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JPH11258057A - 複素信号検出方法、複素顕微鏡、および複素回折装置 - Google Patents

複素信号検出方法、複素顕微鏡、および複素回折装置

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Publication number
JPH11258057A
JPH11258057A JP10373597A JP37359798A JPH11258057A JP H11258057 A JPH11258057 A JP H11258057A JP 10373597 A JP10373597 A JP 10373597A JP 37359798 A JP37359798 A JP 37359798A JP H11258057 A JPH11258057 A JP H11258057A
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JP
Japan
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image
complex
light
signal
sample
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Application number
JP10373597A
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English (en)
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JPH11258057A5 (ja
JP4111614B2 (ja
Inventor
Kuniaki Nagayama
国昭 永山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Science and Technology Agency
Original Assignee
Japan Science and Technology Corp
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Filing date
Publication date
Application filed by Japan Science and Technology Corp filed Critical Japan Science and Technology Corp
Priority to JP37359798A priority Critical patent/JP4111614B2/ja
Publication of JPH11258057A publication Critical patent/JPH11258057A/ja
Publication of JPH11258057A5 publication Critical patent/JPH11258057A5/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複素信号を取り出して、位相の検出を行うこ
とができ、試料の本来の像を正しく完全に得ることので
きる、新しい複素信号検出方法、およびこの方法を用い
た複素顕微鏡、複素回折装置を提供する。 【解決手段】 試料の実数成分顕微画像と、試料透過光
のみをπ/2位相シフトした虚数成分顕微画像とを検出
し、実数成分顕微画像と虚数成分顕微画像との複素和を
とることにより、実数成分信号および虚数成分信号から
なる複素顕微画像を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、複素信号検出方
法、複素顕微鏡、および複素回折装置に関するものであ
る。さらに詳しくは、この発明は、マイクロ波、赤外
線、可視光、紫外線、X線およびγ線などのような電磁
波を用いる光学装置や、電子線、中性子線およびミュー
オンなどのような物質波を用いる光学装置において、位
相の検出を可能なものとする、新しい複素信号検出方
法、およびこの方法を用いた複素顕微鏡、複素回折装置
に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】従来より、電磁波または物質
波の振幅の2乗(つまり、強度=単位時間、単位面積当
たりのエネルギー値)を検出する光学装置とてしては様
々なものが開発されてきており、たとえば透過型電子顕
微鏡、透過型光学顕微鏡、反射型光学顕微鏡、X線回
折、ホログラフィー、分光計などが知られている。
【0003】しかしながら、これらの各種光学装置には
それぞれ、以下に述べるような解決すべき課題があるの
が実情である。 i)透過型電子顕微鏡 透過型電子顕微鏡は、物質波である電子波を用いる顕微
鏡であり、2つの根本的な問題を有している。
【0004】一つの問題は、その空間分解能が、用いる
電子波の波長に比べて、1/20以下、場合によっては
1/100ぐらい悪いということである。たとえば、1
00kVの加速電圧の電子線の波長は約0.04Åであ
るが、この電子波に対する現在の最高分解能は約1Å
と、大きさが波長の25倍という非常に低い分解能しか
得られていない。光学顕微鏡が、用いる光の波長の1/
3の分解能を得られるまでになっているのに比べて、電
子顕微鏡の性能はAbbeの理論限界の約1/75にと
どまっている。
【0005】もう一つの問題は、試料を透過する電子波
からレンズ系を介して得られる像の本質的な歪である。
この像の歪は、電子顕微鏡のレンズ系の収差に伴うボケ
に起因するものであり、コントラスト伝達関数の問題と
言われている。たとえば電子線吸収のある金属試料の場
合、収差は像関数の空間周波数の高周波成分劣化として
現れ、分解能が悪化する。一方、生物試料のような電子
線の吸収がない物体の場合には、コントラスト伝達関数
がさらに悪く作用し、収差は像関数の空間周波数の低周
波成分および高周波成分両方の劣化として現れて、像の
ボケのみならず、像に本質的歪をもたらす。このこと
は、像の形がピントの合わせ方に強く左右することを意
味し、生物試料では高分解能で正しい像を得ることを不
可能なものとしている。
【0006】上述したような分解能の低減および像の本
質的歪は共に、電子顕微鏡レンズの多大な球面収差とそ
れに由来するコントラスト伝達関数に起因する。この問
題を解決するために、従来より電子線用凹レンズの作成
が種々試みられてきたが、満足する効果を得られるもの
は未だ実現されていない。一方、コンピュータ画像処理
による収差除去もしくはコントラスト伝達関数補正は、
画像を複素画像として正しく再生できれば実現可能であ
ることが知られている。
【0007】まず、複素画像すなわち複素信号再生法と
しては、Gaborによるホログラフィーが知られてい
る("A New Microsopic Principle", D.Gabor, Nature
No.4098 (1948))。このGaborによる方法では、本
質的に実数信号が得られるので、複素共役の2つの複素
画像(ΨとΨ* )が重なってしまっている。そこで、こ
の困難性を除くために二つの方法が提案された。その一
つは、従来の電子顕微鏡法を拡張し、相補的な二つの半
円絞りを用いて、二回の計測検出を組み合わせる方法で
ある("Single-Sideband Holography", O.Bryngdahl an
d A.Lohmann, Journal of the Optical Society of Ame
rica Vol.58 No.5(1968), "An lternative to Holograp
hy for Determining Phase from Image Intensity Meas
urements in Optics", D.L.Misell, R.E.Burge and A.
