【発明の詳細な説明】
癌の検出及び処理発明の分野
本発明は、癌の検出及び/又は処理に関するものである。より具体的には、本
発明の原理はAFPレセプターの存在を利用するもので、患者の体内で癌を発見
し、又は癌を封じ込めたり排除したりするものである。発明の背景
20年前に、Abelev等が初めて癌胎児(oncofetal)の抗原であるアルファフェ
トプロテイン(AFP)について報告した[Abelev,G.I.,Perova,S.D.,Khra
mkova,N.I.,Postnikova,Z.A.and Irlin,I.S.,Transplantation 1,174(19
63)]。これは胎児期の主な循環蛋白質であるが、この蛋白質は出生後はほとん
ど消失し、正常な大人が持当該つ蛋白質の血清濃度は50ng/ml未満である[Ruo
slahti,E.and Seppals,M.,Int.J.Cancer 8,374(1971)]。しかし、肝臓
癌や奇形癌などの悪性腫瘍の病気において、血漿のレベルは1000倍も高くな
ることがある[Ruoslahti,E.and Seppals,M.Adv.Cancer Res.29,275(197
9)]。この知見については、悪性腫瘍を発見し、癌患者を監視するための新規な
手段の到来を予想していた臨床医学者だけでなく、胎児期に於け
るその蛋白質の生理機能を調べている研究者も注目した。
研究された最初のパラメーターの1つは、胎児内のAFP分布であった。免疫
ペルオキシダーゼ法を用いて、BennoとWilliamsは発育中のラットの脳に於ける
AFPの分布を記載した[Benno,R.H.and Williams,T.H.,Brain Res.142,
1982(1978)]。その後まもなく、一連の論文の報告は、鳥、ヒトなどいくつかの
種において発育中の神経細胞内の血漿蛋白質に集中した。[Trojan,J. and Ur
iel,J.,J.Oncodevelop.Biol.Med.1,107(1980);Uriel,J.Trojan,J.,
Dubouch,P.and Pieiro,A.,Path.Biol.30,79(1982);Moro,R.and Uriel
,J.,J.Oncodevelop.Biol.Med.2,391(1981);Dziegielewska,K.M.,Evan
s,C.A.N.,Lorscheider,E.L.,Malinowska,D.H.,Mollgard,K.,Reynolds,
M.L.and Saunders,N.R.,J.Physiol.318,239(1981);Mollgard,K.Jaco
bsen,M.,Krag-Jacobsen,G.,Praetorius-Claussen,P.and Saunders,N.R.
and Neurosci.Lett.14,and 85(1979)]。特定の組織又は器官の場合、AFP
及びSAの染色法(staining)における運動力学は、種が異なっても、そのパター
ンはかなり一定している[Urierl,J.,Trojan,J.,Moro,R.and Pieiro,A.
,Ann.N.Y.Acad.Sci.417,321(1983)]。神経構造が全く未発達の段階では、
細胞内AFPも細胞内SAも検出されない。その後突然、そして種によっては
ある決まった時期に、両蛋白質が同一細胞内で同時に観察される[Torand-Aller
and,C.D.,Nature 286,733(1980)]。続いて、染色の強度が弱まり、まずAF
Pに対する陽性細胞が少なくなり、次いでSAに対する陽性細胞が少なくなる。
発達した構造はどちらの蛋白質に対しても陰性である。IgGや鶏の胎芽内のオ
ボアルブミン等のその他の血清成分は、脳脊髄液に存在していても胎児期の神経
細胞内では全く発見されない。[Fielitz,W.Esteves,A.and Moro,R.,Dev.
Brain Res.13,111(1984)]。胚細胞によるAFPの取込み
これらの初期観察からの疑問として、AFP及びSAは細胞外の源から取り込
まれたのか、それとも細胞内で合成されたのかという問題があった。神経細胞が
血漿蛋白質を合成できるかどうかは未だ明らかではないが[Ali,M.Raul,H.a
nd Sahib,M.,Dev.Brain Res.1,618(1981);Ali,M.,Mujoo,K.and Sahib
,M.,Dev.Brain Res.6,47(1983);Schachuter,B.S.and Toran-Allerand,
C.D.,Dev.Brain Res.5,95(1982);Pieiro,A.Calvo,M.,Iguaz,F.,Lamp
reave,F.and Naval,J.Int.J.Biochem.14,817(1982)]、インビトロでも
[Uriel,J.Faivre-Bauman,A.,Trojan,J.and Foiret,D.Neurosci.Lett
.27,171(1981);Haj
eri-Germond,M.Trojan,Uriel,J.and Hauw,J.J.Dev.Neurosci.6,111(1
984)]、インビボでも[Villacampa,M.J.,Lampreave,F.Calvo,M.Pieiro,
A.and Uriel,J.Dev.Brain Res.12,77(1984);Moro,R.,Fielitz,W.,Gr
unberg,J.and Uriel,J.,Int.J.Dev.Neurosci.2,143(1984)]、神経母
細胞はAFP及び血清アルブミンを細胞外の源から容易に取り入れられることが
示されている。インビボ実験は、相同蛋白質及び異種蛋白質を用いて行われた。
最初の実験では[Villacampa,M.J.,Lampreave,F.,Calvo,M.,Pieiro,A.a
nd Uriel,J.Dev.Brain Res.12,77(1984)]、妊娠中のラットに注入すると
、125I−AFPは、胎児の消化器官、皮膚、舌などの器官、また、以前に先
天性細胞内AFP(native intracellular AFP)の存在が報告された器官だけでな
く、胎児の脳の中にも局部的に存在することが示された[Trojan,J.and Uriel
,J.,Oncodev.Biol.Med.3,13(1982)]。第2の実験では[Moro,R.,Fieli
tz,W.,Grunberg,J.and Uriel,J.,Int.J.Dev.Neurosci.2,143(1984)
]、生まれたばかりのラットの血清を鶏の胎芽の中脳腔に注入すると、ラットの
AFPとSAは、それらが本来あった部分に対応する場所で検知されることが示
された。これはまた、ある種から得たAFPとSAは、他の種の細胞により取り
込まれ、進化を通じて保存された構造とメカニズ
ムであることを示している。このことはまた、生物学の基本原則が関わっている
ことを示唆している。
高濃度のラットのIgGを注入したにも拘わらず、この蛋白質に対する染色は
陰性を示した。これは、高分子量(150,000)の結果として受動的拡散が妨げられ
たのではない。その理由は、通常の2倍のモル濃度のAFPを胎児の脳脊髄液中
に注入した時でさえ、オボアルブミン(MW=43,000)は検出されなかったからであ
る[Fielitz,W.,Esteves,A.and Moro,R.,Dev.Brain Res.13,111(1984)
]。この選択性によって、ある特定のレセプターを媒介とする細胞内取込み作用
(endocytosis)のメカニズムの仮説が裏付けられた[Moro,R.and Uriel,J.,J
.Oncodevelop.Biol.Med.2,391(1981);Moro,R.,Fielitz,W.,Grunberg
,J.and Uriel,J.,Int.J.Dev.Neurosci.2,143(1984)]。AFP摂取の細胞分化への依存性
しかしこの時点では、AFPとSAの取込みが細胞に依存した現象なのか、そ
れとも、胎児期の終わりに脳血障壁が閉鎖されたり、循環AFPの濃度が低くな
ることにより外部細胞の蛋白質の利用度が低くなる結果として、染色が消失した
ものなのかは依然として明らかでなかった。まず鶏で[Moro,R.,Neurosci.Le
tt.41,253(1983)]、次にヒトの胎児で[Jacobsen,M.Lassen,L.C.and Moll
gard,K.,Tumor Biol.5,55(1984)]、脊髄
神経節の神経細胞は、AFPが血清中で最高ピークに達する前に、陰性−陽性−
陰性の完全な染色サイクルを行なうことが示された。更に、AFPが検出されな
くなると、SAはしばらくの間存在し続ける。この結果から、これらの血清蛋白
質が神経節の神経細胞にまで達していることを示している。未成熟細胞におけるAFPレセプター
細胞がAFPを摂取することは、その発現(expression)が細胞分化の程度によ
って調整される特定のレセプターの存在を示唆している[Uriel,J.,Trojan,J.
