明 細 書 ヒト T h 2特異的タンパク質及びこれをコードする遺伝子 (B 1 9 ) 並びにこれ に関連する形質転換体、 組換えベクター及びモノクロ一ナル抗体 技術分野
本発明は、 T h 2特異的夕ンパク質及びこれをコ一ドする遺伝子並びにこれに 関連する形質転換体、 組換えべクタ一及びモノクローナル抗体に関する発明であ る。
より詳細には、 アトピー性疾患の発症, エイズの劇症化等に深く関わるヘルパ —T細胞群におけるバランスの変化を迅速かつ簡便に特定する手段として用いる ことができる 2型ヘルパー T細胞にのみ特異的なタンパク質及びこれをコ一ドす る遺伝子に関する発明である。
また、 本発明はこの遺伝子を組み込んだ遺伝子発現用組換えベクター, このべ クタ一で形質転換した形質転換体に関する発明である。
さらに、 本発明は上記の T h 2遺伝子特異的タンパク質を抗原とするモノクロ —ナル抗体及びこのモノクロ一ナル抗体を産生するハイプリ ドーマに関する発明 である。 背景技術
近年、 免疫学は驚くべき進歩を見せ、 その医学分野における貢献は多大である 免疫学は、 感染免疫, 腫瘍免疫, アレルギー, アナフィラキシー等のどのよう な免疫反応でも、 その促進と抑制の中心的役割を果たしているのは、 マクロファ 一ジゃリンパ球等が産生するサイトカインであることを既に明らかにしている。
Mosmann と Coffman らは、 マウス脾細胞から樹立した長期培養可能な C D 4 + T細胞クローンを、 その産生するサイ トカインの違いから異なる 2つのサブセッ トに分類した (Mosmann, T. R. ' et al. , J. Immunol. , 136 , 2348(1986) ) 。
すなわち、 主に I L一 4, I L - 5 , I L— 6 , I L— 1 0及び I L一 1 3を
産生する 「T—helper2 (Th 2) 」 と、 主に I L— 2, I FN— τ"及び TNF — Sを産生する 「T一 helper 1 (Th l) 」 とに分類した。
ヒ卜においては、 当初このようなヘルパー T細胞のサブセッ トの存在は疑問視 されていたが、 現在ではその存在が明らかに認められている (Romagnani,S., Ιπι m謹 logy Today 12 ,256(1991)等) 。
現在、 これらのマウスやヒトのヘルパー T細胞サブセッ ト Th 2, Th lの性 状や機能がますます明らかになりつつあり、 多くの免疫反応の調節にあずかる中 心細胞としての生物的意義が注目されている。
また、 多くの感染症や免疫学的疾患では、 患者リンパ球の Th lZTh 2サブ セッ トの分布においては、 そのいずれかに極端に偏る極性化が起こり、 この極性 化がその疾患の病勢や病型に反映していることが示唆されている。
例えば、 ① Mycobacterium感染症においては、 ycobacteriumに対する免疫反 応が DTH (遅延型) 反応を主とした型をとっている場合は Th 1優位であり、 慢性化し進行型を呈する場合には Th 2優位になること、 ② H I V感染症におい ては、 Th 1型のサイト力インの産生は長期間の非進行性患者に多く、 Th 2へ の極性化が起こると症状は進行又は劇症化すること及び③ァトピー性疾患の患者 においては、 Th 2への極性化が起こると症状が悪化すること等が現在明らかに なりつつある。
そこで、 本発明が解決すべき課題は、 上記の Th lZTh 2サブセッ 卜の分布 の極性化 (以下、 Th 1 ZTh 2インバランスという) における知見に基づいた 、 免疫関連疾患の病勢や病型の特定手段を提供することにある。 図面の簡単な説明
第 1図は、 B 1 9クローンのノーザンブロッテイング解析の結果を示す電気泳 動写真像等を示した図面である。
第 2図は、 インビト口における本発明 Th 2 (B 1 9) 遺伝子の翻訳産物の電 気泳動写真像等を示した図面である。
第 3図は、 本発明 Th 2 (B 1 9) 遣伝子由来の mRNA発現の組織特異性を 示すノーザンプロッティング解析の結果を示す電気泳動写真像等を示した図面で
ある o
第 4図は、 本発明モノクローナル抗体を用いた膜蛍光抗体法により、 T h l ク ローン及び T h 2クローン細胞を染色後、 フローサイ トメ一ターで解析した結果 を示した図面である。 発明の開示
本発明者は、 上記課題について鋭意検討を行った。 その結果、 T h 2に特異的 なタンパク質とこれをコードする遺伝子及び T h 1に特異的なタンパク質及びこ れをコードする遺伝子をそれぞれ特定, 調製することができれば、 これを基にし て所望する免疫関連疾患の病勢や病型の特定手段を提供し得ることを見出し本発 明を完成した。
本願は、 上記遺伝子の内、 ヒト T h 2に.特異的なタンパク質及びこれをコード する遺伝子 (B 1 9 ) に関連するものである。
すなわち、 本発明者は本願において、 以下に掲げる発明を提供するものである
0
第 1に、 配列番号 6で表されるアミノ酸配列のヒト T h 2特異的夕ンパク質を 提供する。
第 2に、 配列番号 6で表されるアミノ酸配列の一部のアミノ酸が欠失, 置換若 しくは付加されたァミノ酸配列からなり、 かつ請求項 1記載のヒト T h 2特異的 タンパク質と実質的に同一の生物学的活性を有するヒト T h 2特異的タンパク質 を提供する。
第 3に、 配列番号 6で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を含むヒト T h 2特異的遺伝子を提供する。
第 4に、 配列番号 5で表される塩基配列のヒト T h 2特異的遺伝子を提供する o
第 5に、 配列番号 5で表される塩基配列の一部の塩基が欠失, 置換若しくは付 加された塩基配列からなり、 かつストリンジェントな条件下で配列番号 5で表さ れる塩基配列の D NAとハイプリダイズし、 さらに配列番号 6で表されるァミノ 酸配列を有するヒト T h 2特異的タンパク質と実質的に同一の生物学的活性を有
するヒト Th 2特異的タンパク質をコードするヒト Th 2特異的遺伝子を提供す- る。
第 6に、 前記したいずれかのヒト Th 2特異的遺伝子を含有する遺伝子発現用 組換えベクターを提供する。
第 7に、 この遣伝子発現用組換えベクターで形質転換され、 かっこの遺伝子発 現用組換えベクターに含まれているヒト Th 2特異的遺伝子が発現している形質 転換体を提供する。
第 8に、 前記したヒト Th 2特異的タンパク質のいずれかの部分を抗原決定基 とし、 かつヒト Th 1特異的タンパク質との間においては免疫反応性を示さない モノクローナル抗体を提供する。
第 9に、 前記のモノクローナル抗体を産生するハイプリ ドーマを提供する。 以下、 本発明の実施の形態について説明する。
本発明におけるヒト Th 2に特異的な遺伝子 〔以下、 本発明 Th 2 (B 1 9) 遺伝子という。 この本発明 Th 2 (B 1 9)遺伝子には、 特に断らない限り、 本 発明の技術的範囲に入るべき改変ヒト Th 2 (B 1 9) 特異的遺伝子 (後述する ) が含まれる。 〕 の由来となるヒト Th 2とは、 上記の通り、 ヒトヘルパー T細 胞のサブセッ トの一つである。 このヒト Th 2は、 以下のような特徴を有するヘルパー T細胞のサブセッ トで
①ヒト Th2は、 I L— 4及び I L— 5を産生するが、 I FN— 7及び TNF 一^は産生しない。
②ヒト Th 2は、 I L— 2及び I L— 4に反応して増殖し、 I FN—ァの存在 により誘導が抑制される 〔これに対して、 他方のサブセッ トのヒト Th 1は、 同 様に I L_ 2 ( I L— 1 2にも) に反応して増殖するが、 ヒト Th 2とは逆に、
I L- 4の存在により誘導が抑制される〕 。
③ヒト Th 2の表面マーカーは、 現在ヒト Th 1と明確に区別できる表面マー カーは見出されておらず、 ヒト Th 2はヒト Th 1と同様に、 CD44bii'ht,
CD 45 RBdul , ( LECAM— 1 dul 1の表現型を有する。 -
④ヒト Th 2は、 抗体産生を亢進させる。 特に、 I gEの産生を誘導する。
⑤ヒト Th 2は、 肥満細胞や好酸球の分化や増殖を促進する。
⑥ヒト Th 2は、 抗原特異的 DTHを誘起せず、 慢性化し進行型を示す場合に 優位となる。
本 明 (B 1 9) Th 2遣伝子は、 例えばこのような特徴を有するヒト Th 2 クローンを樹立し、 このクローンからヒト Th2の cDNAライブラリ一を調製 して得ることができる。
A. ヒト Th 2クローンの樹立
所望するヒト Th 2クローンを樹立する前提として、 このクローンを含むこと が知られている CD 4+ T細胞集団を調製する。
この調製方法は、 通常公知の方法、 例えば" Gianfranco, F.D.P.'et al., J.Cli n. Invest., 88, 346(1991)"に記載されている方法に従って調製することが可能で ある。
