明 細 書 重合体の製造方法、 該重合体及び該重合体からなる硬化性組成物 技術分野
本発明は、 特定の構造を有するビニル系重合体の末端ハロゲン基とカルボン酸 系基との反応に関する。 背景技術
重合体の成長末端同士をカップリングさせることにより、 長鎖の重合体を製造 することは知られている。 ァニオン重合の場合には、 求電子性の官能基を 2つ持 つ化合物を添加することによりカツプリングさせることができる。 カチオン重合 の場合には、 求核性の官能基を 2つ持つ化合物を添加することにより同様に力ッ プリングさせることができる。
一方で、 末端に官能基を有する重合体は、 そのもの単独で、 又は、 適当な硬化 剤と組み合わせることによって架橋し、 耐熱性、 耐久性等の優れた硬化物を与え ることが知られている。 なかでも、 末端に水酸基又は架橋性シリル基を有する重 合体はそれらの代表例である。 末端に水酸基を有する重合体は、 多官能性のイソ シァネート化合物を硬化剤として用いることにより架橋硬化する。 また、 架橋性 シリル基を末端に有する重合体は、 適当な縮合触媒の存在下、 湿分を吸収するこ とにより硬化物を与える。
このような、 水酸基又は架橋性シリル基を末端に有する重合体の主鎖骨格とし ては、 ポリエチレンォキシド、 ポリプロピレンォキシド、 ポリテトラメチレンォ キシド等のポリエーテル系重合体、 ポリブタジエン、 ポリイソプレン、 ポリクロ 口プレン、 ポリイソブチレン又はそれらの水素添加物等の炭化水素系重合体、 ポ リエチレンテレフ夕レート、 ポリブチレンテレフ夕レート、 ポリ力プロラクトン 等のポリエステル系重合体等が例示される。 これらは、 主鎖骨格と架橋形式に基 づき、 様々な用途に用いられている。
上に例示したようなイオン重合や縮重合で得られる重合体において達成される
カップリング反応に対して、 ラジカル重合で得られるビニル系重合体の末端同士 をカップリングさせることは、 まだほとんど実用化されていない。 イオン重合の 場合と異なり、 ラジカル重合の場合は、 その成長末端であるラジカル同士が直接 カップリングすることは、 原理的には可能であるが、 ラジカル重合そのものの制 御が非常に困難であるために、 そのカップリングを制御することは容易でない。 ビエル系重合体の中でも、 (メタ) アクリル系重合体は、 上述のポリエーテル 系重合体、 炭化水素系重合体又はポリエステル系重合体では得られない特性、 例 えば、 高い耐候性、 透明性等を有している。 なかでも、 アルケニル基や架橋性シ リル基を側鎖に有する (メタ) アクリル系重合体は、 高耐候性の塗料等に利用さ れている。 その一方で、 アクリル系重合体の重合制御は、 その副反応のために容 易ではなく、 成長末端の力ップリングが非常に困難である。
カップリング反応の利点としては、 鎖延長による分子量の増大、 ブロックコポ リマーの合成、 末端官能基化ポリマーの合成等が挙げられる。 カップリングを行 うと、 成長末端が 1つのポリマーの場合、 分子量は 2倍になり、 成長末端が 2つ のポリマーの場合には、 原理的には分子量は無限に増大する。 モノマーの逐次添 加等により合成したジブロックコポリマーをカップリングさせると、 A B A型の トリブロックコポリマーが合成される。 官能基を持つ開始剤を用いて重合したポ リマーの場合、 成長末端を力ップリングさせると両末端に官能基を持つポリマー が合成される。
両末端に架橋性官能基を有するビニル系重合体は、 側鎖に架橋性官能基を有す るものと比較して物性の優れた硬化物を得ることができる。 従って、 これまで多 くの研究者によって、 その簡便な製造方法が検討されてきたが、 それらを工業的 に製造することは容易ではない。 特開平 5— 2 5 5 4 1 5公報には、 連鎖移動剤 としてアルケニル基含有ジスルフィ ドを用いることを特徴とする、 両末端にアル ケニル基を有する (メタ) アクリル系重合体の合成方法が開示されている。 また、 特開平 5— 2 6 2 8 0 8公報には、 水酸基を有するジスルフイ ドを用いて、 両末 端に水酸基を有する (メタ) アクリル系重合体を合成し、 さらに水酸基の反応性 を利用して両末端にアルケニル基を有する (メタ) アクリル系重合体を合成する 方法が開示されている。 しかしながら、 これらの方法では重合体の分子量の制御
は容易ではない。 また、 末端に確実に官能基を導入するためには、 連鎖移動剤を 大量に使用しなければならず、 製造工程上、 問題がある。
また、 これらの方法では通常のラジカル重合が用いられているため、 得られる 重合体の分子量、 分子量分布 (数平均分子量と数平均分子量の比) のコントロー ルは困難である。
官能基の中でも、 力ルポキシル基は、 種々の反応性基、 例えば、 水酸基、 アミ ノ基、 エポキシド基等と反応することができるため、 架橋性基として有効な官能 基である。 カルボキシル基を重合体末端に導入する方法として、 官能基含有連鎖 移動剤の使用が公知である。 例えば、 特開平 8— 2 0 8 7 5 9号公報、 特 1 6 0 3 9 1 9号には、 連鎖移動剤としてメルカプトカルボン酸を用いた、 カルボキシ ル基末端 (メタ) アクリル系重合体の合成法が開示されている。
グラフト共重合体は各種機能性材料として用いられている。 ビニル系重合体を 枝高分子とするグラフト共重合体の合成法として、 幹高分子の重合開始点からモ ノマーを重合して枝高分子を成長させる重合法 (合成法 1 ) 、 枝高分子として末 端に重合性二重結合を有する重合体 (マクロモノマー) を用い、 マクロモノマー の単独重合もしくは他のビニル系モノマ一との共重合により幹高分子を後から合 成する方法 (合成法 2 ) などが知られている。 合成法 1では、 過酸化ベンゾィル などのラジカル発生剤の利用や放射線照射により幹高分子上にラジカルを発生さ せ、 このラジカルから枝高分子を構成するビニル系モノマ一の重合を開始させる。 合成法 1は簡便ではあるが、 ビニル系モノマーの単独重合体の生成や幹高分子の 分解などの副反応が避けられない。 また、 合成法 2では、 あらかじめ枝高分子が 合成されるので構造の明確なグラフ卜共重合体が得られるという利点はあるもの の、 マクロモノマーの合成は容易ではなく、 用いられるマクロモノマー種が限定 される。
一方、 末端に官能基を有する枝高分子をあらかじめ合成し、 官能基の反応性を 利用して、 枝重合体を幹重合体に結合させるカップリング法 (合成法 3 ) も知ら れている。 末端に官能基を有する重合体として、 例えば、 ポリエチレンォキシド、 ポリプロピレンォキシド、 ポリテ卜ラメチレンォキシド等のポリエーテル系重合 体、 ポリブタジエン、 ポリイソプレン、 ポリクロ口プレン、 ポリイソブチレン又
はそれらの水素添加物等の炭化水素系重合体、 ポリエチレンテレフタレート、 ポ リブチレンテレフタレート、 ポリ力プロラクトン等のポリエステル系重合体等の 主鎖骨格を有するものが例示される。
本発明の課題は、 ビニル系重合体のカップリング法、 末端官能基導入法、 ダラ フト重合体の製造法、 それらの反応の改良法、 及びこれらの方法により製造され る重合体を提供することにある。 発明の開示
本発明は、 原子移動ラジカル重合で得られた重合体の末端ハロゲン基を、 カル ボン酸系基で置換する重合体の製造方法である。
カルボン酸系基は、 カルボン酸塩基であることが好ましく、 カルボン酸力リウ ム塩基であることがより好ましい。
本発明における原子移動ラジカル重合は、 重合触媒として遷移金属錯体を使用 することができ、 上記遷移金属錯体としては、 周期律表第 7族、 8族、 9族、 1 0族、 または 1 1族元素を中心金属とする遷移金属錯体であることが好ましく、 中でも銅、 ニッケル、 ルテニウム、 鉄の錯体がより好ましく、 特に銅錯体が好ま しい。
原子移動ラジカル重合で得られた重合体は、 (メタ) アクリル酸系モノマーが 重合してなるものが好ましく、 中でもァクリル酸エステルモノマーが重合してな るものが好ましい。
原子移動ラジカル重合で得られた重合体の末端ハロゲン基は、 2級ハロゲン基 であることが好ましい。
本発明の製造方法は、 窒素原子含有化合物存在下で実施することにより加速さ せることができる。 窒素原子含有化合物は、 脂肪族ァミン、 脂環族ァミン、 芳香 族ァミン及び複素環式窒素塩基からなる群より選択されるものであることが好ま しい。 更に、 原子移動ラジカル重合の重合触媒の配位子として、 アミン系化合物 もしくはピリジン系化合物を用いる場合において、 該配位子を窒素原子含有化合 物として用いる方法、 また、 原子移動ラジカル重合の重合触媒の配位子として、 アミン系化合物もしくはピリジン系化合物を用いる場合において、 ビニル系モノ
マーの重合系に直接、 力ルポキシル基を有する化合物を添加することにより末端 ハ口ゲン基のカルボン酸系基での置換反応を行う方法も有効である。
カルボン酸系基を有する化合物としては、 重合体であるもの、 更に重合体の側 鎖にカルボン酸系基があるもの、 カルボン酸系基を有する化合物が 2つ以上の力 ルボン酸系基を有する化合物であるもの等が用いられる。
本発明の反応により得られる重合体としては、 グラフト重合体、 ゲル、 カップ リングされた重合体、 末端官能性重合体、 特にカルボン酸系基を末端に有する重 合体等が挙げられる。
カルボン酸系基を有する化合物としては、 また、 環状酸無水物と官能基を有す るアルコールとを反応させて得られた化合物が適用でき、 その官能基としては、 アルケニル基、 水酸基、 アミノ基、 及びエポキシ基からなる群より選択されるも のが挙げられ、 その環状酸無水物としては、 無水コハク酸、 無水フ夕ル酸、 及び 無水グルタル酸からなる群より選択されるものが挙げられる。
本発明は、 上述の本発明の製造方法により製造される重合体でもある。
本発明の製造方法で得ることの出来る、 カルボキシル基を主鎖末端に有するビ ニル系重合体は、 これを成分とする硬化性組成物にすることができ、 その他の成 分としては、 エポキシ基含有化合物、 水酸基含有化合物、 アミノ基含有化合物、
--卜基含有化合物が挙げられる。 発明を実施するための最良の形態
以下に末端ハロゲン基を有する、 原子移動ラジカル重合で得られた重合体 (以 下、 重合体 Aと呼ぶ) と、 その末端ハロゲン基を置換するカルボン酸系基を有す る化合物 (以下、 化合物 Bと呼ぶ) について説明する。
ぐ重合体 Aの説明 >
以下に末端八口ゲン基を有する原子移動ラジカル重合で得られた重合体 Aにつ いて説明する。
原子移動ラジカル重合概説
「リビングラジカル重合法」 は、 重合速度が高く、 ラジカル同士のカップリン グなどによる停止反応が起こりやすいため制御の難しいとされるラジカル重合で
