明 細 書 炭酸ジエステルの製造方法 技術分野
この発明は、 炭酸ジヱステルの製造方法に関し、 より詳し く は、 一酸化炭素と亜硝酸エステルとから炭酸ジエステルを 選択的に、 かつ、 安定して製造する方法に閔する。
炭酸ジエステルは、 医薬、 農薬等の有機合成原料と して、 また、 ポリ カーボネー トやウ レタ ン等の製造のための中間体 と してきわめて有用な化合物である。 冃 ϊ¾
炭酸ジエステルの製造方法と しては、 ホスゲン とアルコ一 ルとを反応させる方法が非常に古く から実施されているが、 ホスゲンは毒性が極めて強 く 、 また、 ホスゲ ン とアルコ一ル との反応で塩酸が副生するため装置材質上に問題がある こ と など、 ホスゲンを使用しない製造法が望まれていた。
このこ とからホスゲンを使用しない製造法と して、 アルコ ールと一酸化炭素より炭酸ジエステルを合成する方法等が各 方面で研究され、 提案されている (例えば、 特開昭 60 - 75447 号公報、 特開昭 63 - 72650号公報、、 特開昭 63 - 38010号公報、 — 87 Z 7601号明細書などを参照) 。 これらは、 ハ ロゲ ン化銅. ハ口ゲン化パラ ジウム等を触媒と して用い .. ァルコ一ルと一 酸化炭素との酸素酸化反応によ り液相中で炭酸ジェ ステルを
合成する方法であるが、 二酸化炭素が副生するために一酸化 炭素基準の炭酸ジエステルの選択率が低く、 また水の生成に より炭酸ジエステルの精製にも手間がかかるという欠点があ る。 さらに、 これらの特許に開示されている方法により炭酸 ジエステルの製造を行う場合は、 生成物と触媒とを分離する 工程が必要であり、 必ずしも産業上有利な方法であるとは言 えない。
そこで、 その改良法として、 例えば、 亜硝酸エステルと一 酸化炭素を、 白金族金属もしく はその化合物を担体に担持し た固体触媒および一酸化炭素当たり 0 2 として 1 0 モル%以 上の酸化剤の存在下、 気相で反応させることからなる炭酸ジ ェステルの製造法が、 特開昭 60— 181051号公報に提案されて いる。
しかしながら、 この方法は、 シユウ酸ジエステルの副生を 抑えるために、 一酸化炭素に対して上記のような割合で酸素 等の酸化剤を共存させているにもかかわらず、 かなりの量の シユウ酸ジエステルが副生しており、 炭酸ジエステルの選択 率が低いと共に、 反応速度も十分ではない。 また、 反応に供 される 『亜硝酸エステル、 一酸化炭素、 アルコール、 酸素等 から成る混合ガス』 中における亜硝酸エステルの使用範囲が 爆発限界を越えており、 安全上からも問題があるなど、 工業 的には必ずしも満足できる方法ではない。
亜硝酸エステルを使用する従来の炭酸ジエステルの製造方 法は、 前述したように、 一酸化炭素と亜硝酸エステルとの反 応速度が十分ではな く、 また、 炭酸ジエステルの選択率も低
いため、 生成した炭酸ジエステルの精製処理が煩雑になると いう欠点があつたのである。 さ らには、 反応系における亜硝 酸エステルの使用濃度範囲が爆発限界を越えており、 操作上 危険を伴う という問題もあったのである。
そこで、 この発明の目的は、 反応生成物の分離回収が容易 な気相法により、 温和な反応条件下に、 炭酸ジエステルを高 選択率、 高収率、 かつ、 安定に製造し得る工業的に好適な炭 酸ジエステルの製造法を提供することにある。 特に、 実用的 な固定床気相法プロセスにおいては、 触媒活性が長期にわた つて安定していることが重要であり、 この発明は、 そのよう な要望に添った炭酸ジエステルの製造法を提供しょう とする ものである。 発明の開示
本発明の発明者らは、 従来公知の炭酸ジエステルの製造法 における前述したような問題点を克服すベく、 亜硝酸エステ ル使用による炭酸ジエステルの合成反応について鋭意検討し、 特に一酸化炭素と亜硝酸エステルとの気相接触反応によつて、 炭酸ジエステルを製造する際の触媒について検討し、 温和な 反応条件下にきわめて高収率で炭酸ジヱステルを製造するこ とのできる固体触媒の開発に成功し、 この発明を完成させた。 すなわち、 本発明に係る炭酸ジエステルの製造方法は、 一 酸化炭素と亜硝酸ヱステルとを、 下記触媒成分 :