より具体的には、 例えばヒトの全血から末梢血単核球を分離して、 これを種々 の T細胞活性化因子により刺激をして、 所望する CD 4+ T細胞集団を調製する ことができる。 T細胞活性化因子としては、 例えばインゲンマメ由来の植物凝集 素 (PHA) 等の非特異的 T細胞活性化因子; 1 L— 2, I L- 4, 1 L- 1 2 等のサイトカイン; PPD, ダニ抽出液等の刺激抗原等を挙げることができる。 この調製過程を経た後、 後述する CD 4+ T細胞の単離工程に先立ち、 予め C D4 + T細胞以外の要素、 例えば CD 8+ T細胞等を除去する工程に付すること が好ましい。 この除去工程としては、 例えば抗 CD 4抗体を結合した磁気ビーズ を用いて CD 4+ T細胞のみを濃縮する方法等を挙げることができる。
上記誘導過程を経た後、 CD 4+ T細胞クローンを単離する。 この単離方法も 通常公知の方法、 例えば限界希釈法に従ってこの単離を行うことができる。
より具体的には、 例えば PH A及び I L一 2を添加した培地で、 細胞をゥエル 当り 0. 5〜 1 0細胞となるように 96穴マイクロプレートに播き、 3〜4日毎 に I L - 2添加培地で培地交換を続け、 増殖が認められた (通常 2〜4週間) 細
胞について表面マ一力一を調べ、 CD 4陽性のクローンのみを選択して、 対象と- なる CD 4+ T細胞クローンとすることができる。
このようにして単離した CD 4 + T細胞クローンの中から所望のヒト Th 2ク ローンを選択 ·調製することができる。
CD 4 + T細胞クローンからのヒト Th 2クローンの選択は、 既に知られてい るヒト Th 2とヒト Th 1の性質の違いに基づき行われる。
すなわち、 例えば、 抗 CD3抗体の刺激に応答して I L— 4を産生するが I F N— γを産生しないクローンをヒト Th 2クローンとして選択することができる (これに対して、 逆に I FN— 7を産生するが I L一 4を産生しないクローンは ヒト Th 1として選択される) 。
B. ヒ ト Th 2に特異的な cDNAの調製
ヒト Th2の cDNAとヒト Th lの c DNAには、 双方に共通する遣伝子配 列と、 各々において特異的な遺伝子配列が存在することが予想される。
このような状況下、 所望するヒト T h 2に特異的な c D N Aを調製するには、 ヒト Th 2の c DNA集団からヒト Th 1の c DNAと共通なものを除去する、 いわゆるサブトラクション法を用いるのが有利である。
このサブトラクシヨン法としては、 例えばデービスらの方法 (Davis,M.M.,et aL.Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A..81, 2194(1984)) を挙げることができる。
この方法はサブトラクションの対象となる一方の素材の c DN Aと、 他方の素 材の大過剰の poly (A) + RNAをハイブリダィズさせて、 ハイブリダィズせず に残った c DNAをプローブとして、 上記一方の素材の c DNAライブラリーを スクリ一二ングすることにより、 上記一方の素材に特異的な c DNAクローンを 得る方法である。
この方法は、 大量の poly (A) + RNAを必要とするという点が、 poly (A) + RNAの素材を大量に入手することが困難な場合においては実施することが困 難であるという欠点がある。
そこで、 比較的少量の P 01 y (A) + RNAを出発材料としてサブトラクシ ヨンを行うために、 PCR法を導入する方法も既に報告されている 〔例えば、 ge
ne expression screen法 (Wang, Z. and Brown, D. D. , Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A .,88.11505(1991)) 等〕 。 この方法は、 上記の方法における出発材料の c DNA を一度 P CR法で増幅することを特徴とする方法であるが、 上記サブトラクショ ン操作と P C Rによる増幅操作を繰り返すことで稀少な mRNAをクローニング できるという利点を有する方法である。
本発明においては、 一般的に正常の CD 4+ T钿胞ク α—ンの大量培養が困難 であり、 c DNAの铸型となる mRNAを大量に確保することが困難である故、 上記のサブトラクシヨン法のうち、 例えば上記 「gene expression screen法 J を 用いることが好ましい。
より具体的には、 通常公知の方法 (例えば、 p o l y (A) + RNAを铸型と して、 逆転写酵素を用いる方法) でヒト Th 2クローン及びヒト Th 1クローン 由来の c DN Aを調製して、 P CR法を用いてこれらの c DNAを増幅する。 この c DN Aの増幅に際しては、 P CR法による増幅に適した長さの c DNA 断片を得るために、 予め制限酵素処理や超音波処理を c DN Aに施すことが好ま しい。
また、 PCR法による増幅に必要な PCRブライマ一として、 例えば、 ヒト T h 2及びヒト Th 1それぞれに異なった塩基配列を有する特異的なプライマ一を 使用することができる。 この特異的なプライマーは、 通常化学合成により調製さ れる。 このようにすると、 サブトラクシヨン操作の後にヒト Th 2由来の cDN Aのみが増幅され、 微量に混入し得るヒト Th 1由来の c DNAの増幅を最小限 に止め得るという点で有利である。
この場合は、 予めこの PC R用プライマーがァニールし得る配列を含んだリン カーを上記 cDNA断片の両端に結合させる必要がある。 このため、 上記断片化 処理においては、 このリンカーが結合し得る末端を有する c DNA断片を提供す る制限酵素を用いることが好ましい。
PCRリンカーを結合した後のヒト Th 2クローン及びヒト Th 1クローン由 来の c DNA断片群より、 ある程度の長さを有する断片をァガロースゲル電気泳 動等の分別手段により選別し、 この選別した cDN A断片群を PC R法により増 幅し、 この増幅済断片をサブトラクシヨンの出発材料とすることができる。
このようにして調製した c DN A断片群のうち、 ヒト Th 2クローン由来の c- DNA断片群から、 ヒト Th 2及びヒト Th 1に共通する塩基配列を有する c D N Aを除いた cDN A断片群を選別して、 所望する本発明ヒト Th 2遺伝子を含 んだ遺伝子ライブラリーを調製することができる。
この選別方法は、 例えば一定量のヒト Th 2クローン由来の c DNA断片群に 過剰量の標識したヒト Th 1クローン由来 cDNA断片群をハイプリダイズさせ て、 この標識に基づいてヒト Th lクローン由来 c DN A断片とハイブリダイズ した cDNAを除去して、 残りの断片をヒト Th 2にのみ特異的な遺伝子配列に 基づいた c DN A断片として扱う方法を採ることができる。
ここで用いる標識は、 上記選別方法を行うことが可能である限り特に限定され ないが、 可能な限り標識及び除去が簡便な手段を用いることが好ましいことは勿 論である。 かかる点より、 例えばピオチン.で c DNA断片を標識して、 標識され た c DNA断片をストレプトアビジンに吸着させる手法等を用いることが有利で ある。
なお、 上記の手段により選別されたヒト Th 2にのみ特異的な遺伝子配列に基 づいた c DNA断片を、 さらに PC R法によって増幅させて再び上記の選別手段 を行う過程を繰り返すことによって、 所望する c DNA断片を濃縮 ·増幅するこ とができる。
このようにして調製した、 cDNA断片を用いて、 本発明 Th 2 (B 1 9) 遺 伝子を含んだ遣伝子ライブラリーを得ることができる。
かかる遺伝子ライブラリ一の調製工程については、 通常公知の方法を用いるこ とができる。
すなわち、 上記 c DNA断片を適切な遺伝子導入用べクタ一に組み込み、 これ を選択した遣伝子導入用べクタ一に応じた宿主に導入することにより所望する遺 伝子ライブラリーを調製することができる。 なお、 この遺伝子導入用べクタ一に c DNA断片が組み込まれたか否かは、 このベクターが保有する, 例えば lac Z 遺伝子活性によるカラーセレクション等によって確認することができる。
ここで用いる導入用ベクターは、 特に限定されず、 例えばプラスミ ドとしては 、 pBluescript' pUC 1 8, p BR 322, p BG P 1 20, p P C ø 1 , p P
C ø 2, p PC ø 3, pMC 1403, p L G 200, p LG 300, p L G 4- 00等を; ; lファージとしては、 λ ΐ Ι Ο, ス ΖΑΡΙΙ等を挙げることができ るが、 取扱いの簡便さから上記 lac Z遺伝子をマ一カーとして保有するプラスミ ドを用いることが好ましい。 具体的には、 上記導入用ベクターのうち、 pBluescr ipt. pUC 1 8, pBGP 1 20等を選択することが好ましい。
なお、 この遺伝子ライブラリーの調製工程を市販の遣伝子ライブラリー調製用 キッ トを用いて行うことも可能である。
C. 本発明 Th 2 (B 1 9)遺伝子の単離
上記のようにして調製した遺伝子ライブラリ一から、 直接 DN Aを抽出して、 それらのうちのいくつかの塩基配列を決定して、 それらの塩基配列から本発明 T h 2 (B 1 9) 遺伝子を有するクローンを選別することも可能であるが、 予めさ らにクローンを選別して確実に本発明 Th.2 (B 1 9) 遺伝子を有するクローン を特定することが好ましい。
