明 細 書 発明の名称
ォステオカルシンのプロべプチド、 プロォステオカルシンを免疫学的 に測定するための方法およびキット
発明の詳細な説明
産業上の利用分野
本発明は、 検査試料中のォステオカルシンのプロべプチドまたはプロ ォステオカルシン或いはその両者を免疫学的に測定する方法およびその ためのキットに関する。 さらに詳しくは本発明は検査試料中のォステオ カルシンのプロぺプチドまたはプロォステオカルシンを選択的に且つ高 感度で測定するための方法およびキッ卜に関し、 さらに検査試料中のォ ステオカルシンのプロべプチドおよびプロォステオカルシンの合計量を 測定するための方法およびキッ卜に関する。
本明細書において、 下記用語はそれぞれについて説明された意味とし て定義されるものとする。
( a ) ォステオカルシンのプロペプチド:
骨芽細胞内においてォステオカルシンのァミノ酸配列のァミノ 末端側 (5 ' 側) に位置するプロペプチド配列 (ヒ トォステオ力 ルシンの場合は 2 6個のァミノ酸配列よりなる)
( b ) プロォステオカルシン:
前記プロべプチドおよびォステオカルシンより構成されるアミ ノ酸配列 (ヒ トォステオカルシンの場合は、 プロペプチドに基づ く 2 6個のァミノ酸配列およびォステオカルシンに基づく 4 9個
のアミノ酸配列より構成される)
( C ) ォステオカルシン:
ォステオカルシンのァミノ酸配列 (ヒトォステオカルシンの場 合は 4 9個のァミノ酸配列よりなる)
( d ) プレブロォステオカルシン:
プレペプチド、 プロペプチドおよびォステオカルシンより構成 されるアミノ酸配列 (前記プロォステオカルシンのァミノ末端側 ( 5 ' 側) にプレペプチドが結合したアミノ酸配列; ヒトプレブ ロォステオカルシンの場合は、 プレぺプチドに基づく 2 3個のァ ミノ酸配列、 プロペプチドに基づく 2 6個のアミノ酸配列および ォステオカルシンに基づく 4 9個のァミノ酸配列より構成される) 従来の技術
ォステオカルシン (別名、 bone gla protein ( B G P ) ) は、 骨のビ タミン K依存性のカルシウム結合性タンパクである。 その分子量は 5 , 8 0 0であり 4 9のアミノ酸残基により構成されている。 このタンパク は、 ォステオブラスト (骨芽球) から産生され、 骨の非コラーゲンタン パクの構成成分の約 2 0 %を占めている。 このタンパクにはァ一 carbox yglutamic acid residues があり、 ノヽィ ドロキシァノヽ。タイトと強いァフ ィニティがあり、 それゆえに骨マトリックス形成に重要な役割を有して いるものと推定されている。
このォステオカルシンは、 ニヮトリと牛の骨から見出されたのが最初 であるが (Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 72, 3925 (1975) 、 同 73, 14 47 (1976) ) その他、 人を含めて (J. B. 255, 8685 (1980) ) 種々の 動物の骨から見出されており、 その構造の類似性が言われている。
ォステオカルシンは、 骨芽細胞内では、 ①分泌機能を有するプレぺプ チド配列、 ②ァ— carboxylase との結合部位であるプロペプチド配列、 および③ G 1 a蛋白である成熱ォステオカルシン配列のこの順序からな る 3つの部分から構成される m _ R N Aの構造を有する。 m— R N Aは、 リボゾームにおいて、 ォステオカルシン前駆体であるプレブロォステオ カルシン蛋白によまれ、 プレペプチド配列が切断された後、 ォステオ力 ルシン前駆体であるプロォステオカルシンは、 ゴルジ体において y -ca rboxylase と、 プロペプチド部分において結合し、 G l a化された後、 ぺプチダーゼにより、 プロぺプチドとォステオカルシンが切りはなされ、 プロぺプチドは細胞内で分解され、 ォステオカルシンが主として分泌さ れるものと考えられている。
このォステオカルシンのプロペプチド配列に関しては、 A. J. Celeste らがプレブロォステオカルシンの c D N A配列、 アミノ酸配列 (EMBO J. ^ 1885-1890 (1986) ) を報告している。
発明が解決しょうとする課題
1 9 9 0年 7月 2 0曰に開催された日本骨代謝学会において、 笠井ら はォステオカルシンのプロぺプチドを、 固定抗原を用いた競合法により 測定する方法を発表しているが、 そのプロぺブチドの測定値は成人が高 く しかも年令と正の相関を示している。 しかしこの発表された測定結果 は、 一般に骨形成能は年令と共に低下することを考え合せると、 この—" 一力一 (プロペプチド) が骨形成能を示すという推測と矛盾している この矛盾が発生する理由として、 その測定系が不完全なものであるこ があげられる。 その不完全な理由の 1つは使用した抗体の特異性が低い こと、 他の理由の 1つは使用した測定系の特異性が低いことが考えられ
る。
上記プロぺプチドの測定系において、 競合法を用いている理由として は、 このような小べプチド蛋白 (アミノ酸 2 6ケ、 分子量約 3 , 0 0 0 ) はサンドイッチ法で測定するには余りにも測定対象物質が小さすぎて大 きな抗体 (分子量約 1 5万) を使用してサンドイッチ法により測定する のは一般的に困難であると予想したからと思われる。
従来、 骨形成の状態の指標となりうるォステオカルシンのプロぺプチ ドの、 特異性、 定量性および再現性の高い免疫学的測定法は未だ提供さ れていない。 またォステオカルシンのプロぺプチドのみならずプロォス テオカルシンの免疫学的な高感度の測定法についても同様に提供されて いない。
一般に検査試料中のォステオカルシンのプロべプチド或いはプロォス テオカルシンは極めて僅かな量であり (例えばプロぺプチドは約 2 0〜 約 3 0 ng) 、 それらの量を特異的且つ定量的に測定するには、 極めて感 度の優れた測定系を必要とする。
