JPWO1999039356A1 - 固体物質溶融装置 - Google Patents
固体物質溶融装置Info
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Abstract
(57)【要約】
焼却溶融炉は、内部に導電性発熱体(例えば黒鉛)が充填される炉本体、及び炉本体の周囲に配置された誘導コイルを備えている。燃焼用空気供給管路が、炉本体内の導電性発熱体充填領域の上端よりも上方に形成される空間に連絡される。炉本体は、開閉される固体物質の投入口を有すると共に、下端部に溶融物を排出する出湯口を有する。導電性発熱体は誘導コイルによる誘導加熱によって高温になる。燃焼用空気は導電性発熱体充填領域上端よりも上方に供給される。導電性発熱体と接触する放射性可燃物は燃焼し、放射性不燃物は溶融する。発生する排ガス及び溶融物は導電性発熱体充填領域内を下方に向かって流れ、出湯口から流出する。排ガスに含まれるダイオキシン等の有害ガスは、導電性発熱体充填領域の高温部で熱分解され無害化される。
Description
技術分野
本発明は、固体物質溶融装置に係り、特に原子カ発電所等の放射性物質取扱施
設から発生する放射性固体廃棄物(可燃物,難燃物及び不燃物を含む)を焼却,
溶融するのに好適な固体物質溶融装置に関する。 背景技術 原子力発電所等の放射性物質取扱施設から、ウエス,布類、及び塩化ビニル等
のプラスチック等の可燃性の放射性固体廃棄物、及び金属廃材,保温材等の不燃
性の放射性固体廃棄物が発生する。可燃物と不燃物は分別され、可燃物について
は焼却処理、不燃物については、圧縮処理や、廃棄物を高温で溶融して体積を減
少させる溶融処理が検討されている。また可燃物を焼却した後の残渣や焼却灰に
ついては、溶融処理が考えられている。 可燃性の放射性固体廃棄物を処理する焼却炉は、「放射性廃棄物処理処分に関
する研究開発」(産業技術出版、p175)に記載されている装置が一般的に用
いられている。この焼却炉は、耐火物を内張りした炉本体の内部で、可燃性の放
射性固体廃棄物をガスバーナーで燃焼させ、炉本体上部より排ガスを排出する。
排ガスは、二段のセラミックスフィルタと高性能フィルタで粉塵を除去された後
、系外へ放出される。また、炉本体の底部に溜まった残渣及び焼却灰は、底部の
シャッターを開くことによりドラム缶へ排出され、貯蔵される。 一方、不燃性の固体廃棄物を処理する溶融炉は、加熱方式の違いにより、プラ
ズマ加熱型溶融炉及び誘導加熱型溶融炉の二種類がある。誘導加熱型溶融炉は、
溶融槽の周りに巻いた誘導コイルに交流電流を流し、溶融槽内に数十〜数百Hz
の高周波誘導電磁場を発生させる。その高周波誘導電磁場の作用によって、渦電
流が溶融槽内に配置された導電性物質内に発生する。溶融槽内の固体廃棄物は、
渦電流のジュール熱で加熱されて溶融される。 このような誘導加熱型溶融炉を用いた溶融処理の一例として、特公平6−64
192号公報に記載されているものがある。この溶融処理は、導電性のセラミッ
クス容器を電磁誘導により加熱し、セラミックス容器内に供給される固体廃棄物
を溶融した後、セラミックス容器ごと系外に取り出し、固体廃棄物を冷却してイ
ンゴット化するものである。 誘導加熱型溶融炉を用いた他の溶融処理としては、特許第2503004号公
報に記載されているものがある。この溶融処理は、炉本体内部に充填されたカー
ボン製の導電性発熱体を高周波磁場で加熱し、導電性発熱体の充填層に上部から
投入された固体物質を、加熱された導電性発熱体によって加熱し溶融するもので
ある。固体物質の溶融物は、導電性発熱体間に形成された間隙を流下し、炉本体
の底部より排出される。 上記の従来技術のうち、可燃性固体廃棄物処理用の焼却炉は、熱源がバーナー
であり、不燃性固体廃棄物の溶融処理を行うことは困難である。また、焼却灰の
ハンドリングは、飛散防止等の対策が必要である。 次に、特公平6−64192号公報に記載された溶融処理は、炭素材料を基本
とする導電性容器を用いるため、燃焼用の空気を供給する可燃物の焼却処理には
適さない。また、溶融処理はバッチ処理となるので、固体廃棄物の処理速度に限
界がある。 特許第2503004号に記載されている溶融処理は、発熱体の炭素材料を追
加供給できるため、原理的には可燃性固体廃棄物の焼却も可能である。また、固
体物質の溶融物は、炉本体の底部より連続的に取り出すことができるので、固体
物質の処理速度が増大する。しかし、排ガスは、炉本体上端部から排出されるの
で、すす,粉塵、及び燃焼ガス等がそのまま排ガスとして排出される。このため
、排ガス処理の負荷が著しく増大する。また、導電性発熱体の充填層の上に固体
物質が投入されるので、固体物質の不完全燃焼によりダイオキシン及び他の有害
ガスが発生し、これらが分解されないまま炉本体上端部から排ガスと共に排出さ
れる可能性がある。また、排ガスの排出に伴い、炉本体底部の出湯口から低温空
気が炉内へ吸い込まれ、出湯口の温度を低下させる可能性がある。これにより、
出湯口に溶融物が凝固し、閉塞する可能性があるので補助バーナー等の設置が必
要になる。 本発明の目的は、ダイオキシン等の有害ガスの発生を抑制し、出湯口の閉塞が
起こらない固体物質溶融装置を提供することにある。 発明の開示 上記の目的を達成する第1発明の特徴は、開閉される固体物質の投入口を有す
ると共に下端部に溶融物の排出口を有し、内部に導電性発熱体が充填される炉本
体と、前記炉本体の周囲に配置され、前記導電性発熱体を誘導加熱する誘導コイ
ルとを備え、前記炉本体内に供給された前記固体物質を溶融する固体物質溶融装
置において、前記炉本体の上部に接続された燃焼用空気供給手段と、前記炉本体
の下端部に設けられた排ガスの排出口とを備えたことにある。 燃焼用空気供給手段が炉本体の上部に接続されて、排ガス排出口が炉本体の下
端部に設けられているので、燃焼用空気が炉本体の上部に供給され、可燃性の固
体物質の燃焼により発生した排ガスは高温の導電性発熱体の間を通って下端部に
ある排ガス排出口から炉本体外に排出される。特に、導電性発熱体充填層の上端
部より下方は高温になっている。このため、排ガスに含まれる未燃ガス及び有害
ガスは、排ガスが導電性発熱体充填層の高温領域を通過する間に熱分解され、無
害化が促進される。従って、排ガス排出口から排出される排ガスに含まれるダイ
オキシンの量が著しく低減され、外部環境へのダイオキシンの排出量も著しく低
減される。 なお、導電性発熱体としては、高温に耐え比較的電気抵抗値が小さい物質が好
ましく、具体的には黒鉛,コークス,炭化珪素及び炭化チタン等のカーボン系材
料,タンタル,モリブデン及びタングステン等の高融点金属,ホウ化ジルコニウ
ム,ホウ化チタン,ホウ化ニオブ及びホウ化モリブデン等のホウ化物セラミック
ス,モリブデンジルコニア、及び珪化モリブデンなどを用いるとよい。 上記の目的を達成する第2発明の特徴は、前記溶融物排出口が排ガスの排出口
を兼ねていることにある。 溶融物排出口が排ガス排出口を兼ねているので、溶融物排出口が排ガスによっ
て加熱されて高温になる。このため、溶融物排出口が冷えて溶融物が固まり、溶
融物排出口が閉塞する事態を回避できる。 上記の目的を達成する第3発明の特徴は、前記溶融物排出口に接続されて前記
溶融物及び前記排ガスを導く気密性を有する前記溶融物排出路と、前記溶融物排
出路に接続され、前記溶融物排出路を流れる前記溶融物が充填される容器が搬出
入される気密室と、この気密室に接続され、前記溶融物排出路を通して前記気密
室に導入される前記排ガスを排出する排ガス排出管路とを備えたことにある。 溶融物排出路を流れる溶融物が充填される容器が搬出入される気密室と、この
気密室に接続され、溶融物排出路を通して気密室に導入される排ガスを排出する
排ガス排出管路とを備えているので、溶融物の容器への注入が容易となり、溶融
物排出通路内を流れる溶融物と排ガスとの流れからの排ガスの分離が容易で排ガ
スの外部への排出が容易となる。 上記の目的を達成する第4発明の特徴は、前記燃焼用空気供給手段が、前記炉
本体内のガスの逆流を阻止する逆止弁を備えていることにある。 逆止弁を備えているので、多量の可燃性固体物質の炉本体内への投入によって
可燃性固体物質の燃焼が促進されて炉本体内の圧力が急上昇しても、炉本体内の
排ガスが燃焼用空気供給手段を逆流することを防止できる。このため、排ガスに
含まれる熱分解していない有害ガスが、燃焼用空気供給手段を通して外部環境に
