【発明の詳細な説明】
神経保護薬としての縮合ベンゾチアゾール類の利用
本発明は、酸化的ストレスに伴う神経及び血管系の老化又は変性疾患に冒され
た人間の治療的又は予防的処置のための薬剤の製造のための、2,3−ジヒドロ
−イミダゾ[2,1−b]ベンゾチアゾール誘導体の利用に関する。
2,3−ジヒドロ−イミダゾ[2,1−b]ベンゾチアゾール誘導体は、酵素
モノアミンオキシダーゼ(MAO)を阻害し、うつ病及びパーキンソン症候群の
処置のための治療力を有する薬剤としてUS−4,262,004に開示されて
いる。現在、実験により、そこに開示されているある種の2,3−ジヒドロ−イ
ミダゾ[2,1−b]ベンゾチアゾール誘導体が試験管内及び生体内の両方にお
いて有力な酸化防止活性を有することが示されている。その酸化防止性を見ると
、これらの誘導体は、酸化的ストレスに伴う神経及び血管系の変性疾患及び老化
の処置において治療的有用性を有する。
結局、本発明は酸化的ストレスに伴う神経及び血管系の老化又は変性疾患に冒
された人間の治療的又は予防的処置のための薬剤の製造のための、2,3−ジヒ
ドロ−イミダゾ[2,1−b]ベンゾチアゾール誘導体、製薬学的に許容され得
る酸付加塩、立体化学的異性体、ならびに該誘導体、塩及び立体異性体の混合物
の利用に関し、該誘導体は式(I):
[式中、R1はCl-10アルキル又はC5-12シクロアルキルを示し、
R2は水素又はC1-10アルキルを示し;
R3、R4及びR5はそれぞれ独立して水素又はC1-4アルキルを示す]
を有する。
本発明はまた、酸化的ストレスに伴う神経及び血管系の老化又は変性疾患に冒
された患者を、該老化及び変性疾患の経過及び/又は影響を改善する、停止させ
る、遅延させる又は緩和するのに有効な量の式(I)の2,3−ジヒドロ−イミ
ダゾ[2,1−b]ベンゾチアゾール誘導体を該患者に投与することにより処置
する方法にも関する。
C1-4アルキルは、メチル、エチル、プロピル、ブチル及びそれらの分枝異性
体を定義する。C1-10アルキルは炭素数が1〜10の直鎖状もしくは分枝鎖状飽
和炭化水素基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル
、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル及びそれらの分枝異性体を定義する。C5-12
シクロアルキルは炭素数が5〜12の単環状、ならびに可能なら2−及び3
環状飽和炭化水素基、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル
、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、シクロド
デシル、ビシクロ[2.2.1]ヘキシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル(
ノルボルニル)、ビシクロ[2.2.2]オクチル、トリシクロ[3.3.1.