H.Greenaway, Nature Vol.247(1974))。もう一つは、
斜めの参照光を用いるoff−axisホログラフィー
である("Reconstructed Wavefronts and Communicatio
n Theory", E.N.Leith and J.Upatnieks, Journal of t
he Optical Society of America Vol. 52No.10(1962)
)。この方法の電子光学への応用は後述する。
【0008】相補的半円絞りを用いる方法は、二つの画
像をフーリエ変換した後、不必要部分を除いて合成し、
再度フーリエ変換する。こうして重なりのない複素画像
Ψを得る。しかし、この方法は本質的に弱い光学物体に
しか応用できず、また半円絞りによる感度の1/2の低
減という欠点を持っていた。レンズ系の収差問題はコン
トラスト伝達関数を通じて画像に表れ、これをハードウ
ェア的に回避するために、電子顕微鏡ではレンズの開口
数を極めて小さく(1/100以下)とることが行われ
ているが、これが理論限界の1/75という分解能低減
の原因となっている。さらに、開口数が小さいことは、
物体から散乱する電子波のほとんどを排除するためにコ
ントラストが十分つかず、光学顕微鏡に比べて極めて暗
い光源系を作る原因にもなっている。
【0009】一方、光学顕微鏡では、収差をレンズの組
み合わせで取り除き、且つ開口数を大きくして、光の波
長と同程度の高い分解能、および高いコントラストを実
現している。このようなことが電子顕微鏡で実現できな
いのは、ハードウェア的にもソフトウェア的にも、凹レ
ンズが存在しないために収差がコントラスト伝達関数を
通じて像を歪ませるにもかかわらず、その影響を除けな
いからである。
【0010】この問題は電子波の複素信号を正しく画像
として取り出せれば解決する。 ii)透過型および反射型光学顕微鏡 電子顕微鏡に比べ、電磁波を用いる光学顕微鏡はその歴
史が長く、ある程度完成された顕微鏡といえる。それと
いうのも、光学顕微鏡には凸レンズと凹レンズとの両方
が存在するので、収差補正が可能であり、Abbeの論
理限界に近い性能が達成されているからである。
【0011】しかしながら、この光学顕微鏡による像
も、人間の眼、写真、CCDカメラ、各種撮像管などで
記録する限り強度値検出であり、複合レンズ系を用いて
各種収差を除いても、像を構成する本来の複素信号を記
録できないため不完全なものである。複素信号を構成す
る強度と異相を顕微画像として得るためには、干渉計の
応用として画像信号に外部参照信号を加えて干渉を作
り、実数成分信号、虚数成分信号に対応する画像を作る
方法が知られている("Digital Wavefront Measuring I
nterferometer for Testing Optical Surfaces and Len
ses", J.H.Bruning et al., Applied Optics Vol.13 N
o.11(1974), "New Common-Path Phase ShiftingInterf
erometer using a Polarization Technique", H.Kadono
et al., AppliedOptics Vol.26 No.5(1987), "Phase
Shifting Common Path Interferometer using a Liquid
-crystal", H.Kadono et al., Optics Communications
110(1994)391-400 )。一般に位相のπ/2異なる四つ
の参照信号を用意し、画像信号との干渉を得て、これを
検出し、その結果を組み合わせ複素信号を取り出す。し
たがって、この方法を用いても最低4回の計測検出が必
要である。また画像信号と参照信号間の相対位相が事前
にはわからないため、画像信号の位相は定数項の不定さ
を残す。よって、この方法の問題点は、外部参照信号
が必要であること、計測検出は最低4回必要であるこ
と、相対位相の不定さが位相象に残ることである。
【0012】さらにまた、対象物体の光学的性質に応じ
て、たとえば光の吸収物体の場合、反射物体の場合、透
明物体の場合に応じて、透過型顕微鏡、反射型顕微鏡、
位相差顕微鏡などの光学顕微鏡が存在する。これらの光
学顕微鏡はそれぞれ、光に対する物体の性質の一部を見
ている。すなわち、物体による光の吸収係数、反射率、
屈折率などを見ているのである。
【0013】こうした光学情報は、本来電磁波の中に複
素信号として一度に顕現しているが、通常の強度値検出
では、複素信号は絶対値の2乗でしか得られないので、
装置を替えてそれぞれの光学的性質を個別的に取り出す
工夫がされている。各種の光学顕微鏡が存在しているの
はこのためである。もし、複素信号を正しく取り出す方
法および光学顕微鏡があれば、こうした多種類の顕微鏡
は不必要であり、各種顕微鏡で得られる結果と同等の結
果は複素信号を情報処理することで全てシミュレートで
きるようになる。
【0014】iii)X線回折 X線回折は、従来から顕微鏡では見ることのできない分
子の構造解析手段として用いられてきており、顕微鏡の
ようにレンズを用いて物質の姿を拡大するのではなく、
結晶の回折像を得て、結晶構造、分子構造を回折パター
ンとして拡大するものである。
【0015】しかしながら、このようにして得られる回
折像はやはり回折電磁波の強度値であるため、この回折
像をフーリエ変換しても、本来の結晶構造、分子構造は
得られない。回折波そのものはこの位相情報を持ってい
るのであるが、回折パターンの記録が電磁波の2乗検出
であるため、位相情報が失われてしまうからである。低
分子の構造解析の場合には、強度情報のみから位相情報
を推定しながら求める直接法が用いられる。
【0016】蛋白質のような高分子の場合には、この直
接法は、計算量が膨大となってしまうために適用するこ
とができない。替わりに、重原子を分子内に吸着導入
し、位相を求めることが行われているが、この処理の際
多くの結晶が壊れてしまう。このため、結晶が得られて
も重原子置換がうまくいかずに結晶解析が失敗すること
が良くある。
【0017】この位相問題、すなわち一つの結晶のみで
結晶解析を行うことは、電磁波を複素信号検出できれば
解決される。 iv)ホログラフィー ホログラムは物体からの回折光と参照光との干渉パター
ンを記録する。ホログラムから像を起こすため、像の再
生は記録の逆過程で行われる。しかしながら、再生結像
を完全なものとするには、極めて分解能の高い干渉縞の
記録と角度調整された参照光が必要である。ホログラム
自体は再生用の参照光なしで見たときは像のない複雑な
干渉縞模様である。
【0018】ホログラフィーは現在立体画表示に用いら
れているが、Gaborの本来目指した電子顕微鏡の分
解能向上にも用いられている。それはoff−axis
ホログラフィーの応用として複素共役した複素画像の重
なり(ΨとΨ* )の分離を行うものである。すなわち、
ΨとΨ* のそれぞれを、片方は高周波側へ、もう一方は
低周波側へシフトして分離を行う。この方法では、ホロ
グラムをフーリエ変換し、たとえば低周波数シフトした
信号成分
【0019】
【数1】
【0020】、および二乗信号
【0021】
【数2】
【0022】を捨て、高周波シフトした信号成分
【0023】
【数3】
【0024】のみを取り出す。次に逆関数をかけ、シフ
ト項
【0025】
【数4】
【0026】を除くことでフーリエ変換象をもう一度原
点に戻し、Ψk とし、再度フーリエ変換して、複素画像
の一つΨを取り出している("Electron Holography App
roaching Atomic Resolution", H.Lichte, Ultramicros
copy 20(1986)293-304)。この方法の問題点は、周波
数空間のフーリエ変換像に含まれる信号のうちの一部、
全体の1/3しか使えないこと、複素画像の周波数シ
フトによる分離を保証するため、画像がもともと帯域制
限されていなければならないこと、off−axis
ホログラフィーなので互いに角度をなす二つのコヒーレ
ント照射光が必要であることである。