,Moro,R.and Pieiro,A.,Ann.N.Y.Acad.Sci.417,321(1983);Moro,R.
,Neurosci.Lett.41,253(1983)]。以前の報告によれば、[Uriel,J.,Bouill
on,D.Russel,C.and Dupiers,M.,Proc.Nat.Acad.Sci.U.S.A.73,1452(
1976)]、未成熟ラットの子宮の細胞質ゾル内に、超遠心分離された4sと8sの
2種類のフラクションの中にAFPが含まれることが示されている。4sフラク
ションはAFPに完全に一致しており、8sフラクションでは0.4MのKCI
で処理した後にだけAFPを免疫学的に検出できた。この処理は8sフラクショ
ンを4sフラクションへ転換した。当時はAFPレセプターという概念がまだな
かったけれども、レセプター・AFPの複合体(complex)に相当する8sフラク
ションが高濃度のKC1で分離されたものと予想されていた。このよ
うに、AFP・レセプターの複合体がKC1で分離されることは、SmalleyとSar
cioneによっても観察された[Smalley,J.R.and Sarcione,E.J.Bioch.Biohys
.Res.Comm.94,1429(1980)]。彼らはまた、AFP分子は未成熟ラットの子宮
細胞により合成されるという事実を提供した。癌細胞におけるAFPレセプターの発現
癌細胞は胎児の細胞と数多くの生物学的及び抗原的に共通する多くの特徴を有
しているので[Uriel,J.,Adv.Cancer Res.29,127(1979)]、胎児期にAF
Pを取り込んだ組織から得られた悪性腫瘍細胞は、対応するレセプターを再び発
現し、AFPを再び取り入れる可能性がある。この仮説を立証するものとして、
Sarcione等[Sarcione,E.J.,Zloty,M.,Delluomo,D.S.,Mizejewski,G.and
Jacobson,H.,Cancer Res.43,3739(1983)]は、ヒトの乳癌から得られた8s
複合体の中にAFPを発見した。その乳癌は、未成熟ラットの細胞質ゾルを用い
た実験と同様の方法で、KC1処理により分離されたものである。もっと最近に
なって、これらの著者は、AFPがMCF−7のヒト乳癌の細胞株(cell line)
により複合体として合成されること、そして、AFPを免疫学的に検出できるよ
うにするためには、その複合体を分離する必要があることを示した[Sarcione,E
.J.and Hart,D.,Int.J.Cancer 35,315(1985)]。一方この細胞株
[Uriel,J.,Failly-Crepin,C.,Villacampa,M.J.,Pieiro,A.,and Guesken
s,M.,Tumor Biol.5,41(1984)]及びニッケルに誘発されたラットの横紋筋肉
腫[Uriel,J.,Poupon,M.F.and Geuskens,M.,Br.J.Cancer 48,263(1983)
]はAFPを取り入れることが、インビトロで示された。これらの間接的な結果
は、AFPの表面レセプター(surface receptor)がMCF−7の細胞株で検出さ
れたことによって確認された[Villacampa,M.J.,Moro,R.Naval,J.,Failly-
Cripin,Ch.,Lampreave,F.and Uriel,J.,Bioch.Biophys.Res.Commun.12
2,1322(1984)]。結合パラメーターは、2箇所で正の協働作用(positive cooper
ation)を示すレセプターのモデルを示している。親和性の強い部位でのKdは、
1.5×10-9Mであり、正の協働作用が行われている。親和性の強い部位でのKdは
1.5×10-9Mであり、n-2,000/細胞を持つ。親和性の弱い部位では、320,000/細胞
が存在し、Kdは2.2×10-7Mである。後の研究によって、マウスのYACTリン
パ腫細胞の表面上に類似のレセプター系の存在することが示された。その系は、
成長した正常なマウスのT細胞には存在しない[Naval,J.,Villacampa,M.J.,
Goguel,A.F.and Uriel,J.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.82,3301(1985)]
。
これらの諸研究はインビトロ実験と平行して行われ、その実験では、自然発生
した乳癌を有するマウスに、放
射性ヨウ素標識AFPが注入された。放射能の組織分布は、腫瘍/正常組織(肝
臓)の比が3.6であった[Uriel,J.,Villacampa,M.J.,Moro,R.,Naval,J
.and Failly-Crpin,CH.C.R.Acad.Sci.(Paris)297,589(1983);Uriel,J
.Villacampa,M.J.,Moro,R.,Naval,J.and Failly-Crpin,C.,Cancer Res
.44,5314(1984)]。これらの動物における腫瘍部について放射線写真を見ると
、悪性腫瘍細胞の核膜の周りに銀色の粒子が大量に蓄積されていたが、それらの
粒子は正常な細胞には蓄積されていなかった[Uriel,J.,Villacampa,M.J.,Mo
ro,R.,Naval,J.and Failly-Crpin,C.,Cancer Res.44,5314(1984)]。131I−AFPを用いたシンチグラム法によるマウスの腫瘍の撮像
131I−AFPを用いたシンチグラム法によりマウスの乳癌を撮影し、3〜4m
mほどの小さい乳癌のポジ像が得られた[Uriel,J.,Villacampa,M.J.Moro,R.
,Naval,J.and Failly-Crpin,C.Cancer Res.44,5314(1984);Moro,R.,H
euguerot,C.,Vercelli-Retta,J.,Fielitz,W.,Lpez,J.J.and Roca,R.,
Nuclear Med.Comm.5,5(1984)]。実際には、そのような12の腫瘍のうち11
はコンピュータに接続した標準的な癌マカメラでも検出できた。マウスのもう1
つの腫瘍である神経芽細胞腫もまた、同様な方法でスキャンすることができ
た[Hajeri-Germond,M.,Naval,J.,Trojan,J.and Uriel,J.,Br.J.Cance
r 51,791(1985)]。
AFP取込みの発現、つまりAFPレセプターの存在を示す直接的証拠は、い
くつかの異なるタイプの腫瘍において示されてきた。その腫瘍として、マウスの
横紋筋肉腫[Uriel,J.,Poupon,M.F.and Geuskens,M.,Br.J.Cancer 48,2
63(1983)]、マウスの神経芽細胞腫[Hajeri-jGermond,M.,Naval,J.,Trojan,
J.and Uriel,J.,Br.J.Cancer 51,791(1985)]、マウス及びヒトの乳癌[Vil
lacampa,M.J.,Moro,R.,Naval,J.,Failly-Crpin,Ch.,Lampreave,F.and
Uriel,J.,Bioch.Biophys.Res.Commun.122,1322(1984);Naval,J.,Vil
lacampa,M.J.,Goguel,A.F.and Uriel,J.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.
82,3301(1985);Uriel,J.Villacampa,M.J.,Moro,R.,Naval,J.and Fail
ly-Crpin,CH.C.R.Acad.Sci.(Paris)297,589(1983);Uriel,J.,Villac
ampa,M.J.,Moro,R.,Naval,J.and Failly-Crpin,C.,Cancer Res.44,53
14(1984);Moro,R.,Heuguerot,C.,Vercelli-Retta,J.,Fielitz,W.,Lpez
,J.J.and Roca,R.,Nuclear Med.Comm.5,5(1984);Biddle,W.and Sarci
one,E.J.,Breast Cancer Res.Treat.10,281(1987)]、マウスのTリンパ腫[
Naval,J.,Villacampa,M.J,Goguel,A.F.and Uriel,J.Proc.Natl.Acad
.Sci.U.S.A.