ありながら、 停止反応が起こりにくく、 分子量分布の狭い (Mw/Mnが 1. 1 〜1. 5程度) 重合体が得られるとともに、 モノマーと開始剤の仕込み比によつ て分子量は自由にコントロールすることができる。
従って 「リビングラジカル重合法」 は、 分子量分布が狭く、 粘度が低い重合体 を得ることができる上に、 特定の官能基を有するモノマーを重合体のほぼ任意の 位置に導入することができるため、 上記特定の官能基を有するビニル系重合体の 製造方法としてはより好ましいものである。
なお、 リビング重合とは狭義においては、 末端が常に活性を持ち続けて分子鎖 が生長していく重合のことをいう力 一般には、 末端が不活性化されたものと活 性化されたものが平衡状態にありながら生長していく擬リビング重合も含まれる 。 本発明における定義も後者である。
「リビングラジカル重合法」 は近年様々なグループで積極的に研究がなされて いる。 その例としては、 たとえばジャーナル ·ォブ ·アメリカン ·ケミカルソサ エティ一 (J. Am. C h em. S o ) 、 1 994年、 1 1 6巻、 7943 頁に示されるようなコバルトボルフイリン錯体を用いるもの、 マクロモレキュー ルズ (Ma c r omo l e c u l e s) 、 1994年、 27巻、 7228頁に示 されるようなニトロキシド化合物などのラジカル捕捉剤を用いるもの、 有機ハロ ゲン化物等を開始剤として遷移金属錯体を触媒とする 「原子移動ラジカル重合」
(A t om T r an s f e r Rad i c a l P o l yme r i z a t i o n : ATRP) などがあげられる。
「リビングラジカル重合法」 の中でも、 有機ハロゲン化物あるいはハロゲン化 スルホニル化合物等を開始剤として、 遷移金属錯体を触媒としてビニル系モノマ 一を重合する 「原子移動ラジカル重合法」 は、 上記の 「リビングラジカル重合 法」 の特徴に加えて、 官能基変換反応に比較的有利なハロゲン等を末端に有し、 開始剤や触媒の設計の自由度が大きいことから、 特定の官能基を有するビニル系 重合体の製造方法としてはさらに好ましいものである。 この原子移動ラジカル重 合法としては例えば Ma t y j a s z ews k iら、 ジャーナル ·ォブ ·ァメリ カン 'ケミカルソサエティ一 (J. Am. Ch em. S o c. ) 1 995年、 1 17巻、 56 14頁、 マクロモレキュールズ (Ma c r omo l e c u l e s)
1995年、 28巻、 790 1頁, サイエンス (S c i e n c e) 1 996年、 272巻、 866頁、 WO96Z3042 1号公報, W097Z18247号公 報、 WO 98Z01480号公報, WO 98Z4041 5号公報、 あるいは S a wamo t oら、 マク口モレキュールズ (Ma c r omo l e c u l e s) 1 9 95年、 28巻、 1 721頁、 特開平 9一 2086 1 6号公報、 特開平 8— 41 1 17号公報などが挙げられる。
また、 上記のような有機ハロゲン化物あるいはハロゲン化スルホニル化合物等 を開始剤として用いる通常の原子移動ラジカル重合以外に、 過酸化物のような一 般的なフリーラジカル重合の開始剤と銅 ( I I ) のような通常の原子移動ラジカ ル重合触媒の高酸化状態の錯体を組み合わせた 「リバース原子移動ラジカル重 合」 も原子移動ラジカル重合に含まれる。
モノマー
本発明に用いられるビニル系モノマ一としては特に限定されず、 各種のものを 用いることができる。 例示するならば、 (メタ) アクリル酸、 (メタ) アクリル 酸メチル、 (メタ) アクリル酸ェチル、 (メタ) アクリル酸一 n—プロピル、 (メタ) アクリル酸イソプロピル、 (メタ) アクリル酸一 n—プチル、 (メタ) アクリル酸イソプチル、 (メタ) アクリル酸一 t e r t—プチル、 (メタ) ァク リル酸一 n—ペンチル、 (メタ) アクリル酸— I —へキシル、 (メタ) アクリル 酸シクロへキシル、 (メタ) アクリル酸一 n—ヘプチル、 (メタ) アクリル酸— n—ォクチル、 (メタ) アクリル酸— 2—ェチルへキシル、 (メタ) アクリル酸 ノニル、 (メタ) アクリル酸デシル、 (メタ) アクリル酸ドデシル、 (メタ) ァ クリル酸フエニル、 (メタ) アクリル酸卜ルイル、 (メタ) アクリル酸ベンジル、 (メタ) アクリル酸一 2—メトキシェチル、 (メタ) アクリル酸一 3—メトキシ プチル、 (メタ) アクリル酸— 2—ヒドロキシェチル、 (メタ) アクリル酸一 2 ーヒドロキシプロピル、 (メタ) アクリル酸ステアリル、 (メタ) アクリル酸グ リシジル、 (メタ) アクリル酸 2—アミノエチル、 ァー (メタクリロイルォキシ プロピル) トリメトキシシラン、 (メタ) アクリル酸のエチレンオキサイド付加 物、 (メタ) アクリル酸トリフルォロメチルメチル、 (メタ) アクリル酸 2—ト リフルォロメチルェチル、 (メタ) アクリル酸 2—パ一フルォロェチルェチル、
(メタ) ァクリル酸 2—パーフルォロェチルー 2—パ一フルォロブチルェチル、 (メタ) アクリル酸 2—パーフルォロェチル、 (メタ) アクリル酸パ一フルォロ メチル、 (メタ) アクリル酸ジパ一フルォロメチルメチル、 (メタ) アクリル酸 2—パーフルォロメチルー 2—パーフルォロェチルメチル、 (メタ) アクリル酸 2 —パーフルォ口へキシルェチル、 (メタ) アクリル酸 2 —パーフルォロデシル ェチル、 (メタ) アクリル酸 2—パ一フルォ口へキサデシルェチル等の (メタ) アクリル酸系モノマ一; スチレン、 ビニルトルエン、 0;—メチルスチレン、 クロ ルスチレン、 スチレンスルホン酸及びその塩等のスチレン系モノマ一;パーフル ォロエチレン、 パーフルォロプロピレン、 フッ化ビニリデン等のフッ素含有ビニ ルモノマ一; ビニルトリメトキシシラン、 ビニルトリエトキシシラン等のケィ素 含有ビニル系モノマー;無水マレイン酸、 マレイン酸、 マレイン酸のモノアルキ ルエステル及びジアルキルエステル; フマル酸、 フマル酸のモノアルキルエステ ル及びジアルキルエステル;マレイミ ド、 メチルマレイミド、 ェチルマレイミド、 プロピルマレイミ ド、 ブチルマレイミ ド、 へキシルマレイミ ド、 ォクチルマレイ ミ ド、 ドデシルマレイミ ド、 ステアリルマレイミド、 フエニルマレイミド、 シク 口へキシルマレイミド等のマレイミ ド系モノマー; ァクリロニ卜リル、 メタクリ ロニトリル等の二トリル基含有ビニル系モノマ一; アクリルアミド、 メタクリル アミド等のアミド基含有ビニル系モノマー;酢酸ビニル、 プロピオン酸ビニル、 ビバリン酸ビニル、 安息香酸ビニル、 桂皮酸ビニル等のビニルエステル類;ェチ レン、 プロピレン等のアルケン類; ブタジエン、 イソプレン等の共役ジェン類; 塩化ビニル、 塩化ビニリデン、 塩化ァリル、 ァリルアルコール等が挙げられる。 これらは、 単独で用いても良いし、 複数を共重合させても構わない。 限定はされ ないが、 なかでも、 生成物の物性等から、 スチレン系モノマ一及び (メタ) ァク リル酸系モノマーが好ましい。 より好ましくは、 アクリル酸エステルモノマー及 びメ夕クリル酸エステルモノマーであり、 更に好ましくは、 アクリル酸ブチルで ある。 本発明においては、 これらの好ましいモノマーを他のモノマーと共重合さ せても良く、 その際は、 これらの好ましいモノマーが重量比で 4 0 %以上含まれ ていることが好ましい。
開始剤
原子移動ラジカル重合は、 開始剤として一般に、 有機ハロゲン化物 (例えば、 α位にハロゲンを有するエステル化合物や、 ベンジル位にハロゲンを有する化合 物) 又はハロゲン化スルホニル化合物等を用いる。 また、 ハロゲンの代わりにな る基を用いても構わない。 具体的に例示するならば、
C6H5-CH2X,
C6H5-C (H) (X) CH3、
C6H5 - C (X) (CH3) 2、
(ただし、 上の化学式中、 C6H5はフエニル基、 Xは塩素、 臭素、 またはヨウ 素)
R1 - C (H) (X) 一 C〇2R2、
R1— C (CH3) (X) - C〇2R2、
R1 - C (H) (X) - C (〇) R2、
R1— C (CH3) (X) - C (O) R2、
(式中、 R1及び R2は、 同一若しくは異なって、 水素原子または炭素数 1〜20 のアルキル基、 炭素数 6〜20のァリール基、 または炭素数 7〜20のァラルキ ル基、 Xは塩素、 臭素、 またはヨウ素)
R1 - C6H4 - S02X、
(上記の各式において、 R R2及び Xは上記と同じ)
等が挙げられる。
リビングラジカル重合の開始剤として、 重合を開始する官能基以外の官能基を 有する有機ハロゲン化物又はハロゲン化スルホニル化合物を用いることもできる。 このような場合、 一方の主鎖末端に官能基を、 他方の主鎖末端にハロゲン基を有 するビニル系重合体が製造される。 このような官能基としては、 アルケニル基、 架橋性シリル基、 ヒドロキシル基、 エポキシ基、 アミノ基、 アミド基等が挙げら れる。
アルケニル基を有する有機ハロゲン化物としては限定されず、 例えば、 一般式 (1) に示す構造を有するものが例示される。
R 4 R 5 C ( X ) - R 6 - R 7 - C ( R 3 ) = C H 2 (1)
(式中、 R3は水素、 またはメチル基、 R4、 R5は、 同一又は異なって、 水素、 または、 炭素数 1〜 20の 1価のアルキル基、 ァリール基、 またはァラルキル、 または他端において相互に連結したもの、 R6は、 一 C (0) O— (エステル 基) 、 一 C (O) - (ケト基) 、 または o—, m_, p—フエ二レン基、 R7は 直接結合、 または炭素数 1〜20の 2価の有機基で 1個以上のエーテル結合を含 んでいても良い、 Xは塩素、 臭素、 またはヨウ素)
置換基 R4、 R5の具体例としては、 水素、 メチル基、 ェチル基、 n—プロピル 基、 イソプロピル基、 ブチル基、 ペンチル基、 へキシル基等が挙げられる。 R4 と R 5は他端において連結して環状骨格を形成していてもよい。
一般式 (1) で示される、 アルケニル基を有する有機ハロゲン化物の具体例と しては、
XCH2C (〇) O (CH2) nCH = CH2、
H,C C (H) (X) C (〇) O (CHo) nCH=CH2、
(H,C) ?C (X) C (〇) O (CH CH=CH9、
CH,CH?C (H) (X) C (〇) O (CH2) nCH = CH.
