明 細 書
新規ァリルアルコール誘導体
技術分野
本発明は、 肝障害改善作用、 並びに角化症、 血管新生に関 連する病態や炎症疾患の抑制作用を有する新規ァリルアルコ ール誘導体に関する。
背景技術
従来、 薬理活性を有する幾種かのァリルアルコール誘導体 がラッ ト肝臓代謝物から単離されている。
また、 ( 6 ) —ショウガオールは、 角化症治療剤として有 効であることが知られている (例えば、 特開平 1 -207256号公 報参照) 。
発明の開示
本発明者らは、 有用な薬理活性を有する新規ァリ ルアルコ ール誘導体を合成するべく鋭意検討を行った。 そして、 その 結果、 肝障害改善作用、 線維芽細胞増殖抑制、 血管内皮細胞 増殖抑制、 5 - リボキシゲナーゼ阻害作用による炎症抑制作 用、 血小板凝集抑制作用および鎮痛作用を有する新規物質を 合成することに成功し、 本発明を完成するに至った。
本発明は、 下記式 I
で表される新規ァリルアルコール誘導体 (以下、 本発明の化 合物という) を提供する。
発明を実施するための最良の形態 本発明の化合物は ( 6) —ショウガオールを原料として得 られ、 ( 6 ) —ショウガオールは、 例えば、 以下のようにし て得ることができる。
すなわち、 ショウガの乾燥根茎を、 エーテル、 エタノール、 メタノール等の有機溶媒で抽出して抽出エキスを得、 これを さらにクロ口ホルム、 酢酸ェチル、 ベンゼン、 アセ トン、 n 一へキサン、 エーテル、 , アセ トン等の有機溶媒の混合溶液 で分取し、 薄層クロマ トグラフィーに付して精製することに より得ることができる。
以下に ( 6) —ショウガオールの製造の具体例を示す。
〔具体例〕
ショウガ (Zingiber officinale Roscoe) の乾燥根茎 2 kg を粉砕し、 エーテル で 2回、 7時間還流抽出した。 抽出 残渣をさらにエーテル 3 ^で 2回、 7時間還流抽出した。 以上 の抽出液を合併し、 減圧下でエーテルを除去して抽出エキス 7 7. 0 5 gを得た。
このエーテル抽出エキス 7 7. 0 5 gをシリカゲル 7 0 0 g (Merk社製、 Kieselgel 6 0 ) を用いたカラムクロマ トグ ラフィ一に付し、 n—へキサンとエーテルの混合溶媒でエー テルの割合を順次増加しながら展開した。
n—へキサン : エーテル ( 7 0 : 3 0 ) 0. 6 £で溶出し たフラクショ ンと、 n—へキサン : エーテル ( 6 0 : 4 0 )
1 . 6 ^で溶出したフラクショ ンとを合併し、 溶媒除去して 1 3 . 6 gの残渣を得た。 この残渣を、 再度シリカゲルを用 いたカラムクロマ トグラフィ 一に付し、 n—へキサン : エー テル ( 9 5 : 5 ) で溶出したフラクショ ンを分取し、 溶媒除 去して得た残渣 5 . 4 8 gを分取し、 薄層クロマ トグラフィ 一 〔プレー ト : Ki ese l ge l 6 0 P F 2 5 4、 展開溶媒 : n—へキサン : アセ トン ( 7 : 3 ) 〕 に付し、 淡黄色油状物 質 0 . 8 0 3 g (収率 0 . 0 4 を得た。 この淡黄色油状 物質の理化学的性質は文献記載の ( 6 ) -ショウガオールの 理化学的性質と一致した。
以下に、 本発明の Ϋヒ合物を合成する方法について説明する。 すなわち、 上記のようにして得た ( 6 ) —ショウガオール に、 塩化パラジウム、 白金、 パラジウム、 水酸化パラジウム、 ロジウム、 塩化ビス ( ト リ フエニルホスフィ ン) ノ ラジウム 等を触媒とし、 水素、 シクロへキサジェン、 ギ酸アンモニゥ ム、 ヒ ドラジン等を還元剤として用いてこれを酢酸ェチル、 ベンゼン、 トルエン、 メタノール、 テ トラ ヒ ドロフラ ン、 ジ ォキサン等の一般的な有機溶媒中、 0 °C〜 1 0 0 °C付近で、 5時間以上反応させる方法、 水素化ホウ素ナ ト リ ウム、 水素 シァノホウ素ナ ト リウムまたは水素化テトラー n—プチルァ ンモニゥムを、 水またはメタノール、 エタノール、 イ ソプロ パノール等のアルコール類中、 0で以上で、 1 0分間以上反 応させる方法、 水素化アルミニウムリチウム、 水素化ジイソ ブチルアルミニウム、 水素化ビス (メ トキシェ トキシ) アル ミニゥムナ ト リ ウム等の水素化アルミニウム類をエーテル、
