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JPH10120892A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

Info

Publication number
JPH10120892A
JPH10120892A JP27967596A JP27967596A JPH10120892A JP H10120892 A JPH10120892 A JP H10120892A JP 27967596 A JP27967596 A JP 27967596A JP 27967596 A JP27967596 A JP 27967596A JP H10120892 A JPH10120892 A JP H10120892A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
weight
resin composition
parts
monomer
polymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP27967596A
Other languages
English (en)
Inventor
Tadao Fukumoto
忠男 福本
Shinichi Tamura
真一 田村
Koji Yamauchi
幸二 山内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP27967596A priority Critical patent/JPH10120892A/ja
Publication of JPH10120892A publication Critical patent/JPH10120892A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 難燃性、耐衝撃性、耐熱性、成形加工性が優
れた樹脂組成物。 【解決手段】(A)芳香族ポリカ−ボネ−ト10〜98
重量%、(B)芳香族ビニル系単量体20〜100重量
%とシアン化ビニル系単量体0〜60重量%、他のビニ
ル系単量体0〜79重量%とからなる単量体または単量
体混合物95〜20重量部を、ゴム質重合体5〜80重
量部にグラフト重合してなるグラフト(共)重合体90
〜2重量%、および(C)芳香族ビニル系単量体20〜
100重量%とシアン化ビニル系単量体0〜60重量
%、他のビニル系単量体0〜80重量%とからなる単量
体または単量体混合物を重合してなるビニル系重合体0
〜88重量%からなる樹脂組成物100重量部に対し、
(D)リンを含有するポリマー1〜100重量部、
(E)フェノール系樹脂0〜40重量部(F)フッ素系
樹脂および/またはケイ素含有重合体0.01〜5重量
部を配合。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明に属する技術分野】本発明は難燃性に優れ、かつ
耐衝撃性、耐熱性、成形加工性が均衡して優れた熱可塑
性樹脂組成物、さらにはポリカーボネートとスチレン系
グラフト共重合体を含有する熱可塑性樹脂組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】プラスチックスはすぐれた機械的性質、
成形加工性、電気絶縁性によって家庭電気機器、OA機
器、自動車などの各部品を始めとする広範な分野で使用
されている。しかしながら、プラスチックスの大半は易
燃性であり、安全性の問題で難燃化に対し種々の技術が
案出されてきた。
【0003】一般的には、難燃化効率の高い臭素化合物
などのハロゲン系難燃剤と酸化アンチモンを樹脂に配合
して難燃化する方法が採用されている。
【0004】また、近年の環境問題に関連し、塩素およ
び臭素系難燃剤を含有しない難燃性樹脂が求められ、芳
香族ポリカ−ボネ−ト、ABSなどのスチレン含有グラ
フトポリマ、およびリン酸トリフェニル等のモノリン酸
エステルからなる熱可塑性樹脂組成物(特開平2−32
154号公報)、芳香族ポリカ−ボネ−ト、スチレン含
有共重合体及び/又はスチレン含有グラフト重合体、お
よびオリゴマ−性リン酸エステル難燃剤からなる熱可塑
性樹脂組成物(特開平2−115262号公報)、およ
び芳香族ポリカ−ボネ−トとABS樹脂およびハイドロ
キノン−ビス(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェ−
トとからなる熱可塑性樹脂組成物(特開平7−1111
9号公報)などが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ハロゲン系難燃剤を使
用する方法は、燃焼時の火種の落下(ドリップ)防止の
ために難燃剤を多く含有するので、樹脂組成物の機械的
性質や耐熱性が悪化する欠点があり、さらに成形時や燃
焼時にハロゲン化合物からの分解ガスが発生する問題を
有していた。
【0006】また、特開平2−32154号公報記載の
組成物はモノリン酸エステルが易揮発性のため、耐熱性
が不充分であり、また成形時の金型汚染の問題を有す
る。特開平2−115262号公報記載の組成物は難燃
剤が液状であり、またそれを多量に含有するので、耐熱
性が劣り、特開平7−11119号公報記載の組成物は
耐衝撃性が十分ではなく、これらのものは、各種特性を
満足できるものではなかった。
【0007】本発明は樹脂本来の特性を活かしつつ、塩
素および臭素化合物を必ずしも必要とせず、耐衝撃性、
耐熱性、成形時の流動性、難燃性に優れた樹脂組成物を
提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決すべく鋭意検討した結果、芳香族ポリカ−ボネ−ト、
とABS樹脂との混合物に特定のポリホスフェートおよ
びフッ素系樹脂を配合することにより、上記目的が効率
的に達成されることを見出し本発明に到達した。
【0009】すなわち、本発明は「(A)芳香族ポリカ
−ボネ−ト10〜98重量%、(B)ゴム質重合体に芳
香族ビニル系単量体または芳香族ビニル系単量体を含む
単量体混合物をグラフト重合してなるグラフト(共)重
