JPH11504924A - ベンゾキノン類アンサマイシンによる熱耐性の誘導 - Google Patents
ベンゾキノン類アンサマイシンによる熱耐性の誘導Info
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- JPH11504924A JPH11504924A JP8533430A JP53343096A JPH11504924A JP H11504924 A JPH11504924 A JP H11504924A JP 8533430 A JP8533430 A JP 8533430A JP 53343096 A JP53343096 A JP 53343096A JP H11504924 A JPH11504924 A JP H11504924A
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Abstract
(57)【要約】
ベンゾキノン類アンサマイシン(例えばハービマイシンAおよび種々の類似体の何れか)の投与によって細胞、組織、器官および生物体において熱耐性表現型が惹起される。この誘発の結果得られる一般的なストレス耐性は、外科手術の患者の手術の過酷さに耐える能力を高め、器官の提供者から摘出した器官の保存期間を延長し、さらに組織培養細胞および器官の生命活性を延長させることを含む種々の態様で利点を提供する。
Description
【発明の詳細な説明】
ベンゾキノン類アンサマイシンによる熱耐性の誘導
本発明は心臓のストレス反応の分野に関し、さらにある種のベンゾキノン類ア
ンサマイシン(benzoquinonoid ansamycin)抗生物質の投与および生物学的作用
に関する。
政府の権利
本発明は、米国国立衛生研究所のグラント番号GM33551 号およびGM07618 号並
びに米国科学財団のグラント番号MCB9018320号の下、少なくとも一部米国政府の
支援を受けて達成した。合衆国政府は本発明に関して一定の権利を有する。
発明の背景
熱ショックまたは熱ストレス反応は、生理的成長温度を数度上回る温度に少な
くとも一時的に曝された全てのタイプの生細胞で認められる現象である。この反
応の症状発現の1つは、一般に異常に折り畳まれたタンパク質が細胞内に出現す
ることである。別の症状発現は、正常な増殖条件下で同じ細胞によって低レベル
で発現される一群のタンパク質の発現増加である。したがってこれらのタンパク
質は“熱ショックタンパク質”、最近では“ストレスタンパク質”と称されてい
る。ストレスタンパク質の発現増加および他のタンパク質の異常折り畳み形の蓄
積はまた、種々の金属、アミノ酸、エタノール並びに他の条件および処理に曝さ
れた細胞で認められた。
また別の反応の症状発現は、熱耐性(thermotolerant)表現型の惹起または獲
得である。これらの表現型は、組織または器官のような細胞および細胞集団に穏
やかな熱ショックを与え、その後それらを正常な成長温度に復帰させることによ
って惹起される。したがって獲得した熱耐性によって、これらの細胞は、その耐
性がなければ細胞にとって不可逆的な損傷を与えることとなるその後のより厳し
い熱ショック処理に対してより効果的に耐えることができる。熱耐性表現型はま
た、ストレス反応を誘発する、重金属、亜ヒ酸塩、種々のアミノ酸類似体などの
他の薬剤または処理、およびスルヒドリル還元剤ヨードアセトアミドおよびp−
クロルメルクリベンゾエートなどの他の代謝性毒素に曝された細胞で生じる。し
たがって、特定の薬剤または処理によって誘発されるストレス反応は、このスト
レスタンパク質の1つ以上の合成増加をももたらすことができる異なる薬剤また
は処理に細胞を曝すことに対して細胞を耐性にする。これは“交叉防御”として
知られている。熱耐性表現型のその他の特徴は、“遷移性熱耐性”であり、熱シ
ョックに暴露後細胞による一般的なタンパク質合成速度及びタンパク質合成の程
度、またはその双方に関係を有する。正常細胞(熱耐性を未だ獲得していない細
胞)では、熱ショック暴露に際してタンパク質合成速度は低下し、正常に復帰す
るためにかなりの時間を必要とする。熱耐性表現型では、タンパク質合成の回復
は極めて速い。
ストレスタンパク質の発現増加は何らかの方法で熱耐性の獲得に関与している
と考えることは論理的であるが、耐性表現型が出現する実際的な根拠は未だ不明
である。例えば、熱ショックによってその発現率が増加するタンパク質の分子量
の範囲は広く、あるものは20,000ダルトンの範囲であり、他のものは110,000 ダ
ルトンもの大きさであり、さらに同じタンパク質が全ての種で同じ速度で増加す
るとは限らない。ストレスタンパク質の他に、熱耐性に、最初の点火役(primin
g)ストレス処理によってもたらされる他の生理学的変化が付随する。これらの変
化には、タンパクキナーゼ/ホスファターゼ連鎖反応の活性化、細胞骨格の再構
成、膜流動性の変化、細胞内イオンの変化、並びに細胞成長および細胞サイクル
の変化が含まれる。ストレスタンパク質の寄与の型並びにこれらのタンパク質が
他の生理学的変化と相互反応する程度および態様は、熱耐性が実際に達成される
メカニズムについて多くの問題を投げかける。関与する因子の数の多さから見れ
ば、ある種のストレスタンパク質の観察される発現増加は熱耐性が続くことを示
唆していると結論することは必ずしもできない。
本発明に関連するまた別の背景となる情報は、ベンゾキノン類アンサマイシン
として知られる種類の抗生物質に関する報告で見出される。これらには、ハービ
マイシン(herbimycin)A、BおよびC,ゲルダナマイシン(geldanamycin)並
びにこれらの化合物の誘導体及び類似体が挙げられる。これらの化合物は抗腫瘍
活性を示すことが知られており、ハービマイシンの場合は除草活性、抗ウイルス
および抗脈管形成活性をともに示す。これら化合物の抗腫瘍活性の探索によって
、これらの化合物はp60V-src 、チロシン特異的タンパク質キナーゼを抑制し
、
それによってラウス肉腫ウイルス形質転換細胞の形質転換を、おそらくはこのキ
ナーゼに結合することによって逆転させることが示された。より最近の実験で、
これらの化合物はhsp90に結合することができることを示唆された(Whitese
llら、『ベンゾキノンアンサマイシンによる熱ショックタンパク質 HSP90-pp60 V-src
異種タンパク質複合体形成の抑制:発癌性形質転換におけるストレスタン
パク質に対する必須の役割("Inhibition of heat shock protein HSP90-pp60 V- src
heteroprotein complex formation by benzoquinone ansamycins: Essentia
l role for stress proteins in oncogenic transformation")』、Proc.Natl.
