明 細 書
D型バニリルマンデル酸の測定法およ びそれに使用する試薬およびキッ ト 技 術 分 野
本発明は生体試料中に含まれる D型バニリルマンデル 酸の測定法およびそれに使用する試薬およびキッ トに関 するものである。
背 景 技 術
カテコールアミ ン酸性代謝物を産生する腫瘍と しては, 褐色細胞腫および神経芽細胞腫が知られている。 神経芽 細胞腿は主に小児に発生し、 日本におてはマススク リー 二ングの測定項目とされている。
生体内における神経芽細胞腫の存在の確認は尿中の力 テコールア ミ ン酸性代謝物であるバニリルマンデル酸 ( V M A ) およびホモバニリ ン酸 (H V A ) の含有量を 測定することにより判断されている。
従来、 尿中の V M Aおよび H V Aの測定に用いられて いる方法と してはスポッ ト法、 ディ ップ法などの定性法、 高速液体クロマ トグラフィ ー (H P L C ) 法、 免疫学的 測定法などの定量法が報告されている。 スポッ ト法、 デ ィ ップ法は偽陽性の出現率が高く、 必ずしも満足できる 方法ではない。 また、 H P L C法は精度の点では信頼で
きる俊れた方法であるが、 装置の維持、 管理に熟練の専 従者を必要とし、 かつ複数の検体を同時に処理できない という欠点を有している。
これに対して、 免疫学的測定法は上述の従来法の欠点 を克服できるものと期待されている (特開昭 60— 1 23765号公報、 特開昭 62 - 1 1 165号公報、 Biogenic Amines, Vol .4, No.3, pp229〜 235
( 1 987) 、 小児がん、 J_£、 250 - 252
( 1 988) 、 改訂版神経芽钿胞腫マス , スク リーニン グ、 第 148〜 1 52頁、 1 989年、 社会福祉法人恩 賜財団母子愛育会発行、 Journal of Immunological Methods. 118. 101 〜107(1989) など参照) 。
VM Aは下記式で示すように、 その分子内に不斉炭素 を有し、 光学活性の異なる二つの光学異性体 (D型と L 型) が存在する。
〔式中、 は不斉炭素を示す〕
しかし、 従来報告されている免疫学的測定法では、 D 型 VM Aを特異的に測定できるか否かに関してはまった く言及されておらず、 その示唆もされていない。
発明の開示
本発明者らは D型 VMAを特異的に、 しかも簡便に測 定する方法を開発すべく研究を重ねた結果、 抗 D型 VMA抗体の取得に成功し、 該抗体を用いて極めて簡便 な方法により生体試料中の D型 VM Aのみを特異的に測 定する方法を確立し、 本発明を完成させた。
すなわち、 本発明は、 生体試料中の D型 VM Aを下記 の (A) 〜 (D) 工程により測定する方法において、 検 量曲線を作成するための標準物質として D型 VMAと L 型 VMAの等量混合物 (ラセミ混合物) を使用し、 標識 化抗 V M A抗体と して標識化抗 D型 VM A抗体を使用し、 下記 (D) 工程において得られた値から生体試料中に含 まれる D型 VM Aの濃度を算出することを特徴とする生 体試料中の D型 V M Aの測定法に関するものである。
(A) 固相に VMAを結合させて得た固相化 VMAと 標識化抗 VMA抗体を用い、 生体試料中の VMA と固相化 VM Aとを標識化抗 VM A抗体に対して 競合反応させる工程 ;
( B ) 液相部と固相部とを分離し、 固相部を必要によ り洗浄する工程 ;
( C ) 固相化 VM Aに結合した標識化抗 VM A抗体の 標識量またはそれ以外の標識量を測定する工程 ; および
(D) 生体試料の代わりに既知の濃度の VMA (標準
物質) を使用する以外は上記 (A) 〜 ( C) 工程 と同様の方法を実施することにより得られる標識 量と VMA濃度との関係を示す曲線 (検量曲線) を作成するか、 あるいは関係式を求め、 該検量曲 線または該関係式から上記 ( C) 工程で得られた 標識量に対応する VMAの濃度を算出し、 該濃度 を生体試料中に含まれる V MAの濃度とするェ 住。
また、 本発明は上記測定法で使用する下記の①〜③の 特性を有する抗 D型 VM A抗体試薬に関するものである t
① 親和性
D型 VMAに特異的に反応する。
② 交差性
D型 V M Aへの反応性を 1 0 0 %とした場合の L 型 VM Aへの反応性は 1 %以下である。
③ クラス
I g Gに属する。
さらに、 本発明は上記測定法を実施するための、 下記 の①および②の試薬から構成される D型 VM A測定用キ ッ トに関するものである。
① 標識化された上記抗 D型 VM A抗体試薬
② 固相化 VMA試薬
図面の簡単な説明
第 1図は、 VM Aのラセミ混合物 (D L— VMA) を
標準物質と して用い、 作成した検量曲線を示すグラフで め
発明を実施するための最良の形態 I . D型 VMAの測定法
本発明方法は上述の (A) 〜 (D) 工程で示される四 工程より構成される。
(A) 工程
(A) 工程で使用する生体試料と しては、 尿、 血液、 体液、 精液、 髄液など試料中に D型 VMAを含有する可 能性のあるものであれば特に制限されない。