13,7]デシル(アダマンチル)などのシクロアルキル基を定義す
る。
好ましいのは、R1がC4-10アルキル又はC7-10シクロアルキルを示し;R2が
水素を示す化合物である。R3、R4及びR5は水素を示すのが好ましく;R3及び
R5はメチル、エチル、2−プロピル及び2−メチル−2−プロピルを示すこと
もできる。特に好ましいのはR1が直鎖状C6-10アルキル基、α−もしくはβ−
位において分枝しているC4-10アルキル基、あるいは単環状C7-10シクロアルキ
ル基を示す化合物である。
本発明の特定の化合物には:
N−シクロヘプチル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[2,1−b]ベンゾチアゾ
ール−7−アミン;及び
N−ヘキシル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[2,1−b]ベンゾチアゾール−
7−アミン
が含まれる。
式(I)の化合物はUS−4,262,004に記載の方法に従って製造する
ことができる。それらは塩基性を有するので、これらの化合物を適した酸で処理
することにより製薬学的に許容され得るその酸付加塩の形態に転化することがで
きる。適した酸は、例えば無機酸、例えばハロゲン化水素酸、例えば塩酸又は臭
化水素酸;硫酸;硝酸;リン酸などの酸;あるいは有機酸、例えば酢酸、プロパ
ン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マ
レイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタン
スルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サイクラミン酸、
サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモ酸などの酸を含む。上記で用いた付加
塩という用語は式(I)の化合物及びその塩が形成することが
できる溶媒和物も含む。そのような溶媒和物は例えば水和物、アルコレートなど
である。N−シクロヘプチル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[2,1−b]ベン
ゾチアゾール−7−アミンの好ましい酸付加塩は二塩酸塩である。製薬学的に許
容され得ない塩は、式(I)の化合物、及びその化合物を含む組成物の製造にお
いて有用であり得る。
酸化的ストレスは、組織内のオキシダントの作用、特に悪影響に関連する現象
を言う。内因性の強いオキシダントは例えば超酸化物(O2 -・)、過酸化水素(
H2O2)、ヒドロキシラジカル(HO・)である。組織は中枢、末梢又は骨髄組
織であることができ、特に血管系、神経系、腎臓、肝臓、心臓、すい臓、副甲状
腺及び性腺に属することができる。組織細胞における酸化的ストレスはDNA損
傷、タンパク質損傷及び脂質の過酸化に導き、後者は細胞膜の一体性及び機能の
変化を生ずる。ラジカルから誘導される酸素による酸化的障害は現在一般に、神
経変性障害の開始及び進行における重要段階であると考えられている。
治療的処置は、神経及び血管系の該変性疾患の経過及び/又は影響の改善、停
止、遅延又は緩和に有効な量でそのような誘導体を投与することを含む。予防的
処置は、神経及び血管系の老化又は変性疾患の開始及び発生を予防又は遅らせる
のに有効な量でそのような誘導体を投与することを含む。
2,3−ジヒドロ−イミダゾ[2,1−b]ベンゾチアゾール誘導体の酸化防
止活性を、ラジカルを掃去し、かくしてラジカル−誘導脂質過酸化及び細胞毒性
を妨げるその能力により試験管内で示すことができる。神経細胞の培養物におい
て、それらは既知の内因性酸化防止剤ビタミンE(α−トコフェロール)に代わ
ることができる。式(I)の化合物の
酸化防止活性は、培養物中のヒトの線維芽細胞を、培地におけるグルタチオン枯