Acad.Sci.USA,91:8324-8328(1994))。hsp90はp60V-src の成熟に重
要であることが分かっているので、形質転換表現型の逆転は、細胞がベンゾキノ
ン類アンサマイシンの存在下で活性で成熟したp60V-src を適切に産生するこ
とができないことによるかもしれない。
これらの探索の過程で、ハービマイシンAがA431ヒト類上皮癌細胞におけ
る70kDaタンパク質の合成を誘発し、このタンパク質が上記に述べた熱ショッ
クタンパク質の1つであることを見出した(Y.Murakamiら、『ハービマイシンA
、チロシンキナーゼ腫瘍遺伝子による形質転換抑制物質によるHsp72/73の誘発“
Induction of Hsp 72/73 by Herbimycin A,an Inhibitor of Transformation b
y Tyrosine Kinase Oncogenes”』、Experimental Cell Research 195:338-344(
1991))。しかしながら、これらの発見から得られた結論において、ムラカミらは
、熱ショックタンパク質がある種の細胞性反応過程で役割を果たすと考えられる
が、熱ショックタンパク質の正確な機能は不明であると認めている。ムラカミら
は、ハービマイシンAが新規に合成されたタンパク質、特にEGFレセプターと
関係を有し、それによって該レセプターの適切な成熟を抑制すると推測したのを
記載することは意義があろう。さらに、彼らは、このEGFレセプターとの干渉
によりhsp70の合成増加がもたらされるのかもしれないと提唱した。ムラカ
ミらは、著者らが観察したあるストレスタンパク質を誘発する能力はさておき、
熱耐性について言及すること、またはハービマイシンAがそれ自体熱耐性を惹起
させるか否かについて推測することを差し控えた。ムラカミらはまた、他のタン
パク質(60- および90- キロダルトン)がハービマイシンAに暴露した結果とし
て増
加すると提唱したが、これらのタンパク質が熱ショックタンパク質であることを
著者らは証明しなかった。
したがって、熱ショック反応の複雑さを考えるならば、熱耐性が、異常な折り
畳みタンパク質の一般的蓄積をもたらす薬剤または処理以外のいずれかの手段に
よって誘発できることを示唆する文献は存在しない。
発明の要旨
ベンゾキノン類アンサマイシンの投与によって、熱耐性が、組織、器官および
完全な生物体などの生細胞および生細胞集団で誘発されることを見出した。この
発見の尋常ならざる特性は、これらの化合物の投与がまた熱ストレスタンパク質
の発現増加をもたらす一方、この増加は、ストレス反応が熱ショックまたは既知
のストレス誘発物質、例えばL-アゼチジン−2-カルボン酸(azc)によって誘
発されるときに認められる他の多くの生理的変化を伴わないということである。
ストレス反応に付随する生理的変化に含まれるものとして、タンパク質合成直後
のタンパク質の折り畳みの干渉、細胞内成熟タンパク質の部分的変成および凝集
、細胞の中間フィラメント細胞骨格の再分布(フィラメントの核内および核周囲
の局在をもたらす)、およびタンパク質合成が一時的に中断する熱ショックに続
く長時間がある。本発明によると、ベンゾキノン類アンサマイシンは、これらの
変化または細胞への他の一切の悪影響を引き起こすことなく熱耐性を誘発するこ
とが認められた。実際アンサマイシンは、その薬剤が存在する限り、ストレスタ
ンパク質の発現及び蓄積を増加し続けることによってストレスタンパク質の熱シ
ョック誘発に優る利点を提供する。このことは、ストレスの重篤度と前から存在
する種々のストレスタンパク質の相対的レベルによってその発現継続が左右され
る古典的ストレス物質と対照的である。
熱ショックタンパク質の単なる増加と異なり、熱耐性が薬理的手段によって誘
発されるという発見は、インビボおよびインビトロの双方での細胞の保存、処理
および操作について重要な示唆を有する。種々の動物の器官および組織における
虚血および再潅流性損傷は、ストレス反応の誘発をもたらすことが知られている
。虚血性損傷時の熱ショックタンパク質の誘発は、結果として生じた細胞内AT
Pレベルの減少によると考えられている。それに続く再潅流は酸素ラジカルの産
生
を介してさらに損傷を惹起すると考えられる。これら外傷の両原因(ATP枯渇
および酸素ラジカル)は、正常なタンパク質の折り畳みおよび/または成熟に干
渉し、したがって異常折り畳みタンパク質の蓄積をもたらす。
したがって本明細書で開示する薬剤による前処置によって、従来の致死量以下
の熱ショック処置により提供される保護に類似する態様で、前記のこれらの損傷
に付随するリスクを減少または排除することができる。よって、本発明により得
られる熱耐性表現型は、心臓発作、および特定の器官または組織への血流が減少
または妨害される他のタイプの出来事、損傷または外科過程に対する保護を高め
るであろう。組織移植および器官移植もまた、本発明の熱耐性を獲得することに
よって高められる保護により利益を得るであろう。摘出前に熱耐性を付与された
摘出組織および器官は、より長期の移植待機期間にわたって生存し、一旦移植さ
れると、それら移植器官は、より速やかに正常な機能を回復させるであろう。
本発明のこれらおよび他の特徴並びに利点は、下記の詳細な説明によって一層
明白となろう。
発明の詳細な説明と好ましい実施態様
本発明での使用に適したベンゾキノン類アンサマイシンには表示のような環頂
点(ring vertex)を有する下記式のものが含まれる。
(式中、R1 はH、ハロゲン、OHまたはOCH3 であり、R2 およびR3 は両
者ともにHであるか又は環頂点2と3との間で一緒になって二重結合を形成し、
R4 およびR5 は両者ともにHであるか又は環頂点4と5との間で一緒になって
二重結合を形成し、R6 はH、ハロゲン、OH、CH3 、またはOCH3 であり
、R7 はNH2 COOであるか又はR10と結合して環頂点7と9を結ぶNHCO
O架橋を形成し、R8 はHまたはCH3 であり、R9 はOHであるか又はR10と
結合して(a)環頂点8と9との間に二重結合を形成するかもしくは(C)環頂点8と
9を結ぶ単一のオキシ酸素(−O−)を形成し、R10はR7 およびR9 の定義に
したがってR7 またはR9 のいずれかと結合し、R11はH、OH、CH3 または
OCH3 であり、R12はH、OH、CH3 またはOCH3 であり、R13はH、ハ
ロゲン、OHまたはOCH3 である。)
化合物のこの属内では、ある種の亜属が好ましい。例えば、ハロゲン原子は好
ましくは塩素(Cl)または臭素(Br)であり、R1 は好ましくはH、Clま
たはBrであり、R6 は好ましくはOCH3 、ClまたはBrであり、R11は好
ましくはOHまたはOCH3 であり、R12は好ましくはH、OHまたはOCH3
