明細書
保存安定化逆転写酵素組成物
技術分野
本発明は、 新規な保存安定化逆転写酵素組成物に関する。 更に詳細には、 本発明は、 逆転写酵素と 、 ト レハ ロース及び 逆転写酵素の転写開始部位を含む核酸からなる群よ リ選ばれ る少なく と も 1種の有機安定剤の安定化有効量、 並びに水溶 液中で 2価陽イ オンを生じ う る金属塩の安定化有効量を含ん でなる保存安定化逆転写酵素組成物に関する。 本発明はまた 逆転写酵素に、 安定化有効量の、 ト レハ ロ ース及び逆転写酵 素の転写開始部位を含む核酸からなる群よ リ選ばれる少なく と も 1種の有機安定剤の安定化有効量、 並 άに水溶液中で 2 価陽イ オンを生じ う る金属塩の安定化有効量を添加するこ と を特徴とする逆転写酵素の保存安定化方法に関する。
本発明によれば、 従来、 安定性を維持するために— 2 0 〜 — 8 0 °Cの低温で保存しなく てはならなかった逆転写酵素を 少なく と も 4 °Cで長期間保存するこ とができる。 また、 この よ う に逆転写酵素を安定に保存できる温度が比較的高いこ と から、 酵素組成物溶液の粘度が低下する。 従って、 所望の酵 素活性に相当する量を正確に分注するこ とができ、 高い再現 性でもって実験を行う こ とができ る。
本発明の保存安定化逆転写酵素組成物は、 遺伝子工学及び ウィルス学の分野において逆転写酵素を用いる様々な技術に
極めて有用でぁ リ 、 特に、 現在一般に用いられている、 逆転 写酵素活性を指標に して ウィ ルスを定量する方法において、 ウィルス量のスタ ンダ一 ドと して有利に用いる こ とができ る 従来技術
逆転写酵素は、 R N Aを铸型と して、 これと相補的な塩基 配列の D N Aを合成する活性を有する酵素であ り 、 近年の分 子生物学の発展と と もに知 られる よ う になった。 例えば、 ァ ビア ン ミ エ ロ ブラ ス ト ウイ ノレス (Av i an Mye lob l as t Vi rus : A M V ) 、 ラ スァ ソ シェ一テ ツ ドウイ ノレス 2型 (Ras
Assoc i at ed Vi rus Ty e 2 : R A V - 2 ) 、 マ ウスモ ロ ニ一 ミ ュ リ ーン リ ューケ ミ アウイノレス (Mouse Mo 1 ony Mur ine Leukemi a Vi rus : M ~ M u L V ) 、 ヒ ト免疫不全ウイノレ ス 1 型 (Human Immunodef f i c i ency Vi rus Type 1 : H 1 V— 1 ) 由来の逆転写酵素は、 市販されてお リ 、 容易に入手でき る。
また、 研究分野では、 逆転写酵素は、 直接ウィルスから酵 素を分離する こ とによって容易に入手でき、 例えば、 ヒ ト免 疫不全ウイノレ ス 2型 (Human Immunode f f i c i ency Vi rus Type 2 : H I V— 2 ) 、 ヒ ト Tセル リ ューケ ミ ア ウィルス 1 型 (Human Tce l l Leukemi a Vi rus Type 1 : H T L V - 1 ) 、 サルエイ ズウイノレ ス ( S I V ) 、 ネコエイ ズウイノレ ス ( F I
V ) 、 ラ ウス ト リ 肉腫ウィルスなどの レ ト ロ ウイノレス粒子を ト リ ト ン X — 1 0 0 ( T r i t o n X - 1 0 0 ) (米国シグ マ社製) 等の界面活性剤で処理する こ と によって簡単に調製
でき る。 これら逆転写酵素は、 メ ッセンジャー R N Aょ リ c D N Aを合成する際の転写用酵素と して多用されている。
また、 逆転写酵素は、 この他にも、 最近最も一般的に用い られる核酸增幅技術である P C R (polymerase chain react ion) 法においても用いられる。 P C R法とは具体的に は、 耐熱性 D N Aポ リ メ ラ一ゼ、 2種類の特異的ブライマー を用い、 温度の上下の繰 リ 返しによって対象と なる 1 種類以 上の核酸を D N Aポ リ メ ラーゼ反応とァニー リ ングを繰リ 返 しなが ら対象を特異的に增幅反応を行わせる手法である。 こ の際、 D N Aポリ メ ラーゼの反応特異性は D N Aに特異的で あるため、 対象検体が R N Aの場合は、 検体の前処理と して 逆転写酵素によって一度 D N Aに変換してから上記增幅反応 を行わせる R T— P C R (reverse transcri t ion- polymerase chain react ion) 法を Ττわなければな らす、 逆 転写酵素は研究対象が R Ν Αの時には必須であ り 、 特に最近 H I V、 H C Vなどのウィルス量を R N A量と して定量する 研究やその定量用キ ッ トが増加 してぉ リ 、 産業上重要な酵素 である。
また、 他の核酸增幅技術と して L C R ( 1 i gas e chain react ion) 法においても逆転写酵素が使用 される。 L C R法 と は具体的には、 上記 P C R法の耐熱性 D N Aポ リ メ ラ一ゼ の代わ り に耐熱性 D N A リ ガーゼを用い、 P C R法と 同様の 温度の上下でァニー リ ングと リ ガーゼ反応を繰 リ 返して核酸
増幅を行わせる手法である。 こ の手法も、 D N A リ ガ一ゼ反 応特異性が D N Aに対して特異的であるため、 研究対象が R N Aの時は、 検体の前処理と して逆転写酵素によって一度 D N Aに変換してから上記增幅反応を行わせる R T— L C R法 を行わなければならず、 上記 P C R法と 同様逆転写酵素は必 須の酵素である。