渇により誘導される細胞死に対してそれらが保護することでも理解される得る。
式(I)の化合物の酸化防止活性はその親油性と比例していると思われる、すな
わち酸化防止活性はR1がより大きなアルキル又はシクロアルキル基を示すと共
に増加する。
酸化的ストレスに伴う且つ式(I)の化合物を用いる処理に感受性であると思
われる神経及び血管系の疾患及び状態は、神経系の正常な及び病理学的変性であ
る。特に該化合物は、例えば血栓塞栓発作、脳卒中、出血性発作、脳虚血、脳痙
攣、脳老化、脳もしくは脊髄外傷、心停止、低血圧、心臓又は肺手術、重症の低
血糖、無酸素症、低酸素症、周産期仮死における酸化的損傷又は障害に伴う中枢
及び末梢神経系からのニューロン欠損の予防又は処置において;ならびに酸化的
代謝過程が役割を果している神経変性疾患、例えばハンチントン舞踏病、アルツ
ハイマー病、老年痴呆、ピック病、コルサコフ病、オリーブ橋小脳萎縮、筋萎縮
性側索硬化症、パーキンソン病、ダウン症候群、グルタル酸血症、てんかん、痙
攣状態、多発脳梗塞性痴呆、及びウィルス感染−誘導神経変性、特に神経−AI
DS包含痴呆、認識困難症、進行性構語障害、運動失調、HIV感染に伴うニュ
ーロパシー及びミオパシー、あるいは脳炎症を含むいずれかの疾患の緩和におい
て治療的価値を有し得る。
式(I)の化合物、特に好ましい化合物N−シクロヘプチル−2,3−ジヒド
ロ−イミダゾ[2,1−b]ベンゾチアゾール−7−アミン二塩酸塩はアルツハ
イマー病に冒された患者、ならびにAIDS及び特に神経−AIDSに冒された
患者の処置に特別に有用であるこが期待される。アルツハイマー病は、記憶、言
語、視覚−空間的技能(visuo
−spatial skills)及び挙動の障害を特徴とする1種の進行性痴
呆である。神経−AIDSはHIV感染に伴う典型的状態であり、進行性脱髄を
特徴とする中枢及び末梢神経系の感染として現れる。
さらに、それらの酸化−防止性の観点から、式(I)の化合物は血管系の正常
な、及び病理学的変性、例えばアテローム発生、アテロマトーシス(動脈の内皮
の脂肪変性)、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、高血圧に伴う血管肥大、
高リポタンバク質血症及び老化による正常な血管変性;性腺及び膵臓の血管症;
副甲状腺反応性肥厚;慢性腎臓病;腫傷性疾患;ならびに炎症性疾患の予防又は
処置においても用途を有し得る。
本発明の薬剤として適した式(I)の化合物の製薬学的組成物は、当該技術分
野において既知の1種又はそれ以上の賦形剤又は担体を含む。これらの1種又は
それ以上の賦形剤又は担体を適切に選ぶことにより、製薬学的組成物を経口的、
直腸内、膣内、局所的、非経口的(筋肉内、皮下及び静脈内を含む)又は体内埋
植投与に、あるいは吸入又は卵管通気法に適した形態に適応させられる。調剤は
適宜、個別の投薬形態で与えるのが簡便である。
そのような組成物の調製法は当該技術分野において周知であり、活性成分及び
賦形剤を互いに緊密に混合することを特徴としている。すべての方法は活性化合
物を液体担体又は微粉砕された固体担体、あるいは両方と一緒にし、次いで必要
なら生成物を所望の製剤に成形する段階を含む。
経口的投与のために、製薬学的組成物は固体投薬形態、例えば錠剤又はカプセ
ルの形態をとることができ、それは結合剤(例えば予備ゼラチ
ン化澱粉、ポリビニルピロリドン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース);
充填剤(例えばラクトース、微結晶セルロース又はリン酸カルシウム);滑沢剤
(例えばステアリン酸マグネシウム、タルク又はシリカ);崩壊剤(例えばポテ
ト澱粉又はナトリウム澱粉グリコレート);あるいは湿潤剤(例えばラウリル硫
酸ナトリウム)などの製薬学的に許容され得る賦形剤を用いて従来の方法により
調製される。
経口的投与のための液体製剤は、例えば溶液、シロップ又は懸濁剤の形態をと
ることができ、あるいはそれらは使用前に水又は他の適したビヒクルを用いて構
