明 細 書 ミオシン作動薬 技術分野
本発明はミオシン作動薬、 およびその応用に関し、 さらに詳しくは、 筋肉の主 たる構造タンパク質であるミオシンの A T P消費活性を促進する物質、 およびそ の種々の医療分野への応用に関する。 以下、 本明細書においては、 上記物質の糖 尿病治療への応用を中心にして本発明を説明する。
背景技術
近年、 食生活の欧米化、 運動不足、 社会的ストレスの増加などにより、 糖尿病 患者の増加が著しい。 経口糖尿病治療剤としてスルホニルゥレア剤( S U剤)が多 用されている。 しカゝし、 その作用が膝臓におけるインスリン分泌促進作用である ことから、 副作用として低血糖を引き起こすことなどが知られている。 また、 S U剤の多用は膝臓の疲弊による二次無効を引き起こす。 近年、 再評価されている ビグアナィド剤は、 末梢組織のィンスリン感受性改善薬として良好な血糖コント ロールが可能である。 しかし、 副作用として乳酸ァシドーシスの発症が懸念され ている。 また、 最近見出されたチアゾリジンジオン系糖尿病治療薬( 「糖尿病 2」 : 日本臨床、 第 7 2 5卷、 1 2 5—1 4 5頁 (平成 9年))は末梢のインスリ ン抵抗性改善効果を有し、 良好な血糖コントロールが可能である。 ところが、 副 作用として重篤な肝臓障害等が報告され、 安全性面に問題がある。
一方、 糖尿病治療に関して、 運動療法はインスリンの感受性を上昇させ、 筋肉 における糖取り込みゃグリコーゲン合成を促進することから、 食事療法と共に治 療に実施される非常に重要な治療法である。 しかしながら、 継続して実施するこ とが難しい。
発明の開示
このような状況下、 本発明者らは、 副作用の少ない新規な抗糖尿病薬を開発す ベく研究を重ねた結果、 式(I ) :
Ar'-A1— N N-L— N— A2— Ar2
\ f \ ^ f
[式中、 A r 1および A r 2は同一または異なって、 各々、 置換されていてもよい フェ二ル基または置換されていてもょレヽへテロアリ一ル基を表す;
A1および A2は同一または異なって、 各々、 単結合またはアルキレン基を表 す;
Lは式:一 C(=O)— X1— L1— X2— L2— X3— C( = O)—で表される基、 ォキサリル基または力ルポエル基を表す;
X1および X3は同一または異なって、 各々、 単結合、 NR1基または酸素原子 を表す;
R1は水素原子またはアルキル基を表す;
X2は単結合、 置換されていてもよいアルキレン基、 置換されていてもよいへ テロァリレン基、 置換されていてもよいフエ二レン基、 置換されていてもよいシ クロアルキリデン基、 置換されていてもよいシクロアルキレン基、 置換されてい てもよい 2価の脂肪族複素環基、 置換されていてもよいビニレン基、 ェチニレン 基、 硫黄原子、 酸素原子または式:一 N(R2)— C( = 0)—、 一 N(R3)— C(= O)— N(R4)—、 _N(R2)_C (=0)— 0—、 一 O_C(=0)— O—、 一 O— C(=0)_、 一 C(=O)—、 もしくは一N[_C(=O)_R5]—で表される基を 表す:
R R3、 R4および R5は同一または異なって、 各々、 水素原子またはアル キル基を表す;
L1および L 2は同一または異なって、 各々、 単結合、 置換されていてもよい アルキレン基、 ビニレン基または置換されていてもよいフエ二レン基を表す; ただし、 X2が単結合、 置換されていてもよいビ-レン基、 ェチ-レン基、 硫 黄原子、 酸素原子または式:一N(R2)— C( = O)—、 一N(R3)— C(=0)— N(R4)—、 —N(R2)— C (=0)_0—、 一 O— C(=0)_〇一、 -O-C (=
O)—、 一 C(=0)—、 もしくは _N[— C(=0)— R5]—で表される基である ときに L1または L2が単結合となることはない。 また、 L1または L2がビニレ ン基である場合、 それぞれ X 1または X 3は単結合である ]
で表されるジピペラジン誘導体またはその塩が糖尿病治療薬として優れているこ とを見出し、 これを特許出願した(特願平 1 1— 3 2 6 7 5 1、 出願日 :平成 1 1年 1 1月 1 7日)。 しかしながら、 本発明者らは、 式(I )のジピペラジン誘導 体がどのような作用機作により糖尿病治療に有効であるかは、 特願平 1 1— 3 2 6 7 5 1の出願時までには+分解明することができなかった。 本発明者らは、 式
( I )の化合物の作用機作を解明することができれば、 さらに有用な糖尿病治療薬 の探索が容易になるのではないかと考え、 鋭意作用機作の研究にとり組んだ。 本発明者らは、 アジド化したジピぺラジン誘導体を筋筒細胞の膜画分と混合し た後光照射することにより、 この誘導体を標的タンパク質と結合させ、 これを対 照と、 電気泳動法により比較することにより、 その標的タンパク質がミオシンの 軽鎖であることを見出した。 ミオシンは筋肉の主な構造タンパク質であり、 その 軽鎖は筋肉の収縮、 弛緩に直接、 深く関与していることが知られている。 式(I ) のジピペラジン誘導体は、 このミオシン軽鎖に結合することにより、 ミオシンの AT P消費活性を促進し、 それによつて糖尿病治療効果が発揮されると考えられ る。 すなわち、 ミオシンの A T P消費活性が促進されると、 細胞内のグルコース が消費され、 これを捕うために血中のグルコースが細胞内に取り込まれ、 その結 果血糖値が低下する。 ミオシンの A T P消費活性が促進された状態は、 運動を行 なった時の効果そのものであり、 したがって、 式( I )のジピペラジン誘導体のミ ォシンの軽鎖への結合は、 筋肉において、 さらに負荷のかかったエネルギー消費 の高い運動を行うことの代替となるものである、 ということができる。
以上述べた理由で、 ミオシンの軽鎖に結合する物質は、 式(I )のジピペラジン 誘導体に限らず、 すべて糖尿病治療に有効であることは明らかである。 さらに、 ミォシンの軽鎖に結合する物質は、 筋肉細胞の細胞の運動に負荷を与えることか らミ才シンの A T P消費活性を促進することになり、 その結果、 筋肉細胞の運動 エネルギーの消費機能を促進することになる。 このように、 細胞内および血中の グルコースを減少させ、 筋肉細胞の運動エネルギーの消費機能を促進することか ら、 このような物質は肥満の解消や高脂血症の改善にも有用である。
一方、 ミオシンの軽鎖に結合する物質は、 筋肉細胞の運動に負荷を与えること 力 ら、 運動機能が低下、 遅延することをもたらすことになる。 その結果、 筋肉の
弛緩を招来することになり、 このような物質は高血圧の改善にも有効である。 さらには、 (文献 Biophysical jurnal 71, 2733—2741, 1996, Yuri Tsuda et al. )の記載にもあるように、 局所麻酔剤であるリドカイン、 テトラ力インがミオ シンモーター活性の低下作用を有すること力ゝら、 ミオシンの軽鎖に結合する物質 は局所麻酔作用を有し皮下、 筋注、 経皮的投与することにより局所麻酔剤として 使用することができる。
ミオシンの軽鎖に結合し、 上記の種々の治療活性を発揮しうる物質は、 本発明 による発見、 すなわち、 式(I )のジピペラジン誘導体はミオシンの軽鎖に結合す るという事実に基づいて容易にスクリーニングすることができる。 すなわち、 ミ ォシンの軽鎖との結合を直接測定するか、 あるいは式(I )のジピペラジン誘導体 とミオシンの軽鎖との混合物に被検物質を加えた後、 遊離の該誘導体またはミオ シンの軽鎖を測定することにより、 該被検物質がミォシンの軽鎖との結合能を有 するか否かを判定することができる。 より具体的には、 以下の手法でスタリーュ ングすることができる。
