JPWO2002101029A1 - 腎再生用細胞の分離濃縮方法 - Google Patents
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Abstract
本発明の課題は、簡便かつ短時間の操作で腎再生用細胞を分離・濃縮する方法及び装置を提供することにあり、赤血球を捕捉せず有核細胞を捕捉し得るフィルターに、腎再生用細胞を含む有核細胞含有液を導入し、次に該フィルターに回収用流体を導入して該フィルターに捕捉されている腎再生用細胞を回収することにより、腎再生用細胞を濃縮し、該濃縮された腎再生用細胞を腎臓組織の再生や腎疾患治療に用いる方法に関する。
Description
[技術分野]
本発明は、腎臓組織の再生に用いられる腎再生用細胞を分離・濃縮する方法及び装置に関する。得られた細胞は臓器・組織の欠損または各種疾患の治療及び免疫学や細胞生物学等の基礎科学分野で用いることが可能となる。
[背景技術]
慢性腎不全は腎移植が現存する唯一の根治療法であるが、ドナー不足のため全ての慢性腎不全患者に移植を施行することは不可能である。そのため、慢性腎不全患者は生存のためには人工透析による血液浄化療法術の施行を余儀なくされ、この透析患者の増大が医療費の膨張を招き、大きな社会問題にもなってきている。また、人工透析は技術の進歩により以前と比べると患者への負担は少なくなってきているものの、腎移植を受けて根治した患者と比べるとその生活の質(QOL)においては格段の差がある。
ところで、近年、生体の組織または臓器(以下、単に組織という)を再生する細胞を用いて、同組織をin vitroまたはin vivoで形成することで組織の病変および/または欠損を治療する、いわゆる再生医療が大変注目を集めており、世界各国で研究開発が盛んに行われている(例えば、月刊組織培養工学、Vol.24、No.4、特集:組織工学I、1998年4月、同、Vol.24、No.5、特集:組織工学II、1998年5月)。これらの流れの中で、骨髄中には腎臓を再生する細胞が含まれていることが明らかにされた(医学のあゆみVol.193、No.1、2000年4月、米国腎臓学会抄録集A1973、2000年など)。これらの細胞が存在する部位には、しばしば赤血球などの夾雑細胞が混在しており、夾雑細胞を除去し組織再生用細胞を濃縮分離する必要がある。通常、これらの濃縮にはFicoll−Hypaque等を用いる比重遠心法やヒドロキシエチルスターチを用いる赤血球沈降法が用いられる。いずれも遠心分離がベースとなる方法であり、免疫学や細胞生物学、あるいは臨床検査医学などの実験室レベルでは汎用される方法であるが、操作が煩雑である。しかも、これらの方法は、クリーンベンチ内で行われるものの、完全開放系の操作のため無菌性に難があり、臨床行為としては到底受け入れられるものではなかった。再生医療が実験室レベルの実験医療から脱皮し、ルーチンの医療行為として発展するには、分離濃縮操作の簡便化と非完全開放系での処理が待望されていた。
一方、血液医学の分野においては、造血組織、すなわち骨髄の再生である造血幹細胞移植は、すでに通常の医療行為として確立されており、同分野で用いる造血幹細胞の濃縮分離には、たとえば特開平8−104643号公報で提案されている、簡便操作が特徴であるフィルター法が利用されている。
[発明の開示]
本発明の課題は、簡便かつ短時間の操作で腎再生用細胞を分離・濃縮する方法及び装置を提供することにある。
本発明者はかかる課題を解決すべく、鋭意検討を進めた。本発明者は、このような分野で通常用いられるアプローチ法である、新規モノクローナル抗体などの表面抗原による分離技術を開発するのでは、簡便・安価・短時間操作という課題の解決は到底困難であると考え、モノクローナル抗体等を用いない全く新しい技術手段による解決を試みた。その結果、造血幹細胞の濃縮分離に用いるフィルターを用いて、腎臓組織を再生する細胞の濃縮分離をも可能になるという驚くべき発見を行い、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)赤血球を捕捉せず有核細胞を捕捉し得るフィルターに、腎再生用細胞を含む有核細胞含有液を導入し、該フィルターに腎再生用細胞を捕捉させることを特徴とする、腎再生用細胞の分離方法、
(2)赤血球を捕捉せず有核細胞を捕捉し得るフィルターに、腎再生用細胞を含む有核細胞含有液を導入し、次に該フィルターに回収用流体を導入して該フィルターに捕捉されている腎再生用細胞を回収することを特徴とする、腎再生用細胞の濃縮方法、
(3)腎再生用細胞を含む細胞浮遊液を採取すること、採取した細胞浮遊液を、赤血球を捕捉せず有核細胞を捕捉し得るフィルターに通液すること、該フィルターに回収用流体を導入して該フィルターに捕捉されている腎再生用細胞を回収すること、回収された腎再生用細胞を腎臓組織の再生に使用することを含む腎臓組織の再生方法、
(4)腎再生用細胞を含む細胞浮遊液を採取すること、採取した細胞浮遊液を、赤血球を捕捉せず有核細胞を捕捉し得るフィルターに通液すること、該細胞分離フィルターに回収用流体を導入して該フィルターに捕捉されている腎再生用細胞を回収すること、回収された腎再生用細胞を腎疾患を有する個体に投与することからなる腎疾患治療方法、
(5)赤血球を捕捉せず有核細胞を捕捉し得るフィルターが、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリウレタンの1種以上からなる成形体を充填したフィルターであることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかの方法、
(6)成形体が、不織布またはスポンジ状多孔質体であることを特徴とする上記(5)の方法、
(7)赤血球を捕捉せず有核細胞を捕捉し得るフィルターが、さらに血小板も通過するものであることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかの方法、