であり、R13は好ましくはHまたはOCH3 であるのがよい。さらに好ましい亜
属は環頂点2と3、4と5および8と9との間に二重結合を有するものである。
この式に含まれる既知のベンゾキノン類アンサマイシンの例を下記表に示す。
化合物を上記式で用いたR基で表す。
ベンゾキノン類アンサマイシンは、市販薬販売元から入手可能な既知の化合物
であるが、天然のものからも単離できるか又は天然に生じた物質を化学的に簡単
に修飾して合成してもよい。例えば、ハービマイシンはストレプトマイセス・ヒ
グロスコプス(Streptomyces hygroscopus)AM−3672の醗酵培地から単離
できる。ハービマイシンAの8,9-エポキシ誘導体は、ハービマイシンAをm-クロ
ロ過安息香酸で処理して得ることができる。その後、この8,9-エポキシ誘導体を
三フッ化ホウ素エテレートで処理して7,9-環状カルバメート誘導体を得ることが
できる。19−ブロモ誘導体は、ピリジニウムハイドロブロミドパーブロミドによ
る処理でハービマイシンAから得ることができる。6-クロロ−6-デメトキシ誘導
体は三塩化ホウ素でハービマイシンAを処理して得ることができ、2,3,4,5-テト
ラヒドロ誘導体は、触媒による水素添加によってハービマイシンAから得ること
かできる。ゲルダナマイシンは、ストレプトマイセス・ヒグロスコプス変異体ゲ
ルダヌス(geldanus)変異体ノバ(nova)の濾過ビールから単離できる。マクベ
シンIはノカルジア(Nocardia)C−14919種の醗酵培地から単離できる。
本発明は、個々の細胞および組織、器官および完全な有機体のような細胞凝集
物の両者の処理に用いることができ、インビトロおよびインビボでのいずれかの
投与で有効であろう。本発明に含まれる細胞のタイプの例として、血液細胞、組
織細胞および生殖細胞が挙げられ、さらに特に市販されているハイブリドーマの
ような細胞系がある。他の具体例として、卵母細胞、白血球、赤血球、血小板、
膵臓小島および肝細胞がある。組織の例として、結合組織、筋組織、神経組織お
よび上皮組織がある。器官の例として、肝臓、膵臓、腎臓、心臓、脳、肺、膵臓
、卵巣および胃がある。完全な有機体には胚とともに成長した動物およびヒトが
含まれる。本発明の主要な対象は、ホ乳類の細胞、組織および器官であり、ヒト
、飼育動物および家畜のそれらを含む。
上述したように、ストレス物質の1つのタイプ(例えば熱)によって誘発され
た耐性は、他のタイプのストレス物質(例えば化学物質、逆もまた同じ)に対す
るその後の曝露に有効であることが知られている。よって、本発明により誘発さ
れた耐性はストレス耐性を普遍化し、ストレスによる障害または生命活性の損失
が生じるような種々の状態にある細胞、組織および器官を保護するのに有用であ
る。したがって、本発明は例えば、手術に付随するリスク、例えば肉体的外傷並
びに呼吸器および冠状動脈の副反応を軽減することによって手術前の患者(ヒト
または動物にかかわらず)の処置として有用である。有効な結果を得るために、
手術より十分前もってベンゾキノン類アンサマイシンを投与し、完全な耐性を惹
起させる。したがって、処置は手術の少なくとも約8時間前、好ましくは約8時
間〜約24時間前、または手術の前日に与えられる。また別の例として、本発明は
また移植のために器官の提供者から摘出された器官の処理としても有用である。
そのような器官を本発明にしたがって処理することによって、摘出器官を待つ患
者の元へ輸送される間、これら器官の保存時間および生命活性が延長されるであ
ろう。さらに本発明は組織培養器官および細胞の処理に使用され、培養液にベン
ゾキノン類アンサマイシンを加えることによって器官または細胞の生命活性が高
められるであろう。
本発明を実施する場合、ベンゾキノン類アンサマイシンを非経口的、腹腔内、
局所的、経口的または局部的(例えばエアゾールまたは経皮的)な投与方法によ
ってインビボで与えることができる。本化合物を、投与方法にしたがって種々の
単位投与形状で与えることができる。例えば経口投与に適した単位投与形状とし
て、散剤、錠剤、ピル、カプセルおよびロゼンジが挙げられる。非経口投与は、
静脈内手段または体腔もしくは器官の管腔への投与によって達成できる。
投与製剤として、化合物の、通常医薬上許容可能な、好ましくは水性キャリア
の溶液またはエマルジョンが挙げられる。水溶性でない化合物の場合、水溶性を
達成するためにこれら化合物を既知の方法で誘導することができる。緩衝食塩水
または生理的に適合する何れの水性キャリアも用いることができる。そうでなけ
れば、ジメチルスルホキシドのような有機溶媒を用いてもよい。これら製剤中の
活性化合物の濃度は広範囲に変動し、選択した特定の投与方法およびインビボで
投与する場合には患者にとっての必要性にしたがって、主に液の体積、粘度及び
体重などを基準に選択する。
静脈内投与の典型的な投与量は、患者当たり約0.01〜100 mg、好ましくは約
0.1 〜約10mgである。これらのレベルは全て、ベンゾキノン類アンサマイシン
のLD50(GIBCO BRL,Life Technologies,Inc.,(ガイザーズバーグ、メリー
ラ
ンド、アメリカ)の報告によればマウスで19mg/kg)より極めて低い。薬剤
が血流以外の部位、例えば体腔または器官の管腔に投与される場合はさらに高い
投与量を用いてもよい。非経口投与用製剤は当業者には既知であり、例えば“レ
ミントンの製剤科学”(Remington's Pharmaceutical Science,15版、Mack Publ
ishing Company イーストン、ペンシルバニア、アメリカ(1980))に記載されてい
る。
インビトロ投与は慣用的な種々の方法のいずれかによって容易に実施できる。
例えば、培養液に様々な濃度範囲で該化合物を添加して、培養で増殖している細
胞を処理し、続いて化合物との接触から細胞を取り除き、熱耐性表現型を一定時
間惹起させることができる。好ましい濃度範囲は約0.01〜約100 μg/ml、よ
り好ましくは約0.1 〜約2.0 μg/mlである。耐性表現型獲得のための典型的
な惹起時間の範囲は、薬剤投与後約8時間〜約24時間である。
本明細書で“有効量”というベンゾキノン類アンサマイシンの量は、熱耐性表
現型の獲得をもたらす量である。この量は、処置が細胞、組織または器官に投与
されるか否かによって、および投与の方法によって変動するが、一般には抗生物
質としてこれらの化合物を使用するのに従来技術で投与された量と同じである。
以下の実施例は例示のために提供し、どのような態様においても本発明を限定
するものではない。
実施例
材料と方法
抗生物質ハービマイシンAはギブコ社(GIBCO BRL,Life Technologies,Inc.