82,3301(1985)]、ヒトのT細胞リンパ種及びB細胞リンパ腫[Laborda,J.,Nav
al,J.,Allouche,M.,Calvo,M.,Georgoulias,V.,Mishal,Z.and Uriel,J
.Int J.Cancer 40,314(1987);Calvo,M.,Laborda,J.,Naval,J.,Georgo
ulias,V.and Uriel,J.,ISOBMの第8回会議にて発表(Paris 1985);Torres,
J.M.,Anel,A.,and Uriel,J.,J.Cell Physiol.150,458(1992);Torres
,J.M.,Gueskens,M.and Uriel,J.,Int.J.Cancer 47,112(1991)]、フィ
トヘムアグルチニンにより活性化されるヒトのTリンパ球[Torres,J.M.,Labor
da,J.,Naval,J.,Darracq,N.,Calvo,M.,Mishal,Z.and Uriel,J.Mol
.Immunology 26,851(1989)]、ヒトの悪性腫瘍単核細胞株U937[Suzuki,Y.
,Zeng,C.Q.,Alpert,E.J.Clinic.Invent.90,1530(1992)]及びHT29ヒ
トの結腸癌細胞群[Esteban,C.,Gueskens,M.and Uriel,J.,Int.J.Cancer
49,425(1991)]等を挙げることができる。
これらの発見により、AFPレセプターは、腫瘍の種類よりもむしろ悪性腫瘍
の状態と関係づけられ、胎児腫瘍の抗原として広く採用されている。AFPレセプターに対する単クローン抗体
標識AFP(FITC、放射性トレーサー)は、パラフィン組織片の腫瘍細胞
とは結合しない。その理由はおそらく、レセプターの結合部位が結合時に部分的
に性質
が変わるためであり、また、その部位でのレセプターに対する親和性が低いため
であろう。このため、免疫原としてプールされたヒトの乳癌を用いて、AFPレ
セプターの単クローン抗体(Mabs)が作られた[Moro,R.,Tamaoki,T.,Wegmann
,T.G.,Longenecker,B.M.,and Laderoute,M.P.Tumour Biol.14,116(1993
)、引用により記載加入される]。
IgMを生成する2つのMabは、非還元(non-reducing)状況下でPAGEゲ
ルで67KDの二重帯(doubleband)を認識する。67KDの帯は125I−AFP
に対して反応性でもある。これらのMabは、AFPレセプターの結合部位に反
応する。その理由は、MabはAFPが腫瘍細胞と結合するのを妨げるが、これ
とは反対に、多量のAFPが過剰に存在するところでは、腫瘍細胞との結合が妨
げられるからである。MabはAFPには反応しない。Mabは胎児の細胞及び
組織片の乳癌を認識するが、乳腺腫(mammary adenomas)や、成長した組織のその
他正常部分を殆ど認識しない。
過去何十年もの間、科学者は悪性腫瘍に関係づけられた抗原を特徴づける試み
を行なってきた。AFPレセプターは、胎児腫瘍の抗原と考えられ、臨床的に有
用な腫瘍マーカーとしての多くの要件を満たしていた。更に、このように広く癌
と関連づけられた抗原に対して、単クローン抗体を使うことにより、それら抗体
の臨床的有用
性を決定したり、AFPレセプターの生理学上の役割を研究することが可能にな
るであろう。発明の要旨
本発明は、患者の体内で癌を検出する方法に関する。その方法は、標識抗体又
は標識AFPを患者の生体サンプルに導入するステップを含んでおり、標識抗体
又は標識AFPが生体サンプル内でAFPレセプターの結合部位と反応させるよ
うにしたものである。次に、生体サンプル内で、標識抗体又は標識AFPと反応
するAFPレセプターの結合部位を同定し、癌の存在を調べるステップがある。
導入ステップの前に、患者の体から生体サンプルを得るステップのあることが望
ましい。
本発明は、患者の体内にある癌細胞を処理する方法に関する。その方法は、A
FPレセプター抗体を患者の癌細胞に導入するステップを含んでいる。次に、A
FPレセプター抗体を癌細胞のAFPレセプターと反応させるステップがあり、
これによって癌細胞の成長を阻止したり、癌細胞を殺す。
本発明は、患者を監視する方法に関する。その方法は、患者の癌を処理するス
テップを含んでいる。次に、処理を施した後、患者のAFPレセプター部位のレ
ベルを所定の間隔で検査するステップがある。
本発明は、患者を処理する方法に関する。その方法は、患者のAFPレセプタ
ーを検査するステップを含んでい
る。検査の結果、患者の体内にAFPレセプターが存在することがわかると、次
に、AFPレセプター抗体又はAFPを患者の体内に導入して、患者の癌細胞と
反応させるステップがある。
本発明は、患者の体内の癌細胞を処理する方法に関する。その方法は、AFP
の変種を患者の体内の癌細胞に導入するステップを含んでいる。次に、変性され
た(modified)AFPを癌細胞のAFPレセプターと反応させるステップがあり、
癌細胞の成長を阻止したり、癌細胞を殺すステップがある。
本発明の目的は、体液及び人体の組織の中のアルファフェトプロテインレセプ
ター(AFPレセプター)を検出することにより、癌の疾患及び妊娠を診断した
り経過観察することである。検出の原理と方法は、溶液(体液)中のAFPレセ
プターの検出の場合や、固体のマトリックス(組織片)に付着したAFPレセプ
ターの検出の場合と同様であるが、理解を容易にするために、これらは別々に説
明する。図面の簡単な説明
添付の図面には、本発明の望ましい実施例及び本発明を実施する望ましい方法
が記載されている。
図1は、癌疾患及び非悪性腫瘍疾患のチャート図である。
図2は、乳癌の写真であり、細胞の明るい部分が癌に
かかっている。
図3は、乳癌の写真であり、細胞の濃い茶色の部分が癌にかかっている。
図4は、良性の乳腺腫である。
図5は、肺癌の写真であり、細胞の茶色の部分が癌細胞である。
図6は、胃癌の写真であり、細胞の濃い茶色の部分が癌細胞である。
図7は、腸癌の写真である。
図8は、AFPr−1によるP−388の成長阻止を示すグラフである。
図9は、上に示すものが3匹の対照動物、そして下に示すものが5日間注入後
の4匹の処理動物の写真である。
図10は、別の実験の動物の写真であり、その実験では処理を施した3匹の動
物には病気がなく、2匹には大きな腫瘍がある。望ましい実施例の記載
本発明は、患者の体内で癌を検出する方法に関する。その方法は、標識抗体又
は標識AFPを患者の生体サンプルに導入するステップを含んでおり、標識抗体
又は標識AFPが生体サンプル内でAFPレセプターの結合部位と反応するよう
にしたものである。生体サンプルは、血液、唾液、組織、血清、粘膜、痰(sputu
m)、尿、涙または癌細胞を含む物質であってよい。生体サンプルは組
織片でもよい。組織片は、固定組織(fixed tissue)、新鮮組織(fresh tissue)又
は凍結組織(frozen tissue)でもよい。抗体は、単クローン抗体でもよい。抗体
は、多クローン抗体でもよい。次に、生体サンプル内で、標識付抗体又は標識A
FPと反応するAFPレセプターの結合部位を確認することによって癌が存在す
るかどうかを調べるステップがある。導入ステップの前に、患者の体から生体サ
ンプルを得るステップを行なうことが望ましい。
導入ステップは、放射性物質(ラジオアイソトープ)で標識された(labeled)
抗体又は放射性物質で標識されたAFPを患者の生体サンプルに導入するステッ