合体90〜2重量%、および(C)芳香族ビニル系単量
体20〜100重量%とシアン化ビニル系単量体0〜6
0重量%およびこれらと共重合可能な他のビニル系単量
体0〜80重量%とからなる単量体または単量体混合物
を重合してなるビニル系重合体0〜88重量%からなる
樹脂組成物(イ)100重量部に対し、(D)ガラス転
移温度が120℃以下のリンを含有するポリマー1〜1
00重量部、(E)フェノール系樹脂0〜20重量部お
よび(F)フッ素系樹脂0.01〜5重量部および/ま
たはケイ素含有重合体0.01〜5重量部を配合してな
る熱可塑性樹脂組成物。
【0010】」およびそれを溶融成形してなる成形品で
ある。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的に説明す
る。本発明において「重量」とは「質量」を意味する。
【0012】本発明における(A)芳香族ポリカ−ボネ
−トとしては、一般には2,2−ビス(4−オキシフェ
ニル)アルカン系、ビス(4−オキシフェニル)エ−テ
ル系、ビス(4−オキシフェニル)スルホン、スルフィ
ドまたはスルホキサイド系などのビスフェノ−ル類から
なる重合体、もしくは共重合体である。芳香族ポリカ−
ボネ−トは任意の方法によって製造される。例えば、
4,4´−ジヒドロキシジフェニル−2,2−プロパン
(通称ビスフェノ−ルA)からのポリカ−ボネ−トの製
造には、苛性アルカリ水溶液および溶剤存在下にホスゲ
ンを吹き込んで製造するホスゲン法、または4,4´−
ジヒドロキシジフェニル−2,2−プロパンと炭酸ジエ
ステルとを触媒存在下でエステル交換させて製造する方
法などが利用できる。
【0013】芳香族ポリカ−ボネ−トの分子量は特に制
限されないが、テトラヒドロフラン溶媒で30℃測定の
極限粘度が0.30〜0.60dl/g、特に0.40
〜0.55dl/gの範囲のものが、得られる熱可塑性
樹脂組成物の耐衝撃性と溶融成形時の流動性のバランス
に優れ好ましい。
【0014】本発明における(B)グラフト(共)重合
体としては、ゴム質重合体5〜80重量部に、芳香族ビ
ニル系単量体または芳香族ビニル系単量体とそれ以外ビ
ニル系単量体の単量体混合物95〜20重量部をグラフ
ト重合して得られるグラフト(共)重合体が使用され
る。ここでいう(B)グラフト(共)重合体とは、ゴム
質重合体にグラフト(共)重合した構造をとった材料の
他に、グラフトしていない(共)重合体を含むものであ
る。
【0015】上記ゴム質重合体としては、ガラス転移温
度が0℃以下のものが好適であり、ジエン系ゴムが好ま
しく用いられる。具体的にはポリブタジエン、スチレン
−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン
共重合体、スチレン−ブタジエンのブロック共重合体、
アクリル酸ブチル−ブタジエン共重合体などのジエン系
ゴム、ポリアクリル酸ブチルなどのアクリル系ゴム、ポ
リイソプレン、エチレン−プロピレン−ジエン系三元共
重合体などが挙げられる。なかでもポリブタジエンまた
はブタジエン共重合体が好ましい。
【0016】ゴム質重合体のゴム粒子径は特に制限され
ないが、ゴム粒子の平均粒子径が0.15〜0.60μ
m、特に0.18〜0.40μmのものが耐衝撃性、色
調に優れ好ましい。芳香族ビニル系単量体としてはスチ
レン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、o−エチ
ルスチレン、p−t−ブチルスチレンなどが挙げられる
が、特にスチレンが好ましい。シアン化ビニル系単量体
としてはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタ
クリロニトリルなどが挙げられるが、特にアクリロニト
リルが好ましい。また、これらと共重合可能なビニル系
単量体としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、
N−フェニルマレイミドなどのマレイミド系単量体、
(メタ)アクリル酸のメチル、エチル、プロピル、n−
ブチルなどのα,β−不飽和カルボン酸アルキルエステ
ル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレ
イン酸、フタル酸、イタコン酸などのα,β−不飽和カ
ルボン酸およびその無水物、アクリルアミド、(メタ)
アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル
酸グリシジルエステルなどが使用できる。(B)グラフ
ト(共)重合体において用いる単量体または単量体混合
物の割合は、芳香族ビニル系単量体のみでも十分な物性
が得られるが、更にシアン化ビニル系単量体を含有させ
ることにより、顕著に耐衝撃性が向上する。
【0017】(B)グラフト共重合体において用いる単
量体または単量体混合物の割合は、芳香族ビニル系単量
体20〜100重量%、好ましくは40〜90重量%、
シアン化ビニル系単量体が0〜60重量%、好ましくは
10〜50重量%、およびこれらと共重合可能な他のビ
ニル系単量体0〜80重量%、好ましくは0〜50重量
%範囲の含有量のものが用いられる。芳香族ビニル系単
量体の割合が20重量%未満では、樹脂組成物の耐衝撃
性が劣り好ましくない。シアン化ビニル系単量体の割合
が60重量%を越える場合は、グラフト共重合体の熱安
定性が著しく低下し、成型品の外観および色調の悪い樹
脂組成物となり好ましくない。
【0018】(B)グラフト(共)重合体を得る際のゴ
ム質重合体と単量体または単量体混合物との割合は、全
グラフト共重合体100重量部に対して、ゴム質重合体
5〜80重量部、さらには10〜70重量部が好ましく
用いられる。また単量体または単量体混合物が95〜2
0重量部、好ましくは90〜30重量部である。ゴム質
重合体の割合が少ない場合では樹脂組成物の耐衝撃性が
劣り、多い場合はゴム質重合体が分散不良となり、樹脂
組成物の成形品の外観を損なう傾向がある。
【0019】(B)グラフト(共)重合体は公知の重合
法で得ることができる。例えばゴム質重合体ラテックス
の存在下に単量体および連鎖移動剤の混合物と乳化剤に
溶解したラジカル発生剤の溶液を連続的に重合容器に供