たとえば、 尿を生体試料として使用する場合には採取 した原尿を必要により希釈 ¾ (たとえば、 リ ン酸緩銜生 理食塩水 (P B S) など) で 2〜 20倍に希釈したもの を試料と して使用する。 また、 濾紙に吸収させた尿を P B Sで抽出して得た濾紙抽出尿も試料と して使用する ことができる。
(A) 工程で使用する固相化 VMAはハプテンの固相 化法と して通常用いられている方法により調製すること ができる。 たとえば、 VMAと高分子担体との複合体を マイクロプレー トなどの固相に常法により結合させれば よい。
高分子担体と結合させる VMAとしては、 D型 VMA または D型 VM Aと L型 VMAとの等量混合物 (ラセミ 混合物) を使用することができる。
一 ら —
複合体を調製するために使用する高分子担体としては、 通常ハプテン抗原に対する抗体の作成にあたり常用され ている天然の高分子担体を使用することができる。 たと えば、 ゥシ血清アルブミ ン、 ゥサギ血清アルブミ ン、 ヒ ト血清アルブミ ンなどの動物血清アルブミ ン類、 ゥシ血 清グロブリ ン、 ゥサギ血清グロブリ ン、 ヒ ト血清グ口ブ リ ン、 ヒッジ血清グロプリ ンなどの動物血清グロプリ ン 類、 ゥシチログロブリ ン、 ゥサギチログロブリ ンなどの 動物チログロブリ ン類、 ゥシヘモグロビン、 ヒッジへモ グロビン、 ヒ トヘモグロビンなどの動物ヘモグロビン類、 キーホールリ ンぺッ 卜へモシァニンなどのへモシァニン 類などを例示することができる。
高分子担体と V M Aとの結合はマンニッ ヒ反応を応用 することにより実施することができる (特開昭 6 1 — 1 1 1 5 2号公報参照) 。
上述のようにして得られた複合体を結合させるための 固相の形状、 大きさおよび材質は特に制限されない。 す なわち、 マイ クロプレー ト、 ディ スク、 チューブ、 ビー ズ、 ラテックスなどの固相として常用されているものを 使用すればよい。
固相と上記複合体との結合は、 吸着法、 共有結合法、 イオン結合法、 架橋法、 包括法などいずれも適用するこ とができる。 具体的に、 このような結合法は固定化酵素 の調製に利用されている方法を応用すればよく、 たとえ
ば 「固定化酵素」 (昭和 5 0年、 (株) 講談社発行) 第 9〜 7 5頁などの成書を参照することができる。
(A) 工程で標識化抗 D型 VMA抗体として使用する 抗 D型 VMA抗体は、 たとえば上述の VMAと高分子担 体との複合体を免疫抗原とし、 該免疫抗原を動物に投与 して生体内に D型 VMAを認識する抗体を産生させ、 こ れを取得する方法に従って調製することができる。
免疫抗原を投与する動物としては、 ゥ シ、 ゥマ、 ヒッ ジ、 ャギ、 ラ ッ ト、 マウス、 モルモッ ト、 ィヌ、 ブタ、 ゥサギ、 サル、 ハ ト、 ニヮ ト リなどいずれであつてもよ く 、 特にマウス、 ラ ッ 卜、 モル乇ッ ト、 ゥサギ、 ャギな どが好都合である。
このような動物への免疫抗原の投与は常法に従って行 えばよく 、 たとえば、 完全フロイ ン トアジュバン ト、 不 完全フロイ ン トアジュバン ト、 ミ ヨ ウノ、'ンアジュバン ト、 水酸化アルミニウムアジュバン ト、 百日咳菌ァジュバン 卜などの各種アジュバン トと上述の免疫抗原との懸濁液 を調製し、 これを上記動物の静脈内、 腹腔内、 皮下また は皮内に投与すればよい。
投与量は、 動物と してゥサギ、 モルモッ トを使用する 場合には復合体の量と して 0. 0 1〜 1 0mg/匹、 また はマウス、 ラ ッ トを使用する場合には、 0. 0 0 1〜 1 mgZ匹程度が好適である。
初回投与後、 1〜4週間おきに 1〜 5回程度の上記と
同様の追加免疫を行う ことで、 D型 V M Aを認識する抗 体を産生させることができる。
このようにして産生された抗体は、 最終免疫の 1〜 2 週間後に採血し、 これを遠心分離することにより抗血清 と して取得することができる。 抗体の精製が必要とされ る場合には、 さらに、 溶解度差を利用した選択的分別法 (たとえば、 塩析、 アルコール沈殿など) 、 電荷の差を 利用した分別法 (たとえばイオン交換クロマ トグラフィ 一、 電気泳動など) 、 分子量の差を利用した分別法 (た とえば超遠心法、 ゲル濾過法など) などの常法を適宜組 み合わせて抗血清中に存在する抗体を抗体のクラスごと に分別精製してもよい。 特に、 免疫抗原として使用した D型 V M Aと高分子担体との複合体を固定化して得た固 定化抗原を利用すると、 D型 V M Aを認識する抗体のみ を分別精製しうる。
次に、 モノ ク ローナル抗体の調製について説明すれば、 該モノ ク ローナル抗体は公知の細胞融合法、 E B ウィル スなどによる トラ ンスフォーメーショ ン法などを適宜応 用することにより調製することができる。
モノ ク ローナル抗体の大量生産により好適な細胞融合 法を例に挙げ説明すれば、 たとえば以下の手順で D型 V M Aを認識するモノクローナル抗体を取得することが できる。
a) 抗体産生細胞の調製
前記免疫抗原を動物、 好ま しく はマウス、 ラ ッ トなど に抗血清の場合と同様に免疫し、 免疫を獲得した動物か らの脾細胞、 リ ンパ節細胞、 末梢血リ ンパ球などの抗体 産生細胞を常法により取得する。
b) ミエローマ細胞の調製