( a ) 白金族金属およびその化合物から選ばれた少な く と も 1種と、
( ) 鉄、 銅、 ビスマス、 コ ノ ル ト、 ニ ッケルおよび錫か らなる群から選ばれた少なく とも 1種の金属の化合物と、 および
( c ) バナジウム化合物、 モ リ ブデン化合物、 タ ングステ ン化合物、 硫酸、 および燐酸からなる群から選ばれた少なく とも 1種
を担体に担持させた固体触媒の存在下に、 気相接触反応させ ることを特徴とするものである。 発明を実施するための最良の形態
本発明方法において使用される亜硝酸エステルは、 亜硝酸 ' メ チル、 亜硝酸ェチル、 亜硝酸 n - (または i — ) プロビル、 亜硝酸 n— (または i 一) プチル、 亜硝酸 s e c —ブチル等 の炭素数 1 〜 4個の低級脂肪族一価アルコールの亜硝酸エス テル、 亜硝酸シク ロへキ シル等の脂環式アルコ一ルの亜硝酸 エステル、 亜硝酸ベンジル、 亜硝酸フヱニルェチル等のアル アルキルアルコールの亜硝酸エステルなどから選ぶこ とがで きるが、 特に炭素数 1〜 4個の低級脂肪族一価アルコ一ルの 亜硝酸エステルを用いることが好ましく、 その中でも亜硝酸 チルおよび亜硝酸ェチルが最も好ましい。
また、 本発明方法において用いられる固体触媒は、 ( a ) 例えばパラ ジウム、 白金、 イ リ ジウム、 ルテニウム、 ロ ジゥ ム等の白金族金属、 または該金属の化合物 (触媒成分 ( a ) ) と、 ( b ) 鉄、 銅、 ビスマス、 コバル ト、 ニ ッケルおよび錫 からなる群から選ばれた少なく とも 1種類の金属の化合物
(触媒成分 ( b ) ) と、 バナ ジウ ム化合物、 モ リ ブデン化合 物、 タ ングステ ン化合物、 硫酸および燐酸からなる群から選 ばれた少な く とも 1種類 (触媒成分 ( c ) ) とを担体に担持 したものである。 より好ま し く は、 前記白金族金属の化合物 からなる触媒成分 ( a ) と、 鉄、 銅、 ビスマス、 コ バル ト、 ニ ッケルおよび錫からなる群から選ばれた少な く とも 1種類 の金属の化合物からなる触媒成分 ( b ) と、 バナ ジウ ム化合 物、 モ リ ブデン化合物、 タ ングステ ン化合物、 硫酸および憐 酸からなる群から選ばれた少な く とも 1種類からなる触媒成 分 ( c ) とを担体に担持したものである。
前記白金族金属の化合物としては、 該金属の塩酸塩、 臭素 酸塩、 沃素酸塩、 弗素酸塩等のハロゲン化合物、 硝酸塩、 硫 酸塩、 燐酸塩、 酢酸塩、 シユウ酸塩、 安息香酸塩などが好適 に挙げられる。
よ り具体的には、 白金族金属化合物として、 塩化パラ ジ ゥ ム、 臭化パラ ジウ ム、 沃化パラ ジウ ム、 弗化パラ ジウ ム、 硝 酸パラ ジウ ム、 硫酸パラ ジウ ム、 烧酸パラ ジウム、 酢酸パラ ジゥ ム、 シ ユ ウ酸パラ ジウ ム、 安息香酸パラ ジウ ム、 塩化白 金、 塩化イ リ ジウ ム、 塩化ルテニウム、 沃化ルテニ ウム . 塩 化ロ ジウ ム、 臭化ロ ジウ ム、 沃化ロ ジウ ム、 硝酸ロ ジウ ム、 硫酸ロ ジウ ム、 酢酸ロ ジウ ムなどが挙げられる。
上記の中でも、 ノ、'ラ ジウ ム、 ルテニウ ムまたは π ジゥ ム Φ ハ ロゲ ン化合物または硫酸塩が特に好ま し く、 さ らに、 塩化 パラ ジウ ムが最も好ま しい。
前記鉄、 銅、 ビスマス、 コ バル ト、 二 ッケル、 および錫の
金属化合物としては、 これら金属の塩化物、 臭化物、 沃化物、 弗化物等のハロゲン化合物、 硝酸塩、 硫酸塩、 憐酸塩、 酢酸 塩などが挙げられるが、 これらの中でも前記金属のハロゲン 化合物または硫酸塩を用いることが好ましい。
また、 前記バナジウム、 モリ ブデン、 タ ングステン等の金 属の化合物としては、これら金属の酸化物、 金属酸、 金属酸塩、 金属酸アンモニゥムなどが挙げられるが、 中でも酸化バナジ ゥム、 酸化モリ ブデン、 酸化タ ングステンのような酸化物、 バナジン酸アンモニゥム、 モリ ブデン酸アンモニゥム、 タ ン ダステン酸ァンモニゥム等の金属酸ァンモニゥムが好適に挙 ;げられる。 , 上述したような金属の化合物を担持する担体としては、 珪 藻土、 活性炭、 シリ コ ンカーバイ ド、 チタニア、 アルミナ、 シリ カアルミナなどが好適に挙げられるが、 活性炭が最も好 ましい担体である。
