明 細 書 含有経皮投与製剤 技術分野
本発明は、 イデべノンを含有する痴呆症予防および治療用経皮投与製剤に関 する。 背景技術
老人人口の増加はガン、 各種の成人病および中枢性疾患の増加を伴い、 大き な社会問題となっている。 とりわけ、 中枢性疾患である痴呆症の患者をいかに 治療するかは真に急務の課題である。 痴呆症患者、 特にアルツハイマー型痴呆 症 (以下、 アルツハイマー病と称することもある) 患者の治療方法、 あるいは 痴呆症進展抑制方法等に関しては、 これまで十分満足できる有効な手段は見い 出されていない。
イデべノンは、 免疫促進作用、 脳を始めとする生体内の組織代謝賦活作用を 有し、 脳梗塞や脳出血の後遺症に併う慢性脳循環障害による意欲低下、 情緒障 害、 言語障害あるいは、 脳血管障害による神経症状、 記憶や学習の障害の改善 薬として報告されている。 また、 ミトコンドリア電子伝達系に作用することに より、 過酸化脂質の生成を抑制し、 ミトコンドリア機能低下、 エネルギー代謝 低下、 ひいては神経機能低下を防止すると考えられている。 また、 その抗酸化 作用により生体内で常時産生されている活性酸素種 (ROS) を消去し、 RO Sが関与すると考えられている脳内老人斑形成、 神経原繊維変化ひいては神経 細胞死を抑制することによりァルツハイマー型痴呆症を予防治療すると考えら れている (Biochem. Biophys. Res. Commun. 125巻, 1046- 1052頁, 1984年、 J. Pharmacol. Exp. Ther. , 260巻, 1132- 1140頁, 1989年) 。
特開平 3— 8 12 18号公報 (USP 5, 059, 627) および特開平 7 - 61923号公報 (EP—A— 629400) には、 アルツハイマー型老年期 痴呆症の治療剤として、 イデべノンが有効であることが記載されている。 前者
ではイデべノンの投与量が成人 1人当たり 1日につき 0. l m g〜5 0 0 m g と記載されている。 また、 後者ではイデべノンを成人 1人当たり 1日につき 1 5 O m g以上の高用量を投与することが記載されている。更に、 Arch. Gerontol. Ger iatr. , 15巻, 1992年 第 249- 259頁には、 アルツハイマー型老年期痴呆患者 にイデべノンを成人 1人当たり 1日につき 9 O m gを投与することにより、 そ の有効性が確認されたことが記載されている。
一般に、 痴呆症の予防および治療においては長期間にわたる継続的な経口投 薬が必要である。 例えば、 ごく初期のアルツハイマー型痴呆症の患者において は、 症状がほとんど出ていないにもかかわらず一日 2ないし 3回の服用を継続 しなければならず、 また、 症状が顕在化している患者においては患者本人が経 口剤の服用を規則的に継続することは難しくなり、 このため介護者が患者に服 用を継続させるには多大な労力を要し、 コンプライアンスの低下の要因となつ ている。
一方、 特開平 4一 9 9 7 1 9号公報には、 脂肪酸、 その誘導体および動植物 性油脂からなる群から選ばれた少なくとも 1種と多価アルコールと水とからな る外用貼付剤用基剤を用いて種々の薬剤の外用貼付剤を調製することが記載さ れている。 しかし、 痴呆症予防治療薬、 とりわけイデべノンへの応用が好まし い結果をもたらすことについての記載はない。
また、 特開平 1 _ 2 7 9 8 1 8号公報には、 イデべノンを含有してなる白髪 黒化剤の製剤例として、 イデべノンを含有するカーボワックス軟膏、 白色ヮセ リン軟膏およびクリーム剤が記載されている。
しかしながら、 イデべノンの対象疾患および剤形について種々報告されてい るものの、 各疾患について最適の剤形は知られておらず、 特に痴呆症に対して、 吸収率、 安定性、 毒性、 患者への負担、 投与の容易性、 工業的製造等を考慮し た場合に、 医薬として臨床上適用可能で優れた効果を有する製剤は未だ得られ ていない。 本発明は、 脳神経疾患薬として優れた作用を示すイデべノンの臨床 上有用な投与法およびそれに適した製剤をはじめて提供するものである。 発明の開示
本発明者らは、 ィデべノンの効率的で簡便な投与形態を探索すベく鋭意努力 した結果、 痴呆症の予防治療用に経皮投与製剤を初めて製造したところ、 意外 にも優れた安定性を有し、 接触感もよく適用が容易であり、 イデべノンが効率 的に吸収され、 安全かつ患者のコンプライアンスも達成され得る等の臨床上の 医薬として優れた性質を有することを見いだし、 これに基づいて本発明を完成 した。
すなわち、 本発明は、
( 1 ) イデべノンを含有する痴呆症予防および治療用経皮投与製剤、
(2) 痴呆症がアルツハイマー型痴呆症である前記 (1) 記載の製剤、 (3) 貼付剤である前記 (1) 記載の製剤、
(4) パッチ剤である前記 (1) 記載の製剤、
(5) テープ剤である前記 (1) 記載の製剤、
(6) 1ないし 7日毎に 1回投与する前記 (1) 記載の製剤、
(7) 1日に 1回投与する前記 (1) 記載の製剤、
(8) イデべノンの配合量が製剤全重量の約 0. 1ないし約 20重量%である前 記 (1) 記載の製剤、
(9) イデべノンの配合量が製剤全重量の約 1ないし約 10重量%である前記 (1) 記載の製剤、
(10) イデべノンの配合量が約 0.3ないし約 5 Omgノ cm2である前記 (3) 記載の貼付剤、
(11) イデべノンの配合量が約 0.4ないし約 2 OmgZcm2である前記
(3) 記載の貼付剤、
(12) イデべノンの投与量が約 0.3ないし約 100 Omg/回である前記 (1) 記載の製剤、
(13) イデべノンの投与量が約 1ないし約 50 OmgZ回である前記 (1) 記載の製剤、
(14) イデべノンの投与量が約 2ないし約 20 OmgZ回である前記 (1) 記載の製剤、
(15) イデべノンを痴呆症予防および治療剤として経皮投与する方法、 およ
び
(16) 痴呆症予防および治療用経皮投与製剤を製造するためのイデべノンの 使用等に関する。 発明を実施するための最良の形態