,ガイザースバーグ、メリーランド、アメリカ)から購入し、ジメチルスルホキ
シドで 500μg/ml溶液として調製した。L-アゼチジン−2-カルボン酸(az
c)、アクチノマイシンD、シクロヘキシミドおよびアピラーゼはシグマ社(Si
gma Chemical Company,セントルイス、ミズーリ、アメリカ)から購入した。h
sp73(IB5)、GRP94(9G10)、hsp28(ゲッ歯類に特異的
ウサギポリクローナル抗体)およびhsp72(C92)に対する抗体はストレ
スジェンバイオテクノロジー社(StressGen Biotechnologies Corporation,ビク
トリア、ブリティッシュ=コロンビア、カナダ)から購入した。ビメンチンに対
する抗体はシグマ社から購入した。免疫沈降反応およびウェスタンブロット実験
に用いるウサギポリクローナル抗hsp73抗体は、ブラウンら(C.R.Brownら
、“The constitutive and stress inducible forms of hsp70 exhibit functio
nal similarities and interact with one another in an ATP-dependent fashi
on”(hsp70の本質的およびストレス誘発形態は機能的な類似性を示し、ATP依
存様式で互いに相互反応する)、J.Cell Biology 120:1101-1112(1993))が記載
したものと同じであった。熱ショック転写因子に対する抗体は、ベイラーら(Bal
erら、“Activation of human heat shock genes is accompanied by oligomeri
zation,modification and rapid translocation of heat shock transcription
factor HSFI"(ヒト熱ショック遺伝子の活性化は、熱ショック転写因子HSF
1のオリゴマー化、修飾および迅速な転移を伴う)、Molecular Cell Biology 1
3:2486-2496(1993))が記載したものと同じであった。〔35S〕−メチオニン/〔35
S〕−システイン(“トランスラベル”、比活性1,120Ci/mMol)はICN社(
ICN Pharmaceuticals,Inc., コスタメサ、カリフォルニア、アメリカ)から購
入した。
ラット胎児線維芽細胞(REF-52)、マウス線維芽細胞(NIH3T3)、ヒトHeL
a細胞およびサル由来COS細胞を、10%ウシ胎児血清添加ダルベッコ改良イー
グル培養液(DMEM)中37℃で成長させた。代謝標識(6時間未満)は、培養
液の除去、メチオニン非含有DMEMでの細胞の洗浄、およびそれに続くトラン
スラベルを含むメチオニン非含有DMEMでの細胞のインキュベーションを含む
。細胞への長時間標識化(6時間以上)では、メチオニン非含有DMEM(95%
)+トランスラベルを含む5%仔牛血清添加完全DMEM(5%)を用いた。標
識化後、培養液を除去して細胞を採集し、リン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄し
、レムリ(Laemmli)のサンプル緩衝液(LSB)を添加した。全溶解物を直ちに9
5℃で5分間加熱し、その後の処理の前に14,000×gで10分間清澄にした。実験1.従来技術の確認:熱ショックを受けた細胞およびハービマイシンAで処 理した細胞でのストレスタンパク質の合成増加
ゲッ歯類細胞および霊長類細胞の双方は、細胞質と核に存在する少なくともh
sp72およびhsp73タンパク質を発現することが従来技術で知られている
。ゲッ歯類細胞では、hsp73細胞は細胞内で構成成分として発現する一方、
hsp72は代謝的なストレス条件下でもっぱら発現される。霊長類細胞では、
これらのタンパク質は両方とも細胞内で構成成分として発現され、ストレスはh
sp72を著しく増加させ、hsp73を中等度に増加させる。以下の実験はこ
れら既知の事実を確認する。
この実験で用いた細胞は、ラット胎児線維芽細胞(REF−52)、NIH3
T3マウス線維芽細胞、ヒトHeLa細胞、およびサル由来COS細胞である。
37℃で成長させた細胞を3群に分け、1群はコントロールとして未処置のままと
し、2群は43℃の熱ショック処置を90分間実施し、3群はハービマイシンA 1
μg/mlに2時間曝した。処置後、培養液を除去し、細胞を新しい培養液で十
二分に洗浄し、〔35S〕メチオニン50μCi/mlで37℃で3時間標識化した。
LSB中で可溶化して細胞を採集し、標識化タンパク質を二次元ゲル電気泳動で
分析した。細胞の各タイプ内で等量のトリクロロ酢酸(TCA)沈澱物質(cp
m)をゲルに適用し、ゲルの蛍光写真を撮った。
ゲッ歯類の2細胞系、REF−52およびNIH3T3について、熱ショック
処理細胞を未処理細胞と比較したところ、双方のケースにおいて、熱ショック処
理で、hsp73およびhsp72を表す2本のバンドのサイズがそれぞれ新し
く出現するか又は数倍増加するとともにhsp90では程度は小さいが認識しえ
る増加があることが明らかにされ、最後にhsp28の増加があることが蛍光写
真で明らかとなった。いずれの場合でも、2つの他のストレスタンパク質、GR
P94および78には明白な増加は認められなかった。
これら2細胞系についてハービマイシンA処理細胞を未処理細胞と比較したと
ころ、hsp28、hsp73およびhsp90だけでなくGRP78およびG
RP94の発現もまた増加することが蛍光写真で示されたが、この作用は熱ショ
ック処理細胞ではこれまで認められなかった。しかしながら、タンパク質hsp
72は出現しなかった。
霊長類の2細胞系についての同様な比較によって、各細胞系でhsp28、h
sp72、hsp73およびhsp90の発現は数倍増加し、GRP94および
GRP78の発現は中等度増加することが明らかとなったが、これらは全て熱シ
ョック処理の結果である。ハービマイシンA処理は、hsp72を含む主要スト
レスタンパク質の全ての発現の顕著な増加をもたらした。hsp28の合成増加
もまた熱ショック処理およびハービマイシンA処理の両方で認められた。
これらのテストはムラカミら(Murakamiら、“Induction of hsp 72/73 by he
rbimycin A,an inhibitor of transformation by tyrosine kinase oncogenes
”(チロシンキナーゼ腫瘍遺伝子による形質転換抑制物質、ハービマイシンAに
よるhsp72/73の誘発)、Exp.Cell Res.195:338-344(1991))の報告し
た結果を確認しただけでなくそれを拡張した。ムラカミらが報告したhsp70
だけでなく他の構成成分として発現されるストレスタンパク質の全てがハービマ
イシン処理によってアップレギュレートされた。実験2.ストレスタンパク質のハービマイシンA誘発合成の更なる実験:合成速 度対時間
この実験で用いた細胞は、ハービマイシンAを1μg/ml含む培養液に2時
間静置することによって処理したラット胎児線維芽細胞(REF−52)であっ
た。処理時間後、培養液を除去し、細胞を新しい(ハービマイシン非含有)培養
液で十二分に洗浄し、細胞をさらに37℃でインキュベートした。
ハービマイシンA除去後、様々な回数で細胞を〔35S〕メチオニンで1時間代
謝的に標識化した。薬剤で処理しなかったコントロール細胞を同じ態様で標識化
した。hsp73合成の相対的速度を、LSB中で細胞を採集し、各サンプルか
ら等しい数の細胞を用いて抗hsp73抗体による免疫沈降反応を実施し、免疫
沈降物をドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−P
AGE)で分析することによって決定した。