(8)少なくとも入口と出口を有するフィルター容器に、赤血球を捕捉せず有核細胞を捕捉し得る細胞捕捉材を充填してなる細胞分離フィルターを含む腎再生用細胞の分離装置、
(9)赤血球を捕捉せず有核細胞を捕捉し得る細胞捕捉材を充填してなる少なくとも入口と出口を有する細胞分離フィルターと、該細胞分離フィルターの入口より上流に接続される原料細胞浮遊液注入器具接続手段と、前記細胞分離フィルターの入口より上流または出口より下流で前記細胞分離フィルターに流体を注入する流体注入器具接続手段と、該細胞分離フィルターの入口より上流または出口より下流で該流体注入器具接続手段とは細胞分離フィルターを介して互いに反対の側に接続される細胞回収手段を含む腎再生用細胞の濃縮装置、
(10)細胞分離フィルターがポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリウレタンの1種以上からなる成形体を充填したフィルターであることを特徴とする上記(8)または(9)の装置、
(11)成形体が不織布またはスポンジ状多孔質体であることを特徴とする上記(10)の装置、及び
(12)上記(2)の方法により濃縮された腎再生用細胞含有液
に関する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で言う有核細胞とは、動物(ヒトを含む)の組織・臓器・体液(血液、リンパ液など)に存在する、核を有する細胞のことで、例えば具体的には白血球、顆粒球、好中球、好酸球、好塩基球、骨髄球、赤芽球、リンパ球、Tリンパ球、Bリンパ球、単球、造血幹細胞、造血前駆細胞、間葉系幹/前駆細胞等があげられる。本発明で言う腎再生用細胞を含む有核細胞含有液とは、具体的には骨髄液、臍帯血(臍帯血管から採血されたものだけでなく、胎盤血管から採血されたものも含む)、末梢血、尿などの体液及びこれらに遠心分離等何らかの処理を施したもの、あるいは腎臓など各種臓器や筋肉などの各種組織から抽出した細胞を何らかの液体に再浮遊したものがあげられる。たとえば骨髄液は本発明で好適に用いられる有核細胞含有液である。
本発明において、「赤血球を捕捉せず」とは、赤血球が実質的に捕捉されずに通過することを言い、具体的には、骨髄中の赤血球が60%以上通過することを言う。また、「有核細胞を捕捉し得る」とは、有核細胞を半分以上捕捉すること、具体的には骨髄中の有核細胞を60%以上捕捉することをいうが、有核細胞の全数を捕捉するわけではないし、全ての種類の有核細胞を捕捉するとは限らない。
赤血球を捕捉せず有核細胞を捕捉し得るフィルターには、例えば、有核細胞は実質的に捕捉し、赤血球は実質的に通過する多孔質体からなる有核細胞捕捉材を、入口と出口とを有する容器に充填したものがあげられる。
赤血球を捕捉せず有核細胞を捕捉し得る材料としては、通常用いられている細胞捕捉材であればいかなる材料でも使用できるが、成形性、滅菌性や細胞毒性が低いという点で好ましいものを例示すると、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、ナイロン、ポリカーボネート、ポリウレタン等の合成高分子、セルロース、酢酸セルロース、キチン、キトサン、アルギン酸塩等の天然高分子、ハイドロキシアパタイト、ガラス、アルミナ、チタニア等の無機材料、ステンレス、チタン、アルミニウム等の金属があげられる。中でも、医療用として入手しやすく、好ましい形状の捕捉材に加工が容易なポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタンを使用するのがより好ましい。
これらの捕捉材は、このままでも用いることができるが、細胞の選択的通過性を高める等の目的で必要に応じ表面改質を施したものでもよい。例えば、血小板通過性を高めるには、WO87/05812号公報で提案されている非イオン性親水基と塩基性含窒素官能基を有するポリマーのコートによる方法等があげられる。またアミノ酸、ペプチド、糖類、糖タンパク等(抗体、接着分子等のバイオリガンドを含む)を固定するには、例えば特開平2−261833号公報で提案されているハロアセトアミド法により固定する方法等を好適に用いることができる。
捕捉材の形状としては、粒子、粒子集合体、繊維塊、織布、不織布、スポンジ状多孔質体、平板等といった成型体があげられる。粒子は、多孔質体からなる粒子の場合と非多孔質体からなる粒子の場合がある。粒子集合体は、粒子自体が多孔質体でなくても、粒子同士が集合して粒子間に隙間ができるので、そのときには多孔質体ということができる。繊維塊、織布、不織布も、繊維や糸の隙間があるので多孔質体ということができる。平板は、多孔質体ではない平板を指している。体積当たりの表面積が大きいという点で、多孔質体、すなわち、多孔質粒子、繊維塊、織布、不織布、スポンジ状多孔質体が好ましく、また、多孔質体のなかでも、製造性、流れ性の点から不織布とスポンジ状多孔質体がより好ましい。
不織布の場合、通常、繊維径は1.0μm以上30μm以下であり、好ましくは1.0μm以上20μm以下であり、さらにより好ましくは1.5μm以上10μm以下である。繊維径が1.0μm未満では、腎再生用細胞が強固に捕捉されてしまい、濃縮困難となる可能性があり好ましくない。繊維径が30μmを超えると、細胞は不織布に捕捉されず素通りする可能性が高くなる。いずれの場合でも濃縮率の低下につながるおそれがあるので好ましくない。
また、スポンジ状多孔質体の場合、孔径は通常2.0μm以上30μm以下であり、好ましくは2.5μm以上25μm以下であり、さらにより好ましくは3.0μm以上20μm以下である。孔径が2.0μm未満では流れ性が著しく劣り、通液自体が困難になるおそれがあり、また、孔径が25μmを超えると細胞の捕捉率の低下を招き濃縮率の低下につながるおそれがあるので好ましくない。