給して乳化重合する方法などによって得ることができ
る。
【0020】(B)グラフト(共)重合体は、ゴム質重
合体にグラフトした構造をとった材料の他に、グラフト
していない(共)重合体を含有する。(B)グラフト
(共)重合体のグラフト率は特に制限がないが、耐衝撃
性および光沢が均衡して優れる樹脂組成物を得るために
20〜120重量%、特に25〜70重量%が好まし
い。ここで、グラフト率は次式により算出される。 グラフト率(%)=<ゴム質重合体にグラフト重合した
ビニル系共重合体量>/<グラフト共重合体のゴム含有
量>×100
【0021】グラフトしていない(共)重合体の特性と
しては特に制限されないが、(B) グラフト共重合体のメ
チルエチルケトン可溶分の極限粘度[η](30℃で測
定)が、0.20〜0.6dl/g、特に0.25〜
0.55dl/gの範囲が、優れた耐衝撃性の樹脂組成
物が得られるため、好ましく用いられる。
【0022】本発明の樹脂組成物では、必要に応じて芳
香族ビニル系単量体または芳香族ビニル系単量体とシア
ン化ビニル系単量体などの他のビニル系単量体から誘導
される重合構造を有するビニル系重合体(C)が配合さ
れる。芳香族ビニル系単量体としてはスチレン、α−メ
チルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレ
ン、ビニルトルエン、o−エチルスチレンなどが挙げら
れるが、特にスチレンが好ましい。これらは1種または
2種以上を用いることができる。
【0023】またシアン化ビニル系単量体としてはアク
リロニトリル、メタクリロニトリルおよびエタクリロニ
トリルなどが挙げられるが、特にアクリロニトリルが好
ましい。
【0024】また、これらと共重合可能な他のビニル系
単量体としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、
N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミ
ドなどのマレイミド系単量体、(メタ)アクリル酸のメ
チル、エチル、プロピル、n−ブチルなどのエステル化
合物、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マ
レイン酸、フタル酸、イタコン酸などのカルボキシル基
を含有するビニル系単量体、アクリル酸グリシジル、メ
タクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、イタ
コン酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、スチレ
ン−p−グリシジルエーテル、p−グリシジルスチレン
などのエポキシ基を含有するビニル系単量体、アクリル
酸アミノエチル、アクリル酸プロピルアミノエチル、メ
タクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸エチル
アミノプロピル、メタクリル酸フェニルアミノエチル、
メタクリル酸シクロヘキシルアミノエチル、N−ビニル
ジエチルアミン、N−アセチルビニルアミン、アリルア
ミン、メタアリルアミン、N−メチルアリルアミン、ア
クリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリル
アミド、ブトキシメチルアクリルアミド、N−プロピル
メタクリルアミド、アミノ基がベンゼン環に結合したス
チレンなどのアミノ基または置換アミノ基を有するビニ
ル系単量体、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタク
リル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸3−ヒドロキ
シプロピル、メタクリル酸3−ヒドロキシプロピル、ア
クリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシ
ル、メタクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキ
シヘキシル、アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロ
キシペンチル、メタクリル酸2,3,4,5−テトラヒ
ドロキシペンチル、3−ヒドロキシ−1−プロペン、4
−ヒドロキシ−1−ブテン、シス−4−ヒドロキシ−2
−ブテン、トランス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、3
−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロペン、シス−5−
ヒドロキシ−2−ペンテン、トランス−5−ヒドロキシ
−2−ペンテン、1,4−ジヒドロキシ−2−ブテンな
どのヒドロキシル基を有するビニル系単量体、2−プロ
ペニル−2−オキサゾリン、エテニル−2−オキサゾリ
ン、2−(1−ブテニル)−2−オキサゾリンなどのオ
キサゾリン基を有するビニル系単量体などが挙げられ
る。
【0025】本発明では、必須成分ではないが、(C)
芳香族ビニル系単量体20〜100重量%とシアン化ビ
ニル系単量体0〜60重量%およびこれらと共重合可能
な他のビニル系単量体0〜80重量%とからなる単量体
または単量体混合物を重合してなるビニル系重合体を配
合することができる。
【0026】(C)ビニル系重合体において用いられる
単量体または単量体混合物は、芳香族ビニル系単量体の
みでも十分な物性が得られるため、芳香族ビニル系単量
体以外の単量体は必須成分ではないが、更にシアン化ビ
ニル系単量体を含有させることにより、耐衝撃性が著し
く向上し、それ以外のビニル系単量体、例えばマレイミ
ド系単量体を含有させることにより、耐熱性が向上す
る。
【0027】(C)ビニル系重合体において用いられる
単量体または単量体混合物の各成分の比は芳香族ビニル
系単量体20〜100重量%、好ましくは40〜90重
量%であり、シアン化ビニル系単量体0〜60重量%、
好ましくは10〜50重量%であり、他のビニル系単量
体0〜80重量%、好ましくは0〜50重量%である。
