明 細 書 燃料電池システム用燃料 技術分野
本発明は、 燃料電池システムに用いられる燃料に関する。 背景技術
近年、 将来の地球環境に対する危機感の高まりから、 地球にやさしいエネルギ ー供紿システムの開発力 s求められている。 特に、 地球温暖ィヒ防止のための C O 2 の低減、 T H C (排出ガス中の未反応の炭ィヒ水素) 、 N O x、 P M (排出ガス中 の粒子状物質:すす、 燃料 ·潤滑油の高沸点 ·高分子の未燃成分) 等有害物質の 低減を、 高度に達成すること力 S要求されている。 そのシステムの具体例としては 、 従来のオット一·ディーゼルシステムに代わる自動車動力システム、 あるいは 火力に代わる発電システムが挙げられる。
そこで、 理想に近いエネルギー効率を持ち、 基本的には H 2 0と C 02 しか排 出しない燃料電池が、'社会の要望に応えるにもっとも有望なシステムと期待され ている。 そして、 このようなシステムの達成のためには、 機器の技術開発だけで はなく、 それに最適な燃料の開発が必要不可欠である。
従来、 燃料電池システム用の燃料としては、 水素、 メタノール、 炭化水素系燃 料が考えられている。
燃料電池システム用の燃料として、 水素は、 特別の改質装置を必要としない卓 で有利であるが、 常温で気体のため、 貯蔵性並びに車両等への搭載性に問題があ り、 供給に特別な設備が必要である。 また引火の危険性も高く取り扱いに注意が 必要である。
一方、 メタノールは、 水素への改質が比較的容易である点で有利であるが、 重 量あたりの発電量が小さく、 有毒のため取り扱いにも注意が必要である。 また、 腐食性があるため、 貯蔵 ·供給に特殊な設備が必要である。
このように、 燃料電池システムの能力を充分に発揮させるための燃料は未だ開
発されていない。 特に、 燃料電池システム用燃料としては、 重量当りの発電量が 多いこと、 C 0 2発生量当たりの発電量力 s大きいこと、 燃料電池システム全体と しての燃費力 S良いこと、 蒸発ガス (エバポェミッション) が少ないこと、 改質角虫 媒、 水性ガスシフト反応触媒、 一酸化炭素除去触媒、 燃料電池スタック等、 燃料 電池システムの劣化が小さく初期性能が長時間持続できること、 システムの起動 時間が短いこと、 貯蔵安定性や弓 I火点など取り扱い性が良好なことなどが求めら れる。
なお、 燃料電池システムでは、 燃料および改質器を所定の温度に保つことカ泌 要なため、 発電量からそれに必要な熱量 (予熱量及び反応に伴う吸発熱をバラン スさせる熱量) を差し引いた発電量力^ 燃料電池システム全体の発電量となる。 したがって、 燃料を改質させるために必要な温度が低レ、方力 s予熱量力 s小さく有利 になり、 更にシステムの起動時間力5'短く有利になり、 また燃料の予熱に必要な重 量当りの熱量力 s小さいことも必要である。 予熱が十分でない場合、 排出ガス中に 未反応の炭化水素 ( T H C ) が多くなり、 重量当りの発電量を低下させるだけで なく、 大気汚染の原因となる可能性がある。 逆に言えば、 同一システムを同一温 度で稼働させた場合に、 排出ガス中の T H Cが少なく、 水素への変換率が高い方 力 S有利である。
本発明は、 このような状況を鑑み、 上記したような要求性状をバランス良く満 たした燃料電池システムに適した燃料を提供することを目的とする。 発明の開示
本発明者らは、 上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、 特定の炭素数 の炭化水素化合物を特定量含有する燃料が、 燃料電池システムに適していること を見出した。
すなわち、 本発明に係る燃料電池システム用燃料は、
( 1 ) 炭素数 4の炭化水素化合物の含有量が 1 5容量%以下であり、 炭素数 5の 炭化水素化合物の含有量が 5容量%以上であり、 炭素数 6の炭化水素化合物の含 有量が 1 0容量%以上であるものである。
上記特定の炭素数の炭化水素化合物を特定量含有する燃料に、 更に、 以下のよ
うな付加的要件を満たすものがより好ましい。
( 2 ) 硫黄分含有量が 5 0質量 p p m以下である燃料電池システム用燃料。
( 3 ) 飽和分が 3 0容量%以上である燃料電池システム用燃料。
( 4 ) ォレフィン分が 3 5容量%以下である燃料電池システム用燃料。
( 5 ) 芳香族分が 5 0容量%以下である燃料電池システム用燃料。
( 6 ) 飽和分中のパラフィン分の割合が 6 0容量%以上である燃料電池システム 用燃料。
( 7 ) パラフィン分中の分岐型パラフィンの割合が 3 0容量%以上である燃料電 池システム用燃料。 図面の簡単な説明.
