明細書
新規ヒ トトポイソメラーゼ 2 α阻害蛋白質及びその利用 技術分野
本発明は、 新規ヒ トトポイソメラーゼ 2ひ結合因子及びその利用に関する。 以 下、 ヒ トトポイソメラーゼ 2 αを Τ0ΡΠα、 ヒ トトポイソメラーゼ 2 α結合因子 を ΙΤΠαと記載する。 より詳細には、 本発明は、 ΤΟΡΠαと相互作用してその活 性を阻害することができる ΙΤΠα、 該 ΙΤΠαのアンチセンスオリゴヌクレオチ ド、 該 ΠΊ laを認識する抗体、 並びにそれらを用いた薬剤に関する。 さらに本発 明は、 上記 ΙΤΠαと ΤΟΡΠαとの相互作用を阻害する物質をスクリーユングする 方法にも関する。 背景技術
DNAトポイソメラーゼは、 細菌からヒ トに至るほとんどすべての生物に存在 し、 細胞の増殖に必要不可欠な酵素である。 特に、 II型のトポイソメラーゼ (ト ポ II又は Τ0ΡΠ とも称する) は、 細胞内で転写、 アポトーシス、 細胞分化、 が ん化などと関連することが明らかにされてきた。 Τ0ΡΠ は、 複製や転写などによ る DNA内の過剰なねじれをほどいたり (relaxation活性)、 染色体の凝縮や分 離、 分配時における DNA間の絡まり、 もつれを除去する (decatenation活性) 機 能を有する。
大腸菌では、 DNAジャィレース (Τ0ΡΠ) のスーパーコィリング活性 (弛緩 型 DN Aを超らせん型 DN Aに変換させる活性) を阻害するタンパク質 (Gyrl) が見い出されている。 そこで T0PIIの機能を調節するタンパク質がヒ トにも存在 する可能性があると考えて, HeLa細胞から Gyrl相同タンパク質を探索した。 そ の結果、 ΤΟΡΠαと結合し、 その活性を阻害するタンパク質 (ITIIc が見出さ れた。
ΤΟΡΠαは、 発現動態が細胞の増殖や腫瘍化に深く関与していることから、 基
礎から臨床的な分野まで広く関心を集めてきた。 ΤΟΡΠ αと相互作用する因子に ついても精力的に調べられ、超らせん化因子、 p53、 casein kinase, c - Jun、 sgsl、 Rb タンパク質など多数のタンパク質が報告されている。 このように、 ΤΟΡΠ αの 機能調節因子を見い出すことは、 細胞周期に関連する新しい癌抑制遺伝子産物の 発見や、 発癌機構の解析につながると考えられる。
また、 トポイソメラーゼは、 抗癌剤のターゲットであるが、 従来の抗癌剤はト ポイソメラーゼとの反応中間体であるクリ一バブル複合体の状態でその機能を停 止させるため、 結果的に切断された D N Aを生じる。 これが副作用の要因の一つ と考えられている。 Τ0ΡΠひの調節因子を見い出すことは、 新しい抗癌剤のター ゲットに有用であり、 クリーバブル複合体を形成しない副作用の少ない抗癌剤の 開発に大きく貢献できる。
正常細胞の Τ0ΡΠ αの発現量は、 S期で緩やかに増加し、 G2/M期で急激に増加 して M/G1移行期に急速に分解することが報告されている。 一方、癌細胞の Τ0ΡΠ aの発現量は、 細胞周期を通じて常に一定量細胞内に存在することが知られてい る。 正常細胞と腫瘍細胞で TOPI I cの発現量に認められるこのような違いを解明 することは、 ガン化のメカニズムの解析にも発展する可能性を含んでいると考え られる。 発明の開示
本発明は、 ΤΟΡΠ αと結合するタンパク質である ΙΤΠ αの生理的機能を解明す ることを解決すべき課題とした。 さらに本発明は、 ΙΤΠ αの生理的機能に基づい た新規な薬剤を提供することを解決すべき課題とした。 さらに本発明は、 Τ0ΡΠ aと ΙΤΠ αとの相互作用を利用して、新規な医薬品をスクリーニングする方法を 提供することを解決すべき課題とした。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討し、 先ず、 HeLa細胞から見い 出した ΙΤΠ αの機能の解明を試みた。 その結果、 ΙΤΠ αは Τ0ΡΠ活性を阻害する ことが判明し、 細胞周期に依存して ΤΟΡΠ αの機能を制御している可能性が示唆
された。 そこで、 本発明者らはさらに、 ΙΤΠ α;の生理的機能、 特に ΙΤΠ ο;の強制 発現およびアンチセンスによる発現抑制が細胞 (ΤΟΡΠ αの発現量) に与える影 響、 ΙΤΠ αの発現量と ΤΟΡΠ ο;の発現量との相関性の有無、 さらには正常細胞と 腫瘍細胞におけるその発現量の相違の有無を検討した。 その結果、 ΙΤΠ αの強制 発現により細胞にアポトーシスが誘導されること、 ΙΤΠ aの発現抑制により ΤΟΡΠ αの発現が増大すること、 さらに正常細胞と腫瘍細胞では ΤΟΡΠ αと ΙΤΠ c の発現量が相違していること等を見出した。 本発明はこれらの知見に基づいて 完成したものである。
即ち、 本発明によれば、 下記の何れかのアミノ酸配列を有するヒ トトポイソメ ラーゼ 2 ひ結合因子を含むヒ トトポイソメラーゼ 2 α阻害剤が提供される。 ( a ) 配列番号 1に記載のァミノ酸配列;又は
( b ) 配列番号 1に記載のアミノ酸配列において 1から数個のアミノ酸が欠失、 置換及び/又は挿入したアミノ酸配列を有し、 ヒ トトポイソメラーゼ 2 αと相互 作用してその活性を阻害することができるァミノ酸配列:
本発明の別の態様によれば、 配列番号 1に記載のアミノ酸配列における部分ァ ミノ酸配列を有するタンパク質を含む、 ヒ トトポイソメラーゼ 2 α阻害剤が提供 され、 例えば、 配列番号 1 0に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質を含む、 ヒ トトポイソメラーゼ 2 α阻害剤が提供される。
本発明の別の態様によれば、 下記の何れかのアミノ酸配列を有するヒ トトポィ ソメラーゼ 2 α結合因子を含むアポトーシス誘導剤が提供される。
( a ) 配列番号 1に記載のァミノ酸配列;又は
( b ) 配列番号 1に記載のァミノ酸配列において 1から数個のァミノ酸が欠失、 置換及び/又は挿入したアミノ酸配列を有し、 ヒ トトポイソメラ一ゼ 2 αと相互 作用してその活性を阻害することができるァミノ酸配列:
本発明のさらに別の態様によれば、 バキュロウィルスを用いて昆虫細胞で発現 させた組み換えタンパク質であることを特徴とする、 下記の何れかのアミノ酸配 列を有するヒ トトポイソメラ一ゼ 2 α結合因子が提供される。
( a ) 配列番号 1に記載のァミノ酸配列;又は
( b ) 配列番号 1に記載のアミノ酸配列において 1から数個のァミノ酸が欠失、 置換及び Z又は挿入したアミノ酸配列を有し、 ヒ トトポイソメラーゼ 2 αと相互 作用してその活性を阻害することができるアミノ酸配列:
本発明のさらに別の態様によれば、 下記の何れかの塩基配列中の連続する 5か ら 1 0 0の塩基配列のアンチセンス配列から成るアンチセンスオリゴヌクレオチ ドが提供される。
( a ) 配列番号 2に記載の塩基配列列;又は
( b ) 配列番号 2に記載の塩基配列において 1から数個の塩基が欠失、 置換及び ノ又は挿入した塩基配列を有し、 ヒ トトポイソメラーゼ 2 αと相互作用してその 活性を阻害することができるタンパク質をコードする塩基配列:
本発明のさらに別の態様によれば、 上記アンチセンスオリゴヌクレオチドを含 む、 ヒ トトポイソメラーゼ 2 ひ結合因子の阻害剤が提供される。
本発明のさらに別の態様によれば、 上記アンチセンスオリゴヌクレオチドを含 む、 ヒ トトポイソメラーゼ 2 ひの発現増強剤が提供される。
本発明のさらに別の態様によれば、 上記アンチセンスオリゴヌクレオチドを含 む、 アポトーシス誘導剤が提供される。
本発明のさらに別の態様によれば、 上記アンチセンスオリゴヌクレオチドを含 む、 抗癌剤が提供される。
本発明のさらに別の態様によれば、 下記の何れかのアミノ酸配列を有するヒ ト トポイソメラーゼ 2 ひ結合因子を認識する抗体、 又はその断片が提供される。 ( a ) 配列番号 1に記載のァミノ酸配列;又は
( b ) 配列番号 1に記載のァミノ酸配列において 1から数個のアミノ酸が欠失、 置換及び/又は挿入したアミノ酸配列を有し、 ヒ ト トポイソメラーゼ 2 ひと相互 作用してその活性を阻害することができるァミノ酸配列:
本発明のさらに別の態様によれば、 被験物質の存在下において、 下記の何れか のアミノ酸配列を有するヒ トトポイソメラーゼ 2 a結合因子と、 ヒ トトポイソメ
ラーゼ 2 αとの相互作用を測定し、 該相互作用を阻害する物質を選択することを 特徴とする、 ヒ トトポイソメラーゼ 2ひ結合因子の阻害剤のスクリーユング方法 が提供される。
( a ) 配列番号 1に記載のァミノ酸配列;又は
( b ) 配列番号 1に記載のァミノ酸配列において 1から数個のァミノ酸が欠失、 置換及び Z又は挿入したアミノ酸配列を有し、 ヒ トトポイソメラーゼ 2 αと相互 作用してその活性を阻害することができるァミノ酸配列:
好ましくは、 被験物質は、 低分子化合物、 抗体、 オリゴヌクレオチド、 又はそ れらのライブラリーである。
本発明のさらに別の態様によれば、 上記方法により得られる、 ヒ トトポイソメ ラーゼ 2 α結合因子の阻害剤が提供される。 図面の簡単な説明
図 1は、 ΙΤΠ aの塩基配列およびァミノ酸配列を示す。
図 2は、 ΙΤΠ aの過剰発現による細胞内の局在を示す。
COS- 1細胞で ΙΤΠ αを発現後、 抗 Τ7抗体を用いてィムノブロットにより ΙΤΠ αの発現を確認した (図 2 (Α) )。 また、 ITI I c の過剰発現による細胞内の局在を 示した (図 2 (B) )。