そこで本発明の第 1の目的は、 検査試料中のォステオカルシンのプロ ぺプチドを、 サンドイッチ法による免疫学的な測定手段で特異的に測定 するための方法並びにキットを提供することにある。
本発明の第 2の目的は、 検査試料中のプロォステオカルシンを、 サン ドイッチ法による免疫学的な測定手段で、 特異的に測定するための方法 並びにキットを提供することにある。
本発明の第 3の目的は、 検査試料中のォステオカルシンのプロぺプチ ドおよびプロォステオカルシンの合計量を、 競合法による免疫学的な測 定手段で、 特異的に測定するための方法並びにキットを提供することに
ある。
本発明の他の目的は、 前記した免疫学的な測定結果に基づいて、 骨形 成の状態の診断法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、 前記した免疫学的な測定手段において、 定量性および再現性の優れた、 高感度の測定方法並びにキットを提供す ご める。
本発明のさらに他の目的は、 前記種々の測定方法に使用されるポリク ローナル抗体およびモノクローナル抗体を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、 以下の説明より一層明らかとなるであろ フ 0
課題を解決するための手段
本発明者らの研究によれば、 前記本発明の目的および利点は、 基本的 に下記方法 I、 方法 π、 および方法 Iffによって達成されることが見出さ れた。 また本発明によればこれら方法に対応する、 それぞれのキッ卜が 提供される。
方法 I :
検査試料中のォステオカルシンのプロべプチドをサンドイッチ法によ り免疫学的に測定する方法において、 不溶性担体に結合した抗体 (第 1 抗体) 及び標識化した抗体 (第 2抗体) としてォステオカルシンのプロ ぺプチドを特異的認識する抗体を使用することを特徴とする方法。
この方法 Iによれば、 検査試料中のォステオカルシンのプロべプチド を特異的に測定でき、 プロォステオカルシンは認識されず測定されない ことが特徴である。
かく してこの方法によれば、 小さいペプチドであるォステオカルシン
のプロべプチド (ヒト .プロぺプチドの場合は 2 6個のァミノ酸配列を 有する) が抗体、 殊に同じポリクローナル抗体を使用して高感度で測定 しうることおよびプロォステオカルシンを認識しないで測定されること は全く驚くべきことである。 この方法 Iにおいてこのプロォステオカル シンはその分子中にプロペプチド配列が含有されているにも拘らず、 プ ロォステオカルシンは認識されなかった。 ォステオカルシンのプロぺプ チドが特異的に測定される理由は明確でないが、 恐らくプロォステオ力 ルシン中のォステオカルシンが 2抗体を用いたサンドイッチの形成を阻 害しているためと思われる。
この方法 Iは、 ォステオカルシンのプロペプチドが特異的に且つ高感 度で測定できるので、 そのプロべプチドの濃度を調べることによって骨 形成の状態を診断することが可能となる。
方法 n :
検査試料中のプロォステオカルシンをサンドイッチ法により免疫学的 に測定する方法において、 不溶性担体に結合した抗体 (第 1抗体) 及び 標識化した抗体 (第 2抗体) のいずれか一方の抗体がォステオカルシン のプロぺプチドを特異的に認識する抗体であり、 他方の抗体がォステオ カルシンを特異的に認識する抗体であることを特徴とする方法。
この方法 πによれば、 検査試料中のプロォステオカルシンを特異的に 測定できる。 この方法 Πによればォステオカルシンのプロべプチドは測 定されない。
方法 ΙΠ:
検査試料中のォステオカルシンのプロぺプチド及びプロォステオカル シンの合計量を競合法により免疫学的に測定する方法において、 不溶性
担体に結合する抗体として、 ォステオカルシンのプロべプチドを特異的 に認識する抗体を使用することを特徴とする方法。
この方法 mによれば、 検査試料中のォステオカルシンのプロべプチド およびプロォステオカルシンの合計量が測定される。 つまり検査試料中 のォステオカルシンの全プロぺプチド量が測定される。
また本発明によれば、 上記方法 I、 方法 πおよび方法 mに使用される 下記抗体が提供される。
( i ) ヒト,ォステオカルシンのプロべプチドを特異的に認識するポリ クロ一ナル抗体。
( ϋ ) ヒト ·ォステオカルシンのプロぺプチドのァミノ酸配列における
1 4位から 2 6位までの配列を特異的に認識するポリクローナル 抗体 ο
( m ) ヒト ·ォステオカルシンのプロべプチドのァミノ酸配列における
1位〜 1 3位までの配列を特異的に認識するポリクローナル抗体。 (ή ヒト ·ォステオカルシンのプロべプチドのァミノ酸配列における 1 4位〜 2 6位を特異的に認識するモノクロ一ナル抗体。
このモノクローナル抗体は、 後述するハイプリ ドーマ 3 F 9または 4 Ε 1 2から産生されるものを使用することができる。
次に前記方法 I、 方法 πおよび方法 mにおいて使用されるォステオ力 ルシンのプロべプチドを特異的に認識する抗体の調製法について説明す る。 具体的には、 ヒ ト ·ォステオカルシンのプロべプチドを特異的に認 識する抗体について説明するが、 ヒ ト ·ォステオカルシンのプロべプチ ド以外、 すなわちヒ ト以外のラット、 マウス或いは犬のォステオカルシ ンのプロべプチドについても同様の方法で抗体を調製することができる。
1) ヒト ·ォステオカルシンのプロぺプチドの合成 (抗原の作成) 合成については AB I社ペプチド合成機を用いて下記式 [I] で表わ されるヒト ·ォステオカルシンのプロべプチドを合成した。
H2N— L y s -P r o-S e r -G l y - A 1 a-G l u-S e r- S e r -L y s -A 1 a-Ph e-Va 1 - S e r - L y s - C 1 n - G 1 u-G 1 y-S e r一 G l u - V a 1 -V a 1 -Ly s -A r g- P r o-A r g-A r g-COOH ··· [I]
