明細書 光老化防止剤及び皮膚化粧料 技術分野 本発明は、 光老化防止剤及び皮膚化粧料に関し、 詳しくは、 トリテルぺノィド の芳香族化合物誘導体及び 又はその塩類からなる光老化防止剤及び、 卜リテル ぺノィドの芳香族化合物誘導体及びノ又はその塩類を含有する、 シヮ等を防止、 改善する美肌効果に優れた皮膚化粧料に関する。 背景技術 一般的に皮膚老化とは、 加齢に伴う生理的老化と、 日光暴露 (紫外線) による 光老化とが互いに影響しあって生じる生理現象である力 現在、 特に後者の光老 化とシヮ、 肌荒れ、 シミ等との関係が注目されている。 すなわち、 長期間太陽
(紫外線) に当たり続けると、 顔、 首筋の深いシヮを増加させ、 更に皮膚の乾燥 及び肌荒れやシミ、 ソバカス等の色素沈着を起こすことが知られており、 この光 老化による肌のトラブルが問題視される様になつた。
従来より、 これら紫外線による皮膚への障害を防止するために、 酸化チタン、 酸化亜鉛、 パラメ トキシ桂皮酸エステル、 パラアミノ安息香酸エステル等の各種 の紫外線吸収、 散乱、 遮蔽物質を配合した化粧料 (サンスクリーン、 サンプロテ クト化粧品) が開発され、 使用されている。 しかしな力、'ら、 これらの化粧料を使 用しても圧倒的な日光暴露から皮膚を防御することは難しい。 また、 上記光老化 を改善する方法としては、 全トランス型のレチノィン酸の外用塗布が有効である ことが広く知られているが (M e t h 0 d s i n E n z y m o l o g y , 1 9 9 0年、 第 1 9 0巻、 3 5 2— 3 6 0頁等参照) 、 安全性上の問題から、 医師 による使用に限定されており、 有効性が高くかつ安全な光老化改善剤及び皮膚化 粧料の開発が切望されていた。
そこで、 上記要望を満たすために、 これまでに、 植物由来のウルソ一ル酸、 ォ レアノール酸等のトリテルぺノィドゃそれらのエステル等の誘導体が、 光老化改
善剤、 化粧料、 皮虜外用剤等に利用されるようになった。 しかしながら、 これら の物質の原料となるトリテルペンは植物体中の含有量が極めて低く、 化粧料や外 用剤中に十分な効果を発揮する量を配合すると高価になるという問題があり、 供 給面でも十分な量を確保しがたいという問題があった。 そのため、 安全性が高く、 光老化を防止、 改善する作用を有し、 美肌効果に優れるトリテルぺノィ ド化合物 において、 少量の使用で十分に効果を発揮できるようなトリテルぺノィ ド化合物 の開発が望まれていた。 発明の開示 本発明は、 上記観点からなされたものであり、 安全性が高く且つ光老化防止効 果に優れる卜リテルぺノィ ド化合物からなる光老化防止剤を提供し、 更には、 皮 膚のシヮ等を防止、 改善する美肌効果に優れる皮膚化粧料を提供することを課題 とする。
本発明者らは、 上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、 ゥルソール 酸、 ォレアノール酸又はべッリン酸の 2 8位のカルボキシル基の水素原子及びノ 又は 3位の炭素原子に結合する水酸基の水素原子が官能基で置換された卜リテル ぺノィド誘導体のうち、 前記水素原子の少なくとも一方が芳香族環を有する官能 基で置換された卜リテルぺノィド誘導体 (以下、 「トリテルぺノィドの芳香族化 合物誘導体」 と呼ぶこともある) 及びその塩類が、 従来報告されているゥルソー ル酸、 ォレアノール酸、 べッリン酸等のトリテルぺノィドゃそれらの脂肪族ァシ ル誘導体、 脂肪族エステル誘導体に比べて、 皮膚の光老化を防止、 改善する効果 において生理活性が 1 0倍以上に向上すること、 更には、 上記トリテルぺノィド の芳香族化合物誘導体及びノ又はその塩類を配合した皮膚化粧料がシヮ等を防止、 改善する美肌効果に優れることを見出し、 本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、 ゥルソール酸、 ォレアノール酸又はべッリン酸の 2 8位の カルボキシル基の水素原子及び/又は 3位の炭素原子に結合する水酸基の水素原 子が官能基で置換されたトリテルぺノィド誘導体であって、 前記官能基の少なく とも一方が芳香族環を有する官能基であるトリテルぺノィ ド誘導体及びその塩類 の一種又は二種以上からなる光老化防止剤である。
上記本発明の光老化防止剤となる化合物として、 具体的には、 前記芳香族環を 有する官能基が、 28位のカルボキシル基の水素原子を置換する官能基にあって は下記一般式 (I)で表される基であり、 3位の炭素原子に結合する水酸基の水 素原子置換する官能基にあっては下記一般式 (I ) 又は (II) で表される基であ るトリテルぺノィ ド誘導体及びその塩類を挙げることができる。
—CH— . . . . ( I )
R2 但し、 式 ( I ) 中、 Rtは置換されていてもよい芳香族環を表し、 R2は水素原 子又は置換されていてもよ L、芳香族環を表す。
— C― (CH2) n— R3 . . . . ( I I )
〇
但し、 式 (II) 中、 R3は置換されていてもよい芳香族環を表し、 nは 0〜2の 整数を表す。
また、 より具体的な化合物として、 上記一般式 (I) の がフエニル基、 メ 卜 キシフヱニル基、 エトキシフ Xニル基、 ブトキシフヱニル基、 ニトロフヱニル基、 ジフヱニル基又はナフチル基を表し、 R2が水素原子又はフヱニル基を表し、 一般 式 (II) の R3がフヱニル基、 メ トキシフヱニル基、 エトキシフヱニル基、 ブトキ シフヱニル基、 ニトロフヱニル基、 ジフヱニル基又はナフチル基を表すようなト リテルぺノィド誘導体及びその塩類を挙げることができる。
さらに本発明は、 ゥルソール酸、 ォレアノール酸又はべッリン酸の 28位の力 ルポキシル基の水素原子及びノ又は 3位の炭素原子に結合する水酸基の水素原子 が官能基で置換された卜リテルぺノィド誘導体であって、 前記官能基の少なくと も一方が芳香族環を有する官能基である卜リテルぺノィド誘導体及びその塩類の