また、(C)ビニル系重合体の分子量としては特に制限
がないが、極限粘度[η](メチルエチルケトン溶媒、
30℃測定)が0.25〜1.0dl/g、特に0.3
〜0.7dl/gの範囲のものが、優れた耐衝撃性、成
形加工性の樹脂組成物が得られることから好ましく用い
られる。
【0028】(C)ビニル系重合体の製造法は特に制限
がなく、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法、塊状−
懸濁重合法、溶液−塊状重合法など通常の方法を用いる
ことができる。本発明で用いられる樹脂組成物(イ)
は、芳香族ポリカーボネート(A)、グラフト(共)重
合体(B)およびビニル系重合体(C)で構成され、そ
れらの比率が芳香族ポリカーボネート(A)10〜98
重量%、好ましくは40〜95重量%、グラフト(共)
重合体(B)90〜2重量%、好ましくは60〜5重量
%、およびビニル系重合体(C)0〜88重量%、好ま
しくは1〜55重量%の範囲になるように配合される。
芳香族ポリカ−ボネ−ト(A)が10重量%未満では得
られる熱可塑性樹脂組成物の難燃性、耐熱性が悪くな
り、98重量%を越える場合は、耐衝撃性、成形加工性
が悪くなる傾向がある。グラフト(共)重合体(B)が
90重量%を越える場合は、得られる熱可塑性樹脂組成
物の難燃性が悪くなり、2重量%未満では耐衝撃性、成
形加工性が悪くなる傾向がある。また、ビニル系重合体
が88重量%を越える場合は、難燃性、耐衝撃性、耐熱
性が低下する傾向がある。
【0029】本発明の(D)成分、すなわちガラス転移
温度が120℃以下であって、リン原子を含有するポリ
マー(以降、リン含有ポリマーと略称する)としては、
例えば一般式(1)で表される構造単位を有する重合体
(ポリホスフェート)が挙げられる。
【化2】 (ただし、式中、Arは2価の芳香族残基を表わし、炭
素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アラル
キル基、アリール基で置換されていても良い。
【0030】R1 は炭素数1〜12のアルキル基、シク
ロアルキル基、アラルキル基、アリール基を表わす。) ここで、数平均重合度は、難燃性、成形性の面からGP
C(ゲル パーミエション クロマトグラフィ、ポリス
チレン換算)によって測定される値として、20以上、
好ましくは40〜2000、特に好ましくは50〜10
00である。数平均分子量については数平均重合度nが
20以上となって算出される値が好ましいが、通常10
000以上、好ましくは12500〜500000、特
に好ましくは15000〜250000である。
【0031】前記一般式(1)においてArは2価の芳
香族残基を表わし、好ましくはヒドロキノン、レゾルシ
ノール、カテコール、4,4’−イソプロピリデンジフ
ェノール、4,4’−ビフェノール、4,4’−ジヒド
ロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジ
フェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェ
ノン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒ
ドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレ
ン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒド
ロキシナフタレンの残基であり、これらは炭素数1〜1
2、好ましくは炭素数1〜6、さらに好ましくは炭素数
1〜3のアルキル基で置換されていても良い。また、R
1 は炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、
アラルキル基、アリール基を表わし、好ましくはメチ
ル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチ
ル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチ
ル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−
ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、
シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シク
ロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロ
ドデシル、ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニ
ルエチル、フェニル、トルイル、キシリル、1−ナフチ
ル、2−ナフチル、メチル−1−ナフチル、メチル−2
−ナフチル、ジメチル−1−ナフチル、ジメチル−2−
ナフチルである。
【0032】前記ポリホスフェートは一般に下記の化学
反応式(3)に示されるようにリン酸ジクロリドとビス
フェノール類との重縮合によって製造できる。リン酸ジ
クロリドはオキシ塩化リンとアルコールあるいはフェノ
ール類との反応によって製造されるため、これを単離・
精製することなく、粗製物のままでビスフェノール類と
の重縮合を行うと副生物として低分子量ホスフェートや
架橋体が混入することもあるが、特に問題はない。さら
に先に説明した好ましい平均重合度または平均分子量を
とってれいればなお問題はない。
【化3】 (式中nは構造単位が繰返していることを意味する。1
以上の整数。)
【0033】また、ポリホスフェートの末端構造には特
に制限はなく、どのような構造であってもかまわない。
末端構造は重合反応中または反応後に求核試薬や求電子
試薬と反応させることにより変換することができる。
【0034】本発明におけるリン含有ポリマー(D)の
具体例として、次の例およびこれらの共重合体が挙げら
れるが、これに限定されるものではない。なお以下各式
中nは構造単位が繰返していることを意味し、1以上の
整数である。