ミエローマ細胞と しては、 マウス、 ラ ッ 卜、 ヒ トなど の種々の動物に由来し、 当業者が一般に入手可能な株化 細胞を使用する。 使用する細胞株と しては、 薬剤抵抗性 を有し、 未融合の状態では選択培地で生存できず、 抗体 産生細胞と融合した状態でのみ生存できる性質を有する ものが好ま しい。 通常、 8 - ァザグァニン耐性株が用い られ、 この細胞株はヒポキサンチン - グァニンホスホリ r シノレ 卜 ラ ンスフ ェ ラーゼ (Hypoxanthine guanine phosphoribosyl transferase) を欠損し ヒポキサンチ ン ♦ ア ミ ノプテリ ン · チミ ジン (HAT) 培地に生育で きない。 また細胞の性質と して免疫グロブリ ンを分泌し ない、 いわゆる非分泌型の細胞株であることが好ま しい C ミエローマ細胞株の具体例と しては、 P 3 X 63Ag8 (A T C C T I B— 9) (Nature. 256, 495 - 497 ( 1 975) ) 、 P 3 X 63 Ag8 U. 1
( P U 2 ) (AT C C C R L - 1 597) (Current Topics in Microbiology and I niniunol ogy , 81 , 1 - 7 ( 1 978) ) 、 P 3 X 63 Ag8. 653 (AT C C
C R L - 1 5 8 0 ) (J. Immunology, 1 2 3 , 1 54 8 - 1 5 5 0 ( 1 9 7 9 ) ) 、 P 2 /N S I Z 1 — Ag4— 1 ( A T C C T I B— 1 8) (European J .1 inraunology, 6_, 5 1 1 - 5 1 9 ( 1 9 7 6 ) ) 、 S p 2 / O - Ag 1 4 ( A T C C C R L - 1 58 1 ) (Nature, 2 7 6 , 2 6 9 - 2 7 0 ( 1 9 7 8) ) などのマウス ミ エローマ 細胞株、 2 1 0. R C Y. A l . 2. 3 (Y 3 - Agl . 2. 3 ) (A T C C C R L - 1 6 3 1 ) (Nature, 2 7 7 , 1 3 1 - 1 3 3 ( 1 9 7 9 ) ) などのラ ッ ト ミ エローマ細胞株、 U - 2 6 6— (ProcNatl .Acad.
Sci.U.S.A.. 7 7 , 54 2 9 ( 1 9 8 0 ) ) 、 G M 1 5 0 0 (Nature, 288, 4 88 ( 1 9 8 0 ) 、 K R 一 4 (ProcNatl .Acad.Sei.U.S.A. , 7 9 , 6 6 5 1 ( 1 9 82 ) ) などのヒ ト ミエローマ細胞株を例示する ことができる。
c) 細胞融合
細胞融合にあたっては、 抗体産生細胞に適合したミエ ローマ細胞を選定する。 細胞融合は、 イーグルの最少必 須培地 (M E M) 、 ダルベッコ変法イーグル培地
(D M E M) 、 R P M I 1 64 0培地などの動物細胞培 養用培地中で 1 0 ' 〜 1 0 οノ mlのミエローマ細胞と抗 体産生細胞を混合比 1 : 4〜 1 0に混合し、 3 7でで 1 〜 1 0分間細胞同士を接触させることにより効率よく融 合を行う ことができる。 細胞融合を促進させるために、
平均分子量 1 000〜 6000のポリエチレングリ コー ル (P E G) 、 ポリ ビニールアルコール、 センダイウイ ルスなどの融合促進剤を使用することができる。
また、 電気パルスを利用した市販の細胞融合装置を用 いて抗体産生細胞と ミ エローマ細胞を融合させることも できる。
d) 選択培地におけるハイプリ ドーマの選別
細胞融合処理後の細胞から目的とするハイプリ ドーマ を選別する手段と しては、 選択的培地における細胞の選 択的増殖を利用する方法を用いることができる。 たとえ ば、 細胞懸濁液を 1 5 %ゥシ胎児血清 ( F C S ) 含有 R P M I 1 640培地などで適当に希釈後、 マイクロプ レー ト上に 1 0 〜 1 06 Zゥエル程度まき、 各ゥエル に選択培地 (たとえば、 HAT培地など) を加え、 以後 適当に選択培地を交換して培養を行う。 ミエローマ細胞 と して 8 - ァザグァニン耐性株、 選択培地と して HAT 培地を用いた場合は、 未融合のミエローマ細胞は培養 1 0日目ぐらいまでに死滅し、 正常細胞である抗体産生 細胞もイ ンビトロ (in vitro) では長期間生育できない ので、 培養 1 0〜 14日目から生育してく る細胞をハイ ブリ ドーマと して得ることができる。
e) D型 VM Aを認識するモノ ク口一ナル抗体を産生す るハイプリ ドーマの検索
D型 VM Aを認識するモノクローナル抗体を産生する
ハイプリ ドーマの検索は、 酵素免疫測定法 ( E L A、 E L I S A ) 、 ラジオィムノアッセィ ( R I A ) などに よって行う ことができる。 たとえば、 前記の免疫抗原 (特に D型 V M Aと高分子担体との複合体) および免疫 抗原作製時に使用した高分子担体をそれぞれ吸着させた 9 6ゥエル E L I S A用マイ クロプレー トにモノ クロ一 ナル抗体を含む培養上清を添加して免疫抗原および高分 子担体と反応させ、 次いで結合した特異抗体に酵素標識 抗免疫グロブリ ン抗体を反応させるか、 あるいはビォチ ン標識抗免疫グロブリ ン抗体を反応させたのちァビジン D -酵素標識体を反応させ、 次いでいずれの場合とも各 ゥエルに酵素基質を加えて発色させる。 免疫抗原を固定 化したゥエルにおいては発色し、 高分子担体を固定化し たゥエルでは発色しない培養上清を選別することにより、 D型 V M Aと特異的に反応する抗体を産生するハイプリ ドーマを検索することができる。
