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JPH09276948A - 絞りしごき缶用樹脂被覆アルミニウム合金板 - Google Patents

絞りしごき缶用樹脂被覆アルミニウム合金板

Info

Publication number
JPH09276948A
JPH09276948A JP8119588A JP11958896A JPH09276948A JP H09276948 A JPH09276948 A JP H09276948A JP 8119588 A JP8119588 A JP 8119588A JP 11958896 A JP11958896 A JP 11958896A JP H09276948 A JPH09276948 A JP H09276948A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aluminum alloy
resin
ironing
alloy plate
coated
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8119588A
Other languages
English (en)
Inventor
Keiichi Shimizu
慶一 志水
Shinji Shirai
伸二 白井
Junichi Tanabe
純一 田辺
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyo Kohan Co Ltd
Original Assignee
Toyo Kohan Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyo Kohan Co Ltd filed Critical Toyo Kohan Co Ltd
Priority to JP8119588A priority Critical patent/JPH09276948A/ja
Publication of JPH09276948A publication Critical patent/JPH09276948A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Rigid Containers With Two Or More Constituent Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 小さな肩ア−ルのダイス肩アール部におけ
る曲げ・曲げ戻し加工、および続くしごき加工を含む複
合加工を乾式で行うに際して、缶壁破断が生じ難く、か
つ缶として必要な強度を有する絞りしごき缶を成形する
ことが可能な樹脂被覆アルミニウム合金板を提供する。 【解決手段】 重量%でMn:≦0.5%、Mg:2.8
〜 4.0%、不可避的不純物としてSi:≦0.3%、
Fe:≦0.5%を含有し、かつ(Si+Fe):≦0.6
%の関係を有する板厚:0.18〜0.35 mm、降伏
強度:220〜400 N/mm2のアルミニウム合金板
の両面に、熱可塑性樹脂を被覆することにより得られ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、絞りしごき加工を
含む加工により製造される2ピース缶に用いる材料に関
する。より詳細には、水、あるいは水系潤滑剤などによ
る冷却、あるいは潤滑を行うことなく、製缶後の缶の洗
浄を必要としない、絞りしごき加工を含む加工により缶
壁厚が薄い2ピース缶を製造するのに適した、熱可塑性
樹脂を被覆した絞りしごき缶用樹脂被覆アルミニウム合
金板に関する。
【0002】
【従来の技術】缶胴部と缶底部が一体で成形される2ピ
ース缶としては、ぶりきまたはアルミニウム合金板を絞
り加工、およびしごき加工により得られるDI缶(Draw
n andIroned Can)が従来より製造されている。DI缶
はぶりきまたはアルミニウム合金板を絞り加工した後、
連続的に配置された数個のしごきダイスとポンチを用い
て、大量の水、あるいは水系潤滑剤で冷却および潤滑し
ながら缶壁厚を元板厚の1/3程度に薄肉化し、その後
脱脂洗浄、乾燥し、塗装が施される。近年、特開平6−
312223号公報に、絞りしごき加工を含む複合加工
法により、樹脂被覆金属板から2ピース缶を製造する方
法が開示されている。この方法は従来のDI缶の製造法
とは異なり、高温揮発性の潤滑剤を塗布した樹脂被覆金
属板を絞り加工した後、水、あるいは水系潤滑剤を用い
ることなく、乾式で再絞りおよびしごき加工を同時に行
う複合加工法により、缶壁厚が薄い2ピース缶を製造す
るものである。この複合加工法によれば、2ピース缶に
成形した後の缶の脱脂洗浄、乾燥、塗装工程が不要とな
り、環境を殆ど汚染することなく、2ピース缶を製造す