前記各触媒成分を担体に担持する方法は、 特別なものであ る必要はなく通常実施される方法、 すなわち、 舍浸法 (浸漬 吸着法) 、 混練法、 沈着法、 蒸発乾固法、 共沈法等でよい力 この発明では、 舍浸法または蒸発乾固法により調製されるこ とが簡便であることからして望ましい。 なお、 上記の触媒成 分の担体への担持は、 同時に行ってもまたは逐次に行っても よい。 - そして、 触媒成分 ( a ) と して担体に担持される前記白金 族金属またはその化合物の担持量は、 白金族金属の金属に換 算して担体重量に対し、 通常 0. 1 〜 1 0重量%であることが
好ま し く 、 0. 5 〜 2重量%である こ とがよ り好ま しい。
また、 触媒成分 ( b ) と して、 担体に担持される鉄、 銅、 ビスマス、 コ バル ト、 ニ ッケル、 錫等の金属化合物の担持量 は、 これら金属の量に換算して、 白金族金属に対して 0. 1 〜 5 0 グラム原子当量である こ とが好ま し く 、 1 〜 1 0 グラム 原孑当量である こ とがより好ま しい。
本発明方法において、 触媒成分 ( c ) として担体に担持さ れるバナジウ ム化合物、 モ リ ブデン化合物、 タ ングステ ン化 合物の担持量は、 これら金属の量に換算して白金族金属に対 して 0. 1 〜 2 0 グラム原子当量である こ とが好ま し く 、 0. 5 〜 5 グラム原子当量である こ とがより好ま しい。
本発明方法において、 触媒成分 ( c ) と して担体に担持さ れる硫酸またはリ ン酸の担持量は、 白金族金属に対して 1 〜 1 0 0 グラム分子当量であるこ とが好ま し く 、 2 0 〜 6 0 グ ラ ム分子当量である こ とがより好ま しい。
この発明方法において用いられる触媒成分 ( b ) および ( c ) を上記の量で担体に担持させる こ とによって、. 触媒成 分 ( b ) および Z又は ( c ) を舍まない場合に比較して、 得 られる固体触媒の失活速度が遅く なり、 触媒寿命が大幅に長 く なる のである。 . ¾钵、 ^ ^J. 2ιίノ また、 本発明において、 上記の固体触媒 iま 未、 '粒状の もの、 も し く は成形体が使用されるが、 そのサイ ズについて は、 特に限定されるものではな く 、 粉末の場合は、 通常用い られる 2 0 〜 1 0 0 のもの、 そして粒状の場合は、 4 〜 2 0 0 メ ッ シュ程度の通常用いられる ものが好適である。 ま
た、 固体触媒 形体である場合は、 通常数腿のものが好適に 用いられる。
本発明方法における一酸化炭素と亜硝酸ヱステルの接触反 応は、 非常に温和な条件下で実施可能であることも、 本発明 の一つの特徴である。 例えば、 本発明方法の接触反応は 0〜 2 0 0て、 好ましく は 5 0〜 : L 4 0 'Cの温度で、 常圧で行わ れ得る。 もちろん、 加圧系でも問題なく行う ことができ、 1 〜 2 0 kg/o!Gの圧力および 5 0〜 1 4 O 'Cの温度の範囲で 実施することができる。
本発明方法において、 亜硝酸エステルは、 例えば、 亜硝酸 ソーダ水溶液の硝酸もしく は硫酸分解により、 一酸化窒素 ( O ) および二酸化窒素 ( N 0 Z)の混合ガスを発生させ、 次いで、 この混合ガス中の N 0の一部を分子状酸素で酸化し て N 0 Z と成して、 N OZN Oz = 1 / 1 (容量比) の N 0X ガスを得、 これにアルコールを接触させることにより、 容易 に合成されるものである。 このような亜硝酸ヱステルの合成 工程を考慮すると、 本発明方法における一酸化炭素と亜硝酸 エステルとの接触反応は、 2〜 3 kgノ ciiG程度の若干の加圧 系内で行われることが特に好ま しい。
本発明方法における一酸化炭素と亜硝酸エステルとの反応 は気相において行われ、 この反応はバッチ式、 連続式の何れ で行われてもよい力 、 工業的には連続式の方が有利である。 また、 反応系内における固体触媒の存在態様としては、 固定 床または流動床の何れの反応器を用いる態様であってもよい r 本発明方法において、 原料ガスとして用いられる一酸化炭