赤血球は捕捉せず有核細胞は捕捉し得る有核細胞捕捉材を充填する容器の材質としては、成型性、滅菌性や細胞毒性が低いという点で好ましいものを例示すると、ポリエチレン、ポリプリロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、塩化ビニル等の合成高分子、ハイドロキシアパタイト、ガラス、アルミナ、チタニア等の無機材料、ステンレス、チタン、アルミニウム等の金属があげられる。容器の構造としては、形状は直方体、立方体、円柱形、楕円柱形などがあげられるが、いずれの形状でもよい。また、入口と出口の位置としては、入口は濾材の最上層に液体を導入できる位置であればよく、また出口は濾材の最下層から液体を導出できる位置であれば良い。
本発明で言う腎再生用細胞とは、動物(ヒトを含む)の腎臓の一部または全ての組織を再生する能力のある細胞のことを言い、腎幹細胞、腎前駆細胞、間葉系幹および/または前駆細胞、血管内皮前駆細胞、尿細管前駆細胞などがあげられるが、これらに限定されるものではない。
本発明では有核細胞含有液をフィルターに導入し、次に該フィルターに回収用流体を導入する。この回収用流体としては細胞に悪影響を及ぼさない流体であればいかなる流体も使用できるが、いくつか例示すると、生理食塩水、D−PBS(ダルベッコリン酸塩緩衝液)、HBSS(ハンクス液)などの緩衝液、RPMI−1640、M199などの培地があげられる。これらの液体に、細胞保護、栄養補給、抗凝固性付与、凍結保存時の凍害防止、粘度向上(回収率向上に有効な場合がある)、感染防止等の目的で必要に応じ、FBS(ウシ胎児血清)等の各種血清、アルブミン、グロブリン、グルコース、サッカロース、トレハロース、クエン酸化合物、EDTA、ジメチルスルホキシド、デキストラン、ポリビニルピロリドン、グリセリン、キチン誘導体、ヒドロキシエチルデンプン、ゼラチン、抗生物質等を添加してもよい。また、ここで言う流体とは、液体単体のみならず、空気、アルゴン、窒素など細胞に悪影響を及ぼさない気体を混合したものも含まれる。流体の導入方向としては有核細胞含有液の通液方向と同一方向あるいは逆方向が考えられるが、逆方向の方が高い回収率が得られる傾向にあるのでより好ましい。
一方、本発明によれば、該フィルターに捕捉された細胞を回収することなく、たとえばフィルターを解体することで、細胞が捕捉されている捕捉材を取り出し、そのまま移植などに用いることもできる。このためには、容器が簡単に開封でき、中の有核細胞捕捉材を簡単に取り出せるような構造が便利である。また、フィルターの容器が細胞培養または細胞保存に適している容器の場合、細胞を回収することなく、該フィルターに培地等(細胞培養の場合)、凍害保護剤等(細胞の凍結保存の場合)を導入することで、そのまま細胞培養や細胞保存を行うことができる。この場合、フィルター容器は、細胞培養容器と細胞保存容器を兼ねることができる。
本発明による腎臓の再生方法は、前述の腎再生用細胞を含む細胞浮遊液を、前述の細胞分離フィルターに通液した後、流体を該フィルターに導入して捕捉されている腎再生用細胞を回収するものであるが、回収用の流体を導入する前に、該フィルターに微量残存する赤血球などを洗い流す目的でリンスを行っても良い。リンス液としては細胞に悪影響を及ぼさない液体であればいかなる液体も使用可能であるが、いくつか例示すると生理食塩水、ダルベッコリン酸塩緩衝液(D−PBS)やハンクス液(HBSS)などの緩衝液、RPMI1640、M199などの培地があげられる。リンス液の導入方向としては細胞浮遊液の通液方向と同一方向あるいは逆方向が考えられるが、同一方向の方が捕捉された細胞が漏出する可能性が低い傾向にあるのでより好ましい。
本発明による腎臓の再生方法においては、赤血球などは細胞分離フィルターを通過するが、この通過した夾雑細胞を回収して何らかの目的に利用することもできる。たとえば、細胞浮遊液が慢性腎不全患者から得られた骨髄の場合、この細胞分離フィルターから流出した夾雑細胞たる赤血球を血液バッグ等に回収・保存し、基礎科学実験用赤血球試料としての利用や人工赤血球の原料となるヘモグロビンの採取目的に用いることができる。また、輸血用血液として患者に輸血することもでき、この場合、骨髄採取による貧血を防止することができるので好ましい。
本発明の腎臓組織の再生方法においては腎再生用細胞を含む細胞浮遊液を個体から採取するが、その採取方法は、たとえば骨髄であれば骨髄穿刺針を用いる方法、末梢血であれば遠心式血球採取装置を用いる方法、臍帯血であれば採血用注射器を用いる方法など適宜選択する。
本発明では細胞分離フィルターにいったん捕捉させ回収した腎再生用細胞を前述の個体に移植できるのみならず、別の個体への移植、あるいは生体外での腎臓の一部または全ての再生に利用することもできる。
生体外(in vitro)での腎臓組織の再生とは、例えば以下があげられるが、これに限定されるものではない。生分解性あるいは非生分解性材料の「足場」(スキャフォルド)に細胞を播種し培養することによる再生、あるいは、足場を用いずに、例えばPDGF−Bやレチノイン酸を添加した培養でAT1受容体を介してangiotensin llに反応する、メサンギウムと考えられる細胞の再生方法がある。
本発明による腎疾患の治療方法は前述の方法により得られた腎再生用細胞を個体に投与することからなるが、同一の個体、同系の個体、同種の個体、異種の個体のいずれから採取されたものでも良い。ただし、組織適合抗原の一致していない同種、異種の場合は免疫抑制剤の投与など何らかの免疫抑制を行うことが望ましい。また、本発明で言う腎疾患とは、糸球体腎炎、巣状糸球体硬化症、膜性腎症、膜性増殖性糸球体腎炎、IgA腎症、ループス腎炎、糖尿病性腎症、急性糸球体腎炎、微小変化型ネフローゼ症候群、急性腎不全、慢性腎不全、移植腎病変などの疾病だけでなく事故や手術等による損傷・欠損も含む。
