の Ti酸化物
膜を 37°Cの水をはった恒温槽の水面の上部にかざし、視認性が低下するまでの時 間を計測し、防曇性を評価した。
表中の評価結果の記号は、〇:40秒以上視認性が保たれたもの、△: 20秒以上 4 0秒未満の間、視認性が保たれたもの、 X : 20秒未満であったもの、であることを意 味する。
[0068] (3)結晶構造
得られた Ti酸ィ匕物膜を XRD分析 (リガク社製:商品名 RU-200BH)により評価し た。アナターゼ型の結晶構造を示す(101)又は(004)のピークが現われて ヽな 、も のを非結晶とし、アナターゼ型の結晶構造を示す(101)又は(004)のピークが現わ れて 、るものをアナターゼ結晶と評価した。
[0069] (4)ガス分解性
得られた Ti酸ィ匕物膜付きガラス基板を、ァセトアルデヒド濃度が 50ppmとなるように セル中に封止した。その後、キセノンランプの光(300— 1300nm波長範囲で 100m WZcm2の輝度を有する光 (紫外線カットガラス (旭硝子社製:商品面 UVFL)により 400nm未満の光をカットした光)を照射し、ブラックライト照射開始からの照射時間と ガスクロマトグラフィにより測定したァセトアルデヒド濃度との関係を測定した。
表中の評価結果の記号は、〇: 24時間後のァセトアルデヒドの濃度が lOppm未満 、 Δ : 24時間後のァセトアルデヒドの濃度が 10— 30ppm、 X: 24時間後のァセトァ ルデヒドの濃度が 30ppm超、であることを意味する。
[0070] (5)光応答電流比
得られた Ti酸化物膜の表面に、超音波付き電気はんだごてを用いて、はんだの材 料としてセラソルザ(登録商標)を用いて、長さ 20mm X幅 2mmの電極を 2mm間隔 で 2本はんだ付けした。その後、 Ti酸化物膜付きガラス基板を石英窓付きの真空チヤ ンバに設置し、 Ti酸化物膜上の 2本の電極を別々の電流測定のプローブで押さえつ けた。なお、 Ti酸ィ匕物膜上に Si酸ィ匕物膜が形成されている場合は、セラソルザ〖こより Si酸ィ匕物膜が破れることにより、 Ti酸ィ匕物膜に電極が接するようにした。
[0071] ロータリーポンプで真空チャンバ内を lPaの圧力になるまで真空引きし、サンプル に光が照射されない状態 (輝度 0. lmWZcm2未満の状態)で、取り付けた電極間
に 100Vの電圧を印加したときの電流値(暗電流値)を測定した。一方、真空チャン バの石英窓上に UV— IRカットガラス (旭硝子社製:商品名 UVFL)と 400nm未満の 光をカットする榭脂を設置し、その窓からキセノンランプ(300— 1300nm波長範囲で 、 lOOmWZcm2)の光を照射し、石英窓から 20cmの距離をおいて Ti酸ィ匕物膜に照 射しながら、取り付けた電極間に 100Vの電圧を印加したときの電流値 (可視光応答 電流値)を測定した。可視光応答電流値 Z暗電流の比を光応答電流比として算出し た。
[0072] (例 2)
例 1における Ti酸ィ匕物膜の膜厚を lOOnmとした以外は例 1と同様にして、 Ti酸ィ匕 物膜付きガラス基板を得て、例 1と同様の方法により評価した。膜付きガラス基板の 形成条件を表 1、表 2に示し、評価結果を表 3に示す。
[0073] (例 3)
例 1における Ti酸ィ匕物膜の膜厚を 200nmとした以外は例 1と同様にして、 Ti酸ィ匕 物膜付きガラス基板を得て、例 1と同様の方法により評価した。膜付きガラス基板の 形成条件を表 1、表 2に示し、評価結果を表 3に示す。
[0074] (例 4)
真空チャンバ一内に高純度 TiO (x= l. 984)ターゲット(200mm X 70mm)、ガ ラス基板 (コーユング # 1737、 1. 1mm厚、可視光透過率 91%)をセットし残留ガス 圧が 1 X 10— 3Pa以下になるまで真空に排気した。次いで 3. 9Paまでアルゴンガスと 窒素ガスを 90 : 10の割合で導入した後、 DCスパッタ (放電電力 = 750W)により、 Ti 酸ィ匕物膜付きガラス基板を得た。このとき、 Ti酸ィ匕物膜の膜厚は 15nmであった。成 膜時に基板加熱は行わな力つた。その後、大気中で 650°C、 10分間焼成した。得ら れた Ti酸ィ匕物膜付きガラス基板を例 1と同様の方法により評価した。膜付きガラス基 板の形成条件を表 1、表 2に示し、評価結果を表 3に示す。なお、得られた Ti酸化物 膜の 400nmの波長における吸収率は 0. 5%であった。
[0075] (例 5)
例 4における Ti酸ィ匕物膜の膜厚を 30nmとした以外は例 4と同様にして、 Ti酸ィ匕物 膜付きガラス基板を得て、例 1と同様の方法により評価した。膜付きガラス基板の形
成条件を表 1、表 2に示し、評価結果を表 3に示す。
[0076] (例 6)