素および亜硝酸エステルは、 窒素ガス等の不活性ガスで希釈 され、 前記の反応系にフ ィ ー ドされる こ とが好ま しい。 この 場合、 反応系の組成には、 特に限定はない。 しかし、 安全上 の観点から、 前記不活性ガス雰囲気中における亜硝酸エステ ルの濃度は、 2 0容量%以下である こ とが好ま し く 、 5〜
2 0容量%である こ とがより好ま しい。 それに伴い、 一酸化 炭素の濃度は、 5〜 2 0容量%の範囲にするのが経済的に好 ま しい。 すなわち、 工業的な製造プロセスにおいて、 反応に 供する一酸化炭素、 および亜硝酸エステル等のガスを循環使 用し、 該循環ガスの一部を系外へパージするこ とが好ま しい。 また、 ヮ ンパスの反応における一酸化炭素の転化率が 2 0〜
3 0 %程度であるから、 不活性ガス雰囲気中の一酸化炭素の 濃度を 2 0容量%より高く してもロスが増えるだけであり、 また、 それを 5容量%より低く する と生産性が落ちるなどの 問題がある。 しかし、 この経済性を無視すれば.、 一酸化炭素 の濃度は、 実際には 8 0容量%まで高める こ とが可能である <= つま り、 亜硝酸エステルを、 前記不活性ガスの代わり に一酸 化炭素で希釈した状態でフ イ ー ドするこ とも可能なのである - 従って、 反応系に供される一酸化炭素と亜硝酸エステルの 使用割合は、 亜硝酸エステル 1 モルに対して、 一酸化炭素が、 0. 1〜 1 0 モルである こ とが好ま し く 、 0, 2 5〜 1 モルの範 囲内にある こ とがより好ま しい。
また、 この発明では、 前記反応系にフ ィ一ドされる、 一酸 化炭素および亜硝酸エステルを舍有する供給ガスの空間速度 は、 5 0 0〜 2 0 0 0 0 hr— 1である こ とが好ま し く 、 2 0 0 0
〜 1 5 0 0 O hr— 1であることがより好ましい。
本発明方法において、 前記の亜硝酸エステルが一酸化炭素 と反応したとき、 一酸化窒素 ( N O ) が発生するが、 前記反 応系から排出される反応生成ガスから、 この N Oを面収し、 これを酸素および前記亜硝酸エステルに対応するアルコール と反応させて、 再度亜硝酸エステルに変換せしめ、 循環使用 することが好ましい。
上記のようにして、 反応系から排出される反応生成ガスは、 目的生成物、 すなわち、 炭酸ジエステルの他に、 シユウ酸ジ ェステル等の副生物、 未反応の一酸化炭素および亜硝酸エス テル、 一酸化窒素、 二酸化炭素、 および不活性ガスなどを舍 有している。 この反応生成ガスから炭酸ジエステルを分離精 製するには、 例えば、 この反応生成ガスを冷却してこれを凝 縮し、 一酸化炭素、 亜硝酸エステル、 一酸化窒素、 二酸化炭 素、 不活性ガス等の未凝縮ガスの一部分を、 前述したように. パージしながら、 再度反応系に循環せしめる一方、 上記冷却 により得られた凝縮液から、 例えば蒸留等の常法により、 炭 酸ジエステルを分離精製する。
なお、 原料の亜硝酸エステルは、 前述のように、 通常、 ァ ルコールと窒素酸化物とを、 必要に応じて分子状酸素の存在 下に反応させて調製されるが、 この反応による生成ガス中に は亜硝酸エステルの他に、 未反応のアルコール、 窒素酸化物 (特に一酸化窒素) 、 場合によっては微量の水や酸素が舍ま れている。 本発明方法においては、 このような亜硝酸エス ル舍有ガスを、 亜硝酸エステル源として使用することができ
この場合でも好結果が得られる。 実施例
次に、 実施例および比較例を挙げて、 本発明方法を具体的 に說明する力く、 これらは、 本発明の範囲を何ら限定するもの ではない。
なお、 各実施例および比較例における空時収量 ( S T Y ) Y ( g / £ - hr ) は、 一酸化炭素と亜硝酸エステルの接触反 応時間を (hr) 、 その間に生成した炭酸ジエステルの量を a ( g ) 、 そして反応管への触媒の充塡量を b ( I ) と して- 次式により求められた。
Y = a / ( b X Θ )