成するための乾燥生成物として与えられることができる。そのような液体製剤は
、懸濁化剤(例えばソルビトールシロップ、メチルセルロース又は水素化食用脂
肪);乳化剤(例えばレシチン又はアラビアゴム);非−水性ビヒクル(例えば
アーモンド油、油状エステル又はエチルアルコール);ならびに防腐剤(例えば
p−ヒドロキシ安息香酸メチルもしくはプロピル又はソルビン酸)などの製薬学
的に許容され得る添加剤を用いて従来の方法により調製されることができる。
口中への局所的適用のために、製薬学的組成物は従来の方法で調製されるバッ
カル錠又は舌下錠、ドロップス、あるいはロゼンジの形態をとることができる。
表皮への局所的投与のために、本発明の化合物はクリーム、ジェル、軟膏又は
ローションとして、あるいは経皮パッチとして調製されることができる。そのよ
うな組成物は、例えば水性又は油性基剤を用い、適した増粘剤、ゲル化剤、乳化
剤、安定剤、分散剤、懸濁剤及び/又は着色剤を添加して調製されることができ
る。
式(I)の化合物はデポ剤として調製されることもできる。そのよう
な長期作用型調剤は、体内埋植(例えば皮下に、又は筋肉内に)により、あるい
は筋肉内注射により投与されることができる。かくして例えば化合物を適したポ
リマー性もしくは疎水性材料(例えば許容され得る油中の乳液として)、又はイ
オン交換樹脂を用いて、あるいはわずかに可溶性の誘導体、例えばわずかに可溶
性の塩として調製することができる。
式(I)の化合物は、注射、簡便には静脈内、筋肉内又は皮下注射による、例
えばボーラス注射又は継続的静脈内輸液による非経口的投与のために調製するこ
とができる。注射のための製剤は単位投薬形態で、例えばアンプルで、又は防腐
剤が加えられた多投薬量容器で与えられることができる。組成物は、油性又は水
性ビヒクル中の懸濁剤、溶液又は乳剤の形態をとることができ、懸濁化剤、安定
剤及び/又は分散剤などの調製剤を含有することができる。他の場合、活性成分
は、例えば無菌の発熱物質−非含有水などの適したビヒクルで構成するための粉
末の形態であることができる。
式(I)の化合物は、例えば従来の座薬基剤、例えばココアバター又は他のグ
リセルドを含有する座薬又は保持性浣腸などの直腸用組成物として調製されるこ
ともできる。
鼻内投与のために、式(I)の化合物を例えば液体スプレーとして、粉末とし
て又はドロップの形態で用いることができる。
吸入による投与のために、式(I)の化合物は簡便に、適したプロペラント、
例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラ
フルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、二酸化炭素又は他の
適したガスを用い、加圧されたパック又はネブライザーからのエアゾールスプレ
ー提供の形態で送達されることができ
る。加圧エアゾールの場合、計量された量を送達するバルブを設けることにより
投薬単位を決定することができる。吸入器又はインサフレーターで用いるための
、例えばゼラチンのカプセル及びカートリッジを、本発明の化合物及び適した粉
末基剤、例えばラクトース又は澱粉の粉末混合物を含有して調製することができ
る。上記の製薬学的組成物のいずれも従来の方法で、制御された放出形態を伴っ
て与えることができる。
式(I)の化合物の生物学的利用率を向上させるために、それらを適したシク
ロデキストリンと有利に調製することができる。適したシクロデキストリンは、
シクロデキストリンの無水グルコース単位のヒドロキシ基の1つ又はそれ以上が
C1-6アルキル、特にメチル、エチル又はイソプロピル;ヒドロキシC1-6アルキ
ル、特にヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル又はヒドロキシブチル;カルボ
キシC1-6アルキル、特にカルボキシメチル又はカルボキシエチル;C1-6アルキ