一種又は二種以上を含有する皮膚化粧料を提供する。 皮膚化粧料に配合する上記 卜リテルぺノィ ドの芳香族化合物誘導体及び/又はその塩類として、 具体的には、 上記光老化防止剤を構成するトリテルぺノィドの芳香族化合物誘導体及び 又は その塩類と同様の化合物を挙げることができる。 また、 この様な本発明の皮膚化 粧料におけるトリテルぺノィドの芳香族化合物誘導体及び Z又はその塩類の含有 量の具体例は、 化粧料全量に対して 0 . 0 0 0 1 1 0重量%程度である。 以下、 本発明を詳細に説明する。 まず、 本発明の光老化防止剤について説明す る
( 1 ) 本発明の光老化防止剤
本発明の光老化防止剤は、 ゥルソール酸、 ォレアノール酸又はべッリン酸の 2 8位のカルボキシル基の水素原子及びノ又は 3位の炭素原子に結合する水酸基の 水素原子が官能基で置換されたトリテルぺノィド誘導体であって、 前記官能基の 少なくとも一方が芳香族環を有する官能基である卜リテルぺノィ ド誘導体及びそ の塩類の一種又は二種以上からなる。
上記本発明の光老化防止剤に用いるトリテルぺノィド誘導体の出発物質となる ゥルソール酸、 ォレアノール酸、 べッリン酸は、 それぞれその順に以下に示す構 造式で表される化合物であり、 いずれもトリテルぺノィ ドに属し、 植物界に広く 分布している物質である。
(ウルソ一ル酸)
(ベッリン酸)
これら 3種の卜リテルぺノィドは、 一般的な有機溶剤、 例えばメタノール、 ェ タノールなどのアルコール類を用いて植物体から容易に抽出することができるが、 本発明に用いるウルソ一ル酸、 ォレアノール酸、 べッリン酸は、 起源となる植物 体に限定されるものではなく、 植物体から取り出される方法により限定されるも のではない。 さらに、 植物体から取り出す方法以外に化学合成によりこれらのト リテルぺノィ ドを製造することもでき、 これにより得られるトリテルぺノィ ドを
本発明に用いることもなんら制限されるものではない。 従って、 本発明の光老化 防止剤の出発物質として用いる卜リテルぺノィドの製造方法は、 経済性、 安全性 等を勘案して、 適当な方法を適宜選択することができる。 あるいは、 例えば、 ゥ ルソール酸は東京化成 (株) 等より、 ォレアノール酸は和光純薬工業 (株) 等よ り、 べッリン酸はアルドリッチ社等より、 いずれも市販もされており、 本発明の 光老化防止剤の出発物質としてこの様な市販品を用いることも可能である。
本発明に用いるトリテルぺノィド誘導体は、 上記 3種のトリテルぺノィ ドの 2 8位のカルボキシル基の水素原子及びノ又は 3位の炭素原子に結合する水酸基の 水素原子が官能基で置換された構造を有するものであって、 前記水素原子の少な くとも一方が芳香族環を有する官能基で置換されたトリテルぺノィド誘導体であ り、 具体的には、 ウルソ一ル酸、 ォレアノール酸又はべッリン酸の 2 8位のカル ボキシル基の水素原子及び 又は 3位の炭素原子に結合する水酸基の水素原子を 芳香族環を有する官能基で置換した卜リテルぺノィ ド誘導体; ゥルソール酸、 ォ レアノール酸又はべッリン酸の 2 8位のカルボキシル基の水素原子を脂肪族の官 能基で、 3位の炭素原子に結合する水酸基の水素原子を芳香族環を有する官能基 でそれぞれ置換した卜リテルぺノィド誘導体;ゥルソール酸、 ォレアノール酸又 はべッリン酸の 3位の炭素原子に結合する水酸基の水素原子を脂肪族の官能基で、 2 8位のカルボキシル基の水素原子を芳香族環を有する官能基でそれぞれ置換し たトリテルぺノィ ド誘導体を挙げることができる。
この様な卜リテルぺノィド誘導体が本発明に用いられるが、 これらの卜リテル ぺノィド誘導体のうちで、 少なくとも 2 8位のカルボキシル基の水素原子が芳香 族環を有する官能基で置換された構造を有する卜リテルぺノィド誘導体にあって は、 2 8位のカルボキシル基の水素原子を置換する官能基が上記一般式 ( I ) で 表される基であることが好ましく、 また、 少なくとも 3位の炭素原子に結合する 水酸基の水素原子が芳香族環を有する官能基で置換された構造を有するトリテル ぺノィド誘導体にあっては、 3位の炭素原子に結合する水酸基の水素原子を置換 する官能基が上記一般式 ( I ) 又は (I I) で表される基であることが好ましい。 さらに、 2 8位のカルボキシル基の水素原子が置換されていないか、 あるいは脂 肪族の官能基で置換されており、 3位の炭素原子に結合する水酸基の水素原子が
芳香族環を有する官能基で置換された構造を有する卜リテルぺノィド誘導体にあ つては、 3位の炭素原子に結合する水酸基の水素原子を置換する官能基は上記一 般式 (I I ) で表される基であることが好ましい。 これらのトリテルぺノイド誘導 体は皮膚の光老化を防止、 改善する作用により優れているといえる。
ここで、 一般式 ( I ) において R iは置換されていてもよい芳香族環を表し、 R 2は水素原子又は置換されていてもよい芳香族環を表すことから、 一般式 ( I ) で 表される基を上記置換基として卜リテルぺノィド誘導体に用いた場合には、 トリ テルぺノィド残基と芳香族環を結合する基はメチレン基又はメチン基となるが、 これを炭素数 2以上のアルキレン基ゃアルケニル基にすると十分な光老化防止効 果が得られないことがある。 さらに、 本発明において好ましくは、 一般式 ( I ) 中の R ,はフヱニル基、 メ 卜キシフヱニル基、 エトキシフヱニル基、 ブトキシフヱ ニル基、 ニトロフヱニル基、 ジフヱニル基又はナフチル基を表し、 R 2は水素原子 又はフユ二ル基を表す。
