JPH0323284B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ＜技術分野＞ 本発明は工作物の穴を切削する中ぐり加工装置
に関するものである。

＜従来技術＞ 刃具を異なる加工穴径に対応した複数段のせり
出し量に自動的に切替え可能とした中ぐり加工装
置は実開昭55−75403号公報により公知である。

ところが、この従来装置では、多種類の穴径に
対応させるにはカム部材を長くして多段のカム面
を形成しなければならず、そのためクイルが長く
なつて振れ等が発生しやすくなり、また位置決め
機構も複雑となる。従つて、現実には２種類の穴
径にしか対応できなかつた。

＜発明の目的＞ 本発明は、中ぐりクイルを長くすることなく刃
具を任意の穴径に対応させ、かつ高精度な摩耗補
正を行えるようにしたものである。

＜発明の構成＞ 本発明は、軸頭本体に主軸を回転自在に軸承
し、この主軸内に主軸軸線に対して偏心した位置
に偏心軸を割出回転可能に軸承し、この偏心軸の
先端に中ぐりクイルを偏心軸と同心的に固定し、
この中ぐりクイルに刃具を半径方向に進退可能に
取付け、前記主軸内に前記偏心軸の後端に設けた
リードねじと螺合した可動筒を主軸軸線方向にの
み移動可能に支持し、この可動筒を工作物の加工
径に応じて軸方向に移動させ前記刃具の主軸軸線
からの回転半径を前記工作物の加工径に対応させ
るべく前記偏心軸を回転割出しする回転割出機構
を設け、前記偏心軸の外周面に設けた係合面に係
合して偏心軸を主軸の回転方向に一体連結するク
ランパを設け、このクランパを係合面より解脱す
るアンクランプ装置を設け、前記中ぐりクイル並
びに偏心軸内に進退軸を偏心軸と同心的に軸線方
向にのみ移動可能に貫通させ、この進退軸の先端
にカムを設け、このカムと前記刃具とを作動ピン
を介して連結し、前記主軸の後端に主軸と同心的
に連結軸を軸方向にのみ相対移動可能に連結し、
この連結軸の先端に前記進退軸を偏心した位置に
回転のみ可能に軸承し、前記連結軸の後端に前記
刃具の摩耗補正量に応じて連結軸を介して進退軸
を軸方向に移動させる刃具せり出し機構を設けて
なる中ぐり加工装置である。

＜実施例＞ 以下本発明の実施例を図面に基いて説明する。
第１図において、１はスライドテーブルで、図略
のベース上で主軸の軸線と平行に移動する。この
スライドテーブル１上には主軸頭２が固設され、
この主軸頭２に主軸３がベアリングによつて回転
自在に軸承されている。主軸３の後端部にはプー
リ４が固着されており、図略のモータとの間にベ
ルトが掛けられている。

前記主軸３内に主軸軸心線０１に対して偏心し
た軸心線０２で偏心軸５が単独割出回転並びに主
軸３と一体回転可能に軸承されている。この偏心
軸５の先端に偏心軸５の軸心線０２と同心で中ぐ
りクイル６が取付けられている。中ぐりクイル６
には、前記偏心軸５の軸心線０２と直交する方向
に進退可能な刃具７が取付けられている。８は刃
具７を進退可能とする可撓部である。

前記偏心軸５の単独割出回転機構は次の通りで
ある。偏心軸５の後端部外周に運動変換機構とし
てのリードねじ９を設け、これに可動筒１０を螺
合する。この可動筒１０は主軸３に軸線方向には
相対摺動可能であり、回転方向は主軸３と一体回
転すべくキー部材１１で主軸３と係合している。
可動筒１０の後端部は主軸３の後端面より外部に
突出し、この突出した可動筒１０の後端部には連
結体１２が可動筒１０の回転を許容し、軸線方向
の移動は拘束して結合されている。この連結体１
２は、主軸頭２にブラケツト等を介して固設した
歯車箱１４より主軸３と平行な軸線で突出してい
る送りねじ１５にナツト１６を介して螺合されて
おり、送りねじ１５は歯車箱１４に固設されたサ
ーボモータ１３の正逆回転により歯車箱１４内の
歯車機構で減速回転し、連結体１２を進退移動さ
せ、この連結体１２の進退移動を可動筒１０に伝
え、可動筒１０の進退移動によりリードねじ９を
介して偏心軸５を、その偏心軸線０２回りに割出
回転させるようにしたものである。

