明 柳 ホ ッ ト メ ル ト 型イ ン ク 組成物 発明の背景
技術分野
本発明 は 、 イ ン ク ジ エ ツ ト 記録装置 に用 い ら れ る ィ ン ク 組成物、 それを用 い た イ ン ク ジ ュ ッ ト 記録方法お よ び イ ン ク ジ ュ ッ ト 記憶装置 に関す る 。 さ ら に詳 し く は、 常 温よ り 高い温度で液滴 と し て吐出 さ れ る 、 常温で固体の ホ ト メ ル ト 型イ ン ク 組成物、 こ れを用 い た イ ン ク ジ ュ ッ ト 記録方法お よ びイ ン ク ジ エ ツ ト 記憶装置 に関す る 。 背景の技術
イ ン ク ジ エ ツ 卜 si録は、 記録時に お け る 静粛性 と 高速 印字性に優れて い る 。 従来 よ り ィ ン ク ジ ュ ッ ト 記録用 の イ ン ク 組成物 と し て は、 水な どを基材 と し た液体の ィ ン ク 組成物が使われてい る が、 紙種に よ っ て著 し い 印字品 質の差を生 じ て し ま う と い う 欠点を有 し て い た。 こ の た め、 紙質に関係な く 良好な 印字品質を実現で き る イ ン ク 組成物 と し て、 ホ ッ ト メ ル ト 型ィ ン ク 組成物が提案 さ れ てい る (米国特許第 3 6 5 3 9 3 2号、
同第 3 7 1 5 2 1 号、 同第 4 3 9 〇 3 6 9 号、 同第 4 4 8 4 9 4 8号、 同第 4 6 5 9 3 8 3 号、 特開昭 5 5 - 5 4 3 6 8号、 特開昭 5 6 — 1 1 3 4 6 2 号、 特
開昭 5 6 — 1 1 3 4 7 2号、 特開昭 5 8 — 1 0 8 2 7 1 号) 。 こ のイ ン ク を用 い た記録方法は、 こ の常温で固体 の イ ン ク 組成物を高温下で加熱溶融させ、 そ の液滴を記 録媒体に飛翔 させ、 記録媒体上でそ の液滴を冷却固化 し て記録 ド ッ ドを形成する こ と か ら な る 。
し力、 しなが ら 、 従来の ホ ッ ト メ ル ト 型イ ン ク 組成物に おいては、 記録媒体への対応性、 印字後の乾燥性につ い て は良好な も の の、 い く つ かの課題が指摘されてい た。 例えば、 記録 ド ッ ドが記録媒体上に盛 り 上がっ た状態で 固化する ため、 記録媒体との密着強度が低 く 、 外部か ら の摩擦、 熱、 圧力な どではがれおちて し ま う と い っ た耐 摩擦性の悪さが挙げ ら ていた。 ま た、 高温で放置さ れた と き、 上に重ね られた も の と張り 付い て し ま っ た り (ブ ロ ッ キ ング) 、 印字がに じんで し ま っ た り する こ と が指 摘されていた。
こ の よ う な課題を回避する ために、 熱や圧力な どを用 いて記録媒体へ記録 ド ッ ドを良好に定着させ る方法がい く つか提案されてい る (米国特許第 4 7 4 5 4 2 0号、 特開昭 6 3 — 2 0 5 2 4 1号) 。 し力、 し、 こ れ らの方法 においては、 従来のホ ッ ト メ ル ト型イ ン ク 組成物を用 い た場合、 再溶融の際記録媒体中に ィ ン ク 組成物が記録媒 体に浸透拡散 して し ま い、 に じ みが発生 して し ま う こ と があ っ た。 更に、 定着機構を設け る こ とで装置が複雑化 する、 ま た定着時間が律速と な っ てホ ッ ト メ ル ト型イ ン
ク 組成物の速乾性 と い う 有利 さ が活かせな い と い っ た課 題が指摘 さ れて い た。
本発明者 ら は、 こ れま で米国特許第 5 0 0 0 7 8 6 号、 特開昭 6 3 - 2 7 7 9 1 0 号、 欧州特許
第 0 3 1 5 4 0 6号 に記載 さ れた ホ ッ ト メ ノレ 卜 型イ ン ク 組成物を提案 し て い る 。 本発明 は こ れ ら の ホ ッ ト メ ル ト 型イ ン ク 組成物に比較 し て よ り 改善 さ れた ホ ッ ト メ ル ト 型ィ ン ク 組成物を提供す る も のであ る 。
発明 の概要
従 っ て本発明 は、 記録媒体の種類に関係な く 良好な定 着強度 と 高印字品質が得 ら れ る ホ ッ ト メ ル ト 型イ ン ク 組 成物を提供す る こ と を 目 的 と し て い る 。
ま た本発明 は、 簡単な定着機構で定着が可能な ホ ッ ト メ ル ト 型イ ン ク 組成物を提供す る こ と 目 的と し てい る 。
さ ら に本発明 は、 定着の操作を加え て も イ ン ク の に じ みを生 じさ せず、 良好な 印字を短い定着時間で再現で き る ホ ッ ト メ ル ト 型イ ン ク 組成物を提供す る こ と を 目 的 と してい る 。
さ ら に ま た本発明 は、 記録媒体の種類に関係な く 良好 な定着強度 と 高印字品質が得 ら れ る ィ ン ク ジ ュ ッ ト 記録 方法を提供す る こ と を 目 的 と し て い る 。
ま た本発明 は、 前記ホ ッ ト メ ノレ ト 型イ ン ク 組成物を用 い た イ ン ク ジ ュ ッ ト 記録方法お よ びそ の実施に適 し た ィ ン ク ジ エ ツ ト 記録装置を提供す る こ と を 目 的 と し て い る 。
本発明 に よ る ホ ッ ト メ ノレ ト 型イ ン ク 組成物は、 色材と、
少な く と も第一の成分 と第二の成分 と を含んでな る ビ ヒ ク ルと
を含んでな り 、
前記第一の成分は単独では色材を溶解せず、
前記第二の成分は前記第一の成分よ り も高い融点を有 し、 色材を溶解 し、 そ の融点以上では前記第一の成分 と 相溶性を有 し、 かつ、 前記色材と前記第一の成分と を溶 解 して均一相を形成可能な も のであ り 、
前記第二の成分に対す る 前記第一の成分の重量比が
9 3 Z 7 〜 1 の範囲にあ り 、 ま た、 イ ン ク 組成物に対す る前記色材の量が 2重量%以上であ る が、
ただ し、 前記第二の成分に対する前記第一の成分の重 量比が 9 未満であ る場合、 前記色材の前記第二の成分に 対する重量比が 0 . 3 以上であ る も の、 であ る 。