で 02(CH2)nCH=CH2
X
(上記の各式において、 Xは塩素、 臭素、 またはヨウ素、 nは 0〜20の整数) XCH2C (O) 〇 (CH2) n〇 (CH2) mCH=CH2、
H3CC (H) (X) C (O) 〇 (CH2) nO (CH2) mCH=CH2、
(H3C) 2C (X) C (O) 〇 (CH2) nO (CH2) mCH = CH2、
CH
3CH
2C (H) (X) C (〇) 〇 (CH
2)
nO (CH
2)
mCH = CH
2、
(上記の各式において、 Xは塩素、 臭素、 またはヨウ素、 nは 1〜20の整数、
mは 0〜20の整数)
o, m, p -XCH2-C6H4- (CH2) n— CH = CH2、
o, m, p -CH3C (H) (X) - C6H4 - (CH2) n— CH=CH2、 o, m, p - CH3CH2C (H) (X) — C6H4_ (CH2) n_CH=CH2、 (上記の各式において、 Xは塩素、 臭素、 またはヨウ素、 nは 0〜20の整数) o, m, p -XCH2-C6H4- (CH2) n— O— (CH2) m - CH = CH2、 o, m, p -CH3C (H) (X) - C6H4 - (CH2) n -
〇— (CH2) m— CH=CH2、 o, m, p-CH3CH2C (H) (X) 一 C6H4 - (CH2) n -
〇— (CH2) mCH=CH2、
(上記の各式において、 Xは塩素、 臭素、 またはヨウ素、 nは 1〜20の整数、 mは 0〜20の整数)
o, m, p -XCH2-C6H4-0- (CH2) n - CH = CH2、
o, m, p ~CH3C (H) (X) - C6H4 - O - (CH2) n— CH = CH2、 o, m, p - CH3CH2C (H) (X) — C6H4—〇— (CH2) n -
CH = CH2、
(上記の各式において、 Xは塩素、 臭素、 またはヨウ素、 nは 0〜20の整数) o, m, p - XCH2 - C6H4 -〇— (CH2) n— O— (CH2) m - CH = CH 2、
o, m, p - CH3C (H) (X) - C6H4—〇一 (CH2) n—
O- (CH2) m— CH=CH2、 o, m, p -CH3CH2C (H) (X) — C6H4— O— (CH2) n -
O— (CH2) m— CH=CH2、
(上記の各式において、 Xは塩素、 臭素、 またはヨウ素、 nは 1〜20の整数、 mは 0〜20の整数)
アルケニル基を有する有機ハロゲン化物としてはさらに一般式 (2) で示され る化合物が挙げられる。
H,C = C (R3) —R6— C (R4) (X) 一 R8— R5
(2)
(式中、 R3、 R4、 R5、 R6、 Xは上記に同じ、 R8は、 直接結合、 — C (0) O— (エステル基) 、 —C (〇) - (ケト基) 、 または、 o— , m—, p—フエ 二レン基を表す)
R6は直接結合、 または炭素数 1〜 2 0の 2価の有機基 ( 1個以上のエーテル 結合を含んでいても良い) であるが、 直接結合である場合は、 ハロゲンの結合し ている炭素にビニル基が結合しており、 ハロゲン化ァリル化物である。 この場合 は、 隣接ビニル基によって炭素一ハロゲン結合が活性化されているので、 R8と して C (〇) 〇基やフエ二レン基等を有する必要は必ずしもなく、 直接結合であ つてもよい。 R 6が直接結合でない場合は、 炭素一ハロゲン結合を活性化するた めに、 R8としては C (〇) 〇基、 C (〇) 基、 フエ二レン基が好ましい。
式 (2) の化合物を具体的に例示するならば、
CH2 = CHCH2X、 CH2 = C (CH3) CH2X、
CH2 = CHC (H) (X) CH3、 CH2 = C (CH3) C (H) (X) CH3、 CH2 = CHC (X) (CH3) 2、 CH2 = CHC (H) (X) C2H5、
CH2 = CHC (H) (X) CH (CH3) 2、
CH2 = CHC (H) (X) C6H5、 CH2 = CHC (H) (X) CH2C6H5、
CH2 = CHCH2C (H) (X) - C〇2R、
CH2 = CH (CH2) 2C (H) (X) - C02R、
CH2 = CH (CH2) 3C (H) (X) — C〇2R、
CH2 = CH (CH2) 8C (H) (X) 一 C02R、
CH2 = CHCH2C (H) (X) — C6H5、
CH2 = CH (CH2) 2C (H) (X) — C6H5、
CH2 = CH (CH2) 3C (H) (X) - C6H5、
(上記の各式において、 Xは塩素、 臭素、 またはヨウ素、 Rは炭素数 1〜2 0の アルキル基、 ァリール基、 ァラルキル基)
等を挙げることができる。
アルケニル基を有するハロゲン化スルホニル化合物の具体例を挙げるならば、
0—, m―, p -CH2=CH- (CH ) n— C6H4— S02X、
o_, m -, p - CH2 = CH- (CH2) n - O - C 6H4— S〇 2 X、 (上記の各式において、 Xは塩素、 臭素、 またはヨウ素、 nは 0〜20の整数) 等である。
上記架橋性シリル基を有する有機ハロゲン化物としては特に限定されず、 例え ば一般式 (3) に示す構造を有するものが例示される。
R4R5C (X) -R6-R7-C (H) (R3) CH2—
[ S i ( R " 2— b ( Y) b O] m - S i ( R 1 °) 3 - a ( Y) a
(3)
(式中、 R3、 R4、 R5、 R6、 R7、 Xは上記に同じ、 R9、 R10は、 いずれも 炭素数 1〜20のアルキル基、 ァリール基、 ァラルキル基、 または (R' ) 3 S i 0- (R' は炭素数 1〜20の 1価の炭化水素基であって、 3個の R' は同一で あってもよく、 異なっていてもよい) で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、 R9または R1 Qが 2個以上存在するとき、 それらは同一であってもよく、 異なつ ていてもよい。 Yは水酸基または加水分解性基を示し、 Yが 2個以上存在すると きそれらは同一であってもよく、 異なっていてもよい。 aは 0, 1, 2, または 3を、 また、 bは 0, 1, または 2を示す。 mは 0〜 19の整数である。 ただし、 a +mb≥ 1であることを満足するものとする)
一般式 (3) の化合物を具体的に例示するならば、
XCH2C (O) 〇 (CH2) n S i (OCH3) 3、
CH3C (H) (X) C (〇) O (CH2) nS i (OCH3) 3、
(CH3) 2C (X) C (O) O (CH2) nS i (OCH3) 3、
XCH2C (O) O (CH2) nS i (CH3) (OCH3) 2、
CH3C (H) (X) C (O) O (CH2) nS i (CH3) (OCH3) 2、
(CH3) 2C (X) C (〇) O (CH2) nS i (CH3) (OCH3) 2、
(上記の各式において、 Xは塩素、 臭素、 ヨウ素、 nは 0〜20の整数、 ) XCH2C (O) O (CH2) nO (CH2) mS i (〇CH3) 3、
H3CC (H) (X) C (O) O (CH2) nO (CH2) mS i (OCH3) 3、 (H3C) 2C (X) C (O) O (CH2) nO (CH2) mS i (〇CH3) 3、
CH3CH2C (H) (X) C (〇) O (CH2) nO (CH2) mS i (OCH3)
in
〇 〇
o, m p - CH3C (H) (X) — C6 0 m p - CH3CH2C (H) (X) (上記の各式において、 Xは塩素、 臭素、
等が挙げられる。
上記架橋性シリル基を有する有機ハロ
で示される構造を有するものが例示され
(R10) 3— a (Y) aS i - [OS i
10 C H 2 - C ( H ) ( R 3 ) - R
(4)
(式中、 R3 R4 R5 R 7 R R
同じ)
このような化合物を具体的に例示する
15 (CH30 3 S i CH2CH2C (H) (
(CH3O 2 (CH3) S i CH2CH2
(CH3O) 3 S i (CH2) ,C (H) (X) 一 C〇2R
(CH3〇 2 (CH3) S i (CH ) 2C (H) (X) — C〇2R (CH3O 3 S i (CH2) 3C (H) (X) — C〇2R
20 (CH3O 2 (CH3) S i (CH2) 3C (H) (X) - C02R
アルキル基、 ァリ一ル基、 ァラルキル基)
等が挙げられる。
上記ヒドロキシル基を持つ有機ハロゲン化物、 またはハロゲン化スルホニル化 合物としては特に限定されず、 下記のようなものが例示される。
HO- (CH2) n-OC (O) C (H) (R) (X)
(上記の各式において、 Xは塩素、 臭素、 またはヨウ素、 Rは水素原子または炭 素数 1〜20のアルキル基、 ァリール基、 ァラルキル基、 nは 1〜20の整数) 上記アミノ基を持つ有機ハロゲン化物、 またはハロゲン化スルホニル化合物と しては特に限定されず、 下記のようなものが例示される。
H2N- (CH2) n - OC (〇) C (H) (R) (X)
(上記の各式において、 Xは塩素、 臭素、 またはヨウ素、 Rは水素原子または 炭素数 1〜 20のアルキル基、 ァリール基、 ァラルキル基、 nは 1〜20の整 数)
上記エポキシ基を持つ有機ハロゲン化物、 または八ロゲン化スルホニル化合物 としては特に限定されず、 下記のようなものが例示される。
(上記の各式において、 Xは塩素、 臭素、 またはヨウ素、 Rは水素原子または炭
〜20のアルキル基、 ァリール基、 ァラルキル基、 nは 1〜20の整数) 上記リビングラジカル重合において、 開始剤として、 2つ以上の開始点を有す る有機ハロゲン化物又はハロゲン化スルホニル化合物を用いて重合を行うと、 ハ 口ゲン基を両末端に有するビニル系重合体が得られる。 この開始剤を具体的に例 示すれば、