テトラヒ ドロフラン、 ジメ トキシェタン等のエーテル類やべ ンゼン、 トルエン等の炭化水素を溶媒とし、 一 8 0で〜室温 付近で、 1 0分間以上反応させる方法を適当に選択し、 使用 することにより得ることができる。
上記のようにして得られた本発明の化合物は、 肝障害改善 作用、 角化細胞増殖抑制作用、 血管内皮細胞増殖抑制作用、 5— リポキシゲナーゼ阻害作用およびシクロォキシゲナーゼ 阻害作用による炎症抑制作用、 血小板凝集抑制作用および鎮 痛作用を有することから、 肝臓疾患、 乾癣、 癌、 動脈硬化、 血栓症および疼痛に対する治療用医薬品として有用である。 . 次に、 本発明の化合物の製造方法の一例を具体的に説明す
〔製造例〕
( 6 ) —ショウガオール 3 4 mgをメタノール 1 O m^に 溶解し、 氷冷下に、 水素化ホウ素ナ ト リウム (ミ クロスパー テル 1杯) を加え、 1 5分間スターラーで撹拌した。 反応終 了後、 2規定塩酸 5滴を加えて留去後、 シリカゲルクロマ ト グラフィー (溶媒、 クロロホルム : 酢酸ェチル = 2 0 : 1 ) で精製し、 本発明の化合物 3 2mgを得た。
上記の方法で得られた本発明の化合物の理化学的性質は、 以下の通りである。
赤外線吸収スペク トル CHC13 (cm"1) :
3 5 5 2 (一 OH) , 2 9 2 8 , 2 8 6 0 (C— H) マススベタ トル (mZz) : 2 7 8 ( + ) , 1 3 7 プロ トン核磁気共鳴スぺク トル
( δ p p m n C D C 1 3 )
8 9 ( 3 H, t , 1 — C H3 ) ,
2〜 1 . 5 ( 6 H, m, C H2 X 3 ) ,
Ί〜 2. 1 ( 2 H, 5 - C H2 ) ,
5〜2. 7 ( 4 H, m, 9 , 1 0 C H2 ) ,
8 6 ( 3 H, s , 1 7 - C H 3 )
0 7 ( 1 H, d d d , J = 6. 6 6. 6 , 7 H z , 8 - H) 4 9 ( 1 H, d d t , J = 4 , 7 1 5 H z , 7 - H) , 5 5 ( 1 H, b r , s , p h e n o l c 0 H) ,
6 5 ( 1 H, d d d d , J = 1 , 7 , , 1 5 H z , 6 - H)
6 8 ( 1 H, d d, J = 2 , 8 H z , 1 6 - H) ,
7 0 ( 1 H, d, J = 2 H z , 1 2 - H) ,
8 2 ( 1 H, d , J = 7 H z , 1 5 - H)
次に、 実験例を挙げ、 本発明の化合物の作用を説明する。
〔実験例 1 〕 5 — リポキシゲナーゼ阻害作用
R B L— 1培養細胞を、 5 X 1 0 6 細胞 Zm ^ となるよう に、 I mMエチレンジァ ミ ン四酢酸 (E D TA) および 1 0 %のエチレングリ コールを含む 5 O mMリ ン酸緩衝液 ( p H
7. 4 ) に浮遊させ、 超音波処理後に、 1 0 , 0 0 0 X Gで
1 0分間、 さらに 1 0 5 , 0 0 0 X Gで 6 0分間遠心した上 清を 5 — リボキシゲナーゼ酵素標品とした。