また、本発明による腎疾患の治療方法は、結果として、腎疾患が治療されれば良いのであって、治療メカニズムは問わない。すなわち、腎疾患を有する個体に移植された腎再生用細胞そのものが移植部位で分化し、腎組織を再生してその結果として腎疾患の治療につながる場合のみならず、移植された腎再生用細胞そのものが移植部位で分化するのではなく、移植部位に存在している細胞または組織に何らかの作用を及ぼして、その結果として腎疾患の治療につながるといった、いわば間接的効果も含まれるものである。
本発明による腎再生用細胞含有液は前述のフィルターで濃縮された腎再生用細胞を含有するものである。
本発明で得られた腎再生用細胞は、そのまま、あるいは必要に応じさらなる分離精製、培養、活性化、分化誘導、増幅、遺伝子導入、凍結保存などの各種処理が施された後、各種疾患・欠損の治療及び免疫学や細胞生物学等の基礎科学分野の研究に用いられる。
[発明を実施するための最良の形態]
以下に実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
[実施例1]
1.細胞分離フィルター
平均繊維径2.3μmのポリエステル不織布(目付約60g/m2、嵩高約0.3mm)18枚と平均繊維径12μmのポリエステル不織布(目付約100g/m2、嵩高約0.47mm)16枚を重ね、押し切りカッターで35mm角に切断し細胞捕捉材とした。この細胞捕捉材を容器外寸(縦×横×厚み)41×41×18mmで出口と入口を対角線上に持つポリカーボネート製容器の出口側に平均繊維径12μmのポリエステル不織布がくるように充填して細胞分離フィルター1とした。この細胞分離フィルターの入口側には先端がスパイク2で、途中に細胞回収バッグ6への分岐を有する三方活栓4を有するチューブを接続した。また、細胞分離フィルター1の出口側には途中に三方活栓5を有し、末端が赤血球バッグ3に接続されるチューブを接続し図1に示す細胞濃縮装置とした。
2.骨髄細胞浮遊液
GFP(Green Fluorescent Protein)ラット4匹の脚部から骨髄採取液(組成:M199/2%牛胎児血清/ゲンタマイシン2μg/ml)を用いて骨髄を採取し、同液体で希釈し60mlの骨髄細胞浮遊液とした。これを200ml血液バッグに入れた。
3.細胞濃縮操作
1.で作製した細胞濃縮装置のスパイク2に2.の骨髄細胞浮遊液入り血液バッグ(以下、血液バッグ)を接続した。三方活栓4は血液バッグと細胞分離フィルター1のみが連通する方向に、三方活栓5は細胞分離フィルター1と赤血球バッグのみが連通する方向にして原料細胞浮遊液を細胞分離フィルターに落差で通液濾過し、フィルターから流出した赤血球を赤血球バッグに回収した。次に三方活栓5に2.で用いた骨髄採取液25mlを入れた30ml注射器(ルアーロック口)を接続し、三方活栓5は注射器と細胞分離フィルター1のみが連通する方向にし、三方活栓4は細胞分離フィルター1と細胞回収バッグ6のみが連通する方向にした。次に注射器のプランジャーを手で押すことで細胞分離フィルター1に捕捉されている細胞を回収バッグ6に回収した。なお、本操作に要した時間は約10分であった。
4.移植操作
3.で回収した細胞を常法により遠心濃縮して得られた細胞浮遊液を2.5mlずつ4匹のラット(GFPラットではない)に尾静注した。
5.結果
(1)細胞分離
細胞回収バッグに回収された夾雑細胞(多くは赤血球からなるので、赤血球を計数)と有核細胞を前者は自動血球計数装置で、後者はチュルク液を用いる視算法で計数した。これらから算出した夾雑細胞除去率、有核細胞回収率を表1に示す。なお、有核細胞の全てが腎臓組織再生用細胞ではないが腎臓組織再生用細胞はこの有核細胞に含まれている。
(2)移植
移植28日後にラットを犠牲死させ、解剖して移植細胞(GFPラット由来なので緑色の蛍光を発する)の腎臓における存在を検索した結果、腎間質内及び腎糸球体内に移植細胞の存在が認められた。すなわち、骨髄から本法で濃縮分離して得られた細胞は腎を再構成することが明らかになった。図2には、犠牲死させ解剖したラットの腎臓組織の顕微鏡写真を示した。白い斑点が、腎臓組織に生着している移植骨髄細胞である。
[産業上の利用の可能性]
以上示したように本発明によれば極めて簡便かつ短時間の操作で腎再生用細胞を濃縮する方法を提供できるので、免疫学や細胞生物学等の基礎科学分野の発展、および再生医療が実験室レベルの実験医療から脱皮し、ルーチンの医療行為に発展することに貢献すること極めて大である。
【図面の簡単な説明】
図1は、腎再生用細胞濃縮装置の模式図である。
図2は、腎臓組織に生着している移植骨髄細胞を示す顕微鏡写真である。
本発明は、腎臓組織の再生に用いられる腎再生用細胞を分離・濃縮する方法及び装置に関する。得られた細胞は臓器・組織の欠損または各種疾患の治療及び免疫学や細胞生物学等の基礎科学分野で用いることが可能となる。
[背景技術]
慢性腎不全は腎移植が現存する唯一の根治療法であるが、ドナー不足のため全ての慢性腎不全患者に移植を施行することは不可能である。そのため、慢性腎不全患者は生存のためには人工透析による血液浄化療法術の施行を余儀なくされ、この透析患者の増大が医療費の膨張を招き、大きな社会問題にもなってきている。また、人工透析は技術の進歩により以前と比べると患者への負担は少なくなってきているものの、腎移植を受けて根治した患者と比べるとその生活の質(QOL)においては格段の差がある。