図 3は、 ΙΤΠ αの過剰発現によるアポトーシスの検出を示す。
ΙΤΠ αを発現した COS- 1細胞で、 間接蛍光抗体法より PARPの切断が検出され た(図 3 (A) )。また同様に、 TUNEL法より TUNEL陽性の細胞が検出された(図 3 (B) )。
図 4は、 昆虫細胞による ΙΤΠ a発現系の構築および精製を示す。
昆虫細胞による ΙΤΠ aの発現は、 BAC- T0-BAC Baculovirus Express ion Systems を用いて行った。 発現タンパク質 (矢印) を CBB 染色で確認した (A)。
ΙΤΠ αの精製は、 ΙΤΠ α抗体カラム (2. 5 rag の精製抗体を CNBr- activated Sepharose 4B (0. 5 g) に固定化して調製) を用いて行った。 溶出した各フラク シヨン (1〜8) は透析後、 SDS- PAGE、 銀染色を行ってタンパク質の精製を確認し
た (B)。
図 5は、 組み換え ΙΤΠ αによる Τ0ΡΠ a活性の阻害作用を示す。
昆虫細胞、 バキュロウィルスを用いて発現させた精製 ΙΤΠα (図 4、 フラクシ ヨン 3) 力 ΤΟΡΠαの活性 (Relaxation, Decatenation) に対して阻害作用を 示すかどうか検討した。 (A) Decatenation 活性の測定。 基質にキネトプラス ト DNA (0.175^g/assay) を用いた。 (B) Relaxation活性の測定。基質に PUC19 (0.3 μ g/assay) ·≥:用レヽた 0
図 6は、 細胞周期における ΙΤΠαの発現量の変化と細胞内の局在を示す。 正常ヒ ト皮膚線維芽細胞 (NB1-RGB) を 72 時間低血清培地 (0.4%FBS, non-essential amino acids を含む D- MEM) で培養し、 その後、 15%FBSになるよ うに血清を添加した。 この時点を 0時間として 4時間おきに 32時間まで細胞を 回収し、 レーザースキャニングサイ トメ一ターによる DNAの含有量をヒストグラ ム、および G1/G0,S,G2/M期の含有率を%で示した(A)。ィムノブ口ットにより ΙΤΠ と T0PI のタンパク質の発現、 および NIH Imageを用いてその発現量を測定 した(B)。 8時間後から 4時間おきに 28時間まで ΙΤΠαと Τ0ΡΙΙ αの細胞内の局 在を検出した(0。 血清添加 32時間後の細胞を回収し、 細胞質およぴ核分画を以 下の方法で調製した。 細胞を PBS (-)で 2回洗浄し, 400 /z lの溶液 A (360 μΐの Nuclear isolation buffer (NIB) に 40/ 1 の 10% (v/v) Triton X- 100を添加) に縣濁した。 氷中に 5分間静置後, 遠心 (1000 gで 90秒) した。 上清液を細胞 質分画とし, 沈澱物は 360 iの溶液 B (0.35 M NaClを含む NIB (30 mM Tris-HCl (pH 7.5) , 1.5mM MgCl2, 10 raM KC1, 20% (v/v) glycerol)) に縣濁して, 氷中 に 30分間静置した。その後, 遠心(10,000 gX5分) し、上清液を核分画とした。 ▲が Τ0ΡΠα、 △が ΙΤΠαのバンドを示す。 また, 抗 ΙΤΠ α抗体の抗原として使 用したべプチドを過剰量添加して, 両分画のバンドが ΙΤΠ aに相当することを検 討した(D)。
図 7は、 抗 ΙΤΠα抗体カラムを用いた ΙΤΠαと ΤΟΡΠαの相互作用の検討を示 す。
ヒ ト皮膚線維芽細胞 (1X108細胞) を超音波破砕後、 超遠心を行い、 その上清 液を抗 ΙΤΠ α抗体一ァフィ二ティ一カラムに流した。 洗浄後、 TritonX- 100を含 んだ 50 mMグリシン溶液 (pH2.5) で溶出して直ちに中和後、 透析した。 その後、 サンプルは、 抗 ΙΤΠα抗体および抗 ΤΟΡΠα抗体を用いてィムノブロットを行つ た。
図 8は、プラズモン共鳴法を用いた ΊΤΠαと ΤΟΡΠαの相互作用の検討を示す。 プラズモン共鳴法による測定は、 IAsys plusを用いて行った。 固相化用のキュ ベットには CMデキス トランキュベットを使用して、 ΙΤΠ αを固相化 (267 arc seconds) した。 T0PII αを 2.9〜22.2ηΜの範囲内で添加し、このデータを FASTfit にて解析し、 会合速度定数 (kass:)、 解離速度定数 (kdiss) および解離平行定数 を算出した。
図 9は、 アンチセンスオリゴヌクレオチドによる ΤΟΡΠ αの発現量およびその 局在を示す。
正常ヒ ト皮膚線維芽細胞 (1X106細胞/ ml) にセンス、 センスリバース、 ラン ダムおよびアンチセンスオリゴヌクレオチドを導入し、 48 時間後、 抗 ΙΤΠα抗 体を用いてィムノブロットを行い、 細胞内の ΙΤΠαの発現量を測定した。 また、 アンチセンスオリゴヌクレオチドの濃度をかえて ΙΤΠαの発現量の変動を測定 した。 さらに、 アンチセンスオリゴヌクレオチドを導入後、 細胞内の ΙΤΙΙαおよ ぴ ΤΟΡΠαの発現量を経時的に測定し、 アンチセンスオリゴヌクレオチドによる T0PII aの局在の変化は間接傾向抗体法を用いて検出した。
図 1 0は、 正常細胞 (ヒ ト皮膚線維芽細胞) とがん細胞 (Jurcat、 HL60、 HeLa、 腎癌、 直腸癌、 胆嚢癌、 大腸癌) での ΙΤΠαと Τ0ΡΙΙαの発現量の比較を示す。
ΙΤΠαの発現量は、 がん細胞では正常細胞に比べて、 2〜3倍減少し、 ΤΟΡΙΙα は、 逆に 2〜3倍増加した (表 1)。
図 1 1は、 アンチセンスオリゴヌクレオチドの正常細胞と癌細胞に対する作用 効果を示す。
正常細胞 (NB1- RGB) と癌細胞 (HeLa) に対して 2/xM のアンチセンスをリポ
フエクチン法で導入した。 48時間後、 LSCで解析した(A)。アンチセンス導入 24、 48、 69時間後、 正常細胞と癌細胞を回収して DNAの ladderを検出した(B)。 さら に、 アンチセンス導入 48時間後の癌細胞について、 間接蛍光抗体法により、 PARP の切断の有無を測定した(0。
図 1 2は、 ΙΤΠ αの合成ペプチドによる ΤΟΡΠ αの阻害作用の検出を示す。 ΙΤΙΙ αのァミノ酸配列 132〜151 (VTATFPYTTILSIWLATRRV)が濃度依存的に Τ0ΡΙΙ α活性を阻害した。 Re 1 axa t i on活性については、 20 Mでほぼ完全に阻害した( A)。 Decatenation活性については、 100 μ Mでも完全に阻害しなかった(Β)ことから、 両活性に対して感受性の違いが認められた。 発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明の実施の形態について詳細に説明する。
( 1 ) ΙΤΠ α及びそれを含む薬剤
本発明は、 ΙΤΠ αを有効成分として含む薬剤に関するもので、 該薬剤は、 Τ0ΡΠ α阻害剤又はアポトーシス誘導剤として使用できる。 本発明で用いる ITII c は、 以下の何れかのァミノ酸を有する。
( a ) 配列番号 1に記載のァミノ酸配列;又は
( b ) 配列番号 1に記載のァミノ酸配列において 1から数個のァミノ酸が欠失、 置換及び/又は挿入したアミノ酸配列を有し、 Τ0ΡΠ αと相互作用してその活性 を阻害することができるアミノ酸配列:
本明細書において、 「配列番号 1に記載のアミノ酸配列において 1から数個の アミノ酸が欠失、置換及ぴノ又は挿入したアミノ酸配列」 における 「1から数個」 の範囲は特には限定されないが、 例えば、 1から 2 0個、 好ましくは 1から 1 0 個、 より好ましくは 1から 7個、 さらに好ましくは 1から 5個、 特に好ましくは 1から 3個程度を意味する。
本明細書において 「Τ0ΡΙΙ αと相互作用してその活性を阻害することができる アミノ酸配列」 とは、 該アミノ酸配列を有するタンパク質が、 配列番号 1に記載
のアミノ酸配列を有するタンパク質と同程度又はそれ以上の親和性で ΤΟΡΙΙ αと 相互作用してその活性が阻害されることを意味する。 Τ0ΡΠ aの活性の阻害は、 適当な方法でァッセィすることができる。
ΤΟΡΠ αの活性の阻害は、 例えば、 ΤΟΡΠ αの Relaxation活性及び Decatenation 活性に対する阻害作用を測定することにより評価することができる。 例えば、 Decatenation活性の測定には、 基質にキネトプラスト D N Aを用い、 Relaxation 活性の測定には、 基質にスーパーコィリング D N Aを用いてアツセィを行うこと ができる。 活性に対する阻害効果は、 例えば、 ΙΤΠ αを加えなかった時の反応後 の D N A量を 1 0 0 %として ΙΤΠ αを加えた時の D N A量を相対的に算出する ことにより評価することができる。
本発明では、 配列番号 1に記載のァミノ酸配列における部分ァミノ酸配列を有 するタンパク質を、 ΤΟΡΙΙ α阻害剤として使用することができる。 部分アミノ酸 配列の長さは特に限定されず、例えば、 5アミノ酸残基から 1 0 0アミノ酸残基、 好ましくは 5アミノ酸残基から 5 0アミノ酸残基、 さらに好ましくは、 5ァミノ 酸残基から 3 0アミノ酸残基、 特に好ましくは 5アミノ酸残基から 2 0アミノ酸 残基程度である。 そのような部分アミノ酸配列を有するタンパク質としては、 例 えば、 配列番号 1 0に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質が挙げられる。 こ のような部分アミノ酸配列を有するタンパク質は、 ペプチド合成機を用いた通常 のぺプチド合成法により作製することができる。
