明 細 書 レ トロウィルス遺伝子の発現能と翻訳後のプロセッシン グ能とを兼備するプラスミ ドの作製法、 及びこれにより得 られるプラスミ ドとその発現産物。
技術分野
本発明は、 レ トロウイルス遺伝子を発現すると同時に、 翻訳後のプロセッシングをも併せて行うことができる発現 ベクターの作製法、 及び該作製法により得られるプラスミ ドとその発現産物に関するものである。 更に詳しく は、 レ トロウイルスの g a g及び p o l遺伝子を組換え遺伝子技 術を用いて発現させると共に、 その発現産物中のプロテア ーゼにより該発現産物それ自身をプロセッ シングさせ、 g a g遺伝子がコ— ドする 3種のコア蛋白、 即ち、 p 1 7 、 p 2 4及び p 1 5、 並びに p 0 1遺伝子がコードする 3種 の酵素、 即ち、 プロテアーゼ、 逆転写酵素及びイ ンテグラ —ゼを夫々、 個別かつ単独の状態で成熟蛋白質ないしは活 性蛋白質として量産するプラスミ ドの作製法、 及びこれに より得られるプラスミ ドとその発現産物をも提供するもの である。 また、 n e f 遺伝子を多量発現するプラスミ ドと その発現産物である N e f 蛋白をも併せて提供するもので あ 。
背景技術
[レ トロウィルスの定義] レ トロウィルスはウィルス 分類学上、 レ トロウイルス科に属するゥィルスの総称であ り、 その共通の主な特徴は、 エンベロープ、 単鎖 RNA型 ゲノム、 及び逆転写酵素を有することである。 このウィル スは直径 8 0— lOOnraの球形で、 そのゲノムは分子量約 3 X 1 06 の線状の (+ ) 鎖 RNA 2分子からなり、 これ等 の 2分子はィンノ ーティ ッ ドダイマー (inverted dimer) を形成している。 また、 レ トロウイルス科は更に、 次の三 つの亜科、 オンコウィルス亜科、 レンチウィルス亜科、 ス プーマウィルス亜科に分類されている (R.E.F. Matthews 編 「 C 1 as s 1 f 1 cat i on and Nomenclature of Viruses- Fourth Report of the International Committee on Taxonomy of Virusesj 、 124— 128ページ、 S. Karger AG 1982年発行) 。 オンコウィルス亜科に属するウィルス は、 RN A腫瘍ウィルスとも呼ばれ、 例えば、 ヒ ト T細胞 白血病ウィルス、 ネコ白血病ウィルス、 ネズミ肉腫ウィル ス、 モロニ一マウス白血病ウィルス、 ゥシ白血病ウィルス. ブタ白血病ウィルス、 ト リ白血病ウィルス、 トリ肉腫ウイ ルス、 ト リ骨髄芽球症ウィルス、 ラウス関連ウィルス等が 公知である。 また、 レンチウィルス亜科に属するウィルス は、 スローウィルス感染症を生じるウィルスとして知られ
ており、 例えば、 エイズ病原体であるヒ ト免疫不全ウィル ス 1及び 2型 (以下夫々 「H I V— 1」 及び 「H I V— 2」 と略記し、 「エイズウイルス」 と略称する) 、 サル免 疫不全ウィルス、 ヒッジ脳炎を生じるビスナウィルス、 ヒ ッジ肺繊維症を起こすマエディウィルス、 ャギ関節炎脳炎 ウィルス、 ゥマ伝染性貧血ウィルス、 ゥシリンパ節病変ゥ ィルス等が公知である ( "Current Topics in AIDS" 、 第 1巻、 9 5 —117ページ、 John Wiley & Sons 1987年発 AS ; Advances in Virus Researchヽ 第 3 4巻、 189—215 ページ、 1988年) 。 スプーマウィルス亜科に属するウィル スは、 フォーミィウィルスとも呼ばれ、 ヒ ト、 サル、 ゥシ、 ネコ等の哺乳類へ感染し、 これ等の宿主から夫々、 分離さ れたフォーミィウィルス、 シンシチアルウイルス等が公知 である。 尚、 本願発明に係るレ トロウイルスは、 上記レト ロウィルス科に属する既知及び未知の全てのウイルスを意 味するものである。
[レ トロウィルス遺伝子に関する基礎研究の現状] レ トロウイルスは、 ヒ ト及び各種動物の悪性又は致命的 感染症及び人畜共通伝染病の観点から重大なゥィルスであ るだけでなく、 腫瘍の解明や遺伝子工学等の研究用材料と しても有用なウィルスである。 従って、 該ウィルスに関し 既に、 種々の膨大な報告が為されているので、 ここでは便
宜的に、 代表的なレトロウィルスに関する現状を以下に説 明する :周知の通り、 レトロウイルスは 1980年以前には発 癌機構の解明の材料として、 また、 難病を引起こす奇妙な スローウィルス感染症の究明の観点から注目され研究され ていた。 そして、 1981年米国でエイズが発見されて以来、 その治療と予防を世界レベルで確立するための研究材料又 は実験モデルとして、 各種レ トロウィルス間の比較研究が 疫学、 免疫学、 ウィルス学、 分子生物学等を駆使して集中 的に進められ、 現在既に該ウィルスに関する有用な報告が 多数集積されている (Annual Review of Imniunology,第 6 巻、 139— 159, 1988年; Microbial Pathogenesis, 第 5 巻、 149一 157, 1988年; "Virology" , B. N. Fields 等 編、 第 2巻、 1437- 1589ページ、 Raven Press [米国] 1990年発行) 。 これ等のうち、 代表例として、 H I V— 1 の遺伝子に関連の概要につき以下に述べる。 H I V— 1の ゲノムは逆転写酵素及びウィルス粒子内部 (コア) の構造 蛋白質と複合体を形成し、 プライマー t RNAと共にウイ ルス粒子に内在する ; ウィルスゲノムは、 約 1 0種類の遺 伝子で構成されており、 基本的には、 ウィルス増殖に必須 のウィルス粒子成分をコ一ドする 3つの主要な遺伝子、 即 ち、 ウィルス · コアの 3種類の構造蛋白質の前駆物質をコ ― 卜 る g_a g group- specif ic antigens; 遺伝子、 3
種類の酵素の前駆体をコードする p o 1 (polymerase) 遺 伝子、 及びエンベロープの 2種類の糖蛋白質の前駆物質を コー ドする e n V (envelope) 遺伝子からなる ; これ等の 遺伝子は、 5 ' 末端力、ら 1噴に g a g、 p o 1ヽ 6 n v、
3 ' 末端へと配列している ; レンチウィルスの特徴として は、 例えば、 H I Vゲノムの場合には、 g a g · p 0 1 · s 0 r… e n V · n e f の順に隣接配列しており、 該 p o 1遺伝子の 5 ' 末端領域の一部は、 コ ドン解読枠
(reading frame) を異にした状態で g a g遺伝子 3 ' 末 端領域の約 240塩基と重複し、 この重複部で翻訳時にフ レ 一ムシフ ト (frame shift) が起こり終止コ ドンを読み換 えて翻訳が進むと考えられる ; そして、 斯かる重複部を含 む全長約 1.5 k bの g a g遺伝子全領域から分子量 5 5 k dの前駆体蛋白質が翻訳された後、 プロテアーゼにより 切断、 即ち、 プロセッシングされ各々、 マト リ ックス蛋白、 キヤプシド及びヌクレオキヤプシドとして機能する 3種類 の g a g蛋白、 上述順に夫々、 P 1 7、 p 2 4及び p 1 5 になると考えられている。 また、 全長約 3 k bの p o 1遺 伝子全領域の発現により、 上記酵素前駆体 (分子量 100 k d) が、 NH2 ·プロテア一ゼ ·イ ンテグラーゼ · C 0 OHの様に表記可能な融合蛋白質の状態で産生された 後、 斯かる融合蛋白質それ自身が、 該ウィルス由来の既存
のプロテア一ゼないしは同一分子内のプロテアーゼ活性の 作用を受けて切断ないしは開裂し、 いわゆる、 プロセッ シ ングの結果、 個々の成熟蛋白質 (活性蛋白質) 、 即ち、 プ 口テアーゼ (p 1 2 ) 、 逆転写酵素 (p 6 6 と p 5 1 ) 及 びイ ンテグラーゼ (p 3 2 ) の各酵素となると考えられて いる (Journal of Vi ro logy 、 第 6 2巻、 第 5号、 1808— 1809ページ、 1988年) 。 尚、 上述の 3種類の酵素はいずれ も、 ウィルスの増殖と成-熟過程又はプロウィルス形成過程 に於いて重要な役割を夫々分担し、 これ等の各機能につい て、 下記が確認又は推定されている : プロテアーゼは、 翻 訳後のプロセッシング、 及びウィルス粒子のコア形成ない しは成熟過程に関与すると共に、 プロテアーゼ作用はそれ 自身が由来するウィルスに対し特異性が高い ;逆転写酵素 は、 ウィルス増殖の基本段階であるウィルスゲノム R N A から D N Aへの逆転写過程を触媒する R N A依存生 D N A ポリ メ ラ一ゼと して機能すると共に、 これ以外にも、 D N Aと相補的に結合した R N Aだけを特異的に分解する リ ボヌ ク レアーゼ H活性、 及び 2本鎖 D N Aを生成す る D N A依存性 D N A合成活性を有することが知られてお り、 遺伝子組換え用材料、 例えば、 相補 D N A合成用酵素 としても重宝であり、 常用されている ; ィンテグラーゼは D N A鎖に作用するエンドヌクレアーゼであり、 ウィルス
ゲノム R N Aから上述の逆転写過程を経て生成された環状 ウィルス二本鎖 D N Aの宿主染色体 D N Aへの組込み部位 の認識と切断を触媒し、 プロウィルスになる過程に関与す ると考えられている。 ( "HIV and Other Highly
Pathogenic Viruses " 、 3 3— 4 1ページ、 Academic Press, Inc.1988 年発行; "The Control of Human
Retrovirus Gene Expression" 、 7 9— 8 9ページ、 Cold Spring Harbor Laboratory 1988 年発行;細胞工学、 第 7 巻 (Suppl.1 ) 、 S 5 _ S 1 5ページ、 1988年; エイズジ ャ—ナル、 第 1巻、 第 3号 291 - 300 ページ、 1988年 ; Aids、 第 2巻 (Suppl.1 ) S 2 9 - 4 0ページ、 1988 年;化学と生物、 第 2 7卷、 第 4号, 218— 227ページ、 1989年)
また、 全長約 0.4k bの n e f 遺伝子領域は分子量が約 2 7 k d の負の調節因子 (negative regul tory factor ") をコー ドしており、 この調節因子は、 H I Vゲ ノムの発現に抑制的に作用して H I Vの増殖を止め、 潜伏 感染に関与していると考えられている ( "Virology" , B. N. Fields等編、 第 2巻、 1534 _ 1535ページ、 Raven Press [米国] 1990年発行) 。
[遺伝子工学によるレ トロウィルス遺伝子産物の量産の 現状と課題] 遺伝子工学による種々のレ トロウィルスの
遺伝子産物 (以下 「抗原」 という) の量産は、 ヒ ト及び動 物用のワクチンや診断剤等を開発するため、 世界各地で広 く行われている。 その代表例として以下、 エイズウイルス 抗原の量産につき概略する。 量産の検討が行われている主 な抗原は、 e n v遺伝子の前駆体糖タンパク g p 160とそ のプロセッシング産物である g p 120及び g p 4 1等であ り ( 「エイズ対策最前線」 、 小松敏昭編著、 下巻、 477 - 495ページ、 シーエムシー 1989年発行) 、 例えば、 g p 160の生産では、 バキュロウィルスベクターと昆虫細胞 ^Proceedings of National Academy of Sciences 「U S A」 , v o l . 8 4, p p. 6924- 6928, 1987) 、 組替えワクチニァウィルスと B S C - 4 0又は Hela細胞 (Nature, v o l . 320, p p. 537- 540, 1986; 同前、 v o l . 330, p p . 259— 262, 1987) 、 アデノウィル スべクタ一と A 549細胞 ( "Vaccine 8 9 " , p p. 207 一 217, Cold Spring Harbor Laboratory 1989年発行) 等 の使用が報告されている。 また、 g p 120遺伝子領域を揷 入連係したプラスミ ドと CHO株化細胞による該領域の発 現 (Science, v o l . 233, p p. 209- 212, 1986) , 大腸菌による g p 120の生産 (Science, v o l . 234, p p. 1392— 1395, 1986) 等も報告されている。 更に、 こ れに関する主な公知技術の概略を分類し列記する (以下、
欧州公開特許番号を 「E P〕 , 西ドイツ公開特許番号を
「D E」 、 米国特許出願番号を 「U S」 、 P C T国際特許 公表番号を 「WO」 、 そしてフランス公開特許番号を 「F R」 と夫々、 略記する) :
( 1 ) a g, p 0 1, e n V 等の遺伝子の多量発現を 意図した技術 (以下、 使用宿主別に記載) :