ることが可能である。本発明においては、樹脂被覆アル
ミニウム合金板にこの複合加工法を適用してアルミニウ
ム缶を製造することにより、より幅広い合金組成のアル
ミニウム合金を適用できることが判明した。複合加工法
に適した材料に関しては、特開平7−266496号公
報に、降伏強度、抗張力、板厚、中心線粗さなどを限定
した材料が開示され、実施例にJIS 5052 H3
8、およびJIS 3004 H19のアルミニウム合金
の使用が示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、特開平6−
312223号公報に示されるような複合加工法に適し
た樹脂被覆アルミニウム合金板を提供することを目的と
する。本発明が対象とする複合加工法は、再絞り加工部
としごき加工部が一対となったダイスを用い、再絞りお
よびしごき加工を同時に行う加工法である。複合加工法
の一つの特徴は、再絞り加工を行う部分のダイスの肩ア
ールの寸法を小さくし、このダイス肩アール部において
材料を曲げ・曲げ戻し加工し、缶壁厚を薄肉化すること
にある.この複合加工においては、加工する板厚の2〜
数倍程度の小さなダイス肩ア−ルで厳しい曲げ・曲げ戻
し加工を行うため、材料表面に肌荒れ、割れを生じ易
く、加工条件によってはこのダイス肩アール部で缶壁破
断が生じる。また、ダイス肩アール部で破断を生じない
場合においても、肌荒れ、表面割れは、被覆樹脂被膜と
アルミニウム合金板との密着性の低下をもたらし、続く
しごき加工において缶壁破断が極めて生じやすくなる。
本発明は、小さな肩ア−ルのダイス肩アール部における
曲げ・曲げ戻し加工、および続くしごき加工を含む複合
加工を乾式で行うに際して、缶壁破断が生じ難く、かつ
缶として必要な強度を有する缶胴材として使用される樹
脂被覆アルミニウム合金板を導くことを課題とする。ま
た、本発明の樹脂被覆アルミニウム合金板は、市販のア
ルミニウムDI缶に使用される缶胴材を再利用しやすい
こと、および蓋と缶胴が同一組成の合金材料で構成され
るいわゆるユニメタル缶を実現するため、蓋材に近い合
金組成とすることも課題の一つとする。なお、特開平7
−266496号公報の実施例に示されるJIS300
4H19合金は、必要とされる強度は有するものの、加
工性は本発明の目標に対しては不十分なものである。一
方、JIS5052H38合金は、加工性は本発明の目
的とする複合加工方法に適用可能であるが、Mn量が少
なく、この合金をスクラップから再生する際に、投入可
能な3004合金のスクラップの量が大幅に制限される
ため、経済的ではない。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、重量%でM
n:≦0.5%、Mg:2.8〜4.0 %、不可避的不純
物としてSi:≦0.3%、Fe:≦0.5%を含有し、
かつ(Si+Fe):≦0.6%の関係を有する板厚:
0.18〜0.33 mm、降伏強度:220〜400N
/mm2 のアルミニウム合金板の両面に、熱可塑性樹脂
を被覆してなる絞りしごき缶用樹脂被覆アルミニウム合
金板であり、前記アルミニウム合金板の、圧延方向に垂
直方向の引張強度と圧延方向に平行方向の引張強度との
差が10N/mm2以下であることを特徴とし、またF
e/Si比が1.5以下、より好ましくは1以下である
ことを特徴とし、さらにまた、前記熱可塑性樹脂が熱可
塑性ポリエステル樹脂であることを特徴とし、さらにま
た、前記アルミニウム合金板の両面に前記熱可塑性樹脂
を被覆した後、その両面に高温揮発性の潤滑剤を塗布し
てなることを特徴とする。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明は、強度、加工性、密着性
に優れ、乾式での絞りしごき加工性に優れ、さらに、再
利用性、およびユニメタル缶を実現できる樹脂被覆アル
ミ合金板を提供するために多岐にわたり検討を行った結
果、合金組成、板厚、降伏強度、引張強度の異方性、熱
可塑性樹脂の種類などを定めることにより、目的とする
樹脂被覆アルミニウム合金板を開発したものである。以
下、本発明を実施例により詳細に説明する。
【0006】
【実施例】まず、本発明において樹脂被覆アルミニウム
合金板の被覆基板となるアルミニウム合金板の合金成分
などを限定する理由を以下に説明する。なお、各合金成
分の%は重量%で示す。本発明においては、アルミニウ
ム合金板の製造時に発生するスクラップや、使用後のア
ルミニウム缶のスクラップを混合し、溶解しての再使用
を容易にするため、アルミニウムDI缶の缶胴材である
3004合金、および蓋材である5182合金の合金成
分、特にMnとMgの量を考慮し検討した。JIS規格
においては3004材は Mn:1.0〜1.5%、M
g:0.8 〜1.3%、5182材はMn:0.2〜0.