例 4における Ti酸ィ匕物膜の膜厚を 50nmとした以外は例 4と同様にして、 Ti酸ィ匕物 膜付きガラス基板を得て、例 1と同様の方法により評価した。膜付きガラス基板の形 成条件を表 1、表 2に示し、評価結果を表 3に示す。
得られた Ti酸ィ匕物膜を X線光電子分光法により Nlsの状態分析を行ったところ、 Ti N結合に起因するエネルギー位置にピークが観測され Ti N結合が存在しているこ とがわかった。窒素ガスをスパッタガスとして用いている他の例についても、同様に Ti N結合が存在して!/、ることがわかった。
[0077] (例 7)
例 4における Ti酸ィ匕物膜の膜厚を lOOnmとした以外は例 4と同様にして、 Ti酸ィ匕 物膜付きガラス基板を得て、例 1と同様の方法により評価した。膜付きガラス基板の 形成条件を表 1、表 2に示し、評価結果を表 3に示す。
[0078] (例 8)
例 4における Ti酸ィ匕物膜の膜厚を 200nmとした以外は例 4と同様にして、 Ti酸ィ匕 物膜付きガラス基板を得て、例 1と同様の方法により評価した。膜付きガラス基板の 形成条件を表 1、表 2に示し、評価結果を表 3に示す。
[0079] (例 9)
真空チャンバ一内に高純度 TiO (x= l. 984)ターゲット(200mm X 70mm)、ガ ラス基板 (コーユング # 1737、 1. 1mm厚、可視光透過率 91%)をセットし、残留ガ ス圧が 1 X 10— 3Pa以下になるまで真空に排気した。次いで 3. 9Paまでアルゴンガス と窒素ガスを 50: 50の割合で導入した後、 DCスパッタ (放電電力 = 750W)により、 Ti酸ィ匕物膜付きガラス基板を得た。このとき、 Ti酸ィ匕物膜の膜厚は 50nmであった。 成膜時に基板加熱は行わな力つた。その後、大気中で 650°C、 10分間焼成した。 得られた T雄ィ匕物膜付きガラス基板を例 1と同様の方法により評価した。膜付きガ ラス基板の形成条件を表 1、表 2に示し、評価結果を表 3に示す。
[0080] (例 10)
例 9における Ti酸ィ匕物膜の成膜時導入ガスをアルゴンガスと窒素ガスを 10: 90の
割合で導入したこと以外は例 9と同様にして、 T艘ィ匕物膜付きガラス基板を得て、例 1と同様の方法により評価した。膜付きガラス基板の形成条件を表 1、表 2に示し、評 価結果を表 3に示す。
[0081] (例 11)
例 9における Ti酸ィ匕物膜の成膜時導入ガスをアルゴンガスと窒素ガスを 20: 80の 割合で導入したこと以外は例 9と同様にして、 T艘ィ匕物膜付きガラス基板を得て、例 1と同様の方法により評価した。膜付きガラス基板の形成条件を表 1、表 2に示し、評 価結果を表 3に示す。
[0082] (例 12) (下地膜を形成した例)
真空チャンバ一内に高純度 TiO (x= l. 984)ターゲット(200mm X 70mm)、ボ ロンドープシリコンターゲット(200mm X 70mm)、ガラス基板(UV— IRカットソーダラ ィムガラス: 3. 5mm厚、 400nmにおける透過率 60%)をセットし背圧が 1 X 10— 3Pa 以下になるまで真空に排気した。次いで 3. 9Paまで酸素ガスを導入した後、 DCスパ ッタ (放電電力 = 1000W)により、 Si酸ィ匕物膜付きガラス基板を得た。このとき、 Si酸 化物膜の膜厚は lOOnmであった。成膜時に基板加熱は行わな力つた。次いで 3. 9 Paまでアルゴンガスを導入した後、 DCスパッタ (放電電力 = 750W)により、 Ti酸ィ匕 物膜付きガラス基板を得た。このとき、 Ti酸ィ匕物膜の膜厚は 50nmであった。成膜時 に基板加熱は行わな力つた。その後、大気中で 650°C、 10分間焼成した。
得られた T雄ィ匕物膜付きガラス基板を例 1と同様の方法により評価した。膜付きガ ラス基板の形成条件を表 1、表 2に示し、評価結果を表 3に示す。
[0083] (例 13)
例 12における Ti酸ィ匕物膜の成膜時の導入ガスをアルゴン:窒素 = 90 : 10とした以 外は例 12と同様にして、 Ti酸ィ匕物膜付きガラス基板を得て、例 1と同様の方法により 評価した。膜付きガラス基板の形成条件を表 1、表 2に示し、評価結果を表 3に示す。
[0084] (例 14) (オーバーコートを形成した例)
真空チャンバ一内に高純度 TiOx (x= l. 984)ターゲット(200mm X 70mm)、ボ ロンドープシリコンターゲット(200mm X 70mm)、ガラス基板(コーユング # 1737、 1. 1mm厚、可視光透過率 91%)をセットし、残留ガス圧が 1 X 10— 3Pa以下になるま