プを含んでおり、標識抗体又は標識AFPは生体サンプル内でAFPレセプター
と反応させられる。次の同定(identification)ステップは、生体サンプル内に放
射能が存在することを確認するステップを含んでいる。より具体的には、同定ス
テップは、生体サンプルの放射能量を測定するステップを含むことができる。ま
た、同定ステップは、生体サンプルに写真乳剤をコーティングし、その写真乳剤
を現像し、コーティングされた生体サンプルを観察するステップを含むことがで
きる。或はまた、生体サンプル患者自身でもよく、導入ステップは患者に放射性
物質で標識された抗体又は放射性物質で標識されたAFPを注入するステップを
含む。
他の実施例において、導入ステップは酵素漂白抗体又
は酵素漂白AFPを生体サンプルに導入するステップを含んでおり、標識抗体又
は標識AFPは生体サンプル内でAFPレセプターの結合部位と反応するだろう
。酵素標識抗体又は酵素標識AFPは、生体試料を変色させ、同定ステップでは
、生体試料の色と既知の色を比較して、癌が存在するかを調べるステップを含む
ことができる。酵素は、ペルオキシダーゼを用いることができ、導入ステップで
は、ペルオキシダーゼで標識された抗体を患者の組織に導入するステップを含む
ことができる。或は、導入ステップは、一滴の生体サンプルをニトロセルロース
又はナイロンの上に入れて、ペルオキシダーゼ標識抗体をその滴下位置に添加す
るステップを含むことができる。次の同定ステップは、ニトロセルロース又はナ
イロン上のサンプル滴下位置が変色したかどうかを調べるステップを含んでいる
。
他の実施例において、酵素標識抗体又は酵素標識AFPはイオンを放出し、そ
のイオンは生体サンプルが入れられている液体の導電率(electric conductance)
を変化させる。次の同定ステップは、液体の導電率を測定し、生体サンプル内に
癌が存在するかを調べるステップを含んでいる。
更に他の実施例において、導入ステップは蛍光色素で標識された抗体又は蛍光
色素で標識されたAFPを患者の生体サンプルに導入するステップを含んでおり
、標識
抗体又は標識AFPを生体サンプル内のAFPレセプターと反応させる。次の同
定ステップは、生体サンプルにUV光線を照射し、照射された生体サンプルから
放出される光子を測定するステップを含んでいる。もう一つの例として、生体サ
ンプルはスライド上に癌細胞を含む生体物質のスミア(smear)でもよく、同定ス
テップはそのスミアを顕微鏡又はフルオロシトメトリー(fluorocytometory)で検
査するステップを含んでいる。
本発明は、患者の体内にある癌細胞を処理する方法に関する。その方法は、A
FPレセプター抗体を患者の癌細胞に導入するステップを含んでいる。抗体は、
単クローン抗体でも多クローン抗体でもよく、患者と異なる種からの抗体でもよ
く、体外で患者と同じ種のリンパ球から作られた抗体でもよい。次に、AFPレ
セプター抗体を癌細胞のAFPレセプターと反応させるステップがあり、癌細胞
の成長を阻止したり、癌細胞を殺す。
導入ステップは、AFPレセプター抗体を患者に注入するステップを含むこと
ができる。注入ステップは、患者の血流にAFPレセプター抗体を静脈注射する
ステップを含むことができる。或はまた、注入ステップでは、AFPレセプター
抗体を患者の体内で、癌細胞に近い部位に注入するステップを含むことができる
。
或はまた、導入ステップでは、癌細胞に対するワクチンを患者に接種するステ
ップを含むことができる。ワク
チンを接種するステップは、患者と異なる種のAFPレセプターを患者の体内に
注入するステップを含んでおり、注入されたAFPレセプターに抗して、患者自
身がAFPレセプター抗体を生成する。患者自身によって生成されたAFPレセ
プター抗体は、患者の体内のAFPレセプター又は癌細胞と交差反応を起こす。
反応ステップは、患者の体内の癌細胞のAFPレセプターをAFPレセプター
抗体と反応させるステップを含んでおり、癌細胞のAFPレセプターをブロック
したり、その機能を弱める。或は、AFPレセプター抗体は、補体(complement)
を結合するAFPレセプター抗体でもよい。次の反応ステップは、AFPレセプ
ター抗体を反応させて補体を癌細胞に結合させるステップを含んでおり、補体の
連鎖反応が起こる時、癌細胞の膜に穴が明けられ、癌細胞を殺す。
或はまた、AFPレセプター抗体は、薬物又は毒物と共役(conjugated)されて
もよい。次の反応ステップは、薬物又は毒物と共役作用するAFPレセプター抗
体を癌細胞と反応させるステップを含んでおり、癌細胞が薬物又は毒物を取り込
み、癌細胞の酵素が薬物又は毒物を抗体から切り離して自由にし、これによって
細胞は不可逆的に破壊され、殺される。
更に他の実施例では、AFPレセプター抗体は放射性物質で標識されてもよい
。次の反応ステップは、AFP
レセプターの標識抗体を患者の癌細胞と反応させるステップを含んでおり、癌細
胞のDNA近傍でAFPレセプター標識抗体から出る放射線がDNAを破壊し、
癌細胞の死を誘発する。
本発明は、患者を監視する方法に関する。その方法は、患者の癌を処理するス
テップを含んでいる。次に、処理を施した後、患者のAFPレセプターのレベル
を所定の間隔で検査するステップがある。
本発明は、患者を処理する方法に関する。その方法は、患者のAFPレセプタ
ーを検査するステップを含んでいる。検査の結果、患者の体内にAFPレセプタ
ーが存在することがわかると、次に、AFPレセプター抗体又はAFPを患者の
体内に導入して、患者の癌細胞と反応させるステップがある。
本発明は、患者の体内の癌細胞を処理する方法に関する。その方法は、変性A
FPを患者の体内の癌細胞に導入するステップを含んでいる。変性AFPは、合
成されたものか、又はAFPの一部分である。次に、その変性AFPを癌細胞の
AFPレセプターと反応させて、癌細胞の成長を阻止したり、癌細胞を殺すステ
ップがある。
導入ステップは、変性AFPを患者に注入するステップを含むことができる。
注入ステップは、患者の血流に変性AFPを静脈注射するステップを含むことが
できる。或は、注入ステップでは、変性AFPを患者の体内で、
癌細胞に近い部位に注入するステップを含むことができる。
反応ステップは、患者の癌細胞のAFPレセプターを変性AFPと反応させる
ステップを含むことができ、このステップにより癌細胞のAFPレセプター部位
がブロックされたり、その機能が弱められる。
一般的に、AFPレセプター、変性AFP又は変性レセプターと反応する抗体
の適用又は使用を除いて、上述した技術は当業者にとって一般に知られている技
術である。発明の使用例
体液中で:
分泌によるか又は細胞が死んでからの受動拡散(passive diffusion)により、
癌組織又は胎児/胎組織からのAFPレセプターは、血流に放出され、そこから
尿、涙、唾液等のその他多くの体液中に放出される。そのとき、体液(血清を含
む)中のAFPレセプターの濃度は、健康な人と、癌患者又は妊娠患者とでは著
しく異なるであろう。次に、この違いを診断目的に用いることができるであろう
。また、これらの体液中のAFPレセプターの濃度の変化は、経過観察の目的に
利用することもできる。例えば、ある患者が乳腺癌と診断されたとき、AFPレ
セプターの血清の濃度は高い。その患者は手術を受け、腫瘍は除去される。その
後、AFPレセプターの血清の
濃度は、手術の直後は急激な減少を示し、次いでプラトー領域に入る。しかし、
6ケ月後、AFPレセプターの血清の濃度は再び増加し始める。これは癌が再発
又は転移したことを示し、それは、おそらく従来の臨床又はその他の診断方法よ