第 1図は、 本発明の燃料電池システム用燃料の評価に用いた水蒸気改質型燃料 電池システムのフローチャートである。 第 2図は、 本発明の燃料電池システム用 燃料の評価に用いた部分酸化型燃料電池システムのフローチャートである。 発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明の内容をさらに詳細に説明する。
本発明において、 特定の炭素数の炭化水素化合物量は次のようなものである。 炭素数 4の炭化水素化合物の含有量 (V ( C 4 ) ) は、 燃料全量を基準とした 炭素数 4の炭化水素化合物の含有量を示し、 蒸発ガス (エバポェミッション) の 量を低く押さえることができ、 引火点等の取扱性カ浪ぃ点から、 1 5容量%以下 であること力 s必要であり、 1 0容量%以下であること力 子ましく、 5容量%以下 であることが最も好ましい。
炭素数 5の炭化水素化合物の含有量 (V ( C 5 ) ) は、 燃料全量を基準とした 炭素数 5の炭化水素化合物の含有量を示し、 重量当りの発電量が多いこと、 C O 2 発生量当たりの発電量力 きいこと、 燃料電池システム全体としての燃費カ浪 いこと等から、 5容量%以上であることが必要であり、 1 0容量%以上であるこ と力 s好ましく、 1 5容量%以上であることがより好ましく、 2 0容量%以上であ ることがさらにより好ましく、 2 5容量%以上であることがさらにより一層好ま
しく、 30容量%以上であること力最も好ましい。
炭素数 6の炭化水素化合物の含有量 (V (C6 》 ) は、 燃料全量を基準とした 炭素数 6の炭化水素化合物の含有量を示し、 重量当りの発電量が多いこと、 CO 2発生量当たりの発電量が大きいこと、 燃料電池システム全体としての燃費力良 いこと等から、 10容量%以上であること力 s必要であり、 15容量%以上である こと力好ましく、 20容量%以上であることがより好ましく、 25容量%以上で あることがさらにより好ましく、 30容量%以上であること力 S最も好ましい。 また、 本発明においては、 炭素数 7および 8の炭化水素化合物の含有量につい て特に制限はないが、 C02発生量当たりの発電量力 きいことから、 燃料全量 を基準として通常合計量 (V (C7 +C8 ) ) として 20容量%未満のもの力 子 ましく用いられる。
また、 本発明においては、 炭素数 10以上の炭化水素ィヒ合物の含有量について 特に制限はないが、 C02発生量当たりの発電量力 s大きいこと、 燃料電池システ ム全体としての燃費カ浪ぃこと、 3ji質触媒の劣化が小さく初期性能力 s長時間持続 できることなどから、 燃料全量を基準として炭素数 10以上の炭化水素化合物の 合計量 (V (C10+ ) ) が 20容量%以下であること力 s好ましく、 10容量%以 下であることがより好ましく、 5容量%以下であること力最も好ましい。
なお、 上記した V (C4 ) 、 V (C5 ) 、 V (C6 λ、 V (C7+C8 ) ^ V ( C10+ ) 、 は、 以下に示すガスクロマトグラフィー法により定量される値である 。 すなわち、 カラムにはメチルシリコンのキヤビラリ一カラム、 キャリアガスに はヘリウムまたは窒素を、 検出器には水素イオン化検出器 (F I D) を用い、 力 ラム長 25〜50m、 キャリアガス流量 0. 5〜: I . 5ミリリットル Zmi n、 分割比 1 : 50〜1 : 250、 注入口温度 150〜250°C、 初期カラム温度— 10〜10°C、 終期カラム温度 150〜250°C、 検出器温 150〜250°Cの 条件で測定した値である。
また、 本発明の燃料の硫黄分含有量については何ら制限はないが、 改質触媒、 水性ガスシフト反応触媒、 一酸化炭素除去触媒、 燃料電池スタック等、 燃料電池 システムの劣化が小さく初期性能力長時間持続できることなどから、 燃料全量基 準で、 50質量 ppm以下であること力 S好ましく、 30質量 ppm以下であるこ
とがより好ましく、 10質量 ppm以下であることがさらにより好ましく、 1質 量 ppm以下であることがさらにより一層好ましく、 0. 1質量 ppm以下であ ること力 S最も好ましい。