以下、 このべプチドの名称を "0 s t p r o— 26" と略称する。
2) 免疫原の作成
0 s t p r o— 26の免疫源との作成は、 以下の 3通りが考えられる。 ① P VPなどの合成高分子との物理化学的混合、 ②キャリア蛋白 (KL H又は BSA等) との化学結合、 ③リポソ一ム、 菌体等の particle と の結合 (吸着又は化学結合) がある。
3) 免疫方法 (抗体の作成)
上記にて調製した免疫源を動物 (羊、 山羊、 兎、 ラット、 マウス、 ト リ、 等) に免疫する。 免疫はフロイント完全アジエバントゃ、 フロイン ト不完全アジュバント、 A 1 (0H)3 等があげられる。 抗体価上昇後、 抗体を含んだ血清を採取し、 抗体を精製する。 かくしてヒト ·ォステオ カルシンのプロペプチドを特異的に認識するポリクローナル抗体 (以下 この抗体を "a p— 26" と略称することがある) 。
また上記 1) 〜3) と同様にして、 ヒト ,ォステオカルシンのプロべ プチドの N末端 13残基 (H2N—Ly s— P r o— S e r—G l y— A 1 a-G l u-S e r-S e r-Ly s -A l a-Ph e-V a 1 - S e r-) および C末端 13残基 (Ly s— G i n— G l u— G l y—
S e r - G 1 u - V a 1 - V a 1 -Ly s-Ar g-P r o-Ar g- A r g-CC OH) のそれぞれを合成し、 これらに対するポリクローナ ル抗体を得た。 上記 N末端 13残基のぺプチドに対するポリクローナル 抗体を "a pN— 13" と略称し、 また C末端 13残基のぺプチドに対 するポリクローナル抗体を "apC— 13" と略称する。
さらに、 前記ヒト ·ォステオカル ンのプロぺプチドの C末端 13残 基のペプチド (14位〜 26位のアミノ酸配列) に対するモノクローナ ル抗体はケラーおよびミルシュタイン (Keller and Milstein) の方法 に準じて調製された。 すなわち C末端 13残基のぺプチドの KLHコン ジュゲートを BalbZC mouse に免疫し、 抗体産生クローンとしてハイ プリ ドーマ 3 F 9および 4 E 12を選別した。 これらが産生する抗体は、 いずれも I g G 1であった。 これらのモノクローナル抗体をそれぞれ "M-3 F 9" および "M— 4E12" と略称する。
以下本発明における免疫学的な測定方法およびそのためのキットにつ いてさらに具体的に説明する。
前記した方法 I、 方法 Πおよび方法 ΠΙにおいて、 測定に使用される検 査試料としては、 ォステオカルシンのプロペプチド、 プロォステオカル シン或いはこれらの両方を含有しているかまたは含有していることが予 測される試料であればよく、 例えばヒト或いは動物の体液であるが、一 般には体液たとえば血清、 血漿、 尿または骨由来の組織たとえば骨芽細 胞、 骨細胞の培養液或いは培養層そのものであるのが好ましい。 特に血 清が最もよく利用される。 さらに遺伝子組み換え技術によって得られた 前記プロべプチド、 プロォステオカルシンを含有する培養液或いはその 処理物であってもよい。
前記方法 Iにおいて、 不溶性担体に結合した抗体 (第 1抗体) および 標識化した抗体 (第 2抗体) として、 ォステオカルシンのプロペプチド を特異的に認識する抗体が使用される。 この場合 (i)該第 1抗体およ び該第 2抗体がいずれもォステオカルシンのプロべプチドを特異的に認 識するポリクローナル抗体 (a p— 26) であるか、 (ii)
該第 1抗体及び該第 2抗体のいずれか一方がォステオカルシンのプロ ペプチドを特異的に認識するポリクローナル抗体 (ap— 26) であり、 他方が、 ォステオカルシンのプロべプチドのァミノ酸配列の 14位から 26位を特異的に認識するポリクローナル抗体 (apC— 13) または モノクローナル抗体であるのが好ましい。
—方前記方法 Πにおいて、 第 1抗体または第 2抗体のいずれかの抗体 として使用されるォステオカルシンのプロぺプチドを特異的に認識する 抗体としては、 ポリクローナル抗体 (ap— 26、 a pN— 13または a p C- 13) を使用するのが好ましく、 特に a p— 26または a p C 一 13が好ましい。 この方法 Πにおいて使用されるォステオカルシンを 特異的に認識する抗体としてはポリクローナル抗体であるか或いはォス テオカルシンの N末端 20個のアミノ酸配列領域または C末端の 14個 のァミノ酸配列領域を特異的に認識するポリクローナル抗体またはモノ クローナル抗体であるのが好ましい。 後者の 2つのポリクローナル抗体 は PCT出願 (PC TZJ P90 00155) の実施例 1および 2に 記載された方法によって調製することができる。
前記方法 Iおよび方法 πは、 通常サンドイッチ法と称される免疫学的 な測定方法であり、 第 1抗体および第 2抗体として前述した抗体を選択 する以外、 それ自体公知の方法を使用することができる。 例えば「酵素
免疫測定法」 [第 2版、 石川栄治他著、 医学書院 (1 9 8 2 ) ] に記載 されている方法が挙げられる。
以下、 検査試料中に含まれる抗原が、 ヒト ·ォステオカルシンのプロ ペプチドである場合 (方法 I ) について説明するが、 方法 Πについても 方法自体は同様であるので詳細は省略する。
サンドイッチ法による免疫学的な測定法では、 ヒト ·ォステオカルシ ンのプロペプチドに対する一方の抗体 (第 1抗体) を適当な不溶性担体 (例えばプラスチック容器) に固定化する (以下これを "固相抗体" と いう) 。 ついで必要な場合には不溶性担体と測定しょうとする試薬又は 検査試料との非特異的結合を避けるために適当な物質 (例えば牛血清ァ ルブミン) で不溶性担体の表面を被覆する。
