明 細 書 フマル酸誘導体およびその重合体 技術分野
本発明は、 リン脂質類似構造を有する新規かつ有用なフマル酸誘導体、 およびその重合体、 特に、 医用材料、 バイオセンサー、 化粧品等の原料 などとして利用可能な重合体に関する。 背景技術
生体内には多種のリン脂質が含まれており、 これらのリン脂質は生体 が生命を維持するために重要な役割を演じていることが明らかになって いる。 例えば、 リン脂質は生体の種々の代謝過程と密接な関係があるほ か、 脳組織のエネルギー源、 脂肪の運搬や吸収、 血液の凝固、 および食 物の味の知覚などにも非常に重要な役割を果たしている。 このようにリ ン脂質は生体全体の生命維持において多くの機能を持ち、 細胞膜等の細 胞質の構成要素である。
ところで、 種々の重合体が医用材料分野で広くに利用されており、 例 えば外科分野においては、 人工臓器を始めとする医療用高分子からなる 医用材料が多く用いられている。 人工臓器は失われた生体機能を代行ま たは再建するものであり、 生体内での耐腐食性および耐発癌性などの生 体適合性が要求される。 生体適合性を持たない重合体からなる医用材料 を用いると、 次のような問題が生じる。 すなわち、 外科的手術等により 生体内で医用材料が血液等と接触すると、 この材料表面が直ちにタンパ ク質によって覆われ、 その後血小板、 リンノ、。球、 マクロファージなどの
細胞レベルの異物反応が生じ、 これにより血栓形成、 炎症、 贫食などが 起こる。 従って、 生体内で用いる医用材料用の重合体には、 タンパク質 が吸着しにくい性質 (抗タンパク吸着性) が要求される。
医用材料用の重合体として、 メタクリル酸メチルの重合体が知られて いる。 このポリメタクリル酸メチルは透明性に優れており、 ハードコン タクトレンズの原料として用いられている。 しかし、 ポリメタクリル酸 メチルからなるコンタクトレンズはタンパク質が付着しやすく、 洗浄が 欠かせない。 また医用材料用の重合体として、 フマル酸エステルの重合 体ゃフマル酸アミドの重合体も知られている。 これらの重合体は透明性 および酸素等のガス透過性に優れているが、 抗タンパク質吸着性および 生体親和性の改善が望まれている。
本発明の目的は、 重合が容易で、 しかも重合により抗タンパク吸着性、 抗血栓性および生体親和性に優れるとともに、 高硬度、 高い透明性およ び高いガス透過性を有している重合体を製造することができる新規かつ 有用なフマル酸誘導体を提供することである。
本発明の他の目的は、 上記フマル酸誘導体の重合体であって、 抗タン パク吸着性、 抗血栓性および生体親和性に優れるとともに、 高硬度、 高 い透明性および高いガス透過性を有している重合体を提供することであ る。 発明の開示
本発明のフマル酸誘導体は、 下記一般式 (1 ) で表わされる化合物で ある。
C = C (1)
A
H C一 OR1
II
〇
H
〔式中、 R 1は炭素数 1〜 6のアルキル基を示す。 Aは
0 R2
II I
R40— P— OCH2CH2— N+—(CH2)m— 0— … )
1 I
0ー R3 または
CH3 0 H
I II I
H3C— N+— CH2CH2O— P—〇(CH2)n— N— 一(A-2)
I I
CH3 0- (ここで、 R2および R3はそれぞれ炭素数 1〜4のアルキル基を示し、 同一でも異なっていてもよい。 R4は炭素数 1〜 6のアルキル基または ベンジル基を示す。 mおよび nはそれぞれ 1〜 6の整数を示す。 ) を示す。 〕
本発明の重合体は、 下記一般式 (2) で表わされる構造単位を含むフ マル酸誘導体の重合体である。
〇
II
A-C H
I I
-C-C- … (2)
H C一 OR1
II
o
〔式中、 R1は炭素数 1〜 6のアルキル基を示す。 Aは
O
II
R40— P—〇CH2CH2— N+—(CH2)m— O— —(A-l)
I I
〇- R3 または
CH3 O H
I II I
H3C— N+— CH2CH20— P—〇(CH2)n— N— (A-2)
I I
CH3 O- (ここで、 R 2および R3はそれぞれ炭素数 1〜4のアルキル基を示し、 同一でも異なっていてもよい。 R4は炭素数 1 ~ 6のアルキル基または ベンジル基を示す。 mおよび nはそれぞれ 1〜 6の整数を示す。 ) を示す。 〕
一般式 (1) において R1で示される炭素数 1〜 6のアルキル基とし ては、 メチル基、 ェチル基、 n—プロピル基、 イソプロピル基、 n—ブ チル基、 イソブチル基、 sec-ブチル基、 tert-ブチノレ基、 n—ペンチル 基、 ネオペンチル基、 n—へキシル基などがあげられる。
一般式 (1) において Aで示される基がリン脂質中の極性基と類似の 構造を有する基であり、 Aの基の種類により、 一般式 (1) で表わされ るフマル酸誘導体は下記一般式 (1-1) または (1-2) で表わされる。
O R2 0
II I II
R40-P-OCH2CH2-N+-(CH2)m-0-C H
0- C = C
H C- OR:
II
o
(1-1)
CH3 O H O
I II I II
H3C-N+-CH2CH20-P-0(CH2)N-N-C H
I I I I
CH3 o- C = C
I 1
H C一 OR1
II
O
… (1-2)
〔式中、 R R2、 R3、 R4、 mおよび nは前記と同じものを示す。 〕 一般式 (1-1) において R2または R3で示される炭素数 1〜4のアル キル基としては、 メチル基、 ェチル基、 n—プロピル基、 イソプロピル 基、 n—ブチル基、 イソブチル基、 sec-ブチル基、 tert-ブチル基など があげられる。
—般式 (1-1) において R4で示される炭素数;!〜 6のアルキル基とし ては、 メチル基、 ェチル基、 n—プロピル基、 イソプロピル基、 n—ブ チル基、 イソブチル基、 sec-ブチル基、 tert-ブチル基、 n—ペンチル 基、 ネオペンチル基、 n—へキシル基などがあげられる。 一般式 (1-1) で表わされるフマル酸誘導体の具体的なものとしては、 例えば次のものがあげられる。
また一般式 (1-2) で表わされるフマル酸誘導体の具体的なものとし ては、 例えば次のものがあげられる。
H
3C—
本発明のフマル酸誘導体は、 ラジカル重合可能な二重結合を有してい るので、 公知の方法により容易に重合することができる。 この場合、 本 発明のフマル酸誘導体を一種単独で重合することもできるし、 二種以上 を共重合することもできるし、 一般式 (1 ) で表わされるフマル酸誘導 体以外の他の重合可能な不飽和化合物と共重合することもできる。 この 点については後で詳しく述べる。
次に本発明のフマル酸誘導体の製造方法について説明する。 一般式
(1-1) で表わされるフマル酸誘導体は、 一般式 (3 )
R2 O
I II
N—(C H2)m—〇一 C H
I I I
R3 C = C … ( 3 )
I I