ここで、 硫黄分とは、 1質量 ppm以上の場合、 J I S K 2541 「原油 及び石油製品—硫黄分試験方法」 により測定される硫黄分を意味し、 1質量 PP m未満の場合、 ASTM D4045-96 「Standard Test Method for Sul fur in Petroleum Products by Hydrogenolysis and Rateometric Colorimetry 」 により測定される硫黄分を意味している。
本発明において、 飽和分、 ォレフィン分および芳香族分の各含有量にはなんら 制限はないが、 飽和分 (V (S) ) は 30容量%以上、 ォレフィン分 (V (0) ) は 35容量%以下、 芳香族分 (V (Ar) ) は 50容量%以下であることが好 ましい。 以下、 これらを個別に説明する。
V (S) は、 重量当りの発電量が多いこと、 C02発生量当たりの発電量が大 きいこと、 燃料電池システム全体としての燃費力良いこと、 排出ガス中の THC 力 s '少ないこと、 システムの起動時間力 S短いこと等から、 30容量%以上であるこ と力 s好ましく、 40容量%以上であることがより好ましく、 50容量%以上であ ることがさらにより好ましく、 60容量%以上であることがさらにより一層好ま しく、 70容量%以上であることがさらにより一層好ましく、 80容量%以上で あることがさらにより一層好ましく、 90容量%以上であることがさらにより一 層好ましく、 95容量%以上であること力 S最も好ましい。
V (0) は、 重量当りの発電量が多いこと、 C02発生量当たりの発電量が大 きいこと、 改質触媒の劣化が小さく初期性能力長時間持続できること、 貯蔵安定 性が良好なことなどから、 35容量%以下であること力 s'好ましく、 25容量%以 下であることがより好ましく、 20容量%以下であることがさらにより好ましく 、 15容量%以下であることがさらにより一層好ましく、 10容量%以下である こと力最も ¾Fましい。
V (Ar) は、 重量当りの発電量が多いこと、 CO 2発生量当たりの発電量が 大きいこと、 燃料電池システム全体としての燃費力良いこと、 排出ガス中の TH C力 s少ないこと、 システムの起動時間力 S短いこと、 重量当りの発電量が多いこと
、 改質触媒の劣化が小さく初期性能力長時間持続できることなどから、 5 0容量 %以下であること力 s好ましく、 4 5容量%以下であることがより好ましく、 4 0 容量%以下であることがさらにより好ましく、 3 5容量%以下であることがさら により一層好ましく、 3 0容量%以下であることがさらにより一層好ましく、 2 0容量%以下であることがさらにより一層好ましく、 1 0容量%以下であること 力 sさらにより一層好ましく、 5容量%以下であること力最も好ましい。
そして、 上記硫黄分の好ましい範囲と上記芳香族分の好ましい範囲力 つなが らに満足すること力 改質触媒の劣化が小さく初期性能を長く維持できることか ら、 最も好ましい。
上記の V ( S ) 、 V ( 0 ) および V (A r ) は、 全て J I S K 2 5 3 6 「 石油製品—炭化水素タイプ試験方法」 の蛍光指示薬吸着法により測定される値で ある。
また、 本発明において、 燃料の飽和分中のパラフィン分の割合については何ら 制限はないが、 重量当りの発電量が多いこと、 C 02発生量当たりの発電量が大 きいことなど力 >ら、 飽和分中のパラフィン分の割合が 6 0容量%以上であること 力 S好ましく、 6 5容量%以上であることがより好ましく、 7 0容量%以上である ことがさらにより好ましく、 7 5容量%以上であることがさらにより一層好まし く、 8 0容量%以上であることがさらにより一層好ましく、 8 5容量%以上であ ることがさらにより一層好ましく、 9 0容量%以上であることがさらにより一層 好ましく、 9 5容量%以上であること力 s最も好ましい。
上記の飽和分およびパラフィン分は、 上記したガスクロマトグラフィー法によ り定量された値である。