排出されることを防止できる。 上記の目的を達成する第5発明の特徴は、前記燃焼用空気供給手段によって前
記炉本体内に供給される燃焼用空気を、前記排ガス排出口から排出された前記排
ガスによって加熱する加熱手段を有することにある。 炉本体内に供給される燃焼用空気を排ガスによって加熱するので、炉本体内に
供給する燃焼用空気の温度を高めることができ、固体物質、特に可燃性固体物質
の燃焼を促進し、固体物質溶融装置の焼却能力を向上できる。排ガスの持ってい
る熱を燃焼用空気の加熱に用いるので、別の加熱手段を設ける必要がなく、固体
物質溶融装置の熱効率が向上する。また、排ガスの温度を低減できる。 上記の目的を達成する第6発明の特徴は、前記燃焼用空気供給手段によって前
記炉本体内に供給される燃焼用空気を、排ガス排出管路によって導かれた前記排
ガスによって加熱する加熱手段を有することにある。 第6発明の特徴は、第3発明の特徴によって得られる作用効果に加えて、第5
発明の特徴によって得られる作用効果を得ることができる。 上記の目的を達成する第7発明の特徴は、前記加熱手段から排出された前記排
ガスに含まれる固形分を除去するフィルタを備えたことにある。 加熱手段の下流側にフィルタを設けているので、フィルタには温度の低下した
排ガスが導かれる。このため、フィルタの寿命が長くなる。 上記の目的を達成する第8発明の特徴は、前記炉本体の上部に接続された燃焼
用空気供給手段と、冷却材が充填される冷却材槽とを備え、前記溶融物排出口が
排ガスの排出口を兼ねており、更に、前記溶融物排出口に接続されて前記溶融物
を前記冷却材槽内に導く気密性を有する前記溶融物排出路と、前記冷却材槽の水
面より上方で前記溶融物排出路に接続され、前記溶融物排出路内を流れる前記排
ガスを排出する排ガス排出管路と、前記冷却材槽の冷却材中から凝固した前記溶
融物を取り出す手段とを備えたことにある。 第8発明の特徴は、溶融物を冷却材を充填した冷却材槽内に供給して冷却材槽
内から凝固した溶融物を取り出すので、溶融物のハンドリングがしやすく、溶融
物を容易に取り出すことができる。また、冷却材槽内の冷却材が、液封機構とな
り炉本体内の圧力の急激な上昇に対してバッファーの作用を有するため、炉本体
の安全性が向上する。更に、第8発明の特徴は、第1発明及び第2発明の各特徴
によって得られる作用効果を得ることができる。 上記の目的を達成する第9発明の特徴は、第8発明において、前記燃焼用空気
供給手段によって前記炉本体内に供給される燃焼用空気を、排ガス排出管路によ
って導かれた前記排ガスによって加熱する加熱手段を有することにある。 第9発明の特徴は、第8発明の特徴によって得られる作用効果に加えて、第5
発明の特徴によって得られる作用効果を得ることができる。 上記の目的を達成する第10発明の特徴は、第8発明において、前記燃焼用空
気供給手段が、前記炉本体内のガスの逆流を阻止する逆止弁を備えていることに
ある。 第10発明の特徴は、第8発明の特徴によって得られる作用効果に加えて、第
4発明の特徴によって得られる作用効果を得ることができる。 上記の目的を達成する第11発明の特徴は、前記炉本体の上部に接続された燃
焼用空気供給手段と、加熱手段を有し気密性を有する溶融物貯溜室とを備え、前
記溶融物排出口が排ガスの排出口を兼ねており、更に、前記溶融物排出口に接続
されて前記溶融物を前記溶融物貯溜室内に導く気密性を有する前記溶融物排出路
と、前記溶融物貯溜室に接続され、前記溶融物排出路を通して前記溶融物貯溜室
に導入される前記排ガスを排出する排ガス排出管路とを備えたことにある。 加熱手段を有し気密性を有する溶融物貯溜室を備えているので、炉本体の溶融
物排出口から排出された溶融物を溶融物貯溜室に貯えることができる。このため
、第3発明における容器内に溶融物を注入する気密室を設ける必要がなく、第3
発明の固体物質溶融装置の構成を単純化できる。溶融物貯溜室に貯えられた溶融
物を容器内に注入すればよいので、溶融物の注入作業も容易になる。 上記の目的を達成する第12発明の特徴は、第11発明において、前記燃焼用
空気供給手段によって前記炉本体内に供給される燃焼用空気を、排ガス排出管路
によって導かれた前記排ガスによって加熱する加熱手段を有することにある。 第12発明の特徴は、第11発明の特徴によって得られる作用効果に加えて、
第5発明の特徴によって得られる作用効果を得ることができる。 上記の目的を達成する第13発明の特徴は、開閉される放射性固体廃棄物の投
入口を有すると共に下端部に溶融物の排出口を有し、内部に導電性発熱体が充填
される炉本体と、前記炉本体の周囲に配置され、前記導電性発熱体を誘導加熱す
る誘導コイルとを備え、前記炉本体内に供給された前記放射性固体廃棄物を溶融
する放射性固体廃棄物溶融装置において、前記炉本体の上部に接続された燃焼用
空気供給手段を備え、前記溶融物排出口が排ガスの排出口を兼ねており、更に、
前記溶融物排出口に接続されて前記溶融物及び前記排ガスを導く気密性を有する
前記溶融物排出路と、前記溶融物排出路に接続され、前記溶融物排出路を流れる
前記溶融物が充填される容器が搬出入される気密室と、この気密室に接続され、
前記溶融物排出路を通して前記気密室に導入される前記排ガスを排出する排ガス
排出管路とを備えたことにある。 燃焼用空気供給手段が炉本体の上部に接続されて、排ガス排出口が炉本体の下
端部に設けられているので、燃焼用空気が炉本体の上部に供給され、可燃性の放
射性固体廃棄物の燃焼により発生した排ガスは高温の導電性発熱体の間を通って
下端部にある排ガス排出口から炉本体外に排出される。このため、放射性物質(
例えばセシウム等)は、排ガスの流れに乗って導電性発熱体充填層の上端よりも
下方に移動するので、導電性発熱体充填層の上端よりも上方での炉本体内壁の放
射性物質による汚染の度合いが低くなる。従って、導電性発熱体充填層の上端よ
りも上方での炉本体のメンテナンスを容易に行うことができる。 発明を実施するための最良の形態 (実施例1) 本発明の好適な一実施例である固体物質溶融装置が第1図を用いて以下に説明
される。 本実施例の固体物質溶融装置は、焼却溶融炉30,気密室7,可燃ガス燃焼室
10,熱交換器14,粉塵除去フィルタ15及び逆止弁12を備える。焼却溶融
炉30は、炉本体1、炉本体1の周囲を取り囲んで配置された螺旋状の誘導コイ
ル2、及び炉本体1の上端部に設けられた固体物質投入用のホッパー5を有する
。炉本体1は、耐火物質で構成される円筒状の側壁31と、この側壁の下端に取
り付けられ、耐火物質で構成される底部32を有する。出湯口4が、側壁31の
下端部に形成される。炉本体1の底部32は、溶融物が出湯口4に向かって流れ
るように、出湯口4に向かって傾斜している。ホッパー5には、固体物質投入装
置33、及び開閉扉6が設けられている。塊状の黒鉛である導電性発熱体3が、
炉本体1内に積層されている。 気密室7は、出湯口4に接続される管状の溶融物排出路34に接続されて、炉
本体1内と連絡される。排ガス排出管路35が、気密室7に接続される。可燃性
ガス燃焼室10,熱交換器14内の伝熱管、粉塵除去フィルタ15及び排気装置
(例えばフロア)9が、この順に、排ガス排出管路35に設置される。炉本体1
の上端部に、燃焼用空気供給管路11が接続される。燃焼用空気供給管路11は
、熱交換器14のシェル側に接続される。熱交換器14のシェル側から炉本体1
に向かって、空気圧縮機13及び逆止弁12が燃焼用空気供給管路11に設置さ
れる。空気取り入れ口36が熱交換器14のシェル側に接続される。 誘導コイル2に交流電流を流すことによって、誘導コイル2内部に高周波磁場
が形成される。このため、導電性発熱体3には渦電流によってジュール熱が発生
し、導電性発熱体3は放射性固体廃棄物を焼却・溶融するのに十分な温度まで昇
温する。 ホッパー5内に投入された固体物質である放射性固体廃棄物は、固体物質投入
装置33の移動によって、ホッパー5の出口より炉本体1内に供給される。その
際、放射性固体廃棄物は、開閉扉6を内側に押し拡げて炉本体1内に供給される
。放射性固体廃棄物の供給が終了したとき、開閉扉6は元の状態に戻り、ホッパ
ー5の出口を密封する。開閉扉6が内側に押し拡げられたとき、ホッパー5の出
口より外気が炉本体1内に流入する。しかしながら、開閉扉6が閉じられたとき
、炉本体1内の有害ガスがホッパー5を通って外部に流出することはない。 放射性固体廃棄物としては、原子力発電所等の放射性物質取扱施設から発生す