H C一 O R 1
II
o
〔式中、 R1, R2、 R3および mは前記と同じものを示す。 〕 で表わされるフマル酸エステルと、 一般式 (4 ) … (4 )
〔式中、 R4は前記と同じものを示す。 〕
で表わされるホスホラン化合物とを反^させることにより製造すること
ができる。
—般式 (3 ) で表わされるフマル酸エステルの具体的なものとしては、 例えば N, N' —ジメチルアミノエチルーイソプロピルフマレ一ト、 N ーメチルー —ェチルァミノプロピル一イソプロピルフマレ一ト、 N ーメチルー N' — n—ブチルァミノへキシルーェチルフマレ一ト、 N,
Ν' ージプロピノレアミノへキシノレ一 η—プロピノレフマレート、 Ν—メチ ノレ一 N' —へキシノレアミノエチノレーへキシノレフマレート、 Ν—メチノレー Ν' 一イソプロピルアミノエチルーイソプロ.ピルフマレート、 Ν, N' ージメチルァミノェチルー tert—ブチルフマレートなどがあげられる。 一般式 (4 ) で表わされるホスホラン化合物の具体的なものとしては、 例えば 2—メトキシー 2—ォキソ一 1, 3 , 2—ジォキサホスホラン、 2—エトキシー 2—ォキソ一 1 , 3, 2—ジォキサホスホラン、 2—プ 口ピオキシー2—ォキソ一 1, 3, 2—ジォキサホスホラン、 2—プチ 口キシ一 2—ォキソ一1, 3, 2—ジォキサホスホラン、 2—ペンチル ォキシ一 2—ォキソ一 1, 3, 2—ジォキサホスホラン、 2—へキシル ォキシ一 2—ォキソ一 1, 3, 2—ジォキサホスホランなどがあげられ る。
一般式 (3 ) で表わされるフマル酸エステルと一般式 (4 ) で表わさ れるホスホラン化合物との反応は、 反応媒体を使用しないで行うことも できるが、 使用するのが好ましい。 反応媒体の具体的なものとしては、 ジェチルエーテル、 テトラヒドロフラン、 クロ口ホルムなどの有機溶媒 があげられる。 反応媒体を使用する場合は、 一般式 (3 ) で表わされる フマル酸エステルを上記有機溶媒に溶解したフマル酸エステル溶液に、 一般式 (4 ) で表わされるホスホラン化合物を上記有機溶媒に溶解した ホスホラン溶液を、 攪拌しながら徐々に滴下して反応させるのが好まし
い。 この場合、 有機溶媒としては、 反応生成物を溶解しないまたはほと んど溶解しないものを選択するのが好ましい。 また反応は乾燥した不活 性ガス雰囲気下に行うのが好ましい。
反応は室温以下でも進行するが、 高温である方が反応は速くなる。 し かし反応温度を 50°C以上にすると副反応が促進されるため、 50°C以 下、 好ましくは窒温〜 40°Cとするのが望ましい。 反応時間は 24〜5 0時間、 好ましくは 30〜40時間とするのが望ましい。 一般式 (3) で表わされるフマル酸エステルと一般式 (4) で表わされるホスホラン 化合物の仕込み比は、 フマル酸エステル:ホスホラン化合物のモル比で 0. 8 : 1〜 2 : 1、 好ましくは 1 : 1〜1. 3 : 1とするのが望まし レ、。
反応終了後は反応生成物をクロ口ホルムなどの適当な溶媒に溶解し、 この溶液を水で洗浄した後、 有機溶媒層を再沈殿媒体に投入して再沈殿 させることにより精製することができる。 再沈殿媒体としては、 ジェチ ルェ一テル、 テトラヒドロフランなどがあげられる。
一般式 (3) で表わされるフマル酸エステルと一般式 (4) で表わさ れるホスホラン化合物との反応は、 下記反応式 (5) で表わされる。
…(5)
なお、 一般式 (3) で表わされるフマル酸エステルは、 例えば無水マ レイン酸と R1のアルキル基を有するアルコール (RiOH) とを出発原 料とし、 下記反応式 (6) で表わされる 3段階の反応を経て製造するこ とができる。 式中、 R R2、 R3および mは前記と同じものを示す。
C 1
SOC 12
(7)
反応式 (6) の 1段目の反応は、 無水マレイン酸およびアルコール (R^H) を混合し、 室温〜 100°Cで、 3〜 5時間反応させることに より行うことができる。 この場合、 反応温度は 3〜4段階に分けて徐々 に昇温していくのが好ましい。
反応式 (6) の 2段目の反応では、 1段目の反応で得られたモノアル キルマレエー卜に塩化チォニルを反応させて、 一般式 (7) で表わされ る酸塩化物を得る。 この反応では、 シス型からトランス型への異性化反 応が進行するとともに、 酸塩化物の生成反応が進行する。 反応は、 モノ アルキルマレエ一トを 70 ~ 90でに保持した状態で、 少量の塩化チォ ニルを添加し、 1〜 2時間反応させて異性化した後、 70〜90°Cで塩 化チォニルを徐々に添加しながら 2〜 4時間反応させるのが好ましい。
反応式 (6 ) の 3段目の反応は、 一般式 (7 ) で表わされる酸塩化物 と一般式 (8 ) で表わされるァミノアルコールとを、 脱塩化水素剤の存 在下に、 一 4 0〜0 °Cで、 8〜2 0時間、 好ましくは 1 0〜1 2時間反 応させることにより行うことができる。 この場合、 ァミノアルコールお よび脱塩化水素剤を適当な有機溶媒に溶解した溶液を調製し、 この溶液 を上記温度に冷却し、 ここに酸塩化物の適当な有機溶媒溶液を徐々に添 加するのが好ましい。 反応は発熱反応であるため、 酸塩化物は徐々に添 加するのが好ましい。 上記脱塩化水素剤としては、 トリメチルァミン、 トリェチルァミン、 ピリジン、 ゥロ トロピン、 ジメチルァミノピリジン、 ルチジンなどがあげられる。 上記有機溶媒としては、 ジェチルェ一テル、 テトラヒドロフラン、 ジォキサンなどがあげられる。 反応終了後は、 脱 塩化水素剤の塩酸塩を濾別した後、 滅圧蒸留により精製することができ る。
一般式 (8 ) で表わされるァミノアルコールの具体的なものとしては、 2— (N, N' —ジメチルァミノ) エタノール、 3— (N, Ν' ージメ チルァミノ) 一 1一プロパノール、 4— (Ν, N' —ジメチルァミノ) — 1—ブタノール、 5— ( Ν, N' —ジメチルァミノ) 一 1一ペンタノ ール、 6— (Ν, N' —ジメチルァミノ) 一 1一へキサノール、 2— (Ν, N' —ジェチルァミノ) エタノール、 3— (Ν , Ny ージェチル ァミノ) 一 1一プロパノール、 4一 (N, N' —ジプロピルァミノ) 一
1—ブタノ一ル、 6— (N—ェチルー N' —メチルァミノ) 一 1一へキ サノール、 2— (N—ェチルー —プロピルァミノ) エタノールなど があげられる。
また一般式 (4 ) で表わされるホスホラン化合物は、 例えば三塩化リ ンおよびエチレングリコールを出発原料とし、 下記反応式 (9 ) で表わ
される 3段階の反応を経て製造することができる。 式中、 R4は前記と 同じものを示す。
P C 1 3 + H〇CH2CH2OH 1
(10)