f) ク ローニング
ハイプリ ドーマのクローニングは、 限界希釈法、 軟寒 天法、 フィ プリ ンゲル法、 蛍光励起セルソーター法など により行うことができる。
g) モノ クローナル抗体の産生
このようにして取得したハイプリ ドーマからモノ ク ロ ーナル抗体を産生する方法としては、 通常の細胞培養法 や腹水形成法などが採用されうる。
細胞培養法においては、 ハイプリ ドーマを 1 0〜 1 5 % F C S含有 R PM I 1 640培地、 無血清培地などの 動物細胞培養用培地中で培養し、 その培養上清液から抗 体を取得することができる。
腹水から回収する方法では、 ハイプリ ドーマと腫瘍組 織適合性が一致する動物に、 プリスタ ン (2, 6, 1 0, 14 - テ トラメチルペン夕デカン) などの鉱物油を腹腔 内に投与した後、 たとえばマウスの場合にはハイプリ ド 一マを約 1 07 Z匹腹腔内投与する。 ハイプリ ドーマは 1 C!〜 18日ほどで腹水腫瘍を形成し、 血清および腹水 中に高濃度に抗体を生産する。
抗体の精製が必要とされる場合には、 硫安塩折法、 D E A Eセルロースなどの陰ィォン交換体を利用するィ ォン交換ク 口マ トグラフィ 一、 プロテイ ン A -セファ ロ ースなどを用いるァフィ二ティ 一クロマ 卜グラフィ一、 分子ふるいクロマ トグラフィ ーなどの公知の方法を適宜 に選択し、 組み合わせることにより精製することができ る 0
このようにして得られた抗体は標識化して本発明方法 に供する。
使用する抗体は抗体そのものであってもよいが、 非特 異的な吸着を防止する意味から抗体の活性フラグメ ン 卜 を使用するのが好ま しい。
抗体の活性フラグメ ン トは、 抗体の特徴を保持するも
の (たとえば、 F ( a b 7 ) 2、 F a b ' 、 F a bなど の各種フラグメ ン ト) であればいずれのものであっても よい。 これら活性フラグメ ン トの調製は、 精製抗体をパ パイ ン、 ペプシン、 ト リプシンなどのプロテア一ゼを用 いて限定分解する方法など公知の方法を適用して行うこ とができる (たとえば 「免疫生化学研究法 (铳生化学実 験講座 5 ) 」 、 日本生化学会編、 89頁 ( 1 986年) 参照) 。
抗体に結合させる標識剤と しては、 放射性同位体 (た とえば a8P、 3 H、 5 じなど) 、 酵素 (たとえば、 β - ガラク ト シダーゼ、 ペルォキシダーゼ、 アルカ リ ホスフ ァタ一ゼ、 グルコース - 6 - リ ン酸デヒ ドロゲナ一ゼ、 力タラ一ゼ、 グルコースォキシダ一ゼ、 乳酸ォキシダー ゼ、 アルコールォキシダーゼ、 モノア ミ ンォキシダーゼ など) 、 補酵素 ·補欠分子族 (たとえば、 F AD、 F MN、 A T P、 ピオチン、 ヘムなど) 、 フルォレセィ ン誘導体 (たとえば、 フルォレイセンイ ソチオシアナ一 ト、 フルォレセイ ンチオフルハ'ミ ノレなど) 、 ローダミ ン 誘導体 (たとえば、 テ トラメ チルローダミ ン Bイ ソチォ シアナー トなど) 、 ゥムベリ フエロンおよび 1 - ァニリ ノ - 8 - ナフタレンスルホン酸などの蛍光色素、 ルミ ノ ール誘導体 (たとえば、 ルミ ノール、 イ ソルミ ノ一ル、 N - ( 6 - ァ ミ ノへキシル) - N - ェチルイ ソノレミ ノー ルなど) などを用いる ことができる。 抗体またはその活
性フラグメ ン トと標識剤との結合は、 成書 〔たとえば、 「続生化学実験講座 5 免疫生化学研究法」 (株) 東京 化学同人、 ( 1 986年発行) 第 1 02〜 1 1 2頁〕 に 記載されているような公知の方法から適宜選択して実施 すればよい。
( A) 工程においては、 前述の固相化 VM Aと生体試 料中の VM Aとを標識化抗 D型 V MA抗体に対して競合 反応させる。 反応は 4〜 50 C、 好ま しく は 20〜 40 Cで 0. 1〜; L 0時間、 好ま しく は 0. 5〜 2時間程度 接触させることにより実施することができる。
(B) 工程
本発明方法の (B) 工程においては、 (A) 工程終了 後、 液相部と固相部を分離 (BZF分離) し、 必要に応 じて固相部を洗浄する工程である。
BZF分離は固相から液相部を除去できる方法であれ ばいずれの方法であってもよい。 具体的には、 マイクロ プレー ト、 チューブ等を固相として使用した場合には固 相部を傾けたり、 洗浄したり、 反転または回転させるこ とにより液相を固相から物理的に除去することができる。 また、 ビーズ、 ラテックスなどの粒状の固相を使用した 場合には濾過、 遠心分離、 吸引、 洗浄などの手段により 液相と固相を分離することができる。
BZF分離後、 固相の洗浄は、 P B Sなどの緩銜液ま たは食塩水などの塩溶液を用いて行う ことができる。 ま
た、 洗浄は B / F分離と同時に行ってもよい。
( C ) 工程
本発明方法の ( C) 工程は固相に結合した標識化抗 D 型 VM A抗体の標識量またはそれ以外の標識量を測定す る Ifeでめ 0