ところで、近年、生体の組織または臓器(以下、単に組織という)を再生する細胞を用いて、同組織をin vitroまたはin vivoで形成することで組織の病変および/または欠損を治療する、いわゆる再生医療が大変注目を集めており、世界各国で研究開発が盛んに行われている(例えば、月刊組織培養工学、Vol.24、No.4、特集:組織工学I、1998年4月、同、Vol.24、No.5、特集:組織工学II、1998年5月)。これらの流れの中で、骨髄中には腎臓を再生する細胞が含まれていることが明らかにされた(医学のあゆみVol.193、No.1、2000年4月、米国腎臓学会抄録集A1973、2000年など)。これらの細胞が存在する部位には、しばしば赤血球などの夾雑細胞が混在しており、夾雑細胞を除去し組織再生用細胞を濃縮分離する必要がある。通常、これらの濃縮にはFicoll−Hypaque等を用いる比重遠心法やヒドロキシエチルスターチを用いる赤血球沈降法が用いられる。いずれも遠心分離がベースとなる方法であり、免疫学や細胞生物学、あるいは臨床検査医学などの実験室レベルでは汎用される方法であるが、操作が煩雑である。しかも、これらの方法は、クリーンベンチ内で行われるものの、完全開放系の操作のため無菌性に難があり、臨床行為としては到底受け入れられるものではなかった。再生医療が実験室レベルの実験医療から脱皮し、ルーチンの医療行為として発展するには、分離濃縮操作の簡便化と非完全開放系での処理が待望されていた。
一方、血液医学の分野においては、造血組織、すなわち骨髄の再生である造血幹細胞移植は、すでに通常の医療行為として確立されており、同分野で用いる造血幹細胞の濃縮分離には、たとえば特開平8−104643号公報で提案されている、簡便操作が特徴であるフィルター法が利用されている。
[発明の開示]
本発明の課題は、簡便かつ短時間の操作で腎再生用細胞を分離・濃縮する方法及び装置を提供することにある。
本発明者はかかる課題を解決すべく、鋭意検討を進めた。本発明者は、このような分野で通常用いられるアプローチ法である、新規モノクローナル抗体などの表面抗原による分離技術を開発するのでは、簡便・安価・短時間操作という課題の解決は到底困難であると考え、モノクローナル抗体等を用いない全く新しい技術手段による解決を試みた。その結果、造血幹細胞の濃縮分離に用いるフィルターを用いて、腎臓組織を再生する細胞の濃縮分離をも可能になるという驚くべき発見を行い、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)赤血球を捕捉せず有核細胞を捕捉し得るフィルターに、腎再生用細胞を含む有核細胞含有液を導入し、該フィルターに腎再生用細胞を捕捉させることを特徴とする、腎再生用細胞の分離方法、
(2)赤血球を捕捉せず有核細胞を捕捉し得るフィルターに、腎再生用細胞を含む有核細胞含有液を導入し、次に該フィルターに回収用流体を導入して該フィルターに捕捉されている腎再生用細胞を回収することを特徴とする、腎再生用細胞の濃縮方法、
(3)腎再生用細胞を含む細胞浮遊液を採取すること、採取した細胞浮遊液を、赤血球を捕捉せず有核細胞を捕捉し得るフィルターに通液すること、該フィルターに回収用流体を導入して該フィルターに捕捉されている腎再生用細胞を回収すること、回収された腎再生用細胞を腎臓組織の再生に使用することを含む腎臓組織の再生方法、
(4)腎再生用細胞を含む細胞浮遊液を採取すること、採取した細胞浮遊液を、赤血球を捕捉せず有核細胞を捕捉し得るフィルターに通液すること、該細胞分離フィルターに回収用流体を導入して該フィルターに捕捉されている腎再生用細胞を回収すること、回収された腎再生用細胞を腎疾患を有する個体に投与することからなる腎疾患治療方法、
(5)赤血球を捕捉せず有核細胞を捕捉し得るフィルターが、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリウレタンの1種以上からなる成形体を充填したフィルターであることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかの方法、
(6)成形体が、不織布またはスポンジ状多孔質体であることを特徴とする上記(5)の方法、
(7)赤血球を捕捉せず有核細胞を捕捉し得るフィルターが、さらに血小板も通過するものであることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかの方法、
(8)少なくとも入口と出口を有するフィルター容器に、赤血球を捕捉せず有核細胞を捕捉し得る細胞捕捉材を充填してなる細胞分離フィルターを含む腎再生用細胞の分離装置、
(9)赤血球を捕捉せず有核細胞を捕捉し得る細胞捕捉材を充填してなる少なくとも入口と出口を有する細胞分離フィルターと、該細胞分離フィルターの入口より上流に接続される原料細胞浮遊液注入器具接続手段と、前記細胞分離フィルターの入口より上流または出口より下流で前記細胞分離フィルターに流体を注入する流体注入器具接続手段と、該細胞分離フィルターの入口より上流または出口より下流で該流体注入器具接続手段とは細胞分離フィルターを介して互いに反対の側に接続される細胞回収手段を含む腎再生用細胞の濃縮装置、
(10)細胞分離フィルターがポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリウレタンの1種以上からなる成形体を充填したフィルターであることを特徴とする上記(8)または(9)の装置、
(11)成形体が不織布またはスポンジ状多孔質体であることを特徴とする上記(10)の装置、及び
(12)上記(2)の方法により濃縮された腎再生用細胞含有液
に関する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で言う有核細胞とは、動物(ヒトを含む)の組織・臓器・体液(血液、リンパ液など)に存在する、核を有する細胞のことで、例えば具体的には白血球、顆粒球、好中球、好酸球、好塩基球、骨髄球、赤芽球、リンパ球、Tリンパ球、Bリンパ球、単球、造血幹細胞、造血前駆細胞、間葉系幹/前駆細胞等があげられる。本発明で言う腎再生用細胞を含む有核細胞含有液とは、具体的には骨髄液、臍帯血(臍帯血管から採血されたものだけでなく、胎盤血管から採血されたものも含む)、末梢血、尿などの体液及びこれらに遠心分離等何らかの処理を施したもの、あるいは腎臓など各種臓器や筋肉などの各種組織から抽出した細胞を何らかの液体に再浮遊したものがあげられる。たとえば骨髄液は本発明で好適に用いられる有核細胞含有液である。