さらに、偏心軸５を主軸３と一体回転させる機
構は次の通りである。主軸３にその軸線と平行な
クランプロツド１７を軸線方向に進退移動可能に
設け、クランプロツド１７の先端にクランパ１８
を設ける。クランプロツド１７には、常にクラン
プロツド１７を前進方向に押動するクランプ用ス
プリング２０が設けられており、このクランプロ
ツド１７の前進移動で前記クランパ１８が偏心軸
５の先端外周に設けた係合面１９に係合して主軸
３と偏心軸５とを回転方向に一体に結合してい
る。前記偏心軸５の単独割出回転時にはクランパ
１８を係合面１９より解脱する必要があるため、
そのアンクランプ機構として、前記クランプロツ
ド１７の後端に可動ブロツク２１を設け、主軸３
上に移動リング２２を軸線方向に摺動可能に、ま
た主軸３と相対回転可能に設ける。そして、前記
可動ブロツク２１と移動リング２２とを連結ピン
２３にて連結する。さらに、主軸頭２上にアンク
ランプ用シリンダ２４を設置し、そのピストンロ
ツド端に係合ブロツク２５を設ける。この係合ブ
ロツク２５と移動リング２２との間に、枢支ピン
２７にて前後方向に回動可能な回動レバー２６を
主軸頭２に枢支し、回動レバー２６の一端は前記
係合ブロツク２５に係合させ、他端は、第３図に
示すように係合ローラ５１を介して移動リング２
２と係合した構造とし、クランプロツド１７をク
ランプ用スプリング２０の前進押動力に抗して後
退移動させてアンクランプとするようにしたもの
である。

次に中ぐりクイル６の先端の刃具７を進退作動
させる機構について第１図及び第２図によつて説
明する。この刃具７の進退は主として刃具７の摩
耗を補正するせり出しである。前記したように、
刃具７は可撓部８によつて進退可能に中ぐりクイ
ル６の先端に取付けられている。そこで、中ぐり
クイル６の軸心内に軸線方向に進退摺動可能にせ
り出し杆２９を設ける。このせり出し杆の先端に
カム面３０を形成し、このカム面３０と刃具７の
背面との間に可動ピン３１を介装し、図例の場合
はせり出し杆２９を後退移動させることにより可
動ピン３１を介して刃具７のせり出しが行われる
ようにされている。前記せり出し杆２９後端は偏
心軸５の軸線内を縦貫する進退軸２８の先端と結
合されている。また進退軸２８の後端は、主軸３
と同心の連結軸３２の先端と接合されている。こ
の連結軸３２は前記の通り主軸３と同心であり、
主軸３と一体回転し、かつ軸方向に進退移動を許
容し、さらに偏心軸５の軸心線０２と同心の進退
軸２８と接合されなければならない。従つてその
継手３３は、主軸３に対し回転方向を係合し、軸
方向の移動を許容している。そして、この継手３
３に進退軸２８の後端は相対回転を可能に、また
軸方向の移動は拘束して結合されている。

