WO1997015437A1 - Mold for molding a resin lens and resin lens produced by using the same mold - Google Patents

Description

明 細 書 樹脂レ ンズの成形用モール ド及びこ の モール ドを用いて作られた樹脂レ ンズ

[ 技 術 分 野 ]

本発明は、 樹脂レ ンズの成形用モール ドの形伏及びこのモール ド を用いて作られた樹脂レンズに関するものである。

[ 背 景 技 術 ]

例えば、 プラスチッ ク製の眼鏡用レンズにおいて、 常用範囲の度 数を持つレ ンズは注型重合成形法により製作されているが、 眼鏡処 方に基づいて製作される処方レンズ、 特に強度数でしかも球面度及 び乱視度を併せもつレンズにあっては、 ほとんど全て予備的に製作 された半製品レンズから、 眼鏡処方に基づいて研磨加工するこ とに より製作されている。

この半製品レンズからの研磨加工作業においては、 両面と もに眼 鏡処方に基づいて研磨加工するより も、 片面を研磨加工不要な成形 面にし、 他の面を未加工面に成形しておいて、 この未加工面だけを 処方に基づいて研磨加工するのが能率的である。

眼鏡用 レンズは一般的にメニスカス形状を有しており、 凹面が任 意の単純な曲率をもったモール ドにより成形されて、 通常球面形状 の未加工面と して成形され、 また凸面が所定の形状および曲率で高 精度に研磨加工されたモール ドにより成形されて、 該モ一ル ド面に 対応する球面形状の研磨加工不要な成形面に形成されており、 顧客 の眼鏡処方が決定されると、 その処方に基づいて未加工の前記凹面 を研磨加工する こ とにより、 顧客が所望する処方レンズを完成し提 供する こ と と していた。

以上述べたよ うに、 半製品レ ンズにあっては、 これを処方レ ンズ と して完成するには、 凹面側を研磨加工する必要があり、 双曲面あ るいは楕円面などの非球面形状や複雑な トロイ ダル面を構成する乱 視レンズを研磨加工する場合、 多種類の複雑な治工具を要すると と もに、 きわめて高度な技術を必要とする。 そのため加工精度の高い レンズを得るためには多大な加工時間を要する と言った欠点があつ 又、 一般的にプラ スチ ッ ク製の単焦点レ ンズのうち、 半製品レ ン ズを研磨加工して完成する処方レンズは、 レンズメ ーカーで通常的 に生産されている範囲以外の特殊な度数用と して主に使用されるも のであり、 球面度及び乱視度はかなり強度数のレンズが主体である。 そのため、 前記のよ うに凹面を研磨加工する こ とで完成される レ ン ズは、 その周縁部の厚さがかなり厚く なり、 外観的に好ま しいもの ではない。

さ らに、 球面度も乱視度も球面形状であって、 研磨加工して製作 された レ ンズには球面収差が生じる欠点があり、 前記のように強度 数であるがゆえに、 こ の球面収差の問題がよ り大きいものとなって いる。

殊に、 研磨加工上、 技術的に量産加工するのが非常に難しい形状 のプラスチ ッ ク製レ ンズは、 必要とされる複雑な形状をその都度研 磨加工によ り製作するのではなく 、 形状的に複雑で研磨加工が難し く高度な技術を必要とするほうの面を、 これに対応する任意の形状、 曲率で高精度に形成されたモール ドを用いて、 該モ一ル ド面に対応 した研磨加工不要な成形面と しておく 方が、 研磨加工の難易性、 お よび生産歩留ま りや加工時間の点からは、 より望ま しいものである。 かかる問題点を克服するために、 本発明者は、 凸面が球面形状の 未加工面に、 凹面が双曲面あるいは楕円面などの非球面形状を有す るかあるいはそれらの非球面形状に ト ロイダル面などが付加された 特殊な面形状を有する研磨加工不要な成形レ ンズ面に成形された半 製品レンズとするこ とを試み、 その成果を実願平 1 — 3 8 2 3 5号 にて示した。