イデべノンは、 6— (10—ヒドロキシデシル) — 2, 3—ジメトキシ— 5— メチル— 1, 4—ベンゾキノンの一般名であり、 特開昭 56— 97223号、 特 公昭 62— 3134号公報等に記載の公知化合物である。
イデべノンは、 例えば特開昭 51— 128932号、 同 63— 264436 号、 同 56— 7734号、 同 56— 147746号公報などに記載の方法また はそれに準じる方法により製造することができる。
本発明の製剤は、 経皮的に活性成分を投与し得る製剤で目的の効果を達成で きれば、 いずれの形態でもよく、 塗布剤、 貼付剤などが挙げられる。
該 「塗布剤」 は、 液状または半固形状で一定の形態を有さず、 1回の投与量 が自由に調節でき、 皮膚上に塗布することを特徴とする投与剤形を総称し、 例 えば、 軟膏剤 (クリーム剤も含む) 、 ローション剤 (懸濁剤、 乳剤も含む) 、 液剤、 噴霧剤などが挙げられる。
該 「貼付剤」 は、 一定の形状を有し、 1回の投与量が規定可能な経皮投与剤 形を総称し、 例えば、 パッチ剤、 硬膏剤、 テープ剤等が挙げられる。 該パッチ 剤は貼付面上薬物保持層と粘着層が別々に配置されたものを示し、 該テープ剤 は薬物保持層と粘着層が均一に混合されたものを示す。
本発明の製剤として、 好ましくは、 投与量のコントロール等の点から貼付剤 等である。 さらに好ましくはパッチ剤、 テープ剤等である。
本発明の製剤が例えばパッチ剤である場合、 好ましい態様は、 イデべノン、 溶剤 (好ましくはエタノール) 、 基剤 (好ましくは高級 (C12— 22) 脂肪酸アル コール、 さらに好ましくはステアリルアルコール) および保湿剤 (好ましくは プロピレングリコール) を含むパッチ剤である。 イデべノンの配合量は 5ない し 10重量部が好ましい。 溶剤の配合量は 10ないし 20重量部が好ましい。 基剤の配合量は 20ないし 35重量部が好ましい。 保湿剤の配合量は 20ない
し 3 5重量部が好ましい。
本発明の製剤が例えばテープ剤である場合、 好ましい態様は、 イデべノン、 基剤 (好ましくは高級(C 1 2 2 2)脂肪酸アルコール、 さらに好ましくはステア リルアルコール) 、 保湿剤 (好ましくはプロピレングリコール) および接着剤 を含むテープ剤である。 イデべノンの配合量は 5ないし 1 0重量部が好ましい。 基剤の配合量は 2 0ないし 3 0重量部が好ましい。 保湿剤の配合量は 2 0ない し 3 0重量部が好ましい。 接着剤の配合量は 2 0ないし 3 0重量部が好ましい。 本発明の製剤は、 自体公知の方法、 例えば日本薬局方に記載の方法またはそ れに準じた方法に従って製造することができる。 以下に具体例を挙げる。
「塗布剤」 (例、 軟膏剤、 ローション剤、 液剤、 噴霧剤等) は、 製剤分野に おいて自体公知の溶剤、 懸濁化剤、 乳化剤、 噴射剤、 基剤などとともにイデべ ノンを配合し、 常法に従って製造することができる。 必要により経皮吸収調節 成分、 保湿剤、 防腐剤、 炎症防止剤などを配合してもよい。
上記 「溶剤」 とは、 「軟膏剤」 、 「ローション剤」 、 「液剤」 、 「噴霧剤」 を構成する液状成分であり、 特に水溶性溶媒と定義される。 具体的には水、 低 級アルコール (例、 エタノール等) 、 炭素数 2〜 5のアルカンジオール (例、 グリセリン等) 、 炭素数 2〜 5のアルカントリオール (例、 プロピレングリコ —ル等) などが挙げられる。 これらは単独または 2種以上併用してもよい。 該 「溶剤」 の製剤中の配合量は、 0〜 9 0 %程度である。
上記 「懸濁化剤」 とは、 「噴霧剤」 および 「ローション剤」 に含まれる 「懸 濁剤」 に主に配合され、 分離した 2相の液体 (例、 水およびミリスチン酸イソ プロピル等) を振とうにより混合した場合、 一時的に均一な状態を保たせる働 きのある成分およびその油相を形成する脂溶性溶媒を示す。 該 「成分」 (前者) としては、 例えば、 ゲル化成分 (例、 アルギン酸ナトリウム、 乾燥水酸化アル ミニゥムゲル、 カンテン等) 、 増粘剤 (例、 キサンタンガム、 口一カストビ一 ガム等) 、 ケィ酸アルミニウムマグネシウム、 軽質無水ケィ酸、 結晶セルロー ス、 界面活性剤 (例、 ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、 ポリオ キシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、 ポリオキシエチレン脂肪酸エステ ル、 ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、 ポリオキシエチレンアルキ
ルァリールエーテル、 ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、 ブロックポリマー 型非イオン性界面活性剤 (プル口ニック L _ 6 2, L— 6 4, F - 6 8 ) な どの非イオン性界面活性剤;ソディウムラゥリルスルフェイト (S L S ) 等の イオン性界面活性剤) などが挙げられ、 製剤中の配合量は、 0〜5 0 %程度で ある。 該 「脂溶性溶媒」 (後者) としては、 例えば高級脂肪酸アルコール (例、 セ夕ノール、 ステアリルアルコール、 ベへニルアルコール、 ォレイルアルコー ル等) 、 高級脂肪酸エステル (例、 ミリスチン酸イソプロピル、 トリ (カプリ ル酸、 力プリン酸) グリセリド等) 、 油脂類 (例、 大豆レシチン、 カルナゥバ ロウ、 サラシミツロウ、 ォリーブ油、 ナタネ油等) などが挙げられ、 これらは 単独または 2種以上を併用してもよい。 該 「脂溶性溶媒」 の製剤中の配合量は、 0〜8 0 %程度である。