標識量の測定は、 使用した標識の種類に応じてその標 識の測定に使用している通常の方法を用いて実施すれば よい。
たとえば、 放射性同位元素を標識として使用した場合 には液体シンチレーシヨ ンカウンタ一等を用いて測定す ることができる。 また標識と してペルォキシダーゼ、 力 タラーゼ、 グルコースォキシダーゼ、 乳酸ォキシダーゼ、 アルコールォキシダーゼ、 モノア ミ ンォキシダーゼなど の酸化還元酵素を用いた場合には、 基質として過酸化水 素 (H 202 ) 、 呈色試薬として o - フヱニレンジア ミ ン、 2 , 2 ' - ァ ミ ノ ビス ( 3 - ェチルベンズチアゾリ ンスルホン酸) アンモニゥム酸 (A B T S ) 、 3, 3' , 5, 5 ' ーテ トラメ チルベンチジン (TMB Z ) などを 使用し、 ^ - ガラク トシダーゼを用いた時には基質とし てフルォレセイ ン - ジ - ( y8 - D - ガラク ト ビラノ シ ド) を使用し、 反応後の溶液中の吸光度または蛍光強度を測 定すればよい。
(D) 工程
(D) 工程においては、 既知濃度の VMAラセミ混合
物を用いて作成した検量曲線から上述の ( C) 工程で測 定した生体試料の標識量に対応する D型 VM Aの濃度を 算出する工程である。
本発明方法で使用する標準曲線は標準物質として
VMAのラセミ混合物を使用して作成する。 VMAは通 常ラセミ混合物の形で市販されており、 このラセミ混合 物は光学分割することができるが、 操作が煩雑で、 かつ 分割収率も満足できるものではない。 このため、 ラセミ 混合物自体を標準物質として使用する方が好都合である (D) 工程おける D型 VMAの算出の方法は、 VMA のラセミ混合物を用いて作成した検量曲線から得られる 値を半分にして D型 VM Aの濃度とする方法が最も簡便 な方法である。 しかし、 本発明方法においては上記方法 に限定されるものではなく、 たとえば、 V M Aのラセミ 混合物を用いて測定した標識量を縦軸に、 VMAのラセ ミ混合物の半分の濃度を横軸にして検量曲線を作成し、 該検量曲線から試料中の D型 VM Aの濃度を直接的に求 める方法、 VMAのラセミ混合物を用いて測定した標識 量と VMAのラセミ混合物中の D型 VM Aの濃度との関 係式をコ ンピュータ一により求め、 該関係式から試料中 の D型 V M Aの濃度を求める方法など、 VMAのラセミ 混合物を標準物質と して用いた検量曲線または関係式か ら D型 V M Aの濃度を算出できる方法であればいずれの 方法であっても採用することができる。
Π. 抗 D型 VMA抗体試薬
上記測定法で使用する抗体試薬としては、 後述の実施 例で示されているような下記の性質を有するものが好ま しい。
① 親和性
D型 VM Aに特異的に反応する。
② 交差性
D型 V M Aへの反応性を 1 0 0 %と した場合の L 型 V M Aへの反応性は 1 %以下である。
③ クラス
I g Gに属する。
このような性質、 特に L型 VMAに対する交差性が 1 %以下であるものを使用すれば、 標準物質として VMA のラセ ミ混合物を使用しても、 該標準物質中の L型 V M Aとの反応性はほぼ完全に無視することができる。 このため、 上記測定法の (D) 工程で示したような極め て簡便な方法で D型 VM Aの真の存在量を算出すること ができる、 という効果を有する。
上記抗体試薬を標識化する場合の標識の種類および標 識化方法は、 既に I ― (A) 工程の段で説明したとおり ある。
Π. D型 VMA測定用キッ ト
本発明の測定法を実施するための測定用キッ トは少な く とも下記の試薬を構成成分とする。
① 標識化された上記抗 D型 VMA抗体試薬
② 固相化 VM A試薬
上記キッ トにおいて①の本発明の抗体試薬を標識した ものを使用することにより L型 VMAとの反応性を無視 できるため、 ②の固相化 VMA試薬中の VMAと しては D型 VMAはもとより VMAのラセミ混合物を使用する こともできる。
具体的には、 酵素標識化した抗体試薬を用いる測定キ ッ トは、 例えば下記の試薬から構成される。
① 固相化 VM A試薬 (マイクロプレー トに VM Aラ セ ミ混合物を結合させたもの)
② ペルォキシダーゼで標識した上記抗 D型 VM A抗 体試薬
③ 基質液 (過酸化水素 + TMB Z )
④ 酵素反応停止液 (硫酸水溶液)
⑤ 既知濃度の標準物質 (VMAラセミ混合物) 上記各試薬の調製法およびこれら試薬から構成される キッ トを用いた D型 VMAの測定法の詳細は、 後述の実 施例に記載したとおりである。
以下、 実施例を示し、 本発明をさらに詳細に説明する。 実施例 1
① 標識化抗 D型 VMA抗体の調製
VMAのラセ ミ混合物 (以下 「D L— VMA」 と記載 する) 0. 3 mMおよびヒ ト血清アルブミ ン (H S A)
1 0 0 ^を 0. 3 M炭酸水素ナ ト リ ウム溶液 1. 0mlに 溶解させ、 3 7 %ホルマリ ン 0. 2mlを加え、 3 M酢酸 ナ ト リ ゥム溶液で p H 6〜 7に調整した。 共栓試験管の 空間部を窒素ガスで置換し、 2 0 ± 3。Cで 7 0時間遮光 下反応させた。 反応後、 1 0での蒸留水で数回透析し、 凍結乾燥して D L - VMA - H S A複合体を得た。