る、紙,ウエス,布類,プラスチック材等の可燃性の放射性固体廃棄物、及び金
属廃材及び保温材等の不燃性の放射性固体廃棄物がある。これらの放射性廃棄物
が、単独、または複数種類混在した状態(全部が混在する場合も含む)で炉本体
1内に供給される。場合によっては、可燃性の放射性固体廃棄物であるイオン交
換樹脂及び廃スラッジも、炉本体1内に供給される。 炉本体1内に供給された放射性固体廃棄物は、導電性発熱体3の充填領域の上
に留まっている。空気圧縮機13の駆動によって、空気取り入れ口36から流入
した燃焼用空気は、熱交換器14のシェル側、及び燃焼用空気供給管路11によ
り、炉本体1内の導電性発熱体3の充填領域よりも上方の空間に供給される。導
電性発熱体3の充填領域上にある放射性固体廃棄物は、ジュール熱が発生してい
る導電性発熱体3からの輻射熱,熱伝導で伝わる熱により加熱される。放射性固
体廃棄物のうち、可燃性の放射性固体廃棄物(以下、放射性可燃物という)は燃
焼用空気の存在かで燃焼し、焼却灰となる。この焼却灰は、導電性発熱体3から
の熱によりさらに溶融され、導電性発熱体3間に形成された間隙37を流下する
。また、不燃性の放射性固体廃棄物(以下、放射性不燃物という)は、焼却は一
途同様に溶融され、間隙37を流下する。これらの溶融物は、炉本体1の出湯口
4から排出され、溶融物排出路34を通って気密室7内に複数配備された容器8
に順次注入される。これらの容器8は、気密室7内に設置されたコンベア等の移
動装置(図示せず)によって、溶融物排出路34の下方に移動される。 焼却溶融炉30は、昼間に稼働して放射性固体廃棄物の焼却・溶融を行い、夜
は焼却・溶融を停止する。一日の焼却・溶融により焼却溶融炉30から排出され
る溶融物は、数本の容器に収納可能である。このため、一日の焼却・溶融が終了
した後に、溶融物で満たされた容器8は、気密室7の気密扉(図示せず)を開け
て気密室7から外部に取り出され、図示していない保管場所に移される。容器8
内の溶融物は自然冷却され、溶融物を内蔵する容器8はインゴット固化体となる
。溶融物で満たされた容器8の搬出後、翌日に溶融物を注入する数本の容器8が
、気密扉から気密室7内へ搬入され、上記の移動装置上に載せられる。そして、
気密扉が閉じられる。 放射性可燃物の燃焼により発生する排ガスは、高温の導電性発熱体3間の間隙
37を通過して出湯口4及び溶融物排出路34を通って気密室7に排出される。
放射性可燃物の燃焼によって有害ガスが発生する。特に、塩化ビニル等のプラス
チックの燃焼によってダイオキシン等の有害ガスが発生する。この有害ガスが排
ガスに含まれる。定常状態で、導電性発熱体充填領域の温度は、放射性廃棄物と
接触する上端部で約1550℃、高さ方向における中央部で約1600〜170
0℃、及び下端部で約1800℃である。導電性発熱体充填領域の上端部よりも
下方の高温の領域で、排ガスが間隙37を通る間に、排ガスに含まれたダイオキ
シン等の有害ガスは熱分解される。また、排ガスに含まれる、放射性可燃物の燃
焼によって生じた未燃ガスも、導電性発熱体充填領域を通る間に熱分解される。
このように、有害ガス及び未燃ガスは、熱分解されて無害化される。導電性発熱
体充填領域の上端部よりも下方の領域は、ダイオキシン等の有害ガス、及び未燃
ガスの分解領域である。 導電性発熱体3として黒鉛及びコークスのような炭素物質を用いる場合は、導
電性発熱体3は導電性発熱体3自身の燃焼により消耗する。このため、ホッパー
5より炉本体1内に、随時、導電性発熱体3を補充する。 気密室7に排出された排ガスは、排気装置9の駆動によって、排ガス排出管路
35に流入する。この排ガスは、排ガス排出管路35により、可燃性ガス燃焼室
10,熱交換器14内の伝熱管,粉塵除去フィルタ15,排気装置9及び活性炭
吸着塔(図示せず)を順次通過し、図示されていない排気筒より外部環境に排出
される。気密室7は、排気装置9の駆動により常に負圧に保たれている。このた
め、溶融物排出路34及び出湯口4で気密室7に接続されている炉本体1内部も
、負圧に保たれる。従って、炉本体1及び気密室7から外部への放射性物質の漏
洩が防止できる。 炭素物質である黒鉛を導電性発熱体3として用いているので、導電性発熱体充
填領域が還元性の雰囲気になる。このため、その還元性雰囲気で、一酸化炭素及
び炭化水素が発生する。これらの一部は、導電性発熱体充填領域で熱分解されな
いまま、排ガスと共に炉本体1から排出される。排ガスに含まれた一酸化炭素及
び炭化水素は、可燃性ガス燃焼室10内で補助燃焼バーナ(図示せず)を着火す
ることにより燃焼される。このように、排ガスが浄化される。また、排ガスに含
まれている他の可燃ガスもここで燃焼する。外部環境に排出される排ガスには、
一酸化炭素,炭化水素及び他の可燃性ガスが含まれていない。 黒鉛以外のコークスのような他の炭素物質を導電性発熱体3として用いた場合
でも、導電性発熱体充填領域の還元性雰囲気で、一酸化炭素及び炭化水素が発生
するので、可燃性ガス燃焼室10を設置する必要がある。 可燃性ガス燃焼室10から流出した排ガスは、熱交換器14の伝熱管内に導か
れる。熱交換器14において、排ガスは、熱交換器14のシェル側を流れる燃焼
用空気を加熱する。加熱されて温度が約500℃に上昇した燃焼用空気が、炉本
体1内に供給される。熱交換器14の伝熱管から排出された排ガスは、粉塵除去
フィルタ15に導かれる。熱交換器14の伝熱管から排出された排ガスは温度が
低下するので、粉塵除去フィルタ15の寿命が増加すると共に、排気装置9の熱
負荷を低減できる。熱交換器14から排出される排ガス温度は、600〜700
℃となる。 熱交換器14で加熱された燃焼用空気を炉本体1に供給するので、炉本体1が
燃焼用空気によって冷却される度合いが低減される。放射性可燃物の燃焼を促進
でき、焼却溶融炉30の焼却能力を向上でき、焼却溶融炉30の熱効率も向上す
る。また、放射性不燃物も、燃焼用空気で加熱されるので、溶融の開始が早くな
る。このため、焼却溶融炉30の溶融能力も向上する。排ガスの持っている熱を
燃焼用空気の加熱に用いるので、電気ヒーター等の別の加熱装置を設置する必要
がなく、固体物質溶融装置のエネルギー利用率が向上する。 粉塵除去フィルタ15は、排ガスに含まれている粉塵を除去する。当然のこと
ながら、放射性の粉塵もここで除去される。活性炭吸着塔は排ガスに含まれてい
る放射性ガスを吸着して除去する。 本実施例によれば、燃焼用空気が炉本体1上部の空間、すなわち導電性発熱体
充填領域よりも上方の空間に供給されるので、この空間での放射性可燃物の燃焼
が可能になる。また、焼却残渣及び焼却灰は、導電性発熱体3との接触により溶
融されて間隙37を流下し、出湯口4から流出する。このため、焼却灰のハンド
リングがなくなり、また焼却灰の飛散を防止できる。飛灰,すす及び粉塵も、導
電性発熱体3と接触して溶融されて除去される。排ガス中の粉塵量が著しく低減
されるので、粉塵除去フィルタ15への負荷が大幅に削減できる。粉塵除去容量
の小さな粉塵除去フィルタ15の使用が可能になる。 本実施例によれば、燃焼用空気が炉本体1の上部に供給されて排ガスが底部3
2付近に設けられた出湯口4から排出されるので、排ガスが導電性発熱体充填領
域を上部から下方に向かって流れる。このため、排ガスに含まれる未燃ガス及び
有害ガスは、排ガスが導電性発熱体充填領域の高温領域(上端部よりも下方の領
域)を通過する間に熱分解され、無害化が促進される。従って、出湯口4から排
出される排ガスに含まれるダイオキシンの量が著しく低減され、外部環境へのダ
イオキシンの排出量が著しく低減される。また、導電性発熱体3の間に形成され
る間隙37における溶融物の流れと排ガスの流れが並行しているので、間隙37
での溶融物の流れを促進させることができる。 本実施例によれば、放射性物質(例えばセシウム等)は排ガスの流れに乗って
導電性発熱体充填領域の上端よりも下方に移動するので、導電性発熱体充填領域
の上端よりも上方での炉本体1内壁の放射性物質による汚染の度合いが低くなる
。従って、導電性発熱体充填領域の上端よりも上方での炉本体1のメンテナンス
を容易に行うことができる。 本実施例は、出湯口4が排ガス排出口を兼ねているので、出湯口4は排ガスに
よって加熱されて高温になる。このため、出湯口4が冷えて溶融物が固まって出
湯口4が閉塞することを防止できる。 本実施例は、気密室7を備えているので、溶融物の容器8への注入を、排ガス
によってもたらされる放射性の粉塵を外部環境にまき散らさずに安全に行うこと