細胞を薬剤に曝すのを停止してから5時間後でさえも、未処理細胞で認められ
たものよりも実質的に高い割合でhsp73を合成していることが免疫沈降物で
示唆された。細胞がhsp合成割合を減少させ始めたのは薬剤への曝露の停止後
約12時間より前ではなかった。さらに21時間までに細胞は未処理細胞と同じ割合
でhsp73を発現した。
薬剤への細胞の継続曝露がストレスタンパク質の合成速度の持続的増加をもた
らすか否かを決定するために、上記の標識および検出工程を16時間の持続暴露中
の種々の時間で繰り返した。ハービマイシンA 1μg/mlを用いて同じ細胞
を使用した。ハービマイシンAに16時間継続して曝した後でも、細胞は、未処理
で認められるレベルよりも高いレベルでhsp73を合成することが蛍光写真に
よって示唆された。
最後に、ハービマイシンAによって誘発されるストレスタンパク質の合成速度
の増加が、該タンパク質の蓄積をもたらすか否かを決定するために実験を実施し
た。前述のように細胞を37℃で2時間曝露し、続いて薬剤の非存在下で12時間回
復させた。回復期後に細胞を採集し、全タンパク質を求め、等しいタンパク質総
量をウェスタンブロット分析のためにゲルに適用した。ウェスタンブロット後、
相対的なタンパク質量をデンシトメトリーで定量し、未処理コントロールに対す
る%増加または減少として座標に表した。座標は、全体量の定常的な増加が、h
sp73(約20%)、hsp28(100 %)およびGRP94(約40%)で存在
することを示した。定量したわけではないが、GRP78およびGRP75(ミ
トコンドリアhsp70)もまた高レベルに蓄積されることが分かった。熱ショ
ック処理細胞での同様なテストによって、hsp73およびhsp28の同程度
の増加、hsp72の増加およびGRP94の減少が示された。ストレスタンパ
ク質の全体量のこのような増加は、薬剤曝露の時間と同様細胞の具体的なタイプ
にしたがっていくぶん変動しうる。実験3.熱耐性表現型の発生
この実験では、ハービマイシンAの熱耐性表現型を惹起させる能力を明らかに
し、当該表現型と熱ショック処理によって生じた表現型とを比較する。
37℃で成長させたREF−52細胞の1群を43℃の熱ショックに90分間曝す一
方、第2の群をハービマイシンA 1μg/mlで2時間処理し、さらに第3群
は全く処理を施さなかった。熱ショック処理細胞は熱ショック処理後、37℃に戻
し、培養液を除去して新しい培養液に交換した。ハービマイシンA処理細胞につ
いては、処理後培養液を除去し、細胞を洗浄し続いて新しい培養液に交換した。
その後全ての細胞を8時間回復させ、熱耐性を惹起させた。
その後、全細胞を45分間継続する比較的厳しい45℃の熱ショック処理で処理し
た。この熱ショック処理後、3群の細胞全てを37℃に2時間復帰させ、その後ト
リプシン処理し続いて再びプレートに播いてそれらの相対的生命活性をコロニー
形成アッセイによって決定した。コントロール細胞の生存率は0.03%で、予備熱
ショック処理細胞では生存率は87%であった。ハービマイシン処理細胞の生存率
は82%で、ハービマイシン処理細胞は予備熱ショック処理を受けた細胞で認めら
れた熱耐性表現型とほぼ等しい表現型を獲得することを示した。
HeLa細胞を用いてテストを繰り返したとき、本質的に同一の結果が得られ
た。実験4.遷移性熱耐性の獲得
この実験は、ハービマイシンAで処理した細胞が遷移性熱耐性を発生させる能
力、すなわち熱ショックの結果としてタンパク質合成が抑制される時間を短縮さ
せる能力を明らかにする。
37℃で成長させたREF−52細胞の1群を43℃熱ショック処理に90分間曝す
一方、第2の群をハービマイシンA 1μg/mlで2時間処理し、さらに第3
群(コントロール)は全く処理を施さなかった。この次に実験4と同一の回復工
程を行った。3群全ての細胞に45℃熱ショックを30分間施し、続いて37℃に戻し
た。37℃へ戻した後、種々の時間(1、2および4時間)で、細胞を〔35S〕メ
チオニンで1時間パルス標識化し、LSB中に採集した。続いて溶解物をゲルに
適用し、SDS−PAGEで標識化タンパク質を解析した。
蛍光写真によって、コントロール細胞は厳しい熱ショック処理(45℃/30分)
後4時間ではタンパク質合成活性は完全には回復していないことが示された。タ
ンパク質合成の回復に際しては、hsp90、hsp73およびhsp72の合
成速度の増加が認められた。予備熱ショック曝露によって初めに熱耐性にした細
胞では、タンパク質合成活性は厳しい熱ショック処理後2時間以内に完全に回復
した。ハービマイシンAによる処理で初めに熱耐性にした細胞では、タンパク質
合成活性は厳しい熱ショック処理後2時間以内に完全に回復した。
実験4および5はともに、細胞の生命活性と代謝活性の回復の両方の意味で、
2時間のハービマイシンA曝露とそれに続く薬剤非存在下での復帰によって細胞
は熱耐性表現型に変換されることがわかった。実験5.特異的細胞作用の比較:新規合成タンパク質の折り畳みに対する作用
この実験では、ストレス反応の既知誘発物質である化学物質の投与で認められ
る細胞の影響とハービマイシンAの投与で認められる細胞の影響との違いが示さ
れる。
以前の実験(R.P.Beckmannら、“Interaction of hsp70 with newly synthesi
zed proteins:Implications for protein folding and assembly”(hsp70
と新規合成タンパク質との相互作用:タンパク質の折り畳みと集合との関わり)
、Science 248:850-854(1990))によって、ストレスを受けていない正常な細胞で
はhsp73が新規合成タンパク質と一時的な態様で相互反応し、いったん合成
が完了しポリペプチドの折り畳みが開始するとhsp73介添え物質は遊離され
ることがわかった。既知のストレス誘発物質L-アゼチジン−2-カルボン酸(az
c)(プロリンのアミノ酸類似体)に曝された細胞では、hsp73は新規合成
ポリペプチドと同様に作用するが、該ポリペプチドと安定な複合体を形成しポリ
ペプチドが適切に折り畳まれるのを妨げる。(類似体の取り込みによって)ポリ
ペプチドが適切に折り畳まれないので、新規合成タンパク質は非天然のように見
え、したがってhsp介添え物質に結合したままである。この実験の目的は、ハ
ービマイシンAが同様に新規合成タンパク質の折り畳みに緩衝するかどうかを決
定することである。
この実験では、37℃で成長させたREF−52細胞の1群を5mMの濃度でa
zcに4時間曝し、別の群をハービマイシンA 1μg/mlに曝し、さらに第
3群は非曝露でコントロールとして用いた。続いて全細胞を〔35S〕メチオニン
で37℃で20分間パルス標識化し、その後直ちに採集した。対応する細胞プレート
を同じように処理した。ただし、パルス標識化後、新しい培養液で十二分に洗浄
し、その後、37℃で標識の非存在下でさらに2時間培養した。その後、パルス標
識化およびパルス−チェイス標識化細胞の双方を、ATP枯渇酵素アピラーゼ(
最終濃度I0U/ml)を添加した0.1 %トリトンX−100を含むPBS中に採
集した。その後サンプルを氷上で20分間インキュベートし、溶解物をラジオイム
ノ沈降アッセイ条件(1%トリトン、PBS中の1%デオキシコール酸ナトリウ
ム)に調整してから、非免疫、またはウサギ抗hsp73ポリクローナル抗体の
いずれかを用いて免疫沈降させた。その後、得られた免疫沈降物をSDS−PA
GEで分析し、蛍光写真でタンパク質を可視化した。
蛍光写真によって、20分間パルス標識化直後の段階では、3種の事例全て、す
なわちハービマイシンA処理、azc処理およびコントロールが、hsp73で
共沈する極めて多数の新規合成タンパク質を示すことがわかった。しかしながら
、さらに2時間後の段階で違いが出現した。hsp73で共沈するタンパク質の