また、 一般式 (Π) 中、 R 3は置換されていてもよい芳香族環を表すが、 本発明 において好ましくは、 R 3はフヱニル基、 メ トキシフヱニル基、 エトキシフヱニル 基、 ブトキシフヱニル基、 ニトロフヱニル基、 ジフヱニル基又はナフチル基を表 す。 以上、 一般式 ( I ) 、 一般式 (I I) で表される芳香族環を有する基に関して 好ましい具体例を挙げたが、 このように本発明において、 これら芳香族環は、 環 の数が 1又は 2の芳香族環であることが好ましい。
上記本発明に用いる卜リテルぺノィド誘導体のうち、 ゥルソール酸、 ォレアノ ール酸又はべッリン酸の 3位の炭素原子に結合する水酸基の水素原子が芳香族環 を有する官能基で、 また、 2 8位のカルボキシル基の水素原子が脂肪族の官能基 でそれぞれ置換されたトリテルぺノィド誘導体においては、 前記脂肪族の官能基 として、 例えば、 アルキル基、 アルケニル基、 アルキレン基等を挙げることがで きる。 本発明に用いるトリテルぺノィド誘導体としては、 前記脂肪族の官能基が アルキル基であることが好ましく、 さらに、 アルキル基の炭素数が 1〜 2 0、 特 に 8〜2 0であること力 安定性ならびに取り扱いのし易さの面からより好まし い。 なお、 アルキル基は直鎖であっても分岐していてもよく、 また環状であって もよい。
また、 ウルソ一ル酸、 ォレアノール酸又はべッリン酸の 2 8位のカルボキシル 基の水素原子が芳香族環を有する官能基で、 また、 3位の炭素原子に結合する水 酸基の水素原子が脂肪族の官能基でそれぞれ置換された卜リテルぺノィド誘導体 においては、 前記脂肪族の官能基として、 例えば、 アルキル基、 アルケニル基、 アルキレン基、 脂肪族ァシル基等を挙げることができる。 本発明に用いるトリテ ルぺノィド誘導体としては、 前記脂肪族の官能基がアルキル基又はアルキルァシ ル基であることが好ましく、 さらに、 これらのアルキル部分の炭素数が 1〜 2 0、 特に 8〜 2 0であることが、 上記同様に好ましい。 なお、 アルキル部分は直鎖で あっても分岐していてもよく、 また環状であってもよい。
本発明に用いるトリテルぺノィド誘導体は、 通常の方法、 例えば、 ゥルソール 酸、 ォレアノール酸又はべッリン酸を出発物質として、 あるいは、 ゥルソール酸、 ォレアノール酸又はべッリン酸の 2 8位のカルボキシル基の水素原子又は 3位の 炭素原子に結合する水酸基の水素原子を脂肪族の官能基で置換したトリテルぺノ ィド誘導体を出発物質として、 これらの 2 8位のカルボキシル基の水素原子及び ノ又は 3位の炭素原子に結合する水酸基が反応に寄与するような合成反応により これら出発物質を芳香族化合物と反応させる方法、 具体的には、 2 8位のカルボ キシル基をハ口ゲン化芳香族化合物によりエステル化する、 3位の炭素原子に結 合する水酸基を芳香族アルコールによりエーテル化するまたは芳香族カルボン酸 によりエステル化する等の方法により製造することができる。
上記出発物質として用いる、 ウルソ一ル酸、 ォレアノール酸又はべッリン酸の 2 8位のカルボキシル基の水素原子又は 3位の炭素原子に結合する水酸基の水素 原子を脂肪族の官能基で置換した卜リテルぺノィド誘導体を製造するには、 ウル ソール酸、 ォレアノール酸又はべッリン酸の 2 8位のカルボキシル基を脂肪族化 合物によりエステル化する、 あるいは 3位の炭素原子に結合する水酸基を脂肪族 化合物によりエーテル化するまたはエステル化する等の方法が挙げられる。 これ らエーテル化やエステル化は、 通常の方法と同様に行うことが可能である。 例え ば、 2 8位のカルボキシル基を介して行われるエステル化は、 通常のカルボン酸 のエステル化反応と同様にして、 例えば、 上記卜リテルぺノィドをクロ口ホルム 等の適当な溶媒下で、 トリェチルァミン等の塩基存在下、 塩化チォニル等の塩素
化剤を作用させ、 トリテルぺノイドのクロライドを生成し、 これにメタノール、 エタノール、 イソプロピルアルコール、 ブタノール、 2—ェチルへキシルアルコ ール、 ォレイルアルコール、 セタノール、 ステアリルアルコール等所望の脂肪族 アルコールをトリエチルァミン等の塩基存在下で反応させることで行うことがで さる。
本発明に用いるトリテルぺノィド誘導体の製造方法をより具体的に示すと、 例 えば、 出発物質としてウルソ一ル酸、 ォレアノール酸、 べッリン酸又はこれらの 3位の炭素原子に結合する水酸基の水素原子を脂肪族の官能基で置換したトリテ ルぺノィ ド誘導体を用い、 少なくともその 2 8位のカルボキシル基の水素原子を 上記一般式 ( I ) で表される基で置換した構造の卜リテルぺノィド誘導体を製造 する場合には、 上記出発物質にアセトン等の極性溶媒下で、 芳香族環に結合する メチレン基もしくはメチン基に臭素添加ある t、は塩素添加した所望の試薬を反応 させる方法が好ましく挙げられる。
また、 ウルソ一ル酸、 ォレアノール酸、 べッリン酸又はこれらの 2 8位のカル ボキシル基の水素原子を脂肪族の官能基で置換した卜リテルぺノィド誘導体を出 発物質として用い、 その少なくとも 3位の炭素原子に結合する水酸基の水素原子 を上記一般式 (Π ) で表される基で置換した構造のトリテルぺノィド誘導体を製 造する場合、 芳香族環に炭素数 0〜 2のアルキレン基を介してカルボキシル基が 結合した構造を有する芳香族カルボン酸のカルボキシル基を臭素化あるいは塩素 化した試薬を、 上記出発物質にテトラヒドロフラン等の非極性溶媒の存在下で、 トリェチルアミン等の塩基の存在下において、 反応させる方法が好ましく挙げら れる。
さらに、 本発明に用いるトリテルぺノィド誘導体のうち、 ゥルソール酸、 ォレ ァノール酸又はべッリン酸の 2 8位のカルボキシル基の水素原子が芳香族環を有 する官能基で、 3位の炭素原子に結合する水酸基の水素原子が脂肪族の官能基で それぞれ置換された構造のトリテルぺノィド誘導体あるいは、 これらの 3位の炭 素原子に結合する水酸基の水素原子が芳香族環を有する官能基で、 2 8位のカル ボキシル基の水素原子が脂肪族の官能基でそれぞれ置換された構造の卜リテルべ ノイド誘導体においては、 ゥルソール酸、 ォレアノール酸又はべッリン酸の芳香