り前に起こる。これまでの安価なテストで注意を喚起され(alerted)、医者は、
より精度の高い、高価な方法で、必要に応じて生体へ進入する方法により、悪性
腫瘍を探す。
組織サンプル中で:
AFPレセプターは、殆どの癌細胞に存在する。従って、AFPレセプターは
、免疫組織学的手段又は適当な標識AFPと培養することによって検出可能であ
る(後者はパラフィン片に使用してもうまくいかなかったが、凍結片には効果が
ある)。これを基に悪性腫瘍の診断をすることは可能である。その上、フルオレ
スセインを標識として用いることにより、組織片で斑点となる(spotted)陽性細
胞(positive cells)は極めて少ない。これにより、古典的な病理学分析での誤差
の範囲が狭められる。古典的な病理学的分析では、他の点では正常な組織の内部
にある少数の癌細胞は見過ごされる可能性があった。また、AFPレセプターの
発現は、解剖学的変化でなく、分化及び生化学的変化をもたらすように条件づけ
られているので、他の点では正常に見えるが実際には腫瘍化の初期段階にある細
胞は、AFPレセプター検出テストで
は陽性を示すであろう。
再度述べるが、その原理には全く相違がなく、利用される技術がわずかに相違
するだけであるが、理解を容易にするために、体液中及び組織片中でのAFPレ
セプターの検出について、別々に説明することにする。
体液中で:
[例1]
一例として、癌なしの患者の血清サンプル22個と、癌患者の血清サンプル1
7個について、AFPレセプターの濃度を酵素免疫測定法(EIA)で調べた。
ここで用いられた技術を以下に記載する:EIA96の凹み付きプレート(well
plates)は、リン酸塩緩衝食塩水(PBS)中で1/16384に希釈(0.05
M PO4,0.15M NaCl、pH7.5)された前記グループの血清サン
プルを用いて1時間乃至一晩、コーティングされた。いくつかの凹みには、同様
の方法で、乳癌が肺へ転移した患者の胸水を1/256に希釈したものをコーテ
ィングした。P89というコード番号が付されたこの物質は、大量に入手が可能
であるという理由から、基準(standard)として用いられた。このため、すべての
例において、すべてのサンプルを他のサンプルと互いに比較するときの同一基準
としてP89を用いることが可能になった。PBSで3回洗浄した後、非特異性
結合部位はPBS中で1%濃度のオボアルブミンまたはゼラチンによ
って1時間ブロックされた。3回洗浄した後、マウスの体内で生成され、AFP
レセプターに抗する単クローン抗体(Mab)の腹水をPBS中で1%のオボア
ルブミン中で1/200に希釈した液100ul[Moro,R.,Tamaoki,T.,Wegm
ann,T.G.Longenecker,B.M.and Laderoute,M.P.Tumour Biol.14,116(199
3)、これは引用を以て本願への記載加入とする]に記載されたMab167H.4
)を、各凹みの中で3時間培養した。次に、凹みをPBSで3回洗浄し、市販の
抗マウス用ペルオキシダーゼ(peroxidase-anti-mouse)のIgM共役結合体(conj
ugate)を製造業者の推奨する濃度で添加した(Sigma Chemicals,S.Louis)。1
時間後、プレートをPBSで3回洗浄し、ペルオキシダーゼ用の色基質(color s
ubstrate)(ABTS)を製造業者の推奨する濃度で添加した(Sigma)。すべての
培養は、室温で行われた。30分後、標準的なタイターテック(Titertek)のプレ
ート読取り器を用いて、405nmにおける各凹みの光学的密度(optical densi
ty)(O.D.)を読み取った。この実験結果を表1及び図1に示している。
表は、患者、腫瘍の種類及びサンプルとP89の比を示している。P89は、
研究を通じて基準として使われている。その結果、陽性と陰性の閾値をP89の
54%のに設定した時、1人を除く全ての癌患者は陽性を示した。同じ閾値を用
いた時、1人を除いて癌でない全ての患者は陰性を示した。独立したT−テスト
では、以下の
値が報告された(Excel(商標名))のデータ分析結果を使用):
t−テスト:不均一分散量と仮定したときの2個のサ
ンプル
両側検定の分析結果は、p=0.00000054となり、これはサンプル数
が少ないことを考慮しても極端に大きい数字であった。
陰性の対照グループに入っていた患者(表中にはない)は陽性を示した。得ら
れたデータ結果の重要性に注意を喚起され、担当医は、患者をCATでスキャン
し、悪性の腎癌となっている腫瘍を発見した。この悪性腫瘍は、このテストで最
初に発見され、それから臨床的に確
認された。
図1は、同じ結果をグラフで示したものである。図において、X軸は、2つの
部分に分かれ(悪性腫瘍及び非悪性腫瘍、単位は無関係)、Y軸は各患者のP8
9の割合を示す。水平線は、54%+/−の閾値を示す。
[例2]
もう一つの実施例では、適当なプラスチック又はガラスの基板(EIAプレー
ト又は試験管)に、AFPレセプターに抗する適当な濃度の単クローン抗体(M
ab)でコーティングを施した。過剰のMabを洗浄した後、基板は、無関係な
蛋白質又はアミノ酸の混合物で被覆され、非特異性結合を防止し、患者の体液(
血清、唾液、尿等)を適当に希釈したサンプルを、コーティングした基板を用い
て適当な期間培養する。結合されなかったサンプル物質を除去するために洗浄を
行なった後、多クローン型の第2抗体を添加する(多クローン抗体は、動物に免
疫性を与え、その血清をMab反応する抗体源として用いることによって生成さ
れる。これに対し、Mabは、培養により又は適当な宿主に移植された不死の(i
mmortalized)脾臓細胞の個々のクローンから生成される)。この抗体を適当なマ
ーカー又は酵素と共役させて、色で認識できるようにするか又はその他の検出可
能な反応を起こさせてもよいし、あるいはその前に、前記標識又は酵素が付され
た第2抗体を加えることにより分析を行な
ってもよい。この反応にこの第3の抗体が関与する場合、第2抗体は第1抗体と
は異なる種で生成されるはずであり、第1抗体と第3の抗体の間では、交差反応
は検出されないはずである。そこで、起こった反応の種類に応じて適当な検出手
段(色、伝導性、化学ルミネセンス等)によりその反応が分析される。
[例3]
例2では、第1及び第2の抗体に単クローン抗体を用いたのに対し、例3では
2種類の異なる多クローン抗体を用いた点以外は、例2と同じである。
[例4]
例2と同じように、基板はニトロセルロース又はナイロンの膜である。反応は
、器具で測定することはできないが、基板の上では色付き斑点として見える。反
応は、肉眼観察にて陽性又は陰性を判別できる。
[例5]
例3と同じように、基板はニトロセルロース又はナイロンの膜である。反応は
、器具で測定することはできないが、基板の上で色付き斑点として見える。反応
は、肉眼観察にて陽性又は陰性を判別できる。
[例6]
例2から例5の抗体のうち1つを、レセプターに結合する相同AFP又は異種
AFPと置き換えられる。
[例7]
KCIは、KC1の濃度が0.4M以上のとき、AFPレセプター複合体を解
離する。これによって、追加の量のAFPレセプターが放出される。この追加の
量のAFPレセプターは、検出されないおそれがあるためであり、その理由は、
前述の例で説明したように、循環するAFPレセプター複合体の中に内因性のA
FPが存在するかもしれず、それゆえ、リガンド(Mab、多クローン又はAF
P)の1つによる認識力が弱まるかもしれないことによる。AFPレセプターの