また、 逆転写酵素は、 N A S B A (nuc leic ac id sequence based ampl i f icat ion) 法などに代表される核酸 i曽 幅技術に必要な試薬と して も用レ、 られている。 N A S B A法 とは具体的には、 逆転写酵素、 D N Aポ リ メ ラーゼ、 R N a s e H と 2種類のプライマ ーを用いて酵素のカスケー ド反応 によって常温で対象の核酸を增幅させる方法である。 この方 法は增幅のために逆転写酵素が必須である。
一方、 ウィルス学の分野では、 逆転写酵素を標準物質と し て、 ウ ィ ルス中に含まれる逆転写酵素活性によ ってウ ィ ルス を定量する こ とが、 一般的に行われている。 測定される逆転 写酵素の由来と しては、 例えば、 ヒ ト免疫不全ウ ィ ルス 1 型
(Human Immunodef f i ciency Vi rus Type 1 : H I V— 1 ) 及び 2型 (Human Immunodef f iciency Vi rus Type 2 : H I V— 2 ) 、 ヒ 卜 Tセ ノレ リ ュ―ケ ミ ア ウイノレ ス 1 型 (Human T cel l Leukemia Vi rus Type 1 : H T L V— 1 ) 、 サルエイ ズウィ ルス ( S I V ) 、 ネ コエイ ズウイ ノレス ( F I V ) 、 ラ ウス 卜 リ 肉腫ウイノレ ス などの レ 卜 ロ ウイ ノレ スを挙げる こ とが
でき る。
これら逆転写酵素は、 通常、 例えば N a C l や M g C l 2 のよ う な 1価あるいは 2価の金属塩、 並びに、 例えばメルカ ブ トエタ ノールゃジチオス レィ トールなどの S H保護剤、 そ して、 5 0 v / v %程度の高濃度のグリ セロ ールを加えた緩 衝液中で一 2 0 °Cから一 8 0 °Cの間で保存されている。
この逆転写酵素の反応を通常 3 7 °Cで行う にあたって、 従 来は、 — 2 0〜一 8 0 °Cの冷却装置内から酵素が不安定とな る 4 °C以上の室温に酵素容器を取り 出 し、 必要量を分取した 後にまた、 一 2 0 °Cから一 8 0 °Cの冷却装置内に戻す方法を と っていた。 しかし、 この方法では、 取扱い時において、 酵 素が不安定と なる温度状態におかれる時間が長いため、 使用 を重ねるに従って活性が失活して しまい、 結果と して一定の 活性を長期間得る こ と が困難である。 また、 前記使用方法に よ る酵素の失活を避けるために、 一 2 0 8 0 °Cの冷却装 置内で短時間の う ちに酵素を分取し、 直ちに反応させる方法 を行われてきた。 しかしこの方法では、 酵素溶液が極度に冷 却されているために粘度が高く 、 所望の酵素活性に相当する 量を正確に分注する こ とができなかった。 また、 安定剤と し てのメ ルカブ トエタ ノ ールなどの S H保護剤の放つ悪臭によ り 、 使用者への悪影響が少なからず存在 した。
また、 ( r A) n ( d T ) , 2-, 8 のテ ンプ レー ト 'プライマ —のハイ ブ リ ッ ド体を用いる逆転写酵素の安定化方法 [Bioc
h em i c a 1 and Bio - phys ica l Research Communicat ions V o 1 1 6 7 , ( 2 ) , p p 6 7 3 ( 1 9 9 0 ) ] が知られて いるが、 4 °C、 3 0 0時間での残存活性が 7 0 %と低く 、 十 分な安定化効果を示したものではなかった。
以上のよ う に、 これまで、 逆転写酵素を用いて実験を行う 場合、 酵素が不安定なため再現性のよい実験研究を行う こ と が困難であった。
近年 H I V感染症の急増によ リ 、 ウィ ルス定量のために逆 転写酵素活性を測定する機会が急増 している。 逆転写酵素は このと きのウィルスを定量するためのス タ ンダ一 ドと して用 いられているが、 逆転写酵素が不安定なために多く の検体を 再現性よ く 測定する こ と は困難である。 そ して、 逆転写酵素 を用いた分子生物学の研究が長期にわたる場合など、 1 つの 酵素容器から何度か分取を繰り 返すに従い残 リ の酵素が失活 して しま う ため、 そのよ う な残余の酵素を捨て、 再度購入も しく は再調製を行わなければならず、 多大なる労力及びコ ス 卜がかかリ 、 研究を時間、 労力、 及び費用の面で圧迫 してき た。
一方、 安定性を改善するために液状よ り も さ らに安定な凍 結乾燥品とする こ とが考えられるが、 従来の保存方法では、 逆転写酵素の保存溶液がグ リ セロールを高濃度で含んでいる ため凍結乾燥品 とする こ と が困難でぁ リ 、 結局、 長期間の安 定性を得る こ と はできなかった。
逆転写酵素の安定性を向上させ、 少なく と も 4 °Cにおける 長期安定性が得られるならば、 一 2 0 〜一 8 0 °Cの保存を行 う ための特別な冷却装置が不要となリ 、 また前述の研究コス トの低減化をはかるこ とができる。
また、 安定に保存できる温度を比較的高く できれば、 酵素 組成物溶液の粘度を低下させ、 所望の酵素活性に相当する量 を正確に分注できるよ う にな リ 、 逆転写酵素を用いた実験の 再現性を高めるこ とが可能となる。 特に、 現在一般に用いら れている、 逆転写酵素活性を指標に してウィルスを定量する 方法において、 逆転写酵素をウィ ルス量のス タ ンダー ドと し て用いるこ とが可能になる。 そして、 再現性の良い実験結果 が得られれば、 近年の検体数の増加に対応でき るよ う にもな る。