5%、Mg:2.2〜2.8% と規定されている。本発
明の樹脂被覆アルミニウム合金板の被覆基板となるアル
ミニウム合金板のMn量の好ましい範囲を(5182合
金の上限のMn量〜3004合金の下限のMn量)の範
囲とすることを前提とした。このようにすることによ
り、本発明に使用するアルミニウム合金を製造する際に
多量に存在する3004合金のスクラップの混合割合を
格段に大きくすることが可能となる。さらに、Mgおよ
び他の合金成分の量は、蓋材と缶胴材を同一組成とする
ために、できる限り5182合金に近いものとした。
【0007】[Mn]Mnは安価であり、高強度が得られ
るために添加する。また、添加するMnの許容量が多い
ほど、本発明のアルミニウム合金を溶製する際に、缶胴
材スクラップである3004合金の混合比率を大きく採
ることが可能となる。そしてMn量が1.0〜1.5%で
ある3004合金の混合使用を考慮し、3004合金の
下限の1.0 %以下を検討した。Mnの添加により、添
加量に比例してAl−Fe−Mn系の晶出物が形成され
るが、その変態生成物である硬質のα相は、本発明が課
題とする曲げ・曲げ戻し加工性には好ましくない。市販
のアルミニウムDI加工においては、Al−Fe−Mn
系の晶出物はしごき加工時に潤滑作用を有し、しごき加
工性を向上させるため不可欠とされる。しかし、本発明
においては表面に樹脂が被覆されたアルミニウム合金板
を加工するため、Al−Fe−Mn系の晶出物の潤滑作
用は必要ではなく、むしろ加工性が損なわれる。すなわ
ち、該晶出物は本発明の樹脂被覆アルミ合金板の適用を
図る複合加工方法には適さないものである。複合加工方
法は、再絞り加工部としごき加工部が一対となったダイ
スを用いて再絞り加工としごき加工を同時に行い、再絞
りダイスの肩ア−ルを板厚の数倍程度以下の小さな肩ア
−ルとすることを特徴とするが、晶出物はそのダイス肩
アール部における曲げ・曲げ戻し加工性を著しく損な
う。すなわち、曲げ・曲げ戻し加工時にアルミニウム合
金表面に荒れ、割れが生じやすく、それに基づく被覆樹
脂被膜の密着性を低下をもたらす。さらに晶出物の量、
サイズ、加工条件によっては缶壁破断をもたらす。その
ため、後述するMg量も考慮しMn量の上限を 0.5%
とする。下限については加工性の点から特に限定するも
のではない。本発明のアルミニウム合金は、主としてM
n、およびMgの添加量によって強度、加工性が定まる
が、極端に厳しい加工度が要求されず、強度および経済
性が要求される用途には、Mn量を増加させて対応す
る。本発明は、蓋材である5182合金とのユニメタル
化を特徴の一つとするが、その点において、Mn量の好
ましい範囲は0.2〜0.5%である。
【0008】[Mg]Mgは、Mn以上に強度向上に効果
のある元素であり、缶として必要な強度を得るために添
加するが、添加量が多くなると加工性が低下する。本発
明においては前記の理由によりMn量の上限を 0.5%
とするが、加工性に十分余裕のある範囲ではない。その
ため、加工性の低下、および加工性の変動を少なくする
ために、Mg量の範囲を2.8〜4.0%とする。Mn量
が本発明の上限の 0.5%近傍にある場合は、Mgが
4.0%を越えると、厳しい加工用途には適用困難とな
る。一方、Mn量が特に少ない場合は、Mg量が 2.8
%未満では強度が不十分となり、経済性を向上させるた
め、板厚を薄くすることが不可能となる。このため、本
発明におけるMg量の範囲は、5182合金の規定範囲
より少ない範囲とする。しかし、Mgは溶製時に蒸発揮
散するために、減少量を見込んで添加量が調整されるも
のであり、本発明のアルミニウム合金は5182合金と
殆ど同一の溶製作業で生産されるため、その意味におい
てユニメタル化が達成されることになる。本発明による
樹脂被覆アルミニウム合金板を前記の複合加工を用いて
成形した2ピ−ス缶は、ビ−ル、炭酸飲料、窒素ガス充