で真空に排気した。次いで 3. 9Paまでアルゴンガスを導入した後、 DCスパッタ (放電 電力 = 750W)により、 Ti酸ィ匕物膜付きガラス基板を得た。このとき、 Ti酸ィ匕物膜の膜 厚は 50nmであった。成膜時に基板加熱は行わな力つた。次いで 3. 3Paまで酸素ガ スを導入した後、 DCスパッタ (放電電力 = 1000W)により、 Si酸ィ匕物膜付きガラス基 板を得た。このとき、 Si酸ィ匕物膜の膜厚は lOnmであった。成膜時に基板加熱は行 わな力つた。その後、大気中で 650°C、 10分間焼成した。
得られた T雄ィ匕物膜付きガラス基板を例 1と同様の方法により評価した。膜付きガ ラス基板の形成条件を表 1、表 2に示し、評価結果を表 3に示す。
[0085] (例 15)
例 14における Si酸ィ匕物膜の膜厚を 50nmとした以外は例 14と同様にして、 Ti酸ィ匕 物と Si酸ィ匕物との積層膜付きガラス基板を得て、例 1と同様の方法により評価した。 膜付きガラス基板の形成条件を表 1、表 2に示し、評価結果を表 3に示す。
[0086] (例 16)
例 14における Si酸ィ匕物膜の膜厚を lOOnmとした以外は例 14と同様にして、 Ti酸 化物と酸ィ匕ケィ素との積層膜付きガラス基板を得て、例 1と同様の方法により評価し た。膜付きガラス基板の形成条件を表 1、表 2に示し、評価結果を表 3に示す。
[0087] (例 17)
例 14における Si酸ィ匕物膜成膜時の圧力を 2. OPaとした以外は例 14と同様にして 、 T艘ィ匕物と S艘ィ匕物との積層膜付きガラス基板を得て、例 1と同様の方法により評 価した。膜付きガラス基板の形成条件を表 1、表 2に示し、評価結果を表 3に示す。
[0088] (例 18)
例 1における Ti酸ィ匕物膜の焼成時間を 3分間とした以外は例 1と同様にして、 Ti酸 化物膜付きガラス基板を得て、例 1と同様の方法により評価した。膜付きガラス基板 の形成条件を表 1、表 2に示し、評価結果を表 3に示す。
[0089] (例 19)
例 1における Ti酸ィ匕物膜の焼成時間を 25分間とした以外は例 1と同様にして、 Ti 酸ィ匕物膜付きガラス基板を得て、例 1と同様の方法により評価した。膜付きガラス基 板の形成条件を表 1、表 2に示し、評価結果を表 3に示す。
[0090] (例 20)
例 1における Ti酸化物膜の成膜時の圧力を 2. OPaとした以外は例 1と同様にして、 Ti酸ィ匕物膜付きガラス基板を得て、例 1と同様の方法により評価した。膜付きガラス 基板の形成条件を表 1、表 2に示し、評価結果を表 3に示す。
[0091] (例 21) (比較例)
真空チャンバ一内に低純度 TiO (x= l. 984)ターゲット(200mm X 70mm)、ガ ラス基板 (コーユング # 1737、 1. 1mm厚、可視光透過率 91%)をセットし、残留ガ ス圧が 1 X 10— 3Pa以下になるまで真空に排気した。次いで 3. 9Paまでアルゴンガス を導入した後、 DCスパッタ (放電電力 = 750W)により、 Ti酸ィ匕物膜付きガラス基板 を得た。このとき、 Ti酸ィ匕物膜の膜厚は 50nmであった。成膜時に基板加熱は行わ なかった。その後、大気中で 650°C、 10分間焼成した。
得られた T雄ィ匕物膜付きガラス基板を例 1と同様の方法により評価した。膜付きガ ラス基板の形成条件を表 4、表 5に示し、評価結果を表 6に示す。
[0092] (例 22) (比較例)
例 21における Ti酸ィ匕物膜の膜厚を lOOnmとした以外は例 21と同様にして、 Ti酸 化物膜付きガラス基板を得て、例 1と同様の方法により評価した。膜付きガラス基板 の形成条件を表 4、表 5に示し、評価結果を表 6に示す。
[0093] (例 23) (比較例)
真空チャンバ一内に低純度 TiO (x= l. 984)ターゲット(200mm X 70mm)、ガ ラス基板 (コーユング # 1737、 1. 1mm厚、可視光透過率 91%)をセットし、残留ガ ス圧が 1 X 10— 3Pa以下になるまで真空に排気した。次いで 3. 9Paまでアルゴンガス と窒素ガスを 90: 10となるように導入した後、 DCスノッタ (放電電力 = 750W)により 、 Ti酸ィ匕物膜付きガラス基板を得た。このとき、 Ti酸ィ匕物膜の膜厚は 15nmであった 。成膜時に基板加熱は行わな力つた。その後、大気中で 650°C、 10分間焼成した。 得られた T雄ィ匕物膜付きガラス基板を例 1と同様の方法により評価した。膜付きガ ラス基板の形成条件を表 4、表 5に示し、評価結果を表 6に示す。
[0094] (例 24) (比較例)
例 23における Ti酸ィ匕物膜の膜厚を 50nmとした以外は例 23と同様にして、 Ti酸ィ匕
物膜付きガラス基板を得て、例 1と同様の方法により評価した。膜付きガラス基板の 形成条件を表 4、表 5に示し、評価結果を表 6に示す。