本発明において、「赤血球を捕捉せず」とは、赤血球が実質的に捕捉されずに通過することを言い、具体的には、骨髄中の赤血球が60%以上通過することを言う。また、「有核細胞を捕捉し得る」とは、有核細胞を半分以上捕捉すること、具体的には骨髄中の有核細胞を60%以上捕捉することをいうが、有核細胞の全数を捕捉するわけではないし、全ての種類の有核細胞を捕捉するとは限らない。
赤血球を捕捉せず有核細胞を捕捉し得るフィルターには、例えば、有核細胞は実質的に捕捉し、赤血球は実質的に通過する多孔質体からなる有核細胞捕捉材を、入口と出口とを有する容器に充填したものがあげられる。
赤血球を捕捉せず有核細胞を捕捉し得る材料としては、通常用いられている細胞捕捉材であればいかなる材料でも使用できるが、成形性、滅菌性や細胞毒性が低いという点で好ましいものを例示すると、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、ナイロン、ポリカーボネート、ポリウレタン等の合成高分子、セルロース、酢酸セルロース、キチン、キトサン、アルギン酸塩等の天然高分子、ハイドロキシアパタイト、ガラス、アルミナ、チタニア等の無機材料、ステンレス、チタン、アルミニウム等の金属があげられる。中でも、医療用として入手しやすく、好ましい形状の捕捉材に加工が容易なポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタンを使用するのがより好ましい。
これらの捕捉材は、このままでも用いることができるが、細胞の選択的通過性を高める等の目的で必要に応じ表面改質を施したものでもよい。例えば、血小板通過性を高めるには、WO87/05812号公報で提案されている非イオン性親水基と塩基性含窒素官能基を有するポリマーのコートによる方法等があげられる。またアミノ酸、ペプチド、糖類、糖タンパク等(抗体、接着分子等のバイオリガンドを含む)を固定するには、例えば特開平2−261833号公報で提案されているハロアセトアミド法により固定する方法等を好適に用いることができる。
捕捉材の形状としては、粒子、粒子集合体、繊維塊、織布、不織布、スポンジ状多孔質体、平板等といった成型体があげられる。粒子は、多孔質体からなる粒子の場合と非多孔質体からなる粒子の場合がある。粒子集合体は、粒子自体が多孔質体でなくても、粒子同士が集合して粒子間に隙間ができるので、そのときには多孔質体ということができる。繊維塊、織布、不織布も、繊維や糸の隙間があるので多孔質体ということができる。平板は、多孔質体ではない平板を指している。体積当たりの表面積が大きいという点で、多孔質体、すなわち、多孔質粒子、繊維塊、織布、不織布、スポンジ状多孔質体が好ましく、また、多孔質体のなかでも、製造性、流れ性の点から不織布とスポンジ状多孔質体がより好ましい。
不織布の場合、通常、繊維径は1.0μm以上30μm以下であり、好ましくは1.0μm以上20μm以下であり、さらにより好ましくは1.5μm以上10μm以下である。繊維径が1.0μm未満では、腎再生用細胞が強固に捕捉されてしまい、濃縮困難となる可能性があり好ましくない。繊維径が30μmを超えると、細胞は不織布に捕捉されず素通りする可能性が高くなる。いずれの場合でも濃縮率の低下につながるおそれがあるので好ましくない。
また、スポンジ状多孔質体の場合、孔径は通常2.0μm以上30μm以下であり、好ましくは2.5μm以上25μm以下であり、さらにより好ましくは3.0μm以上20μm以下である。孔径が2.0μm未満では流れ性が著しく劣り、通液自体が困難になるおそれがあり、また、孔径が25μmを超えると細胞の捕捉率の低下を招き濃縮率の低下につながるおそれがあるので好ましくない。
赤血球は捕捉せず有核細胞は捕捉し得る有核細胞捕捉材を充填する容器の材質としては、成型性、滅菌性や細胞毒性が低いという点で好ましいものを例示すると、ポリエチレン、ポリプリロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、塩化ビニル等の合成高分子、ハイドロキシアパタイト、ガラス、アルミナ、チタニア等の無機材料、ステンレス、チタン、アルミニウム等の金属があげられる。容器の構造としては、形状は直方体、立方体、円柱形、楕円柱形などがあげられるが、いずれの形状でもよい。また、入口と出口の位置としては、入口は濾材の最上層に液体を導入できる位置であればよく、また出口は濾材の最下層から液体を導出できる位置であれば良い。
本発明で言う腎再生用細胞とは、動物(ヒトを含む)の腎臓の一部または全ての組織を再生する能力のある細胞のことを言い、腎幹細胞、腎前駆細胞、間葉系幹および/または前駆細胞、血管内皮前駆細胞、尿細管前駆細胞などがあげられるが、これらに限定されるものではない。
本発明では有核細胞含有液をフィルターに導入し、次に該フィルターに回収用流体を導入する。この回収用流体としては細胞に悪影響を及ぼさない流体であればいかなる流体も使用できるが、いくつか例示すると、生理食塩水、D−PBS(ダルベッコリン酸塩緩衝液)、HBSS(ハンクス液)などの緩衝液、RPMI−1640、M199などの培地があげられる。これらの液体に、細胞保護、栄養補給、抗凝固性付与、凍結保存時の凍害防止、粘度向上(回収率向上に有効な場合がある)、感染防止等の目的で必要に応じ、FBS(ウシ胎児血清)等の各種血清、アルブミン、グロブリン、グルコース、サッカロース、トレハロース、クエン酸化合物、EDTA、ジメチルスルホキシド、デキストラン、ポリビニルピロリドン、グリセリン、キチン誘導体、ヒドロキシエチルデンプン、ゼラチン、抗生物質等を添加してもよい。また、ここで言う流体とは、液体単体のみならず、空気、アルゴン、窒素など細胞に悪影響を及ぼさない気体を混合したものも含まれる。流体の導入方向としては有核細胞含有液の通液方向と同一方向あるいは逆方向が考えられるが、逆方向の方が高い回収率が得られる傾向にあるのでより好ましい。