(4) 反応式 (9 ) の 1段目の反応は、 三塩化リンを塩化メチレンなどの反 応媒体に溶解し、 この溶液を室温付近の温度で攪拌しながら、 発熱およ び塩化水素ガスの急激な発生が起きないように、 ゆるやかに反応を進行 させるため、 エチレングリコ一ルをゆっくり滴下し、 その後 2〜 3時間 反応させることにより行うことができる。 この場合の三塩化リンとェチ レングリコールとの反応割合は三塩化リン :エチレングリコールのモル 比で 1 : 0. 8〜 1 : 5、 好ましくは 1 : 1〜 1 : 3とするのが望まし レヽ。 この反応により、 2—クロロー 1, 3 , 2—ジォキサホスホランが 得られる。
反応式 (9 ) の 2段目の反応は、 1段目の反応で得た 2—ク tiロー 1, 3, 2—ジォキサホスホランをベンゼンなどの有機溶媒に溶解し、 この 溶液中に室温付近の温度で酸素または空気を 5〜 1 0時間パブリングす
ることにより行うことができる 〔J. Amer. Chem. Soc. 72, 5491 (1950)、 Chem. Ind. (London) , 1962, 1828 (1962)] 。 この反応より、 式 (10) で表わされる 2—クロロー 2—ォキソ一 1 , 3 , 2—ジォキサホスホラ ンが得られる。
反応式 (9 ) の 3段目の反応は、 テトラヒドロフランなどの反応媒体 中に、 式 (10) で表わされる 2—クロロー 2—ォキソー1, 3 , 2—ジ ォキサホスホランと R4で示されるアルキル基を有するアルコール (R4 OH) とを、 式 (10) の化合物: R4OHのモル比で 1 : 0 . 8〜1 : 5、 好ましくは 1 : 1〜1 : 3の割合で仕込み、 一 1 0〜0 °Cで、 1〜 3時間反応させることにより行うことができる。 R4OHで表わされる アルコールの具体的なものとしては、 メタノール、 エタノール、 1ープ ロノ ノーノレ、 1ーブタノ一ノレ、 1 ンタノ一ノレ、 1 一へキサノーノレ、 ベンジルアルコールなどがあげられる。
次に、 一般式 (1— 2 ) で表わされるフマル酸誘導体の製造方法につ いて説明する。 一般式 (1— 2 ) で表わされるフマル酸誘導体は、 一般 式 (11)
〔式中、 R1および nは前記と同じものを示す。 〕
で表わされるフマル酸エステルと、 式 (10)
で表わされる 2—クロ口一 2—ォキソ一 1, 3 , 2—ジォキサホスホ ランなどのクロ口ホスホラン化合物とを三級ァミンの存在下に反応させ て、 一般式 (12)
〔式中、 R 1および nは前記と同じものを示す。 〕
で表わされるアルキル一 2— (2—ォキソ一 1 , 3, 2—ジォキサホス ホラン一 2—ィルォキシ) アルキルァミノカルボニルフマレートを得、 次にこの化合物とトリメチルァミンとを反応させることにより製造する ことができる。
一般式 (11) で表わされるフマル酸エステルの具体的 1なものとしては、 例えばイソプロピル一 (2—ヒドロキシェチルァミノカルボニル) フマ レート、 ェチルー (2—ヒドロキシブチルァミノカルボニル) フマレー ト、 n—プロピル一 (2—ヒドロキシへキシルァミノカルボニル) フマ レート、 n—へキシル (2—ヒドロキシへキシルァミノカルボ-ル) フ マレート、 tert—ブチルー (2—ヒドロキシェチルァミノカルボニル) フマレートなどがあげられる。
一般式 (11) で表わされるフマル酸エステルと式 (10) などのクロ口 ホスホラン化合物との反応は、 一 3 0〜十 5 0 °C、 好ましくは一 2 0〜 0 °Cで、 1 ~ 1 0時間、 好ましくは 4〜 8時間行うのが望ましい。 また 両者の仕込み比は、 一般式 (11) で表わされるフマル酸エステル:式 (10) などのクロ口ホスホラン化合物のモル比で 0. 8 : 1〜2 : 1、
好ましくは 1 : 1〜1 · 3 : 1とするのが望ましい。 このとき使用する 三級ァミンとしては、 トリメチルァミン、 トリェチルァミン、 ピリジン、 ゥロ卜口ピン、 ジメチルァミノピリジン、 ルチジンなどがあげられる。 三級ァミンの使用量はクロ口ホスホラン化合物に対して 0 . 9〜 2モル 倍、 好ましくは 1〜1 . 2モル倍とするのが望ましい。 反応は反応媒体 を使用しないで行うこともできるが、 テトラヒドロフランなどの有機溶 媒を使用するのが好ましい。
また一般式 (12) で表わされる化合物とトリメチルァミンとの反応は、 一 3 0〜十 1 0 0 °C、 好ましくは室温〜 6 0 °Cで、 5〜: L 0 0時間、 好 ましくは 1 0〜 5 0時間行うのが望ましい。 両者の仕込み比は、 一般式 (12) で表わされる化合物: 卜リメチルァミンのモル比で 1 : 0 . 8〜 1 : 5、 好ましくは 1 : 0. 9〜: L : 1 . 2とするのが望ましい。
反応はトリメチルァミンが気散しないように密閉反応器中で行うのが 好ましい。 また不活性ガス雰囲気下に行うのが好ましい。 反応は反応媒 体を使用しないで行うこともできるが、 ァセ卜二トリルなどの有機溶媒 を使用するのが好ましい。
反応終了後は、 ァセトニトリルなどの適当な媒体を用いて再結晶する ことにより精製することができる。
上記反応は、 下記反応式 (13) で表わされる。 式中、 R
1および nは 前記と同じものを示す。
(13)
なお、 一般式 (11) で表わされるフマル酸エステルは、 例えば前記一 般式 (7 ) で表わされるフマル酸エステルの酸塩化物と、 一般式 (14) H O (C H2) n - NH2 … (14)
〔式中、 nは前記と同じものを示す。 〕
で表わされるァミノアルコールとを、 脱塩化水素剤の存在下に、 一 4
0〜0 °Cで、 8〜2 0時間、 好ましくは 1 0〜1 2時間反応させること により得ることができる。 この場合、 ァミノアルコールおよび脱塩化水 素剤を適当な有機溶媒に溶解した溶液を調製し、 この溶液を上記温度に 冷却し、 ここに酸塩化物の適当な有機溶媒溶液を徐々に添加するのが好 ましい。 反応は発熱反^であるため、 酸塩化物は徐々に添加するのが好 ましい。 上記脱塩化水素剤としては、 トリメチルァミン、 トリェチルァ ミン、 ピリジン、 ゥロ トロピン、 ジメチルァミノピリジン、 ルチジンな どがあげられる。 上記有機溶媒としては、 ジェチルエーテル、 テトラヒ ドロフラン、 ジォキサンなどがあげられる。 反応終了後は、 脱塩化水素 剤の塩酸塩を濾別した後、 滅圧蒸留により精製することができる。
一般式 (、14) で表わされるァミノアルコールの具体的なものとしては、 2—アミノエタノール、 3—ァミノプロパノール、 4一アミノブタノ一 ル、 5—ァミノペンタノール、 6—ァミノへキサノールなどがあげられ る。
上記反応は、 下記反応式 (15) で表わされる。 式中、 nは前記と同じ ものを示す。
(15) 本発明のフマル酸誘導体の重合体は、 一般式 (2)
〔式中、 R1および Aは前記と同じものを示す。 〕