従って、 逆転写酵素を用いる様々な技術において、 低コス トで再現性のよい結果を得るために、 逆転写酵素の保存安定 性を向上させるこ とが強く 望まれている。
発明の概要
本発明者らは上記問題を解決すべく 、 更に鋭意研究を行つ た結果、 意外にも、 逆転写酵素に、 ト レハ ロ ー ス及び該逆転 写酵素の転写開始部位を含む核酸からなる群よ リ選ばれる少 なく と も 1 種の有機安定剤と、 水溶液中で 2価陽イ オンを生 じ う る金属塩と を組み合わせて添加する こ とによ り 、 得られ る逆転写酵素組成物が、 少なく と も 4 °Cで極めて安定である
こ と を見出 し、 本発明を完成した。
従って、 本発明の 1 つの 目的は、 従来に較べ比較的高い温 度で、 長期にわたって活性が維持される こ とから、 経済的で ぁ リ 且つ再現性のよい測定結果を得る こ とが可能な保存安定 化逆転写酵素組成物を提供する こ と にある。
本発明の他の 1 つの 目的は、 上記した効果を得るための、 逆転写酵素の保存安定化方法を提供する こ と にある。
本発明の上記及びその他の諸目的、 諸特徴ならびに諸利益 は、 次の詳細な説明及び請求の範囲の記載から明 らかになる 発明の詳細な説明
本発明の 1 つの態様によれば、 逆転写酵素と 、 ト レハ ロ ー ス及び逆転写酵素の転写開始部位を含む核酸からなる群よ リ 選ばれる少な く と も 1 種の有機安定剤の安定化有効量、 並び に水溶液中で 2価陽イ オンを生じ う る金属塩の安定化有効量 を含んでなる保存安定化逆転写酵素組成物が提供される。 更に、 本発明の他の 1 つの態様によれば、 逆転写酵素に、 ト レハ ロ ース及び逆転写酵素の転写開始部位を含む核酸から なる群よ リ選ばれる少なく と も 1 種の有機安定剤の安定化有 効量、 並びに水溶液中で 2価陽イ オンを生じ う るの金属塩の 安定化有効量を添加する こ と を特徴とする逆転写酵素の保存 安定化方法が提供される。
本発明において用いられる逆転写酵素は、 レ ト 口 ウ ィ ルス などから得られる R N Aから c D N Aを合成 し う る能力を有
する酵素を含むものであれば何ら限定される ものではなく 、 例えば、 ア ビア ン ミ エ ロ ブラ ス ト ウイ ノレス (Av i an
Mye lob l ast Vi rus) 、 ラ ス ァ ソ シェ一テ ッ ド ウ ィ ルス 2 型
(Ra s Assoc ia t ed Vi rus Type 2) 、 マ ウ スモ ロ ニー ミ ユ リ 一ン リ ュ一ケ ミ ア ウイノレ ス (Mouse Mo 1 o n y Mur ine Leukemi a
Vi rus) 、 ヒ ト免疫不全ウイノレ ス 1 型 (Human
Immunode f f i c i ency Vi rus Type 1) 由来の逆 ¾s写酵素力 s巿販 されてお り 最も入手しやすい。 又、 本発明において用いられ る逆転写酵素は、 ヒ ト免疫不全ウ ィルス 1 型 (Human
Immunodef f i c i ency Vi rus Type 1) 及ひ 2型 (Human
Immunode f f i c i ency Vi rus Type 2) 、 ヒ ト Tセノレ リ ューケミ ァ ゥイ ノレ ス (Human Tcel l Leukemi a Vi rus) 、 サノレエイ ズゥ イ ノレ ス 、 ネ コエイ ズゥイ ノレ ス 、 ラ ウス関連 ト リ 肉腫ウイノレス などの レ ト ロ ゥイ ノレ ス の粒子を ト リ ト ン X — 1 0 0等の界面 活性剤で処理する こ と で得る こ と もでき る。 界面活性剤で処 理して得られる逆転写酵素は所望によ リ精製して用いる こ と ができ る。
本発明において用いられる逆転写酵素は、 市販品でぁ リ 、 使用頻度が高いヒ ト免疫不全ウィ ルス (Human
Immunode f f i c i ency Vi rus) (こ由来する もの力 s好ま しレヽ。 ま た、 安定化する酵素組成物中の逆転写酵素の濃度と しては特 に限定される ものではないが、 例えば、 0 . 0 1 m U / μ 1 〜 1 0 U / 1 の範囲で用いる こ とができ る。 こ こ で、 1 U
の酵素活性と は、 ブライマ一と铸型 R N Aのハイ ブ リ ッ ド体 と して、 オリ ゴデォキシチミ ンヌ ク レオチ ド (オリ ゴ d T ) 一ポリ アデニン リ ボヌ ク レオチ ド (ポ リ A ) を用い、 逆転写 酵素をモ ノ ヌ ク レオチ ドと共に 3 7。C、 p H 7 . 4 にて 3 0 分間反応させた時の、 1 0 n m o 1 のヌ ク レオチ ドを合成 D N A と して取 リ 込む活性と して定義する こ とができ る。
本発明においては、 上記の少なく と も 1 種の有機安定剤が ト レハ ロ ース及び該逆転写酵素の転写開始部位を含む核酸で ある こ と が好ま しい。
本発明の酵素組成物溶液において、 有機安定剤の 1 つと し て用いる ト レハロースの分子数は、 逆転写酵素 1 分子に対し て 3 0倍〜 3 . 1 X 1 0 1 1 倍である こ とが好ま し く 、 3 1 倍〜 3 . 0 9 X 1 0 " 倍である こ と が更に好ま し く 、 3 0 0 0倍〜 3 . 0 9 X 1 0 1 1 倍である こ と が最も好ま しい。 また、 ト レハロ ース の量は、 酵素を含む組成物全体に対して 0 . 0 ;! 〜 5 0重量%であってもよい。