ができる。気密室7に排ガス排出管路35を接続しているので、溶融物排出路3
4を流れる溶融物と排ガスとの流れからの排ガスの分離が容易で排ガスの外部へ
の排出が容易となる。 本実施例によれば、逆止弁12を備えているので、多量の放射性可燃物の炉本
体1内への投入によって放射性可燃物の燃焼が促進されて炉本体1内の圧力が急
上昇した場合に、炉本体1内の排ガスが燃焼用空気供給管路11を逆流すること
を防止できる。このため、排ガスに含まれる熱分解していない有害ガスが、空気
取り入れ口36から外部環境に排出されることを防止できる。 粉塵除去フィルタ15が熱交換器14よりも下流側に設置されているので、粉
塵除去フィルタ15には温度の低下した排ガスが導かれる。このため、粉塵除去
フィルタ15の寿命が長くなる。 本実施例は、連続的に放射性廃棄物を炉本体1内に投入し発生した溶融物を連
続して排出できるので、間欠的な放射性廃棄物投入及び溶融物の排出を行うバッ
チ処理に比べて、焼却溶融炉の容積を小さくでき放射性廃棄物の処理速度を大き
くできる利点がある。 本実施例の固体物質溶融装置は、放射性廃棄物以外に、注射針等の金属廃棄物
,感染性廃棄物、及び廃動物等がある医療廃棄物の処理にも適用可能である。 なお、導電性発熱体3として炭素系材料以外の物質で構成された導電性発熱体
を用いた場合は、導電性発熱体の消耗がないので、導電性発熱体の炉本体1内へ
の補充が不要になる。 (実施例2) 本発明の他の実施例である固体物質溶融装置を第2図を用いて以下に説明する
。特に、実施例1の構成と異なる部分について説明する。 本実施例は、水を充填した水槽17を有する。溶融物排出路34は、水槽17
の水中に挿入されている。コンベア18が水槽17内に設置される。排ガス排出
管路35が、溶融物排出路34に接続される。出湯口4から排出された排ガスは
、溶融物排出路34より排ガス排出管路35に流入する。一方、出湯口4から排
出された溶融物は、溶融物排出路34を通って水槽17の水中に排出される。溶
融物は水プール17の水中で急冷されて粒状に凝固して粒状物19になる。粒状
物19は、駆動しているコンベア18上に落下し、水槽17外に運ばれる。この
粒状物19は、水槽17外にある容器8内に充填される。 溶融物排出路34の溶融物排出端は、水槽17の水によって水封されている。
水槽17は、外部空気の排ガスへの流入を防止し、炉本体1内の排ガスを効率よ
く排気する機能を有する。 本実施例は、実施例1で生じる効果のうち、気密室7の設置によって得られる
効果を除いた他の効果を得ることができる。本実施例は、溶融物を水槽17内で
凝固して粒状物19にし、この粒状物19を水槽17内からコンベア18で取り
出すので、溶融物のハンドリングがしやすく、炉本体1から排出される溶融物の
容器8への充填が著しく容易になる。また、水槽17内の水が、水封機構となり
炉本体1内の圧力の急激な上昇に対してバッファーの作用を有するため、炉本体
1の安全性が向上する。 更に、本実施例は、溶融物排出路34に排ガス排出管路35を接続しているの
で、溶融物排出路34を流れる溶融物と排ガスとの流れからの排ガスの分離が容
易で排ガスの外部への排出が容易となる。 (実施例3) 本発明の他の実施例である固体物質溶融装置を第3図を用いて以下に説明する
。特に、実施例1の構成と異なる部分について説明する。 本実施例は、実施例1の気密室7の替りに溶融物貯溜室20を設けている。誘
導コイル38が溶融物貯溜室20の周囲を取り囲んで配置される。溶融物貯溜室
20の底部には溶融物流出口が設けられ、ここに開閉装置(例えば開閉弁)21
が設けられる。排ガス排出管路35が溶融物貯溜室20に接続される。 炉本体1から出湯口4に排出された排ガス及び溶融物は、溶融物排出路34を
通して溶融物貯溜室20に導かれる。排ガスは排ガス排出管路35を通り、浄化
された後、排気筒(図示せず)から外部環境に排気される。溶融物は誘導コイル
38による誘導加熱により溶融物貯溜室20内で液体に保たれる。開閉装置21
が開かれると、溶融物は開閉装置21の下方に位置する容器8内に注入される。
溶融物貯溜室20内の溶融物は、誘導コイル38によって加熱することにより、
容器8内に注入されるまで溶融物貯溜室20内に一時的に貯溜される間、液体状
態に保持される。 溶融物貯溜室20内に溜っている溶融物は、開閉装置21が開いているとき、
溶融物貯溜室20底部の溶融物流出口から外部の空気が溶融物貯溜室20内に流
入するのを阻止するシールの働きをする。このため、溶融物の容器8への注入作
業をオープンスペースで行うことが可能になる。容器8、及び溶融物が固化した
インゴット固化体のハンドリング操作が容易になる。また、溶融物を開閉装置2
1から排出するため、溶融物の注入速度及び注入のオンオフの制御が容易になる
。実施例1のように容器8内に溶融物を注入する気密室7を設ける必要がなく、
固体物質溶融装置の構成を単純化できる。 溶融物貯溜室20に溜まった溶融物が外部空気の排ガスへの流入を防止し、炉
本体1内の排ガスを効率よく排気するためには、溶融物流出口は溶融物貯溜室2
0底部に設けることが望ましい。
設から発生する放射性固体廃棄物(可燃物,難燃物及び不燃物を含む)を焼却,
溶融するのに好適な固体物質溶融装置に関する。 背景技術 原子力発電所等の放射性物質取扱施設から、ウエス,布類、及び塩化ビニル等
のプラスチック等の可燃性の放射性固体廃棄物、及び金属廃材,保温材等の不燃
性の放射性固体廃棄物が発生する。可燃物と不燃物は分別され、可燃物について
は焼却処理、不燃物については、圧縮処理や、廃棄物を高温で溶融して体積を減
少させる溶融処理が検討されている。また可燃物を焼却した後の残渣や焼却灰に
ついては、溶融処理が考えられている。 可燃性の放射性固体廃棄物を処理する焼却炉は、「放射性廃棄物処理処分に関
する研究開発」(産業技術出版、p175)に記載されている装置が一般的に用
いられている。この焼却炉は、耐火物を内張りした炉本体の内部で、可燃性の放
射性固体廃棄物をガスバーナーで燃焼させ、炉本体上部より排ガスを排出する。
排ガスは、二段のセラミックスフィルタと高性能フィルタで粉塵を除去された後
、系外へ放出される。また、炉本体の底部に溜まった残渣及び焼却灰は、底部の
シャッターを開くことによりドラム缶へ排出され、貯蔵される。 一方、不燃性の固体廃棄物を処理する溶融炉は、加熱方式の違いにより、プラ
ズマ加熱型溶融炉及び誘導加熱型溶融炉の二種類がある。誘導加熱型溶融炉は、
溶融槽の周りに巻いた誘導コイルに交流電流を流し、溶融槽内に数十〜数百Hz
の高周波誘導電磁場を発生させる。その高周波誘導電磁場の作用によって、渦電
流が溶融槽内に配置された導電性物質内に発生する。溶融槽内の固体廃棄物は、
渦電流のジュール熱で加熱されて溶融される。 このような誘導加熱型溶融炉を用いた溶融処理の一例として、特公平6−64
192号公報に記載されているものがある。この溶融処理は、導電性のセラミッ
クス容器を電磁誘導により加熱し、セラミックス容器内に供給される固体廃棄物
を溶融した後、セラミックス容器ごと系外に取り出し、固体廃棄物を冷却してイ
ンゴット化するものである。 誘導加熱型溶融炉を用いた他の溶融処理としては、特許第2503004号公
報に記載されているものがある。この溶融処理は、炉本体内部に充填されたカー
ボン製の導電性発熱体を高周波磁場で加熱し、導電性発熱体の充填層に上部から
投入された固体物質を、加熱された導電性発熱体によって加熱し溶融するもので
ある。固体物質の溶融物は、導電性発熱体間に形成された間隙を流下し、炉本体
の底部より排出される。 上記の従来技術のうち、可燃性固体廃棄物処理用の焼却炉は、熱源がバーナー
であり、不燃性固体廃棄物の溶融処理を行うことは困難である。また、焼却灰の
ハンドリングは、飛散防止等の対策が必要である。 次に、特公平6−64192号公報に記載された溶融処理は、炭素材料を基本
とする導電性容器を用いるため、燃焼用の空気を供給する可燃物の焼却処理には
適さない。また、溶融処理はバッチ処理となるので、固体廃棄物の処理速度に限
界がある。 特許第2503004号に記載されている溶融処理は、発熱体の炭素材料を追
加供給できるため、原理的には可燃性固体廃棄物の焼却も可能である。また、固
体物質の溶融物は、炉本体の底部より連続的に取り出すことができるので、固体
物質の処理速度が増大する。しかし、排ガスは、炉本体上端部から排出されるの