で表わされる構造単位を含む重合体である。 本発明の重合体には、 一 般式 (2) で表わされる構造単位以外の構造単位が含まれていてもよい。 一般式 (2) において、 Aで表わされる基がリン脂質中の極性基と類 似の構造を有する基であり、 Aの基の種類により、 一般式 (2) で表わ される構造単位は下記一般式 (2— 1) または (2— 2) で表わされる。
(2-1)
R1
〔式中、 R R2、 R3、 R4、 mおよび nは前記と同じものを示す。 〕 本発明の重合体は、 前記一般式 (1 ) で表わされるフマル酸誘導体を 公知の方法により重合することにより得られる。 この場合、 一般式 (1 ) で表わされるフマル酸誘導体を一種単独で重合することもできるし、 二 種以上を共重合することもできるし、 一般式 (1 ) で表わされるフマル 酸誘導体以外の他の重合可能な不飽和化合物を共重合することもできる。 上記他の重合可能な不飽和化合物としては、 一般式 (1 ) で表わされ るフマル酸誘導体と共重合可能な不飽和化合物であれば特に限定されな い。 具体的なものとしては、 例えばエチレン、 プロピレン、 イソブチレ ン等のひ一ォレフイン ;アクリル酸、 メチルァクリレート、 ェチルァク リレ一ト等のアクリル酸およびそのエステル類;メタクリル酸、 メチル メタクリレート、 ェチルメタクリレ一ト等のメタクリル酸およびそのェ ステル類;スチレン、 ひーメチルスチレン、 核置換メチルスチレン、 核 置換クロロスチレン、 ジビニルベンゼン等のスチレンおよびその誘導体; 酢酸ビ ル、 プロピオン酸ビ二ル、 ビニルビパレ一ト等のビニルエステ
ル類;ェチルビ二ルェ一テル、 n—ブチルビニルエーテル等のビエルェ 一テル類;その他に塩化ビエル、 塩化ビニリデン、 アクリロニトリル、 アクリルアミド、 N—ビエルピロリドン等のビニル系化合物などがあげ られる。
本発明の重合体中に占める一般式 (2) で表わされる構造単位は、 全 構造単位中に占める割合として 0. 1〜100モル%、 好ましくは 0. 5〜 99モル%、 他の重合可能な不飽和化合物由来の構造単位は 99. 9モル%以下、 好ましくは 1〜99. 5モル0 /0であるのが望ましい。 重合は、 パルク重合、 溶液重合、 懸濁重合、 乳化重合、 ソープフリー 乳化重合などの公知の重合法により容易に行うことができる。 溶液重合 を行う場合の重合溶媒としてはテトラヒドロフラン、 メタノール、 エタ ノール、 水およびこれらの混合液などが使用できる。
重合には開始剤を使用するのが好ましく、 過硫酸カリウム、 過硫酸ァ ンモニゥム等の無機過酸化物;過酸化べンゾィル、 ジイソプロピルペル ォキシジカーボネート、 ジー t一プチルベルォキシド、 t一ブチルペル ォキシ一 2—ェチルへキサノエ一ト、 t—ブチルペルォキシピパレート、 t一ブチルペルォキシジイソブチレート等の有機過酸化物; 2, 2' 一 ァゾビスイソブチロニトリル、 2, 2' ーァゾビス [2— (5—メチル —2—^ Tミダゾリン一 2—ィル) プロパン] ジヒドロクロリド、 2, 2 ' ーァゾビス [2— (2—イミダゾリン一 2—ィル) プロパン] ジヒド 口クロリ ド、 2, 2' —ァゾビス [2— (4, 5, 6, 7—テトラヒド π-ΙΗ-1, 3—ジアジピン一 2—ィル) プロパン] ジヒドロクロリ ド、 2, 2' ーァゾビス [2— (3, 4, 5, 6—テトラヒドロピリミ ジン一 2—ィル) プロパン] ジヒドロクロリド等のァゾ系化合物などが あげられる。
重合温度は開始剤の種類などにより異なるが、 通常室温〜 1 0 0 °C、 好ましくは 5 0〜8 0 °Cとするのが望ましい。 また重合時間は 5〜1 0 0時間、 好ましくは 1 0〜 5 0時間とするのが望ましい。
このようにして得られる本発明の重合体は、 一般式 (1 ) で表わされ るフマル酸誘導体に由来するリン脂質類似の極性基、 すなわち前記一般 式 (A-1) または (A- 2) で示される極性基を有しているので、 抗タンパ ク吸着性、 抗血栓性および生体親和性に優れている。 しかもフマル酸構 造由来の高硬度、 高い透明性および高いガス透過性を有している。
このため本発明の重合体はコンタク トレンズ、 カテーテル、 人工臓器、 血液回路等の医用材料の製造原料またはこれらの医用材料の表面コーテ イング原料として利用することができる。 その他にも、 バイオセンサー 等のセンサ一類や化粧品等の原料などとして利用することができる。 そ して本発明の重合体からなるコンタクトレンズ、 カテーテル、 人工臓器、 血液回路等の医用材料、 または本発明の重合体で表面をコーティングし たこれらの医用材料は、 抗タンパク吸着性、 抗血栓性および生体親和性 などの生理機能に優れたものとなる。
本発明の重合体から医用材料などの成形品を得るには公知の方法が採 用でき、 例えばパルク重合により得られた重合体の塊状物から目的とす る形状を切出し、 研摩する方法などがあげられる。 また圧縮成形などの 公知の成形法により成形体を成形することもできる。
また医用材料などの成形品の表面を本発明の重合体でコーティングす るには、 本発明の重合体を有機溶媒に溶解し、 この溶液を成形品の表面 に塗布した後、 有機溶媒を除去する方法などにより行うことができる。 以上の通り、 本発明のフマル酸誘導体は新規かつ有用である。 本発明 のフマル酸誘導体の重合体はリン脂質類似の極性基を有しているので、
抗タンパク吸着性、 抗血栓性および生体親和性に優れるとともに、 高硬 度、 高い透明性および高いガス透過性を有している。 図面の簡単な説明
第 1図は実施例 3— 1および比較例 1の試験結果を示すグラフである。 第 2図は実施例 3— 2および比較例 1の試験結果を示すグラフである。 発明を実施するための最良の形態
次に本発明の実施例について説明する。
合成例 1-1
1) モノイソプロピルマレエートの合成
無水マレイン酸 150 g (1.53raol) およびイソプロピルアルコー ル 96 g (1.6 Oraol) を室温で混合し、 50 °Cで攪拌して完全に溶解 させ、 その後 2時間攪拌した。 次に 65 °Cに昇温して 2時間攪拌し、 続 いて 80°Cに昇温して 2時間攪拌した。 さらに熟成のため、 90°C、 昇 温して 1時間攪拌し、 モノイソプロピルマレエートを得た。
2) イソプロピルフマロイルク口リドの合成
上記 1) で得たモノイソプロピルマレエート生成反応液を攪拌しなが ら 80°Cまで昇温した後、 塩化チォニル 2.8 g (23.3mmol) を 4回 に分けて添加して異性化し、 モノイソプロピルフマレートを得た。 なお この反応は、 反応液の温度が 84 °Cを超えないようにして行った。
このようにして得た反応液に、 80°Cで塩化チォニル 218.4 g (1.84raol) を 2時間かけて滴下した。 その後、 80°Cに保ったまま 20分間攪拌を続けた。 反応終了後、 未反応の塩化チォニルを滅圧留去 し、 続いてァスピレータ滅圧下で蒸留を行い、 イソプロピルフマコイル