また、 上記パラフィン分中の分岐型パラフィンの割合については何ら制限はな いが、 重量当りの発電量が多いこと、 C 02発生量当たりの発電量が大きいこと 、 燃料電池システム全体としての燃費力 S良いこと、 排出ガス中の T H Cが少ない こと、 システムの起動時間力5'短いこと等から、 パラフィン分中の分岐型パラフィ ンの割合が 3 0容量%以上であること力好ましく、 5 0容量%以上であることが より好ましく、 7 0容量%以上であること力 s最も好ましい。
上記のパラフィン分および分岐型パラフィンの量は、 上記したガスクロマトグ
ラフィ一法により定量された値である。
本発明の燃料の製造方法については、 特に制限はない。 具体的には例えば、 原 油を常圧蒸留して得られる軽質ナフサ、 原油を常圧蒸留して得られる重質ナフサ 、 軽質ナフサを脱硫した脱硫軽質ナフサ、 重質ナフサを脱硫した脱硫重質ナフサ 、 軽質ナフサを異性化装置でィソパラフィンに転ィヒして得られる異性化ガソリン 、 イソブタン等の炭ィヒ水素に低級ォレフィンを付加 (アルキル化) することによ つて得られるアルキレート、 アルキレートを脱硫処理した脱硫アルキレート、 脱 硫されたィソブタン等の炭化水素と脱硫された低級ォレフィンによる低硫黄アル キレート、 接触改質法で得られる改質ガソリン、 2女質ガソリンょり芳香族分を抽 出した残分であるラフイネ一ト、 3質ガソリンの軽質留分、 [質ガソリンの中重 質留分、 改質ガソリンの重質留分、 接触分解法、 水素化分解法等で得られる分解 ガソリン、 分解ガソリンの軽質留分、 分解ガソリンの重質留分、 分解ガソリンを 脱硫処理した脱硫分解ガソリン、 分解ガソリンの軽質留分を脱硫処理した脱硫軽 質分解ガソリン、 分解ガソリンの重質留分を脱硫処理した脱硫重質分解ガソリン 、 天然ガス等を一酸化炭素と水素に分解した後に F— T (Fischer-Tropsch ) 合 成で得られる 「G T L (Gas to Liquids) J の軽質留分、 L P Gを脱硫処理し た脱硫 L P G、 等の基材を 1種または 2種以上を用いて製造される。 また、 上言己 の基材を 1種または 2種以上を混合した後に、 水素ィヒあるいは吸着等によって脱 硫することによつても製造できる。
これらの中でも、 本発明の燃料の製造基材として好ましいものとしては、 軽質 ナフサ、 脱硫軽質ナフサ、 異性化ガソリン、 アルキレートを脱硫処理した脱硫ァ ルキレート、 脱硫されたイソブタン等の炭化水素と脱硫された低級ォレフィンに よる低硫黄アルキレート、 分解ガソリンの軽質留分を脱硫処理した脱硫軽質分解 ガソリン、 G T Lの軽質留分、 L P Gを脱硫処理した脱硫 L P G、 等が挙げられ る。
本発明の燃料電池システム用燃料には、 識別のために着色剤、 酸化安定度向上 のために酸化防止剤、 金属不活性化剤、 腐食防止のための腐食防止剤、 燃料ライ ンの清浄性維持のために清浄剤、 潤滑性向上のための潤滑性向上剤等の添加剤を 添加することもできる。
しカゝし、 改質触媒の劣化が小さく初斯注能力 S '長時間維持できることから、 着色 剤は 1 Oppm以下が好ましく、 5 ppm以下がより好ましい。 同様の理由によ り、 酸化防止剤は 300 p p m以下が好ましく、 200 p p m以下がより好まし く、 100 ppm以下力 S更により好ましく、 1 Opp— m以下が最も好ましい。 同 様の理由により金属不活性化剤は 50 p p m以下が好ましく、 30 p p m以下が より好ましく、 1 Oppm以下が更により好ましく、 5 ppm以下が最も好まし い。 また、 同様に改質触媒の劣化が小さく初期性能を長時間維持できることから 、 腐食防止剤は 5 Oppm以下が好ましく、 3 Oppm以下がより好ましく、 1 Oppm以下が更により好ましく、 5 ppm以下が最も好ましい。 同様の理由に より清浄剤は 300ppm以下が好ましく、 200pm以下がより好ましく、 1 ,00 p pm以下がもっとも好ましい。 同様の理由により潤滑性向上剤は 300 p pm以下力好ましく、 200ppm以下がより好ましく、 100pm以下がもつ とも好ましい。