また、 各実施例および比較例における固体触媒の活性低下 係数 D a ( hr" 1) は、 当該固体触媒の存在における所定反応 条件下の反応において、 反応初期 (反応を開始してから 2時 間経過後) の空時収量 Y。 ( g / - hr ) と、 反応を開始し てから t時間経過後の空時収量 Y t ( gノ £ · hr ). との間の 関係式 :
Y t = Y o · e X p ( - k t )
力、ら、 k ¾:求め、
下記式に kの値を挿入して求められた。
D a = 1 0 0 X k
実施例 1
〔触媒の製造〕
塩化パラ ジウム ( P d C 1 2) 0. 3 3 g . 塩化第二銅 f C υ
C 1 2 . 2 H z 0 ) 0. 6 5 g、 およびモリ ブデン酸ア ンモニ ゥム 〔 ( N H 4) 6 M 0 7 024 - 4 H z 0〕 0. 8 0 gを、 2 3 重量%ァ ンモニァ水 7 O jffigに 8 0 〜 9 0 Xで加熱溶解させて. 『 P d , C uおよび M 0舍有溶液』 を調製した。 別に、 0. 5 〜 0. 7腿の径の粒状活性炭 ( C ) を 2 8重量%ァ ンモニァ水 に浸漬し、 この混合物中に前記の 『 P d , C uおよび M o舍 有溶液』 を加えて 1時間静置した。 その後減圧下に 8 0 てで 水分を蒸発除去し、 さらに窒素雰囲気中、 2 0 0 てで乾燥し て、 固体触媒を得た。
この固体触媒の組成は、 P d C 1 z- C u C 1 2- ( N H 4) 6 M 0 7 024Z C (活性炭) であり、 触媒中の P d化合物の担 持量は、 P d金属量に換算して担体重量に対して 1重量%で あり、 比 P d : C u : M 0 は、 1 : 2 : 2. 1 (原子比) であ つた。
〔炭酸ジメ チルの合成〕
上記の固体触媒 1. 5 を、 内径 2 ϋ醒の気相反応管 (タ き「 ジャケ ッ ト付) に充塡し、 この反応管を垂直に固定し、 反]^ 管の外側に配置されたジャケ ッ トに熱媒を循環させ、 固体触 媒層の温度が 1 2 0 'Cになるように加熱制御した。
この反応管の上部から、 一酸化窒素、 酸素およびメ タノ ー ルカ、ら合成された亜硝酸メ チルを舍むガスと、 一酸化炭素と の混合ガス、 すなわち、 亜硝酸メ チル : 8容量.%、 一酸化 素 : 8容量%、 一酸化窒素 : 3容量 ¾;、 メ タノ ール' : ί 0 量%および窒素 : 7 1容量%の組成からなる混合ガスを 1 δ,Ο 0 0 hr- 1の空間速度 ( G H S V ) で供給し、 一酸化炭
素と亜硝酸メ チルとを常圧下に反応させた。
次いで、 こ の反応管を通過した反応生成物を、 氷冷された メ タノ ール中を通して捕集した。
得られた捕集液をガスク ロマ トグラ フ ィ ーによつて分析し たとこ ろ、 反応開始 2時間後の炭酸ジメ チルの S T Yは、 4 0 2 g / £ · hrであり、 そして反応開始 7時間後の炭酸ジ メ チルの S T Yは 3 8 1 も / ϋ ' hrであった。 その結果、 固 体触媒の活性低下係数 Da が 1. 1 hr-1である こ とが認められ た。
比較例 1
〔触媒の製造〕
塩化パラ ジウム ( P d C l 2) 0.3 3 g、 および塩化第二銅 ( C u C 1 2 · 2 Η 2 Ο ) 0. 6 4 gを 5 N塩酸 に溶 かし、 これに実施例 1 と同一の粒状活性炭 2 0 gを浸漬した 後、 濾過し水洗したものを 8 0 °Cで減圧乾燥して、 水分を !¾' 去した。 その後、 さ らに窒素雰囲気中、 2 () 0 てで乾燥し .、 固体触媒を製造した。
この触媒の組成は、 P d C l 2- C u C l 2 ./ C (活性炭) であり、 触媒中の P d化合物の担持量は、 P d金属量に換算 して担体重量に対して 1重量%であり、 そ して、 P ci : C υ = 1 : 2 (原子比) であった。
:炭酸ジメ チルの合成〕
上記の触媒を用いた以外は、 実施例 1 と同様にして- 炭酸 ジ チルの合成を行った。
得られた捕集液をガスク ロ マ ト グラ フ ィ ーによ って分圻し