ο^¾,ρ- X CH2— C6H4— CH2 χ ( I - 1)
CH3 CH3
ο.πι,ρ- X— CH2— C6H4— CH2— X ( i - 2)
CH3 CH3
o,m,p- X— CH2— C6H4-CH2— X ( i一 3)
CH3 CH3
H H
X― C (CHzJn-C X ( 1 -4)
C02R C02R
CH3 CH3
Χ' -C (CH2)n-C X ( 1 -5)
C02R C02R
H H
― C- (CH2)n-C ( J -6)
-CH2-c— CH2— X
II ( i一 8)
o
X一 CH― C― CH -X
I II i ( 1 -9)
CH3 O CH3
CH3 CH3
x— c一 c- C—— X ( i - 10)
CH3 0 CH3
CeHs CeHs
X— CH— (CH2)n-CH— X ( i -11)
(式中、 Rは炭素数 1〜20のアルキル基、 炭素数 6〜20ァリール基、 または 炭素数 7〜20ァラルキル基を表す。 C6H4は、 フエ二レン基を表す。 nは 0〜 20の整数を表す。 Xは塩素、 臭素、 またはヨウ素を表す。 )
o o
II II
X CH2-C-0— (CH^nO-C- CH2-X ( i - l 2)
CH30 0 CH3
o=
X— CH-C-O— (CH^sO-C-CH— X ( 1 - 13)
CH3 O CH3
I H
x— c― c-o- ■(CHaJsO- -c― X ( I - 1 )
CH,
X— CH2— C— C
II II一 CH2— X (1— 15)
o o
CH CH
X— CH— C— C— CH— X (1 - 16)
II II
0 O
CH CH
X— CH一 C― C— CH— X ( I
I II II I CH3 O O CH3
0
II
o,m,p- X— CH2-C-0-C6H4-0一— C-—C rHn2^-—X Y ( 1 - 18)
CH30 0 CH3
0'm'P- X— CH-C-0-C6H4-0-C-CH— X - i 9 )
CH30 O CH3
I II II I
o.m.p- X— C— C一 0— C6H4—0— C—C X (i - 20)
CH3
0.m>p- x— S02-C6H4-S02-X (1 -21)
(式中、 Rは炭素数 1〜20のアルキル基、 炭素数 6〜20ァリール基、 または 炭素数 7〜 20ァラルキル基を表す。 C6H4は、 フエ二レン基を表す。 nは 0〜 20の整数を表す。 Xは塩素、 臭素、 またはヨウ素を表す。 )
等が挙げられる。
触媒
原子移動ラジカル重合の触媒として用いられる遷移金属錯体としては特に限定 されず、 P CT/US 96/ 1 7780に記載されているものが利用可能である。
中でも好ましいものとして、 0価の銅、 1価の銅、 2価のルテニウム、 2価の鉄 又は 2価のニッケルの錯体が挙げられる。 なかでも、 銅の錯体が好ましい。 1価 の銅化合物を具体的に例示するならば、 塩化第一銅、 臭化第一銅、 ヨウ化第一銅、 シアン化第一銅、 酸化第一銅、 過塩素酸第一銅等である。 また、 2価の塩化ルテ 二ゥムの卜リストリフエニルホスフィン錯体 (RuC I 2 (PPh3) 3) も触媒 として好適である。 ルテニウム化合物を触媒として用いる場合は、 活性化剤とし てアルミニウムアルコキシド類が添加される。 更に、 2価の鉄のビストリフエ二 ルホスフィン錯体 (F e C l 2 (P P h 3) 2) 、 2価のニッケルのビストリフエ ニルホスフィン錯体 (N i C 12 (P P h3) 2) 、 及び、 2価のニッケルのビス トリブチルホスフィン錯体 (N i B r 2 (P B u 3) 2) も、 触媒として好適であ る。
触媒として銅化合物を用いる場合、 その配位子として、 PCTZUS 96Z1 7780に記載されている配位子の利用が可能である。 特に限定はされないが、 アミン系配位子が良く、 好ましくは、 2, 2 ' —ビビリジル及びその誘導体、 1, 10—フエナント口リン及びその誘導体、 トリアルキルァミン、 テトラメチルェ チレンジァミン、 ペン夕メチルジェチレン卜リアミン、 へキサメチル (2—アミ ノエチル) ァミン等の脂肪族ァミン等の配位子である。 本発明においては、 これ らの内では、 ペン夕メチルジェチレントリァミン、 へキサメチル (2—アミノエ チル) ァミン等の脂肪族ポリアミンが好ましい。
本発明の脱水条件での重合という点において、 末端八ロゲン基の消失は重合系 中の塩基性にも影響を受けるので、 アミン類、 特に脂肪族アミン類を配位子とし て用いる場合において、 本発明の効果は大きい。
触媒は、 触媒活性を持つ錯体の状態で、 重合装置に加えてもよいし、 触媒の前 駆体である遷移金属化合物と配位子を重合装置中で混合して錯体化しても構わな い。 公知の原子移動ラジカル重合においては、 一般にこの錯体化の操作は、 開始 剤を添加する前に行われる。 それに対し、 本発明では、 配位子を開始剤を添加し た後に重合系中に添加し、 触媒の前駆体である遷移金属化合物と錯体化させ、 触 媒活性を発現し、 重合を開始する、 及び Zまたは、 触媒活性を制御することが開 示される。
また、 本発明の二トリル系化合物存在下で重合を行う場合、 開始剤を錯体形成 後に添加する通常の原子移動ラジカル重合の開始方法においても、 錯体前駆体遷 移金属化合物と二トリル系化合物を配位子よりも先に混合しておくことが、 錯体 の分散性が高まるので好ましい。
上記のような配位子を用いる量は、 通常の原子移動ラジカル重合の条件では、 遷移金属の配位座の数と、 配位子の配位する基の数から決定され、 ほぼ等しくな るように設定されている。 例えば、 通常、 2, 2 ' 一ビビリジル及びその誘導体 を C u B rに対して加える量はモル比で 2倍であり、 ペン夕メチルジェチレント リアミンの場合はモル比で 1倍である。 本発明において配位子を添加して重合を 開始する、 及び Zまたは、 配位子を添加して触媒活性を制御する場合は、 特に限 定はされないが、 金属原子が配位子に対して過剰になる方が好ましい。 配位座と 配位する基の比は好ましくは 1 . 2倍以上であり、 更に好ましくは 1 . 4倍以上 であり、 特に好ましくは 1 . 6倍以上であり、 特別に好ましくは 2倍以上である。 本発明においては、 二トリル系化合物を添加する代わりに、 最初から二トリル 系化合物が配位した遷移金属錯体を触媒前駆体の遷移金属化合物として用いても 同様の効果が得られる。 このような錯体としては、 特に限定はされないが、 ニト リル系化合物が過剰に存在する状態に、 遷移金属化合物を添加し二トリル系化合 物を配位させ、 過剰の二トリル系化合物を除くことにより得られる錯体が例示さ れる。 また、 C u B r ( N C - R ) n、 C u C 1 ( N C - R ) n (式中、 Rは メチル基などの一価の有機基、 nは 1以上の整数) 等も例示される。
溶媒、 添加剤
本発明の重合は無溶媒又は各種の溶媒中で行うことができる。 上記溶媒として は、 例えば、 ベンゼン、 トルエン等の炭化水素系溶媒; ジェチルエーテル、 テト ラヒドロフラン、 ジフエニルエーテル、 ァニソ一ル、 ジメトキシベンゼン等のェ 一テル系溶媒;塩化メチレン、 クロ口ホルム、 クロ口ベンゼン等のハロゲン化炭 化水素系溶媒; アセトン、 メチルェチルケトン、 メチルイソプチルケトン等のケ トン系溶媒; メタノール、 エタノール、 プロパノール、 イソプロパノール、 n— ブチルアルコール、 t e r t—プチルアルコール等のアルコール系溶媒; ァセト 二トリル、 プロピオ二トリル、 ベンゾニトリル等の二トリル系溶媒;酢酸ェチル、
鲊酸ブチル等のエステル系溶媒;エチレン力一ボネ一卜、 プロピレンカーボネー ト等のカーボネート系溶媒等が挙げられる。 これらは、 単独又は 2種以上を混合 して用いることができる。
これらの溶媒の中ではアブロティックな溶媒が好ましい。 また、 極性の高い溶 媒は一般的に吸水性が高く、 また、 末端消失反応も速い傾向があるので、 本発明 の脱水条件での重合はより有効である。 基準としては、 2 5 °Cにおける比誘電率 が 1 0以上の溶媒を用いた場合が挙げられる。 本発明において添加剤として用い ることが提示されている二トリル系化合物は、 溶媒として用いても構わない。
これらの溶媒、 あるいは他に重合系に添加される添加剤としては、 触媒として 用いられる金属化合物に対して配位し、 触媒活性を持たない錯体を形成するが、 配位子が添加されると活性な触媒となるものが好ましい。 溶媒が配位性を持たな い場合でも、 配位子の追加による触媒活性の制御は可能であるが、 配位子のない 状態の C u B r等の金属化合物の分散性が不十分で、 器壁に付着したりなどして、 安定した活性制御が容易ではない場合がある。 このような要件を満たす例として、 C u B rを金属化合物として用い、 溶媒として二トリル系溶媒を用いる組み合わ せが挙げられる。 P C T ZU S 9 6 Z 1 7 7 8 0においては、 ァセトニトリルは 重合触媒の好ましい配位子として記述されているが、 実際には、 C u B rのァセ トニトリル錯体は重合活性を持たないことが確認された。 しかし、 この錯体は、 結晶性が高く、 不均一でも適切な攪拌により、 重合系中に良好に分散することが 我々の研究で明らかになった。 そして、 ペン夕メチルジェチレントリァミンなど の配位子の添加により、 速やかに活性な錯体を形成し、 重合を触媒する。
分子量 ·分子量分布
重合体 Aとしては、 特に限定されないが、 原子移動ラジカル重合によりょく制 御されて製造されるので、 分子量分布、 すなわち、 ゲルパーミエーシヨンクロマ トグラフィ一で測定した重量平均分子量と数平均分子量の比は通常は 1 . 8未満 であり、 好ましくは 1 . 7以下であり、 より好ましくは 1 . 6以下であり、 さら に好ましくは 1 . 5以下であり、 特に好ましくは 1 . 4以下であり、 最も好まし くは 1 . 3以下である。 本発明での G P C測定においては、 通常、 移動相として クロ口ホルムを用い、 測定はポリスチレンゲルカラムにておこない、 数平均分子