ルカルボニル、特にアセチル;C1-6アルキルオキシカルボニルC1-6アルキル又
はカルボキシ−C1-6アルキルオキシC1-6アルキ、特にカルボキシメトキシプロ
ピル又はカルボキシエトキシプロピル;C1-6アルキルカルボニルオキシC1-6ア
ルキル、特に2−アセチルオキシプロピルで置換されたα−,β−,γ−シクロ
デキストリン、あるいはそのエーテル又は混合エーテルである。複合化剤及び/
又は可溶化剤として特に注目されるのはβ−CD、2,6−ジメチル−β−CD
、2−ヒドロキシエチル−β−CD、2−ヒドロキシエチル−γ−CD、2−ヒ
ドロキシプロピル−γ−CD及び(2−カルボキシメトキシ)プロピル−β−C
D、ならびに特に2−ヒドロキシプロピル−β−CD(2−HP−β−CD)で
ある。
本発明の組成物で用いるための最も好ましいシクロデキストリン誘導
体は、0.35〜0.50(質量分析により決定)の範囲内の平均分子置換度(
M.S.)を有し、1.5%未満の未置換β−シクロデキストリンを含有する2
−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンである。NMR又はIRにより
決定されるM.S.値は0.55〜0.75の範囲であるのが好ましい。
製薬学的組成物は式(I)の化合物及びシクロデキストリン又はシクロデキス
トリン誘導体のみから成ることができる。この固体形態は簡便に、水溶液の凍結
乾燥により、又は別の場合、共−沈澱により調製されることができる。この製剤
は特に水、食塩水又はシクロデキストリンの水溶液を用いた再構成のために、あ
るいはフルーツジュースなどの非−製薬学的液体、あるいは食物などの固体さえ
も用いる配合のために特に有用である。
好ましくは本発明の製薬学的組成物は経口的投与に適している。
組成物は分離された投薬単位で、特に単位投薬形態で有利に与えられることが
できる。簡便な単位投薬製剤は、活性成分を0.1〜100mgの量で含有する
。処置における1日あたりの投薬量として必要な式(I)の化合物の量は、選ば
れる特定の化合物のみでなく、投与の経路、処置されるべき状態の性質、ならび
に患者の年令、体重及び状態と共に変化し、究極的に付き添う医師に一任される
。しかし一般に適した投薬量は、1日に約0.5〜約20mgの範囲内であろう
。予防に用いるために適した1日あたりの投薬量は一般に同じ範囲内であろう。
簡便には所望の投薬量を1投薬で又は適した間隔で、例えば1日に2、3、4
回又はそれ以上の細分投薬量で投与される分けられた投薬として与えることがで
きる。N−シクロヘプチル−2,3−ジヒドロ−イミダ
ゾ[2,1−b]ベンゾチアゾール−7−アミンの1日あたりの投薬量は1投薬
で投与することができるが(o.d.)、2回の投薬で投与するのが好ましく、
それは、そのような管理が24時間に及ぶ有効な血漿レベルを与えるからである
。反復して又は慢性的に投与すると、定常状態に達するまで血漿レベルが漸進的
に上昇する。
式(I)の化合物は、神経変性疾患の処置又は緩和に用いられる他の薬剤、例
えばドーパミン作用性欠損などの神経伝達物質の欠損の代わりとなる薬剤、例え
ばレボドパ;しかし特にコリン作用性欠損の代わりとなる薬剤、例えばガランタ
ミン、E 2020、フィゾスチグミン又はタクリン;記憶増進薬、例えばサベ
ルゾール;AIDSの防除に用いられる薬剤、例えばヌクレオシド逆転写酵素阻
害剤、例えばジドブジン(AZT)、ジダノシン(ddI)、ザルシタビン(d
dC)、ラミブジン(3TC)、スタブジン(24T);非−フクレオシド逆転
写酵素阻害剤、例えばロビリド、ネビラピン(ピリジノン)、8−クロロTIB
O又はチビラピン((−)−(S)−8−クロロ−4,5,6,7−テトラヒド
ロ−5−メチル−6−(3−メチル−2−ブテニル)イミダゾ[4,5,1−j
k][1,4]ベンゾジアゼピン−2(1H)−チオン−塩酸塩)、HIV−プ
ロテアーゼ阻害剤、例えばサキナビル、インジナビル、ネルフィナビル、リトナ
