JPH09274712A - 磁気ヘッド - Google Patents
磁気ヘッドInfo
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- JPH09274712A JPH09274712A JP8278396A JP8278396A JPH09274712A JP H09274712 A JPH09274712 A JP H09274712A JP 8278396 A JP8278396 A JP 8278396A JP 8278396 A JP8278396 A JP 8278396A JP H09274712 A JPH09274712 A JP H09274712A
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Landscapes
- Magnetic Heads (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 磁気抵抗型磁気ヘッドにおいて、記録再生を
繰り返したときの再生出力が変動することを避けるた
め、磁気抵抗効果素子を磁気遮蔽するシールド磁性膜を
磁区制御し、ノイズ発生の少ない磁気記録装置を提供す
る。 【解決手段】 磁気抵抗効果素子30を磁気遮蔽するシ
ールド磁性膜34を、強磁性膜35/反強磁性膜36/
強磁性膜37の積層構造とすることにより、シールド磁
性膜端面に発生する静磁場が磁気抵抗効果素子のバイア
ス特性を変化させないよう磁区制御し、且つ非磁性ギャ
ップ31、32に接する強磁性膜の磁気特性を劣化させ
ないようにする。
繰り返したときの再生出力が変動することを避けるた
め、磁気抵抗効果素子を磁気遮蔽するシールド磁性膜を
磁区制御し、ノイズ発生の少ない磁気記録装置を提供す
る。 【解決手段】 磁気抵抗効果素子30を磁気遮蔽するシ
ールド磁性膜34を、強磁性膜35/反強磁性膜36/
強磁性膜37の積層構造とすることにより、シールド磁
性膜端面に発生する静磁場が磁気抵抗効果素子のバイア
ス特性を変化させないよう磁区制御し、且つ非磁性ギャ
ップ31、32に接する強磁性膜の磁気特性を劣化させ
ないようにする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハードディスク装
置、VTR等の磁気記録装置に用いられる磁気ヘッドに
関するもので、特に磁気ヘッドの磁気回路を構成する磁
極あるいはシールド磁性膜の構成に係わる。
置、VTR等の磁気記録装置に用いられる磁気ヘッドに
関するもので、特に磁気ヘッドの磁気回路を構成する磁
極あるいはシールド磁性膜の構成に係わる。
【0002】
【従来の技術】ハードディスク装置あるいはVTR等の
磁気記録装置の小形大容量化は急激な勢いで進展してい
る。このような動向に呼応して磁気ヘッドの高性能化が
進められ、電磁誘導方式である薄膜磁気ヘッドから、薄
膜の磁気抵抗効果現象を利用した磁気抵抗効果型磁気ヘ
ッド(以下MRヘッド)へと進化してきた。従来のMR
ヘッドは、例えば公知文献IEEE Trans.Ma
gn.MAG26(1990)pp1689に述べられ
ているように、図9に示す構造である。磁気記録媒体上
の磁気信号再生を行う磁気抵抗効果型素子(以下MR素
子)91は、非磁性材料からなる再生ギャップ92を介
して、MR素子を磁気的に遮蔽するシールド磁性膜93
と対向している。一方、磁気記録媒体に磁気信号を記録
する磁極には、誘導型磁気ヘッドを用いており、シール
ド磁性膜93上に積層された構造を持つ。大容量を要求
される磁気記録装置では、記録信号トラックの幅あるい
は位置検出などに高い精度を要求される。特に、大部分
のハードディスク装置に用いられるロータリーアクチエ
ータは、円弧上で磁気ヘッドの位置制御を行うため、磁
気ディスクの内周と外周位置で記録ヘッドと再生ヘッド
のトラックに対する位置関係が変わってしまう。この位
置の差は、ロータリーアクチエータの中心から見た記録
ヘッドと再生ヘッドの半径の差の関数となり、半径差が
大きいほど内外周での位置ずれが増大する。従って、図
9に示された検出部を構成するMR素子と、記録部を構
成する誘導型磁気ヘッドの間隔は十分に小さいことが必
要である。
磁気記録装置の小形大容量化は急激な勢いで進展してい
る。このような動向に呼応して磁気ヘッドの高性能化が
進められ、電磁誘導方式である薄膜磁気ヘッドから、薄
膜の磁気抵抗効果現象を利用した磁気抵抗効果型磁気ヘ
ッド(以下MRヘッド)へと進化してきた。従来のMR
ヘッドは、例えば公知文献IEEE Trans.Ma
gn.MAG26(1990)pp1689に述べられ
ているように、図9に示す構造である。磁気記録媒体上
の磁気信号再生を行う磁気抵抗効果型素子(以下MR素
子)91は、非磁性材料からなる再生ギャップ92を介
して、MR素子を磁気的に遮蔽するシールド磁性膜93
と対向している。一方、磁気記録媒体に磁気信号を記録
する磁極には、誘導型磁気ヘッドを用いており、シール
ド磁性膜93上に積層された構造を持つ。大容量を要求
される磁気記録装置では、記録信号トラックの幅あるい
は位置検出などに高い精度を要求される。特に、大部分
のハードディスク装置に用いられるロータリーアクチエ
ータは、円弧上で磁気ヘッドの位置制御を行うため、磁
気ディスクの内周と外周位置で記録ヘッドと再生ヘッド
のトラックに対する位置関係が変わってしまう。この位
置の差は、ロータリーアクチエータの中心から見た記録
ヘッドと再生ヘッドの半径の差の関数となり、半径差が
大きいほど内外周での位置ずれが増大する。従って、図
9に示された検出部を構成するMR素子と、記録部を構
成する誘導型磁気ヘッドの間隔は十分に小さいことが必
要である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような構成のMR
ヘッドでは、情報信号の記録時に誘導型磁気ヘッドが発
生する記録磁場が、MR素子を磁気遮蔽するためのシー
ルド磁性膜の一部を磁化してしまい、再生信号に悪影響
を与える。特に、高密度用のMRヘッドは誘導型磁気ヘ
ッドとMR素子が近接するため、深刻な問題であった。
一方、MR素子を用いて信号再生を行う磁気ヘッドで
は、再生信号の線形性を向上させるためMR素子を磁気
的にバイアスする方法が採られている。バイアス磁場の
発生手段は様々な構成が考案されているが、いずれの場
合も磁気抵抗効果を有する軟磁性膜に対して外部から磁
場を印加するものである。設定されたバイアス発生手段
以外の磁場が付加されると、MR素子の伝達曲線の線形
性またはバイアス量等のバイアス特性が変化し、その結
果再生信号の歪みあるいはノイズなどの発生を伴うた
め、大きな影響を持つことになる。前述したように、M
R素子と対向するシールド磁性膜が記録磁場によって磁
化される現象は、バイアス特性を変化させる大きな原因
の一つである。この現象を制御するために、特開平5−
2720号公報に述べられるような技術が考案されてい
る。この従来技術は、MR素子に非磁性ギャップをはさ
んで対向させたシールド磁性膜の表面に反強磁性膜を付
着させることにより、シールド磁性膜の磁化を固定して
磁区制御を行う方法である。この構成の概略を図10に
示す。この従来技術による構成では、もっとも大きな静
磁場を発生する媒体対向面近傍部分のシールド磁性膜の
磁区制御を行っていない。従って、シールド磁性膜先端
の磁化は拘束されずに自由に動くことが可能であるた
め、バイアス特性に影響を与える静磁場の大きさも変化
してしまう。この結果、期待されるバイアス特性の安定
化は不十分となる。また、再生ギャップ深部で磁区制御
されたシールド磁性膜は透磁率が低下することにより、
MR素子の再生波形に影響を及ぼし、且つ制御されたシ
ールド磁性膜内の磁化の向きによっては、再生波形の対
称性が劣化するという弊害をもたらす。
ヘッドでは、情報信号の記録時に誘導型磁気ヘッドが発
生する記録磁場が、MR素子を磁気遮蔽するためのシー
ルド磁性膜の一部を磁化してしまい、再生信号に悪影響