本発明の燃料は、 燃料電池システム用燃料として用いられる。 本発明でいう燃 料電池システムには、 燃料の改質器、 一酸化炭素浄化装置、 燃料電池等が含まれ るが、 本発明の燃料は如何なる燃料電池システムにも好適に用いられる。
燃料の改質器は、 燃料を改質して燃料電池の燃料である水素を得るためのもの である。 改質器と'しては、 具体的には、 例えば、
(1) 加熱気化した燃料と水蒸気を混合し、 銅、 ニッケル、 白金、 ルテニウム等 の触媒中で加熱反応させることにより、 水素を主成分とする生成物を得る水蒸気 改質型改質器、
(2) 加熱気化した燃料を空気と混合し、 銅、 ニッケル、 白金、 ルテニウム等の 触媒中または無触媒で反応させることにより、 水素を主成分とする生成物を得る 部分酸化型改質器、
(3) 加熱気化した燃料を水蒸気及び空気と混合し、 銅、 ニッケル、 白金、 ルテ ユウム等の触媒層前段にて、 (2) の部分酸化型改質を行ない、 後段にて部分酸 化反応の熱発生を利用して、 ( 1 ) の水蒸気型改質を行なうことにより、 水素を 主成分とする生成物を得る部分酸ィヒ ·水蒸気改質型改質器、
等が挙げられる。
一酸化炭素浄化装置とは、 上記の改質装置で生成されたガスに含まれ、 燃料電 池の触媒毒となる一酸化炭素の除去を行なうものであり、 具体的には、
(1) 改質ガスと加熱気化した水蒸気を混合し、 銅、 ニッケル、 白金、 ルテユウ ム等の触媒中で反応させることにより、 一酸化炭素と水蒸気より二酸化炭素と水 素を生成物として得る水性ガスシフト反応器、
(2) 改質ガスを圧縮空気と混合し、 白金、 ルテニウム等の触媒中で反応させる ことにより、 一酸化炭素を二酸化炭素に変換する選択酸化反応器等が挙げられ、 これらを単独または組み合わせて使用される。
燃料電池としては、 具体的には、 例えば、 固体高分子型燃料電池 (PEFC) 、 リン酸型燃料電池 (PAFC) 、 溶融炭酸塩型燃料電池 (MCFC) 、 固体酸 化物型燃料電池 (SO FC) 等が挙げられる。 . .
また、 上記したような燃料電池システムは、 電気自動車、 従来エンジンと電気 のハイブリッド自動車、 可搬型電源、 分散型電源、 家庭用電源、 コージエネレ一 シヨンシステム等に用いられる。, 実施例
実施例および比較例の各燃料に用いた各基材の性状等を第 1表に示す。
なお、 熱容量及び蒸発潜熱は、 上記したガスクロマトグラフィ一法により定量 された各成分毎の含有量と、 「Techn i ca l Data B o o k-P e t r o 1 e um Ref i ni ng」 の 'I Vo l■· 1, Chap. 1 Gene r a 1 Data, Tab l e 1 C 1」 に記載されている各成分ごとの単位 重量当たりの数値を基に計算で求めた。
また、 実施例および比較例に用いた各燃料の性状等を第 2表に示す。
第 1表
差替え用紙(規則 26)
第 1表 (続き)
差替え用紙(規則 26)
鹏螺 ¾ i;
混合割合 LPG 17% 脱硫軽質ナフサ 100% 80%
異性化ガソリン 100%
軽質改質ガソリン 20%
中重質改質ガソリン 30% 15% 重質改質ガソリン 70% 68% 性状 硫黄分 ¾ ppm 0.1 0.1 0.3 0.3 0.5 炭素数割合
炭素数 4 容量% 5.4 7.9 2.4 0.0 16.6 炭素数 5 容量% 42.2 43.7 43.6 0.0 0.0 炭素数 6 容量% 49.2 45.7 53.6 0.2 0.1 炭素数 7 容量% 3.1 2.5 0.3 10.9 5.4 炭素数 8 容量% 0.1 0.1 0.1 14.4 7.2 炭素数 7+8 容量% 3.2 2.6 0.4 25.3 12.6 炭素数 9 容量% 0.0 0.0 0.0 51.8 48.4 炭素数 10以上 容量% 0.0 0.0 0.0 22.8 21.9 組成