次に、 配列番号 1に記載のァミノ酸配列を有するタンパク質の入手 ·製造方法 について説明する。 配列番号 1に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質の入 手 ·製造方法は特に限定されず、 天然由来のタンパク質でも、 化学合成したタン パク質でも、 遺伝子組み換え技術により作製した組み換えタンパク質の何れでも よい。 比較的容易な操作でかつ大量に製造できるという点では、 組み換えタンパ ク質が好ましい。
配列番号 1に記載のァミノ酸配列を有するタンパク質を製造するには、 該タン パク質をコードする塩基配列 (例えば、 配列番号 2に記載の塩基配列) を有する
DNAを作製し、 これを好適な発現系に導入することにより目的タンパク質を製 造することができる。
配列番号 2に記載の塩基配列を有する DNAは、 ヒ ト由来 (例えば、 HeLa細胞 由来など) の cDN Aライブラリーを、 配列番号 2に記載の塩基配列の情報に基 づいて設計した好適なプライマ一又はプローブを用いてスクリーユングすること により入手できる。 スクリーニングはプラークハイブリダィゼーシヨン等で行う ことができる。 あるいは、 ヒ ト由来 (例えば、 HeLa細胞由来など) の c DNAラ ィブラリーを铸型として使用し、 配列番号 2に記載の塩基配列の情報に基づいて 設計した好適なプライマ一を用いて PCRを行うことにより、 目的遺伝子を直接 クローニングすることもできる。
組み換えタンパク質を発現させるための発現系 (遺伝子を含む発現ベクターと その宿主) は当業者に公知である。
DNAを宿主細胞中で発現させるためには、 まず、 該 DNAを発現ベクター中 のプロモーターの下流に挿入し、 次いでこの組み換え発現ベクターを、 当該発現 ベクターに適合した宿主細胞中に導入する。
細菌用の発現ベクターとしては、 pGEMEX— 1 (P r ome g a社製)、 p QE- 9 (Q I AG EN社製)、 p QE- 30 (Q I AG EN社製)、 pRSET
( I n v i t r o g e n社製)、 p LEX ( I n v i t r o g e n社製)、 p T r cH i s ( I n v i t r o g e n社製)、 pGEX (Ph a rma c i a社製)、 p ET (No v a g e n社製)などが挙げられ、酵母用の発現ベクターとしては、 例えば、 YE p 13 (ATCC 371 1 5)、 YEp 24 (ATCC 37051)、 Y c p 5 O (ATCC 374 1 9), pHS 19、 p HS 1 5等が挙げられ、 バキ ュロ用の発現ベクターとしては、 p F a s t B a c (G i b c o BRL社製)、 p VL 1 392 ( I n v i t r o g e n社製) 等が挙げられ、 動物細胞用の発現べ クタ一として、 例えば、 p c DNA I、 p c DM 8 (フナコシ社)、 p c DNA I /AmP ( I n v i t r o g e n社製)、 p RE P 4 ( I n v i t r o g e n社製) などや、 組換えウィルス作成用発現ベクター、 例えば、 pMFG (Ta k a r a
社製)、 pAd e x (Ta k a r a社製) などが挙げられる。
細菌用の発現ベクターに用いることができるプロモーターとしては、 例えば、 t r pプロモーター (P t r p)、 T7プロモータ一、 1 a cプロモーター (P l a c), PLプロモーター、 PRプロモーター、 PSEプロモーター等の大腸菌や ファージ等に由来するプロモーター等を挙げることができる。 酵母用の発現べク ターに用いることができるプロモータ一としては、 例えば、 PH05プロモータ 一、 PGKプロモーター、 GAPプロモーター、 ADHプロモーター、 g a l l プロモーター、 g a l 10プロモーター、 ヒートショックタンハ°ク質プロモータ 一、 MF a lプロモータ一、 CUP 1プロモーター等を挙げることができる。 バ キュロ用の発現ベクターに用いることができるプロモーターとしては、 例えば、 ポリヘドリンプロモータ一等を挙げることができる。 動物細胞用の発現ベクター に用いることができるプロモーターとしては、例えば、サイ トメガロウィルス(ヒ ト CMV)の I E (immediate early)遺伝子のプロモーター、 S V40の初期プロ モーター、 レトロウイノレスのプロモータ一、 アデノウイノレスのプロモーター、 メ タロチォネインプロモーター、 ヒートショックプロモーター、 SRaプロモータ 一、 ァクチンプロモーター等を挙げることができる。 また、 ヒ ト CMVの I E遺 伝子のェンハンサーをプロモーターと共に用いてもよい。
宿主細胞としては、 目的タンパク質を発現できるものであれば特に制限されず、 細菌、 酵母、 動物細胞、 昆虫細胞などが挙げられる。 より具体的には、 エツシェ リヒア属、 セラチア属、 コリネバクテリウム属、 ブレビバクテリウム属、 シュ一 ドモナス属、 バチルス属、 ミクロバクテリゥム属等に属する細菌、 クルイべロミ セス属、 サッカロマイセス属、 シゾサッカロマイセス属、 トリコスポロン属、 シ ヮニォミセス属等に属する酵母、 ナマルバ細胞、 He L a細胞 COS 1細胞、 C OS 7細胞、 CHO細胞、 293細胞などの動物細胞、 S f 9、 S f 21、 H i F i v eなどの昆虫細胞等を挙げることができる。
組換えベクターの宿主への導入方法は、 例えば、 リン酸カルシウム法、 プロト プラスト法、エレク トロポレーシヨン法、スフ:!:ロブラスト法、酢酸リチウム法、
リポフエクション法などが挙げられ、 宿主細胞の種類に応じて適宜選択すること ができる。
本発明では、 バキュロウィルスを用いて昆虫細胞で発現させた組み換えタンパ ク質を使用することが好ましい。
昆虫細胞を宿主として用いる場合には、 組換え遺伝子導入ベクターおよびバキ ュロウィルスを昆虫細胞に共導入して昆虫細胞培養上清中に組換えウィルスを得 た後、 さらに組換えウィルスを昆虫細胞に感染させ、 タンパク質を発現させるこ と刀 できる (例 は、 Baculovirus Expression Vectors, A Laboratory Manual ; 及びカレン ト · プロ ト コールズ . イン ' モレキュラー ' バイオロジー、 Bio/Technology, 6, 47 (1988)等に記載)。
バキュロウィルスとしては、 例えば、 ョ トウガ科昆虫に感染するウィルスであ るアウ トグラファ ' カリフォルニ力 ·ヌクレアー · ポリへドロシス · ウィルス (Autographs californica nuclear polyhedrosis virus)等 ¾用レヽること力 で、き る。
昆虫細胞としては、 Spodoptera frugiperdaの卵巣細胞である S f 9、 S f 2 1 〔バキュロウィルス 'エクスプレッション .ベクターズ、 ァ ' ラボラ トリー · マニュアル、ダブリユー 'ェイチ 'フリーマン 'アンド'カンパニー(W. H. Freeman and Company) , ニューヨーク(New York)、 (1992)〕、 Trichoplusia ni の卵巣細 胞である H i F i v e (インビトロジェン社製)等を用いることができる。
組換えウィルスを調製するための、 昆虫細胞への組換え遺伝子導入ベクターと 上記バキュロウィルスの共導入方法としては、 例えば、 リン酸カルシウム法又は リポフエクシヨン法等を挙げることができる。
上記のようにして作製した目的 D N Aを有する組み換え発現べクタ一を保有す る形質転換体を培地に培養し、 培養物中に目的タンパク質を生成蓄積させ、 該培 養物より目的タンパク質を採取することにより、 組み換えタンパク質を単離する ことができる。
形質転換体の培養物から、 目的の組み換えタンパク質を単離精製するには、 通
常のタンパク質の単離、精製法を用いればよレ、。例えば、組み換えタンパク質が、 細胞内に溶解状態で発現した場合には、 培養終了後、 細胞を遠心分離により回収 し水系緩衝液に懸濁後、 超音波破砕機、 フレンチプレス、 マントンガウリンホモ ゲナイザー、 ダイノミル等により細胞を破碎し、 無細胞抽出液を得る。 該無細胞 抽出液を遠心分離することにより得られた上清から、 通常のタンパク質の単離精 製法、即ち、溶媒抽出法、硫安等による塩析法、脱塩法、有機溶媒による沈殿法、 ジェチルアミノエチル(DEAE)セファロース、 DIAION HPA-75 (三菱化成社製)等レ ジンを用いた陰イオン交換クロマトグラフィー法、 S-Sepharose FF (フアルマシ ァ社製)等のレジンを用いた陽イオン交換クロマトグラフィ一法、 プチルセファ ロース、フエ二ルセファロース等のレジンを用いた疎水性クロマトグラフィ一法、 分子篩を用いたゲルろ過法、 ァフィ二ティークロマトグラフィー法、 クロマトフ オーカシング法、 等電点電気泳動等の電気泳動法等の手法を単独あるいは組み合 わせて用い、 精製標品を得ることができる。