クロリ ド 139. l g (収率 51.4%) を得た。 このイソプロピルフマ 口イルクロリドの沸点は 85~93°C/2.7 kP aであった。
3) イソプロピル一 2— (ジメチルァミノ) ェチルフマレートの合成 ジメチルエタノールァミン 14.3 g(0.16mol) およびトリエチル ァミン 16.2 g (0.16mol) をジェチルェ一テル 250mlに溶解し、 一 11°Cまで冷却した。 この溶液に、 上記 2) で得たイソプロピルフマ 口イルクロリ ド 28.3 g(0.16mol) のジェチルェ一テル溶液 150 mlを攪拌しながら 3時間かけて滴下した。 滴下後 30分間そのまま櫈拌 し、 その後室温で 10時間攪拌した。 反応終了後、 トリェチルァミン塩 酸塩を濾別した。 得られた反応液濃縮物にヒドロキノンを少量加えて滅 圧蒸留し、 下式 (16) で表わされるイソプロピル一 2— (ジメチルアミ ノ) ェチルフマレート (以下、 I DAEFと略記する場合がある) 14. 6 g (収率 39.8%) を得た。 この I DAEFの沸点は 92〜95°C /12 P aであった。
CH3 O
I II
N-CH2CH2-0-C H
(16)
H3 == c
H C一 O— C(CH3)2
II I
〇 H
I DAEFの分析結果を次に示す。
lH-NMR ( δ (ppm) , CDC13/TMS)
1.21 (d, 6H, -C00CH(CHa)2)
2.23 (s, 6H, -N((¾)2)
2.56 (tri, 2H, -0000¾0^(^3)2)
4.23 (tri, 2H, -C00CH CH2N(CH3)2)
5.05 (tetra, 1H, -C00CH(CH3) 2)
6.80 (s, 2H, -0C0CH=CHC00-)
合成例 1一 2
1) 2—クロ口一 1, 3, 2—ジォキサホスホランの合成
三塩化リン 200 g (1.46 1) をジクロロメタン 30 Omlに溶解 させ、 室温で攪拌しながら、 エチレングリコール 90.6 g (1.46rao 1) を 10時間かけて滴下した。 反応終了後、 ジクロロメタンを減圧留 去し、 続いてァスピレータ滅圧下で蒸留を行い、 2—クロ口一 1, 3, 2—ジォキサホスホラン 125.2 g (収率 69.1%) を得た。 この 2 一クロロー 1, 3, 2—ジォキサホスホランの沸点は 52〜54°C/2.
7kPaであった。
2) 2—クロロー 2—ォキソ一 1, 3, 2—ジォキサホスホランの合 成
上記 1) で得た 2—クロロー 1, 3, 2—ジォキサホスホラン 125. 2 g (1.0 lraol) をベンゼン 30 Oralに溶解させ、 室温で攪拌しなが ら、 酸素を 17時間パブリングして反応させた。 ベンゼンをァスピレー タで滅圧留去した後滅圧蒸留し、 2—クロロー 2—ォキソ一 1, 3, 2 ージォキサホスホラン 110.45 g (収率 76.8%) を得た。 この 2 一クロロー 2—ォキソ一 1, 3, 2—ジォキサホスホランの沸点は 89 〜92 ノ0. lkPaであった。
3) 2—べンジロイルー 2—ォキソ一 1, 3, 2—ジォキサホスホラ ンの合成
ベンジルアルコール 3.0 g (0.028mol) およびトリェチルァミン 2.8 g (0.028mol) をジェチルエーテル 10 Omlに溶解した後、 一 10°Cまで冷却した。 この溶液に、 上記 2) で得た 2—クロロー 2—
ォキソ一 1, 3, 2—ジォキサホスホラン 4.0 g (0.028raol) のジ ェチルエーテル 80ml溶液を、 乾燥窒素雰囲気下、 メカニカルスターラ で攪拌しながら 2時間かけて滴下した。 滴下後 30分間そのまま攪拌し た。 反応終了後、 卜リエチルァミン塩酸塩を濾別した。 得られた濾液を そのまま 2—べンジロイルー 2—ォキソ一 1, 3, 2—ジォキサホスホ ラン (以下、 BODPと略記する場合がぁる) 溶液として実施例の反応 に用いた。 なお、 濾液を少量取り、 濃縮して得た無色の液体を1 H-NM
R分析することにより、 下式 (17) で表わされる BODPが生成してい ることを確認した (収率 84.2%) 。
B O D Pの分析結果を次に示す。
^-NMR ( δ ( pm) , CDC13/TMS)
4.3-4.5 (m, 4H, -0 (¾0 -)
5.16 (d, 2H, Ph-CH^O-)
7.37 (s, 5H, Ph-)
実施例 1一 1
合成例 1一 1で得た式 (16) で表わされる I DAEF 9.0 g (0.0 39mol) をジェチルエーテル 20 Omlに溶解した。 これとは別に、 合 成例 1一 2で得た式 (17) で表わされる BODPの 0.03molをジェチ ルェ一テルに溶解した。 上記 IDAEF溶液に、 上記 BODP溶液を乾 燥窒素雰囲気下、 30°Cで攪拌しながら、 約 3時間かけて滴下した。 滴 下終了後、 30°Cで 36時間攪拌し、 下式 Q8) で表わされるイソプロ ピル一 2— [2 - (ベンジロキシホスホリル) ェチルジメチルアンモニ
ォ] ェチルフマレート (以下、 I BPFと略記する場合がある) を得た c
… (18) 反応終了後、 反応液中に析出した粘稠液体と反応液とをデカンテ一シ ヨンにより分離した。 得られた析出物をクロ口ホルムに溶解した後、 こ の溶液を少量の蒸留水で洗浄し、 微量のトリェチルァミン塩酸塩を除去 した。 その後、 クロ口ホルム層に無水硫酸マグネシウムを添加して脱水 した後、 濃縮した。 次にこの濃縮物を少量のテトラヒドロフランに溶解 した後、 ジェチルエーテル中に再沈澱することにより I BPFを精製し 0.8 g (収率 6.0%) の橙色粘稠液体を得た。
I B P Fの分析結果を次に示す。
^-NMR ( δ (ppra), CDCla/TMS)
1.21 (d, 6H, -C00CH(CHa)2)
2.72 (s, 6H, >^-(¾)2)
3.20 (b, 2H, i -QkCHsOCOCl^CH-)
3.92 (b, 2H, -CHzCHiO-P)
4.52 (b, 2H, N^-CHsQkOCOCH-CH -)
4.92 (d, 2H, P-OCH^-Ph)
5.06 (tetra, 1H, -C00CH(CH3)2)
6.80 (s, 2H, 0C0-CH=CH-C00)
7.2-7.4 (m, 5H, -Ph)