を与える。特に、高密度用のMRヘッドは誘導型磁気ヘ
ッドとMR素子が近接するため、深刻な問題であった。
一方、MR素子を用いて信号再生を行う磁気ヘッドで
は、再生信号の線形性を向上させるためMR素子を磁気
的にバイアスする方法が採られている。バイアス磁場の
発生手段は様々な構成が考案されているが、いずれの場
合も磁気抵抗効果を有する軟磁性膜に対して外部から磁
場を印加するものである。設定されたバイアス発生手段
以外の磁場が付加されると、MR素子の伝達曲線の線形
性またはバイアス量等のバイアス特性が変化し、その結
果再生信号の歪みあるいはノイズなどの発生を伴うた
め、大きな影響を持つことになる。前述したように、M
R素子と対向するシールド磁性膜が記録磁場によって磁
化される現象は、バイアス特性を変化させる大きな原因
の一つである。この現象を制御するために、特開平5−
2720号公報に述べられるような技術が考案されてい
る。この従来技術は、MR素子に非磁性ギャップをはさ
んで対向させたシールド磁性膜の表面に反強磁性膜を付
着させることにより、シールド磁性膜の磁化を固定して
磁区制御を行う方法である。この構成の概略を図10に
示す。この従来技術による構成では、もっとも大きな静
磁場を発生する媒体対向面近傍部分のシールド磁性膜の
磁区制御を行っていない。従って、シールド磁性膜先端
の磁化は拘束されずに自由に動くことが可能であるた
め、バイアス特性に影響を与える静磁場の大きさも変化
してしまう。この結果、期待されるバイアス特性の安定
化は不十分となる。また、再生ギャップ深部で磁区制御
されたシールド磁性膜は透磁率が低下することにより、
MR素子の再生波形に影響を及ぼし、且つ制御されたシ
ールド磁性膜内の磁化の向きによっては、再生波形の対
称性が劣化するという弊害をもたらす。
【0004】また、シールド磁性膜を磁区制御するため
公知技術には、特開平4−98608号公報に記載され
たものがある。この技術は再生を行うMR素子上に積層
された記録磁極の磁気コアあるいはシールド磁性膜に反
強磁性膜を積層させるものである。この公知例の構成を
図11に示す。図示するように、シールド磁性膜あるい
は磁極を構成する磁性膜の上側に反強磁性膜を設ける構
造となっている。この公知技術では、記録ギャップ中に
反強磁性膜を配置した部分において、記録ギャップに対
向した磁性膜の透磁率が劣化するため、記録特性の劣化
が問題となる。特に、透磁率の低下は記録磁場の立ち上
がりを鈍くすることから、記録ビットのノイズあるいは
ビット遷移の移動等の問題が発生する。同様に再生ギャ
ップ中に反強磁性膜を配置した部分では、シールド磁性
膜の透磁率の劣化によって再生ギャップが広がったと同
一の効果をもたらし、再生波形の歪みを増大させる原因
となる。例えば、再生信号波形の半値幅(PW50)は
重要な問題であり、シールド磁性膜の特性劣化はPW5
0を大きくする結果となる。高密度の磁気記録では再生
波形が鋭いこと、即ちPW50が小さいほど高密度を達
成できることから、PW50の増大はハードディスク装
置の性能向上を著しく困難にさせる。
公知技術には、特開平4−98608号公報に記載され
たものがある。この技術は再生を行うMR素子上に積層
された記録磁極の磁気コアあるいはシールド磁性膜に反
強磁性膜を積層させるものである。この公知例の構成を
図11に示す。図示するように、シールド磁性膜あるい
は磁極を構成する磁性膜の上側に反強磁性膜を設ける構
造となっている。この公知技術では、記録ギャップ中に
反強磁性膜を配置した部分において、記録ギャップに対
向した磁性膜の透磁率が劣化するため、記録特性の劣化
が問題となる。特に、透磁率の低下は記録磁場の立ち上
がりを鈍くすることから、記録ビットのノイズあるいは
ビット遷移の移動等の問題が発生する。同様に再生ギャ
ップ中に反強磁性膜を配置した部分では、シールド磁性
膜の透磁率の劣化によって再生ギャップが広がったと同
一の効果をもたらし、再生波形の歪みを増大させる原因
となる。例えば、再生信号波形の半値幅(PW50)は
重要な問題であり、シールド磁性膜の特性劣化はPW5
0を大きくする結果となる。高密度の磁気記録では再生
波形が鋭いこと、即ちPW50が小さいほど高密度を達
成できることから、PW50の増大はハードディスク装
置の性能向上を著しく困難にさせる。
【0005】更に、シールド磁性膜を磁区制御するため
の公知技術として、特開昭62−270016号公報に
開示されるように、バイアス磁場発生用導体に交流電流
を流すことにより交流磁場によって交流消磁を行うとい
う技術である。しかし、交流消磁を行うには2次的な電
流発生手段を必要とし、且つ消磁に要する時間が長くな
っていしまい、小形でデータ転送速度の速い高記録密度
の装置では使用できない。
の公知技術として、特開昭62−270016号公報に
開示されるように、バイアス磁場発生用導体に交流電流
を流すことにより交流磁場によって交流消磁を行うとい
う技術である。しかし、交流消磁を行うには2次的な電
流発生手段を必要とし、且つ消磁に要する時間が長くな
っていしまい、小形でデータ転送速度の速い高記録密度
の装置では使用できない。
【0006】他の従来技術では、特開平4−35361
1号公報に記載されたものがある。この技術は、MR素
子内部の磁化変化の不連続性に起因するノイズを抑制す
るため、MR素子に隣接して再生ギャップ内部に永久磁
石膜を配置するというものである。永久磁石膜の発生す
る磁場は、MR素子を構成する軟磁性膜にバイアス磁場
を印加し、MR素子の磁区制御を行うものである。バイ
アス磁場を発生する永久磁石膜は、更にギャップを介し
て対向するシールド磁性膜にも磁場を及ぼし、シールド
磁性膜の一部を磁区制御することが可能である。しか
し、MR素子に対向したシールド磁性膜に磁場が進入し
て磁化を安定化させる構成は、再生ギャップ部を構成す
るシールド磁性膜の透磁率を低下させる欠点を持つた
め、再生ギャップ長を広げる効果が大きく働き、再生波
形の半値幅が広がってしまうという結果をもたらす。ま
た、永久磁石膜から発生する磁場は、シールド磁性膜よ
りもMR素子に強く作用するため、シールド磁性膜を十
分に磁区制御しようと磁場の大きさを増加させると、M
R素子に印加されるバイアス磁場が適正値より過剰にな
りすぎ、MR素子の再生感度を低下させる原因にもな
る。
1号公報に記載されたものがある。この技術は、MR素
子内部の磁化変化の不連続性に起因するノイズを抑制す
るため、MR素子に隣接して再生ギャップ内部に永久磁
石膜を配置するというものである。永久磁石膜の発生す
る磁場は、MR素子を構成する軟磁性膜にバイアス磁場
を印加し、MR素子の磁区制御を行うものである。バイ
アス磁場を発生する永久磁石膜は、更にギャップを介し
て対向するシールド磁性膜にも磁場を及ぼし、シールド
磁性膜の一部を磁区制御することが可能である。しか
し、MR素子に対向したシールド磁性膜に磁場が進入し
て磁化を安定化させる構成は、再生ギャップ部を構成す
るシールド磁性膜の透磁率を低下させる欠点を持つた
め、再生ギャップ長を広げる効果が大きく働き、再生波
形の半値幅が広がってしまうという結果をもたらす。ま
た、永久磁石膜から発生する磁場は、シールド磁性膜よ
りもMR素子に強く作用するため、シールド磁性膜を十
分に磁区制御しようと磁場の大きさを増加させると、M
R素子に印加されるバイアス磁場が適正値より過剰にな
りすぎ、MR素子の再生感度を低下させる原因にもな
る。
【0007】上述したように、信号検出即ち再生を行う
磁気抵抗効果を有するMR素子と、情報信号の記録を行
う誘導型磁気ヘッドを複合させたMRヘッドでは、記録
磁場の作用で、MR素子を制御するバイアス特性が、変
動してしまうという問題点を有する。バイアス特性の変
動は、再生素子であるMR素子の抵抗値を変化させ、印
加磁場に対する素子の伝達曲線を歪ませ、ヘッドの再生
特性の低減を招く。特に、記録再生の過程を繰り返す
と、記録する信号のパターンによって記録後のシールド
磁性膜の磁化状態が変化して、その度再生出力が変動し
