明細書 抗血栓活性物質及びダリコカリシンの検出法 技術分野 本発明は、 抗血栓活性物質及びグリコカリシンの検出法に関し、 詳しくは、 フ オンビルブランド因子とグリコプロテイン lbとの結合を阻害する物質を検出また は測定する方法、 及び該方法の実施に直接使用する手段に関する。 背景技術 心筋梗塞、 脳梗塞あるいは末梢動脈閉塞症等の血栓症は、 その患者数が世界的 にも非常に多く、 診断、 治療すべき重要な疾患である。 これら血栓症の発症には 血小板が重要な役割を果たしている。 一般に動脈硬化性病変等により血管の内腔 に存在する血管内皮細胞が障害されると、 障害部位に血小板が粘着して活性化を 起こし、 血小板による血小板血栓が生じ、 最終的に閉塞性の病変へと進展する。 血小板の活性化を検出する方法の一つに、 血漿中のダリコカリシン濃度を測定 する方法がある。 グリコカリシンは、 血小板表面上に存在する膜糖蛋白質である グリコプロテイン lb α鎖の細胞外部分が酵素的に切断された蛋白質であり、 分子 量約 135KDaの大きさを持つ。 血漿中のグリコ力リシン濃度は血小板の障害あるい は活性化により上昇することが知られており、 現在臨床診断において血栓性疾患 の有無を検出するマーカ一として使用されている (J. H. Beer et al. , Blood, 83, 691—702, 1994 ; S. Kunishima et al. , Clin. Chem. , 37, 169-172, 1991) 。 ダリコカリシン濃度の測定方法は数々報告されているが、 いずれも 2種のダリ コカリシンに対するモノクローナル抗体を用い、 サンドウイッチ法により検出す る ΕίΙύΑ (enzyme-linked immunosorbent assay) 法でめる (J. H. Beer et al. |ij 記、 S. Kunishima et al.前記) 。 簡単に説明すると、 1番目のモノクロ一ナル抗 体を 96穴型プレート等に固相化し、 ゥシ血清アルブミン (bovine serum albumin ; BSA) 等の蛋白質でブロッキングした後、 測定する患者の血漿 (あるいは血清) を添加する。 ダリコカリシンは固相化したモノクローナル抗体に特異的に結合し、
プレートを洗浄後、 アルカリフォスファターゼ、 パ一ォキシダーゼ等の酵素ある いはピオチン等で標識した 2番目のモノクロ一ナル抗体を加え、 1番目のモノク ローナル抗体に結合したダリコカリシンに 2番目の抗体を特異的に結合させる。 洗浄後 2番目の抗体に標識した酵素により特定の紫外吸収もしくは可視吸収、 蛍 光、 又は発光を示す物質へと変換される基質を加える酵素反応を行う。
患者血漿中のダリコカリシン量は 2番目の抗体の結合量と正の相関を示すことか ら、 酵素反応によって生成した反応物の量を定量することにより、 患者血漿中の グリコカリシンの濃度を測定することができる。 また、 1種類の抗グリコ力リシ ン抗体を用いた競合 ELISA法によるグリコカリシンの測定法も報告されているが
(H. Bessos et al. , Thromb. Res. , 59, 497-507, 1990) 、 競合阻害を示すダリ コカリシン濃度の IC5。値が約 4 /z g/mlであり、 血漿中のグリコカリシン濃度 (健常 人で約 2 μ §/πι1、 J. H. Beer et al.前記) の測定に耐えうるものではない。
上記のサンドウイツチ法によるダリコカリシン定量法は現在広く用いられてい るが、 新たに同様の測定系を作製しようとした場合、 2種の認識部位の異なる抗 グリコカリシンモノクローナル抗体を入手する必要がある。 一般に市販のモノク ローナル抗体は非常に高価であり、 またモノクローナル抗体を作製するためには 免疫するためのグリコカリシンの入手、 免疫マウス脾臓からのハイブリ ドーマの 取得、 モノクローナル抗体産生細胞のスクリーニング等多くの労力を要する。 ま た、 上記のサンドウイッチ ELISA法は酵素反応量からダリコカリシン濃度の絶対量 を測定することは不可能であり、 多くの場合濃度既知のグリコカリシンを数種の 濃度で測定し、 その検量線と比較することにより測定したい被験試料中の濃度を 算出しなければならない。 そこで、 煩雑なモノクローナル抗体の作製をすること なく、 簡便にグリコカリシンの絶対濃度を測定し得る方法を確立することは、 広 く臨床診断に用いるという観点から重要である。
また、 血栓症発症の初期段階では、 血管内皮細胞が障害されることにより露出 した内皮下組織 (コラーゲン等) に血中のフォンビルブランド因子 (von Willeb rand factor) が結合し、 フォンビルブランド因子に血小板上の膜糖蛋白質グリコ プロテイン lbが結合し、 血小板が血管壁に粘着して、 活性化する (J. P. Cean e t al., J. Lab. Clin. Med., 87, 586—596, 1976、 K. J. Clemetson et al., Th
romb. Haeraost. , 78, 266-270, 1997) 。 このため、 フォンビルブランド因子とグ リコプロテイン lbの結合を阻害することが、 血栓症を治療、 予防する抗血栓薬の 重要なターゲットである。 しかし、 両蛋白質の結合を阻害することにより抗血栓 性を示すことが証明されている物質は少ない。
フォンビルブランド因子の 504- 728番目のァミノ酸配列を有する組み換え体蛋白 質 VCLは、 フォンビルブランド因子とダリコプロテイン lbの結合を阻害することに より抗血栓作用を示すことが報告されている (K. Azzara et al., Thromb. Haemo st., 73, 318-323, 1995) 。 また、 ヒ トフォンビルブランド因子に対するモノク 口一ナル抗体 AJvW- 2は特異的にフォンビルブランド因子に結合することにより出 血傾向を示すことなく抗血栓活性を示すことが報告されている (S. Kageyama et al. , Br. J. Pharmacol. , 122, 165 - 171, 1997; W096/17078) 。 さらに、 蛇毒由 来の蛋白質 AS1051は血小板ダリコプロテイン lbに特異的に結合し、 同様に出血傾 向を示すことなく抗血栓性を示す (N. Fukuchi et al., W095/08573) 。
また、 色素化合物であるォ一リントリカルボン酸 (aurin tricarboxylic acid, 「ATA」 ) もフォンビルブランド因子とグリコプロテイン lbの結合阻害活性を示す ことが報告されているが (M. D. Phiillips et al. , Blood, 72, 1989-1903, 19 88) 、 その結合特異性が高くないこと (K. Azzam et al., Thromb. Haemo s t. ' 7 5, 203-210, 1996、 D. Mitra et al. , Immunology, 87, 581-585, 1996、 R. M. Lozano et al. , Eur. J. Biochem. , 248, 30-36, 1997) 、 阻害活性を示すのは重 合した高分子画分にあることなどが知られている (M. Weinstein et al. , Blood, 78, 2291-2298, 1991、 Ζ. Gua et al. , Thromb. Res. , 71, 77—88, 1993、 H. M atsuno et al. , Circulation, 96, 1299-1304. 1997) 。
上記のように、 フォンビルブランド因子とグリコプロティン lbの結合阻害は抗 血栓薬の重要なターゲットであるにも関わらず、 両者の結合を阻害し、 抗血栓活 性を報告している低分子化合物はなく、 このような物質を見出すことは血栓症の 治療、 予防を考える上で重要である。
蛋白質以外のフォンビルブランド因子とダリコプロティン lbの結合を阻害する 物質としては、 ォ一リントリカルボン酸 (ATA) が挙げられるが、 本物質は、 すで に述べたように高分子に重合した物質に阻害活性が存在することが知られている。
M. Weinsteinら (Blood, 78, 2291-2298, 1991) は、 ゲル濾過で分画した ATAのフ ォンビルブランド因子とグリコプロティン lb依存的な血小板凝集であるリストセ チン凝集に対する阻害活性を調べ、 分子量 2500の重合物が最も活性が強いと結論 しているが、 ゲル濾過で低分子画分に溶出される部分に活性がほとんど存在しな いことも示している (前記文献中の図 1、 図 3 ) 。 また同報告中では、 活性を示 す ATA重合体の具体的な構造、 分子量に関しては特定されていない。 ATAの単量体 の合成に関しては、 D. Haug itz (W0 91/06589) がすでに報告しているが、 現 在までのところ単量体あるいは構造が特定できる重合体にフォンビルブランド因 子とグリコプロテイン lb結合阻害を示すデータは報告されておらず、 近年でも AT Aの重合物のゲル濾過分画を用いた活性評価が報告されている (T. Kawasaki et al, Araer. J. Hematol. , 47, 6-15, 1994) 現状から考え、 構造の特定できる ATA 誘導体には、 フォンビルブランド因子とダリコプロテイン lb阻害活性は存在しな いと考えられる。
前述した M. Weinsteinら (Blood, 78, 2291-2298, 1991) の報告では多数の陰 性荷電 (polyanion) 、 多数の芳香環 (polyaromatic) の存在がフォンビルブラン ド因子とグリコプロティン lbの結合阻害に必要であることが述べられている。 多 数の陰性荷電がフォンビルブランド因子とダリコプロティン lbの結合阻害に働き やすいことは、 陰性荷電を持つ多糖であるへパリン (heparin) がフォンビルブラ ンド因子とグリコプロテイン lbの結合を阻害することとも一致する (M. Solbel et al. , J. Clin. Invest. , 87, 1787-1793, 1991) 。 本報告では、 へパリンの分 子量が小さいほどフォンビルブランド因子とグリコプロテイン lbとの結合阻害活 性が低くなることも報告している。
へパリンは、 本来血中凝固因子であるトロンビン (thrombin) 、 凝固系第 10因 子 (Factor Xa) を阻害する物質である。 フォンビルブランド因子とグリコプロテ ィン lbの結合に対してより選択性を持たせたようなへパリン誘導体 (M. Sobel e t al. , Circulation, 93, 992-999, 1996) も報告されているが、 その平均分子量 は 10, 000以上である。
また、 蛋白質に結合しやすい物質の中には、 フォンビルブランド因子とグリコ プロテイン lbの結合に対してある程度選択的に阻害活性を示す物質も報告されて
いる。 色素化合物であるエバンスブル一 (Evans blue) はフォンビルブランド因 子 (同文献中では、 Factor VIII) 関与の血小板凝集を選択的に阻害することが示 されているが、 いずれも血漿を含まない条件での血小板凝集に対する実験結果で あり、 血漿蛋白質が存在する状態での活性については触れていない (E. P. Kirb y et al., Throrabos. Diathes. Haemorrah. , 34, 770-779, 1975) 。 エノくンスブ ルーは本来血清アルブミンに非常に強く結合する物質であり、 その性質から生体 の血液体積測定、 血管からの血液の漏洩を見る手段などに用いられる (M. Grege rsen & R. A. Rawson, Physiol. Reviews, 39, 307, 1959) 。 すなわち、 この様 に血漿中の蛋白質に強く結合する物質は、 生体、 例えば人への治療を考えた場合、 全く効果が見られないはずである。 このような物質の一つとして、 スルフォバシ ン (sulfobacin; T. Kamiyaraa et al., J. Antibiot. , 48, 924-928, 1995) 等が ある。 スルフォバシンは、 同報告によれば、 ある程度のフォンビルブランド因子 とダリコプロテイン lbの結合への特異性が見られたものの、 その界面活性剤に類 似する構造から考えると、 血液中、 血漿中では血漿蛋白質への結合のためその活 性が見られないはずである。 事実、 前記報告では、 血漿中での血小板凝集に対す る阻害活性は示されていない。
以上述べたきたように、 これまでフォンビルブランド因子とダリコプロティン lbの結合を生体内で阻害し得るような、 低分子の化合物は知られていない。 血栓 性疾患に対する、 フォンビルブランド因子とグリコプロテイン lbの結合を阻害す る薬剤を考えた場合、 注射剤として用いるのであれば、 蛋白質あるいは重合物の ような高分子の化合物でよい。 しかし同作用機序の経口投与可能な薬剤を創出す るためには、 血液中 (血漿中) でのフォンビルブランド因子とグリコプロテイン lb依存的な血小板凝集を完全に、 選択的に阻害するような、 重合物でない低分子 物質を見出すことが重要である。
しかし、 これまでその様な化合物は見出されていない。 その理由としては、 簡 便にその様な物質をスクリーニングできるようなアツセィ系が存在しないことが 挙げられる。
後述するようにこれまで一般的に用いられているフォンビルブランド因子とグ リコプロティン lb結合を検出するアツセィ方法は、 1 2 51ラベル化を行ったフォン
ビルブランド因子を血小板、 あるいはフオルマリン固定化した血小板に対して結 合させる方法であるが、 この方法ではラジオアイソトープを用いる煩雑さ、 ヒ ト あるいは動物から採血を行い、 血小板を取得しなければならないという大量入手 の困難さが含まれる。 以下にこれまで一般的に用いられてきた方法と、 それを解 決する手段について具体的に述べる。
フォンビルブランド因子とダリコプロティン lbの結合は通常の状態では観察さ れず、 血流内などのズリ応力が生じる条件下でのみ起こると考えられている (T.