前記連結軸３２を進退作動して刃具７のせり出
しを行う補正装置は第２図に示す通りである。す
なわち、主軸頭２が固設されている同一のスライ
ドテーブル１上に固設した支持台３４に、前記連
結軸３２と同心のシリンダ３５を設け、このシリ
ンダ３５内にピストン３６を進退移動可能に嵌挿
する。このピストン３６の左右両面にはシリンダ
３５の左右両側壁より外部に突出するピストンロ
ツド３７ａ，３７ｂが設けられている。この一方
のピストンロツド３７ａ，３７ｂの先端には連結
ブロツク３９が設けられ、これに前記連結軸３２
の後端が回転を許容し軸方向の移動を拘束して連
結している。またピストンロツド３７ａ上に中間
ブロツク３８が設けられ、この中間ブロツク３８
にピストンロツド３７ａの軸線と直交する回り止
め軸４２が突設され、支持台３４に固設したブラ
ケツト４０の案内面４１に当接している。

さらに他取のピストンロツド３７ｂ上にはスト
ツパ筒軸４３が軸方向に摺動自在に嵌合されてお
り、ストツパ筒軸４３の先端は前記シリンダ３５
内に出没可能に突出している。このストツパ筒軸
４３上にはねじ５２とスプライン４９とが設けら
れ、ねじ５２は支持台３４に固設した固定ナツト
４４に螺合し、スプライン４９は支持台３４に回
転自在に支持した大径歯車４８にスプライン嵌合
している。また、支持台３４上に刃具せり出し用
のパルスモータ４５が固設されており、このパル
スモータ４５の回転軸４６上に前記大径歯車４８
と噛合する小径歯車４７が設けられている。５０
はパルスモータ４５の回転量検出装置であり、例
えば歯形車と近接スイツチによつて構成されてい
る。

本発明は上記の通りの構造であるから、工作物
の穴径切削加工においては、クランプ用スプリン
グ２０によつてクランプロツド１７は前進し、ク
ランパ１８が偏心軸５の係合面１９に係合し、主
軸３と偏心軸５とは回転方向が一体となつてい
る。従つてプーリ４に伝達される回転力で主軸３
と偏心軸５は一体回転する。また偏心軸５のリー
ドねじ９に螺合する可動筒１０も主軸３並びに偏
心軸５と一体回転する。さらに可動筒１０と回転
方向のみ係合している連結軸３２も主軸３と一体
回転する。

前記主軸３と一体回転する偏心軸５は主軸３の
軸心線０１を中心として回転する。従つて中ぐり
クイル６の先端の刃具７の刃先の旋回軌跡は主軸
３の軸心線０１を中心とする半径円となり、この
半径長さは主軸３に対し偏心軸５を任意位置に回
転割出しすることによつて変更するものである。

加工穴径の変更により前記偏心軸５の回転割出
しは次の動作によつて行われる。先ず、アンクラ
ンプ用シリンダ２４が作動し、回動レバー２６を
第１図において時計方向に回動し移動スリーブ２
２を左方にシフトさせる。この移動スリーブ２２
の左方シフトによつてクランプロツド１７もクラ
ンプ用スプリング２０を圧縮して左方シフトさ
れ、クランパ１８を係合面１９より外して主軸３
と偏心軸５との回転方向の係合を解除し、偏心軸
５の単独回転を可能な状態にする。

次いで、所要の割出信号を受けたサーボモータ
１３が正逆何れかに回転して送りねじ１５を回転
する。この送りねじ１５の回転に基いて連結体１
２は進退移動し、可動筒１０を進退移動させる。
可動筒１０の進退移動でリードねじ９により偏心
軸５は正逆回転し、主軸３の軸心線０１を中心と
する刃具７の刃先の旋回半径長を加工すべき穴径
に対応するよう割出しするのである。

次に刃具７の摩耗を補正する動作は次の通りで
ある。すなわち、補正指令に基いてパルスモータ
４５が作動し小歯車４７により大歯車４８を回転
させる。この大歯車４８の回転はスプライン４９
によつてストツパ筒軸４３に伝達し、固定ナツト
４４に螺合するねじ５２によつてストツパ筒軸４
３を第２図において左方に微量移動し、シリンダ
３５内に突出している先端位置を微量後退させピ
ストン３６の後退端（図において左進端）を規定
する。従つて、前記ピストン３６は前進端で刃具
７は最も逃がされている後退位置にあるが、ピス
トン３６をストツパ筒軸４３で規定する後退端に
移動させることによりピストンロツド３７ａ、連
結軸３２及び進退軸２８を介してせり出し杆２９
を後退移動させ、カム面３０によつて可動ピン３
１を介して刃具７を所要の補正量でせり出すので
ある。