飽和分 容量% 98.9 98.5 99.9 1.6 17.9 ォレフィン分 容量% 0.0 0.4 0.1 0.0 0.1 芳香族分 容量% 1.1 1.1 0.0 98.3 82.0 飽和分中のパラフィン 容量% 92.6 93.9 98.4 98.2 99.9 ハ 'ラフィン中の分枝/ ラフィン容量% 37.2 42.6 83.5 54.8 35.9 密度 g/cm3 0.6564 0.6549 0.6475 0.8804 0.8316 真発熱量 kJ/kg 44820 44850 44798 41180 41738 熱容量 (液体) kJ/kg-°C 2.197 2.203 2.197 1.704 1.780 熱容量 (気体) kJ/kg-°C 1.569 1.572 1.582 1.219 1.274 蒸発潜熱 kJ/kg 344.4 345.1 332.8 319.8 323.3
これら各燃料について、 燃料電池システム評価試験、 蒸発ガス試験、 貯蔵安定 性試験を行なった。
燃料電池システム評価試験
( 1 ) 水蒸気改質型
燃料と水を電気加熱により気ィヒさせ、 貴金属系触媒を充填し電気ヒータ一で所 定の温度に維持した改質器に導き、 水素分に富む改質ガスを発生させた。
改質器の温度は、 試験の初期段階において改質カ '完全に行なわれる最低の温度
(改質ガスに T H C力 S含まれない最低温度) とした。
改質ガスを水蒸気と共に一酸化炭素処理装置 (水性ガスシフト反応) に導き、 3i (質ガス中の一酸化炭素を二酸化炭素に変換した後、 生成したガスを固体高分子 型燃料電池に導き発電を行なった。
評価に用いた水蒸気改質型の燃料電池システムのフローチヤ一トを第 1図に示 す 0
( 2 ) 部分酸化型
燃料を電気加熱により気ィヒさせ、 予熱した空気と共に貴金属系触媒を充填し電 気ヒーターで 1 1 0 0 °Cに維持した改質器に導き、 水素分に富む改質ガスを発生 させた。
改質ガスを水蒸気と共に一酸化炭素処理装置 (水性ガスシフト反応) に導き、 改質ガス中の一酸化炭素を二酸化炭素に変換した後、 生成したガスを固体高分子 型燃料電池に導き発電を行なった。
評価に用いた部分酸化型の燃料電池システムのフローチャートを第 2図に示す
( 3 ) 評価方法
評価試験開始直後に改質器から発生する改質ガス中の H 2 、 C O、 C 02 、 T H C量について測定を行った。 同じく、 評価試験開始直後に一酸化炭素処理装置 から発生する改質ガス中の H 2 、 C O、 C 02 、 T H C量について測定を行った 評価試験開始直後および開始 1 0 0時間後の燃料電池における発電量、 燃料消 費量、 並びに燃料電池から排出される C O 2量について測定を行なった。
各燃料を所定の改質器温度にまで導くために要する熱量 (予熱量) は、 熱容量 、 蒸発潜熱から計算した。
また、 これら測定値'計算値および燃料発熱量から、 3女質触媒の性能劣化割合 (試験開始 1 0 0時間後の発電量 Z試験開始直後の発電量) 、 熱効率 (試験開始 直後の発電量 Z燃料発熱量) 、 予熱量割合 (予熱量 Z発電量) を計算した。 蒸発ガス試験
2 0リツトルのガソリン携行缶の給油口に試料充填用ホースを装着し、 装着部 を完全にシールした。 缶の空気抜きバルブは開けたまま、 各燃料を 5リットル充 填した。 充填後に空気抜きバルブを閉め、 3 0分間放置した。 放置後、 空気抜き バルブの先に活性炭吸着装置を取付けてバルブを開けた。 直ちに給油口から各燃 料を 1 0リットル給油した。 給油後 5分間、 空気抜きバルブを開けたまま放置し 活性炭に蒸気を吸収させ、 その後に活性炭の重量増を測定した。 なお、 試験は 2 5 °Cの一定温度下で行なった。
貯蔵安定度試験
各燃料を耐圧密閉容器に酸素と共に充填し、 1 0 0 °Cに加熱、 '温度を保ったま ま 2 4時間放置した後、 J I S K 2 2 6 1に定める実在ガム試験法にて評価を 行なった。
各測定値 ·計算値を第 3表に示す。
鹏鹉 ¾ I
第 3表
1 )改質ガス中に THCが含まれない最低温度
2)電気エネルギー/燃料発熱量
3)燃料を所定の改質器温度に導くために必要な熱量
4)予熱量 Z電気エネルギー
産業上の利用可能性
上記の通り、 本発明にかかる燃料電池システム用燃料は、 性能劣化割合の少な い電気エネルギーを高出力で得ることができる他、 燃料電池用として各種性能を 満足する燃料である。