T. Vincent et al. , Blood, 65, 823-831, 1985) 。 しかし、 両蛋白質の結合を 人為的に観察する方法として、 抗生物質であるリストセチン (M. A. Howard and
B. G. Firkin, Thromb. Haemost. , 26, 362-369, 1971) 、 あるいは蛇毒由来の 蛋白質であるボトロセチン (M. S. Read et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA.,
75, 4514-4518, 1978) の添加が知られている。 すなわち両物質はフォンビルブ ランド因子の特定の位置に結合することによりフォンビルブランド因子の構造変 化を引き起こし、 通常の条件では起こらないフォンビルブランド因子とグリコプ 口ティン lbの結合を惹起する物質として知られている。 両蛋白質の結合を観察す る方法としては、 Fujimuraらの報告しているような以下の方法がある (Y. Fujira ura et al., Blood. , 77, 113—120, 1991) 。
ヒ トフオンビルブランド因子を常法により 1 2 5 Iラベルし、 フオルマリン固定化 した血小板に対して一定量のリストセチンあるいはボトロセチン存在下で結合さ せる。 この結合はフォンビルブランド因子が、 固定化した血小板表面上のグリコ プロティン lbに特異的に結合することによるものであり、 未結合のフォンビルブ ランド因子を洗浄、 除去後、 1 2 5 1量を測定することにより両蛋白質の結合量を測 定することができる。 Miuraらは、 フオルマリンによる固定化血小板の代わりに、 固定化した抗血小板膜蛋白質抗体を介して血小板を 96穴プレートに固定し、 同様 の方法で両蛋白質の結合を検出している (S. Miura et al. , Anal. Biochem. , 2 36, 215-220, 1996) 。 また、 Matsuiらは固相化したコラーゲンに結合したフォン ビルブランド因子にダリコプロティン Ib a鎖の細胞外部位の部分蛋白質であるグ リコカリシンをボトロセチン存在下で結合させる方法を報告している (T. Matsu i et al. , J. Biochem. , 121, 376-381, 1997) 。 さらに、 Morikiらは、 グリコプ
口ティン lbを膜上に発現する組換え蛋白質の発現細胞を作製し、 1 2 5 Iラベルした フォンビルブランド因子がボトロセチン存在下で膜上のダリコプロテイン lbに結 合することを報告している。 Morikiらはさらに、 結合惹起物質なしにフォンビル ブランド因子に結合するような、 アミノ酸配列に変異を持つグリコプロテイン lb 発現細胞作製し、 結合実験を行っているが、 その結合量はボトロセチンあるいは リストセチン存在下での結合量に比べ非常に低いものであった (T. Moriki et a 1. , Blood, 90, 698-705, 1997) 。
上記のように、 これまで報告されているフォンビルブランド因子とダリコプロ ティン lbの結合を高感度に検出する方法は、 いずれも血小板、 あるいはグリコプ ロティン lb発現細胞を大量に取得し、 それに対するフォンビルブランド因子の結 合を検出する方法であった。 したがって常時血小板あるいは細胞を、 大量に調製 することは非常に繁雑であり、 もつと簡便にフォンビルブランド因子とグリコプ ロティン lbの結合を検出する方法を見出すことが必要であった。
また、 これまで用いられてきた方法はいずれも液相中にボトロセチンあるいは リストセチンといった結合惹起物質を添加した方法に限られていた。 しかし、 ボ トロセチンあるいはリストセチン量は、 フォンビルブランド因子とダリコプロテ イン lbの結合量に変化を与える。 また、 例えば 96穴プレートを用いて多数の結合 実験を行う場合には、 液相に惹起物質を加えるこれらの方法は煩雑である。 また、 上述した低分子のフォンビルブランド因子とグリコプロテイン lbの結合阻害物質 を探索する場合、 非常に多検体の結合実験を行うことが必要とされ、 上記の問題 を解決することも重要であった。
すでに述べたように、 低分子量の真のフォンビルブランド因子とダリコプロテ イン lb結合阻害物質は未だに発見されていない。 ここで言う 「真の阻害物質」 と は、 フォンビルブランド因子とグリコプロテイン lbとの結合を特異的に阻害する 物質であって、 蛋白質変性物質、 界面活性剤をはじめとする一般的に蛋白質の構 造を変化させる物質、 又は蛋白質に非特異的に結合する物質のように、 フォンビ ルブランド因子とダリコプロテイン lbの結合を阻害するものであっても、 非特異 的に阻害するものは真の阻害物質ではない。
真のフォンビルブランド因子とグリコプロテイン lb結合阻害物質は前述したよ
うに抗体、 蛇毒由来等の蛋白質、 あるいはその活性本体が高分子量であるォ一リ ントリカルボン酸 (ATA) 等の色素物質では知られているが、 これまでに低分子量 物質、 例えば分子量 2 0 0 0以下の物質、 特に経口投与が有効な分子量 1 0 0 0 以下の物質では知られておらず、 この様な物質を迅速に見出す評価系を構築し、 発見することが必要であった。 発明の開示 上記の技術背景の問題点を要約すると、 以下の 3点が挙げられる。
( 1 ) グリコカリシンの定量法は血栓症の診断に重要であるが、 従来行われてい る高感度な方法はサンドウイツチ ELISA法であり、 2種の認識部位の異なるモノク ローナル抗体を必要とし、 定量には標準物質による検量線が必要である。
( 2 ) 低分子のフォンビルブランド因子とダリコプロテイン lbの結合阻害物質を 見出し、 薬剤に適用することが血栓症治療、 予防を考えた上で重要であるが、 こ れまでにフォンビルブランド因子とダリコプロティン lbの結合阻害をターゲット とした低分子で、 かつ抗血栓作用を報告している薬剤は存在しない。
( 3 ) 前記 (2 ) の薬剤を見出すためにフォンビルブランド因子とグリコプロテ ィン lbの結合阻害実験を多検体行う必要があるが、 これまでに知られている方法 は煩雑であり、 また精度、 感度にも問題がある可能性がある。
本発明は上記観点からなされたものであり、 フォンビルブランド因子とグリコ プロテイン lbとの結合を簡便に検出する方法、 グリコカリシンの簡便な測定法及 び簡便なフォンビルブランド因子とグリコプロティン lbの結合阻害を作用点とす る抗血栓薬となりうる物質の測定法、 並びにこれらの測定法に用いる手段を提供 することを課題とする。
本発明者は、 上記課題を解決するため鋭意研究を行った。 すなわち、 まず、 グ リコプロテイン Ib a鎖の部分蛋白質をィムノグロブリン分子の Fc部分と結合させ たキメラ分子 (以下、 「キメラ蛋白質」 という) を得るための、 動物細胞による 蛋白質発現系を作製した。 また、 フォンビルブランド因子をボトロセチン存在下 で固定化することにより、 上記のキメラ蛋白質、 すなわちグリコプロテイン lb分 子が、 液相の結合惹起物質なしに、 固定化したフォンビルブランド因子に対して
特異的に結合することを見出し、 その結合量を市販で容易かつ安価に入手可能な 抗ィムノグロプリン Fc抗体、 あるいは直接キメラ蛋白質を標識することにより、 簡便に結合実験を行うことができることを見出し、 本発明を完成するに至つた。 すなわち、 本発明による第一の方法は、 フォンビルブランド因子とグリコプロ ティン lbとの結合又はこの結合の阻害を検出する方法において、 フォンビルブラ ンド因子とダリコプロテイン lbとの結合を惹起する物質の存在下で、 フォンビル ブランド因子を反応容器に固定化し、 この固定化されたフォンビルブランド因子 とダリコプロテイン lbとを反応させることを特徴とする方法である。
また、 本発明による第二の方法は、 反応容器に固定化したフォンビルブランド 因子に、 ダリコプロテイン Ib a鎖のフォンビルブランド因子結合部位を含む部分 蛋白質のカルボキシル末端にィムノグロブリン分子の Fc部分のァミノ末端を融合 させてなるキメラ蛋白質又は標識物質で標識した該キメラ蛋白質を結合させ、 前 記ィムノグロプリン分子の Fc部分又は前記標識物質を検出することにより、 フォ ンビルブランド因子とダリコプロテイン lbとの結合又はこの結合の阻害を検出す る方法である。
また、 本発明の第三の方法は、 反応容器にグリコプロテイン Ib a鎖のフォンビ ルブランド因子結合部位を含む部分蛋白質のカルボキシル末端にィムノグロプリ ン分子の Fc部分のァミノ末端を融合させてなるキメラ蛋白質を固定化し、 フォン ビルブランド因子あるいは標識物質で標識したフォンビルブランド因子を結合さ せ、 結合したフォンビルブランド因子又は前記標識物質を検出することにより、 フォンビルブランド因子とダリコプロテイン lbとの結合又はこの結合を阻害を検 出する方法である。
第二の方法又は第三の方法の好ましい態様は、 フォンビルブランド因子に前記 キメラ蛋白質を結合させる際に、 又は該結合に先立って、 フォンビルブランド因 子とグリコプロティン lbとの結合を惹起する物質を反応容器に加えることを特徴 とする方法である。
前記フォンビルブランド因子とダリコプロティン lbとの結合を惹起する物質と しては、 ボトロセチンもしくはリストセチン又はこれらの両者が挙げられる。 また、 前記第二の方法の他の態様は、 フォンビルブランド因子を、 フォンビル
ブランド因子とダリコプロテイン lbとの結合を惹起する物質の存在下で反応容器 に固定化することを特徴とする方法である。
第一の方法、 第二の方法又は第三の方法において、 フォンビルブランド因子と ダリコプロテイン lb又はキメラ蛋白質との反応の際に、 又は該反応に先立って、 グリコカリシンを含む試料を反応容器に加えて、 フォンビルブランド因子とダリ コプロティン lb又はキメラ蛋白質との結合の阻害を検出することにより、 ダリコ 力リシンを測定することができる。
また、 第一の方法、 第二の方法又は第三の方法において、 フォンビルブランド 因子とダリコプロティン lb又はキメラ蛋白質との反応の際に、 又は該反応に先立 つて、 検出対象物質を含む試料を反応容器に加えて、 フォンビルブランド因子と ダリコプロテイン lb又はキメラ蛋白質との結合の阻害を検出することにより、 フ オンビルブランド因子とダリコプロティン lbとの結合を阻害する物質を検出する ことができる。
さらに本発明は、 ダリコプロティン lb α鎖のフォンビルブランド因子結合部位 を含む部分蛋白質のカルボキシル末端にィムノグロブリン分子の Fc部分のァミノ 末端を融合させてなるキメラ蛋白質を提供する。
また本発明は、 フォンビルブランド因子とダリコプロテイン lbとの反応の阻害 によりダリコカリシンを測定するためのキットであって、 フォンビルブランド因 子と、 グリコプロテイン Ib a鎖のフォンビルブランド因子結合部位を含む部分蛋 白質のカルボキシル末端にィムノグロブリン分子の Fc部分のァミノ末端を融合さ せてなるキメラ蛋白質とを含むキットを提供する。
さらに本発明は、 前記のフォンビルブランド因子とダリコプロテイン lbとの結 合又はこの結合の阻害を検出する方法のいずれかによつて検出される化合物であ つて、 血漿中でのダリコプロティン lbとフォンビルブランド因子が関与する血小 板の凝集を特異的に阻害する活性を有し、 かつ、 分子量が 2 0 0 0以下であるこ とを特徴とする化合物を提供する。
前記化合物としてより具体的には、 式 ( I ) に示す構造を有する化合物が、 さ らに具体的には式 (Π) に示す化合物が挙げられる。 但し、 R R2はそれぞれ独 立して H又は C 1を表し、 R3は C H 3又は Hを表す。
( i )
なお、 本明細書において 「キメラ蛋白質」 というときは、 グリコプロテイン lb のフォンビルブランド因子結合部位を含む部分蛋白質のカルボキシル末端にィム ノグロプリン分子の Fc部分のァミノ末端を融合させてなるキメラ蛋白質を意味す る。 また、 本発明の方法において、 グリコプロテイン lbというときは、 グリコプ ロティン lb自体もしくはキメラ蛋白質またはその両方を指す場合がある。
本明細書において、 「検出」 というときは、 主として物質又は現象を見出すこ とを意味するが、 その結果としてその物質の量又は現象の程度を測定することを 含むことがある。 また、 「測定」 というときは、 主として物質の量又は現象の程 度を測定することを意味するが、 その物質又は現象を見出すことを含むことがあ る。
以下、 本発明を詳細に説明する。
< 1 >キメラ蛋白質
本発明のキメラ蛋白質は、 ヒ トあるいはその他の哺乳動物の血小板膜糖蛋白質 の 1つであるダリコプロテイン Ib a鎖のフォンビルブランド因子に対する結合部 位を含む部分蛋白質と、 マウス、 ヒ トあるいはその他の哺乳動物のィムノグロブ リン分子重鎖 (H鎖) の Fc部分を、 遺伝子工学的に結合した蛋白質である。 該キ メラ蛋白質は、 培養細胞を用いて生産することができる。 キメラ蛋白質において、 グリコプロテイン lb α鎖のフォンビルブランド因子結合部位を含む部分蛋白質と、 ィムノグロプリン分子の Fc部分は、 該部分蛋白質のカルボキシル末端と Fc部分の ァミノ末端とで連結される。
ダリコプロテイン Ib a鎖の部分蛋白質の一例としては、 ダリコプロテイン lbひ 鎖分子のァミノ末端のァミノ酸残基から 319位のァスパラギン酸残基までの配列
(アミノ酸番号 1-319) を持つ部分蛋白質があげられるが、 フォンビルブランド因 子の結合部位がアミノ酸番号 1-293 (V. Vincente et al. , J. Biol. Chem. , 263,
18473 - 18479, 1988) さらに 251— 285 (V. Vicente et al., J. Biol. Chem., 26 5, 274-280, 1990) 内に含まれる部分であると考えられていることから、 少なく ともこの部分を含む部分蛋白質ならばよい。
また、 ィムノグロブリン分子の Fc部分は由来はいかなる動物でも良く、 さらに
いかなるサブタイプでも良いが、 市販のポリクロ一ナル抗体及び Zまたはモノク ローナル抗体、 プロテイン A、 またはプロテイン G等で、 精製及びノまたは検出 することができるものであればよい。 ィムノグロブリン重鎖は、 ァミノ末端側よ り VHドメイン、 C H 1 ドメイン、 ヒンジドメイン、 C H 2 ドメイン、 C H 3 ド メイン (IgEではさらに C H 4 ドメイン) と呼ばれる領域が順に配列している。 キメラ蛋白質に用いる Fc部分の一例としては、 これらの配列のうちヒンジ領域 から C H 3 ドメインまでの連続した配列があればよいが、 市販のポリクロ一ナル 抗体及び/またはモノクローナル抗体、 プロテイン A、 またはプロテイン G等で、 精製及び Zまたは検出することができるという観点からは、 ヒンジ部分は必須で はなく、 部分的にアミノ酸残基の欠失、 挿入等の変異を有していても良い。 また、 ィムノグロブリンとしては、 ヒ ト、 マウスなどいずれに由来するものでも良いが、 一例としてマウス由来のものが挙げられる。 また、 ィムノグロブリンのサブタイ プとしては、 いずれのサブタイプでも良いが、 一例としては IgGが挙げられ、 さら にサブクラスとしてはいずれのサブクラスでも良く、 一例として IgGl、 IgG2a等が 挙げられる。 本発明のキメラ蛋白質のアミノ酸配列の一例を、 配列番号 7及び配 列番号 1 4に記載する。 尚、 配列番号 7及び配列番号 1 4において、 N末端の 1 6ァミノ酸残基は、 シグナルぺプチドを構成すると推定される。