族官能基による置換を行つてから、 脂肪族官能基置換を行う製造方法を採ること も可能である。
本発明の光老化防止剤としては、 この様にして製造されるトリテルぺノィド誘 導体が用いられるがその他に前記トリテルべノィド誘導体の塩類を用 t、ることも 可能である。 トリテルぺノィド誘導体の塩類としては、 上記トリテルぺノィド誘 導体と無機、 有機の塩基とを反応させて得られるアンモニゥム塩、 アルカリ金属 塩、 あるいは有機アミン塩等を挙げることができる。
また、 本発明の光老化防止剤に適用されるウルソ一ル酸、 ォレアノール酸又は べッリン酸の 2 8位のカルボキシル基の水素原子及びノ又は 3位の炭素原子に結 合する水酸基の水素原子が官能基で置換されたトリテルぺノィド誘導体であって、 前記官能基の少なくとも一方が芳香族環を有する官能基であるトリテルぺノィド 誘導体及びその塩類は、 極めて安定であり、 製剤とした場合も変色、 変臭、 分解 失活などの経時的変化を起こさないので、 各種の剤型に対して安定かつ容易に配 合することができる。 次に本発明の皮膚化粧料について説明する。
( 2 ) 本発明の皮膚化粧料
本発明の皮膚化粧料は、 ゥルソール酸、 ォレアノール酸又はべッリン酸の 2 8 位のカルボキシル基の水素原子及びノ又は 3位の炭素原子に結合する水酸基の水 素原子が官能基で置換されたトリテルぺノィド誘導体であって、 前記官能基の少 なくとも一方が芳香族環を有する官能基であるトリテルぺノィド誘導体及びその 塩類の一種又は二種以上を含有する。
本発明の皮膚化粧料に配合するゥルソール酸、 ォレアノール酸又はべッリン酸 の 2 8位のカルボキシル基の水素原子及び Z又は 3位の炭素原子に結合する水酸 基の水素原子が官能基で置換されたトリテルぺノィド誘導体であって、 前記水素 原子の少なくとも一方が芳香族環を有する官能基で置換された卜リテルぺノィド 誘導体及びその塩類 (以下、 トリテルぺノィド化合物と呼ぶ) については、 ( 1 ) で述べた通りであり、 これと同様のトリテルぺノィ ド化合物が本発明の皮膚化粧 料に用いられる。
上記本発明の皮膚化粧料におけるトリテルぺノィ ド化合物の配合量は、 好まし くは、 化粧料全量に対して 0 . 0 0 0 1〜 1 0重量%、 より好ましくは、 0 . 0 0 1〜1重量%である。 上記トリテルぺノィ ド化合物の皮膚化粧料に対する配合 量が 0 . 0 0 0 1重量%より少ない量では、 シヮ等の肌の状態を改善する美肌効 果が十分に得られないことがあり、 また、 1 0重量%を越えた量を用いたとして も、 増加分に見合った効果が望めないことがある。
本発明の化粧料の剤型は、 特に限定されるものではなく、 例えば、 クリーム、 乳液、 オイル、 ローション、 パック、 水性ゲル、 オイルゲル及び軟膏などが挙げ られるカ^ 経皮吸収性の点からクリーム、 乳液、 オイルなどがより好ましい剤型 といえる。 これらの皮膚化粧料は、 上記トリテルぺノィ ド化合物が剤型に応じて 適宜選択され配合される以外は、 通常の皮膚化粧料と同様の方法で製造すること ができる。
また、 本発明の皮膚化粧料には、 上記トリテルぺノィ ド化合物以外に、 通常、 皮膚化粧料に適用される、 流動パラフィン、 ワセリン、 スクヮラン等の炭化水素 類、 ミ リスチン酸イソプロピル ( I P M) や合成ゲイロウ、 ホホバ油、 カルナウ バワックス等のエステル類、 ォリーブ油、 牛脂等の動植物油脂、 セタノール、 ス テアリルアルコール等の高級アルコール類、 ステアリン酸、 ォレイン酸等の高級 脂肪酸類、 ラウリル硫酸ナトリウム、 アルキルスルホコハク酸エステル等のァニ オン界面活性剤、 4級アルキルアミン塩等のカチオン界面活性剤、 脂肪酸モノグ リセライ ド、 ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等のノニオン界面活性剤、 アルキ ルべタイン等の両性界面活性剤等の界面活性剤類、 グリセリンゃプロピレングリ コール等の多価アルコール類、 エタノール、 プロパノール等の低級アルコール類、 パラベン類やグルコン酸クロルへキシジン等の防腐剤類、 パラァミノ安息香酸誘 導体、 ベンゾフヱノン誘導体等の紫外線吸収剤、 ビタミン Eやプチルヒドロキシ トルエン等の酸化防止剤、 アラビアゴム、 カルボキシビ二ルポリマー等の增粘剤、 ポリエチレングリコール等の保湿剤、 クェン酸塩、 酢酸塩等の p H調整剤、 酸化 チタン、 シリカゲル、 タルク等の粉体類、 香料、 色素等、 ヒアルロン酸、 胎盤抽 出物、 朝鮮人参エキス、 ビタミン類、 ステロール配糖体等の各種目的に応じた薬 効成分などが適宜選択されて配合される。
図面の簡単な説明 図 1は、 製造例 1で得られたゥルソール酸べンジルの1 H— N MRの測定結果を 示す図である。
図 2は、 製造例 1で得られたゥルソール酸べンジルの13 C—NMRの測定結果 を示す図である。
図 3は、 製造例 1で得られたウルソ一ル酸ベンジルの I Rの測定結果を示す図 である。 発明を実施するための最良の形態 以下に、 本発明の実施例を説明する。 まず、 本発明に用いるトリテルぺノィド 化合物の製造例について説明する。 製造例 1 ゥルソール酸ベンジル、 べッリン酸べンジル ゥルソール酸 1 gをァセトン 5 Om 1に溶解した溶液に、 臭化べンジル 5m 1、 炭酸カリウム 5 gを加え、 窒素雰囲気下、 室温で一昼夜撹拌し、 その後、 不溶物 を濾別した。 濾液より溶媒を留去後、 残渣をシリカゲルカラムにて精製して、 ゥ ルソール酸のベンジル誘導体 1. 2 g (収率 97%) を得た。 得られたゥルソー ル酸のベンジル誘導体について NMR (核磁気共鳴) 及び I R (赤外分光) の測 定を行った。 結果を、 'Η— NMRについては図 1に、 13C— NMRについては図 2に、 I Rについては図 3に示す。 これにより上記で得られたウルソ一ル酸のベ ンジル誘導体は、 ゥルソール酸の 28位のカルボキシル基の水素原子がベンジル 基で置換された構造のウルソ一ル酸べンジルであることが確認された。