尚、上記刃具７の摩耗による補正せり出しの他
に、穴の切削加工後に中ぐりクイル６を加工穴よ
り引き抜くときに、ピストン３６を前進端に移動
して刃具７を後退して逃がし、刃具７が加工面に
当らないようにして加工面の傷付きを防止するた
めにも用いられる。

＜効果＞ 以上のように本発明によると、回転割出機構に
よつて偏心軸を回転割出することにより、中ぐり
クイル先端の刃具は工作物の加工径に応じて主軸
軸心からの切削半径が無段階に設定され、クイル
を長くすることなく多種類の穴径に対応させるこ
とができる。

また、刃具せり出し機構とによつて互いに連結
軸及び進退軸を一体的に進退させることにより、
前記設定された刃具の摩耗量を補正することがで
き、常に設定された穴加工寸法の高精度な切削加
工が得られる。

さらに、前記回転割出、刃具せり出し並びに偏
心軸と主軸とを一体総合及び解除する連結機構は
全て指令信号に基づくアクチユエータの作動によ
る全自動で動作され、作業者の手動調整による手
間や調整誤差が解消される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の軸頭部の断面図、第２図は刃
具補正作動装置部の断面図、第３図は第１図−
線断面図である。 １……スライドテーブル、２……主軸筒、３…
…主軸、５……偏心軸、６……中ぐりクイル、７
……刃具、９……リードねじ、１０……可動筒、
１２……連結体、１３……サーボモータ、１５…
…送りねじ、１７……クランプロツド、１８……
クランパ、１９……係合面、２０……クランプ用
スプリング、２４……アンクランプ用シリンダ、
２８……進退軸、２９……せり出し杆、３０……
カム面、３２……連結軸、３４……支持台、３５
……シリンダ、３６……ピストン、３７ａ，３７
ｂ……ピストンロツド、４３……ストツパ筒軸、
４４……固定ナツト、４５……パルスモータ、４
７……小歯車、４８……大歯車、４９……スプラ
イン、５０……回転量検出装置、５２……ねじ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 軸頭本体に主軸を回転自在に軸承し、この主
   軸内に主軸軸線に対して偏心した位置に偏心軸を
   割出回転可能に軸承し、この偏心軸の先端に中ぐ
   りクイルを偏心軸と同心的に固定し、この中ぐり
   クイルに刃具を半径方向に進退可能に取付け、前
   記主軸内に前記偏心軸の後端に設けたリードねじ
   と螺合した可動筒を主軸軸線方向にのみ移動可能
   に支持し、この可動筒を工作物の加工径に応じて
   軸方向に移動させ前記刃具の主軸軸線からの回転
   半径を前記工作物の加工径に対応させるべく前記
   偏心軸を回転割出しする回転割出機構を設け、前
   記偏心軸の外周面に設けた係合面に係合して偏心
   軸を主軸の回転方向に一体連結するクランパを設
   け、このクランパを係合面より解脱するアンクラ
   ンプ装置を設け、前記中ぐりクイル並びに偏心軸
   内に進退軸を偏心軸と同心的に軸線方向にのみ移
   動可能に貫通させ、この進退軸の先端にカムを設
   け、このカムと前記刃具とを作動ピンを介して連
   結し、前記主軸の後端に主軸と同心的に連結軸を
   軸方向にのみ相対移動可能に連結し、この連結軸
   の先端に前記進退軸を偏心した位置に回転のみ可
   能に軸承し、前記連結軸の後端に前記刃具の摩耗
   補正量に応じて連結軸を介して進退軸を軸方向に
   移動させる刃具せり出し機構を設けてなる中ぐり
   加工装置。