上記 「乳化剤」 は、 一部懸濁化剤と共通するが、 「噴霧剤」 、 「軟膏剤」 に 含まれる 「クリーム剤」 、 「ローション剤」 に含まれる 「乳剤」 等に主に配合 され、 相溶性の低い 2相の液体 (例、 水およびミリスチン酸イソプロピル等) を製造時から使用期限までェマルジョンを構成して均一な状態を保たせる働き のある成分およびその油相を形成する脂溶性成分を示す。 具体例としては、 ゲ ル化成分 (例、 アルギン酸ナトリウム、 ポリビニルアルコール、 乾燥水酸化ァ ルミニゥムゲル等) 、 増粘剤 (例、 力一ドラン、 カンテン、 ムチン、 ゼラチン、 ぺクチン、 カラギーナン、 キチン、 キトサン、 口一カストビンガム、 トラガン トガム、 キサンタンガム、 プルラン、 スクラルフェート等) 、 ゲイ酸アルミ二 ゥムマグネシウム、 軽質無水ケィ酸、 結晶セルロース、 高級アルコール (例、 セ夕ノール、 ステアリルアルコール、 ベへニルアルコール、 ォレイルアルコー ル等) 、 高級脂肪酸エステル (例、 ミリスチン酸イソプロピル、 トリ (カプリ ル酸、 力プリン酸) ダリセリド等) 、 油脂類 (例、 大豆レシチン、 セ夕ノール、 ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、 カルナゥバロウ、 サラシミツロウ等) 、 界 面活性剤 (例、 ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、 ポリオキシェ チレンソルビトール脂肪酸エステル、 ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、 ポ リォキシエチレン高級アルコールエーテル、 ポリォキシエチレンアルキルァリ ールエーテル、 ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、 ブロックポリマー型非ィ
オン性界面活性剤 (プル口ニック L _ 6 2, L— 6 4 , F— 6 8 ) など の非イオン性界面活性剤;ソディウムラゥリルスルフェイト (S L S ) などの イオン性界面活性剤) などが挙げられ、 これらの成分は単独または 2種以上併 用してもよい。 該 「乳化剤」 の製剤中の配合量は、 0〜7 0 %程度である。 上記 「噴射剤」 は、 「噴霧剤」 に主に配合され、 沸点が常温以下でスプレー などの装置に高圧充填され、 その圧力により中身を噴射させることができる成 分の総称で、 別名 "プロペラント" と呼ばれるものである。 具体例としては、 フロン (例、 フレオン 1 1、 フレオン 1 2、 フレオン 1 1 3など) 、 代替フロ ン、 液化石油ガス、 二酸化炭素などが挙げられ、 これらは単独または 2種以上 併用しても構わない。 該 「噴射剤」 の製剤中の配合量は、 0〜9 9 %程度であ る。 また、 噴射剤 (プロペラント) を用いずに、 機械的に空気を吸入排出する ことにより噴霧剤を製造することもできる。
上記 「基剤」 は、 イデべノンを製剤内に溶解または均一に分散することを目 的に上記塗布剤に配合され、 固形剤における賦形剤的役割を持つものの総称で ある。 以下、 具体例として、 軟膏用基剤、 ローション剤および噴霧剤用基剤を 挙げる。
「軟膏剤の基剤」 としては、 例えばワセリン、 固形パラフィン、 オリ一ブ油、 ゴマ油、 綿実油、 固形パラフィン、 流動パラフィン、 ラノリン、 高級脂肪酸ァ ルコール (例、 セ夕ノール、 ステアリルアルコール、 ォレイルアルコール等) 、 高級脂肪酸 (例、 ミリスチン酸、 パルミチン酸、 ステアリン酸、 ォレイン酸等) 脂肪酸エステル (例、 サラシミツロウ、 ミツロウ、 鯨ロウ、 ミリスチン酸イソ プロピル、 パルミチン酸イソプロピル、 トリ (力プリル酸 カプリン酸) ダリ セリド等) 、 脂質類 (例、 大豆レシチン、 ジパルミトイルフォスファチジルコ リン、 ジステアリルフォスファチジルコリン等)、 シリコン油などの油性基剤; 水、 マクロゴール類 (例、 マクロゴール 4 0 0、 マクロゴール 6 0 0、 マクロ ゴール 1 0 0 0、 マクロゴール 1 5 0 0、 マクロゴール 4 0 0 0、 マクロゴー ル 6 0 0 0等) 、 炭素数 2〜 5のアルカンジオール (例、 グリセリン等) 、 炭 素数 2〜 5のアルカントリオール (例、 プロピレングリコール、 1, 3—プチ レンダリコール等) 、 ポリビニルアルコール (P VA) 、 ポリアクリル酸 (P
AA) 、 カルボキシビ二ルポリマ一、 高吸水性樹脂 (例、 PVAと PAAのブロック ポリマー (例、 住友化学社製 スミカゲル 3 ?— 5 1 0等) 等) などの水性基 剤が挙げられる。 これらは単独または 2種以上併用されてもよく、 最終製剤で は半固形状を呈すればよい。 該 「軟膏剤の基剤」 の製剤中の配合量は、 0〜9 9 %程度である。
「ローション剤の基剤」 および 「噴霧剤の基剤」 の 「基剤」 としては、 例え ば、 水、 低級アルコール (例、 エタノール等) 、 炭素数 2〜5のアルカンジォ ール (例、 グリセリン等) 、 液状エステル (例、 ミリスチン酸イソプロピル、 トリ (力プリル酸 力プリン酸) グリセリド等) 、 液状油脂類 (例、 ォリーブ 油、 液体ラノリン、 流動パラフィン等) などが挙げられ、 これらは単独または 2種以上併用してもよく、最終製剤では液状を呈するものであればよい。該「口 —シヨン剤の基剤」 および 「噴霧剤の基剤」 の製剤中の配合量は、 それぞれ 0 〜9 9 %程度である。
「液剤の基剤」 としては、 例えば、 水、 低級アルコール (例、 エタノール等) , 炭素数 2〜 5のアルカンジオール (例、 グリセリン等) などが挙げられ、 これ らは単独または 2種以上併用してもよく、 最終製剤では水溶性液状を呈するも のであればよい。 該 「液剤の基剤」 の製剤中の配合量は、 0〜9 9 %程度であ る。