大腸菌 (E P 3 3 1 9 6 1, E P 3 2 2 3 9 4, D E 3 7 2 7 1 3 7 , D E 3 7 2 4 0 1 6 , E P 2 9 3 7 9 2, U S 8 8 - 1 6 8 4 8 6 , U S 8 8 - 2 1 8 3 0 4 , U S 8 7 - 1 1 0 3 4 8 , E P 2 5 5 1 9 0 , WO 8 7 / 0 7 2 9 6 , D E 3 7 1 1 0 1 6 , E P 2 2 7 1 6 9 , E P 1 9 9 3 0 1 , E P 2 1 9 1 0 6 ) :
醱母 (D E 3 8 0 4 8 9 1, E P 3 2 2 3 9 4 , U S 8 8 - 1 6 8 4 8 6 ) :
( 2 ) g a g, p o 1, e n v 等の遺伝子を揷入した組 換えヮクチニァウィルスの作製技術:
特開平 1 一 1 4 8 1 8 3, F R 2 6 2 0 0 3 0 , F R 2 6 0 7 5 1 8 , F R 2 6 0 0 0 7 9 , F R 2 5 8 7 7 2 0 , F R 2 5 9 6 7 7 1 , E P 2 5 6 6 7 7 , W 0 8 7 / 0 6 2 6 0 , WO 8 7 / 0 6 2 6 2 :
( 3 ) e 遺伝子をウィルスベクターにより発現させる
技術: ポリオ一マウイルス (特開平 1 _ 3 9 9 9 1 ) や バキュロウィルス (E P 2 7 2 8 5 8 , E P 2 6 5 7 8 5 ) 等の使用 ;及び
( 4 ) エイズウイルス抗原を B型肝炎ウィルス抗原との融 合タンパクとして発現させる技術 (E P 2 7 8 9 4 0 ) 等が公知である。 - ところで、 生ワクチン等の有効成分として使用可能な組 えウィルスの作製技術は別として、 一般に、 発現ベクター による有用蛋白質の工業生産では、 低い生産コストと高い 品質を確保する上で、 多量発現、 遺伝子産物の宿主外への 分泌、 及び翻訳後のプロセッシングの 3要素は極めて重要 であり、 発現べクタ一の構築では、 これ等の 3要素を考慮 に入れる必要がある。 これに関し、 前述の従来技術の概略 から明らかな通り、 多量発現については種々検討され、 ま た、 分泌生産系の開発 (日本農芸化学会誌、 第 6 0巻、 第 5号、 1035— 1063ページ、 1990年) も広く進められている c しかし、 翻訳後のプロセッ シングの工夫については、 遺伝 子産物の精製工程の省力化や、 斯かる産物の純度等を高め る上で重要であるにも拘らず、 注目されていない。 従って. 翻訳後のプロセッ シングを可能にする発現システムの開発 に貴重な意義があることは明確である。 また、 N e f 蛋白 は、 その抗原性と機能の観点から、 エイズの診断や発症機
序の解明、 治療等の分野で有用であるため、 量産の確立が 期待される。
発明の開示
本発明者等は、 前述の従来技術の課題を克服するため、 鋭意研究を重ねた結果、 レトロウィルスの g a g及び
P o 1遺伝子がコー ドする 6種類の蛋白質を多量発現させ、 しかも、 プロセッ シングさせることに成功した。 換言すれ ば、 本発明は、 レ トロウイルスの g a g遺伝子産物である 3種のウィルスコア蛋白、 p 1 7、 p 2 4、 及び p 1 5、 並びに p o 1遺伝子産物である 3種の酵素、 プロテアーゼ、 逆転写酵素及びイ ンテグラーゼを夫々、 個別かつ単独の状 態で成熟蛋白質ないしは活性蛋白質として、 安定した高い 生産収率により低コス トで量産できるプラスミ ドの作製を 達成することにより完成された。 斯かる達成は、 遺伝子組 換え技術を駆使し、 レ トロウイルスのプロテアーゼ遺伝子 を必須と して含むよ う調製した該ウ ィ ルスの遺伝子 c D N A断片を誘導可能な多量発現遺伝子内又は遺伝子直 接発現ベクター内に翻訳枠を一致させて連結したプラスミ ドを作製し、 しかも、 該プラスミ ドが期待通り、 上記遺伝 子産物を多量発現し、 かつ、 発現されたプロテアーゼによ る遺伝子産物それ自身のプロセッシングを確認したことに よる。 尚、 直接発現とは、 レ ト ロウイルス遺伝子を、 べク
タ一側に予め組込まれた遺伝子に由来の異種蛋白との融合 蛋白として間接的に発現させないことを意味する。 更に、 本発明者等は、 上記遺伝子 c D N Aを挿入連係し構築した プラスミ ドを移入することにより形質転換体を得ると共に、 該形質転換体の培養に後述の 2段階培養法を適用すること により、 その培養物中に、 該 c D N Aがコー ドする前述の コア蛋白質や酵素が、 融合蛋白としてではなく、 特異的活 性を有する個々の成熟蛋白質として夫々、 極めて大量かつ 安定に生産されることを見出した。 更に、 斯かるプロセッ シングが、 上記遺伝子の発現産物である融合蛋白の一部を 占めるプロテアーゼの特異的な活性作用によることを見出 した。 即ち、 該プロセッシングが、 レトロウイルスのプロ テアーゼ遺伝子に特有の現象であることを見出した。 更に、 プロセッ シングされた上記各蛋白質は、 多量生産と精製が 容易であり、 しかも、 純度及び均質性が優れて高く、 特に- レ トロウィルスに固有の基質特異性の極めて高い酵素活性 並びに抗原性を併せて有することを見出した。 また、 極め て特異的な抗原性を有する N e f 蛋白の量産をも達成した c 本発明は、 これ等の知見に基づき完成されたものである。
本発明によれば、 トレロウィルスに係る g a g、 p o 1 . および n e f 各遺伝子がコードするを各種蛋白質の多量発 現または量産とプロセッ シングが可能なプラスミ ドの作製
法、 及びこれより得られるプラスミ ドとその発現産物が提 供される。 斯かるプラス ミ ドと発現産物であるコア蛋 白 p 1 Ί p 2 4及び p 1 5、 並びにプロテアーゼ、 逆転 写酵素及びィンテグラーゼの各酵素、 そして N e f 蛋白は- レ トロウイルス感染症の予防や治療の研究の材料として、 例えば、 遺伝子工学、 蛋白工学、 分子生物学、 レトロウイ ルス感染症に対する薬物療法剤ゃ抗ウィルス剤の開発等の 分野での試薬として、 また、 ワクチン、 診断剤、 抗体作製 等の抗原として、 極めて有用である。
図面の簡単な説明
第 1図は H I Vの p 0 1遺伝子を持つプラスミ ド p P G 280で形質転換された大腸菌と、 H I Vの p 0 1遺伝子を 持たないべクタ一 p U R 290で形質転換された大腸菌の粗 抽出液の逆転写活性を示す。
第 2図、 H I Vの p 0 1遺伝子を持つプラスミ ド p P G 280と、 H I Vの p 0 1遺伝子を持たないべクター p U R 290で各々形質転換された大腸菌の粗抽出液の H I Vキヤ リァー血清を用いたゥヱスタ ンブロッ ト法による分析結果 を示す。
第 3図は、 陰イオン交換カラムクロマ トによる大腸菌粗 抽出液の逆転写酵素の溶出パターンを示す。
第 4図は、 ァフィゲルへパリ ンクロマトグラフィーによ
る逆転写酵素の分離を示す。
発明を実施するための最良の形態
本発明の構成は、 次の通りである :
( 1 ) レ トロウイルスの遺伝子の選択とその c D N A断片 の調製: レトロウィルスの遺伝子に関しては、 前述の 「定 義」 に基づく レ トロウイルスが有する g a g、 p o 1、 レ トロ トランスポゾン等の遺伝子を使用できる。 更に詳しく は、 例えば H I Vの場合、 コア蛋白、 p l 7、 p 2 4及び p 1 5をコー ドする g a g領域内の各遺伝子、 プロテア一 ゼ、 逆転写酵素、 及びィンテグラーゼをコ一ドする P 0 1 領域内の各遺伝子等を使用する。 これ等の遺伝子の発現に は、 プロテアーゼ遺伝子の使用を必須とし、 レ トロウィル スに係る上記例示の各遺伝子のうち、 少なく とも又は最短- プロテアーゼ遺伝子領域を含むよう調製したレ トロウィル ス遺伝子 c DNA断片を、 多量発現遺伝子内に解読枠を一 致させて挿入連係することにより使用する。 尚、 組換え D N A技術による遺伝子発現では、 レ トロウイルスゲノム が R N Aであるため、 上記各遺伝子は、 これと相捕的 な c DN A断片に変換して使用する。 斯かる c DNA断片 は、 宿主染色体に組込まれているプロウィルスゲノムゃク ローン化された非組込み型の環状 DN Aから調製すること ができる。 また、 ウィルス粒子から抽出したゲノム RNA
を铸型として使用し、 逆転写酵素を用いる公知の常法によ り作製した c D N Aライブラリ一から選別し調製すること も可能である。 しかしながら、 上述の調製では危険度の高 いレ トロウイルスを直接取扱うため、 生物災害防止の観点 から、 必ずしも容易ではない。 従って、 該ウィルスによる 生物災害を回避すると共に、 上記調製工程に省力化を図る には、 公知かつ既製のレトロウイルスゲノム c DNAクロ ーンの使用が推奨される。 即ち、 前述に引用の総説中に見 られる通り、 現在既に、 種々のレトロウイルスゲノムのク ローニング、 制限酵素地図の作成、 塩基配列の決定等が世 界各地の研究者により報告されているので、 これ等の成果 の活用が安全かつ簡便であり、 望ましい。 例えば、 既製の ト リ 肉腫ウイ ノレスゲノ ムク ロー ンであるプラ ス ミ ド p S R A 2 (Journal of Virology, 第 3 6巻、 5 0— 6 1 ページ、 1980年) 、 H I V— 1プロウィルスゲノムク ロー ンであるプラス ミ ド P N L 3 — 1 、 p N L 3 — 2及び p N L 4— 3 (Journal of Virology, 第 5 9巻、 284— 291ページ、 1986年) 、 H I V— 1の p o 1遺伝子ク口一 ンである E. c 0 1 i U T481/p N L H402 (微ェ研 条寄第 2 1 4 6号) のプラスミ ド p N LH402、
E. c 0 1 i J M109/p C V 9 1 (微ェ研菌寄第
1 1 4 8 8号) 、 E.— c o l丄 J M109/p N L H122
(微ェ研菌寄第 1 1 4 8 9号) 等が入手可能であり、 使用 できる。 c DNA断片の調製は、 公知の常法、 例えば、 上 述のクロ一ンから必要領域の D N Aを制限酵素で切出した 後、 フ ヱノ ール抽出、 ク ロロフ オルム処理、 エタノ ール沈 澱等により精製し行うことができる。 尚、 DNA断片の切 出しに使用する制限酵素は、 各クロ一ンの制限酵素地図を 参考にして適宜選択できる。 例えば、 上記 P NL H402の ^_丄遺伝子全領域の D N A断片の切出しを所望の場合、 制限酵素 H i n d m (Journal of Virology,第 5 9巻、 284— 291ページ、 1986年) を用いることができる。
(Π) レ ト ロウイルス遺伝子発現プラスミ ドの構築、 及び 該プラスミ ドを移入した形質転換体の作製:上述に従って 調製したレトロウィルスゲノム c DNA断片を、 公知の常 法、 例えば T 4 D N Aリガーゼを用いて多量発現遺伝子内 又は遺伝子直接発現ベクター内に挿入連係することにより レ トロウイルス遺伝子発現プラス ミ ドを構築する。 尚、 本 発明に係る上記用語 「プラスミ ド」 は便宜的表記のために 使用されており、 実質的には広く レトロウィルス遺伝子を 発現するレブリコンを意味する。 従って斯かるプラスミ ド の構築には、 公知又は市販の発現用のベクタ一、 例えば、 腸内細菌科のプラスミ ドベクタ一 p S N 508系列 (米国特 許第 4, 7 0 3 , 0 0 5号) 、 酵母のプラスミ ドベクター
p J M105 (特開昭 6 2— 2 8 6 9 3 0 ) と p B H 103系 列 (特開昭 6 3— 2 2 0 9 8 ) 、 弱毒水痘ウィルス ·べク ター (特開昭 5 3— 4 1 2 0 2) 、 弱毒マレッ ク病ウィル ス ·ベクター (欧州公開特許第 3 3 4 5 3 0号) 、 大腸菌 のプラスミ ドベクター p UR 290系列 (EMBO Journal, 第 2卷、 1791— 1794、 1983年) 、 p S N5182 (Journal of Bacteriology. 第 157巻、 909— 917ページ、 1984年) 及 ひ P T 7 - 7 (Proceedings of the National Academy of SciencestUSA] 、 第 8 2巻、 1074— 1078ページ、 1985年) 等が使用できる。 発現ベクターの構築に於いて重要なこと は、 上述の遺伝子を発現量の多い遺伝子と連係することで ある。 例えば、 上述の P U R 290 を用いる場合には 1 a c Z遺伝子の下流に、 S N 5182では p s t S遺伝子 の下流に、 また、 p T 7— 7では T 7プロモータ支配下の p T 7 - 7由来のォリゴぺプチド遺伝子の下流に夫々、 該 遺伝子を挿入連係することが好ましい。 また、 斯かる該遺 伝子の挿入連係に際し、 注意すべき点は、 翻訳が円滑に進 行するよう遺伝子相互のコ ドン解読枠を一致させることに ある。 例えば、 H I V— 1、 H I V— 2、 サル免疫不全ゥ ィルス、 モロニ一マウス白血病ウィルス等の c DN A断片 を挿入連係する場合、 斯かるウィルスのプロテアーゼ は P 0 1遺伝子領域にコー ドされているので、 この p 0 1.