【0027】また、ホログラフィーにはイメージホログ
ラムという写真と同じ結像系を使うものがあるが、像再
生に角度調整された参照光が必要なこと、実像、虚像、
透過光の分離を光学的にのみ行うことは、一般のホログ
ラムと同じである。もし、複素信号を取り出すことがで
きれば、写真のように像自体が画像化され、純粋な強度
画像や位相画像が分離される。ここで、強度画像は吸光
係数画像に対応し、位相画像は屈折率画像に対応する。
【0028】そこで、この発明は、以上の通りの事情に
鑑みてなされたものであり、上述した従来方法の問題点
を解消し、光学系の明るさおよび感度の減少の原因とな
る半円絞りを用いる必要がなく、また、複素信号成分の
みを取り出すので二乗信号が干渉せず、測定試料を弱い
光学吸収体や弱い位相物体に制限する必要もなく、した
がって広い適用性を有するとともに、内部参照信号を用
いるので外部参照信号を必要とせず、且つ、内部参照信
号を用いた場合に要求される画像−参照信号間の可干渉
性を自動的に保証することができ、さらには、測定試料
の画像信号に対する帯域制限を予め要求することのな
い、完全な複素信号検出を実現することのできる、新し
い複素信号検出方法、およびこの方法を用いた複素顕微
鏡、複素回折装置を提供することを目的としている。
【0029】
【課題を解決するための手段】この出願の発明は、上記
の課題を解決する第一の発明として、試料の実数成分顕
微画像と、試料透過光のみをπ/2位相シフトした虚数
成分顕微画像とを検出し、実数成分顕微画像と虚数成分
顕微画像との複素和をとることにより、実数成分信号お
よび虚数成分信号からなる複素顕微画像を得ることを特
徴とする複素信号検出方法を提供し、この方法におい
て、試料透過光のみを遮光した二乗顕微画像を検出し、
この二乗顕微画像と前記実数成分顕微画像と前記虚数成
分顕微画像との複素和をとることにより、実数成分信号
および虚数成分信号からなり、且つ二乗信号を含まない
複素顕微画像を得ることや、コンピュータにより、各顕
微画像を数値化し、複素和を算出することや、レンズの
後方に設けられるπ/2位相板を用いて虚数成分顕微画
像を検出することや、レンズの後方に設けられる遮光板
を用いて試料の二乗顕微画像を検出することや、試料に
平行照射光および斜光照射光を照射させ、平行照射光と
斜光照射光との間の干渉を得て、この干渉を用いて試料
中の高い空間周波数成分を周波数原点近傍にシフトする
空間周波数シフトを行うことや、空間周波数シフトを多
数回行うことにより遮断空間周波数を増大させること
や、複素顕微画像のレンズ収差およびフォーカスのズレ
によるピンぼけをコントラスト伝達関数の逆関数を用い
て補正することや、補正された複素顕微画像から強度像
と位相像を得ることや、複素顕微画像から強度と位相を
関数とする特異情報を有する実数画像を得ること等もそ
の態様として提供する。
【0030】また、第二の発明として、試料透過光と試
料回折光との実数成分干渉回折像、π/2位相シフトし
た試料透過光と試料回折光との虚数成分干渉回折像、お
よび試料回折光のみによる二乗回折像を検出し、実数成
分干渉回折像と虚数成分干渉回折像と二乗回折像との複
素和をとることにより複素回折像を得ることを特徴とす
る複素信号検出方法を提供し、この方法において、複素
回折像からフーリエ変換により複素画像を得ることや、
レンズ域と非レンズ域を持つ複合レンズの前方に設けら
れるπ/2位相板を用いて虚数成分干渉回折像を検出す
ることや、レンズ域と非レンズ域を持つ複合レンズの前
方に設けられる遮光板を用いて試料の二乗回折像を検出
すること等もその態様として提供する。
【0031】さらに、第三および第四の発明として、上
記の各複素信号検出方法を用いたことを特徴とする複素
顕微鏡および複素回折装置をも提供する。
【0032】
【発明の実施の形態】i)複素光学 まず、この発明の基本概念となっている複素光学につい
て説明する。複素光学は、目的とする複素信号(Z)に
コヒーレントで強い参照信号を混ぜ、両信号の和の強度
値検出を行う。この際、複素信号と参照信号の交叉項が
生じ、複素信号に比例した量が取り出される。
【0033】しかしながら、強度値検出の性質から、こ
のように取り出される値は交叉項の実数成分(Re
(Z))であり、複素信号そのものではない。そこで、
交叉項の虚数成分(Im(Z))を取り出すために、複
素信号に虚数成分を取り出すコヒーレントで強い参照信
号を混ぜて、上述と同様の検出を行う。そして、このよ
うにして取り出された実数成分および虚数成分を複素的
に足す(つまり複素和)と、Re(Z)+iIm(Z)
=Zとなり、本来の複素信号が得られることになる。
【0034】したがって、複素光学は、本質的に2回も
しくは後述するように3回の計測検出を必要とし、しか
も、その実施には、たとえば1とiというように、複素
空間で互いに直交する参照信号を作り出す装置が不可欠
である。第一段階の実数成分検出は、前述したホログラ
フィーの原理に似ているが、レンズ系を用いる場合、参
照信号自体を複素信号の中から抽出する点でより一般的
である。
【0035】こうした一連の操作が可能なのはレンズの
後側の焦点面が物体に対するフーリエ変換を与え、複素
信号と参照信号とを分離して光学的な加工ができるため
である。以下に、このような複素光学を基本概念とした
この発明の複素信号検出方法の原理についてそれぞれ説
明する。
【0036】ii)複素画像信号の検出 ここでは、2次元の空間情報を持つ複素信号、つまり複
素画像信号を、この発明の複素信号検出方法によって検
出する場合について説明する。なお、物体試料に照射さ
れる照射信号としての電磁波および物質波は、単色で、
且つコヒーレント(つまり干渉性)であるとする。
【0037】A)0次回折光との干渉を利用する複素画
像信号検出 明視野像のとき、すなわち、物体試料が半透明で照射光
の透過が大きく、物体光と照射光の両方を観測すると
き、または反射体で照射光の反射が大きいとき(これは
写真のハレーション条件)、複素信号は次式で与えられ
る。
【0038】
【数5】
【0039】aおよびbはともに、場所に依存して変る
ため(画像)、空間依存性の関数である。|Z|<<1
の条件は、吸収や散乱に比べ、照射光の透過が大きいこ
とを示す。複素信号の式(数5)における定数項1が物
体の影響を受けない参照信号となる。まず、第一段階検
出として、試料を透過した光をレンズ系を用いて検出す
る。この際、その振幅の2乗、つまり強度値(単位時
間、単位面積あたりのエネルギー)が測定される。
【0040】この強度値は次式で与えられる。
【0041】
【数6】
【0042】上式は、|Z|<<1の条件を考慮する
と、
【0043】
【数7】
【0044】と近似される。この式から明らかなよう
に、第一段階検出では、試料の実数成分信号しか検出さ
れていない。したがって、試料の正しい複素画像信号
Z、つまり実数成分信号および虚数成分信号からなる複
素画像信号を再生するには、虚部射影Imを得るように
する必要がある。
【0045】そこで、第二段階検出として、レンズの後
側の焦点面において、たとえば小さなπ/2位相板を設
けて、この透過光の0次回折光(つまり、散乱されなか
った照射光の焦点集光)のみの位相をπ/2シフトさせ
る。このπ/2シフトした透過照射光を参照信号とし
て、結像時に画像信号を持つ物体光と混ぜ、両者の和の
強度値を検出する。なお、透過照射光と物体光との混合
はレンズの結像が自動的に行う。
【0046】虚数成分検出用参照信号を含む複素画像信
号ΣS C 、つまり相補的複素画像信号ΣS C は、次式に
より表される。
【0047】
【数8】
【0048】この相補的複素画像信号の強度値は次式の
ように示される。
【0049】
【数9】
【0050】数5において示した|Z|<<1という条
件を考慮すると、数7と同様にして、数9は、
【0051】
【数10】
【0052】と近似的に表すことができる。そして、数
7の検出強度値(つまり実数成分を含む信号)と数10
の検出強度値(つまり虚数成分を含む信号)との複素和
を算出する。この算出結果は次式のようになる。
【0053】
【数11】
【0054】この式において、定数項(1+i)を除け