量が増加すると、結果的にテストの感度(sensitivity)が高くなってしまう。こ
の場合、サンプルを固相で培養する前又は培養中にKC1で処理してもよい。
[例8]
上記の全ての例において、標識は放射性化合物(放射性免疫測定及び関連技術
に使用される)である。
[例9]
上記の全ての例において、測定の読取りは化学ルミネセンス又は蛍光によって
行われる。
[例10]
上記のすべての例において、導電率の読取りが行われた。
組織サンプル中で:
組織サンプルは、いくつかの方法で入手及び処理することができる。入手
:
(a)外科的処理で切除した器官のサンプルから。
(b)分泌物もしくはその他の体液からのスミア又は接触によるスミア(PAP
スミア)。
(c)針生検AFPレセプターの染色前組織の処理
組織のサンプルは、必要に応じて、様々な方法で固定され、切断される。
a)凍結片: 組織は切断前に凍結された固体である。これら凍結片に対して固
定剤を用いてもよいし、用いなくてもよい。
b)パラフィン片: ここでは、サンプル切断前にパラフィン体の中にサンプル
を埋め込めむために、組織には通常の処理が施される。
c)アクリル酸その他の処理: 主として電子顕微鏡検査のためである。
[例11]
この例では、病院の病理学部門から入手した通常のパラフィン片が用いられた
。組織は4〜8um厚さに切断された。再水化(rehydration)した後、AFPレ
セプターに抗する単クローン抗体(Mab)の腹水を2000倍に希釈した溶液
を用いて培養した。45分後、スライドを洗浄し、抗マウスIgG+IgG過酸
化水素又はローダミン標識共役結合体を用いて培養した。45分後、組
織片を再び洗浄し、適当な光源を具える顕微鏡で観察するか、又は色が観察され
るまで、過酸化水素基板DABを用いて培養した。次に、スライドを所定の方法
で取り付け、見やすい光の下で観察した。図2乃至図7は、乳癌にローダミンで
染色されたAFPレセプター(図2及び図3)、良性の乳腺腫(図4)、肺癌(
図5)、胃癌(図6)、腸癌(図7)の写真である。図示のように、癌細胞又は
癌細胞の索(cord)又は縞(strip)は明瞭に染色されているが、その隣にある非悪
性腫瘍の組織は染色されていない。このことは、良性の乳腺腫を示す図4を見れ
ば明らかである。細胞は陰性であり、腺腫細胞とその周りの正常組織との間で、
染色の違いはない。癌の管理
癌細胞の表面に癌マーカーが発現すれば、治療目的のターゲットとなる癌細胞
への利用可能性が生じてくる。
細胞表面の抗原を標的とする手段により細胞の死を促進させる方法が数多くあ
る。たとえば、補体を結合する抗体を用いる方法がある。補体の連鎖反応が起こ
る時、細胞膜に穴があけられ、その結果、細胞は死に至る。もう1つの可能性と
して、薬物又は毒物と共役する抗腫瘍抗原抗体を用いる方法である。一旦、細胞
表面に付着すると、共役結合体は細胞質に取り込まれ、そこで癌細胞の酵素が薬
物又は毒物を抗体から切り離す。一旦解放されると、薬物又は毒物は細胞を不可
逆的に破壊し、細胞
を死に到らしめる。他の状況では、放射性物質の標識抗体を用いることもできる
。抗体が一旦細胞に付着すると、抗体からの放射物が細胞のDNAの近傍で後者
に損傷を与え、次の再生(replication)時に細胞を死へ導く。
上記のすべての過程において重要な要素は、悪性腫瘍の細胞を特異的に認識す
る抗体である。(AFPレセプター)を癌のマーカーとして用いるとき、AFP
レセプターの抗体が標的分子として用いられるだけでなく、アルファフェトプロ
テイン(AFP)自身がAFPレセプターを特異的に認識する。このように、細
胞を死に至らしめるために、AFPは様々な細胞溶解剤で標識されることができ
る。
後者は、癌細胞を破壊するだけでなく、次の実施例に示されるように、癌細胞
の増殖を阻止する役割を果たすことができる。
[例12]
AFPレセプターを発現しているP−388マウスの細胞を、AFPレセプタ
ーの単クローン抗体を異なる希釈液で培養した。前もって補体結合テストを行な
ったところ、補体結合による細胞破壊は認められなかった。2〜6時間培養した
後、P−388細胞に3H−チミジンを律動的に供給し、洗浄し、測定した。図
9は、AFPr−1(AFPレセプターに対する単クローン抗体)又は正常なマ
ウスの血清と同じ濃度で処理された細胞の放射
性チミジンの放射線量を示す。説明したように、P388の増殖はMabにより
大きく減少した。興味深いことに、細胞をMabで数時間培養し、洗浄の後再び
培養すると、その細胞の再生率は、無関係な抗体(正常なマウスの血清)で処理
した対照細胞の再生率と非常に近い。このことは、Mabは細胞を殺すのではな
く、その増殖を阻止することを示している。生体外での増殖阻止は、ヒトのLo
Vo消化管の癌細胞株でも観察された(結果は省略する)。
細胞の増殖が阻止される理由は明らかではないが、AFPは、胎児の時期に脂
肪酸を胎児の細胞に運び込むものと考えられている。これらの脂肪酸は、細胞が
膜を合成するのに必要であり、この活動は、器官形成中に非常に盛んである。A
FPの細胞外での濃度は、時間と共に変動し、組織によっても異なるので、細胞
を取り巻くAFPの濃度が不適当な時、再生活動を行なうことは細胞にとっては
自殺行為である。この概念は、AFPレセプターが細胞膜と細胞核の間のメッセ
ンジャーの役割を果たしているかもしれないという考えを支持するものである。
このP388を用いた実験で説明したAFPレセプターの抗体は、細胞核へのメ
ッセージを「不動化して送らないようにする(jam)」と考えられ、このため細胞
は分化しない。これは重要である。なぜなら、Mab以外の物質を用いてAFP
レセプター系を「不動化する」ため
に他の方法があるからであり、これについては後で説明する。
この例や他の例で考慮すべき重要な点は、ヒトのAFPレセプターに対して生
成されたマウスの抗AFPレセプターの単クローン抗体は、マウスの癌細胞も認
識するということである。ある種のAFPを培養し、別の種の細胞と結合させた
とき、種と種の間で同じような交差反応が観察されており、このことは、異なる
種のAFPレセプターの間で構造上の類似性があることを示唆している。
[例13]
複数のC57ブラックマウスの腹部に、2×106個のEL−4細胞を同時に
皮下注射し、100ulの抗AFPレセプターの腹水又は正常なマウスの血清を
対照として、尾の静脈に注入した。わずかな組織不適合のため、動物に300ra
dsの放射線を照射した。これはEL−4細胞が腫瘍を取り入れ、生成するのを助
けた。動物を21日間観察し、殺して写真撮影した。図10及び図11は、その
ような2つの実験の結果を示す。図10で上に示すものが、3匹の対照動物(正
常なマウスの血清を注入した)であり、4匹の動物(正常なマウスの血清を注入
した)は注入してから5日後の写真である。対照グループ(そのうちの幾つかは
、よりわかり易くするために赤いフェルトで染色してある)の腫瘍は、直径約5
mmで
あった。処理された動物には病気がなかった(注入部位に僅かな傷が観察された
だけである)。図11は、別の実験で使われた数匹の動物を示しており、その実
験では、5匹の処理動物全てに病気がなく(そのうちの3匹を示す)、2匹が大
きな腫瘍をもっていた(動物は、注入してから15日後に殺された)。
別の実験では、処理動物は、病気や異常の何の兆候もなく8か月間生き続けた
。サンプルと体液
AFPレセプターは、細胞膜上だけでなく細胞質内にも存在する。実際、放射
性AFPが癌細胞と共に培養されると、その約2/3が細胞質で発見され、その
多くはAFPレセプターと結合する。(文献32.Naval,J.,Villacampa,M.J.