上記ゥルソール酸の替わりにべッリン酸 1 gを用いて、 上記と同様の合成方法 によりべッリン酸の 28位のカルボキシル基の水素原子がベンジル基で置換され た構造のべッリン酸べンジル 1. 2 g (収率 97%) を得た。 製造例 2 ォレアノール酸メ トキシベンジル ォレアノール酸 1 gをァセトン 5 Om 1に溶解した溶液に、 臭化メ 卜キシベン
ジル 5m 1、 炭酸カリウム 5 gを加え、 窒素雰囲気下、 室温で一昼夜撹拌し、 そ の後、 不溶物を濾別した。 濾液より溶媒を留去後、 残渣をシリカゲルカラムにて 精製して、 ォレアノール酸の 28位のカルボキシル基の水素原子がメ トキシベン ジル基で置換された構造のォレアノール酸メ トキシベンジル 1. l g (収率 84 %) を得た。 製造例 3 べッリン酸ニトロベンジル、 ゥルソール酸ニトロべンジル べッリン酸 1 gをァセトン 5 Om 1に溶解した溶液に、 臭化ニトロべンジル 5 m 1、 炭酸力リゥム 5 gを加え、 窒素雰囲気下、 室温で一昼夜撹拌し、 その後、 不溶物を濾別した。 濾液より溶媒を留去後、 残渣をシリカゲルカラムにて精製し て、 べッリン酸の 28位のカルボキシル基の水素原子が二トロべンジル基で置換 された構造のべッリン酸ニトロべンジル 1. l g (収率 83%) を得た。
上記べッリン酸の替わりにゥルソール酸 1 gを用いて、 上記と同様の合成方法 によりゥルソール酸の 28位のカルボキシル基の水素原子が二トロべンジル基で 置換された構造のゥルソール酸ニトロべンジル 1. 05 g (収率 79%) を得た c 製造例 4 ウルソ一ル酸ナフチルメチル、 べッリン酸ナフチルメチル ゥルソール酸 1 gをァセトン 5 Om 1に溶解した溶液に、 臭化ナフチルメチル 5 g、 炭酸カリウム 5 gを加え、 窒素雰囲気下、 室温で一昼夜撹拌し、 その後、 不溶物を濾別した。 濾液より溶媒を留去後、 残渣をシリカゲルカラムにて精製し て、 ゥルソール酸の 28位のカルボキシル基の水素原子がナフチルメチル基で置 換された構造のウルソ一ル酸ナフチルメチル 0. 95 g (収率 72%) を得た。 上記ウルソール酸の替わりにべッリン酸 1 gを用いて、 上記と同様の合成方法 によりべッリン酸の 28位のカルボキシル基の水素原子がナフチルメチル基で置 換された構造のべッリン酸ナフチルメチル 0. 96 g (収率 73%) を得た。 製造例 5 ォレアノール酸ジフヱニルメチル ォレアノール酸 1 gをァセトン 5 Om 1に溶解した溶液に、 臭化ジフヱニルメ タン 5 g、 炭酸カリウム 5 gを加え、 窒素雰囲気下、 室温で一昼夜攪拌し、 その
後、 不溶物を濾別した。 濾液より溶媒を除去後、 残渣をシリカゲルカラムにて精 製して、 ォレアノール酸の 2 8位のカルボキシル基の水素原子がジフヱ二ルメチ ル基で置換された構造のォレアノール酸ジフヱニルメチル 1 . 0 5 g (収率 7 7 % ) を得た。 製造例 6 べッリン酸フ Xニルベンジル、 ォレアノール酸フ Xニルベンジル べッリン酸 1 gをァセトン 5 0 m 1に溶解した溶液に、 臭化メチルビフヱニル 5 g、 炭酸カリウム 5 gを加え、 窒素雰囲気下、 室温で一昼夜攪拌し、 その後、 不溶物を濾別した。 濾液より溶媒を除去後、 残渣をシリカゲルカラムにて精製し て、 べッリン酸の 2 8位のカルボキシル基の水素原子がフエニルベンジル基で置 換された構造のべッリン酸フヱニルベンジル 1 . 1 g (収率 8 0 %) を得た。 上記べッリン酸の替わりにォレアノール酸 1 gを用いて、 上記と同様の合成方 法によりォレアノ一ル酸の 2 8位のカルボキシル基の水素原子がフヱニルべンジ ル基で置換された構造のォレアノール酸フヱニルベンジル 1 . l g (収率 8 0 %) を得た。 製造例 7 ベンゾィルォレアノール酸 ォレアノール酸 1 gをテトラヒドロフラン 5 O m 1に溶解し、 これにトリエチ ルァミン 3 gを加えた混合溶液に、 塩化ベンゾィル 1 gを氷冷下、 窒素雰囲気中 で滴下,撹拌し、 ついで室温で 2時間撹拌した。 その後、 反応物を酢酸ェチルに て抽出し、 得られた抽出液を 2 %塩酸水溶液、 飽和炭酸ナトリウム水、 硫酸ナト リウムにてそれぞれ処理し、 濾過して粗精製物を得た。 これをシリカゲルカラム を用いて精製し、 白色結晶のベンゾィルォレアノール酸 (ォレアノール酸の 3位 の炭素原子に結合する水酸基の水素原子がベンゾィル基で置換された化合物) 1 . 0 2 gを得た。 収率は 8 0 . 5 %であった。 製造例 8 メ 卜キシベンゾィルべッリン酸 べッリン酸 1 gをテトラヒドロフラン 5 O m 1に溶解し、 これに卜リエチルァ ミン 3 gを加えた混合溶液に、 塩化メ トキシベンゾィル 1 gを氷冷下、 窒素雰囲