量等はポリスチレン換算で求めることができる。 また、 数平均分子量は特に制限 はないが、 500〜1, 000, 000の範囲が好ましく、 1 000〜: L 00, 000がさらに好ましい。
末顺ノ
重合体 Aの末端八ロゲン基の構造は、 例えば下記一般式で表される構造である。 — C (R51) (R52) (X)
(式中、 R51及び R52は、 ビニル系モノマーのエチレン性不飽和基に結合した基 を表す。 Xは、 塩素、 臭素又はヨウ素を表す。 )
これらの中では、 R51あるいは R52のどちらかが水素の場合、 すなわち、 2級 のハロゲン基が好ましい。 これを実現するために、 アクリル酸系モノマー等のモ ノマーを重合することが挙げられる力 重合の終期にだけ、 このような末端構造 となるモノマーを添加して重合する方法も挙げられる。
<力ルボン酸系基を有する化合物 Bの説明 >
以下に末端ハロゲン基を有する原子移動ラジカル重合で得られた重合体 Aの末 端八ロゲン基を置換するカルボン酸系基を有する化合物 Bについて説明する。 カルボン酸系基を有する化合物としては、 重合体であるもの、 更に重合体の側 鎖にカルボン酸系基があるもの、 カルボン酸系基を有する化合物が 2つ以上の力 ルボン酸系基を有する化合物であるもの等が用いられる。
カルボン酸系基を有する化合物としては、 また、 環状酸無水物と官能基を有す るアルコールとを反応させて得られたものが提示され、 その官能基としては、 ァ ルケニル基、 水酸基、 アミノ基、 エポキシ基からなる群より選択されるものが挙 げられ、 その環状酸無水物としては、 無水コハク酸、 無水フ夕ル酸、 無水ダル夕 ル酸からなる群より選択されるものが挙げられる。
カルボン酸系基
本発明のカルボン酸系基としては、 カルボン酸、 カルボン酸塩が挙げられ、 力 ルボン酸塩が好ましい。
カルボン酸塩基は次の一般式で示される。
— C (O) — O— M +
{M+は、 アルカリ金属イオン又は 4級アンモニゥムイオンを表す。 }
M +はカルボン酸塩の対カチオンであり、 M +の種類としてはアル力リ金属ィォ ン、 具体的にはリチウムイオン、 ナトリウムイオン、 カリウムイオン、 および 4 級アンモニゥムイオンが挙げられる。 4級アンモニゥムイオンとしてはテトラメ チルアンモニゥムイオン、 テトラェチルアンモニゥムイオン、 トリメチルベンジ ルアンモニゥムイオン、 トリメチルドデシルアンモニゥムイオン、 テトラブチル アンモニゥムイオンおよびジメチルビペリジニゥムイオン等が挙げられる。 これ らの内では限定はされないが、 ナトリウムイオン、 カリウムイオンが好ましく、 中でも力リゥムイオンがより好ましい。
カルボン酸塩基の前駆体として、 カルボン酸基が用いられる。
カルボン酸基を塩基に作用させることによって、 カルボン酸塩基を調製するこ とができる。 作用させる塩基としては各種のものを使用できる。 例示すると、 ナトリウムメ卜キシド、 カリウムメトキシド、 リチウムメトキシド、 ナトリウム ェ卜キシド、 力リゥムエトキシド、 リチウムェトキシド、 ナトリゥムー t e r t ーブトキシド、 カリウム一 t e r t 一ブトキシド等の金属アルコキシド ;炭酸ナ トリウム、 炭酸カリウム、 炭酸リチウム、 炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩;水酸 化ナトリウム、 水酸化カリウム等の水酸化物;水素化ナトリウム、 水素化力リウ ム等の水素化物; メチルリチウム、 ェチルリチウム、 n—ブチルリチウム、 t e r t 一ブチルリチウム、 リチウムジイソプロピルアミ ド、 リチウムへキサメチル ジシラジド等の有機リチウム化合物; アンモニゥム、 卜リメチルァミン、 トリェ チルァミン、 トリブチルァミン、 テトラメチルエチレンジァミン、 ペン夕メチル ジエチレントリアミン等のアミン類; ピリジン、 ピコリンなどのピリジン系化合 物等のピリジン系化合物、 等が挙げられる。
上記前駆化合物と塩基の中和に用いられる溶媒としては、 例えば、 ベンゼン、 トルエン等の炭化水素系溶媒;塩化メチレン、 クロ口ホルム、 クロ口ベンゼン等 のハロゲン化炭化水素系溶媒; ジェチルエーテル、 ジォキサン、 テトラヒドロフ ラン、 ジフエ二ルエーテル、 ァニソール、 ジメトキシベンゼン等のエーテル系溶 媒;酢酸ェチル、 酢酸ブチル等のエステル系溶媒; アセトン、 メチルェチルケト ン、 メチルイソプチルケトン等のケトン系溶媒; メタノール、 エタノール、 プロ パノール、 イソプロパノール、 n—ブチルアルコール、 t e r t —ブチルアルコ
ール等のアルコール系溶媒; ァセトニトリル、 プロピオ二トリル、 ベンゾニトリ ル等の二トリル系溶媒; ジメチルホルムアミド、 ジメチルァセトアミド、 へキサ メチルホスホリックトリアミ ド等のアミド系溶媒; ジメチルスルホキシド等のス ルホキシド系溶媒;エチレンカーボネート、 プロピレンカーボネート等のカーボ ネート系溶媒;水等が挙げられる。 これらはそれぞれ単独で用いてもよいし、 二 種類以上の溶媒を混合して用いてもよい。
M +が 4級アンモニゥムイオンであるものについては、 カルボン酸基にアルキ ルァミン、 又はピリジン系化合物を直接作用させることにより得られるが、 M + がアルカリ金属イオンであるものを調製した後に、 4級アンモニゥムハライドを 作用させることによつても得ることができる。 4級アンモニゥムハライドとして は、 テトラメチルアンモニゥムハライド、 テトラエチルアンモニゥムハライド、 トリメチルベンジルアンモニゥムハライド、 トリメチルドデシルアンモニゥムハ ライド、 テ卜ラブチルアンモニゥムハライド等が例示される。
カルボン酸系基を有する重合体
カルボン酸系基を有する化合物としては、 それが重合体であるもの、 更に重合 体の側鎖に力ルポン酸系基があるものが挙げられる。
重合体の側鎖にカルボン酸系基があるものは、 カルボキシル基もしくは酸無水 物の構造を有するビニル系重合体に塩基を作用させることにより調製できる。 こ のようなビニル系重合体として、 例えば、 (メタ) アクリル酸;無水マレイン酸、 マレイン酸、 マレイン酸のモノアルキルエステル; フマル酸、 フマル酸のモノァ ルキルエステル;桂皮酸等のカルボキシル基もしくは酸無水物の構造を有するビ ニル系モノマーの重合体、 もしくはこれらのビニル系モノマーを構成単位のうち の一つとするビニル系共重合体が挙げられる。
カルボン酸系基を末端に有する重合体としては、 ポリエステルや、 t 一ブチル 基ゃシリル基等の保護基で保護したカルボン酸基を有する開始剤から原子移動ラ ジカル重合等により重合した重合体を脱保護した重合体等が挙げられる。
複数のカルボン酸系基を有する化合物
カルボン酸系基を有する化合物が 2つ以上のカルボン酸系基を有する化合物で あるものとしては、 下記一般式で示されるカルボン酸塩が挙げられる。
R30— {C (O) 一 O- M + } n
(式中、 R 3 Dは直接結合、 または、 1つ以上のェ一テル結合またはエステル結合 を含んでいてもよい炭素数 1〜 20の n価の有機基を表す。 M +はアルカリ金属 イオン又は 4級アンモニゥムイオン)
上記一般式において、 R 3 Qは直接結合、 または 1つ以上のエーテル結合または エステル結合を含んでいてもよい炭素数 1〜20の n価の有機基である。 また、
R3Qは不飽和二重結合またはベンゼン環を含んでいてもよい。 R3Gは水酸基、 ァ ミノ基、 ニトロ基、 シァノ基等の官能基で置換されていてもよい。 具体例として は、 直接結合; 一 CH2 -、 - CH (CH3) ―、 — C (CH3) 2—、 ― (CH 2) 2—、 ― (CH2) 3—、 一 (CH2) 4—、 一 (CH2) n— (nは 5〜20の 整数) ; — CH2— CH (OH) 一、 -CH (OH) — CH (OH) ―、 -CH =CH—等の 2価の有機基が挙げられる。 さらに以下に示される多価有機基も具 体例として挙げられる。
6-1
6-6 6—:
6-8 上記一般式で示されるカルボン酸塩の前駆化合物として、 1分子内に 2個以上 のカルボキシル基を有する多価カルボン酸が用いられる。 具体例として、 シユウ 酸、 マロン酸、 コハク酸、 グルタル酸、 アジピン酸、 H0
2C— (CH
2)
n— C 〇
2H (nは 5〜20の整数) 、 マレイン酸、 フマル酸、 リンゴ酸、 酒石酸、 ク ェン酸等が挙げられる。 さらに、 以下に示される多価カルボン酸を用いることが できる。
さらに、 上記前駆体として、 上記多価カルボン酸の無水物、 および、 これらの ハロゲン化物等を用いることもできる。
官能基を有するカルボン酸塩化合物
官能基を有するカルボン酸塩化合物としては特に限定されないが、 例えば、 下 記一般式で表される官能基 Yを有する化合物が挙げられる。
M +〇 一 C (〇) -R40- Y1
{式中、 R4Gは、 直接結合または 1個以上のエーテル結合又はエステル結合を含 んでいてもよい炭素数 1〜 20の 2価の有機基を表す。 Y1は、 水酸基 (一〇
H) 、 アミノ基 (一 NH2) 、 カルボキシル基 (一 C〇2H) 、 カルボキシレ一ト 基 (― C02M + ) 又は一 C (R) =CH2 (Rは水素、 炭素数:!〜 10のアルキ ル基、 炭素数 6〜10のァリール基又は炭素数 7〜 10のァラルキル基を表す) で表されるアルケニル基である。 M +は、 アルカリ金属イオン又は 4級アンモニ ゥムイオンを表す。 }
の具体例としては、 直接結合または 1つ以上のエーテル結合を含んでいて もよい炭素数 1〜20の 2価の有機基である。 炭素数 1〜20の 2価の有機基の 具体例としては、 一 CH2—、 - (CH2) 2—、 ― (CH2) 3—、 - (CH2) 4 ―、 一 (CH2) n— (nは 5〜20の整数) 等のアルキレン基である。 また、 R 41は不飽和二重結合またはベンゼン環を含んでいてもよい。 また、 R41はエーテ ル結合、 エステル結合、 アミド結合を含んでいてもよい。
