JPWO2014133060A1 - 抗生活習慣病用剤及びそれを含んでなる経口組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
(A)グルコースを構成糖とし、
(B)α−1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα−1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有し、
(C)グルコース重合度が6乃至430であって、重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で除した値(Mw/Mn)が20以下で、
(D)本文記載の高速液体クロマトグラフ法(酵素−HPLC法)により求めた水溶性食物繊維含量が20質量%以上である。
(1)2,3,6−トリメチル−1,4,5−トリアセチルグルシトールと2,3,4−トリメチル−1,5,6−トリアセチルグルシトールの比が1:0.6乃至1:4の範囲にあり、
(2)2,3,6−トリメチル−1,4,5−トリアセチルグルシトールと2,3,4−トリメチル−1,5,6−トリアセチルグルシトールとの合計が部分メチル化グルシトールアセテートの60%以上を占め、
(3)2,4,6−トリメチル−1,3,5−トリアセチルグルシトールが部分メチル化グルシトールアセテートの0.5%以上10%以下であり、
(4)2,4−ジメチル−1,3,5,6−テトラアセチルグルシトールが部分メチル化グルシトールアセテートの0.5%以上である。
(A)グルコースを構成糖とし、
(B)α−1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα−1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有し、
(C)グルコース重合度が6乃至430であって、重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で除した値(Mw/Mn)が20以下で、
(D)本文記載の高速液体クロマトグラフ法(酵素−HPLC法)により求めた水溶性食物繊維含量が20質量%以上である。
(1)2,3,6−トリメチル−1,4,5−トリアセチルグルシトールと2,3,4−トリメチル−1,5,6−トリアセチルグルシトールの比が1:0.6乃至1:4の範囲にある;
(2)2,3,6−トリメチル−1,4,5−トリアセチルグルシトールと2,3,4−トリメチル−1,5,6−トリアセチルグルシトールとの合計が部分メチル化グルシトールアセテートの60%以上を占める;
(3)2,4,6−トリメチル−1,3,5−トリアセチルグルシトールが部分メチル化グルシトールアセテートの0.5%以上10%以下である;および、
(4)2,4−ジメチル−1,3,5,6−テトラアセチルグルシトールが部分メチル化グルシトールアセテートの0.5%以上である。
(1)基質としてマルトース及び/又はグルコース重合度が3以上のα−1,4グルカンに作用し、非還元末端グルコース残基を他のα−1,4グルカンの非還元末端グルコース残基に主としてα−1,4またはα−1,6グルコシル転移することにより、非還元末端グルコース残基の4位または6位水酸基にグルコースがα−結合したα−1,4グルカン(グルコース重合度が1増加したα−グルカン)と、グルコース重合度が1減じたα−1,4グルカンを生成する。
(2)(1)で生じたグルコース重合度が1減じたα−1,4グルカンに作用し、(1)で生じたグルコース重合度が1増加したα−グルカンに対して、(1)と同様に分子間α−1,4又はα−1,6グルコシル転移することにより、(1)で生成したグルコース重合度が1増加したα−グルカンの非還元末端グルコース残基の4又は6位水酸基にグルコースをさらに転移し、鎖長を伸長する。
(3)上記(1)及び(2)の反応を繰り返すことにより、マルトース及び/又はグルコース重合度3以上のα−1,4グルカンからα−1,4及びα−1,6結合を有するグルカンを生成する。
(4)また前記α−グルコシル転移酵素はさらに、頻度は低いながらもα−1,3グルコシル転移やグルカンの内部にあるα−1,6結合したグルコース残基に対するα−1,4又はα−1,3グルコシル転移を触媒することにより、α−1,3結合、α−1,4,6結合、及びα−1,3,6結合をも有するグルカンを生成する。
(5)上記(1)乃至(4)の反応が繰り返される結果として、グルコースが主としてα−1,4結合及びα−1,6結合で結合し、僅かながらα−1,3結合、α−1,4,6結合、及びα−1,3,6結合を有する本分岐α−グルカンを生成する。
(1)CGTaseの加水分解作用により、α−1,4グルカンを加水分解し、α−1,4グルカンを低分子化し、新たな非還元末端が生成する。
(2)α−グルコシル転移酵素の転移作用により、グルコシル基をα−1,4グルカンの非還元末端にα−1,6グルコシル転移又はα−1,3グルコシル転移し、分岐構造を導入する。
(3)CGTaseの分子間転移作用により、上記(2)により導入された分岐構造のグルコース残基の4位水酸基にα−1,4グルカン鎖を転移し、分岐構造の鎖長が伸展する。
(4)さらに、α−グルコシル転移酵素の転移作用により、鎖長が伸展して生成したα−1,4グルカン鎖の非還元末端にさらにグルコシル基を、α−1,6グルコシル転移又はα−1,3グルコシル転移し、さらなる分岐構造を導入する。
(5)上記(1)〜(4)の反応が2種類の酵素の併用作用により混然一体となって行われ、α−1,6及び/又はα−1,3結合を比較的多く有する分岐α−グルカンが生成する。
1−1.調製例1
本分岐α−グルカンを製造するために用いる、α−グルコシル転移酵素の調製例を説明する。バチルス・サーキュランス PP710(FERM BP−10771)を、国際公開第WO2008/136331号パンフレット記載の方法でファーメンターで約24時間培養した。培養後、遠心分離し、培養液上清を回収し、80%飽和となるように硫安を添加し、4℃で24時間放置することにより塩析した。塩析物を遠心分離して回収し、これを20mM酢酸緩衝液(pH6.0)に溶解後、同緩衝液に対して透析し、膜濃縮し、濃縮粗酵素液1を調製した。本濃縮粗酵素液1のα−グルコシル転移酵素活性は200単位/mlであった。また、本濃縮粗酵素液1には約25単位/mlのアミラーゼ活性も認められた。