たり再生波形が歪むことになる。この現象は、信号再生
時にはノイズと同様の効果をもたらし、装置の性能を著
しく劣化させる。従って、MR素子のバイアス特性を安
定化させるためには、記録磁場によりシールド磁性膜の
磁化状態が変化しないように制御する必要がある。しか
し、前述の従来技術のように、シールド磁性膜の磁区制
御が、透磁率の劣化等によって再生特性に影響を与えな
いようにしなければならない。
磁気抵抗効果を有するMR素子と、情報信号の記録を行
う誘導型磁気ヘッドを複合させたMRヘッドでは、記録
磁場の作用で、MR素子を制御するバイアス特性が、変
動してしまうという問題点を有する。バイアス特性の変
動は、再生素子であるMR素子の抵抗値を変化させ、印
加磁場に対する素子の伝達曲線を歪ませ、ヘッドの再生
特性の低減を招く。特に、記録再生の過程を繰り返す
と、記録する信号のパターンによって記録後のシールド
磁性膜の磁化状態が変化して、その度再生出力が変動し
たり再生波形が歪むことになる。この現象は、信号再生
時にはノイズと同様の効果をもたらし、装置の性能を著
しく劣化させる。従って、MR素子のバイアス特性を安
定化させるためには、記録磁場によりシールド磁性膜の
磁化状態が変化しないように制御する必要がある。しか
し、前述の従来技術のように、シールド磁性膜の磁区制
御が、透磁率の劣化等によって再生特性に影響を与えな
いようにしなければならない。
【0008】本発明は、MRヘッドの再生出力の変動を
押さえるため、記録磁場がMR素子のシールド磁性膜に
及ぼす影響を軽減し、且つシールド磁性膜の磁区制御に
より再生特性が劣化することのないようにしたMRヘッ
ドを提供することを目的とする。
押さえるため、記録磁場がMR素子のシールド磁性膜に
及ぼす影響を軽減し、且つシールド磁性膜の磁区制御に
より再生特性が劣化することのないようにしたMRヘッ
ドを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、主として磁気
抵抗効果を有する検出素子即ちMR素子と、このMR素
子を磁気的に遮蔽する一対のシールド磁性膜と、シール
ド磁性膜上にに積層された信号記録磁極を有する磁気ヘ
ッドにおいて、この一対のシールド磁性膜の少なくとも
一方が、強磁性膜/反強磁性膜/強磁性膜の積層構造で
あることを特徴とする磁気抵抗効果型磁気ヘッドを提供
するものである。以下図を用いて本発明の構成とその原
理を説明する。強磁性膜/反強磁性膜/強磁性膜の積層
膜は図1に示すように、反強磁性膜を強磁性膜でサンド
イッチした構造である。反強磁性膜としては、FeM
n、NiMn、 FeNiMn、NiO、CoO、Ni
CoO、TbCo等を用いることが可能である。本願発
明の積層膜では、前述した公知例に示されているような
層構造でなく3層構造であるため、反強磁性膜は表面に
は露出せずに積層膜断面だけに現れることが特徴であ
る。図2は録再分離型磁気ヘッドの磁気記録媒体対向面
側から見た斜視図であり、中央部を2分割した断面を示
す。基板(図示せず)側に再生専用のヘッドが、更に記
録専用ヘッドとして誘導型磁気ヘッド29が搭載された
構成である。再生専用ヘッドの検出素子としてのMR素
子21は、非磁性ギャップ22、23を介してシールド
磁性膜24、25と対向して配置される。このシールド
磁性膜24および25の少なくとも一方は強磁性膜/反
強磁性膜/強磁性膜の積層構造を有する。更に、シール
ド磁性膜25は記録用誘導型磁気ヘッド29の磁極とは
共用していないため、磁気回路は独立した構成である。
抵抗効果を有する検出素子即ちMR素子と、このMR素
子を磁気的に遮蔽する一対のシールド磁性膜と、シール
ド磁性膜上にに積層された信号記録磁極を有する磁気ヘ
ッドにおいて、この一対のシールド磁性膜の少なくとも
一方が、強磁性膜/反強磁性膜/強磁性膜の積層構造で
あることを特徴とする磁気抵抗効果型磁気ヘッドを提供
するものである。以下図を用いて本発明の構成とその原
理を説明する。強磁性膜/反強磁性膜/強磁性膜の積層
膜は図1に示すように、反強磁性膜を強磁性膜でサンド
イッチした構造である。反強磁性膜としては、FeM
n、NiMn、 FeNiMn、NiO、CoO、Ni
CoO、TbCo等を用いることが可能である。本願発
明の積層膜では、前述した公知例に示されているような
層構造でなく3層構造であるため、反強磁性膜は表面に
は露出せずに積層膜断面だけに現れることが特徴であ
る。図2は録再分離型磁気ヘッドの磁気記録媒体対向面
側から見た斜視図であり、中央部を2分割した断面を示
す。基板(図示せず)側に再生専用のヘッドが、更に記
録専用ヘッドとして誘導型磁気ヘッド29が搭載された
構成である。再生専用ヘッドの検出素子としてのMR素
子21は、非磁性ギャップ22、23を介してシールド
磁性膜24、25と対向して配置される。このシールド
磁性膜24および25の少なくとも一方は強磁性膜/反
強磁性膜/強磁性膜の積層構造を有する。更に、シール
ド磁性膜25は記録用誘導型磁気ヘッド29の磁極とは
共用していないため、磁気回路は独立した構成である。
【0010】図1および2に示す構成を採る結果、シー
ルド磁性膜内で反強磁性膜と接した強磁性膜の界面で
は、反強磁性膜内と強磁性膜内の磁性原子間に働く交換
相互作用によって強磁性膜内の磁化の向きが一様に配列
する。この状態は磁区制御が行われた状態で、強磁性膜
内の磁区構造が固定されたことになる。この場合、反強
磁性膜の厚さ方向から離れた部分の強磁性膜内の磁化
は、膜内の強磁性結合によって磁化配列する。従って、
外部磁場が十分小さい状態では磁化は一様な向きに再配
列し、シールド磁性膜全体の磁区制御が行われる。一
方、反強磁性膜から最も離れたギャップ部に接するシー
ルド磁性膜表面では、反強磁性膜によって発生した交換
結合の効果が弱まるため、磁化の向きは外部磁場によっ
て変化することができ、透磁率の劣化は少ない。このた
め、本発明による構成のシールド磁性膜を用いることに
よる記録磁場の影響の少なく、且つ再生ギャップ近傍の
シールド磁性膜の特性劣化の少ない磁気抵抗効果型磁気
ヘッドを得ることができる。
ルド磁性膜内で反強磁性膜と接した強磁性膜の界面で
は、反強磁性膜内と強磁性膜内の磁性原子間に働く交換
相互作用によって強磁性膜内の磁化の向きが一様に配列
する。この状態は磁区制御が行われた状態で、強磁性膜
内の磁区構造が固定されたことになる。この場合、反強
磁性膜の厚さ方向から離れた部分の強磁性膜内の磁化
は、膜内の強磁性結合によって磁化配列する。従って、
外部磁場が十分小さい状態では磁化は一様な向きに再配
列し、シールド磁性膜全体の磁区制御が行われる。一
方、反強磁性膜から最も離れたギャップ部に接するシー
ルド磁性膜表面では、反強磁性膜によって発生した交換
結合の効果が弱まるため、磁化の向きは外部磁場によっ
て変化することができ、透磁率の劣化は少ない。このた
め、本発明による構成のシールド磁性膜を用いることに
よる記録磁場の影響の少なく、且つ再生ギャップ近傍の
シールド磁性膜の特性劣化の少ない磁気抵抗効果型磁気
ヘッドを得ることができる。
【0011】また本発明は、磁気抵抗効果を有する検出
素子と、この検出素子を磁気的に遮蔽する一対のシール
ド磁性膜と、シールド磁性膜の一方を磁気回路の一部と
して共用する信号記録磁極を有する磁気ヘッドにおい
て、記録磁極と共用されるシールド磁性膜が、強磁性膜
/反強磁性膜/強磁性膜の積層膜であることを特徴とす
る磁気抵抗効果型磁気ヘッドである。以下図を用いて本
発明の構成を説明する。図3において、MR素子30
は、非磁性ギャップ31、32を介してシールド磁性膜
33、34と対向している。シールド磁性膜の一方34
は、記録用誘導型磁気ヘッドの磁極を共用しており、非
磁性記録ギャップ38を介してもう一つの記録磁極39
と対向している。この時シールド磁性膜34は、強磁性
膜35、反強磁性膜36、強磁性膜37の積層構造であ
る。
素子と、この検出素子を磁気的に遮蔽する一対のシール
ド磁性膜と、シールド磁性膜の一方を磁気回路の一部と