①表面ブラズモン共鳴法によるミオシン軽鎖と相互作用を示す化合物の検索 表面プラズモン共鳴法はセンサーチップ表面に結合した分子により、 表面層近 くでの屈折率に変化が生じ、 その変化を表面プラズモンシグナルの変化として検 出する方法である。 装置として例えばビアコア社の B I A C O R E 2 0 0 0また は B I A C O R E 3 0 0 0を使用することにより、 相互作用を測定することが可 能である。
センサーチップにミオシン軽鎖 (例えば 1〜1 0 μ g )を固定し、 被検化合物の 溶液をチップ表面に通液し、 表面プラズモンシグナルを測定する。 被検化合物の 溶解に使用した溶液をブランクとし、 ブランクに対する表面プラズモンシグナル の増加により、 相互作用を確認する。
②ミオシン軽鎖と式( I )のジピペラジン誘導体の標識体との相互作用を阻害する 化合物の検索
ミオシン軽鎖またはミオシン (例えば 1〜 1 0 μ g )をゲル、 ビーズ (例えば 1 0 μ 1のアマシャム ·フアルマシア ·バイオテク株式会社製の C N B r活性化セ ファロース 4 ファスト フロー)あるいはメンブラン(例えばミリポア社製の
ィモビロン一 P トランスファーメンブレン)上に固定し、 、 被検化合物の溶液と 混ぜ、 ラジオアイソトープあるいは蛍光ラベルした式( I )の化合物の溶液と混合 静置し、 該ゲル、 ビーズあるいはメンプランを生理食塩水で洗浄した後に、 ラジ オアイソトープ量あるいは蛍光を測定する。 被検ィヒ合物を含まない対照と比較し ラジオアイソトープ量あるいは蛍光の減少により、 相互作用を確認する。
以上のことから、 本発明の目的は、 以下の通り要約することができる。 すなわ ち、 本発明は、
( 1 )ミォシンの軽鎖への結合能を有する化合物を有効成分とする糖尿病治療剤、
( 2 )ミォシンの軽鎖への結合能を有する化合物を有効成分とする筋肉細胞の運 動機能促進剤、
( 3 )ミォシンの軽鎖への結合能を有する化合物を有効成分とする抗肥満薬、
( 4 )ミォシンの軽鎖への結合能を有する化合物を有効成分とする高脂血症治療 剤、
( 5 )ミォシンの軽鎖への結合能を有する化合物を有効成分とする高血圧治療剤、 ( 6 )ミオシンの軽鎖への結合能を有する化合物を有効成分とする局所麻酔剤、
( 7 )式(I )のジピペラジン誘導体を有効成分とする糖尿病治療剤、 筋肉組織の 運動機能促進剤、 抗肥満薬、 高脂血症治療剤、 高血圧治療剤または局所麻酔剤、
( 8 )センサーチップにミォシンの軽鎖を固定し、 被検化合物の溶液をチップ表 面に通液した後、 表面プラズモンシグナルを測定することからなる、 ミオシンの 軽鎖への結合能を有する化合物のスクリーニング法、
( 9 )上記( 8 )のスクリ一ユング法で検出されたミォシンの軽鎖への結合能を有 する化合物、
( 1 0 )ミオシン軽鎖またはミォシン (例えば 1〜 1 0 μ g )をゲノレ、 ビーズ (例 えば 1 0 μ 1のアマシャム ·フアルマシア■バイォテク株式会社製の C N B r活 †生化セファロース 4 ファスト フロー)あるいはメンブラン(例えばミリポア 社製のィモビロン一 Pトランスファーメンプレン)上に固定し、 、 被検化合物の 溶液と混合し、 次いで標識したミォシンの軽鎖への結合能を有する既知の化合物 と混合した後、 該ゲル、 ビーズまたはメンブランを洗浄し、 該標識化合物の残存 量を測定することからなるミオシンの軽鎖への結合能を有する化合物のスクリー
ユング法、
(11)上記(10)のスクリーニング法で検出されたミオシンの軽鎖への結合能 を有する化合物、
(12)ミオシンの軽鎖への結合能を有する化合物を有効成分とするミオシンの AT P消費活性促進剤、 および
(13)ミオシンの軽鎖への結合能を有する化合物が、 式( I )のジピペラジン誘 導体である上記( 12 )に記載の A T P消費活性促進剤、
を提供するものである。
発明を実施するための最良の形態
本発明のミオシンの軽鎖への結合能を有する化合物とは、 式( I )のジピペラジ ン誘導体およびそれと同等の結合能を有する化合物を表す。
式(I)の化合物は、 既述した通り特願平 1 1— 326751に記載されている 力 その製造方法の概略は次の通りである。
Ar i— A1と A r 2— A2とが同一である場合:
製造法(1)
Z-L— Ζ + Pg-N NH ►
v_y
10 11
Pg-N N-L— Ν N-Pg HN N-L— N NH
15
(式中、 Ar \ A1および Lは前記式 1の場合と同じ意味を表す。 Yは塩素原子、 臭素原子、 ヨウ素原子、 メタンスルホニルォキシ、 トルエンスルホニルォキシ、 トリフルォロメタンスルホニルォキシ等の脱離基を表す。 Zは水酸基または塩素 原子を表す。 P gは保護基を表す)
式 10において Zが水酸基である化合物と式 11の化合物を脱水縮合剤の存在
下で縮合させることによって式 1 2の化合物を得る。 ここでの縮合反応は、 例え ばジクロロメタン、 クロロホノレム、 酢酸ェチノレ、 テトラヒドロフラン(T H F)ま たはジメチルホルムアミド(DM F)等の有機溶媒中で行うことができる。 反応温 度としては一 1 0 °Cから 6 0 °Cの範囲が挙げられる。 脱水縮合剤としては例えば ジシク口へキシルカルポジィミド、 1ーェチル一 3—( 3,一ジメチルァミノプロ ピル)カルポジイミ ドなどが挙げられ、 反応助剤とともに用いられる。 反応助剤 としては例えば N—ヒドロキシベンズトリアゾール、 N, N—ジメチルー 4ーァ ミノピリジン等が挙げられる。 また、 脱水縮合剤として例えば N, N—ビス( 2— ォキソ一 3—ォキサゾリジニル)ホスフィン酸ク口リ ドを例えばトリェチルァミ ンの様な有機塩基と組み合わせて用いることもできる。 '
式 1 0において Zが塩素原子である場合、 式 1 1の化合物を例えばトリェチル ァミンの様な有機塩基の存在下式 1 0の化合物と縮合させ式 1 2の化合物に導く ことができる。 縮合反応は、 例えばジクロロメタン、 クロ口ホルム、 酢酸ェチル、 T H Fまたはジメチノレホノレムァミド等の有機溶媒中で行うことができる。 反応温 度としては一 1 0 °Cから 6 0 °Cの範囲が挙げられる。
式中 P gで表される保護基としては、 通常用いられる各種のアミノ基保護基を 用いることが可能であるが、 例えば、 メ トキシカルボニル、 エトキシカルボニル、 t e r t一ブトキシカルポニル、 ベンジルォキシカルボニル等の力ルバメート型 の保護基、 N—ァセチル、 N—ベンゾィル等のアミド型の保護基、 ベンジル、 二 トロ、 一トノレエンスルホニル、 メタンスルホニル等が挙げられる。 続いて、 保 護基 P gを除去することにより式 1 3の化合物を得る。 保護基の除去は一般的な 方法(例えば、 T. W. Greene and P. G. M. uts, "Protective Groups in
Organic Synthesis", 2nd Ed. , John Wiley and Sons, inc. , New York (1991) , p. 315-362)に従って行うことができる。
式 1 3の化合物を、 塩基の存在下、 式 1 4の化合物と反応させることで、 式 1
5の化合物を製造することができる。 反応は、 常法の N—アルキル化反応の条件 に従って実施することができる。 具体的には、 塩基としては、 例えば、 水素化ナ トリウム、 水素化カリウム等の水素化アルカリ金属、 ナトリウムアミド、 リチウ ムアミド等のアルカリ金属アミド、 カリウム tーブトキシド、 ナトリゥムメトキ
シド等のアルカリ金属アルコキシド、 炭酸力リゥム、 炭酸ナトリゥム等の炭酸塩、 トリェチルァミンなどの有機塩基等が挙げられる。 塩基の使用量としては、 例え ば、 式 1 3の化合物に対して 2〜1 0当量が挙げられ、 好ましくは 3〜 5当量が 挙げられるが、 ただし、 式 1 3の化合物が塩酸塩等の塩である場合は、 その塩の 当量分だけ、 塩基を過剰に加える必要がある。 式 1 4の化合物の使用量としては、 例えば、 式 1 3の化合物に対して 2〜 6当量が挙げられ、 好ましくは 2 . 2〜 2 当量が挙げられる。 反応溶媒としては、 例えば、 T H F、 DMF等の不活性有機 溶媒等が挙げられる。 反応温度としては、 例えば、 0 °C〜反応溶媒の沸点が挙げ られ、 好ましくは室温〜 8 0 °Cの範囲が挙げられる。