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【0035】これらポリホスフェートのうち、特に下記
式(2)で表わされるヒドロキノン型ポリホスフェー
ト、およびその誘導体が難燃性、機械物性、経済性の面
から好ましく用いられる。
【0036】
【化8】 また、上記のポリホスフェートは少なくとも片側の末端
をヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、エポキ
シ基から選ばれた官能基を含有するものも含まれる。こ
れらの官能基を含有するポリホスフェートを用いると、
難燃性、耐衝撃性が顕著に向上する。
【0037】本発明におけるリン含有ポリマー(D)は
ガラス転移温度が120℃以下、好ましくは115℃以
下である。
【0038】リン含有ポリマー(D)のガラス転移温度
が120℃を越える場合は、得られる熱可塑性樹脂組成
物の難燃性が悪くなり好ましくない。
【0039】リン含有ポリマー(D)のガラス転移温度
の下限は特に限定されないが、作業性、コストの観点か
ら0℃以上、好ましくは20℃以上である。
【0040】本発明におけるリン含有ポリマー(D)の
添加量は、成形品の難燃性や機械物性の面から樹脂組成
物(イ)100重量部に対して1〜100重量部、好ま
しくは2〜80重量部、より好ましくは5〜50重量部
である。
【0041】リン含有ポリマー(D)の添加量が1重量
部未満では、熱可塑性樹脂組成物の難燃性が悪くなり、
100重量部を越える場合は、耐熱性が悪くなり好まし
くない。
【0042】本発明で用いられる(E)フェノール系樹
脂とは、フェノール性水酸基を複数有する重合体であれ
ば任意であり、例えばノボラック型、レゾール型および
熱反応型の樹脂、あるいはこれらを変性した樹脂が挙げ
られる。
【0043】(E)フェノール系樹脂は特に限定するも
のではなく市販されているものなどが用いられる。例え
ば、ノボラック型フェノール樹脂の場合、フェノール類
とアルデヒド類のモル比を1:0.7〜1:0.9とな
るような比率で反応槽に仕込み、更にシュウ酸、塩酸、
硫酸、トルエンスルホン酸等の触媒を加えた後、加熱
し、所定の時間還流反応を行う。生成した水を除去する
ため真空脱水あるいは静置脱水し、更に残っている水と
未反応のフェノール類を除去する方法により得ることが
できる。これらの樹脂あるいは複数の原料成分を用いる
ことにより得られる共縮合フェノール樹脂は単独あるい
は二種以上用いることができる。
【0044】また、レゾール型フェノール樹脂の場合、
フェノール類とアルデヒド類のモル比を1:1〜1:2
となるような比率で反応槽に仕込み、水酸化ナトリュウ
ム、アンモニア水、その他の塩基性物質などの触媒を加
えた後、ノボラック型フェノール樹脂と同様の反応およ
び処理をして得ることができる。
【0045】ここで、フェノール類とはフエノール、o
−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、チモ
ール、p−tert−ブチルフェノール、tert−ブ
チルカテコール、カテコール、イソオイゲノール、o−
メトキシフェノール、4,4’−ジヒドロキシフェニル
−2,2−プロパン、サルチル酸イソアミル、サルチル
酸ベンジル、サルチル酸メチル、2,6−ジ−tert
−ブチル−p−クレゾール等が挙げられる。これらのフ
ェノール類は一種または二種以上用いることができる。
一方、アルデヒド類とはホルムアルデヒド、パラホルム
アルデヒド、ポリオキシメチレン、トリオキサン等が挙
げられる。これらのアルデヒド類は必要に応じて一種ま
たは二種以上用いることができる。
【0046】フェノール系樹脂の分子量は特に限定され
ないが、好ましくは数平均で300〜2,000であ
り、特に500〜1,500の範囲のものが機械的物
性、成形加工性、経済性に優れ好ましい。なおフェノー
ル系樹脂はテトラヒドラフラン溶液、フェノール樹脂分
子量標準サンプルを使用することによりゲルパーミエー
ション法で測定できる。
【0047】本発明では、フェノール樹脂(E)は必須
成分ではないが、添加量は、成形品の難燃性や機械物性
の面から樹脂組成物(イ)100重量部に対して0〜2
0重量部、好ましくは0〜10重量部、より好ましくは
0.1〜5重量部である。
【0048】フェノール樹脂(E)の添加量が多いと、
熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が悪くなる傾向がある。
【0049】本発明で配合できる成分である(F)フッ
素系樹脂とは、テトラフルオロエチレン構造を含有する
重合体であり、好ましくはフッ素含量65〜76重量
%、さらに好ましくは70〜76重量%を有するもので
ある。例えばテトラフルオロエチレン重合体、テトラフ
ルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、
およびテトラフルオロエチレンとフッ素を含まないエチ
レン性不飽和モノマ−との共重合体などが挙げられる。
【0050】(F)フッ素系樹脂の製造方法は特に制限
がなく、例えば水性媒体中で、触媒ペルオキシ二硫酸ナ
トリウム、カリウムまたはアンモニウムを用いて、7〜
71kg/cm2 の圧力下、0〜200℃の温度におい
て、テトラフルオロエチレン等の重合を行うなどの公知
の方法を用いることができる。
【0051】(F)フッ素系樹脂は、通常比重2.0〜
2.5g/cm3,融点310〜350℃の粉末状のも
のが用いられるが、特に制限されない。またフッ素系樹
脂の形状は任意であるが、好ましくはASTM D14
57で測定された粒子径(二次)10〜600μmであ
る粉末状のものが用いられる。
【0052】本発明で配合できるもうひとつの(F)成
分であるケイ素含有重合体とは、ポリオルガノシロキサ
ンを有するものであるが、なかでもポリオルガノシロキ
サン、およびポリオルガノシロキサンと炭化水素基の構
造単位をもつ重合体とが化学結合したシリコーン系樹脂
が例示される。ケイ素含有重合体の数平均分子量として
は特に制限されないが、その下限としては200、さら
に1000であることが好ましく、また上限として特に
制限はなく、架橋体、すなわち無限分子量のものも使用