気中で滴下 '撹拌し、 ついで室温で 2時間撹拌した。 その後、 反応物を酢酸ェチ ルにて抽出し、 得られた抽出液を 2 %塩酸水溶液、 飽和炭酸ナトリウム水、 硫酸 ナトリウムにてそれぞれ処理し、 濾過して粗精製物を得た。 これをシリカゲル力 ラムを用いて精製し、 べッリン酸の 3位の炭素原子に結合する水酸基の水素原子 がメ 卜キシベンゾィル基で置換された構造のメ 卜キシベンゾィルべッリン酸 1 g を得た。 収率は 7 6 %であった。 製造例 9 フヱニルプロピオニルゥルソール酸 ゥルソール酸 1 gをテトラヒドロフラン 5 0 m 1に溶解し、 これに卜リエチル ァミン 3 gを加えた混合溶液に、 塩化フヱニルプロピオニル 1 gを氷冷下、 窒素 雰囲気中で滴下 ·撹拌し、 ついで室温で 2時間撹拌した。 その後、 反応物を酢酸 ェチルにて抽出し、 得られた抽出液を 2 %塩酸水溶液、 飽和炭酸ナトリウム水、 硫酸ナトリウムにてそれぞれ処理し、 濾過して粗精製物を得た。 これをシリカゲ ルカラムを用いて精製し、 白色結晶のフヱニルプロピオニルゥルソール酸 (ウル ソール酸の 3位の炭素原子に結合する水酸基の水素原子がフヱニルプロピオニル 基で置換された化合物) 1 . 0 5 gを得た。 収率は 7 8 . 1 %であった。 製造例 1 0 ベンジルべッリン酸ー 2—ェチルへキシル べッリン酸 4 5 . 7 gとトリエチルァミン 1 0 . 1 gをベンゼン 1 0 0 m 1に 溶解した混合液に、 別に新しく蒸留した塩化チオン 1 1 . 9 gをベンゼン 3 0 m 1に溶解したものを、 氷冷下において滴下しながら 1時間攪拌反応させた。 反応 液から生成したべッリン酸クロライドを取り出すことなく、 これに、 2—ェチル へキシルアルコール 1 2 g、 トリェチルァミン 1 0 . 1 gをベンゼン 3 0 m 1に 溶解した混合液をさらに氷冷下で滴下し、 3時間反応させた。 その後、 生成した 卜リエチルアミン塩酸塩を濾別し、 溶媒を 4 0 以下で留去してべッリン酸ー 2 一ェチルへキシルを得た。 得られたべッリン酸一 2—ェチルへキシルをベンゼン 2 0 0 m lに溶解し、 これに卜リエチルアミン 3 2 gを加えた混合液に、 臭化べ ンジル 3 O m 1を氷冷下において滴下しながら 1時間攪拌反応させ、 次いで室温 で 2時間攪拌、 さらにベンゼンの沸点温度で 1時間の還流を行った。 反応停止後、
未反応トリェチルァミンを 2 %塩酸で処理した後、 反応物を酢酸ェチルで抽出し、 抽出液から抽出溶媒を留去して、 粗精製物を得た。 精製はカラムを用い、 へキサ ンノエ一テル (9 Z 1 ) 溶媒により溶出させることにより行い、 無色液体のベン ジルべッリン酸一 2—ェチルへキシル (べッリン酸一 2—ェチルへキシルの 3位 の炭素原子に結合する水酸基の水素原子がベンジル基で置換された化合物) 3 2 gを得た。 収率は 5 0 %であった。
<本発明の光老化防止剤の評価 >
上記各製造例で得られた卜リテルぺノィド化合物について安全性及び皮膚の光 老化防止効果を以下の方法で試験し、 本発明の光老化防止剤の評価とした。
( 1 ) 安全性試験
( 1 ) - 1 · 皮膚刺激性試験
上記各製造例で得られたゥルソール酸ベンジル、 ォレアノール酸メ 卜キシベン ジル、 べッリン酸ニトロベンジル、 ゥルソール酸ナフチルメチル、 ォレアノール 酸ジフヱニルメチル、 ベンゾィルォレアノール酸、 メ 卜キシベンゾィルべッリン 酸、 フユニルプロピオニルゥルソール酸についての皮膚刺激性試験を、 実験動物 としてハ一トレー系モルモッ 卜 (3 0 0〜 5 0 0 g、 雌) を用いて行った。
1群 6匹ずつのモルモッ 卜の背部を除 ·剃毛した後、 除 ·剃毛部に、 上記各製 造例で得られたトリテルぺノィドの芳香族化合物誘導体を 1 0重量%濃度で含有 する白色ヮセリン 5 0 を直径1 5 mmの布製パッチにしみ込ませプラスチッ ク絆創膏に装着したものを、 貼り付け、 2 4時間のクローズドパッチを行った。 クローズドパッチ終了後、 プラスチック絆創膏を除去した直後 (0時間後) 及び 2 4時間後の皮膚反応を下記判定基準に従って評価し、 試験群毎に 6匹の平均評 価点を算出した。
(判定基準)
0 皮膚反応を認めない
1 微弱或 t、は境界不明確な紅斑
2 明らかな紅斑
3 : 浮腫を伴う反応
4 : 潰瘍 ·壊死等の反応 また、 コントロールとして白色ワセリンのみで上記同様の試験、 評価を行った < 結果を表 1に示す。 表 1
(1 ) - 2. アレルギー性試験
上記各製造例で得られたゥルソール酸ベンジル、 ォレアノール酸メ トキシベン ジル、 べッリン酸フヱニルベンジル、 ベンゾィルォレアノール酸、 メ 卜キシベン ゾィルべッリン酸、 フヱニルプロピオニルゥルソール酸についてのアレルギー性 試験を、 実験動物としてハートレー系モルモッ ト (300〜500 g、 雌) を用 いて実施した。
1群 6匹ずつのモルモッ 卜に、 オリ一ブ油で 3 wZ v %濃度としたトリテルべ ノィ ドの芳香族化合物誘導体、 ォリーブ油で 0 . 3 V %濃度とした卜リテル ぺノイ ドの芳香族化合物誘導体、 オリーブ油をマキシマイゼ一シヨン (maximiza tion) 法にて作用させ、 感作誘導を行った。
その後、 十分な免疫応答を引き起こすために最終感作日から 1 0日間の猶予期 間をおいた後、 各群のモルモッ卜の背部皮膚に、 オリ一ブ油で 3 wZ v %濃度、 0 . 3 wZ v %濃度としたトリテルぺノイドの芳香族化合物誘導体、 ォリーブ油 のみのそれぞれ 1 0 0 u 1を、 直径 1 . 5 c mのパッチ板に塗布して貼付し、 そ の 2 4時間後にパッチ板を除去した。 パッチ板除去後 2 4時間の皮膚反応を下記 判定基準に従って評価し、 試験群毎に平均点を算出した。 結果を表 2に示す。
(判定基準)
0 皮膚反応を認めない
1 微弱或 L、は境界不明確な紅斑
2 明らかな紅斑
3 浮腫を伴う反応
4 潰瘍 ·壊死等の反応
表 2
評 価 点 (平均値) 化 合 物 名
70 0 . 3 % 才リ-フ"油 惹 群 惹起群
3 %感作群 0. 17 0 0. 33
* ノレノ——ノレ へノンノレ υ 0. 17 0
+ 1ϊ— "7 ¾fa成ノ Λ
U π υ
3 %感作群 0. 33 ο 0. 17 0 s?