本発明のキメラ蛋白質は、 それをコードするキメラ遺伝子 (キメラ蛋白質遺伝 子) を、 適当な細胞で発現させることにより製造することができる。 キメラ蛋白 質遺伝子は、 ダリコプロティン lb α鎖遺伝子およびィムノグロブリン重鎖の遺伝 子をそれぞれ、 遺伝子工学的手法に基づいて cDNAライブラリー、 ゲノムライブラ リー、 D N A断片などから取得し、 あるいは化学合成的に作製し、 それらを連結 することにより作製することができる。
グリコプロテイン Ib a鎖遺伝子は、 例えばヒ ト巨核球系の細胞株である HEL細胞 の mRNAからファージベクターなどを用いて作製した cDNAライブラリーから、 公知 のグリコプロテイン lb α鎖遺伝子の DNA配列をもとに設計した適当なプライマ一 D NAを用いて逆転写 PCR反応により取得できる。 また、 cDNAライブラリ一から公知の DNA配列をもとに設計したプローブ DNAを用いてハイブリダイゼ一ションを行うこ とにより、 ダリコプロテイン lb α鎖遺伝子を含むクローンを取得することができ
る。 あるいは、 ATCC (American Type Culture Collection) に登録されているグ リコプロテイン Ib a鎖遺伝子を含むプラスミ ド (pGPIb2. 4、 寄託番号: ATCC6575 5) から、 適当な制限酵素を用いて切り出すことにより取得することができる。 ィムノグロブリン重鎖の遺伝子は、 例えばマウスのィムノグロブリン産生ハイ プリ ドーマの mRNAから作製した cDNA、 あるいはファージなどを用いて作製した cD NAライブラリ一から、 公知のィムノグロプリン重鎖遺伝子の DNA配列をもとに設計 した適当なプライマ一 DNAを用いて逆転写 PCR反応により取得できる。 また、 cDNA ライブラリ一から、 公知の DNA配列をもとに設計したプローブ DNAを用いてハイブ リダィゼ一シヨンを行うことにより、 マウスィムノグロブリン遺伝子を含むクロ ーンを取得することができる。
キメラ蛋白質遺伝子は、 ダリコプロティン Ib a鎖遺伝子の全長あるいは一部と、 マウスィムノグロブリン重鎖 γ 1遺伝子あるいは γ 2 a遺伝子の全長あるいは一 部を用いて、 適当な制限酵素で各 D NA鎖を切断後結合させることによって得ら れる。 両遺伝子の切断及ぴ結合は、 グリコプロテイン lb α鎖のフォンビルブラン ド因子結合部位を含む部分蛋白質のカルボキシル末端にィムノグロプリン分子の Fc部分のァミノ末端を融合させたキメラ蛋白質をコードするように行えばよい。 また、 キメラ蛋白質を細胞外に分泌させる場合は、 グリコプロテイン lbひ鎖の部 分がシグナルぺプチドを含むようにすればよい。
上記のようにして作製したキメラ蛋白質遺伝子を、 適当な宿主一ベクタ一系を 用いて発現させる。 宿主としては、 動物細胞、 昆虫細胞などの細胞が挙げられる。 またべクタ一は、 宿主細胞でベクターとして機能するものであれば特に制限され ず、 宿主細胞に適したプロモーターを有する発現ベクターを用いることが好まし い。 キメラ蛋白質遺伝子を発現べクタ一に揷入して得られる組換えベクターで宿 主細胞を形質転換し、 形質転換細胞を培養することにより、 キメラ蛋白質を製造 することができる。
上記のようにして製造されるキメラ蛋白質は、 そのまま用いることもできるが、 ィムノグロブリン分子の Fc部分を利用して、 プロテイン A、 プロテイン G、 抗ィ ムノグロプリン抗体等を固定化したアブイ二ティークロマトグラフィ一等を用い て、 容易に精製することができる。
< 2 >フォンビルブランド因子とダリコプロテイン lbとの結合又はこの結合の阻 害を検出する方法
本発明のフォンビルブランド因子とダリコプロティン lbとの結合又はこの結合 の阻害を検出する第一の方法は、 フォンビルブランド因子とダリコプロテイン lb との結合を惹起する物質 (以下、 「結合惹起物質」 ともいう) の存在下で、 フォ ンビルブランド因子を反応容器に固定化し、 この固定化されたフォンビルブラン ド因子とグリコプロテイン lbとを反応させることを特徴とする。
フォンビルブランド因子を、 結合惹起物質の存在下で固定化することにより、 フォンビルブランド因子とダリコプロテイン lbとを液体中で反応させる際に、 結 合惹起物質を添加する工程を省くことができる。
フォンビルブランド因子は、 ヒ ト血液から、 H. R. Gralnick et al., J. Clin. Invest. , 62, 496 (1978)に記載の方法等にしたがって、 調製することができる。 結合惹起物質としては、 ボトロセチン及びリストセチン等、 好ましくはボトロ セチンが挙げられる。
フォンビルブランド因子を固定化する反応容器としては、 ポリスチレン、 ポリ カーボネート等の合成樹脂又はガラス等の素材の容器が挙げられる。 より具体的 には、 ポリスチレン製 96穴マルチウエルプレート等が挙げられる。 フォンビルブ ランド因子を含む溶液を上記反応容器に注入することにより、 フォンビルブラン ド因子を容器の壁面に固定化することができる。 また、 反応容器の壁面にコラ一 ゲンを固定化しておき、 このコラーゲンにフォンビルブランド因子を結合させる こともできる。 フォンビルブランド因子又はコラーゲンを反応容器に固定する条 件は、 これらを固定することができれば特に制限されないが、 例えば、 ポリスチ レン製容器を用いる場合には、 中性、 好ましくは p H 6 . 8〜7 . 8、 より好ま しくは p H 7 . 4程度の溶液を用いることが望ましい。
フォンビルブランド因子の固定化に際しては、 フォンビルブランド因子を含む 溶液と結合惹起物質を含む溶液を各々反応容器に加えてもよいが、 フォンビルブ ランド因子と惹起物質の両方を含む溶液を調製し、 これを反応容器に注入するこ とが、 作業効率の点から好ましい。 また、 フォンビルブランド因子を固定化した 反応容器は、 ゥシ血清アルブミン溶液等を加えることにより、 壁面の未結合部位
のブロッキングをしておくことが好ましい。
反応容器にフォンビルブランド因子を固定化した後、 反応容器を洗浄し、 次に ダリコプロテイン lbを加えると、 フォンビルブランド因子とダリコプロテイン lb との結合反応が起こる。 この反応は、 液相で行われる。 続いて、 フォンビルブラ ンド因子とグリコプロテイン lbとの結合を検出する。 この検出は、 通常フォンビ ルブランド因子とダリコプロテイン lbとの結合の検出に用いられる方法により行 うことができる。
本発明の第二の方法は、 反応容器に固定化したフォンビルブランド因子に、 前 記のキメラ蛋白質又は標識物質で標識した該キメラ蛋白質を結合させ、 前記ィム ノグロブリン分子の Fc部分又は前記標識物質を検出することにより、 フォンビル ブランド因子とダリコプロティン lbとの結合又はこの結合の阻害を検出する方法 である。 より具体的には、 反応容器にフォンビルブランド因子を含む溶液を加え て、 フォンビルブランド因子を反応容器の壁面に固定化する。 続いて、 反応容器 にキメラ蛋白質を含む溶液を加えて、 固定化されたフォンビルブランド因子にキ メラ蛋白質を結合させる。 この結合は、 フォンビルブランド因子とキメラ蛋白質 との反応系に、 結合惹起物質を存在させることによって惹起することができる具 体的には、 フォンビルブランド因子に前記キメラ蛋白質を結合させる際に、 又は 該結合に先立って、 フォンビルブランド因子とダリコプロティン lbとの結合を惹 起する物質を反応容器に加える。 例えば、 上記第一の方法と同様にしてフォンビ ルブランド因子を結合惹起物質の存在下で反応容器に固定化しておく力 \ 反応容 器にキメラ蛋白質を含む溶液を加えるのと同時に、 または前後して結合惹起物質 を添加する。
キメラ蛋白質は、 その分子中に含まれるダリコプロテイン lbのフォンビルブラ ンド因子結合部位で、 固定化されたフォンビルブランド因子に結合する。 こうし てフォンビルブランド因子に結合したキメラ蛋白質の検出は、 例えば、 その分子 中に含まれるィムノグロプリン分子の Fc部分を検出することにより行うことがで きる。 Fc部分の検出は、 通常免疫測定に用いられる方法を使用することができる。 具体的には、 例えば、 Fc部分に特異的に結合する物質、 例えばプロテイン A、 プロテイン G、 抗ィムノグロブリン抗体等を標識したものを反応容器に加え、 該
標識を検出する。 標識物質としては、 アルカリフォスファタ一ゼ、 バーオキシダ —ゼ等の酵素、 ピオチン、 アビジン、 又はフルォレセイン等の蛍光物質、 ユーロ ピウム、 ランタノィ ド等の蛍光性を有する希土類を含む化合物等が挙げられる。 ピオチン又はアビジンは、 これにさらにアビジン又はビォチンを結合した他の標 識物質を結合させることにより検出する。 また、 酵素は、 適当な基質を加えて酵 素反応を行い、 可視吸光、 紫外吸光、 蛍光、 発光等を検出することに行うことが できる。 さらに、 蛍光物質又は蛍光性を有する化合物等は、 励起光を照射するこ とにより発する蛍光によって検出することができる。
また、 キメラ蛋白質として、 予め標識物質で標識したキメラ蛋白質を用い、 こ の標識物質を検出することによつても、 固定化されたフォンビルブランド因子に 結合したキメラ蛋白質を検出することができる。 標識物質及びその検出法は、 上 記の Fc部分の検出に用いられるものと同様である。 標識物質で標識したキメラ蛋 白質を用いる場合には、 キメラ蛋白質は精製したものを用いることが好ましい。 キメラ蛋白質の精製は、 前述したようにィムノグロプリン分子の Fc部分を利用 してァフイエティークロマトグラフィー等によって行うことができる。
本発明の第三の方法は、 反応容器に固定化した前記のキメラ蛋白質に、 フォン ビルブランド因子又は標識物質で標識したフォンビルブランド因子を結合させ、 フォンビルブランド因子の部分構造又は前記標識物質を検出することにより、 フ オンビルブランド因子とグリコプロティン lbとの結合又はこの結合の阻害を検出 する方法である。 より具体的には、 反応容器に、 キメラ蛋白質の部分構造と結合 する抗体、 好ましくはィムノグロブリン Fc部分と結合する抗体、 プロテイン A、 又はプロティン G等を含む溶液を加えて反応容器の壁面に固定化する。 続いて、 反応容器にキメラ蛋白質を含む溶液を加えて、 固定化された抗体、 プロテイン A、 又はプロテイン G等にキメラ蛋白質を結合させることにより、 キメラ蛋白質を固 定化した反応容器を作製することができる。 あるいは、 キメラ蛋白質を直接反応 容器に固定化することも可能である。 続いて、 反応容器にフォンビルブランド因 子又は標識物質で標識したフォンビルブランド因子を含む溶液を加えて、 固定化 されたキメラ蛋白質にフォンビルブランド因子を結合させる。 この結合は、 フォ ンド因子とキメラ蛋白質との反応系に、 結合惹起物質を存在させるこ
とによって惹起することができる。 具体的には、 フォンビルブランド因子に前記 キメラ蛋白質を結合させる際に、 又は該結合に先立って、 フォンビルブランド因 子とダリコプロテイン lbとの結合を惹起する物質を反応容器に加える。 例えば、 反応容器にフォンビルブランド因子又は標識物質で標識したフォンビルブランド 因子を含む溶液を加えるのと同時に、 または前後して結合惹起物質を添加する。 フォンビルブランド因子は、 固定化されたキメラ蛋白質に結合する。 こうして キメラ蛋白質に結合したフォンビルブランド因子の検出は、 例えば、 フォンビル ブランド因子に結合する抗体を用いることによって行える。 フォンビルブランド 因子に結合した抗体の検出は、 通常免疫測定に用いられる方法を使用することが できる。 具体的には、 例えば、 フォンビルブランド因子に結合する抗体を、 あら かじめアルカリフォスファタ一ゼ、 パーォキシダーゼ等の酵素、 ピオチン、 アビ ジン、 又はフルォレセイン等の蛍光物質、 ユーロピウム、 ランタノイ ド等の蛍光 性を有する希土類を含む化合物等で標識しておく方法等が挙げられる。 ピオチン 又はアビジンは、 これにさらにアビジン又はビォチンを結合した他の標識物質を 結合させることにより検出する。 また、 酵素は、 適当な基質を加えて酵素反応を 行い、 可視吸光、 紫外吸光、 蛍光、 発光等を検出することに行うことができる。 さらに、 蛍光物質又は蛍光性を有する化合物等は、 励起光を照射することにより 発する蛍光によって検出することができる。
また、 フォンビルブランド因子として、 予め標識物質で標識したフォンビルプ ランド因子を用い、 この標識物質を検出することによつても、 固定化されたキメ ラ蛋白質に結合したフォンビルブランド因子を検出することができる。 標識物質 及ぴその検出法は、 上記のフォンビルブランド因子に結合する抗体の検出に用い られるものと同様である。
上記の第一、 第二又は第三の方法において、 グリコプロテイン lb (又はキメラ 蛋白質) を反応容器に加えるのと実質的に同時に、 又はグリコプロテイン lbの添 加に先立って、 フォンビルブランド因子とダリコプロテイン lbの結合を阻害する 物質 (以下、 「結合阻害物質ともいう」 ) を反応容器に加え、 該阻害物質を加え ない場合と、 フォンビルブランド因子とダリコプロティン lbの結合を比較するこ とにより、 フォンビルブランド因子とダリコプロテイン lbの結合の阻害を検出す
ることができる。
また、 上記の第一、 第二又は第三の方法において、 フォンビルブランド因子と グリコプロテイン lbとの反応の際に、 又は該反応に先立って、 検出対象物質を含 む試料を反応容器に加えて、 フォンビルブランド因子とダリコプロテイン lbとの 結合の阻害を検出することにより、 フォンビルブランド因子とダリコプロテイン lbとの結合を阻害する物質を検出することができる。 また、 既知量の結合阻害物 質を用いて、 阻害物質の量と、 フォンビルブランド因子とグリコプロテイン lbの 結合との関係を示す標準曲線を作成しておく と、 未知量の阻害物質を定量するこ とができる。
フォンビルブランド因子とダリコプロテイン lbの結合を阻害し、 抗血栓作用を 有する低分子量の化合物は、 現在まで報告されていない。 本発明の方法は、 従来 の方法に比べて非常に簡便であり、 そのような低分子化合物の探索にも有用であ る。
< 3〉グリコカリシンの測定法及ぴキット
上記の第一の方法、 第二の方法又は第三の方法において、 フォンビルブランド 因子とグリコプロテイン lb又はキメラ蛋白質との反応の際に、 又は該反応に先立 つて、 グリコカリシンを含む試料を反応容器に加えて、 フォンビルブランド因子 とダリコプロテイン lb又はキメラ蛋白質との結合の阻害を検出することにより、 グリコカリシンを測定することができる。 既知量のグリコカリシンを用いて、 グ リコカリシン濃度と、 フォンビルブランド因子とダリコプロティン lb又はキメラ 蛋白質の結合との関係を示す標準曲線を作成しておくと、 未知量のグリコ力リシ ンの濃度を測定することができる。