このようにして得られた第 1抗体が固定化された不溶性担体を検査試 料と一定時間及び温度で接触させ反応させる。 この間に固相抗体 (第 1 抗体) と検査試料中のヒト ·ォステオカルシンのプロべプチドを含む抗 原が結合する。 ついで適当な洗浄液で洗った後、 適当な標識物質 (例え ば酵素) で標識したヒト ·ォステオカルシンのプロぺプチドに対する他 方の抗体 (第 2抗体) の溶液 (例えば水溶液) を、 不溶性担体における 固相抗体に結合したヒ ト ·ォステオカルシンのプロべプチドと一定時間 及び温度で接触させて、 第 2抗体と反応させる。 これを適当な洗浄液で 洗い、 次いで不溶性担体上の固相抗体とヒト ·ォステオカルシンのプロ ぺプチドを介して結合して存在する第 2抗体に標識された標識物質の量 を測定する。
なお上記反応は、 固相抗体、 標識抗体及びヒ ト ·ォステオカルシンの プロべプチドを含有する検査試料を同時に混合し、 一定時間及び温度で
これら三者を同時に接触させて反応させることもできる。
かくしてその値から検査試料中のヒト ·ォステオカルシンのプロぺプ チドの量を算出することができる。
また方法 Πの競合法においては、 不溶性担体における固相抗体または 何らかの方法 (例えば 2次抗体、 架橋剤などの使用) より不溶化させう る抗体を用いて、 抗原であるプロペプチドをラベル標識し、 検査試料中 のプロペプチドと競合させる方法を行なうことができる。 '
なお、 本発明において、 純品のプロペプチドをヒト血清検体に加えた 際、 異常高値の回収率が得られる場合があった (400〜 800%) 。 この理由を検討すると、 プロべプチドと血清タンパクとの強い相互作用 がこの結果をもたらすことが判明した。 すなわち、 より認識されやすい 構成に変化するものと思われる。 そのため、 標準物質に動物血清を 2〜 30%の範囲で加えることも、 定量性の高いヒト ·ォステオカルシンの プロべプチドの測定法とするために好ましい態様である。
本発明のサンドイッチ法 (方法 Iおよび方法 Π) においては抗体とし ては I gGに限らずペプシンで消化して得られた F(a b')2 や、 F(a b')2 を還元して得られた F a b'、 あるいは抗体をパパインで消化し て得られた F a bなどの、 抗原に結合する抗体フラグメントを固相抗体、 また、 これらに標識物質を結合させて得られる標識抗体として使用する ことができる。 例えば、 標識抗体としては F(ab')2 が好ましい。
本発明のヒト ·ォステオカルシンのプロぺプチドの免疫学的な測定方 法等に使用される不溶性担体としては、 例えばポリスチレン、 ポリェチ レン、 ポリプロピレン、 ポリエステル、 ポリアクリロニトリル、 弗素樹 脂、 架橋デキストラン、 ポリサッカライドなどの高分子、 その他紙、 ガ
ラス、 金属、 ァガロース及びこれらの組合せなどを例示することができ る。
また不溶性担体の形状としては、 例えばトレィ状、 球状、 繊維状、 棒 状、 盤状、 容器状、 セル、 試験管などの種々の形状であることができる。 本発明者らの研究によれば、 本発明による前記した検査試料中のヒト · ォステオカルシンのプロべプチドの測定方法において、 不溶性担体とし てその表面が鏡面化された平滑性のものを使用すると粗面の担体に比べ て該担体に対する検査試料中のタンパクあるいは標識抗体などの非特異 的吸着反応が抑制され測定感度が向上しかつ安定性も増すことがわかつ 従来、 免疫学的な測定法において測定感度を高めるために、 不溶性担 体としては、 一般的にはむしろその表面を研磨して粗面化し、 表面積を 多くしたものが使用されていた。 しかしながら、 ヒト ·ォステオカルシ ンのプロべプチドの如き検査試料中に極く微量しか含まれていない場合 には表面の平滑性が増えるに従って、 非特異的吸着が抑えられ、 測定感 度が増加するのである。
かくて不溶性担体は、 その表面の中心線平均粗さ (R a ) が 1 . 5 m 以下の鏡面化された平滑表面を有するものが有利である。
中心線平均粗さ (R a ) は、 粗さ曲線からその中心線の方向に測定長 さリットルの部分を抜取り、 この抜取り部分の中心線を X軸、 縦倍率の 方向を Y軸とし、 粗さ曲線を y = f ( X ) で表わしたとき、 次式で与え られる R aの値をミク口ン単位で表わした値を意味する。 1 , £
R a = —— I f ( x ) I d x
n J o
この中心線平均粗さ (R a) については、 J I S B0601— 19 82 (日本) 、 ANS I B46.1-1979 (USA) 及び R 46 8-1966 (I SO) に説明されている。
なお以下の本発明の実施例では、 不溶性担体は東京精密 (株) 製の表 面粗さ計サ一フコムを用いて表面粗さを測定した。
前記平滑な表面を有する不溶性担体の材質及び形状は特に制限されず、 前記に説明したものが示される。 特に好ましい例としてはポリスチレン ビーズが挙げられる。
また、 第 2抗体 (標識抗体) の標識物質としては、 酵素、 蛍光物質、 発光物質及び放射性物質等を使用するのが有利である。 酵素としては、 ペルォキシダ一ゼ (HRP) 、 アルカリフォスファターゼ、 /S— D—ガ ラク トシダーゼ、 蛍光物質としてはフルォレツセインイソチオシァネ一 ト、 フィコピリプロテイン等、 発光物質としてはイソルシノール、 ルシ ゲニン等、 そして放射性物質としては 125 I、 131 I、 14C、 3H等を用 いることができるが、 これらは例示したものに限らず、 免疫学的測定法 に使用し得るものであれば、 他のものでも使用できる。
標識物質が酵素である場合には、 その活性を測定するために基質、 必 要により発色剤が用いられる。