ま た、 本発明 に よ る第二の ホ ッ ト メ ル ト型イ ン ク 組成 物は、
色材と、
少な く と も第一の成分と第二の成分と を含んでな る ビ ヒ ク ルと
樹脂 と
を含んでな り 、
前記第一の成分は単独では色材を溶解せず、
前記第二の成分 は前記第一の成分 よ り も 高い融点を有 し 、 色材を溶解 し 、 そ の融点以上で は前記第一の成分 と 相溶性を有 し 、 かつ、 前記色材 と 前記第一の成分 と を溶 解 し て均一相を形成可能な も の であ り 、
前記樹脂 は前記第一の成分お よ び前記第二の成分の い ずれかま た は両方に相溶性を有す る も の で あ る も の 、 で あ る。
ま た、 本発明 に よ る イ ン ク ジ ヱ ッ ト 記録方法 は、 上記 し た ホ ッ ト メ ル ト 型イ ン ク 組成物を供給す る 工程 前記ホ ッ ト メ ル ト 型ィ ン ク 組成物を前記第二の成分の 融点よ り 高い温度に加熱す る 工程 と 、
前記加熱 さ れた ホ ト メ ル ト 型イ ン ク 組成物を液滴 と し て記録媒体上に吐出す る工程 と 、
記録媒体上の ィ ン ク 液滴を記録媒体上で固化 さ せ る ェ 程 と 、
前記記録媒体を、 そ の ホ ッ ト メ ル ト 型イ ン ク 組成物の 示差走査熱量測定に よ っ て得 ら れ る 主た る 二つ の吸熱 ピ ー ク の 間の温度で加熱 し 、 そ れに よ つ て前記第一の成分 の みを選択的に記録媒体に溶融浸透 さ せ、 前記第二の成 分お よ び色材を記録媒体上に残存 さ せ る 工程 と
を含んでな る も の、 であ る 。
さ ら に本発明 に よ る イ ン ク ジ エ ツ ト 記録装置 は、 常温で固体の イ ン ク 組成物を、 室温よ り 高い温度で液
滴と し て記録媒体に飛翔さ せて印字記録を行 う ィ ン ク ジ エ ツ ト 記録装置であ っ て、
融点が異な る二つの ビ ヒ ク ル成分を含んでな る ィ ン ク 組成物を常温よ り 高い温度に加熱 して、 イ ン ク 組成物を 溶融扰態とする加熱手段 と 、
溶融状態にあ る ィ ン ク 組成物をィ ン ク 吐出 口 よ り 吐出 させて記録媒体上に ド ッ ド像を形成す る 記録手段と 、
前記記録手段と対面する記録媒体上の近傍に設け られ た、 ド ッ ド像が形成された記録媒体を常温以下に冷却す る冷却領域と、
冷却された記録媒体を搬送する搬送手段 と 、 そ して 記録媒体搬送方向の冷却領域よ り も下流側に設け られ、 その ィ ン ク組成物の示差走査熱量測定によ っ て得 られる 主た る二つの吸熱 ピー ク の間の温度で前記記録媒体を加 熱する こ とができ る加熱定着手段 と
を備えてな る も の、 であ る 。
図面の簡単な説明
第 1 図は、 本発明に よ る ホ ッ ト メ ル ト 型イ ン ク 組成物 の D S C チ ヤ 一 卜 の一例を示す も ので あ る 。
第 2 図は、 本発明に よ る ホ ッ ト メ ノレ ト 型イ ン ク 組成物 の定着機構を模式的に表 し た も のであ る 。
第 3 図は、 本発明 に よ る イ ン ク ジ エ ツ ト 記録装置の好 ま しい実施例の摸式図であ る。
第 4 図は、 本発明 によ る イ ン ク ジ ュ ッ ト 記録装置であ
つ て、 記録へ ッ ド と 対面す る 部分 に冷風が通 る 筒状の プ ラ テ ンが設け ら れた装置を示 し た も の であ る 。
第 5 図 は、 本発明 に よ る イ ン ク ジ ュ ッ ト 記録装置であ つ て、 記録へ ッ ド と対面す る 部分 に冷却装置が設け ら れ た装置を示 し た も のであ る 。
第 6 図は、 第 5 図の装置の冷却装置の模式図であ る 。
発明の具体的説明
本発明 に よ る イ ン ク 組成物は基本的に色材 と 、 異な る 融点を有 し た少な く と も二種の ビ ヒ ク ル と 力、 ら な る 。 本 発明 に よ る ホ ッ ト メ ル ト 型イ ン ク 組成物の一つ の実施例 の示差走査熱量測定法 ( D S C ) の結果の チ ャ ー ト を第 1 図 と し て示す。 こ の チ ャ ー ト 力、 ら 明 ら 力、な よ う に 、 本 発明 に よ る ィ ン ク 組成物は示差走査熱量測定に よ っ て主 た る二つ の吸熱 ピー ク 、 すな わ ち第一の吸熱 ピー ク 1 と 、 温度 1 よ り も高い温度の第二の吸熱 ピー ク 2 、 を有 し て い る。 本発明 に よ る ィ ン ク 組成物が こ の よ う な二つ の吸 熱 ピー ク を有 し てい る の は、 異な る 融点を有 し た少な く と二種の ビ ヒ ク ノレを含有 し てな る も のであ る こ と に起因 す る 。 こ こ で、 第一の成分 は色材を単独で は溶解 し な い も のであ り 、 ま た、 第二の成分 は色材を溶解 し 、 そ の融 点以上で は第一の成分 と 相溶性を有 し 、 かつ、 色材 と 第 一の成分を溶解 し て均一相を形成可能な も ので あ る 必要 があ る 。
こ の よ う な本発明 に よ る ィ ン ク 組成物を用 い た記録方
法を第 2 図を用 いて説明す る 。 本発明 によ る イ ン ク 組成 物を、 ま ず、 常温よ り 高い温度で液滴 と して吐出 し、 記 録媒体上に記録 ド ッ ドを形成する 。 第 2 図 ( a ) は、 記 録媒体上の記録 ド ッ ドの状態を示 した模式図であ る 。 こ の図か ら 明 ら かな よ う に、 記録 ド ッ ド 4 は一般に記録媒 体上 5 に盛 り 上がっ た状態で固化する。 記録 ド ッ ドが形 成された記録媒体を、 続いて吸熱 ピー ク 1 と吸熱 ピー ク 2 の間の無吸熱温度領域 3 で加熱する (本明細睿では、 こ の加熱操作を 「定着操作」 ま た は単に 「定着」 と い う 場合があ り 、 ま た、 その加熱時間を 「定着時間」 と い う 場合があ る) 。