填飲料など、缶内圧が陽圧となる内容物が充填される。
このため、缶底の耐圧強度が不足すると缶底が座屈変形
し、商品として使用に耐えなくなる。缶底の耐圧強度に
は、主として、板の降伏強度、板厚が影響し、降伏強度
が低い場合は板厚を厚くすることが必要であるが、経済
性が損なわれることになる。このため、経済性の点から
Mn、Mgの添加量の多い、高強度の薄板厚の材料が適
するが、Mn、Mgの添加量の増加による高強度化を行
うと材料の加工性が低下する。比較的厳しい加工条件の
用途においては、Mn量を低めに、Mg量を高めに設定
する。
【0009】[Si]SiはAl−Fe−Mn系晶出物に
相変態を生じさせ、いわゆる硬質のα相を形成する。こ
のα相はDI缶の製造においてはしごき加工性を向上さ
せるため必要とされるが、本発明にとっては相変態前の
晶出物以上に曲げ・曲げ戻し加工性を低下させ、好まし
くない。したがって、その上限を0.3 %とする。
【0010】[Fe]FeはMnとの関係で、Al−Fe
−Mn系晶出物を形成する。Al−Fe−Mn系は、前
述のように曲げ・曲げ戻し加工性の点から本発明にとっ
て好ましくなく、その形成元素であるFeの上限を0.
5 %とする。好ましくは0.3 %以下とする。
【0011】[Si+Fe](Si+Fe)量も、Al−
Fe−Mn系晶出物の量、特に硬質なα相の量を低いレ
ベルとするため上限を定める。Fe、Si量の上限を前
記の如く定めるが、それぞれが上限近傍である場合、A
l−Fe−Mn系晶出物が加工性を損なう。よってその
上限を0.6%、好ましくは0.4%以下とする。
【0012】[Fe/Si比]Fe/Si比もAl−Fe
−Mn系晶出物のα相を低いレベルとするために限定す
る。FeおよびSiが低いレベルにおいてはFe/Si
比は特に制限する必要はないが、Fe、Siの値が請求
する範囲の上限に近い領域においては、Fe/Si比を
1.5以下、好ましくは1以下にすることが好ましい。
【0013】その他の元素として、Cu、Znは特に限
定しないが、Cu、Znは以下の理由により下記の範囲
が好ましい。CuはMgとともにAl−Cu−Mg系析
出物による析出硬化を示し、高強度化の点からは有効で
あるが、多くなると加工性を低下させるため、0.3%
以下であることが好ましく、0.2%以下がより好まし
い。Zn添加は晶出物の分散を適正にする効果があり、
晶出物の弊害を軽減するため、0.01〜0.5%含有す
ることが好ましい。
【0014】次に板厚、および降伏強度を限定する理由
について説明する。板厚、および降伏強度の下限はいず
れも缶底耐圧の点から限定する。缶底の耐圧強度に関し
ては、板厚が厚い場合は降伏強度は低くても差し支えな
く、降伏強度が高い場合は板厚は薄くても差し支えな
い、という関係にある。降伏強度はアルミの合金組成、
および圧延などによる加工硬化により高めることが可能
であるが、400N/mm2 を越えると加工性が不十分
になる。しかし、降伏強度を400N/mm2とした場
合でも、板厚は0.18mm以上必要である。一方、降
伏強度を低くした場合はアルミニウム合金板の板厚を厚
くすることが必要となり、経済的でない。よって、降伏
強度の下限を220N/mm2 とする。その場合、板厚
が 0.33mmであれば、十分な缶底の耐圧強度が得ら
れる。
【0015】アルミニウム合金板の引張強度に関して
は、圧延方向に垂直方向の引張強度と圧延方向に平行方
向の引張強度との差が10N/mm2 以下とする必要が
ある。DI缶の製造に用いられるアルミニウム合金板
は、大略、溶解−均質化処理−熱間圧延−冷間圧延−再
結晶焼鈍−二次冷間圧延の工程を経て製造される。アル
ミニウム合金板の引張強度は、主として合金組成、二次
冷間圧延率により定まり、二次圧延率に関しては高いほ
ど引っ張り強度は大きく、また直角方向と平行方向の引