[0095] (例 25) (比較例)
例 23における Ti酸ィ匕物膜の膜厚を lOOnmとした以外は例 23と同様にして、 Ti酸 化物膜付きガラス基板を得て、例 1と同様の方法により評価した。膜付きガラス基板 の形成条件を表 4、表 5に示し、評価結果を表 6に示す。
[0096] (例 26) (比較例)(成膜後、焼成をしな!、例)
真空チャンバ一内に高純度 TiO (x= l. 984)ターゲット(200mm X 70mm)、ガ ラス基板 (コーユング # 1737、 1. 1mm厚、可視光透過率 91%)をセットし残留ガス 圧が 1 X 10— 3Pa以下になるまで真空に排気した。次いで 3. 9Paまでアルゴンガスと 窒素ガスを 90 : 10となるように導入した後、 DCスパッタ (放電電力 = 750W)により、 Ti酸ィ匕物膜付きガラス基板を得た。このとき、 Ti酸ィ匕物膜の膜厚は 50nmであった。 成膜時に基板加熱は行わな力つた。
得られた T雄ィ匕物膜付きガラス基板を例 1と同様の方法により評価した。膜付きガ ラス基板の形成条件を表 4、表 5に示し、評価結果を表 6に示す。
[0097] (例 27) (比較例)
例 26における Ti酸ィ匕物膜の膜厚を lOOnmとした以外は例 26と同様にして、 Ti酸 化物膜付きガラス基板を得て、例 1と同様の方法により評価した。膜付きガラス基板 の形成条件を表 4、表 5に示し、評価結果を表 6に示す。
[0098] (例 28) (比較例)
例 26における Ti酸ィ匕物膜の膜厚を 200nmとした以外は例 26と同様にして、 Ti酸 化物膜付きガラス基板を得て、例 1と同様の方法により評価した。膜付きガラス基板 の形成条件を表 4、表 5に示し、評価結果を表 6に示す。
[0099] (例 29) (比較例)
例 26における導入ガスをアルゴンガスと窒素ガス = 90: 10とした以外は例 26と同 様にして、 Ti酸ィ匕物膜付きガラス基板を得て、例 1と同様の方法により評価した。膜 付きガラス基板の形成条件を表 4、表 5に示し、評価結果を表 6に示す。
[0100] (例 30) (比較例)
例 29における Ti酸ィ匕物膜の膜厚を lOOnmとした以外は例 29と同様にして、 Ti酸 化物膜付きガラス基板を得て、例 1と同様の方法により評価した。膜付きガラス基板 の形成条件を表 4、表 5に示し、評価結果を表 6に示す。
[0101] (例 31) (比較例)
例 29における Ti酸ィ匕物膜の膜厚を 200nmとした以外は例 29と同様にして、 Ti酸 化物膜付きガラス基板を得て、例 1と同様の方法により評価した。膜付きガラス基板 の形成条件を表 4、表 5に示し、評価結果を表 6に示す。
[0102] (例 32) (比較例)(アルカリガラスを用いた例)
真空チャンバ一内に高純度 TiO (x= l. 984)ターゲット(200mm X 70mm)、ガ ラス基板(UV— IRカットソーダライムガラス、 3. 5mm厚、 400nm〖こおける透過率 60 %)をセットし残留ガス圧が 1 X 10— 3Pa以下になるまで真空に排気した。次いで 3. 9 Paまでアルゴンガスを導入した後、 DCスパッタ (放電電力 = 750W)により、 Ti酸ィ匕 物膜付きガラス基板を得た。このとき、 Ti酸ィ匕物膜の膜厚は 50nmであった。成膜時 に基板加熱は行わな力つた。その後、大気中で 650°C、 10分間焼成した。
得られた T雄ィ匕物膜付きガラス基板を例 1と同様の方法により評価した。膜付きガ ラス基板の形成条件を表 4、表 5に示し、評価結果を表 6に示す。
[0103] (例 33) (比較例)
例 32における Ti酸ィ匕物膜の膜厚を lOOnmとした以外は例 32と同様にして、 Ti酸 化物膜付きガラス基板を得て、例 1と同様の方法により評価した。膜付きガラス基板 の形成条件を表 4、表 5に示し、評価結果を表 6に示す。
[0104] (例 34) (比較例)
例 32における Ti酸ィ匕物膜の膜厚を 200nmとした以外は例 32と同様にして、 Ti酸 化物膜付きガラス基板を得て、例 1と同様の方法により評価した。膜付きガラス基板 の形成条件を表 4、表 5に示し、評価結果を表 6に示す。
[0105] (例 35) (比較例)(オーバーコートを形成した例)
真空チャンバ一内に高純度 TiO (x= l. 984)ターゲット(200mm X 70mm)、ボ ロンドープシリコンターゲット(200mm X 70mm)、ガラス基板(コーユング # 1737ガ ラス: 1. 1mm厚、可視光透過率 91%)をセットし、残留ガス圧が 1 X 10— 3Pa以下に