数が3つの群の全てで顕著に減少する一方、azc処理細胞ではコントロール細
胞よりhsp73で共沈するタンパク質の割合が極めて大きいことが蛍光写真で
わかった。一方、ハービマイシン処理細胞とコントロール細胞の蛍光写真は類似
していた。
したがって、ハービマイシンAはazcと対照的に新規合成タンパク質の折り
畳みに干渉しないことが示され、ハービマイシンAはストレスタンパク質誘発物
質azcの作用態様とは異なる態様に従うという結論を得た。実験6.細胞の影響の更なる比較:細胞タンパク質の溶解度に対する影響
先の実験(R.P.Beckmannら、“Examining the function and regulation of h
sp70 in cells subjected to metabolic stress”(代謝性ストレスに曝された細
胞におけるhsp70の機能と調節の精査)、J.Cell Biology 117:1137-1150(1
992))で、熱ショック処理を受けた細胞では多くの成熟した(すなわち既に合成
されている)細胞内タンパク質は、明らかに部分的変成と凝集のために洗剤に不
溶性になる傾向を示すことがわかった。この実験の目的は、ハービマイシンAに
よる処理が同じ結果をもたらすか否かを決定することである。
37℃で成長させた約70%の集密度のREF−52細胞を〔35S〕メチオニンで
12時間標識化した。その後、標識含有培養液を除去し、細胞を新しい培養液で十
二分に洗浄し、さらに4時間37℃でインキュベートした。続いてこれらの細胞の
1群を45℃熱ショック処理に30分間付し、第2の群を37℃でハービマイシンA
1μg/mlに2時間曝し、第3群は非曝露で残しコントロールとして用いた。
処理後、初めの2つの群の細胞を洗浄し、正常な成長条件に戻した。その後0、
3または6時間して、0.1 %トリトンX−100を含むPBSを細胞に加え、単
層細胞を採集してエッペンドルフ遠心器で4℃で溶解物を14,000×gで10分間遠
心沈殿させた。続いて上清を取り出し、適切な量の5×LSBを添加して1×L
SBに調整した。その後、14,000×g沈殿物中に存在するタンパク質(すなわち
トリトン不溶性物質)を2×LSBに溶解させた。各細胞群から得た等量のトリ
トン不溶性物質をSDS−PAGEゲルに適用し分析した。
熱ショック処理を受けた細胞は、洗剤不溶性分画に入る広範囲の分子量のタン
パク質において、コントロールと比較して、顕著な増加を示すことが蛍光写真に
よって明らかにされた。対照的にハービマイシンAで処理した細胞では、洗剤不
溶性タンパク質の検出可能な増加は認められず、コントロールの蛍光写真と本質
的に同一の蛍光写真が得られた。このことは、ハービマイシンAは、ストレス反
応とそれに続く熱耐性表現型を誘発する他の既知の薬剤または処理の作用態様と
異なる態様にしたがうことを示すまた別の証拠である。実験7.細胞の影響の更なる比較:中間フィラメント細胞骨格の再構成
ストレス反応を誘発することが分かっている多くの薬剤および処理も、中間フ
ィラメント細胞骨格の迅速な再構成をもたらすこともまた報告されている(F.G
.Falknerら、“Two Drosophila melanogaster proteins related to intermedi
ate filament proteins of vertebrate cells”(脊椎動物細胞の中間フィラメ
ントタンパク質と関係を有するドロソフィラ・メラノガスタの2つのタンパク質
)、J.Cell Biol.91:175-183(1981);G.P.Thomasら、“Molecular and cellul
ar effects of heat shock and related treatments of mammalian tissue cult
ure cells”(ホ乳類組織培養細胞の熱ショックおよび関連処理の分子および細
胞への作用)、Cold Spring Harbor Symp.Quant.Blol.46:985-996(1982); W.
J.Welchら、“Morphological study of the mammalian stress response:chara
cterization of changes in cytoplasmic organelles,cytoskeleton and nucle
oli and appearance of intranuclear actin filaments and rat fibroblasts a
fter heat shock treatment”(ホ乳類のストレス反応の形態学的研究:熱ショ
ック処理後の細胞小器官、細胞骨格および核仁における変化と核内アクチンフィ
ラメントの出現の特性とラット線維芽細胞)、J.Cell Biol.101:1198-1211(19
85))。ストレスを受けていない細胞では通常は細胞質全体に分布し、さらに形質
膜に延びるが、熱ショック処理後、ビメンチン含有中間体フィラメントは核内お
よび核周辺に再分布する。この実験はハービマイシンA処理によってもまたこの
現象が生じるか
否かを決定するために実施した。
ガラスのカバースリップ上に37℃で成長させたREF−52細胞群に43℃で90
分間熱ショック処理を施し、また別の群をハービマイシンA 1μg/mlに2
時間曝し、3番目の群は未処置のままとしコントロールとして用いた。処理後、
細胞を−20℃の無水メタノールに2分間浸漬して固定し、続いてPBSで洗浄し
た。その後、ビメンチン含有中間体フィラメント細胞骨格の分布について間接免
疫蛍光によって細胞を調べた。間接免疫蛍光ではウシ血清アルブミン5mg/m
lを含むPBSで希釈した一次および二次抗体を用いた。
熱ショック曝露細胞ではフィラメントのネットワークは顕著に変化し、コント
ロール細胞のように細胞質内に本質的に均一に分布するのとは異なり核周辺に局
在していた。しかしながら、ハービマイシンAで処理した細胞は再分布を示さず
、コントロール細胞と同じフィラメントネットワーク分布を示した。ハービマイ
シンAの曝露から細胞を取り出してから4時間してさらに細胞を調べたところ、
フィラメントネットワークに変化がないことがまた示された。このことは、ハー
ビマイシンAが、ストレスタンパク質と熱耐性表現型を誘発する他の既知の方法
と異なる態様にしたがうことを示すまた別の証拠である。実験8.hsp73の細胞内分布の比較
熱ショック処理後まもなく存在するhsp73の多く(通常は細胞質内に存在
し、少しが核にも広がる)が核内に迅速に蓄積し、核仁内に濃縮されることが文
献に報告されている(J.M.Velazquezら、“HSP70:Nuclear concentartion duri
ng environmental stress; cytoplasmic storage during recovery”(HSP7
0:環境ストレス時の核内濃縮:回復時の細胞質内蓄積)、Cell 36:655-663(19
84);W.J.Welchら、“Nuclear and nucleolar localization of the 72,000 dal
ton heat shock protein in heat shock mammalian cells”(熱ショックホ乳類
細胞における72,000ダルトン熱ショックタンパク質の核内および核仁局在)、J
.Biol.Chem.259:4501-4510(1982); C.R.Brownら、“The Constitutive and
stress inducible forms of hsp70 exhibit functional similarities and inte
ract with one another in an ATP-dependent fashion”(hsp70の構造的
形態とストレス誘発形は機能的類似性を示し、ATP依存的態様で互いに相互反
応する)