その実用段階では、 図 4 に示すような レンズ両面を成形する一対 のモール ド 7 , 9 と、 その両者を結合するガスケッ ト 8 とよりなる 成形型を用い、 レ ンズ材料の樹脂 4を注入して成形するが、 レ ンズ の凹面側を成形するモール ド 7 とガスケ ッ ト 8の密封性を良好にす るために、 該モール ド 7の周縁部における曲面に追随するように、 モール ド当接部分の高さ H ' を周方向で変化させ且つモール ドの曲 面 Eに合致させるようにして前記ガスケ ッ 卜 8を製作していた。

しかし、 ガスケッ トは射出成形により製作される関係上、 金型を 必要とするため、 前記モール ド当接部分を、 モール ドの非球面及び Z又は ト ロイダル面の変化に合致させるためは多数の金型を必要と し、 コス トが莫大になり、 レンズコス トを押し上げる結果を招く こ ととなつた。 又、 図 4 に示すように、 ガスケ ッ ト 8 とモール ド 7の 密着面は、 E部及び F部の 2面のみであつて密着性に不安があり、 密着性をさ らに向上させる要求が高ま ってきた。

そこで、 本発明は、 成形用モール ドの形状を改善して、 前記の問 題を解決し、 樹脂レ ンズの注型重合成形に使用する成形型における ガスケ ッ 卜の種類、 ひいてはガスケッ ト成形用金型の種類や数の削 減を図ると と もに、 モール ドとガスケ ッ 卜の密着性を向上させる こ と、 また射出成形用の成形型における同様の問題を解決するこ と、 さ らには成形される樹脂レ ンズのコス 卜低減を図るこ とを解決課題 とするものである。

[発明の 開示 ]

本発明は、 レ ンズ両面を成形する一対のモール ドと、 両モール ド を結合するガスケッ 卜 とよりなる樹脂レ ンズの成形型における成形 用モール ドであって、 精密に研磨加工された面が双曲面あるいは楕 円面などの非球面及びノ又は トロイダル面を構成するものにおいて、 前記モール ドのガスケッ 卜 との当接部分の面の少な く とも一面が同 —平面に形成されている こ とを特徴とする。

これにより、 成形型を構成する両モ一ル ドを結合するガスケッ 卜 は、 モール ドとの対接部分を、 前記同一平面と対応する平面を有す るよう に形成しておく こ とができるので、 モール ド毎に異なったガ スケッ 卜を使用する必要がなく、 一種類の同じガスケ ッ トを各モー ル ドに共通に使用できる。 そのためガスケッ 卜を製造する金型の種 類と数を大幅に削減でき、 レ ンズコス トを低減できる。

本発明は、 前記ガスケッ 卜 とモール ドの当接部分の面が同一平面 より形成される面と該面に隣接する他の少なく とも二つの面で形成 されたものとするこ とができる。 これにより、 同一平面より形成さ れる面と、 これに隣接する面とにより、 モール ドとガスケ ッ ト との 密封性が向上し、 またこれにより泡発生や早期離型を防止できる。

また前記において、 モール ドにおける周縁部の精密に研磨加工さ れた面の側が切欠されて、 ガスケ ッ ト との当接部分の面が、 同一平 面をなす段状をなす面と該面に交差して隣接する面とに形成されて なる ものが好ま しい。 これにより、 モール ドとガスケ ッ トの間の密 封性をさ らに向上できる。

さ らに、 本発明は、 レ ンズ両面を成形する一対のモール ドと、 両 モール ド間に介設されるライナーとよりなる樹脂レ ンズの成形型に おける成形用モール ドであって、 精密に研磨加工された面が双曲面 あるいは楕円面などの非球面及びノ又は 卜 ロイダル面を構成する も のにおいて、 前記モール ドのライナーとの当接部分の面の少なく と も一面が同一平面に形成されているこ とを特徴とする。

この場合も、 成形型を構成する両モール ド間に介設されるライナ —をモール ド毎に変更する必要がなく、 ライナーの種類および数を 削減でき、 コス ト低減を図るこ とができる。