全量を 0. 6 m とし、 5 0 mMリ ン酸緩衝液、 1 5 mM 塩化カルシウム、 2 0 Mイン ドメタシン、 1 8 m Mグル夕 チオン、 6 mMアデノ シン三リ ン酸 (AT P:) 、 1 0 〃Μァ ラキ ドン酸、 上記のようにして得た酵素標品および本発明の
化合物のエタノール溶液を終濃度 5、 1および 0. と なるように試験管にとり、 3 7でで 1 0分間反応させた。 反 応終了後、 アセ ト ン 1. 2 および 2規定ギ酸 1 0 0 ^ を加えて反応を停止させ、 内部標準として 0. 2 5 Mの n— ブチルー 3 , 5—ジニト口べンゾエイ ト 1 0 ^を添加後、 n—へキサン 1. 8m で抽出した。 得られた抽出液を濃縮 後、 メタノールに溶解し、 この中の 5—ヒ ドロバーオキシェ ィコサテトラエノイツク酸 (HETE) の量を高速液体ク口 マトグラフィ一 〔カラム、 TSK— g e l OD S— 8 0
TM (東ソ一株式会社製) ; 移動相、 ァセ トニト リル ·: 水 : 酢酸 ( 6 0 : 4 0 : 0. 0 2 ) ; 流速、 l m^Z分 ; 検出、 紫外線 (2 3 5 nm) 〕 により測定し、 これを酵素活性とし た。 この結果について、 各濃度での阻害率を次式により算出 し、 5 0 %阻害濃度 (以下 I C 5。と称する) を求めた。
r _ ?
阻害率 (%) = X 1 0 0
C
C : 本発明の化合物を含まない場合の 5— HETEのピー ク面積 (内部標準により補正)
S : 本発明の化合物を添加した場合の 5— HETEのピー ク面積 (内部標準により補正)
この結果、 本発明の化合物の I C50は、 0. 5 4 Mであ つた。
〔実験例 2〕 シクロォキシゲナ一ゼ阻害作用
ゥサギ肾臓髄質 7. 0 gに 1 mMグルタチオンを含む 0. 1 Mリ ン酸緩衝液 (p H 7. 5 ) 6 0 m を加え、 ポリ トロ
ンを用いてホモジナノズした。 これにより得られたホモジネ ー トを 9, 0 0 0 X Gで 2 0分間遠心分離してミ クロソーム 画分を得た。 これを 1 〃Mグル夕チオンを含む 0. 1 Mリ ン 酸緩衝液 ( P H 7. 5 ) 7 m に溶解し、 シクロォキシゲナ ーゼ酵素標品とした。
上記のようにして得た酵素標品 1 5 _gに、 終濃度として、 4 mMグル夕チオン、 1 0 mMト リブトファ ン、 0. 2 5 // Mヘモグロビンおよびリ ン酸緩衝液 ( P H 7. 5 ) を加え、 さらに 〔 1 — 14C〕 ァラキドン酸 ( 5 X 1 0 d p m) およ び本発明の化合物を 4 0、 2 0、 1 0および 5 u Mとなるよ うに加え、 全量を 2 0 0 〃 Mとした。 3 7 °C, 1 5分間イ ン キュペー トした後、 1規定塩酸を加えて反応を停止させ、 担 体としてプロスタグランジン E 2 ( P G E 2 ) を加え、 エー テル 2 m _gで反応生成物を抽出した。 得られた ft出液を濃縮 後、 薄層クロマ トグラフィー (展開溶媒、 クロ口ホルム : メ 夕ノール : 酢酸 = 1 8 : 1 : 1 ) に付し、 生成物を分離した。 ョ一 ド蒸気で発色させ、 P G E 2 に相当する部分をかき取り、 P G E 2 放射活性を液体シンチレーショ ンカウンターで測定 した。 その結果より各濃度における阻害率を次式により算出 し、 I C 5。を求めた。
Γ一 s
阻害率 ( ) = X 1 0 0
C
C : 本発明の化合物を含まない場合の P G E 2 の生成量
(内部標準により補正)
S : 本発明の化合物を添加した場合の P G E 2 の生成量
(内部標準により補正)
この結果、 本発明の化合物の I C 50は、 7. 6 2 Μであ つた。
〔実験例 3〕 表皮細胞増殖因子 (EGF) に対する増殖抑制 作用