上記 「経皮吸収調節成分」 は、 皮膚表面、 主に角質層に作用して薬物の吸収 性を促進させる目的で配合される。 具体例としては、 リン脂質 (例、 レシチン 等) 、 固形パラフィン、 ミツロウ、 カルナゥバロウ、 硬化ヒマシ油、 ラノリン、 ワセリン、 ポリビニルアルコール、 ポリビニルピロリドン、 ポリエチレンダリ コール、 グリセリン脂肪酸エステル、 コレステロール、 カーボポール、 力ルポ キシメチルセルロース、 カルボキシェチルセルロース、 シリコン樹脂、 低級ァ ルコール (例、 エタノール、 イソプロピルアルコール等) 、 炭素数 6〜2 0の 脂肪族カルボン酸 (例、 カブロン酸、 力プリル酸、 力プリン酸、 ラウリン酸、 ミリスチン酸、 パルミチン酸、 ステアリン酸、 ォレイン酸、 ァラキドン酸等) およびその塩、 炭素数 6〜 2 0の脂肪族アルコ一ル (例、 n—才クチルアルコ —ル、 n _セチルアルコール等) 、 炭素数 2〜 2 0の脂肪族アルコールと炭素
数 6〜2 0の脂肪族カルボン酸とのエステル体 (例、 ミリスチン酸イソプロピ ル等) 、 炭素数 2〜2 0の脂肪族アルコールと炭素数 2〜5のアルカンジォー ル (グリセリン等) とのエステル (例、 トリ (力プリル酸/力プリン酸) ダリ セリド等) 、 炭素数 2〜 5のアルカンジオール (例、 グリセリン等) 、 炭素数 2〜5のアルカントリオール (例、 プロピレングリコール等) 、 ピロリドン誘 導体 (例、 N—メチルピロリドン等) 、 d—リモネン、 1—メントール、 界面 活性剤 (例、 ポリオキシエチレンソルビ夕ン脂肪酸エステル、 ポリオキシェチ レンソルビトール脂肪酸エステル、 ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、 ポリ ォキシェチレン高級アルコールエーテル、 ポリォキシェチレンアルキルァリ一 ルエーテル、 ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、 ブロックポリマー型非ィォ ン性界面活性剤 (プル口ニック L— 6 2, L - 6 4 , F— 6 8 ) などの非ィ オン性界面活性剤;ソディウムラゥリルスルフェイト (S L S ) などのイオン 性界面活性剤) などが挙げられ、 これらは単独または 2種以上併用してもよい。 該 「経皮吸収調節成分」 の製剤中の配合量は、 0〜8 0 %程度である。
上記 「防腐剤」 としては、 例えば、 安息香酸、 安息香酸ナトリウム、 安息香 酸ベンジル、 エタノール、 ェデト酸ナトリウム、 塩化ベンザルコニゥム、 サリ チル酸、 サリチル酸塩、 パラォキシ安息香酸イソプチル、 パラォキシ安息香酸 イソプロピル、 パラォキシ安息香酸ェチル、 パラォキシ安息香酸プチル、 パラ ォキシ安息香酸プロピル、 パラォキシ安息香酸メチル、 フエノール、 ベンジル アルコール、 ホウ酸、 ホウ砂、 1—メントールなどが挙げられ、 これらは単独 または 2種以上併用してもよい。 該「防腐剤」 の製剤中の配合量は、 0〜2 0 % 程度である。
上記 「保湿剤」 としては、 例えば、 グリセリン、 プロピレングリコール、 尿 素、 アミノ酸 (例、 1一プロリン等) などが挙げられ、 これらは単独または 2 種以上併用してもよい。 該 「保湿剤」 の製剤中の配合量は 0〜 5 0 %程度であ る。
上記 「炎症防止剤」 としては、 例えば、 グリチルレチン酸、 ジフェンヒドラ ミンなどが挙げられ、 これらは単独または 2種併用してもよい。 該 「炎症防止 剤」 の製剤中の配合量は 0〜1 0 %程度である。
前記 「貼付剤」 (例、 パッチ剤、 硬膏剤、 テープ剤等) は、 剤、 乳化剤、 経皮吸収調節成分、 防腐剤、 保湿剤、 炎症防止剤、 粘着剤などを 用いて適当な担持体 (バッキング) に吸収または付着させて、 さらに必要に応 じて製剤からの薬物放出を制御する目的で放出制御膜を配し常法に従い製造す ることができる。 また、 必要に応じ、 イデべノンをあらかじめ溶剤で溶解、 分 散しておいてもよい。
上記 「基剤」 は、 イデべノンを製剤内に溶解または均一に分散することを目 的に上記貼付剤に配合され、 固形剤における賦形剤的役割を持つものの総称で ある。 以下、 具体例を挙げる。
「貼付剤の基剤」 としては、 例えば、 ワセリン、 固形パラフィン、 オリ一ブ 油、 ゴマ油、 綿実油、 流動パラフィン、 ラノリン、 高級脂肪酸アルコール (例、 セ夕ノール、 ステアリルアルコール、 ォレイルアルコール等) 、 高級脂肪酸(例、 ミリスチン酸、 パルミチン酸、 ステアリン酸、 ォレイン酸等) 、 脂肪酸エステ ル (例、 サラシミツロウ、 ミツロウ、 鯨ロウ、 ミリスチン酸イソプロピル、 パ ルミチン酸イソプロピル、 トリ (力プリル酸 力プリン酸) グリセリド等) 、 脂質類 (例、 大豆レシチン、 ジパルミトイルフォスファチジルコリン、 ジステ ァリルフォスファチジルコリン等) 、 シリコン油などの油性基剤;例えば、 水、 マクロゴール類 (例、 マクロゴール 4 0 0、 マクロゴール 6 0 0、 マクロゴ一 ル 1 0 0 0、 マクロゴール 1 5 0 0、 マクロゴ一ル 4 0 0 0、 マクロゴール 6 0 0 0等) 、 炭素数 2〜 5のアルカンジオール (例、 グリセリン等) 、 炭素数 2〜 5のアルカントリオ一ル (例、 プロピレングリコール、 1, 3—ブチレン グリコール等) 、 ポリビニルアルコール (P VA) 、 ポリアクリル酸 (P AA) 、 力ルポキシビ二ルポリマー、 高吸水性樹脂 (例、 PVAと PAAのブロックポリマー
(例、 住友化学社製 スミカゲル S P— 5 1 0等) 等) などの水性基剤などが 挙げられ、 これらは単独または 2種以上併用してもよく、 最終製剤では半固形 状を呈するものであればよい。 このうち好ましくは油性基剤である。 さらに好 ましくは脂肪族アルコール、 脂肪酸エステルなどである。 該 「基剤」 の製剤中 の配合量は、 0〜 9 9 %程度である。
上記 「乳化剤」 としては、 相溶性の低い 2相の液体 (例、 水およびミリスチ