こ の加熱に よ っ て記録 ド ッ ド中の第一の成分が溶融 し、 記録媒体 5 中に浸透する。 第 2 図 ( b ) は、 加熱によ つ て第一の成分が記録媒体 5 中に浸透 してゆ く 様子を模式 的に示 し た図であ る。 こ こ で、 第一の成分は単独では色 材を溶解 し ないので、 記録媒体 5 上には第二の成分 と 色 材とか ら な る記録 ド ツ ドが固体状態の ま ま残 り 、 第一の 成分は記録媒体 5 中 に示されたよ う な領域 6 に浸透 し て ゆ く 。 こ の際、 記録 ド ッ ドは徐々 に平坦化されほぼ平坦 な記録 ド ッ ド 7 と な る こ とが観察さ れる。
第 2 図 ( c ) は、 温度 3 に よ る加熱が除かれ冷却さ れ た記録 ド ッ ドの状態を模式的に示 した も のであ る 。 記録 ド ッ ド 7 は平坦化されてお り 、 そ の平坦な形状か ら盛 り 上がっ た第 2 図 ( a ) に示 さ れる よ う な記録 ド ッ ド 4 よ
り も そ の耐擦性の 向上が期待 さ れ る 。 さ ら に 、 記録媒体
5 に浸透 し た第一の成分が固化 し た領域 6 は、 記録 ド ッ ド 7 を記録媒体 5 に 固定す る 固着剤 と し て も機能す る 。 かか る 意味か ら も そ の 印字の耐擦性の 向上が期待 さ れ る 。
以上の よ う な機構で定着す る ホ ッ ト メ ル ト 型イ ン ク 組 成物に おいて は、 第一の成分が記録媒体中 に浸透す る と き 、 第二の成分が第一の成分の浸透 に 引 き 摺 ら れ、 記録 ド ッ ドの に じ みが生 じ る 可能性力 あ る 。 そ の よ う な記録 ド ッ ドの に じ み は記録 ド ッ ドの初期の ド ッ ド径を変化 さ せ る ので好ま し く な い。 よ っ て、 良好な ド ッ ドを再現 さ せ る た め に は こ の に じ みを押 さ え な ければな ら な い。 本 発明 に よ る ホ ヅ ト メ ル ト 型イ ン ク 組成物に よ れば、 第二 の成分に対す る 第一の成分の重量比が 9 3 ア 〜 1 の範 囲に おかれ、 かつ、 イ ン ク 組成物に対す る 色材の重量比 が 0 . 0 2 以上に おかれ る こ と で、 著 し く 定着操作時の に じ みが抑制 さ れ る 。 さ ら に 、 第二の成分 に対す る 第一 の成分の重量比が 9 未満であ る 場合に は、 色材の第二の 成分に対す る 重量比が 0 . 3 以上であ る と 著 し く 定着操 作時の に じ みが抑制 さ れ る 。
こ こ で、 第二の成分に対す る 第一の成分の重量比が 9 以上の範囲 に あ っ て も 、 色材の第二の成分 に対す る 重量 比が 0 . 3 以上であ る と 、 定着時の に じ みが抑制 さ れ る 他に、 定着時間が短 く と も (好ま し く は 5 秒未満の短い 時間で) 良好な耐擦性を有 し た 印字が得 ら れ る ので有利
で あ る 。 一方 、 色材 の 第二 の 成分 に 対す る 重量比が
0. 4 5を越え る と 、 印字品質な どの特性は良好な ま ま であ る が、 場合によ っ てイ ン ク 寿命 (折出物の発生、 ィ ン ク 相溶性の消失 (層分離) 、 イ ン ク 物性の変化な どの が発生 し、 イ ン ク ジ エ ツ ト 記録に支障を き たすま での時 間をい う ) が短 く な つ て し ま う こ とがあ る ので避けた方 が好ま し い。
ま た、 第二の成分に対する前記第一の成分の重量比が 特に 9 3 Z 7 〜 9 0 / 1 0 の範囲に あ る の と 印字耐擦性 を格段に向上させる こ とができ る。 こ れは、 記録媒体上 の定着操作前に比較 した定着操作後の記録 ド ッ ドの重量 ( これを以下 「残余量」 と い う 場合があ る。 定着操作後 の記録 ド ヅ ドの ほ とん どは第二の成分であ る か ら、 残余 量はイ ン ク 成分中の第二の成分量に ほぼ該当する.) が 7 〜 1 0重量%であ る と、 その耐擦性がよ り 向上 される こ とがま た見出だされた こ と に よ る。 例え ば、 印字解像度 3 0 0 d p i ( 1 イ ンチあ た り の ド ッ ド数) の場合、 1 ド ヅ ドあた り 1 3 0 ^ mの ド ッ ド径が必要 と さ れ、 こ の 径を得 る た め に は本発明 に よ る ィ ン ク 組成物 に よ れば 0. 1 2〜 0. 1 6 gの吐出イ ン ク ド ッ ド量が必要 と される。 こ こ で、 1 ド ッ ドあ た り の第二の成分の残余量 が 0. 0 1 2 # g以下であ る と き、 耐擦性が大き く 改善 される こ とが見出だ さ れる。 ま た、 6 0 0 d p i の場合、 残余量が 0. 0 0 5 ίτ以下であ る と き、 耐擦性が大き
く 改善 さ れ た 。 6 0 0 d p i の 場合、 1 ド ッ ド あ た り 6 0 m の ド ッ ド 径 力く 必 要 と さ れ 、 そ の た め に は 0 . 0 5 ^ g 程度の吐出 イ ン ク ド ッ ド量が好 ま し く は必 要 と さ れ る 。
第一の成分 と 第二の成分の融点の差は 1 0 °C以上あ る こ と が好ま し く 、 よ り 好ま し く は 2 0 °C以上であ る 。 こ の温度差が 1 0 未満であ る と 、 D S C に よ る 主た る 二 つ の吸熱 ピー ク の 間の無吸熱温度領域が狭 く な り 、 定着 温度の制御を厳格に行わ な ければな ら ず好ま し く な い。
第一の成分は非極性物質であ る のが好 ま し く 、 ま た第 二の成分は極性部分 と 非極性部分 と を有 し た物質であ る のが好ま し い。