2 4穴プレー トに、 線維芽細胞 (b a 1 bZc 3 T 3 c e l l s) を 0. 5 m£中に 2. 5 X 1 04 個含むように 調整した 1 0 %仔牛血清を含む培養液 (以下、 C S DME Mと称する) を、 1穴あたり 1 m ずつまいた。 線維芽細胞 が単層状態で飽和になった後、 1 %CS DMEMに代え、 3 7?C、 5 %C02 下で、 1 2時間培養し、 1穴あたり本発 明の化合物 0. 5 gおよびマウス EGF 5 0 p gをそれぞ れ添加してさらに 1 6時間培養した。 これに、 0. 5 C i X 5 0 Xw e 1 1の 3 H—チミ ジンを加えて 8時間培養 した後、 培養液を除去し、 冷却した等張リ ン酸緩衝液にて洗 浄し、 5 %冷ト リ クロ口醉酸を加え、 3 0分間放置した。 上 清を除去後、 0. 5 M水酸化ナト リウム溶液に溶解し、 0. 5M塩酸で中和し、 シンチレ一シヨ ンカクテルを加え、 液体 シンチレ一シヨ ンカウンターでカウン ト した。 この増殖に伴 つて細胞内に取り込まれた 3H—チミ ジンの放射活性を測定 し、 細胞増殖に対する新規ァリルアルコールの作用を検討し た。 その結果、 EGFによって増殖が促進された b a 1 b/ c 3 T 3細胞に対し、 7 2. 9 %の増殖抑制が認められた。 この結果から、 新規ァリルアルコールにすぐれた角化症治療 作用があることが認められた。
〔実験例 4〕 ヒ ト細小血管内皮細胞の増殖および遊走に対す る作用
ヒ ト大網由来細小血管内皮細胞をボイデン ' チ ンバーの 上室に 5 X 1 04 個入れ、 5 mのポアサイズを有するフィ ルター (ヌク レオボア社製のボリカーボネー トフィルタ一) で隔てられた下室に E G F 1 O n gZm^を添加したものを コ ン トロールとし、 薬物群には E GF 1 O n gZm ^ と本発 明の化合物 1 O zM/m を添加し、 両者の下室にでてきた 細胞数を HP F (hour per four field ) 当たりの細胞で計 測した。 本発明の化合物添加群は 8 2 %の抑制を示したこ と から、 血管新生抑制剤として血管新生との関連が認められて いる癌および乾癣の治療薬として有用性を認めた。
〔実験例 5〕 ァラキドン酸耳朶浮腫抑制試験
I CR系マウス (雌、 8〜 1 1週齢) の右内側耳殻に新規 ァ リルアルコール l mgZS O / ^アセ ト ンを塗布し、 3 0 分後に同部位に 2mgァラキ ドン酸を含むアセ ト ン溶液 1 0 を塗布し、 1時間後に耳の厚みをダイアルシッ クネスゲ 一ジにて測定した。 左側に同量のァセ トンを塗布して同様に 測定し、 (左側) 一 (右側) を耳の腫脹とした。 また、 コン トロールとしてサンプルの代わりに溶媒を塗布した群を用い、 サンプルの耳朶浮腫抑制率を次式により求めた。
コン トロール群一サンプル投与群
抑制率 ( ) = X 1 0 0 コン トロール群
新規ァ リルアルコール塗布群はコン トロールに比較し 8 3 の浮腫抑制を示したことにより、 抗炎症薬としての有用性
を認めた。
〔実験例 6〕 血小板凝集抑制試験
1 2時間絶食させたラッ トから 3. 8 %クェン酸ナト リ ウ ムが 1 1 0容量になるように採血し、 その後 1 5 9 X Gに て 1 0分閭室温で遠心し、 血小板の豊富な血漿 (platelet- rich plasma;P R P) を採取した。 さらに残りの血液を 1 8 0 0 X Gにて 1 0分間室温で遠心し、 P R Pを採取した。 血 小扳数は、 エルマ社製 P C - 6 0 3 Aにて測定し、 P R Pに て 3 X 1 08 Zm ^に調整した。 凝集能は、 B o r nの方法 に従い、 P R Pを 0 %、 P R Pを 1 0 0 %とし、 4 channel NKK HEMATRACER凝集計を用いて測定した。 