合成例 1—3 モノエタノールァミン 8.2 g (0.13mol) およびトリェチルアミ ン 9.2 g (0.09 lmol) をテトラヒドロフラン 25 Omlに溶解した。 これとは別に、 合成例 1一 1の 2) で得たイソプロピルフマロイルク口 リ ド 16.0 g (0.09 lmol) をテトラヒドロフラン 18 Omlに溶解 した。 上記ァミン溶液を一 25 °Cまで冷却した後、 この溶液に上記ィソ プロピルフマロイルクロリド溶液を、 攪拌しながら 6時間かけて滴下し た。 滴下終了後、 一 10°Cを超えないように徐々に昇温しながら、 30 時間そのまま攪拌した。 反応終了後、 トリェチルァミン塩酸塩を濾別し た後、 濾 を濃縮し、 続いて滅圧蒸留し、 黄色で粘稠液体状の下記 (19) で表わされるイソプロピノレー 2— (ヒドロキシェチルァミノカルボニル) フマレ一ト (以下、 I PHEFと略記する場合がある) 12.2 g (収 率 66.7%) を得た。 この I PHEFの沸点は 175〜180。CZ4. 73P aであった。
H O
I II
HOCH2CH2-N-C H
(19)
C = C
H C一 O— C(CH3)2
II I
o H '
I PHEFの分析結果を次に示す。
[H-NMR (δ (ppra), CDC13/TMS)
1.29 (d, 6H, -C00CH(Cik)2)
3.50 (tri, 2H, H0CH2.CH2-NHC0-)
3.75 (tri, 2H, HOCHaCH^- HCO-)
4.4 (b, 1H, H0CH2CH2-NHC0-)
5.10 (tetra, 1H, -C00CH(CH3) 2)
6.77, 6.82, 6.98, 7.05 (dd, 2H, -0C0CH=CHC00-)
7.48 (b, 1H, H0CH2CH2-NHC0-)
実施例 1-2
合成例 1一 3で得られた式 (19) で表わされる I PHEF 9.6 g (0. 048raol) およびトリェチルァミン 6.7ml (0.048raol) をテトラ ヒドロフラン 180 mlに溶解し、 I P H E F溶液を得た。 これとは別に、 合成例 1—2の 2) で得た 2—クロロー 2—ォキソ一 1, 3, 2—ジォ キサホスホラン 6.8 g (0.048mol) をテトラヒドロフラン 18 Oml に溶解し、 2—クロロー 2—ォキソ一 1, 3, 2—ジォキサホスホラン 溶液を得た。 上記 I P H E F溶液を一 15 °Cに冷却し、 この溶液に上記 2—クロロー 2—ォキソ一 1, 3, 2—ジォキサホスホラン溶液を、 窒 素雰囲気下、 3.5時間かけて滴下した。 その後も窒素雰囲気下で撩拌 を続け、 3時間かけて徐々に室温まで昇温した。 反応終了後、 析出した ァミン塩酸塩を窒素雰囲気下で濾別した。 得られた濾液を濃縮し、 粗ィ ソプロピルー2— (2—ォキソ一 1, 3, 2—ジォキサホスホランー2 一ィルォキシ) ェチルァミノ力ルポ-ルフマレ一卜 (以下、 I POPE Fと略記する場合がある) を得た。
この粗 I POPEFをァセトニトリルに溶解し、 15 Oralの溶液とし た。 この I POPE F溶液を耐圧反応管に入れ、 一 40°Cに冷却した後、 トリメチルァミン 15.9 g (0.27raol、 I PHEFに対して理論量 の約 5mol倍量) を添加した。 次に窒素雰囲気下で耐圧反応管を密封し た後、 水浴を用いて 40°Cに加温し、 スターラにより携拌しながら 24 時間反応させた。 反応終了後、 反応液を濃縮した後クロ口ホルムにより
再結晶させ、 白色粉末で潮解性のある下式 (20) で表わされるイソプロ ピル一 2— (2—トリメチルアンモニゥムェチルホスホリル) ェチルァ ミノカルボエルフマレ一ト (以下、 I PTPAFと略記する場合がある)
5.8 g (収率 33.5%) を得た。
(20)
I PTPAFの分析結果を次に示す。
1.21 (d, 6H, -C00CH(C{k)2)
3.12 (s, 9H, -( )3)
3.50 (b, 2H, N+-q^CH20-P)
3.58 (b, 2H, -CONH-CH^CHzO-P)
4.52 (b, 2H, N+-CH2CH20-P)
5.06 (tetra, 1H, -C00H(CH3)2)
6.61、 6.70、 6.91、 7.00 (dd, 2H, -0C0CH=CHC00-)
13C-NMR ( δ (ppm), CDCI3/TMS)
22 (-C00CH(CH3)2)
42 (-N+(CH3)3)
55 (-C0NH-CH2CH20-P)
67 (-C00CH(CH3)2)
72 (-C0NH-CH2CH20-P)
132 (- HC0CH=CH-C00-)
137 (-NHC0CH=CH-C00-)
167 (-NHC0CH=CH-C00-)
168 (-NHC0CH=CH-C00-)
実施例 2-1
実施例 1一 1で得た I B P Fの溶液単独重合を次のようにして行った。 すなわち、 0.89匪 olの I BPFおよび 0. lralのテトラヒドロフラン を重合管に仕込んだ。 次に、 開始剤として 179 μπιοΐの t—プチルぺ ルォキシピパレートを添加した。 この重合管を液体窒素中に入れ、 溶媒 を凍結させた後、 排気、 解凍という固—液状態変化を 3回繰返した。 最 後に、 乾燥窒素を注入した後、 封管した。 重合管を 70°Cで 24時間振 とうしながら保持し、 I BP Fの重合反応を行った。 その後、 氷水中で 冷却することにより重合を停止した。
次に、 反応液を、 ジェチルエーテル: CH3C 1 = 11 : 6 (容量比) の混合液中に投入し、 反応生成物を沈殿させることにより洗浄した。 こ の洗浄操作を 2回繰返した。 最後に、 デカンテーシヨンにより上澄み液 を除去し、 沈殿物を得た。 この沈殿物をジェチルェ一テル:メタノール = 7 : 1 (容量比) 混合液中に投入して洗浄した。 この洗浄操作を 2回 繰返した。 得られた沈殿物を乾燥し、 精製ポリマ一を得た。 このポリマ —の重合率は 39.3%、 またテトラヒドロフラン:メタノール = 1 : 1混合液中で 30°Cで測定した極限粘度 〔η SP/C〕 は 0.04dl/gで あった。
得られたポリマーの分析結果を次に示す。
1H-NMR ( 5 (ppm), CDC13/TMS)
1.0-1.2 (6H, ( )2CH0C0-CH-CH-C00-)
2.6-2.9 (6H, ( )2N+〈)
2.9-3.1 (2H, (CH3)2N+-(¾CH20C0-)
3.5-3.7 (4H, (CHsizN-'-CHiCHaO-P-, (CH3)2CH0C0-CH-CH-C00-)
3.8-4.1 (2H, (CH3)2N+-CH2Q^0-P-)
4.0- 4.2 (2H, (¾)2^-^2¾000-)
4.9 (2H, P-O-Cl^-Ph)
5.0 (1H, (CH3)2CH0C0-CH-CH-C00-)
7.1- 7.4 (5H, P-OCH2-K1)
実施例 2-2