ン酸イソプロピル等) を製造時から使用期限までェマルジョンを構成して均一 な状態を保たせる働きのある成分およびその油相を形成する脂溶性成分が挙げ られ、 例えば、 ゲル化成分 (例、 アルギン酸ナトリウム、 ポリビニルアルコ一 ル、 乾燥水酸化アルミニウムゲル、 カンテン等) 、 増粘剤 (例、 力一ドラン、 カンテン、 ムチン、 ゼラチン、 ぺクチン、 カラギーナン、 キチン、 キトサン、 ローカストビンガム、 トラガントガム、 キサンタンガム、 プルラン、 スクラル フエ一ト等) 、 ケィ酸アルミニウムマグネシウム、 軽質無水ケィ酸、 結晶セル ロース、 高級アルコール (例、 セタノール、 ステアリルアルコール、 ベへニル アルコール、 ォレイルアルコール等) 、 高級脂肪酸エステル (例、 ミリスチン 酸イソプロピル、 トリ (力プリル酸、 力プリン酸) グリセリド等) 、 油脂類 (例、 大豆レシチン、 ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、 カルナゥバロウ、 サラシミ ッロウ等) 、 界面活性剤 (例、 ポリオキシエチレンソルビ夕ン脂肪酸エステル、 ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、 ポリオキシエチレン脂肪酸 エステル、 ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、 ポリオキシエチレン アルキルァリールエーテル、 ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、 ブロックポ リマ一型非イオン性界面活性剤 (プル口ニック L— 6 2, L— 6 4, F— 6 8 ) などの非イオン性界面活性剤;ソディウムラゥリルスルフェイト (S L S ) などのイオン性界面活性剤) などが挙げられる。 これらは単独または 2種以上 併用してもよい。 該 「乳化剤」 の製剤中の配合量は、 0〜9 0 %程度である。 上記 「経皮吸収調節成分」 は、 皮膚表面、 主に角質層に作用して薬物の吸収 性を促進させる目的で配合される成分であり、 例えば、 リン脂質 (例、 レシチ ンなど) 、 固形パラフィン、 ミツロウ、 カルナウパロウ、 硬化ヒマシ油、 ラノ リン、 ワセリン、 ポリビニルアルコール、 ポリビニルピロリドン、 ポリエチレ ングリコール、 グリセリン脂肪酸エステル、 コレステロール、 カーボポール、 カルボキシメチルセルロース、 カルポキシェチルセルロース、 シリコン樹脂、 低級アルコール (例、 エタノール、 イソプロピルアルコール等) 、 炭素数 6〜 2 0の脂肪族カルボン酸 (例、 カブロン酸、 力プリル酸、 力プリン酸、 ラウリ ン酸、 ミリスチン酸、 パルミチン酸、 ステアリン酸、 ォレイン酸、 ァラキドン 酸等) およびその塩、 炭素数 6〜 2 0の脂肪族アルコール (例、 n—才クチル
アルコール、 n—セチルアルコール等) 、 炭素数 2〜2 0の脂肪族アルコール と炭素数 6〜2 0の脂肪族カルボン酸とのエステル体 (例、 ミリスチン酸イソ プロピル等) 、 炭素数 2〜2 0の脂肪族アルコールと炭素数 2〜5のアルカン ジオール (グリセリン等) とのエステル (例、 トリ (力プリル酸/力プリン酸) グリセリド等) 、 炭素数 2〜5のアルカンジオール (例、 グリセリン等) 、 炭 素数 2〜 5のアルカントリオール (例、 プロピレングリコール等) 、 ピロリド ン誘導体 (例、 N—メチルピロリドン等) 、 d—リモネン、 1—メントール、 界面活性剤 (例、 ポリオキシエチレンソルビ夕ン脂肪酸エステル、 ポリオキシ エチレンソルビト一ル脂肪酸エステル、 ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、 ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、 ポリオキシエチレンアルキルァ リールエーテル、 ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、 ブロックポリマー型非 イオン性界面活性剤 (プル口ニック L— 6 2, L— 6 4, F - 6 8 ) などの 非イオン性界面活性剤;ソディウムラゥリルスルフェイト (S L S ) などのィ オン性界面活性剤) などが挙げられ、 これらは単独または 2種以上併用しても よい。 該 「経皮吸収調節成分」 の製剤中の配合量は、 0〜8 0 %程度である。 上記 「防腐剤」 としては、 例えば、 安息香酸、 安息香酸ナトリウム、 安息香 酸ベンジル、 エタノール、 ェデト酸ナトリウム、 塩化ベンザルコニゥム、 サリ チル酸、 サリチル酸塩、 パラォキシ安息香酸イソプチル、 パラォキシ安息香酸 イソプロピル、 パラォキシ安息香酸ェチル、 パラォキシ安息香酸プチル、 パラ ォキシ安息香酸プロピル、 パラォキシ安息香酸メチル、 フエノール、 ベンジル アルコール、 ホウ酸、 ホウ砂、 1—メントールなどが挙げられ、 これらは単独 または 2種以上併用してもよい。該「防腐剤」 の製剤中の配合量は、 0〜2 0 % 程度である。
上記 「保湿剤」 としては、 例えば、 グリセリン、 プロピレングリコール、 尿 素、 アミノ酸 (例、 1—プロリン等) などが挙げられ、 これらは単独または 2 種以上併用してもよい。 このうち、 好ましくはプロピレングリコールである。 該 「保湿剤」 の製剤中の配合量は、 0〜5 0 %程度である。
上記 「炎症防止剤」 としては、 例えば、 グリチルレチン酸、 ジフェンヒドラ ミンなどが挙げられ、 これらは単独または 2種併用してもよい。 該 「炎症防止
剤」 の製剤中の配合量は、 0〜 1 0 %程度である。