た結果、 炭酸ジメチルの S T Yは、 反応開始 2時間後では 4 δ 5 g / £ · hrであり、 そして反応開始 6時間後では 3 7 4 g / £ ' hrであった。 徒って、 この場合の活性低下係 数 D a は 5. 0 hr— 1であることが認められた。
荬施例 2〜 1 0
実施例 2 〜 1 0の各々において、 下記事項を除き、 実施例 1 と同じ操作が行われた。
〔触媒の製造〕
第 1表に示す触媒組成および触媒成分の金属の原子比を有 する固体触媒が製造された。
〔炭酸ジメ チルの合成〕
上記の触媒が用いられた。 結果を第 1表に示す。
辻較例 2および 3
比較例 2 〜 3 の各々において、 下記事項を除き、 実施例 1 と同じ操作が行われた。
〔触媒の製造〕
第 1表に示す触媒組成および触媒成分の金属の原子比を有 する固体触媒が製造された。
〔炭酸ジメ チルの合成〕
上記の触媒が用いられた。 結果を第 1表に示す。
l —表 実施例 & 触媒成分の金属の 初期活性 活性低 F び比較例 媒 m成 / ίϋ. 休 Y。(g/ 係数 r ' 原子比 i · hr ) (hr ' )
%施例 I CI ? CuCl z N1!,V03/C Pd/Cu/V = 1/2/1 430 1.0 施例 3 PdCl z Ci'SO (Nlし) , ollN. zO"/(: Pd/Cu/W 1/2/1 375 0.8 実施例 4 FdCl z eCl a VOS()-,/TiOz Pd/Fe/V = 1/1/1 383 1.2 実施例 5 1 'i \/ 1, - B i C ]„ - ( H Λ ) , /C Pd/Bi/Mo = 1/5/3 352 0.4
%施例 6 I'd SO,, CoCI ζ· NH4V03 / rイ ソ ゥ土 Pd/Co/V - 1/2/1 325 0.5
7 例 7 RhCl 3 NiCI 2 -NII.,V03/C Rh/Ni/V = 1/2/1 281 0.4 施例 B RuCl SnCl 4- NH4V03/C Ru/Sn/V = 1/2/1 253 1.8 実施例 9 FdCl z -CuGl 2- NH4VO3/C Pd/Cu/V = 1/2/0.5 395 1.5
¾施例 10 PdCl z CuCl z+FeCl 3 NH4V03/C Pd/Cu/Fe/\ ' -= 1/1/1/2 417 0.5 lb較例 2 PdCl 2 uCl 2-Nll4V03/C Pd/Cu/V = 1/2/0.01 410 4.5 比較例 3 PdCl 2 FeCl Nlし V()3/C Pd/Fe/V 1/2/25 85 0.5 備 ¾ : h ^iの に 期活性」 の欄の数侦は、 反応開始 2時間後の炭酸ジエステルの空時収量
Y„ ( / C - hr) を示す。
実施例 1 1 (炭酸ジメ チルの合成)
触媒層内温度を、 1 2 0 'Cに代えて 1 0 0 'Cにしたこと以 外は実施例 1 と同様な方法で、 炭酸ジメ チルの合成反応を行 つた。
反応開始 2時間後の炭酸ジメ チルの S T Yは、 2 8 0 g / £ - hrであった。 また、 活性低下係数 D a は 0. 1 hr— 'であつ た。
荬施例 1 2 (炭酸ジメ チルの合成)
触媒層内温度を、 1 2 0 'Cに代えて 1 4 0 'Cにしたことを 除き、 実施例 1 と同様な方法で、 炭酸ジメ チルの合成反応を 行った。
反応開始 2時間後の炭酸ジメ チルの S T Yは、 7 2 0 g / ί * hrであった。 また、 活性低下係数 D a は 2. 0 hr- 'であつ た。
実施例 1 3 (炭酸ジェチルの合成)
反応管の上部から供給する混合ガスの成分として亜硝酸メ チルに代えて亜硝酸ェチルを用い、 そ してメ タ ノ ールに代え てエタノールの用いたことを除き、 実施例 1 と同様な方法で 炭酸ジェチルの合成反応を行つた。
反応開始 2時間後の炭酸ジェチルの S T Yは、 5 2 0 g / £ - hrであった。 また、 活性低下係数 D a は 1. 2 h r—1であつ 荬施例 1 4 (炭酸ジメ チルの合成)
実施例 1 において調製された固体触媒 8. 5 を、 反応管に 充填したこと、 および、 反応管の上部から、 亜硝酸メ チル :