実施例 1-1で得た I B P Fおよびスチレンの溶液共重合を次のよう にして行った。 すなわち、 表 1に示す量の I B P Fおよびスチレンを重 合管に入れ、 溶媒としてテトラヒドロフラン:メタノール =1 : 1 (容 量比) の混合液を加えた。 次に表 1に示す量の開始剤 (t—ブチルペル ォキシピパレート) 溶液を添加した。 この重合管を液体窒素中に入れ、 溶媒を凍結させた後、 排気、 解凍という固一液状態後変化を 3回繰返し た。 最後、 乾燥窒素を注入した後、 封管した。 この重合管を 70°Cで 2 4時間振とうしながら保持し、 共重合反応を行った。 その後、 氷水中で 冷却することにより重合を停止した。
次に、 反応生成物に、 テトラヒドロフラン:メタノール =1 : 1 (容 量比) の混合液 lmlを加えて溶解した。 この溶液を、 ジェチルェ一テル メタノール =7 : 1 (容量比) の混合液中に投入し、 反応生成物を沈殿 させることにより洗浄した。 この洗浄操作を 2回繰返した。 最後に、 デ
カンテ一シヨンにより上澄み液を除去し、 沈殿物を得た。 この沈殿物を 真空乾燥し、 精製コポリマーを得た。 得られたコポリマーの重合率、 極 限粘度、 および共重合体中に占める I BP F由来の構造単位の割合 (以 下、 I BPFの含有率という場合がある) を表 1に示す。 なお、 I BP Fの含有率は1 H-NMRの分析結果から算出した。
表 1 I BP Fとスチレンとのラジカル共重合
単量体 1+単量体 2 = 0.5 g
*2 テ卜ラヒドロフラン: メタノール =1 : 1混合液中で 30 °Cで測定
*3 I B P F:式 (18) 参照
*4 ST:スチレン
*5 P B P V: t -プチルペルォキシピパレート
注) 反応温度: 70°C、 反応媒体:テトラヒドロフラン Zメタノール =0.05mlZ0. 05ml
実施例 2— 3
実施例 2— 2において、 共重合モノマーとしてスチレンの代わりにメ チルメタクリレートを用いた以外は実施例 2— 2と同様にして行った。 反応条件および結果を表 2に示す。
表 2 I BP Fとメチルメタクリレートとのラジカル共重合
n 単量体 1 +単量体 2 = 0.5 g
*2 テトラヒドロフラン:メタノール =1 : 1混合液中で 30 °Cで測定
*3 I B P F :式 (18) 参照
*4 MMA: メチルメタクリレート
*5 P B P V: t -ブチルペルォキシピパレー卜
注) 反応温度: 70°C、 反応媒体:テトラヒドロフラン/メタノール =0.0 SmlZO. 05ml
表 2の run 1のコポリマーの分析結果を次に示す。
!H-NMR ( δ (ppm), CDC13/TMS)
0.9-1.0 (3H, -CH2-C(CHi)C00CH3)
1.0-1.2 (6H, (¾) 2CH0CO-CH-CH-C0O-)
1.5- 2.0 (2H, -CH "C(CH3)C00CH3)
2.6- 2.9 (6H, (¾) zN+O
2.9-3.1 (2H, (CH3)2N+-Q CH20C0-)
3.5-3.7 (7H, (CHs ^-Qi^CHsO-P -, (CH3)2CH0C0-CH-CH-C00-,
-CH2-C(CH3)C00CHa)
3.8-4.1 (2H,
4.0- 4.2 (2H, (CH3) 2N+-CH2CH20C0-)
4.9 (2H, P-O-CH^-Ph)
5.0 (1H, (CH3) 2CH0C0-CH-CH-C00-)
7.1- 7.4 (5H, P-0CH2-¾)
実施例 2-4
実施例 2— 2において、 共重合モノマーとしてスチレンの代わりに n 一ブチルメタクリレートを用いた以外は実施例 2— 2と同様にして行つ た。 反応条件および結果を表 3に示す。
表 3 I BP Fと n—プチルメタクリレートとのラジカル共重合
単量体 1 +単量体 2 = 0.5 g
テトラヒドロフラン:メタノール =ι: 1混合液中で 30 °cで測定
*3 I B P F :式 (18) 参照
*4 BMA: n—ブチルメタクリレー卜
*5 P B P V: t -ブチルペルォキシピパレート
注) 反応温度: 70°C、 反応媒体:テトラヒドロフラン メタノール =0.05mlZ0. 05ml
実施例 2 - 5
実施例 1一 1で得た I B P Fおよびメチルメタクリレートのソ一プフ リ一ラジカル乳化共重合を次のようにして行った。 すなわち、 表 4に示 す量の I B P Fおよびメチルメタクリレー卜を 2 0 O mlの四つロフラス コに入れた後、 蒸留水を加え、 乾燥窒素雰囲気下、 7 0 °Cで約 1時間、 メカニカルスターラにより 4 5 0回転/分で攪拌した。 次に、 開始剤と して過硫酸カリウム水溶液を一度に加え、 攪拌しながら 2時間共重合反 応を行った。 その後、 フラスコを氷水中に浸して冷却することにより重 合を停止した。
次に、 反応液をガラスフィルター (1 G— 3 ) で濾過し、 粗粒子およ び凝集ポリマーを除去した。 得られた濾液を 4 0 0 0回転 分で 3 0分 間遠心分離した後、 上澄み液をデカンテーシヨンにより除去し、 ミクロ スフエアを得た。 このミクロスフヱァを水中に再分散させ、 同様の条件 で遠心分離を行った。 この操作を 2回繰返し、 未反応モノマーおよび開 始剤を除去した。 さらにミクロスフエアをメタノール中に再分散させた 後、 遠心分離を同様の条件で 2回繰返し、 残存メチルメタクリレートを 除去した。 最後に乾燥させて精製ミクロスフエアを得た。
¾ 4
I BPF 1.0 ππποΐ
メチルメタクリレート 100 腿 ol
過硫酸カリウム 0.75 raraol
水 100 ml
攪拌速度 450 rpm
温 度 70 °C
時 間 2 h 実施例 2-6
実施例 1-2で得た I P T P A Fの溶液単独重合を次のようにして行 つた。 すなわち、 0.87mraolの I PTPAFを重合管に入れ、 次に 0. 5ralの蒸留水を加え、 I PTPAFを溶解した。 次に I PTPAFに対 して 9.99モル%の過硫酸カリウムを開始剤として添加した。 この重 合管を液体窒素中に入れ、 溶媒を凍結させた後、 排気、 解凍という固一 液状態後変化を 3回繰返した。 最後に、 乾燥窒素を注入した後、 封管し た。 この重合管を 70°Cで 72時間振とうしながら保持し、 I PTPA Fの重合反応を行った。 その後、 氷水中で冷却することにより重合を停 止した。 このとき反応液は均一系であった。
次に反応液から蒸留水を留去し、 析出物をメタノールに溶解した。 少 量の不溶物 (未反応の過硫酸カリウムと思われる) を滤別した後、 濾液 を lml程度に濃縮した。 この濃縮液をメタノール:ジェチルエーテル = 1 : 7 (容量比) の混合液中に投入し、 反応生成物を沈殿させることに より洗浄した。 この洗浄操作を 2回繰返した。 最後に、 デカンテーショ ンにより上澄み液を除去し、 沈殿物を得た。 この沈殿物を乾燥し、 精製
ポリマーを得た。 このポリマーの重合率は 39.2 %、 またテトラヒド 口フラン:メタノ一ル= 1 : 1混合液中で 30 °Cで測定した極限粘度 [η sp/C] は 0.04 ldlZgであった。