,Goguel,A.F.and Uriel,J.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.82,3301(1985
)の序章を参照)。ヒトの腱(cord)の血清から得たAFPレセプターの不純物を
取り除く方法が開発されている[Moro,R.,Tamaoki,T.,Wegmann,T.G.,Long
enecker,B.M.,and Laderoute,M.P.Tumour Biol.14,116(1993)、引用を以
て本願への記載加入とする」。この方法が用いられるのは、循環AFPレセプタ
ーが、死につつある細胞から離生されるか又は活発に分泌されると考えられてい
るためである。実際、AFPレセプターは新生児の血液中に存在する可溶性蛋白
質であることは、予想がつくであろ
う。
腫瘍を持つ人にも同じことが起こる。ただ、AFPレセプターはもともと胎児
の細胞ではなく悪性腫瘍の細胞であり、胎児の細胞内では腫瘍は生理的に発現さ
れる。このように、AFPレセプターは腫瘍の細胞外液中にある。このことは重
要である。何故なら、体液や分泌物の中には細胞外液から直接取り入れられるも
のがあるからである。たとえば、腹膜の癌腫症(元の癌細胞は、腹膜に転移し、
腹腔の全体に広がる)は、通常は、腹水を生成する。これはテスト済みであり、
AFPレセプターの中に豊富にある(マウスの体内で、単クローン抗体の源とし
て誘発された腹水とその生理病理学的メカニズムが同じでも両者を混同しないこ
と:腹腔内の癌細胞(この場合は、単クローン抗体を生成するハイブリドーマ)
は、炎症反応を起こし、腹水を発生させ、ハイブリドーマ細胞は、その腹水中に
単クローン抗体を放出する)。
酵素免疫検査法で参考基準として用いたP−89は、乳癌が肺へ転移した患者
の胸膜浸出液である。この段階では、乳癌の細胞が肺へ転移し、肺を覆う膜であ
る胸膜で成長し始めた。胸膜は、腹膜と同じ様に癌細胞に対して反応するが、そ
の液体は腹水ではなく、胸水又は胸膜浸出液(pleural effusion)と呼ばれる。こ
れらの場合(腹水と胸水)において、液体と直接接触する(又は液体中に浮いて
いる)癌細胞は、AFPレセプターを液体
中に直接解放する。
腹水と胸水を集めるのに、針で刺して孔をあける方法がある。分泌物は、体か
ら自然に出てくる場合もある。例えば、膀胱癌の場合は、AFPレセプターが尿
として放出されるので、その尿を監視することができる。気管支癌の場合、患者
に無理に咳をさせて、痰としてAFPレセプターを集めることができる。
白血病やある種のリンパ腫のように、悪性腫瘍の細胞が血液と密接に接触して
いる場合には、AFPレセプターの濃度は血清中で最も高くなる。
上記の全ては実際の状況を記載したものであって、最も起こり易いということ
ではない。最も一般的な癌は、胃癌、乳癌、子宮癌、結腸癌、肺癌等であり、そ
れらの癌は、AFPレセプターを血流へ放出する。この体液は、分析で使われる
液体中で、最高濃度のマーカーを示すであろう。しかし、異なる免疫化学技術の
感度が増すにつれて、AFPレセプターを他の液体で検出することも可能であろ
う。たとえば、殆どの血清蛋白質は、その少量が唾液中に現われる。唾液のサン
プルを採取するのは血液のサンプルを採取するよりも実用的であることは明らか
である。そして、十分な量のAFPレセプターがあり、使用した反応の感度も十
分であれば、唾液を診断や経過観察の目的で血液の代わりに用いることができる
であろう。他の体液についても同様のことがいえる。
要約すると、腹水、関節液(関節の骨癌等)、胸水、痰、脳脊髄液、尿、大便
等の体液を用いるのが便利な場合がある。血液や血清を選択するのが最もよい場
合もある。最後に、AFPレセプターは血清中により多く存在するにも拘わらず
、実用的理由又は法的理由からその他の体液、たとえば唾液や尿を用いる方が便
利な場合もある。体液は、自然な分泌物から又は適当に針を刺して集められる。免疫化学的方法:
これらの方法は、2つのグループに分けることができる。一方は、試験管やプ
レートの凹みの中で行われる方法であり、固相は、反応が「固定化される(stuck
)」もので、この固相は人工的な特性があるのに対し、他の方法では、固相は、
例えば組織片又は血液細胞のスミアのように宿主自身の一部である。前者は通常
、免疫化学的アッセイ、後者は免疫組織化学的アッセイ(組織片の場合)又は免
疫細胞化学的アッセイ(細胞がスミアのように遊離しているとき)と呼ばれる。
両者の原理は同じであるが、初期物質が異なっている。免疫化学的アッセイでは
、検出又は測定すべき分子は溶液の中に存在しなければならないのに対し、免疫
組織化学的アッセイ又は免疫細胞化学的アッセイでは、監視されるべき分子は、
反応が行われる細胞の一部である。
これらの反応の一般的原理は簡単なものである。抗体
(単クローン又は血清からのもの又は免疫が与えられた動物からのもの)は、反
応する構造の認識において非常に特異的である。動物が人のアルブミンなどの高
純度のフラクションで免疫されると、サンプルが、アルブミン以外に何百種類も
の高濃度の蛋白質を含んでいたとしても、その血清はサンプルに存在するアルブ
ミンだけを認識する。また抗体は、抗体を生成する物質(抗原という)に対して
非常に大きな親和性を持つ。従って、非常に少量の抗原しか検出できない。
免疫化学的反応又は免疫組織化学的反応(免疫細胞化学的反応は、後者に含ま
れる。その理由は、両者の唯一の違いは、免疫組織化学的反応の場合、細胞は組
織構造の一部が切断されてスライド上に置かれているのに対し、免疫細胞化学的
反応の場合は、細胞はスライド上に広げられていることにあるからである。)を
起こす方法は同じである。検出すべき物質(抗原。ここではAFPレセプター)
は、その抗原に特異的な抗体と反応する。2つ(抗体又は抗原)のうち1つを、
何らかの方法で標識が付される(labeled or tagged)。2つを共に培養した後、
過剰な試薬を洗い流し、標識は多数の方法で確認される。標識がラジオアイソト
ープの場合、放射線量を適当な検出器で測定する(これらの技術には、通常は12 5
1が用いガンマ線の放出量を測定する。これらの技術は、放射線免疫アッセイ
(RIA)のグループに含まれる)。組織
片は、放射性物質の標識と共に培養される場合、3Hを用いるのが望ましく、3H
はスライドに写真乳剤をコーティングした後、スライドの上に現れる。放射能が
あるところには銀色の粒子(黒色)が現れる。これらの粒子は、顕微鏡で観察す
ることができる。
もう1つの非常に一般的な技術は、酵素を標識として用いる方法である。酵素
は触媒であるので、基体(substrate)を新たな生成物に変換することができる。
ここでの興味深い特徴は、1つの酵素分子(ハツカダイコンのペルオキシダーゼ
やアルカリホスファスターゼ等)は、10,000以上の基体分子を処理できる
ことである。それゆえ、因子は10,000倍となるので、感度は飛躍的に高ま
る。これらの反応は酵素免疫法(EIA)又は酵素結合免疫吸収法(ELISA
)と呼ばれる。これらの酵素は通常、基体の色を変化させる。可溶性検査(solub
le assays)(免疫化学反応)では、試験管やプレートの凹みの中の溶液は変色す
るため、(光比色計又は分光偏光計を用いて)変化を測定することにより、反応
を定量化することができる。或はまた、酵素は非イオン性溶液からイオンを放出
させて、溶液の導電率が変化するので、溶液を電気的に測定することができる。
これらの技術の変形例では、ビオチンを標識に用いており、この標識は、酵素と
共役接合されたアビジンによって検出される。このアビジン−ビオチン反応は、
検出法全体の感度を高め
る。
最近になって、別のタイプの標識が導入された。これらの標識は蛍光色素であ
り、UV光線に当てられると可視スペクトル中に光子を放出する。この反応は、
小脈(light pulse)を刺激する高強度のUVに曝された直後に、光電池で測定す
る。この技術は免疫化学ルミネセンス(immunochemiluminesence)として知られて
いる。
分子の標識方法又は反応の測定方法の如何に拘わらず、反応は以下に記載する
幾つかのシーケンスにより行われる。
競争アッセイ:
この場合、自由抗原(ここではAFPレセプター)を比較的大量に、且つ高純
