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JPH09267419A - 複合管状組成物及び医療用デバイス - Google Patents

複合管状組成物及び医療用デバイス

Info

Publication number
JPH09267419A
JPH09267419A JP31783096A JP31783096A JPH09267419A JP H09267419 A JPH09267419 A JP H09267419A JP 31783096 A JP31783096 A JP 31783096A JP 31783096 A JP31783096 A JP 31783096A JP H09267419 A JPH09267419 A JP H09267419A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hydrogel
composite tubular
layer
tubular composition
thin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP31783096A
Other languages
English (en)
Inventor
Fumihiro Umiga
文広 海賀
Minoru Shibata
稔 柴田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Bakelite Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Bakelite Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority claimed from JP8017820A external-priority patent/JPH08267621A/ja
Application filed by Sumitomo Bakelite Co Ltd filed Critical Sumitomo Bakelite Co Ltd
Priority to JP31783096A priority Critical patent/JPH09267419A/ja
Publication of JPH09267419A publication Critical patent/JPH09267419A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Media Introduction/Drainage Providing Device (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Materials For Medical Uses (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 使用時には、管状組成物として、強度保持す
ることができ、使用後は崩壊へ向かうための処理が容易
な複合管状組成物及び医療用デバイスを提供する。 【解決手段】 一層以上のヒドロゲル層と一層以上のヒ
ドロゲル層と異なる材質の薄肉支持体で構成される。ヒ
ドロゲル層の含水率及び薄肉支持体の厚さは特定の比率
にあるほか、それらが、積層されて形成される場合があ
る。薄肉支持体はアルカリ下浸潤されもの、又はアルカ
リ下浸潤される粘結剤を含む場合がある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は一層以上のヒドロゲ
ル層と一層以上のヒドロゲル層と異なる材質の薄肉支持
体で構成された複合管状組成物及び医療用デバイスに関
する。さらに詳細に説明するなら、この発明は使用中は
支持体の維持力と相乗効果をもたらす強度補強ができ、
用済み後処理が容易な複合管状組成物及び医療用デバイ
スに関する。
【0002】
【従来の技術】ヒドロゲルは日常生活あるいは色々な産
業分野に広く利用されており、卑近な事例が列挙でき
る。しかし形状から見れば塊、板、フィルム、球、ヤー
ンであって、管状の物品は乏しい。また管状物も、述べ
るまでもなく多種、多様の物品が公知であり、多重管と
してもそれらの構造、形状、組合せは多岐にわたる。
【0003】ヒドロゲルに管状の物品が乏しいのは、ま
ず、相応な含水率を持つヒドロゲル素材ないし原料を管
状にするための取扱いが厄介なことが挙げられる。加え
て多くのヒドロゲルは、含水率の多少に拘らず接着・結
合、曲げや引き伸ばしなどの機械加工、その他のいわゆ
る後加工における加工特性が劣るとされてきた。さらに
本質上ヒドロゲルはとかくそのもの自体が軟弱視されて
いて、到底産業分野への利用は無理との先入観が持たれ
ている。それでも一部産業分野、例えば食品産業では何
ら異常なく実用に供せられており、また、医療分野で
は、歯科印象剤、創傷被覆材、骨補強材料等に使用され