酵素としてペルォキシダーゼを用いる場合には、 基質として H202を 用い、 発色剤として 2, 2 '—アジノジ一 [3—ェチルベンズチアゾリン スルホン酸] アンモニゥム塩 (ABTS) 、 5—ァミノサリチル酸、 0 一フエ二レンジァミン、 4一ァミノアンチピリン、 3, 3', 5, 5'—テ トラメチルベンジジン等、 酵素にアル力リフォスファターゼを用いる場 合は基質として 0—二トロフエニルフォスフエ一ト等、 酵素に — D—
ガラク トシダ一ゼを用いる場合は基質としてフルォレセインージー (;5 — D—ガラク トビラノシド) 、 4—メチルゥンベリフェリル一 3— D— ガラク トビラノシド等を用いることができる。
前記した方法 Iおよび方法 Πの免疫学的な測定方法のために使用され るキットは、 前記した第 1抗体 (固相抗体) および第 2抗体 (標識抗 体) の組合せを基本として構成される。
かく してォステオカルシンのプロべプチドまたはプロォステオカルシ ンの免疫学的な測定のためのキットは
(a) 固相抗体 (第 1抗体)
(b) 標識抗体 (第 2抗体)
(c) 溶解剤、
(d) 洗浄剤
(e) 標準物質および
(f ) 酵素で標識化された標識抗体を使用する場合には、 酵素活性を 測定するための基質及び反応停止剤、
を組合せてなり、 前記 (a) の第 1抗体及び (b) の第 2抗体は、 前述 した方法 Iおよび方法 Πのそれぞれから選択される。
また本発明による前記免疫学的測定用のキットにおいて (c) 溶解剤 としては、 免疫学的測定に通常使用されるものであればよく、 例えばリ ン酸緩衝液、 トリス塩酸緩衝液、 酢酸緩衝液などを含んだ PHが 6.0〜 8.0の範囲のものが好適な例として示される。 さらに (d) 洗浄剤と しては、 同様に免疫学的測定に一般的に使用されているものがそのまま 使用される。 その例としては、 生理食塩水、 リン酸緩衝液、 トリス塩酸 緩衝液及びこれらの混合液が挙げられる。 これらの洗浄剤にはさらにト
リ トン X 1 0 0、 T w e e n 2 0または B r i g 3 5の如き非イオン系 界面活性剤、 ドデシル硫酸ナトリゥムの如きイオン系界面活性剤を加え られてもよい。
本発明の方法 mによれば、 検査試料中のォステオカルシンのプロぺプ チドおよびプロォステオカルシンの合計量が高感度で測定される。 この 方法 ΠΙは、 通常競合法と称される方法であり、 方法自体は公知である。 本発明の方法 fflで使用される抗体はォステオカルシンのプロべプチドを 特異的に認識する抗体であり、 前記方法 Iおよび方法 Πで説明したもの を使用することができる。 具体的な好ましい抗体としてはポリクローナ ル抗体 (a p— 2 6 ) またはォステオカルシンのプロペプチドのァミノ 酸配列 1位〜 1 3位を特異的に認識するポリクローナル抗体 (a p N— 1 3 ) である。
この方法 ΠΙにおいて、 抗体を標識化する際に使用される標識物質とし ては、 前記した方法 Iおよび方法 nで説明したものが同じように使用さ れる。
ォステオカルシンのプロべプチドおよびプロォステオカルシンは、 い ずれもヒトまたは動物種によってそのアミノ酸配列は必ずしも同じでは ない。 従って本発明の前記方法 I、 方法 IIおよび方法 fflは、 それらのた めのキットを含めて、 検査しょうとするヒトまたは動物種によって、 使 用する抗体が選択される。 すなわち、 検査すべきヒトまたは動物種のそ れぞれに対応したォステオカルシンのプロべプチドおよびプロォステオ カルシンに特異的な抗体が使用される。 具体的にはヒトの検査試料には ヒトのプロべプチドまたはヒ 卜のプロォステオカルシンに対する抗体が 使用される。 本発明の免疫学的な測定は、 ヒトまたは動物 (特にラット、
マウスまたは犬) に対して有利に適用される。
本発明者らの研究によれば、 本発明によ 免疫測定法において、 標準 物質中に動物血清、 特にゥマの血清を添加すると、 一層測定感度が向上 することが認められた。 また、 本発明の免疫測定法において免疫反応を 常温以下、 好ましくは約 15° 以下、 特に約 10て以下の温度で行なう とより好ましい結果が得られることがわかった。
以下、 実施例により本発明を詳述するが、 本発明はこれら実施例に限 定されるものではない。 実施例中の%は重量%を意味する。
実施例 1
抗体の取得;
(1)抗原の作成
(ァ) ヒ ト ,ォステオカルシンのプロペプチドの合成
前記式 [I] に示す、 ヒト,ォステオカルシンのプロペプチドを合成 した。 合成については、 ΑΒ Ι社、 ペプチド合成機を用いた。 ペプチド の名称を P r oOs t— 26とした。
(ィ) 抗原 (P r oOs t— 26) とキャリア蛋白との結合体の作成 キーホール リンぺット へキシァニン (KLH) をキャリア蛋白とし、 KLHと P r oOs t - 26および水溶性カルボジィミ ドを用いた KL H-P r oO s t— 26結合体を作成した。 3時間反応後、 透析し得ら れた生成物を抗原として用いた。
(2) 抗体の作成
KLH-P r o 0 s t - 26結合体をフロイント完全アジュバン卜に よりェマルジヨンを作成し、 家兎を 2週間おきに免疫した。 2回目以降 は、 フロイント不完全アジュバントを用いた。 抗体価の上昇を確認し、
全採血を行ない抗血清を E yらの方法 (P. L. Ey et al, Immunochemist ry, 15, 429, 436 (1978) ) により精製した。 すなわち、 0.1Mリン 酸緩衝液 (PH8.0) で平衡化したプロテイン A—セファロースカラム (ゲル容量 5 ) に、 抗血清 を流し、 洗浄後 0.1Mクェン酸ナト リウム (PH3. 0) 緩衝液を用いて、 カラムから I gGを精製して抗 P r 00 s t -26抗体を得た。
実施例 2