遺伝子の解読枠が多量発現遺伝子のそれと一致するよう連 係する。 また、 トリ肉腫ウィルスのプロテア一ゼは p o 1 遺伝子領域とは解読枠が異なる g a g遺伝子領域にコ—ド されており、 ヒ ト T細胞白血病ウィルスゃゥシ白血病ウイ ルス等のプロテアーゼ遺伝子は g a g遺伝子とも p o 1遺 伝子とも解読枠が異なる。 この様な場合には、 多量発現遺 伝子、 プロテアーゼ遺伝子及び p 0 1遺伝子間相互の解読 枠を一致させる工夫を要する。 斯かる工夫により、 各種酵 素遺伝子の発現量は保証される。 尚、 上記解読枠の一致は、 制限酵素、 ヌク レアーゼ B a 1 3 1、 マングビーン
(mungbean) ヌクレアーゼ等の酵素を用いる公知の常法に より達成できる。 また、 構築した発現ベクターを移入し形 質転換体を得る目的で用いる最適な受容細胞は、 その発現 ベクタ一の複製と発現とを許容する感受性宿主細胞から選 択し、 同時に、 斯かる宿主細胞のうち、 構築した発現べク ターの移入が容易かつ確実に検出できる細胞を厳選して使 用する。 例えば、 発現用のベクタ一として上述の p S N系 列を用いる場合には受容菌として、 該ベクター移入による 形質転換体を薬剤耐性をマ一力一として選別できる大腸菌 C 7 5株 (微ェ研菌寄第 1 0 1 9 1号) の使用が好ましく - また、 p U R 290系列及び p T 7 - 7を用いる場合には、 このべクターが移入された形質転換体をアンピシリ ン耐性
をマーカーとして選別できる大腸菌 U T 481株 (Journal of Bacteriology 、 第 163巻、 376— 384ページ、 1985 年) 及び大腸菌 B L 2 1 (D E 3 ) 株 (Journal of Molecular Biology 、 第 189巻、 第 1号、 113— 130ぺー ジ、 1986年) 等が夫々、 使用できる。 斯かる受容細胞への 発現ベクターの移入は、 公知の常法、 例えば、 塩化カルシ ゥム法 (Journal of Molecular Biology. 第 5 3卷、 154— 162ページ、 1970年) により行うことができる。 ま た、 上述の g a gや p 0 1遺伝子発現プラスミ ドが移入さ れた形質転換体は、 上記マ一力一が陽性のコロニーから選 別する。 次に、 選別された形質転換体コロニーから該発現 ベクタ一 DN Aを抽出の後、 制限酵素で切断し、 これをァ ガロースゲル電気泳動にかけ、 揷入連係された D N A断片 のサイズを測定すると共に、 該遺伝子 D N A断片の存在が 確認されたコロニーを、 レ トロウイルス遺伝子発現の形質 転換体クローンとして採用する。 例えば、 前述の発現用べ クタ一 p U R 290に p N L H402に由来の p o 1遺伝子全 領域が挿入連係された場合には、 約 4 kbの E c 0 R I断片 が検出される。
(Π) 形質転換体クローンによるレ トロウィスル遺伝子発 現の確認、 及び該形質転換体の培養による各種蛋白の大量 生産:形質転換体クローンによる遺伝子発現の確認は、 例
えば、 ゥヱスタンブロッ ト法を用いて、 該クローン培養物 の粗抽出液を分析して行うことができる。 粗抽出液は、 例 えば、 形質転換体を公知の培地中で培養の後、 低速遠心に より集菌し、 これをドデシル硫酸ナトリウムと 2—メルカ プトエタノールで処理し、 次いで、 高速遠心にかけ、 その 上清を採取することにより調製できる。 また、 ウェスタン ブロッ ト法は、 多種多様に市販されている各種材料を用い、 常法に従って、 次の順序で行うことができる ;上記粗抽出 液をポリアク リルァミ ドゲル電気泳動にかける :分離した タンパク質をトランスブロッ トセルを用いて二トロセル口 —ス膜上に転移させる ;該膜をゼラチン液に浸しプロツキ ングする。 そして以下、 例えば、 斯かる膜上の被検体が H I Vの p 0 1遺伝子産物の場合には、 H I Vキャリアー 血清と一次反応させる ; これを洗浄の後、 更に、 ペルォキ シダ一ゼ標識抗ヒ ト I g G抗体と二次反応させる ; これを 洗浄の後、 過酸化水素液と発色剤で発色させ、 H I Vキヤ リァ一血清と特異的に反応するバンドを検出することによ り、 上記クローンでの p 0 1遺伝子の発現を確認する。 尚- 上記被検体が H I V以外の他のレトロウィルスに由来の遺 伝子産物の場合には、 H I Vキャ リアー血清を使用せず、 一次反応には該当するレ トロウイルス抗血清を、 二次反応 には該抗血清が由来のヒ ト又は動物の I g Gに対する抗体
を夫々、 使用する。 g a gや p 0 1遺伝子の発現が確認さ れた形質転換体の培養による各種コア蛋白、 プロテアーゼ 逆転写酵素、 及びイ ンテグラーゼ各酵素の大量生産は、 次 の通り行う :該形質転換体の本培養用シー ドを調整するた め、 例えば、 形質転換体が大腸菌の場合、 L B培地中で、 菌体濃度が 2 X 1 0 9 〜 8 X 1 0 9 細胞 に達するまで. 3 0〜 4 0 °Cで 1 2〜 3 5時間培養する ;次に、 予め調整 した培養用培地 1000 ^に対し、 斯かるシード 1〜 1 0 £を 接種混合の後、 前培養と後培養からなる 2段階培養を行う c 前培養は、 シー ド細胞の増殖並びに発現べクタ一の増幅を 目的として行うものであり、 1 0〜 4 0 °Cで 1 〜 2 4時間、 好ましくは、 1 5〜 3 7でで 2〜 1 2時間行い、 例えば、 大腸菌の場合には、 培養下の菌体濃度、 即ち、 培養液濁度 0 D 6。。n m = 0. 1〜2. 0を目安として前培養を終了する。
次いで、 斯かる前培養の完了に伴い、 該培養系を後培養へ 移行させる。 後培養は、 発現ベクターに連係の酵素遺伝子 の転写と翻訳、 及び翻訳後の該遺伝子産物が改編され、 活 性を有する個々の単独な成熟タンパク質となるプロセッシ ングを確保すると同時に、 翻訳後の酵素遺伝子産物が宿主 細胞に由来のタンパク分解酵素により無秩序に分解され失 活することを避けるため、 細心の注意と創意の下で設定さ れるべきである。 尚、 後培養は、 前培養に比べ相対的に低
温の方が望ましく、 1 0〜 4 0でで 1〜 4 0時間、 好まし くは、 1 5〜 3 7 。Cで 3〜 3 5時間行なう。 また、 使用す る発現ベクターの性質を考慮し、 例えば、 後培養開始時に、 培地中のリ ン酸の飢餓化、 培地中へのィンデューサ一の添 加混合等を行うことにより、 発現の促進や誘導を図ること ができる。 また、 上述の 2段階培養を行うことにより、 レ トロウィルスの各コア蛋白、 プロテアーゼ、 逆転写酵素、 及びィンテグラーゼ各酵素が、 融合タンパク質の状態では なく、 個々に独立した活性タンパク質、 即ち、 個別かつ単 独の成熟タ ンパク質と して、 通常、 培地 1 当り約 1 〜 3 0 の高収量で生産される。
( W ) 発現ベクターにより量産された各コア蛋白、 プロテ ァーゼ、 逆転写酵素、 及びインテグラーゼ各酵素の精製: この工程は、 公知の常法を組合わせて用いることにより達 成できる。 例えば、 沈澱剤、 遠心、 濾過等による形質転換 体培養物の採取 ;超音波処理、 加圧減圧処理、 ホモジナイ ザ一等により形質転換体細胞の破壊ないしは破砕による粗 抽出液の調整;珪酸ゃ活性炭による吸脱着処理、 塩析、 有 機溶媒による沈澱等による精製;超遠心法、 カラムクロマ ト グラフ ィ ー、 電気泳動法等を用いる分画による高度 精製 ; また、 珪酸及び活性炭に吸脱着の後、 密度勾配遠心 にて分画する遺伝子産物の精製法 (特開昭 6 3 — 2 9 7 )
等の常法により、 上記各蛋白ないしは各酵素の精製が可能 である。
本発明の作成法により得られる発現べクターはアンプル、 バイアル瓶等の小型容器内で密封された状態、 又は宿主に 移入した状態で提供される。 また、 本発明に係る発現べク ターにより量産される各コア蛋白、 プロテアーゼ、 逆転写 酵素及びイ ンテグラ一ゼ各酵素は、 液状、 乾燥粉末、 又は 濾紙や膜等に吸着の状態で、 アンプル、 バイアル瓶等の小 型容器内に密封し、 提供できる。 液状の場合はそのまま必 要量使用し、 乾燥の場合は、 蒸溜水で溶解し乾燥前の体積 まで戻した後、 必要量使用する。 濾紙や膜等に吸着の場合 には、 使用書に指定の溶液で湿潤させた後、 使用する。
( V ) n e f 遺伝子発現プラスミ ドの構築、 N e f 蛋白の 量産 · 確認 · 精製 · 使用 ; これ等は、 前述 ( I ) か'ら
( IV ) の記載と同様の要領で行うことができる。 但し、 n e f 遺伝子は、 H I Vのゲノムにおいて g a gや p o 1 遺伝子から離れた位置にあり、 N e f 蛋白の産生には翻訳 後のプロセッシング過程を必要としないので、 該蛋白は、 単一種の蛋白として生産させた方が合理的かつ省力的であ る。 それ故、 N e f 蛋白の量産は、 プロセッシングを考慮 することなく、 n e f 遺伝子を単独で多量発現させること により達成できる。 即ち、 n e f 遺伝子発現プラスミ ドは、
n e f 遺伝子 c D N A断片を多量発現遺伝子または遺伝子 直接発現ベクターに挿入連係することにより作製する。 尚. n e f 遺伝子 c DNA断片は、 H I Vゲノム中の n e f 遺 伝子領域や、 n e f 遺伝子 c D N Aを有するプラスミ ド P N L 4 - 3 (Journal of Virology 、 第 5 9巻、 284 - 291ページ、 1986年) やプラスミ ド p NLH152 (微ェ研 条寄第 3 1 7 9号) 等を用いて調製できる。
本発明によって奏せられる効果は以下の通りである。
( 1 ) 本発明によれば、 レ トロウイルス遺伝子の多量発現 とプロセッ シングとが同時に可能となり、 かつ、 該発現べ クタ一を用いるレトロウィルス抗原や酵素の量産では、 極 めて危険度の高いレトロウイルスそのものを使用しないた め、 製造工程下でのバイオハザード対策の観点から、 優れ て安全であり、 かつ、 製造作業も容易である。
( 2 ) 培養液 1 ^中の各コア蛋白、 各酵素、 及び N e f 蛋 白の産生量は、 蛋白量で 1〜 3 Omgであり、 生産収率が極 めて高い。
( 3 ) 本発明によれば、 レ トロウイルスの各コア蛋白、 プ 口テアーゼ、 逆転写酵素及びイ ンテグラーゼが多量発現遺 伝子産物との融合タンパクとして発現されるにも拘らず、 融合タンパクの状態ではなく、 夫々プロセッシングされた 単独の成熟蛋白として産生させることが可能であるため、
単独の上記遺伝子の発現に比べ、 能率的かつ合理的であり 更に、 上述の ( 1 ) 及び ( 2 ) をも併せて考慮に入れると 生産コス トが低く、 経済的である。
( 4 ) レ ト ロウイルスに固有の基質に対し極めて特異性の 高い酵素、 及び高純度の該ウイルス各種抗原が廉価かつ大 量に提供できるため、 遺伝子工学だけではなく、 レ トロゥ ィルス感染症、 例えば、 エイズ、 成人 T細胞白血病、 ニヮ ト リの肉腫や白血病、 ネコ白血病等の基礎研究、 高度の選 択毒性を有する特異的な治療剤や予防剤の開発、 診断等に 長足の進歩をもたらすと共に、 人類の保健衛生並びに畜産 の振興への福音となる。
( 5 ) 本発明に係るプラスミ ド作製法は、 レ トロウイルス が有する多様な種々の遺伝子並びにレトロ トランスポゾン が有する各種遺伝子の多量発現と爾後のプロセッシン を 可能にするため、 これ等の遺伝子産物の合理的かつ能率的 量産の開発に応用できる。
以下、 本発明の具体例につき実施例を挙げて説明する。 但し、 本発明は、 以下の実施例にのみ限定されるものでは ない。