して共用する信号記録磁極を有する磁気ヘッドにおい
て、記録磁極と共用されるシールド磁性膜が、強磁性膜
/反強磁性膜/強磁性膜の積層膜であることを特徴とす
る磁気抵抗効果型磁気ヘッドである。以下図を用いて本
発明の構成を説明する。図3において、MR素子30
は、非磁性ギャップ31、32を介してシールド磁性膜
33、34と対向している。シールド磁性膜の一方34
は、記録用誘導型磁気ヘッドの磁極を共用しており、非
磁性記録ギャップ38を介してもう一つの記録磁極39
と対向している。この時シールド磁性膜34は、強磁性
膜35、反強磁性膜36、強磁性膜37の積層構造であ
る。
【0012】記録再生分離型磁気ヘッドでは、トラック
制御の信頼性を高めるため、記録磁極と再生素子の距離
を可能な限り小さくすることが望ましい。この理由は、
小型の磁気記録装置において磁気ヘッドは磁気記録媒体
上で円弧状の動きをするため、磁気記録媒体即ち磁気デ
ィスクの内周側と外周側の記録トラックの位置と再生素
子の位置ずれを生じることである。記録ギャップ位置と
再生ギャップ位置の円弧の半径の差が小さいほど、即ち
記録ヘッドと再生素子が近いほど信頼性が高い。このこ
とから、磁気抵抗効果型磁気ヘッドのシールド磁性膜の
一部を、記録用誘導型磁気ヘッドの磁極として共用する
形式の複合磁気抵抗効果型ヘッドが考案された。しか
し、シールド磁性膜を記録磁極の一部として共用する
と、記録磁場は直接シールド磁性膜内の磁化に影響を及
ぼすため、MR素子のバイアス特性は不安定になる。依
って、シールド磁性膜の磁区制御は必然となる。本発明
の構成によるシールド磁性膜を用いることによって、シ
ールド磁性膜内で反強磁性膜と接した強磁性膜の界面で
は、反強磁性膜内と強磁性膜内の磁性原子間に働く交換
相互作用が生じるため、強磁性膜内の磁化の向きが一様
に配列することになる。この状態は磁区制御が行われた
状態であり、強磁性膜内の磁区構造が固定された状態に
なる。この時、反強磁性膜から離れた部分の強磁性膜内
の磁化は、膜内の強磁性結合によって磁化配列する。依
って、外部磁場が十分小さい状態では磁化は一様な向き
に再配列し、シールド磁性膜全体の磁区制御が行われ
る。一方、反強磁性膜から最も離れたギャップ部に接す
るシールド磁性膜表面では、反強磁性膜によって発生し
た交換結合の効果が弱まるため、磁化の向きは外部磁場
によって変化することができ、透磁率の劣化は少ない。
しかも、一般に反強磁性膜の透磁率は十分に小さいた
め、反強磁性膜によって分割されたシールド磁性膜内で
は記録磁場の影響が直接再生ギャップ部に伝搬すること
も防ぐことができる。加えて、この挿入された膜の特性
が劣化しても、従来の非磁性膜を磁性膜中に挿入したと
同様の効果で記録磁場の影響を軽減することが可能であ
る。従って、本発明による構成のシールド磁性膜を用い
ることによって、記録磁場の影響の少ない、且つ再生ギ
ャップ近傍のシールド磁性膜の特性劣化の少ない磁気抵
抗効果磁気ヘッドを得ることが可能である。
制御の信頼性を高めるため、記録磁極と再生素子の距離
を可能な限り小さくすることが望ましい。この理由は、
小型の磁気記録装置において磁気ヘッドは磁気記録媒体
上で円弧状の動きをするため、磁気記録媒体即ち磁気デ
ィスクの内周側と外周側の記録トラックの位置と再生素
子の位置ずれを生じることである。記録ギャップ位置と
再生ギャップ位置の円弧の半径の差が小さいほど、即ち
記録ヘッドと再生素子が近いほど信頼性が高い。このこ
とから、磁気抵抗効果型磁気ヘッドのシールド磁性膜の
一部を、記録用誘導型磁気ヘッドの磁極として共用する
形式の複合磁気抵抗効果型ヘッドが考案された。しか
し、シールド磁性膜を記録磁極の一部として共用する
と、記録磁場は直接シールド磁性膜内の磁化に影響を及
ぼすため、MR素子のバイアス特性は不安定になる。依
って、シールド磁性膜の磁区制御は必然となる。本発明
の構成によるシールド磁性膜を用いることによって、シ
ールド磁性膜内で反強磁性膜と接した強磁性膜の界面で
は、反強磁性膜内と強磁性膜内の磁性原子間に働く交換
相互作用が生じるため、強磁性膜内の磁化の向きが一様
に配列することになる。この状態は磁区制御が行われた
状態であり、強磁性膜内の磁区構造が固定された状態に
なる。この時、反強磁性膜から離れた部分の強磁性膜内
の磁化は、膜内の強磁性結合によって磁化配列する。依
って、外部磁場が十分小さい状態では磁化は一様な向き
に再配列し、シールド磁性膜全体の磁区制御が行われ
る。一方、反強磁性膜から最も離れたギャップ部に接す
るシールド磁性膜表面では、反強磁性膜によって発生し
た交換結合の効果が弱まるため、磁化の向きは外部磁場
によって変化することができ、透磁率の劣化は少ない。
しかも、一般に反強磁性膜の透磁率は十分に小さいた
め、反強磁性膜によって分割されたシールド磁性膜内で
は記録磁場の影響が直接再生ギャップ部に伝搬すること
も防ぐことができる。加えて、この挿入された膜の特性
が劣化しても、従来の非磁性膜を磁性膜中に挿入したと
同様の効果で記録磁場の影響を軽減することが可能であ
る。従って、本発明による構成のシールド磁性膜を用い
ることによって、記録磁場の影響の少ない、且つ再生ギ
ャップ近傍のシールド磁性膜の特性劣化の少ない磁気抵
抗効果磁気ヘッドを得ることが可能である。
【0013】また本発明は、磁気抵抗効果を有する検出
素子と、この検出素子を磁気的に遮蔽する一対のシール
ド磁性膜と、このシールド磁性膜の少なくとも一方を磁
気回路の一部として共用する信号記録磁極を有する磁気
ヘッドにおいて、記録磁極と共用されるシールド磁性膜
が強磁性膜/反強磁性膜/強磁性膜の積層構造であるこ
とを特徴とする磁気抵抗効果型磁気ヘッドであって、シ
ールド磁性膜を構成する反強磁性膜の材料が絶縁性の材
料かまたは導電率が強磁性膜のそれより小であることを
特徴とする磁気抵抗効果型磁気ヘッドである。
素子と、この検出素子を磁気的に遮蔽する一対のシール
ド磁性膜と、このシールド磁性膜の少なくとも一方を磁
気回路の一部として共用する信号記録磁極を有する磁気
ヘッドにおいて、記録磁極と共用されるシールド磁性膜
が強磁性膜/反強磁性膜/強磁性膜の積層構造であるこ
とを特徴とする磁気抵抗効果型磁気ヘッドであって、シ
ールド磁性膜を構成する反強磁性膜の材料が絶縁性の材
料かまたは導電率が強磁性膜のそれより小であることを
特徴とする磁気抵抗効果型磁気ヘッドである。
【0014】再生用磁気抵抗効果型素子のシールド磁性
膜と、記録用誘導型磁気ヘッドの磁極を共用する形式の
複合磁気抵抗効果型磁気ヘッドでは、シールド磁性膜の
磁気特性がヘッドの記録特性に大きな影響がある。高記
録密度の場合、高周波の記録磁場が必要となるが、周波
数の増加に伴う磁極中の渦電流損失が問題となる。本発
明による構成のシールド磁性膜を用いることにより、シ
ールド磁性膜内では絶縁性の材料によって分割されるた
め、高周波磁場の進入が可能な浸透深さが十分になり、
磁束の表皮効果を低減できる。依って、渦電流損失が軽
減され、且つ良好な磁区制御を行われた磁気抵抗効果型
磁気ヘッドを得ることができる。この場合、反強磁性膜
としては、NiO、CoO、NiCoO等を用いること
が可能である。
膜と、記録用誘導型磁気ヘッドの磁極を共用する形式の
複合磁気抵抗効果型磁気ヘッドでは、シールド磁性膜の
磁気特性がヘッドの記録特性に大きな影響がある。高記
録密度の場合、高周波の記録磁場が必要となるが、周波
数の増加に伴う磁極中の渦電流損失が問題となる。本発
明による構成のシールド磁性膜を用いることにより、シ
ールド磁性膜内では絶縁性の材料によって分割されるた
め、高周波磁場の進入が可能な浸透深さが十分になり、
磁束の表皮効果を低減できる。依って、渦電流損失が軽
減され、且つ良好な磁区制御を行われた磁気抵抗効果型
磁気ヘッドを得ることができる。この場合、反強磁性膜
としては、NiO、CoO、NiCoO等を用いること
が可能である。
【0015】また本発明は、磁気抵抗効果を有する検出
素子と、前記検出素子を磁気的に遮蔽する一対のシール