本発明においても う 1 つの有機安定剤と して用いる、 逆転 写酵素の転写開始部位を含む核酸と しては、 プライマ一と し ての D N Aと铸型と しての R N Aのハイ ブリ ッ ド体である こ とが好ま し く 、 プライマ一とハイ ブ リ ダイ ズした铸型 R N A が、 プライマ一の 3 ' 側に突出 している ものであれば特に限 定はない。 また、 プライマーの 3 ' 側における R N A鎖の突 出の長さは特に限定されない。 プライマ——铸型の組み合わ
せと しては、 実質的にアデニン リ ボヌ ク レオチ ドょ リ なる铸 型 R N Aと実質的にオリ ゴデォキシチミ ンヌ ク レオチ ドょ リ なるプライマーとのハイブ リ ッ ド体、 実質的にゥ リ ジン リ ボ ヌ ク レオチ ドょ リ なる铸型 R N Aと実質的にオリ ゴデォキシ アデニンヌ ク レオチ ドょ り なるプライマーとのハイプリ ッ ド 体、 実質的にグァニ ン リ ボヌ ク レオチ ドょ リ なる铸型 R N A と実質的にオ リ ゴデォキシシチジンヌ ク レオチ ドょ リ なるプ ライマー、 及び実質的にグァニン リ ボヌ ク レオチ ドよ り なる 铸型 R N Aと実質的にオリ ゴデォキシシチジンヌ ク レオチ ド よ リ なるプライマーとのハイプ リ ッ ド体からなる群よ リ選ば れる少なく と も 1種を挙げる こ とができ る。 具体的には、 ォ リ ゴ d T— p o l y A、 オ リ ゴ d A— p o l y U、 オリ ゴ d C - p o 1 y G、 オリ ゴ d G— p o 】 y C等を用いる こ とが でき 、 その中ではオ リ ゴ d T— p o 1 y Aが特に好ま しい。 上記の各ヌ ク レオチ ドの長さは、 逆転写酵素が転写開始部位 を認識でき る よ う な長さが有ればそれでよ く 、 R N A鎖と D N A鎖とが 2重鎖と なっているブライマ一領域が 5塩基以上 ある こ とが好ま しい。 また、 逆転写酵素使用前に、 R N A鎖 と D N A鎖と が互いにハイ プリ ダイ ズでき る よ う な塩基配列 を持った 1 本鎖の D N Aも し く は 1 本鎖の R N Aを別々 に使 用 して も よい。
本発明において用いる逆転写酵素の転写開始部位を含む核 酸の分子数は、 逆転写酵素 1 分子に対して 2 . 5 X 1 0一4
倍〜 6 X 1 0 6 倍である こ とが好ま しく 、 2 . 6 4 X 1 0— 4 倍〜 5 . 2 8 X 1 06 倍である こ とが更に好ま しく 、 2 . 6 4 X 1 0―1〜 2 . 6 4 X 1 06 倍である こ とが最も好ま しい 本発明において用いられる水溶液中で 2価の陽イ オンを生 じ う る金属塩の例と しては、 マグネシウム ( M g ) 、 マンガ ン ( M n ) 、 カルシウ ム ( C a ) 、 亜鉛 ( Z n ) 、 力 ド ミ ゥ ム ( C d ) 、 銅 ( C u ) 等の 2価の金属の塩を挙げる こ と が でき、 具体的には、 M g C l 2 、 M n C 1 2 、 C a C 1 2 、 Z n C 1 2 、 C d C 1 2 、 C u C 1 2 、 M g S O 4 、 M n S O 4 、 C d S O 4 、 C u S O 4 等を挙げる こ と ができ る。 こ れらの中では、 M g C I 2 、 M n C 1 2 、 C a C l 2 及び M g S〇 4が好ま しい。 組成物中の金属塩の分子数は、 逆転写 酵素 1分子に対して、 1倍〜 1 . 2 X 1 0 1 1 倍である こ と が好ま しく 、 1 . 1 7倍〜 1 . 1 7 X 1 0 11 倍である こ と が更に好ま しく 、 1 1 . Ί〜 2 . 3 4 X 1 0 '° 倍である こ と が最も好ま しい。 また、 組成物中の金属塩の量は、 酵素を 含む組成物全体に対 して 0 . 0 1 〜 5 0 0 mM、 好ま しく は 0. l 〜 l 0 0 mMであってもよレ、。 これら金属塩は単独又 は組み合わせて用いても よい。
また、 これら成分を含む溶液中に、 所望にょ リ メ ルカプ ト エ タ ノ ール、 ジチオス レィ ト ール、 ジチォエ リ ト リ ト ール、 還元型ダルタチオンなどの S H保護剤を添加 しても良い。 そ して、 適当な緩衝液、 例えば、 ト リ ス緩衝液、 リ ン酸緩衝液
酢酸緩衝液、 G o o d緩衝液などにょ リ 、 酵素の安定化に至 適な P Hに調整されている こ とが好ま しい。 本発明の酵素組 成物溶液の P H範囲 と しては, 好ま し く は 5〜 1 0 、 更に好 ま し く は 6〜 9であ り 、 所望であれば、 N a C l も し く は K C 1 等の塩を添加した リ 、 また、 保存容器の種類に応 じて、 アルブ ミ ン、 I g G等のタ ンパク 質、 リ ジンやポ リ 一 Lー リ ジンなどのモ ノ 、 も し く はポリ ア ミ ノ酸、 及び界面活性剤を 吸着防止剤と して添加する こ とができ る。 容器の材質はポリ スチ レ ン、 ポ リ プロ ピ レン、 テ フ ロ ン、 ポ リ エチ レン、 メ チ ルベンテ ン榭脂 ( T P X ) 、 フ ッ素樹脂、 ア ク リ ル樹脂、 ポ リ カ一ボネー ト 、 ポ リ ウ レタ ン、 塩化ビュル榭脂等のブラ ス チ ッ ク 、 ステ ン レス 、 アル ミ 、 チタ ン等の金属、 ガラ ス及び ゴム等を用いる こ とができ る。