尚、 以下の実施例において逆転写酵素の活性は次の通り に測定した :反応液の組成が 5 0 mMの トリ ス · H C 1 ( H 8. 3 )、 5 0 mMの塩化カ リ ウム、 1 0 mMの塩化マグネシウム、
3 mMのジチォスライ トール、 0.1% (W/ V) のノニデッ ト P— 4 0 (シュル石油社 〔米国〕 製) 、 2 0 /idの
( r A) π · ( d Τ) 1 2- ΐ 8 (フ アルマシア社 〔スウ ェー デン〕 製) 、 0.5mMの TT P (チミ ジン ト リ フォスフヱイ ト) 、 l 〃 C iの 〔3 H〕 · TT Pで検体 5 〃 ^を含めて 5 0 〃 ^として、 3 7 °Cにて 1 0分間インキュべ一卜した ( 反応液を直ちに氷冷し、 濾紙 D E 8 1 (ワ ッ トマン社 〔英 国〕 製) にて濾過し、 フィルターを 5 %リ ン酸ソーダ液に てよく洗浄し、 更に水洗後エタノールで洗い、 乾燥して、 液体シンチレ一ションカウンタ一にて c pmを測定した。 実施例 1
レンチウイルスの p 0 1遺伝子を揷入連係した発現べク ターの構築: H I Vプロウィルスゲノム DN Aを保有する プラス ミ ド p NL 4— 3 (Journal of Virology, 5 9 (2): 284- 291, 1988) の D N Aを 5 // g、 5 n Ά <D
H i n d m、 2 0 〃 ^の 5 xRM ( 5 0mMト リ ス ' H C l , pH7.5, 3 5 mMM g C 1 2 , 300mMN a C 1 ) を加え、 蒸留 水で全量を 100〃 ^ として、 3 7 °Cにて 1時間、 インキュ ベ一ト後、 T E ( 1 0 mMト リ ス · H C 1, pH7.5, 1 mME D T A) で飽和したフ ヱノ ールにて抽出し、 水層をクロロホ ルム処理して、 エタノール沈澱した。 沈澱を 1 0 / £の丁 Eに溶解した内の 1 〃 と、 H n d Mで開裂し、 アル力
リ性ホスファターゼ処理したプラスミ ド P H S G 398DN AO.1 g ( l 〃 jg) 、 更に、 の 1 0 Xライゲーシ ョ ン緩衝液 (660mMト リス · H C 1, H7.6, 6 6 mMM g C 1 2 - lOOm D T T, 1 mMA Τ Ρ ) を加えたものに、 1 〃 の T 4 DNAリガーゼを添加し、 全量を蒸留水で 2 0 〃 £ と した後、 1 5 °Cにて 1 2時間、 イ ンキュベー ト した 次いで、 この反応液により大腸菌 JM103株を塩化カルシ ゥム法 (Journal of Molecular Biology, 5 3 : 154, 1970) により形質転換し、 クロラムフヱニコール 2 0 〃 g ?^含有の L B平板培地 ( 1 % (W/V) Bacto-trypton, 0.5 % (W/V) Bacto-yeast extract, 1 % (W/V) N a C 1および 1.5 % (W/V) 寒天) にて、 クロラムフ ェニコール耐性コロニーを選択した。 クロラムフヱニコ一 ル耐性クローンより常法によりプラスミ ド DNAを抽出し, プラスミ ド p NL 4— 3 DNA由来の約4.0kbの断片を含 むクローンを H i n d m切断により選別し、 クローン p N L H402を得た。
5 〃 jg のプラ ス ミ ド p N L H 402 D N A ( 5 g ) に 5 a £の H i n d ΙΠと 1 0 〃 ^の 5 X RMを加え、 全量 を蒸留水で 5 0 〃 £ と し、 3 7。Cで 1時間ィ ンキュベー ト し、 フヱノール抽出、 クロ口ホルム処理後、 エタノール沈 澱した。 この沈澱に 1 0 〃 の 5 X RMと 5 〃 ^の
B g 1 Πを加え、 全量を蒸留水で 5 0 としてよく溶解 し 、 3 7 °Cで再び 1時間インキュペートし、 フヱノール 抽出、 クロ口ホルム処理後、 エタノール沈澱させた D N A は 1 0 〃 ^の T Eに溶解した。
一方、 発現用べクタ一 p U R 290 (The EMBO Journal, 2 (2): 1791- 1794, 1983) の 5 gに 5 // £の H i n d I- 1 0〃 £の 5 1^を加ぇ、 蒸留水にて 5 0〃 J こしたも のを 3 7 °Cで 1時間ンキュぺ一 卜し、 フヱノ一ル抽出、 ク ロ ロホルム処理後、 エタノ ール沈澱を行い、 これに 5 X RM (N a C 1の濃度は 500mM) を 1 0 ^ と B a m
H Iを 5 ^ 、 更に蒸留水を 3 5 / 加え、 完全に沈澱を 溶解し、 3 7 °Cで再び 1時間イ ンキュベー ト し、 フヱノー ル抽出、 ク ロ口ホルム処理後、 エタノール沈澱させた DNAを 1 0〃 £の丁 £に溶解した。
次に上記の H i n d mと B a mH Iで切断した p U R 290 ( 1 z ) と H i n d mと B g l Πで切断した
P N L H 402 ( 1 n ί ) を混合し、 1 O xライゲーシヨ ン 緩衝液 2 β および 1 〃 £の T 4 DNAリガーゼを加え、 全量を蒸留水にて 2 0〃 ^とし、 1 5 °Cにて 1 2時間イ ン キュべ一 卜した。 この反応液にて大腸菌 UT481株
(Journal of Bacteriology, 163: 376- 384, 1985) を 前述の塩化カルシウ ム法にて形質転換し、 ア ン ピシ リ
ン 2 0 ^ g Zmi含有の L B平板培地にてアンピシリ ン耐性 コロニーを選別し、 更に、 P N L 4 — 3由来の 3.8kbの断 片を含むクローンを E c o R I切断にて揷入断片のサイズ を測定することにより選別し、 クローン UT481ZP P G 280を得た。 即ち、 このクローンはプラスミ ド p UR280 上の 1 a c Z遺伝子の 3 ' 末端部に 3.8kb の H I V p o 1 遺伝子領域が連結されており、 1 a c Zと p o 1 の遺伝子 産物は融合蛋白 (約 230kd) として発現し、 その後プロセ スされて各種酵素が産生されると推定される。
実施例 2
形質転換体の培養によるレンチウィルスのプロテアーゼ、 逆転写酵素、 およびインテグラ一ゼ各酵素の生産:形質転 換体ク ロー ン U T 481 / p P G 280 をア ン ピシ リ ン
2 0 ^ 含有の L B培地 (Bacto- tryptone 1 % (WZ
V) , Bacto-yeast extract 0.5%および (WZV)
N a C 1 1 % (W/V) ) で、 3 7 °Cにて 1 8時間培養後、
1 Z100容量を新鮮 L B培地 (アンピンリ ン 2 0 /τά 含有) に加え、 2 5 °Cにて前培養した。 培地の濁度
0 D 600 nmが 0.5に到達した時、 I P T G (Isopropyl- thiogalactoside , シグマ社 〔米国〕 製) を I mM加え、 更 に 2 5 °Cにて 1 8時間培養を続けた。 遠心操作 (5000rpm, 5分) で菌体を集め、 1 Z 2 5容量の 4 0 mMト リ ス ·
H C 1, pH8.0(0. Ira E D T A, 5 mMM g C 1 2 , 0.1% (W/ V) TritonX- 100および 1 OmMの 2—メルカプトェ 夕ノールを含む) に浮遊し、 超音波処理 ( 3 0秒間処理を 5回、 19.5KHz, 300W) 後、 遠心操作 (19, 000rpm, 6 0 分) によ り 、 上清を分離した。 この粗抽出液中の H I V p o 1遺伝子産物を検討するため、 粗抽出液の逆転 写酵素活性を測定した結果を第 1図に示す。 期待される有 意な逆転写酵素活性が認められた。 また、 ウェスタンプロ ッ ト法による分析も行った。 即ち、 集めた菌体に 4 % (W XV) の ドデシル硫酸ナ ト リウム (S D S) と 1 % (WZ V) の 2—メルカプトエタノールを加え、 5分間煮沸処理 し、 遠心操作 (ΙΟ, ΟΟΟΓΡΠΙ, 5分間) した上清を、 0.1% (W/V) S D S - 1 0 % (W/V)ポリアク リルアミ ドのゲ ルを用いて電気泳動し、 トランスブロッ トセル (バイオラ ッ ド社 〔米国〕 製) を用いて二トロセルロース膜 (S & S 社 〔西独〕 製) にプロッ ト後、 常法通り 3 % (W/V) の ゲラチン液に浸しブロッキングした。 次いで、 フィルター を H I Vキヤリァ一血清と一次反応させ、 洗浄後、 ペルォ キシダ一ゼ標識ャギ抗ヒ ト I g G血清 (バイオラッ ド社
〔米国〕 製) と二次反応させた。 最後にフィルタ一を洗浄 後、 5 0 m£の T B S ( 2 0mMトリス * HC 1, pH7.4, 500 m N a C 1 ) に 0.4 の DAB ( 3, 3 ' 一
diaminobenzidine tetrahydrochloride ) と 3 0 % (WZ V) の過酸化水素液 1 5 £を加えた発色液に浸し、 1 5 分間室温にて発色させ、 フィルタ一を蒸留水で洗浄し、 反 応を停止した。 第 2図に結果を示した。 H I V p 0 1遺伝 子を保有しないベクター P UR290による形質転換菌 UT 481/ p UR 290の粗抽出液では、 H I Vキヤ リァー血清 と反応する特異なバンドは見られないが、 UT481Z p P G 280の粗抽出液中には、 H I Vの p 0 1遺伝子産物 である分子量 6 6 kdと 5 1 kdの逆転写酵素、 3 2 kdのイン テグラ一ゼおよび 1 2 kdのプロテア一ゼのバンドを認める ことが出来た。 逆転写酵素が、 —ガラク トシターゼより 切断されていることは、 第 3図の陰イオン交換体 MonoQ (フ アルマシア社 〔スゥヱ一デン〕 製) カラムクロマトグラフ ィ一の結果からも容易に分かる。 即ち、 逆転写酵素活性は /3—ガラク 卜シタ一ゼ活性と完全に分離した画分に認めら れた。 よって、 H I V p 0 1遺伝子産物は; 6—ガラク トシ ダーゼとの融合蛋白として産生されるが、 p 0 1遺伝子産 物のプロテアーゼにより、 プロテア一ゼ、 逆転写酵素およ びイ ンテグラ一ゼの領域が特異的に切断され、 菌体中に蓄 積されるものと推察される。
実施例 3
レンチウイルスのプロテア一ゼを多量に産生するべクタ
—の構築 : 実施例 1 で得た p o 1 遺伝子発現ブラス ミ ド p P G 280の DN A 5 gに、 5 / ^の H i n d H
2 0 〃 ^の 5 X RMを加え全量を蒸留水で 100 と し、
3 7 °Cで 1時間イ ンキュベー ト し、 フヱノ一ル抽出、 ク口 口ホルム処理後、 エタノ一ル沈澱した。 この沈澱に 5 i の B a 1 I と 1 0 〃 の 5 X RM (— N a C l ) を加え、 全量を蒸留水で 5 0 と してよく溶解し、 3 7 °Cで再び
1時間インキュベー ト し、 フヱノール抽出、 クロ口ホルム 処理後、 エタノ一ル沈澱した。 この沈澱に 5 ^ の 1 0 X ポリ メラ一ゼ緩衝液 (670mMト リス · H C 1, H8.8,