本分岐α−グルカンを製造するために用いる、上記以外のα−グルコシル転移酵素の調製例を説明する。アルスロバクター・グロビホルミス PP349(FERM BP−10770)を、国際公開第WO2008/136331号パンフレットに記載の方法でファーメンターで約24時間培養した。培養後、遠心分離し、培養液上清を回収し、80質量%飽和となるように硫安を添加し、4℃で24時間放置することにより塩析した。塩析物を遠心分離して回収し、これに20mM酢酸緩衝液(pH6.0)に溶解後、同緩衝液に対して透析し、膜濃縮し、濃縮粗酵素液2を調製した。本濃縮粗酵素液2のα−グルコシル転移酵素活性は50単位/mlであった。
2−1.製造例1
前記調製例1で調製した濃縮粗酵素液1を用いた本分岐α−グルカンの製造方法例について説明する。まず、30.0質量%トウモロコシ澱粉液化液(DE3.5)に、最終濃度1mMとなるように塩化カルシウムを加えた後、50℃に冷却し、これに濃縮粗酵素液1を、α−グルコシル転移酵素活性として基質固形物1グラム当たり11.3単位加え、更に、50℃、pH6.0で48時間作用させた。その反応液を80℃で60分間保った後、冷却し、濾過し、得られる濾液を常法に従って、活性炭で脱色し、H型およびOH型イオン樹脂により脱塩・精製し、更に濃縮し、噴霧乾燥して、分岐α−グルカン1の粉末を得た。得られた分岐α−グルカン1は、前述したα−グルコシル転移酵素の反応メカニズムにより、α−1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα−1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有する。
、流速0.5ml/分の条件で行い、検出は示差屈折計RID−10A(株式会社島津製作所製造)
を用いて行った。図1に分岐α−グルカン1のゲル濾過HPLCクロマトグラムを示した。ゲル濾過HPLCクロマトグラムから明らかなように、製造例1の方法で得られた分岐α−グルカン1には、分岐α−グルカンとしての画分(S1画分)と高分子量の水溶性多糖画分(S2画分)が含まれることが判明し、その質量比はS1画分を100質量%としたとき、S2画分は0.9質量%であった。また、ゲル濾過HPLCクロマトグラムから、分岐α−グルカン1はグルコース重合度が6乃至210の分岐α−グルカンの混合物であることが判明した。
rEX(Wyatta Technology社製)』を用いて行った。その結果、各画分の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)、重量平均分子量を数平均分子量で除した値(Mw/Mn)は表1に示す通りであった。
『TGKgel G2500PWXL(内径7.8mm×長さ300mm,株式会社東ソー製)』2本を直列に連結したものを用い、溶離液は脱イオン水、試料濃度は0.8質量%、カラム温度80℃、流速0.5ml/分、分析時間50分で、示差屈折計で検出した。上記で得られたクロマトグラムにおいて、酵素処理によっても分解されずに残存する未消化グルカンを水溶性食物繊維とした。この水溶性食物繊維と分解されて生成したグルコースのピーク面積をそれぞれ求め、別途、常法のグルコース・オキシダーゼ法にて定量した分析用試料溶液中のグルコース量を用いて、下記の式1により水溶性食物繊維量を求めた。さらに、下記の式2により被験試料の水溶性食物繊維含量を求めた。斯かる酵素−HPLC法により求めた分岐α−グルカン1の水溶性食物繊維含量は80.0質量%であった。
次いで、製造例1とは異なる方法で本分岐α−グルカンを製造した。すなわち、澱粉部分分解物(商品名『パインデックス#100』、松谷化学株式会社販売)を濃度33質量%となるように水に溶解し、これをpH6.0に調整し、上記酵素の調製例2で得た濃縮粗酵素液2を、α−グルコシル転移酵素活性として基質固形物1グラム当たり22単位加え、40℃、72時間作用させた。反応終了後、反応液を95℃に加熱し、10分間保った後、冷却し、濾過し、得られる濾液を常法に従って、活性炭で脱色し、H型およびOH型イオン樹脂により脱塩・精製し、更に濃縮して分岐α−グルカン2の溶液を得た。得られた分岐α−グルカン2は、前述したα−グルコシル転移酵素の反応メカニズムにより、α−1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα−1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有する分岐α−グルカンである。
アルコール(エタノール)誘導性ラット脂肪肝モデルを用いて、製造例1で得られた分岐α−グルカン1粉末のアルコール性脂肪肝に及ぼす影響を調べた。すなわち、5週齢のSD雄ラット(日本クレア株式会社から購入)24匹を一群6匹からなる試験群1乃至4に分け、予備飼育(飼育期間は2週間)として、全群のラットを通常飼料(商品名『NMF』、オリエンタル酵母工業株式会社製)を用いて1週間飼育後、表2に示す配合組成の液体飼料A(商品名『F2LCW』、オリエンタル酵母工業株式会社製。)を用いて更に1週間飼育した。次いで表2に示すように、試験群1のラットには液体飼料A、試験群2のラットには液体試料B、試験群3のラットには液体試料C、試験群4のラットには液体試料Dを用いて1週間飼育した。なお、試験群3および4のラットはエタノールに馴化させるために、1週間かけて液体飼料Aへのエタノール添加量を1質量/体積%から5質量/体積%へと段階的に増加させながら飼育した。その後、本飼育試験(飼育期間は5週間)として、全群のラットを各飼料を用いて5週間飼育した。なお、予備飼育および本飼育試験期間中、各飼料は自由摂取とし、各群ラットの体重および摂食量を経時的に測定した。本飼育試験を開始してから2、4週間経過後、直ちに試験群1乃至4のラットを6時間絶食させた後、部分採血し、血清中のTG、GOT、およびGPT濃度を常法により測定した。更に、本飼育試験始後、32日目に試験群3および4のラットを6時間絶食させた後、部分採血し、血中のエタノール濃度を常法により測定した。次いで、5週間に亘る本飼育試験満了後、直ちに、全群のラットを一晩絶食させた後、エーテル麻酔下、血液および肝臓をサンプリングし、血清中のTG、GOT、GPT、および遊離脂肪酸(以下、「NEFA」と言う。)の濃度、および肝臓中のTG、コレステロール、およびNEFA含量を常法により測定した。なお、各群ラットの肝臓をサンプリングするに際しては、肝臓をそれぞれ摘出し、肝臓質量を測定するとともに、常法により、肝臓の一部をホルマリン固定し、ヘマトキシリン−エオジン(H−E)染色標本を調製し、脂肪肝の有無を組織学的に調べた。なお、製造例1で得られた分岐α−グルカン1には80.0質量%の水溶性食物繊維が含有するので、6gの分岐α−グルカン1に含まれる水溶性食物繊維は約5gである。