9容量%、 一酸化炭素 : 9容量%、 一酸化窒素 : 4容量%、 メ タノール : 3容量%および窒素 : Ί 5容量%の組成を有す る混合ガスを 2,5 0 0 hr—1の空間速度 ( G H S V ) で供給し 2. 0 kg./ oiの加圧下に反応させたことを除き、 実施例 1 と同 様な方法で、 炭酸ジメ チルの合成反応を行った。
反応開始 2時間後の炭酸ジメ チルの S T Yは、 2 6 0 gノ ί · hrであり、 そして反応開始 2 2時間後においても 2 6 0 g / £ * hrであった。 従って、 この反応時間中での触媒活性 の低下は認められなかった。
実施例 1 5
〔触媒の製造〕
塩化パラジウム ( P d C 1 2 ) 0. 6 7 gおよび塩化第二銅 ( C u C 1 2 · 2 H 2 0 ) 1. 2 8 gを、 1 N硫酸 1 5 0 に 溶かし (金属パラジウムに対する硫酸の量 : 3 9. 8 グラム 分子当量) 、 この混合物に、 粒状活性炭 4 0 gを浸漬し、 i 時間攪拌後、 口一タ リ一エバポレータで減圧下に水分を除去 し、 さらに窒素雰囲気中、 2 0 0 'Cで乾燥して、 固体触媒を 製造した。
得られた触媒の組成は、 P d C l 2- C u C ] 2 Z Cであり、 触媒中の金属化合物の担持量は、 P d金属量に換算して、 担 体重量に対して 1重量%であり、 そして P d : C u = 1 : 2 (原子比) であつた。
〔炭酸ジメ チルの合成〕
上記の触媒 1. 5 を、 内径 2 0讓の気相反応管 (外部 ャ ケ :, ト付) に充填し、 この反応管を垂直に固定し、 反応管ジ
ャケ ッ トに熱媒を循環させ、 触媒層内の温度を 1 2 0 'Cにな るように加熱制御した。
この反応管の上部から、 一酸化窒素、 酸素およびメ タノ一 ルより合成した亜硝酸メ チルを含むガスと、 一酸化炭素との 混合ガス、 すなわち、 亜硝酸メ チル : 8容量%、 一酸化炭素 8容量%、 一酸化窒素 : 3容量%、 メ タノール : 1 0容量% および窒素 : 7 1容量%の組成を有する混合ガスを、 1 5,0 0 0 hr— 1の空間速度 ( G H S V ) で供給し、 一酸化炭素と、 亜硝酸エステルとを常圧下に反応させた。
次いで、 この反応管を通過した反応生成物を、 氷冷された メタノ一ル中を通して捕集した。
得られた捕集液をガスク ロマ トグラフィ一によつて分析し た結果、 反応開始 2時間後の炭酸ジメチルの S T Yは 4 2 4 g / H * hrであり、 そして反応開始 7時間後の炭酸ジメ チル の S T Yは 4 1 8 g / £ · hrであつた。 その結果、 固体触媒 の活性低下係数 D a が 0. 2 hr— 1であることが認められた。 比較例 4
〔触媒の製造〕
塩化パラジウム ( P d C 1 2) 0. 6 7 g、 および塩化第二銅 ( C u C 1 2 · 2 H 2 0 ) 1. 2 8 g.を、 1 N塩酸 1 5 0 ^に 溶かし、 これに粒状活性炭 4 0 gを浸漬し、 1時間攪拌後. ロータ リーエバポレータで減圧下に水分を除去し、 さ らニ窒 素雰囲気中、 2 0 0 'Cで乾燥し、 触媒を製造した。
得られた触媒の組成は、 P d C 1 2- C u C 1 ∑ / Cであり 触媒中の金属化合物の担持量は、 P d金属量に換算して . 担
体重量に対して 1重量%であり、 そして P d : C υ = 1 : 2 (原子比) であった。
〔炭酸ジメ チルの合成〕
上記の触媒を用いたことを除き、 実施例 1 と同様にして、 炭酸ジメ チルの合成を行った。
得られた捕集液をガスク ロマ トグラフィ一によつて分析し た結果、 炭酸ジメ チルの S T Yは、 反応開始 2時間後では 5 9 0 s / H · 1Ι Γであり、 そして反応開始 6時間後では 4 2 6 g / £ * h rであった。 従って、 この場合の活性低下係数 D a は 5. 4 h r— 1であった。
荬施例 1 6〜 2 0
実施例 1 6〜 2 0 の各々において、 下記事項を除き、 実施 例 1 5 と同じ操作を行った。
〔触媒の製造〕
第 1表に示す酸を用い、 第 1表に示す触媒組成および触媒 成分の金属の原子比を有する固体触媒を製造した。