サンドイッチ法 E I Aによるヒト ·ォステオカルシンのプロぺプチド の測定;
(1) 抗体固定化ビーズの調製
鏡面のポリスチレン製ビーズ (直径 6mm) をよく洗浄してから、 実施 例 1で得た抗 P r o 0 s t— 26抗体の 2 の濃度を有する P B
S溶液中に 4での温度で 1昼夜放置した後、 PB Sで洗浄し、 1%牛血 清アルブミン (B SA) の PBS溶液中に、 4°Cの温度で 1昼夜放置し てボストコ一ティング処理をして、 抗 P r 00 s t— 26抗体固定化ビ ーズを得た。
(2) HRP標識抗体の調製
抗 P r oO s t— 26抗体の 2.0 の P B S溶液 1 に、 1 M の^酸緩衝液 (PH4.2) 100/ίβと、 40 /^のペプシンを 20«βの同 緩衝液に溶解して加え、 37°C、 4時間反応させた。
反応終了後、 P B Sにて平衡化したセフアデックス G 25カラム 2cmx 45 cm) を用いて分離し F ( a b ' )
2 を採取した。 F(a b')
2 の 1 mg/mS. 0.01Mリン酸 0.15M Na C l (
PH 7.4 ) 溶液 に、 MB S 1
チルホルムアミ ド溶液 を添加し、
25 °Cの温度で 30分間反応させた。 次いでセラデックス G— 25を充 填したカラムを用い、 0.1Mリン酸緩衝液 (0.1M PB) (pH6.0) でゲル濾過を行い、 マレイミ ド化抗体と未反応 MB Sとを分離した。 一方、 HRPの 1 OmgZr^の 0.1M PB (
PH6.5) 溶液 2η>βに S 一ァセチルメルカプト無水コハク酸の 6
ジメチルホルムアミ ド 溶液 12 を加え、 25 °Cで 2時間反応させた。
次に 0.1Mトリス一塩酸緩衝液 (PH7.0) を 800^、 0.1M E DTA 160 、 1Mヒ ドロキシルァミン 1.6>^を加え、 0°Cで 4分 間反応させた。 その後、 反応液をコロジオンバッグに入れ、 0.1M P B (pH6.0) 、 5mM E D T A含有溶液を用いて、 4°Cで 3日間透析 し、 チオール化 HRPを得た。
次に、 マレイミ ド化抗体 2mgとチオール化 HRP 4mgとを混合し、 コロジオンバッグを用いて氷冷下に 4〜1 Omg/ の蛋白濃度になるま で濃縮し、 15〜20°Cで一夜放置した。 その液を、 ウルトロゲル Ac A44 (LKB社) を充填したカラムでゲル濾過し、 HRP標識抗 P r oO s t—26抗体 F(ab')2 を得た。 同様にして HRP標識抗 P r oOs t— 26抗体 I gGも得た。
(3) サンドイッチ E I A測定系
(1)で調製した抗? r oO s t— 26抗体 F(a b')
2 固定化ビーズ 1個と、 精製したヒ 卜 ·ォステオカルシンのプロべプチド (標準物質) を 0〜2 OngZm の範囲で含有する 1 %B S A含有 0.05M TBS (PH8.0) 200«δと (2) で作成した HRP標識抗体の 1%Β S A 含有 0.05M TBS (PH8.0) 溶液 20 とを、 各試験管に添加 して、 4 °Cの温度で 16時間インキュベートした。 次に試験管内の溶液
を吸引除去した後、 0. 05M TB S (PH8. 0) で洗浄してから、 3, 3', 5, 5'—テトラメチルベンジジン塩酸塩 0. 0 2%及び11
20
2 2. 5mMを含有する 0.1Mリン酸 Zクェン酸緩衝液 (PH4.3) を 0.4 ずつ各試験管に加え、 2 5°Cの温度で 3 0分間反応させた後、 反応停 止剤として 1 N硫酸水溶液を ずつ加えて酵素反応を停止させた。 次 いで、 この溶液を分光光度計を用いて 45 Onmの波長における吸収強度 を測定した。 これを標準物質濃度 0〜 20 ngZm こ対応してプロットし た検量線を図 1に示した。 この結果から、 本発明の測定方法を用いれば
で精度よく測定可能であることがわかる。
また、 111 ?標識抗? 1" 008 t— 26抗体 F(a b')2 と同 I gG を各々用いて測定系を構成し、 標準物質濃度 [0〜6ngZn>幻 に対応し てプロットすることにより NZS比を算出した。 結果を表 1に示した。
実施例 3
患者検体中のプロべプチドを測定するにあたって、 本発明の方法が定 量的な測定系であるか否かを検討するために、 標準物質 (合成プロぺプ チド) の血清添加回収試験を行った。 その結果を表 2に示す。 その結果、 回収率が 400〜800%と非常に大きな結果となった。 その理由とし て、 標準物質に用いている合成プロペプチドの assay buffer 内の構造
と、 実際のヒ ト血清中のプロペプチドの構造が異なることが示唆され、 同時に、 そのプロペプチドは、 ヒ ト血清の何らかの成分と interaction により抗体に認識されやすい構造になることが推定される。 そこで、 標 準物質の中に、 交叉反応性のある物質を含まない血清を加えることによ り、 回収率が 8 0〜1 2 0 %と大巾に改善された結果を得た。 その結果 を表 3に示す。
表 2 ( a )
検体 1 正常成人
検体 2 正常小児 検 体 検体 添加量 実測値 回収量 回収率
希 釈 (ng/ mi) (ng/m^) (ng/m^) (ng/m^) (¾)
0. 185 1. 300 1. 010 546
X 4 0. 290
0. 830 3. 850 3. 560 429
0. 185 1. 220 1. 070 578
8 0. 150
0. 830 4. 900 4. 750 572
0. 185 0. 980 0. 901 487
X 16 0. 079
0. 830 4. 900 4. 821 581
表 3 ( a )
検体 1 正常成人
検体 2 正常小児
患者検体中のヒト ·ォステオカルシンのプロぺプチドの測定; 実施例 2の測定方法により、 各種患者血液検体 (小児、 成人) を測定 した。 結果を図 2に示した。 図のごとく、 小児の骨形成不全、 甲状腺機