6 7 mMM g C 1 a , 166raM (NH 4)2 S 04, 100mM2一メ ルカプトエタノール, 6 7 mME D T A) と 5 〃 ^の 1 O x NT P溶液 (各 3.3mM d AT P, d GT P, d TT Pおよ び d C T P) と 1 // ^の T 4 D N Aポリメ ラ一ゼを加え、 全量を蒸留水で 5 0 / と してよく溶解し、 3 7 °Cで 1 5 分イ ンキュベー トし、 フヱノール抽出、 クロ口ホルム処理 後、 ェタノ一ル沈澱した。 この沈澱を 1 0 〃 £の T Eに溶 解した内の 1 // ^に 2 ^の 1 O xライゲーショ ン緩衝液 を加えたものに、 1 / ^の T 4 DNAリガーゼを添加し、 全量を蒸留水で 2 0 〃 ^ とした後、 1 5 °Cで 1 2時間イン キュペー ト した。 この反応液にて大腸菌 U T481株を前述 の塩化カ ル シ ウ ム法にて形質転換し、 ア ン ピ シ リ ン
J 1
3 3
2 0 g /? 含有の L B平板培地にてアンピシリ ン耐製コ ロニーを選別し、 更に、 p NL 4— 3由来の 0.55kbの断片 を含むクローンを E c 0 R I切断にて挿入断片のサイズを 測定することにより選別し、 クローン U T481ZP L B
550- 3を得た。
H I V - 1 (レンチウィルス) のプロテア一ゼを多量に 産生するベクターの構築: P NLH402 (実施例 1 ) を
B g 1 D及び K p n Iで切断し、 生じた約 1.7kbの DN A
断片を回収し、 更に N 1 a IVで切断した。 この時生じた約
1.2kbの D N A断片をクローニングベクター p CU l 9の
H i n c Π部位に挿入 ·連結し、 P UN 4 0を得た。
p UN 4 0を B a mH I及び P s t Iで切断し、 生じた約
1.2kbのDNA断片を、 B a m H I及び P s t Iで開裂し
た発現べクター p UR291 (The EMBO Journal, 2(2):
1791— 1794, 1983) 及び p T 7— 7 (Proc - Natl. Acid.
Sci.USA, 82: 1074- 1078, 1985) に挿入し、 p P G401及
び p T P 440をそれぞれ構築した。 P G401を B a l l
及び P s t Iで切断し、 T 4 D N Aポリメラ一ゼ処理の後、 自己連結させることにより P P G421を得た。 また、
p T G 440を B a 1 I及び P s t Iで切断し、 T 4 DNA
ポリメラ一ゼ処理の後、 自己連結させることにより p T P
442を得た。 p P G401, p P G421, p T P 440及び
p TP 442¾H I V - 1のプロテアーゼを発現する。
p P G401及び p P G421では、 発現の宿主として UT 481株及び J M103株を用いた。 P TP 440及び p TP 442では、 発現の宿主として B L 2 1 (D E 3) 株を用い た。
実施例 4
形質転換体によるレンチウイルスのプロテアーゼの多量 生産:形質転換体ク口ーン U T481ZP L Β 550— 3を L Β培地 (アンピシリ ン 2 0〃 gZmi含有) で 3 7 °Cにて 1 8時間培養後、 1 Z100容量を新鮮 L B培地 (アンピシ リ ン 2 0 含有) に加え、 3 7 °Cにて前培養した。 培地の濁度 OD 600nm が 0.5に達したとき、 I P TG
(Isopropyl β -D-Thiogalactos ide, シグマ社 〔米国〕 製) を 1 mM加え、 更に 3 7 °Cにて 6時間培養を続けた。 遠 心操作 (5000rpm, 5分) で菌体を集め、 4 % (W/V) の ドデシル硫酸ナ ト リ ウム (S D S) と 1 % (W/V) の 2 —メルカプトエタノールを加え、 5分間煮沸処理し、 遠心 操作 (10, 000rpm, 5分間) した上清を 0.1% (W/V) S D S · 1 5 % (W/V) ポリアク リルァミ ドのゲルを用 いて電気泳動し、 以下、 実施例 2に記述したとおり、 ゥェ スタン · ブロッ ト法で解析した。 U T481ZP U R 290の 粗抽出液では H I Vキヤ リァ一血清と反応する特異なバン
ドは見られないが、 U T48lZp L B 550- 3の粗抽出液 では 1 2 kdのプロテア一ゼのバン ドを認めることが出来た, 尚、 p L B 550— 3によるプロテア一ゼの産生量は p P G 280の数倍であった。 このクローンはプラスミ ド
p U R 290の 1 a c Z遺伝子の 3 ' 末端部に 0.55kbの
H I V p 0 1遺伝子が連結されており、 1 a c Z - p 0 1 遺伝子産物は分子量約 140kdの融合タンパクとして産生さ れ、 その後、 プロセスされて分子量約 1 2 kdのプロテア一 ゼが産生されると推定される。
実施例 5
オンコウイスルのプロテア一ゼ遺伝子および p 0 1遺伝 子を挿入連係した発現ベクターの構築: トリ肉腫ウィルス D N Aクローン p S R A 2 (Journal of Virology 、 第 3 6巻、 5 0 — 6 1 ページ、 1980年) の D N A 5 ^ g に 5 fi βの B a mH I と 2 0 〃 £の 5 x RMを加え、 蒸留水 で全量を 100〃 として 3 7 °Cにて 1時間インキュベー ト した。 この反応液を 1 % (WZV) 低融点ァガロースゲル で電気泳動の後、 1.8kbの D N A断片を含むゲルを切り出 し、 フヱノール抽出、 クロ口ホルム処理後、 エタノール沈 澱した。 この D N Aの沈澱を 1 0 〃 _gの T Eに溶解した内 の \ β £ に、 B a mH Iで開裂してアル力リ性ホスファタ -ゼ処理したプラス ミ ド p U R 2 9 1 D N A 1 〃 ^
(0. l^ g) 、 更に、 2 /ζ _βの 1 O Xライゲ一ション緩衝 液、 1 ^ の T 4 DN Aリガ一ゼを添加し、 蒸留水で全量 を 2 0〃 ^とした後、 1 5 °Cにて 1 2時間インキュベート した。 次いで、 この反応液により大腸菌 UT481株を塩化 カルシウム法により形質転換し、 アンピシリ ン 2 0 / gZ 含有の L B平板培地にてァンピシリ ン耐性コロニ一を選 択した。 アンピシリ ン耐性クローンより常法によりプラス ミ ド DNAを抽出し、 プラスミ ド p S RA 2由来の 1.8kb 断片を含み、 かつ、 l a c Z— g a g融合タンパクを産生 するクローンを選択し、 p S R281を得た。
プラス ミ ド p S RA 2の DNA 5 gに 5 ^の P s t I と 2 0 〃 ^の 5 X RM (750mMN a C 1 ) を加え、 蒸留 水で全量を 100〃 として 3 7 °Cで 1時間インキュベート した。 この反応液を 1 % (W/V) 低融点ァガロースゲル 電気泳動の後、 3. Ikbの D N A断片を含むゲルを切り出し、 フヱノール抽出、 クロ口ホルム処理の後エタノール沈澱し. 1 0〃 _gの T Eに溶解した。 同様に、 M l 3 m P 1 8の二 重鎖ファ一ジ DNAを P s t lで開裂してアル力リ性フォ スファターゼ処理した。 この DNA l z (0. g ) に 上記 3. lkbD N A断片 1 〃 、 2〃 ^の 1 0 xライゲ―シ ョン緩衝液、 1 〃 の T 4 DNAリガーゼを添加し、 蒸留 水で全量を 2 0 とした後、 1 5 °Cで 1 2時間インキュ
ベー トした。 次いで、 この反応液を用いて、 塩化カルシゥ ム法により大腸菌 T G 1株にファージ D NAを トランスフ ェクシヨ ンして、 X— g a l ( 5 — bromo— 4 — c— hloro-3-indolyl- S -D-galactopyranos ide, シグマ社 〔米 国〕 製) 4 0 / gZ 含有の 2 Y T平板培地 (1.6% (W / V) Bacto-trypton, 1 % (W/ V) Bacto-yeast extract, 0.5% (W/ V) N a C 1および 1.5 % (WZ V) Bacto-agar) にてプラークを形成させた。 次に、 T G 1株を 2 Y T液体培地 (1.6 % (W/V) Bacto- trypton, 1 % (W/V) Bacto-yeast extract, 0.5% (W /Y) N a C 1 ) で濁度 O D Qnm =0.3まで増殖させ、 生じたプラークのうち無色のもの数クローンを接種し、 更 に数時間培養を続けた後、 常法により単鎖 D N A及び二重 鎖 D NAをそれぞれ調製した。 得られた二重鎖 D NAを P s t Iおよび B a m H Iで切断することにより、
P S R A 2由来の 3. lkb断片を含むクローン M l 3 s r 3 1を選別した。 p S R A 2由来の 3. lkb断片には、 g a (プロテア一ゼ) 遺伝子の 3, 末端、 その終止コ ド ン T A Gおよび p 0 1遺伝子がコ—ドされており、 終止コ ドンの前に 1塩基を挿入すれば、 翻訳枠が一致した g a g - P 0 1融合遺伝子となる。
本発明者等は、 アマシャム社の i n V i t r o突然変
移誘発キッ トを用いて M l 3 s r 3 1上の該 TA G終止コ ドンの前に 1塩基挿入し、 ATA Gに改変したクローン M 1 3 s r 3 2を得た。
M 1 3 s r 3 2の二重鎖 D NA 5 gに 5 £の P s t I と 2 0 μ _gの 5 X RMを加え、 蒸留水で全量を 100 z H として 3 7 °Cで 1時間インキュベートした。 この反応液を 1 % (WZV) 低融点ァガロースゲル電気泳動の後、 3. lkbの E) N A断片を含むゲルを切り出し、 フエノール抽 出、 ク ロ口ホルム処理の後、 エタノール沈澱した。 こ の D N Aの沈澱を 1 0 ti の T Eに溶解した内の 1 £に P s t Iで切断してアル力リ性ホスファタ一ゼ処理したプ ラスミ ド p S R281D NA l // jg (0. l / g) 、 更に
2 の 1 0 X ラ イ ゲ一 シ ヨ ン緩衝液、 1 〃 £ の丁 4 D N Aリガーゼを添加し、 蒸留水で全量を 2 0 / とした 後、 1 5 °Cで 1 2時間インキュベートした。 次いで、 この 反応液により大腸菌 U T481株を塩化カルシウム法により 形質転換し、 アンピシリ ン 2 0 Z ^Z^含有の L B平板培 地にてアンピシリ ン耐性コロニーを選択した。 ァンピシリ ン耐性クローンより常法によりプラスミ ド D NAを抽出し P s t Iおよび B a mH Iで切断することにより、 M l 3 s r 3 2由来の 3. lkb断片の存在とその方向を確認し、 プ 口テアーゼおよび p_o 1遺伝子産物の発現が予期されるク
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3 9 ローン UT48lZp S R271を得た。 尚、 p S R281に含 まれる P S RA 2由来の 1.8kb領域のうち M 1 3 s r 3 2 由来の 3. lkb断片と重複する 1.3kbは、 p S R281を
P s t Iで切断する際に切り出される。
実施例 6