高脂肪飼料により誘導されるマウス脂肪肝モデルを用いて、本分岐α−グルカンが、高脂肪飼料摂取に起因する脂肪肝に及ぼす影響について調べた。すなわち、C57BL/6J雄マウス(7週齢:日本クレア株式会社から購入)21匹を平均体重がほぼ均等になるように一群7匹からなる試験群1乃至3に分けた。試験群1のマウスは、日本クレア株式会社製の通常飼料(商品名『CE−2』)を用いて8週間飼育した。また、試験群2のマウスは、日本クレア株式会社製の高脂肪飼料(商品名『High Fat Diet 32(HFD32)』)を用いて8週間飼育した。試験群1及び試験群2の飲用水には蒸留水を用いた。また、試験群3のマウスは、前記高脂肪飼料を用いて8週間飼育し、飲用水には、製造例1で得られた分岐α−グルカン1を2質量%となるように蒸留水に混合し、溶解したものを用いた。なお、いずれの試験群においても、飼料および飲用水は自由摂取とした。また、試験期間中、各群マウスの体重および摂食量、飲水量を経時的に測定した。
<通常飼料(『CE−2』)の一般成分値>
水分 8.9g
粗たんぱく質 25.4g
粗脂肪 4.4g
粗灰分 4.1g
粗繊維 6.9g
可溶性無窒素物 50.3g
合計 100g
<高脂肪飼料(『HFD32』)の一般成分値>
水分 6.2g
粗たんぱく質 25.5g
粗脂肪 32.0g
粗灰分 4.0g
粗繊維 2.9g
可溶性無窒素物 29.4g
合計 100g
<高脂肪飼料(『HFD32』)の配合組成>
ミルクカゼイン 24.5質量%
卵白粉末 5質量%
L−シスチン 0.43質量%
粉末牛脂(牛脂80%含有) 15.88質量%
紅花油(高オレイン酸タイプ) 20.00質量%
結晶セルロース 5.5質量%
マルトデキストリン 8.25質量%
乳糖 6.928質量%
ショ糖 6.75質量%
AIN93ビタミン混合 1.4質量%
AIN93Gミネラル混合 5.0質量%
重酒石酸コリン 0.36重量%
第3ブチルヒドロキノン 0.002質量%
合計 100質量%
高脂肪飼料により誘導されるマウス脂肪肝モデルを用いて、製造例1で得られた分岐α−グルカン1が高脂肪飼料摂取に起因する食後高脂血症に及ぼす影響について調べた。飼育期間および分析項目以外は実験2と同じ試験系を用いた。すなわち、C57BL/6J雄マウス(7週齢:日本クレア株式会社から購入)21匹を平均体重がほぼ均等になるように一群7匹からなる試験群1乃至3に分けた。試験群1のマウスは、日本クレア株式会社製の通常飼料(商品名『CE−2』)を用いて3週間飼育した。また、試験群2のマウスは、日本クレア株式会社製の高脂肪飼料(商品名『High Fat Diet 32(HFD32)』)を用いて3週間飼育した。試験群1及び試験群2の飲用水には蒸留水を用いた。また、試験群3のマウスは、前記高脂肪飼料を用いて3週間飼育し、飲用水には、製造例1で得られた分岐α−グルカン1を2質量%となるように蒸留水に混合し、溶解したものを用いた。なお、いずれの試験群においても、飼料および飲用水は自由摂取とした。
ラットおよびヒトにおける本分岐α−グルカンの消化吸収性を製造例1で製造された分岐α−グルカン1を用いて検討した。
ラットを使用して、本分岐α−グルカンの消化吸収性を検討した。すなわち、7週齢のウィスター系雄ラット各群5匹を用いて、一晩絶食後、胃ゾンデにて製造例1で製造した分岐α−グルカン1又は澱粉部分分解物(商品名『パインデックス#1』、松谷化学工業株式会社製造)の水溶液を経口投与した。投与量はラット体重1kg当り固形分として3.3gとした。サンプル投与1時間後、3時間後、6時間後に胃、小腸、盲腸の内容物全量を蒸留水に懸濁し、良く撹拌することにより各サンプルの抽出を行った。抽出したサンプルの濃度をフェノール−硫酸法により測定した。測定結果は表12に示す(投与したサンプル量を100%とし、残存内容物を重量%で示した)。
次に、製造例1で製造された分岐α−グルカン1を用いて、ヒトにおける本分岐α−グルカンの消化吸収性を検討した。ヒトにおける糖質の消化吸収性を推察する指標としてグリセミックインデックス値(GI値)がある。GI値とは炭水化物50グラムを摂取した際の血糖値上昇の度合いを、ブドウ糖を100とした場合の相対値で表すとされ、下記式3に示す計算式により算出される。
GI={(試料摂取時の血糖値下曲線の面積)/(ブドウ糖摂取時の血糖値下曲線の面積)}×100
水溶性食物繊維が大腸に達し、腸内細菌に発酵分解されると水素ガスが発生することが知られている。発生した水素ガスは、抗酸化力(活性酸素除去力)があり、酸化ストレスが原因とされる疾患(例えば、生活習慣病、ガン、各種炎症性疾患などの様々な疾患)の予防または改善に寄与することが知られている(非特許文献1を参照)。また、水溶性食物繊維が大腸に達することで、善玉菌が増加して腸内環境が改善され、便通改善につながることも知られている。よって、本分岐α−グルカンに含まれる水溶性食物繊維が、実際に大腸に達し発酵分解を受けているか否かを調べるため、製造例1で製造された分岐α−グルカン1の摂取後の呼気中に水素ガスが含まれているか否かを下記方法により確認した。
ヒトが本分岐α−グルカンを摂取した場合の便通改善効果を、製造例1で製造された分岐α−グルカン1をヒトに実際に摂取させることによって検討した。まず、健常で規則正しい生活をしており、週の排便回数が2〜4回の成人女性の被験者20名を選出した。
ヒトが本分岐α−グルカンを摂取した場合の満腹感効果を、製造例1で製造された分岐α−グルカン1を用いて検討した。また、満腹感効果の作用メカニズムの一つを確認するために、ラットが本分岐α−グルカンを摂取した場合のグルカゴン様ペプチド−1(以下、「GLP−1」と略称する。)分泌に与える効果を確認した。
ヒトが本分岐α−グルカンを摂取した場合の満腹感効果を、製造例1で製造された分岐α−グルカン1を用いて検討した。まず、健常で規則正しい生活をしており、1日3回(朝、昼、晩)食事をとる習慣のある成人の被験者28名を選出した。なお、全被験者に対して、各試験の前日21時までに食事を終わらせ、十分な睡眠をとり、体調を整えさせた。