ば、複素信号Z(r)が正しく得られる。この定数項
(1+i)を除くには、数11にフーリエ変換を施し、
原点近傍を0とし、再びフーリエ変換すればよい。以上
のようにして試料が明視野像の場合において、この発明
の複素信号検出方法によって、明視野像試料の実数成分
信号と虚数成分信号とからなる複素信号、つまり試料本
来の像を検出することができる。
【0055】図1(a)および図1(b)は、それぞ
れ、数7および数10それぞれに対応する複素画像信号
検出光学系の要部構成を例示したものである。図1
(a)に例示した複素画像信号検出光学系では、実数成
分信号を含む信号ΣS ΣS * の検出が行われる。但し、
焦点面後の透過照射光=1、物体光=Zである。
【0056】図1(b)に例示した複素画像信号検出光
学系では、虚数成分信号を含む信号ΣS C ΣS C*の検出
が行われる。但し、焦点面後の透過照射光=i、物体光
=Zである。図1における透過光は原点にのみくるよう
に示されているが、実際は像の背景光として像面に広が
る。この事情は後述の図4のように照射光の光束の広が
りを考えると明確である。
【0057】この発明では、第一段階画像信号ΣS 検出
および第二段階画像信号ΣS C 検出において、それぞれ
の強度値測定の条件を全て同じにして、第二段階画像信
号検出では、照射透過光の位相をπ/2ずらす小さな位
相板のみを焦点面中央に挿入して用いるだけで虚数成分
信号を検出することができる。次に、|Z|<<1とい
う条件のない一般の複素画像においてZZ* =|Z| 2
の項を消去するための第三の計測検出の付加について説
明する。たとえば試料が不透明で光が通りにくいとき、
写真や映画のように照明光が直接映ること(ハレーショ
ン条件)を避けるとき、0次回折光が弱くなり|Z|2
項が相対的に強くなる。この|Z|2 項がZの一次の項
を邪魔するので消去する必要がある。
【0058】上述した数7では画像データの中のZZ*
の項を省略したが、これは定数項でないのでフーリエ変
換後の原点まわりの0化では消すことができない。そこ
で、まず、(1+i)の項を0化で消去し、次に以下の
ようにして|Z|2 の項を完全に消去させることができ
る。|Z|2 を含む本来の検出信号は次式にように示さ
れる。
【0059】
【数12】
【0060】|Z|2 の信号を得るには、図1(c)に
示したようにレンズの後側の焦点面の焦点にπ/2位相
板と同じ小さな遮光板を置けばよい。これにより0次回
折光がなくなるので、そのときの複素画像信号ΣS S
次式で示される。
【0061】
【数13】
【0062】この数13から分かるように、ΣS S の二
乗信号を検出し、以下の画像を得る。
【0063】
【数14】
【0064】数12のZ0 (r)と数14の二乗画像信
号|Z|2 を用いて純粋複素画像を与える次式を得る。
【0065】
【数15】
【0066】このような三つの計測検出からなる場合
(三計測検出法とも呼ぶことができる)のこの発明の複
素信号検出方法では、同一の光学系と試料を用いて、絞
りのみを3種類(通常のもの、π/2位相板を焦点に持
つもの、遮光板を焦点に持つもの)用意し、各絞りをた
とえば交換して3回計測検出をする。次いで、それぞれ
の計測検出から得られた3つの検出画像信号を数値化
し、コンピュータ内で以下の複素和を得ることになる。
【0067】
【数16】
【0068】この複素和信号中の0次回折光(すなわち
1+i)を除くにはフーリエ変換し、原点を0化すれば
よい。しかし、一般にはZ(r)が正しい背景値を取る
ように、フーリエ変換の際、原点の値(0次回折光の
値)が調整される。最終的には、次式で示す純粋な複素
画像が取り出される。
【0069】
【数17】
【0070】上記の複素画像が得られたら、二次元の画
像表示として二つの方法が可能である。すなわち、次式
で表されるi)強度像、ii)位相像である。
【0071】
【数18】
【0072】また、Re (Z)とIm (Z)をいろいろ
組み合わせ、情報抽出用の特別な画像を作ることもでき
る。 B)平行照射0次回折光と斜光照射散乱光との干渉によ
る周波数シフト複素画像信号検出 照射単色光が物体に斜めにあたるとき、または照射光が
平面波でないときは、0次回折光は後側焦点面の中心に
来ないので、0次回折光の操作は行うことができない。
そこで、この場合には、たとえば図2(a)(b)
(c)に例示したように、上述のA)と同様にして平行
照射光を物体に照射させると同時に、同一光源からの斜
光照射を物体に照射させるようにする。同時に与えられ
る平行照射光と斜光照射光による物体からの光信号は次
式のように表すことができる。
【0073】
【数19】
【0074】数19に示すように、画像信号には0次回
折光(数19中の1にあたる)は存在しないが、参照信
号には0次回折光が存在するので、画像信号とはこれと
の干渉を得ることができる。なお、数19では、両信号
間の相対位相差はないとしているが、実際には一定の位
相差があり、この位相差は再生画像の位相の不定さとし
て残る。
【0075】数19におけるΣW の強度検出をし、さら
に下記の数20で示される二つの相補的信号Σw C とΣ
w S の強度検出をして、三つの強度値の複素和を取る
と、A)で述べたように、物体光の正しい複素信号が得
られる。
【0076】
【数20】
【0077】三つの強度値の複素和は次式により与えら
れる。
【0078】
【数21】
【0079】数21は、平行照射光像Z(r)と斜光照
射光像Zob(r)を含む。Z(r)は斜光照射をやめて
平行照射光のみをあてると、A)で述べたように1+i
+2Z(r)が得られるので、両者の差をとると数21
から除くことができる。なお、Zob(r)とZ(r)と
の関係は、斜光照射がx方向に傾いているとき次式で与
えられる。
【0080】
【数22】
【0081】数22は、Zob(r)が空間周波数sin
θ/λで複素変調され、したがってxに対応する周波数
空間のkx軸方向にsinθ/λだけ周波数シフトした
ことを表している。この周波数シフトは、1/λで与え
られるAbbeの波長限界を超えて物体の微細構造を観
測する超分解能顕微鏡の基礎を与える。 C)相補対(Σ,Σc )を得るための参照光(信号)が
完全に直交していない場合における複素画像信号検出 ΣとΣc の相補対は、参照光(信号)の位相がπ/2ず
れ、直交するようにしなければならない。この参照光の
直交性が悪いとき、さらに強度が等しくないときの誤差
は以下のように補正することができる。
【0082】ここで、説明を簡単なものとするために、
1とiの参照光対の場合について説明する。なお、|Z
|<<1とする。
【0083】
【数23】
【0084】
【数24】
【0085】
【数25】
【0086】
【数26】
【0087】
【数27】
【0088】数25と数26との複数和は、数24で示
される条件を考慮して演算すると、次式のように得られ
る。
【0089】
【数28】
【0090】このような演算では、aとθとについて予
め知識が必要である。完全にZを予測できる形の定まっ
た標準物体を用いて、
【0091】
【数29】
【0092】を予測するには、以下のようにする。aお
よびθは装置定数であるので、この決定は1回行えば良
い。既知Zを用いてZ+Z* を作り、数25から定数項
1を推定する。数26をその推定値で引くと次式が残
る。
【0093】
【数30】
【0094】Zが実数である場所の値を用いると、数3
0は、
【0095】
【数31】
【0096】となり、これを2Zで除すると、acos
θが得られる。Zが虚数である場所の値を用いると、数
30は、
【0097】
【数32】
【0098】となり、これを−2|Z|で除すると、a
sinθが得られる。数31および数32の結果から、
[(acosθ)2 +(asinθ)2 1/ 2 よりa
を、またcosθとisinθとの和から
【0099】
【数33】
【0100】が得られる。以上のようにして、この発明
の複素画像検出方法によって、試料の実数成分信号およ
び虚数成分信号からなる複素画像信号、つまり物体本来
の像を検出することができる。 D)回折像における複素画像信号検出 回折像の場合、結像用のレンズを用いないので、そのま