製造法(2 )
/~ /~\ Λ —
HN^ ^ ^-L-N^ ^ ^NH + Ar1-A-CO-R10 ——
13 8
Ar1— A-CH-N N— L— N N-CH-A-Ar
\ _ / \ ^ /
17
(式中、 A r 1および Lは前記式 1の場合と同じ意味を表す。 R 1 °は水素原子ま たはアルキル基を表し、 式:一 A— C (R 1 0) H—で表される基は前記式 1の A 1 がアルキレン基である場合に相当する)
本発明化合物に含まれる式 1 7の化合物は、 前記式 1 3の化合物と式 1 8のァ ルデヒド化合物またはケトン化合物を用いて、 水素化ホウ素ナトリゥムゃ水素化 シァノホゥ素ナトリウムなどの存在下メタノールなどのアルコール溶媒中、 室温 で行う還元的ァミノ化反応あるいは水素化ァセトキシホウ素ナトリウムとジクロ ロェタン等のハロゲン化炭化水素中、 室温で行う還元的ァミノ化反応によっても 合成することができる。
製造法(3 )
10 16-1 15
(式中、 Z、 L、 A r 1および A 1は前記式 1の場合と同じ意味を表す) 本発明化合物 1 5は式 1 0の化合物と式 1 6 _ 1のピペラジン誘導体を前述の 化合物 1 0と 1 1との縮合反応と同様の条件で縮合させることによつても合成す ることができる。
Η-Χ1 _1-Χ2- Χ3-Η 19-1 Ar 1'-A 11— Ν Ν-1 -Ν Ν-Α1— Ar1
15
Γ~\ CO(OCCI3)2 19-1 / \ / \
Pg-N ΝΗ ; ► ► Pg-N N-L— Ν Ν一 Pg
\_^
11 12
(式中、 A r A \ X 1、 X 2、 X 3 L 1および L 2は前記式 1の場合と同じ意 味を表す。 但し、 X 1または X 3が単結合である場合を除く。 また、 上記化合物 1 2および 1 5においては、 Lがォキサリル基またはカルボ-ル基である場合を 除く。 Y 1は塩素原子または一 0— C C 1 3を表す)
X 1および X 3が N R 1または酸素原子であるとき、 式 1 6—1のピペラジン誘 導体にへキサクロロジメチルカルボナート(トリフォスゲン)を作用させて式 2 0 - 1の活性中間体を生成させ、 続いて、 式 1 9一 1の化合物と塩基の存在下反応 させることで式 1 5の本発明化合物を得る力、 または式 1 1の化合物にへキサク ロロジメチルカルボナート(トリフォスゲン)を作用させ、 続いて式 1 9— 1の化 合物と塩基の存在下に反応させることで式 1 2の保護されたピペラジン誘導体を 得ることができる。
塩基としては、 例えば、 水素化ナトリウム、 水素化力リゥム等の水素化アル力 リ金属、 ナトリゥムアミド、 リチウムアミド等のアルカリアミド、 カリウム t一 ブトキシド、 ナトリウムメトキシド等のアル力リ金属アルコキシド、 炭酸力リゥ ム、 炭酸ナトリウム等の炭酸塩、 トリェチルァミンなどの有機塩基等が挙げられ る。
式 16—1の化合物または式 11の化合物とへキサクロロジメチルカルボナー ト(トリフォスゲン)との反応およびそれに続く式 19一 1の化合物との反応の反 応溶媒としては、 例えば、 THF、 DMF等の不活性有機溶媒等が挙げられる。 へキサクロロジメチルカルボナート(トリフォスゲン)との反応の反応温度として は、 例えば、 0°C〜室温の範囲が挙げられる。 式 19_ 1の化合物との反応の反 応温度としては 0 °C〜反応溶媒の沸点が挙げられ、 好ましくは室温〜 80 °Cの範 囲が挙げられる。
式 12の保護されたピペラジン誘導体からは前述の方法によつて本発明化合物 に導くことができる。
製造法(5)
CO(OCCl3)2 16-1 Ari,Ai_N- 、Ν一し— Ν' 、Ν— —
Η-χ^ι χ ι χ3-!·)
19-1 15
CO(OCCI3)2 11
Η-Χ' ■1-Χ2- ■2-Χ3-Η Pg-N N-L— N-Pg
19-1
12
(式中、 X1、 X2、 X3、 L1および L 2は前記式 1の場合と同じ意味を表す。 伹 し、 X1または X3が単結合である場合を除く。 また、 上記化合物 12および 1 5においては、 Lがォキサリル基またはカルボニル基である場合を除く)
X 1および X 3が NR1または酸素原子であるとき、 式 19—1の化合物にへキ サクロロジメチルカルボナート(トリフォスゲン)を作用させて式 Y 1一 C 0— X ェ一ぃ一 2— L2— X3— CO— は前記と同じ意味を表す)で表される 活性中間体を生成させた後、 続いて、 塩基の存在下で式 16—1の化合物と反応 させることで式 15の本発明化合物を得る力、、 または塩基の存在下で活性中間体 を式 11の化合物と反応させることで式 12の保護されたピペラジン誘導体を得 ることができる。
塩基としては前記製造法 ( 4 )の場合と同様な例を挙げることができる。
式 19— 1の化合物とへキサク口口ジメチルカルボナート(トリフォスゲン)と の反応の反応溶媒としては、 例えば、 THF、 DMF等の不活性有機溶媒等が挙 げられ、 反応温度としては、 例えば、 0°C〜室温の範囲が挙げられる。
製造法(6)
1 1 9 9 3 CO(CCI3)2 16-1
HO-CO-X1-L1-X2-L2-X3-H _―——►
21
HO— CO ~ X CO一 N N- -A1—— Ar1
22-1
16-1
Ar1-A1— N N-L— N vl 卜 N-A1— Ar1
15
(式中、 Ar A X1、 X2、 X3、 L1および L 2は前記式 1の場合と同じ意 味を表す。 但し、 X1または X3が単結合である場合を除く。 また、 上記化合物 15においては、 Lがォキサリル基またはカルポニル基である場合を除く) 式 21において X 3が N R 1または酸素原子である化合物を出発原料に用 1ヽる 場合、 初めに式 21の化合物にへキサク口口ジメチルカルボナート(トリフォス ゲン)を作用させ活性中間体を生成させた後、 続いて、 式 16— 1の化合物と塩 基の存在下反応させることで式 22— 1の化合物を得る。 ここでへキサクロロジ メチルカル ナ一 1、(トリフォスゲン)を作用させる際の条件と式 16― 1の化合 物と塩基の存在下反応させる際の条件は前述と同様である。 式 22—1の化合物 と式 16—1の化合物を前述の縮合条件を用いて縮合させることで式 15の本発 明化合物を得る。 この一連の反応で式 16—1の化合物の代わりに前記式 11の 化合物を用い後に脱保護を行えば、 前記式 13の化合物を得ることができる。 式 13の化合物は前述のように式 15の本発明化合物に導くことができる。
製造法(7)
Ar1— A1-N NH + CO(OCCI3)2 ►
23-1
(式中、 A r 1および A 1は前記式 1の場合と同じ意味を表す)
製造法 1で述べた方法で本発明化合物である式 2 3一 1の化合物を製造するの は困難な場合がある。 その場合、 本発明化合物である式 2 3—1の化合物は式 1 6— 1の化合物に、 塩基の存在下、 6分の 1から 5分の 1当量のへキサクロロジ メチルカルボナート(トリフォスゲン)を作用させることで得ることができる。 塩 基としてはトリェチルァミンなどの有機塩基等が挙げられる。 反応溶媒としては、 例えば、 T H F、 DMF等の不活性有機溶媒等が挙げられる。 反応温度としては、 例えば、 0 °C〜室温の範囲が挙げられる。
A r A 1と A r 2—A 2とが異なる場合:
製造法(8 )
(1)
/™ \ I \ Ar1-A1-Y , , / ~ \ / " \
HN N-L— N NH ► Ar1-A1— N—L— N NH
\ ^ / 。 \ ^ / \ _ / \ ^ /