できる。形状としては、オイル、ガム、ワニス、粉体、
ペレットなど任意のものが使用できる。
【0053】ポリオルガノシロキサンとしてはポリジメ
チルシロキサン、ポリフェニルメチルシロキサン、ポリ
ジフェニルシロキサン、ポリメチルエチルシロキサン、
ポリメチルプロピルシロキサン、ポリメチルハイドロジ
ェンシロキサン、およびこれらの共重合体などが挙げら
れる。さらに分子構造の末端または側鎖が、エポキシ
基,水酸基、カルボキシル基、メルカプト基、アミノ
基、エーテル結合を有する有機基などによって置換した
変性物、また架橋体も有用である。
【0054】シリコーン系樹脂としてはポリオルガノシ
ロキサン(f1)5〜90重量部、さらに10〜80重量
部、更に20〜70重量部と炭化水素基の構造単位をも
つ重合体(f2)95〜10重量部、90〜20重量部、更
に90〜20重量部の範囲((f1)と(f2)との和100重
量部)の組成となっていることが好ましい。
【0055】さらにシリコーン系樹脂としてはポリオル
ガノシロキサンの架橋体の存在下にビニル系単量体を重
合させた構造のものが好ましく使用される。
【0056】具体的にはポリオルガノシロキサンの存在
下に、ビニル系単量体(f2)95〜10重量部、好ましく
は90〜20重量部、更に好ましくは90〜20重量部
[(f1)+(f2)=100重量部]を重合して得ら
れる。
【0057】ポリオルガノシロキサンの架橋体として
は、ラジカル開始剤によるラジカル反応によるもの、白
金触媒によるビニル基とケイ素原子に直結された水素原
子との付加反応によるもの、加水分解性基を有するケイ
素化合物により縮合反応によるものなど利用できる。
【0058】縮合反応を起こさせるケイ素化合物がもつ
加水分解性基としてはアルコキシ基、アシルオキシ基、
ケトキシメート基、イソプロペノキシ基、アミノ基、ア
ミノオキシ基、ハロゲン原子などが挙げられるこのよう
な化合物としては、重合性基をもたないものとして、ト
リメトキシメチルシラン、トリエトキシフェニルシラ
ン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テ
トラブトキシシラン等の3官能性および4官能性のシラ
ン系架橋剤が挙げられる。
【0059】またビニル系単量体とグラフト交叉する機
能を有する、すなわち重合性不飽和結合をもつケイ素化
合物の配合が好ましく、β−メタクリロイルオキシエチ
ルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシ
プロピルメトキシジメチルシラン、γ−メタクリロイル
オキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリ
ロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタク
リロイルオキシプロピルエトキシジエチルシラン、γ−
メタクリロイルオキシプロピルジエトキシメチルシラ
ン、pービニルフェニルメチルジメトキシシラン、2−
(m−ビニルフェニル)エチルメチルジメトキシシラ
ン、2−(o−ビニルフェニル)エチルメチルジメトキ
シシラン、1−(m−ビニルフェニル)エチルメチルジ
メトキシシラン、1−(o−ビニルフェニル)エチルメ
チルジメトキシシランなどが挙げられる。
【0060】ビニル系単量体としては、上記グラフト
(共)重合体(B)で用いられる芳香族ビニル系単量
体、シアン化ビニル系単量体、マレイミド系単量体、
α,β−不飽和カルボン酸アルキルエステル等から任意
に選んで1種以上用いることができる。必要に応じ、上
記ビニル系単量体に対して、エチレングリコールジメタ
クリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、
トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート
等の多官能性アルキル(メタ)アクリレートも使用でき
る。
【0061】このようなシリコーン系樹脂の製造方法
は、特に制限されないが、例えば、特開平6−1164
71号公報に記載のものを用いることができる。具体的
には、三菱レイヨン“メタブレン”S2001などが市
販されている。
【0062】本発明における(F)フッ素系樹脂および
/またはケイ素含有重合体の配合量は、樹脂組成物
(イ)100重量部に対し、それぞれ0.01〜5重量
部、好ましくは0.05〜3.0重量部、特に好ましく
は0.1〜2.0重量部である。
【0063】(F)フッ素系樹脂および/またはケイ素
含有重合体の配合量が0.01重量部未満では熱可塑性
樹脂組成物の難燃性が悪くなり、5重量部を越える場合
は耐衝撃性が悪くなり好ましくない。
【0064】本発明ではさらにガラス繊維、ガラスフレ
ーク、ガラスビーズ、炭素繊維、アスベスト、チタン酸
カリウムウィスカー、ワラステナイト、タルク、マイ
カ、クレー、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタ
ン、酸化アルミニウム、硼酸亜鉛から選ばれる1種以上
の充填材を配合すると組成物の強度が向上する。
【0065】充填材の使用量は成形品の機械物性や表面
外観の面から樹脂組成物(イ)100重量部に対して1
〜50重量部、好ましくは5〜40重量部、さらに好ま
しくは10〜30重量部である。
【0066】中でも好ましい充填材はガラス繊維であ
り、溶融状態のガラスをノズルから急速に引き出した
り、引き延ばしたり、圧縮空気で吹き飛ばして繊維状に
したものであって、樹脂材料の強化材として一般に用い
られている1〜15μm程度の太さのものが使用でき
る。その形態としてはフィラメント、ストランド、ヤー
ン、ロービング、チョップトストランド、ロービングク
ロス、ミルドファイバーなど種々の形態が知られている
がチョップトストランド、ミルドファイバーが好まし
い。
【0067】本発明の樹脂組成物の製造方法に関しては
特に制限はなく、例えば(A)芳香族ポリカ−ボネ−
ト、(B)グラフト(共)重合体、(C)ビニル系重合
体、(D)リン含有ポリマーおよび(F)フッ素系樹脂
および/またはケイ素含有重合体の混合物をバンバリー