ビルなどの抗レトロウィルス性化合物;酸化防止剤、例えばビタミンC、ビタミ
ンE、プロブコールなどの薬剤と組み合わせて用いることもできる。
かくして本発明は他の側面において、製薬学的に許容され得る担体、ならびに
活性成分として:(a)有効量の本明細書で定義される式(I)の化合物を含む
組成物を:(b)有効量の前節で定義された他の治療的
に活性な薬剤と一緒に含む組み合わせを提供する。組み合わせは別々に、すなわ
ち上記のいずれかの経路を介して同時に、一緒に又は連続して投与されることが
でき、あるいは組み合わせが1つの製薬学的製剤の形態で存在することもできる
。かくして酸化的ストレスに伴う神経又は血管系の老化又は変性疾患に冒された
人間の治療又は予防的処置において同時に、別々に又は連続して用いるための組
み合わせ製剤としての、(a)式(I)の化合物及び(b)前記において定義さ
れた他の治療薬を含む製薬学的製品は、本発明の他の側面を成す。そのような製
品は、式(I)の化合物の製薬学的組成物を含有する容器、及び第2の治療薬の
製薬学的組成物を含む他の容器を含むキットを含むことができる。2つの活性成
分の別々の組成物を有する製品は、各成分の適量及び投与のタイミングと順序を
患者によって選ぶことができるという利点を有する。
式(I)の化合物が第2の治療薬と組み合わされて用いられる場合、各化合物
の投薬量は、化合物が単独で用いられる場合の投薬量から変化し得る。かくして
式(I)の化合物が第2の治療薬と一緒に用いられる場合、各化合物の投薬量は
化合物が単独で用いられる場合に用いられる投薬量と同じか又はより普通にはそ
れより低い。適した投薬量は当該技術分野における熟練者が容易に認識すること
ができるであろう。実施例1
:グルタチオン枯渇に対する試験管内保護
ヒト線維芽細胞[株NS]をシスチン/メチオニン欠乏EMEM中で48時間
培養した。いずれの処置も受けない標準培養では、すべての細胞が壊死性となっ
た。細胞死は、位相差顕微鏡により得点評価した。表1は、式(I)の化合物を
用いて観察されたEC90値、すなわち式(I)の化合物を用いた処置の後48時
間、線維芽細胞の90%以上が生き残
る濃度をまとめている。
実施例2
胚海馬の初代培養物を本質的に以前に記載されている通りに調製した(Pau
wels,P,Van Aschouw,H.P.,Peeters,L.,M
oeremans,M.,Leysen,J.E.1992.Chronic
treatment with sabeluzole protects c
ultured rat brain neurons from the n
eurotoxic effects of excitatory amin
o acids.Synapse,12:271−280)。胚日(embry
onic day)17においてラットの海馬形成を切開し、DMEM(Dul
becco Modified Eagle Medium)中の0.05%ト
リプシン、0.1mg/mlのDNアーゼ Iに分離した。熱−不活化ウマ血清
(HS)を4%の濃度まで加え、細胞を遠心し、DMEMで洗浄し、10%のH
Sを含有するDMEM/Ham’s F12(3:1)に再懸濁させた。細胞を
ポリL−リシン(0.001%)予備−コーティングマルチウェル−24プレー
トで、4x105細胞/cm2の密度で平板培養した。培養において1日目に、培地
を化学的に限定された培地(0.26%のウシ血清アルブミン、30nMのセレ
ン酸ナトリウム、3nMの3,3’,5−トリヨード−L−チロニン、0.35
μMのレチノール、0.3μMのレチノールアセテート、2.3μMのDL−a
−トコフェロール、2.1μMのDL−α−トコフェロールアセテート、3.6
μMのリノレン酸、3.6μMのリノレイン酸、0.125%のヒトトランスフ
ェリン、20nMのプロゲステロン、57.5nMのコルチコステロン、49U
/1のインスリン、0.4μMのビ
オチン、10uMのL−カルニチン、83μMのD(+)−ガラクトース、3.