13 ► Ar1-A1— N N-L— N N-A2— Ar^
\ _ / \ _ /
1
(3)
. , / " \ , 1) H-L-H 19
Ar -A1— N N-CO-Y1 —― 1
20-1 2) Αι^-Α2— N N-CO-Y1
16-2
► 1
(5)
Ar1-A1— N N-CO-Y1 + A 2— N NH >
20-1 16-2
Ar1— A1— N N-CO-N N - A2— Ar2
\ _ / \ _^ /
23
(式中、 八!"1、 A\ X1、 X2、 X3、 L、 L1およびし2は前記式 1の場合と同 じ意味を表す。 但し、 上記方法(3)および方法(4)においては、 X1または X3 が単結合である場合と、 Lがォキサリル基またはカルボュル基である場合とを除 <)
例えば、
(1)式 13の化合物に 1当量の Ar i—Ai— Yを作用させ、 続いて生成物にさ らに 1当量の A r 2— A2— Yを作用させることによって式 1の本発明ィ匕合物を 得ることができる。 反応条件としては前述の N—アルキル化の条件を用いること ができる。
(2)式10の化合物と 1当量の式 16—1の化合物を反応させ、 続いて生成物に さらに 1当量の式 16— 2の化合物を作用させることによって式 1の本発明化合 物を得ることができる。 反応条件としては前述の縮合反応の条件を用いることが できる。
(3)式 19において、 X1および X3が NR1または酸素原子であるとき、 トリエ チルァミンなどの有機塩基の存在下、 式 19の化合物と式 20— 1の活性中間体 とを反応させ、 続いて式 20— 2の活性中間体を作用させることで式 1の本発明 化合物を得ることができる。 反応溶媒としては、 例えば、 THF、 DMF等の不 活性有機溶媒等が挙げられる。 反応温度としては 0°C〜反応溶媒の沸点が挙げら れ、 好ましくは室温〜 80°Cの範囲が挙げられる。 式 20— 1ぉょぴ式 20— 2
の活性中間体の発生方法は式 2 0の化合物の場合と同様である。
( 4 )式 2 1において X 3が N R 1または酸素原子である化合物を出発原料に用い る場合、 式 2 1の化合物に初めにへキサクロ口ジメチルカルポナート(トリフォ スゲン)を作用させ活性中間体を生成させた後、 続いて、 式 1 6—1の化合物と 塩基の存在下反応させることで式 2 2— 1の化合物を得る。 ここでへキサクロ口 ジメチルカルボナート(トリフォスゲン)を作用させる際の条件と式 1 6— 1のィ匕 合物と塩基の存在下反応させる際の条件は前述と同様である。 式 2 2—1の化合 物と式 1 6— 2の化合物を前述の縮合条件を用いて縮合させることで式 1の本発 明化合物を得る。
( 5 )式 2 3の本発明化合物を得る場合、 初めに前述のように式 2 0—1で表され る活性中間体を生成させこれに式 1 6— 2の化合物を塩基の存在下反応させると よい。 塩基としてはトリエチルァミンなどの有機塩基等が挙げられる。 反応溶媒 としては、 例えば、 T H F、 DMF等の不活性有機溶媒等が挙げられる。 反応温 度としては、 例えば、 0 °C〜室温の範囲が挙げられる。
上記方法(1 )〜(3 )にぉぃて、 基 Lが非対称の場合には式 1の化合物はそのよ うな非対称化合物の混合物として得られるが、 カラムクロマトグラフィ一を用い る精製法、 蒸留による精製法、 あるいは、 再結晶法などの通常の精製法により、 各化合物を分離精製することができる。
A r i— A 1と A r 2 _A 2とが異なる本発明化合物を得るためには、 通常の保 護および脱保護の技術を用いたほうが好ましい場合もある。 通常の保護、 脱保護 の技術は T. . Greene and P. G. M. Wuts, "Protective Groups in Organic Synthesis", 2nd Ed. , John Wiley and Sons, inc. , New York (1991)に詳しく述 ベられている。 また、 本発明化合物を合成する際必要に応じていつでも保護、 脱 保護の技術を用いることもできる。
式 1のジピペラジン誘導体は、 例えば水、 メタノール、 エタノール、 アセトン 等の溶媒中で、 薬学上許容される酸、 例えば塩酸、 シユウ酸、 メタンスルホン酸 などと混合することで、 塩にすることができる。
以上のようにして得られる式 1のジピペラジン誘導体もしくはその塩、 および その製造中間体は、 通常行われる一般的方法により精製することができる。 その
ような精製法としては、 例えばカラムクロマトグラフィーを用いる精製法、 蒸留 による精製法、 あるいは、 再結晶法を用いることができる。
なお、 上記式 1のジピペラジン誘導体における各基は具体的には下記のものが 含まれる。
置換されていてもよいへテロアリール基の、 「ヘテロァリール基」 としては、 例えば 1〜 3個の窒素原子、 酸素原子および/または硫黄原子を含有する単環も しくは 2環の 5〜 7員のへテロアリール基が挙げられる。 具体的にはピリジル、 ピヲジル、 ピリダジニル、 イソチアゾリル、 ピロリル、 フリル、 チェニル、 チア ゾリル、 イミダゾリル、 ピリミジニル、 チアジァゾリル、 ピラゾリル、 ォキサゾ リル、 ィソォキサゾリル、 チォフエニル、 ピラジニル、 イソチアゾリル、 トリア ゾリル、 イミダゾロン一 1—ィル、 ォキサジァゾリル、 トリアゾリノン一^ ( レ、 ビラニル等の単環のへテロアリール基、 並びに、 インドリル、 クロメ-ル、 キノ .リグレ、 イソキノリノレ、 キノリュノレ、 ベンゾフリノレ、 ベンゾチェエノレ、 ベンズォキ サゾリノレ、 ベンゾチアゾリ/レ、 ベンズイソキサゾリノレ、 ベンズイソチアゾリノレ、 ベンゾトリァゾリル、 ベンズィミダゾリノレ、 1, 3—ベンゾジォキソリノレ、 2 , 3
—ジビドロ一 1, 4—ベンゾジォキシニノレ等の 2環のへテロァリール基等が挙げ られる。
置換されていてもよいフエニル基、 置換されていてもよいへテロァリ一ノレ基、 置換されていてもよいへテロァリレン基、 および置換されていてもよいフエニレ ン基における 「置換基」 としては、 例えば下記の置換基が挙げられ、 これらの任 意の 1または複数の置換基で置換してもよい。
置換基:水酸基、 ハロゲン原子、 アミノ基、 シァノ基、 ニトロ基、 アルキル基、 アルコキシ基、 力ルバモイル基、 スルファモイル基、 アルカノィル基、 アルカノ ィルォキシ基、 アルカノィルァミノ基、 アルコキシカルボニル基、 アルコキシ力 ルポニルァミノ基、 アルキルスルホニル基、 アルキルチオ基、 ウレイド基、 ハロ ゲン置換アルキル基、 ハロゲン置換アルコキシ基、 アルキル置換力ルバモイル基 等(なお、 これらの置換基は、 ここに記載の他の置換基によって置換されていて もよい)。 好ましい 「置換基」 の例としては、 ハロゲン原子、 シァノ基、 ハロゲ ン置換アルキル基およびハロゲン置換アルコキシ基、 アルキル基、 アルコキシ基、
力ルバモイル基、 アルキル置換力ルバモイル基等が挙げられる。
ァノレキレン基としては、 例えば、 炭素原子数 1〜6の直鎖状または分枝鎖状の アルキレン基が挙げられる。 具体的には、 メチレン、 エチレン、 トリメチレン、 テトラメチレン、 ペンタメチレン、 へキサメチレン、 メチルメチレン、 ェチルメ チレン、 ジメチノレメチレン、 1, 1ージメチノレエチレン、 1 , 2—ジメチノレエチレ ン、 1ーメチノレトリメチレン、 2—メチノレトリメチレン、 1, 1一ジメチノレトリ メチレン、 1 , 2—ジメチルトリメチレン、 1 , 3—ジメチルトリメチレン、 2 , 2—ジメチノレトリメチレン、 1—ェチノレトリメチレン、 2—ェチルトリメチレン 等が挙げられる。