ヒトが本分岐α−グルカンを摂取した場合の満腹感効果を、製造例1で製造された分岐α−グルカン1とパンを同時に被験者に摂取してもらうことにより検討した。まず、健常で規則正しい生活をしており、1日3回(朝、昼、晩)食事をとる習慣のある成人の被験者28名を選出した。なお、全被験者に対して、各試験の前日21時までに食事を終わらせ、十分な睡眠をとり、体調を整えさせた。
GLP−1は摂食抑制に関与するホルモンとして最もよく知られており、活性型GLP−1と不活性型GLP−1がある。このなかでも特に活性型GLP−1の分泌が増加することは、満腹感の増加および持続をうながし、摂食抑制が誘導されると言われている(例えば、「日本臨床」、Vol.69、No.5、株式会社日本臨床社、p.826−829およびp.946−950(2011)参照)。そこで、ラットが本分岐α−グルカンを摂取した場合、活性型GLP−1の分泌にどのような影響を与えるかを下記のようにして調べた。
ラットが本分岐α−グルカンを摂取した場合の潰瘍性大腸炎に及ぼす効果を、製造例1で製造された分岐α−グルカン1を用いて検討した。実験では、飼育期間1と飼育期間2を設け、飼育期間1において、表14に示す配合組成の飼料(以下、「通常食」という。)を与え、飼育期間2において、通常食のコーンスターチの一部をデキストラン硫酸ナトリウム(平均分子量5,000、和光純薬株式会社販売、以下、「DSS」と略記する。)に置き換えて、DSSの配合量が5質量(w/w)%となるように調製した飼料(以下、「DSS食」という。)を与えることでラットの潰瘍性大腸炎を誘導した(『J.Gastroenterol. Hepatol.』、第16巻、第160〜168頁(2001年)参照)。以下、詳細に説明する。
製造例1に示す方法で得た分岐α−グルカン1粉末を5gずつポリエチレン製容器に充填し、密封し、本発明の抗生活習慣病用剤を得た。
製造例1に示す方法で得た分岐α−グルカン1粉末から常法により高分子の水溶性多糖を除去した画分を準備し、5gずつポリエチレン製容器に充填し、密封し、本発明の抗生活習慣病用剤を得た。
製造例2に示す方法で得た分岐α−グルカン2溶液を常法にしたがって濾過して、100mlボトルに無菌的に充填して、液剤形態の抗生活習慣病用剤を得た。
まず、調整例1の方法で調製したα−グルコシル転移酵素の濃縮粗酵素液1を国際公開第WO2008/136331号パンフレットの実験6に記載された方法で、ポリアクリルアミドゲル電気泳動で単一のバンドになるまで精製し、α−グルコシル転移酵素の精製液を調製した。30%タピオカ澱粉乳をpH6.5に調整し、これにα−アミラーゼ(ノボザイム社製)を澱粉グラム当たり0.2質量%になるように加え、95℃で15分間反応させ、その反応液を、オートクレーブ(120℃)を10分間行った後、40℃に冷却した。これに上で得たα−グルコシル転移酵素の精製液を固形物1グラム当たり10単位加え、40℃
、pH6.0で24時間作用させた。その反応液を95℃で10分間保った後、冷却し、濾過して得られる濾液を常法に従って、活性炭で脱色し、H
型及びOH型イオン樹脂により脱塩して精製し、更に濃縮、噴霧乾燥して分岐α−グルカン粉末を得た。本分岐α−グルカンは、メチル化分析において、2,3,6−トリメチル化物と2,3,4−トリメチル化物との比が1:0.6を示し、2,3,6−トリメチル化物と2,3,4−トリメチル化物の合計は部分メチル化物の80.0%
を占めていた。また、2,4,6−トリメチル化物及び2,4−ジメチル化物は、それぞれ部分メチル化物の1.1及び0.8%を示した。また、得られた分岐α−グルカンはグルコース重合度が6乃至210の混合物であった。本分岐α−グルカンは、重量平均分子量97,450ダルトン、数平均分子量5,530ダルトンであり、重量平均分子量を数平均分子量で除した値(Mw/Mn)は17.6であった。さらに、酵素−HPLC法により求めた水溶性食物繊維含量は40.1質量%であった。
30%タピオカ澱粉乳をpH6.5に調整し、これにα−アミラーゼ(ノボザイム社製)を澱粉グラム当たり0.2質量%になるように加え、95℃で15分間反応させ、その反応液を、オートクレーブ(120℃)を10分間行った後、40℃に冷却した。これに実施例4で得たα−グルコシル転移酵素の精製液を固形物1グラム当たり10単位加え、さらに、バチルス・ステアロサーモフィラス由来のCGTase(株式会社林原製)を固形物1グラム当たり0.1単位加え、40℃
、pH6.0で24時間作用させた。その反応液を95℃で10分間保った後、冷却し、濾過して得られる濾液を常法に従って、活性炭で脱色し、H型及びOH型イオン樹脂により脱塩して精製し、更に濃縮、噴霧乾燥して分岐α−グルカン粉末を得た。本分岐α−グルカンは、メチル化分析において、2,3,6−トリメチル化物と2,3,4−トリメチル化物との比が1:1.6を示し、2,3,6−トリメチル化物と2,3,4−トリメチル化物の合計は部分メチル化物の72.0%
を占めていた。また、2,4,6−トリメチル化物及び2,4−ジメチル化物は、それぞれ部分メチル化物の1.4及び1.7%を示した。また、得られた分岐α−グルカンはグルコース重合度が6乃至62の混合物であった。本分岐α−グルカンは、重量平均分子量32,830ダルトン、数平均分子量4,730ダルトンであり、重量平均分子量を数平均分子量で除した値(Mw/Mn)は6.9であった。さらに、酵素−HPLC法により求めた水溶性食物繊維含量は57.5質量%であった。
実施例5の製造方法において、α−グルコシル転移酵素を市販のアスペルギルス・ニガー由来のα−グルコシダーゼに置き換え、その他の工程は実施例5と同様に行い、分岐α−グルカン粉末を得た。本分岐α−グルカンは、メチル化分析において、2,3,6−トリメチル化物と2,3,4−トリメチル化物との比が1:0.9を示し、2,3,6−トリメチル化物と2,3,4−トリメチル化物の合計は部分メチル化物の60.0%
を占めていた。また、2,4,6−トリメチル化物及び2,4−ジメチル化物は、それぞれ部分メチル化物の0.7及び0.8%を示した。また、得られた分岐α−グルカンはグルコース重合度が6乃至62の混合物であった。本分岐α−グルカンは、重量平均分子量860ダルトン、数平均分子量470ダルトンであり、重量平均分子量を数平均分子量で除した値(Mw/Mn)は1.8であった。さらに、酵素−HPLC法により求めた水溶性食物繊維含量は21.5質量%であった。