度の形で得る必要がある。抗体(Ab)は固相(試験管又はプラスチック製プレ
ートの凹み又は適当な膜などであるが、後でさらに記載する)に付着させられる
。抗原(Ag)を含むサンプルは、既知量の純粋な標識抗原と混合される。混合
物は固相の上で抗体と共に培養される。元のサンプル中での抗原が多いほど、固
相上で所定量の抗原に付着される標識抗原は少なくなる(抗原は、抗体の量と比
較して飽和状態にある)。反応は、既知量の非標識抗原を含む溶液に外挿(extra
polation)することによって定量化される。この技術は、可溶性抗原を用いたと
きにだけ有効であり、組織サンプルに対しては有効でない。競争アッセイの主な
利点は、必
要な抗体が1つだけということである。サンドイッチ技術:
多くの変形例がある。従来のサンドイッチELISAは、1つの抗体を化学的
方法により固相に付着させる過程により構成される。次に、測定すべき抗原を含
むサンプルが加えられる。希釈液の反応は、過剰の抗体の中で進行するようにな
っている。数分乃至数時間培養した後、過剰の試薬を洗い流し、第2の抗体が加
えられる。第2の抗体は、第1の抗体が認識する抗原分子とは異なる抗原分子の
部位を認識しなければならない。さもなければ、その部位は第1の抗体が占める
ことになり、反応は全く起こらないからである(抗原は、第2の抗体が認識する
のと同じ結合部位を2以上持たないと反応は起こらないし、これは極めて稀だか
らである)。第2の抗体も過剰に存在するので、全ての抗原が認識される。この
第2の抗体は標識されている。再び洗浄した後、反応を測定する。サンドイッチ
技術の利点の1つは、純粋な抗原を必要としないことである。欠点は、反応にか
かる時間がより長く(最低2回の培養が必要である)、2つの異なる抗体を必要
とすることである。
この例で用いられたものは「一つの切片」のサンドイッチであり、組織に対す
る多くの免疫組織化学的反応の中で用いられている。ここでは、抗原は固相の上
に固定され、標識抗体(抗体は1つのみ)は次にその上で培養
される。試験管を固相として用いるときの欠点は、抗原の試験管への付着が反応
の強さに影響を与えるかもしれないことである。そして、「付着性(stickiness)
」は、サンプルの他の要素に依存しており、患者の血清の違いによって異なる。
(これは、試験管やプレートの凹みのガラス又はプラスチックに対して蛋白質を
結合させる力が静電気であり、それは本質的に弱いためである。これは、抗原を
その抗体と結合させる反応が強いことと対照的である)。これを避けるには、第
1の過剰の抗体に上記の二重サンドイッチを用いることが有効である。次に、固
相に付着する第1の抗体が多少とも無関係である場合は、いつも多くあり、サン
プルが違っても変わりはない。というのは、固相への非特異性結合は、アッセイ
(第1の抗体の調製)で用いたのと同じ生成物を用いるからである。実験におい
て、癌患者と非癌患者の違いは非常に大きかったため、使用したプラスチックプ
レートのコーティングの違いでは説明できない。
固相について:
これは、顕微鏡スライドの上又は適当な表面上にある組織でもよく、その上に
分子が通常は静電気によって付着する(通常は、試験管内で数時間培養し、それ
から洗浄することによって調製する。蛋白質は、ガラス又はプラスチックに付着
したままである)。しかし、固相は、通常はナイロン又はニトロセルロースから
なる膜であっ
てもよい。これらの膜は、白色である。膜を抗原又は抗体で一旦コーテイングす
ると、顕微鏡の組織片で行なったのと同様のアッセイが行なわれ、基体を用いて
色が現れるようにする。なお、基体は変色するのではなく、有色沈殿物を生成し
、プロセスの終わりに、有色スポットは反応が陽性か否かを示す。有色なら反応
があったことを意味し、無色なら反応は陰性であったことを意味する。これが前
述した反応が「二者択一(all or nothing)」型の例である。この方法には、反応
を解明するための道具を必要としないという大きな利点がある。肉眼観察で十分
である。主な欠点は、あまり正確でないということである。抗体の人体への導入
患者の癌細胞を抗AFPレセプター抗体へ接触させるのにいくつかの方法があ
る。1つの方法は、マウスの清浄化された単クローン抗体(Mab)を患者に注
入することである。悪性腫瘍の細胞が血液と直接接触する場合には(例:白血病
)、静脈注射の方法が選択される。腫瘍に接触できるのが唯一血液の場合も同様
である。しかし他の方法の方がよい場合もある。上述のように、腫瘍の中には胸
膜腔や腹腔などのように限られた空間で成長するものがある。このような場合は
、抗体を血流よりも腔へ直接注入するほうがよい。抗体をAFPレセプターまで
到達させるもう一つの方法は、抗体を宿主の中に入
れることである。異なる種のAFP受容体を用いて癌患者に免疫を与えることが
できる。ヒトと他の種との間でレセプターの適合性のわずかな違いは、その患者
の体内で、抗体を生成することを可能にするかもしれない。抗体は、マウスや牛
などのAFPレセプターに対するものであっても、ヒトの自己由来のAFPレセ
プターと交差反応する。こうして患者は、自分自身の腫瘍に対して「ワクチン接
種」を受ける。抗体は、レセプターを癌細胞の表面へ付着(jam)させる唯一の方
法でないことに言及しておく価値がある。変性したAFPでも同じ目的を達成す
ることができるであろう。合成されたAFP片でさえ同じ結果を得ることができ
るので、それは腫瘍の成長を阻止するのに有用である。
変性AFPレセプターを得るにはいくつかの異なる方法があり、自然発生する
AFPの一部でもよいし、DNAの分子工学により合成されたものでもよい。重
要な点は、AFPがAFPレセプターと反応する部分は生存できるが、AFPの
残りの部分は生存しないか、又はその機能を発揮できなくなるほど変えられ若し
くは破壊されるということである。これらの方法は全て、当該分野の専門家にと
ってよく知られた技術である。AFPはこれらのどの方法にも簡単に適用される
。たとえば、ベックマン・インストルメンツ(Beckman Instruments)製のポリペ
プチド合成器を用いて、AFPレセプターと反応する
AFPの合成片(synthetic part)を生成することができる。AFPレセプターと
反応するAFP合成片に対応するアミノ酸配列は、ポリペプチド合成器の中へ入
れられ、合成器が作動する。その結果、合成されたポリペプチドができる。また
、所望のDNA配列を、当該分野で周知の適当なベクターを介して、宿主系の中
に導入することにより、AFP片を作ることもできる。次に、宿主系はAFPを
発現し、集められ、所望により清浄化される。また、遺伝子合成法を利用して、
所望のDNA配列を、牛の受精卵等の中へ入れることも可能である。所望のAF
Pは、当該分野の専門家であれば周知にように、出生後の動物から得ることもで
きる。これについては、例えば、Maniatis et al.(1982)を参照することができ
る。所望のAFP片を得る更にもう一つの方法として、自然に発生するAFPを
切断する方法を挙げらることができる。AFPは、臭化シアンイミドのような連
鎖試薬を付着させて、清浄化した後、所望のAFP片を得ることができる。
実施例を挙げて本発明を詳しく説明してきたが、その説明は、あくまでも例示
の目的で行なったものであり、添付の請求の範囲の記載を除いて、当業者が本発
明の精神と範囲から逸脱することなく詳細な説明の部分に様々な変更を行うこと
は可能であることは理解されるべきである。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
A61K 51/00 G01N 33/53 Y
G01N 33/53 33/577 B
33/577 A61K 43/00
【要約の続き】
でいる。検査の結果、患者の体内にAFPレセプターが
存在することがわかると、次に、AFPレセプター抗体
又はAFPを患者の体内に導入して、患者の癌細胞と反
応させるステップがある。患者の体内の癌細胞を処理す
る方法である。その方法は、変性AFPを患者の体内の
癌細胞に導入するステップを含んでいる。次に、変性A
FPを癌細胞のAFPレセプターと反応させるステップ
があり、癌細胞の成長を阻止したり、癌細胞を殺す。