張強度の差も増大する。この差分の増加は、圧延集合組
織の集積が増大するためと考えられる。また、圧延率の
増大とともに晶出物は圧延方向に延在するようになる。
一方、本発明の課題である曲げ・曲げ戻し加工性も圧延
率の増加とともに低下する。曲げ・曲げ戻し加工性の低
下が、圧延集合組織の発達、晶出物の延在のいずれの影
響が大きいか明確ではないが、前記差分が10N/mm
2 以下であれば、曲げ・曲げ戻し加工性は本願発明の目
的に適する範囲にある。
【0016】上記の本発明に用いられるアルミニウム合
金板は、電解クロム酸処理、浸漬クロム酸処理、リン酸
クロム酸処理、アルカリ溶液、酸溶液によるエッチング処
理、陽極酸化処理など公知の方法で表面処理されたアル
ミニウム合金板がより好ましい。特に、アルミニウム合
金板に電解クロム酸処理により金属クロムとクロム水和
酸化物からなる二層皮膜を形成させる場合、積層される
樹脂フィルムの加工密着性の点から、クロム水和酸化物
の量はクロムとして3〜25mg/m2 の範囲が好まし
く、7〜20mg/m2 の範囲がより好ましい。また金
属クロム量は特に限定する必要はないが、加工後の耐食
性、積層される樹脂フィルムの加工密着性の観点から1
〜100mg/m2の範囲が好ましく、3〜50mg/
2の範囲がより好ましい。
【0017】次に、本発明においてアルミニウム合金板
の少なくとも片面に積層される熱可塑性樹脂としては、
ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹
脂、ポリカーボネート樹脂などを主成分とした単層また
は複層の樹脂フィルム、これらの樹脂を2種以上をブレ
ンドした樹脂フィルム、あるいは共重合した樹脂フィル
ムなどを用いることができる。特に本発明の厳しい成形
加工が施される絞りしごき缶用には、ポリエチレンテレ
フタレート、エチレンテレフタレート繰り返し単位を主
体とする共重合ポリエステル樹脂、ポリブチレンテレフ
タレート、ブチレンテレフタレート繰り返し単位を主体
とするポリエステル樹脂、またはこれらのポリエステル
樹脂を少なくとも2種類ブレンドしたポリエステル樹
脂、または上記のポリエステル樹脂を少なくとも2種類
積層してなる複層のポリエステル樹脂のいずれか、さら
にポリカーボネート樹脂、またはポリカーボネート樹脂
と上記のポリエステル樹脂を少なくとも1種類ブレンド
した樹脂、さらに、ポリカーボネート樹脂と上記のポリ
エステル樹脂を少なくとも2種類積層した複層樹脂から
なり、公知の押し出し機によりフィルム成形後、縦横二
方向に延伸し、熱固定して製造される二軸配向樹脂フィ
ルムが好ましい。
【0018】積層される樹脂フィルムの厚さは5〜50
μmの範囲が好ましく、10〜30μmの範囲がより好
ましい。厚さが5μm以下の場合、連続的に高速で金属
板に積層することがむずかしい。一方、積層される樹脂
フィルムの厚さが50μm以上になると、製缶用材料に
広く使用されているエポキシ系樹脂塗料などと比較し経
済性の点からも好ましくない。
【0019】また、樹脂フィルムはアルミニウム合金板
に直接積層されてもよいし、樹脂フィルムとアルミニウ
ム合金板の間にエポキシ−フェノール樹脂のような熱硬
化性接着剤を介在させて積層されてもよい。熱硬化性接
着剤を樹脂フィルムまたはアルミニウム合金板のどちら
かの、互いと接着する片面に予め塗布しておくことによ
り、熱硬化性接着剤を介在させて樹脂フィルムをアルミ
ニウム合金板に積層することができる。
【0020】本発明の樹脂被覆アルミニウム合金板は、
上記のアルミニウム合金板に上記の熱可塑性樹脂フィル
ムを積層することによって得られる。積層は以下のよう
にして行われる。すなわち、アルミニウム合金板供給手
段から連続的に送り出されたアルミニウム合金板を、加
熱手段を用いて熱可塑性樹脂フィルムの融点以上の温度
に加熱し、その両面に、フィルム供給手段から送り出さ