製造例1に示す方法で得た分岐α−グルカン1粉末9gおよび糖転移ヘスペリジン(商品名『林原ヘスペリジンS』、株式会社林原販売)1gを均一に混合し、5gずつポリエチレン製容器に充填し、密封し、本発明の粉末状の経口組成物を得た。
製造例2に示す方法で得た分岐α−グルカン2溶液10g、糖転移ヘスペリジン(商品名『林原ヘスペリジンS』、株式会社林原販売)2g、及びアスパルテーム0.05gを精製水100mlに添加し、混合し、溶解し、精密濾過し、滅菌容器に50mlずつ無菌的に充填して、本発明の液状の経口組成物を得た。
製造例2に示す方法で得た分岐α−グルカン2溶液10g、糖転移ルチン1g、糖転移ヘスペリジン(商品名『林原ヘスペリジンS』、株式会社林原販売)1g、糖転移ナリンジン(株式会社林原製)1g、及びアスパルテーム0.002gを精製水100mlに混合し、溶解し、精密濾過し、50mlを無菌的に充填して、本発明の液状の経口組成物を得た。
製造例1に示す方法で得た分岐α−グルカン1粉末10g及びネオテーム0.01gを均一に混合し、5gずつポリエチレン製容器に充填し、本発明の経口組成物を得た。
製造例1に示す方法で得た分岐α−グルカン1粉末25g、ソルビトール15g、結晶セルロース10g、及びマルトース(商品名『サンマルト緑』、株式会社林原販売)35gを均一に混合し、常法にしたがって打錠機により打錠し、本発明の錠剤の形態にある経口組成物(厚さ約6mm、硬度約2600mg)を得た。
製造例1に示す方法で得た分岐α−グルカン1粉末100質量部、甘草1質量部、及び糖転移ヘスペリジン(商品名『林原ヘスペリジンS』、株式会社林原販売)5質量部とを均一に攪拌混合し、常法にしたがって、顆粒形成機にかけて顆粒化し、硬質カプセルに充填し、1カプセル当たり、分岐α−グルカン1を1g含有する、カプセルの形態にある本発明の経口組成物を得た。
製造例1に示す方法で得た分岐α−グルカン1粉末10質量部、ウコン0.1質量部、及び糖転移ルチン1質量部を均一に攪拌し、混合し、常法にしたがって、本発明の顆粒状の経口組成物を得た。
製造例1に示す方法で得た分岐α−グルカン1粉末100質量部、糖転移ヘスペリジン(商品名『林原ヘスペリジンS』、株式会社林原販売)3質量部、糖転移ルチン3質量部、及びグルクロノラクトン0.1質量部とを均一に攪拌し、混合し、常法にしたがって、顆粒形成機にかけて顆粒化し、硬質カプセルに充填し、1カプセル当たり分岐α−グルカン1を3g含有する本発明の経口組成物を得た。
製造例1に示す方法で得た分岐α−グルカン1を用いて、本発明の経口組成物である炭酸飲料を製造した。果糖ぶどう糖液糖50g、クエン酸1g、クエン酸ナトリウム0.3g、香料0.02gを炭酸水500mlと混合した。この混合液を攪拌しながら、砂糖40gを加え、さらに分岐α−グルカン1粉末を重量比で5%、10%、20%添加した飲料をそれぞれ本発明の炭酸飲料A、B、Cとした。また、分岐α−グルカン1を添加しない点以外は、上記と同様の方法で得た炭酸飲料を、対照とした。20〜50代の男女10名で官能評価を行ったところ、炭酸飲料A〜Cは、分岐α−グルカン1を含有しない対照と比較してボディ感とフレーバー感が増し、フレーバー感が持続されると評価された。よって、本分岐α−グルカンを5〜20%添加することにより、炭酸飲料のボディ感とフレーバー感が増し、嗜好性を向上させる効果があることが明らかとなった。
製造例1に示す方法で得た分岐α−グルカン1を用いて、本発明の経口組成物である紅茶を製造した。茶葉40gに対し沸騰水1Lを加え、茶葉をろ過して紅茶抽出液1Lを得た。紅茶抽出液に分岐α−グルカン1粉末を重量比で3%、5%、8%添加した紅茶を、それぞれ本発明の紅茶飲料A、B、Cとした。また、分岐α−グルカン1を添加しない点以外は、上記と同様の方法で得た茶飲料を、対照とした。20〜50代の男女10名で官能評価を行ったところ、紅茶飲料A〜Cは、分岐α−グルカン1を含有しない対照と比較して、茶飲料の苦みや渋みが低減されていると評価され、本分岐α−グルカンの添加により、紅茶飲料に含有するポリフェノール特有の苦みや渋みをマスキングする効果があることが分かった。なお、紅茶飲料に代えて緑茶を用いて同様の試験を行ったところ、分岐α−グルカンを添加した緑茶飲料についても、同様に苦みや渋みが低減されているとの評価が得られ、本分岐α−グルカンに茶飲料に含まれているポリフェノール特有の苦みや渋みをマスキングする効果があることが分かった。
製造例1に示す方法で得た分岐α−グルカン1を用いて、本発明の経口組成物である乳酸菌飲料を製造した。市販の乳酸菌飲料に、分岐α−グルカン粉末を重量比で5%、10%、20%添加した乳酸菌飲料を、それぞれ本発明の乳酸菌飲料A、B、Cとした。市販の乳酸菌飲料を対照とし20〜50代の男女10名で官能評価を行ったところ、乳酸菌飲料A、Bは、分岐α−グルカン1を含有しない対照と比較して、ボディ感が増し、飲みやすさが向上するとの評価が得られた。また、乳酸菌飲料Cはボディ感はさらに増したものの、分岐α−グルカンを含有しない乳酸菌飲料と飲みやすさの点において同等という評価が得られた。以上より、本分岐α−グルカンを5〜20%添加することで、乳酸菌飲料のボディ感を向上させる効果があることが明らかとなった。また、本分岐α−グルカンを5〜10%添加することで、乳酸菌飲料の飲みやすさを向上させる効果があることが明らかとなった。
製造例1に示す方法で得た分岐α−グルカン1を用いて、本発明の経口組成物である豆乳飲料を製造した。成分無調整豆乳450gおよび水50gを混合し、分岐α−グルカン1粉末を重量比で2%、8%添加した豆乳を、それぞれ本発明の豆乳飲料AおよびBとした。また、分岐α−グルカン1を添加しない点以外は、上記と同様の方法で得た豆乳飲料を、対照の豆乳飲料とした。20〜50代の男女10名で官能評価を行ったところ、豆乳飲料AおよびBは、分岐α−グルカン1を含有しない対照の豆乳飲料と比較して、えぐ味と生臭さが抑制されているとの評価が得られ、本分岐α−グルカンを含有することによって嗜好性の高い豆乳飲料が得られることが分かった。以上の結果から、本分岐α−グルカンには、豆乳飲料特有のえぐ味や生臭さをマスキングする効果があることが明らかとなった。
製造例1に示す方法で得た分岐α−グルカン1を用いて、本発明の経口組成物である鉄含有飲料を製造した。クエン酸鉄アンモニウム