M +は前記と同じ。
上記一般式で示される力ルポン酸塩の前駆化合物として、 官能基 Y 12を有する カルボン酸が用いられる。 Y12は、 水酸基 (一 OH) 、 アミノ基 (― NH2) 、 カルボキシル基 (一 C〇2H) 、 又は— C (R) -CH2 (Rは水素、 炭素数 1〜 10のアルキル基、 炭素数 6〜1 0のァリール基又は炭素数 7〜 1 0のァラルキ ル基を表す) で表されるアルケニル基である。
水酸基含有カルボン酸化合物としては特に限定されないが、 例えば、 以下に示 す化合物が用いられる。
HO- (CH2) n— C〇2H (nは、 1〜20の整数を表す。 ) 、 H3C— CH (OH) ― C02H、 H3C-CH (OH) CH2 - C02H、 o_, m―, p— H O— C6H4— C〇2H、 o—, m―, p -HO- (CH2) 。一 C6H4 - (CH 2) m—C〇2H、 (η、 π^ί0〜14の整数で、 n+m≤ 14を表す。 ) 等が挙 げられる。
アミノ基含有カルボン酸化合物としては特に限定されないが、 従来公知のアミ ノ酸が用いられてよい。 具体例として
H?N- (CHJ -C02H (nは、 1〜20の整数を表す。 ) 、 HgC— CH
(NH2) 一 C〇2H、 H3C - CH (NH2) CH2— C〇2H、 C 6H5— CH (NH2) —C〇2H等が挙げられる。
アルケニル基含有カルボン酸化合物としては特に限定されないが、 例えば、 以 下に示す化合物が用いられる。 具体例としては、 H2C = CH— C (O) -OH, H2C = C (CH3) — C (O) -OH, H2C = CH-CH2-C (〇) 一 OH、 H2C = CH- (CH2) n-C (〇) —OH (nは、 0〜2 0の整数を表す。 ) 、 H2C = CH— (CH2) n— OC (〇) ― (CH2) m—C (O) —OH (m及び nは、 同一又は異なって、 0〜: L 9の整数を表す。 ) 、 o—, m— , p -H2C = CH— C6H4 - C (〇) -OH, 0—, m— , p - H 2 C = C H - C H 2 - C 6 H4-C (〇) -OH, o—, m—, p— H 2 C = C H— C H 2—〇一 C 6 H 4— C (〇) 一 OH、 o—, m—, p -H2C = CH- (CH2) n - OC (〇) 一 C6H 4-C (O) 一 OH (nは、 0〜 1 3の整数を表す。 ) 等が挙げられる。
カルボキシル基又はカルボキシレート基を有するカルボン酸塩化合物の前駆体 としては特に限定されないが、 例えば 2価カルボン酸化合物などが用いられる。 具体例として、 シユウ酸、 マロン酸、 コハク酸、 ダルタル酸、 アジピン酸、 HO 2C— (CH2) π— C〇2H (nは 5〜2 0の整数) 、 マレイン酸、 フマル酸、 リ ンゴ酸、 酒石酸、 フ夕ル酸、 イソフ夕ル酸、 テレフタル酸、 ナフ夕レンジカルボ ン酸などの 2価カルボン酸が挙げられる。 また、 これらのハロゲン化物や無水コ ハク酸、 無水マレイン酸、 無水フ夕ル酸等の環状無水物も使用されてよい。
環状酸無水物と官能基を有するアルコールとを反応させて得られたカルボン酸系 基を有する化合物
環状酸無水物に官能基を有するアルコールを作用させることにより容易に開環 し、 前駆体であるカルボン酸化合物が得られる。 環状酸無水物としては特に限定 されないが、 例えば、 無水コ八ク酸、 無水ダルタル酸、 無水マレイン酸、 シクロ へキサンジカルボン酸無水物、 無水フ夕ル酸等が挙げられる。 これらのうち、 無 水コハク酸、 無水ダルタル酸、 無水フ夕ル酸が好ましく、 無水フタル酸が特に好 ましい。
上記の官能基を有するアルコール類としては特に限定されないが、 例えば下式 に示される化合物である。
H O - R - Z
(式中、 Rは炭素数 1〜2 0の 2価の有機基、 Zは官能基を表す。 )
官能基 Zは、 特に限定されないが、 例えばアルケニル基 {— C ( R ' ) = C H 2 ; R ' は水素またはメチル基 } 、 水酸基、 アミノ基、 エポキシ基等である。 官能 基を有するアルコール類の具体例としては、 例えばァリルアルコール、 ブテニル アルコール、 ペンテニルアルコール、 へキセニルアルコール等のアルケニル基を 有するアルコール類;エチレングリコール、 プロピレングリコール、 シクロへキ サンジオール等のジオール類; エタノールァミン、 アミノブロバノール、 ァミノ ブ夕ノール等のアミノ基を有するアルコール類; ダリシドール等のエポキシ基を 有するアルコール類が例示される。
アミノ基、 水酸基を持つ化合物を重合体末端に反応させる場合には、 そのまま 反応させても構わないが、 それらの基が重合体末端に影響を与える場合があるの で、 その場合には保護基をつけた化合物を用いても構わない。 保護基としては、 ァセチル基、 シリル基、 アルコキシ基などが挙げられる。
上記カルボン酸化合物に塩基を作用させることによりアル力リ金属塩またはァ ンモニゥム塩が得られる。
アルカリ金属塩を調製する方法は、 既述の通りである。
<力ルボン酸塩基とハロゲン基の量比 (カップリング) >
カップリング反応を実施する際において、 カルボン酸塩の使用量は、 ハロゲン 末端量に対するカルボン酸塩基量が等量以下になるような量が好ましい。 カルボ ン酸塩の使用量が等量以上である場合、 重合体末端同士のカツプリング反応が充 分に進行せず、 末端にカルボキシレート基を有する重合体を生じることがある。 末端にカルボキシレート基を有する重合体を得ることを目的とする場合には、 等 量以上の使用は適当であるが、 そうでない場合には、 等量以上の使用は避ける。 上記使用量が少量の場合には、 カップリングできない重合体末端が出てくること になるが、 一部だけをカップリングさせる目的なら問題はない。 よって、 上記一 般式 (3 ) で表されるカルボン酸塩の使用量は、 ハロゲン末端量に対するカルボ キシレート基量で、 0 . 5〜1 . 0倍が好ましく、 0 . 8〜1 . 0倍がより好ま しく、 0 . 9〜1 . 0倍が更に好ましい。 ただし、 複数のカルボン酸塩基を有す
る化合物の溶解性が低い場合、 1つめのカルボン酸塩基が反応した後、 重合体と 結合することにより溶解性が高まり、 2つめ以降の基の反応性が高まることがあ る。 この場合には、 等量以上のカルボン酸塩を使用しても、 うまくカップリング が進行することができる。
くカルボン酸塩基とハロゲン基の量比 (グラフト) 〉
重合体 Bの使用量は、 重合体 Bのカルボキシレート基量が重合体 Aのハロゲン 基量に対して等量以上になるような量が好ましい。 等量よりも少ない場合、 重合 体 Aの一部が未反応のまま残存することになるためである。 一方、 カルボキシレ 一ト基量を八ロゲン基量よりも過剰にすることによって、 未反応のカルボキシレ 一ト基を親水性基として共重合体中に残すことができる。 すなわち、 カルボキシ レート基量とハロゲン基量の比を調節することによって両親媒性高分子の合成が 可能である。
<反応条件 >
重合体 Aの末端ハロゲンの変換反応に用いられる溶媒としては、 例えば、 ベン ゼン、 トルエン等の炭化水素系溶媒;塩化メチレン、 クロ口ホルム、 クロ口ベン ゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒; ジェチルエーテル、 ジォキサン、 テトラヒ ドロフラン、 ジフエ二ルェ一テル、 ァニソ一ル、 ジメトキシベンゼン等のェ一テ ル系溶媒;酢酸ェチル、 酢酸ブチル等のエステル系溶媒; アセトン、 メチルェチ ルケトン、 メチルイソプチルケトン等のケトン系溶媒; メタノール、 エタノール、 プロパノール、 イソプロパノール、 n—ブチルアルコール、 t e r t—ブチルァ ルコール等のアルコール系溶媒; ァセトニトリル、 プロピオ二トリル、 ベンゾニ トリル等の二トリル系溶媒; ジメチルホルムアミド、 ジメチルァセトアミド、 へ キサメチルホスホリックトリアミド等のアミド系溶媒; ジメチルスルホキシド等 のスルホキシド系溶媒;エチレンカーボネート、 プロピレンカーボネート等の力 ーポネート系溶媒;水等が挙げられる。 これらはそれぞれ単独で用いてもよいし、 二種類以上の溶媒を混合して用いてもよい。 反応温度は特に限定されないが、 0 〜 1 5 0 が好ましい。
ぐ窒素原子含有化合物存在下での反応〉
カルボン酸塩は一般的な有機溶媒に対して溶解性がが低いため、 溶媒によって
は重合体末端の置換反応が全く進行しないもしくは反応が著しく遅いなどの問題 が生じる。 この問題を解決する方法として、 我々は鋭意検討の結果、 反応系中に 窒素原子含有化合物を共存させることにより、 この反応を加速することができる ことを見出した。
窒素原子含有化合物としては特に限定されないが、 例えば、 アンモニア; トリ メチルァミン、 トリェチルァミン、 トリプロピルァミン、 トリプチルァミン、 ジ イソプロピルェチルァミン、 テトラメチルエチレンジァミン、 ペンタメチルジェ チレントリアミン等の脂肪族ァミン; ジメチルシクロへキシルァミン、 ジェチル シクロへキシルァミン、 メチルジシクロへキシル等の脂環族ァミン; ジメチルァ 二リン、 ジェチルァニリン等の芳香族ァミン; メチルビラゾール、 フエ二ルピラ ゾール、 メチルイミダゾール、 フエ二ルイミダゾ一ル、 ピリジン、 ピコリン等の 複素環式窒素塩基などが挙げられる。 これらはそれぞれ単独で用いてもよいし、 二種類以上を混合して用いてもよい。
重合体 Aの末端変換反応は、 精製した後に得られる重合体 Aにカルボキシレー ト基を有する化合物および窒素原子含有化合物を作用させることにより行うこと ができるが、 重合体 Aを製造するための重合系中にカルボキシレート基を有する 化合物および窒素原子含有化合物を直接添加することによって行うこともできる。 すなわち、 重合体 Aの単離精製工程を省くことが可能である。