かかる選別方法としては、 通常公知の方法を用いることができる。 たとえば、 上記のごとく調製した、 ヒト T h 2に特異的な遺伝子に基づく遺伝子ライブラリ 一及び別に調製したヒト Th 1に特異的な遺伝子に基づく遺伝子ライブラリ一に 由来する遺伝子を調製し、 これに標識を施して標識プローブとして、 ヒト Th 2 に特異的な遺伝子に基づく遺伝子ライブラリーのレブリカとハイブリダィズさせ て、 ヒト Th 2に特異的な遺伝子のプローブとはハイブリダィズするが、 ヒト T h 1に特異的な遣伝子のプローブとはハイプリダイズしないクローンを選別して 、 このクローンを本発明ヒト Th 2を保有するクローンとして、 後述する本発明 Th 2 (B 1 9) 遣伝子の塩基配列を決定する対象とすることができる。
なお、 さらに慎重を期するために、 例えばヒト Th 2及びヒト Th 1の全 RN A又は poly (A) + RNAを用いたノーザンプロッティング法を用いて発現する mRNAのパターンを比較して、 後述する本発明 Th 2 (B 1 9) 遺伝子の塩基 配列を決定する対象となるクローンを決定付けることもできる。
このようにして調製したクローンにおける本発明 Th 2 (B 1 9 ) 遺伝子の塩 基配列の決定手段は通常公知の方法を用いて行うことができる。
例えば、 マキサム一ギルバート法 (Maxam, A. M. , and Gilbert, W.,Proc. Natl. Ac
ad. Sci.U. S. A., 74, 560(1977)) , ゲノミック 'シークェンス法 (Church, G. . an d Gilbert, W. , Proc. Natl. Acad. Sci.U. S, A., 81, 1991 (1984)) , マルチプレックス 法 (Church, G. M. and Kief fer-Higgins, $., Science, 240, 185(1988)) , サイクル シークェンス法 (Murray, V., Nucleic Acids Res., 17, 8889(1989)) , ジデォキシ 法 ( Sanger, F.,et al. , Proc. Natl. Acad. Sci.U. S. A. , 74, 5463(1977)) 等の方法を 用いて、 所望する本発明 Th 2 (B 1 9) 遺伝子の塩基配列を決定することがで きる。
なお、 これらの原理を応用した塩基配列自動解析装置を用いて、 この塩基配列 を決定することも勿論可能である。
上記のごとく して決定された本発明 Th 2 (B 1 9) 遺伝子の塩基配列を基に して、 この本発明 Th 2 (B 1 9) 遺伝子そのものを入手することができる。 すなわち、 上記と同様に調製した本発明 Th 2 (B 1 9) 遺伝子の出所となる ヒト Th 2の cDNAを铸型とし、 上記のごとく決定された本発明 Th 2 (B 1 9) 遺伝子の 5' 末端側と 3' 末端側の配列を含む DNA断片をプライマーとし て、 前出の PC R法により、 本発明 Th 2 (B 1 9) 遺伝子を大量に増幅させて 入手することができる。
また、 上記のごとく塩基配列を決定したヒト Th 2遺伝子断片そのものをプロ ーブとして、 ヒト Th 2から作出した c DNAの遺伝子ライブラリ一から本発明 Th 2 (B 1 9) 遣伝子を有するクローンを選別して、 本発明 Th 2 (B 1 9) 遣伝子の全長を入手する伝統的な手法を用いることも可能である。
さらに、 ホスフアイ トー トリエステル法 (Ikehara.M. ,et al. , Proc. Natl. Acad .Sci. U.S. A., 81, 5956(1984) ) 等の通常公知の方法を用いて本発明 T h 2 (B 1 9) 遺伝子を化学合成することも可能であり、 これらの化学合成法を応用した D NAシンセサイザ一を用いて本発明 Th 2 (B 1 9) 遺伝子を合成することも可 能である。
なお、 このようにして製造する本発明 Th 2 (B 1 9) 遺伝子の塩基配列の一 部を改変して、 この塩基配列の一部の塩基が欠失, 置換若しくは付加された塩基 配列からなる改変遺伝子 〔この本発明 Th 2 (B 1 9) 遺伝子 (B 1 9) に対す る相同性は、 概ね 70 %以上である〕 の存在を本発明者は認識し、 このような改
変遺伝子にも本発明の技術的範囲は及ぶものである。 - この本発明の技術的範囲が及び得るヒト Th 2遺伝子は、 ストリンジェン卜な 条件下 {系における DNA同士のハイブリツ ドが形成しにくい条件 〔具体的には 、 系の温度 (高い程ハイプリッ ドしにくい) や塩濃度 (低い程ハイプリッ ドしに くい) 、 やホルムアミ ド等の変性剤の濃度 (高い程ハイブリツ ドしにくい) 等に 依存する〕 のことをいう。 } で配列番号 5 (後述する) で表される塩基配列の D NAとハイブリダィズし、 さらに配列番号 6 (後述する) で表されるアミノ酸配 列を有するヒト Th 2 (B 1 9) 特異的タンパク質を実質的に同一の生物学的活 性を有するヒト Th 2特異的タンパク質をコ一ドするヒト Th 2特異的遺伝子で あ 。
ここにいう 「実質的に同一」 とは、 その生物学的活性が比較の対象となるヒト Th 2 (B 1 9) 特異的タンパク質の生物.学的活性と質的及び 又は量的に同一 性を有することを意味する。
具体的なヒト Th 2 (B 1 9) 特異的タンパク質の生物学的活性については後 述する。
この遺伝子改変法として、 通常公知の方法、 例えばいわゆるサイ トースぺシフ イツクミユー夕ジエネシス (Site— Specif ic Mutagenesis) (Mark, D.F. , et al.,P roc. Natl. Acad. Sci.U. S. A., 81,5662(1984) ) 等の方法を用いて、 所望の遺伝子 改変を行うことができる。
このようにして入手した本発明 Th 2 (B 1 9)遺伝子を用いて、 疾患の局所 における Th 1 /Th 2バランスのチェックを行うことができる。
すなわち、 疾患の局所の mRNAを抽出して、 例えば RT— PCR法 ("PCR P rotocols, A Guide to Methods and Applications Innis, M. A. , et al. , ed. , Ac ademic Press, San Diego, 1990 ) を用いて、 この組織における本発明 T h 2 (B 1 9) 遺伝子の発現の程度を測定して、 疾患の局所における Th lZTh 2バラ ンスのチヱックを行うことができる。
この Th 1 ZTh 2バランスをチ ックすることにより、 上記従来技術の欄に 記載したごとく、 Th lZTh 2インバランスが重大な要素となる疾患、 例えば H I V感染症, アレルギー疾患, 各種の感染症等の症状の推移等をより確実に把
握することができる。
なお、 この Th 1 /Th 2バランスのチエツクは、 後述するヒト Th 2のボリ クローナル抗体又はモノクローナル抗体を用いて行うことも勿論可能であるが、 ここに示したチェック手段は、 これらの抗体を用いることが困難な局面、 例えば 目的のタンパク質の発現量が極微量である場合等に際して有効なチュック手段で める。
D. 本発明ヒト Th 2 (B 1 9) タンパク質の製造:
さらに、 このようにして入手した、 本発明 Th 2 (B 1 9) 遺伝子を用いて、 組換えヒト Th 2特異的タンパク質 〔以下、 本発明ヒ ト Th 2 (B 1 9) タンパ ク質という。 この本発明ヒト Th 2 (B 1 9) タンパク質には、 特に断らない限 り上記の改変遺伝子から翻訳され得る改変.タンパク質は、 改変されていない本発 明ヒト Th 2 (E 26) タンパク質と実質的に同一の生物学的活性を有する。 〕 を製造することができる。
この本発明ヒ ト Th 2 (B 1 9) 夕ンパク質は、 上記本発明 Th 2 (B 1 9) 遺伝子を利用して、 通常公知の一般的な遺伝子組換え技術に従って製造すること ができる。
より具体的には、 本発明 Th 2 (B 1 9) 遺伝子が発現可能な形態の遺伝子発 現用ベクターに本発明 Th 2 (B 1 9) 遣伝子を組み込み、 この遺伝子発現用べ ク夕一の性質に応じた宿主にこの組換えべクタ一を導入して形質転換し、 この形 質転換体を培養等することにより所望の本発明ヒ ト Th 2 (B 1 9) タンパク質 を製造することができる。
ここで用いる遺伝子発現用ベクターは、 通常発現しょうとする遺伝子の上流域 にプロモーター, ェンハンサー, 及び下流域に転写終了配列等を保有するものを 用いるのが好適である。
また、 本発明 Th 2 (B 1 9) 遺伝子の発現は、 直接発現系に限らず、 例えば 3—ガラク トシダ一ゼ遺伝子, グルタチオン一 S—トランスフヱラ一ゼ遺伝子や チォレドキシン遺伝子を利用した融合夕ンパク質発現系とすることもできる。 かかる遺伝子発現用ベクターとしては、 例えば宿主を大腸菌とするものとして