ド磁性膜と、一方の前記シールド磁性膜を磁気回路の一
部として兼用する信号記録磁極を有する磁気ヘッドにお
いて、記録磁極と兼用される前記シールド磁性膜が、強
磁性膜/反強磁性膜/強磁性膜の積層構造であることを
特徴とする磁気抵抗効果型磁気ヘッドにおいて、シール
ド磁性膜として積層された前記強磁性膜/反強磁性膜/
強磁性膜の内、記録磁極側に配置された前記強磁性膜の
膜厚が、前記強磁性膜に対向して記録磁極を構成する磁
性膜厚に対して、30%以上の膜厚であることを特徴と
する磁気抵抗効果型磁気ヘッドを提供するものである。
以下図を用いて、本発明の構成を説明する。図4は媒体
対向面からみた磁気抵抗効果型磁気ヘッドの端面を示し
ている。MR素子40は、非磁性再生ギャップ41、4
2を介してシールド磁性膜43、44に挟まれて形成さ
れている。シールド磁性膜44は非磁性ギャップ48、
記録磁極49と対をなして記録用誘導型磁気ヘッドの磁
気回路の一部を構成している。この時、シールド磁性膜
43を構成する強磁性膜45、反強磁性膜46および強
磁性膜47の内、記録磁極49側に配置された強磁性膜
47は、その膜厚が記録磁極49の膜厚の30%以上で
ある。
素子と、前記検出素子を磁気的に遮蔽する一対のシール
ド磁性膜と、一方の前記シールド磁性膜を磁気回路の一
部として兼用する信号記録磁極を有する磁気ヘッドにお
いて、記録磁極と兼用される前記シールド磁性膜が、強
磁性膜/反強磁性膜/強磁性膜の積層構造であることを
特徴とする磁気抵抗効果型磁気ヘッドにおいて、シール
ド磁性膜として積層された前記強磁性膜/反強磁性膜/
強磁性膜の内、記録磁極側に配置された前記強磁性膜の
膜厚が、前記強磁性膜に対向して記録磁極を構成する磁
性膜厚に対して、30%以上の膜厚であることを特徴と
する磁気抵抗効果型磁気ヘッドを提供するものである。
以下図を用いて、本発明の構成を説明する。図4は媒体
対向面からみた磁気抵抗効果型磁気ヘッドの端面を示し
ている。MR素子40は、非磁性再生ギャップ41、4
2を介してシールド磁性膜43、44に挟まれて形成さ
れている。シールド磁性膜44は非磁性ギャップ48、
記録磁極49と対をなして記録用誘導型磁気ヘッドの磁
気回路の一部を構成している。この時、シールド磁性膜
43を構成する強磁性膜45、反強磁性膜46および強
磁性膜47の内、記録磁極49側に配置された強磁性膜
47は、その膜厚が記録磁極49の膜厚の30%以上で
ある。
【0016】記録磁極49で発生した磁場は、伝搬して
MR素子のシールド磁性膜44に流入する。この時シー
ルド磁性膜44を構成する強磁性膜47の膜厚が薄すぎ
ると、強磁性膜47が飽和してしまう。強磁性膜47が
飽和すると、記録磁場の勾配が小さくなり記録特性が劣
化する。更に、積層されたシールド磁性膜44内の記録
磁極49側の強磁性膜47が飽和してしまえば、記録磁
極49からの磁場は更に反対側の強磁性膜45にも流入
することになり、磁区制御の効果が劣化する。本特許の
構成のシールド磁性膜を用いることにより、記録磁場の
発生時にシールド磁性膜内に積層された強磁性膜の飽和
をさけることができると共に、記録特性および再生特性
を同時に良好な磁気抵抗効果型磁気ヘッドとすることが
可能である。
MR素子のシールド磁性膜44に流入する。この時シー
ルド磁性膜44を構成する強磁性膜47の膜厚が薄すぎ
ると、強磁性膜47が飽和してしまう。強磁性膜47が
飽和すると、記録磁場の勾配が小さくなり記録特性が劣
化する。更に、積層されたシールド磁性膜44内の記録
磁極49側の強磁性膜47が飽和してしまえば、記録磁
極49からの磁場は更に反対側の強磁性膜45にも流入
することになり、磁区制御の効果が劣化する。本特許の
構成のシールド磁性膜を用いることにより、記録磁場の
発生時にシールド磁性膜内に積層された強磁性膜の飽和
をさけることができると共に、記録特性および再生特性
を同時に良好な磁気抵抗効果型磁気ヘッドとすることが
可能である。
【0017】反強磁性材料は、材料内の磁性原子間に働
く交換相互作用が強く、外部磁場に対して磁化の向きが
変化し難く安定である。この反強磁性材料と強磁性材料
を積層すると、積層界面において強磁性材料内の磁化と
反強磁性材料内の磁化が交換相互作用によって平行もし
くは反平行の配列をとる。依って、この積層体に外部磁
場を印加すると、強磁性材料の磁化が反転しても、反強
磁性材料内の磁化は安定に保たれることになる。外部磁
場が無くなると、強磁性材料内の磁化は界面に発生した
交換相互作用によって、反強磁性材料内の磁化に習って
再配列する。この効果が反強磁性材料と強磁性材料を積
層した磁区制御技術の原理である。図5に本作用の原理
を示す。強磁性材料50は反強磁性材料51と接合され
ている。強磁性材料内の磁化52は強磁性材料50と反
強磁性材料51の界面を通して、反強磁性材料内の磁化
53と交換相互作用する。この結果、強磁性材料内の磁
化52は、反強磁性材料内の磁化53に習って整列す
る。
く交換相互作用が強く、外部磁場に対して磁化の向きが
変化し難く安定である。この反強磁性材料と強磁性材料
を積層すると、積層界面において強磁性材料内の磁化と
反強磁性材料内の磁化が交換相互作用によって平行もし
くは反平行の配列をとる。依って、この積層体に外部磁
場を印加すると、強磁性材料の磁化が反転しても、反強
磁性材料内の磁化は安定に保たれることになる。外部磁
場が無くなると、強磁性材料内の磁化は界面に発生した
交換相互作用によって、反強磁性材料内の磁化に習って
再配列する。この効果が反強磁性材料と強磁性材料を積
層した磁区制御技術の原理である。図5に本作用の原理
を示す。強磁性材料50は反強磁性材料51と接合され
ている。強磁性材料内の磁化52は強磁性材料50と反
強磁性材料51の界面を通して、反強磁性材料内の磁化
53と交換相互作用する。この結果、強磁性材料内の磁
化52は、反強磁性材料内の磁化53に習って整列す
る。
【0018】シールド磁性膜の磁区構造の不安定性は、
シールド磁性膜から発生する静磁場の強度あるいは分布
を変化させる。非磁性ギャップを介してシールド磁性膜
と近接するMR素子は、再生特性の制御を目的として磁
気的にバイアスされている。シールド磁性膜から発生し
た静磁場もMR素子のバイアス状態に影響を与えるため
に、シールド磁性膜構造の磁区構造の乱れ、特に記録再
生を繰り返した後の静磁場のばらつきは、再生特性の安
定性を劣化させる。例えば、バイアス状態が変化する
と、MR素子の抵抗を変化させ、さらには再生出力を変
動させる。再生出力の変動は、ノイズと同様再生信号の
誤り率を増加させることになる。以上の考察より、再生
特性を安定化させるためには、シールド磁性膜の磁化状
態を磁区制御することによって一定とし、シールド磁性
膜から発生する静磁場を変化しないようにすることが必
要である。本発明では前述の磁区制御技術を磁気効果型
磁気ヘッドのシールド磁性膜に適用して、再生出力変動
の少ない磁気抵抗効果型磁気ヘッドを得ることが可能で
ある。
シールド磁性膜から発生する静磁場の強度あるいは分布
を変化させる。非磁性ギャップを介してシールド磁性膜
と近接するMR素子は、再生特性の制御を目的として磁
気的にバイアスされている。シールド磁性膜から発生し
た静磁場もMR素子のバイアス状態に影響を与えるため
に、シールド磁性膜構造の磁区構造の乱れ、特に記録再
生を繰り返した後の静磁場のばらつきは、再生特性の安
定性を劣化させる。例えば、バイアス状態が変化する
と、MR素子の抵抗を変化させ、さらには再生出力を変
動させる。再生出力の変動は、ノイズと同様再生信号の
誤り率を増加させることになる。以上の考察より、再生
特性を安定化させるためには、シールド磁性膜の磁化状
態を磁区制御することによって一定とし、シールド磁性
膜から発生する静磁場を変化しないようにすることが必
要である。本発明では前述の磁区制御技術を磁気効果型
磁気ヘッドのシールド磁性膜に適用して、再生出力変動
の少ない磁気抵抗効果型磁気ヘッドを得ることが可能で
ある。