で、すす,粉塵、及び燃焼ガス等がそのまま排ガスとして排出される。このため
、排ガス処理の負荷が著しく増大する。また、導電性発熱体の充填層の上に固体
物質が投入されるので、固体物質の不完全燃焼によりダイオキシン及び他の有害
ガスが発生し、これらが分解されないまま炉本体上端部から排ガスと共に排出さ
れる可能性がある。また、排ガスの排出に伴い、炉本体底部の出湯口から低温空
気が炉内へ吸い込まれ、出湯口の温度を低下させる可能性がある。これにより、
出湯口に溶融物が凝固し、閉塞する可能性があるので補助バーナー等の設置が必
要になる。 本発明の目的は、ダイオキシン等の有害ガスの発生を抑制し、出湯口の閉塞が
起こらない固体物質溶融装置を提供することにある。 発明の開示 上記の目的を達成する第1発明の特徴は、開閉される固体物質の投入口を有す
ると共に下端部に溶融物の排出口を有し、内部に導電性発熱体が充填される炉本
体と、前記炉本体の周囲に配置され、前記導電性発熱体を誘導加熱する誘導コイ
ルとを備え、前記炉本体内に供給された前記固体物質を溶融する固体物質溶融装
置において、前記炉本体の上部に接続された燃焼用空気供給手段と、前記炉本体
の下端部に設けられた排ガスの排出口とを備えたことにある。 燃焼用空気供給手段が炉本体の上部に接続されて、排ガス排出口が炉本体の下
端部に設けられているので、燃焼用空気が炉本体の上部に供給され、可燃性の固
体物質の燃焼により発生した排ガスは高温の導電性発熱体の間を通って下端部に
ある排ガス排出口から炉本体外に排出される。特に、導電性発熱体充填層の上端
部より下方は高温になっている。このため、排ガスに含まれる未燃ガス及び有害
ガスは、排ガスが導電性発熱体充填層の高温領域を通過する間に熱分解され、無
害化が促進される。従って、排ガス排出口から排出される排ガスに含まれるダイ
オキシンの量が著しく低減され、外部環境へのダイオキシンの排出量も著しく低
減される。 なお、導電性発熱体としては、高温に耐え比較的電気抵抗値が小さい物質が好
ましく、具体的には黒鉛,コークス,炭化珪素及び炭化チタン等のカーボン系材
料,タンタル,モリブデン及びタングステン等の高融点金属,ホウ化ジルコニウ
ム,ホウ化チタン,ホウ化ニオブ及びホウ化モリブデン等のホウ化物セラミック
ス,モリブデンジルコニア、及び珪化モリブデンなどを用いるとよい。 上記の目的を達成する第2発明の特徴は、前記溶融物排出口が排ガスの排出口
を兼ねていることにある。 溶融物排出口が排ガス排出口を兼ねているので、溶融物排出口が排ガスによっ
て加熱されて高温になる。このため、溶融物排出口が冷えて溶融物が固まり、溶
融物排出口が閉塞する事態を回避できる。 上記の目的を達成する第3発明の特徴は、前記溶融物排出口に接続されて前記
溶融物及び前記排ガスを導く気密性を有する前記溶融物排出路と、前記溶融物排
出路に接続され、前記溶融物排出路を流れる前記溶融物が充填される容器が搬出
入される気密室と、この気密室に接続され、前記溶融物排出路を通して前記気密
室に導入される前記排ガスを排出する排ガス排出管路とを備えたことにある。 溶融物排出路を流れる溶融物が充填される容器が搬出入される気密室と、この
気密室に接続され、溶融物排出路を通して気密室に導入される排ガスを排出する
排ガス排出管路とを備えているので、溶融物の容器への注入が容易となり、溶融
物排出通路内を流れる溶融物と排ガスとの流れからの排ガスの分離が容易で排ガ
スの外部への排出が容易となる。 上記の目的を達成する第4発明の特徴は、前記燃焼用空気供給手段が、前記炉
本体内のガスの逆流を阻止する逆止弁を備えていることにある。 逆止弁を備えているので、多量の可燃性固体物質の炉本体内への投入によって
可燃性固体物質の燃焼が促進されて炉本体内の圧力が急上昇しても、炉本体内の
排ガスが燃焼用空気供給手段を逆流することを防止できる。このため、排ガスに
含まれる熱分解していない有害ガスが、燃焼用空気供給手段を通して外部環境に
排出されることを防止できる。 上記の目的を達成する第5発明の特徴は、前記燃焼用空気供給手段によって前
記炉本体内に供給される燃焼用空気を、前記排ガス排出口から排出された前記排
ガスによって加熱する加熱手段を有することにある。 炉本体内に供給される燃焼用空気を排ガスによって加熱するので、炉本体内に
供給する燃焼用空気の温度を高めることができ、固体物質、特に可燃性固体物質
の燃焼を促進し、固体物質溶融装置の焼却能力を向上できる。排ガスの持ってい
る熱を燃焼用空気の加熱に用いるので、別の加熱手段を設ける必要がなく、固体
物質溶融装置の熱効率が向上する。また、排ガスの温度を低減できる。 上記の目的を達成する第6発明の特徴は、前記燃焼用空気供給手段によって前
記炉本体内に供給される燃焼用空気を、排ガス排出管路によって導かれた前記排
ガスによって加熱する加熱手段を有することにある。 第6発明の特徴は、第3発明の特徴によって得られる作用効果に加えて、第5
発明の特徴によって得られる作用効果を得ることができる。 上記の目的を達成する第7発明の特徴は、前記加熱手段から排出された前記排
ガスに含まれる固形分を除去するフィルタを備えたことにある。 加熱手段の下流側にフィルタを設けているので、フィルタには温度の低下した
排ガスが導かれる。このため、フィルタの寿命が長くなる。 上記の目的を達成する第8発明の特徴は、前記炉本体の上部に接続された燃焼
用空気供給手段と、冷却材が充填される冷却材槽とを備え、前記溶融物排出口が
排ガスの排出口を兼ねており、更に、前記溶融物排出口に接続されて前記溶融物
を前記冷却材槽内に導く気密性を有する前記溶融物排出路と、前記冷却材槽の水
面より上方で前記溶融物排出路に接続され、前記溶融物排出路内を流れる前記排
ガスを排出する排ガス排出管路と、前記冷却材槽の冷却材中から凝固した前記溶
融物を取り出す手段とを備えたことにある。 第8発明の特徴は、溶融物を冷却材を充填した冷却材槽内に供給して冷却材槽
内から凝固した溶融物を取り出すので、溶融物のハンドリングがしやすく、溶融
物を容易に取り出すことができる。また、冷却材槽内の冷却材が、液封機構とな
り炉本体内の圧力の急激な上昇に対してバッファーの作用を有するため、炉本体
の安全性が向上する。更に、第8発明の特徴は、第1発明及び第2発明の各特徴
によって得られる作用効果を得ることができる。 上記の目的を達成する第9発明の特徴は、第8発明において、前記燃焼用空気
供給手段によって前記炉本体内に供給される燃焼用空気を、排ガス排出管路によ
って導かれた前記排ガスによって加熱する加熱手段を有することにある。 第9発明の特徴は、第8発明の特徴によって得られる作用効果に加えて、第5
発明の特徴によって得られる作用効果を得ることができる。 上記の目的を達成する第10発明の特徴は、第8発明において、前記燃焼用空
気供給手段が、前記炉本体内のガスの逆流を阻止する逆止弁を備えていることに
ある。 第10発明の特徴は、第8発明の特徴によって得られる作用効果に加えて、第
4発明の特徴によって得られる作用効果を得ることができる。 上記の目的を達成する第11発明の特徴は、前記炉本体の上部に接続された燃
焼用空気供給手段と、加熱手段を有し気密性を有する溶融物貯溜室とを備え、前
記溶融物排出口が排ガスの排出口を兼ねており、更に、前記溶融物排出口に接続
されて前記溶融物を前記溶融物貯溜室内に導く気密性を有する前記溶融物排出路
と、前記溶融物貯溜室に接続され、前記溶融物排出路を通して前記溶融物貯溜室
に導入される前記排ガスを排出する排ガス排出管路とを備えたことにある。 加熱手段を有し気密性を有する溶融物貯溜室を備えているので、炉本体の溶融
物排出口から排出された溶融物を溶融物貯溜室に貯えることができる。このため
、第3発明における容器内に溶融物を注入する気密室を設ける必要がなく、第3
発明の固体物質溶融装置の構成を単純化できる。溶融物貯溜室に貯えられた溶融
物を容器内に注入すればよいので、溶融物の注入作業も容易になる。 上記の目的を達成する第12発明の特徴は、第11発明において、前記燃焼用
空気供給手段によって前記炉本体内に供給される燃焼用空気を、排ガス排出管路
によって導かれた前記排ガスによって加熱する加熱手段を有することにある。 第12発明の特徴は、第11発明の特徴によって得られる作用効果に加えて、
第5発明の特徴によって得られる作用効果を得ることができる。 上記の目的を達成する第13発明の特徴は、開閉される放射性固体廃棄物の投
入口を有すると共に下端部に溶融物の排出口を有し、内部に導電性発熱体が充填