は、 pQE, p GEX, T 7 - 7, p AL, pTr xFu s, pET, p N- T 26 CII等を例示することができる。 また、 宿主を枯草菌とするものとしては 、 p PL 608, pNC 3, p SM23, p KH 80等を例示することができる また、 宿主を酵母とするものとしては、 PGT5, pDB 248 X, p ART 1, RE P 1 , YE p 1 3, YRp 7, Y C p 50等を例示することができる また、 宿主を哺乳動物細胞又は昆虫細胞とするものとしては、 p 9 1 023, P CDM8, p cDL - SR 296, p BCMGSNe o, p S V 2 d h f r , p SVd h f r, p A c 373, pAcYMl, pR c/CMV, p RE P 4 , p cDN A I等を例示することができる。
これらの遺伝子発現ベクターは、 本発明.ヒト Th 2 (B 1 9) タンパク質を発 現させる目的に応じて選択することができる。 例えば大量に本発明ヒト Th 2 ( B 1 9) タンパク質を発現させることを企図する場合には、 宿主として大腸菌, 枯草菌又は酵母等を選択し得る遺伝子発現ベクターを選択するのが好ましく、 少 量でも確実に活性を有するように本発明ヒト Th 2 (B 1 9) タンパク質を発現 させることを企図する場合には、 哺乳動物細胞や昆虫細胞を宿主として選択し得 る遺伝子発現べクタ一を選択するのが好ましい。
上記のように既存の遺伝子発現べクタ一を選択することも可能であるが、 目的 に応じて適宜遺伝子発現ベクターを作出して、 これを用いることも勿論可能であ o
なお、 これらの遺伝子発現用組換えべクタ一も本発明の技術的範囲に入るもの である。
本発明 Th 2 (B 1 9)遣伝子を組み込んだ上記遺伝子発現用ベクターの宿主 細胞への導入及びこれによる形質転換法は、 一般的な方法、 例えば宿主細胞が大 腸菌ゃ枯草菌である場合には、 塩化カルシウム法やエレク トロポレーション法等 を;宿主が哺乳動物細胞や昆虫細胞の場合はリン酸カルシウム法, エレク トロポ レ一シヨン法又はリボソーム法等の手段により行うことができる。
このようにして得られる形質転換体を常法に従い培養することにより、 所望す
る本発明ヒ ト Th 2 (B 1 9) タンパク質が蓄積される (このような形質転換体 も本発明の技術的範囲に含まれる) 。
かかる培養に用いられる培地は、 宿主の性質に応じて適宜選択することができ るが、 例えば宿主が大腸菌である場合には、 LB培地や TB培地等が、 宿主が哺 乳動物細胞の場合には、 RPMI 1 640培地等を適宜用いることができる。 この培養により得られる培養物からの本発明ヒ ト Th 2 (B 1 9) タンパク質 の単離及び精製は、 常法に従い行うことが可能であり、 例えば培養物を、 本発明 ヒ ト Th 2 (B 1 9) タンパク質の物理的及び/又は化学的性質を利用した各種 の処理操作を用いて行うことが可能である。
具体的には、 タンパク沈澱剤による処理, 限外濾過, ゲル濾過, 高速液体クロ マトグラフィー, 遠心分離, 電気泳動, 特異抗体を用いたァフィ二テイ ク口マト グラフィー, 透析法等を単独で又はこれら.の方法を組み合わせて用いることがで きる。
このようにして、 本発明ヒト Th 2 (B 1 9) タンパク質を単離、 精製するこ とが可能である。
なお、 上記の本発明 Th 2 (B 1 9) 遺伝子発現系において、 宿主として患者 自身から分離した T細胞又は骨髄細胞等を本発明 Th 2 (B 1 9) 遺伝子で形質 転換して、 この形質転換体を患者に戻すことにより、 いわゆる遺伝子治療に利用 することが可能である。
この場合の発現用ベクターとしては、 例えばレトロウィルスやアデノウイルス 等のウィルスベクタ一等を挙げることができる。
この形質転換細胞を用いて行う遺伝子治療は、 Th 1優位の Th 1 ZTh 2ィ ンバランスに陥っていることが重大な原因となる疾病の患者に対して行うことが できる。 具体的には、 例えば多発性硬化症やリウマチ様関節炎に上記形質転換钿 胞を投与して、 これによりこれらの疾患の重大な原因となっている Th 1優位の Th 1 /Th 2インバランスを、 投与した形質転換細胞にヒト Th 2 (B 1 9) タンパク質を患者の体内で発現させることにより遺伝子治療を行うことができる
E. 本発明ヒト Th 2 (B 1 9) タンパク質に対する抗体の製造:
本発明は、 上記本発明ヒト Th 2 (B 1 9) タンパク質に対する抗体にも関す すなわち、 本発明ポリクローナル抗体は、 ヒト Th 2 (B 1 9) タンパク質を 免疫抗原として免疫した動物に由来する免疫血清から製造することができる。
ここで使用される免疫抗原としてのヒト Th 2 (B 1 9) タンパク質は、 特に 限定されるものではなく、 上記のごとく調製される本発明 Th 2 (B 1 9) 遺伝 子 (その塩基配列の一部を改変したものも含む) がコ一ドする本発明ヒト Th 2 (B 1 9) タンパク質を用い得ることは勿論のこと、 本発明 Th 2 (B 1 9)遺 伝子の一部断片がコードする本発明ヒト Th 2 (B 1 9) タンパク質の断片や本 発明ヒト Th 2 (B 1 9) タンパク質に直接酵素処理等を施して、 又は化学合成 して得られる本発明ヒト Th 2 (B 1 9).タンパク質の部分ペプチドをも本発明 ポリクローナル抗体を製造する上での免疫抗原とすることができる。
また、 免疫動物と同種 ·同系統の動物由来の細胞株を、 ヒト Th 2タンパク質 〔本発明ヒト Th 2 (B 1 9) タンパク質を含む〕 又はその一部をコードする遺 伝子を組み込んだ発現べクターを導入して形質転換して、 この形質転換細胞をそ の免疫動物に移植することにより本発明ポリクロ一ナル抗体を調製することがで きる。 すなわち、 形質転換細胞を移植した動物の体内で、 持続的に上記ヒト Th 2タンパク質がその形質転換細胞で作られ、 それに対する抗体が産生されて、 こ れを本発明ポリクローナル抗体とすることもできる (Nemoto,T..et aL.Eur. J. I ramunol. ,25, 3001(1995) )。
さらに、 上記ヒト Th 2タンパク質を発現する発現ベクターを直接動物に筋注 や皮下注等の手段で投与することにより、 その動物內で上記ヒト Th 2タンパク 質を継続的に産生させて、 上記の形質転換細胞を移植した場合と同様に本発明ポ リク口一ナル抗体を製造することができる (Raz,E.,el al. , Proc. Natl. Acad. Sci .U.S. A., 91, 9519(1994) ) 。
一方、 本発明モノクローナル抗体は、 本発明ポリクローナル抗体の場合と同様 の方法で、 免疫した動物の免疫細胞と動物の骨髄腫細胞とのハイプリ ドーマを作 出し、 これによりヒト Th 2タンパク質を認識する抗体を産生するクローンを選
択し、 このクローンを培養することにより製造することができる。
また、 免疫される動物も特に限定されるものではなく、 マウス, ラッ ト等を広 く用いることができるが、 モノクローナル抗体を製造する場合には、 細胞融合に 用いる骨髄腫細胞との適合性を考慮して選択することが望ましい。
免疫は一般的方法により、 例えば上記免疫抗原を免疫の対象とする動物に静脈 内, 皮内, 皮下, 腹腔内注射等で投与することにより行うことができる。
より具体的には、 上記免疫抗原を所望により通常のアジュバントと併用して、 免疫の対象とする動物に 2〜1 4日毎に上記手段により数回投与し、 ポリクロー ナル抗体製造のための免疫血清又はモノクローナル抗体製造のための免疫細胞、 例えば免疫後の脾臓細胞を得ることができる。
モノクロ一ナル抗体を製造する場合、 この免疫細胞と細胞融合する他方の親細 胞としての骨髄腫細胞としては、 既に公知のもの、 例えば SP 2/0—Ag 1 , P 3 -NS 1 - 1 -Ag 4 - 1 , MPC11-45, 6. TG I. 7 (以上、 マ ウス由来) ; 21 0. RCY. Ag l. 2. 3 (ラッ ト由来) ; SKO— 007 , GM 1 5006 TG- A 12 (以上、 ヒト由来) 等を用いることができる。 上記免疫細胞とこの骨髄腫細胞との細胞融合は、 通常公知の方法、 例えばケー ラーとミルシュタインの方法 (Kohler.G. and Mi lstein, C. , Nature, 256, 495(197 5)) 等に準じて行うことができる。
より具体的には、 この細胞融合は、 通常公知の融合促進剤、 例えばポリエチレ ングリコール (PEG) , センダイウィルス (HVJ) 等の存在下において、 融 合効率を向上させるためにジメチルスルホキシド等の補助剤を必要に応じて添加 した通常の培養培地中で行い、 ハイプリ ドーマを調製する。
所望のハイプリ ドーマの分離は、 通常の選別用培地、 例えば HAT (ヒボキサ ンチン, アミノブテリン及びチミジン) 培地で培養することにより行うことがで きる。 すなわち、 この選別用培地において目的とするハイプリ ドーマ以外の細胞 が死滅するのに十分な時間をかけて培養することによりハイプリ ドーマの分離を 行うことができる。 このようにして得られるハイプリ ドーマは、 通常の限界希釈 法により目的とするモノクローナル抗体の検索及び単一クローン化に供すること ができる (このハイプリ ドーマも本発明の技術的範囲に入るものである。 ) 。