上記 「粘着剤」 としては、 例えば、 アクリル系接着剤 (例、 2—ェチルへキ シルァクリレート、 酢酸ビニル、 ェチルァクリレート、 メタクリレート、 メト キシェチルァクリレート、 アクリル酸の少なくとも 2種の共重合体 (例、 日本 力一バイド社製 £ー 3 0 0等) 等) 、 天然および合成ゴム (例、 ポリイソブ チレン (P I B) 、 ネオプレン、 ポリブタジエン、 ポリイソプレン等) 、 ポリ シロキサン、 ポリウレタン、 スチレン rソプレン一スチレンブロック共重合 体 (S I S ) 、 スチレン—ブタジエン—スチレンブロック共重合体 (S B S ) などが挙げられ、 これらは単独または二種以上を併用してもよい。 例えば、 P I Bと S I Sとを組み合わせて用いてもよく、 これらの配合比は 1 : 1〜1 : 4が好ましい。 該 「粘着剤」 のテープ剤中の配合量は、 0〜7 0 %程度である。 上記 「担持体」 としては、 例えば、 高分子膜 (例、 ポリエチレン、 酢酸ビニ ル共重合体、 ポリエチレンフタレート等) 、 織布、 不織布、 紙、 アルミニウム 箔などが挙げられる。 該 「高分子膜」 が透明な場合、 イデべノンの色 (黄褐色) の変化が直接確認でき、 かつ、 皮膚障害などの理由でイデべノンが吸収されて ない場合は直接確認し、 製剤の貼り換えを行うなど、 予防治療をより確実に実 施することができる。 該 「高分子膜」 が着色されている場合、 例えば肌色 (人 種によって適宜選択すればよい) に近い色で着色されている場合、 イデべノン の色をマスクすることができ、 かつ、 薬物治療中であることを周囲の人に覚ら れないという利点が挙げられる。
上記の 「放出制御膜」 としては、 例えば多孔質ポリエチレン膜 (例、 旭化成 社製 Hipore等)、多孔質ポリプロピレン膜(例、ポリプラスチック社製 Duragard 等) などが挙げられる。
上記 「貼付剤の溶剤」 としては、 例えば水、 低級アルコール (例、 エタノー ル等) 、 炭素数 2〜5のアルカンジオール (例、 グリセリン等) 、 炭素数 2〜 5のアルカントリオール (例、 プロピレングリコール等) などが挙げられる。 これらは単独または 2種以上併用してもよい。 このうち好ましくはエタノール、 プロピレングリコール、 グリセリンなどが挙げられる。 該 「溶剤」 の製剤中の 配合量は、 0〜 9 0 %程度である。
上記の配合成分を用いて製造される 「テープ剤」 および 「パッチ剤」 は非水 系であってもよく、 含水系であってもよい。 好ましくは非水系テープ剤または 非水系パッチ剤である。
本発明の製剤の好ましい製造法としては、 例えば、 イデべノンをプロピレン グリコールなどの溶剤に溶解または均一に分散し、 次いでステアリルアルコ一 ルなどの基剤と混合し、 膏体を得る。 防腐剤、 保湿剤などの添加物は必要に応 じ、 基剤混合前に溶剤に加える。 本発明の製剤がパッチ剤の場合は、 (1) 得 られた膏体を一定の厚さに延ばしながら、 必要に応じ不織布に塗り込み、 その 後、 ポリエステルフィルムなどのバッキングに転着する。 次に、 得られた転着 物を、 接着成分があらかじめコーティングされた一回り大きめのポリエステル フィルムに貼り付ける、 または (2) 得られた膏体を、 あらかじめ接着成分が コ一ティングされたポリエステルフィルムなどのバッキングの一部に転着して 製造する。 本発明の製剤がテープ剤の場合、 得られた膏体にポリアルキルビ二 ルェ一テルなどの接着成分を加え均一に混合し、 一定の厚さにのばしながら、 ポリエステフィルムなどのバッキングに転着する。 該膏体がゾル状で形態維持 が困難な場合、 不織布などの支持体に塗布または染み込ませてからバッキング に転着してもよい。
本発明の製剤が、 パッチ剤またはテープ剤の場合、 これらは使用前に目的が 達成される適当な大きさに裁断して使用してもよい。
本発明に用いられるイデべノンの製剤中の配合量は、 所望の薬理効果を発揮 できる量であれば特に制限はないが、 例えば製剤全重量の約 0.1〜約 60重 量%、 好ましくは約 0.1〜約 20重量%、 より好ましくは約 1〜約 10重量% でる。 本発明の製剤が貼付剤の場合、 イデべノンの単位面積当たりの配合量は、 例えば約 0.1〜約 200mgZcm2、好ましくは約 0.3〜約 5 Omg/cm 2、 さらに好ましくは約 0.4〜約 2 OmgZcm2である。
本発明の製剤の身体の皮膚 (粘膜も含む) への適用は、 患者の症状などによ つて異なるが、 成人に対するアルツハイマー型痴呆症予防治療剤として投与す る場合、 イデべノンとして約 0. 3〜約 l O O OmgZ回、 好ましくは約 1〜 約 500mgZ回、 さらに好ましくは約 2〜約 20 OmgZ回である。 投与回
数は、 例えば 1〜7日毎に 1回、 好ましくは 1日 1回投与 (貼布、 塗布、 噴霧 など) である。 本発明の製剤の投与期間は、 通常 1ヶ月ないし 5年であり、 症 状の進展を抑制するために、 さらに長期間投与されることもある。 好ましくは 3ヶ月ないし 4年、 さらに好ましくは 6ヶ月ないし 2年である。 かかる長期投 与において、 本発明の製剤は患者への負担を与えずに容易に投与できる。
本発明の製剤が、 パッチ剤、 テープ剤の場合、 貼付に便利な大きさに裁断し て、 2枚以上を身体の同一箇所または別の場所に貼付してもよい。 貼付する場 所は特に限定されないが、 体毛の少ない部位が好ましく、 例えば、 上腕部内側、 背中、 大腿部内側などに貼付する。 このうち、 背中部位がさらに好ましい。
また、 本発明の製剤は、 互いの薬効を減弱しない限り、 イデべノンに加えて 他の活性成分、 例えば中枢神経性薬剤 〔例、 抗不安薬、 睡眠導入剤、 精神分裂 病治療薬、 パーキンソン氏病治療薬、 抗痴呆薬 (例、 抗アセチルコリンエステ ラーゼ剤、 脳循環改善薬、 脳代謝賦活剤など) 等〕 、 降圧剤、 糖尿病治療薬、 抗高脂血症薬などを適宜、 適量組み合わせて併用してもよい。 該その他の活性 成分とイデべノンとを自体公知の手段に従って混合し、 製剤として、 あるいは 別途、 製剤化したものを、 本発明の製剤と同様に同時にまたは時間差をおいて 同一対象に投与してもよい。