第一の成分の好 ま し い例 と し て は、 石油 ワ ッ ク ス 、 植 物系 ワ ッ ク ス な どの天然 ワ ッ ク ス が挙げ ら れ る 。. 好ま し い具体例 と し て は 、 力 ノレ ナ ノく ワ ッ ク ス 、 キ ャ ン デ リ ラ ヮ ッ ク ス 、 水素添加ホ ホバ油、 パラ フ ィ ン (好ま し く は炭 素数 2 3 〜 3 2 ま で の n — ノヽ。 ラ フ ィ ン お よ び イ ソ 型 ノ、。 ラ フ ィ ン が挙げ ら れ る ) 、 マ イ ク ロ ク リ ス タ リ ン ワ ッ ク ス な どが挙げ ら れ る 。 ま た、 市販 さ れて い る パ ラ フ ィ ン ヮ ッ ク ス、 例え ば N o . 1 1 5 、 1 2 0 、 1 2 5 、 1 3 0 、 1 3 5 、 1 4 0 、 1 5 0 、 1 5 5 、 H N P — 3 、 9 、 1 0 、 1 1 、 1 6 、 S P - 0 1 4 5 、 1 0 3 5 、 3 0 4 0 、 3 0 3 5 、 0 1 1 0 (以上、 日 本精蠟株式会 社製) や、 マ イ ク ロ ク リ ス タ リ ン ワ ッ ク ス 、 例え ば H i
一 M i c - 2 0 4 5 、 1 0 4 5、 C A R T O W A X - 3 0 2 5、 3 7 3 5、 3 6 4 0 (以上、 日本精蝌株式会 社製) な どを用い る こ とができ る 。
第二の成分の好ま し い例 と し ては、 脂肪酸、 脂肪酸ァ ミ ドおよ びそれ ら の誘導体が挙げ ら れる 。 好ま し い具体 例 と し ては、 ベヘ ン酸、 ス テア リ ン酸、 パノレ ミ チ ン酸、 ダルタ ル酸、 ァゼラ イ ン酸、 セバ シ ン酸な どの脂肪酸類 およ びそ の誘導体、 さ ら にエル力酸ア ミ ド、 ラ ウ リ ン酸 ア ミ ド、 椰子酸ア ミ ド、 ス テア リ ン酸ア ミ ド、 パル ミ チ ン酸ア ミ ド、 ベヘ ン酸ア ミ ド、 プラ シ ジ ン酸ア ミ ド、 ァ セ ト ア ミ ド、 ベ ン ズア ミ ド、 プ ロ ピオ ン酸ア ミ ド、 ォ レ イ ン酸ア ミ ド、 リ シ ノ ー ル酸ア ミ ドな どの脂肪酸ア ミ ド およ びその誘導体が挙げ られる 。 ま た、 市販されてい る 脂肪酸ま たは脂肪酸ア ミ ドを用 い る こ と も好ま し く 、 例 えばア マイ ド一 0、 H T — P、 C (ラ イ オ ン株式会社製) 、 ダ イ ヤ ミ ツ ド B 9 0 、 K 6 0 > アマ イ ド A P — 9 5 ( 日本化成株式会社製) 、 脂肪酸ァマ イ ドー S、 Τ、 Ρ、 C、 0 (花王株式会社製) な どを好ま し く 用 い る こ と が でき る 。
ま た、 色材は染料が好ま し く 、 第二の成分に可溶でか つ第一の成分に不溶であ る必要があ る 。 さ ら に、 耐水性 に優れ、 熱によ る昇華、 ブ リ ー ド性、 記録媒体への移行 (マイ グレイ シ ヨ ン) がない も のが好ま し い。 好ま し い 具体例 と しては、 次の よ う な も のが挙げ られる。
ブラ ッ ク 染料
C . I . ソ ノレ ベ ン ト ブ ラ ッ ク 3 、 5 7 、 2 7 、 2 9 、 3 4、 4 5
ア イ ゼ ン ス ピ ロ ン ブ ラ ッ ク G M H — ス ペ シ ャ ル 、 R L H
(保土 ケ谷化学工業株式会社製) 、
サ ビ エ ル ブ ラ ッ ク R L S ( サ ン ド株式会社製) な ど 。
イ ェ ロ ー染料
C . I . ソ ノレベ ン ト イ エ ロ 一 8 1
ダ イ レ ク ト フ ァ ス ト イ ェ ロ ー R ス ぺ シ ャ ノレ 、 イ ェ ロ ー 5 2 (三菱化学株式会社製) 、
カ チ ロ ン イ エ ロ 一 K 一 3 R L H、 G L H、 ア イ ゼ ン ス ピ ロ ン イ ェ ロ ー C — G N H (保土 ケ 谷化学工業株式会社 製) 、
バ リ フ ァ ズ ト イ エ ロ ー 3 1 1 0 ( オ リ エ ン ト 化学工業株 式会社製) な ど。
レ ッ 、 マ ゼ ン ダ染料
C . I . ア シ ッ ド レ ッ ド 5 2、 2 5 4
レ ッ ド 6 3 、 ジ ア ク リ ル レ ッ ド M S — N (三菱化学株式 会社製 )一、
J . I . マゼ ン ダ E — 1 0 (田 岡化学株式会社製) 、 バ リ フ ァ ス ト ピ ン ク 2 3 1 0 ( オ リ エ ン ト 化学工業株式 会社製) 、
ア イ ゼ ン ス ピ ロ ン レ ツ ド B E H、 ピ ン ク B H (保土 ケ 谷 化学工業株式会社製) 、
オ イ ルマゼ ン タ 1 0 1 (住友化学工業株式会社製) な ど。 ブル一、 シ ア ン染料
C . I . ソ ルベ ン ト ブル一 2 5、 3 8、 7 0
ナイ ロ ザ ン ブルー E — G L (サ ン ド株式会社製) 、
オ イ ルブルー E X — 2 9 2、 2 9 3 (三井東圧化学株式 会社製) 、
ブルー 3 1 (三菱化学株式会社製) 、
J . I . シァニ ン E — 1 0 (田岡化学株式会社製) 、 キ ヤ セ ッ ト ブ ルー 1 3 6 、 9 0 6 ( 日 本化薬株式会社 製) 、
H C ブルー 1 、 1 一 M、 ビク ト リ ア ピ ュ ア ブルー B O H (保土ケ谷化学工業株式会社製) 、
オ イ ルブルー 6 0 3 (オ リ エ ン ト 化学工業株式会社製) 、 S . I . ブルー 0 1 E (住友化学工業株式会社製) な ど。
色材は、 二種以上混合 し て用 い る こ と も可能であ る 。 ま た、 前記 した第一の成分を二種以上混合 し て第一の 成分を混合系とす る こ と に よ り 、 D S C に よ る第一の吸 熱 ピー ク の温度を低下させる こ と がで き る 。 'こ の第一の 吸熱 ピー ク の温度が低下させ られる と、 定着温度の幅が 広 く な る ので好ま し い。 ま た、 こ の第一の成分を混合系 とする と思いがけな く も イ ン ク 組成物の機械的強度が向 上 し (好ま し く は 1 . 2 ~ 2倍) 、 そ の結果、 印字耐擦 性が向上する と の有利な効果 も得 られる ので好ま しい。
ま た、 第二の成分を前記 した第二の成分の二種以上を