なお、 この固体触媒中の白金族金属化合物の担持量は、 白 金族金属量に換算して、 担体重量に対して 1. 0重量%であつ た。
〔炭酸ジメ チルの合成〕
上記の触媒を用いた。 結果を第 2表に示す。
bh較例 5〜 8
比較例 5〜 8 において、 下記事項を除き、 それぞれ実施例 3〜 6 と同じ操作を行った。
〔触媒の製造〕
1 N硫酸の代わりに 1 N塩酸を用いて固体触媒を製造した なお、 これらの触媒中の白金族金属化合物の担持量は、 白 金族金属量に換算して、 担体重量に対して 1. 0重量%であつ た。
〔炭酸ジメ チルの合成〕
各比較例において、 上記の触媒をそれぞれ用いた。 結果を 第 2表に示す。
備考 : 上表の 「初期活性」 の欄の数値は、 反応開始 2時間後の炭酸ジエステルの空時収量
Y<, ( g / - hr) を示す。
荬施例 2 1 (炭酸ジメ チルの合成)
触媒層内温度を 1 2 0てに代えて 1 0 0 てにしたことを除 き、 実施例 1 5 と同様な方法で、 炭酸ジメ チルの合成反応を 行った。
反応開始 2時間後の炭酸ジメ チルの S T Yは 2 7 3 gノ £ hrであった。 また、 活性低下係数 D a は 0. 1か であった。 実施例 2 2 (炭酸ジメ チルの合成)
触媒層内温度を、 1 2 0 てに代えて 1 4 0 てにしたことを 除き、 実施例 1 5 と同様な方法で、 炭酸ジメ チルの合成反応 を τつた。
反応開始 2時間後の炭酸ジメ チルの S T Yは 6 1 0 g Z £ hrであった。 また、 活性低下係数 D a は 3. O hr- 1であった。 実施例 2 3 (炭酸ジェチルの合成)
反応管の上部から供給する混合ガスの成分として亜硝酸メ チルに代えて亜硝酸ェチルを用いたこと、 およびメ タノール に代えてエタノールを用いたことを除き、 実施例 1 5 と同様 な方法で、 炭酸ジェチルの合成反応を行った。
反応開始 2時間後の炭酸ジェチルの S T Yは 4 1 0 E / H hrであった。 また、 活性低下係数 D a は 0. 3 hr- 'であった。 実施例 2 4 (炭酸ジメ チルの合成)
実施例 1 5 において調製された触媒 8. 5 を反応管に充塡 したこと、 および、 反応管の上部から、 亜硝酸メ チル : 9容 量%、 一酸化炭素 : 9容量%、 一酸化窒素 : 4容量%、 メ タ ノール : 3容量%および窒素 : 7 5容量%の組成からなる混 合ガスを 2,5 0 0 hr- 1の空間速度 ( G H S V ) で供給し、
2. 0 kg Z oiの加圧下に反応させたことを除き、 実施例 1 5 と 同様な方法で、 炭酸ジメ チルの合成反応を行った。
炭酸ジメ チルの S T Yは、 反応開始 2時間後において 3 8 0 / H . hrであり、 そして反応開始 3 0時間後においても 3 9 0 gノ £ · hrであった。 従って、 この反応時間中での触 媒活性の低下は認められなかった。 産業上の利用可能性
一酸化炭素と亜硝酸エステルとの気相接触反応による従来 公知の炭酸ジヱステルの製法には、 その反応速度において十 分満足できるものではな く、 また、 炭酸ジエステルの選択率 が低く、 反応生成物からの炭酸ジエステルの分離精製操作が 煩雑となるという欠点があり、 さ らに、 反応系における亜硝 酸エステルの使用濃度範囲が爆発限界を越え、 その結果操作 上危険を伴う という問題があった。 これに対して、 本発明方 法においては、 一酸化炭素と亜硝酸エステルとを、 前記特定 触媒成分 ( a ) 、 ( b ) および ( c ) を担体に担持させた固 体触媒の存在下に、 温和な条件下で気相反応させることによ つて、 操作に危険を伴う ことな く、 高選択率、 高収率、 かつ、 安定して炭酸ジエステルを製造することが可能になった。
また、 従来公知の液相法に比べて、 本発明方法は、 気相に おいて実施されるため、 反応生成物から触媒を分離する工程 が不要であり、触媒から金属成分が反応生成物中に溶出するこ ともないため、 反応生成物から炭酸ジェステルを分離精製す ることが容易である。 従って、 本発明に係る炭酸ジエステル
の製造方法は、 工業的規模の生産において、 高い優位性を有 するものである。