本発明の製剤により、 イデべノンはその薬効量が経皮吸収される。 本発明に おいては、 極めて毒性が低く、 長期投与においても副作用あるいは毒性がほと んど見られない。 従って、 本発明の製剤は、 アルツハイマー型痴呆症などの痴 呆症の予防治療剤として用いられるほか、 その他の脳神経系疾患、 糖尿病 (例、 S萃炎または滕臓障害による糖尿病等) 、 糖尿病性合併症 (例、 腎症、 神経障害、 網膜症、 動脈硬化症、 血栓症、 白内障、 虹彩炎等) 、 アレルギー症 (例、 気管 支喘息、 アレルギー性鼻炎等) の予防治療剤として用いてもよく、 哺乳動物(例、 ヒト、 サル、 ィヌ、 ネコ、 ラットなど) に安全に経皮投与することができる。 イデべノンはミトコンドリァ電子伝達系に作用することによって過酸化脂質生 成抑制作用を有するため、 過酸化脂質による皮膚障害の予防治療剤、 皮膚の老 化の予防治療剤、 皮膚の皺形成の予防治療剤、 日焼け治療剤、 熱傷治療剤、 ミ トコンドリァ脳筋症予防治療剤などとしても安全に経皮投与することができる。
本発明の製剤は、 投与が簡便であるため、 例えば初期の患者においては周囲 の人に知られることなく、 治療を継続することが可能であり、 また、 症状が顕 在化している患者においては介護者が患者への投薬を容易に行なえ、 しかも貼 付状態を観察することにより、 薬物治療が確実に実施されているか否かを容易 に確認することができる。 従って、 医療機関、 老人介護施設あるいは在宅治療 における患者及びその介護者の負担を大幅に軽減することができる。
イデべノンは消化管、 肝臓で代謝を受けやすく、 標的臓器である脳に有効量 のイデべノンを送達するには、 一般的に用いられている経口投与では必要投薬 量が増大してしまう。 また、 ラットにおいて、 経口投与後ピーク時の脳内およ び血漿中の未変化体の比率は約 4 %であるが、 静脈内投与した場合、 未変化体 の脳への移行は速やかであり、 投与後 1 0分で同比率は約 7 5 %、 3 0分で約 1 8 %であり、 経口投与に比較して標的臓器である脳への薬物移行が効率的で ある。
従って、 本発明の製剤では、 消化管、 肝臓における初回通過効果を回避でき るため、 投薬量の低減化が図れるのみならず、 経皮投与をすることによりイデ ベノンを全身血流中に直接移行させることが可能になるため、 静脈内投与と同 様に脳への未変化体を効率良く送達することが可能になる。
イデべノンが錠剤として経口投与された場合、 上記理由により全身血中に移 行するイデべノン量は制限を受けることになり、 イデべノンの投与量が増える ため、 錠剤のサイズが大きくなる、 または投与する錠剤数が増えるなどの不便 が生じてくる。 これに対し、 本発明の製剤では投与量が少なくて済み、 かつ、 イデべノンの投与量の調節が貼付面積で可能になり、 また、 大型の錠剤または 複数の錠剤では燕下しにくい高齢の患者でも投薬が容易になる。
さらに、 本発明の経皮投与製剤が投与された部分の皮膚に、 一部の薬物 (ィ デべノン) が貯留し、 経皮投与製剤が除去された後も暫くは薬物が血流中に供 給されるため、 患者への投薬を忘れた場合でも薬物治療が継続される。
また、 イデべノンが経口投与された場合、 一般的に吸収ピークが存在し、 投 与毎に血中濃度が変動する。 中枢神経系に作用するイデべノンの場合、 ほぼ一 定の血中ィデべノン濃度を維持することにより、 少ない投与量で強い薬効を得
ることができるが、 本発明の製剤は、 イデべノンをほぼ一定の速度で放出でき ることから、 経口投与に比べて少ない投与量で強い薬効を有する製剤である。 以下に、 実施例および実験例を示して本発明をさらに詳しく説明するが、 本 発明はこれらに限定されるべきものではない。 実施例 1 (テープ剤)
イデべノン 1 0重量部
ステアリルアルコール 3 0重量部
プロピレンダリコール 3 0重量部
ポリアルキルビニルエーテル 3 0重量部 上記量のイデべノンおよびプロピレングリコールを混合後、 ステアリルアル コールを加え、 混合撹拌により均一な膏体を調製後、 粘着成分のポリアルキル ビニルエーテルと混合して均一な膏体とした。
得られた膏体をポリエステル製離型ライナ一に厚さが 1 0 0 i mとなるよう に塗布し、膏体層を形成後、ポリエステルフィルムに転着してイデべノン 1 0 % (w/w) 配合貼付剤を得た。 実施例 2 (テープ剤) エタノール 4 0重量部
水 1 0重量部
ミリスチン酸イソプロピル 2 0重量部
プロピレングリコール 5重量部
ツイーン 8 0 1 0重量部
ポリアルキルビニルエーテル 1 0重量部 上記量のィデべノンおよびエタノールを混合後、 ミリスチン酸ィソプロピル、 プロピレングリコールを加え、 さらに水およびツイーン 8 0を加え、 均一に混
合攪拌後、 粘着成分のポリアルキルビニルエーテルと混合してほぼ均一な膏体 とした。
得られた膏体をポリエステル製離型ライナーに厚さが 1 0 0 z mとなるよう に塗布し、 膏体層を形成後、 ポリエステルフィルムに転着してイデべノン 5 % (W/W)配合テープ剤を得た。 実施例 3 (テープ剤) エタノール 4 0重量部
水 1 0重量部
ミリスチン酸イソプロピル
グリセりン 3 0重量部
ポリアルキルビニルエーテル 1 0重量部 上記量のイデべノンおよびエタノールを混合後、 ミリスチン酸イソプロピル およびグリセリンを加え、 さらに水を加え、 混合攪拌により均一な膏体を調製 後粘着成分のポリアルキルビニルエーテルと混合して均一な膏体とした。 得られた膏体をポリエステル製離型ライナーに厚さが 1 0 0 ^ mとなるよう に塗布し、 膏体層を形成後、 ポリエステルフィルムに転着してイデべノン 5 % (W/W) 配合テープ剤を得た。 実施例 4 (テープ剤)
ァガロース 1重量部
キサンタンガム 0 . 5重量部 エタノール 4 0重量部
水
ミリスチン酸イソプロピル 5重量部
グリセリン 3 0重量部
ポリアルキルビニルエーテル 8 上記量のイデべノンおよびエタノールを混合後、 ミリスチン酸イソプロピル、 グリセリン、 ァガロースおよびキサンタンガムに水を加えたものを混合攪拌後、 粘着成分のポリアルキルビニルエーテルと混合してほぼ均一な膏体とした。 得られた膏体をポリエステル製離型ライナーに厚さが 100 ^ mとなるよう に塗布し、 膏体層を形成後、 ポリエステルフィルムに転着してイデべノン 5% (W/W) 配合テープ剤を得た。 実施例 5 (テープ剤)