混合 し て混合系 と す る こ と に よ り 、 D S C に よ る 第二の 吸熱 ピー ク の温度を低下 さ せ る こ と がで き る 。 そ れ に つ て、 イ ン ク 組成物を溶融 さ せ る た め に加熱す る 温度を低 ぐす る こ と がで き 、 それは熱に よ る イ ン ク 組成物の劣化 防止の観点か ら 好 ま し い と い え る 。 ま た 、 第二の成分を 混合系 と す る こ と でィ ン ク 組成物の機械的強度が向上す る こ と も確認 さ れた。 そ の結果、 印字耐擦性が向上す る と の有利な効果 も得 ら れ る ので好ま し い。
混合系の第二の成分 と し て は、 特に二種以上の脂肪酸 ア ミ ドか ら な る 混合物が好 ま し い。 さ ら に 、 混合系の脂 肪酸ア ミ ド の少な く と も一つ がべヘ ン酸ア ミ ド、 ス テ ア リ ン酸ア ミ ドお よ びパル ミ チ ン酸ア ミ ドカ、 ら選択 さ れ る のが好ま し い。 こ れ ら三種の脂肪酸ア ミ ドか ら 二つ を選 択 し て混合系 の 第 二 の 成分 と す る 場合、 そ の 組成比 は 1 0 : 9 0 〜 9 0 : 1 0 の範囲 に あ る のが好 ま し く 、 よ り 好ま し く は 2 5 : 7 5 〜 7 5 : 2 5 で あ る 。
以下の理論に拘束 さ れ る わ けでは な いが、 本発明 に よ る ィ ン ク 組成物の良好な 印字品質 は次の よ う な機構 に よ る も の と 思われ る 。 ま ず、 色材 は一般に極性物質であ る こ と か ら 、 第一の成分に は溶解 し な いが第二の成分 に は よ く 溶解 し 、 ま た第二の成分 は第一の成分を よ く 溶解す る 。 こ こ で、 色材が一定量存在す る と 、 色材を介 し て第 二の成分同士が引 き 合い凝集力が増 し て、 定着操作時に 第一の成分の記録媒体への浸透 に 引 かれ る こ と な く 定着
される。 一方、 こ の色材は第一の成分 と第二の成分と の 栢溶性を低下させ、 定着時に第一の成分と第二の成分 と の分離を容易にする 。 そ の結果、 第一の成分の記録媒体 への浸透速度が早 く な り 、 ま た定着時間を短 く する こ と がで き る 。
さ ら に本発明によ る別の態様に よ れば、 前記 し た第一 の成分 と第二の成分と に加え、 さ ら に第一の成分およ び 第二の成分の いずれかま た は両方と栢容性を有す る榭脂 を含有 してな る第二の ホ ッ ト メ ル ト 型イ ン ク 組成物が提 供される。 こ のホ ッ ト メ ル ト 型イ ン ク 組成物によれば、 ィ ン ク 組成物の機械的強度を格段に向上させ る こ とがで き、 その結果俊れた印字耐擦性が実現で き る 。
本発明によ る第二のホ 'ズ 卜 メ ル ト 型イ ン ク 組成物に添 加される樹脂の好ま し い例 と し ては、 ホ ッ ト メ ル ト 接着 剤に添加 される撐脂であ っ て " 粘着付与剤 " と よ ばる榭 脂が挙げ られる。 それ ら の例 と し ては 「ホ ッ ト メ ノレ ト 接 着の実際 (深田寛著、 新高分子文庫、 6 7 頁、 高分子刊 行会発行、 1 9 7 9 年) に記載されてい る粘着付与剤樹 脂が挙げ られる。 よ り 好ま し い捃脂の例 と しては、 軟化 点が 1 2 0 で以下の熱可塑性樹脂が挙げ られる 。 具体例 と しては、 ロ ジ ンおよびロ ジ ン誘導体 (例えば、 ハイ べ ー ル、 ス ーノヽ。一エス テル A — 7 5 、 エ ス テルガム A A L 、 H 、 H P (荒川化学工業株式会社製) ; ペ ン タ リ ン A — J A、 ダイ マ レ ッ ク ス レ ジ ン (理科ハ ー キ ュ レ ス株式会
社製) な ど) 、 テルペ ン お よ び変性テ ルペ ン (例え ば、 Y S レ ジ ン P、 Y S レ ジ ン A (安原ケ ミ カ ル株式会社製)
; ク リ ア ロ ン (荒川化学工業株式会社製) な ど) 、 脂肪 族系石油樹脂 ( 例 え ば、 ク イ ン ト ン N — 1 8 0 、 B -
1 7 0 ( 日 本 ゼ オ ン 株式会社製) ; ハ イ レ ッ ツ H R T 2 0 0 X (三井石油化学工業株式会社製) な ど) 、 芳香 族系石油樹脂 (例え ば、 オ リ ゴテ ッ ク 1 3 0 0 、
1 1 0 0、 1 0 4 0 (三菱石油株式会社製) な ど) 、 水 素添加、 共重合系石油樹脂 ( ア ル コ ン P - 7 0 、 P — 9 0 ( 荒 川 化 学 工 業 株 式 会 社 製 ) 、 エ ス コ レ ッ ツ 5 3 0 0 ( ェ ク ソ ン社製) な ど ) 、 ク マ 口 イ ン 一 イ ン デ ン 樹 脂 ( 例 え ば 、 エ ス ク ロ ン G 9 0 、 N 1 0 0 、 V I 2 0 (新 日 鐵化学株式会社製) な ど) 、 ス チ レ ン樹 脂 (例え ば、 ク リ ス タ レ ッ ク ス 3 1 0 0 、 ピ コ 夕 テ ッ ク ス A 7 5 (ェ ク ソ ン社製) な ど ) 、 ポ リ ア ミ ド榭脂 (例 え ば、 マ ク ロ メ ノレ ト 6 0 7 1 ( ヘ ン ケ ル 白水株式会社製) 、 レオマ イ ド S 2 4 0 0、 S 6 8 0 0 (花王株式会社製) な ど) 、 ポ リ エ チ レ ン 樹脂 ( 例 え ば、 F T R 6 1 0 0
(三井石油化学工業株式会社製) な ど ) 、 ポ リ エ チ レ ン 系共重合体 (例え ば、 E E A M B 9 0 0 ( 日 本 コ ニ カ 一株式会社製) 、 タ フマ一 H L 0 8 0 9 (三井ポ リ ケ ミ カ ル株式会社製) 、 B A S F E V A 1 ( B A S F 社製) 、 ホ ンダイ ン A X 8 0 6 0 (住友化学工業株式会社製) な ど) な どが挙げ ら れ る 。
こ れ ら の榭脂の添加量はィ ン ク 組成物に対 して好ま し く は 5 〜 4 5 重量%であ り 、 よ り 好ま し く は 1 0 〜 2 0 重量%の範囲であ る。 樹脂の添加量が上記範囲に あ る と 、 印字耐擦性を大幅 に 向上 さ せ る こ と がで き る 。 特に 、 O H P 用 の シ ー ト に印字 した場合、 俊れた印字耐擦性が 得 られる。