ており、ヒドロゲル自体にいろいろな添加剤、補強剤を
配して実際にそのような先入観を払拭し、新産業分野へ
の適応が知られている。
【0004】また、管状組成物を医療用デバイスとし
て、人、動物の消化管、血管、尿管にステントとして使
用しているものとしては、ポリ塩化ビニル、ナイロン、
ポリウレタン、シリコーンゴム等のプラスチック製ある
いは金属等の材質から出来たものが主となっており、使
用後は、侵襲的に取出すか、体内に残ったままとなり、
合併症が起こる等の問題がある。また、最近、ポリエス
テル等の生分解性プラスチックが使用されてきている
が、使用中に分解して強度が保てなくなり、管腔が閉塞
し、医療用のデバイスとして機能しないことが生じるこ
とがある。
【0005】一方、ヒドロゲル自体には他の有用な特性
もあるため、使途の拡大は切望されつつも、上記施策等
ではまだヒドロゲルの産業分野への利用は限られた範囲
に留らざるを得ない。ましてや管状物品では、ヒドロゲ
ルの有用な特性である保水性、可撓性はもとより、使用
後いわゆる使い捨てをしても廃棄物としての処理が容易
である構成が多いなど、他の素材にない特性を具備して
いるので、使用される産業分野の拡大に所望する特性の
向上が特に強く要望されているにも拘らず、公知段階で
の水準以上に改善もはかどらないでいるのが実情であ
る。
【0006】しかし、これらのゲルを用いている、即
ち、イオン的に架橋可能なポリマーを含有し、そのポリ
マーがトリガ崩壊するように工夫された医療用デバイス
(特開平7−163655号公報)が提案されている。
このゲルを医療用デバイスとして管腔を保つために使用
したときには、ゲルが管腔を保つための十分な強度がな
いばかりか、例えば、生体内のアルカリ成分等がゲルに
浸透し、ゲルが経時的に自然崩壊するという欠点を持っ
ており、医療用デバイスとして機能しない。
【0007】その後、そのゲルの含水量を低くすること
により、機械的性能、即ち、強度を向上させたゲルを用
いた医療用デバイス(例えば、特開平8−80343号
公報)が提案されている。このゲルも前述と同じよう
に、医療用デバイスとして管腔を保つために使用したと
きには、ゲルが管腔を保つための初期強度は十分である
が、その後、ゲルは生体内で含水量を平衡に保とうとし
て膨潤し、また、例えば、生体内のアルカリ成分等がゲ
ルに浸透し、ゲルが経時的に自然崩壊し、管腔を保つこ
とが出来なくなり、医療用デバイスとして機能しない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上述の諸
問題を抱える実情を首尾よく、かつ、容易に解決すると
ともに前述の所望された特性を具備する複合管状組成物
を提供することにある。使用する時には、管状組成物と
して強度保持することができ、使用後は人為的化学処理
により、形状が次第に不定形化して崩壊するような処理
が容易な管状組成物を新規に多様な産業分野、特に医療
分野の医療用デバイスとして、利用を拡大せしめること
にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】ヒドロゲルはそれぞれ一
定の形態にあってはその内部に捕獲水が取り込まれてい
る。その捕獲水は系外自由水を交流する場合もあるが、
閉鎖状態のままでいる場合もある。管状の物体の多くは
その側面を利用して内外域を分かち、異なる雰囲気下に
使われる。このためヒドロゲルの内部では捕獲水含水率
は常に一定に保たれようとする作用はあるが、一つの側
面に遭遇した流体や流動物がたとえば浸透性良好な表面
活性剤を含む液であったり高度に乾燥させた気体であっ
たりすると上述の捕獲水含水率は急激に変化して管体に
著しい寸法変化や組成変化を招き、実使用に耐えなくな
る。
【0010】本発明は、ヒドロゲル自体による管体で発
生する上述のような欠点を防止するため、一層以上のヒ
ドロゲル層と一層以上のヒドロゲル層とは異なる材質の
薄肉支持体とで構成されることを特徴とする複合管状組
成物である。また、二層以上のヒドロゲル層から成る場
合には、少なくとも一層はヒドロゲルの液状分を脱水し
て乾固し、ヒドロゲル層の含水率の最大差が10倍以内
である層をもつことがあったり、ヒドロゲル層と薄肉支
持体が積層して形成されたり、また、薄肉支持体が二層
以上で異なる材質で積層して形成されたりすることを特
徴とする複合管状組成物である。ヒドロゲル層はヘキソ
ース又はヘキソース置換体が結合した多糖類又はその誘
導体であり、アルギン酸、ガラクトマンナン、グルコマ
ンナン、ザンタンガム、ペクチン酸、ローカストビーン
ガム、グアガム、並びにその塩類又はK−カラギンナ
ン、シュランガム及びそれらの化合物、相互混合物であ
り、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、マグネシ
ウム、鉄中の少なくとも1種の陽イオンにより架橋され
ており、炭酸水素ナトリウム、クエン酸ナトリウム、グ
ルコン酸ナトリウム、及び無機リン酸塩により化学的処
理により形状が不定形化して崩壊することを特徴とする