上述の D L - V M A— H S A ( 1 mg/ml) を生理食塩 水に溶解させ、 完全フロイ ン トアジュバン トと 1 : 1で 混合してエマルジョ ンとしたものを BalbZ cマウス (雌、 6週齡) の腹腔内に 5 0 ; g / 1 0 0 1投与して初回 免疫と した。
初回免疫後、 2週間おきに数回、 同様の方法で免疫し た後、 最終免疫として上記ェマルジ ヨ ン 5 0 μ g Z
1 0 0 fi I をマウスの尾静脈に投与した。
最終免疫から 3日後にマウスの脾細胞を摘出し、 ィ一 ダルの最少必須培地 (M E M) で洗浄した。 マウスミエ ローマ P 3 x 6 3 Ag8 U. 1 ( P 3 U 2 ) (A T C C C R L - 1 5 9 7 ) を M E Mで洗浄し、 脾細胞と
P g U iを 1 0 : 1で混合したのち遠心分離して得たぺ レツ トに 5 0 %ポリエチレングリ コール ( P E G)
1 0 0 0含有 M E M溶液 1 mlを徐々に加えて、 細胞融合 を行った。 さらに、 M E M溶液を加えて 1 0 mlとし、 遠 心分離して得たペレッ トを 1 0 %ゥシ胎児血清 ( F C S ) 含有 R P M I 1 64 0培地に P s TJ として 3 X 104
eel 1/ 0. 1 mlとなるように懸濁させ、 9 6ウェルマィ クロプレー トに各ゥエル 0. 1 mlずつ分注した。 1 日後、 11 丁培地を 0. 1 ml添加し、 その後 3〜4 日ごとに培 地の半分量を新しい H A T培地で交換し、 ハイプリ ドー マの生育が認められたゥエル ( 1 1 5 2株) の上清
1 0 0 1 を分取し、 P B S 2 0 0 1で希釈した。 あ らかじめ H S Aでコー ト した 9 6ウェルマイク口プレー トおよび D型 V MA— H S A { 1 0 g /ml) でコー ト した 9 6ウェルマイク口プレー トに上記の希釈した培養 上清液をそれぞれ 5 0 gずつ添加した。 アビジン D - 酵素結合体と して、 アビジン D -ペルォキシダーゼ (ベ クタ一社製) 、 基質および発色剤として過酸化水素およ び 4 - ァ ミ ノアンチビリ ン/フエノールを用いた
E L I S A法により D型 V MA— H S Aと反応し、
H S Aと反応しない抗体を産生するハイプリ ドーマ 2 5 株 ( 1 1 5 2株中) を選択した ( 1次スク リーニング) 。 次に D型 V MA— H S A ( 0. 1 μ. g / ml) を 1 ゥエル あたりで 5 0 〃 1加えてコー ト したプレー トに、 前述で 選択したハイプリ ドーマの培養上清 2 5 cz 1 と D L — V MAの希釈液 ( 1 6 0、 3 2、 6. 4、 1. 2 8、
0. 2 5 6、 0. 0 5、 0 ( /z g D L - V MAZml))を それぞれ 2 5 1加えた。 室温下、 1時間保持した後、 発色剤として 0 - フユ二レンジア ミ ンを使う他は前述の E L I S A法の場合と同じ試薬を用いて、 競合法による
酵素免疫測定法を行つた。
D L - VMA 0 n g / mlでの吸光度と、 各濃度の吸 光度の差を調べ、 低濃度において吸光度の差が大きいモ ノ クローナル抗体を産生する 4種のハイプリ ドーマ (V 9 0 1株、 V 9 1 1株、 V 9 1 2株、 V 9 14株) を選 別した ( 2次スク リ ーニング) 。
次に限界希釈法によりハイブリ ドーマのクローニング を行った。 クローニング後、 細胞 (ハイプリ ドーマ) を 培養して細胞数を増やし、 あらかじめプリスタ ンを腹腔 内に投与して 1ヶ月位たつたマウスの腹腔内へ一匹あた り 3 X 1 0 6細胞を投与した。
2週間後マウス 1匹あたり約 2 0 mlの腹水を採取した, 腹水約 4 0ml ( 2匹分) と同量の P B Sを加えて希釈 した後、 飽和硫安を加え、 5 0 %硫安飽和条件下にて沈 殿する画分を遠心分離した。 この沈殿画分に約 1 0 mlの 0. 1モル ト リ ス -塩酸緩衝液 ( p H 7. 2) を加えて 溶解させ、 これを同綾街液に対して 2日間透析した。
次に、 抗体溶液を D E 5 2 (ワ ッ トマン社製) を充填 したカラム ( 2 2 mm X 6 5 cm) に添加し、 素通り画分を 集め、 次にこの素通り画分をウルトロゲル A c A44
( I B F社製) を充填したカラム ( 2 2 mmX 6 5 cm) に 添加しゲル濾過することにより、 約 6 0 0 mgの精製抗体 を得た。
2次スク リーニングによって選別した 4株のハイプリ
ドーマにより得られた抗 D型 V MA抗体の免疫学的性質 を以下に示す。
特異的親和性 :
いずれの抗体も D型 VM Aに対して特異的に反応する ものであった。
交差性 :
D型 V M Aに対する結合性を 1 0 0 %と した時、 他の カテコールア ミ ン酸性代謝物に対する抗体の交差性を調 ベた結果を第 1表に示す。
カテコールア ミ ン酸性代謝物 抗体結合性 (重量%)
D型 VM A 1 0 0
D L - V M A 5 0
L型 V M A < 1
ホモバニ リ ン酸 (H V A) < 0. 0 1
3 , 4 - ジ ヒ ドロキシマ ンデ 4