までは0次回折光(つまり透過照射光)が高次の回折光
(つまり物体光)と干渉しない。
【0101】このような透過照射光と物体光との非干渉
の問題は、たとえば外部から斜入射される参照光を用い
て回折像を得る公知のoff−axisホログラフィー
により解消されている。しかしながら、このoff−a
xisホログラフィーにおいて得られるホログラムは回
折像の実数成分であり、虚数成分を得ることはできてい
ない。そこで、実数成分と虚数成分とを検出する試み
が、様々な方法、たとえば2回測定検出法や焦点面での
光学操作法などによって行われてきたが、どの方法も2
回の測定検出を実数的に組み合わせ(つまり実数和)て
おり、実現されてない。この従来からの方法はいわば実
数ホログラフィーである。
【0102】この発明の複素信号検出方法は、このよう
な回折像の実数成分および虚数成分の検出、つまり複素
信号の検出を実現させることができる。ここでは、この
発明の方法によるX線結晶の回折像における複素信号検
出について説明する。X線は電子線やレーザ光に比べて
電磁波のコヒーレンスが悪いので、本質的に外部からの
参照光を用いることができないため、A)で述べたよう
な透過光と回折光との干渉を作る特別の工夫が必要とな
る。すなわち、図3に例示したようなレンズを用いた光
学系を使うことになる。回折像の複素再生の場合、レン
ズ(図3の例では複合レンズ)は物体(図3の例では結
晶)の後方ではなく前方に置かれる。
【0103】図3(a)(b)(c)は、各々、この発
明の複素信号検出方法を用いた回折像実数成分検出光学
系、回折像虚数成分検出光学系、そして回折像二乗信号
検出光学系の要部構成を例示したものである。図3
(b)および(c)の光学系それぞれにおいてレンズの
前に置かれるπ/2位相板および遮光板は、光学系を全
て同一に保ったまま交換される。そして、これら三つの
光学系により得られた三つの画像の複素和を取って回折
像の複素信号を得る。
【0104】ここで、図3(a)の回折像実数成分検出
光学系を用いて、結晶からくる末広がりの回折光と干渉
し得るコヒーレントで、且つ末広がりの参照信号の作成
メカニズムについて説明する。レンズは、中心付近の非
レンズ域と周辺のレンズ域からなる。結晶からの回折信
号は中心の非レンズ域を通った平行照射光からもたらさ
れ、それが回折像を与える。一方、参照信号は、平行照
射光の周辺によりレンズ域を通り、結晶の置かれたレン
ズ焦点に向かい収束する。レンズの働きで中心の非レン
ズ域を通った平行光も、周辺のレンズ域を通った平行光
も、焦点のところでちょうど位相がそろっていること
が、この光学系の特徴である。
【0105】ここで、回折像面上の任意点r’=
(x’,y’)における回折像をZ(r’)とする。周
辺レンズ域を通り結晶に収束し、通過する参照光は、回
折像面において次式で与えられる信号となる。
【0106】
【数34】
【0107】この数34において、θk (r')は、焦点か
ら到達する光信号の回折像面上での位相差を表してい
る。σR は、末広がりの参照光が結晶にあたり散乱され
る散漫散乱であり、
【0108】
【数35】
【0109】に比べ極めて弱い。また、数34では、|
r'|<fの近軸光を考え、回折像面上の点から焦点への
距離はほぼ一定とした。θk (r')を考慮すると、平行光
が作る回折光も同様に、
【0110】
【数36】
【0111】の形となる。したがって、これと参照光と
の干渉(和)の二乗信号、つまり回折像の実数成分検出
信号は、次式のようになる。
【0112】
【数37】
【0113】この数37の信号ΣD ΣD * において、σ
R は散漫散乱であり、その強度|σ R |は|Z(r')|よ
り小さいので、|σR 2
【0114】
【数38】
【0115】の項は無視されている。次に、回折像の虚
数成分を検出するために、図3(b)および(c)に例
示したように、π/2位相板もしくは遮光板を複合レン
ズのレンズ域の前に設置させ、参照光の位相をπ/2に
ずらす、もしくは遮光する。これにより回折像の虚数成
分検出(ΣD c )と回折像の二乗検出(ΣD s )は、次
式のようになる。
【0116】
【数39】
【0117】そして、数37の実数成分強度値と、数3
9の虚数成分強度値と、二乗信号値との複素和を取る。
この複素和は次式で与えられる。
【0118】
【数40】
【0119】この数40より、図3に例示したこの発明
の複素信号検出方法における三計測検出法(前述した三
つの計測検出を用いた場合)を用いれば回折像が複素信
号として取り出せることがわかる。1+iの定数項は、
Z(r’)のフーリエ変換により顕微画像の場合と同様
に補正できる。数40を導くときに仮定した|σR |<
|Z(r' )|<1の関係は通常のX線結晶解析、微結
晶を用いる光結晶解析において満たされている。
【0120】図3において結晶直前に対置した絞りは、
複合レンズ系の迷光を防ぐためのものであり、特にX線
結晶解析のときは有効である。また、複合レンズの作成
法であるが、可視光の場合は通常レンズの中心付近を平
行に研磨すればよい。電子線については、小さな電場型
の薄膜レンズを凹レンズとして電磁レンズの中心に置け
ばよい。X線については、フレネル型レンズの場合、中
心の何10枚かの輪帯を抜けばよい。また、Wolte
rタイプの全反射レンズを用いる場合は、光軸近傍が自
動的に無反射の非レンズ域となっているので、そのまま
この発明における複合レンズとして利用できる。
【0121】iii)π/2位相板の具体的要件 光学顕微鏡では公知のゼルニケの位相差顕微鏡でπ/2
位相板が使われている。しかし、光学顕微鏡は、分解能
向上のため平行照射せずにコニカル(つまり円錐型)照
射光を用いるので、0次回折光が後側焦点面でリング状
に広がり、位相板は、やはりリングの形態を取る。
【0122】位相差顕微鏡は、吸収が弱いが屈折率が1
と異なる物質の観察を行うため、0次回折光に対し位相
をπ/2ずらし、虚数信号である位相差を実数に変換し
て観測していた。ただし、吸収がある場合では、後述す
る数48に示すように像は単純に位相差だけの関数では
ない。また、透過光が強い背景光となり、この上に像の
位相が背景光からの位相の差としてコントラストに変換
される。すなわち、吸収成分、位相成分、透過光成分の
全てが不分離である。
【0123】この発明の方法では、こうした複雑な事情
を明確にし、実数画像に対する虚数画像を誤差少なく取
り出すために、平行照射により0次回折光を後側焦点面
の極限的に狭い空間に焦光させ(焦点のこと)、その部
分のみを小さいπ/2位相板で覆うことで、0次回折光
以外の散乱光に影響を与えないようにしている。このた
め、π/2位相板の大きさは平行照射の平行性(コヒー
レンス)が良い限り、観察する物体より1/10〜1/
100の大きさに取り得るので、他の物体からの散乱光
に影響を与えない。
【0124】この際、図4に例示したように、透過収束
光間にはπ/2位相板を通る行路に少しの差が生じ、こ
れが実数像と虚数像の直交性を悪くすることが考えられ
る。光束を2d、焦点距離をfとすると、レンズに垂直
に通る光路と斜めに通る光路では、次式程度の角度差が
生じる。
【0125】
【数41】
【0126】これが両者のπ/2位相板内の光路差を与
えるが、それはπ/2を1/cosΔθ程度大きくする
働きとなる。これを近似すると垂直光路と斜め光路との
差は、次式のようになる。
【0127】
【数42】
【0128】たとえばΔθ=1/10なら、これは誤差
1/100を与えるにすぎない。次に、電子線、レーザ
光のような強力な透過光の通過によるπ/2位相板への
ダメージを回避する方法について説明する。このような
ダメージは、たとえば図5に例示したように、π/2位
相板を照射透過光ではなく散乱光側に入れることにより
回避することができる。
【0129】すなわち、弱い散乱光側にπ/2位相板を
入れて位相をπ/2ずらし、強い透過光を、実数像観察
と同じく、そのまま焦点面通過させれば良い。これによ
って、Σc は次式のようになるが、その強度値は通常の
図1(b)の場合と同じようになる。
【0130】
【数43】
【0131】この場合、複素和は次式に示したように複
素差となる。