本発明によるダリコカリシンの測定は、 フォンビルブランド因子とキメラ蛋白 質とをキットとして用意しておく と、 簡便に行うことができる。 そのようなキッ トとして具体的には、 フォンビルブランド因子と、 キメラ蛋白質と、 結合惹起物 質と、 既知量のグリコカリシンと、 アルカリフォスファターゼ等で標識した抗ィ ムノグロブリン抗体と、 該標識を検出するための試薬と、 洗浄用緩衝液とを含む キットが例示される。 また、 他の態様として、 フォンビルブランド因子と、 標識
物質で標識したキメラ蛋白質と、 結合惹起物質と、 既知量のグリコカリ 該標識を検出するための試薬と、 洗浄用緩衝液とを含むキットが例示される。
< 4 >低分子量の真のフォンビルブランド因子とグリコプロティン lb結合阻害物 質
前記く 2 >に示した本発明のフォンビルブランド因子とダリコプロテイン lbの 結合に対する阻害を検出する方法を用いることにより、 低分子量の真のフォンビ ルブランド因子とグリコプロテイン lb結合阻害物質を検索 (スクリーニング) す ることができる。 ここで、 「真の阻害物質」 とは、 血漿中でのグリコプロテイン lbとフォンビルブランド因子の関与する血小板の凝集を特異的に阻害する物質を いう。 蛋白質変性物質、 界面活性剤をはじめとする一般的に蛋白質の構造を変化 させる物質、 又は蛋白質に非特異的に結合する物質のように、 フォンビルブラン ド因子とダリコプロテイン lbの結合を阻害するものであっても、 非特異的に阻害 するものは真の阻害物質ではない。
真の阻害物質は、 血漿中におけるリストセチン、 ボトロセチンを用いたフォン ビルブランド因子とグリコプロテイン lb依存的な血小板凝集に対する阻害活性と、 コラーゲン、 アデノシン 2リン酸 (ADP) 等を用いたフォンビルブランド因子とグ リコプロテイン lb依存的な血小板凝集に対する阻害活性を測定し、 これらを比較 することによって識別することができる。 すなわち、 フォンビルブランド因子と グリコプロテイン lb依存的な血小板凝集 (例えばリストセチン惹起血小板凝集) を阻害し、 それと同じ濃度においてフォンビルブランド因子とダリコプロテイン lb非依存的な血小板凝集 (例えばコラーゲン又は ADPにより惹起される血小板凝集) を実質的に阻害しない化合物は、 真のフォンビルブランド因子とダリコプロティ ン lb結合阻害物質である。
本発明の阻害物質は、 例えば ImMの濃度において、 フォンビルブランド因子とグ リコプロティン lb依存的な血小板凝集を、 少なくとも 80%以上、 好ましくは 90%以 上阻害することが好ましい。 また、 フォンビルブランド因子とグリコプロテイン lb非依存的な血小板凝集の阻害が 30%以下、 好ましくは 25%以下であれば、 実質的 に阻害しないものとみなすことができる。
また、 低分子量とは、 好ましくは 2000以下、 より好ましくは 1000以下 であることをいう。 さらに、 本発明の阻害物質は、 重合体でなくても活性を発現 し得るものであることが好ましい。
上記のように本発明の方法によって検索される低分子量の抗血栓活性物質とし て具体的には、 前記化 2に示す構造を有する化合物が挙げられる。 同化合物とし てより具体的には、 K17427A, K17427B, K17427C及び K17427Dと命名された以下に 示す化合物が挙げられる。 これらの化合物は、 クウチオプラネス属に属する放線 菌 (Couchioplanes sp. AJ9553 (FERM BP-6612)) から、 フォンビルブランド因子 とダリコプロテイン lbの結合を著しく阻害する活性を有する物質として見出され たものである。 以下に、 これらの化合物の物理化学的性状及び製造法の一例を説 明する。
(1) K1 7427A、 K1 7427B、 K 1 7427 C及び Kl 7427Dの 物理化学的性状
① K 1 7427 Aの物理化学的性状
性状:黄色アモルファス状固体
分子式 '· C44H44O14し 12
質量分析 (高分解能 FAB-MS)
実測値: 866.2117 (M) +
計算値: 866.2108
比旋光度: [a] D24-60° (c 0.09'THF)
紫外吸収スぺク トル: ma x (ε ) 235(57000) 、 276(59500)、 427(25000)
- NMRスペク トル (400MHz, CD3C02D) δ : 7.64 (2H, s)、 6·04(2Η, s)、 5.38 (2H, s)、 3.45(8H,s)、 2.05(2H,m)、 1.28(6H, d, J=6.8Hz), 1.04(6H, d, J=6.6Hz)、 0.38
(6H, d, J=6.3Hz)
13C - NMRスペク トル (100MHz, CD3CO2D) δ : 205.9(s)、 173.2(s)、 171.8(s)、 162. l(s)、 154.6(s)、 135.5(d), 134.8(s)、 13L4(s)、 120.8(s)、 120.2(s)、 11 4.5(d)、 113.1(s)、 111.3(s)、 94.2(d)、 77.6(s)、 55.4(q)、 48.1(d)、 44.3(d)、 35.0(d), 16.3(q)、 6.7 (q)
溶解性: ジメチルスルホキシド、 ピリジン、 酢酸に易溶、 水に難溶 構造式:前記式 (Π) で表される構造。
② K 1 7427 Bの物理化学的性状
性状:黄色アモルファス状固体
分子式: C43H420l4Cl2
質量分析 (高分解能 FAB - MS)
実測値: 852.1997 (M) +
計算値: 852.1952
比旋光度: [α] D25-61° (c 0.13,THF)
紫外吸収スぺク トル (メタノール) : え max ( ε ) 235(41000)、 273(43000)、 4 34(18500)
— MRスペク トル (400MHz, CD3C02D) δ : 7.81(2H,s)、 6.17(lH,s)、 6.14 (1H, s)、 5.54(lH,s)、 5.50(lH,s)、 3.62(3H, s)、 3.58(3H,s)、 3.53 (1H, q, J=7. OHz )、 3.20(lH,d, J=18Hz )、 3.08(1H, d, J=18Hz )、 1.20(3H, d, J=7.6Hz )、 1.17 (3H, d, J =6.7Hz 1.04 (3H, d, J=6.7Hz 0.97 (3H, d, J=6.7Hz 0.52 (3H, d, J=7. OHz ) 溶解性: ジメチルスルホキシド、 ピリジン、 酢酸に易溶、 水に難溶
構造式:前記式 ( I) において、 1^=^ =(:1、 R3=Hで表される構造。
③ K 1 7427 Cの物理化学的性状
性状:黄色アモルファス状固体
分子量 (ESI- MS) : 799(M+H) +
紫外吸収スぺク トル: ; Lmax234、 281、 418
— NMRスペク トル (400MHz, CDsOD) δ : 7.59(2H, d, J=8.4Hz )、 7.25 (2H, d, J= 8.4Hz )、 7.14(2H, s)、 6.05(2H,s)、 5.37(2H, brs)、 3.59(6H, s)、 3.46(2H,br)、 2.12(2H,m)、 1.38(6H, d, J=5.2Hz )、 1.15 (6H, d, J=6.8Hz )、 0.64 (6H, br)
構造式:前記式 ( I) において、 1^=^=11、 R3=CH3で表される構造。
④ K 1 7427 Dの物理化学的性状
性状:黄色アモルファス状固体
質量分析 (ESI- MS) : 833 (M+H) +
紫外吸収スぺク トル: max234、 276、 423
- NMRスペク トル (400MHz, CDsOD) δ : 7.77(2H,s)、 7.59 (IH, d, J=8.4Hz ), 7.26(1H, d, J=8.4Hz )、 7.15(lH,s)、 6.09(lH,s)、 6.08(lH,s)、 5.46(lH,s)、 5.3 7(1H, brs), 3.61(3H,s)、 3.54(4H,s)、 3.42(1H, q, J=7. OHz )、 2.12(2H,m)、 1.39 (3H, d, J=6.8Hz) , 1.20(6H,m)、 0.63(3H,br)、 0.50 (3H, d, J=7. OHz)
構造式:前記式 (I) において、 1^=(1、 R2=H、 R3=CH3で表される構造。
(2) K 17427 A, Κ17427Β、 Κ 17427 C及び Κ 17427Dの 製造法
本発明のフォンビルブランド因子とグリコプロテイン lbの結合阻害物質 K17427 A、 B、 C, D (以下、 単に 「阻害物質」 という。 ) は、 例えばクウチォプラネス
(Couchioplanes) 属に属する放線菌、 例えばクウチオプラネス エスピー. (C ouchioplanes sp. ) AJ9553 (FERM BP- 6612)を、 利用可能な炭素源、 窒素源を含む 液体あるいは固体栄養培地を用いて培養することにとにより、 生産することがで きる。 栄養培地の炭素源として好ましくはグルコース、 シュ一クロース、 でんぷ ん等の炭水化物、 グリセロールなどが用いられる。 窒素源としては酵母エキス、 ペプトン、 コーンスティ一プパウダ一、 大豆粉、 綿実粉 (Pharmamedia) 等の天然 成分、 アミノ酸、 あるいは硫酸アンモニゥム、 尿素等の無機窒素含有化合物など が用いられる。
阻害物質の生産のための培養は、 上記栄養培地を入れた試験管、 フラスコ等を 用いた振盪培養又は静置培養、 ジャーフアーメンタ一、 タンクなどを用いた通気 撹拌培養等により行うことができる。 培養は、 通常 20°Cから 40°Cの範囲で行うこ とができるが、 好ましくは 25°Cから 37°Cの間で行われる。
培養終了後の培養ブロスからの阻害物質の抽出は、 適切な溶媒による抽出、 あ るいは吸着樹脂などにより阻害物質を吸着させた後、 適切な溶剤にて溶出するこ とにより行うことができる。 さらに、 阻害物質の精製は、 溶媒抽出、 吸着樹脂、 活性炭、 イオン交換榭脂、 シリカゲル等を用いたクロマトグラフィー、 逆相クロ マトグラフィ一等の方法を組み合わせることにより行うことができる。
具体的には例えば、 クウチォプラネス エスピー. AJ9553 (FERM BP- 6612)株の 菌体をアセトンで抽出し、 抽出物からアセトンを留去し、 残渣を水に懸濁する。 この水懸濁液の p Hを 2に調製後、 酢酸ェチルを加えて抽出する。 酢酸ェチル層 を減圧下濃縮し、 得られる残渣を陰イオン交換クロマトグラフィーにより分画す る。 例えば、 前記残渣は、 含水メタノールに溶解して、 ダイヤイオン H P—2 0 (三菱化学) を充填したカラムに吸着させ、 メタノールで溶出させる。 次に、 溶 出液を O D Sカラムを用いた H P L Cで分画する力、 あるいはシリカゲル T L C によって分画することによって、 阻害物質が取得される。 得られた阻害物質が上 記のいずれの化合物であるかは、 上記の物理化学的性状を調べることによって知 ることができる。 図面の簡単な説明 図 1は、 GPIb-mlgGlFc発現系の構築の概要を示す図である。
図 2は、 GPIb_mIgG2aFc発現系の構築の概要を示す図である。
図 3は、 ボトロセチンの量に対する固定化したフォンビルブランド因子とキメ ラ蛋白質の結合量 (ELISA法) を示す図である。
図 4は、 フォンビルブランド因子とキメラ蛋白質の結合に対する阻害物質の活 性 (ELISA法) を示す図である。
図 5は、 フォンビルブランド因子とキメラ蛋白質の結合に対する阻害物質の活 性 (Euラベル法) を示す図である。
図 6は、 ヒ ト血漿中のグリコカリシンの定量 (ELISA法) の一例を示す図である。 図 7は、 ヒ ト血漿中のグリコカリシンの定量 (Euラベル法) の一例を示す図で ある。
図 8は、 フォンビルブランド因子とキメラ蛋白質の結合に対する阻害物質の活 性 (液層にボトロセチンを存在させる方法) を示す図である。
図 9は、 フォンビルブランド因子とキメラ蛋白質の結合に対する阻害物質の活 性 (キメラ蛋白質を固定化する方法) を示す図である。
図 1 0は、 フォンビルブランド因子とキメラ蛋白質の結合に対する阻害物質 K1 7427A、 B、 C, Dの活性 (Euラベル法) を示す図である。
図 1 1は、 フォンビルブランド因子とキメラ蛋白質の結合に対する阻害物質 Kl 7427A、 B、 C、 Dの活性 2 5ョ一ドラベル法) を示す図である。
図 1 2は、 K17427A物質の血小板リストセチン惹起凝集、 および ADP、 コラーゲ ン惹起凝集に対する阻害活性を示す図である。 発明を実施するための最良の形態 以下に、 本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。 実施例 1 キメラ蛋白質遺伝子の作製 く 1〉ダリコプロティン Ib a鎖遺伝子のクロ一ニング
ヒ トグリコプロテイン Ib a鎖遺伝子のクローニングは、 ヒ ト赤白血病細胞 (Hu man erythro leukemia cell : HEL) より、 モレキュラー · クロ一ニング (Sambroo k, J. , Fritsch, Ε. F. , Maniatis, Τ. , Molecular Cloning, Cold Spring Harbor Labo ratory Press (1989) ) 記載の方法で cDNAライブラリ一を構築することにより行つ た。 すなわちヒ ト赤白血病細胞を 160nMのフオルボール .エステル (phorbol- 12- myristate-13-acetate: PMA) を含む培地で 48時間培養して刺激した後、 培地を取 り除き、 グァニジン ·チオシァネート (guanidinium thiocyanate) 緩衝液 (4. 0 Mグァニジン 'チオシァネート、 0. 1Mトリス一塩酸 (pH7. 5)、 1 % 2—メルカプト エタノール) を細胞に添加し、 細胞を懸濁させた。 細胞懸濁液を、 ポリ トロンホ モゲナイザー (Brinkmann社製) にて破砕処理した。
細胞破砕液に、 終濃度 0. 5%のラウリルザルコシネート (sodium lauryl sarco sinate) を添加した。 この溶液を 10分、 5000 X gで遠心分離し、 沈殿を取り除い た。 遠心上清を、 超遠心分離用チューブに入れた塩化セシウム— EDTA液 (5. 7M CsCl、 O. OIM EDTA, pH7. 5) に上層し、 20時間、 100000 X gにて超遠心分離処理を 行った。 沈殿した RNAを回収し、 エタノール沈殿法により精製し、 全 RNAを得た。 取得した全 RNAをオリゴ dTセルロースカラムに共し、 mRNAを得た。 この mRNA 10 i gを用い、 ランダムへキサマ一オリゴ DNAをプライマ一として、 逆転写酵素にて 一本鎖 DNAを作製後、 DNAポリメラ一ゼを用いて二本鎖 cDNAを作製した。 この cDNA に T4DNAリガ一ゼを用いて EcoRIアダプタ一を接続した。 アダプタ一を接続した cD