能亢進症、 思春期早発症にて高値を示し、 糖尿病、 原因不明の低身長の —部および軟骨異栄養症で低値を示した。
なお、 健常成人においては、 高値の検体は認められなかった。
実施例 5
ヒト ·ォステオカルシンの N末端 20残基に対する抗体 (C 1 0 n— 12F) (PCT/J P 90Z00155号を参照のこと) を固相化し たものと、 実施例 2において作成した HRP標識抗 0 s t P r o-26 抗体 (F(a b')2 ) を用いて実施例 2の方法に準じてサンドイッチ法 による免疫学的測定を行った。
この際、 標準物質としては、 特願平 2— 159909号に記載された 方法に従って作成した形質転換体 XL 1— B l u e F [pKOC 28] により得られた融合蛋白を用いた。 その結果得られた検量線を図 3に示 す。
図 3から高感度な測定系が得られたことが判る。
実施例 6
モノクローナル抗体の調製
ヒト ·ォステオカルシンのプロべプチド C末端 13残基のぺプチドを 合成し、 このペプチドの KLHコンジュゲートを作成し、 このコンジュ ゲートを Balb/X mouse に免疫した。 ケラーおよびミルシュタインの 方法に従って、 抗体産生クローンとしてハイプリ ドーマ 3 F 9および 4 E 12を得た。 これらハイプリ ドーマが産生するモノクローナル抗体を それぞれ M— 3 F 9および M— 4E 12と称する。 これらモノクローナ ル抗体のサブクラスはいずれも I gG lであった。
測定系の調製
固相抗体として M— 3 F 9または M— 4 E 12を使用し、 また標識抗 体として実施例 1の (2) で得られたポリクローナル抗体を使用し、 実 施例 2に記載した方法で測定系を調製した。 この測定系を用いて実施例 2の (3) に記載した方法と同様にしてヒト ·ォステオカルシンのプロ ペプチドを測定した。 その結果を図 4に示す。 この図 4からモノクロ一 ナル抗体とポリクローナル抗体の組合せによっても高感度でヒト ·ォス テオカルシンのプロべプチドを測定できることが理解できる。'
実施例 7
ポリクローナル抗体の調製
ヒト ·ォステオカルシンのプロべプチドの C末端 13残基 (p C— 1 3) を合成し、 実施例 1記載と同様の方法に従って、 ポリクロ一ナル抗 体 (a p C— 13) を得た。
測定系の調製
実施例 2の方法と同様にして下記 2種の測定系を調製した。
固相抗体 標識抗体
(i) a p-26 a p-26
(ii) a p C- 13 a p -26
a p— 26抗体は実施例 1のものを使用した。
これら測定系を使用して、 実施例 2の (3) に記載した方法と同様に してヒト 'ォステオカルシンのプロべプチドを測定した。 その結果を図 5に示す。 この図 5からも本発明の方法によれば、 高感度でヒト ·ォス テオカルシンのプロべプチドが測定できることがわかる。
実施例 8
実施例 1の (2) で得られた抗体 (ap— 26) を I 125を用いて放
射能標識した。 その比較性は 153万 cpm zgであった。 標識抗体 1万 cpmと、 ヒト ·ォステオカルシンのプロべプチドまたはプロォステオ力 ノレシンを、 濃度 0.012、 0.05、 0.2、 0.8、 3.2ng m 加え 1時間、 37°Cでィンキュベートしたその後反応液を抗体 a p— 26の 固定した固相に反応させた (1時間、 37°C) 。 PBSにて 3回洗浄後、 固相 a p— 26に結合した I 125標識 a p— 26量をカウントした。 そ の結果を図 6に示す。
図 6において、 プロォステオカルシンの濃度は、 プロペプチドの量に 換算した値である。 図 6の縦軸は BZBo (B oは加えた I 125標識 a p— 26全量; Bは、 プロべプチドまたはプロォステオカルシンを加え たときに、 固相に結合した I 125標識 ap— 26量である。 ) である。 この図 6より、 プロぺプチドとプロォステオカルシン同等に認識されて いることがわかる。
実施例 9
固相抗体として、 抗体 a p— 26を固定化したものを用いた。 実施例 3 (B) (1) で調製した、 抗体 a p— 26固定化ビーズ 1個と、 精製 したヒト ·ォステオカルシンを 0〜2 OngZ の範囲で含有する 1%B S A含有 0.05M TBS (pH8.0) 200 ^と、 PCT出願 (PC T/J P 90/00155) の実施例 1に記載されたポリクローナル抗 体 (N20) 、 実施例 2に記載されたポリクローナル抗体 (C 7) を H RPで標識した抗体の 1%B S A含有 0.05M TBS (PH8.0) 溶 液 20 とをそれぞれの試験管に添加して 4 °Cで 16時間ィンキュベ 一トした。
次に試験管内の溶液を吸引除去した後、 0.05M TBS (pH8.0)
で洗浄してから、 3, 3 ', 5, 5'—テトラメチルベンジン塩酸塩 0.02 ΜΗ2Ο2 2.5 mMを含有する 0.1Mリン酸 クェン酸緩衝液 (pH4. 3) を 0. ずつ各試験管に加え、 37°Cの温度で 30分間反応させ た後、 反応停止剤として 1 N硫酸水溶液を ずつ加えて酵素反応を停 止させた。 次いで、 この溶液を分光光度計を用いて 45 Onmの波長にお ける吸収強度を測定し、 結果を図 7に示す。
図 7の結果は、 本発明によりプロォステオカルシンが高感度で測定し うることを示している。 この図 7の結果により、 ap— 26と aOC— C 7の抗体の組合せが、 a p— 26と aOC— N20.の抗体の組合せよ りも良好な感度を示すことがわかる。
実施例 10 (測定系の特異性の検討)
(a) ; ヒト ·ォステオカルシンのプロペプチド特異性