なるまで真空に排気した。次いで 3. 9Paまでアルゴンガスを導入した後、 DCスパッ タ (放電電力 = 750W)により、 Ti酸ィ匕物膜付きガラス基板を得た。このとき、 Ti酸ィ匕 物膜の膜厚は 200nmであった。成膜時に基板加熱は行わな力つた。次いで 0. 5Pa まで酸素ガスを導入した後、 DCスパッタ (放電電力 = 1000W)により、 Si酸化物膜 付きガラス基板を得た。このとき、 Si酸ィ匕物膜の膜厚は lOnmであった。成膜時に基 板加熱は行わな力つた。その後、大気中で 650°C、 10分間焼成した。
得られた T雄ィ匕物膜付きガラス基板を例 1と同様の方法により評価した。膜付きガ ラス基板の形成条件を表 4、表 5に示し、評価結果を表 6に示す。
[0106] (例 36) (比較例)
例 1における Ti酸ィ匕物膜の焼成雰囲気を窒素雰囲気とし、焼成時間を 10分間とし た以外は例 1と同様にして、 Ti酸ィ匕物膜付きガラス基板を得て、例 1と同様の方法に より評価した。膜付きガラス基板の形成条件を表 4、表 5に示し、評価結果を表 6に示 す。上記窒素雰囲気下での焼成では、 Ti酸ィ匕物膜が酸化されていないと推測される
[0107] (例 37) (比較例)
例 1における Ti酸ィ匕物膜の焼成時間を 40分間とした以外は例 1と同様にして、 Ti 酸ィ匕物膜付きガラス基板を得て、例 1と同様の方法により評価した。膜付きガラス基 板の形成条件を表 4、表 5に示し、評価結果を表 6に示す。上記焼成時間では、 Ti酸 化物膜は、内部まで酸化されている状態になっていると推測される。
[0108] (例 38)
例 1における残留ガス圧を 6. 0 X 10— 4Paとした以外は例 1と同様にして、 Ti酸化物 膜付きガラス基板を得て、例 1と同様の方法により評価した。膜付きガラス基板の形 成条件を表 7、表 8に示し、評価結果を表 9に示す。
[0109] (例 39)
例 1における残留ガス圧を 2. 7 X 10— 4Paとした以外は例 1と同様にして、 Ti酸化物 膜付きガラス基板を得て、例 1と同様の方法により評価した。膜付きガラス基板の形 成条件を表 7、表 8に示し、評価結果を表 9に示す。
[0110] (例 40)
例 38における Ti酸ィ匕物膜の成膜時導入ガスをアルゴンガス:窒素ガス = 90: 10と した以外は例 38と同様にして、 Ti酸ィ匕物膜付きガラス基板を得て、例 1と同様の方法 により評価した。膜付きガラス基板の形成条件を表 7、表 8に示し、評価結果を表 9〖こ 示す。
[0111] (例 41)
例 39における Ti酸ィ匕物膜の成膜時導入ガスをアルゴンガス:窒素ガス = 90: 10と した以外は例 39と同様にして、 Ti酸ィ匕物膜付きガラス基板を得て、例 1と同様の方法 により評価した。膜付きガラス基板の形成条件を表 7、表 8に示し、評価結果を表 9〖こ 示す。
[0112] (例 42)
例 1における放電電力を 0. 5kWとした以外は例 1と同様にして、 Ti酸化物膜付きガ ラス基板を得て、例 1と同様の方法により評価した。膜付きガラス基板の形成条件を 表 7、表 8に示し、評価結果を表 9に示す。
[0113] (例 43)
例 42における Ti酸ィ匕物膜の放電電力を lkWとした以外は例 1と同様にして、 Ti酸 化物膜付きガラス基板を得て、例 42と同様の方法により評価した。膜付きガラス基板 の形成条件を表 7、表 8に示し、評価結果を表 9に示す。
[0114] (例 44)
例 42における Ti酸ィ匕物膜の成膜時導入ガスをアルゴンガス:窒素ガス = 90: 10と した以外は例 42と同様にして、 Ti酸ィ匕物膜付きガラス基板を得て、例 1と同様の方法 により評価した。膜付きガラス基板の形成条件を表 7、表 8に示し、評価結果を表 9〖こ 示す。
[0115] (例 45) (比較例)
例 43における Ti酸ィ匕物膜の成膜時の導入ガスをアルゴンガス:窒素ガス = 90 : 10 とした以外は例 43と同様にして、 Ti酸ィ匕物膜付きガラス基板を得て、例 1と同様の方 法により評価した。膜付きガラス基板の形成条件を表 7、表 8に示し、評価結果を表 9 に示す。
[0116] (例 46)
例 1における Ti酸ィ匕物膜の成膜時の導入ガスをアルゴンガス:酸素ガス = 99: 1とし た以外は例 1と同様にして、 Ti酸ィ匕物膜付きガラス基板を得て、例 1と同様の方法に より評価した。膜付きガラス基板の形成条件を表 7、表 8に示し、評価結果を表 9に示 す。なお、得られた Ti酸ィ匕物膜の 400nmの波長における吸収率は 1. 0%であった。
[0117] (例 47)
例 1における Ti酸ィ匕物膜の成膜時の導入ガスをアルゴンガス:酸素ガス = 97: 3とし た以外は例 1と同様にして、 Ti酸ィ匕物膜付きガラス基板を得て、例 1と同様の方法に より評価した。膜付きガラス基板の形成条件を表 7、表 8に示し、評価結果を表 9に示 す。