NAを T4ポリヌクレオチドキナ一ゼを用いてリン酸化処理後、 ゲル濾過カラムを用 いて、 精製した。 この DNAに、 制限酵素 EcoRI部位に揷入できる様に調製されたラ ムダ gtlOアーム (Stratagene社製) を T4DNAリガーゼを用いて接続した。 この組換 え DNAをファ一ジにパッケージング処理し、 cDNAライブラリ一を得た。
このファージを大腸菌醒 514に感染させた。 生じたファージプラークに対し、 ラ イジォアイソトープ (3 2P) で末端ラベルしたオリゴ DNA (配列番号 1 ) をプロ一 ブに用い、 プラークハイブリダィゼ一シヨンを行った。 すなわち、 生じたファー ジプラークをニトロセルロースフィルターに転写し、 アルカリ変性液 (0. 5M水酸 化ナトリウム、 1. 5M食塩) で DNAを変性させた。 中和液 (0. 5Mトリス塩酸 pH7. 0、 1. 5M食塩) で中和し、 80°Cで二時間加熱して DNAをフィルターに固定化した。
プロ一ブ DNAは合成 DNA (パーキンエルマ一 · アプライ ドバイオシステムズ社製、 DNA合成機 380A型にて化学合成) を γ - 3 2P- ATPで T4 DNAキナーゼ (宝酒造製) を作 用させ DNAの 5 ' 末端をラベル化したものを用いた。 尚、 上記オリゴ DNAの塩基配 列は、 公知のヒ トグリコプロテイン lb α鎖遺伝子の塩基配列 (J. A. Lopez et a 1. , Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84, 5615-5619 (1987) ) に基づいて設定した。 ファージプラーク DNAを転写したニトロセルロースフィルター (直径 132删) を 1枚 ίこっき 1 X 106 cpm (count per minuite) のプローブを含む 4 mlのノヽイブリダ ィゼーシヨン緩衝液 (0. 9M食塩、 0. 09Mクェン酸ナトリウム(pH7. 0)、 0. 5%ラウリ ル硫酸ナトリ ウム、 0. 1%フイコール、 0. 1%ポリビュルピロリ ドン、 0. 1%ゥシ血 清アルブミン、 100 μ g/ml熱変性サケ精子 DNA) に浸し、 42°Cで 1 6時間ハイブリ ダイズさせた。 このフィルターを 1 X SSC (0. 875%食塩、 0. 441%クェン酸ナトリ ゥム, pH7. 0) 、 0. 1%ラウリル硫酸ナトリウム溶液で 37。C30分間、 3回洗浄し、 非 特異的にフィルターに吸着したプローブを取り除いた。 乾燥後、 X線フィルムを 用いてオートラジオグラフィーを行った。 その結果、 陽性クローン 4株を得た。 各々の陽性クローンからファージを分離し大腸菌匪 514に感染させ、 増殖させた 後、 それぞれ塩化セシウム密度勾配超遠心法にてファージ DNAを精製した。 このフ ァ一ジ DNAを制限酵素 EcoRIで切断し、 ァガロース電気泳動にて DNAを精製した。 こ の精製した DNAを pBluescriptSK- (Stratagene社製) の EcoRI部位に挿入し、 大腸 菌 XLIIblue (Stratagene社製) を形質転換して形質転換体を得た。 形質転換体か
らアルカリ SDS法にてプラスミ ドを調製し、 プラスミ ド D N Aの塩基配列を、 ジデ ォキシ法により、 パーキンエルマ一 ·アプライ ドバイオシステムズ社製 377型 DNA シーケンサ一を用い、 機器のプロ トコールに従って決定した。 得られた陽性クロ —ンのうち 1株は 2. 4kbの cDNAを有し、 J. A. Lopezら (Pro Natl. Acad. Sci. USA、 Vol. 84, pp. 5615-5619 (1987) ) が発表したヒ トグリコプロテイン lb α遺伝子の全 長を有するクローンであることを確認した。 このプラスミ ドを pBluescriptGPIbA lphaとする。
< 2 >ィムノグロブリンの Fc ( γ ΐ由来) 部分をコードする遺伝子のクロ一ニン グ
マウスィムノグロブリン γ ΐの Fc部分の遺伝子は、 マウスハイブリ ドーマ細胞株 MB40. 3より、 全 RNAを抽出し、 逆転写 PCR法により取得した。 すなわち、 MB40. 3細 胞の培養液 10mlより、 遠心分離により細胞を回収し、 ISOGEN ( lml) (日本ジーン 社製) により細胞を溶解し、 18Gの注射針を用いてシリンジングした。 5分間放置 した後、 200 μ 1のクロ口ホルムを加えて混和し、 2分間静置した後、 遠心分離 ( 15000rpm、 15分) し、 水相を回収した。 水相に 500 1の 2-プロパノールを加え て混和し、 5分間静置した後、 遠心分離 (15000rpra、 15分) により全 RNAを沈殿さ せ、 75%エタノールで洗浄した後、 100 /i lの滅菌水に溶解した。
上記のように調製した MB40. 3細胞全 RNAS g (2 μ \) を铸型とし、 ランダムプ ライマ一及び逆転写酵素 (superscript II (GIBC0社製)) を用いて cDNAを作製した。 上記 cDNAに対し、 配列番号 2及び 3のプライマ一を用いて PCR反応を行い、 Hindi II、 BamHIで切断した後、 ァガロースゲル電気泳動により精製し、 Hindl ll及ぴ Ba mHIで切断した pGEM_3Zf (Promega社製) に結合し、 得られた組換え D N Aで大腸 菌 XLIIblue (Stratagene社製) を形質転換した。 得られた形質転換体の 1つを培 養し、 アルカリ SDS法にてプラスミ ドを調製し、 その塩基配列を、 ジデォキシ法に より、 パーキンエルマ一 'アプライ ドバイオシステムズ社製 377型 DNAシーケンサ —を用い機器のプロ トコ一ルに従って、 決定した。 得られたマウスィムノグロブ リン γ ΐの Fc部分の遺伝子断片の塩基配列を配列番号 4に示した。 このプラスミ ド を pGEMmlgGlFcとした。
< 3 >キメラ蛋白質 (GPIb- mlgGlFc) を発現するプラスミ ドの作製
上記のように得られたヒ トグリコプロテイン lb遺伝子とマウスィムノグロプリ ンガンマ 1の Fc部分を融合させたキメラ蛋白質は以下の方法で作製した。
まずグリコプロテイン lb α鎖遺伝子を含むプラスミ ド pBluescriptGPIAlphaを制 限酵素 EcoRIと Xbalで切断し、 ァガロースゲル電気泳動により分離し、 グリコプロ ティン Ib a鎖遺伝子の N末領域である約 lOOObpの DNAを回収した。 これを pBluesc riptSK- (Stratagene社製) の EcoRI- Xbal部位に挿入し、 プラスミ ド pBluescriptG PIbEXを作製した。
—方、 前述のように得られたマウスィムノグロブリン の部分遺伝子を含むプ ラスミ ド pGEMralgGlFcを制限酵素 Xbalで切断し、 ァガロースゲル電気泳動で分離し て、 IgGlFc遺伝子 700bpを回収した。 この DNAと、 制限酵素 Xbalで切断後 CIAP処理 を施した pBluescriptGPIbEXを結合させ、 プラスミ ド pBluescriptGPIblgGlFcFHを 取得した。 この遺伝子にコードされる蛋白質を GPIb - ralgGlFcと名付け、 その遺伝 子配列及びァミノ酸配列をそれぞれ配列番号 6及ぴ 7に示した。 尚、 配列番号 6 において、 N末端の 1 6アミノ酸残基は、 シグナルペプチドを構成すると推定さ れる。
さらに pBluescriptGPIblgGlFcFHを制限酵素 Xholで切断後、 ァガロースゲル電気 泳動で GPIbFcFHをコ一ドする DNAを分離し、 この DNAを動物細胞用発現ベクター pS D (X)の Xhol部位に揷入し、 プロモーターの下流に GPIb遺伝子が挿入された発現べ クタ一 pSDGPIblgGlFcFHを取得した。 上記の手順の概要を図 1に示す。 プラスミ ド pSDGPIblgGlFcFHを保持するェシエリヒア · コリ XLIIblue (Escherichia coli AJ 13434) は、 1 9 9 8年 4月 2日に、 通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究 所に F E RM P— 1 6 7 4 9の受託番号で寄託され、 1 9 9 9年 1月 1 1 日に ブダペスト条約に基づく国際寄託に移管され、 受託番号 F E RM B P— 6 6 1 9が付与されている。
< 4 >ィムノグロブリンの Fc部分 (γ 2 a由来) をコードする遺伝子のクロ一二 ング
マウスィムノグロブリン γ 2aの Fc部分の遺伝子は、 マウスハイブリ ドーマ細胞
株 W6/32より、 全 RNAを抽出し、 逆転写 PCR法により取得した。 すなわち、 W6/32細 胞の培養液 10mlより、 遠心分離により細胞を回収し、 IS0GEN (日本ジーン社製) lmlにより細胞を溶解し、 18Gの注射針を用いてシリンジングした。 5分間放置し た後、 200 μ 1のクロ口ホルムを加えて混和し、 2分間静置した後、 遠心分離 (15 000rpm、 15分) し、 水相を回収した。 水相に 500μ 1の 2-プロパノールを加えて混 和し、 5分間静置した後、 遠心分離 (15000 X rpm、 15分) により全 RNAを沈殿させ、 75%エタノールで洗浄後、 100 μ 1の滅菌水に溶解した。
上記のようにして調製した W6/32細胞の全 RNA3 ;u g (20 μ ΐ) を铸型とし、 ランダ ムプライマー及び逆転写酵素 (superscript II (GIBC0社製)) を用いて、 cDNAを作 製した。 上記 cDNAに対し、 配列番号 8及び 9に示す塩基配列を有するプライマー を用いて PCR反応を行い、 Hindlll及び BamHIで切断した後、 ァガロースゲル電気泳 動により精製し、 Hindlll及び BamHIで切断した pGEM-3Zf (Promega社製) に結合し、 得られた組換え D NAで大腸菌 XLIIblue (Stratagene社製) を形質転換した。 得 られた形質転換体の 1つを培養し、 アルカリ SDS法にてプラスミ ドを調製し、 その 塩基配列を、 ジデォキシ法により、 パーキンエルマ一'アプライ ドバイオシステ ムズ社製 377型 DNAシーケンサーを用い機器のプロトコ一ルに従って、 決定した。 得られたマウスィムノグロブリン y 2aの Fc部分の遺伝子断片の塩基配列を配列番 号 1 0に示した。 このプラスミ ドを pGEMmIgG2aFcとした。
< 5〉キメラ蛋白質 (GPIb- mIgG2aFc) を発現するプラスミ ドの作製
上記のように得られたヒ トグリコプロテイン lb遺伝子とマウスィムノグロプリ ン y 2aの Fc部分をコ一ドする遺伝子を融合させたキメラ蛋白質遺伝子は、 以下の 方法で作製した。
まず、 グリコプロテイン Ib a鎖遺伝子を含むプラスミ ド pBluescriptGPIbAlpha を Kpnl及ぴ Xbalで切断し、 ァガロースゲル電気泳動により精製を行い、 グリコプ ロティン lb遺伝子のァミノ末端から 319番目のァスパラギン酸までの配列を含む K pnl-Xbal DNAフラグメントを得た。
また、 前述のように得られたマウスィムノグロプリン y 2aの部分遺伝子を含む プラスミ ド pGEMmIgG2aFcを用いて、 配列番号 9及ぴ 1 2に示した塩基配列を有す
る 2種の合成プライマーを用い、 PFU (Stratagene社製) を用いた PCR反応 (ァニ —リング温度 55°C、 30サイクル) により、 5 ' 側に Xbalサイ ト、 3 ' 側に Xholサ ィ トを持つマウスィムノグロブリン γ 2aの Fc部分の遺伝子断片を作製した。 この 遺伝子断片を Xbal及び Xholによって消化した後、 ァガロースゲル電気泳動により 精製し、 Xbal及び Xholで切断した pBluescriptSK-に結合し、 得られた組換えブラ スミ ドで大腸菌 XLIIblue (Stratagene社製) を形質転換した。 得られた形質転換 体から、 アルカリ SDS法にてプラスミ ドを調製し、 その塩基配列を、 ジデォキシ法 により、 パーキンエルマ一 ·アプライ ドバイオシステムズ社製 377型 DNAシ一ケン サ一を用い、 機器のプロ トコールに従って、 決定した。 その結果、 配列番号 1 0 に示す塩基配列の 5 ' 末端の 6塩基が TCTAGACに置換され、 3, 末端の 6塩基が除 去された塩基配列であることが確かめられた。 このプラスミ ドを pBluescriptmlg G2aとした。 本プラスミ ドを Xbal及ぴ Xholを用いて切断し、 ァガロースゲル電気泳 動により精製を行い、 マウスィムノグロプリン γ 23の Fc部分遺伝子の Xbal-Xhol断 片を取得した。
上記の様に取得したヒ トグリコプロテイン lb遺伝子の Kpnl- Xbal断片とマウスィ ムノグロブリン γ 2aの Fc部分遺伝子の Xbal- Xhol断片を、 Kpnl及び Xholで切断した pBluescriptSK-に結合し、 得られた組換えプラスミ ドで大腸菌 XLIIblue (Strata gene社製) を形質転換した。 得られた形質転換体の 1つを培養し、 アルカリ SDS法 にてプラスミ ドを調製し、 グリコプロテイン lbの N末端側部分 (アミノ酸番号 319、 シグナルペプチドを含む) とマウスィムノグロブリン γ 2aの Fc部分が結合し た蛋白質 (キメラ蛋白質) をコードする遺伝子 (配列番号 1 3 ) を含むプラスミ ドを得た。 このプラスミ ドを pBluescriptGPIbFc2aと名付け、 コードされる遺伝子 に対応するキメラ蛋白質を特に GPIb - mIgG2aFcと名付け、 そのアミノ酸配列を配列 番号 1 4に示した。 尚、 配列番号 1 4において、 N末端の 1 6アミノ酸残基は、 シグナルペプチドを構成すると推定される。 プラスミ ド pBluescriptGPIbFc2aを保 持するェシエリヒア . コリ XLIIblue (Escherichia coli AJ13432) は、 1 9 9 8 年 3月 1 9日に、 通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に F E RM P - 1 6 7 1 9の受託番号で寄託され、 1 9 9 9年 1月 1 1 日にブダぺスト条約に 基づく国際寄託に移管され、 受託番号 F E RM B P— 6 6 1 8が付与されてい
る。