実施例 2-7
実施例 1-2で得た I P T P A Fの溶液単独重合を次のようにして行 つた。 すなわち、 0.82ramolの I PTP AFを重合管に入れ、 次に 1. Omlのジメチルホルムアミドを加え、 I PTP AFを '溶解した。 次に I PTPAFに対して 23.7モル%のジー t一ブチルペルォキシドを開 始剤として添加した。 この重合管を液体窒素中に入れ、 溶媒を凍結させ た後、 排気、 解凍という固一液状態変化を 3回繰返した。 最後に、 乾燥 窒素を注入した後、 封管した。 この重合管を 1 2 0°Cで 24時間振とう しながら保持し、 I PTPAFの重合反応を行った。 その後、 米水中で 冷却することにより重合を停止した。 このとき反応液は不均一系であつ た。
次に、 反応液からデカンテ一シヨンにより上澄み液を除去した後、 反 応生成物をメタノールに溶解した。 この溶液をメタノ一ル:ジェチルェ 一テル =1 : 7 (容量比) の混合液中に投入し、 反応生成物を沈殿させ ることにより洗浄した。 この洗浄操作を 2回繰返した。 最後に、 デカン テーシヨンにより上澄み液を除去し、 沈殿 を得た。 この沈殿物を乾燥 し、 精製ポリマーを得た。 このポリマーを重合率は 3 7. 0%、 またテ トラヒドロフラン:メタノ一ル= 1 : 1混合液中で 3 0 °Cで測定した極 限粘度 [TJ 5P/C] は 0.037dlZgであった。
実施例 2-8
実施例 1一 2で得た I PTPAFおよびメチルメタクリレートの溶液 共重合を次のようにして行った。 すなわち、 表 5に示す量の I PTPA
Fおよびメチルメタクリレー トを重合管に入れ、 次に溶媒としてジメチ ルホルムアミドを加え、 単量体を溶解した。 次に表 5に示す量の開始剤 ( t一ブチルペルォキシピパレート) を添加した。 この重合管を液体窒 素中に入れ、 溶媒を凍結させた後、 排気、 解凍という固—液状態変化を 3回繰返した。 最後に、 乾燥窒素を注入した後、 封管した。 この重合管 を 1 2 0 °Cで 2時間振とうしながら保持し、 共重合反応を行った。 その 後、 氷水中で冷却することにより重合を停止した。 このとき反応液は不 均一系であった。
次に、 反応液からデカンテ一シヨンにより上澄み液を除去した後、 反 応生成物を l mlのメタノールに溶解した。 この溶液をメタノール:ジェ チルエーテル = 1 : 7 (容量比) の混合液中に投入し、 反応生成物を沈 殿させることにより洗浄した。 この洗浄操作を 2回繰返した。 最後に、 デカンデーシヨンにより上澄み液を除去し、 沈殿物を得た。 この沈殿物 を乾燥し、 精製コポリマ一を得た。 反応条件およびコポリマーの物性を 表 5に示す。
表 5 I PTPAFとメチルメタクリレートとの共重合
n 単量体 1 +単量体 2 = 0.5 g
n テトラヒドロフラン: メタノール = 1混合液中で 30°Cで測定
*3 I PTPAF:式 (20) 参照
*4 MMA: メチルメタクリレート
*5 t B PO: t一ブチルペルォキシド
実施例 2— 9
実施例 2— 5において、 I B P Fの代わりに実施例 1一 2で得た I P TPAFを 1. Omraol用いた以外は、 実施例 2— 5と同様にして精製ミ クロスフェアを得た。
実施例 3-1
実施例 2— 5で得たミクロスフエアに対する牛血清アルブミン (以下、 B S Aと略記する場合がある) の吸着試験を次のようにして行った。 まず濃度の異なる 4種類の BS A水溶液 (0.1、 0.2、 0.3、 0. 4mg//ral) を調製した。 これらの B S A水溶液の 28 Onmの吸光度を、 Shimadzu UV-200A分光光度計 (島津工業株式会社製、 商標) を用いて測 定した。 そして BS A濃度と 28 Onmの吸光 gとの関係を表わす検量線 を作成した。 なお、 吸光度の測定には石英セル (1cm) を使用した。 ま た 400〜24 Onmの波長領域の吸光度を測定し、 検出感度の高い 28 Onmの波長を採用した。
次に、 3 Omlの三角フラスコを 3つ用意し、 それぞれのフラスコに実 施例 2— 5で得たミクロスフエア O. l gを入れた。 次に、 それぞれの · フラスコに pH 6.6の蒸留水で調製した 0.2、 0.3、 0.4mg/ralの 3 種類の B S A水溶液を 20 mlづっ入れて密封した。 次に 25 °Cで 2時間 攪拌し、 ミクロスフエアと BSAとを十分接触させた。 次に 4000rp mで 30分間遠心分離した後、 デカンテーシヨンにより上澄み液を得た。 この上澄み液をさらに 13000 rpmで 30分間遠心分離することによ りミクロスフエアを分離した。 この上澄み液の 28 Onmの吸光度を測定 し、 先に求めた検量線を用いて上澄み液中の B S A濃度を算出した。 吸着試験前後の B S Aの濃度変化量から、 ミクロスフエアに吸着した BS Aの吸着量を求めた。 すなわち、 BS Aの濃度変化を AC [mg/ral)
とし、 用いた B S A水溶液の体積を V [ml] 、 用いたミクロスフエア量 を Wm 〔g〕 とし、 そのミクロスフエアの比表面積を Sra 〔ni/ g〕とする とき、
吸着量 〔rag/m2〕 = A C X VZ(WmX Sm)
で算出した。 このようにして求めた吸着等温曲線を第 1図に示す。 実施例 3— 2
実施例 2— 9で得たミクロスフエアに対する B S Aの吸着試験を実施 例 3— 1と同様にして行った。 結果を第 2図に示す。
比較例 1
表 6に示す条件で、 実施例 2— 5と同様にしてメチルメタクリレート の単独重合体からなるミクロスフエアを得た。 このミクロスフェアを用 いて、 実施例 3— 1と同様にして B S Aの吸着試験を行った。 結果を第 1図および第 2図に示す。
表 6 メチルメタクリレート 7 0 腿 ol
過硫酸力リウム 0. 5 3 腿 ol
水 7 0 ml
攪拌速度 3 5 0 rpra
温 度 7 0 。C
時 間 1 0 0 rain 第 1図および第 2図の結果から、 実施例 2— 5または 2— 9のミクロ スフエアに対する B S Aの吸着量は、 比較例 1に比べて少ないことがわ かる。 従って、 本発明のフマル酸誘導体の重合体は抗タンパク質吸着性 に優れ、 このような重合体からなる医用材料は抗血栓性に優れているこ
とは明らかである。 産業上の利用可能性
本発明のフマル酸誘導体は新規な化合物であり、 単独でまたは他の単 量体を容易に重合させることができる。 このようなフマル酸誘導体の重 合体はリン脂質類似の極性基を有しているので抗タンパク吸着性、 抗血 拴性および生体親和性に優れ、 また高硬度、 高い透明性および高いガス 透過性を有しており、 このため医用材料、 バイオセンサー、 化粧品等の 原料などとして利用することができる。