[0118] (例 48)
例 1における Ti酸ィ匕物膜の成膜時の導入ガスをアルゴンガス:酸素ガス = 95: 5とし た以外は例 1と同様にして、 Ti酸ィ匕物膜付きガラス基板を得て、例 1と同様の方法に より評価した。膜付きガラス基板の形成条件を表 7、表 8に示し、評価結果を表 9に示 す。
[0119] (例 49) (比較例)
例 21における Ti酸ィ匕物膜の成膜時の導入ガスをアルゴンガス:酸素ガス = 99: 1と した以外は例 21と同様にして、 Ti酸ィ匕物膜付きガラス基板を得て、例 1と同様の方法 により評価した。膜付きガラス基板の形成条件を表 7、表 8に示し、評価結果を表 9〖こ 示す。
[0120] (例 50) (比較例)
例 21における Ti酸ィ匕物膜の成膜時の導入ガスをアルゴンガス:酸素ガス = 97: 3と した以外は例 21と同様にして、 Ti酸ィ匕物膜付きガラス基板を得て、例 1と同様の方法 により評価した。膜付きガラス基板の形成条件を表 7、表 8に示し、評価結果を表 9〖こ 示す。
[0121] (例 51) (比較例)
例 21における Ti酸ィ匕物膜の成膜時の導入ガスをアルゴンガス:酸素ガス = 95: 5と した以外は例 21と同様にして、 Ti酸ィ匕物膜付きガラス基板を得て、例 1と同様の方法 により評価した。膜付きガラス基板の形成条件を表 7、表 8に示し、評価結果を表 9〖こ
示す。
[0122] (例 52)
真空チャンバ一内に低純度 TiO (x= l. 984)ターゲット(200mm X 70mm)、 SC ターゲット (旭硝子セラミックス製: Si50原子%、 SiC50原子%)、高純度 TiO (x= l . 984)ターゲット(200mm X 70mm)、ガラス基板(UV— IRカットソーダライムガラス 、 3. 5mm厚、 400nmにおける透過率 60%)をセットし、成膜直前の残留ガス圧が 1 X 10— 3Pa以下になるまで真空に排気した。次いで 0. 47Paまでアルゴンガスと酸素 ガスの比が 97 : 3になるように導入した後、 DCスパッタ(放電電力 = 750W)により、 低純度 TiOターゲットを用いて、 Ti酸化物膜を形成した。 Ti酸ィ匕物膜の膜厚は 90η mであった。
[0123] 次いで、成膜直前の残留ガス圧が 1 X 10— 3Pa以下になるまで真空に排気した。 0.
5Paまでアルゴンガスと酸素ガスの比が 7 : 3になるように導入した後、 Ti酸ィ匕物膜上 に、 DCスパッタ(放電電力 = 750W)により、 SCターゲットを用いて Si酸ィ匕物膜を形 成した。 Si酸ィ匕物膜の膜厚は 145nmであった。
[0124] 次いで、成膜直前の残留ガス圧が 1 X 10— 3Pa以下になるまで真空に排気した。 3.
9Paまでアルゴンガスと窒素ガスの比が 9 : 1になるように導入した後、 Si酸化物膜上 に、 DCスパッタ(放電電力 = 750W)により、高純度 TiOターゲットを用いて Ti酸化 物膜を形成した。 Ti酸ィ匕物膜の膜厚は 90nmであった。
[0125] 次いで、成膜直前の残留ガス圧が 1 X 10— 3Pa以下になるまで真空に排気した。 2.
OPaまでアルゴンガスと酸素ガスの比が 7 : 3になるように導入した後、 Ti酸ィ匕物膜上 に、 DCスパッタ(放電電力 = 750W)により、 SCターゲットを用いて Si酸ィ匕物膜を形 成した。 Si酸ィ匕物膜の膜厚は 30nmであった。
得られたガラス ZT艘ィ匕物膜 ZS艘ィ匕物膜 ZT艘ィ匕物膜 ZS艘ィ匕物膜からなる 積層体の JIS R3106 (1998年)による可視光透過率は 73%、 日射透過率は 37% であり、十分な IRカット性能を有することが分力つた。形成された積層体の親水性、 防曇性、結晶構造およびガス分解性について評価した結果を表 9に示す。
[0126] (例 53)
真空チャンバ一内に低純度 TiO (x= l. 984)ターゲット(200mm X 70mm)、 SC
ターゲット (旭硝子セラミックス製: Si50原子%、 SiC50原子%)、高純度 Τ )χ (χ= 1 . 984)ターゲット(200mm X 70mm)、ガラス基板(UV— IRカットソーダライムガラス 、 3. 5mm厚、 400nmにおける透過率 60%)をセットし、成膜直前の残留ガス圧が 1 X 10— 3Pa以下になるまで真空に排気した。次いで 0. 47Paまでアルゴンガスと酸素 ガスの比が 97 : 3になるように導入した後、 DCスパッタ(放電電力 = 750W)により、 低純度 TiOターゲットを用いて Ti酸ィ匕物膜を形成した。 Ti酸化物膜の膜厚は l lnm であった。