アミン系化合物もしくはピリジン系化合物を配位子とするァトムトランスファ 一ラジカル重合を用いて重合体 Aを製造する場合においては、 該配位子を窒素原 子含有化合物としてそのまま用いることができる。 アミン系化合物もしくはピリ ジン系化合物としては特に限定されないが、 既に述べたものが使用されてよい。 また、 この場合においても、 重合系中で直接変換反応を行うこともできる。 重合 系中において直接変換反応を行う場合にはカルボキシレ一ト基を有する化合物を 直接重合系に添加すればよいが、 反応加速のため、 窒素原子含有化合物すなわち 配位子を反応系中に追加することは何ら問題はない。
ぐ重合体 >
本発明の製造方法により得られる重合体としては、 グラフト重合体、 ゲル、 力 ップリングされた重合体、 末端官能性重合体、 特にカルボン酸系基を末端に有す
る重合体等が挙げられる。
具体的に例を示すと、 一般式 (5) で示される基を分子鎖内部に有する、 ビニ ル系重合体が挙げられる。
R 3 0 - { C ( Ο ) - O - C ( R 5 1 ) ( R 5 2 ) - C Η 2 - A } n (5)
{式中、 R51、 R52及び R3 Qは前記に同じ。 ただし、 nは 1以上の整数である。 Aはビニル系重合体を表す。 }
一般式に示されるカルボン酸塩において、 R 3 Gの具体例としては上記したもの がすべて使用できる。
カルボン酸系基を末端に有する重合体としては、 次の一般式で示される末端構 造を有するビニル系重合体が挙げられる。
-CH2-C (R51) (R52) -O-C (O) — R53— C (〇) OH
(式中、 R51あるいは R52は、 前記におなじ。 R53は直接結合または炭素数 1〜 20の 2価の有機基を表す。 )
上記一般式において、 R 53は直接結合または炭素数 1〜20の 2価の有機基で ある。 炭素数 1~20の 2価の有機基の具体例としては、 一 CH2—、 一 (CH2 ) 2—、 - (CH2) 3—、 一 (CH2) 4一、 一 (CH2) n— (nは 5〜20の整 数) 等のアルキレン基である。 また、 R53は不飽和二重結合またはベンゼン環を 含んでいてもよい。 また、 R53はエーテル結合、 エステル結合、 アミド結合を含 んでいてもよい。 また、 R53は水酸基、 アミノ基、 ニトロ基、 シァノ基等の官能 基で置換されていてもよい。
ぐ力ルポキシル基を末端に有する重合体を成分とする硬化性組成物 >
本発明の製造方法で製造された、 末端に力ルポキシル基を有するビニル系重合 体は、 これを成分とする硬化性組成物にすることができる。
この硬化性組成物は以下の 2成分:
末端にカルボキシル基を有するビニル系重合体、 及び
カルボキシル基と反応しうる官能基を 2個以上有する化合物、
を必須成分とするものである。
第一の成分の末端にカルボキシル基を有する (メタ) アクリル系重合体は単独
で用いても 2種類以上を混合して用いてもよい。
第二の成分のカルボキシル基と反応しうる官能基を 2個以上有する化合物とし ては、 特に限定はされず、 例えば、 エポキシ樹脂等のエポキシ基含有化合物、 多 官能アルコール類等の水酸基含有化合物、 多官能アミン類等のアミノ基含有化合 物、 多価イソシァネート化合物等のイソシァネート基含有化合物等が挙げられる。 エポキシ樹脂としては限定されないが従来公知のものを使用されてよい。 具体 例としては、 ビスフエノール Aまたはビスフエノール Fとェピクロルヒドリンと からの反応生成物を基礎とするエポキシド樹脂;多価脂肪族アルコール、 例えば 1, 4一ブタンジオール、 またはポリアルキレングリコール、 例えばプロピレン ダリコールのジグリシジルェ一テルもしくはポリダリシジルエーテル;脂肪式ポ リオール、 例えば 2 , 2—ビス (p—ヒドロキシシクロへキシル) 一プロパンの ジグリシジルエーテルまたはポリグリシジルエーテル;多価フエノール、 例えば レソルシン、 2, 2 —ビス (4 ' ーヒドロキシ一 3 ' , 5 ' —ジブロモフエ二 ル) 一プロパンのジグリシジルエーテルもしくはポリダリシジルエーテル;酸性 条件下に得られる、 フエノールとホルムアルデヒドの縮合生成物、 例えばフエノ ールーノポラックおよびクレゾ一ルーノボラックのジグリシジルエーテルまたは ポリグリシジルエーテル;多価カルボン酸、 例えばフ夕ル酸、 テレフタル酸、 テ トラヒドロフ夕ル酸、 へキサヒドロフ夕ル酸のポリグリシジルエーテル; ァミン、 アミ ドおよび複素環式窒素塩基の N—グリシジル誘導体、 例えば: N , N—ジグ リシジルァ二リン、 N, N—ジグリシジルトルイジン、 N, N , N ' , N ' —テ トラグリシジル一ビス一 (p—ァミノフエ二ル) 一メタン、 卜リグリシジルイソ シァヌレート、 N, N ' ージグリシジルエチレン尿素、 N , N ' —ジグリシジル 一 5, 5—ジメチルーヒダントイン、 N, N ' ージグリシジルー 5, 5—ジメチ ル一 6—イソプロピル一 5 , 6—ジヒドロウラシル等が挙げられる。
反応温度は特に限定されないが、 0〜2 0 0でで行うことができ、 好ましくは 5 0〜 1 5 0 である。 硬化を促進するために、 従来公知な触媒が使用されてよ レ^ 特に有利な触媒としては、 第 4アンモニゥム化合物または第 4ホスホニゥム 化合物、 例えばテトラメチルアンモニゥムクロリ ド、 テ卜ラブチルホスホニゥム クロリ ドまたはテトラブチルホスホニゥムァセテ一トである。
多官能アルコール類としては、 特に限定されないが、 例えば、 エチレングリゴ ール、 ジエチレングリコール、 プロピレングリコール、 ジプロピレングリコール、 1, 3—ブタンジオール、 1, 4—ブタンジオール、 1 , 5 —ペン夕ンジオール 1, 6—へキサンジオール、 ネオペンチルダリコール、 2—ェチルー 1, 3—へ キサンジオール、 グリセリン、 トリメチロールプロパンなどの脂肪族グリコール、 1 , 4ーシクロへキサングリコ一ルなどの脂環族グリコール、 キシリレングリコ ール、 1, 4—ジハイド口ォキシェチルベンゼン、 水添ビスフエノール Aなどの 芳香族グリコール等が挙げられる。
反応温度は特に限定されないが、 0 ~ 2 0 0 °Cで行うことができ、 好ましくは 5 0〜: L 5 0 °Cである。
多官能アミン類としては特に限定されないが、 1, 4ージアミノブタン、 1, 4—ジアミノブタン、 1 , 2 —ジァミノー 2 —メチルプロパン、 1 , 5—ジアミ ノペンタン、 2, 2—ジメチルー 1 , 3 —プロパンジァミン、 1, 6—へキサン ジァミン、 ジエチレントリアミン、 トリエチレンテトラミン等の脂肪族ァミン; メタキシリレンジァミン、 o, m, p—フエ二レンジァミン、 o _トリジン、 m —トルィレンジァミン、 ジァミノナフタレン、 メチレンジァニリン、 ジァミノべ ンゾフエノン等の芳香族ァミンが挙げられる。
反応温度は特に限定されないが、 0〜2 0 0 °Cで行うことができ、 好ましくは 5 0〜 1 5 0 °Cである。
多価イソシァネート化合物としては限定されないが従来公知のものが使用され てよい。 例えば、 2, 4 一トリレンジイソシァネート、 2 , 6 —トリレンジイソ シァネ一卜、 4, 4 ' ージフエニルメタンジイソシァネート、 へキサメチレンジ イソシァネート、 キシリレンジイソシァネート、 メタキシリレンジイソシァネー ト、 1 , 5 —ナフタレンジイソシァネート、 水素化ジフエニルメタンジイソシァ ネート、 水素化トリレンジイソシァネート、 水素化キシリレンジイソシァネート、 イソホロンジイソシァネート、 一方社油脂製 B— 4 5のごときトリイソシァネー ト、 等のイソシァネート化合物、 スミジュール N (住友バイエルウレタン社製) のごときビュレットポリイソシァネート化合物、 デスモジュール I L、 H L (バ ィエル A . G . 社製) 、 コロネ一ト E H (日本ポリウレタン工業社製) のごとき
イソシァヌレート環を有するポリイソシァネー卜化合物、 スミジュール L (住友 バイエルウレタン社製) のごときァダクトポリイソシァネート化合物、 コロネー ト HL (日本ポリウレタン社製) のごときァダクトポリイソシァネート化合物等 を挙げることができる。 また、 ブロックイソシァネートを使用しても構わない。 これらは単独で使用しても、 2種類以上を併用してもよい。
反応温度は特に限定されないが、 0〜200°Cで行うことができ、 好ましくは 20〜: 150°Cである。
本発明の組成物である末端にカルボキシル基を有するビニル系重合体と 2偭以 上のィソシァネート基を有する化合物の硬化反応を促進させるために、 必要に応 じて、 有機スズ化合物や 3級ァミン等の公知の触媒を添加してもよい。 有機スズ 化合物の具体例としては、 ォクチル酸スズ、 ジブチルスズジアセテート、 ジブチ レート、 ジブチルスズジマレエ一ト、 ジォクチルスズチォカルボキシレート等が 挙げられる。 また、 3級ァミン系触媒としては、 トリヱチルァミン、 N, N—ジ メチルシクロへキシルァミン、 N, N, N' , Ν' ーテトラメチルエチレンジァ ミン、 Ν, Ν, N' , N' —テトラメチルプロパン 1, 3—ジァミン、 Ν, Ν, N' , N' —テトラメチルへキサン 1 , 6—ジァミン、 Ν, Ν, N' , N' ' , N' ' —ペンタメチルジェチレン卜リアミン、 N, N, N' , N' ' , N' ' — ペンタメチルジプロピレントリアミン、 テ卜ラメチルダァニジン、 トリエチレン ジァミン、 N, N' —ジメチルビペラジン、 Ν—メチルモルホリン、 1, 2—ジ メチルイミダゾール、 ジメチルアミノエ夕ノール、 ジメチルアミノエトキシェ夕 ノール、 Ν, Ν, N' —トリメチルアミノエチルエタノールァミン、 Ν—メチル 一 N' - (2—ヒドロキシェチル) ピぺラジン、 Ν— (2—ヒドロキシェチル) モルホリン、 ビス (2—ジメチルアミノエチル) エーテル、 エチレングリコール ビス (3—ジメチル) ァミノプロピルエーテル等が例示される。
本発明の上記 2つの成分、 および必要に応じて硬化触媒を混合し硬化させれば、 深部硬化性に優れた均一な硬化物が得られる。