ミキサー、ロール、単軸または多軸のエクストルーダ
ー、ニーダーなどで溶融混練することによって製品化さ
れる。
【0068】本発明の熱可塑性樹脂組成物は樹脂組成物
(イ)に対し、他の樹脂を50重量%以下配合すること
ができる。例えばポリフェニレンエーテル、ポリグルタ
ルイミド、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレー
トなどを混合して耐衝撃性、耐熱性の改良を、またポリ
オレフィン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリアミドなどを混合して、耐薬品
性を改良することができる。さらに必要に応じて、リン
系、イオウ系などの酸化防止剤、紫外線吸収剤などの各
種安定剤、顔料、染料、滑剤および可塑剤などを添加す
ることもできる。
【0069】本発明の熱可塑性樹脂組成物は溶融成形さ
れて、樹脂成形品となり用いられる。この樹脂成形品
は、その難燃性をはじめとする特徴からOA機器、家電
機器などのハウジングおよびそれらの部品類に有用であ
る。
【0070】
【実施例】本発明をさらに具体的に説明するために、以
下、実施例および比較例を挙げて説明する。なお、実施
例中の部数および%はそれぞれ重量部および重量%を示
す。
【0071】参考例1 (A)芳香族ポリカ−ボネ−ト ビスフェノールAとホスゲンから合成され、テトラヒド
ロフラン溶媒で、30℃測定の極限粘度が0.48dl
/gである芳香族ポリカーボネートを使用した。 参考例2 (B)グラフト(共)重合体の調製 以下にグラフト共重合体の調製方法を示す。なおグラフ
ト率は次の方法で求めたものである。グラフト共重合体
の所定量(m)にアセトンを加え4時間還流した。この
溶液を8000rpm(10,000G)30分遠心分
離後、不溶分を濾過した。この不溶分を70℃で5時間
減圧乾燥し、重量(n)を測定した。 グラフト率=[(n)−(m)×L]/[(m)×L]
×100 ここでLはグラフト共重合体のゴム含有率を意味する。
【0072】<B−1>ポリブタジエンラテックス(平
均ゴム粒子径0.32μ、ゲル含率88%)60部(固
形分換算)の存在下でスチレン70%、アクリロニトリ
ル30%からなる単量体混合物40部を乳化重合した。
得られたグラフト共重合体は硫酸で凝固し、苛性ソーダ
で中和、洗浄、ろ過、乾燥してパウダー状のグラフト共
重合体(B−1)を調製した。
【0073】得られたグラフト共重合体はグラフト率が
35%であった。このグラフト共重合体はスチレン構造
単位70%およびアクリロニトリル構造単位30%から
なる非グラフト性の共重合体を17%含有するものであ
った。またメチルエチルケトン可溶分の極限粘度は0.
37dl/gであった。
【0074】<B−2>ポリブタジエンラテックス(平
均ゴム粒子径0.21μ、ゲル含率80%)45部(固
形分換算)の存在下でスチレン79%、アクリロニトリ
ル21%からなる単量体混合物55部を乳化重合した。
得られたグラフト共重合体を硫酸で凝固し、苛性ソーダ
で中和、洗浄、ろ過、乾燥して、パウダー状のグラフト
共重合体(B−2)を調製した。得られたグラフト共重
合体はB−1と同じ方法で測定し、グラフト率が41%
であった。またこのグラフト共重合体には、スチレン構
造単位79%およびアクリロニトリル構造単位21%か
らなる非グラフト性の共重合体を36%含有するもので
あった。またメチルエチルケトン可溶分の極限粘度は
0.35dl/gであった。
【0075】参考例3 (C)ビニル系重合体の調製 <C−1>スチレン70%、アクリロニトリル30%の
単量体混合物を懸濁重合して共重合体(C−1)を調製
した。得られた共重合体はメチルエチルケトンでの極限
粘度が0.51dl/gであった。
【0076】<C−2>スチレン75%、アクリロニト
リル25%、メタクリル酸5%の単量体混合物を懸濁重
合して共重合体(C−2)を調製した。得られた共重合
体はメチルエチルケトンでの極限粘度が0.56dl/
gであった。
【0077】参考例4 (D)リン含有ポリマー 下記化学構造式(A)、(B)、(C)、(D)、
(E)、(F)、(G)のものを使用した。なお各化学
構造式でnは数平均での重合度を意味する。
【化9】
【0078】これらのリン含有ポリマーのガラス転移温
度Tgは、化学構造式(A)が20℃、化学構造式
(B)が55℃、化学構造式(C)が89℃、化学構造
式(D)が92℃、化学構造式(E)が80℃、化学構
造式(G)が147℃である。なお、化学構造式(F)
はTgを示さない。
【0079】参考例5 (E)フェノール樹脂 数平均分子量700のノボラック型フェノール樹脂(P
R−53195、住友デュレズ(株)製)を使用した。
【0080】参考例6 (F)フッ素系樹脂およびケイ
素含有重合体 F−1:ポリテトラフルオロエチレンであるポリフロン
F201(ダイキン工業(株)製)(ASTM D14
57で測定の粒子径(二次)が0.5mm、融点340
℃)を使用した。
【0081】F−2:ポリオルガノシロキサン系ゴム強
化樹脂であるメタブレンS2001(三菱レイヨン
(株)製)を使用した。
【0082】実施例1〜14 参考例で示した(A)芳香族ポリカ−ボネ−ト、(B)
グラフト(共)重合体、(C)ビニル系重合体、(D)
リン含有ポリマー、(E)フェノール樹脂、および
(F)フッ素系樹脂、またはケイ素含有重合体を表1に
示した配合比で混合し、ベント付30mmφ2軸押出機で
樹脂温度220℃で溶融混練、押出しを行うことによっ
て、ペレット状のポリマを製造した。次いで射出成形機
により、シリンダー温度260℃、金型温度60℃で試
験片を成形し、次の条件で物性を測定した。 1/4″アイゾット衝撃強さ:ASTM D256−5
6A 1/8″アイゾット衝撃強さ:ASTM D256−5
6A 耐熱性:ASTM D648 (試験厚:1/4”、1
8.56kg/cm2 荷重) MFR:JIS K7210 (250℃、荷重:21
60g)大きい値を示す方が成形時の流動性良好である
ことを意味する。 難燃性:UL94規格に従い、垂直型燃焼テストを1/
16″×1/2″×5″の燃焼試験片で行った。 得られた試験片の測定結果を表2に示した。
【0083】