I n v i t r o 実験の場合、 新規ァリルアルコールを 5 , 2 0 /ζΜの濃度で 添加し、 3 7でで 3分間プレインキュベーショ ンしてから、 凝集惹起剤を入れ、 凝集能を測定した。 凝集惹起剤としては アデニンジホスフェー ト (AD P) 、 コラーゲン、 ェピネフ リ ンおよびァラキドン酸を用いた。 凝集剤の惹起濃度は、 A , D P 2 M、 コラーゲン 1 /z g/m i ァラキドン酸 4 0 0 fiM, ェピネフ リ ン 6 g/m ^にて行った。 新規ァリルァ ルコールはジメチルスルホキシド (DMS O) に溶解し、 実 験に供した。 添加時の DMS 0の終濃度は 0. 4 %で、 この 濃度での DM S 0の単独添加は血小板凝集に明らかな影響を 与えなかった。
結果を下記の表 1 に示す。
1
一血小板凝集抑制率 (%)
凝集惹起剤 新規ァリ ルアルコール濃度 ( Μ)
5 2 0
AD P 1 2 2 6
コラーゲン 2 1 4 3
ェピネフ リ ン 5 2 6 3
ァラキ ドン酸 6 7 9 6
新規ァリルアルコールは 4種の血小板凝集惹起剤による反 応を抑制したことから、 血栓治療薬としての有用性を認めた。 〔実験例 7 鎮痛作用試験
(R a n d a l 1 - S e l i t t o) 式圧刺激鎮痛効果測定 装置 (U g 0 B a s i 1 e社製、 イタ リア) を用い、 その 圧力端子を介して圧を加え、 もがき運動が発現した時の加え た圧力 (g) を疼痛閾値として測定する。 そして片足ずっ両 足の疼痛閾値を測定し、 ほぼ同程度の疼痛閾値を示すラッ ト を選び実験に用いた。 このラッ トの右後肢足踱皮下に 2 0 % ブレワーズ . イース ト (B r ewe r ' s y e a s t ) 水 溶液を 0. l m^づっ投与後、 3 0分および 6 0分に両足の 疼痛閾値を測定し、 同時に本発明の化合物の 2 %ポリ ソルべ ー ト 8 0生理食塩水懸濁液 (溶液全量の 2 %に相当するポリ ソルベー ト 8 0に本発明の化合物を溶解させ、 その後除々に 生理食塩水を加え混合する) を静脈内および経口的に投与し、 その後 1 5分、 3 0分、 6 0分、 9 0分および 1 2 0分に両 足の疼痛閾値を測定した。 そして対照群と比較し、 疼痛閾値 が上昇したものを鎮痛作用有りと判定した。
本発明の化合物 5 m gZk gを投与後、 1 5〜 6 0分の間に おいてコン トロール群に比較して有意 (P く 0. 0 5 ) な疼 痛閾値の上昇を認めた。
従って、 本発明の化合物は疼痛に対する緩和を示すことか ら鎮痛薬としての有用性を認めた。
Randall-Selitto 法による鎮痛作用の測定結果は、 表 2に 示す如くである。
表 2
疼痛閾値 (g)
1 5分 3 0分 6 0分 コン トロール (n=12) 1 2 3 1 1 5
本発明の化合物 70mg/kg
本発明の化合物 140nig/kg
o a : p < 0. 0 5 b : p < 0. 0 1 22 o 8
〔実験例 8〕 本発明の化合物の L D 50 bb a 本発明の化合物の 2 %ポリ ソルベー ト 8 0生理食塩水懸濁 液 (溶液全量の 2 %に相当するボリ ソルべ一 ト 8 0に本発明 の化合物を溶解させ、 その後除々に生理食塩水を加え混合す る) をマウスに静脈内および経口投与でそれぞれ投与し、 7 2時間後の生死判定により L D 5。を算出した。 計算には、 静 脈内投与に対してァップ ' アン ド ' ダウン (up and down ) 法を用い、 経口投与に対してはリ ッチフィ ルド ' ウィルコク ソン (Litchfield-Wilcoxon ) 法を用いた。
結果は表 3に示す如くである。
投与方法 動物数 L D s o m g / k g