形質転換体の培養によるオンコウィルスのプロテアーゼ 逆転写酵素、 およびインテグラ一ゼ各酵素の生産:形質転 換体クローン UT481/P S R271を L B培地 (アンピシ リ ン 2 0 gノ^含有) で、 3 7 °Cにて 1 8時間培養後、 1 Z 100容量を新鮮 L B培地 (アンピシリ ン 2 0 g/id 含有) に加え、 2 5 °Cにて前培養した。 培地の濁度 OD 600nmが 0.5に到達したとき、 I P T Gを I mM加え、 更に 2 5 °Cにて 1 8 時間培養を続けた。 遠心操作 (5000rpm, 5分) で菌体を集め、 1 Z 2 5容量の 4 0 mMト リ ス · H C 1, H8.0 (0. ImME D T A, 5mM M g C 1 2 , 0. \% (W/ V) TritonX- 100および 1 OmMの 2—メルカ プトェタノ一ルを含む) に浮遊し、 超音波処理 ( 3 0秒間 処理を 5回、 19.5KHz, 300W) 後、 遠心操作 (19, 000rpm, 6 0分) により、 上清を分離した。 この粗抽出液中の R S V遺伝子産物を検討するため、 粗抽出液の逆転写酵素 活性を測定したところ期待される有意な逆転写酵素活性を 認めた。 また、 ウェスタンプロッ ト法による分析も行った。
即ち、 集めた菌体に 4 % (W/V) の ドデシル硫酸ナトリ ゥム (S D S) と 1 0 % ( V/V) の 2—メルカプ トエタ ノールを加え、 5分間煮沸処理し、 遠心操作 (10, 000rpm, 5分間) した上清を、 0.1 % (W/V) S D S— 1 5 % (WXV) ポリアク リルァミ ドのゲルを用いて電気泳動し. トラ ンスブロッ トセル (バイオラッ ド社 〔米国〕 製) を用 いて二トロセルロース膜 (S &S社 〔西独〕 製) にプロッ ト後、 常法通り 3 % (WXV) のゲラチン液にプロッキン グした。 次いで、 フィルターを抗 R S Vゥサギ血清と一次 反応し、 洗浄後、 ペルォキシダ一ゼ標識ャギ抗ゥサギ I g G血清 (バイオラッ ド社 〔米国〕 製) と二次反応した, 最後にフィルターを洗浄後、 5 0^の丁83 (2 0mMトリ ス · H C 1, H7.4, 500mMN a C 1 ) に 0. の DAB 、 3, 3 ― diarainobenzidine tetrahydrochlor ide) と 3 0 % (WZV) の過酸化水素液 1 5 / ^を加えた発色液 に浸し、 1 5分間室温にて発色させ、 フィルターを蒸留水 で洗浄し、 反応を停止した。 R S V遺伝子を保有しないべ クタ一 p 111^ 290にょる形質転換菌11丁481 UR290 の粗抽出液では、 抗 R S Vゥサギ血清と反応する特異なバ ンドは見られないが、 UT481/p S R 271の粗抽出液中 には、 R S Vの逆転写酵素 (p 9 2, p 6 5 ) のバンドを 認めることが出来た。 R S Vのプロテア一ゼおよび p o_l
遺伝子産物は δ—ガラク トシダーゼとの融合蛋白として産 生される力 、 g a g遺伝子産物のプロテアーゼにより、 プ 口テア一ゼ、 逆転写酵素およびイ ンテグラーゼの領域が特 異的に切断され、 菌体中に蓄積されるものと推察される。 また、 クローン U T481/p S R271は、 プラスミ ド p U R291上の 1 a c Z遺伝子の 3 ' 末端部に 3.6kbのラ ウス肉腫ウィルスの g a gおよび p o 1遺伝子領域が連結 されており、 1 a c Z, g a gおよび p o 1遺伝子産物は 融合蛋白 (約 230kd) として発現し、 その後、 プロセスさ れてプロテア一ゼ ( p 1 5 ) 、 逆転写酵素 ( p 9 2, P 6 5 ) 、 イ ンテグラーゼ (p 3 2 ) が産生されると推定 される。
実施例 7
逆転写酵素の抽出 :実施例 2に記載したごとく、 形質転 換大腸菌ク口一ン U T581ZP P G 280を 9 ^の L B培地
(アンピシリ 2 0 〃 g/ 含有) にて 2 5 °Cで培養し、 菌 の濁度 0 D 600 nm が 0.5に到達したとき、 I P T Gを 加え、 更に、 2 4時間培養を続け、 集菌後、 120; ^の
4 0 mMト リス · H C 1, pH8.0(0. ImM E D T A, 5 mM M g C 1 2 , 0. ΙΨ/V TritonX- 100および 1 0 mM 2 —メ ルカプトエタノールを含有する) 緩衝液に浮遊し、 超音波 処理により菌体を破砕し、 遠心操作 (19,000rpm, 6 0分
間) し、 上清を粗抽出液として分離した。
実施例 8
逆転写酵素の粗精製:粗抽出液にポリ ミ ン P (B R L社 〔米国〕 製) を 0.1% (W/V) 加え、 4 °Cにて 3 0分攪 拌し、 遠心操作 (16,000rpm, 2 0分間) して得た上清に硫 酸アンモニゥム液を加え、 4 0 %飽和として生じた沈澱を 遠心操作 (16, OOOrpm, 2 0分間) によ り除去し、 上清 を得た。 再び、 硫酸アンモニゥム液を加えて、 8 0 %飽和とし、 生じた沈澱を上記の 5 Q ν£の 4 O mMトリス · H C 1緩衝液に溶解し、 同様の 5 0 mMN a C 1を含む緩衝 液で透析を行った。
実施例 9
逆転写酵素の精製:次に、 D E A Eバイオゲル A (バイ オラ ッ ド社 〔米国〕 製) とァフィゲルへパリ ンカラムクロ マト (バイオラッ ド社製) にて精製を行った。 4 O mMトリ ス * H C 1, pH8.0(0. ImM E D TA, 5 m M g C 1 2, 0.1% (W/V) TritonX-100, 1 O mM 2 —メルカプ トエタ ノールおよび 5 0 mMN a C 1を含有する) 緩衝液で平衡化 した容量 3 0 ^の D E A Eバイオゲル Aカラムを上記の透 析済み試料を通過させたものを上記の緩衝液で平衡化した 容量 3 0 miのァフィゲルへパリ ンカラムに通し、 塩化ナト リゥム勾配 5 0 mM〜400mMの溶出液 にて溶出した。
結果を第 4図に示す。 逆転写酵素活性を含む画分 2 9 〜 3 8をプールした。 プールして得た逆転写酵素液は 2 0 mMリ ン酸ソ一ダ緩衝液、 PH6.8(0. lmME D T A, 5 mM M g C 12, 0.1% (W/V) TritonX-100および 1 0 mM 2 一メルカプトエタノールを含有する) に透析し、 ハイ ドロ ォキシァパタイ トカラム (KBカラム、 株式会社高研 〔日 本〕 製) を用い、 高速液体クロマトにより、 更に精製を行 つた。 即ち、 上記の透析済み試料をカラムに吸着後、 2 0 〜 4 0 mMのリ ン酸ソ一ダ一の連続濃度勾配にて溶出を行い. 逆転写酵素活性を含む画分をプールし、 精製逆転写酵素を 得た。 本精製酵素の純度は、 S D S— PAGEにより 9 5 % (W/W) 以上であることが確認され、 また、 その収率 は粗抽出液に対し、 3 1 % (WZW) であった。 精製逆転 写酵素は、 ほぼ等モル比の P 6 4及び p 5 1から成り、 両 者の N末端アミ ノ酸配列を決定したところ、 P r o—
I 1 e - S e r - P r o - I 1 e -G l u -Th r - V a 1 一 P r o— V a 1 - L y s - L e u -L y s—
P r o - G 1 y……であり、 塩基配列から予測されるァミ ノ酸配列と一致した。
実施例 1 0
エイズウイルスのコア蛋白を多量に発現するべクターの 構築: H I V— 1プロウィルスゲノム DN Aを保有するプ
ラスミ ド p NL 4— 3 (Journal of Virology, 5 9 (2): 284- 291, 1986) の D N Aを制限酵素 P v u ϋで切断し、 約 2. lkbの D Ν Α断片を回収した。 この断片をプラスミ ド p U C 9の H i n c Π部位に揷入した。 そして揷入した断 片の 5' 末端が B a mH I部位側に連結したものを p C V 9 1 とした。
P C V 9 1を B a mH I及び B a 1 Iで切断した後、 生 じた約 1.5kbの DNA断片を回収し、 S a i l、 T 4 DNAポリメラーゼ、 及び B a m H Iで順次処理した発現 ベクタ一 p U R 292 (The EMBO Journal, 2 (2): 1791- 1794, 1983) に挿入して、 p P G912を作製した。 更に、 P P G912を B g 1 Π切断、 T 4 D N Aポリメラーゼ処理 の後、 自己連結させ、 p P G912を B g 1 Π部位に 4塩基 挿入した p P G 922を作製した。
p P G912及び p P G922では、 p UR 292上の
1 a c Z遺伝子の 3 ' 末端部に、 H I V- 1 a g遺伝子 の P 2 4領域から p 0 1遺伝子のプロテア一ゼ領域までを 完全に含む D N A断片が in- frameで連結されている。 H I V - 1の遺伝子産物は;5—ガラク トシダーゼとの融合 蛋白として発現し、 その後、 p P G912では g a gから p o 1へのフレームシフティ ングを介して、 また、 p P G 922ではフレ一ムシフティ ングを介さずに発現するプロテ
ァーゼによるプロセスを受け、 p 2 4コア蛋白が産生され る。 尚, P P G912では p 1 5 も産生される。
上記の発現プラスミ ド p P G912及び p P G 922を
B a mH I と C 1 a Iで切断した後、 生じた約 1.5kbの DN A断片をそれぞれ回収し、 B a mH I と C 1 a Iで開 裂した発現べクター p T 7— 7 (Proc. Natl. Acid. Sci. USA, 8 2 : 1074- 1078, 1985) に挿入し、 p T G 1 1及び p T G 1 2を作製した。 次に p TG 1 1およひ p TG 1 2 を B a mH Iで開裂し、 T 4 D N Aポリメラーゼで処理し た後、 自己連結させ、 p TG110及び p TG120を作製し た。 これは、 由来する p PG912及び p P G 922と同じ
H I V蛋白領域を T 7プロモーター支配下で p T 7— 7由 来のオリゴペプチドとの融合蛋白として発現する。 融合蛋 白はプロテアーゼによるプロセスを受け、 その結果 p 2 4 及び p 1 5が産生される。
尚、 プラスミ ド構築の宿主として大腸菌 J M103株
(Nucleic Acid Research, 9(2): 309- 321, 1981) , p P G912及び p P G922での蛋白発現の宿主として大腸 菌 UT481株 (Journal of Bacteriology , 163: 376- 384, 1985) 、 p TG100及び p TG120での蛋白発現の 宿主として大腸菌 B L 2 1 (D E 3 ) 株 (Journal of Molecular Biology, 189 ( 1 ) : 113- 130, 1986) を
用いた。 それぞれの大腸菌培養 1 当りの精製 p 2 4及び p 1 5の収量は表 1に示した。
実施例 1 1
エイズウイルスのヌクレオプロティンを多量に発現する べクターの構築:実施例 1 0で作製した g a g— p 0 1遺 伝子発現プラスミ ド p P G912を H i n d inで切断し、 生 じた約 0.9kbの DNA断片を回収した。 次に、 この断片が 発現べクター p U R 290 (The E BO Journal, 2 (2): 1791 一 1794, 1983) の H i n d m部位に好ましい方向で揷入さ れたプラスミ ド p P G 930を作製した。 p P G 930では、 P UR290上の I a c Z遺伝子の 3 ' 末端部に H I V - 1 g a g遺伝子の p 1 5領域から p o 1遺伝子のプロテア一 ゼ領域までを完全に含む D N A断片が in-irameで連結され ている。 H I V遺伝子産物は 一ガラク トシダ一ゼとの融 合蛋白として発現する。 この融合蛋白はフレームシフティ ングを介して発現するプロテアーゼによるプロセスを受け. その結果、 p 1 5ヌクレオプロティンが産生される。