配列番号 1に記載のアミノ酸配列において 1から数個のアミノ酸が欠失、 置換 及び Z又は挿入したアミノ酸配列を有するタンパク質は、 配列番号 1に記載のァ ミノ酸配列及び配列番号 2に記載の塩基配列の情報に基づいて当業者であれば適 宜製造することができる。例えば、化学合成、 P C R等を含む遺伝子工学的手法、 突然変異誘発などの当業者に既知の任意の方法で、 作製することもできる。 具体 的には、 配列番号 2に記載の塩基配列を有する D N Aを利用し、 これら D N Aに 変異を導入することにより変異 D N Aを取得することができる。
例えば、 配列番号 2に記載の塩基配列を有する D N Aに対し、 変異原となる薬 剤と接触作用させる方法、 紫外線を照射する方法、 遺伝子工学的手法等を用いて 行うことができる。
遺伝子工学的手法の一つである部位特異的変異誘発法は特定の位置に特定の変 異を導入できる手法であることから有用であり、 モレキュラークローユング第 2 版、力レント 'プロ トコールズ.イン'モレキュラー 'バイオロジー、 Nucleic Acids Research, 10, 6487, 1982、 Nucleic Acids Research, 12, 9441, 1984、 Nucleic
Acids Research, 13, 4431, 1985、 Nucleic Acids Research, 13, 8749, 1985、 Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 79, 6409, 1982、 Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82, 488, 1985、 Gene, 34, 315, 1985、 Gene, 102, 67, 1991等に記載の方法に 準じて行うことができる。
上記した方法により、 配列番号 2に記載の塩基配列において変異を有する塩基 配列を有する D N Aを入手し、 この D N Aを上記と同様に発現させることにより 、 目的タンパク質を製造することができる。
本発明の薬剤は、 ΤΟΡΠ α阻害剤として使用でき、 その具体的用途は特に限定 されないが、 例えば、 アポトーシス誘導剤として使用することができる。
アポトーシス(apoptosis)は古典的細胞死である壊死(ネクローシス、 necrosis) とは形態学的に異なる細胞死として最初に発見され定義され、 その後の研究から アポトーシスの誘導および抑制は遺伝子によって支配される、 いわゆるプロダラ ムされた細胞死であることが判ってきた。アポトーシスでは細胞の活性化に伴レ、、 複雑な生化学反応が起こり、 種々のタンパク質や DNAの分解酵素が産生され、 こ れが自身の細胞に作用して細胞死がもたらされる。 アポトーシスは正常な発生 · 分化に不可欠な生理的細胞死であり、 正常な生体組織の細胞回転などにおいて 個々の細胞に起こっている。 そのため、 アポトーシスが過剰に減少すると多くの 機能障害の原因になることが判明している。 例えば、 アポトーシスの減少に起因 する疾患としては悪性腫瘍(癌)、 白血病、 自己免疫性疾患、 ウィルス感染疾患(H I V感染など)、 増殖性皮膚疾患、 慢性関節リウマチ、 自己免疫疾患、 肝炎、 腎疾 患等を挙げることができる。 従って、 本発明のアポトーシス誘導剤は、 これらの アポトーシスの減少に起因する疾患の治療及び Z又は予防剤として使用すること ができる。
アポトーシスの形態学的特徴として、 周囲の細胞との接触の欠乏、 細胞質の濃 縮化、 エンドヌクレアーゼの活性に関連したクロマチンの凝縮及び核凝縮、 核の 分節化等を挙げることができ、 更に、 細胞表面の微絨毛の消失及び細胞表面の平 滑化 (細胞表面の水泡形成: membraneblebbing ) 等も観察される。 また、 ェン
ドヌクレアーゼ活性により、 DNAが断片化する現象も観察され、 細胞自体がァ ポト一シス小体とよばれる細胞断片を形成し、 この形成されたアポトーシス小体 力 迅速に周囲の細胞やマクロファージ等により貪食分解され、 アポトーシスが 起こるとされている。 従って、 アポトーシスの確認は、 例えば、 細胞から抽出し た DNAの断片化と細胞の形態的な観察などで行うことができる。
本発明の薬剤を医薬として使用する場合には、 一般的には、 有効成分としての ΙΤΠαと製剤用添加物 (担体、 賦形剤など) とを含む医薬組成物の形態で提供さ れる。
本発明の薬剤は、 ヒ トを含む哺乳動物に医薬として投与することができる。 本 発明の薬剤の投与経路は特に限定されず、 経口投与または非経口投与 (例えば、 筋肉内投与、 静脈内投与、 皮下投与、 腹腔内投与、 鼻腔などへの粘膜投与、 また は吸入投与など) の何れでもよい。
本発明の薬剤の形態は特に限定されず、経口投与のための製剤としては例えば、 錠剤、 カプセル剤、 細粒剤、粉末剤、顆粒剤、液剤、 シロップ剤などが挙げられ、 非経口投与のための製剤としては例えば、 注射剤、 点滴剤、 座剤、 吸入剤、 経粘 膜吸収剤、 経皮吸収剤、 点鼻剤、 点耳剤などが挙げられる。
本発明の薬剤の形態、 使用すべき製剤用添加物、 製剤の製造方法などは、 いず れも当業者が適宜選択可能である。
本発明の薬剤の投与量は、 患者の性別、 年齢または体重、 症状の重症度、 予防 または治療といった投与目的、 あるいは他の合併症状の有無などを総合的に考慮 して適宜選択することができる。 投与量は、 一般的には、 0. O O l gZk g 体重 日〜 l O O O/ gZk g体重/ ^日、 好ましくは 0. 001 /z g/k g体重 /日〜 100/i g k g体重/日である。
本発明の薬剤はまた、 医薬としてだけではなく、 ΤΟΡΙΙα阻害剤又はアポトー シス誘導剤として実験用の試薬などとしても有用である。 本発明の薬剤を試薬と して使用する場合、 一般的には、 有効成分としての ΓΠΙαは適当な溶媒などに溶 解した形態で提供される。
( 2 ) アンチセンスオリゴヌクレオチド
本発明は、 下記の何れかの塩基配列中の連続する 5から 1 0 0の塩基配列のァ ンチセンス配列から成るアンチセンスオリゴヌクレオチドに関する。
( a ) 配列番号 2に記載の塩基配列列;又は
( b ) 配列番号 2に記載の塩基配列において 1から数個の塩基が欠失、 置換及び 又は挿入した塩基配列を有し、 TOPII c と相互作用してその活性を阻害するこ とができるタンパク質をコードする塩基配列:
本明細書において 「配列番号 2に記載の塩基配列において 1から数個の塩基が 欠失、 置換及び 又は挿入した塩基配列」 における 「1から数個」 の範囲は特に は限定されないが、 例えば、 1から 6 0個、 好ましくは 1から 3 0個、 より好ま しくは 1から 2 0個、 さらに好ましくは 1から 1 0個、 特に好ましくは 1から 5 個程度を意味する。
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、 上記の何れかのアミノ酸配列を コードする D N A配列中の連続する 5から 1 0 0の塩基配列に対して相補的な、 またはハイブリダイズするヌクレオチドであって、 D NA又はR N Aのぃずれで あっても良く、 また機能に支障がない限りにおいて修飾されたものであっても良 レ、。
本明細書で言う 「アンチセンスオリゴヌクレオチド」 とは、 D N A又はm R N Aの所定の領域を構成するヌクレオチドに対応するヌクレオチドがすべて相補的 であるもののみならず、 D N A又は m R N Aとオリゴヌクレオチドとが安定にハ イブリダィズできる限り、 多少のミスマッチが存在してもよレ、。
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドとしては、 例えば、 配列表の配列番 号 9に示す塩基配列 (TAGCAGGTCCGACAT) を有するァンチセンスオリゴヌクレオ チドが挙げられる。 本明細書での実施例では、 このような塩基配列のアンチセン スオリゴヌクレオチドは、非常に効果的に ΙΤΠ αの発現を抑制することができた。 なお、 本発明で用いるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、 ΙΤΠ αの発現を抑制
できるものであれば、 上述したものに限定されない。
なお、 アンチセンスオリゴヌクレオチドは、 修飾されていてもよい。 適当な修 飾を施すことにより、 当該アンチセンスオリゴヌクレオチドは生体内で分解され にくくなり、 より安定して ΙΤΠ αを阻害できるようになる。 このような修飾され たオリゴヌクレオチドとしては、 S—オリゴ型 (ホスフォロチォェ一ト型)、 C - 5チアゾール型、 D—オリゴ型 (フォスフォジエステル型)、 Μ—オリゴ型 (メチ ルフォスフォネィト型)、ペプチド核酸型、 リン酸ジエステル結合型、 C一 5プロ ピニルピリミジン型、 2—Ο—プロピルリボース、 2 ' —メ トキシェトキシリボ ース型等の修飾型のアンチセンスオリゴヌクレオチドが挙げられる。
さらに、 アンチセンスオリゴヌクレオチドとしては、 リン酸基を構成する酸素 原子の少なくとも一部がィォゥ原子に置換、 修飾されているものでもよレ、。 この ようなアンチセンスオリゴヌクレオチドは、 ヌクレアーゼ耐性、 水溶性、 R N A への親和性に特に優れている。 リン酸基を構成する酸素原子の少なくとも一部が ィォゥ原子に置換、 修飾されたアンチセンスオリゴヌクレオチドとしては、 例え ば、 S _オリゴ型等のオリゴヌクレオチドが挙げられる。