本発明の酵素組成物の溶液は、 その構成成分である ト レハ ロ ース 、 逆転写酵素の転写開始部位を含む核酸、 水溶液中で 2価陽イ オンを生じ う る安定化有効量の金属塩、 及び場合に よっては上記の様々 な添加剤を、 別々 に添加 して もよ い し、 2種以上をあ らかじめ混合して添加 して もよい。 例えば、 上 記のよ う な緩衝液中に塩化マグネシウム及び ト レハロースを 添加 した溶液、 又は塩化マグネシウム、 ト レハロー ス及びォ リ ゴ d T— p o 1 y Aを添加 した溶液を、 逆転写酵素溶液に 添加 して調製する こ とができ る。
即ち、 本発明によれば、 上記の逆転写酵素、 少な く と も 1
種の有機安定剤及び金属塩のそれぞれが水溶液の状態でぁ リ それによつて、 保存安定性が改善された、 水性逆転写酵素組 成物を得る こ とができ る。
このよ う に して得られる安定化組成物に、 溶液状態での安 定性よ り も さ らに長期の保存安定性が要求される場合は、 上 記の保存安定性が改善された、 水性逆転写酵素組成物を凍結 乾燥する こ と によ り 、 さ らに安定化させる こ と ができ る。 例 えば、 凍結乾燥品の母液と して、 適当な緩衝溶液中に溶解後 に 0 . 0 1 〜 5 0重量0 /。と なる よ う に ト レハロ ー スを、 また 逆転写酵素 1 分子に対して 2 . 6 4 X 1 0— 4 倍〜 5 . 2 8 X 1 06 倍分子存在するよ う に調製した铸型ープライマ ー 、 また、 金属塩と して溶解後に 0 . 0 1 〜 5 0 0 mMの濃度と なる よ う に調製した 2価の陽イオンを含むよ う な金属塩を逆 転写酵素に添加混合 し、 これを凍結乾燥品とすればよい。 凍 結乾燥品母液は、 上記した酵素の安定化に至適な P Hに調製 されている こ とが好ま し く 、 所望にょ リ 、 上記した S H保護 剤、 塩、 吸着防止剤等の添加剤を添加 して もよい。
このよ う に して調製される本発明の保存安定化逆転写酵素 組成物、 及び逆転写酵素の保存安定化方法は、 逆転写酵素に 少な く と も 4 °Cにおける長期安定性を賦与する こ とから、 従 来の逆転写酵素を用いる様々 な技術にかかる労力及びコ ス ト の低減化をはかる こ と ができ る。 また、 このよ う に逆転写酵 素を安定に保存でき る温度が比較的高いこ とから、 酵素組成
物溶液の粘度が低下する。 従って、 所望の酵素活性に相当す る量を正確に分注する こ とができ、 高い再現性でもって実験 を行う こ とができ る。
発明を実施するための最良の形態
以下、 実施例及び参考例を挙げて本発明を さ らに詳細に説 明するが、 本発明は何ら これに限定される ものではない。
以下の実施例及び参考例において、 逆転写酵素活性の測定 方法と して、 中野らの手法 ( 日本国感染症学雑誌, 第 6 8卷 第 7号, 9 2 3— 9 3 1 , 1 9 9 4年) に従って酵素活性を 測定した。
実施例 1
ガラ スバイ アル中に、 H E P E S (日本国同人化学社製) ( H 7 . 8 ) 0 . 1 M, T r i t o n X— 1 0 0 (米国シ ダマ社製) 0 . 1 %、 牛血清アルブミ ン (米国シグマ社製)
0 . 1 5。/。、 :《 1 ー 1型逆転写酵素 ( 日本国生化学ェ業社 製) l mU/ μ Ι (比活性 1 0 0 0 0 U//m g〜 2 0 0 0 0 U / m g , 分子量 1 1 7 K d ) 及びオリ ゴ d T 12— 18 - p o 1 y A (ス ウェーデン国フアルマ シア社製 ; 平均分子量 8 8 6 0 0 ) (小文字の 1 2 — 1 8はオリ ゴ d Tの平均塩基長を 意味する) 2 0 g Z /x 】 の溶液を調製 し、 その溶液中に塩 化マグネシウム (日本国和光純薬工業社製) を、 0 、 0 . 5
1 、 2 、 5、 1 0 、 2 0 、 5 0、 1 0 0 、 2 0 0 mMの濃度 になる よ う に調製した溶液を 4 °C、 3 7 °Cにそれぞれ保存し 7 日 後、 保存液を 0 . l % T r i t o n X _ 1 0 0 にて 0 ' 4 m U/m 1 の濃度に調製 した溶液を被検液と して逆転写酵 素活性を測定した。 対照群と してオ リ ゴ d T , 2 _ , 8 — p 0 】
7
y A及び塩化マグネシウムが添加されない溶液で同様の実験 を行い、 その結果を表 1 に示 した。
塩化マグネシウム濃度 逆転写酵素活性
( m M) ( 4 0 5 n m における吸光度)
4 °C 3 7。C
0 (比較例) 2 8 0 4 5 2 0 . 5 3 2 0 0 8
3 4 6 0 8 0 6
2 2 2 2 0 7 4 5 5 2 0 2 0 8 7 1
1 0 4 4 2 0 9 7
2 0 3 3 2 2 3 5 5 0 1 5 2 0 6 0 7 1 0 0 0 6 2 0 0 2
2 0 0 2 7 3 0 0 0 8 対照群 0 . 1 0 2 0 . 0 2 0
この結果から明 らかなよ う に、 オリ ゴ d T — p 0 1 y A及び塩化マグネシウムが添加されていない保存液では得 られなかった安定性が、 オ リ ゴ d T , 2 - , 8— p o 1 y A及び 塩化マグネシウムを添加する こ と によって高め られる こ とが
確認された。
実施例 2