れた熱可塑性樹脂フィルムを接触させ、1対のラミネー
トロールの間で重ね合わせ、挟みつけて圧着した後、直
ちに急冷する。
【0021】最後に、上記のようにして積層された熱可
塑性樹脂フィルムの上面に、高温揮発性潤滑剤を塗布す
る。高温揮発性潤滑剤は、絞りしごき加工後に200℃
程度の温度で数分の加熱を施した時に50%以上飛散す
ることが望ましく、具体的には、流動パラフィン、合成
パラフィン、天然ワックスなどの単体、またはこれらの
混合物から加工条件、加工後の加熱条件に応じ選択す
る。塗布される潤滑剤の特性としては融点が25〜80
℃、沸点が180〜400℃の範囲にあるものが本発明
の目的を果たすのに望ましい。また、塗布量は缶外面と
なる面、缶内面となる面、加工条件、加工後の加熱条件
等を考慮し、決定されるべきであるが、5〜100mg
/m2、好ましくは30〜60mg/m2の範囲が適して
いる。
【0022】以上のように、アルミニウム合金板の合金
組成、板厚、降伏強度、圧延方向と圧延方向と直角方向
の引張強度の差、熱可塑性樹脂の特性などを限定し、さ
らに積層された熱可塑性樹脂の上に高温揮発性潤滑剤を
塗布することなどにより、絞りしごき加工により缶壁厚
の薄い缶を成形するのに適した熱可塑性樹脂被覆アルミ
ニウム合金板が得られる。
【0023】(実施例)表1〜2に示す組成の合金を常
法により溶解、鋳造、面削し、550℃で均質化熱処理
を行った後、熱間圧延、さらに冷間圧延を行い種々の板
厚とした。ついで520℃で10秒加熱する連続焼鈍を
行い、その後再び冷間圧延し、 0.16mm、0.18
mm、0.25mm、0.30mm、0.35mmの板厚
とし、アルカリ溶液によるエッチング処理を施した後板
温を240℃に加熱し、その両面にポリエチレンイソフ
タレート12モル%とポレエチレンテレフタレート88
モル%からなる厚み20μmの共重合ポリエステル樹脂
二軸配向フィルムを積層し、直ちに水中に浸漬冷却し
た。乾燥した後、その両面にグラマーワックス(沸点1
15℃)を約50mg/m2 塗布し供試板とした。供試
板の評価は、前述の曲げ・曲げ戻し後の強度、複合加工
による加工性、耐圧強度、加工後の被覆樹脂フィルムと
アルミ合金板表面の密着性について行った。曲げ・曲げ
戻し後の強度は、曲げ半径 0.5mmでの曲げ・曲げ戻
し加工を施した供試板の引っ張り強度が、加工前の供試
板の強度の30%以上の場合を○(良)、30%未満を×
(不良)とした。複合加工性の評価は、アルミニウム合金
板の板厚が 0.25mm、 0.30mm、0.35mm
の供試板について下記に示すようにして行った。絞り比
1.6で成形した直径100mmの絞り缶を直径75m
m、缶壁厚が元板厚の80%である一次再絞り缶に加工
し、続く二次再絞り加工性を評価した。二次再絞り加工
は、再絞り比を 1.15とし、再絞りダイス肩ア−ル
0.4mmとし、しごきダイスのクリアランスを変更し
てダイス肩部、しごき加工部での加工性を加工時の缶壁
破断の発生の有無で評価し、缶壁破断が無い場合を○
(良)、缶壁破断が発生した場合を×(不良)とした。耐圧
強度は、樹脂被覆アルミニウム合金板を通常の絞り加工
により直径65mmの缶に成形し、缶底部をド−ム加工
した後内圧を付加し、缶底が座屈する圧力で良否を評価
し、座屈圧力が6.3kg/cm2以上の場合を○(良)、
6.3kg/cm2未満を×(不良)とした。密着性は、上
記と同一条件で二次再絞り加工を行った後の缶壁内面に
ついて、被覆樹脂の剥離の有無によりにより評価し、剥
離無しを○(良)、剥離無しを×(不良)とした。評価結果
を表3〜4に示す。
【0024】
【表1】 (注) *P-H: 圧延方向に垂直方向と平行方向の引張強度の差
【0025】
【表2】 (注) *P-H: 圧延方向に垂直方向と平行方向の引張強度の差
【0026】
【表3】 供試板の特性評価結果 (1) (注) −: 評価せず