一方、本発明によれば、該フィルターに捕捉された細胞を回収することなく、たとえばフィルターを解体することで、細胞が捕捉されている捕捉材を取り出し、そのまま移植などに用いることもできる。このためには、容器が簡単に開封でき、中の有核細胞捕捉材を簡単に取り出せるような構造が便利である。また、フィルターの容器が細胞培養または細胞保存に適している容器の場合、細胞を回収することなく、該フィルターに培地等(細胞培養の場合)、凍害保護剤等(細胞の凍結保存の場合)を導入することで、そのまま細胞培養や細胞保存を行うことができる。この場合、フィルター容器は、細胞培養容器と細胞保存容器を兼ねることができる。
本発明による腎臓の再生方法は、前述の腎再生用細胞を含む細胞浮遊液を、前述の細胞分離フィルターに通液した後、流体を該フィルターに導入して捕捉されている腎再生用細胞を回収するものであるが、回収用の流体を導入する前に、該フィルターに微量残存する赤血球などを洗い流す目的でリンスを行っても良い。リンス液としては細胞に悪影響を及ぼさない液体であればいかなる液体も使用可能であるが、いくつか例示すると生理食塩水、ダルベッコリン酸塩緩衝液(D−PBS)やハンクス液(HBSS)などの緩衝液、RPMI1640、M199などの培地があげられる。リンス液の導入方向としては細胞浮遊液の通液方向と同一方向あるいは逆方向が考えられるが、同一方向の方が捕捉された細胞が漏出する可能性が低い傾向にあるのでより好ましい。
本発明による腎臓の再生方法においては、赤血球などは細胞分離フィルターを通過するが、この通過した夾雑細胞を回収して何らかの目的に利用することもできる。たとえば、細胞浮遊液が慢性腎不全患者から得られた骨髄の場合、この細胞分離フィルターから流出した夾雑細胞たる赤血球を血液バッグ等に回収・保存し、基礎科学実験用赤血球試料としての利用や人工赤血球の原料となるヘモグロビンの採取目的に用いることができる。また、輸血用血液として患者に輸血することもでき、この場合、骨髄採取による貧血を防止することができるので好ましい。
本発明の腎臓組織の再生方法においては腎再生用細胞を含む細胞浮遊液を個体から採取するが、その採取方法は、たとえば骨髄であれば骨髄穿刺針を用いる方法、末梢血であれば遠心式血球採取装置を用いる方法、臍帯血であれば採血用注射器を用いる方法など適宜選択する。
本発明では細胞分離フィルターにいったん捕捉させ回収した腎再生用細胞を前述の個体に移植できるのみならず、別の個体への移植、あるいは生体外での腎臓の一部または全ての再生に利用することもできる。
生体外(in vitro)での腎臓組織の再生とは、例えば以下があげられるが、これに限定されるものではない。生分解性あるいは非生分解性材料の「足場」(スキャフォルド)に細胞を播種し培養することによる再生、あるいは、足場を用いずに、例えばPDGF−Bやレチノイン酸を添加した培養でAT1受容体を介してangiotensin llに反応する、メサンギウムと考えられる細胞の再生方法がある。
本発明による腎疾患の治療方法は前述の方法により得られた腎再生用細胞を個体に投与することからなるが、同一の個体、同系の個体、同種の個体、異種の個体のいずれから採取されたものでも良い。ただし、組織適合抗原の一致していない同種、異種の場合は免疫抑制剤の投与など何らかの免疫抑制を行うことが望ましい。また、本発明で言う腎疾患とは、糸球体腎炎、巣状糸球体硬化症、膜性腎症、膜性増殖性糸球体腎炎、IgA腎症、ループス腎炎、糖尿病性腎症、急性糸球体腎炎、微小変化型ネフローゼ症候群、急性腎不全、慢性腎不全、移植腎病変などの疾病だけでなく事故や手術等による損傷・欠損も含む。
また、本発明による腎疾患の治療方法は、結果として、腎疾患が治療されれば良いのであって、治療メカニズムは問わない。すなわち、腎疾患を有する個体に移植された腎再生用細胞そのものが移植部位で分化し、腎組織を再生してその結果として腎疾患の治療につながる場合のみならず、移植された腎再生用細胞そのものが移植部位で分化するのではなく、移植部位に存在している細胞または組織に何らかの作用を及ぼして、その結果として腎疾患の治療につながるといった、いわば間接的効果も含まれるものである。
本発明による腎再生用細胞含有液は前述のフィルターで濃縮された腎再生用細胞を含有するものである。
本発明で得られた腎再生用細胞は、そのまま、あるいは必要に応じさらなる分離精製、培養、活性化、分化誘導、増幅、遺伝子導入、凍結保存などの各種処理が施された後、各種疾患・欠損の治療及び免疫学や細胞生物学等の基礎科学分野の研究に用いられる。
[発明を実施するための最良の形態]
以下に実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
[実施例1]
1.細胞分離フィルター
平均繊維径2.3μmのポリエステル不織布(目付約60g/m2、嵩高約0.3mm)18枚と平均繊維径12μmのポリエステル不織布(目付約100g/m2、嵩高約0.47mm)16枚を重ね、押し切りカッターで35mm角に切断し細胞捕捉材とした。この細胞捕捉材を容器外寸(縦×横×厚み)41×41×18mmで出口と入口を対角線上に持つポリカーボネート製容器の出口側に平均繊維径12μmのポリエステル不織布がくるように充填して細胞分離フィルター1とした。この細胞分離フィルターの入口側には先端がスパイク2で、途中に細胞回収バッグ6への分岐を有する三方活栓4を有するチューブを接続した。また、細胞分離フィルター1の出口側には途中に三方活栓5を有し、末端が赤血球バッグ3に接続されるチューブを接続し図1に示す細胞濃縮装置とした。