静脈 1 0 7 5 . 6
経口 4 0 1 3 4 2 . 4
次に、 本発明の化合物の投与量および製剤化について説明 する。
本発明の化合物は、 そのままであるいは慣用の製剤担体と 共に動物および人に投与することができる。 投与形態として は特に限定がなく、 必要に応じて適宜選択して使用され、 錠 剤、 カプセル剤、 顆粒剤、 細粒剤、 散剤等の経口剤や注射剤、 坐剤等の非経口剤が挙げられる。
経口剤として所期の効果を発揮するためには、 患者の年令、 体重および疾患の程度により異なるが、 通常成人で本発明の 化合物の重量として 1 0〜 1 0 0 m gを、 1 日数回に分けて 服用するのが適当と思われる。
さらに、 錠剤、 カプセル剤、 顆粒剤等の経口剤は、 例えば , デンプン、 乳糖、 白糖、 マンニッ ト、 カルボキシメチルセル ロース、 コーンスターチ、 無機塩類等を用いて常法に従って 製造される。 この種の製剤には、 適宜前記賦形剤の他に、 結 合剤、 崩壤剤、 界面活性剤、 滑沢剤、 流動性促進剤、 矯味剤、 着色剤、 香料等を使用することができる。 それぞれの具体例 を以下に示す。
〔結合剤〕
デンプン、 デキス ト リ ン、 アラ ビアゴム末、 ゼラチン、 ヒ ドロキシプロ ピルスターチ、 メチルセルロース、 カルボキシ
メチルセルロースナ ト リ ウム、 ヒ ドロキシプロ ピルセル口一 ス、 結晶セルロース、 ェチルセルロース、 ポリ ビニルピロ リ ドン、 マクロゴール。
〔崩壊剤〕
デンプン、 ヒ ドロキシプロ ピルスターチ、 カルボキシメチ ルセルロースナ ト リ ゥム、 カルボキシメチルセルロースカル シゥム、 カルボキシメチルセルロース、 低置換ヒ ドロキシプ 口ピルセルロース。
〔界面活性剤〕
ラウリル硫酸ナト リウム、 大豆レシチン、 ショ糖脂肪酸ェ ステル、 ポリ ソルベー ト 8 0。
〔滑沢剤〕
タルク、 ロウ類、 水素添加植物油、 ショ糖脂肪酸エステル、 ステアリ ン酸マグネシウム、 ステアリ ン酸カルシウム、 ステ アリ ン酸アルミニウム、 ポリエチレングリ コール。
〔流動性促進剤〕
軽質無水ゲイ酸、 乾燥水酸化アルミニウムゲル、 合成ゲイ 酸アルミニウム、 ゲイ酸マグネシウム。
また、 本発明の化合物は、 懸濁液、 ェマルジヨ ン剤、 シロ ップ剤またはェリキシル剤としても投与することができ、 こ れらの各種剤形には、 矯味矯臭剤、 安定化剤および着色剤を 含有されてもよい。
非経口剤として所期の効果を発揮するためには、 患者の年 令、 体重および疾患の程度により異なるが、 通常成人で本発 明の化合物の重量として 1 日 0 . l〜 1 0 m gまでの量の静
注、 点滴静注、 皮下注射または筋肉注射が適当と思われる。 この非経口剤は常法に従って製造され、 希釈剤として一般 に注射用蒸留水、 生理食塩水、 ブドウ糖水溶液、 注射用植物 油、 ゴマ油、 ラッカセィ油、 ダイズ油、 トウモロコシ油、 プ ロピレングリ コール、 ポリエチレングリ コール等を用いるこ とができる。 さらに必要に応じて、 殺菌剤、 防腐剤および安 定剤を加えてもよい。 また、 この非経口剤は安定性の点から、 バイアル充塡後冷凍し、 通常の凍結乾燥技術により水分を除 去し、 使用直前に凍結乾燥物から液剤を再調製することもで きる。 さらに必要に応じて、 等張化剤、 安定剤、 防腐剤、 無 痛化剤等を適宜加えてもよい。 その他の非経口剤としては、 外用液剤、 軟耷等の塗布剤、 直腸内投与のための坐剤等が挙 げられ、 これらも常法に従って製造される。
本発明の化合物を用いた製剤例を下記に説明する。
〔製剤例 1 〕
①コーンスターチ 2 3 . 5 g
②結晶セルロース 1 5 g
③カルボキシメチルセルロースカルシウム 5 g
④軽質無水ゲイ酸 0 . 5 g
⑤ステアリ ン酸マグネシウム l g