ォレ ル酸メトキノへ ノゾ ル ϋ· d 0%/ i f¾f 群 U 0 0. 17
4オ1リ1—- 17 ?田愁 群 υ. 1 U 1 1 υ
3 96感作群 0. 17 0. 17 0. 17 へ /リノ^ 7エールへ ノン ル Ό 0 0 オリ-フ 油感作群 υ ϋ 0. 17
3 %感作群 0 0 0 ぺ ノノ ィルォレ; 7;—ル.S酸 υ 0 0 オリ- 7 油感作辟 υ υ υ
3 96感作群 0. 17 0 0. 17 メトキン ン ィルへ" 7リン酸 0. 3%感作群 0 0. 17 0 オリ-フ"油感作群 0 0 0. 17
3 9 感作群 0 0 0 フエニルフ° 0ピオニルウルソ-ル酸 0. 3%感作群 0. 17 0 0 オリ-フ'油感作群 0 0 0
これらの結果から明らかなように、 上記製造例で得られた卜リテルぺノィ ド化 合物はいずれも、 皮膚刺激性、 アレルギー性がともにほとんど認められず、 従つ て本発明の光老化防止剤は、 安全性に優れるといえる。
( 2 ) U Vシヮモデル改善試験
上記各製造例で得られたゥルソール酸ベンジル、 ォレアノール酸メ トキシベン ジル、 べッリン酸フヱニルベンジル、 ベンゾィルォレアノール酸、 メ トキシベン ゾィルべッリン酸、 フエニルプロピオニルゥルソール酸についての U Vシヮモデ ル改善試験を、 実験動物としてへアレスマウス (5週齢、 雌) を用いて行った。
1群 1 0匹ずつのへアレスマウスの背部皮膚に U V B ( 6 0 m J / c m 2) を、 1日 1回、 1週間に 5日の割合で照射し、 8週間後、 背部皮膚に光老化によるシ ヮ形成を確認した。 その後、 上記各製造例で得られたトリテルぺノィ ドの芳香族 化合物誘導体を表 3に示す濃度で含有するエタノール溶液 1 0 0 1を 1日 1回、 1週間に 5日の割合で塗布した。 塗布開始から 9週間後に光老化による皮膚のシ ヮの改善程度を下記判定基準で肉眼評価した。
(判定基準)
一 : シヮ改善効果が認められない
土 : ややシヮ改善効果が認められる
+ シヮ改善効果が認められる 比較のために、 従来から光老化を防止する作用を有する薬剤として用いられて いるパルミ 卜ィルォレアノール酸、 2—ェチルへキサノィルゥルソール酸ー 2— ェチルへキシルをそれぞれ 1 %濃度でエタノールに溶解した溶液を、 また、 コン トロールとしてエタノールのみを、 上記同様に U V B照射後のへアレスマウスに 塗布したときのシヮの改善程度をそれぞれ評価した。 結果を表 3に示す。
表 3
この結果から、 上記製造例で得られたトリテルぺノィドの芳香族化合物誘導体 は、 従来から用いられているパルミ トイルォレアノール酸、 2—ェチルへキサノ ィルゥルソール酸ー 2—ェチルへキシルのような、 ウルソ一ル酸、 ォレアノール 酸、 べッリン酸等のトリテルぺノィドの 3位の炭素原子に結合する水酸基を脂肪 族化合物によりァシル化及び Z又は 2 8位のカルボキシル基を脂肪族化合物によ りエステル化して得られる卜リテルぺノィド誘導体に比べ、 極めて低濃度 (1 / 2 0〜 1 / 2 0 0程度の濃度) の投与で光老化による皮膚のシヮ改善効果を十分 に発揮することが明らかであり、 従って本発明の光老化防止剤が優れた光老化防 止作用を有するといえる。
次に、 上記各製造例で得られた卜リテルぺノィ ドの芳香族化合物誘導体を配合 した本発明の皮膚化粧料の実施例について説明する。 尚、 以下に用いる配合量は 全て重量部である。 実施例 1 化粧水 表 4に示す A成分を室温下にて溶解し、 これに、 これとは別に室温下にて溶解 した B成分を加え可溶化して、 上記製造例 1で得られたゥルソール酸ベンジルを 含有する化粧水を製造した。 また、 同様にしてゥルソール酸ベンジルの替わりに 従来より用いられているトリテルぺノィド誘導体 (ォクタノィルゥルソール酸) を配合した比較例の化粧水を製造した。 表 4
配合量 (重量部) 成 分
実施例 1 比較例 1 エタノール 8. 0 8. 0 製造例 1のゥルソール酸べンジル 0. 05
A ォクタノィルゥルソール酸 1. 0 1, 3—ブチレングリコール' 6. 0 6. 0 グリセリ ン 3. 0 3. 0 ポリオキシエチレン(20)ォレイルェ一テル 0. 5 0. 5 メチルパラベン 0. 1 0. 1 香料 0. 05 0. 05
B クェン酸 0. 1 0. 1 クェン酸ナトリゥム 0. 1 5 0. 1 5 精製水 82. 05 8 1. 1
実施例 2 乳液 表 5の A成分を加熱混合し 70 とし、 これとは別に 70 に加熱混合した B 成分に A成分を加え乳化し冷却しながら C成分を加えて、 上記製造例 2で得られ たォレアノール酸メ トキシベンジルを含有する乳液を製造した。 また、 同様にし てォレアノール酸メ トキシベンジルの替わりに従来より用いられているトリテル ぺノィ ド誘導体 (パルミ 卜ィルォレアノール酸ェチル) を配合した比較例の化粧 水を製造した。 表 5
配 合 量 (重量部) 成 分
実施例 2 比較例 2 スクヮラン 3. 5 3. 5 0ラフ ンワックス 130 1. 0 1. 0 水添牛脂 1. 3 1. 3 ヒドロキシステアリン酸コレステリル 0. 65 0. 65
A ステアリン酸モノグリセライ ド 3. 0 3. 0
才レイン酸トリグリセライ ド 7. 5 7. 5 ステアリン酸 1. 5 1. 5 製造例 2の才レ 17-ル酸メトキシ ンシ"ル 0. 05
。ルミ トイルォレアノール酸ェチル 0. 5 グリセリン 1 0. 0 10. 0 ジプロピレングリコール 5. 0 5. 0
B P E G - 1 500 1. 0 1. 0
水酸化ナトリウム 0. 2 0. 2 ェチルパラベン 0. 2 0. 2 精製水 64. 9 64. 45
C 香料 0. 2 0. 2