目的とするモノクローナル抗体產生株の検索は、 例えば EL I SA法, づラ" ク法, スポッ ト法, 凝集反応法, ォクタロニー法, R I A法等の一般的な検索法 に従い行うことができる。
このようにして得られるヒ卜 Th 2タンパク質を認識する所望のモノクロ一ナ ル抗体を産生するハイプリ ドーマは、 通常の培地で継代培養することが可能であ り、 さらに液体窒素中で長時間保存することもできる。
このハイブリ ドーマからの所望のモノクローナル抗体の採取は、 このハイブリ ドーマを常法に従って培養して、 その培養上清として得る方法や、 ハイプリ ド一 マをこのハイプリ ドーマに適合性が認められる動物に投与して増殖させ、 その腹 水として得る方法等を用いることができる。
なお、 インビト口で免疫細胞をヒト Th 2タンパク質又はその一部の存在下で 培養し、 一定期間後に上記細胞融合手段を用いて、 この免疫紬胞と骨髄腫細胞と のハイプリ ドーマを調製し、 抗体産生ハイプリ ドーマをスクリーニングすること で所望するモノク口一ナル抗体を得ることもできる (Reading, C. L. , J. Inununol.M eth.^53. 261(1982); Pardue, R. L. , et al.. J.Cell Biol., 96, 1149(1983) )。
さらに、 免疫原として本発明ヒト Th 2 (B 1 9) タンパク質を用いることな しに、 免疫原として直接本発明 Th 2 (B 1 9) 遺伝子又はその一部を用いて所 望するモノクローナル抗体を得ることも可能である。
すなわち、 本発明 Th 2 (B 1 9) 遺伝子で直接動物を免疫して (この免疫の 際には、 この遺伝子を含む遗伝子発現用組換えベクターを免疫原として用いるこ とができる) 、 その遺伝子免疫動物の免疫細胞又は免疫血清を用いることによつ て、 ヒ ト Th 2 (B 1 9) タンパク質を特異的に認識するモノクローナル抗体を 製造することができる。
また、 上記で得られるポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体は、 更に塩 析, ゲル濾過法, ァフィ二ティクロマトグラフィー等の通常の手段により精製す ることができる。
このようにして得られるボリクローナル抗体及びモノクローナル抗体は、 ヒ ト Th 2タンパク質に対して特異反応性を有する抗体である。
上記ボリク α—ナル抗体及びモノクローナル抗体は、 体内の Th 1 /Th 2バ
ランスをチェックする手段として用いることができる。 すなわち、 上記抗体を E L I SA, R I A, 免疫組織化学的手法, フローサイ トメ トリーによる解析, ゥ エスタンブロッ ト法等に用いることによって、 検体中のヒト Th2量を特定する ことにより、 体内の Th 1 /Th 2バランスをチヱックして、 上記従来技術の欄 に記載したごとく、 Th lZTh 2インバランスが重大な要素となる疾患、 例え ばァトピー性疾患やエイズ等の症状の推移等をより確実に把握することができる σ
また、 上記のようにして得られるポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体 は、 例えば Th 2が優位の Th 1 /Th 2インバランスを是正する抗体として用 いることができる。
なお、 動物由来の抗体においては、 そのまま人間に投与する場合に抗原性が認 められ、 そのままヒトに投与するのには適さない面がある。 そのために、 動物由 来のモノク^ーナル抗体の遺伝子の可変領域をクローニングして、 この可変領域 の遺伝子とヒト型の抗体の遺伝子の定常領域の遺伝子と結合させて、 この融合遺 伝子を発現させて融合抗体を製造することができる (Clackson,T.,et ah.Natur e, 352 , 624(1991)) 。
この技術を上記モノクローナル抗体について適用することも可能である。 すな わち、 動物由来の上記モノ クローナル抗体の可変領域とヒト型の抗体の定常領域 とが融合した融合抗体を、 例えば Th 2が優位の Th 1 /Th 2インバランスを 是正する抗体として用いることもできる。 実施例
以下、 実施例等により本発明を具体的に記載するが、 この実施例により本発明 の技術的範囲が限定して解釈されるべきものではない。
〔実施例 1〕 本発明 Th 2 (B 1 9)遺伝子の製造等
(1) ヘルパー T細胞クローンの調製
健常人の末梢血単核球 (PBMC) 1 06 細胞 Zmlに、 ヒト T h i細胞を主に 誘導するために、 PHA (E Yラボラトリーズ社製) 1 g/ml, r I FN- r ( ジェンザィム社製) 50 ng/ml 及び r I L- 1 2 (R&Dシステムズ社製) 5 ng
/ml を添加して 5日間培養した。 一方、 ヒト Th 2を主に誘導するために、 MCにダニ抽出液 (鳥居薬品製) 2% (v/v), r I L一 4 (ジェンザィム社製) 20 ng/ml 及び抗 I FN-ァ抗体 (ジェンザィム社製) を 5〃g Zmlを添加して 5日間培養した。
5日後、 各々の培養に r I L- 2 (塩野義製薬製) を 40U/ml 添加して、 さ らに 7~1 0日間培養した。
次に、 この培養集団の中から、 CD4+ T細胞を分離するために、 抗 CD4抗 体を結合した磁気ビーズ (ダイナル社製) を吸着させた後、 磁石上でビーズと結 合した細胞を回収した。 次に、 磁気ビーズ分離用試薬 (ダイナル社製) で、 磁気 ビーズから CD 4+ T細胞を解離させ、 CD 4+ T細胞を得た。
次いで、 この純化した CD4+ T細胞集団を PHAO. 5〃g/ml及び r I L- 2を 4 OUZml添加した、 1 5%牛胎児 ώ清添加 RPM I 1 640で、 細胞をゥ エル当り 0. 5細胞となるように 96穴マイクロプレートに播き、 3〜4日毎に 上記と同様の I L一 2添加培地で培地交換を続け、 増殖が認められた細胞につい て表面マーカーを蛍光抗体法を用いて調べ、 CD 4に対して陽性のクローンのみ を選択して、 対象となる CD4+ T細胞クローンとした (Gianfranco, F.D.P.,e t al., J.Clin. Invest. ,88, 346(1991) )。
次に、 個々の CD 4+ T細胞クローンの細胞のタイプを調べるために、 上記 C D 4 + Τ細胞クローン (6 X 1 05cells/ 300 / 1 ウエル) を、 抗 CD 3抗 体 (OKT3 :ォーソファーマス一ティカル社製) をコートした 48ゥエルプレ —卜で 24時間培養し、 その培養上清中の I FN—ァ及び I L一 4の濃度をそれ ぞれのモノクローナル抗体を用いた EL I S Aで測定した。
その結果、 I L一 4を産生するが I FN— γを産生しないものをヒト Th 2ク ローンとした。 その結果を第 1表に示す。
第 1 表 クロ-ン ナ— —次棚 サイ カイン鏖生
IFN-τ IL-4 )a> タイプ
1P04 KN PHA >50.0 ぐ 0.2 ■mi
2P15 T PHA 19.2 <0.2
2P26 KT PHA ぐ 0.5 9.0 72
K D4 KN Der <0.5 4.9 Th2 a)細^ (6x105cells/300 n l ell)を 0 T3を B相化した 48穴
プレート中で 24 ffmHR,上清中の IF «orと の素度を
EUSAによリ λ定した,
b)ダニ抽 ί¾液
(2) サブトラクト c DN Aライブラリ一の調製
上記 ( 1 ) において得たヒト Th 2クローン (2P26) 及びヒト Th 1クロ ーン (2 P 1 5) よりそれぞれ p o 1 y (A) + RNAをォリゴdTラテックス (日本ロシュ製) を用いて常法により調製した。 次いで、 これらの po 1 y (A ) + RNAを铸型にして、 オリゴ (dT) プライマー (フアルマシア製) 及び M ML V逆転写酵素 (フアルマシア製) を用いて、 それぞれの cDN Aを約 300 ngを調製した。 次に、 それぞれの cDNAを、 PCR法による増幅工程に処する に適した鎖長にするために、 制限酵素 A l u I (東洋紡繽製) 84 1及び同 5 a I (東洋紡績製) 48Uで、 37°Cで 5時間消化し、 それぞれに異なる PCR 用のリンカー (Balzer.H. J., and Baumlein, H. , Nucleic Acids Res., 22 ,2853(19 94) ) : ヒト Th 2用リンカー :
5' — AGT TAC ACG TCT AG A ATG GCT - 3'
(配列番号 1 )
3' -ATAG TCA ATG TGC AG A TCT TAC CGA. 一 5' (配列番号 2) ヒト Th 1用リンカー:
5' -CTC TTG CTT GAA TTC GGA CTA- 3'
(配列番号 3 )
3' -AC AC GAG AAC GAA CTT AAG CCT GAT - 5' (配列番号 4) を結合した後に、 ァガロース電気泳動により分子量が 0. 2Kbp から 2Kbp の c DNA断片のみを分取した。 次に、 このようにして得られた 2 P 2 6由来及び 2 P 1 5由来の c DNA断片を、 それぞれ特有の PC R用プライマ一: ヒト Th 2用プライマー:
5' -AGT TAC ACG TCT AGA ATG GCT - 3'
(配列番号 1 )
ヒト Th 1用ブライマー:
5' -CTC TTG CTT GAA TTC GGA CTA - 3'
(配列番号 3 ) を用いて P CRにより増幅した (熱サイクル: 9 4°C 1分; 5 0°C 1分; 7 2 °C2分;を 3 0回) 。 この PC Rにより得られた PCR産物をサブトラクション の出発材料とした。
すなわち、 ヒト Th 2 (2 P 2 6) 由来の上記 PCR産物 (5 g ) に大過剰 量のピオチン標識ヒト Th 1 ( 2 P 1 5) 由来の P CR産物 ( 1 0 0 /zg ) CD NA (100 fig ) に光反応性ビォチン (100 g ) (ベクターラボラトリーズ社 製) を加え、 氷中で冷しながら、 1 6 0Wサンランプ下約 1 5 cmの所に静置し、 1 5分間照射した。 その後、 未反応ピオチンをブタノール抽出で除去し、 この操 作を再度繰り返した後、 トリス · EDTA緩衝液 (TE) に溶解してピオチン標
識を完了した。 〕 を加え、 1 00°Cで熱変性してそれぞれを 1本鎖とした後に両 者をハイプリダイズさせた。 次いで、 フリーの 2 P 1 5由来の c DNA及び 2 P 26由来の c DN Aとハイプリダイズした 2 P 1 5由来の c DNAを、 系にスト レプトアビジン (ライフテクノロジ一ズ製) を 1 00〃g添加して、 これに吸着 させて、 フエノール ' クロ口ホルム抽出により除去した。 この操作により、 2P 26由来の cDNAから 2P 1 5由来の c DN Aと共通の塩基配列を持つ c DN Aが差し引かれ、 2 P 26に対して特異的な c DN Aを濃縮するサブトラクショ ンが完了した。
次いで、 この濃縮した 2 P 26に対して特異的な c DNAについて、 上記の P C R増幅及びサブトラクションを再度操り返し、 2 P 26に対して特異的な c D NAをさらに濃縮した後、 再度上記と同様の PCR増幅を行い、 約 3 g の cD NAを得た。
このようにして得た 2 P 26に対して特異的な c DN Aを、 プラスミ ド p Blue script SK(-) (ストラ夕ジーン社製) にクローニングしてサブトラクト cDNA ライブラリ一を調製した。 次いで、 このサブトラクト c DNAライブラリ一の一 部で大腸菌 (E. coli JM109株) を形質転換した。
(3) 本発明 Th 2 (B 1 9) 遺伝子断片の単離
上記 (2) で得た 2 P 26由来のサブトラクト cDN A及び同様の方法により 得られた 2 P 1 5由来のサブトラクト c DNAを、 それぞれランダムプライミン グ法を用いた市販の32 P標識用キット (宝酒造製) を用いて標識し、 これらを放 射性プローブとした。
—方、 上記 (2) において調製した 2 P 26由来の c DNAライブラリ一の一 部で形質転換した大腸菌をプレートに播き、 生育してきたコロニーについて 2組 のレプリカフィルターを作製した。 この 2組のレプリカフィルターに対して、 上 述の 2種の放射性プローブをハイブリダィズさせ、 0. 1 XSSCで洗浄後、 ォ 一トラジオグラフィ一でプローブ中の c DN Aと相同な c DNAを含む大腸菌コ ロニ一を同定した。
この方法で、 約 3400のコロニーをスクリーニングした結果、 「2 P 1 5由
来のサブトラクト c DN Aプローブでは陽性シグナルを与えず、 2 P 26由来の サブトラク ト c DNAブローブに対してのみ陽性シグナルを与える」 コロニーを 20 1個認めた。 この 201個の c DNAクローンについて、 コロニーハイブリ ダイゼーシヨン法により、 相互の異同を検討した結果、 相互にハイブリダィズし ない独立した 60個のクローンを得た。
次に、 この 60個のクローンについて、 全 RNAを用いたノーザンプロッティ ングにより、 2 P 26と 2 P 1 5との間での mRN Aの発現の差を検討した。 その結果、 2 P 1 5には殆ど発現しておらず、 2 P 26にのみ発現が顕著であ るクローンを 1 3種得た。
次に、 この 1 3種のクローンの c DNAについて、 さらにヒト Th 2に対する 特異性を確認するために、 複数のヒト Th 2クローン細胞及びヒト Th 1クロー ン細胞との間での mRN Aの発現の差を、 .上記ノ一ザンブロッティング法により 検討した。 その結果、 ヒト Th 2クローン細胞にのみ共通に発現が認められるい くつかの c DN Aクローンを得た。 そのうちの 1つのクローン (B 1 9) の上記 ノーザンプロッティング解析の結果を第 1図に示す。
この第 1図において、 B 1 9 mRN Aが上記 2つのヒト Th 2クローン (2P 26及び KND4) において発現していることが明らかになった (レーン 3及び レーン 4に対応する) 。
なお、 B l 9mRNAはヒト Th lク α—ン (1 P04及び 2 P 1 5 :それぞ れレーン 1及びレーン 2に対応する) には発現していなかった。
c DNAクローン Β 1 9の DNAの塩基配列の解析を、 蛍光夕一ミネー夕一を 用いたジデォキシ夕ーミネーション法により (パーキンエルマーシータス社のキ ッ トを用いた) 行った。
その結果、 クローン B 1 9は、 新規の塩基配列を有する DNAを有していた。 そこで、 次にクローン B 1 9が有する上記遺伝子と相同の塩基配列を含む遺伝 子 〔本発明 Th 2 (B l 9)遣伝子〕 の全長についてのクローニングを行った。
(4) 本発明 Th 2 (B 1 9) 遣伝子のクローニング
所望の c DNAの全長をクローニングするために、 B l 9mRNAの発現が高
い細胞から λファージ cDN Aライブラリーを調製した。
すなわち、 上記 2P26細胞より全 RN Aを抽出し、 オリゴ (dT) ラテック ス (日本ロシュ製) を用いて、 p 01 y (A) + RN Aを常法により精製した。 次に、 市販の c DNAクローニングキッ ト (ライフテクノロジ一社製) を用いて 、 2本鎖 cDNAを合成し、 λ ΖΑΡΠ (ストラタジーン社製) の E c oR Iサ イ トにクローニングした。 これに引続き、 市販のキッ ト (ストラタジーン社製) を用いて、 インビトロで上記; Iファージにおけるパッケージングを完了した。 こ のパッケージング産物を大腸菌 XL 1 -B 1 u e MRF' (ストラタジーン社 製) に感染させ、 約 1 X 1 06 個の組換え Λファージを得た。 次に、 上記 (3) により得た斩規の c DN A断片をランダムプライミ ング法を用いた市販の32 P標 識用キッ ト (宝酒造製) を用いて標識し、 これを放射性プローブとして、 ブラー クハイブリダィゼ一ション法によりスファ.一ジライブラリーのスクリ一ニングを ITつた。
その結果、 42の陽性クローンを見出し、 これらの陽性 c DNAクローンのう ち、 最も長いインサート DNAを持つクローン 3個について、 上記 (3) と同様 の蛍光ターミネーターを用いたジデォキシターミネーション法による塩基配列解 析の結果、 3つの陽性クローンの c DN Aの互いに重複する部分の塩基配列は完 全に一致しており、 同一の遺伝子に由来するクローンであることが確認された。
これらの 3つの陽性クローンのうち、 最も長い c DNAを有するクローン B 1 9— 1を B 1 9と称し、 以下に用いた。
(5) 本発明 Th 2 (B 1 9) 遺伝子の構造
クローン B 1 9に取り込まれた c DN Aは 29 1 1 bpの鎖長であり、 ノ一ザン ブロッテイングで測定された mRNAの長さ (約 3kbp ) に近いものであった。 そして、 その 3' 端に、 po l y (A) + 付加シグナル及び p o 1 y (A) + の 一部と思われる 1 0個の A (アデニン) を有していた。
また、 最も長いオープンリーディ ングフレームは、 5' 端より 1 1 3番目の A TGより始まり、 1 298番目の TGAで終わり、 395アミノ酸残基よりなる タンパク質をコードしていると予測された。 その開始コ ドン付近の塩基配列 (C
CC ACG ATGT) は、 Ko z a kのコンセンサス配列 (CCA (G) C C ATGG : Kozak.M., Nucleic Acids Res. , 15, 8125(1987) ) と類似していた。 以上の点より、 クローン B 1 9は、 mRNAの 3' 端から始まり、 コ一ディン グ領域全長を経て 5 ' 側の非翻訳領域の一部に達するほぼ全長を含んでいると判 断された。
このクローン B 1 9の有する c DNA配列を有する遺伝子を本発明 Th 2 (B 1 9) 遺伝子とし、 その配列を配列番号 5に示す。 また、 この塩基配列がコード すると推定されるアミノ酸配列を配列番号 6に示す。
なお、 このァミノ酸配列を一文字法で表すと以下のようになる。