複合管状組成物である。
【0011】また、薄肉支持体はセルロースかその誘導
体から成り、少なくとも一層がヒドロキシプロピルセル
ロース、ピドロキシプロピルメチルセルロースフタレー
ト、ピドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサ
クシネート、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸
フタル酸セルロース群から選択されるアルカリ浸潤下の
セルロースであるか、または、アルカリ下浸潤される粘
結剤を0.3%以上含むセルロースかその誘導体である
ことを特徴とする複合管状組成物である。また、ヒドロ
ゲル層の厚さの合計と薄肉支持体の厚さの合計の比が
1:0.06〜1:0.8であることを特徴とする複合
管状組成物である。更に、その複合管状組成物の寸法は
外径(R)と内径(r)との比を特定し、ヒダを内表面
及びまたは外表面に設けることを特徴とした構造をもっ
ている。以上の複合管状組成物を人、動物の消化管、血
管、尿管中の少なくとも1種にステントとして使用され
ることを特徴とする医療用デバイスである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下図面を用いて本発明を詳細に
説明する。図1は本発明による複合管状組成物の一実施
例を示す図であり、図1(a)は外観図、(b)は
(a)の断面図である。図2は他の実施例を示す外観図
である。図3は医療用デバイスとして使用されている使
用状態を示す概略図である。
【0013】以下本発明を詳しく説明する。一層以上の
ヒドロゲル層と一層以上の薄肉支持体との複合管状組成
物において、ヒドロゲル層を多層にすることにより、外
界からの捕獲水の移行のしない変化の少ないヒドロゲル
管状物を得ることができる。図1のように、特に、ヒド
ロゲル層と外界間、即ち、ヒドロゲルの外層または内層
に薄肉支持体で界面を形成すれば、ヒドロゲルの捕獲水
の移動は緩慢になり、外界に対し捕獲水が保全され、ヒ
ドロゲルの保水率は外界の影響を受けにくくなる。ま
た、ヒドロゲル層間に薄肉支持体を入れることによって
も、より変化の少ないヒドロゲル管状物を得ることがで
きる。ここで、ヒドロゲル層と薄肉支持体を順次、積層
して形成すると、ヒドロゲル層と薄肉支持体がより密着
するため、ゲルはさらに外界の影響を受けにくく、より
変化の少ないヒドロゲル管状物を得ることができる。
【0014】また、ヒドロゲル層の少なくとも一層の液
状分を脱水して乾固させれば、使用中に分解して強度が
保てなくなり管腔が閉塞するということがなく、管状組
成物として十分に強度保持することができ、その含水率
は通常ゲルの1/10倍以内であれば、非常にその効果
があることがわかった。含水率が1/10倍より小さい
と乾固したゲル自身が非常にもろくなり、また、ヒドロ
ゲル間に薄肉支持体を入れたとしても、ゲルの捕獲水の
移行が出てくるため、ゲルの含水率に変化が現れ、使用
できない。
【0015】さらに管体であるからにはその内側側面断
面積を最大に保つ必要があるから、ヒドロゲル層のみの
場合と同じ管の厚さで、しかも強度保持がなされるため
には薄肉支持体の厚さが重要になってくる。ヒドロゲル
層の厚さの合計と薄肉支持体の厚さの合計比が1:0.
06〜1:0.8であると所望する管体として扱えるの
がわかった。もしこの比が1:0.8より大きいと補強
効果は優れていても徒らに支持体が厚くなってヒドロゲ
ル層を伴う効用である柔軟性に欠如する。またその比が
1:0.06を下まわると支持体の厚さがあまりにも不
足し、かえって脆弱化して支持体の用をなさず、ヒドロ
ゲル層と複合管状組成物とする意味がなくなる。
【0016】この発明に係わる複合管状組成物の形状は
については、例えば、図1、図2に示すような管状構造
であれば、いかなる形状をもつか問わない。その構造
は、外径(R)と内径(r)との比R/rが1.2〜1
0に特定される。R/rの比が1.2を下まわると複合
管状組成物はその肉厚が小さくなって、管状を保ち得な
い。一方、R/rが10を越えると、むしろ塊状、棒状
と言え、管状構造とは言うことができない。
【0017】さらに、この発明の1つは、図2(3)
(4)のように、外表面及び、または内表面にヒダをも
っている複合管状組成物である。ヒダは外表面及び、ま
たは内表面に連続して形成されているが、突起状、ある
いは島状に断続していても良い。そのようなヒダは管状
賦形組成物に独特な感触を与えたり、表面積の拡大とな
ったり、強度を付与できるので非常に有用である。
【0018】ヒドロゲル層はヘキソース又はヘキソース
置換体が結合した多糖類又はその誘導体である物質を必
須成分とする。このような物質は天然に豊富に産出し、
かつヒドロゲルを容易に形成するとともにある特定の使
途で使用中はそのヒドロゲルの柔軟性と非刺激性、無
味、無臭なため食品、化粧品、医療、組織培養やバイオ
リアクター、微生物の固定、医療用具やその部材に有効