また、 上述の 0.9kbH i n d m断片を発現べクタ一 p T 7 - 7の H i n d IE部位に好ましい方向で挿入された プラスミ ド p T G 2 1 を作製した。 更に、 p T G 2 1 を S a 1 I切断、 T 4 DN Aポリメラーゼ処理の後、 自己 連結させることにより p TG210を得た。 p TG210は
p P G 930と同じ H I V蛋白領域を T 7プロモーター支配 下で p T 7— 7由来のオリゴぺプチ ドとの融合蛋白として 発現する。 この融合蛋白はフ レームシフティ ングを介して 発現するプロテアーゼによるプロセスを受け、 その結果、 ρ 1 5が産生される。
尚、 プラスミ ド構築の宿主として JM103株、 p P G 930での蛋白発現の宿主として U T481株、 P TG210で の蛋白発現の宿主として B L 2 1 (D E 3 ) 株を用いた。 それぞれの大腸菌培養液 1 £当りの精製 P 1 5の収量は表 1に示した。
表 1 培養液 1 当りの精製蛋白の収量 発現プラスミ ド 宿 主 p 2 4 (mg) 1 5 (mg)
PPG912 UT481 5 0.7
PPG922 UT481 5
PPG930 UT481 1
pTGHO BL2KDE3) 1 9 3
PTG120 BL2KDE3) 1 0
PTG210 BL2KDE3) 精製した p 2 4及び p 1 5の N末端ァミノ酸配列を決定 したところ、 p 2 4は P r o— l i e— V a l —G l n— A s n - L e u -G l n - G 1 y - G 1 n— M e t - V a 1 一 H i s— G i n— A l a— I 'l e— . . . , P 1 5は I 1 e — G l n— L y s — G l y— A s n— P h e — A r g— A s n — G 1 n— A r g— L y s - T h r ― V a 1……, であり、 それぞれ塩基配列から予測されるァ ミ ノ酸配列と一致した。
実施例 1 2
形質転換体の培養によるエイ ズウイ ルスのコア蛋白 P 2 4の抽出 :形質転換体ク口一ン U T481/p P G922 をア ン ピシ リ ン 2 0 〃 gZ 含有の L B培地 (B acto
1 1 90
4 9
-tryptone 1 % (W/V) , Bacto-yeast extrzct 0.5% (W/V) 及び N a C 1 1 % (W/V) ) で 3 7 °Cにて 1 8時間培養後、 1 Z100容量を新鮮 L B培地 (アンピシ リ ン 2 0 gノ^含有) に加え、 3 7 °Cにて前培養した。 培地の濁度 O D 600 nm が 0.5に達した時、 I P T G
(Isopropyト thiogalactoside:シグマ社 〔米国〕 製) を l mM加え、 更に 3 7 °Cにて 8時間培養を続けた。 遠心操作 (5, OOOrpm, 1 0分) で菌体を集め、 1 5 0容量の 5 0 mMリ ン酸ナ ト リ ウム pH7.0 に浮遊し、 超音波処理 ( 3 0秒処理を 5回、 19.5KHz 300W) 後、 遠心操作 (19, OOOrpm, 6 0分) により上清を分離した。
p 2 4の粗精製 :粗抽出液に 3 5 %飽和となるよう硫酸 アンモニゥムを加え、 攪拌後、 遠心操作 (16000rpm, 2 0 分) により回収した沈澱を 3 0 m£の 2 Q mMマロン酸ナ ト リ ゥム pH5.3に溶解し、 同液で透析を行った。
p 2 4の精製:透析後の試料を 2 0 mMマロン酸ナリ トウ ム pH5.3で平衡化した M o n o Sカラム (ファルマンァ社 〔スウェーデン〕 製) に通し、 塩化ナト リウム勾配 (0及 至 1 M) により溶出した。 p 2 4を含む画分をプールし、 2 0 mMト リス · H C 1緩衝液 pH8.4で透析を行った。 透析 後、 同緩衝液で平衡化した M 0 n 0 Qカラム (フアルマシ ァ社 〔スウ ェーデン〕 製) に通し、 塩化ナ ト リ ウム勾
配 (0及至 1 M ) により溶出を行い、 精製 p 2 4を得た。 実施例 1 3
P 1 5の抽出 :形質転換体クローン B L 2 1 ( D E 3 ) / P T G 210をァンピシリ ン 2 0 g 含有の L B培地 で 3 7 °Cにて 1 8時間培養した。 新鮮 L B培地 ( 2 0 〃 g アンピシリ ン含有) に前述の培養液を 1 Z 100容量相 当を加え、 3 7 °Cにて培養した。 培地の濁度 0 D 6 Q Q nmが 0. 5に達した時、 I P T Gを 1 mMとなるように加え、 更に、 3 7 °Cにて 5時間培養した。 遠心操作 (5000rpm, 1 0分) により菌体を集め、 培養液の 1 5 0容量の 2 0 mMリ ン酸 ナト リウム pH7. 0に浮遊し、 超音波処理 ( 3 0秒処理を 6 回, 19. 5KHz, 300W) 後、 遠心操作 (19000rpm, 6 0分) により得られた上清を粗抽出液として分離した。
P 1 5の粗精製:粗抽出液に 6 0 %飽和となるように硫 酸アンモニゥムを加え、 攪拌後、 遠心操作 (16000rpm, 2 0分) を行った。 得られた沈澱を 2 0 mMリ ン酸ナトリゥ ム PH7. 0に溶解し、 同液で透析を行った。
P 1 5の精製:透析後の試料を 2 0 mリン酸ナトリウム pH7. 0で平衡化したホスホセルロ一スカラム (ヮ ッ トマン 社 〔英国〕 製) に通した。 0及至 1 Mの塩化ナ ト リ ウム勾 配により溶出し、 p 1 5を含む画分をプールし、 2 O mMリ ン酸ナト リゥム pH7. 0で透析した。 これを、 ハイ ドロキシ
ァパタイ トカラム (K Bカラム, ㈱高研製) に通し、 2 0 及至 700mMのリ ン酸ナ ト リゥム勾配にて溶出を行つた。
1 5を含む画分をプールし、 再び 2 0 mMリン酸ナ ト リウ ム pH7.0で透析を行った。 この試料を M o n o Sカラムに 通し、 0及至 1 Mの塩化ナト リウム勾配により溶出を行つ た。 P 1 5を含む画分をプールし、 精製 p 1 5を得た。 実施例 1 4
エイズウイルスの g a g— p 0 1遺伝子を揷入 ·連結し た発現プラスミ ドの構築: H I V— 1プロウィルス DNA ク ローン p N L 4 — 3 を H i n d mで切断し、 生じた 約 1.2kbの D N A断片をクローニングべクター p H S G 398 (宝酒造社製) の H i n d m部位に挿入し、 p NL H 122を作製した。 p NLH l 2 2を B g i n及び H i n d mで切断し、 牛じた約 1.03kbの D N A断片を B a mH I及 び H i n d IKで開裂した M 1 3 m 1 9 (宝酒造社製) DNAに挿入 ·連結し、 G a g l 9 * (B g— H) を作製 した o 01 igonucleot ide-directed in vitro
mutagenesis system Vers ion 2 mersham社 〔英国〕 製) を用いて G a g l 9 * (B g - H) 上の g a g遺伝子の翻 訳開始コ ドン (ATG) 直前の塩基配列 GAGを CATに 改変し、 新たに N d e I部位を導入した G a g 1 9 · (N d e ) を作製した。 G a g l 9 (N d e) を N d e l
及び P s t Iで切断し、 生じた 0.63kbの D N A断片を. N d e I及び P s t Iで開裂した p T 7— 7に挿入 ·連結 し、 P T G541を作製した。 更に、 実施例 1 0で作成した P P G912及び p P G 922を P s t Iで切断し、 生じた約 1.2kbのDNA断片をそれぞけp T G541の P s t I部位 に挿入し、 好ましい方向で連結したものを p TG591及び p T G 592とした。 p T G591及び p T G 592では T 7プ 口モータ一支配下に ^遺伝子の翻訳開始コ ドンから、 上遺伝子のプロテアーゼ領域までを完全に含む D N A 断片が連結されている。 p TG591では、 発現した H I V 蛋白はフレームシフティ ングを介して発現するプロテア一 ゼによるプロセスを受け、 多量の p i 7, p 2 4及び P 1 5が産生される。 p TG 592では発現した H I V蛋白 は、 フ レームシフティ ングを介さず発現するプロテア一ゼ によるプロセスを受け多量の p 1 7及び p 2 4が産生され ) o
尚、 プラスミ ド構築の宿主として J M103株、 蛋白発現 の宿主として B L 2 1 (D E 3 ) 株を用いた。
実施例 1 5
エイズウイルスのマトリ ックス蛋白を多量に発現するべ クタ一の構築: 実施例 1 4で作製した p T G591を N s i I及び A p a Iで切断し、 S 1 ヌクレアーゼで処理した後
自己連結させた。 g a g遺伝子の N s i I部位より N末端 側と、 A p a I部位より C末端側とが i n— f r a m eで 融合した場合、 p 2 4の途中から p 1 5の途中までを欠い た G a g蛋白及び G a g— P o l蛋白が発現し、 これらは 後者に含まれるプロテアーゼによるプロセスを受け、 p 1 7が産生されると推測される。 上述の操作で得られた 多数のクローンから P 5 5 G a g蛋白をプロセスする活性 を発現し、 かつ、 p 1 7を多量に産生するクローンを選別 し、 p T G691とした。
p T G591を B g 1 Πで切断後、 T 4 DNAポリメラー ゼで処理し、 更に、 P s t Iで切断した。 この時生じる約 0.52kbの DNA断片を回収した。 一方、 p TG591を
N s i I, S 1 ヌク レア一ゼ, P s t Iで順次処理し、 こ の時生じる約 2.9kbの DNA断片を回収した。 上記 2種の DNA断片を連結し、 多数のクローンを得た。 このうち、 p 5 5 G a g蛋白をプロセスする活性を発現し、 かつ、 p 1 7を多量に産生するクローンを選別し、 P TG681と した。
p T G 591 を S p h I及び A p a Iで切断し、 T 4 1 NAポリメラーゼで処理した後、 自己連結させて p TG 71を作製した。
p T G 592を S p h l及び A p a lで切断し、 T 4
1
5 4
DNAポリメラ一ゼで処理した後、 自己連結させて p TG
172を作製した。
実施例 1 4で作成した G a g 1 9 · (N d e ) を E c o
R I及び? s t Iで切断し、 生じた 0.76kbの DNA断片を- E c o R I及び P s t Iで開裂した M 1 3 m p 1 8に挿入
'連結し、 G a g l 8 * (B g - P) を作製した。
in vitro mutagenes isにより G a g l 8 * ( B g - P )