⑥本発明の化合物 5 g
計 5 0 g
前記の処方に従って①〜⑥を均一に混合し、 打錠機にて圧 縮成型して 1錠 2 0 0 m gの錠剤を得た。
この錠剤 1錠には、 本発明の化合物 2 0 m gが含有されて
おり、 これを成人 1 日 1〜 4錠を数回に分けて服用する。 〔製剤例 2〕
①結晶セルロース 3 9 · 5 g
②ステアリ ン酸マグネシウム 0 . 5 g
③カルボキシメチルセルロースカルシウム 5 g
④本発明の化合物 5 g
計 5 0 g 上記の処方に従って①、 ④および②の一部を均一に混合し、 圧縮成型した後、 粉砕し、 ③および②の残量を加えて混合し、 打錠機にて圧縮成型して 1錠 2 0 0 m gの錠剤を得た。
この錠剤 1錠には、 本発明の化合物 2 0 m gが含有されて おり、 これを成人 1 日 1〜 4錠を数回に分けて服用する。
〔製剤例 3〕
①結晶セルロース 1 7 g
② 1 0 %ヒ ドロキシプロ ピル
セルロースエタノール溶液 2 5 g
③カルボキシメチルセルロースカルシウム 2 . 7 g
④ステアリ ン酸マグネシウム 0 . 3 g
⑤本発明の化合物 5 g
計 5 0 g
上記の処方に従って①、 ②および⑤を均一に混合し、 常法 によりねつ和し、 押し出し造粒機により造粒し、 乾燥および 解砕した後、 ③および④を混合し、 打錠機にて圧縮成型して 1錠 2 0 0 m gの錠剤を得た。
この錠剤 1錠には、 本発明の化合物 2 0 m gが含有されて
おり、 これを成人 1 日 1〜 4錠を数回に分けて服用する。 〔製剤例 4〕
①コーンスターチ 4 3 g
②ステア リ ン酸マグシゥム 0. 5 g
③カルボキシメチルセルロースカルシウム 1 g
④柽質無水ゲイ酸 0. 5 g
⑤本発明の化合物 5 g
計 5 0 g 上記の処方に従って①〜⑤を均一に混合し、 圧縮成型機 て圧縮成型後、 粉砕機により粉砕し、 篩別して顆粒を得た。
この顆粒剤 1 gには、 本発明の化合物 2 O m gが含有され ており、 これを成人 1 日 1 〜 4 gを数回に分けて服用する。 〔製剤例 5〕
①結晶セルロース 2 9 g
② 1 0 %ヒ ドロキシプロ ピル
セルロースエタノール溶液 2 0 g
③本発明の化合物 1一 g
計 5 0 g
前記の処方に従って①〜③を均一に混合し、 ねつ和した。 次に、 押し出し造粒機により造粒し、 乾燥し、 篩別して顆粒 剤を得た。
この顆粒剤 1 gには、 本発明の化合物 2 O m gが含有され ており、 これを成人 1 日 1 〜 4 gを数回に分けて服用する。 〔製剤例 6〕
①コーンスターチ 4 4. 5 g
②軽質無水ゲイ酸 0. 5 g ー③本発明の化合物 5 g ― 計 5 0 g 上記の処方に従って①〜③を均一に混合し、 2 0 0 m gを 2号力プセルに充塡した。
このカプセル剤 1 カプセルには、 本発明の化合物 2 0 m g が含有されており、 これを成人 1 日 1〜 4カプセルを数回に 分けて服用する。
〔製剤例 7〕
①注射用蒸留水 適量
②ブドウ糖 ' 2 0 0 m g ー③本発明の化合物 1 m g一
全量 5 m ^ 注射用蒸留水に②および③を溶解させた後、 5 m ^のアン プルに注入し、 1 2 1 でで 1 5分間加圧滅菌を行って注射剤 を得た。
〔製剤例 8〕
①本発明の化合物 0. 0 5 g
②白色ワセリ ン 2 5 g
③ステアリルアルコール 2 2 g
④サラシミツロウ 1 5 g
⑤ポリオキシエチレン ( 2 5 )
モノステアリ ン酸エステル 2. 3 g
⑥ソルビタンモノパルミテー ト 2. 7 g
⑦パラォキシ安息香酸メチル 0. 0 5 g
⑧パラォキシ安息香酸プロピル 0. 0 5 g
⑨精製水 3 2. 8 5 g 計 1 0 0 g 上記の処方に従って①〜⑨を均一に混合し、 加熱溶解して 軟膏を得た。