【0019】強磁性材料の磁区制御では、磁化を安定な
配列に保とうとする力が働くわけであるが、磁化の向き
が安定であるということは材料の透磁率が低くなること
を意味する。よって、磁区制御技術をギャップを構成す
るシールド磁性膜面に直接作用させると、ギャップ長が
変化して再生波形が変化するという弊害を生む。特に再
生ギャップ長が大きくなると、再生波形の半値幅が大き
くなり、高密度記録には不向きとなる。本発明ではシー
ルド磁性膜の内部で磁区制御を行うため、膜表面で直接
磁区制御を行う方法と比較すると、シールド磁性膜表面
近傍での透磁率を高く保つことができる。これは、再生
ギャップが高透磁率のシールド磁性膜による正常な磁気
遮蔽によって規定されることになり、高密度記録に適し
た狭ギャップ化を可能にしている。
配列に保とうとする力が働くわけであるが、磁化の向き
が安定であるということは材料の透磁率が低くなること
を意味する。よって、磁区制御技術をギャップを構成す
るシールド磁性膜面に直接作用させると、ギャップ長が
変化して再生波形が変化するという弊害を生む。特に再
生ギャップ長が大きくなると、再生波形の半値幅が大き
くなり、高密度記録には不向きとなる。本発明ではシー
ルド磁性膜の内部で磁区制御を行うため、膜表面で直接
磁区制御を行う方法と比較すると、シールド磁性膜表面
近傍での透磁率を高く保つことができる。これは、再生
ギャップが高透磁率のシールド磁性膜による正常な磁気
遮蔽によって規定されることになり、高密度記録に適し
た狭ギャップ化を可能にしている。
【0020】
【実施例】図を用いて本発明の実施例を示す。図6はシ
ールド磁性膜表面が磁化された状態のシールド磁性膜内
の磁化分布を計算によって求めたものである。図中に示
された曲線は、反強磁性膜による磁区制御の有無につい
て示している。シールド磁性膜の厚さは3μm、磁区制
御用の反強磁性膜の位置は膜表面から2μmとした。磁
場はシールド磁性膜表面にのみ存在し、シールド磁性膜
の反対側では、磁化は自由に変化することとした。また
印加磁場の影響で膜表面で発生した静磁場は、膜全体に
影響を与える条件としている。磁場を印加し始めて、膜
表面でシールド磁性膜が飽和した状態の磁化分布を観察
する。反強磁性膜が無い場合、磁化は表面から漸近的に
減少する。しかし、シールド磁性膜の反対側(3μm)
では、磁化の値は0ではなく、再生ギャップ側に影響が
現れることがわかる。
ールド磁性膜表面が磁化された状態のシールド磁性膜内
の磁化分布を計算によって求めたものである。図中に示
された曲線は、反強磁性膜による磁区制御の有無につい
て示している。シールド磁性膜の厚さは3μm、磁区制
御用の反強磁性膜の位置は膜表面から2μmとした。磁
場はシールド磁性膜表面にのみ存在し、シールド磁性膜
の反対側では、磁化は自由に変化することとした。また
印加磁場の影響で膜表面で発生した静磁場は、膜全体に
影響を与える条件としている。磁場を印加し始めて、膜
表面でシールド磁性膜が飽和した状態の磁化分布を観察
する。反強磁性膜が無い場合、磁化は表面から漸近的に
減少する。しかし、シールド磁性膜の反対側(3μm)
では、磁化の値は0ではなく、再生ギャップ側に影響が
現れることがわかる。
【0021】一方、反強磁性膜を用いて磁区制御を行っ
た場合、膜断面内の磁化分布は反強磁性膜の位置に向か
って急激に減少する。磁区制御されている位置(2μ
m)では、磁化はいったん0となり、磁区制御膜から離
れるに従って微増する。シールド磁性膜表面に現れた磁
化は磁区制御を行っていない場合と比較して10%程度
まで減少している。磁区制御膜の界面で固定された磁化
は強磁性交換結合によって磁区制御膜近傍の磁化を制御
している。磁区制御膜の反対側で磁化の値が微増してい
るのはシールド表面に現れた静磁場の影響である。この
結果では、シールド磁性膜中にサンドイッチされた反強
磁性膜からなる磁区制御を行うことで、シールド磁性膜
表面に現れた磁化の影響は再生ギャップ側にはほとんど
到達しないことを示している。
た場合、膜断面内の磁化分布は反強磁性膜の位置に向か
って急激に減少する。磁区制御されている位置(2μ
m)では、磁化はいったん0となり、磁区制御膜から離
れるに従って微増する。シールド磁性膜表面に現れた磁
化は磁区制御を行っていない場合と比較して10%程度
まで減少している。磁区制御膜の界面で固定された磁化
は強磁性交換結合によって磁区制御膜近傍の磁化を制御
している。磁区制御膜の反対側で磁化の値が微増してい
るのはシールド表面に現れた静磁場の影響である。この
結果では、シールド磁性膜中にサンドイッチされた反強
磁性膜からなる磁区制御を行うことで、シールド磁性膜
表面に現れた磁化の影響は再生ギャップ側にはほとんど
到達しないことを示している。
【0022】図7に磁区制御の有無について、再生出力
の変動を素子に流す検出電流の関数として表した結果を
示す。これは、記録磁極を励磁するコイルに記録電流を
流してシールド磁性膜に記録磁場を印加し、記録電流を
切った後に磁気抵抗効果素子に信号磁場を印加して、素
子の再生出力変動を調べたものである。再生出力変動
は、記録媒体上に一周分記録されたトラックを再生して
出力の平均値を求め、これを100回繰り返したときの
平均出力の標準偏差を求めたものである。磁区制御を行
ったものは、磁区制御を行っていないものと比較して、
検出電流を変化させても常に出力変動が小さくなってい
る。一方、磁区制御を行わないものでは出力変動が3倍
程度大きくなっている。検出電流の変化に対しても、磁
区制御を行わないものは、出力変動の値の変化が大き
い。検出電流の大きさによって出力変動の値に変化が生
ずるのは、磁気抵抗変化素子のバイアス特性の変化に起
因している。小電流では素子のバイアスが不十分で素子
内の磁化配列が不安定となりやすい。磁区制御を行う
と、検出電流依存性も小さくなり、再生出力変動を最小
にすることができる。
の変動を素子に流す検出電流の関数として表した結果を
示す。これは、記録磁極を励磁するコイルに記録電流を
流してシールド磁性膜に記録磁場を印加し、記録電流を
切った後に磁気抵抗効果素子に信号磁場を印加して、素
子の再生出力変動を調べたものである。再生出力変動
は、記録媒体上に一周分記録されたトラックを再生して
出力の平均値を求め、これを100回繰り返したときの
平均出力の標準偏差を求めたものである。磁区制御を行
ったものは、磁区制御を行っていないものと比較して、
検出電流を変化させても常に出力変動が小さくなってい
る。一方、磁区制御を行わないものでは出力変動が3倍
程度大きくなっている。検出電流の変化に対しても、磁
区制御を行わないものは、出力変動の値の変化が大き
い。検出電流の大きさによって出力変動の値に変化が生
ずるのは、磁気抵抗変化素子のバイアス特性の変化に起
因している。小電流では素子のバイアスが不十分で素子
内の磁化配列が不安定となりやすい。磁区制御を行う
と、検出電流依存性も小さくなり、再生出力変動を最小
にすることができる。
【0023】図8に、媒体対向面より見た複合磁気抵抗
型磁気ヘッドの磁化状態を示す。本実施例では記録磁極
励磁用コイルに記録電流を流し、その時の磁極周辺の磁
化分布を観察した。観察には走査型カー効果顕微鏡を用
いた。図中80は上部記録磁極、記録ギャップ81を介
して下部磁極を兼用したシールド磁性膜82が積層され
ている。83はもう一方のシールド磁性膜である。励磁
コイルは15ターンで、記録周波数20MHz、記録電
流60mAを印加している。図中の等高線はカー効果顕
微鏡の出力信号を示しており、出力が大きいほど強く磁
化されたことを示している。Aで示した部分は強く磁化
された部分、Bで示した部分は弱く磁化された部分を示
している。記録電流の印加中に強く磁化された部分A
は、信号の記録を司っている。本実施例の記録磁極シー
ルド磁性膜兼用部82の磁化分布を見ると、強く磁化さ
れたA部の幅は約1.5μmになっている。一方、上部
記録磁極80の膜厚は約5.5μmであり、その比は3
0%になる。磁極内を伝搬する磁束は磁路の断面積に依