ガラスバイ アル中に、 H E P E S ( 日本国同人化学社製) ( p H 7 . 8 ) 0 . 1 M, T r i t o n X— 1 0 0 (米国シ グマ社製) 0 . 1 %、 牛血清アルブ ミ ン (米国シグマ社製) 0 . 1 5 %、 H I V— 1型逆転写酵素 ( 日本国生化学工業社 製) 1 m U Z 1 及び塩化マ グネ シウム ( 日本国和光純薬ェ 業社製) 2 0 mMの溶液を調製し、 その溶液中に ト レハ ロー ス (分子式 ; C H O ' 2 H 20、 分子量 3 7 8 . 3 : 米国シグマ社製) を、 0、 1 、 5 、 1 0 、 2 0 、 4 0 %の濃 度になる よ う に調製 した溶液を 4 °Cでそれぞれ保存し、 7 日 後、 保存液を 0 . l % T r i 1 0 1 ー 1 0 0 にて 0 . 4 m U/m 1 の濃度に調製した溶液を被検液と して逆転写酵素活 性を測定した。 逆転写酵素活性測定法は実施例 1 の測定法と 同様に行った。 対照群と して、 塩化マグネシウム及び ト レハ ロースが添加されない保存液で同様の実験を行い、 その結果 を表 2 に示 した。
9
表 2
トレハロース濃度 逆転写酵素活性
(%) (40 5 nm における吸光度)
4°C
0 (比較例) 1 0
3 5 9
5 442
1 0 4 92
20 538
40 24 1 対照群 0 02
この結果から明 らかなよ う に、 ト レハ ロ ース及び塩化マグ ネ シゥムが添加されていない保存液だけでは得られなかつた 安定性が、 ト レハロ ース及び塩化マ グネ シ ウムを添加する こ と によ って高められる こ と が確認された。 実施例 3 ガラ スバイ アル中に、 H E P E S (日本国同人化学社製) ( p H 7 . 8 ) 0 . 1 M、 T r i t o n X— 1 0 0 (米国シ グマ社製) 0 . 1 %、 牛血清アルブ ミ ン (米国シグマ社製)
0 . 1 5 %、 H I V— 1型逆転写酵素 ( 日本国生化学工業社 製) l m UZ I 、 ト レハロース (米国シグマ社製) 4 0 % オ リ ゴ d T 12— 18 - p 0 1 y A (ス ウ ェーデン国フ ァ ルマ ン ァ社製) 2 0 / g Zm l 及び塩化マ グネ シウ ム (日本国和光 純薬工業社製) 2 O mMの溶液を調製した。 その溶液を 4 °C 2 0 °C、 3 7 °Cでそれぞれ保存し、 7 日 後、 保存液を 0 . 1 % T r i t o n X— 1 0 0 にて 0 . 4 m U/m l の濃度に調 製した溶液を被検液と して逆転写酵素活性を測定した。 逆転 写酵素活性測定法は実施例 1 の測定法と 同様に行った。 対照 群と して、 ト レハロース 、 オリ ゴ d T 12— 18 — p o l y A、 及び塩化マグネシウムが添加されない保存液で同様の実験を 行い、 その結果を表 3 に示した。
2
表 3
逆転写酵素活性
(405 nm における吸光度)
4。C 20。C 3 7 °C 実験群 . 4 7 2 . 36 2 342 対照群 0. 1 0 2 0. 054 0. 0 20
この結果力 >ら明 らかなよ う に、 オリ ゴ d T 12-18 - p 0 1 y A、 ト レハロース、 塩化マグネシウムの 3者の組合わせに ょ リ 、 逆転写酵素の、 少なく と も 4 °Cでの安定性を高められ る こ と が確認できた。
実施例 4 ガラスバイ アル中に、 H E P E S ( 日本国同人化学社製) ( H 7 . 8 ) 0 . 1 M , T r i t o n X— 1 0 0 (米国シ ダマ社製) 0 . 1 %、 牛血清アルブ ミ ン (米国シグマ社製) 0 . 1 5 %、 H I V— 1 型逆転写酵素 ( 日本国生化学工業社 製) 1 m U / ju 1 、 ト レハロース (米国シグマ社製) 4 0 % オ リ ゴ d T , - p 0 1 y A (ス ウ ェーデン国フ ァ ノレマ シ ァ社製) 2 0 μ g m 1 、 塩化マグネシウム ( 日 本国和光純
薬工業社製) 2 0 mMの溶液を調製した。 その溶液を 4 °Cで 保存し、 調製当 日 、 2 ヶ月 後、 4 ヶ月 後、 6 ヶ月後、 8 ヶ月 後、 1 0 ヶ月 後、 1 2 ヶ月後の保存液を、 0 %丁 o n X— 1 0 0にて 0 . A mUZin l の濃度に調製し、 被検 液と して逆転写酵素活性を測定した。 逆転写酵素活性測定法 は実施例 1 の測定法と 同様に行った。 対照群と して、 ト レハ ロー ス 、 オ リ ゴ d T! — p o 1 y A、 及び塩化マグネシ ゥムが添加されない保存液で同様の実験を行い、 その結果を 表 4 に示 した。 表 4
保存期間 逆転写酵素活性
(40 5 nm における吸光度) 実験群 対照群 調製当日 5 2 8 6 05
2ヶ月後 1. 70 7 0. 0 3 1
4ヶ月後 1. 6 54 0. 0 1 8
6ヶ月後 1. 55 8 0. 0 1 1
8ヶ月後 1. 6 5 9 0. 0 1 1
0ヶ月後 1. 5 1 4 0. 0 3 2
2ヶ月後 1. 5 5 6 0. 00 3
この結果から明 らかなよ う に、 オリ ゴ d T , 2— , 8 — p o l y A、 ト レハ ロ ース 、 塩化マグネシウムの 3者の組合わせに ょ リ 、 逆転写酵素を 4 °Cの条件下で少な く と も 1 年間は安定 に保存でき る こ とが確認できた。
実施例 5