0.03g、果糖ぶどう糖液糖9.3g、クエン酸0.05g、クエン酸ナトリウム0.016gを水と混合した。得られた溶液に分岐α−グルカン1粉末を重量比で3%、5%、8%添加した飲料を、それぞれ本発明の鉄含有飲料A、B、Cとした。また、分岐α−グルカン1を添加しない点以外は、上記と同様の方法で得た鉄含有飲料を、対照の鉄含有飲料とした。20〜50代の男女10名で官能評価を行ったところ、鉄含有飲料A〜Cは、分岐α−グルカン1を含有しない対照の鉄含有飲料と比較して、鉄味が抑制され、嗜好性の高い鉄含有飲料であるとの評価が得られた。よって、本分岐α−グルカンには、鉄含有飲料特有の鉄味をマスキングする効果があることが明らかとなった。
製造例1に示す方法で得た分岐α−グルカン1粉末を用いて、本発明の経口組成物である酢飲料を製造した。果糖ぶどう糖液糖27g、スクラロース0.017g、酢50gおよび水500mlを混合した。得られた溶液に分岐α−グルカン1を重量比で2%、8%添加した飲料を、それぞれ本発明の酢飲料A、Bとした。また、分岐α−グルカン1を添加しない点以外は、上記と同様の方法で得た酢飲料を、対照の酢飲料とした。20〜50代の男女10名で官能評価を行ったところ、酢飲料A、Bは、分岐α−グルカン1を含有しない対照の酢飲料と比較して、酸味と酸臭が抑制され、飲みやすい酢飲料であるとの評価が得られた。よって、本分岐α−グルカンには、酢飲料特有の酸味をマスキングする効果があることが明らかとなった。
製造例1に示す方法で得た分岐α−グルカン1を用いて、本発明の経口組成物であるヨーグルトを製造した。まず、市販のヨーグルト100gに、分岐α−グルカン1粉末を1.5g、5g、10g、20gを添加し、それぞれ本発明のヨーグルトA、B、C、Dとした。なお、これらヨーグルトA〜Dを4℃で2日間保存しても離水は無く、形も保たれており、分岐α−グルカンにヨーグルトの離水抑制効果があることが明らかとなった。また、ヨーグルトの硬さをレオメーター(株式会社サン科学製CR−500DX)を用いて測定したところ、分岐α−グルカン1の添加量が多いほどゲル強度が増し保形性が向上することが明らかとなった。さらに、分岐α−グルカン1を添加しない市販のヨーグルトを対照とし、20〜50代の男女10名で官能評価を行ったところ、ヨーグルトA〜Dは、対照のヨーグルトと比較して、ヨーグルト特有の酸味と発酵臭が抑制されているとの評価が得られた。以上の結果より、本分岐α−グルカンにヨーグルトの酸味や発酵臭を抑制する効果があることが明らかとなった。なお、上記結果は、ヨーグルトの製造過程(ヨーグルトの発酵前や発酵途中)で分岐α−グルカン1を添加した場合も同様であった。
製造例1に示す方法で得た分岐α−グルカン1を用いて、本発明の経口組成物であるフルーツソースを製造した。ミキサーにかけたパイナップル250g、砂糖125gを水と混合した。得られた混合液に分岐α−グルカン1粉末を重量比で5%、10%添加して加熱し、それぞれ本発明のフルーツソースA、Bとした。また、分岐α−グルカン1を添加しない点以外は、上記と同様の方法で得たフルーツソースを、対照のフルーツソースとした。20〜50代の男女10名で官能評価を行ったところ、フルーツソースA、Bは、分岐α−グルカン1を含有しない対照のフルーツソースと比較して、パイナップル本来の味は保持された一方、ボディ感が付与され、とろみのあるソースであるとの評価が得られた。よって、本分岐α−グルカンには、フルーツソースにとろみを付与する効果があることが明らかとなった。
製造例1に示す方法で得た分岐α−グルカン1粉末を用いて、本発明の経口組成物であるトマトソースを製造した。トマトピューレ、たまねぎ、砂糖、塩、顆粒コンソメ、加工でんぷんを原料とするトマトソースに、分岐α−グルカン1を重量比で5%、10%、15%添加して、オーブンで100℃で加熱し、本発明のトマトソースA、B、Cとした。また、分岐α−グルカン1を添加しない点以外は、上記と同様の方法で得たトマトソースを、対照のトマトソースとした。トマトソースA、B、Cは、分岐α−グルカン1を添加しない対照のトマトソースと比較して、トマトの色が鮮やかで風味がよく、水分移行の少ないソースであった。本品をピザやパスタに使用した場合、ピザやパスタへの水分の染み込みが抑制され、表面にソースが残りやすくなるため、料理の色や艶がよくなる効果がある。また、パスタ等の麺類に本品を使用した際には、麺のほぐれや食感が向上した。よって、本分岐α−グルカンには、トマトソースの水分移行の抑制効果、麺のほぐれ効果、麺の食感改善効果があることが明らかとなった。なお、上記の麺のほぐれ効果につき、パスタ以外の麺についても同様の効果があるか確認するために、市販のうどんを用いて、麺のほぐれを観察した。まず、うどんを常法に従って茹で、茹でたうどん150gを、分岐α−グルカン1を5質量%、10質量%、または20質量%配合した水500gに1分間浸漬させ、液切りし、4℃で7時間保存した。保存後のうどんをしずかに持ち上げ、約100秒間保持し、麺のほぐれ度合いを観察した結果、分岐α−グルカン1を5〜20質量%配合した水で浸漬させたうどんは、麺がよくほぐれるという効果があった。このことは、本分岐α−グルカンが麺のほぐし剤としても利用可能であることを物語っている。
製造例1に示す方法で得た分岐α−グルカン1を用いて、本発明の経口組成物であるアイスクリーム(ジェラート)を製造した。オレンジジュース35g、グラニュー糖25g、水35g、および分岐α−グルカン1粉末を5g混合し、90℃で加熱した。室温まで冷却後、アイスクリームメーカーに入れて20分間ミキシングを行い、本発明のアイスクリームを得た。また、分岐α−グルカン1を混合しない点以外は、上記と同様の方法で得たアイスクリームを、対照のアイスクリームとした。20〜50代の男女10名で官能評価を行ったところ、本発明のアイスクリームは対照のアイスクリームと比較して、なめらかな食感であるとの評価が得られた。よって、本分岐α−グルカンには、アイスクリーム等の冷菓の食感をなめらかにする効果があることが明らかとなった。