また本発明は、 上記各発明の成形用モール ドを用いて成形された 眼鏡用または光学機器用の樹脂レンズを特徴と し、 これにより コス ト安価なレンズを得るこ とができる。

[図面の簡単な説明]

図 1 は、 本発明の実施例のモール ドとガスケ ッ 卜の関係を示す断 面図である。

図 2 は、 図 1 の一部拡大図である。

図 3 は、 本発明の他の実施例の断面図である。

図 4は、 従来の成形型におけるモール ドとガスケ ッ 卜の関係を示 す断面図である。 [発明を実施するための最良の形態] 図 1 は、 本発明の一実施例を示す樹脂レ ンズの注型重合に使用す る成形型の断面図である。 図において、 1及び 2 はレ ンズ両面を成 形する一対のモール ドであり、 3 は両モール ド 1， 2を結合する環 状のガスケ ッ 卜である。 両モール ド 1， 2 はガスケッ ト 3に上下か ら嵌合されて、 ガスケッ ト 3 の内側突出部分 3 aを挟んだ状態で所 定の間隔に保持される。 4 はレンズ材料の樹脂を示し、 ガスケッ ト 3 に有する注入口 1 0より注入されたものである。

図 1 の一点鎖線で示した円の部分を拡大して図 2に示した。 モ一 ル ド 1 は、 ガスケッ ト 3 との当接部分になる周縁部が、 レンズ成形 面となる精密に研磨加工された面 5の側より切欠形成されるこ とに より、 図において水平な段状をなす面 Aが全周に亘り同一平面に存 在するよう に形成され、 この面 Aに隣接する内側の面 B及びモール ド外周の面 Cは前記面 Aに直交し且つガスケッ 卜 3に軽く押し当た るように設定されている。

こ こで、 前記面 Bの高さ hは、 モール ド全周において、 モール ド 1の精密な研磨加工面 5の双曲面あるいは楕円面などの非球面及び Z又は ト ロイ ダル面の形状に追随して変化する。

上記の構成において、 従来のモール ドと大き く異なる点は、 モー ル ド 1 の前記研磨加工面 5の側に面 Aと面 Bの二面を設けている こ とである。 又、 面 A及び面 Bは必ずし も直交する必要はな く 交差方 向をな して隣接する二面であればよい。 これによりモール ド 1 とガ スケッ ト 3 とは、 前記面 A , Bおよび Cの三面で密着し、 密封性が 改良される。

またモール ド 2の成形面 6 は、 検眼処方に基づいて球面形状の凸 面に研磨加工する レ ンズの面を成形する ものであり、 所定の曲率半 径を有する球面でよいから、 周縁部のガスケッ ト 3 と接する部分の 面 Dは同一平面内に存在するこ と となる。 従ってガスケッ ト 3のス ぺーサと しての役割を持つ内側突出部分 3 aの高さ Hは一定となる。

すなわち、 ガスケ ッ ト 3 は、 両モール ド 1 , 2 との対接部分を、 前記両モール ドの同一平面内に存在する面 Aおよび面 Dと対応する 平面を前記内側突出部分 3 a に形成するこ とで、 前記内側突出部分 3 aを一定の高さ Hに形成しておけるので、 モール ド毎に異なった ガスケ ッ トを使用する必要がない。

したがって、 前記の構成とする こ とで、 ガスケッ ト 3を射出成形 する際の金型は一種類でよいこ とになる。 また極度の乱視に対応す るこ とを考慮しても、 2ないし 3種類の金型を用意しておく だけで 使用上さ しっかえないこ とになる。

図 3は、 樹脂レンズを射出成形する成形型に本発明を適用 した実 施例を示している。

この実施例では、 上下のモール ド 1 1 , 1 2の間にスぺ一ザの役 割をするライナー 1 3が介設される。 そ してモール ド 1 1のライナ 一 1 3 との当接部分、 すなわち前記同様の精密な研磨加工面 1 5に 形成された型部分 1 1 aの周囲において、 面 A 1 が全周に亘り同一 平面に存在するように形成され、 さ らにこの面 A 1 に隣接する内側 の面 B 1 が前記面 A 1 に直交するように形成されている。 この場合 も、 前記面 B 1 の高さ h i は、 前記型部分 1 1 aの全周において、 研磨加工面 1 5の非球面及び Z又は トロイダル面の形状に追随して 変化する。