3μMのグルタチオン、10uMのエタノールアミン、0.1mMのプトレシン
を含有するDMEM−HEPES/Ham’s F12(3:1);Romij
n,H.J.,van Huizen,F.,Wolters,P.S.198
4.Towards an improved serum−free,che
mically defined medium for long−term
culturing of cerebral cortex tissue
.Neurosci.Behav.Rev.,8:301−334)にDL−α
−トコフェロール(VitE)及びDL−α−トコフェロールアセテートを含ん
で(標準)、又は含まずに、試験化合物の存在下で、又は不在下で変えた。培地
からvitEが省略されると、試験管内で4日目に重大な細胞死が観察された。
化合物の添加は培養物を救うことができた。培養物の生き残りを、細胞質LDH
活性を用いて測定した。vitE−枯渇培養物における生き残り−救済のための
EC50は、vitEが補足された培地において生育される培養物の場合に見られ
る生き残りの50%まで培養物の生き残りを復帰させるのに必要な化合物の濃度
を指す。各化合物の7種類の濃度を3重に調べ、独立した実験の数を表で示し、
平均EC50−値±SDを算出した(表2)。
初代神経培養物は、試験管内における生き残りに関して培地中の酸化防止剤v
itEの存在に依存する。培養物の生育にvitE枯渇培地が用いられると、生
き残りは標準の±20%に落ちる。酸化防止性を有する化合物はvitEの欠乏
を補足することができ、培地に加えられるとそのままでvitE欠乏培養物を救
うことができる。初代神経培養物に
ついてのvitE枯渇試験において、式(I)のいくつかの誘導体を1O-7M及
び10-6Mで調べ、すべてvitE枯渇培養物をある程度救って生き残らせるこ
とができた(表2)。
化合物7は最も有力な化合物であった:10-7Mにおいて、VitE枯渇培地
で生育された初代神経培養物の完全な救済が見られた。培養物が標準の50%ま
で救われた化合物7の濃度(標準は4.4μMのvitEを含有する培地で生育
される培養物)は25±12nMであった(表2)。これらのデータに基づき、
上記の試験における化合物7の酸化防止活性をvitEの活性より約100倍有
力であると見積もった。
実施例3
ある種の細胞におけるシスチン吸収のグルタメートによる競合的阻害は、グル
タチオン(GSH)枯渇及び酸化的ストレスに導く。この酸化的ストレスのモデ
ルは、神経膠C6神経膠腫細胞に関して(Katoet al.,1992.A
mechnism for glutamate toxicity in
the C6 glioma cells involving inhibi
tion of cystine uptake leading to gl
utathion depletion.Neurosci.48:903−9
14)、及び神経細胞系N18RE105に関して(Murphy et al
.,1989.Glutamate toxicity in a neuro
nal cell line involves inhibition of
systine transport leading to oxidat
ive stress.Neuron 2:1547−1558)記載されてい
る。細胞培養:
C6神経膠腫細胞(American Type cult
ure Collection,CCL107)を2〜4mMのグルタミン、1
mMのピルビン酸塩及び5〜10%の熱−不活化ウシ胎児血清が補足されたDM
EM中で培養した。培養物は空気/5〜10%CO2、水飽和雰囲気中で37℃
に保持された。グルタチオン枯渇及び酸化防止剤としての薬剤の評価
:24−ウェル培養プレー
トで30,000〜50,000細胞/cm2において(毒性及び過酸化物測定
のため)、又は96−ウェル培養プレートで136,000細胞/cm2におい
て(GSH決定のため)平板培養された培養物を用いて実験を行った。8〜24
時間後、培養をGSH消耗化合物グルタメート(10mM)の存在する、又は不
在の培地に切り替えた。酸化的ストレスの阻害のための薬剤を調べるために、薬
剤をグルタメートと一緒に加えた(溶媒の最終的濃度は0.01%ヒドロキシプ
ロピル−β−シクロデキストリン、0.1%DMSOであった)。細胞内GSH
レベルを6〜8時間後に測定し、細胞内過酸化物を14〜20時間後に測定し、
毒性及び保護をBergmeyer and Bernt(UV−assay