pBluescriptGPIbFc2aを Xholにより消化後、 ァガロース電気泳動を用いて精製し、 このキメラ蛋白質の遺伝子を含む Xhol断片を、 < 3 >と同様の動物細胞発現べク タ一 pSD (x)の Xhol部位に結合したプラスミ ド pSDGPIbFc2aを得た。 さらに pGPIbFc bluescriptを EcoRI、 Xholにより消化後、 キメラ蛋白質の遺伝子を含む EcoRI - Xho I断片を、 S R aプロモータ一 (K. Maruyaraa and Y. Takebe et al. , Medical I mmunology 20, 27-32 1990) を有する動物細胞発現用べクタ一 pMikNeo (+) (東京 大学医科学研究所、 丸山和夫先生より恵与) の EcoRI- Xhol部位に挿入し、 プラス ミ ド pMikGPIbFcを得た。 pMikGPIbFcを取得した手順の概要を図 2に示した。 実施例 2 キメラ蛋白質 (GPIb- mlgGlFc) の動物細胞を用いた生産 キメラ蛋白質の生産細胞は以下の方法により作製した。 CH0dhfr_細胞を、 10%ゥ シ胎児血清を含む D- MEM培地 (GIBC0社製) (10ml) を用いて、 5 x l05個ノ lOcraシ ヤーレになるように、 37°C、 5%C02下で培養した。 この細胞に、 実施例 1 < 3 >に く記載の通り調製した pSDGPIblgGlFcを形質導入した。 形質導入は、 以下に示すよ うにリン酸カルシウムにより行った。 すなわち、 10cmシャーレあたり約 10 gの P SDGPIblgGlFcを 0. 5ralの 0. 125M塩化カルシウムを含む BESバッファ一 (pH6. 96) 0. 5mlに添加後、 シャーレにまんべんなく滴下し、 35°C、 3%C02下で終夜培養した後、 シャーレを PBSで 2回洗浄後、 核酸不含 a -MEM培地でさらに約 24時間 37°C、 5%C02 下で培養した。 このようにして形質導入した細胞を、 さらにメソトレキセ一ト(M TX) 0. 05uM、 10%ゥシ胎児血清を含む核酸不含 a - MEM培地中で培養することにより、 キメラ蛋白質生産細胞を取得した。
上記の様にして得たキメラ蛋白質産生細胞は、 F175細胞培養用フラスコでメソ トレキセ一ト(MTX) 0. 05uM、 10%ゥシ胎児血清を含む核酸不含 α - MEM培地中でほぼ 60%コンフルェントになるまで培養した後、 培地をメソトレキセート(MTX) 0. 05uM を含む無血清培地 ASF104培地 (味の素社製) に交換し、 4日後、 培養用上清を回収 した。
実施例 3 キメラ蛋白質 (GPIb_mIgG2aFc) の動物細胞を用いた生産 キメラ蛋白質の生産細胞は、 以下の方法により作製した。 CH0K1細胞を、 10%ゥ シ胎児血清を含む!)- MEM培地 (GIBC0社製) (10ml) を用いて、 5 x l05個 ZlOcmシ ヤーレになるように、 37°C、 5%C02下で培養した。 この細胞に、 実施例 1で調製し た pMikGPIbFcを形質導入した。 形質導入は、 以下に示すようにリン酸カルシウム 法により行った。 すなわち、 10cmシャーレあたり約 10 ju gの pMikGPIbFcを 0. 5mlの 0. 125M塩化カルシウムを含む BESバッファー (pH6. 96) 0. 5mlに添加後、 シャーレ にまんべんなく滴下し、 35°C、 3%C02下で終夜培養した後、 シャーレを PBSで 2回 洗浄後、 D-MEM培地でさらに約 24時間 37°C、 5%C02下で培養した。 このようにして 形質導入した細胞を、 さらに G418 (850 ^ g/ml) 、 10%ゥシ胎児血清を含む D- MEM培 地中で培養することにより、 G418耐性細胞であるキメラ蛋白質生産細胞を取得し た。
上記の様にして得たキメラ蛋白質産生細胞は、 F175細胞培養用フラスコで G418 (800 x g/ml) 、 10%ゥシ胎児血清を含む!)- MEM培地中でほぼ 60%コンフルェントに なるまで培養した後、 培地を G418 (800 /z g/inl) を含む無血清培地 ASF104培地 (味 の素社製) に交換し、 4日後培養用上清を回収した。
回収した培養上清を遠心分離して固形物を除去した後、 上清 160mlを、 20mMリン 酸バッファ一 (ρΗ7· 0) で洗浄した Protein A Hitrap (lml、 フアルマシア社製) カラムに通してキメラ蛋白質をカラムに吸着させた。 カラムを 20mMリン酸バッフ ァー (pH7. 0) で十分洗浄した後、 0. 1Mクェン酸バッファー (pH4. 5) で溶出を行 つた。 キメラ蛋白質の溶出は、 UVモニターによって 280nmを検出することによって 行い、 キメラ蛋白質溶出画分は 1Mトリス塩酸バッファ一 (pH8. 5) を加えることに より直ちに中和した。 上記のようにして得られたキメラ蛋白質は、 SDS電気泳動の 結果、 還元下で約 80Kda、 非還元下で約 2倍の分子量を示す蛋白質であった。 実施例 4 固定化したフォンビルブランド因子とボトロセチンの混合物に対する キメラ蛋白質の結合の検出
< 1 >抗マウス IgG- Fc抗体を用いた ELISA法によるキメラ蛋白質の結合の検出
ボトロセチンは、 ボトロプス ' ジャララ力 (Botrops jararaca) 粗毒凍結乾燥 品 (シグマ社製) より、 Read (M. S. Read et al. , Proc. Natl. Acad. Sci. USA. , 75, 4514-4518, 1978) により報告されている方法に準じて精製することに より、 取得した。
また、 96穴マ/レチタイタ一プレートへのフォンビ^ブランド因子、 ボトロセチ ンの混合液の固定化は以下のように行った。 まず、 常法により調製したフォンビ ルブランド因子の生理的食塩水溶液 (250 / g/ml) とボトロセチンの生理的食塩水 溶液 (500 μ ^πι1) を適当に希釈した後、 図 2に示したそれぞれの濃度比になるよ うに混合した後、 その 50 μ 1を、 96穴マルチタイタ一プレート (MaxisorP、 ヌンク 社製) の各ゥエルに加えた。 4 °Cで終夜静置した後、 生理的トリスバッファ一
(20mMトリス塩酸 (pH7. 4) 、 0. 15M塩化ナトリウム ; Tris buffered saline, 以 下、 「TBS」 という) にて 1回 (150 z l) 洗浄し、 10%BSA (ゥシ血清アルブミン) を含む TBS 100 μ 1を加えて約 3時間静置した後、 TBSで 3回洗浄し、 フォンビルブ ランド因子固定化プレートを得た。
上記の様にボトロセチン存在下でフォンビルブランド因子を固定化したプレー トに対し、 1°/。BSAを含む TBS 25 μ 1と、 キメラ蛋白質 (GPIb - ralgGlFc) 産生細胞の 無血清培地を用いた培養上清を 0. 1%BSAを含む TBSで 8倍に希釈した溶液 25 1を加 え、 1時間室温にてィンキュベ一トした後、 0. 05%Tween- 20を含む TBS (150 1) で 3回洗浄した。 抗マウス IgG- Fcャギポリクローナル抗体 (カタログ No. 55482、 Organon Teknika社製) を Biotin Labeling Kit (カタログ No. 1418165、 Boehring er Mannheim社製) を用いてキットに添付されたプロトコール記載の方法で、 ピオ チン化した。 このビォチン化抗マウス IgGFc抗体約 2 / g/mlを含む 0. 1%BSA/TBA溶液 50 μ 1を前記プレートに加え、 1時間、 室温にてインキュベートした。 さらに 0. 0 5%Tween- 20を含む TBS (150 / 1) で 3回洗浄した後、 VECTASTAIN ABC kit (ピオチ ン検出用キット、 Alkaline phosphatase standard, カタログ No. AK- 5000、 Vecto r laboratories社製) の試薬 (ピオチン化アルカリフォスファタ一ゼ及びス トレ ブトアビジンの混合液) をマニュアルに記載の方法の 1/5濃度に調製した 0. 1%BSA /TBS溶液 50 1を加えて、 1時間室温にてィンキュベ一トした。 0. 05%Tween-20を 含む TBS (150 ^ 1) で 5回洗浄後パラニトロフエニルフォスフェート (P- nitroph
enylphsphate) を lmg/mlになるように溶解した、 10mM MgC を含む lOOraM NaHC03 溶液を 100 μ 1加え、 約 1時間発色反応を行い、 発色後 405nmの吸光度を測定した。 図 3に示した通り、 ボトロセチンおよびフォンビルブランド因子の量依存的に、 キメラ蛋白質の結合が観察された。
< 2 >ユーロピウム (Eu) ラベル法を用いたキメラ蛋白質の結合の検出
実施例 3で得た、 Protein Aカラムで精製したキメラ蛋白質 (GPIb- mIgG2aFc) 溶液を生理的食塩水に対して透析後、 約 200 ^^/1. 5:111の溶液を 611 ;^011-10 (Am icon社製) を用いた限外濾過により 780 μ 1 (濃度約 250 μ g/ral) に濃縮した。 その うち 500 μ 1 (約 125 μ 3の GPIb_mIgG2aFcを含む) に 50 μ 1の 0. 5M NaHC03を加えた後、 Eu - Labeling Reagent (化合物として Europium DTTA - isothiocyanate、 DELFIA 12 44 - 302、 Wallac社製) 0. 2mgを生理的食塩水 250 μ 1に溶解したものを 50 μ 1添加し た後、 約 40時間室温で撹拌しながら Europium DTTA-isothiocyanateを反応させた。 上記反応液を、 HiLoad 16/60 Superdex 75pg (内径 16mm、 長さ 60cm、 Pharmaci a社製) を用いてゲル濾過し、 未反応の試薬とキメラ蛋白質とを分離した。 ゲル濾 過は、 溶出液に生理的食塩水を用い、 流速 lml/分で行った。 Euでラベル化された キメラ蛋白質は、 溶出体積 40- 48mlの部分に回収された。 蛋白質定量キット (Pro tein Assay, Bio- Rad社製) を用い、 IgGを標準物質として蛋白定量を行った結果、 溶出溶液中のラベル化されたキメラ蛋白質の濃度は、 6· 4 μ §/ιη1の濃度であった。 以下、 この値をキメラ蛋白質濃度として、 以下の実験を行った。
上記のように調製したユーロピウム (Eu) ラベル化したキメラ蛋白質と、 ボト ロセチン存在下で固定化したフォンビルブランド因子との結合の検出を、 以下の 通り行った。 実施例 4 < 1 >で示した方法にしたがって、 フォンビルブランド因 子 2. 5 μ §/πι1とボトロセチン 2. 5 /x g/mlの混合溶液 (TBS) を 96穴マルチタイタープ レート (マイクロタイ トレーシヨンプレート DELFIA、 1244-550、 Wallac社製) の 各ゥエルに加え、 終夜固定化した後、 洗浄、 ブロッキング、 洗浄を行い、 フォン ビルブランド固定化プレートを作製した。
上記プレートに、 1の 0. 5%BSAを含むアツセィバッファ一 (Assay Buffer, Wallac DELFIA 1244-106、 Wallac社製、 組成: 0. 5% BSA、 0. 05% ゥシ γグロプリ
ン、 0.01°/。 Tween- 40、 20 μΜ DTPA (ジエチレントリアミン四酢酸) 、 50mM Tris - HCl bufferd saline (pH 7.8)、 0.05% アジ化ナトリゥム) あるいはさらに結合阻 害物質として組み換え体 AS1051 (Cys81を Alaに置換したもの) (N. Fukuchi et al., W095/08573) を終濃度 20μ g/mlとなるように加え、 さらにユーロピウム (E u) ラベル化したキメラ蛋白質の同アツセィバッファー溶液 (100ng/ml) 25μ 1を 加えて、 1分間振とう撹拌した後、 室温で 2時間静置した。 プレートを 0.05%Twe en- 20を含む TBS (150μ 1) で 5回洗浄した後、 蛍光増強緩衝液 (Enhancement bu ffer、 1244-104、 Wallac社製、 組成: 15μΜ - ΝΤΑ (2-ナフトイルトリフロォ口 アセトン) 、 50μΜ ΤΟΡΟ (トリ- η -ォクチルフォスフィンォキシド) 、 lg/L Trit on X- 100、 lOOraM酢酸—フタル酸水素カリウム緩衝液) 100μ 1を加えて 1分間振 とう撹拌した後、 DELFIA Research蛍光光度計 (1230 ARCUS Fluorometer, Walla c社製) を用いてユーロピウム (Eu) 量の測定を行った (測定時間: 1秒間) 。 測 定の値 (結合阻害物質添加及び非添加) と CV (偏差) (%)値を表 1に示した。 表 1 Euラベル法による測定値及び CV (%)値 コント口一ルのカゥント(n=80)の平均値 26668 cpra
CV値 (%) 6.75%
ASlOSldi g/ral)添加のカウント (n=6) の平均値 935cpm
S/N比 28.5
実施例 5 結合阻害物質によるフォンビルブランド因子と
キメラ蛋白質の結合阻害の検出 く 1 >抗マウス IgG- Fc抗体を用いた ELISA法によるキメラ蛋白質の結合阻害の検出 フォンビルブランド因子の固定化を、 フォンビルブランド因子 2.5 /g/mlとボト ロセチン 2.5/zg/mlの混合溶液 (TBS) で行ったこと、 及び、 固定化フォンビルブ ランド因子とキメラ蛋白質産生細胞の培養上清との反応の際、 阻害活性を測定し たい結合阻害物質を加えておくこと以外は、 実施例 4 < 1 >の方法と同様に行つ た。
結合阻害物質としては、 抗ヒ トフオンビルブランド因子モノクローナル抗体で ある AJvW- 2、 及び、 クロタルス 'ホリダス 'ホリダスの蛇毒由来のヒ トグリコプ ロティン lb結合べプチドを用いた。
AJvW-2を産生するハイプリ ドーマは、 平成 6年 8月 2 4日に通商産業省工業技 術院生命工学工業技術研究所 (郵便番号 3 0 5 日本国茨城県つくば巿東一丁目 1 番 3号) にそれぞれ順に F E RM P— 1 4 4 8 7の受託番号で寄託され、 平成 7年 9月 2 9日にブダペスト条約に基づく国際寄託に移管されて、 F E RM B P— 5 2 4 8の受託番号で寄託されている (W096/17078参照) 。 該ハイプリ ドー マを培養すれば、 AJvW_2を得ることができる。
また、 前記ヒ トグリコプロテイン lb結合ペプチドは、 クロタルス ·ホリダス · ホリダスの蛇毒由来の多量体ペプチドから得られる一本鎖ペプチド (AS1051) の 8 1位のシスティン残基がァラニン残基に置換されたもの (変異型 AS1051) であ る。 AS1051は、 これをコードする遺伝子を、 8 1位のシスティン残基がァラニン 残基に置換されるように改変し、 該遺伝子を大腸菌で発現させることにより得た。 pCHAlを保持する E. coli HBlOl/pCHAl (E. coli AJ13023) は、 平成 6年 8月 1 2日より、 通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所 (郵便番号 3 0 5 日本 国茨城県つくば市東一丁目 1番 3号) に、 F E RM B P— 4 7 8 1の受託番号の もとでブダペスト条約に基づき国際寄託されている (W095/08573参照) 。