2.骨髄細胞浮遊液
GFP(Green Fluorescent Protein)ラット4匹の脚部から骨髄採取液(組成:M199/2%牛胎児血清/ゲンタマイシン2μg/ml)を用いて骨髄を採取し、同液体で希釈し60mlの骨髄細胞浮遊液とした。これを200ml血液バッグに入れた。
3.細胞濃縮操作
1.で作製した細胞濃縮装置のスパイク2に2.の骨髄細胞浮遊液入り血液バッグ(以下、血液バッグ)を接続した。三方活栓4は血液バッグと細胞分離フィルター1のみが連通する方向に、三方活栓5は細胞分離フィルター1と赤血球バッグのみが連通する方向にして原料細胞浮遊液を細胞分離フィルターに落差で通液濾過し、フィルターから流出した赤血球を赤血球バッグに回収した。次に三方活栓5に2.で用いた骨髄採取液25mlを入れた30ml注射器(ルアーロック口)を接続し、三方活栓5は注射器と細胞分離フィルター1のみが連通する方向にし、三方活栓4は細胞分離フィルター1と細胞回収バッグ6のみが連通する方向にした。次に注射器のプランジャーを手で押すことで細胞分離フィルター1に捕捉されている細胞を回収バッグ6に回収した。なお、本操作に要した時間は約10分であった。
4.移植操作
3.で回収した細胞を常法により遠心濃縮して得られた細胞浮遊液を2.5mlずつ4匹のラット(GFPラットではない)に尾静注した。
5.結果
(1)細胞分離
細胞回収バッグに回収された夾雑細胞(多くは赤血球からなるので、赤血球を計数)と有核細胞を前者は自動血球計数装置で、後者はチュルク液を用いる視算法で計数した。これらから算出した夾雑細胞除去率、有核細胞回収率を表1に示す。なお、有核細胞の全てが腎臓組織再生用細胞ではないが腎臓組織再生用細胞はこの有核細胞に含まれている。
(2)移植
移植28日後にラットを犠牲死させ、解剖して移植細胞(GFPラット由来なので緑色の蛍光を発する)の腎臓における存在を検索した結果、腎間質内及び腎糸球体内に移植細胞の存在が認められた。すなわち、骨髄から本法で濃縮分離して得られた細胞は腎を再構成することが明らかになった。図2には、犠牲死させ解剖したラットの腎臓組織の顕微鏡写真を示した。白い斑点が、腎臓組織に生着している移植骨髄細胞である。
[産業上の利用の可能性]
以上示したように本発明によれば極めて簡便かつ短時間の操作で腎再生用細胞を濃縮する方法を提供できるので、免疫学や細胞生物学等の基礎科学分野の発展、および再生医療が実験室レベルの実験医療から脱皮し、ルーチンの医療行為に発展することに貢献すること極めて大である。
【図面の簡単な説明】
図1は、腎再生用細胞濃縮装置の模式図である。
図2は、腎臓組織に生着している移植骨髄細胞を示す顕微鏡写真である。
Claims (12)
- 赤血球を捕捉せず有核細胞を捕捉し得るフィルターに、腎再生用細胞を含む有核細胞含有液を導入し、該フィルターに腎再生用細胞を捕捉させることを特徴とする、腎再生用細胞の分離方法。
- 赤血球を捕捉せず有核細胞を捕捉し得るフィルターに、腎再生用細胞を含む有核細胞含有液を導入し、次に該フィルターに回収用流体を導入して該フィルターに捕捉されている腎再生用細胞を回収することを特徴とする、腎再生用細胞の濃縮方法。
- 腎再生用細胞を含む細胞浮遊液を採取すること、採取した細胞浮遊液を、赤血球を捕捉せず有核細胞を捕捉し得るフィルターに通液すること、該フィルターに回収用流体を導入して該フィルターに捕捉されている腎再生用細胞を回収すること、回収された腎再生用細胞を腎臓組織の再生に使用することを含む腎臓組織の再生方法。
- 腎再生用細胞を含む細胞浮遊液を採取すること、採取した細胞浮遊液を、赤血球を捕捉せず有核細胞を捕捉し得るフィルターに通液すること、該細胞分離フィルターに回収用流体を導入して該フィルターに捕捉されている腎再生用細胞を回収すること、回収された腎再生用細胞を腎疾患を有する個体に投与することからなる腎疾患治療方法。
- 赤血球を捕捉せず有核細胞を捕捉し得るフィルターが、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリウレタンの1種以上からなる成形体を充填したフィルターであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
- 成形体が、不織布またはスポンジ状多孔質体であることを特徴とする請求項5に記載の方法。
- 赤血球を捕捉せず有核細胞を捕捉し得るフィルターが、さらに血小板も通過するものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
- 少なくとも入口と出口を有するフィルター容器に、赤血球を捕捉せず有核細胞を捕捉し得る細胞捕捉材を充填してなる細胞分離フィルターを含む腎再生用細胞の分離装置。
- 赤血球を捕捉せず有核細胞を捕捉し得る細胞捕捉材を充填してなる少なくとも入口と出口を有する細胞分離フィルターと、該細胞分離フィルターの入口より上流に接続される原料細胞浮遊液注入器具接続手段と、前記細胞分離フィルターの入口より上流または出口より下流で前記細胞分離フィルターに流体を注入する流体注入器具接続手段と、該細胞分離フィルターの入口より上流または出口より下流で該流体注入器具接続手段とは細胞分離フィルターを介して互いに反対の側に接続される細胞回収手段を含む腎再生用細胞の濃縮装置。
- 細胞分離フィルターがポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリウレタンの1種以上からなる成形体を充填したフィルターであることを特徴とする請求項8または9に記載の装置。
- 成形体が不織布またはスポンジ状多孔質体であることを特徴とする請求項10記載の装置。
- 請求項2記載の方法により濃縮された腎再生用細胞含有液。
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