1T SANATLKPLCPILEQMSRLQSHSNTSIRYIDHAAVLLHGLASLLGLVENGVILFVVGCR RQT VVTTWVLHLALSDLLASASLPFFTYFLAVGHSWELGTTFCKLHSS I FFLNMFASGFLLSA I SLD RCLQVVRPVWAQNHRTVAAAHKVCLVLWALAVLNTVPYFVFRDTISRLDGRI CYYNVLLLNPG PDRDATCNSRQAALAVSKFLLAFLVPLAIIASSHAAVSLRLQHRG RRPGRFVRLVAAVVAAFA LCWGPYHVFSLLEARAHANPGLRPLVWRGLPFVTSLAFFNSVANPVLYVLTCPDMLR LRRSLR TVLESVLVDDSELGGAGSSRRRRTSSTARSASPLALCSRPEEPRGPARLLGWLLGSCAASPQTG PLNRALSSTSS』
〔上記アミノ酸配列において、 A :ァラニン, V :パリン, L : ロイシン, I :ィソロイシン, P :プロリン, F : フエ二ルァラニン, W: トリプトファン, M: メチォニン, G : グリシン, S :セリン, T : トレオニン, C : システィン , Q : グルタミン, N :ァスパラギン, Y :チロシン, K : リシン, R :アルギ ニン, H : ヒスチジン, D :ァスパラギン酸, E : グルタミン酸, をそれぞれ示 す。 〕
また、 本発明遺伝子を大腸菌 (E.coli K12-JM109株) に組み込んだ形質転換 体が、 B 1 9 c DNAとして、 工業技術院生命工学工業技術研究所 (〒3 0 5日 本国茨城県つくば市東 1丁目 1番 3号) に受託番号 F ERM P- 1 5 6 1 6 ( 1 9 9 6年 5月 1 5日付受託) で寄託されている。
J
(6) インビト口における本発明 Th 2 (B 1 9) 遺伝子の転写及び翻訳 市販のキッ ト (ストラタジーン社製) を用いて、 本発明 Th 2 (B 1 9) 遺伝 子を铸型として、 T7RNAポリメラーゼを用いて RNAを合成した。 続いて 35Sメチォニンの存在下に、 市販のゥサギ網状赤血球抽出物 (プロメガ バイオ テク社製) を用いてインビトロ翻訳を行った。
次いで、 その翻訳産物をレムリ ( e國 li ) の方法に従い、 SDSポリアクリ ルアミ ド電気泳動で分析した.。 その結果、 予測された分子量である 43Kdと近似 した分子量を有するタンパク質が作られていることを確認した (第 2図) 。
(7) mRNA発現の組織特異性
本発明 Th 2 (B 1 9) 遺伝子由来の mRNA発現の組織特異性を調べるため に、 種々の組織に由来する細胞株の全 RNAについてのノーザンプロッティング 解析を行った。
その結果、 用いたいずれの細胞株でも本発明 Th 2 (B 1 9) 遺伝子由来の m RNAの発現が確認できなかった (第 3図) 。
従って、 本発明 Th 2 (B 1 9) 遺伝子の発現は、 Th 2細胞を含む特定の細 胞に限定されることが明らかになった。
〔実施例 2〕 本発明ヒト Th 2 (B 1 9) タンパク質を抗原とする抗体の製造
( 1 ) 本発明 Th 2 (B 1 9) 遣伝子発現ベクターの調製
哺乳動物細胞での導入遺伝子の発現レベルは用いる宿主細胞と発現ベクターの 組み合わせにより大きく違ってくる傾向が強いので予め予測することが困難であ る。 そこで高発現が期待される幾つかの発現ベクターに本発明 Th 2 (B 1 9) 遺伝子を組み込んだ。
すなわち、 本発明 Th2 (B 1 9)遺伝子の全長 (配列番号 5) を含むプラス ミ ド DNA (pBluescript SK(-), c DNAクローン B 1 9) から本発明 Th 2 ( B 1 9)遣伝子のコード領域を含むィンサ一ト DNAを、 目的の発現プラスミ ド のクローニングサイトに合わせた制限酵素により切り出し、 ァガロース電気泳動
で精製した。
このようにして得た本発明 Th 2 (B 1 9)遺伝子を PR cZCMV、 p c D L— SRa、 pREP 9等の各クローニングサイ卜に挿入し、 所望する本発明 T h 2 (B 1 9) 遣伝子の哺乳動物細胞用の発現ベクター (プラスミ ド) を多種類 得た。
(2) 本発明 Th 2 (B 1 9) 遣伝子発現形質転換細胞の調製とこの細胞による 免疫
(1) において得たそれぞれの本発明ヒト Th 2 (B 1 9) タンパク質発現プ ラスミ ド 50 zg をエレクト口ポレーション法により J u r k a t細胞, 293 細胞 (以上ヒト T細胞株及び肾細胞株) 、 BW5 1 47 (マウス T細胞株) 及び TART- 1 (ラッ ト T細胞株)、 それぞ.れ 1 07 個の細胞に導入した。
形質転換細胞は 96ゥエルプレートにゥエルあたり 500〜 1 000個の細胞 を播き、 ゲネチシン (シグマ社製) を含む培地中で 2〜 3週間培養し選択した。 なお、 本発明 Th 2 (B 1 9)遣伝子の発現のレベルはノーザンブロッテイング 法により確認した。
多数の形質転換細胞のうち、 各細胞株ごとに本発明 Th 2 (B 1 9) 遺伝子の 発現レベルの最も高かった細胞を選び、 96ゥエルプレー卜にゥエルあたり 0. 3細胞の割合で播くクロ一ニング操作を行った。
この結果、 本発明 Th 2 (B 1 9) 遺伝子を安定に、 高レベルで発現している 細胞株である、 Ju r ka t/B 1 9, 293 /B 1 9, BW/B 1 9及び TA RTZB 1 9を得た。
このようにして得た本発明 Th 2 (B 1 9)遺伝子の形質転換細胞のうち、 T ART/B 1 9細胞 1 07 個を 8週齢ウィスターラッ ト (雌) の腹腔に週に一度 、 計 5回免疫した (Nemo t o, T. , Eu r. J. I mmu n o 1. , 25 , 300 1 ( 1 995 ) ) o
(3) ハイプリ ドーマの調製
最終免疫の 3日後のラッ トの脾臓細胞 3 X 1 08 個をマウスミエロ—マ細胞株
SP 2Z0— Ag l 4の 5x 1 07 個と混和し、 50%ボリエチレングリコール (平均分子量 1 500 ) PBS溶液 (シグマ社製) を用いて細胞融合を行った。 処理後の細胞を 96ゥエルプレートにゥエルあたり 1 X 1 05 個で播き、 翌日よ り HAT試薬 (シグマ社製) を添加し、 1 0日間選択培養を行ったところ、 ほぼ 全ゥエルにハイプリ ドーマの増殖が認められた。
各ハイブリ ドーマの培養上清中の本発明ヒト Th 2 (B 1 9) タンパク質に対 して特異的なモノクローナル抗体の存在の有無は TART— 1細胞と TARTノ B 1 9細胞を用いた膜蛍光抗体法で確認した。
すなわち、 TART— 1細胞および TARTZB 1 9細胞それぞれ 5 x 1 05 個にハイプリ ドーマの培養上清 50 1 を加え、 よく混和後、 室温で 20分反応 させた。 0. 5%BSAを含む PBSで 2回洗浄後、 細胞をフィコエリスリン標 識ャギ抗ラッ トイムノグロプリン抗体 (Bio source International社製) 中で室 温で 20分間反応させた。 反応後、 再び 0. 5 %B S A添加 P B Sで 2回洗浄後 、 細胞を少量の 50 %グリセリン ZP B S中に浮遊させ、 スライドグラスとカバ 一グラス間に封じ、 蛍光顕微鏡 (オリンパス社製) 下で細胞膜上の蛍光の強度を 観察した。
その結果、 TART— 1細胞膜には蛍光が認められず、 TART/B 1 9細胞 膜に対してのみ反応性が認められるものを陽性サンプルと判定した。
(4) モノクローナル抗体の調製
上記スクリーニング法で陽性であったハイプリ ドーマ培養上清については、 さ らに上述した複数の細胞パネルで本発明ヒト Th 2 (B 1 9) タンパク質に対す る特異性を確認した。
すなわち、 Ju r ka tと Ju r ka tZB 1 9、 293と 293ZB 1 9、 及び BW5 1 47と BWZB 1 9について、 上述したと同様の膜蛍光抗体法で反 応の特異性を確認した。
このようにして全ての細胞パネルにぉレ、て特異性が確認されたハイプリ ドーマ 細胞について、 96ゥエルプレートにゥエルあたり 0. 3細胞を播くクロ一ニン グ操作を 2〜3回繰り返し、 モノクローナル抗体産生ハイプリ ドーマを確立した
o
これらのハイプリ ドーマのうちの 1つが、 R a t Hyb r i d oma BM 1 6として、 工業技術院生命工学工業技術研究所 (〒305日本国茨城県つくば 市東 1丁目 1番 3号) に受託番号 FERM P - 1 621 6 (1 997年 5月 8 日付受託) で寄託されている。
このハイブリ ド一マ (R a t Hyb r i d oma BM1 6) を用いて、 上 述したと同様の膜蛍光抗体法で Th 1クローン細胞、 及び Th 2クローン細胞を 染色し、 フローサイ トメ一ターで解析した結果を第 4図に示す。
第 4図において、 本発明 Th 2 (B 1 9)遺伝子産物は膜に発現しており、 T h 1に比べて Th 2細胞に優勢に発現していることが確認された。 産業上の利用可能性
本発明により、 上記の Th lZTh 2サブセッ トの分布における極性化におけ る知見に基づいた、 免疫関連疾患の病勢や病型の特定手段の重要な要素となるヒ 卜 Th 2特異的遺伝子及びヒト Th 2特異的タンパク質が提供される。
また、 本発明によりこのヒト Th 2特異的遺伝子を含む遺伝子発現用組換えべ クタ一、 及びこの遺伝子発現用組換えべクターで形質転換された形質転換体が提 供される。