される炉本体と、前記炉本体の周囲に配置され、前記導電性発熱体を誘導加熱す
る誘導コイルとを備え、前記炉本体内に供給された前記放射性固体廃棄物を溶融
する放射性固体廃棄物溶融装置において、前記炉本体の上部に接続された燃焼用
空気供給手段を備え、前記溶融物排出口が排ガスの排出口を兼ねており、更に、
前記溶融物排出口に接続されて前記溶融物及び前記排ガスを導く気密性を有する
前記溶融物排出路と、前記溶融物排出路に接続され、前記溶融物排出路を流れる
前記溶融物が充填される容器が搬出入される気密室と、この気密室に接続され、
前記溶融物排出路を通して前記気密室に導入される前記排ガスを排出する排ガス
排出管路とを備えたことにある。 燃焼用空気供給手段が炉本体の上部に接続されて、排ガス排出口が炉本体の下
端部に設けられているので、燃焼用空気が炉本体の上部に供給され、可燃性の放
射性固体廃棄物の燃焼により発生した排ガスは高温の導電性発熱体の間を通って
下端部にある排ガス排出口から炉本体外に排出される。このため、放射性物質(
例えばセシウム等)は、排ガスの流れに乗って導電性発熱体充填層の上端よりも
下方に移動するので、導電性発熱体充填層の上端よりも上方での炉本体内壁の放
射性物質による汚染の度合いが低くなる。従って、導電性発熱体充填層の上端よ
りも上方での炉本体のメンテナンスを容易に行うことができる。 発明を実施するための最良の形態 (実施例1) 本発明の好適な一実施例である固体物質溶融装置が第1図を用いて以下に説明
される。 本実施例の固体物質溶融装置は、焼却溶融炉30,気密室7,可燃ガス燃焼室
10,熱交換器14,粉塵除去フィルタ15及び逆止弁12を備える。焼却溶融
炉30は、炉本体1、炉本体1の周囲を取り囲んで配置された螺旋状の誘導コイ
ル2、及び炉本体1の上端部に設けられた固体物質投入用のホッパー5を有する
。炉本体1は、耐火物質で構成される円筒状の側壁31と、この側壁の下端に取
り付けられ、耐火物質で構成される底部32を有する。出湯口4が、側壁31の
下端部に形成される。炉本体1の底部32は、溶融物が出湯口4に向かって流れ
るように、出湯口4に向かって傾斜している。ホッパー5には、固体物質投入装
置33、及び開閉扉6が設けられている。塊状の黒鉛である導電性発熱体3が、
炉本体1内に積層されている。 気密室7は、出湯口4に接続される管状の溶融物排出路34に接続されて、炉
本体1内と連絡される。排ガス排出管路35が、気密室7に接続される。可燃性
ガス燃焼室10,熱交換器14内の伝熱管、粉塵除去フィルタ15及び排気装置
(例えばフロア)9が、この順に、排ガス排出管路35に設置される。炉本体1
の上端部に、燃焼用空気供給管路11が接続される。燃焼用空気供給管路11は
、熱交換器14のシェル側に接続される。熱交換器14のシェル側から炉本体1
に向かって、空気圧縮機13及び逆止弁12が燃焼用空気供給管路11に設置さ
れる。空気取り入れ口36が熱交換器14のシェル側に接続される。 誘導コイル2に交流電流を流すことによって、誘導コイル2内部に高周波磁場
が形成される。このため、導電性発熱体3には渦電流によってジュール熱が発生
し、導電性発熱体3は放射性固体廃棄物を焼却・溶融するのに十分な温度まで昇
温する。 ホッパー5内に投入された固体物質である放射性固体廃棄物は、固体物質投入
装置33の移動によって、ホッパー5の出口より炉本体1内に供給される。その
際、放射性固体廃棄物は、開閉扉6を内側に押し拡げて炉本体1内に供給される
。放射性固体廃棄物の供給が終了したとき、開閉扉6は元の状態に戻り、ホッパ
ー5の出口を密封する。開閉扉6が内側に押し拡げられたとき、ホッパー5の出
口より外気が炉本体1内に流入する。しかしながら、開閉扉6が閉じられたとき
、炉本体1内の有害ガスがホッパー5を通って外部に流出することはない。 放射性固体廃棄物としては、原子力発電所等の放射性物質取扱施設から発生す
る、紙,ウエス,布類,プラスチック材等の可燃性の放射性固体廃棄物、及び金
属廃材及び保温材等の不燃性の放射性固体廃棄物がある。これらの放射性廃棄物
が、単独、または複数種類混在した状態(全部が混在する場合も含む)で炉本体
1内に供給される。場合によっては、可燃性の放射性固体廃棄物であるイオン交
換樹脂及び廃スラッジも、炉本体1内に供給される。 炉本体1内に供給された放射性固体廃棄物は、導電性発熱体3の充填領域の上
に留まっている。空気圧縮機13の駆動によって、空気取り入れ口36から流入
した燃焼用空気は、熱交換器14のシェル側、及び燃焼用空気供給管路11によ
り、炉本体1内の導電性発熱体3の充填領域よりも上方の空間に供給される。導
電性発熱体3の充填領域上にある放射性固体廃棄物は、ジュール熱が発生してい
る導電性発熱体3からの輻射熱,熱伝導で伝わる熱により加熱される。放射性固
体廃棄物のうち、可燃性の放射性固体廃棄物(以下、放射性可燃物という)は燃
焼用空気の存在かで燃焼し、焼却灰となる。この焼却灰は、導電性発熱体3から
の熱によりさらに溶融され、導電性発熱体3間に形成された間隙37を流下する
。また、不燃性の放射性固体廃棄物(以下、放射性不燃物という)は、焼却は一
途同様に溶融され、間隙37を流下する。これらの溶融物は、炉本体1の出湯口
4から排出され、溶融物排出路34を通って気密室7内に複数配備された容器8
に順次注入される。これらの容器8は、気密室7内に設置されたコンベア等の移
動装置(図示せず)によって、溶融物排出路34の下方に移動される。 焼却溶融炉30は、昼間に稼働して放射性固体廃棄物の焼却・溶融を行い、夜
は焼却・溶融を停止する。一日の焼却・溶融により焼却溶融炉30から排出され
る溶融物は、数本の容器に収納可能である。このため、一日の焼却・溶融が終了
した後に、溶融物で満たされた容器8は、気密室7の気密扉(図示せず)を開け
て気密室7から外部に取り出され、図示していない保管場所に移される。容器8
内の溶融物は自然冷却され、溶融物を内蔵する容器8はインゴット固化体となる
。溶融物で満たされた容器8の搬出後、翌日に溶融物を注入する数本の容器8が
、気密扉から気密室7内へ搬入され、上記の移動装置上に載せられる。そして、
気密扉が閉じられる。 放射性可燃物の燃焼により発生する排ガスは、高温の導電性発熱体3間の間隙
37を通過して出湯口4及び溶融物排出路34を通って気密室7に排出される。
放射性可燃物の燃焼によって有害ガスが発生する。特に、塩化ビニル等のプラス
チックの燃焼によってダイオキシン等の有害ガスが発生する。この有害ガスが排
ガスに含まれる。定常状態で、導電性発熱体充填領域の温度は、放射性廃棄物と
接触する上端部で約1550℃、高さ方向における中央部で約1600〜170
0℃、及び下端部で約1800℃である。導電性発熱体充填領域の上端部よりも
下方の高温の領域で、排ガスが間隙37を通る間に、排ガスに含まれたダイオキ
シン等の有害ガスは熱分解される。また、排ガスに含まれる、放射性可燃物の燃
焼によって生じた未燃ガスも、導電性発熱体充填領域を通る間に熱分解される。
このように、有害ガス及び未燃ガスは、熱分解されて無害化される。導電性発熱
体充填領域の上端部よりも下方の領域は、ダイオキシン等の有害ガス、及び未燃
ガスの分解領域である。 導電性発熱体3として黒鉛及びコークスのような炭素物質を用いる場合は、導
電性発熱体3は導電性発熱体3自身の燃焼により消耗する。このため、ホッパー
5より炉本体1内に、随時、導電性発熱体3を補充する。 気密室7に排出された排ガスは、排気装置9の駆動によって、排ガス排出管路
35に流入する。この排ガスは、排ガス排出管路35により、可燃性ガス燃焼室
10,熱交換器14内の伝熱管,粉塵除去フィルタ15,排気装置9及び活性炭
吸着塔(図示せず)を順次通過し、図示されていない排気筒より外部環境に排出
される。気密室7は、排気装置9の駆動により常に負圧に保たれている。このた
め、溶融物排出路34及び出湯口4で気密室7に接続されている炉本体1内部も
、負圧に保たれる。従って、炉本体1及び気密室7から外部への放射性物質の漏
洩が防止できる。 炭素物質である黒鉛を導電性発熱体3として用いているので、導電性発熱体充
填領域が還元性の雰囲気になる。このため、その還元性雰囲気で、一酸化炭素及
び炭化水素が発生する。これらの一部は、導電性発熱体充填領域で熱分解されな
いまま、排ガスと共に炉本体1から排出される。排ガスに含まれた一酸化炭素及
び炭化水素は、可燃性ガス燃焼室10内で補助燃焼バーナ(図示せず)を着火す