【0132】
【数44】
【0133】以下は前に述べた手続きと同じである。 iv)この発明の複素信号検出方法を用いた複素電子顕
微鏡における収差補正前述したように、電子顕微鏡のみ
ならず各種顕微鏡の画像には、レンズ系特有の収差とピ
ントズレとによる、ボケが生じてしまう。このことを、
電子顕微鏡では、像関数にコントラスト伝達関数がかか
ると表現する。ただし、このコントラスト伝達関数は、
画像をフーリエ変換したいわゆる波数ベクトル空間(k
空間)において、像関数に乗算されるため、一般に大変
分かりにくい。このことが、電子顕微鏡の原理の理解を
困難なものにし、分解能改善を妨げる一因となってい
た。コントラスト伝達関数は、一見、電子顕微鏡という
ハードウェアに由来する固有の問題に見えるが、実際
は、従来の光学測定の欠陥、つまり電磁波を正しく複素
信号として検出できなかったことに由来する。
【0134】そこで、この発明の複素信号検出方法によ
り、上述のコントラスト伝達関数の問題を解消し、電子
顕微鏡の分解能の改善を行う。まず、単色性のよい電子
線を平行照射(平面波と同じ)した後の試料からの散乱
電子の波動関数は、次式で表すことができる。
【0135】
【数45】
【0136】電子顕微鏡は多重散乱を防ぐために薄い試
料が用いられる。このため物体から散乱されずに透過す
る透過光(入射電子線そのもの)があり、数45におけ
る散乱電子波は、この透過光を用いて数5における複素
信号と同様に、次式で表される。ただし、物体関数z
(r)は最終的に像関数Z(r)に変換されるべき物の
光学的性質をあらわしている。また、|z|≪1の仮定
を行っているが、すでに述べたようにこの発明の複素信
号検出方法における三計測検出法ではこの条件は除か
れ、あらゆる光学対象に対し応用可能となる。
【0137】
【数46】
【0138】この散乱電子波、つまり散乱光は、対物レ
ンズで集光されて結像されるが、レンズ後側の焦点面で
は物体の回折像、すなわちフーリエ変換像ができている
ので、ここに絞りを置く。また、光路長の定まった光学
系では、像のピント合わせは焦点距離を調節して行う
が、この焦点位置の絞り固定面からのずれをデフォーカ
ス量として定義する。
【0139】散乱光ψ(r)のフーリエ変換O(k)
は、近似の範囲で次式のように表される。
【0140】
【数47】
【0141】ψ(r)の中のψ0 は、定数項であり、強
度検出のときに1(ψ0 ψ0 * =1)となるので、ここ
では省略した。この関数O(k)(以後、k空間の物体
関数と呼ぶ)に、前述した絞り、収差、およびデフォー
カス由来の関数がかかる。絞り、収差、およびデフォー
カスは全て、電子波の位相のずれ、もしくはそれらの積
分に由来する波数ベクトルの減衰効果として、次式のよ
うに表すことができる。
【0142】
【数48】
【0143】ここで、exp[ε(k)]が絞り、色収
差、光源の広がりからくる波数ベクトルの制限、すなわ
ち分解能の制限であり、一般に、kの単調減少関数であ
る。また、exp[iγ(k)]は、球面収差、コマ収
差、デフォーカスに由来するkに依存した位相シフト効
果である。H(k)は、光学顕微鏡では物体伝達関数
(OTF)と呼ばれている。
【0144】球面収差とデフォーカスのみを考慮した場
合、数48は、次式のような仮定をすることができる。
【0145】
【数49】
【0146】Ks は、電子波の波数k0 と球面収差によ
って一意的に定まり、Kd は、波数k0 とデフォーカス
によって一意的に定まる(図6参照)。図6は、exp
[iγ(k)]の位相γ(k)、実部=cos(γ
(k))=−2sinγ(k)、および虚部=sir
(γ(k))=−2cosγ(k)の波数k(つまり2
次元波数ベクトルの絶対値)依存性を例示したものであ
る。なお、図6では、波数kは正規化した波数を用いて
いる。
【0147】この図6において、各値は次式のように表
される。
【0148】
【数50】
【0149】対物レンズの結像、すなわち物体の再生像
関数は、O(k)にH(k)がかけられたものをもう一
回フーリエ変換して得られる。つまり、次式で与えられ
る。
【0150】
【数51】
【0151】ここで、mは倍率であり、符号は像が逆転
することを示している。再生像ψi は、種々の画像記録
装置に像として記録および保管されるが、検出される像
は強度値に対応して次式の形を取る。
【0152】
【数52】
【0153】上式を含め以後、倍率mおよび像の逆転は
考慮せずに、物体関数z(r)と像関数Z(r)の関係
を考える。ψi 自体は、元来、複素信号だが、前述した
ように、強度値検出により得られるものはその実部であ
る(数7参照)。数47のO(k)および数48におけ
るH(k)を数40に入れ、フーリエ変換を実行する
と、像関数I(r)は、(k空間の掛け算は実空間でコ
ンボリューションになるというフーリエ変換の定石か
ら、)次式のように表される(数7参照)。
【0154】
【数53】
【0155】上式において、cosγ(k)およびsi
nγ(k)は電子顕微鏡でのコントラスト伝達関数(C
TF)の実部と虚部である。また、|z|2 の項は省略
した(以下同じ)。このI(r)は、物体が生物試料の
ように透明な場合には、|α|<<|β|であるため、
さらに次式で表される。
【0156】
【数54】
【0157】この場合、sinγ(k)は、図6(c)
に例示したように、k=0付近で0、且つkの大きい所
で激しく振動して、像の再生に極めて不都合な関数であ
る。特に、sinγ(k)=0となる付近では本質的に
像情報が失われているために、再生像をフーリエ変換し
H(k)の乗算を除算で補正しようとしても像情報を復
活できないということになる(0で割れない)。
【0158】これは、複素分光の原理を用いて複素画像
を作ることにより回避することができる。すなわち、H
(k)の一部が乗算された数53または数54の像関数
I(r)の形ではなく、H(k)がそのまま乗算された
再生像を作る必要がある。この方法は、すでに述べた
が、画像の虚数成分を、実数成分とは別に、検出し、実
数成分と虚数成分との複素和を取る方法である。すなわ
ち、数46のなかの透過光1の部分をπ/2位相板を用
いてiに変換した散乱電子波を取れば良い。
【0159】この散乱電子波は次式により表される。
【0160】
【数55】
【0161】この電子波の与える画像Ic (r)は最終
的に次式により与えられる。
【0162】
【数56】
【0163】今まで|z|2 の項を無視したが、この発
明の複素信号検出方法における三計測検出法では、図1
(c)に示したような二乗信号検出Is (r) を行い、そ
れとI(r)、I c (r) との複素和をとることにより、|z
2 の項を引くことができる。したがって、最終的な複
素画像は、
【0164】
【数57】
【0165】となる。この式をフーリエ変換し、exp
(−iγ(k))を乗算すると次式が得られる。
【0166】
【数58】
【0167】上記の演算は、本質的にcosγ(k)と
sinγ(k)との掛け算であり、除算でないので、0
点問題は起こらない。数58の第1項(1+i)δ
(k)exp(−iγ(k))はk=0に集中する関数
なのでそれを0と置くことができる。さらにexp(ε
(k))の減衰項を処理すれば、収差は完全に除かれる
こととなる。結局残るのはO(k)exp(ε(k))
の項で、このフーリエ変換が複素画像Z(r)を与える
ことになる。exp(ε(k))が分解能を定めるが、
最も大きく寄与するのが絞り、すなわち開口数である。
コントラスト伝達関数exp[iγ(k)]の影響を除
くことのできる本発明の方法は、従来の電子顕微鏡がk
の高い値で激しく振動するsinγ(k)のCTFを恐
れて絞りを小さく取り、対物レンズの開口数を0.01
〜0.001にしていたのに比べ、その効果を除けるの
で開口数を0.1程度にまで高められる。顕微鏡では開
口数の逆数が分解能に比例するので従来と比べて10倍
程度の分解能を達成できることになる。また、開口数が
10倍になれば、それだけ多くの電子散乱波を集められ
るので、コントラストは自動的に改善される。
【0168】図7は、この発明の複素信号検出方法を用
いて複素電子顕微鏡の画像形成と画像再生のシミュレー