こ の本発明 によ る第二の ホ ッ ト メ ル ト 型イ ン ク 組成物 において、 第一の成分、 第二の成分およ び色材 添加量 は、 樹脂の添加によ っ て印字耐擦性が大幅に 向上 し た こ と に伴い、 良好な印字耐擦性が維持さ れる 限 り 特に限定 されないが、 上記''し た樹脂が添加 されな い ホ ッ ト メ ル ト 型ィ ン ク 組成物につ いて説明 し た範囲にあ る のが好ま し い o
本発明によ る イ ン ク 組成物は、 好ま し く は次の よ う に 製造する こ とができ る。 すなわち、' 第一の成分と第二の 成分 と色材と を、 第二の成分の融点以上の温度、 好ま し く はそ の融点よ り も 5 〜 1 5 で程度高い温度、 で加熱溶 融 し、 均一の組成物が得 られる ま で十分に撹拌する。 溶 融状態にあ る イ ン ク 組成物を、 場合に よ っ て フ ィ ル タ ー を通 じ て S過 し固形物を除き、 冷却す る こ と に よ っ て得 れ 4) o
よ り 好ま し く は、 加熱溶融された第二の成分に色材を 加えて十分撹拌 して色材を溶解 し、 続い て第一の成分を 加えて十分撹拌 して均一な ィ ン ク 組成物と する し た後、
フ ィ ルタ ー で瀘過す る 。 第一の成分 と 第二の成分を先 に 加熱溶融 し て混合す る と 、 場合 に よ っ て第一の成分 と 第 二の成分 と の分子の 引 き 合 い に よ っ て第二の成分の極性 部分の極性が弱 ま っ て し ま う 。 こ れで は そ の後添加 さ れ る 色材の第二の成分への溶解が難 し く な っ て し ま う こ と があ る 力、 ら であ る 。
本発明 に よ る 第二の ホ ッ ト メ ル ト 型イ ン ク 組成物の場 合、 樹脂 は、 第一の成分 と 第二の成分 と 色材 と と も に最 初か ら添加 さ れて い て も よ く 、 ま た第一の成分 と 第二の 成分 と色材 と が加熱溶融 さ れた時点で、 さ ら に こ れ ら が 均一 ^の組成物 と さ れた後の いずれであ っ て も よ い。
本発明 に よ る イ ン ク 組成物の諸物性は、 そ の記録方法 に適 し た範囲に調整 さ れ る のが好ま し い。 例え ば、 印字 作動時の温度 (第二の成分の融点よ り 1 0 〜 2 0 °C程度 高い温度が好ま し い) に お け る 粘度は、 1 5 m P a · s 以下であ る こ と が、 イ ン ク 供給、 イ ン ク 滴の形成お よ び そ の飛翔を安定に行 う こ と がで き る ので好ま し い。 ま た 、 表面張力 は 5 0 m N Z m以下であ る こ と が、 ノ ズル近傍 での メ ニス カ ス形成の観点か ら 好 ま し い。 さ ら に、 印字 後の記録媒体上に お け る浸透促進の観点か ら表面張力 は 3 5 m、N Z m以下力 よ り 好ま し い。
ま た、 本発明 に よ る ホ ッ ト メ ル ト 型イ ン ク 組成物は、 種々 の添加剤を含んでい て も よ い。 例え ば、 熱な ど に よ る酸化を防 ぐ た めの酸化防止剤、 表面張力 を調整す る た
めの各種界面活性剤を適宜添加する こ とがで き る 。
本発明の別の態様に よれば、 本発明 に よ る ホ ッ ト メ ノレ ト型ィ ン ク 組成物を用 いたィ ン ク ジ ヱ ッ ト 記録方法が提 供される 。 本発明 によ る イ ン ク ジ エ ツ ト 記録方法に よ れ ば、 本発明によ る イ ン ク 組成物を D S C に よ っ て示 され る主た る二つの吸熱 ピー ク の 内、 高い方の吸熱 ピー ク よ り も高い温度、 よ り 好ま し く は 1 0 〜 2 0 で程度高い温 度、 で加熱 し常温で固体の イ ン ク 組成物を溶融す る。 続 いて、 溶融状態のイ ン ク 組成物を液痺と し て記録媒体上 に吐出 し、 記録媒体上に記録 ド ッ ドを形成さ せ る 。 こ の 記録 ド ヅ ドは冷却され、 も し く は、 室温におかれる こ と で固化される。
続いて、 記録 ド ッ ドが形成された記録媒体は定着操作 に付される。 こ の定着操作は、 記録 ド ッ ドが形成 さ れた 記録媒体をィ ン ク組成物の示差走査熱量測定に よ つ て得 られる主た る二つの吸熱 ピー ク の間の温度で加熱す る こ とか ら な る。 加熱は、 倉己録媒体に熱源を接触さ せてま た は非接触の状態で行 う こ とができ る。 具体的に は、 ヒ ー ト ロ ールや ヒー ト プ レー ト を接触さ せて加熱する方法、 フ ラ ッ シ ュ ラ ン プ、 赤外線 ヒ ー タ ー、 オー ブ ン、 ハ ロ ゲ ン ラ ン プな どで輻射熱を利用 し て加熱する方法な どが好 ま し い。 特に、 ヒ 一 ト ロ ールや ヒ ー ト プ レー ト を接触 さ せて加熱する方法が、 定着時間、 熱効率の観点か ら よ り 好ま し い。
さ ら に本発明 の別の態様に よ れば、 本発明 に よ る ホ ッ ト メ ル ト 型イ ン ク 組成物 に適 し た イ ン ク ジ ュ ッ ト 記録装 置が提供 さ れ る 。
本発明 に よ る イ ン ク ジ ュ ッ ト 記録装置を図面 に基づい て説明す る 。
第 3 図 は、 本発明 に よ る イ ン ク ジ ュ ッ ト 記録装置の好 ま し い実施例の模式図であ る 。 第 3 図 に お い て、 ガイ ド 軸 1 3 お よ び 1 4 はサ イ ド フ レ ー ム (図示せず) に 固定 さ れてお り 、 ま た キ ャ リ ッ ジ 1 2 の移動を案内 し て い る 。 こ の キ ヤ リ ッ ジ 1 2 は キ ヤ リ ッ ジ駆動モ ー タ ー (図示せ ず) に よ っ て メ イ ン ロ ー ラ 1 6 と 平行な主走査方向 に往 復動す る よ う に構成 さ れてい る 。 記録へ ッ ド 1 1 は キ ヤ リ ッ ジ 1 2 に搭載 さ れてい る 。 こ の記録へ ッ ド 1 1 に は、 常温で固体の ィ ン ク を溶融す る 加熱部 と 溶融 し た ィ ン ク を ィ ン ク 滴 と し て吐出す る こ と が可能な複数の ノ ズルを 有 し てい る 。 こ の記録ヘ ッ ド 1 1 は主走査方向 に走査 さ れ、 ソ ズ ル カ、 ら 選択 的 に イ ン ク 滴が吐出 さ れて記録紙 5 0 上に ド ッ ド像を形成す る こ と がで き る 。