ることにより燃焼される。このように、排ガスが浄化される。また、排ガスに含
まれている他の可燃ガスもここで燃焼する。外部環境に排出される排ガスには、
一酸化炭素,炭化水素及び他の可燃性ガスが含まれていない。 黒鉛以外のコークスのような他の炭素物質を導電性発熱体3として用いた場合
でも、導電性発熱体充填領域の還元性雰囲気で、一酸化炭素及び炭化水素が発生
するので、可燃性ガス燃焼室10を設置する必要がある。 可燃性ガス燃焼室10から流出した排ガスは、熱交換器14の伝熱管内に導か
れる。熱交換器14において、排ガスは、熱交換器14のシェル側を流れる燃焼
用空気を加熱する。加熱されて温度が約500℃に上昇した燃焼用空気が、炉本
体1内に供給される。熱交換器14の伝熱管から排出された排ガスは、粉塵除去
フィルタ15に導かれる。熱交換器14の伝熱管から排出された排ガスは温度が
低下するので、粉塵除去フィルタ15の寿命が増加すると共に、排気装置9の熱
負荷を低減できる。熱交換器14から排出される排ガス温度は、600〜700
℃となる。 熱交換器14で加熱された燃焼用空気を炉本体1に供給するので、炉本体1が
燃焼用空気によって冷却される度合いが低減される。放射性可燃物の燃焼を促進
でき、焼却溶融炉30の焼却能力を向上でき、焼却溶融炉30の熱効率も向上す
る。また、放射性不燃物も、燃焼用空気で加熱されるので、溶融の開始が早くな
る。このため、焼却溶融炉30の溶融能力も向上する。排ガスの持っている熱を
燃焼用空気の加熱に用いるので、電気ヒーター等の別の加熱装置を設置する必要
がなく、固体物質溶融装置のエネルギー利用率が向上する。 粉塵除去フィルタ15は、排ガスに含まれている粉塵を除去する。当然のこと
ながら、放射性の粉塵もここで除去される。活性炭吸着塔は排ガスに含まれてい
る放射性ガスを吸着して除去する。 本実施例によれば、燃焼用空気が炉本体1上部の空間、すなわち導電性発熱体
充填領域よりも上方の空間に供給されるので、この空間での放射性可燃物の燃焼
が可能になる。また、焼却残渣及び焼却灰は、導電性発熱体3との接触により溶
融されて間隙37を流下し、出湯口4から流出する。このため、焼却灰のハンド
リングがなくなり、また焼却灰の飛散を防止できる。飛灰,すす及び粉塵も、導
電性発熱体3と接触して溶融されて除去される。排ガス中の粉塵量が著しく低減
されるので、粉塵除去フィルタ15への負荷が大幅に削減できる。粉塵除去容量
の小さな粉塵除去フィルタ15の使用が可能になる。 本実施例によれば、燃焼用空気が炉本体1の上部に供給されて排ガスが底部3
2付近に設けられた出湯口4から排出されるので、排ガスが導電性発熱体充填領
域を上部から下方に向かって流れる。このため、排ガスに含まれる未燃ガス及び
有害ガスは、排ガスが導電性発熱体充填領域の高温領域(上端部よりも下方の領
域)を通過する間に熱分解され、無害化が促進される。従って、出湯口4から排
出される排ガスに含まれるダイオキシンの量が著しく低減され、外部環境へのダ
イオキシンの排出量が著しく低減される。また、導電性発熱体3の間に形成され
る間隙37における溶融物の流れと排ガスの流れが並行しているので、間隙37
での溶融物の流れを促進させることができる。 本実施例によれば、放射性物質(例えばセシウム等)は排ガスの流れに乗って
導電性発熱体充填領域の上端よりも下方に移動するので、導電性発熱体充填領域
の上端よりも上方での炉本体1内壁の放射性物質による汚染の度合いが低くなる
。従って、導電性発熱体充填領域の上端よりも上方での炉本体1のメンテナンス
を容易に行うことができる。 本実施例は、出湯口4が排ガス排出口を兼ねているので、出湯口4は排ガスに
よって加熱されて高温になる。このため、出湯口4が冷えて溶融物が固まって出
湯口4が閉塞することを防止できる。 本実施例は、気密室7を備えているので、溶融物の容器8への注入を、排ガス
によってもたらされる放射性の粉塵を外部環境にまき散らさずに安全に行うこと
ができる。気密室7に排ガス排出管路35を接続しているので、溶融物排出路3
4を流れる溶融物と排ガスとの流れからの排ガスの分離が容易で排ガスの外部へ
の排出が容易となる。 本実施例によれば、逆止弁12を備えているので、多量の放射性可燃物の炉本
体1内への投入によって放射性可燃物の燃焼が促進されて炉本体1内の圧力が急
上昇した場合に、炉本体1内の排ガスが燃焼用空気供給管路11を逆流すること
を防止できる。このため、排ガスに含まれる熱分解していない有害ガスが、空気
取り入れ口36から外部環境に排出されることを防止できる。 粉塵除去フィルタ15が熱交換器14よりも下流側に設置されているので、粉
塵除去フィルタ15には温度の低下した排ガスが導かれる。このため、粉塵除去
フィルタ15の寿命が長くなる。 本実施例は、連続的に放射性廃棄物を炉本体1内に投入し発生した溶融物を連
続して排出できるので、間欠的な放射性廃棄物投入及び溶融物の排出を行うバッ
チ処理に比べて、焼却溶融炉の容積を小さくでき放射性廃棄物の処理速度を大き
くできる利点がある。 本実施例の固体物質溶融装置は、放射性廃棄物以外に、注射針等の金属廃棄物
,感染性廃棄物、及び廃動物等がある医療廃棄物の処理にも適用可能である。 なお、導電性発熱体3として炭素系材料以外の物質で構成された導電性発熱体
を用いた場合は、導電性発熱体の消耗がないので、導電性発熱体の炉本体1内へ
の補充が不要になる。 (実施例2) 本発明の他の実施例である固体物質溶融装置を第2図を用いて以下に説明する
。特に、実施例1の構成と異なる部分について説明する。 本実施例は、水を充填した水槽17を有する。溶融物排出路34は、水槽17
の水中に挿入されている。コンベア18が水槽17内に設置される。排ガス排出
管路35が、溶融物排出路34に接続される。出湯口4から排出された排ガスは
、溶融物排出路34より排ガス排出管路35に流入する。一方、出湯口4から排
出された溶融物は、溶融物排出路34を通って水槽17の水中に排出される。溶
融物は水プール17の水中で急冷されて粒状に凝固して粒状物19になる。粒状
物19は、駆動しているコンベア18上に落下し、水槽17外に運ばれる。この
粒状物19は、水槽17外にある容器8内に充填される。 溶融物排出路34の溶融物排出端は、水槽17の水によって水封されている。
水槽17は、外部空気の排ガスへの流入を防止し、炉本体1内の排ガスを効率よ
く排気する機能を有する。 本実施例は、実施例1で生じる効果のうち、気密室7の設置によって得られる
効果を除いた他の効果を得ることができる。本実施例は、溶融物を水槽17内で
凝固して粒状物19にし、この粒状物19を水槽17内からコンベア18で取り
出すので、溶融物のハンドリングがしやすく、炉本体1から排出される溶融物の
容器8への充填が著しく容易になる。また、水槽17内の水が、水封機構となり
炉本体1内の圧力の急激な上昇に対してバッファーの作用を有するため、炉本体
1の安全性が向上する。 更に、本実施例は、溶融物排出路34に排ガス排出管路35を接続しているの
で、溶融物排出路34を流れる溶融物と排ガスとの流れからの排ガスの分離が容
易で排ガスの外部への排出が容易となる。 (実施例3) 本発明の他の実施例である固体物質溶融装置を第3図を用いて以下に説明する
。特に、実施例1の構成と異なる部分について説明する。 本実施例は、実施例1の気密室7の替りに溶融物貯溜室20を設けている。誘
導コイル38が溶融物貯溜室20の周囲を取り囲んで配置される。溶融物貯溜室
20の底部には溶融物流出口が設けられ、ここに開閉装置(例えば開閉弁)21
が設けられる。排ガス排出管路35が溶融物貯溜室20に接続される。 炉本体1から出湯口4に排出された排ガス及び溶融物は、溶融物排出路34を
通して溶融物貯溜室20に導かれる。排ガスは排ガス排出管路35を通り、浄化
された後、排気筒(図示せず)から外部環境に排気される。溶融物は誘導コイル
38による誘導加熱により溶融物貯溜室20内で液体に保たれる。開閉装置21
が開かれると、溶融物は開閉装置21の下方に位置する容器8内に注入される。
溶融物貯溜室20内の溶融物は、誘導コイル38によって加熱することにより、
容器8内に注入されるまで溶融物貯溜室20内に一時的に貯溜される間、液体状
態に保持される。 溶融物貯溜室20内に溜っている溶融物は、開閉装置21が開いているとき、
溶融物貯溜室20底部の溶融物流出口から外部の空気が溶融物貯溜室20内に流
入するのを阻止するシールの働きをする。このため、溶融物の容器8への注入作