尚、 AS1051自体もヒ トグリコプロテイン lb結合ペプチドであり、 変異型 AS1051の 検出と同様にして検出することができる。
AJvW-2及び変異型 AS1051のキメラ蛋白質 (すなわちグリコプロテイン lb) に対 する結合阻害活性を図 4に示した。
< 2 >ユーロピウム (Eu) ラベル法を用いたキメラ蛋白質の結合阻害の検出 フォンビルブランド因子の固定化を、 フォンビルブランド因子 2. S i g/mlとボト ロセチン 2. 5 g/mlの混合溶液 (TBS) で行ったこと、 及ぴ、 固定化フォンビルブ ランド因子とユーロピウム (Eu) ラベル化したキメラ蛋白質との反応の際、 阻害 活性を測定したい結合阻害物質を加えておくこと以外は、 実施例 4 < 2〉の方法 と同様に行った。
結合阻害物質としては、 抗ヒ トフオンビルブランド因子抗体である AJvW- 2、 変 異型 AS1051を用いた。 両物質のキメラ蛋白質 (すなわちグリコプロテイン lb) に 対する結合阻害活性を図 5に示した。 実施例 6 血漿中のグリコカリシンの検出
< 1〉抗マウス IgG- Fc抗体を用いた ELISA法にダリコカリシンの検出
ヒ ト血漿の調製は、 18Gの注射針を用いて健康なボランティアから採血した血液 に、 1/10容の 3. 8%クェン酸ナトリウム水溶液を加え、 3000 x rpniで 10分間、 遠心分 離した後、 その上清を分離することにより行った。
実施例 5く 1 >の方法と同様にして作製したフォンビルブランド因子固定化プ レートに対し、 3人の独立に採取したヒ ト血漿を TBSで順次 2倍に希釈し (合計 8 段希釈) 、 その 25 μ 1を上記プレートに加え、 さらに、 キメラ蛋白質産生細胞を無 血清培地で培養した培養上清を 0. 1%BSAを含む TBSで 8倍に希釈した溶液 25 μ 1を加 え、 1時間室温にてインキュベートした。 その後の反応、 発色操作は実施例 5 < 1〉に示した方法と同様に行い、 その結果の平均値を図 6に示した。
健常人のダリコカリシンの血中濃度は約 2 g/mlと報告されており、 このことよ り、 本検出系では 50%の結合阻害を示すダリコカリシン濃度は約 400ng/mlであり、 グラフの直線性から 60ng/ml以上のダリコカリシン量は十分測定可能であると考え られた。 く 2〉ユーロピウム (Eu) ラベル化したキメラ蛋白質を用いたグリコカリシンの 検出
上記 < 1〉の方法で独立に調製したヒ ト血漿を TBSで順次 2倍に希釈し (合計 8 段希釈) 、 実施例 5 < 1〉の方法と同様に作製したフォンビルブランド因子固定 化プレート (プレートは、 マイクロタイ トレ一シヨンプレート DELFIA、 1244-550、 Pharmacia Biotech社製を使用) に 25 1を加え、 さらに実施例 4 < 1〉と同様に して調製したユーロピウム (Eu) ラベル化したキメラ蛋白質のアツセィバッファ —溶液 (100ng/ml、 Assay Buffer; 1244-106、 Pharmac ia Biotech社製) ) 25 μ 1 を加えて反応させた。 その後の洗浄操作、 測定操作は実施例 5く 2 >と同様に行
レ、、 その結果の平均値を図 7に示した。
健常人のダリコカリシンの血中濃度は約 2 /z g/mlと報告されており、 このことよ り、 本検出系では 50%の結合阻害を示すグリコカリシン濃度は約 60ng/mlであり、 30ng/ml以上のダリコカリシン量は十分測定可能であると考えられた。 実施例 7 固定化したフォンビルブランド因子に対するボトロセチン存在下に おけるキメラ蛋白質の結合の検出と結合阻害物質による結合阻害の検出
< 1〉キメラ蛋白質の結合の検出
ヒ トフォンビルブランド因子 (2. 5 /x g/ml) を含む TBS溶液 (50 μ 1) を 96穴プレ —トの各ゥエルに加え、 4°Cで終夜固相化した後、 TBS (150 1) で 1回洗浄した 後、 5%BSAを含む TBSで約 3時間ブロッキングを行った。 プレートを TBS (150 ^ 1) で 2回洗浄した後、 25 ζ 1のアツセィバッファー (Assay Buffer, 1244-106、 Wal lac社製、 組成は実施例 4 < 2〉に記載) あるいはさらに阻害物質として組み換え 体 AS1051 (Cys81を Alaに置換したもの) を終濃度 20 μ g/mlとなるように加え、 実 施例 4 < 2 >で調製したユーロピウム (Eu) ラベル化したキメラ蛋白質 (lOOng/ ml) およびボトロセチン (500ng/ml) を含むアツセィバッファ一 (25 μ 1) を順次 加え、 室温で約 3時間放置した。 プレートを 0. 05%Tween - 20を含む TBS (150 ^ 1) で 5回洗浄した後、 蛍光増強緩衝液 (Enhancement solution, 1244-104、 Wallac 社製、 組成は実施例 4 < 2〉に記載) 100 μ 1を加えて 1分間振とうした後、 142 0ARVOマルチラベルカウンター (Wallac社製) を用いてユーロピウム (Eu) 量の測 定を行った (測定時間: 1秒間) 。 測定の値 (サンプル非添加、 阻害サンプル添 加) と CV (%)値を表 2に示した。 表 2 液層にボトロセチンを存在させる方法による測定値および CV (%)値 コント口一ルの力ゥント(n=80)の平均値 70220力ゥント
C V値 (%) 8. 2%
AJvW- 2 (10 ^u g/ml)添加のカウント(n=16)の平均値 2014 カウント
S ZN比 35
く 2 >阻害物質によるキメラ蛋白質の結合阻害の測定
阻害活性を測定したい結合阻害物質を加えておくこと以外は、 実施例 7く 1 > の方法と同様に行った。
結合阻害物質としては実施例 5 < 1〉に示した抗ヒ トフオンビルブランド因子 モノクロ一ナル抗体である AJvW-2、 同様に実施例 5 < 1 >に示したヒ トグリコプ 口ティン lb結合蛋白質である変異型 AS1051を用いた。
AJvW-2、 変異型 AS1051のキメラ蛋白質 (すなわちグリコプロテイン lb) に対す る結合阻害活性を図 8に示した。 実施例 8 固定化したキメラ蛋白質に対する結合惹起物質存在下における
ンド因子の結合の検出と結合阻害物質による結合阻害の検出
< 1〉ボトロセチンを用いた結合の検出
まず、 ヒ トフォンビルブランド因子の生理的食塩水溶液 (300 μ β/ιη1) 500 1に 50 μ 1の 0. 5Μ NaHCOsを加えた後、 Eu - label ing Reagent (化合物として Europium DTTA-i sothiocyanate, DELFIA 1244-302、 Wal lac社製) 0. 2mgを生理的食塩水 250 μ 1に溶解したものを 50 μ 1添加した後、 約 40時間室温で撹拌しながら反応させた。 上記反応液を、 HiLoad 16/60 Superdex 75pg (內径 16腿、 長さ 60cm、 Pharraaci a社製) を用いてゲル濾過し、 未反応の試薬とフォンビルブランド因子とを分離し た。 ゲル濾過は、 溶出液に生理的食塩水を用い、 流速 lml/分で行った。 Euでラベ ル化されたヒ トフオンビルブランド因子は、 溶出体積 40-48mlの部分に回収された。 上記のように調製したユーロピウム (Eu) ラベル化したフォンビルブランド因 子と、 固定化したキメラ蛋白質とのボトロセチン存在下で結合の検出を、 以下の 通り行った。 まず抗マウスィムノグロブリンポリクローナル抗体 (カタログ No. 5 5482、 Organon Teknika社製、 1 μ g/ml) の 0. 1M炭酸ナトリウム緩衝液 (ρΗ9· 6) 溶 液 50 μ 1を、 96穴マルチタイタープレート (マイクロタイ トレーシヨンプレート D ELFIA、 1244-550、 Wal lac社製) の各ゥヱルに加え終夜固定化した後、 洗浄、 5% BSAを含む TBS ( 100 μ ΐ) によりブロッキングした後、 TBS ( 150 ^ g/ml) で 3回洗 浄を行った。 さらにキメラ蛋白質の TBS溶液 (0. 5 ju g/ml) 50 μ 1を加え、 室温で 3 時間静置することにより固定化した抗マウスィムノグロブリン抗体に、 キメラ蛋
白質を結合させ、 キメラ蛋白質固定化プレートを作製した。
キメラ蛋白質固定化プレートを、 0. 05%Tween- 20を含む TBS (150 / 1) で 3回洗 浄した後、 実施例 4く 1〉で示した方法と同様に、 25 μ 1のアツセィバッファー
(Assay Buffer, 1244-106、 Wallac社製、 組成は実施例 4 < 2 >に記載) あるい はさらに阻害物質として組み換え体 AS1051 (Cys81を Alaに置換したもの) を終濃 度 20 g/mlとなるように加え、 さらにユーロピウム (Eu) ラベル化したフォンビ ルブランド因子 (500ng/ml) とボトロセチン (500ng/ml) を含むアツセィバッフ ァー (25 μ 1) を順次加え、 室温で約 3時間放置した。 0. 05%Tween-20を含む TBS
(150 1) で 5回洗浄した後、 蛍光増強緩衝液 (Enhancement solution, 1244-1 04、 Wallac社製、 組成は実施例 4 < 2〉に記載) 100 μ 1を加えて 1分間振とうし た後、 1420ARVOマルチラベルカウンタ一 (Wallac社製) を用いてユーロピウム
(Eu) 量の測定を行った (測定時間: 1秒間) 。 測定の値 (サンプル非添加、 阻 害サンプル添加) を表 3に示した。 表 3 キメラ蛋白質を固定化する方法による測定値
(ボトロセチン存在下) コントロールのカウントの平均値 37267カウント
AJvW- 2 (10 w g/ml)添加のカウントの平均値 2339カウント
< 2 >阻害物質によるキメラ蛋白質の結合阻害の測定
阻害活性を測定したい結合阻害物質を加えておくこと以外は、 実施例 8 < 1 > の方法と同様に行った。
結合阻害物質としては実施例 5 < 1〉に示した抗ヒ トフオンビルブランド因子 モノクローナル抗体である AJvW-2、 同様に実施例 5く 1〉に示したヒ トグリコプ 口ティン lb結合蛋白質である変異型 AS1051を用いた。
AJvW-2, 変異型 AS1051のキメラ蛋白質 (すなわちグリコプロテイン lb) に対す る結合阻害活性を図 9に示した。
< 3 >リストセチンを用いた結合の検出
く 1〉と同様の方法を用いて作製したユーロピウム (Eu) ラベル化したフォン ビルブランド因子、 およびキメラ蛋白質固定化プレートを用いた。 キメラ蛋白質 固定化プレートを、 0. 05%Tween- 20を含む TBS (150 μ 1) で 3回洗浄した後、 25 1のアツセィバッファー (Assay Buffer, 1244-106、 Wallac社製、 組成は実施例 4
< 2〉に記載) あるいはさらに阻害物質として組み換え体 AS1051 (Cys81を Alaに 置換したもの) を終濃度 20 x g/mlとなるように加え、 さらにユーロピウム (Eu) ラベル化したフォンビルブランド因子 (500ng/ml) と種々の濃度 (2、 1、 0. 5、 0. 25および Orag/ml) の硫酸リストセチン (シグマ社製) を含むアツセィバッファ一
(25 μ 1) を順次加え、 室温で約 2時間放置した。 0. 05%Tween_20を含む TBS (150 μ 1) で 5回洗浄した後、 蛍光増強緩衝液 (Enhancement solution, 1244-104、 W allac社製、 組成は実施例 4 < 2 >に記載) 100 /z 1を加えて 1分間振とうした後、
1420ARV0マルチラベルカウンター (Wallac社製) を用いてユーロピウム (Eu) 量 の測定を行った (測定時間: 1秒間) 。 リストセチン濃度と結合したフォンビル ブランド因子のカウント、 および結合阻害物質である組み換え体 AS1051 (終濃度 20 μ g/ml) 存在下での結合したフォンビルブランド因子のカウントを表 4に示し た。 表 4 種々の!)ストセチン濃度におけるフォンビルフ"ランド因子結合量 (測定値) リストセチン濃度 結合量 阻害物質存在下での結合量
2mg/ ml 46213 カウント 6884 カウント lmg/ml 13327 カウント 3015 カウント 0. Drag/ml 3665 カウント 1852 カウント 0. 25mg/ml 3008 カウント 3083 カウント Orag/ml 2818 カウント 3246 カウント
実施例 9 実施例 7の方法を用いたグリコプロテイン lbとフォンビルブランド因子 の結合を阻害する物質のスクリーニング 実施例 7の方法を用いて、 ダリコプロテイン lbとフォンビルブランド因子の結 合を阻害する物質のスクリーニングを行った。 具体的には、 阻害活性を測定した いサンプルを加えておくこと以外は、 実施例 7 < 1 >の方法と同様に行った。 種 々の化合物、 放線菌、 糸状菌等の培養液、 あるいはそれらの有機溶剤抽出物をサ ンプルとして用いた。
その結果、 日本国神奈川県横浜市の四季の森公園の土壌から採取された放線菌 AJ9553株の培養液、 あるいはその有機溶剤 (ブタノール、 酢酸ェチル) 抽出画分 に、 ダリコプロテイン lbとフォンビルブランド因子の結合を著しく阻害する物質 を見出した。 実施例 1 0 放線菌 A.T9553株を用いた阻害物質の生産と単離、 構造解析
< 1〉AJ9553株からの K17427Aおよび Bの製造法
AJ9553株を試験管に 5ml張り込んだシード用培地 (Beef Extract (DIFC0社製) 0. 1%、 グルコース 1%、 Starch Soluble (ナカライテスタ社製) 1°/。、 Corn steep p owder (和光純薬社製) 0. 5%、 ポリペプトン (大日本製薬社製) 1%、 Yeast Extra ct (DIFC0社製) 0. 5%、 炭酸カルシウム 0. 2°/。を含む、 pH7. 2) に植菌し、 28°C、 12 Orpmで 6日間振とう培養した。 この培養液を 500ml容三角フラスコに 70ml張り込ん だ培養用培地 (グリセロール 2%、 Pharmamedia (Trader s Protein社製) 1%、 Co rn Steep Powder (ナカライテスク社製) 1%、 炭酸カルシウム 0. 4%、 硫酸ナトリゥ ム 0. 3%、 硫酸亜鉛 7水和物 0. 003%を含む、 ρΗ7· 0) に、 2%になるように接種し、 さ らに 28° (:、 180rpmで 8日間振とう培養を行った。
このようにして得られた培養液 (1 . 6 L ) から遠心により菌体を得、 これに アセトン (1 L X 2 ) を加えて、 室温で 抽出した。 濾過により菌体残渣を分 離後、 減圧下アセトンを留去し、 得られた残渣を水に懸濁させ。 この水懸濁液を 5 %塩酸により p H 2 . 0に調製後、 酢酸ェチル (4 0 0 m 1 X 2 ) を加え抽出 した。 酢酸ェチル層を減圧下で濃縮し、 得られた残渣 (1 . 3 g ) を 50%メタノ一