記録紙 5 0 は耠紙 ト レ イ 2 2 か ら分離 ロ ー ラ (図示せ ず) に よ り 主走査方向 と 直交す る 副走査方向 に搬送 さ れ る 。 こ の記録紙 5 0 は、 紙ガイ ド板 1 9 と プ ラ テ ン 1 8 と の 間を搬送 さ れ、 メ イ ン ロ ー ラ 1 6 と 紙送 り 従動 口 一 ラ 1 7 にかみ こ ま れ る 。 .こ れよ り 、 紙搬送は メ イ ン 口 一 ラ 1 6 に支配 さ れ、 他の紙搬送力 は解除 さ れ る 。 メ イ ン
ロ ー ラ 1 6 は、 紙送 り モー タ 1 5 よ り 駆動力を受け常に 1 回転で、 儒心な どの誤差の な い正確な紙搬送ができ る よ う に構成されてい る 。
ド , y ド像が形成記録された記録紙 5 0 は、 加熱部 2 1 を通 り 、 ギザロ ー ラ 2 4 と排紙従動 ロ ー ラ 2 5 と によ り 、 排紙 卜 レイ 2 3へ排出 される 。 こ の ギザ ロ ー ラ 2 4 は、 紙送 り モー タ 1 5か ら輪列 (図示せず) に よ り メ イ ン 口 ーラ 1 6 よ り も僅かに早い速度で (例えば 6 %程度) で 駆動 されてい る。 さ ら に こ のギザロ ー ラ 2 4 と排紙従動 ロ ー ラ 2 5の紙送 り 力 は、 メ イ ン ロ ー ラ 1 6 の紙送 り 力 に対 してやや弱い力 (例えば 3〜 5 %程度) に設定され お り 、 紙送 り 精度に影響を与えな い よ う 構成 されてい る 。 こ の よ う な構成よ つ て、 記録紙 5 0を加熱部 2 1 に密着 させる こ とができ る。
加熱部 2 1 は凸状の曲平面状に構成さ れてい る。 こ の 加熱部 2 1 は、 ド ッ ド像が形成された記録媒体をイ ン ク 組成物の示差走查熱量測定によ っ て得れる主た る二つの 吸熱 ビー ク の間の温度に加熱する こ がで き る よ う 温度制 御可能な熱源をそ なえてい る。
以上の よ う な装置において、 記録ヘ ッ ドと対面す る 位 置にあ る プラ テ ン 1 8付近の温度は室温付近に あ る。 こ こ で、 記録へ ッ ド 1 1 力、 ら イ ン ク 滴を吐出 させ る と 、 ィ ン ク 滴は記録紙 5 0上に付着 して、 直ち に固化する。 よ つ て円状の きれいな記録 ド ヅ ドが形成さ れる 。 そ の後、
記録紙 5 0 は加熱部 2 1 と 接触 さ せ ら れ る 。 記録紙 5 〇 が加熱部 2 1 と 接触 さ せ ら れ る と 、 定着操作が行われ る こ と と な る 。
も し 、 記録へ ッ ド と 対面す る 位置 に あ る プラ テ ン 1 8 付近の温度が装置 自 体の発熱な ど に よ っ て室温を越え る よ う な場'合は、 第 4 図に示 さ れ る よ う に 、 冷却 フ ァ ン に よ っ てそ の付近を冷却す る のが好 ま し い。 第 4 図 は記録 へ ッ ド 1 1 と 対面す る 部分の拡大図であ る 。 図中、 ブラ テ ン 4 1 は筒状に構成 さ れてお り 、 こ の 内部に冷却 フ ァ ン (図示せず) に よ っ て空気が送 り 込 ま れて る 。 こ れ に よ っ て、 こ の プ ラ テ ン 4 1 付近の温度を室温付近 と な る よ う す る 。 さ ら に、 送 り 込む空気を室温以下の も の と す れば、 よ り 効率の よ い記録 ド ッ ドの形成が行え る ので好 ま し い。
さ ら に、 第 5 図 に示 さ れ る よ う に 、 記録ヘ ッ ド と 対面 す る位置の プラ テ ン を配置せず、 紙支持板 3 1 に よ っ て 支持 さ れた記録紙を冷却フ ァ ン で直接冷却す る の も好 ま し い。 第 5 図 は記録へ ッ ド 1 1 と 対面す る 部分の拡大図 であ り 、 記録へ ッ ド 1 1 と 対面す る 部分 に は冷却 フ ァ ン 3 7 と 、 それに よ る 冷風が吹 き 出す送風孔 3 8 が設 け ら れた冷却装置が設け ら れてい る 。 第 6 図 は そ の冷却装置 の模式図であ り 、 こ の冷却装置 は送風孔 3 8 が設け ら れ 筒状部 3 5 と 、 そ の筒状部に通 じ た冷却 フ ァ ン 3 7 を収 納す る フ ァ ン部 3 6 と 力、 ら構成 さ れて い る 。 筒状部 3 5
は、 主走査方向に置かれてい る。 冷却フ ァ ン 3 7 力、 ら の 冷風は、 筒状部 3 5 を適っ て送風孔 3 8 か ら 吹き 出 し、 記録紙 5 0 の裏面に直接あ た っ て こ れを冷却す る。
ま た、 冷風が記録紙前面にあ た る よ う に冷却フ ァ ン を 設けて、 記録紙を冷却 して も よ い。
実施例
本発明に よ る ホ ッ ト メ ル ト 型イ ン ク 組成物を以下の実 施例によ っ て更に詳細に説明する が、 本発明は こ れ ら の 実施例に限定される も のではない。
次の表に示す組成の ホ ッ ト メ ル ト型イ ン ク 組成物を次 の よ う に し て製造 した。 すなわ ち、 第二の成分をそ の融 点よ り も 1 0 〜 2 0 で程度高い温度で加熱溶融 し、 それ に色材を加えて、 十分に攪拌 し た。 色材が十分溶解 し た 後、 第一の成分を添加 して十分攪拌 して均一な組成物 と し た。 これをフ ィ ルタ 一でろ過 し て固形分を除き、 イ ン ク組成物と し た。
なお、 表中で実 1 と は実施例 1 を表 し、 比 1 と は比較 例 1 を表す。