業をオープンスペースで行うことが可能になる。容器8、及び溶融物が固化した
インゴット固化体のハンドリング操作が容易になる。また、溶融物を開閉装置2
1から排出するため、溶融物の注入速度及び注入のオンオフの制御が容易になる
。実施例1のように容器8内に溶融物を注入する気密室7を設ける必要がなく、
固体物質溶融装置の構成を単純化できる。 溶融物貯溜室20に溜まった溶融物が外部空気の排ガスへの流入を防止し、炉
本体1内の排ガスを効率よく排気するためには、溶融物流出口は溶融物貯溜室2
0底部に設けることが望ましい。
第1図は本発明の好適な一実施例である固体物質溶融装置の構成図、第2図は
本発明の他の実施例である固体物質溶融装置の構成図、第3図は本発明の他の実
施例である固体物質溶融装置の構成図である。
本発明の他の実施例である固体物質溶融装置の構成図、第3図は本発明の他の実
施例である固体物質溶融装置の構成図である。
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フロントページの続き
(72)発明者 近藤 健之
日本国茨城県日立市大みか町七丁目2番1
号
(72)発明者 松田 将省
日本国茨城県日立市幸町三丁目1番1号
(72)発明者 上田 清隆
日本国茨城県日立市幸町三丁目1番1号
(注)この公表は、国際事務局(WIPO)により国際公開された公報を基に作
成したものである。
なおこの公表に係る日本語特許出願(日本語実用新案登録出願)の国際公開の
効果は、特許法第184条の10第1項(実用新案法第48条の13第2項)に
より生ずるものであり、本掲載とは関係ありません。
Claims (15)
- 【請求項1】開閉される固体物質の投入口を有すると共に下端部に溶融物の排出
口を有し、内部に導電性発熱体が充填される炉本体と、前記炉本体の周囲に配置
され、前記導電性発熱体を誘導加熱する誘導コイルとを備え、前記炉本体内に供
給された前記固体物質を溶融する固体物質溶融装置において、 前記炉本体の上部に接続された燃焼用空気供給手段と、前記炉本体の下端部に
設けられた排ガスの排出口とを備えたことを特徴とする固体物質溶融装置。 - 【請求項2】開閉される固体物質の投入口を有すると共に下端部に溶融物の排出
口を有し、内部に導電性発熱体が充填される炉本体と、前記炉本体の周囲に配置
され、前記導電性発熱体を誘導加熱する誘導コイルとを備え、前記炉本体内に供
給された前記固体物質を溶融する固体物質溶融装置において、 内部に形成される前記溶融物が流下する領域に、生成された有害ガスの分解領
域が形成される前記炉本体を備えたことを特徴とする固体物質溶融装置。 - 【請求項3】開閉される固体物質の投入口を有すると共に下端部に溶融物の排出
口を有し、内部に導電性発熱体が充填される炉本体と、前記炉本体の周囲に配置
され、前記導電性発熱体を誘導加熱する誘導コイルとを備え、前記炉本体内に供
給された前記固体物質を溶融する固体物質溶融装置において、 内部に形成される前記溶融物が流下する領域に、凝縮により粘性の大きな物質
になる分子量の大きな炭化水素を分解する領域を形成する前記炉本体を備えたこ
とを特徴とする固体物質溶融装置。 - 【請求項4】開閉される固体物質の投入口を有すると共に下端部に溶融物の排出
口を有し、内部に導電性発熱体が充填される炉本体と、前記炉本体の周囲に配置
され、前記導電性発熱体を誘導加熱する誘導コイルとを備え、前記炉本体内に供
給された前記固体物質を溶融する固体物質溶融装置において、 前記炉本体の上部に接続された燃焼用空気供給手段を備え、前記溶融物排出口
が排ガスの排出口を兼ねていることを特徴とする固体物質溶融装置。 - 【請求項5】前記溶融物排出口に接続されて前記溶融物及び前記排ガスを導く気
密性を有する前記溶融物排出路と、前記溶融物排出路に接続され、前記溶融物排
出路を流れる前記溶融物が充填される容器が搬出入される気密室と、この気密室
に接続され、前記溶融物排出路を通して前記気密室に導入される前記排ガスを排
出する排ガス排出管路とを備えた請求項4の固体物質溶融装置。 - 【請求項6】前記燃焼用空気供給手段が、前記炉本体内のガスの逆流を阻止する
逆止弁を備えている請求項1,請求項4及び請求項5のいずれかの固体物質溶融
装置。 - 【請求項7】前記燃焼用空気供給手段によって前記炉本体内に供給される燃焼用
空気を、前記排ガス排出口から排出された前記排ガスによって加熱する加熱手段
を有する請求項1または請求項4の固体物質溶融装置。 - 【請求項8】前記燃焼用空気供給手段によって前記炉本体内に供給される燃焼用
空気を、排ガス排出管路によって導かれた前記排ガスによって加熱する加熱手段
を有する請求項5の固体物質溶融装置。 - 【請求項9】前記加熱手段から排出された前記排ガスに含まれる固形分を除去す
るフィルタを備えた請求項7の固体物質溶融装置。 - 【請求項10】開閉される固体物質の投入口を有すると共に下端部に溶融物の排
出口を有し、内部に導電性発熱体が充填される炉本体と、前記炉本体の周囲に配
置され、前記導電性発熱体を誘導加熱する誘導コイルとを備え、前記炉本体内に
供給された前記固体物質を溶融する固体物質溶融装置において、 前記炉本体の上部に接続された燃焼用空気供給手段と、冷却材が充填される冷
却材槽とを備え、前記溶融物排出口が排ガスの排出口を兼ねており、更に、前記
溶融物排出口に接続されて前記溶融物を前記冷却材槽内に導く気密性を有する前
記溶融物排出路と、前記冷却材槽の液面より上方で前記溶融物排出路に接続され
、前記溶融物排出路内を流れる前記排ガスを排出する排ガス排出管路と、前記冷
却材槽の冷却材中から凝固した前記溶融物を取り出す手段とを備えたことを特徴
とする固体物質溶融装置。 - 【請求項11】前記燃焼用空気供給手段によって前記炉本体内に供給される燃焼
用空気を、排ガス排出管路によって導かれた前記排ガスによって加熱する加熱手
段を有する請求項10の固体物質溶融装置。 - 【請求項12】前記燃焼用空気供給手段が、前記炉本体内のガスの逆流を阻止す
る逆止弁を備えている請求項10及び請求項11のいずれかの固体物質溶融装置
。 - 【請求項13】開閉される固体物質の投入口を有すると共に下端部に溶融物の排
出口を有し、内部に導電性発熱体が充填される炉本体と、前記炉本体の周囲に配
置され、前記導電性発熱体を誘導加熱する誘導コイルとを備え、前記炉本体内に
供給された前記固体物質を溶融する固体物質溶融装置において、 前記炉本体の上部に接続された燃焼用空気供給手段と、加熱手段を有し、気密
性を有する溶融物貯溜室とを備え、前記溶融物排出口が排ガスの排出口を兼ねて
おり、更に、前記溶融物排出口に接続されて前記溶融物を前記溶融物貯溜室内に
導く気密性を有する前記溶融物排出路と、前記溶融物貯溜室に接続され、前記溶
融物排出路を通して前記溶融物貯溜室に導入される前記排ガスを排出する排ガス
排出管路とを備えたことを特徴とする固体物質溶融装置。 - 【請求項14】前記燃焼用空気供給手段によって前記炉本体内に供給される燃焼
用空気を、排ガス排出管路によって導かれた前記排ガスによって加熱する加熱手
段を有する請求項13の固体物質溶融装置。 - 【請求項15】開閉される放射性固体廃棄物の投入口を有すると共に下端部に溶
融物の排出口を有し、内部に導電性発熱体が充填される炉本体と、前記炉本体の
周囲に配置され、前記導電性発熱体を誘導加熱する誘導コイルとを備え、前記炉
本体内に供給された前記放射性固体廃棄物を溶融する放射性固体廃棄物溶融装置
において、 前記炉本体の上部に接続された燃焼用空気供給手段を備え、前記溶融物排出口
が排ガスの排出口を兼ねており、更に、前記溶融物排出口に接続されて前記溶融
物及び前記排ガスを導く気密性を有する前記溶融物排出路と、前記溶融物排出路
に接続され、前記溶融物排出路を流れる前記溶融物が充填される容器が搬出入さ
れる気密室と、この気密室に接続され、前記溶融物排出路を通して前記気密室に
導入される前記排ガスを排出する排ガス排出管路とを備えたことを特徴とする放
射性固体廃棄物溶融装置。
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPWO1999039356A1 true JPWO1999039356A1 (ja) | 2002-10-02 |
Family
ID=
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