さらに、 本発明により上記ヒト Th 2特異的タンパク質を抗原とするモノクロ —ナル抗体及びこのモノクローナル抗体を産生するハイプリ ドーマが提供される
配列表
配列番号: 1
配列の長さ : 2 1
配列の型:核酸
鎖の数: 1本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成 DNA
配列
AGTTACACGT CTAGAATGGC T 21 配列番号: 2
配列の長さ : 2 5
配列の型:核酸
鎖の数: 1本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成 D N A
配列
AGCCATTCTA GACGTGTAA CTGATA 25 配列番号: 3
配列の長さ : 2 1
配列の型:核酸
鎖の数: 1本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成 D N A
配列
CTCTTGCTTG AATTCGGACT A 21 配列番号: 4
配列の長さ : 2 5
配列の型:核酸
鎖の数: 1本縝
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成 D N A
配列
TAGTCCGAAT TCAAGCAAG AGCACA 25
配列番号: 5
配列の長さ : 8 6 2
配列の型:核酸
鎖の数:両形態
トポロジー:不明
配列の種類: c D NA
起源
ヒト T h 2 ( B 1 9 ) 遺伝子
配列
CAGCCTCCCT CTCCCACCTC TGTCTGCCCG CTGCCTCTTG TCTAGCTGCT GTCAGGAGCT 60 GACTGCCTCC AGGGCTGGAA TCCTGTGCTC CCTCTGTGCC CAGAGCCCCA CGATGTCGGC 120 CAACGCCACA CTGAAGCCAC TCTGCCCCAT CCTGGAGCAG ATGAGCCGTC TCCAGAGCCA 180
CAGCAACACC AGCATCCGCT ACATCGACCA CGCGGCCGTG CTGCTGCACG GGCTGGCCTC 240
GCTGCTGGGC CTGGTGGAGA ATGGAGTCAT CCTCTTCGTG GTGGGCTGCC GCATGCGCCA 300
GACCGTGGTC ACCACCTGGG TGCTGCACCT GGCGCTGTCC GACCTGTTGG CCTCTGCTTC 360
CCTGCCCTTC TTCACCTACT TCTTGGCCGT GGGCCACTCG TGGGAGCTGG GCACCACCTT 420
CTGCAAACTG CACTCCTCCA TCTTCTTTCT CAACATGTTC GCCAGCGGCT TCCTGCTCAG 480
CGCCATCAGC CTGGACCGCT GCCTGCAGGT GGTGCGGCCG GTGTGGGCGC AGAACCACCG 540
CACCGTGGCC GCGGCGCACA AAGTCTGCCT GGTGCTTTGG GCACTAGCGG TGCTCAACAC 600
GGTGCCCTAT TTCGTGTTCC GGGACACCAT CTCGCGGCTG GACGGGCGCA TTATGTGCTA 660
CTACAATGTG CTGCTCCTGA ACCCGGGGCC TGACCGCGAT GCCACGTGCA ACTCGCGCCA 720
GGCGGCCCTG GCCGTCAGCA AGTTCCTGCT GGCCTTCCTG GTGCCGCTGG CGATCATCGC 780
CTCGAGCCAC GCGGCCGTGA GCCTGCGGTT GCAGCACCGC GGCCGCCGGC GGCCAGGCCG 840
CTTCGTGCGC CTGGTGGCAG CCGTCGTGGC CGCCTTCGCG CTCTGCTGGG GGCCCTACCA 900
CGTGTTCAGC CTGCTGGAGG CGCGGGCGCA CGCAAACCCG GGGCTGCGGC CGCTCGTGTG 960
GCGCGGGCTG CCCTTCGTCA CCAGCCTGGC CTTCTTCAAC AGCGTGGCCA ACCCGGTGCT 1020
CTACGTGCTC ACCTGCCCCG ACATGCTGCG CAAGCTGCGG CGCTCGCTGC GCACGGTGCT 1080
GGAGAGCGTG CTGGTGGACG ACAGCGAGCT GGGTGGCGCG GGAAGCAGCC GCCGCCGCCG 1140
CACCTCCTCC ACCGCCCGCT CGGCCTCCCC TTTAGCTCTC TGCAGCCGCC CGGAGGAACC 1200
OMΰ ΰ/ί6/άάτ
ο ο Ο cz ο o o o o o O
CO oo O O Cs3 OO ^
CM C CO O CO CO CD CT) O
§2
9 0
S911W 33謹JVVV 30} V 0EJ,3J
s3i3 O13089 jvvvV3VV00J392V VV01 IoolVvvvl 0
39903330133 VVJV3 ¾Μ0ΰο 33Q3U寸 92ννν3S1L 0
10 )1V3
9319V13V 13333V.I1311333S01V 0 1
V VVVVV oiVVVV0ovosvi 0UI11V1VV-
配列番号: 6
配列の長さ : 3 9 5
配列の型:アミノ酸
トポロジー :不明
配列の種類:蛋白質
起源
ヒト Th 2 (B 1 9)
配列
Met Ser Ala Asn Ala Thr Leu Lys Pro Leu Cys Pro He Leu Glu Gin 16 Met Ser Arg Leu Gin Ser His Ser Asn Thr Ser lie Arg Tyr He Asp 32 His Ala Ala Val Leu Leu His Gly Leu Ala Ser Leu Leu Gly Leu Val 48 Glu Asn Gly Val lie Leu Phe Val Val Gly Cys Arg Met Arg Gin Thr 64 Val Val Thr Thr Trp Val Leu His Leu Ala Leu Ser Asp Leu Leu Ala 80 Ser Ala Ser Leu Pro Phe Phe Thr Tyr Phe Leu Ala Val Gly His Ser 96 Trp Glu Leu Gly Thr Thr Phe Cys Lys Leu His Ser Ser lie Phe Phe 112 Leu Asn Met Phe Ala Ser Gly Phe Leu Leu Ser Ala lie Ser Leu Asp 128 Arg Cys Leu Gin Val Val Arg Pro Val Trp Ala Gin Asn His Arg Thr 144 Val Ala Ala Ala His Lys Val Cys Leu Val Leu Trp Ala Leu Ala Val 160 Leu Asn Thr Val Pro Tyr Phe Val Phe Arg Asp Thr lie Ser Arg Leu 176 Asp Gly Arg lie Met Cys Tyr Tyr Asn Val Leu Leu Leu Asn Pro Gly 192
Pro Asp Arg Asp Ala Thr Cys Asn Ser Arg Gin Ala Ala Leu Ala Val 208
Ser Lys Phe Leu Leu Ala Phe Leu Val Pro Leu Ala lie lie Ala Ser 224
Ser His Ala Ala Val Ser Leu Arg Leu Gin His Arg Gly Arg Arg Arg 240
Pro Gly Arg Phe Val Arg Leu Val Ala Ala Val Val Ala Ala Phe Ala 256
Leu Cys Trp Gly Pro Tyr His Val Phe Ser Leu Leu Glu Ala Arg Ala 272
His Ala Asn Pro Gly Leu Arg Pro Leu Val Trp Arg Gly Leu Pro Phe 288
Val Thr Ser Leu Ala Phe Phe Asn Ser Val Ala Asn Pro Val Leu Tyr 304
Val Leu Thr Cys Pro ASP Met Leu Arg Lys Leu Arg Arg Ser Leu Arg 320
Thr Val Leu Glu Ser Val Leu Val Asp Asp Ser Gl u Leu Gly Gly Ala 336
Gl y Ser Ser Arg Arg Arg Arg Thr Ser Ser Thr Ala Arg Ser Ala Ser 352
Pro Leu Ala Leu Cys Ser Arg Pro Glu Gl u Pro Arg Gly Pro Ala Arg 368
Leu Leu Gly Trp Leu Leu Gly Ser Cys Ala Ala Ser Pro Gin Thr Gly 384
Pro Leu Asn Arg Ala Leu Ser Ser Thr Ser Ser 395