(b) ; ヒト ·ォステオカルシンのプロォステオカルシン特異性 実施例 2のプロべプチド測定系および実施例 9のプロォステオカルシ ン測定系の方法に準じ、 それぞれの測定系の特異性を調べた。 その結果 を図 8に示した。 すなわち (a) では、 ヒト ·ォステオカルシンのプロ ぺプチド 0— 50, 000 n /m , プロォステオカルシン 0— 5 OngZ
! ^で測定したところ、 プロペプチド特異性があることが判明した。 一方
(b) ではヒ ト ·ォステオカルシンのプロべプチド 0— 50, 000ng Zm 、 プロォステオカルシン 0— 5ngZn ^で測定したところプロォステ ォカルシンのみドース依存性があり、 プロォステオカルシン特異性があ ることが判明した。
実施例 11 (ヒト骨芽細胞からのヒト ·ォステオカルシン分泌モニタリ ング)
腰原らの骨芽細胞 [BBRC, 145, 651〜657 (1987) ] を用い、 96穴にて培養を行ない、 培養上清中ヒ ト ·ォステオカルシン のプロべプチド (P— OC) および完全ヒト ·ォステオカルシン ( I一 OC) の分泌 (24日) の経時変化を調べた。 培養は 10-9M 1.25 (OH)2D3の存在下に行なわれた。 その結果を図 9に示した。 この図 9から培養後 5曰目からプロペプチド (P— OC) の分泌レベルはほぼ —定値以上を示すにもかかわらず、 完全ヒト 'ォステオカルシン (I一 OC) は消失し、 この結果から、 プロペプチドが骨芽細胞の機能を良好 に反映していることが示された。
一方、 培養開始からの細胞層中のカルシウム (Ca) 、 リン (P) お よび完全ヒト ·ォステオカルシンの蓄積をモニターした結果を図 10に 示した。 この図 10は、 培養開始 11日目までに完全ヒト ·ォステオ力 ルシンの急激な上昇を示している。 このことは図 9の完全ヒ卜 ·ォステ ォカルシンの減少が細胞層の蓄積に起因していることを明らかに示して いる。
これらのことから、 プロペプチドは、 ォステオカルシンよりも効果的 な骨芽細胞の活性を反映する可能性が示されていることがわかる。
実施例 12
成長ホルモン欠損小児に、 成長ホルモン (GH) を投与した前後の小 児の血中のヒト ·ォステオカルシンのプロべプチド (P— 0 C) を測定 した。 その測定は実施例 2の方法に従って行なった。 その結果を図 11 および図 12に示した。 図 11は成長ホルモン (GH) 投与前の結果で あり、 プロペプチドの量は小児の身長の伸び (cmZ年) と非常に良い相 関があることを示している。
一方、 図 1 2は成長ホルモン (G H) 投与後におけるプロペプチドの 量の比 (投与前のプロペプチド Z投与後のプロペプチド) を縦軸に、 ま た身長の伸びの比 (投与前の伸び Z投与後の伸び) を横軸にプロットし たところ、 正の相関を示していることがわかる。
このことから、 成長ホルモン投与後のプロペプチドの上昇の割合が、 投与後の身長の伸びの割合と正の関係であることがわかる。 これらの結 果から、 本発明のプロペプチドの測定法は、 小児の骨形成の状態を明確 に示しうるマーカーの測定法を提供することができることが示された。 実施例 1 3 (癌骨転位のモニタリング)
2人の癌骨転移患者 (aおよび b ) を抗癌剤により治療し、 治療開始 後、 治療経過に伴ない、 その患者の血清中のヒト ·ォステオカルシンの プロペプチド (P— O C ) 値を、 実施例 2の方法で測定した。 その結果 を図 1 3に示した。 図 1 3は患者 (a ) および (b ) のいずれも治療開 始後プロォステオカルシンの上昇が認められており、 この例におけるプ ロォステオカルシンの上昇の理由は明確ではないが、 恐らく骨転移の治 療により、 骨近傍の骨芽細胞の癌細胞の侵潤が抗癌剤治療によって防止 され、 その結果、 骨芽細胞の機能が回復し、 それ故血中のプロペプチド の産生が上昇したものと思われる。 このことから本発明方法は抗癌剤の 骨転移治療の効果判定に有用であることが示された。
実施例 1 4 (ラットのォステオカルシンのプロペプチドの測定) 下記ァミノ酸配列を有するラッ卜のォステオカルシンのプロべプチド (The EHBO Journal Vol. 5 No. 8、 1 8 8 5一 1 8 9 0、 1 9 8 6 ) を合成した。
H2N Lys-Pro-Ser-Asp-Ser-Glu-Ser-Asp-Lys-Ala-Phe-Met-Ser-
Lys_Gln- Glu- Gly-Ser- Lys-Val- Val-Asn-Arg- Leu-Arg- Arg-COOH このプロペプチドを実施例 1 ( 2 ) と同様にして家兎に免疫し、 この プロべプチドに対するポリクロ一ナル抗体を得た。 得られたポリクロー ナル抗体を用いて、 実施例 2に記載された同様の方法に従ってサンドィ ツチ測定系を作成した。 この測定系を用いてラット 'ォステオカルシン のプロペプチドの標準曲線を作成した。 その結果を図 1 4に示した。 こ の図 1 4からラット ·ォステオカルシンのプロぺブチドの測定も本発明 により可能であることが判明した。
発明の効果
本発明の免疫学的な測定方法によれば、 検査試料中に微量存在するォ ステオカルシンのプロべプチド、 プロォステオカルシンまたはそれらの 合計量のそれぞれを区別して、 高感度でしかも正確に測定することがで きる。 これらの測定結果は種々の臨床に極めて有意義に利用される。 こ れらの測定結果は、 一般に骨形成の状態を反映しているので、 例えばヒ 卜の臨床の場合について説明すると、 小児骨形成の指標、 成人 D治療、 骨転移治療、 骨芽細胞活性能の測定、 癌骨転移治療効果の判定などに利 用される。
殊にォステオカルシンのプロべプチドの測定結果は、 骨代謝における 骨形成の状態の診断に極めて有利に利用される。 このプロべプチドを高 感度且つ正確に測定する手段は本発明によって初めて提供されたもので あ 。