またモール ド 1 2 は、 検眼処方に基づいて球面形状の凸面に研磨 加工する面を成形する成形面 1 6が型部分 1 2 aに形成されており、 ライナー 1 3 との当接部分となる前記成形面 1 6の周囲において、 面 D 1 が全周に亘り同一平面に存在するように形成され、 さ らにこ の面 D 1 に隣接する内側の面 G 1 が前記面 D 1 に直交するよ うに形 成されている。

そのため両モール ド 1 1， 1 2の面 A 1 と面 D 1 との間の間隔が 一定となり、 この間に介設されるライナー 1 3の厚み T も一定とな る。 この場合も、 成形装置を構成する両モール ド間に介設されるラ イナ一をモール ド毎に変更する必要がな く、 ライナーの種類および 数を削減できる。

したがって、 上記各実施例の成形型における成形用モール ドを用 いる こ とにより、 眼鏡用または光学機器用の樹脂レンズをコス ト安 価に成形できる。

なお、 本発明はレンズの対物面側を非球面とする場合においても、 上記のモール ドとガスケッ トまたはライナーとの当接部分の構成を 上記同様に構成して実施するこ とができる。

[産業上の利用可能性]

以上説明したよ うに、 本発明の成形用モール ドを備える成形型に よれば、 モール ドが精密な研磨加工面が双曲面、 楕円面などの非球 面及び Z又は ト ロイダル面で構成されていても、 モール ドと組合さ れるガスケッ ト と しては、 一種類の同じガスケ ッ トを各モール ドに 共通に使用でき、 一種類のガスケッ 卜で種々のレンズの注型成形が 可能となる。 そのためガスケッ トを射出成形するための金型の種類 も一種類ですむのできわめて経済的であり、 眼鏡用または光学機器 用の樹脂レンズをコス ト安価に提供できる。

また一対のモール ドとその両者間に介設されるライナ一とからな る成形型の場合も、 ライナ一の種類を削減でき、 前記同様に生産性 を向上できる。

Claims

請 求 の 範 囲 . レ ンズ両面を成形する一対のモール ドと、 両モール ドを結合す るガスケ ッ 卜 とよりなる樹脂レンズの成形型におけるモール ドで あって、 精密に研磨加工された面が双曲面あるいは楕円面などの 非球面及び Z又は ト ロイダル面を構成するものにおいて、 前記モ 一ル ドのガスケッ 卜 との当接部分の面の少な く と も一面が同一平 面に形成されているこ とを特徴とする樹脂レ ンズの成形用モール . 当接部分の面が同一平面より形成される面と該面に隣接する他 の少な く と も二つの面で形成されている こ とを特徴とする請求項 1 に記載の樹脂レ ンズの成形用モール ド。

. 前記モール ドにおける周縁部の精密に研磨加工された面の側が 切欠されて、 ガスケッ 卜 との当接部分の面が、 同一平面をなす段 状をなす面と該面に隣接する面とに形成されてなる請求項 1 また は 2 に記載の樹脂レンズの成形用モール ド。

. レンズ両面を成形する一対のモール ドと、 両モール ド間に介設 されるライナーとよりなる樹脂レンズの成形型におけるモール ド であって、 精密に研磨加工された面が双曲面あるいは楕円面など の非球面及び Ζ又は ト ロイダル面を構成する ものにおいて、 前記 モール ドのライナーとの当接部分の面の少な く と も一面が同一平 面に形成されている こ とを特徴とする樹脂レ ンズの成形用モール

K o

. 請求項 1〜 4のいずれか 1項に記載の成形用モール ドを用いて 成形された眼鏡用または光学機器用の樹脂レ ンズ。