存するが、シールド磁性膜82の膜厚を薄くし過ぎると
膜が飽和して十分な記録ができなくなる。例えば膜厚が
薄くなるとシールド磁性膜82中にあるA部分の信号出
力は急速に減少する。本実施例において、強く磁化され
た部分Aは、記録時の磁束集中領域であることを考える
と、シールド磁性膜82中で記録時場の影響を受ける領
域は、少なくとも30%程度の膜厚であることがわか
る。このヘッドににおける飽和記録特性からは60mA
の記録電流ではすでに飽和していることを考えあわせる
と、記録時に寄与するシールド磁性膜内の磁化分布は、
シールド磁性膜厚の30%程度の領域であるといえる。
依って、磁極の一部を構成する磁性膜厚は上部磁極に対
して30%以上の膜厚があることが望ましい。故に、シ
ールド磁性膜82を反強磁性膜によって磁区制御した場
合、上部磁極に対向する強磁性膜の膜厚は、上部磁極の
30%以上であることが望ましい。
型磁気ヘッドの磁化状態を示す。本実施例では記録磁極
励磁用コイルに記録電流を流し、その時の磁極周辺の磁
化分布を観察した。観察には走査型カー効果顕微鏡を用
いた。図中80は上部記録磁極、記録ギャップ81を介
して下部磁極を兼用したシールド磁性膜82が積層され
ている。83はもう一方のシールド磁性膜である。励磁
コイルは15ターンで、記録周波数20MHz、記録電
流60mAを印加している。図中の等高線はカー効果顕
微鏡の出力信号を示しており、出力が大きいほど強く磁
化されたことを示している。Aで示した部分は強く磁化
された部分、Bで示した部分は弱く磁化された部分を示
している。記録電流の印加中に強く磁化された部分A
は、信号の記録を司っている。本実施例の記録磁極シー
ルド磁性膜兼用部82の磁化分布を見ると、強く磁化さ
れたA部の幅は約1.5μmになっている。一方、上部
記録磁極80の膜厚は約5.5μmであり、その比は3
0%になる。磁極内を伝搬する磁束は磁路の断面積に依
存するが、シールド磁性膜82の膜厚を薄くし過ぎると
膜が飽和して十分な記録ができなくなる。例えば膜厚が
薄くなるとシールド磁性膜82中にあるA部分の信号出
力は急速に減少する。本実施例において、強く磁化され
た部分Aは、記録時の磁束集中領域であることを考える
と、シールド磁性膜82中で記録時場の影響を受ける領
域は、少なくとも30%程度の膜厚であることがわか
る。このヘッドににおける飽和記録特性からは60mA
の記録電流ではすでに飽和していることを考えあわせる
と、記録時に寄与するシールド磁性膜内の磁化分布は、
シールド磁性膜厚の30%程度の領域であるといえる。
依って、磁極の一部を構成する磁性膜厚は上部磁極に対
して30%以上の膜厚があることが望ましい。故に、シ
ールド磁性膜82を反強磁性膜によって磁区制御した場
合、上部磁極に対向する強磁性膜の膜厚は、上部磁極の
30%以上であることが望ましい。
【0024】シールド磁性体を構成する強磁性膜/反強
磁性膜/強磁性膜の積層膜の製造方法について述べる。
強磁性膜の製膜には、スパッタ法やメッキ法を用いるこ
とが可能である。スパッタ法を用いた場合、強磁性膜/
反強磁性膜/強磁性膜を連続してスパッタすることが望
ましい。これは、強磁性膜と反強磁性膜の界面が清浄で
あることが必要なためである。界面で働く交換結合は不
純物原子の存在によって、著しく劣化する。スパッタ
後、ミリング等のフォトリソグラフィー技術を用いて必
要な形状に加工して磁気ヘッドのシールドとする。ま
た、メッキ法を用いた場合、強磁性材料からなる下地膜
の上にメッキによって強磁性層を製膜し、この上に強磁
性材料からなる新たな下地膜を設ける。更に、反強磁性
膜を製膜し、加えて強磁性材料からなる保護膜を形成す
る。強磁性下地膜、反強磁性膜および強磁性保護膜の製
膜は、スパッタによる連続性膜が望ましい。これは、強
磁性膜と反強磁性膜の界面を正常に保つ必要があるから
である。これら積層膜の上に、更にメッキ法によって強
磁性膜を積層し、パターニングを行ってヘッドのシール
ド層とする。スパッタによって作られる強磁性保護層は
メッキの下地膜になると同時に、メッキ浴中で反強磁性
膜が腐食することを防ぐ役目を果たす。これは、反強磁
性材料としてFeMnやNiMn等のMn系合金では特
に重要となる。
磁性膜/強磁性膜の積層膜の製造方法について述べる。
強磁性膜の製膜には、スパッタ法やメッキ法を用いるこ
とが可能である。スパッタ法を用いた場合、強磁性膜/
反強磁性膜/強磁性膜を連続してスパッタすることが望
ましい。これは、強磁性膜と反強磁性膜の界面が清浄で
あることが必要なためである。界面で働く交換結合は不
純物原子の存在によって、著しく劣化する。スパッタ
後、ミリング等のフォトリソグラフィー技術を用いて必
要な形状に加工して磁気ヘッドのシールドとする。ま
た、メッキ法を用いた場合、強磁性材料からなる下地膜
の上にメッキによって強磁性層を製膜し、この上に強磁
性材料からなる新たな下地膜を設ける。更に、反強磁性
膜を製膜し、加えて強磁性材料からなる保護膜を形成す
る。強磁性下地膜、反強磁性膜および強磁性保護膜の製
膜は、スパッタによる連続性膜が望ましい。これは、強
磁性膜と反強磁性膜の界面を正常に保つ必要があるから
である。これら積層膜の上に、更にメッキ法によって強
磁性膜を積層し、パターニングを行ってヘッドのシール
ド層とする。スパッタによって作られる強磁性保護層は
メッキの下地膜になると同時に、メッキ浴中で反強磁性
膜が腐食することを防ぐ役目を果たす。これは、反強磁
性材料としてFeMnやNiMn等のMn系合金では特
に重要となる。
【0025】
【発明の効果】以上、明らかなように、磁気抵抗効果素
子を磁気遮蔽するシールド磁性膜を強磁性膜/反強磁性
膜/強磁性膜の積層構造としてシールド磁性膜の磁区制
御を行うと、再生ギャップ近傍でシールド磁性膜より発
生する静磁場の強度及び分布の変化を低減することがで
きる。その結果、磁気抵抗効果素子に加わるバイアスが
安定し、再生出力変動の少ない良好な再生特性を持つ磁
気ヘッドを得ることができる。本発明の実施例を磁気抵
抗効果型磁気ヘッドにて詳細な説明してきたが、本発明
の技術思想から考えれば、磁性体を使用した磁極あるい
はシールド磁性膜を持つ磁気ヘッドに適用可能であるこ
とは、当業者にとって当然の実施範囲内である。
子を磁気遮蔽するシールド磁性膜を強磁性膜/反強磁性
膜/強磁性膜の積層構造としてシールド磁性膜の磁区制
御を行うと、再生ギャップ近傍でシールド磁性膜より発
生する静磁場の強度及び分布の変化を低減することがで
きる。その結果、磁気抵抗効果素子に加わるバイアスが
安定し、再生出力変動の少ない良好な再生特性を持つ磁
気ヘッドを得ることができる。本発明の実施例を磁気抵
抗効果型磁気ヘッドにて詳細な説明してきたが、本発明
の技術思想から考えれば、磁性体を使用した磁極あるい
はシールド磁性膜を持つ磁気ヘッドに適用可能であるこ
とは、当業者にとって当然の実施範囲内である。
【図1】本発明によるシールド磁性膜の構成図。
【図2】本発明による実施例である磁気抵抗効果型磁気
ヘッドの斜視図。
ヘッドの斜視図。
【図3】本発明による他の実施例である磁気抵抗効果型
磁気ヘッドの斜視図。
磁気ヘッドの斜視図。
【図4】本発明による磁他の実施例である磁気抵抗効果
型磁気ヘッドの端面図。
型磁気ヘッドの端面図。
【図5】本発明の原理を説明する磁気相互作用の概念
図。
図。
【図6】シールド磁性膜厚さと磁化特性。
【図7】検出電流対出力変動特性。
【図8】磁気記録媒体対向面側の磁化分布。
【図9】従来の磁気抵抗効果型磁気ヘッドの斜視図。
【図10】従来の磁気抵抗効果型磁気ヘッドの中央断面
図。
図。
【図11】従来の磁気抵抗効果型磁気ヘッドの斜視図。
11 強磁性膜、12 反強磁性膜、13 強磁性膜、
21 MR素子、23非磁性ギャップ、24 シールド
磁性膜、25 シールド磁性膜、29 誘導型磁気ヘッ
ド、30 MR素子、33 シールド磁性膜、34 シ
ールド磁性膜、35 強磁性膜、 36 反強磁性膜、
37 強磁性膜、40 MR素子、41 非磁性ギャッ