製造例1に示す方法で得た分岐α−グルカン1を用いて、本発明の経口組成物であるソフトキャンディを製造した。グラニュー糖200g、水40g、水あめ200g、分岐α−グルカン1粉末を20gまたは40g配合し、鍋に入れ加熱し、126℃まで煮詰めた。さらに硬化油脂45.5g、乳化剤2.1gを加え、乳化させ、あらかじめ溶かしておいた33%ゼラチン液12gを加え、生地温度が90℃以下になったところでフォンダン25gを加えて混合した。上記で得られた生地を、温度40℃下で熟成させ、圧延成型を行い、ソフトキャンディを得た。分岐α−グルカン1を20g、40g配合して得られたソフトキャンディを、それぞれ本発明のソフトキャンディAおよびBとした。また、分岐α−グルカン1を配合しない点以外は、上記と同様の方法で得たソフトキャンディを、対照のソフトキャンディとした。20〜50代の男女10名で適当な大きさに切ったソフトキャンディを用いて官能評価を行ったところ、分岐α−グルカン1を含有したソフトキャンディAおよびBは対照のソフトキャンディと比較して歯つきが低減され、食べやすく、溶けにくいソフトキャンディであるとの評価が得られた。よって、本分岐α−グルカンには、ソフトキャンディの歯つきを低減し、溶けにくくする(耐熱保形性の向上)効果があった。
製造例1に示す方法で得た分岐α−グルカン1を用いて、本発明の経口組成物であるハードキャンディを製造した。グラニュー糖180g、水40g、水あめ160gを混合した。これに、分岐α−グルカン1粉末を重量比で5質量%、10質量%または20質量%配合し、鍋に入れて150℃まで煮詰め、冷却し、成型を行い、ハードキャンディを得た。分岐α−グルカン1を5質量%、10質量%、20質量%配合して得られたハードキャンディを、それぞれ本発明のハードキャンディA、BおよびCとした。対照として、分岐α−グルカン1を配合しないハードキャンディを製造して、20〜50代の男女10名でハードキャンディA〜Cの官能評価を行ったところ、分岐α−グルカン1を含有したハードキャンディA〜Cは分岐α−グルカン1を含有しない対照のハードキャンディと比較して、なめるととろっとした食感が付与され食べやすく、口の中での滞留時間が長くなるとの評価が得られた。また、分岐α−グルカン1を含有したキャンディは、なめた際に口の中が温かく感じるという評価が得られた。よって、本分岐α−グルカンには、食感の改善効果と口の中での滞留時間が向上する効果があり、キャンディを摂取した者に対して温感を付与する効果があることが明らかとなった。温感が付与されるメカニズムは明らかではないが、本分岐α−グルカンを含有したキャンディの溶解熱が通常のキャンディよりも高いことが一因と考えられる。
製造例1に示す方法で得た分岐α−グルカン1粉末を用いて、本発明の経口組成物であるスープを製造した。まず、市販のコンソメスープの素をお湯適量に溶かした。これに分岐α−グルカン1を重量比で5%、10%、15%添加して溶かしたスープを、それぞれ本発明のスープA、B、Cとした。また、分岐α−グルカン1を添加しない点以外は、上記と同様の方法で得たスープを、対照のスープとした。20〜50代の男女10名で官能評価を行ったところ、スープA、B、Cは、分岐α−グルカン1を含有しない対照のスープと比較して、ボディ感とコクが増し、ざらつきの少ないさらっとした食感があり、飲みやすいスープであるとの評価が得られた。よって、本分岐α−グルカンには、スープにボディ感とコクを付与し、食感を改善する効果があることが明らかとなった。なお、ポタージュスープや冷製スープであっても、同様の結果が得られた。
製造例1に示す方法で得た分岐α−グルカン1粉末を用いて、本発明の経口組成物である米飯を製造した。米500gを洗米した後、水750mlおよび分岐α−グルカン1を米の重量比0.5%、1%、3%、5%、10%、20%になるように加え、電気式炊飯器で炊飯し、それぞれ本発明の米飯A〜Fとした。
小麦粉1000g、塩20g、砂糖60g、脱脂粉乳20g、パン酵母25g、水700mlおよび分岐α−グルカン1粉末を20g、40g、80g配合して、常法により食パンを製造した。分岐α−グルカン1を20g、40g、80gを配合した食パンをそれぞれ本発明の食パンA、B、Cとした。また、分岐α−グルカン1を配合しない点以外は、上記と同様に製造し、対照の食パンを得た。食パンA、B、Cは、分岐α−グルカン1を含有しない対照の食パンと比べて、窯入れ時に体積が膨張していた。よって、本分岐α−グルカンをパンに含有させると焼成時の窯伸び向上を促し、パンのボリュームを増大させる効果があることが明らかとなった。この結果は、ロールパンやビスケットの場合であってもほぼ同様であった。
製造例1に示す方法で得た分岐α−グルカン1粉末を用いて、本発明の高脂肪食品であるハンバーグを製造した。すなわち、牛豚合挽き肉100g(脂肪酸10乃至15質量%含有)、塩こしょう2g、牛乳12g、全卵25g、生パン粉12g、及び2gの分岐α−グルカン1(水溶性食物繊維を約1.5g含有)をよく混ぜ合わせ、ねばりが得られるまで捏ね、炒めた玉ねぎを混合し生地を調製した。上記で得られた生地を常法により焼き、ハンバーグを得た。
製造例1に示す方法で得た分岐α−グルカン1粉末を用いて、本発明の高脂肪食品であるバタークリームを製造した。すなわち、砂糖100gと10gの分岐α−グルカン1(水溶性食物繊維約8g含有)を水100gに加熱溶解し、煮詰めてシロップを得た。次いで、全卵100g(脂肪酸約8%含有)を泡立て、先に煮詰めたシロップを加え常法により泡立てメレンゲを作った。これに無塩マーガリン200g(脂肪酸約80%含有)及び香料を加え、本発明の高脂肪食品であるバタークリームを得た。また、分岐α−グルカン1を混合しない点以外は、上記と同様に製造し、対照のバタークリームを得た。20〜50代の男女8名で官能評価を行ったところ、分岐α−グルカン1を配合したバタークリームは対照と比較して、本品は柔らかさや口どけが増し、気泡も少ないとの評価が得られたことから、本分岐α−グルカンには、バタークリームの味質改良効果があることが明らかとなった。
製造例1に示す方法で得た分岐α−グルカン1粉末を用いて、本発明の高脂肪食品であるプリンを製造した。すなわち、砂糖40gに対し、4g、8g、20g、40gの分岐α−グルカン1を混合し、80℃の牛乳250gに溶解し、全卵100g(脂肪酸約8%含有)と混合し、裏漉して原料液とし、各原料液をプラスチック容器に充填して常法により加熱してプリンを得た。分岐α−グルカン1を4g、8g、20g、40g配合したプリンをそれぞれ本発明の高脂肪食品であるプリンA〜Dとした。また、分岐α−グルカン1を混合しない点以外は、上記と同様に製造し、対照のプリンを得た。