with pyruvate and NADH.In:Methods of
Enzymatic analysis.1974.H.U.Bergmey
er,ed.Acad.Press,New York,2nd Ed.,pp
574−579)の方法に従って乳酸塩デヒドロゲナーゼ(LDH)アッセイを
用いて48時間後に分析した。C6神経膠腫細胞培養物中のGSH含有量の決定
:GSHレベルは本質的にVa
ndeputte et al.(1994)に記載されている通りに、洗浄及
び均質化法を修正して、微量法により分析した。ゲル
(96−ウェルプレートの)をPBSで洗浄し、1.3%の5−スルホサリチル
酸を含有する50μlの10mM HCl中で均質化し、ホモジネートを120
0xgにおいて、4℃で10分間遠心した。40μlの上澄み液を96−ウェル
プレートのウェルに移し、200μlの試薬(143mMのリン酸塩緩衝液pH
7.4中の1mMのDTNB[5,5’−ジチオビス−(2−ニトロ安息香酸)
]及び0.34mMのNADPH及び6.3mMのEDTA)を加えた。5分間
、室温に平衡化した後、40μlのGSHレダクターゼ(8.5IU/mlの1
43mMリン酸塩緩衝液、6.3mMのEDTA pH7.4)を加えることに
より反応を開始させた。NADPH酸化をMultiskan MCC/340
(Labsystems)を用いて414nmで5分間追跡し、1分当たりの吸
光度の変化(ΔA)を算出した。GSH含有量を、試験毎に0.2〜2ナノモル
の市販のGSHの範囲の標準曲線(濃度に対してΔA/分がプロットされている
)から推定した。細胞内過酸化物の蛍光測定
:細胞内過酸化物の生成を6−カルボキシ−2’,7
’−ジクロロジヒドロフルオレセイン二酢酸塩、ジ(アセトキシメチルエステル
)(C−DCDHF,Molecular Probes)を用いて検出した。
C−DCDHFをDMSOに10mMの濃度で溶解し、−70℃で窒素下に保存
した。培養物を10mMのグルタメートに14〜20時間暴露した後、細胞に1
00μMのフルオロフォアを37℃で1時間負荷した。培地を吸引して除去し、
PBSを細胞に加え、プレートをCytofluor IIミクロプレートフル
オレセンスリーダー(PerSeptive Biosystems)で読み取
った。励起及び発光波長は、485/530nmフィルターペアを用いて
選んだ。細胞タンパク質1μg当たりの相対的蛍光単位(rfu)で表される蛍
光強度を細胞内過酸化物の指数として用いた。結果
:10mMのグルタメートでC6神経膠腫細胞培養物を6〜7時間処置する
と、細胞内GSHレベル(表3)を標準ウェルのレベルより約3−倍低いレベル
に減少させた(919ピコモルGSH/ウェルに対して277ピコモルGSH/
ウェル)。GSHの減少は、毒性細胞内過酸化物の±3−倍の増加により示され
る通り(タンパク質1μg当たり69rfuからタンパク質1μg当たり205
rfuへの増加)、酸化的ストレスを生じた。16〜48時間後に約±78%の
細胞死が起こった。LDH放出(細胞毒性の指数)はNMDA拮抗薬MK801
により妨げられなかったので(データは示されていない)、この毒性に興奮毒性
(excitotoxicity)は含まれてなかった。我々の培養条件下で(
表A)、C6神経膠腫培養物における基底LDH放出は合計LDHの11±3%
であり(平均±SEM、n=7)、10mMのグルタメートで処置されてから4
8時間後のLDH放出は、合計LDHの78±7%であった。化合物7は1μM
において、これらの培養物を細胞死から完全に保護した。この保護はGSHレベ
ルの復帰の故ではなく、GSHレベルは溶媒標準レベルの約3分の1のままであ
った。保護はグルタメート−誘導細胞内過酸化の阻害と平行しており、化合物7
による保護がGSH−枯渇−誘導酸化的ストレスの妨害の結果であったことを示
した。投薬量応答分析(表4)は、酸化的ストレス−誘導細胞毒性に対する保護
に関する化合物7の高い効力(IC50 9nM)、及び酸化的ストレス−誘導細
胞内酸化の阻害に対する高い効力を明らかにした。構造的に関連する化合物の評
価(表5)は、それらが類似の活性を示すことを示
した。結論
:試験管内における証拠において、化合物7及びいくつかの密接に関連する
化合物が細胞培養物において有力な酸化防止剤として作用することが明らかであ
る;それらは毒性細胞内過酸化物の酸化的ストレス−誘導増加を阻害するので、
細胞を酸化的ストレス−誘導細胞死から保護する。
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