プ、 44シールド磁性膜、48 非磁性ギャップ、4
9 記録磁極、50 強磁性材料、51 反強磁性材
料、52 磁化、90 誘導型磁気ヘッド。
21 MR素子、23非磁性ギャップ、24 シールド
磁性膜、25 シールド磁性膜、29 誘導型磁気ヘッ
ド、30 MR素子、33 シールド磁性膜、34 シ
ールド磁性膜、35 強磁性膜、 36 反強磁性膜、
37 強磁性膜、40 MR素子、41 非磁性ギャッ
プ、 44シールド磁性膜、48 非磁性ギャップ、4
9 記録磁極、50 強磁性材料、51 反強磁性材
料、52 磁化、90 誘導型磁気ヘッド。
Claims (7)
- 【請求項1】 磁気記録媒体に情報を記録、再生を行う
磁気ヘッドであって、磁気ヘッドの磁気回路の一部ある
いは全てが強磁性膜/反強磁性膜/強磁性膜の積層膜で
あることを特徴とする磁気ヘッド。 - 【請求項2】 磁気記録媒体に情報を記録、再生する磁
気ヘッドであって、磁気抵抗効果素子を非磁性絶縁層を
介して対向して配置された一対のシールド磁性膜は、少
なくとも一方が強磁性膜/反強磁性膜/強磁性膜の積層
膜で一部あるいは全てが構成されることを特徴とする磁
気ヘッド。 - 【請求項3】 磁気記録媒体に情報を記録および再生を
行う磁気ヘッドであって、磁極、記録ギャップとを有す
る磁気回路によって記録し、また一対のシールド磁性膜
と非磁性絶縁層に囲尭された磁気抵抗効果素子で再生
し、前記磁極または一対のシールド磁性膜の一部若しく
は全てが強磁性膜/反強磁性膜/強磁性膜の積層膜であ
ることを特徴とする磁気ヘッド。 - 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1に記載の磁気
ヘッドであって、前記強磁性膜/反強磁性膜/強磁性膜
の積層膜は、再生動作直前の磁化方向が一定しているこ
とを特徴とする磁気ヘッド。 - 【請求項5】 請求項1〜3のいずれか1に記載の磁気
ヘッドであって、前記反強磁性膜の導電率は前記強磁性
膜のそれよりも低い材料であることを特徴とする磁気ヘ
ッド。 - 【請求項6】 請求項3に記載の磁気ヘッドにおいて、
前記磁極およびシールド磁性膜が一部共用されているこ
とを特徴とする磁気ヘッド - 【請求項7】 請求項6に記載の磁気ヘッドであって、
前記共用される強磁性膜/反強磁性膜/強磁性膜の積層
膜は、電気的不導体であることを特徴とする磁気ヘッ
ド。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP8278396A JPH09274712A (ja) | 1996-04-04 | 1996-04-04 | 磁気ヘッド |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP8278396A JPH09274712A (ja) | 1996-04-04 | 1996-04-04 | 磁気ヘッド |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH09274712A true JPH09274712A (ja) | 1997-10-21 |
Family
ID=13784021
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP8278396A Pending JPH09274712A (ja) | 1996-04-04 | 1996-04-04 | 磁気ヘッド |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH09274712A (ja) |
Cited By (6)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US6731474B2 (en) | 2000-11-27 | 2004-05-04 | Tdk Corporation | Thin film magnetic head and method of manufacturing the same |
| US8049997B2 (en) | 2008-09-29 | 2011-11-01 | Tdk Corporation | Magnetoresistive element including a pair of free layers coupled to a pair of shield layers |
| US8189303B2 (en) | 2008-08-12 | 2012-05-29 | Tdk Corporation | Thin film magnetic head having a pair of magnetic layers whose magnetization is controlled by shield layers |
| CN102661706A (zh) * | 2012-04-28 | 2012-09-12 | 江南大学 | 一种基于机器视觉的硬盘磁体位置度自动检测方法 |
| US8310791B2 (en) | 2009-03-13 | 2012-11-13 | Tdk Corporation | Magnetoresistive effect element and magnetic disk device |
| US8477461B2 (en) | 2008-07-29 | 2013-07-02 | Tdk Corporation | Thin film magnetic head having a pair of magnetic layers whose magnetization is controlled by shield layers |
-
1996
- 1996-04-04 JP JP8278396A patent/JPH09274712A/ja active Pending
Cited By (6)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US6731474B2 (en) | 2000-11-27 | 2004-05-04 | Tdk Corporation | Thin film magnetic head and method of manufacturing the same |
| US8477461B2 (en) | 2008-07-29 | 2013-07-02 | Tdk Corporation | Thin film magnetic head having a pair of magnetic layers whose magnetization is controlled by shield layers |
| US8189303B2 (en) | 2008-08-12 | 2012-05-29 | Tdk Corporation | Thin film magnetic head having a pair of magnetic layers whose magnetization is controlled by shield layers |
| US8049997B2 (en) | 2008-09-29 | 2011-11-01 | Tdk Corporation | Magnetoresistive element including a pair of free layers coupled to a pair of shield layers |
| US8310791B2 (en) | 2009-03-13 | 2012-11-13 | Tdk Corporation | Magnetoresistive effect element and magnetic disk device |
| CN102661706A (zh) * | 2012-04-28 | 2012-09-12 | 江南大学 | 一种基于机器视觉的硬盘磁体位置度自动检测方法 |
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