上の g a g遺伝子の 1 3 3番目のコ ドン C CTを TAAに 改変し、 p 1 7をコードする領域の直後に終止コ ドンを挿
入した G a g l 8 * T A Aを作製した。 G a g 1 8 ·
TAAを N d e l及び P s t lで切断し、 生じた 0.63kbの
D N A断片を N d e I及び P s t Iで開裂した p T 7— 7 に挿入 '連結し、 p T G 5 2を作製した。
P丁0691及び TG 1 7 1ではフレームシフティ ング
を介して、 p TG681及び p TG172ではフレームシフテ
イ ングを介さずに発現するプロテア一ゼにより、 欠損
G a g蛋白及び G a g— P o l蛋白がプロセスを受け、 多 量の P 1 7が産生される。 また、 p T G 5 2は翻訳後のプ 口セスを受ける必要のない p 1 7を直接多量に産生する。
尚、 プラスミ ド構築の宿主として JM103株、 蛋白発現
の宿主として' B L 2 1 (D E 3) 株を用いた。
実施例 1 6
p 1 7の抽出 :形質転換体クローン B L 2 1 (D E 3 ) / p T G 171をアンピシリ ン 2 0 ^ g / 含有の L B培地で 3 7 °Cにて 1 8時間培養した。 新鮮 L B培地 ( 2 ΰ m g / アンピシリ ン含有) に前述の培養液を 1 Z100容量相当 を加え、 3 7 °Cにて培養した。 培地の濁度 0 D 600 ηιη 0.5に達した時、 I P T Gを 1 mMとなるよう加え、 更に、 3 7 °Cにて 5時間培養した。 遠心操作 (5000rpm, 1 0分) により菌体を集め、 培養液の 1 / 5 0容量の 1 5 mMリ ン酸 ナト リゥム pH6.7 に浮遊し、 超音波処理 ( 3 0秒処理を 6 回, 19.5kHz, 300W) 後、 遠心操作 (19000rpm, 6 0分) により得られた上清を粗抽出液として分離した。
p 1 7の粗精製 :粗抽出液に 4 0 %飽和となるよう硫酸 アンモニゥムを加え、 攪拌後、 遠心操作 ( 16000rpm, 2 0 分) を行った。 得られた上清に 8 0 %飽和となるよう硫酸 ァンモニゥムを加え、 攪拌後遠心操作 ( 1 6 0 0 0 rpm , 2 0分) を行った。 得られた沈澱は 1 5 mMリ ン酸ナ ト リゥ ム PH6.7に溶解し、 同液で透析を行った。
p 1 7の精製 :透析後の試料を 1 5 mMリ ン酸ナト リウム p H6.7で平衡化した S— sepharose (フアルマシア社 〔ス ゥェーデン〕 製) に通した。 0及至 1 Mの塩化ナ ト リウム 勾配により溶出し、 P 1 7を含む画分をプールし、 1 5 mM
リ ン酸ナトリウム pH6.7で 2倍希釈した。 これを同液で平 衡化した Mo n o Sカラム (フアルマシア社製) に通した ( 0及至 1 Mの塩化ナトリゥム勾配により溶出し、 p 1 7を 含む画分をプールし、 2 0 mMリ ン酸ナトリウム pH7.0、 1 0 mM2—メルカプトエタノールで 5倍希釈した。 これを. ハイ ドロキシァパタイ トカラム (KBカラム, ㈱高研製) に通し、 1 5及至 700mMのリ ン酸ナトリゥム勾配にて溶出 を行った。 この方法で 1 ^の形質転換体培養液から約 4 mg の精製 P 1 7を得ることができた。 精製した p 1 7は N末 端のメチォニン残基が除去されていたが、 ミ リス トイル化 は受けておらず、 N末端ァミノ酸配列は G 1 y - A 1 a - A r g - A 1 a - S e r - V a l - L e u - S e r - G l y - G l y - G l u - L r e - A s p - L y s · T r p……で、 塩基配列から予測されるァミノ酸配列と一 致した。
実施例 1 7
H I V- 1の n e f 遺伝子を揷入 ·連結した発現プラス ミ ドの構築 : H I V— 1プロウィルス D NAク ロー ン P N L 4 - 3を H i n d mで切断し、 生じた約 1.5kbの D N A断片をクローニングベクター p H S G 398の
H i n d M部位に揷入し、 p N L H 152を作製した。
P N L H 152を Hし n d ΙΠ及び X h o Iで切断し、 この時
生じた約 0.72kbの X h o I -H i n d HI断片を S a 1 I及 び H i n d HIで開裂した発現べクター p UR 292 (The EMBO Journal, 2 (2): 1791- 1794, 1983) に挿入 ·連結し、 P NF102を作製した。 p NF102を B a m H I及び
H i n d mで切断し、 生じた約 0.72kbの B a m H I 一 H i n d m断片を B a m H I及び H i n d Mで開裂した発 現ベクター p T 7 - 7に挿入 ·連結して p TF 103を作製 した。 p TF103を J_j_ig_H Iで開裂し、 T 4 DNAポリ メラーゼで処理した後、 自己連結させて p TN104を作製 した。 p N F 102は;8—ガラク トシダーゼと、 H I V— 1 N e f 蛋白のアミノ酸 3 5番目から 206番目 ( C末端) ま での領域とからなるキメラ蛋白を多量に発現する。 p TN 104は N e f 蛋白のアミノ酸 3 5番目から 206番目までの 領域の N末端に p T 7— 7のマルチクローニング部位由来 の 1 1アミ ノ酸から成るペプチドが付加されたキメラ蛋白 を多量に発現する。 これらキメラ蛋白は、 ウェスタンプロ ッティ ングで H I V— 1感染者血清と特異的に反応した。 発現の宿主として、 p NF102では JM103株及び UT 481株を、 p T F 104では B L 2 1 (D E 3 ) 株を用いた。 実施例 1 8
H I V— 1の N e f 蛋白を多量に発現するべクターの構 築: p NLH l 5 2を H i— n d !II及び H i n c Πで切断し、
生じた約 0.96kbの H i n c Π - H i n d m断片を、 H i n c Π及び H i n d IEで開裂した M 1 3 m p 1 9に揷 入 ·連結し、 N e f l 9 * (H e— H) を作製した。
in vitro mutagenesisにより N e f l 9 * (H e — H ) 上の n e f 遺伝子の翻訳開始コ ドン (A T G) 直前の塩基 配列 A A Gを C A Tに改変し、 新たに N d e I部位を揷入 した N e f l 9 * (N d e ) を作製した。 N e f 1 9 ·
(N d e ) を N d e I及び H i n d mで切断し、 生じた約 0.82kbの N d e I -H i n d IEを、 N d e I及び H i n d ΠΙで開裂した発現ベクター p T 7 - 7に挿入 ·連結し、 ρ Τ 7 — N e f を作製した。 p T 7 — N e f を B L 2 1
(D E 3 ) 株に導入すると全菌体蛋白の 1 0 %以上の N e f 蛋白が発現 ·蓄積された。
実施例 1 9
N e f 蛋白の抽出と精製:形質転換体クローン B L 2 1 (D E 3 ) Zp T 7 — N e f をアンピシリ ン 2 0 ^ g /mi 含有の L B培地で 3 7 °Cにて 1 8時間培養した。 新鮮 L B 培地 ( 2 0 / g /mi了ンピシリ ン含有) に前述の培養液を 1 Z100容量相当を加え、 3 7 °Cにて培養した。 培地の濁 度 O D 60。nmが 1.0に達した時、 I P T Gを 1 mMとなるよ う加え、 更に、 3 7 °Cにて 5時間培養した。 遠心操作 (5, OOOrpni, 1 0分) により菌体を集め、 培養液の 1 /
5 0容量の 2 O mMリ ン酸ナト リゥム pH7.0に浮遊し、 超音 波処理 ( 3 0秒処理を 6回, 19.5kHz, 300W) 後、 遠心操 作 (19,000rpm, 6 0分) により得られた上清を粗抽出液と して分離した。
N e f 蛋白の粗精製 :粗抽出液に 3 5 %飽和となるよう 硫酸アンモニゥムを加え、 攪拌後、 遠心操作 (16,000rpni,
2 0分) を行った。 得られた沈澱を 2 O mMリン酸ナト リゥ ム PH7.0に溶解し、 同液で透析を行った。
N e f 蛋白の精製 :透析後の試料を 2 O mMリン酸ナトリ ゥム pH7.0で平衡化した S— sepharose (フアルマシア社
〔スウェーデン〕 製) に通した。 0及至 1 Mの塩化ナト リ ゥム勾配により溶出し、 N e f 蛋白を含む画分をプールし. 2 0 mMリン酸ナ ト リゥム pH7.0で透析した。 これを、 ハイ ドロキシァパタイ トカラム (K Bカラム, ㈱高研製) に通 し、 2 0及至 700mMのリン酸ナ 卜 リウム勾配にて溶出を行 つた。 N e f 蛋白を含む画分をプールし、 2 0 mMト リス · H C I pH8.3, 5 mM2 —メルカプトエタノールで透析を行 つた。 この試料を M o n 0 Qカラムに通し、 0及至 1 Mの 塩化ナ ト リ ウム勾配により溶出を行った。 N e f 蛋白を含 む画分をプールし、 精製 N e f 蛋白とした。 1 ^の形質転 換体培養液から約 7 mgの精製 N e f 蛋白を得ることができ た。
大腸菌で多量産生し、 精製した N e f 蛋白は、 N末端の メチォニン残基が除去されていたが、 ミ リス トイル化は受 けておらず、 N末端ァ ミ ノ酸配列は G 1 y— G 1 y— L y s — T r p— S e r — L y s — S e r— S e r ―
V a 1 一 I 1 e - G l y - T r p - P r o -A l a -
V a 1……で、 塩基配列から予測されるァミノ酸配列と一 致した。
実施例 2 0
精製 N e f 蛋白を用いる H I V— 1の診断:実施例 1 9 で調整した精製 N e f 蛋白を、 実施例 2に記載の要領でポ リアク リルァミ ド上で電気泳動し、 次いで、 二トロセル口 —ス膜上にプロッ トした後、 プロッキングのため、 該膜を 3 % (WZW) ゼラチン溶液に浸漬した。 H I V _ 1 N e f 蛋白に対する抗体の存在は、 ウェスタンブロッ ト法 によりヒ ト H I V— 1キャリアー ( 7例) の血清を用いて 検査した。 健康な成人 (9例) の血清についても同様に検 查した。 その結果を第 2表に示す。
H I V— 1キャ リア一 7例中の 6例の血清が N e f 蛋白 と反応し、 陽性であった。 この結果から、 本発明により大 腸菌で生産 ·調製した精製 H I V- 1 N e f 蛋白を使用 することにより、 H I V— 1感染の特異的な検出 ·診断の 可能であることが分かった。
第 2表 精製 N e f 蛋白を用いるゥヱスタ ンプロッ ト法 よる H I V— 1感染の診断 検 体 反 M
H I V - 1 キャ リア— 1
ヒ ト血清 2
3
4
5
6
7
健常人血清 1
2
3
4 ± + + + + + + +
5
6
7
8
9
* 精製 N e f 蛋白との特異的免役学的反応
* * ゥヱスタ ンプロッ ト法により測定した反応性、 +は 陽性、 一は陰性をそれぞれ示す。
産業上の利用可能性
本発明は、 遺伝子工学による医薬品や診断剤等の製造分 野、 また、 研究用試薬として分子生物学、 ウィルス学、 医 学、 薬学、 獣医学、 免疫学等の分野で利用できる。