(水相) プロピレングリコール 15 %
スミカゲル NP— 5 0 0. 5 %
精製水 26. 5 %
(油相) 8 %
Twe e n 20 5%
ミリスチン酸イソプロピル 10%
スチレン一イソプレン一
スチレンブロック共重合体 (S I S) 35% プロピレングリコールを精製水に溶解し、 スミカゲル NP— 510を加え て水相とし、 イデべノン、 Twe e n 20、 ミリスチン酸イソプロピルおよび 粘着剤 (S I S) を混合して油相とした。 先に得られた水相と油相とを充分に 混合し、 ポリエチレンシートに乾燥後の膏体の厚みが約 100 / mとなるよう に塗膏した後、 80°Cで 5分間乾燥した。 乾燥後セパレー夕一で覆い、 イデべ ノン配合テープ剤を製造した。 実施例 6 (軟膏クリーム剤)
5 %
トリ (力プリル酸 力プリン酸) グリセリド 40%
ソルビ夕ン酸モノォレエ一卜 1. 2 %
ポリオキシエチレンソルビ夕ン酸モノォレエート 1. 8 %
1, 3—ブチレングリコール 10%
カルボキシビ二ルポリマー 0. 3 %
パラォキシ安息香酸プ口ピル 0. 1 %
パラォキシ安息香酸メチル 0. 1 %
1N 水酸化ナトリウム 1. 25ml
精製水 加えて全量 100 % トリ (カフリル酸 力プリン酸) グリセリドを 80でに加温し、
およびソルビ夕ン酸モノォレエートを溶解させたものを油相とした。 精製水を 80 に加温し、 パラォキシ安息香酸プロピル、 パラォキシ安息香酸メチル、 ポリオキシエチレンソルビ夕ン酸モノォレエート、 1, 3—ブチレングリコ一 ルおよびカルボキシビ二ルポリマーを溶解したものを水相とした。 水相を撹拌 しながら油相を加え、 撹拌したまま室温まで下げる。 1N 水酸化ナトリウム を加えて、 イデべノン配合軟膏クリーム剤を製造した。 実施例 7 (テープ剤)
イデべノン 5% ステアリルアルコール 15% ォレイン酸 10% プロピレングリコール 35% スチレン一イソプレン—スチレンブロック共重合体 (S I S) 35% イデべノンおよびプロピレングリコールを 80 加温下混合し、 ステアリル アルコールを溶解させ、 撹拌しながら温度を下げた。 50°C付近でォレイン酸 および S I Sを加えた。 ポリエチレンシートに乾燥後の膏体の厚みが約 100 zmとなるように塗膏した後、 室温で乾燥した。 乾燥後セパレー夕一で覆い、 イデべノン配合テープ剤を製造した。
実施例 8 (パッチ剤)
ァガロース 1 .
キサンタンガム 0 .
イデべノン 5重量部
エタノール 4 0重量部
水 1 0重量部
ミリスチン酸イソプロピル 5重量部
グリセリン 3 8重量部 上記量のイデべノンおよびエタノールを混合後、 ミリスチン酸イソプロピル、 グリセリン、 ァガロースおよびキサンタンガムに水を加えたものを混合攪拌し てほぼ均一な膏体とした。
得られた膏体をポリエステル製離型ライナーに厚さが 1 0 0 mとなるよう に塗布し、 膏体層を形成後、 予め接着剤をコーティングしたポリエステルフィ ルム (5 c m X 5 c m) の糊代が 5 mmになるように転着してイデべノン 5 % (W/W) 配合パッチ剤を得た。 実施例 9 (パッチ剤) エタノール 3 0重量部
ステアリルアルコール 4 0重量部
グリセリン 2 0重量部
マクロゴール 6 0 0 0 上記量のイデべノンおよびエタノールを混合後、 ステアリルアルコール、 グ リセリンおよびマクロゴール 6 0 0 0を加え混合攪拌してほぼ均一な膏体とし た。
得られた膏体をポリエステル製離型ライナーに厚さが 1 0 0 mとなるよう
に塗布し、 膏体層を形成後、 予め接着剤をコーティングしたポリエステルフィ ルム (5 cmX 5 cm) の糊代が 5 mmになるように転着し、 イデべノン 5% (W/W) 配合パッチ剤を得た。 実施例 10 (パッチ剤)
5重量部
エタノール 30重量部
ステァリルアルコール 40重量部
ダリセリン 20重量部
マクロゴール 6000 上記量のイデべノンおよびエタノールを混合後、 ステアリルアルコール、 グ リセリンおよびマクロゴール 6000を加え混合攪拌してほぼ均一な膏体とし た。
得られた膏体をポリエステル製離型ライナーに厚さが 100 mとなるよう に塗布し、 膏体層を形成後、 予め接着剤をコーティングしたポリエステルフィ ルム (5 cmX 5 cm) の糊代が 8mmになるように転着してイデべノン 5 %
(W/W) 配合パッチ剤を得た。 さらに膏体面を覆い、 糊代部の 3mmにかか るように多孔質ポリエチレン膜 (Hipore) を圧着し、 イデべノン 5% (W/W) 配合パッチ剤を得た。 実験例 1
7週令雄性ラット (SD系) を、 薬物投与実験前日夕方より絶食させて使用 した。
実験前にペントバルビタールナトリウム (ソムノペンチル (Pi tman- Moore社 (米国) 製。 65 mg/kg) を腹腔内投与し、 ラットの腹部の毛をバリカンを用い て慎重に刈り、続いてシェーバー(BRAUN System卜2 - 3, 型番 BS- 5- 424C, BRAUN, ドイツ) を用いて完全に除毛した。 腹部を上向きにラットを固定台に (夏目製 作所、 東京) に固定し、 除毛した腹部を 70— 80%エタノール溶液 (和光純
薬工業) を浸した脱脂綿で丹念に 3回拭き、 皮膚表面のアルコールが乾いた頃 合に、 上記実施例 4で得られた製剤 (9平方センチメートル、 4.5 mgイデべノ ンを含有) を貼付した。 製剤の密着を確保するために布製包帯で固定した。 一定時間毎にラット尾部より採血を行い、 除蛋白後血清中のイデべノン濃度 を測定した。 濃度測定は HPLC (逆相カラム (C 18) , 溶離液 (25 : 7 5=水:ァセトニトリル) 、 UV検出波長 280 nm) を用いた。
血清中にイデべノンが検出され、 上記製剤から皮膚を経由して血液中に薬物 が移行することが示された。 産業上の利用可能性
本発明の製剤は、 アルツハイマー型痴呆症などの痴呆症予防治療剤などとし て、 ヒトなどの哺乳動物に安全に経皮投与することができる。