リ ン酸 ( D 0 M A )
3 , 4 - ジ ヒ ドロキシフ エ二 < 0. 0 1 ノレ酢酸 ( D 0 P A C )
メ タネフ イ リ ン < 0. 0 1 バニルピルビン酸 4
なお、 交差性は、 各カテコールアミ ン酸性代謝物につ いてそれぞれ標準曲線を描き、 50%阻害時 (点) にお ける各カテコールアミ ン酸性代謝物の濃度比を比較する 方法により求めた。
サブクラス ♦ タイプ :
得られた抗体のサブクラスは I g G 2 „ Z (1株) と I g G丄 ( 3株) であった。
このようにして得たモノ クローナル抗体液 5ml (濃度 1 OiagZml) を、 0. 1モル酢酸緩衝液 (p H 3. 9 ) に対して透折した。 透析して得たモノ クローナル抗体液 に 5 mlの酵素液 〔ペプシン 2 oig、 塩化ナ ト リ ウム
8. 7mgを 0. 1モル酢酸緩街液 (p H 3. 9) に溶解 させたもの〕 を加え、 37でで一晚反応させた。 反応液 を 0. 1 Mホウ酸锾衝液 (p H8. 0) に対して透析後、 ウル ト ロゲル A c A 44を用いてゲル滹過し、
F ( a b ' ) 2画分を集めた。 得られた F ( a b ' ) 2 画分溶液を 4m / mlとなるようにセン ト リ一フロー (ァ ミ コン社) を用いて濃縮した後、 0. 1モルりん酸緩衝 液 ( p H 6. 0 ) に対して透析した。 次に 2 - メルカプ トェチルァ ミ ン 1 1 mgを 5 raMの E D T Aを含む 0. 1 M りん酸緩衝液 (p H 6. 0) に溶解させ、 この溶液
l O O yu lを F ( a b ' ) つ液 1 mlに加えて 37でで 90分間反応させた。 反応後、 反応液をセフアデッ クス G 25でゲル濾過し、 素通りのたんぱく質画分を集め、
セン ト リ一フローを用いて l mlまで濃縮し、 抗 D型
V M Aモノ ク ローナル抗体の F a b ' 溶液を得た。
次に、 ホースラディ ッ シュベルォキシダーゼ
(HR P 0 : 東洋紡鑌 (株) 製) 4 ragを 0. 6 mlの 0. 1モルりん酸緩衝液 (P H 7, 0) に溶解させた。
N - サク シ二ミ ジル - 4 - ( N - マレイ ミ ドメチル) シ クロへキサン - 1 - カルボキシレー ト (EMC S)
1. 5 ragに対し、 N , N - ジメチルホルムア ミ ド (DM F) を加え、 1 5. 4ingZmlとなるように溶解させた。 この溶液 60 ^ 1 と、 先に調製した HR P O溶液とを混 合し、 室温で 2時間反応させた。 次に、 反応液をセファ デックス G 25カラム ( 1 X 45 cm) でゲル濾過を行い、 溶出液の 403 nmにおける吸収を測定し、 H R P 0に相 当する素通り画分を集めセン 卜 リーフローを用いて 1 ml まで濃縮してマレイ ミ ド基を導入した HR P 0溶液を得 た。
上記の F a b ' 溶液 lmlとマレイ ミ ド基を導入した
H R P 0溶液 1 mlを混合し、 4でで一晚反応させた。 次 に反応液全量をウルトロゲル A c A 44カラム ( 1. 5 X 4 5 cm) を用いてゲル濾過を行い、 溶出液の 280 nra と 403 nmの吸収を測定し、 HR P Oと F a b' がほぼ 1 : 1に結合していると推定される画分を集めた。 得ら れた画分を P B Sに対して透析後、 セン ト リーフローで 濃縮し、 ペルォキシダーゼ標識化抗 D型 VMA抗体溶液
とした。
② 固相化抗原プレー トの調製
①で調製した D L— VMA— H S A複合体 を 5 mlの P B Sに溶解して抗原液とし、 これを 9 6ゥエル マイ クロプレー トに 1 ゥエルあたり 5 0 ^ 1加え、 室温 に 1時間放置して吸着させた。 残余の抗原液を除去した のち、 各ゥエルを 3回 P B Sで洗浄した。 次に、 ゥエル の抗原未吸着部分をプロッ クするため 3 %のゼラチンを 含む P B Sを 1 ゥエルあたり 3 0 0 /ί 1加えて室温に 1 時間放置し、 残余のゼラチン含有 P B Sを除去後、 減圧 乾燥を行い、 固相化抗原プレー トとした。
③ D型 VMAおよび L型 VMAの調製
下記の移動相に溶解させた D L— VM Α溶液 (0. 2 〜 2ragZml : シグマ社製) を光学分割ク口マ トグラフィ 一用充填力ラムを用いた高速液体ク口マ トグラフィ ー
(H P L C ) 法を用いて D型 VMAと L型 VMAに分離 した。 H P L Cの分離条件は以下のとおりである。
, D型 VMA、 L型 VMAの分離条件:
カラム
T S K gel Enantio L I (4. 6imnx 2 5 cm : 東 ソー (株) 製)
移動相
0. 5πιΜ硫酸銅水溶液
- 1 -
流 速
0. 5〜: L mlZ分
検 出
2 54 ηιπ
分取した D型 VMA画分および L型 VMA画分につい てそれぞれ ίμ—の吸収ビークが得られることを上述と同 様の H P L C法で確認した。