[0127] 次いで、成膜直前の残留ガス圧が 1 X 10— 3Pa以下になるまで真空に排気し、 0. 5 Paまでアルゴンガスと酸素ガスの比が 7 : 3になるように導入した後、 Ti酸ィ匕物膜上に 、 DCスパッタ (放電電力 = 750W)により、 SCターゲットを用いて Si酸ィ匕物膜を形成 した。 Si酸ィ匕物膜の膜厚は 26nmであった。
[0128] 次いで、成膜直前の残留ガス圧が 1 X 10— 3Pa以下になるまで真空に排気し、 3. 9 Paまでアルゴンガスと窒素ガスの比が 9 : 1になるように導入した後、 Si酸化物膜上に 、 DCスパッタ(放電電力 = 750W)により、高純度 TiOターゲットを用いて Ti酸化物 膜を形成した。 Ti酸ィ匕物膜の膜厚は l lOnmであった。
[0129] 次いで、成膜直前の残留ガス圧が 1 X 10— 3Pa以下になるまで真空に排気し、 2. 0 Paまでアルゴンガスと酸素ガスの比が 7 : 3になるように導入した後、 Ti酸ィ匕物膜上に 、 DCスパッタ (放電電力 = 750W)により、 SCターゲットを用いて Si酸ィ匕物膜を形成 した。 Si酸ィ匕物膜の膜厚は lOOnmであった。
[0130] こうして得られたガラス ZTi酸ィ匕物膜 ZSi酸ィ匕物膜 ZTi酸ィ匕物膜 ZSi酸ィ匕物膜の からなる積層体の JIS R3106 (1998年)による可視光透過率は 78%、可視光反射 率は 4%であり、 AR性能を有することが分力つた。形成された積層体の親水性、防曇 性、結晶構造およびガス分解性について評価した結果を表 9に示す。表 9より、ォー バーコート膜の膜厚が 80nm以上という厚い膜であっても、可視光光触媒性が発揮 することが分力つた。
[0131] [表 1]
T i酸化物膜
例 力'ラス - タ ケ ';)卜 成膜時導入 残留 放電電力 膜厚 焼成 板種類 の種類 力'ス (体積比) ガス圧 (kW) (nm) 条件 圧力
1 # 1737 髙純度 A rのみ lE-3Pa 0. 75 50 大気中
T iOx 3. 9Pa 650TC
10分
2 同上 同上 同上 同上 同上 100 同上
3 同上 同上 同上 同上 同上 200 同上
4 同上 同上 Ar/N2=90/10 同上 同上 15 同上
3. 9Pa
5 同上 同上 同上 同上 同上 30 同上
6 同上 同上 同上 同上 同上 50 同上
7 同上 同上 同上 同上 同上 100 同上
8 同上 同上 同上 同上 同上 200 同上
9 同上 同上 Ar/N2=50/50 同上 同上 50 同上
3. 9Pa
10 同上 同上 Ar/N2= 10/90 同上 同上 同上 同上
3. 9Pa
1 1 同上 同上 Ar/N2=20/80 同上 同上 同上 同上
3. 9P
12 リ-夕'ライ 同上 A rのみ 同上 同上 同上 同上 ムカ'ラス 3. 9Pa
13 同上 同上 Ar/N2=90/10 同上 同上 同上 同上
3. 9Pa
14 # 1737 同上 A rのみ 同上 同上 同上 同上
3. 9Pa
15 同上 同上 同上 同上 同上 同上 同上
16 同上 同上 同上 同上 同上 同上 同上
17 同上 同上 同上 同上 同上 同上 同上
18 同上 同上 同上 同上 同上 同上 大気中
650X:
3分
19 同上 同上 同上 同上 同上 同上 大気中
650t
25分
20 同上 同上 A rのみ 同上 同上 同上 大気中
2. OPa 650t
10分
下地膜 オーバー -コー卜
(Si02膜) (Si02f漠)
例 膜厚 膜厚 成膜圧力
(nm) (nra) (Pa)
1 なし なし なし
2 同上 同上 同上
3 同上 同上 同上
4 同上 同上 同上
5 同上 同上 同上
6 同上 同上 同上
7 同上 同上 同上
8 同上 同上 同上
9 同上 同上 同上
10 同上 同上 同上
11 同上 同上 同上
12 同上 同上 同上
13 同上 同上 同上
14 なし 10 3.3
15 同上 50 3.3
16 同上 100 3.3
17 同上 10 2.0
18 同上 なし なし
19 同上 同上 同上
20 同上 同上 同上 ] 例 親水性 防曇性 結晶構造 ガス分解性 光応答電流比
1 Δ Δ アナターゼ 〇 1 660
2 〇 Δ 同上 〇 42 70
3 〇 Δ 同上 〇 7 3000
4 Δ 厶 同上 〇 7770
5 Δ △ 同上 〇 23300
6 〇 Δ 同上 〇 38 500
7 〇 Δ 同上 〇 1 02000
8 〇 Δ 同上 〇 1 52000
9 〇 △ 同上 〇 1 320
10 〇 △ 同上 〇 1 0 1 0
11 Δ △ 同上 Δ 1 0 1 0
12 〇 Δ 同上 〇 5530
13 〇 〇 同上 〇 20 1 0
14 〇 〇 同上 Δ 5 500