得 られたホ ッ ト メ ノレ ト 型イ ン ク 組成物を、 ホ ッ ト メ ル ト型イ ン ク ジ エ ツ ト記録へ ッ ド (セ イ コ ー エ プ ソ ン株式 会社製) を用いて、 一般上質紙、 ポ ン ド紙、 P P C紙、 O H P 用 シー ト な どに印字 し た。 印字された記録紙を さ ら にホ ッ ト プ レー ト ま たは ヒ ー ト ロ ー ラ で表中に示 し た 定着温度に加熱 し、 定着操作を行っ た。
こ う し て得 ら れた 印字サ ン プル に対 し て、 以下の 評価 を行 っ た。 それ ら の結果 は表中 に示 さ れ る 通 り で あ る 。
評価 1 : 印字耐擦性
印字面を荷重をか け た ク リ ッ プで擦 り 、 印字の汚れの 発生の有無を評価 し た。 印字の汚れが発生 し な か っ た最 大荷重を表中 に示 し た。
評価 2 : O H P シ ー ト 上の 印字耐擦性
O H P上に 印字 し た 印字面を一定の荷重をか け た ク リ ッ プで擦 り 、 印字の汚れの発生の有無を評価 し た。 印字 の汚れが発生 し な か っ た最大荷重を表中 に示 し た。
評価 3 : 印字物ブ ロ ッ キ ン グ性
印字さ れた記録紙の 印字面上に 白紙の記録紙を重ね 、 上か ら 6. 2 g / c m 2 の荷重を加え 、 7 0 て の温度下 において放置 し た。 こ こ で、 6. 2 g Z c m 2 の荷重 は P P C紙 1 0 0枚が印字物上に おかれた場合 に相当 し 、 ま た放置温度 7 0 °C は印字物が車中 に置かれた場合を想 定 し た も のであ る 。 2 4 時間後、 記録面 に お け る イ ン ク の に じ み、 重ね た記録紙への イ ン ク の転写の有無を調べ、 以下の よ う に評価 し た。
♦ イ ン ク に じ み、 イ ン ク の転写 と も 見 ら れな い
… 好適 (◎ )
• イ ン ク に じ み、 イ ン ク の転写が見 ら れ る
… 不適 ( X )
評価 4 : 定着時の に じ み
定着後の 印字 ド ッ ド形状を観察 し て、 以下の よ う に評 価 し 7こ 0
• に じみがな く 、 輪郭が鲜明であ る
… 好適 (◎ ) • に じみが見 られ、 輪郭が不鮮明であ る
… 不適 ( X )
評価 5 : 定着時間
前記 し た耐擦性評価において 「適」 以上の レベルにな る ま でに要する加熱時間を定着に要する 時間 と し た。
一般に 5 秒以下が好適であ り 、 5 秒以上 1 0 秒以下が 実用上許容される HI囲であ り 、 一方 1 0 秒を越え る場合 は実用上好ま し く な い。
評価 6 : イ ン ク寿命
イ ン ク 組成物をガラ ス容器内 に密封 し、 1 3 0 で の恒 温槽中に放置 し、 析出物の発生、 イ ン ク 相溶性の消失 (層分離) 、 イ ン ク 物性の変化な どのが発生 し、 イ ン ク ジ エ ツ ト 記録に支障をきたす時間をイ ン ク 寿命と し た。
一般に 2 0 0 時間を越え る も のが好適であ り 、 1 0 0 ~ 2 0 0 時 間 が実用 上許容 さ れ る 範 囲 で あ り 、 一方 1 0 0 時間に溝たない も の は実用上好ま し く ない。
評価 7 : 定着温度マ ー ジ ン
第一の成分と第二の成分の融点の温度差を定着温度マ 一ジ ン と した。 一般に 2 0 で以上のマ ー ジ ンがあ る こ と が好適であ り 、 1 0 で以上 2 0 未満のマ ー ジ ンが実用上
許容 さ れ る 範囲であ り 、 一方 1 o °c未満 の マ ー ジ ン は あ ま り 好ま し く な い。
評価 8 : 溶融終了温度
イ ン ク 組成物の融点を D S C に よ っ て測定 し 、 D S C チ ヤ 一 卜 に お け る 第二の成分の吸熱 ピー ク の終了点を溶 融終了温度 と し た。
—般に溶融終了温度が低い方が、 吐出温度や イ ン ク 溶 融保持温度を低 く で き る た め好 ま し く 、 ま た イ ン ク 組成 物の高温劣化を防止す る 観点か ら も 好ま し い と い え る 。 な お、 一般に温度が 1 0 。C高 く な る と 、 イ ン ク の劣化 に 与え る 影響力 は 2 倍に な る と い われて い る 。
比 1 実 2 実 3 実 4 実 5 実 6 第一の (El)
HNP-3 95.0 92.5 92.5 92.0 69.0
HNP-10
No. 115 93.0 92.0 水添ホホバ 92.5 23.0 カルナパ
キヤンデリラ
第二の (E 2)
ステアリン酸アミ ド 7.0 7.5 3.0 8.0 8.0 ベヘン酸アミ ド 5.0 7.5 4.5 8.0 パルミチン酸アミ ド
樹脂
ス一ハ "エステル - アルコン P— 70
クイン卜ン
オリゴテック雇
i (Di)
Spilon Black GMH 1.5 3.0 3.0 4.0 3.0
Spilon Y C-GNH 0.2 3.0 (L3 0.3 3.0 0.3
VALIFAST Pink
OIL Blue 2.0
El: E2 95:5 93:7 92.5:7.5 *- *- 92:8 ■*- *-
Dl: E2 0.34 0.43 0.44 0.26 0.44 0.50 0-375 0.4125 定着 S¾ C) 85 75 85 80 75 80 75 80 印翔擦性 150g 200g 200g 150g 250g 200g 200g 250g
OHP瞧性
ブロッキング ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 定着にじみ X ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 定辦間 (sec.) ^5 5〜10
寿命 (hrs.) ≤100 1 .00-200 100-200 ≤100
定着マージン (で) ≤10
漏冬了 CC) 105 95
一 28
新たな用紙
表 (つづき)
一 29 —
新たな用紙
表 (つづき)
30 一
新たな用紙
第 1 表 (つづき)
31 —
新たな闱紙
表 (つづき)
32 一 新たな用紙