炭素原子数 3〜5のアルキレン基は直鎖状または分枝鎖状であってよく、 具体 的には、 例えばトリメチレン、 テトラメチレン、 ペンタメチレン、 ェチルメチレ ン、 ジメチルメチレン、 1, 1—ジメチノレエチレン、 1, 2—ジメチノレエチレン、 1ーメチノレトリメチレン、 2—メチノレトリメチレン、 1, 1—ジメチ /レトリメチ レン、 1, 2—ジメチルトリメチレン、 1 , 3—ジメチ /レトリメチレン、 2 , 2 - ジメチルトリメチレン、 1ーェチルトリメチレン、 2一ェチルトリメチレン等が 挙げられる。
炭素原子数 2〜1 0のアルキレン基は直鎖状または分枝鎖状であってよく、 具 体的には、 例えばエチレン、 トリメチレン、 テトラメチレン、 ペンタメチレン、 へキサメチレン、 ヘプタメチレン、 ォクタメチレン、 ノナメチレン、 デカメチレ ン、 メチノレメチレン、 ェチノレメチレン、 ジメチノレメチレン、 1 , 1ージメチノレエ チレン、 1, 2—ジメチルエチレン、 1—メチノレトリメチレン、 2—メチノレトリ メチレン、 1 , 1—ジメチルトリメチレン、 1, 2—ジメチルトリメチレン、 1, 3 _ジメチノレトリメチレン、 2, 2—ジメチノレトリメチレン、 1—ェチノレトリメ チレン、 2—ェチノレトリメチレン、 1 , 1—ジェチノレトリメチレン、 1 , 2—ジェ チルトリメチレン、 1 , 3—ジェチルトリメチレン、 2 , 2—ジェチノレトリメチレ ン等が挙げられる。
炭素原子数 3〜1 0のアルキレン基は直鎖状または分枝鎖状であってよく、 具 体的には、 例えばトリメチレン、 テトラメチレン、 ペンタメチレン、 へキサメチ レン、 ヘプタメチレン、 ォクタメチレン、 ノナメチレン、 デカメチレン、 ェチノレ
メチレン、 ジメチル チレン、 1, 1ージメチルエチレン、 1 , 2—ジメチルェチ レン、 1—メチノレトリメチレン、 2—メチノレトリメチレン、 1 , 1—ジメチゾレト リメチレン、 1, 2—ジメチルトリメチレン、 1, 3—ジメチルトリメチレン、 2, 2—ジメチノレトリメチレン、 1ーェチノレトリメチレン、 2—ェチノレトリメチレン、 1 , 1ージェチノレトリメチレン、 1 , 2—ジェチノレトリメチレン、 1 , 3—ジェチ ルトリメチレン、 2, 2—ジェチルトリメチレン等が挙げられる。
アルキル基としては、 例えば炭素数 1〜 6の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキ ル基が挙げられ、 具体的にはメチル、 ェチル、 プロピル、 1ーメチルェチル、 ブ チノレ、 2—メチノレプロピル、 1, 1ージメチノレエチノレ、 ペンチル、 3—メチノレブ チル、 へキシノレ、 4—メチノレペンチル等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、 例えばフッ素原子、 塩素原子、 臭素原子、 ヨウ素原子 が挙げられる。
ハ口ゲン置換アルキル基およびノヽ口ゲン置換アルコキシ基とは、 それぞれ 1ま たは複数のハ口ゲン原子が置換したアルキル基およびアルコキシ基を意味し、 好 ましい例としては、 それぞれ例えばトリフルォロメチル、 トリフルォロメトキシ 等が挙げられる。
アルコキシ基としては、 例えば炭素数 1〜 6の直鎖状もしくは分岐鎖状のアル コキシが挙げられ、 具体的にはメ トキシ、 エトキシ、 プロボキシ、 1—メチノレエ トキシ、 ブトキシ、 2—メチルプロポキシ、 1 , 1—ジメチルエトキシ、 ペント キシ、 3一メチルブトキシ、 へキソキシ、 4ーメチノレペントキシ等が挙げられる。 アルカノィル基としては、 例えば炭素数 1〜6の直鎖状もしくは分岐鎖状のァ ルカノィル基が挙げられ、 具体例としてはホルミル、 ァセチル、 プロパノィル、 n—ブタノィル及びビバ口ィルが挙げられる。
アルキル置換力ルバモイル基としては、 具体的にはェチルカノレバモイル、 ジメ チルカルバモイル等のモノ一もしくはジーアルキル力ルバモイルが挙げられる。 置換されていてもよいアルキレン基、 置換されていてもよい炭素原子数 3〜 1 0のアルキレン基、 置換されていてもよい炭素原子数 2〜1 0のアルキレン基、 置換されていてもよい炭素原子数 3〜 5のアルキレン基、 置換されていてもよい シクロアルキリデン基、 および置換されていてもよいシクロアルキレン基の 「置
換基」 としては、 例えばノヽロゲン原子、 水酸基、 アルコキシ基等が挙げられる。 置換されていてもよいビニレン基の 「置換基」 としては、 例えばアルキル基、 ハロゲン原子等が挙げられる。 ビニレン基とじてはシス一またはトランス一ビニ レン基が挙げられる。
フエ二レン基としては 1, 2—フエ二レン基、 1, 3—フエ二レン基、 1, 4— フエ二レン基が挙げられる。
ヘテロァリレン基としては、 例えば窒素原子、 酸素原子および硫黄原子から選 ばれるへテロ原子 1〜 2個を含有する単環の 5〜 6員へテロアリレン基が挙げら れる。 具体的にはピリジン一ジィル、 ピラジン一ジィル、 ピリミジン一ジィル等 のへテロ原子として 1〜 2個の窒素原子のみを含有する単環の 6員環へテロァリ レン、 並びに、 イソチアゾーノレージィノレ、 ピロ一ノレ一ジィノレ、 フランージィノレ、 チォフェンージィル、 チアゾーノレージィノレ、 イミダゾーノレージィノレ、 チアジアゾ 一ノレージィノレ、 ピラゾーノレ一ジィノレ、 ォキサゾーノレ一ジィノレ、 イソォキサゾーノレ ―ジィル、 ィミダゾ口ン一ジィル、 ォキサジァゾールージィル等の単環の 5員環 ヘテロァリレン基等が挙げられる。
2価の脂肪族複環基としては、 例えば窒素原子、 硫黄原子および酸素原子から なる群から独立して任意に選択される 1〜 3個のへテロ原子を含む 5員環または 6員環の 2価の脂肪族複素環基等が挙げられる。 2価の 5員環脂肪族複素環基 の具体例としては、 例えばピロリジンージィル、 ピロリンージィル、 イミダゾリ ジンージィル、 ビラゾリジン一ジィル、 テトラヒドロフランージィル、 テトラヒ ドロチォフェンージィル、 ジォキソラン一ジィル等の窒素原子、 硫黄原子および 酸素原子からなる群から独立して任意に選択される 1または 2個の原子を含む 2 価の 5員環脂肪族複素環基が挙げられる。 2価の 6員環脂肪族複素環基として具 体的には、 例えばピぺリジン一ジィル、 ピぺラジン一ジィル、 モルホリン一ジィ ル、 テトラヒドロピラン一ジィル、 ジォキサン一ジィル等の窒素原子、 硫黄原子 および酸素原子からなる群から独立して任意に選択される 1または 2個の原子を 含む 2価の 6員環脂肪族複素環基が挙げられる。
置換されていてもよい 2価の脂肪族複素環基の 「置換基」 としては、 例えばァ ルキル基、 ォキソ基等が挙げられる。
シクロアルキリデン基としては、 例えばシクロプロピリデン基、 シクロブチリ デン基、 シクロペンチリデン基、 シクロへキシリデン基などの炭素原子数 3〜 6 のシクロアルキリデン基が挙げられる。
シクロアルキレン基としては、 例えばシクロプロピレン基、 シクロブチレン基、 1, 2—シクロペンチレン基、 1, 3—シクロペンチレン基、 1, 2—シクロへキ シレン基、 1 , 2—シクロへキシレン基、 1, 3—シクロへキシレン基、 1,4一 シク口へキシレン基などの炭素原子数 3〜 6のシクロアルキレン基が挙げられる。 ミオシンの軽鎖への結合能を有する化合物を治療に使用する場合には、 これを 医薬組成物とし、 経口的または非経口的 (例えば、 静脈内、 動脈內、 皮下、 もし くは筋肉内注射、 局所的、 経直腸的、 経皮的、 または経鼻的)に投与することが できる。 経口投与のための組成物としては、 例えば、 錠剤、 カプセル剤、 丸剤、 顆粒剤、 散剤、 液剤、 懸濁剤などが挙げられ、 非経口投与のための組成物として は、 例えば、 注射用水性剤、 もしくは油性剤、 軟膏剤、 クリーム剤、 ローション 剤、 エアロゾル剤、 坐剤、 貼付剤、 持続性製剤などが挙げられる。 これらの製剤 は、 従来公知の技術を用いて調製され、 製剤分野において通常使用される無毒性 力つ不活性な担体もしくは賦形剤を含有することができる。 このような剤形は、 医薬として許容される通常の担体、 賦形剤、 結合剤、 安定剤、 緩衝剤、 溶解補助 剤、 等張剤と本発明の有効成分を配合することにより製造することができる。 投与量、 投与回数は、 患者の症状、 症歴、 年齢、 体重、 投与形態等によって異 なるが、 例えば成人 (体重 6 0 k g )に経口投与する場合、 通常、 1日当たり 1〜 3 0 0 m g、 好ましくは 1〜5 O m gの範囲で適宜調整して、 一回または数回に 分けて投与することができる。