製造例1に示す方法で得た分岐α−グルカン1粉末を用いて、本発明の高脂肪食品であるチョコレートを製造した。まず、ブラックチョコレートと生クリーム(脂肪酸約40質量%含有)を60℃で混合した。得られた混合物に分岐α−グルカン1を重量比で5%、10%、20%、40%添加し、冷却した後、成形し、それぞれ、チョコレートA、B、C、Dとした。いずれのチョコレートもべたつくことなく製造が可能であった。また、分岐α−グルカン1を混合しない点以外は、上記と同様に製造し、対照のチョコレートを得た。
製造例1に示す方法で得た分岐α−グルカン1粉末を用いて、本発明の高脂肪食品であるクッキーを製造した。バター(脂肪酸約80質量%含有)25g、砂糖17g、薄力粉38g、全卵12gに、分岐α−グルカン1を8gまたは13g混合し、ミキサーで攪拌し、常法によりクッキー生地を得た。得られた生地を冷却後、適当な大きさにカットし、厚さ10mmに圧延したものを天板に並べ、電気オーブンにて170℃で15分間焼成した後、冷却してクッキーを得た。分岐α−グルカン1を8g、13g混合して得られたクッキーを本発明のクッキーA、Bとした。また、分岐α−グルカン1を混合しない点以外は上記クッキー生地と同じクッキー生地を用いて対照のクッキーを製造した。
製造例1に示す方法で得た分岐α−グルカン1粉末を用いて、本発明の高脂肪食品であるから揚げを製造した。市販のから揚げ粉に対して、重量比で分岐α−グルカン1を3%、5%、10%を添加し、混合した。これらを鶏もも肉(脂肪酸約5質量%含有)100gあたり10gまぶして、170℃の熱した油(脂肪酸100質量%)で常法によりから揚げを得た。分岐α−グルカン1を3%、5%、10%を添加したから揚げ粉を用いて得られたから揚げを、それぞれから揚げA、B、Cとした。また、分岐α−グルカン1を添加しない市販のから揚げ粉を用いて対照のからあげを得た。
製造例1に示す方法で得た分岐α−グルカン1粉末を用いて、本発明の高脂肪食品である天ぷらを製造した。市販の天ぷら粉に対して、重量比で分岐α−グルカン1を5%、10%、15%を添加し、得られた粉を具材にまぶして、170℃の熱した油(脂肪酸100質量%)で常法により天ぷらを得た。分岐α−グルカン1を5%、10%、15%を添加した天ぷら粉を用いて得られた天ぷらを、それぞれ天ぷらA、B、Cとした。また、分岐α−グルカン1を添加しない市販の天ぷら粉を用いて対照の天ぷらを得た。
製造例1に示す方法で得た分岐α−グルカン1粉末を用いて、本発明の高脂肪食品であるスポンジケーキを製造した。バター(脂肪酸約80質量%含有)70g、砂糖250g、薄力粉175g、全卵350gに、分岐α−グルカン1を8gまたは16gを常法により混合し、スポンジ生地を得た。得られた生地を冷却後、適当な大きさにカットし、オーブンにて180℃で30分間焼成した後、冷却してスポンジケーキを得た。分岐α−グルカン1を8g、16g混合して得られたスポンジケーキを本発明のスポンジケーキA、Bとした。また、分岐α−グルカン1を混合しない点以外は上記スポンジ生地と同じスポンジ生地を用いて対照のスポンジケーキを製造した。
Claims (10)
- 下記(A)乃至(D)の特徴を有する分岐α−グルカンを含有する、抗生活習慣病用剤;
(A)グルコースを構成糖とし、
(B)α−1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα−1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有し、
(C)グルコース重合度が6乃至430であって、重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で除した値(Mw/Mn)が20以下で、
(D)本文記載の高速液体クロマトグラフ法(酵素−HPLC法)により求めた水溶性食物繊維含量が20質量%以上である。 - 前記分岐α−グルカンがメチル化分析において下記(1)乃至(4)の特徴を有する、請求項1記載の抗生活習慣病用剤;
(1) 2,3,6−トリメチル−1,4,5−トリアセチルグルシトールと2,3,4−トリメチル−1,5,6−トリアセチルグルシトールの比が1:0.6乃至1:4の範囲にあり、
(2) 2,3,6−トリメチル−1,4,5−トリアセチルグルシトールと2,3,4−トリメチル−1,5,6−トリアセチルグルシトールとの合計が部分メチル化グルシトールアセテートの60%以上を占め、
(3)2,4,6−トリメチル−1,3,5−トリアセチルグルシトールが部分メチル化グルシトールアセテートの0.5%以上10%以下であり、
(4)2,4−ジメチル−1,3,5,6−テトラアセチルグルシトールが部分メチル化グルシトールアセテートの0.5%以上である。 - 請求項1又は2記載の抗生活習慣病用剤と、ポリフェノール、甘味料、及び高甘味度甘味料から選ばれる1種又は2種以上を含有することを特徴とする経口組成物。
- ポリフェノールが糖転移ルチン、糖転移ヘスペリジン、及び糖転移ナリンジンから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項3記載の経口組成物。
- 高甘味度甘味料が、ネオテーム、アスパルテーム、ステビア抽出物、酵素処理ステビア、スクラロース、アセスルファムK、サッカリン、ソーマチン、及びグリチルリチンから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項3記載の経口組成物。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載の抗生活習慣病用剤又は経口組成物を含んでなる高脂肪食品。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載の抗生活習慣病用剤、経口組成物、又は高脂肪食品の脂肪肝の予防又は改善剤としての使用。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載の抗生活習慣病用剤、経口組成物、又は高脂肪食品の便通改善剤としての使用。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載の抗生活習慣病用剤、経口組成物、又は高脂肪食品の満腹感持続又は向上剤としての使用。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載の抗生活習慣病用剤、経口組成物、又は高脂肪食品の潰瘍性大腸炎予防又は治療剤としての使用。
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