また、 アンチセンスオリゴヌクレオチドの塩基数は、 5 0以下であることが好 ましく、 2 5以下であることがより好ましい。 塩基数があまりに多くなると、 ォ リゴヌクレオチドの合成の手間とコス トが増大し、 また、 収率も低下する。 さら に、 アンチセンスオリゴヌクレオチドの塩基数は 5以上であり、 9以上であるこ とが好ましい。 塩基数が 4以下の場合には、 標的遺伝子に対する特異性が低下し て好ましくないためである。
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド (又はその誘導体) は常法によって 合成することができ、 例えば、 市販の D N A合成装置 (例えば A p p 1 i e d B i o s y s t e m s社製など) によって容易に合成することができる。 合成法は ホスホロアミダイトを用いた固相合成法、 ハイ ドロジェンホスホネートを用いた 固相合成法などで得ることができる。
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、 ΙΤΠ αの阻害剤、 ΤΟΡΠ αの発
現増強剤、 アポトーシス誘導剤、 並びに抗癌剤として使用することができる。 な お、 本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、 癌細胞に特異的にアポトーシ スを誘導することにより抗癌作用を発揮することができるものと考えられる。 本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドを医薬として使用する場合には、 一 般的には、 アンチセンスオリゴヌクレオチドと製剤用添加物 (担体、賦形剤など) とを含む医薬組成物の形態で提供される。
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、 ヒ トを含む哺乳動物に医薬とし て投与することができる。 本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドの投与経路 は特に限定されず、 経口投与または非経口投与 (例えば、 筋肉内投与、 静脈内投 与、 皮下投与、 腹腔内投与、 鼻腔などへの粘膜投与、 または吸入投与など) の何 れでもよレ、。
アンチセンスオリゴヌクレオチドの製剤形態は特に限定されず、 経口投与のた めの製剤としては例えば、 錠剤、 カプセル剤、 細粒剤、 粉末剤、 顆粒剤、 液剤、 シロップ剤などが挙げられ、 非経口投与のための製剤としては例えば、 注射剤、 点滴剤、 座剤、 吸入剤、 経粘膜吸収剤、 経皮吸収剤、 点鼻剤、 点耳剤などが挙げ られる。 アンチセンスオリゴヌクレオチドを含む薬剤の形態、 使用すべき製剤用 添加物、 製剤の製造方法などは、 いずれも当業者が適宜選択可能である。 さらに 持続性、膜透過性を高めるアンチセンス封入素材を用いることもできる。例えば、 リボゾーム、 ポリ一 L—リジン、 リピッド、 コレステロール、 リボフヱクチル又 はこれらの誘導体が挙げられる。
アンチセンスオリゴヌクレオチドの投与量は、 患者の性別、 年齢または体重、 症状の重症度、 予防または治療といった投与目的、 あるいは他の合併症状の有無 などを総合的に考慮して適宜選択することができる。投与量は、一般的には、 0 . 1 μ g / k g体重/日〜 l O O m g Z k g体重/日、 好ましくは 0 · 1 μ g Z k g体重 Z日〜 1 O m g Z k g体重/日である。
( 3 ) ΙΤΙΙ αを認識する抗体
本発明の抗体は、 以下の何れかのアミノ酸配列を有する ΙΤΠ αを認識する。 ( a ) 配列番号 1に記載のァミノ酸配列;又は
( b ) 配列番号 1に記載のァミノ酸配列において 1から数個のァミノ酸が欠失、 置換及び/又は挿入したァミノ酸配列を有し、 ΤΟΡΠ αと相互作用してその活性 を阻害することができるァミノ酸配列:
本発明の抗体はポリクローナル抗体でもモノクローナル抗体でもよく、 その作 製は定法により行なうことができる。
例えば、 ΙΤΠ αを認識するポリクローナル抗体は、 ΙΤΠ α又はその部分ぺプチ ドを抗原として哺乳動物を免疫感作し、 該哺乳動物から血液を採取し、 採取した 血液から抗体を分離 '精製することにより得ることができる。 例えば、 マウス、 ハムスター、 モルモッ ト、 ニヮトリ、 ラット、 ゥサギ、 ィヌ、 ャギ、 ヒッジ、 ゥ シ等の哺乳動物を免疫することができる。免疫感作の方法は当業者に公知であり、 例えば抗原を 1回以上投与することにより行うことができる。 抗原投与は、 例え ば 7〜3 0 S間隔で 2〜3回投与すればよレ、。 投与量は 1回につき、 例えば抗原 約 0 . 0 5〜2 m g程度とすることができる。 投与経路も特に限定されず、 皮下 投与、 皮内投与、 腹膜腔内投与、 静脈内投与、 筋肉内投与等を適宜選択すること ができるが、 静脈内、 腹膜腔内もしくは皮下に注射することにより投与すること が好ましい。 また、 抗原は適当な緩衝液、 例えば完全フロイントアジュバントま たは水酸化アルミニウム等の通常用いられるアジュバントを含有する適当な緩衝 液に溶解して用いることができるが、 投与経路や条件等に応じてアジュバントを 使用しない場合もある。
免疫感作した哺乳動物を一定期間飼育した後、 該哺乳動物の血清をサンプリン グし、 抗体価を測定する。 抗体価が上昇してきたら、 例ぇば1 0 0 μ g〜1 0 0 0 μ gの抗原を用いて追加免疫を行なう。 最後の投与から 1〜2ヶ月後に免疫感 作した哺乳動物から血液を採取して、 該血液を、 例えば遠心分離、 硫酸アンモニ ゥムまたはポリエチレンダリコールを用いた沈澱、ゲルろ過クロマトグラフィー、 イオン交換クロマトグラフィー、 ァフィ二テイクロマトグラフィ一等のクロマト
グラフィ一等の常法によって分離.精製することにより、 ポリクロ一ナル抗血清 として、本発明のタンパク質を認識するポリクローナル抗体を得ることができる。
ΙΤΙΙαを認識するモノクローナル抗体のグロブリンタイプは特に限定されず、 例えば I gG、 I gM、 I gA、 I g E、 I g D等が挙げられる。 モノクローナ ル抗体を産生する細胞株は特に制限されないが、 例えば、 抗体産生細胞とミエ口 一マ細胞株との細胞融合によりハイプリ ドーマとして得ることができる。 本発明 のモノクローナル抗体を産生するハイプリ ドーマは、 以下のような細胞融合法に よって得ることができる。
抗体産生細胞としては、 免疫された動物からの脾細胞、 リンパ節細胞、 Bリン パ球等を使用する。 抗原としては、 本発明のタンパク質又はその部分ペプチドを 使用する。 免疫動物としてはマウス、 ラット等を使用でき、 これらの動物への抗 原の投与は常法により行う。 例えば完全フロインドアジュバント、 不完全フロイ ンドアジュバントなどのアジュバントと抗原である本発明のタンパク質との懸濁 液もしくは乳化液を動物の静脈、 皮下、 皮内、 腹腔内等に数回投与することによ つて動物を免疫化する。 免疫化した動物から抗体産生細胞として例えば脾細胞を 取得し、 これとミエ口一マ細胞とを公知の方法 (G.Kohler et al . , Nature, 256 495(1975)) により融合してハイプリ ドーマを作製することができる。
細胞融合に使用するミエローマ細胞株としては、 例えばマウスでは P 3X63 Ag 8、 P 3U1株、 S p 2/0株などが挙げられる。 細胞融合を行なうに際し ては、 ポリエチレングリコール、 センダイウィルスなどの融合促進剤を用い、 細 胞融合後のハイブリ ドーマの選択にはヒポキサンチン ·アミノプテリン ·チミジ ン (HAT) 培地を常法に従って使用する。 細胞融合により得られるハイプリ ド 一マは限界希釈法等によりクローユングする。 さらに必要に応じて、 ΙΤΠο;又は その部分べプチドを用いた酵素免疫測定法によりスクリ一二ングを行なうことに より、 ΙΤΠαを特異的に認識するモノクローナル抗体を産生する細胞株を得るこ とができる。
このようにして得られたハイブリ ドーマから目的と'するモノクローナル抗体を
製造するには、通常の細胞培養法や腹水形成法により該ハイプリ ドーマを培養し、 培養上清あるいは腹水から該モノクローナル抗体を精製すればよい。 培養上清も しくは腹水からのモノクローナル抗体の精製は、常法により行なうことができる。 例えば、 硫安分画、 ゲルろ過、 イオン交換クロマトグラフィー、 ァフィ二ティー クロマトグラフィーなどを適宜組み合わせて使用できる。
本発明の抗体を用いて、 ΙΤΠ αを免疫測定するための方法としては、 例えば酵 素免疫測定法、 ラジオィムノアツセィ、 蛍光免疫測定法、 発光免疫測定法等を挙 げることができる。
また、 上記した抗体の断片も本発明の範囲内である。 抗体の断片としては、 F ( a b ' ) 2フラグメント、 F a b, フラグメント等が挙げられる。
さらに、 上記した抗体の標識抗体も本発明の範囲内である。 即ち、 上記のよう にして作製した本発明の抗体は標識して使用することができる。 抗体の標識の種 類及び標識方法は当業者に公知である。 例えば、 西洋ヮサビペルォキシダーゼ又 はアルカリホスファターゼなどの酵素標識、 F I T C (フルォレセインイソチォ シァネート) 又は T R I T C (テトラメチルローダミン Bイソチオシァネート) 等の蛍光標識、 コロイ ド金属および着色ラテックスなどの呈色物質による標識、 ピオチンなどのアブイ二ティー標識、 あるいは1 2 5 Iなどの同位体標識などを挙 げることができる。 本発明の標識抗体を用いた酵素抗体法、 免疫組織染色法、 免 疫ブロット法、 直接蛍光抗体法又は間接蛍光抗体法等の分析は当業者に周知の方 法により行うことができる。