、J.Cell Bio.120:1101-1112(1993))。このタンパク質の核仁局在は、高レベ
ルの熱変性リボソーム前粒子と思われるもののためであると考えられ、したがっ
てhsp73介添え物質を必要とする比較的折り畳まれていない標的タンパク質
の集合を表している(W.J.Welchら、“Morphological study of the mammalian
stress response:characterization of changes in cytoplasmic organelles,c
ytoskeleton,and nucleoli and appearance of intranuclear actin filaments
and rat fibroblasts after heat shock treatment”(ホ乳類のストレス反応
の形態学的研究:熱ショック処理後の細胞小器官、細胞骨格および核仁における
変化と核内アクチンフィラメントの出現の特性とラット線維芽細胞)、J.Cell
Biol.101:1198-1211(1985))。この実験の目的はハービマイシンAの処理が同
じ作用を有するか否かを決定するためである。
ガラスのカバースリップ上に37℃で成長させたREF−52細胞群に43℃で90
分間熱ショック処理を施し、また別の群をハービマイシンA 1μg/mlに2
時間曝し、3番目の群は未処置のままとしコントロールとして用いた。処理後、
細胞を−20℃の無水メタノールに2分間浸漬して固定し、続いてPBSで洗浄し
た。その後、ウシ血清アルブミンを5mg/ml含むPBSで希釈した一次およ
び二次抗体を用いてhsp73の分布について間接免疫蛍光によって細胞を調べ
た。相コントラスト顕微鏡写真と蛍光顕微鏡写真の両方を撮影した。
コントロール細胞の顕微鏡写真から、hsp73が細胞質ゾル内に存在し、核
内に少しは存在することがわかった。熱ショック処理を施した細胞の顕微鏡写真
から、hsp73のほとんどは核に再分布することがわかった。ハービマイシン
Aで処理した細胞の顕微鏡写真はコントロール細胞のそれと類似し、hsp73
の明らかな再分布は認められなかった。これらの結果はまた、ハービマイシンA
が、ストレス反応と熱耐性表現型を誘発する他の既知の薬剤または処理の作用態
様と異なる態様を有することを示唆している。実験9.獲得された熱耐性の比較
熱ショック後に合成されるストレスタンパク質の量は、ショック前に細胞に存
在する該タンパク質の当初のレベルに依存することが文献に報告されている(B.J
.DiDominicoら、“The heat shock response is self regulated at both the
t
ranscriptional and post-transcriptional levels”(熱ショック反応は転写レ
ベルおよび転写後レベルの両方で自己調節される)、Cell 31:593-603(1982); L
.A.Mizzenら、“Characterization of the thermotolerant cell.I.Effects
on protein synthesis activity and the regulation of heat shock protein 7
0 expression”(熱耐性細胞の特性.I.タンパク質合成活性および熱ショック
タンパク質70発現の調節に対する影響)、J.Cell Blol.106:1105-1116(1982
))。この実験の目的は、ハービマイシンAによってストレスタンパク質が誘発
されたときも、この自己調節が生じるか否かを決定することである。
37℃で約70%の集密度に成長させたREF−52細胞の1群に43℃の熱ショッ
ク処理を90分間施し、別の細胞群を未処理のまま残しコントロールとして用いた
。その後、両群を3 H−ロイシンで37℃で8時間標識化し、標識化タンパク質を
SDS−PAGEで分析した。第3の群には43℃熱ショックを90分間施し、その
後37℃に8時間復帰させ、さらに二回目の43℃熱ショック処理を90分間行い、そ
の後これらの細胞を3 H−ロイシンで37℃、8時間標識化し、SDS−PAGE
で分析した。
3種の蛍光写真間の比較によって、ただ1回の熱ショック処理から得た溶解物
中のストレスタンパク質レベルは増加するが、2回目の熱ショック処理を受けた
細胞の溶解物中の当該タンパク質レベルの増加は極めて少ないことがわかった。
これによって文献に報告された作用が確認された。
この実験の第二の部分では、37℃で成長したREF細胞の1群をハービマイシ
ンA 1μg/mlに2時間曝す一方、第2群は未処理のままコントロールとし
て残した。続いてハービマイシンAを除去し両群を3 H−ロイシンで2時間37℃
で標識化し、標識化タンパク質をSDS−PAGEで分析した。第3群をハービ
マイシンAで第1群と同じように処理し、その後薬剤を除去して細胞をさらに8
時間インキュベートした。続いてこれらの細胞に二度目の同じハービマイシンA
処理を施し、薬剤を除去し3 H−ロイシンで37℃で2時間細胞を標識化し、続い
てSDS−PAGEを実施した。
この第二部の実験から得られた3種の蛍光写真の比較によって、ハービマイシ
ンAで2度処理した群の溶解物は一度のみ処理した群の溶解物と本質的に同じレ
ベルのストレスタンパク質の増加を示すことが明らかになった。
このことは、ストレスタンパク質の合成がハービマイシンAで誘発されるとき
、熱ショック処理の自己調節作用を示さないことを明示している。熱ショック処
理と対照的に、種々のストレスタンパク質発現増加は、ハービマイシンAが存在
しているかぎり持続し、当該薬剤の投与前に細胞に存在していたストレスタンパ
ク質のレベルに左右されない。
主に例示のために、前述の記述を提供している。本発明の範囲を越えることな
く、投与量、投与方法、および本明細書で述べたシステムの他のパラメーターを
さらに改変し、または種々の方法で置換できることは当業者には容易に理解され
よう。
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フロントページの続き
(72)発明者 ヘグデ、ラマニュジャン
アメリカ合衆国 94122 カリフォルニア
州 サンフランシスコ エイス アベニュ
1531
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1.細胞、組織、器官および生物体から選ばれる生きた生物学的物質を熱耐性表 現型に変換する方法であって、該方法がそのような変換を達成するのに有効な量 で、以下のような環頂点をもつ下記式を有する化合物で生物学的物質を処理する ことを含む、上記生物学的物質の熱耐性表現型への変換方法。 (式中、R1 はH、ハロゲン、OH、およびOCH3 からなる群から選ばれる ものであり、R2 およびR3 は両者ともにHであるか又は環頂点2と3との間で 一緒になって二重結合を形成し、R4 およびR5 は両者ともにHであるか又は環 頂点4と5との間で一緒になって二重結合を形成し、R6 はH、ハロゲン、OH 、CH3 、およびOCH3 からなる群から選ばれるものであり、R7 はNH2 C OOであるか又はR10と結合して環頂点7と9を結ぶNHCOO架橋を形成し、 R8 はHおよびCH3 からなる群から選ばれるものであり、R9 はOHであるか 又はR10と結合して(a)環頂点8と9との間に二重結合を形成するかもしくは(c) 環頂点8と9を結ぶ単一のオキシ酸素(−O−)を形成し、R10はR7 およびR9 の定義にしたがってR7 またはR9 のいずれかと結合し、R11はH、OH、C H3 、およびOCH3 からなる群から選ばれるものであり、R12はH、OH、C H3 、およびOCH3 からなる群から選ばれるものであり、R13はH、ハロゲン 、OH、およびOCH3 からなる群から選ばれるものであ る。) 