以下に製造例および実施例をあげて本発明をより詳細に説明する。
製造例 1
4一 [ 4— (トリフルォロメチル)ベンジル]一 N— [ 4— ( { 4— [ 4一(トリフルォ 口メチル)ベンジル]一 1一ピぺラジュル}カルボ-ノレ)フエニル]一 1一ピペラジ ンカルボキサミドの合成
( 1 ) 4一 [ ( 1一ピペラジニルカルボ-ル)ァミノ]安息香酸の合成
トリホスゲン(2 . 9 7 g、 1 0 . O mm o 1 )を丁11 (1 O m l )に溶かして
0°Cで撹拌し、 p—ァミノ安息香酸(2.74 g、 20. Ommo 1)の THF (1 80ml)溶液を 1時間かけて滴下した。 そのまま 0 °Cで 1時間撹拌した後、 1 —ピペラジンカルボン酸 t e r t—プチル(5.60 g、 30. Ommo 1 )を加え て室温で 30分間撹拌した。 反応を飽和重層水を加えて終結させ、 水層を酢酸ェ チルで洗浄した。 水層を濃塩酸を少しずつ加えて pH3〜4にして、 THFで抽 出した。 THF層は 1Nの希塩酸で洗浄し、 硫酸マグネシウムで乾燥した。 溶媒 を留去すると、 標題化合物を白色固体として(5.08 g、 14. 5mmo l、 7 2. 7%)得た。
¾ NMR (CDC13, 300 MHz) δ 8.92 (s, 1 Η), 7.82 (d, 2 Η, J = 8.8 Hz), 7.58 (d, 2 H, J = 8.8 Hz), 3.45一 3.43 (m, 4 H), 3.37 - 3.35 (in, 4 H),
1.42 (s, 9 H)
(2) 4— [4— ({[4_( t e r t _ブトキシカルボ二ル)一 1—ピペラジニル]力 ルポ二ノレ }ァミノ)ベンゾィノレ]— 1—ピぺラジンカルボン酸 t e r t一プチルの 合成
4_[(1ーピペラジニルカルボエル)ァミノ]安息香酸(5.06 g、 14.5m mo 1)を DMF6 Omlに溶力 し、 1—ピぺラジンカルボン酸 t e r t—プチ ノレ(2.98 g、 15. 9mmo l)、 1—ェチノレ _ 3—( 3,ージメチルァミノプロ ピル)カルポジィミド塩酸塩 (WS C I—塩酸塩、 3.34 g、 17.4mmo 1 ) 1ーヒドロキシベンゾトリァゾール( 2.35 g、 17.4mmo 1 )、 トリェチノレ ァミン(2.4ml、 17mmo 1)を順次加えて室温で 27時間撹拌した。 飽和 重層水を加えて、 反応を終結させ、 酢酸ェチルで抽出した。 これを飽和重層水で 洗浄し、 無水硫酸マグネシウムで乾燥した。 濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマ トグラフィー (酢酸ェチル:へキサン =2 : 1→3 : 1)で精製し、 標題化合物を 白色固体として 4.90 g (9.47mmo 1 , 65. 3%)得た。
¾ NMR (CDC13, 300 MHz) δ 7.41 - 7.34 (m, 4 H), 6.53 (s, 1 H), 3.51 -
3.44 (ra, 16 H), 1.48 (s, 9 H), 1.47 (s, 9 H)
( 3 ) N— [ 4—( 1 _ピペラジニルカルポニル)フェュノレ]— 1—ピペラジンカルボ キサミドの合成
4-[4-({[4-( t e r t—ブトキシカノレポ二ノレ)_ 1ーピぺラジュノレ]力ノレ
ボニル }ァミノ)ベンゾィノレ]— 1—ピぺラジンカルボン酸 t e r t—プチル(4. 90 g、 9.47mmo 1 )を酢酸(6 Om 1 )に溶かして、 4 N塩化水素 Zジォキ サン( 20 m 1 )を加え、 30分間 50 °Cで撹拌した。 溶媒を留去して、 トルエン、 メタノールで数回、 酢酸を共沸留去することにより、 標題化合物を白色固体とし て(4.46 g、 11.4mmo l、 100%)得た。
(4)目的化合物の合成
( 3 )で得た N— [ 4— ( 1—ピペラジ-ルカルポエル)フェニル]— 1—ピペラジ ンカルボキサミド(1 10mg、 0.282mm o 1 )を DMF ( 6 m 1 )に溶かし て、 炭酸カリゥム(195mg、 1.4 lmmo 1 )および 4— (トリフルォロメチ ル)ベンジルブ口マイド(270mg、 1.13 mm o 1 )を力 tlえて 50。Cで 5時間 撹拌し、 室温で終夜撹拌した。 水を加えて反応を終結させ、 酢酸ェチルで抽出し た。 飽和重層水で洗浄し、 無水硫酸マグネシウムで乾燥し、 溶媒を留去した。 残 さをクロ口ホルムに溶かして、 シリカゲノレ力ラムクロマトグラフィー(酢酸ェチ ル:メタノール =20 : 1→10 : 1)で精製することで、 標題化合物(69. 7 mg、 O. 110mmo l、 39.0 %)を白色固体として得た。
¾腳 R (CDC13, 300 MHz) 8 7.60 - 7.57 (ra, 4 H), 7.47 - 7.43 (m, 4 H), 7.37 - 7.27 (ra, 4 H), 6.88 (s, 1 H), 3.58 - 3.51 (ra, 12 H), 2.49 - 2.46 (m, 8 H)
製造例 2
4— ( 4一アジドベンジル)一N— (4— {[4一(4一アジドべンジノレ) _ 1—ピぺ ラジ -ル]カノレポ-ノレ }フェ二ノレ)一 1一ピペラジンカルボキサミドの合成
( 1) 4—アジドベンジルアルコールの合成
4ーァミノべンジルアルコール(4. 93 g、 40. Ommo 1)を 25m 1の 4. 3 N希塩酸に溶かし、 0。Cで攪拌した。 この溶液に、 亜硝酸ナトリウム( 2.90 g、 42.0 mm o l)を 10mlの蒸留水に溶かした水溶液を滴下した。 そのま ま、 0°C攪拌を 2時間続けた後、 濾別して濾液を 0°C攪拌しながら、 アジ化ナト リゥム(2, 73 g、 42. Ommo 1)を 1 Om 1の蒸留水に溶かした水溶液を滴 下した。 滴下後、 室温でさらに 2時間攪拌した。 酢酸ェチルを加えて抽出し、 有 機層を飽和重曹水で洗浄した。 無水硫酸マグネシウムで乾燥後、 溶媒を減圧留去
して標題化合物を褐色結晶として 5. 12 g (34. 3mmo 1, 85.8%)得た。 ¾ NMR (CDC13, 300 MHz) S 7.36 (d, 2 H, J = 8.1 Hz) , 7.02 (d, 2 H, J = 8.1 Hz), 4.67 (s, 2 H)
(2) 4— (4—アジドベンジル)一 N— (4— {[4ー(4—アジドベンジル)一 1― ピペラジニノレ]カノレポ二ノレ }フエ二ノレ) - 1 -ピペラジン力ノレボキサミドの合成 上記(1)の化合物(99.0mg、 664/xmo l)を 5mlの THFに溶かし て、 0°Cで攪拌した。 この溶液に、 メタンスルホ二ノレクロライド(83. 7m g、 730 /mo l)、 トリエチノレアミン(300 μ 1、 2.2 mm ο 1 )をゆっくりカロ えた。 0でで 2時間攪拌した後、 参考例 2の化合物(143mg、 366/ mo 1)を加えた。 続いて、 40°Cに加熱して、 2時間攪拌した。 飽和重曹水で反応 を終結させ、 酢酸ェチル—トルエン(2 : 1)で抽出した。 飽和重曹水で洗浄して、 無水硫酸マグネシウムで乾燥した。 溶媒を減圧留去して得られた残渣をシリカゲ ルクロマトグラフィー(齚酸ェチル:メタノール =40 : 1→10 : 1)で精製し て、 標題化合物を白色結晶として、 37. Omg (63.8 Aimmo 1、 17.