本発明において製造された重合体は、 ブラスティック成形材料、 プラステイツ ク耐衝撃改良剤、 潤滑油物性改良剤、 熱可塑性エラストマ一等に利用できる。 ま
た、 末端に官能基を有する重合体の場合、 その官能基をそのまま利用したり、 縮 合性のシリル基等の他の官能基に変換したりして架橋反応を起こすことにより、 硬化物にすることができる。 この具体的な用途を挙げるならば、 シ一リング材、 接着剤、 粘着材、 弾性接着剤、 塗料、 粉体塗料、 発泡体、 電気電子用ポッティン グ材、 フィルム、 ガスケット、 各種成形材料、 人工大理石等である。
実施例
以下に、 この発明の具体的な実施例を比較例と併せて説明するが、 この発明は、 下記実施例に限定されない。
下記実施例中、 「数平均分子量」 および 「分子量分布 (重量平均分子量と数平 均分子量の比) 」 は、 ゲルパーミエーシヨンクロマトグラフィー (GPC) を用 いた標準ポリスチレン換算法により算出した。 ただし、 GPCカラムとしてポリ スチレン架橋ゲルを充填したもの、 GP C溶媒としてクロ口ホルムを用いた。 製造例 1 B r基末端ポリ (アクリル酸プチル) の合成例 (1)
還流管および攪拌機付きの 2 Lのセパラブルフラスコに、 CuB r (5. 54 g、 38. 6mmo 1 ) を仕込み、 反応容器内を窒素置換した。 ァセトニトリル (73. 8mL) を加え、 オイルバス中 70でで 30分間攪拌した。 これにァク リル酸ブチル ( 132 g) 、 2—ブロモプロピオン酸メチル ( 14. 4mL、 0. 129mo 1 ) 、 ペン夕メチルジェチレン卜リアミン (4. 69mL、 0. 02 2mo 1 ) を加え、 反応を開始した。 70 で加熱攪拌しながら、 アクリル酸ブ チル (528 g) を 90分かけて連続的に滴下し、 更に 80分間加熱攪拌した。 反応混合物をトルエンで希釈し、 活性アルミナカラムを通した後、 揮発分を減 圧留去することにより片末端 B r基ポリ (アクリル酸プチル) (重合体 [1] ) を得た。 重合体 [1] の数平均分子量は 5800、 分子量分布は 1. 14であつ た。
製造例 2 多価カルボン酸塩の合成例
t—ブトキシカリウム (7. 68 g、 68. 4mmo 1 ) をメタノール (10 OmL) に溶解させた後、 アジピン酸 (5. 0 g、 34. 2mmo 1 ) を添加し た。 反応溶液をしばらく室温で攪拌した後、 濃縮乾燥させることによりアジピン 酸二カリウム塩を得た。
実施例 1 カルボン酸塩基の導入
還流管付きフラスコに、 製造例 1で得られた重合体 [1] 、 過剰量の製造例 2 で得られたアジピン酸二カリウム塩、 ジメチルァセトアミドを仕込み、 1 00 で 1 0時間以上加熱攪拌した。 反応溶液を減圧濃縮し、 トルエンで希釈した。 不 溶部をろ過し、 ろ液を減圧濃縮することにより重合体を得た。
lH NMR分析、 G PC測定の結果、 重合体 [ 1] の末端 B r基が変換され 、 重合体末端にカルボン酸塩基が導入されたことがわかつた。
実施例 2 B r基末端重合体のカップリング
還流管付き 50 OmLフラスコに、 製造例 1で得られた重合体 [ 1] (1 0 g ) 、 製造例 2で得られたアジピン酸二カリウム塩 ( 1 9 1mg) 、 ジメチルァセ トアミ ド (1 0mL) を仕込み、 70でで 5時間加熱攪拌した。 アジピン酸二力 リウム塩 (540mg) を追加し、 1 00°Cで更に 1 0時間加熱攪拌した。 反応 溶液を減圧濃縮し、 トルエンで希釈した。 不溶部をろ過し、 ろ液を減圧濃縮する ことにより重合体を得た。 NMR分析により B r基が変換されたことを確 認した。 また、 GP C測定により高分子量体の生成 (ピークトップ分子量 = 1 2 500 ) が確認された。 以上のことから、 B r基末端どうしがカップリングされ たことがわかった。
実施例 3 グラフ卜共重合体の合成
製造例 1で得られた重合体 [ 1 ] (5 g) 、 ポリ (アクリル酸ナトリウム) (5 g ;和光純薬製) をよく混合し、 1 50°Cで 1時間加熱した。 未反応の重合 体 [ 1] をアセトンで抽出することによりグラフト共重合体を得た。 グラフト共 重合体はアセトンには不溶であつたが、 水によく分散した。
製造例 3 アルケニル基を有するカルボン酸塩の合成
水酸化カリウムの 1 Z2Nエタノール溶液 (2 0 OmL) にゥンデシレン酸 (1 8. 8 g、 0. 1 02mo 1 ) を撹拌しながら 0ででゆっくり滴下した。 揮 発分を減圧下留去することにより粗生成物を得た。 粗生成物をアセトンで洗浄後、 減圧下加熱することにより下式に示すゥンデシレン酸の力リウム塩の白色固体を 得た (8. 88 g、 収率 88 %) 。
CH2 = CH— (CH2) 8— C〇2— K +
製造例 4 B r基末端ポリ (アクリル酸プチル) の合成例 (2)
10 OmLのガラス反応容器に、 アクリル酸ブチル (20. OmL、 17. 9 g、 0. 14 Omo 1 ) > C u B r (0. 625 g、 4. 36 mm o 1 ) 、 ペン 夕メチルジェチレン卜リアミン (0. 91mL、 0. 755 g, 4. 36mmo 1 ) 、 およびァセトニトリル (5mL) を仕込み、 冷却後減圧脱気したのち窒素 ガスで置換した。 よく撹拌した後、 2—ブロモプロピオン酸メチル (0. 973 mL、 1. 456 g、 8. 72mmo 1 ) を添加した。 70でで加熱撹拌しなが ら、 3 OmLのアクリル酸ブチルを少しずつ滴下し、 反応させた。 混合物を活性 アルミナで処理した後、 揮発分を減圧下加熱して留去した。 生成物を酢酸ェチル に溶解させ、 2%塩酸、 ブラインで洗浄した。 有機層を Na2S〇4で乾燥し、 揮 発分を減圧下加熱して留去することにより、 末端にハロゲン基を有する重合体 (重合体 [2] ) を得た。 重合体の数平均分子量は 5270、 分子量分布は 1. 08であった。
実施例 4 ァミン添加による置換反応加速の例 (1)
製造例 4で得られた重合体 [2] (1. 5 g) 、 製造例 3で得られたゥンデシ レン酸の力リゥム塩 (6 1 5mg、 0. 27 7 mm o 1 ) 、 トリェチルアミン (12. 7mg、 0. 126mmo 1 ) 及び、 ァセトニトリル (0. 84mL) を仕込み、 70°Cで 12時間加熱撹拌した。 混合物に酢酸ェチルを加えて不溶分 を濾別した後、 濾液を水で洗浄した。 有機層を濃縮することにより重合体を得た。 末端臭素の変換率は 49 %であった。
実施例 5 ァミン添加による置換反応加速の例 (2)
実施例 4においてトリエチルァミンの代わりにテトラメチルエチレンジァミン (14. 5mg, 0. 125mmo 1 ) を用い、 それ以外は同様の操作を行った。 得られた重合体の末端臭素の変換率は 58%であった。
比較例 1 ァミン添加による置換反応加速の比較例
比較例として窒素原子含有化合物なしで反応を行つた。 実施例 4においてアミ ンなしの条件で同様の操作を行った。 得られた重合体の末端臭素の変換率は 1 5 %であった。
製造例 5 環状酸無水物と官能基を有するアルコールの反応
10 OmLの三口丸底フラスコに、 還流管をつけ、 窒素雰囲気下で反応容器に 無水フタル酸 (4. 0 g、 1 3. 5mmo 1 ) 、 ァリルアルコール (4. 58m L) を仕込み、 9 Ot:で 30分間攪拌させた。 未反応のァリルアルコールを減圧 下留去し、 フタル酸モノアリルエステルを得た (収量 5. 66 g) 。
カリウムメトキシド (1. 70 g) をメタノール (2 OmL) に溶解させ、 上 記カルボン酸 (5. 00 g) を加え、 室温でよく攪拌した。 揮発分を減圧下留去 することによりカルボン酸力リゥム塩を得た。
実施例 Θ 環状酸無水物と官能基を有するアルコールとの反応により得られる力 ルボン酸塩を用いた重合体末端 B r基の変換例
CuB r (0. 625 ) を触媒、 ペン夕メチルジェチレントリアミン (0. 8 3mL) を配位子、 ジェチル— 2, 5—ジブロモアジペート (1. 57 g) を開 始剤として 7 Ot:でアクリル酸ブチルを重合し、 数平均分子量 1 0900、 分子 量分布 1. 12の両末端に臭素基を持つポリ (アクリル酸プチル) を得た。
次に、 上記重合体 (8. l g) 、 製造例 5で得られたカルボン酸カリウム塩 (0. 333 g) 、 及び、 ジメチルァセトアミド (16. 2mL) を仕込み、 窒 素雰囲気下、 70DCで 0. 5時間反応させた。 混合物に酢酸ェチルを加えて水洗 した。 有機層を濃縮することにより、 重合体を得た。 重合体 1分子当たりに導入 されたアルケニル基は、 NMR分析より、 1. 44個であった。 産業上の利用の可能性
本発明によれば、 重合体末端をカルボン酸塩で置換することにより、 従来困難 であったラジカル重合性モノマーの重合体のカップリングを簡便に行うことがで き、 また、 本発明により重合体末端に官能基を有するビニル系重合体の製造が簡 便にできる。 同様に、 末端にハロゲンを有するビニル系重合体とカルボキシレー ト基を側鎖に有する重合体において、 末端ハロゲンをカルボキシレート基で変換 することによってビニル系重合体を枝高分子とするグラフ卜共重合体の製造が簡 便にできる。 また、 これまで製造するのが困難であった、 主鎖末端にカルボキシ ル基を高い比率で有するビニル系重合体を簡便に得ることができ、 その重合体を 成分とする硬化性組成物は、 ゴム弾性などの優れた特性を有する硬化物を与える。
また、 環状無水カルボン酸を利用することにより、 これまで製造するのが困難で あった、 主鎖末端に官能基を高い比率で有するビニル系重合体を簡便に得ること ができる。 本発明の置換反応において、 窒素原子含有化合物存在下で反応を行う ことによって、 変換反応を加速することができる。 また、 ビニル系重合体を製造 するための重合系中で直接、 変換反応を行うことができる。