15 Δ 〇 同上 △ 1 0 500
16 Δ 〇 同上 Δ 1 9 500
17 Δ 〇 同上 Δ 1 2 300
18 〇 〇 同上 〇 2400
19 Δ △ 同上 Δ 1 200
20 Δ △ 同上 Δ 1 340
[0134] [表 4]
[0135] [表 5]
下地膜 オーバー -コート (S i02膜) (S i02f 例 膜厚 膜厚 成膜圧力 (nm) (Pa)
21 なし なし なし
22 同上 同上 同上
23 同上 同上 同上
24 同上 同上 同上
25 同上 同上 同上
26 同上 同上 同上
27 同上 同上 同上
28 同上 同上 同上
29 同上 同上 同上
30 同上 同上 同上
31 同上 同上 同上
32 同上 同上 同上
33 同上 同上 同上
34 同上 同上 同上
35 同上 10 0. 5
36 同上 なし なし
37 同上 同上 同上
[0136] [表 6]
[0137] [表 7]
T〖酸化物膜
例 力'ラス基 タ-ケ'ット 成膜時導入 残留 膜厚 焼成 板種類 の種類 力'ス (体積比) ガス圧 (kW) (nm) 条件 圧力
38 # 1737 高純度 A rのみ 6. 0E- 0. 75 50 大気中
TiOx 3. 9Pa 4Pa 650
10分
39 同上 同上 同上 2. 7E- 同上 同上 同上
4Pa
40 同上 同上 Ar/N2=90/10 6. OE - 同上 同上 同上
3. 9Pa 4Pa
41 同上 同上 >同 - 上 2. 7E- 同上 同上 同上
4Pa
42 同上 同上 A rのみ IE - 0. 5 同上 同上
3. 9Pa 3Pa
43 同上 同上 同上 同上 1. 0 同上 同上
44 同上 同上 Ar/N2=90/10 同上 0. 5 同上 同上
3. 9Pa
45 同上 同上 同上 同上 1. 0 同上 同上
46 同上 同上 Ar/02=99/l 同上 0. 75 同上 同上
3. 9Pa
47 同上 同上 同上 同上 同上 同上
48 同上 同上 Ar/02=95/5 同上 同上 同上 同上
3. 9Pa
49 同上 低純度 Ar/02=99/l 同上 同上 同上 同上
T iOx 3. 9Pa
50 同上 同上 Ar/02=97/3 同上 同上 同上 同上
3. 9Pa
51 同上 同上 同上 同上 同上 同上
下地膜 オーバ- -コー卜
(S i02膜) (S i02摸)
例 膜厚 膜厚 成膜圧力
(nm) (nm) (Pa)
38 なし なし なし
39 同上 同上 同上
40 同上 同上 同上
41 同上 同上 同上
45 同上 同上 同上
46 同上 同上 同上
47 同上 同上 同上
48 同上 同上 同上
49 同上 同上 同上
50 同上 同上 同上
51 同上 同上 同上
[0139] [表 9]
[0140] 以上の評価結果から、下記の結果が得られる。
(1)高純度 TiOターゲットを用いて特定の条件でスパッタ法により形成された Ti酸化 物膜を特定の条件で焼成することにより、高い可視光光触媒性を有する Ti酸ィ匕物膜 を得られる。よって、低純度 TiOターゲットを用いても、可視光光触媒性は得られな い(例 1一 25、例 49一 51)。
(2)また、スパッタガス中に希ガスのみならず、窒素ガスを導入した場合であっても Ti 酸ィ匕物膜は高 ヽ可視光光触媒性を示す。
(3)また、成膜後の焼成を行っていない膜は、高純度 TiOターゲットを用いて成膜し た場合であってもガス分解性がほとんどな ヽ (例 26— 31)。
(4)膜厚は、特に限定されず、 10— 250nmの範囲で高い可視光光触媒性を有する
(5)アルカリ金属を含むガラス基板を用いた場合は、下地膜を形成することにより、ガ ラス基板から Ti酸ィ匕物膜へのアルカリ金属の拡散を防止でき、高 、可視光光触媒性 を有する(例 32— 34)。
(6)オーバーコートを形成する場合は、成膜圧力を 0. 5Pa以上とすることにより、成 膜時の Ti酸ィ匕物膜へのダメージを低減し、 Ti酸ィ匕物膜の高 、可視光光触媒性を維 持できる(例 35)。
(7) Ti酸ィ匕物膜の焼成の雰囲気、温度および時間が可視光光触媒性を発現させる ための重要な要素である(例 36— 37)。
(8) Ti酸化物膜の成膜時の残留ガス圧は、低 、方つまり真空度が高!、方が高!、可 視光光触媒性を発現できる (例 38— 41)。
(9) Ti酸ィ匕物膜の放電電力は、低い方が高い可視光光触媒性を発現できる(例 42 一 45)。
(10)また、スパッタガス中に希ガスのみならず、酸素ガスを導入した場合であっても Ti酸化物膜は高 ヽ可視光光触媒性を示す (例 46— 48)。
産業上の利用可能性
本発明の Ti酸ィ匕物膜は、高い可視光光触媒性を有し、かつ透明性に優れるため、 UV光が透過しにくい車両用や建築用ガラスの膜として有用である。