4%)得た。
XH NMR (CDC13, 300 MHz) δ 7.38-7.29 (m, 8 Η), 7.01 (d, 2 Η, J = 3.3 Hz) , 6.98 (d, 2 H, J = 3.3 Hz), 6.54 (s, 1 H), 3.80—3.45 (m, 8 H), 3.51 (s, 2 H), 3.49 (s, 2 H), 2.49-2.35 (m, 8 H)
実施例 1
製造例 1の化合物の糖消費促進作用
(1)細胞の調製
L 6細胞を 6 X 103細胞 Zゥェルの濃度で 96穴プレートに播種し、 10 % FBS、 a-MEM(High Glucose)培地で十分コンフルェントになるまで培養し た。 D a y 0に培地を 2%FB S、 a—MEM (High Glucose)培地に交換し、 D a y 2および D a y 3の細胞を筋筒細胞として使用した。
(2)薬物添加
製造例 1の化合物を使用直前に 2 % F B S、 a -MEM (High Glucose)培地で 希釈した。 細胞プレートの培地を除去し、 希釈した化合物溶液を各ゥエルに添加 した。 C02インキュベーターで約 24時間培養した。
( 3 )培養上清中ダルコース消費量測定
培養後の培養上清を回収し、 0.1%SDSを含む生理食塩水で希釈し、 攪拌 した。 希釈したサンプルを、 96穴プレートに分注した反応液(グルコース C I Iテストヮコ一、和光純薬 439-90901)に添加し、 攪拌後室温で 15分 放置した。 505 nmの吸光度と 750 nmの吸光度(バックグラウンドのコン トロール)の差を測定し、 標準品(キット付属のスタンダードより調製、 濃度 10 0-50 Omg/d 1 )から求めた検量線に内挿して、 グルコース濃度を求めた。
(4)結果の解析
陽性コントロール(メ トホノレミン塩酸塩 10 mM)によるダルコース消費の変動 幅 (促進量)を基準( 100 %)として計算した製造例 1の化合物によるグルコース 消費の変動幅を以下の表に示す。
実施例 2
製造例 1の化合物の血糖値低下作用
(1)使用動物
日本クレアより 7週齢の雌性 d b/d bマウス(体重約 35 g、 S PFグレー ド)を購入した。 C E— 2飼料(日本クレア)、 および上水(ォートクレーブ滅菌) を自由摂取させ、 標準の大ケージにて予備飼育を 1週問行った後、 実験に使用し た (実験開始時は 8週齢)。
(2)投与用薬物の調製
投与用薬物は粉末 C E一 2飼料に、 製造例 1の化合物を 0.001%、 0.00 3%、 0.01%の割合で混合した。
(3)実験スケジュール
実験開始 3前日(Da y O)に HbAl c値を測定し、 実験当日(D a y 1 )に血 糖値と体重を測定し、 HbAl c値と血糖値と体重をもとに偏りがないよう 1群
6匹に群分けし、 標準の中ケージに個別飼育で実験を開始し、 14日間混餌投与 を行った。 14日目に 2時間絶食させた後、 尾静脈より採血し、 アントセンス I
I (バイエル '三共)を用いて血糖値を測定した。 結果を以下の表に示す。
製造例 1の化合物
0 0.001 0.003 0.01 混餌量 (%) 血糖値 (mg/ d 1) 420±71 269±85 130±27 89 ±29 実施例 3
本発明化合物の対象となる結合タンパク質の解析
製造例 2のアジド体を L 6細胞 (筋筒細胞)の膜画分と混合した対照サンプルお よび製造例 2のアジド体を L 6細胞の膜画分と混合した後に光照射によりクロス リンクさせたサンプルについて、 タンパク質の変動を SDS— PAGE法により 比較した。 変動の認められたタンパク質を酵素消化し、 マススペクトル解析する ぺプタイド ·フィンガープリント法により同定した。
(1)実験方法
( i)製造例 2のアジド体の L 6細胞タンパク質へのクロスリンク
L 6細胞(ラット筋細胞) T 15 OX 10プレート分を冷 P B Sで 2回洗浄した。 セ スクレイパーにて細胞を回収し、 50ml遠沈管に入れ、 4°Cで、 2000 r pm 10分間遠心し細胞を集めた。 細胞を適当量 (約 10ml)の細胞膜抽出 バッファー(5 OmM T r i s— HC 1、 1 OmM Mg C 12 2.5mM E DTA、 pH7.4)に懸濁し、 テフロンホモジナイザーを用いて 400 r pm、 X 20ストロークで破碎した。 4°Cで、 2000 r pm、 10分間遠心し、 上清 を回収した。 超遠心(40000〜48000 g)を行い、 沈殿を約 1 m 1の細胞 膜抽出バッファ一にて懸濁し、 テフロンホモジナイザーを用いて 700 r pm、 x 5ストロークで溶解した。 タンパク質定量を行い、 約 lmg mlになるよう 希釈し、 分注し一 80 °Cで保存した。
製造例 2のアジド体を 40 Mになるよう添加し U V照射した。 本化合物は C L- 100 OUVクロスリンカー(フナコシ社)を用いて 254 nmの UVを 60 0000 JZ cm2で照射することにより蛋白質とクロスリンクする。 UV照 射しないサンプルを対照サンプルとした。
(ii) SDS— PAGE法による解析
13 X 13 c mのポリアクリルアミドゲル (濃縮ゲル: T 4 %、 p H 6.8分 離ゲル: T 15%、 pH8.8ゲル厚 lmm)に 40 μ g/lレーン(1 Omm幅)
をアプライし、 スラブ型泳動漕を用いて泳動した。 サンプルバッファーには還元 剤を添加せず、 非還元条件下で泳動した。 泳動バッファ一としては定法の Tr i s—グリシン一 SDS系を使用した。 100Vで泳動を開始し、 プロモフエノー ルブルー(B P B)が分離ゲノレに入った後に、 150 Vで展開した。 B P Bが下端 に移動した時点で泳動を終了した。 タンパク質を第一化学社製の銀染色試薬 「第 一」 を用いて染色した。. .