ガラスバイ アル中に、 H E P E S (日本国同人化学社製) ( p H 7 . 8 ) 0 . 1 M, T r i t o n X— 1 0 0 (米国シ ダマ社製) 0 . 1 %、 牛血清アルブ ミ ン (米国シグマ社製) 0 . 1 5 %、 H I V— 1 型逆転写酵素 ( 日本国生化学工業社 製) 1 m U / μ 1 、 ト レハ ロ ース (米国シグマ社製) 4 0 % オ リ ゴ d T 12_18 - p 0 1 y A (ス ウ ェーデン国フ ア ルマ シ ァ社製) 2 0 /x g Z m l の溶液を調製した。 その溶液に、 塩 化マ グネシウ ム、 塩化カノレシゥ ム、 塩化マ ンガン ( Π ) 、 硫 酸マ グネ シウ ム (以上、 日本国和光純薬工業社製) を 2価金 属と してそれぞれ 2 O mMの濃度になる よ う に添力 [Iして、 4 。じ、 2 0 °Cでそれぞれ保存し、 7 日後、 保存液を 0 . 1 % T r i t o n X— 1 0 0 にて 0 . m U Z m l の濃度に調製 し た溶液を被検液と して逆転写酵素活性を測定した。 逆転写酵 素活性測定法は実施例 1 の測定法と 同様に行った。 対照群と して、 ト レハロ ース, オリ ゴ d T 1 2— l 8 — p o l y A及び 2 価金属が添加されない保存液で同様の実験を行い、 その結果 を表 5 に示した。
表 5
逆転写酵素活性
(40 5 nm における吸光度)
4°C 20°C 塩化マグネシウム 1. 4 3 3 3 26
塩化カルシゥム 6 1 2 5 5 2
塩化マンガン 1. 54 2 5 26
硫酸マグネシウム 1. 5 24 2 6 3 対照群 0. 080 0. 0 3 9
この結果から明 らかなよ う に、 オリ ゴ d T! 2一, p 0 1 y A、 ト レハ ロ ース及び塩化マグネシウムの 3者の組合わせ だけではなく 、 塩化マグネシウムの代わ リ に塩化カルシウム 塩化マンガン ( Π ) 、 硫酸マグネシウムのよ う な他の種の 2 価金属塩を添加 しても、 逆転写酵素を少な く と も 4 °Cにおい て安定化させられる こ とが確認で.きた。 実施例 6
ガラ スバイ ァノレ中 H E P E S ( 日 本国同人化学社製)
( p H 7 . 8 ) 0 . 1 M、 T r i t o n X— 1 0 0 (米国シ グマ社製) 0 . 1 %、 牛血清アルブ ミ ン (米国シグマ社製)
/15
25
0. 1 5 %、 H I V— 1型逆転写酵素 ( 日本国生化学工業社 製) 1 m U / μ 1 、 ト レハ ロ ース (米国シグマ社製) 4 0 % 及び塩化マグネシウム (日本国和光純薬工業社製) 2 0 mM の溶液を調製した。 その溶液に、 オリ ゴ d T 12— 18 - p o l y A、 オリ ゴ d A , - Ρ ο 1 y U (以上、 ス ウェーデン 国フアルマシア社製) を 2 0 g /m l の濃度になる よ う に それぞれ添加 し、 4 °C、 2 0 °C、 3 7 °Cにおいて保存 し、 7 日後、 保存液を 0 % T 0 11 ー 1 0 0にて 0 4 mU/m 1 の濃度に調製した溶液を被検液と して逆転写酵素 活性を測定した。 逆転写酵素活性測定法は実施例 1 の測定法 と 同様に行った。 対照群と して、 ト レハ ロ ース 、 オリ ゴ d T
- 1 8 一 P o 1 y A及び、 2価金属が添加されない保存液で 同様の実験を行い、 その結果を表 6 に示 した。 表 6
铸型とプライマ一 逆転写酵素活性
の組み合わせ ( 40 5 n m における吸光度)
4 °C オリ ゴ d T ■ - i s - P o 1 y A 1. 5 5 5
オリ ゴ d A . - 1 a - P o 1 y U 4 1 3 対照群 0. 2
この結果から明 らかなよ う に、 オ リ ゴ d T , 2— , 8 - o l y A、 ト レハロー ス及び塩化マグネシウムの 3者の組合わせ だけではなく 、 逆転写酵素の転写開始部位を含む核酸と して オリ ゴ d T l 2— 18 - p o 1 y Aの代わり にオリ ゴ d A 12-18 - p o 1 y Uを添加 しても、 逆転写酵素を安定化させられる こ とが確認できた。
実施例 7
ガラ スバイ アル中に、 H E P E S ( 日本国同人化学社製) ( p H 7 . 8 ) 0 . 1 M、 T r i t o n X— 1 0 0 (米国シ ダマ社製) 0 . 1 %、 牛血清アルブミ ン (米国シグマ社製) 0 . 1 5 %、 H I V— 1型逆転写酵素 ( 日本国生化学工業社 製) 1 m U ju 1 、 ト レハ ロ ース (米国シグマ社製) 4 0 % オリ ゴ d T 12- 18 — p o l y A (ス ウェーデン国フアルマシ ァ社製) Z O g Zm l 及び塩化マグネシウム ( 日本国和光 純薬工業社製) 2 0 mMの凍結乾燥品母液を調製し、 その母 液を 0 . 5 m l ずつ分注し、 凍結乾燥機にて凍結乾燥品を調 製した。 こ の凍結乾燥品の調製当 日 、 2 ヶ月 後、 4 ヶ月 後、 6 ヶ月 後、 8 ヶ月後、 1 0 ヶ月後、 1 2 ヶ月後に 0 . 5 m l の蒸留水に溶解し、 溶解 した液を 0 . l % T r i t o n X - 1 0 0 にて 0 . m U Zm 1 の濃度に調製した溶液を被検液 と して逆転写酵素活性を測定した。 逆転写酵素活性測定法は 実施例 1 の測定法と 同様に行った。 対照群と して、 ト レハ ロ — ス 、 オ リ ゴ d T 12— 18 — p o l y A及び塩化マグネシウム
が添加されない保存液で同様の実験を行い、 その結果を表 7 に示した。 表 7
保存期間 逆転写酵素活性
(40 5 nm における吸光度) 実験群 対照群 調製当日 4 2 9 5 5 5
2ヶ月後 1. 70 7 4 3 1
4ヶ月後 1. 6 3 3 2 1 8
6ヶ月後 1. 6 5 8 1 1 1
8ヶ月後 1. 4 9 9 0. 6 2 1
1 0ヶ月後 58 6 0. 4 1 9
1 2ヶ月後 6 34 0. 200