( 4 ) ΙΤΠ αの阻害剤のスクリーニング方法
本発明は、 被験物質の存在下において、 下記の何れかのアミノ酸配列を有する ΙΤΠ αと、 ΤΟΡΠ αとの相互作用を測定し、 該相互作用を阻害する物質を選択す ることを特徴とする、 ΙΤΠ αの阻害剤のスクリーニング方法に関する。
( a ) 配列番号 1に記載のァミノ酸配列;又は
( b ) 配列番号 1に記載のァミノ酸配列において 1から数個のァミノ酸が欠失、
置換及び/又は挿入したアミノ酸配列を有し、 ΤΟΡΠ αと相互作用してその活性 を阻害することができるアミノ酸配列:
ΙΤΙΙ αと、 ΤΟΡΠ αとの相互作用を測定し、 該相互作用を阻害する物質を選択す るためには、 例えば、 ΙΤΠ α; の活性 (ΤΟΡΠ α活性の阻害作用) を阻害する物質 を選択することができる。 具体的なスクリーニング系としては、 例えば、 基質 D Ν Α、 ΤΟΡΙΙ α , ΙΤΙΙ α , さらに被験物質を加えて、 ΤΟΡΠ αの活性が回復するか どうかを検出するスクリーニング系が挙げられる。
本発明で用いる被験物質としては任意の物質を使用することができ、 その種類 は特に限定されない。 被験物質の具体例としては、 低分子化合物、 抗体又はオリ ゴヌクレオチドでもよいし、 天然物抽出物でもよく、 あるいは化合物ライブラリ 一、 ファージディスプレーライブラリーもしくはコンビナトリアルライブラリー でもよい。 化合物ライブラリ一の構築は当業者に公知であり、 また市販の化合物 ライブラリ一を使用することもできる。被験物質としては、低分子化合物、抗体、 オリゴヌクレオチド、 又はそれらのライブラリーが好ましい。
また、 本発明のスクリーニング方法により得られる、 ΙΤΠ αの阻害剤も本発明 の範囲内である。
本発明のスクリーニング方法では、 被験物質の存在下において、 ΙΤΙΙ αと Τ0ΡΠ αとの相互作用を測定する。 相互作用の測定方法は特に限定されない。 また、 上 記相互作用それ自体を直接的に測定してもよいし、 ΤΟΡΠ α活性を測定すること により、 上記相互作用を間接的に測定することもできる。
例えば、 ΤΟΡΠ α活性の測定方法としては、 例えば、 ΤΟΡΠ αの Relaxation活性 及び Decatenation活性に対する阻害作用を測定することにより評価することが でき、 その測定方法は前述の通りである。
一般的には、 同一のアツセィ系を被験物質の非存在下でも行い、 被験物質の存 在下の場合と非存在下の場合の両者における上記相互作用を測定し、 両者を比較 することにより、 被験物質が上記相互作用を阻害しているかどうかを判別するこ とが好ましい。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、 本発明は実施例によ つて限定されることはない。 実施例
実施例 1
( I ) 実験方法
( i ) 使用した細胞株リスト
Sf9, High Five (両者は昆虫細胞)
HeLa, COS- 1, HL60 (東大医科研より分与)、 Jurcat (東大医科研より分与) また、 以下の 4株は理研ジーンバンク ·細胞開発銀行より購入した: CW- 2 (大 腸癌細胞株) , TUHR4TKB (腎癌細胞株) , TGBC2TKB (胆嚢癌細胞株) , TT1TKB (直 腸癌細胞株)
(i i) 遺伝子のクローニング
HeLa細胞由来 cDNAライブラリーを铸型にして、 以下のプライマーを用いて PCR (94°Cで 30秒後、 94°Cで 30秒、 50°Cで 1分及ぴ 72°Cで 2. 5分を 30サイクル行 レ、、 さらに 72でで 3分反応) を行った。
センス ; 5' -TTGGTACCATGTCGGACCTGCTACTACTGGGCCTGATT-3' (配列番号 3 )、 ァンチセンス ; 5' -TTGGTACCTTACTCCTTGCCCTTCTCAGGGGCAGT-3' (配列番号 4 ) 増幅させた DNAフラグメントをプラスミ ドベクター SRHisBの Kpnl部位に組み 込み、 ΙΤΠ α発現プラスミ ド (pRCl) を構築した。
(ii i) ΙΤΠ αの細胞内への導入
ΙΤΠ αは、 COS- 1細胞 (African green monkey kidney cell line CV- 1細胞を origin- defective SV40 DNAで転換した細胞) 内で発現させた。 500 μ 1 の COS - 1 細胞 (6 X 106細胞/ ml) に 16 w gの pRClを加えて 10分間氷中に静置後、 エレク トロポレーシヨン (276 V、 975 F) を行った。 37°Cで 10分間 (5% C02 ) 保温後、 9 mlの培地 (D_MEM、 10%FBS) に添力!]し、 450 μ 1 を Chamber slides (Nunc) に 分注して、 3日後後、 間接蛍光抗体法により細胞内の局在を測定した。
(iv) 間接蛍光抗体法
細胞を phosphate- buffer saline (PBS)で洗浄後、 3. 7%ホルムアルデヒ ド (PBS 中) を加えて 10 分間氷上に静置して細胞を固定した。 その後、 PBS で洗浄して 50、 75、 95%エタノールを順次添カ卩して最後に PBS で洗浄した。 これまでの操作 は、全て氷上にて行った。 以後の操作は室温にて行った。細胞に Blocking buffer (5% 正常ャギ血清 (PBS 中) ) を添加して 30 分間静置した。 その後、 1 次抗体
(anti-T7 tag (1: 3000に希釈), anti— T0P2 a Ab— 2 (1. 6 μ g/400 μ 1; Neomarkers) antibody in blocking buffer) を加えて 1時間静置した。 そして PBSで 5分間 ずつ 3 回洗浄した。 次に、 FITC (1. 5 μ g/ml) または、 Texas red (1. 5 μ g/ral) -conjugated 2次抗体を加えて 1時間静置した。 PBSで 5分間ずつ 3回洗浄 後、 PBSに 1 μ gの bis - benzimide (Hoechst 33258)を加えた溶液を添加して DNA 染色を行った。 その後、 サンプルは Vectorshield (Vector Inc. ) で保存して、 01y即 us PROVIS AX70蛍光顕微鏡で観察した。
( v ) 抗体作製と精製
ITII cのアミノ酸配列 246- GASSRGWDDGDTRSEHSYSESG - 267 (ペプチド 1 ) (配列 番号 5 )、 302- LWEPTAPEKGKE- 313 (ぺプチド 2 ) (配列番号 6 ) を抗原としてゥサ ギを用いて抗血清を採取した。 各ペプチドを用いてペプチドカラムを調製し、 抗 血清から抗体を精製した。 4 ralの抗血清から、 ペプチド 1由来の抗体 1. 38 mg/ral (5 ml)とペプチド 2由来の抗体 2. 4 rag/ml (5 ml)を調製した。
(vi) 昆虫細胞による ΙΤΙΙ αの発現系の構築
蛋白質発現系には、 BAC-T0-BAC Baculovirus Expression Systems (Gibco, BRL) を用いて行った。 hgyrl遺伝子は、 以下のプライマーを設計して PCR法 (94°Cで 2分後、 94°Cで 30秒及び 68°Cで 3分を 30サイクル行い、 さらに 68°Cで 3 分反 応) によって増幅した。 铸型には pRClを 10 ng使用した。
センス ; 5' -CGCGGTCCGAAACCATGTCGGACCTGCTACTACTG-3' (配列番号 7 )、 ァンチセンス ; 5' -ATCGGACCGCTCCTTGCCCTTCTCA-3' (配列番号 8 )
目的遺伝子を pFASTBAC Htbベクターの Rsr IIサイ トに組み込んで、 トランス
ファーベクター (pRC2) を構築した。 8. 5ng の pRC2を 100 1の DH10BAC コン ピテント細胞に導入して 37°Cで 24時間培養した。 コロニーを 2 mlの LB medium
(50 /i g/ml カナマイシン, i i g/ml ゲンタマイシン, lO ^ g/ml テトラサイタリ ン) に培養後、 組み換え bacmid DNA を調製し、 40 μ 1 の ΤΕ に溶解させた。 50 units/mlぺニシリンと 50 1ストレプトマイシンを含む 2mlの SF-900 II SFM に SF9細胞を 1 X 106細胞 (6- well plate)に調製した。 27°Cで 1時間培養した 後、 0, 5, 10 1の bacmid DNAを 100 1 の抗生物質を含まない SF- 900 II SF に溶解させた。 6 μ 1の Cell FECTIN Reagentを他の 100 μ 1の抗生物質を含まな い SF-900 II SFMに添加し、 室温で 30分間ィンキュベートした。 その後、 抗生 物質を含まない 800 μ 1の SF- 900 II SF を加えて、 同様の培地で洗浄した細胞 に滴下した。 27°Cで 5時間培養した後、 2ml の抗生物質入りの SF- 900 II SFMを 加えて、 27°Cで 72時間培養した。 上清液を回収し、 3000 rpmで 5分間遠心後、 再度、 上清液を回収して組み換えウィルス液とした。 1 X 106細胞の SF9細胞に組 み換えウィルス液 500 lを加えて、 27°Cで 1時間培養した後、 1. 5 mlの抗生物 質入りの SF- 900 II SFMを加えた。 27°Cで 4日間培養して、 上清を遠心後、 同様 の操作を行い、 組み換えウィルスの増幅を行い、 109 PFU/mlのウィルス液を調製 した。 その際、 残った細胞からタンパク質を抽出して目的遺伝子の発現をウェス タンブロッテイングで確認した。 タンパク質の大量発現は、 SF9 細胞から High Five細胞にかえて 109 PFU/ralのウィルス液を加えて行った。 細胞を回収後に、 SDS-PAGEで蛋白質の発現を確認した。