【0027】
【表4】 供試板の特性評価結果 (2) (注) −: 評価せず
【0028】
【発明の効果】本発明は、重量%でMn:≦0.5%、
Mg:2.8〜4.0 %、不可避的不純物としてSi:
≦0.3%、Fe:≦0.5%を含有し、かつ(Si+F
e):≦0.6%の関係を有する板厚:0.18〜0.3
3 mm、降伏強度:220〜400 N/mm2のアル
ミニウム合金板の両面に、熱可塑性樹脂を被覆してなる
絞りしごき缶用樹脂被覆アルミニウム合金板であり、前
記アルミニウム合金板の、圧延方向に垂直方向の引張強
度と圧延方向に平行方向の引張強度との差が10N/m
2以下であることを特徴とし、またFe/Si比が1.
5以下、より好ましくは1以下であることを特徴とし、
さらにまた、前記熱可塑性樹脂が熱可塑性ポリエステル
樹脂であることを特徴とし、さらにまた、前記アルミニ
ウム合金板の両面に前記熱可塑性樹脂を被覆した後、そ
の両面に高温揮発性の潤滑剤を塗布してなることを特徴
としており、本発明の目的とする、小さな肩ア−ルのダ
イス肩アール部における曲げ・曲げ戻し加工、および続
くしごき加工を含む複合加工を乾式で行うに際して、缶
壁破断が生じ難く、缶として必要な強度を有する絞りし
ごき缶を得ることが可能となる。さらに、本発明は、樹
脂被覆アルミニウム合金板の被覆基板となるアルミニウ
ム合金板のMn、およびMgの添加量を蓋材として用い
られている5182合金に近いものとし、缶胴材と蓋材
が同一の合金材料からなるユニメタル化に適する。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B32B 7/02 101 B32B 7/02 101 15/08 15/08 F 104 7148−4F 104A 15/20 15/20 27/36 27/36 B65D 8/00 B65D 8/00 A C22C 21/00 C22C 21/00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%でMn:≦0.5%、Mg:2.8
    〜 4.0%、不可避的不純物としてSi:≦0.3%、
    Fe:≦0.5%を含有し、かつ(Si+Fe):≦0.6
    %の関係を有する板厚:0.18〜0.33 mm、降伏
    強度:220〜400 N/mm2のアルミニウム合金板
    の両面に、熱可塑性樹脂を被覆してなる絞りしごき缶用
    樹脂被覆アルミニウム合金板。
  2. 【請求項2】 前記アルミニウム合金板の圧延方向に垂
    直方向の引張強度と圧延方向に平行方向の引張強度との
    差が 10N/mm2以下であることを特徴とする、請求
    項1に記載の絞りしごき缶用樹脂被覆アルミニウム合金
    板。
  3. 【請求項3】 Fe/Si比が 1.5以下であることを
    特徴とする、請求項1または2に記載の絞りしごき缶用
    樹脂被覆アルミニウム合金板。
  4. 【請求項4】 Fe/Si比が1以下であることを特徴
    とする、請求項3に記載の絞りしごき缶用樹脂被覆アル
    ミニウム合金板。
  5. 【請求項5】 前記熱可塑性樹脂が熱可塑性ポリエステ
    ル樹脂であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれ
    かに記載の絞りしごき缶用樹脂被覆アルミニウム合金
    板。
  6. 【請求項6】 前記アルミニウム合金板の両面に前記熱
    可塑性樹脂を被覆した後、その両面に高温揮発性の潤滑
    剤を塗布してなることを特徴とする、請求項1〜3、お
    よび5のいずれかに記載の絞りしごき缶用樹脂被覆アル
    ミニウム合金板。
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