この結果力 ら明 らかなよ う に、 オリ ゴ d T , , s - p o 1 y A、 ト レハ ロ ー ス及び塩化マグネシウムの 3者の組合わせ によ り 、 逆転写酵素を凍結乾燥品 と して少な く と も 1 年間は 安定に保存でき る こ と が確認できた。
実施例 8 ガラスバイ アル中に、 H E P E S ( 日本国同人化学社製)
( p H 7 . 8 ) 0 . 1 M、 T r i o n X - 1 0 0 (米国シ
ダマ社製) 0 . 1 %、 牛血淸アルブ ミ ン (米国シグマ社製) 0 . 1 5 %の溶液を調製し、 その溶液中に H I V — 1 型逆転 写酵素 (日本国生化学工業社製) がそれぞれ 1 、 1 m U / μ 1 , 0 . O l m Uノ μ ΐ になる よ う に溶液を調製 した。 それぞれの溶液について ト レハ ロ ース (米国シグマ社 製) 4 0 %、 オ リ ゴ d T 1 2— 1 8 - p 0 1 y A (ス ウ ェーデン 国フ ア ルマ シア社製) 2 0 μ g / 1 及び塩化マ グネ シ ウム (日本国和光純薬工業社製) 2 0 m Mの溶液を調製し、 4 °C 2 0 °C 、 3 7 °C ( 0 . 0 1 m U Z 1 においては 4 °Cのみ) にそれぞれ保存し、 7 日後、 保存液を 0 . l % T r i t o n X — 1 0 0 にて 0 . m U Z rri 1 の濃度に調製 した溶液を被 検液と して逆転写酵素活性を測定した。 逆転写酵素活性測定 法は実施例 1 の測定法と 同様に行った。 対照群と して、 ト レ ノヽ ロ ース 、 オ リ ゴ d T 1 2— 1 8 - p o 1 y A及び塩化マグネシ ゥムが添加されない保存液で同様の実験を行い、 その結果を 表 8 ( l O U / μ Ι 保存液を用いた場合) 、 表 9 ( 1 m U / μ 1 保存液を用いた場合) 、 表 1 0 ( 0 . O l m U Z 1 保 存液を用いた場合 : 4 °C条件のみ) に示 した。
表 8 l o υ / μ 1 保存液を用いた場合
逆転写酵素活性
( 405 n m における吸光度)
4 °C 20。C 3 7°C 実験群 1. 3 3 9 1. 4 2 2 1. 2 9 9 対照群 0. 00 2 0. 0 5 9 0. 0 3 9
表 9
1 m / μ 1 保存液を用いた場合
逆転写酵素活性
( 405 n m における吸光度)
4 °C 20°C 3 7°C 実験群 1. 4 7 2 1. 3 6 2 1. 34 2 対照群 0. 1 0 2 0 - 054 0. 0 20
表 1 0
0 . O l m UZ /u l 保存液を用いた場合
逆転写酵素活性
(40 5 nm における吸光度)
4 °C 実験群 1. 2 92
対照群 0. 1 5 3
この結果から明らかなよ う に、 オリ ゴ d T 2— , 8 - p 0 1 y A、 ト レ ハロー ス及び塩化マ グネシ ウ ムの 3者の組合わせ によ り 、 逆転写酵素 l O UZ /x 1 〜 0 . O l m U μ 1 の酵 素濃度の保存液の、 少なく と も 4 °Cにおける安定性を高めら れる こ とが確認できた。 参考例 ガラ スバイ アル中に、 H E P E S ( 日本国同人化学社製) ( H 7 . 8 ) 0 . 1 M, T r i 't o n X - 1 0 0 (米国シ ダマ社製) 0 . 1 %、 牛血清アルブ ミ ン (シグマ社製) 0 . 1 5 %、 H I V— 1 型逆転写酵素 ( 日本国生化学工業社製) 1 m U / μ 1 及び ト レハロ ー ス (米国シグマ社製) 4 0 %の 溶液を調製 し 、 その溶液中にオリ ゴ d T 12— 18 - p 0 1 y A
(ス ウ ェーデン国フアルマシア社製) を、 0、 0. 2、 2、 2 0、 2 0 0、 2 0 0 0 / g /m l の澳度になる よ う に調製 した溶液を 4 °Cでそれぞれ保存 し、 7 日後、 保存液を 0. 1 % T r i t o n X— 1 0 0にて 0. 4 mUZm l の濃度に調 製した溶液を被検液と して逆転写酵素活性を測定した。 逆転 写酵素活性測定法は実施例 1 の測定法と 同様に行った。 対照 群と して、 ト レハロース及びオリ ゴ d T 12— 18 — p o l y A が添加されない保存液で同様の実験を行い、 その結果を表 1 1 に示 した。
表 1
オリ ゴ d T12— 18 - p o 1 y A 逆転写酵素活性
( μ g /m 1 ) (40 5 nm における吸光度)
4 °C
0 (比較例) 0 3 26
0. 2 0 9 32
2 3 36
20 3 29
200 20 1
2000 0 74 1 対照群 0. 1 0 2
産業上の利用可能性
本発明によれば、 逆転写酵素と 、 ト レハ ロ ース及び該逆転 写酵素の転写開始部位を含む核酸からなる群よ リ選ばれる少 なく と も 1 種の有機安定剤の安定化有効量、 並びに水溶液中 で 2価陽イオンを生 じ う る金属塩の安定化有効量を含んでな る酵素組成物が提供される。 本発明の保存安定化酵素組成物 は、 少な く と も 4 °Cにおいて長期間安定なこ と から、 従来の 逆転写酵素を用いる様々 な技術にかかる労力及びコ ス ト の低 減化をはかる こ と ができ る。 更に、 本発明の組成物は、 粘度 が低いため、 所望の量を正確に分注する こ とができ、 再現性 よ く 実験する こ とができ るので、 逆転写酵素活性を指標とす る、 ウィルス定量のスタ ンダー ドと して有用である。