ションの流れおよび結果像を例示したものである。この
発明では、光学における回折現象はレンズ系を使った場
合にフーリエ変換という数値計算に置き換えることがで
きるという原理を使っている。このため、現実の装置を
作る前に種々の光学計測検出を計算機を用いてシミュレ
ートできる。
【0169】このシミュレーションは次のように行っ
た。まず、一枚のポートレートを用意し、二次元像z
(r)をディジタル信号としてコンピュータに読み取
る。これは実数信号なので、この実数像を、完全な位相
物体を仮定して複素物体関数eiZ(r) に変換する。これ
は物体からの位相おくれがポートレートのような空間分
布をしていることを意味している。ここで、この発明の
方法が強い光学体(吸収、位相)にも適用できことを示
すために、位相おくれの最大値πを最も暗い部分に対応
させた。
【0170】この位相物体を仮定した複素物体関数e
iZ(r) にフーリエ変換を施すことによりk空間物体関
数、つまり回折像を得て、得られたk空間像にCTFを
かけてk空間CTF変調像を得る。このk空間CTF変
調像に、プレートなしの場合のフーリエ変換、位相板あ
りの場合のフーリエ変換、遮光板ありの場合のフーリエ
変換を施す。
【0171】ここまでが、三つの計測検出による三つの
像形成過程に対応するシミュレーションであり、図7に
おける中段の画像(a)(b)(c)がそれぞれ得られ
たシミュレーション像、つまり図1(a)(b)(c)
で得られる画像である。このときの画像シミュレーショ
ンのパラメータは
【0172】
【数59】
【0173】とした。図6に例示したように、正規化さ
れたデフォーカス
【0174】
【数60】
【0175】のときはシェルツァーフォーカス(Scherze
r Focus)と呼ばれる。図6(b)の位相CTFから明ら
かなように、kの小さいところでは、広い範囲にわたり
CTFが一定値(ほぼ−2)をとり、画像に与える変調
の度合いが小さい。これはシェルツァーにより見出され
た("The Theoretical Resolution Limit of the Elect
ron Microscopy", O.Scherzer,Journal Applied Physic
s 20(1949) 20-29) 。一般には、さらに
【0176】
【数61】
【0177】の大きい深いデフォーカス、たとえば9/
√(2π)が使われる。これによりkの原点付近でCT
Fが急に立ち上がり、物の形を決める低周波数の信号が
回復する。このため、このシミュレーションでは、
【0178】
【数62】
【0179】としている。このようにして得られた三つ
の実数像は、原二次元像Z(r)とはコントラストも異
なり、また境界がCTFの変調のためボケている。次い
で、これら三つの実数像から数55に従って複素和をと
り、これにフーリエ変換を施した後、得られたk空間C
TF変調像にすでにわかっているCTFの逆数(インバ
ースフィルター)、つまり
【0180】
【数63】
【0181】をかけることにより、CTFの変調を消去
して収差とデフォーカスを補正し、且つ再度フーリエ変
換を施すことにより、CTF無変調像を得る。そして、
このCTF無変調像の背景レベルを調節し、定数項σ0
を除いて、純複素象eiZ(r) を得る。この純複素像の位
相像tan-1{Im [eiZ(r) ]/Re [eiZ(r) ]}
(図7における下段)がポートレートの再生像Z(r)
を与える。三つの計測検出で得られる実数像(図7中
段)とCTFの変調を除いて得た実位相像Z(r) (図7
下段)とを比較すると、この発明の複素信号検出方法に
より、分解能とコントラストを非常に良く改善でき、細
部にわたって完全な再現が実現されていることがわか
る。
【0182】v)この発明の複素信号検出方法を用いた
複素光学顕微鏡における分解能向上一般に、Abbe理
論で与えられる光学顕微鏡の空間分解能は次式により定
義される。
【0183】
【数64】
【0184】λは使用する光の波長、nは試料の置かれ
た空間の屈折率、θは対物レンズの試料部に対する開き
角の1/2を示しており、nsinθが開口数である。
また、αはコンデンサーレンズで光を集めたコニカル
(円錐型)照射光を用いるときのもので、試料面へ垂直
に入る平行照射(コヒーレント平行光)の場合は、1と
なる。
【0185】ここでは、複素光学顕微鏡は平行照射条件
を用いることとして、δはλ/nsinθを採用する。
このことを、焦点面の回折像で表現すると、平行照射の
場合、δの逆数、すなわちnsinθ/λのところに対
応するkの値までしか回折パターンが得られないことを
意味する。
【0186】θ=π/2は開き角の限界であり、平行照
射の場合、λ/nが分解能の理論限界となる。従って、
ハードウェア的にこのAbbeの限界を破る方法は存在
しない。ソフトウェア的にも、kの高い値の所は、i
v)の複素電子顕微鏡でも述べたように、一般に収差が
大きいため、コントラスト伝達関数が表面にでてやはり
補正できない。この収差を補正する光学レンズ系は、従
来より多くの収差補正複合レンズが開発されてきている
が、収差を完全に補正できるものはなく、上記の数64
を満足する分解能は達成されていない。
【0187】この発明の複合信号検出法は、収差を完全
に補正できるので、この光学顕微鏡の分解能の向上を行
い、数64の分解能を有する光学顕微鏡を実現させるこ
とができる。さらに、この限界を超える超分解能を実現
するには、前述した減衰関数exp(ε(k))中に含
まれる絞り関数A(k)(=1,|k|≦kc ;=0、
|k|>kc )をk空間で実質的に広げ、遮断周波数k
c を大幅に増大させなければならない。ところで、前述
したように顕微鏡は物理的制限(Abbeの限界)のた
め、これを広げることはできない。そこで、開口合成と
同じ考えで、前述のii−B)で提案した周波数シフト
複素画像信号検出を多数回繰り返し、周波数(k)空間
を順次広くカバーする合成的な解決法が考えられる。
【0188】周波数シフト複素画像検出は、図8(a)
に例示したように、本来は、遮断周波数(kx c ,ky
c )の外にある高周波信号成分を原点付近の観測帯域に
持ってくるための方法である。数22を参考に、周波数
シフト画像のフーリエ変換O ob(k)は、物体関数z
(r)のフーリエ変換O(k)を用いて(ここでは数4
7に示すO(k)の中のδ(k)は省略する)、以下の
式で表現される。
【0189】
【数65】
【0190】この式において、Oob(k)はもとのk空
間像(回折像)O(k)をk空間で(−kx ob,−ky
ob)だけ周波数シフトした関数である。kx ob、ky ob
は光軸に対する斜光の傾き(θx ,θy )と関係するベ
クトル成分である。Oob(k)を(−kx ob,−
y ob)の方向へ逆シフトで戻すとOob(kx
x ob,k y +ky ob)が得られ、これは図8(a)に
例示したもとの高周波数の信号関数となる。ここで注意
しなければならないのは、逆シフトの演算は、
【0191】
【数66】
【0192】をOob(k)に掛ける演算であり、したが
ってこの実数成分または虚数成分のみに対して行うと、
電子顕微鏡で経験した0で割る不可能問題が生まれるこ
とである。したがって、必ず複素画像を起こし、それに
対し逆シフトを行う必要がある。これが従来の実数像を
用いた開口合成法と決定的に異なるところである。とこ
ろで、実際に観測されるのは物体関数z(r)のフーリ
エ変換O(k)そのものではなく、絞り関数A(k)の
かかった(k空間の)視野の制限されたものである。し
たがって、Oob(kx −kx ob,ky −ky ob)は実際
の観測の場合、次式で表される。
【0193】
【数67】
【0194】A(kx −kx ob,ky −ky ob)は、絞
り関数A(k)を(kx ob,ky ob)へ周波数シフトし
た関数である。この事情が、図8(a)に示されてお
り、こうして高周波数の周波数成分を観測する窓が開け
られたことになる。図8(b)に例示したような拡大し
た窓関数になるように斜光照射を規則的に変え、このよ
うな測定を多数回(図8(b)の例では複素信号検出
(二計測検出ないし三計測検出)を9回)行う。そし