このようにして得られた D型 VMA画分および L型 VMA画分中の VMAは銅イオンとの錯体を形成してい るため、 それぞれの画分 0. 7 mlに対して 2. 6 %塩酸 溶液 0. 5mlを加えて錯体を破壊した。 次に、 酢酸ェチ ル 3 mlを加え、 さ らに塩化ナ 卜 リ ゥ厶を飽和状態になる まで加え、 1 0分間振遨後、 それぞれの VMAを含有す る酢酸ェチル層を分取し、 窒素ガスで溶媒を留去し、 得 られた残渣を P B S 3 0 0 ^ 1 に溶解させて D型 VM A 溶液または L型 VMA溶液と した。
D型 VMAの確認は、 D L— V M Aから Armstrong ら の方法 (Biochem.Biophys.Acta..2 5, 44 2
( 1 9 5 7 ) ) により得られた D型 VM A溶液を上述の H P L C法に供し、 保持時間を比較することにより行つ た。
④ 試料の測定
上述の D型 VMA溶液または L型 VMA溶液 5 0 β 1 およびペルォキシダーゼ標識抗 D型 VMA抗体溶液 5 0
11 1 を各ゥエルに加え、 室温で 1時間静置反応させた。 上記反応後、 各ゥエルの液を捨て、 0. 9 %食塩水を 用いて各ゥエルを洗浄した。
上記洗浄後、 基質液 ( 1 fflMHつ 0つと 0. 2 5 Μ
ΤΜ Β Ζを含有) 1 0 0 1 を加えて 2 5分間静置した, 反応停止液 ( 2 Ν硫酸溶液) 1 0 0 1を加え、 4 5 0 nraにおける吸光度を 9 6穴マイクロプレー ト リ一ダー M P R - A4 (東ソ一 (株) 製) を用いて測定した。 測定後、 標準物質として既知濃度の D L— VMAを用 いて作成した検量曲線 (第 1図) から上記の吸光度に対 応する VMA量を求めた。
また、 同様の試料を H P L C法により測定した。
H P L C法の測定条件は下記のとおりである。
•測定条件 :
カラム
P - 1 8 T (4 X 250 mm : I R I C A社製) 移動相
リ ン酸緩衝液 (p H 3. 0、 1. 3 6 Mアセ ト ン、 0. 0 1 3raME D T A含有)
検 出
電気化学的検出器∑— 87 5 (電圧 85 0raV :
I R I C A社製)
流 速
0. 8ml/分
測定結果を第 2表に示す,
1) 濃度単位は H g / ml
% 1 検出限界以上で測定できない
* 2 検出限界以下で測定できない 第 2表から明らかなように、 本発明方法は D型 VMA を特異的に測定できるのに対し、 使用した標識化抗体が L型 V M Aとはほとんど反応しないため、 L型 VMAを 測定できないことが明確となった。
実施例 2
① D型 VM A溶液を用いた検量曲線の作成
標準物質と して既知の濃度の D型 VM A溶液を用いて 実施例 1 と同様に反応させて検量曲線を作成した。
② 尿検体の測定
P B Sで 1 0倍に希釈した尿検体 (A、 B、 C) を試
料と して実施例 1に記載した方法で尿検体中の D型
VMAを測定した。 4 5 0 innにおける吸光度もとに D L 一 VMAを用いて作成した実施例 1の検量曲線 (第 1図) および D型 VM Aを用いて作成した上記検量曲線の 2つ の検量線からそれぞれの V M Aの濃度を求めた。
また、 実施例 1に記載した H P L C法により上記尿検 体の VM A濃度を求めた。 なお H P L C法の場合も D L 一 VMAと D型 VMAの 2つの標準物質を使用して検体 中の VMA濃度を算出した。
検体の測定結果を第 3表に示す。 第 3 表
1) 濃度単位は g Zml
H P L C法では D型と L型を区別できないので、 標準 物質として D型 VMAおよび D L— VMAを用いてもほ ぼ同等の値を与える。 これに対して、 本発明方法は D型 V M Aに特異的な抗体を使用しているために D L—
VMAを標準物質と して用いた時には標準物質中の全 VMAの半分量 (D型 VMAの含有量) と反応する。 し たがって、 D L— VMAを標準物質と して作成した検量 曲線を用いて尿検体中の VM Aの濃度を求めると現実に 存在する D型 VMAの 2倍の値が得られる。 このため、 標識化抗体として標識化抗 D型 VM A抗体および標準物 質として D L— VMAを使用する本発明においては、 測 定により得られた値を半分にすることにより検体中の真 の D型 VMAの値を求めることができる。
次に、 コ ンピューターを用いて D L— VMAを用いて 作成した検量曲線 (第 1図) の解析を行い、 本発明方法 により得られる検体の吸光度 (y) と検体中の D型
VMAの濃度 ( X ) との間には下記の関係式が成立する こ とを見出した。 このため、 検出曲線を作製しなく とも 下記式より直接的に D型 VM Aの濃度を求めることもで きる。 なお、 下記式の係数 (a〜 d) は今回の測定系に おける係数であり、 常に一定でないことは明らかである。 a - d
y
+ ( c /x) b + d a = 1. 478
b 0. 9 144
c 0 63
d 0. 02398
産業上の利用可能性 本発明方法は、 D型 VMAを特異的に測定できるため. 神経芽細胞腿のマススク リーニングに適用することがで さる o
また、 本発明の抗体試薬は、 L型 VMAと交差性が 1 %以下であるため、 標準物質および固相化 VMA試薬を 調製するた.めの VMAとして VMAのラセミ混合物を使 用することができる。
さらに、 上記抗体試薬を含む本発明の測定キッ トは本 発明方法を実施するのに最適の測定用キッ トである。