実施例 3 クリーム 表 6の A成分を加熱混合し 70 とし、 これに、 これとは別に 70てに加熱混 合した B成分を加えて乳化し 35 まで冷却し、 これにさらに C成分を加えて、 上記製造例 4で得られたべッリン酸ナフチルメチルを含有するクリームを製造し た。 表 6
成 分 配 合 量 スクヮラン 1 1. 0 ホホ ヾ油 8. 0 ドコサングリコールィソステアレート 3. 0 トリ 2—ェチルへキサン酸グリセリル 5. 0 ジカプリン酸ネオペンチルグリコール 4. 5
A ステアリルアルコール 2. 0
水添 ム核油 1. 5 ステアリン酸 1. 0 ポリオキシエチレン(5)ステアリン酸モノグリセライ ド 1. 1 ステアリン酸モノグリセライ ド 3. 0 製造例 4で得られたべッリン酸ナフチルメチル 0. 0 1 ェチル °ラベン 0. 3 水酸化力リウ厶 0. 03
B プロピレングリコール 5. 0
ジプロピレングリコール 4. 0 精製水 50. 36
C 香料 0. 2
実施例 4 クリーム 表 7の A成分を 80 に加熱し、 これに、 これとは別に 80てに加熱した B成 分を加えて攪拌乳化した後、 35 まで冷却して、 上記製造例 1で得られたべッ リン酸ベンジルを含有するクリームを製造した。
成 分 配合量 (重量部) t 、 八 スクヮフ ン 1 0. 0
ノ 、 、ノ — ) .マ—二
- ノス: r / リ ノ酸 J レス: rリノレ < . 0
13レス "□—ノレ 1. 2
八 ノヽナノレ ノレ J一ノレ 1. 0 ホホノヾ油 3リ ·
ジカプリン酸ネオペンチルグリコール 8. 5 ミ リスチン酸卜リグリセライド 1. 7 ステアリン酸ジグリセライ ド 1. 5
A イソステアリン酸ジグリセライ ド 1. 0
スフイ ンゴ脂質 2. 3 セ 卜スァ /リノレアノレコーノレ 0. 3 ミ リスチン酸 2. 0 ステアリン酸 2. 5
POE ( 1 0) メチルグルコシド 4. 0
2—ヒ ドロキシ一 4—メ トキシベンゾフエノン 0. 5 酢酸トコフヱロール 0. 1 メチルパラベン 0. 4 ェチルパラベン 0. 2 ブチルパラベン 0. 1 製造例 1で得られたべッリ ン酸べンジル 0. 0 1 精製水 3 6. 32
1, 3—ブチレングリコール 2. 1 5
B グリセリン 1 3. 6
水酸化ナトリウム 0. 0 1 水酸化カリウム 0. 0 1
実施例 5 乳液 表 8の A成分及び B成分を 70 で各々攪拌しながら溶解した後、 B成分に A 成分を加え予備乳化を行った。 次に、 これをホモミキサーで均一に乳化した後、 かき混ぜながら 30 まで冷却して、 上記製造例 6で得られたォレアノール酸フ Xニルべンジルを含有する乳液を製造した。 表 8
成 分 配合量 (重量部) 口 fiXノ っ iソ 9 Ό
セタノール 1. 0 マカデミアナッツ油 4. 0 ステアリン酸 1. 0
A モノステアリン酸ポリエチレングリコール(25EO) 2. 2
ステアリン酸モノグリセライ ド 0. 5 ブチルハ°ラベン 0. 1 ァ一トコフエロール 0. 05
B HT 0. 0 1
4-(1, 1-シ"メチルヱチル) -4' -メトキシ-シ "へ"ンソ"ィルメタン 0. 5
1, 3—ブチレングリコール 3. 0 プロピレングリコール 7. 0 キサン夕ンガム 0. 1
B カルボキシビ二ルポリマ一 0. 2
水酸化力リウム 0. 2 製造例 6のォレアノ一ル酸フヱニルベンジル 0. 005 精製水 77. 635
実施例 6 化粧水 表 9に示す A成分を室温下にて溶解し、 これに、 これとは別に室温下にて溶解 した B成分を加え可溶化して、 上記製造例 3で得られたウルソ一ル酸二トロベン ジルを含有する化粧水を製造した。 表 9
<本発明の皮膚化粧料の評価〉
上記実施例 1、 2及び比較例 1、 2で得られた皮膚化粧料を用いて実使用テス トを行い、 本発明の皮膚化粧料の美肌効果を評価した。
目尻に明瞭なシヮを有する本邦男性 2 0名をパネラーとして 1 0名ずつ 2グル ープに分かれて実験 (半顔テスト) に参加してもらった。 実験に先立ってパネラ
一全員の顔の写真撮影を行った。 その後、 Aグループのパネラーの顔面の片方の 目尻には、 実施例 1の化粧水を、 他方の目尻には比較例 1の化粧水を、 また、 B グループのパネラーの顔面の片方の目尻には、 実施例 2の乳液を、 他方の目尻に は比較例 2の乳液を、 それぞれ通常の方法で 1日 2回、 6週間にわたり連続して 使用してもらった。 使用開始から 6週間後に、 シヮの改善状態及び自然増悪の状 態について、 各グループ內で上記写真を用いて使用開始前の状態と使用 6週間後 の状態とを比較し以下の評価基準で評価した。 結果を表 1 0に示す。
(評価基準)
+ + + 著明改善
+ + かなり改善
+ やや改善
変化なし
自然増悪 表 1 0
この結果から明らかなように、 トリテルぺノィドの芳香族化合物誘導体を含有 する実施例の皮膚化粧料についてはシヮ改善効果に関して評価内容が良好であり、
また、 ォクタノィルゥルソール酸、 パルミ トイルォレアノール酸ェチル等の従来 より用いられている卜リテルぺノィド誘導体を上記本発明の皮膚化粧料における トリテルぺノィ ド芳香族化合物誘導体の 1 0倍以上の濃度で含有する比較例の皮 膚化粧料と本発明の皮膚化粧料とは同等のシヮ改善効果を発揮することが確認さ れた。 なお、 本発明の皮膚化粧料は使用時におけるベタツキ感等の感触的な弊害 がほとんどないことも同時に確認された。 産業上の利用性 本発明の光老化防止剤は、 安全性が高く且つ従来の卜リテルぺノィ ド化合物に 比べて光老化防止作用に優れるため、 組成物に配合する際に少量の配合量で十分 な光老化防止作用を発揮することが可能である。 また、 本発明の皮虡化粧料はシ ヮ等を防止、 改善する美肌効果に優れると共に、 皮膚に弊害なく安全に使用する ことができる。