【表1】
【0084】
【表2】
【0085】比較例1〜11 参考例で調製した(A)芳香族ポリカ−ボネ−ト、
(B)グラフト(共)重合体、(C)ビニル系重合体、
(D)リン含有ポリマー、(F)フッ素系樹脂、または
ケイ素含有重合体を表1に示した配合比で混合し、実施
例と同様の方法で各物性を測定した。測定結果を表2に
示した。表2の結果から次のことが明らかである。本発
明の樹脂組成物(実施例1〜14)はいずれも耐衝撃
性、耐熱性、流動性および難燃性が均衡してすぐれる。
一方、芳香族ポリカ−ボネ−ト(A)の配合量が10重
量%未満の場合(比較例1)は耐熱性、難燃性が劣り、
98重量%を越える場合(比較例2)は耐衝撃性、流動
性が劣り好ましくない。グラフト(共)重合体(B)の
配合量が90重量%を越える場合(比較例3)は難燃性
が劣り、2重量%未満の場合(比較例4)は耐衝撃性が
劣り好ましくない。リン含有ポリマー(D)の配合量が
1重量部未満の場合(比較例5)は難燃性が劣り、10
0重量部を越える場合(比較例6)は耐衝撃性、耐熱性
が劣り好ましくない。フッ素系樹脂および/またはケイ
素含有重合体(F)の配合量が0.01重量部未満の場
合(比較例8)は難燃性が劣り好ましくない。リン含有
ポリマー(D)のガラス転移温度が120℃を越える場
合(比較例11)は難燃性が悪くなり好ましくない。
【0086】
【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、臭素お
よび塩素化合物を含有せず、すぐれた難燃性、耐衝撃
性、耐熱性、流動性をもつものである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 85/02 C08L 85/02 //(C08L 69/00 51:04 25:00 85:02 61:06 27:12 83:04) (C08L 69/00 55:02 25:00 85:02 61:06 27:12 83:04) (C08K 13/04 3:00 5:00 7:04)

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)芳香族ポリカ−ボネ−ト10〜98
    重量%、(B)ゴム質重合体に芳香族ビニル系単量体ま
    たは芳香族ビニル系単量体を含む単量体混合物をグラフ
    ト重合してなるグラフト(共)重合体90〜2重量%、
    および(C)芳香族ビニル系単量体20〜100重量%
    とシアン化ビニル系単量体0〜60重量%およびこれら
    と共重合可能な他のビニル系単量体0〜80重量%とか
    らなる単量体または単量体混合物を重合してなるビニル
    系重合体0〜88重量%からなる樹脂組成物(イ)10
    0重量部に対し、(D)ガラス転移温度が120℃以下
    であるリン原子を含有するポリマー1〜100重量部、
    (E)フェノール系樹脂0〜20重量部および(F)フ
    ッ素系樹脂0.01〜5重量部および/またはケイ素含
    有重合体0.01〜5重量部を配合してなる熱可塑性樹
    脂組成物。
  2. 【請求項2】リンを含有するポリマー(D)が一般式
    (1)で表される構造単位を有するポリホスフェートで
    あることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂組成
    物。 【化1】 (ただし、式中、Arは2価の芳香族残基を表わし、炭
    素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アラル
    キル基、アリール基で置換されていても良い。R1 は炭
    素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アラル
    キル基、アリール基を表わす。)
  3. 【請求項3】一般式(1)の構造単位を有するポリホス
    フェート(D)の数平均重合度が20〜2000である
    請求項2記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】一般式(1)で表されるポリホスフェート
    (D)の式中、Arがアリーレン基で、R1 がアリール
    基であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載
    の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】フェノール樹脂(E)の添加量が樹脂組成
    物(イ)100部に対して、0.1〜10重量部である
    ことを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の熱可塑
    性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】フッ素系樹脂(F)がフッ素原子を65〜
    76重量%含有するポリオレフィン系樹脂であることを
    特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の熱可塑性樹脂
    組成物。
  7. 【請求項7】(B)グラフト(共)重合体が芳香族ビニ
    ル系単量体20〜100重量%とシアン化ビニル系単量
    体0〜60重量%およびこれらと共重合可能な他のビニ
    ル系単量体0〜80重量%とからなる単量体混合物95
    〜20重量部を、ゴム質重合体5〜80重量部にグラフ
    ト重合してなるものである請求項1〜6いずれかに記載
    の熱可塑性樹脂組成物。
  8. 【請求項8】樹脂組成物(イ)100重量部に対して、
    無機または有機充填材1〜50重量部を含有する1〜7
    いずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  9. 【請求項9】請求項1〜8いずれかの熱可塑性樹脂組成
    物を溶融成形してなる成形品。
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