(νϋ) ΙΤΠ αの精製
ペプチド 2由来の抗体 12 mg を CNBr - activated Sepharose4B (膨潤 1 ml) に 結合させたぺプチド抗体を調製した。目的のタンパク質を発現している High Five 細胞 (1 X 108細胞) を回収後、 2 mlの RX buffer (100 raM KC1, 3 mM NaCl, 3. 5 m MgCl 2 , 1. 25 mM EGTA, 100 raM HEPES (pH 7. 3) , 1 mM PMSF)に縣濁して超音 波破砕した。 40, 000 rpmで 1時間遠心した後に、 RX bufferで平衡化した抗体力 ラムに添加して、 4°Cで 50分間静置後、 RX buffer, 0. 1% Triton X- 100で順次洗
浄した。 50 mM Glysine を含む 0.1% Triton X- 100、 5 mlで溶出してすぐに中和 した後、 50 mM Tris-HCl (pH 7.5), 25% Glycerol, 0.5 mM DTT, 1 mM EDTA で 透析した。
(viii) ΤΟΡΠαの活性測定
Decatenation 活性の測定は、 基質にキネトプラスト DNA (0.175 μ g/assay) を用い、 Relaxation活性の測定は、 基質に pUC19 (0.3 μ g/assay) を用いた。 ともに、 ΤΟΡΙΙαを lU/assay (30μ 1; 50 mM Tris-HCl (pH 7.5), 120 mM KC1, 10 mM MgCl2, 0.5 mM ATP, 0.5 mM DTT, 30 μ g/ml nuclease free BSA) 使用し、 37°Cで 60分間反応させた。
(ix) プラズモン共鳴法を用いた相互作用の解析
プラズモン共鳴法による測定は、 IAsys plusを用いて行った。 固相化用のキュ ベットには CMデキス トランキュベットを使用して、 ΙΤΠαを固相化した。 固相 化法および測定方法は、 IAsys plus添付のプロ トコールに準じて行い、 267 arc seconds相当固相化した (200 arc seconds = 1 ng/mm2)0 TOPII c を 2· 9〜22· 2nM の範囲内で添加し、 このデータを FASTfit にて解析し、 会合速度定数 (kass)、 解離速度定数 (kdiss) および解離平行定数を算出した。
(X) アポトーシスの検出
アポトーシスの検出は、 TUNEL法 (In situ Apoptosis Detection Kit;宝酒造 (株))、 アポトーシスによって切断された PARP を認識する抗体を用いた間接蛍 光抗体法、 DNAの ladderの検出、 Laser Scanning Cytometry (LSC; ォリンパス 光学工業 (株) )による解析で行った。
(xi) アンチセンスオリゴヌクレオチドの細胞内への導入
ΙΤΠα遺伝子の 1〜1 5残基に対して S- oligoアンチセンスオリゴヌクレオチ ドを設計した。 合成は、 BI0GN0STIK社に外注した。 アンチセンスの細胞内への導 入は、 Lipofectin (Gibco, BRL) を用いて行った。 1 ml の無血清培地にアンチ センスを ΙμΜになるように加えた。 他の 1 ml の無血清培地に Lipofectinを 25 μ ΐ 加えた。 両者を混合して室温で 15分間静置した。 この間、 前日に 1X106細
胞(60 培養皿)に培養した細胞を PBS (-) で 2回洗浄し、 15分後に混合溶液 を滴下した。 37°C 5% CO2インキュベーターに移して 4時間培養した。 その後、 血清入りの培地を等量加えて培養し、 24 48 72時間後に細胞の状態をチェック した。
( I I ) 結果
( i ) ΙΤΠ αの塩基配列およびアミノ酸配列を、 図 1、 配列番号 1及び 2に示し た。
(ϋ) ΙΤΙΙ αの過剰発現による細胞に与える影響
ΙΤΠ ο;の Ν末端に Τ7- tagをつけて COS- 1細胞で過剰発現させ、 間接蛍光抗体 法でその局在を調べた結果、 図 2 (B)に示したように核外に局在した (ΙΤΠ αは、 FITC標識で緑色、 ΤΟΡΠ αは、 テキサスレツド標識で赤色、 核は、 Hoechst染色 で青色に表示している。)。 その際、 本来核内に存在する ΤΟΡΠ αも ΙΤΠ αと同様 に核外に存在した。 また、 ΙΤΠ αを C0S-1細胞で過剰発現させた場合、 上記に示 した細胞以外に核の断片および縮小した細胞も同時に観察された。 このような細 胞は、 アポトーシスをおこしている可能性が考えられたため、 TUNEL法およびァ ポトーシスの時に生じるポリ (ADP-リボース) ポリメラーゼ (PARP) の切断を特 異的に認識する抗体を用いて、 核の断片および縮小した細胞がアポトーシスを起 こしているかどうか検討した。 図 3 (A)に示したように TUNEL 法の結果から FITC-dUTP標識(緑色)で検出される TUNEL陽性細胞が確認された。また、図 3 (B) より、 PARPの切断も間接蛍光抗体法の結果から確認された。
以上の結果から、 ΙΤΠ αを COS- 1細胞で過剰発現させた場合に、 アポトーシス を生じる細胞が検出された。 尚、 ΙΤΠ αの発現は、 抗 Τ7- tag抗体を用いたィム ノブロットで確認した。ィムノブロットの結果(図 2 (A) )より、推定分子量 38. 6k
(T7-tag融合した ΙΤΠ α )より大きレ、分子量(47. 5k)で検出されたことから ΙΤΠ αの発現には、 何らかの修飾が付加されている可能性が示唆された。
(i ii) 昆虫細胞を用いた ΙΤΠ aの発現系の構築と精製
ΙΤΠαの発現は、 BAC-TO-BAC Baculovirus Expression Systemsを用いて行つ た。 タンパク質の発現 (矢印) を CBB染色で確認した (図 4(A))。 精製は、 ITII α抗体カラム (実験方法参照) を用いて行った。 溶出した各フラクション (1〜8) は、透析後、 SDS- PAGE、銀染色を行ってタンパク質の精製を確認した(図 4(B))。 発現した ΙΤΠαの分子量は、 60.5kで検出され、 推定分子量 41.2k (His- tag融 合した ΙΤΠα) より大きい分子量で検出されたことから、 COS - 1細胞で発現した 時と同様に、 ΙΤΠ αは何らかの修飾が付加されている可能性が^ ¾唆された。
(iv) 組み換え ΙΤΠαによる ΤΟΡΠα活性の阻害作用
昆虫細胞おょぴバキュロウィルスを用いて発現させた ΙΤΠαが、 ΤΟΡΙΙαの活 性 (Relaxation Decatenation) に対して阻害作用を示すかどうか検討した。 Decatenation活性の測定には、 基質にキネトプラスト DNA を用い (図 5(A))、 Relaxation活性の測定には、基質にスーパーコィリング DNA (図 5(B))を用いた。 活性に対する阻害効果は、 ΙΤΠαを加えなかった時の反応後の DNA量を 100%とし て ΙΤΠαを加えた時の DNA量を相対的に算出した。 ΙΤΠ αは、 ΤΟΡΠαの両活性 に対して濃度依存的に阻害した。 図 5(B)に示したように基質 DNAに ΓΠΙαを加 えても基質 DNAの電気泳動後の結果に影響を示さなかったことから、 ΙΤΠαは、 DNAと直接結合しないことが示唆された。
(V) 細胞周期における ΙΤΠαの発現量の推移と細胞内の局在
正常ヒ ト皮膚線維芽細胞 (NB1- RBG) を 72 時間低血清培地 (0.4% FBS、 non-essential amino acidsを含む D- MEM) で培養して、 その後 15% FBSになる ように血清を添加した。 この時点を 0時間として 4時間おきに 32時間まで細胞 を回収してレーザースキャニングサイトメーター (LSC) を用いて DNA の含有量 をヒストグラム、 および G0/G1、 S、 G2/M期の含有率を0 /0で示した (図 6(A))。 細 胞周期が正常に機能していることを確認して、 各時間での ΙΤΠαと ΤΟΡΠαの発 現を抗 ΙΤΠαおよぴ抗 ΤΟΡΠα抗体で検出し、 NIH Imageを用いてそのタンパク 質量を定量した (図 6(B))。 最大発現量を 100%として各時間の発現量を相対的に 示した。 その結果、 ΙΤΠαは Gl/S、 G2/M期を通じて GO期の約 4倍、 発現量が増