て、逆シフト補正したOob(kx −kx ob,ky −ky
ob)の和を取る。
【0195】このようにすると、次式に従って複素画像
は、通常の遮断周波数kc を超える広い絞り関数A
U (k)による観測と同等となる。
【0196】
【数68】
【0197】ここで、Ij ,Ij c ,Ij s は異なる周
波数シフト(−kxj ob ,−kyj o b )を持つ実成分検
出信号、虚成分検出信号、二乗検出信号で、複素和を取
った後、k空間で逆シフト演算を施し、高周波数に戻
し、他の観測と結合される。この手続の順序に注意が必
要である。結果として結合絞り関数AU (k)が得ら
れ、その遮断周波数はmkc となり、m倍の分解能の向
上が保証される。
【0198】ところで、斜光照射が空気中を通って行わ
れる限り、mkc のmの値は最大2を超えない。周波数
シフトは斜光を最大傾けても数61に示すように1/λ
=k c を超えないからである。これを改善するには、斜
光および平行光ともに高い屈折率(n)の媒質中を通せ
ばよい。これは、たとえば図9に例示したように、試料
の光入射側基板として高い屈折率(n)のものを用いる
ことにより行うことができる。このとき、周波数kはn
倍となり、したがって同じ傾斜角の斜光に対し周波数シ
フトもn倍となる。これにより最大(1+n)倍の分解
能改善が得られる。nとして、油では1.7、金属で5
程度が知られている。特に金属の場合は、表面の進行波
(表面プラズモン)で励起することで、大きな周波数シ
フトが実現できる。
【0199】
【発明の効果】以上詳しく説明した通り、この発明によ
って、実数成分信号、虚数成分信号、二乗信号を別々に
容易に検出することができ、さらに三つの信号の複素和
をとることによって物体本来の複素信号を他の画像信号
の干渉なしに得ることのできる、新しい複素信号検出方
法が提供される。また、この発明の複素信号検出方法
は、顕微鏡の収差補正および分解能向上を実現させるこ
と、さらに回折像の位相決定を行うこともできる。さら
には、上述したこの発明の複素信号検出方法を用い、物
体本来の複素信号を完全に得ることのできる複素顕微
鏡、特にAbbe波長限界を超えた分解能を実現するこ
とのできる複素顕微鏡や、完全な複素回折像を得ること
のできる複素回折装置をも提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)(b)(c)は、各々、実数成分信号を
検出するレンズを用いた画像検出光学系、虚数成分信号
を検出するレンズを用いた画像検出光学系、および二乗
信号を検出するレンズを用いた画像検出光学系を例示し
た要部構成図である。
【図2】(a)(b)(c)は、各々、0次回折光と斜
光散乱光との干渉による周波数シフト複素画像信号検出
の要部構成図であり、実数成分信号を検出するレンズを
用光学系、虚数成分信号を検出するレンズ光学系、およ
び二乗信号を検出するレンズ光学系を例示したものであ
る。
【図3】(a)(b)(c)は、各々、この発明の複素
信号検出方法を用いた回折像実数成分検出光学系,回折
像虚数成分検出光学系,回折像二乗信号検出光学系を例
示した要部構成図である。
【図4】焦点面での照射透過光のπ/2位相板内の光路
差を例示した概念図である。
【図5】この発明の複素信号検出方法を用いた他の虚数
成分検出光学系を例示した要部構成図である。
【図6】(a)(b)(c)は、コントラスト伝達関数
exp[iγ(k)]の位相γ(k)、実部[cos
(γ(k))]および虚部[sir(γ(k))]の正
規化した波数k(つまり2次元波数ベクトルの絶対値)
依存性を例示した図である。
【図7】この発明の複素信号検出方法を用いて複素電子
顕微鏡の画像形成と画像再生のシミュレーションの流れ
および結果像を例示した図である。
【図8】(a)(b)は、各々、この発明の複素信号検
出方法を用いた超分解能顕微鏡における空間周波数のシ
フトを例示した概念図、および周波数合成による絞り関
数の拡大を例示した概念図である。
【図9】平行照射と斜光照射の間の干渉による周波数シ
フトを大きくするために試料の光入射側基板を高い屈折
率のものに変えた場合の斜光・平行照射の概念を例示し
た説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01J 37/22 501 G06F 15/66 A

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料の実数成分顕微画像と、試料透過光
    のみをπ/2位相シフトした虚数成分顕微画像とを検出
    し、実数成分顕微画像と虚数成分顕微画像との複素和を
    とることにより、実数成分信号および虚数成分信号から
    なる複素顕微画像を得ることを特徴とする複素信号検出
    方法。
  2. 【請求項2】 試料透過光のみを遮光した二乗顕微画像
    を検出し、この二乗顕微画像と前記実数成分顕微画像と
    前記虚数成分顕微画像との複素和をとることにより、実
    数成分信号および虚数成分信号からなり、且つ二乗信号
    を含まない複素顕微画像を得ることを特徴とする請求項
    1の複素信号検出方法。
  3. 【請求項3】 コンピュータにより、各顕微画像を数値
    化し、複素和を算出する請求項1または2の複素信号検
    出方法。
  4. 【請求項4】 レンズの後方に設けられるπ/2位相板
    を用いて虚数成分顕微画像を検出する請求項1ないし3
    のいずれかの複素信号検出方法。
  5. 【請求項5】 レンズの後方に設けられる遮光板を用い
    て試料の二乗顕微画像を検出する請求項2ないし4のい
    ずれかの複素信号検出方法。
  6. 【請求項6】 試料に平行照射光および斜光照射光を照
    射させ、平行照射光と斜光照射光との間の干渉を得て、
    この干渉を用いて試料中の高い空間周波数成分を周波数
    原点近傍にシフトする空間周波数シフトを行う請求項1
    ないし5のいずれかの複素信号検出方法。
  7. 【請求項7】 空間周波数シフトを多数回行うことによ
    り遮断空間周波数を増大させる請求項6の複素信号検出
    方法。
  8. 【請求項8】 複素顕微画像のレンズ収差およびフォー
    カスのズレによるピンぼけをコントラスト伝達関数の逆
    関数を用いて補正する請求項1ないし7のいずれかの複
    素信号検出方法。
  9. 【請求項9】 補正された複素顕微画像から強度像と位
    相像を得る請求項1ないし8のいずれかの複素信号検出
    方法。
  10. 【請求項10】 複素顕微画像から強度と位相を関数と
    する特異情報を有する実数画像を得る請求項1ないし8
    のいずれかの複素信号検出方法。
  11. 【請求項11】 試料透過光と試料回折光との実数成分
    干渉回折像、π/2位相シフトした試料透過光と試料回
    折光との虚数成分干渉回折像、および試料回折光のみに
    よる二乗回折像を検出し、実数成分干渉回折像と虚数成
    分干渉回折像と二乗回折像との複素和をとることにより
    複素回折像を得ることを特徴とする複素信号検出方法。
  12. 【請求項12】 複素回折像からフーリエ変換により複
    素画像を得る請求項11の複素信号検出方法。
  13. 【請求項13】 レンズ域と非レンズ域を持つ複合レン
    ズの前方に設けられるπ/2位相板を用いて虚数成分干
    渉回折像を検出する請求項11または12の複素信号検
    出方法。
  14. 【請求項14】 レンズ域と非レンズ域を持つ複合レン
    ズの前方に設けられる遮光板を用いて試料の二乗回折像
    を検出する請求項11または13の複素信号検出方法。
  15. 【請求項15】 請求項1ないし10のいずれかの複素
    信号検出方法を用いたことを特徴とする複素顕微鏡。
  16. 【請求項16】 請求項11ないし14のいずれかの複
    素信号検出方法を用いたことを特徴とする複素回折装
    置。
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