(iii)酵素消ィ匕
クロスリンクしたサンプルで低下が認められたタンパク質バンドについて構造 角军析するため、 対照サンプルを SDS— PAGEした分子量約 20 k D aの銀染 色で染まったバンドをカッターナイフで切り出し、 エツペンドルフチューブに入 れ、 50 mM炭酸水素ァンモユウム溶液を 200 1添加し 10分間静置し、 1 00%ァセトニトリルを 200 1添加し 10分間放置した。 その後、 ァセトニ トリルを除き、 s p e e d V a cでゲルを乾固した。 次に、 10 mM ジチォス レイ トール(DTT)を含有する 5 OmM炭酸水素アンモニゥム溶液を 200 At 1 添加し、 56 °Cで 30分間インキュベートした。 インキュベート終了後、 サンプ ルを室温にもどし、 50 mMョゥ化ァセトアミド溶液に置き換え、遮光条件下室 温で 30分間反応させた。 反応終了後、 液を除き 50 mM炭酸水素アンモニゥム 溶液を 200 μ 1添加し、 10分間放置し、 続いて 100 %ァセトニトリルに置 き換え 10分間放置した。 もう一度、 前述の操作を繰り返し、 s p e e d V a c でゲルを乾燥させた。 乾燥したゲノレに、 l O ng/μ Ι トリプシン (ベーリンガ 一 ·マンノヽィム社製 Trypsin、 modified^ sequence grade; / 25mM尿酸 τ 素ァ ンモユウム溶液を 5 μ 1添加し、 25 mM炭酸水素ァンモユウム液を 15 1加 え、 37 °Cで 20時間酵素消化をおこなつた。
酵素消化終了後、 ゲルを 25 mM炭酸水素アンモニゥム液 50 1、 ァセトニ トリノレ 50/i l、 25 mM炭酸水素アンモニゥム液 50 μ 1で抽出し、 ァセトニ トリル 50 / 1、 ギ酸(5μ 1)、 それぞれ添加後 20分間放置することにより、 ぺプチドの抽出をおこなった。 抽出液はプールし、 s p e e d V a cで乾燥後、 0.5%トリフロロ酢酸 10 μ 1に再溶角 し、 Z i pチップを用いて脱塩し、 M S分析のサンプルとした。
(iv)マススぺク トノ HI军析
マススぺクトノレ用のサンプルプレート上に、 マトリックス溶液 (飽和 a— CH CA) 0.5 μ 1添加し、 その上からサンプル 0. 5 μ 1を加え風乾した。 風乾後、 サンプルプレートを Vo y a g e r R P— D E (日本パーセプティブ)に揷入し分 析した。
(2)実験結果
SSG5485アジド体の L 6細胞タンパク質へのクロスリンクさせたサンプ ルおよび対照サンプルについて、 SDS— PAGE法による解析を行った。 光照 射によりクロスリンクさせたサンプルで分子量約 20 k D aのバンドが約 50 % 減少することが確認された。 対照サンプノレから、 分子量約 20 kDaのバンドを 切り取り、 トリプシンによる酵素消化をした後に、 質量分析法によるペプチドマ スフインガープリント法で解析した結果、 984.443、 1281. 59、 13 82.7、 1542.68、 1784.8、 2356. 16の MH+分子イオンピー クが検出された。 ロックフェラ一大学の解析ソフト ProFound (http: //prowl. rockfeller. edu/cgi - bin/ProFound)を用いて、 NC B I (National Center for
Biotechnology Information)のデータベースを検索した結果、 ラットミオシン軽 鎖(Rat Myosin Light chain I) (分子量 21 Kd a、 理論!) I 4.9、 SWISS - Plot P17209)と同定された。
この実験結果から、 SSG5485アジド体がクロスリンクすることにより量 が低下したタンパク質がラットミオシン軽鎖である事が明らかになった。
実施例 4
製造例 1の化合物により発現変動する蛋白質の解析
製造例 1の化合物で 24時間処理した L 6細胞および未処理 L 6細胞からタン ノ、。ク質を抽出したサンプルについて二次元電気泳動法により解析した。 変動した タンパク質をマススぺク トノレ法により同定した。
(1)サンプル調製
製造例 1の化合物を添加し、 径 8 c mのシャーレで 24時間培養した L 6細胞 および未処理 L 6細胞からタンパク質を下記の I E Fサンプル緩衝液 200 μ 1 で抽出した。 I E Fサンプノレ緩衝液: 7 Μ尿素、 2 Μチォゥレア、 4 %チヤップ
ス、 1%トライトン X— 1 00、 0. 8% I PG緩衝液 3— 10、 1 %ジチォス レイ ト一ノレ DTT、 20mMトリス、 5 mMぺフアブロック(Pefabloc)。
( 2 )二次元電気泳動法による解析
上記サンプル溶液( 3 O O/i g相当、 約 50 μ 1)に膨潤緩衝液 20 μ \を添加 し、 一次元目電気泳動ゲル、 ドライストリップ DryStrip H 4— 7、 1 8 cm を終夜膨潤させた。 膨潤バッファー: 8M尿素、 0. 5%トライトン X— 100、 2% I PG緩衝液 3 _ 1 0、 1 5 m g / 1 DTT。 200〜3 500 で1 時間、 3500Vで 3時間、 等電点電気泳動した。
二次元目電気泳動は、 1 0 m g Zm 1 DTTを含む平衡化緩衝液で 20分間、 45 m g /m 1ョードアセトアミドを含む平衡化緩衝液で 20分間平衡化した後、
1 1. 5%のアクリルアミドゲルを用い、 サンプルがゲルに入るまで、 100 V の定電圧で、 その後 50 m AZゲルの定電流で約 4 h r泳動した。 銀染色キット (アマシャム■ ファノレマシア ·バイオテク社製)を用いて染色した。
(3)トリプシン消化
上記の変化が顕著であったスポットをゲルから切出し、 洗浄後、 1 OmM D
TT、 56 °Cで 30分間還元し、 つづいて、 5 OmMヨウ化ァセトアミドで 30 分間アルキル化の操作をおこなった。 還元アルキル化終了後、 ゲルの洗浄をおこ ない、 スピードバックを用い減圧下、 乾固させたゲルに酵素液(トリプシン 0. 0 1 x g ^ 1 )を 5 μ 1添加し、 37 °Cで終夜酵素消化をおこなつた。
(4)マススぺク トル分析
酵素消化後、 100%ァセトニトリルと 5 OmM炭酸水素アンモニゥムを用い、 ゲルから消化されたペプチドを抽出し、 スピードバックを用い減圧下、 乾固した。 次に、 0. 5%トリフルォロ酢酸(TFA) 1 0 1で再溶解し、 ジップチップ(ミ リポア社製)で脱塩した。 脱塩したサンプル(6 μ 1)の內、 0. 5 μ 1を MALD I一 TO Fサンプノレプレート上にのせ、 プレート上でマトリックス液(α— CH
C Α飽和液) 0. 5 μ 1と混ぜ乾固させた。 M Sの測定は、 M A L D I— T O F (日本パーセプティブ社製、 ボイジャー Voyager DE-RP)を用いておこなった。 得 られたペプチドのマススぺクト 罕析は、 プロフアウンド ProFound検索プログラ ムを使いデータベース検索をおこなつた。
( 5 )実験結果
S S G 5 4 8 5処理した L 6細胞サンプルおょぴ対照サンプルについて、 S D S— P AG E法による解析を行った結果、 分子量 2 1 k D a、 等電点 5のタンパ ク質が増カロした。 マススぺクトノ 析の結果、 ラットミオシン軽鎖 1、 アトリア ルァイソフォームと同定された。
本実験結果から、 製造例 1の化合物は筋収縮に重要なミオシンの代謝経路に作 用することが明らかになつた。
実施例 5
ミォシンの軽鎖への結合能を有する化合物のスクリ一ユング方法
文献 [Anal Biochem. 1998 Dec 15 ;265 (2) : 340- 50. Markgren P0 et al. ]に記 載されている一般的な方法を用いた。 ミオシン軽鎖またはミオシン (例えば 1〜 1 0 μ g )を 1 0 mMの酢酸バッファー( ρ H 4 )に溶解し、 ビアコアのセンサー チップ CM 5の表面のマトリッタスにカルボキシル基を介して固定ィヒした。
H B Sバッファー(アマシャム■フアルマシア ·バイオテク株式会社製)をセン サーチップに 2 0 1 /分の流速で流し、 バックグラウンドの値を記録した。 途 中から HB Sバッファーに 1 0 n M〜 1 0 μ Mの濃度で溶解した被検化合物に切 り替えて 1分間流し、 薬剤の結合に伴う値の変化を記録した。 再び、 薬剤を含ま ない H B Sバッファーに切り替え、 結合した薬剤の解離に伴う値の変ィ匕を記録し た。 結合と解離の速度、 あるいは最大結合量から被検化合物とミオシン軽鎖との 親和性を計算した。
ジピペラジン誘導体の標識体のミオシン軽鎖への結合を指標としたスクリーェ ング法は、 例えば、 文献 J. Med. Chera, 42, 4370-4376, 2000 Maria A.
Bednarek et al. に記載の方法に準じ、 0. 5% ポリエチレンイミン■プレゥエツ ト ·フイノレター (polyethylenimine prewet filter)を用 ヽて実施でさる。
実施例 6
製造例 1の化合物の血圧降下作用
製造例 1の化合物をラットもしくはマウスに経口投与したのちに、 血圧降下作 用は、 例えば、 ラット 'マウス用無加温型非観血式血圧計 (室町機械)を用いて、 尾動脈圧の経時変ィ匕を測定することにより、 非観血的に測定できる。
実施例 7
製造例 1の化合物の局所麻酔作用
製造例 1の化合物をラットもしくはマウスに皮下注射もしくは経皮的に投与し た後、 物理的刺激に対する反応をスコァ化して観察することにより評価できる。 実施例 8
製造例 1の化合物のミオシンの A T P消費活性作用
ゥサギの骨格筋より単離精製したミオシンを用いて、 製造例 1の化合物の存在 Γ \ 文!^ (Biochemical and Biophysical research communications 230, 76- 80, 1997, Atsuko Hikikoshi Iwane et al. )に記載の方法により、 ミオシンの A T P消費活性を測定することができる。
産業上の利用の可能性
本発明において、 式(I )で示されるジピペラジン誘導体は、 筋肉細胞中のミオ シンの軽鎖に結合することにより、 ミオシンの AT P消費活性を促進し、 その結 果細胞内のグルコース消費を高め、 ひいては血糖値を低下させることが判明した。 したがって、 ミオシンの軽鎖に結合する物質は式(I )の化合物と同様、 糖尿病治 療剤として使用でき、 また、 ミオシンの軽鎖に結合する物質は、 筋肉組織の運動 機能促進剤、 抗肥満薬および高脂血症治療剤、 高血圧治療剤、 局所麻酔剤として も使用することができる。