2.化合物は、環頂点2および3が二重結合によって結合し、環頂点4および5 が二重結合によって結合すると定義される請求項1記載の方法。 3.化合物は、環頂点8および9が二重結合によって結合すると定義される請求 項2記載の方法。 4.化合物は、R1 がH、ClおよびBrからなる群から選ばれるものであると 定義される請求項2記載の方法。 5.化合物は、R6 がOCH3 、ClおよびBrからなる群から選ばれるもので あると定義される請求項2記載の方法。 6.化合物は、R11がOHおよびOCH3 からなる群から選ばれるものであると 定義される請求項2記載の方法。 7.化合物は、R12がH、OHおよびOCH3 からなる群から選ばれるものであ ると定義される請求項2記載の方法。 8.化合物は、R13がHおよびOCH3 からなる群から選ばれるものであると定 義される請求項2記載の方法。 9 化合物が、ハービマイシンA、ハービマイシンB、ハービマイシンC、8,9- エポキシ−ハービマイシンA、ハービマイシンA−7,9-環状カルバメート、19− ブロモ−ハービマイシンA、6-クロロ−6-デメトキシ−ハービマイシンA、2,3, 4,5-テトラヒドロハービマイシンA、ゲルダナマイシン、およびマクベシンIか らなる群から選ばれるものである請求項1記載の方法。 10.化合物が、ハービマイシンA、ハービマイシンB、ハービマイシンC、ゲル ダナマイシンおよびマクベシンIからなる群から選ばれるものである請求項1記 載の方法。 11.化合物がハービマイシンAである請求項1記載の方法。 12.外科手術を受ける前に患者をストレス耐性にする方法であって、該方法が、 手術の少なくとも約8時間前に、下記のような環頂点をもつ下記式を有する化合 物を有効量患者に投与することを含む、患者をストレス耐性にする方法。 (式中、R1 はH、ハロゲン、OH、およびOCH3 からなる群から選ばれる ものであり、R2 およびR3 は両者ともにHであるか又は環頂点2と3との間で 一緒になって二重結合を形成し、R4 およびR5 は両者ともにHであるか又は環 頂点4と5との間で一緒になって二重結合を形成し、R6 はH、ハロゲン、OH 、CH3 、およびOCH3 からなる群から選ばれるものであり、R7 はNH2 C OOであるか又はR10と結合して環頂点7と9を結ぶNHCOO架橋を形成し、 R8 はHおよびCH3 からなる群から選ばれるものであり、R9 はOHであるか 又はR10と結合して(a)環頂点8と9との間に二重結合を形成するかもしくは(C) 環頂点8と9を結ぶ単一のオキシ酸素(−O−)を形成し、R10はR7 およびR9 の定義にしたがってR7 またはR9 のいずれかと結合し、R11はH、OH、C H3 、およびOCH3 からなる群から選ばれるものであり、R12はH、OH、C H3 、およびOCH3 からなる群から選ばれるものであり、R13はH、ハロゲン 、OH、およびOCH3 からなる群から選ばれるものである。) 13.化合物が、ハービマイシンA、ハービマイシンB、ハービマイシンC、8,9- エポキシ−ハービマイシンA、ハービマイシンA−7,9-環状カルバメート、19− ブロモ−ハービマイシンA、6-クロロ−6-デメトキシ−ハービマイシンA、2,3, 4,5-テトラヒドロハービマイシンA、ゲルダナマイシン、およびマクベシンIか らなる群から選ばれるものである請求項12記載の方法。 14.化合物が、ハービマイシンA、ハービマイシンB、ハービマイシンC、ゲル ダナマイシン、およびマクベシンIからなる群から選ばれるものである請求項12 記載の方法。 15.化合物がハービマイシンAである請求項12記載の方法。 16.患者への移植前に摘出器官の生命活性を延長させる方法であって、該方法が 、下記のような環頂点をもつ下記式を有する化合物の有効量で器官を処理するこ とを含む、摘出器官生命活性を延長させる方法。 (式中、R1 はH)ハロゲン、OH、およびOCH3 からなる群から選ばれる ものであり、R2 およびR3 は両者ともにHであるか又は環頂点2と3との間で 一緒になって二重結合を形成し、R4 およびR5 は両者ともにHであるか又は環 頂点4と5との間で一緒になって二重結合を形成し、R6 はH、ハロゲン、OH 、CH3 、およびOCH3 からなる群から選ばれるものであり、R7 はNH2 C OOであるか又はR10と結合して環頂点7と9を結ぶNHCOO架橋を形成し、 R8 はHおよびCH3 からなる群から選ばれるものであり、R9 はOHであるか 又はR10と結合して(a)環頂点8と9との間に二重結合を形成するかもしくは(C) 環頂点8と9を結ぶ単一のオキシ酸素(−O−)を形成し、R10はR7 およびR9 の定義にしたがってR7 またはR9 のいずれかと結合し、R11はH、OH、C H3 、およびOCH3 からなる群から選ばれるものであり、R12はH、OH、C H3 、およびOCH3 からなる群から選ばれるものであり、 R13はH、ハロゲン、OH、およびOCH3 からなる群から選ばれるものである 。) 17.化合物が、ハービマイシンA、ハービマイシンB、ハービマイシンC、8,9- エポキシ−ハービマイシンA、ハービマイシンA−7,9-環状カルバメート、19− ブロモ−ハービマイシンA、6-クロロ−6-デメトキシ−ハービマイシンA、2,3, 4,5,- テトラヒドロハービマイシンA、ゲルダナマイシン、およびマクベシンI からなる群から選ばれるものである請求項16記載の方法。 18.化合物が、ハービマイシンA、ハービマイシンB、ハービマイシンC、ゲル ダナマイシン、およびマクベシンIからなる群から選ばれるものである請求項16 記載の方法。 19.化合物がハービマイシンAである請求項16記載の方法。 20.組織培養液中の細胞の生命活性を延長させる方法であって、該方法が、下記 のような環頂点をもつ下記式を有する化合物の有効量を組織培養液に含めること を含む、組織培養液中の細胞の生命活性を延長させる方法。 (式中、R1 はH、ハロゲン、OH、およびOCH3 からなる群から選ばれる ものであり、R2 およびR3 は両者ともにHであるか又は環頂点2と3との間で 一緒になって二重結合を形成し、R4 およびR5 は両者ともにHであるか又は環 頂点4と5との間で一緒になって二重結合を形成し、R6 はH、ハロゲン、OH 、CH2 、およびOCH3 からなる群から選ばれるものであり、R7 はN H2 COOであるか又はR10と結合して環頂点7と9を結ぶNHCOO架橋を形 成し、R8 はHおよびCH3 からなる群から選ばれるものであり、R9 はOH であるか又はR10と結合して(a)環頂点8と9との間に二重結合を形成するかも しくは(c)環頂点8と9を結ぶ単一のオキシ酸素(−O−)を形成し、R10はR7 およびR9 の定義にしたがってR7 またはR9 のいずれかと結合し、R11はH 、OH、CH3 、およびOCH3 からなる群から選ばれるものであり、R12はH 、OH、CH3 、およびOCH3 からなる群から選ばれるものであり、R13はH 、ハロゲン、OH、およびOCH2 からなる群から選ばれるものである。) 21.化合物が、ハービマイシンA、ハービマイシンB、ハービマイシンC、8,9- エポキシ−ハービマイシンA、ハービマイシンA−7,9-環状カルバメート、19− ブロモ−ハービマイシンA、6-クロロ−6-デメトキシ−ハービマイシンA、2,3, 4,5-テトラヒドロハービマイシンA、ゲルダナマイシン、およびマクベシンIか らなる群から選ばれるものである請求項20記載の方法。 22.化合物が、ハービマイシンA、ハービマイシンB、ハービマイシンC、ゲル ダナマイシン、およびマクベシンIからなる群から選ばれるものである請求項20 記載の方法。 23.化合物がハービマイシンAである請求項20記載の方法。
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