加し、 GO期を除いては常に一定レベルの発現量を有していることが明らかになつ た。 これに対して ΤΟΡΠαは、 S期後期から発現が確認され、 ΙΤΠαの発現量と ともに測定開始 32時間目で最大発現量を示した。 さらに 8時間後から 28時間ま で 4 時間ごとの ΙΤΠαと ΤΟΡΠαの細胞内の局在を間接蛍光抗体法で検出した (図 6(C))。 その結果、 ΙΤΠα は、 G1/S期には細胞質に局在し、 G2/M期から核 内に局在する細胞が認められた。 そこで、 G2/M期以降に ΙΤΠαが核内に存在す るかどう力確かめるため、 血清添カ卩 32 時間後の細胞から核分画を調製して、 核 内での ΙΤΠαの発現について抗 ΙΤΠα抗体を用いて検討した。 その結果、 調製 した核分画に ΙΤΠαの存在が確認され (図 6(D))、 細胞周期に応じて ITIIctが、 核内へ移行していることが示唆された。 この時、抗 ΙΤΠα抗体の抗原として用い たぺプチドを過剰量添加してバンドが消失したことから、 核分画で検出したバン ドが ΙΤΠαに相当することを明らかにした。
(vi) ΙΤΙΙαと ΤΟΡΠαの相互作用の検討
ΙΤΠひ抗体カラムを用いて、 ΙΤΠαに ΤΟΡΠαが結合するかどうか検討した。 正常ヒ ト皮膚線維芽細胞を 72時間低血清培地で培養して、 その後 15% FBSにな るように血清を添加した。 血清添加 24、 28、 32時間後の細胞を RX buffer (実験 方法参照) 2mlに懸濁後、 超音波破砕を行い遠心分離した上精液を抗体カラムに 加えた。 抗体精製と同様の方法 (実験方法参照) でカラムを洗浄して、 500 の溶出液で順次溶出した。 溶出液 (Elution l,2) は、 TCA処理後、 ΙΤΠα抗体お よび ΤΟΡΠα抗体を用いてィムノブロットを行った結果、 ΙΤΠαと ΤΟΡΠαが検 出され (図 7)、 両タンパグ質が相互作用していることが示唆された。
TOPIIctを 2.9、 5.9、 11.6、 14.8、 17.4、 22.2nMで添加し、 ΤΟΡΠ αは濃度依 存的に、 ΙΤΠαと相互作用することを確認した (図 8 (Α))。 両者の会合速度定 数 (kass; NTS— i = 4.2 x 105)、 解離速度定数 (kdiss; x 10"3) および解 離平行定数 (KD ; M=3.8 X 10— 9) を算出した結果、 ΙΤΠαと ΤΟΡΠαの相互作用 を確認した。
(vii) アンチセンスオリゴヌクレオチドの設計部位
アンチセンスオリゴヌクレオチドの配列決定は、 一般に 15〜20 mer で、 翻訳 開始の ATGコドン付近の 20 mer、 ATGから 15〜20 mer、 または第 1ェクソンと第 1 イントロンの境界を含む 20 mer が有効であることが多い。 しかし、 今回は、 genomic DNAのシークェンスがわかっていなかつたので、 ATG力 ら 15〜20 merの 塩基配列を選択した。塩基数の決定には、配列中の GC含有率が 50%以上を有し、 Gが 3つ以上連続する配列は、 アンチセンス効果以外の細胞増殖抑制効果を有し ているという報告もあることから避けた。 またアンチセンス自体がヘアピン形成 をしない配列を考慮して、 以下の 15merを選択した。 5' -TAGCAGGTCCGACAT- 3' (配 列番号 9 )。 作製したアンチセンスの細胞内への導入は、 Lipofectin を用いて行 つた。 Lipofectin によるオリゴヌクレオチドの細胞内への取り込みは、 FITC標 識のセンスオリゴヌクレオチド (アンチセンスの reverse complement) を用いて 確認した。
(viii)アンチセンスオリゴヌクレオチド効果による ΙΤΠ αの発現量おょぴその 局在
正常ヒ ト皮膚線維芽細胞に、 Lipofectin を用いて ΙΤΠ αのアンチセンスオリ ゴヌクレオチドを導入した。 導入 48時間後、 細胞内の ΙΤΠ αのタンパク質量を ィムノブロットで検出した結果、 アンチセンス処理した細胞の ΙΤΠ αは、 コント ロールのオリゴヌクレオチドを導入した細胞のタンパク質量と比較して 66%以上 減少した(図 9 (Α) )。 また、 アンチセンスオリゴヌクレオチドの濃度依存的に ΙΤΠ αのタンパク質量は減少した(図 9 ( Β ) )。 83、 125、 167、 250ηΜのアンチ センスオリゴヌクレオチドを添加したとき、 ΙΤΙΙ αのタンパク質量は 6. 1, 47. 1、 64. 7、 83. 5%のように減少した。 さらに、 アンチセンスオリゴヌクレオチドを導 入し、 導入 12時間後に ΙΤΠ αの発現量の減少が認められ、 その際 ΤΟΡΙΙ αの発 現量は増加した(図 9 ( C ) )。 この現象は、 癌細胞 (Α549) を用いても同様の結 果が認められ、 その際、 T0PIの発現量に変化は認められなかった (図 9 (D ) )。 以上の結果より、 アンチセンスで ΙΤΠ αのタンパク質量が減少するのに伴い、 TOPII c の発現量が増加が認められた。 この時、 間接蛍光抗体法によって、 Τ0ΡΠ
αの細胞内の局在を検出すると、 核から細胞質にわたって広範囲にその局在が確 認できた (図 9 ( Ε ) )。
(ix) 癌細胞での ΙΤΠ αと ΤΟΡΠ αの発現量の比較
ITII aの発現量を抑制することによって、 Τ0ΡΠ aの発現量が増加することが 示唆された。 ΤΟΡΠ αは、 正常細胞より癌細胞で発現量が高いことが報告されて いることから、 ΙΤΠ αの発現量は、正常細胞より癌細胞で低いことが推測された。 そこで、正常ヒ ト皮膚線維芽細胞と癌細胞 (HL60、 Jurcat , HeLa、 腎癌、 直腸癌、 胆嚢癌、大腸癌)で ΙΤΠ αと ΤΟΡΠ αのタンパク質量をィムノブ口ットで検出(図 1 0 ) し、 正常細胞の両タンパク質量を 1として、 癌細胞でのタンパク質量を相 対的に比較した (表 1 )。 腎癌での ΙΤΙΙ αのタンパク質量は、 正常細胞に比べて, 大きな差は認められなかったが、 その他、 測定した癌細胞は、 正常細胞より ΙΤΠ αのタンパク量は約 2〜3倍低く、 逆に ΤΟΡΠ αのタンパク量は 2〜3倍増加して レ、た。 表 1 ΙΠΙ aおよび ΤορΠαの発現量の相対比較
ITII a ΤορΠα
skin fibroblast (normal) 1 1
HeLa 0.32 2.7
Jurcat 0.47 1.6
HL60 0.34 2.9
renal carcinoma .0.84 1.6
gallbladder carcinoma 0.58 1.8
rectal carcinoma 0.60 1.9
colon carcinoma 0.25 2.0
( x ) アンチセンスオリゴヌクレオチドによる癌細胞に対する効果
ΙΤΠ αは、 癌細胞で正常細胞より発現量は低く、 逆に ΤΟΡΠ αは、 癌細胞で正 常細胞より発現量は高かった。 さらに、 アンチセンスで正常細胞の ΙΤΠ αの発現 量を抑制すると、 T0PII aの発現量が増加することが確かめられた。 HeLa細胞と 正常ヒ ト皮膚線維芽細胞に対してアンチセンスオリゴヌクレオチドを導入し、 導
入 48 時間後の細胞を LSCで解析した結果、 正常細胞は、 GI/S arrest を起こし たが、 細胞数の減少はなかった。 これに対して、 HeLa細胞は、 細胞数が減少し、 計測した細胞の 1/3がアポトーシスを起こしていた (図 1 1 (A))。 また、 アン チセンス導入 24、 48、 69時間後の細胞を調製して DNAの ladder (図 1 1 (B))、 および 48時間後の細胞について PARPの切断有無を確かめた(図 1 1 (C))結果、 アンチセンスを導入した癌細胞は、 アポトーシスをおこし、 アンチセンスオリゴ ヌクレオチドは、癌細胞を特異的にアポトーシスに誘導する可能性が示唆された。 次に、 HeLa細胞以外の細胞で癌細胞でアンチセンスオリゴヌクレオチドによる効 果が認められるかどうかを検討した。 肺癌 (図 1 1 (D))、 大腸癌 (図 1 1 (E)) で検討したところ、 両者ともにアンチセンスオリゴヌクレオチド導入 24時間後 に明らかに細胞数の減少が認められ、 アポトーシスの指標として DNA の ladder も検出された。 今回の結果は、 癌細胞にアンチセンスを作用させると、 細胞内の ΤΟΡΠαが過剰になり、 アポトーシスを起こし、 正常細胞でアポトーシスがおこ らなかった原因として、 正常細胞では癌細胞と比較して相対的に ΤΟΡΠαの発現 量が低いため、 アンチセンス効果で ΤΟΡΠαの発現量が増加しても、 GI/Sチヱッ クポイント機構が作用して、 細胞死まで至らないのではないかと考えられる。 実施例 2 : ΙΤΙΙαの合成べプチドによる Τ0ΡΠ aの阻害作用
ΙΤΙΙ αの N末端側から 20残基ごとに (10残基 overlap) 合成ぺプチドを作製 し、 ΤΟΡΙΙα活性 (Relaxation Decatenation活性) の阻害作用を測定した。 な お、 ΤΟΡΠα活性は、 実施例 1の (viii) ΤΟΡΙΙαの活性測定に記載した方法と同 様にして測定した。
その結果、 アミノ酸配列 132 〜151 (VTATFPYTTILSIWLATRRV) (配列番号 1 0) が最も強く阻害作用を示した。 結果を図 1 2に示す。 なお、 この配列以外でも TOPIIc活性を阻害する合成べプチドが認められた。 産業上の利用の可能性
本発明により、 TOPIIc と結合するタンパク質である ιτπαの生理的機能が解 明された。 本発明によれば、 ΙΤΠαの生理的機能に基づいた新規な薬剤を提供す ることが可能になり、 また、 ΤΟΡΠαと ΙΤΠαとの相互作用を利用して、 新規な 医薬品をスクリーニングする方法を提供することが可能になった。