ルに溶解させた。 この溶液をダイヤイオン HP— 20 (三菱化学) を充填した力 ラムを用いてメタノールで溶出した。 得られた画分を OD Sカラム (YMC— P a c k AM- 322) を用いた H P L Cにより K 17427 A (40 Omg) お ょぴ K17427B (4 Omg) を得た。 く 2 >AJ9553株からの K17427Cおよび Dの製造法
AJ9553株を試験管に 5ral張り込んだシード用培地 (Beef Extract (DIFCO社製)
0.1°ん グルコース 1%、 Starch Soluble (ナカライテスク社製) 1%、 Corn steep P owder (和光純薬社製) 0.5%、 ポリペプトン (大日本製薬社製) 1%、 Yeast Extra ct (DIFCO社製) 0.5°/。、 炭酸カルシウム 0.2%を含む、 PH7.2) に植菌し、 28°C、 12 Orpmで 6日間振とう培養した。
このようにして得られた培養液 (40ml) から遠心により菌体を得、 これに アセトン (50m l) を加えて、 室温で 1日抽出した。 濾過により菌体残渣を分 離後、 減圧下アセトンを留去した。 得られた水懸濁液を 5%塩酸により pH 2. 0に調製後、 酢酸ェチル (20m l X 2) を加え抽出した。 酢酸ェチル層を減圧 下で濃縮し、 得られた残渣を 50%メタノールに溶解させた。 この溶液をダイヤィォ ン HP— 20 (三菱化学) を充填したカラムを用いてメタノールで溶出した。 得 られた画分をシリカゲル分取 TLC (メルク社) により分画し (n—へキサン Z 酢酸ェチル Zメタノ一ル Z水、 60 : 40 : 5 : 0. 5) , K17427C (3. 2mg) および K17427D (2. 2 m g ) を得た。 実施例 11 グリコプロテイン lbとフォンビルブランド因子との結合を阻害する 低分子量物質 K17427A、 B、 Dを生産する放線菌 A.T9553株の同定、 生理的試験
K17427A、 B、 C, Dを生産する放線菌 AJ9553株の分類学的検討を行った結果を以 下に示す。
1. 形態学的特徴
I S P [インターナショナル ' ス トレプトマイセス ·プロジェク ト (Internat ional Streptomyces Project) ] 規定の寒天培地上、 28°C、 14日間培養後、 顕微鏡下観察では基底菌糸は良好に伸長、 分岐し、 オレンジ色である。 ノカルデ
ィァ (Nocardia) 属菌株様のジグザグ伸長は観察されない。 気菌糸は基底菌糸上 から形成し、 成熟すると気菌糸由来の胞子連鎖を形成する。 胞子嚢は形成されな い。 胞子は卵状から単桿状の分節胞子であって、 通常その大きさは、 0. 4〜1 X l〜l . 5 / mである。 熟成した胞子を水中に投じると、 その胞子は鞭毛を有 し遊走性を示す。
2. 各種寒天培地上での生育及び培養性状
各種寒天培地上での生育及び培養性状 (28°C、 14日間培養) を表 5に示す。 表 5 各種寒天培地上での生育及び培養性状 (28°C、 14日間培養)
3. 生育温度
ォ一トミ一ル寒天培地で 14日間培養したときの生育状況を以下に示す。
8。C 生育せず 30°C:生育良好
18°C 僅かに生育 37°C:生育良好
20。C 生育普通 42°C:生育普通
28。C 生育良好 45°C:生育せず
4 . 炭素源の利用性
プリツドハム · ゴトリ一ブ寒天を基礎培地とし、 下記各種糖を添加して 2 8 °C、 1 4日間培養したときの生育状況を以下に示す。 一 :生育せず。 + :生育普通
D—グノレコース + ラフイノース 一
D—キシロース + D—マンニト一ノレ +
L—ァラビノース + イノシトール ―
L一ラムノース + シュ一クロース +
D—フルク トース + D—ガラク ト一ス +
5 . 菌体成分
細胞壁からは、 m e s o—ジアミノピメリン酸、 3— O H—ジアミノピメリン 酸、 グリシン及びリジンが検出され、 細胞液タイプは V I型であると考えられる。 また分類上の特徴である全菌体糖成分はァラビノース及びキシロースであり、 糖 パターンは D型であった。 主要メナキノンは MK— 9 (H 4 ) であった。 また細 胞壁ペプチドダリカンのァシルタイプは、 グリコリル型であった。
6 . 1 6 Sリボソーム R N A塩基配列解析
本菌株の 1 6 Sリボソ一ム R N A塩基配列を調べた結果、 本菌株はミクロモノス ポラシァ (Microtnonosporacea) 科に所属するクウチオプラネス 力エルレウス (し ouchioplanes caeruleus) と最も近嫁であつ 7こ。 以上のことから、 本菌株は放線菌の中でもクウチォプラネス属 (Couchioplane s) に属することは明らかであり、 従って AJ9553株をクウチォプラネス エスピー AJ9553 (Couchioplanes sp. AJ9553) と称することとした。
なお、 本菌株は、 1 9 9 9年 1月 6日に通商産業省工業技術院生命工学技術研 究所 (郵便番号 305-8566 日本国茨城県つくば巿東一丁目 1番 3号) にブタペスト 条約に基づいて寄託されており、 受託番号は F E RM B P— 6 6 1 2である。 本発明において、 クウチオプラネス エスピー AJ9553 (Couchioplanes sp. A J9553) の変異株等の誘導体も、 阻害物質を産生する性質を有する限り、 生理的な 性質が本菌株と異なっていても、 阻害物質の製造に使用することができる。 変異 株は、 例えば X線若しくは紫外線などの照射処理、 例えばナイ トロジコ
—ド、 ァザセリン、 亜硝酸、 2—ァミノプリン若しくは N—メチルー N ' —二ト 口ソグァ二ジン (N T G) 等の変異誘起剤による処理、 ファージ接触、 形質転換、 形質導入又は接合などの通常用いられている菌種変異処理方法によりクゥチォプ ラネス エスピー AJ9553 (Couchioplanes sp. AJ9553) を変異させることにより 得ることができる。 実施例 1 2 K17427A、 C、 Dのグリコプロテイン lbとフォンビルブランド因子の 結合に対する阻害活性 く 1〉実施例 4のダリコプロテイン lbとフォンビルブランド因子の結合阻害を検 出する方法を用いた K17427A、 C, Dの阻害活性の測定
単離した K17427A、 C, Dのグリコプロテイン lbとフォンビルブランド因子の結合 に対する阻害活性を、 測定に 1420ARVOマルチラベルカウンタ一 (Wallac社製)
(測定時間: 1秒間) を用いたこと以外は実施例 4に示した方法と同様の方法を 用いて測定した。 図 1 0にそれぞれの化合物の、 グリコプロテイン lbとフォンビ ルブランド因子の結合阻害活性を示した。 く 2 >ョ一ド 125ラベルフォンビルブランド因子とホルマリン固定化血小板の結合 に対する K17427A、 C、 Dの阻害活性の測定
( 1 ) 固定化血小板の調製
固定化血小板の調製法は、 以下の方法にしたがって行った。 18Gの注射針を用い て採血した健常人ボランティアの血液 50mlに、 1/10容になるように 3. 8%クェン酸 ナトリウムを加え、 50mlデイスポーザブルチューブ (Falcon 2096) に二分した後、 冷却遠心機 (KUB0TA 8800) を用いて、 900rpra、 15分、 室温で遠心分離を行って、 上清を多血小板血漿 (platelet rich plasma; PRP) として回収した。 PRPに等容 の 2%パラホルムアルデヒ ド /PBSを加え、 穏やかに混和した後 4°Cで一晚静置した。 本溶液を上記と同様の冷却遠心機を用いて、 3000rpm、 10分、 遠心分離を行い、 上 清をデカンテ一シヨンにより取り除いた後、 約 20ml/tubeの PBSを加えて、 ピぺッ トで穏やかに沈殿を懸濁させた。 さらに 3000rpm、 lOminの遠心分離、 PBSによる懸 濁を 2回繰り返した後、 最終的に最初の PRP量と同様の PBS溶液とし、 これを固定
化血小板懸濁液とした。
(2) ヒ ト血清からのフォンビルブランド因子の精製
ヒ ト血清からのフォンビルブランド因子の精製は、 H.R. Gralnickら(J. Clin. Invest, 62, 496 (1978))の方法にしたがって行った。
(3) フォンビルブランド因子の1251ラベル化
1251ラベル化を行うチューブは、 予め Iodogen (Piearce社製、 0.5mg/ml) のジ クロロメタン溶液 1.5mlを加えた後、 窒素気流下で溶媒を除去し、 lodgenの固相化 を行った。 ゲル濾過により得た高分子量フォンビルブランド因子 (0.19mg/l.5ml) を反応チューブに入れ、 Na125I、 18.5Mbqを加えて室温で 2分間反応させた後、 あ らかじめ BSAでブロッキングし洗浄した PD10 (Pharmacia Biotech社製) カラムに アプライし、 TBSで溶出を行った。 溶出液は 0.5mlずつフラクション分取し、 各フ ラクシヨンの1251比活性をガンマカウンター Packard Multi Prias 4を用いて測定 した。 1251-フォンビルブランド因子を多く含むフラクションを集め、 数本に分割 した後、 使用まで- 80°Cで保存した。
( 4 ) 固定化血小板に対する 1251-フォンビルブランド因子の結合に対する K1742 7A、 Dの阻害活性の測定
アツセィを行う 96wellフィルタ一プレート、 Millipore Multiscreen HV (Mil lipore社製、 0.45 μ Μ) は、 予め 1%BSA/TBS (100/zl) を各ゥエルに加え数時間静 置することによりフィルタ一のブロッキングを行った。 前述の固定化血小板懸濁 液を TBSで 10倍に希釈した懸濁液 20//1、 被験サンプルを 5 / l加え、 さらに 0.8 xg /mlのボトロセチン、 あるいは 2.4mg/mlのリストセチンを含む1251-フォンビルブ ランド因子溶液 (約 800, OOOcpm) 25μ1を加えて、 30分静置した。 吸引によりゥェ ル中の溶液を濾過した後、 0.05%Tween - 20を含む TBS (ΙΟΟμΙ) を加え、 さらに吸 引することにより洗浄を行つた。
ガンマカウンタ一を用いた測定は以下のように行った。 上記洗浄後の 96ゥエル フィルタープレートからパンチ (Millipore社製、 型番 MAPK 896 0B) を用いてフ ィルタ一を離脱し、 6ml容ポリスチレンチューブに分注して、 Packard Multi Pri as 4を用いて125Iの放射線量を測定した。 K17427A、 C、 Dの阻害活性を図 1 1に
示した。
上記に示したく 1〉、 < 2 >の結果より、 K17427A、 C、 Dによるグリコプロテ ィン lbとフォンビルブランド因子の結合阻害活性は、 通常広く用いられている < 2 >の方法より、 本発明であるく 1 >の方法 (実施例 4の方法) でより感度良く 検出することが可能であった。 実施例 1 3 K17427Aの血小板凝集に対する阻害活性
18Gの注射針を用いて採血した健常人ボランティアの血液 50mlに、 1/10容になる ように 3. 8%クェン酸ナトリウムを加え、 50ralディスポ一ザブルチューブ (Falcon 2096) に二分した後、 冷却遠心機 (T0MY社製) を用いて、 900rpm、 15分、 室温で 遠心分離を行い、 上清を多血小板血漿 (platelet rich plasma ; PRP) として回収 した。 さらに、 下層は 1500rpm、 10分、 室温にて遠心分離し、 その上清を貧血小板 血漿 (platelet poor plasma ; PPP) として回収した。 上記のように調製した PRP を用い、 測定機として Hematracer 801 (二光バイオサイエンス社製) を用いて被 験サンプルの血小板凝集阻害活性を測定した。 予め被験サンプル (2. 5- 5 x l) を 入れた測定用の専用キュべットに 100 μ 1の PRPを加えて測定器にセットし、 2分間 の撹拌の後 (37°C) 、 10倍濃度の凝集物質溶液を添加し、 透過光の変化を測定し た。 凝集物質添加前の PRPの透過光を 0%、 PPPの透過光を凝集 100%とし、 阻害物質 による凝集阻害率を、 下記式によって数値化した。 凝集阻害率 =
1 0 0— (阻害物質添加した際の凝集率一凝集物質添加直後の凝集率) / (コント ロールの凝集率一凝集物質添加直後の凝集率) X 1 0 0 凝集惹起物質としては硫酸リストセチン (Sigma社製、 終濃度 1. 2mg/ml) 、 アデ ノシン 2リン酸 (ADP) (ェムシーメディカル社製、 終濃度 10 μ Μ) 、 コラーゲン (ェムシ一メディカル社製、 終濃度 ΙΟ /i g/ml) を用いた。
K17427Aのそれぞれの凝集惹起物質による凝集に対する阻害活性を図 1 2に示し た。 また、 上記の通り計算した各濃度における、 各凝集惹起物質による血小板凝 集に対する凝集阻害率を表 4に示した。
表 4 K17427Aの各濃度における、 各凝集惹起物質による
血小板凝集に対する凝集阻害率 リストセチン凝集 ADP凝集 コラーゲン凝集
1 mM 1 0 0 % 2 4 % 1 %
0 . 5 mM 8 4 % 8 % 0 %
0 . 2 5 mM 0 % 7 % - 7 %
K17427Aは、 500 ju M以上の濃度においてリストセチンによる凝集を完全に阻害し たが、 IraMにおいても ADP、 コラーゲンによる凝集を実質的に阻害しなかった。 ま た、 K17427B、 C, Dの血小板凝集に対する阻害活性は測定していないが、 非常に類 似の構造であること、 実施例 1 2に示したとおりダリコプロテイン lbとフォンビ ルブランド因子の結合を阻害することから、 同様にリストセチン凝集のみを特異 的に阻害することが容易に推定される。 産業上の利用可能性 本発明により、 グリコプロテイン lbとフォンビルブランド因子との結合又はそ の阻害を簡便に検出することができる。 本発明の方法により、 グリコカリシンの 簡便かつ定量性に優れた定量法、 およびフォンビルブランド因子とダリコプロテ イン lbの結合阻害物質の簡便かつ操作性に優れた測定法が提供される。
フォンビルブランド因子をボトロセチン等の結合惹起物質の存在下で固定化す ることにより、 液相にボトロセチンあるいはリストセチンなどの結合惹起物質を 添加することなく、 簡便に再現性よくフォンビルブランド因子とグリコプロティ ン lbの結合を観察することができる。
また、 本発明のキメラ蛋白質の利用により、 グリコカリシン等の結合阻害物質 を検出または定量する際、 モノクローナル抗体の作製や入手を必要としない。 また本発明はダリコプロテイン lbの部分蛋白質をィムノグロブリン分子の Fc部 分と結合させたキメラ分子 (キメラ蛋白質) の動物細胞を用いた製造法を提供す る。