に使用される。ヒドロゲルを形成する上述の物質として
はアルギン酸、ガラクトマンナン、グルコマンナン、ザ
ンタンガム、ローカストビーンガム、グアガム、ペクチ
ン酸並びにその塩類、またはK−カラギナン、シュラン
ガムおよびそれらの化合物、相互混合物である。これら
によるヒドロゲル層は含水率5〜98%であり、また、
カルシウム、バリウム、ストロンチウム、マグネシウ
ム、鉄等の多価陽イオンを架橋させることにより、ヒド
ロゲルを生成させる方法が好ましいが、使途に応じて、
公知の方法により生成される。
【0019】また、ヒドロゲル層は管状組成物として形
状を保持し、使用することができるが、用済み後は、容
易に処理できる構成であり、炭酸水素ナトリウム、クエ
ン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、無機リン酸塩
等のヒドロゲルの架橋イオンに浸漬して作用し、架橋イ
オンと置換する化学的試薬により、形状が不定形化して
崩壊することが重要な特徴といえる。
【0020】この発明にあってはこのヒドロゲル層と薄
肉支持体は上述のヒドロゲル層を形成する物質とは究極
上異なった材質でなくてはならない。なぜならこの薄肉
支持体の組成がヒドロゲルと同一であった場合には外部
自由水の浸透、捕獲水の浸出のような移動が行われやす
く本来の支持体の役割を果たし得ないからである。すな
わち、この支持体は適度にそのような水の移動を阻止す
る遮蔽(バリヤー)効果をもたらさなければならない。
しかもその遮蔽は使用中のみ有効で、用済み後は容易に
処理できる構成であれば、廃棄物の扱い上有利である。
そのような事情を加味して支持体の組成はセルロースか
その誘導体を主成分とする。セルロースかその誘導体の
うち水の移動を阻止する遮蔽のためには、当然水に不溶
性な物質が有効で、セルロースは結晶セルロース、セル
ロース誘導体はエチルセルロース、酢酸セルロース、フ
タル酸セルロース、カルボキシメチルエチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ヒドロキ
シプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセル
ロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロー
スアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセ
ルロース、酢酸フタル酸セルロース等が使用でき、支持
体はそれらの単独あるいは任意に組み合わせて使用す
る。
【0021】また、この発明で重要なのは上述のとおり
遮蔽として水の移動を阻止すべき支持体が用済み後は容
易に処理できる構成をめざし、薄肉支持体を二層以上の
異なる材質を積層した方が良く、このうち少なくとも一
層はアルカリ下浸潤されるセルロース、例えば、ヒドロ
キシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセ
ルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロ
ースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチル
セルロース、酢酸フタル酸セルロース群から選択させる
セルロースをアルカリ下浸潤されないセルロースに積層
することにより、構成されると、使用後は、アルカリ下
浸潤させることにより、その層は溶解し、他のアルカリ
下浸潤されない層だけが残るだけとなる。このとき、薄
肉支持体の内、アルカリ下浸潤されない層を薄肉にして
構成されたとき、その薄肉支持体をアルカリ下浸潤させ
るとアルカリ下浸潤する層は溶解し、アルカリ下浸潤さ
れない層は形状が保持できなくなり、形状が崩壊する。
これは重要な特徴といえる。
【0022】また、上記と同様に、アルカリ下浸潤され
ないセルロースには、粘結剤0.3%以上をセルロース
かその誘導体に含ませることにより、用済み後は容易に
処理できる構成をもたせることもできる。0.3%以下
では、アルカリ下浸潤による効果が低くなり、用済み後
容易に処理できなくなる。そのような粘結剤は主として
加熱硬化する樹脂成分が使用できる。たとえば、レゾー
ル型フェノール・ホルムアルデヒド縮合物、メラミン・
ホルムアルデヒド縮合物、ユリヤ・ホルムアルデヒド縮
合物等、また天然樹脂であるカシュー、セラック、ロジ
ン、テルペン、タンニン、リグリン等、さらにはメチル
セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタ
レート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテー
トサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロースやそのナトリウム塩の
ようないわゆる崩壊剤を単独あるいは任意に組み合わせ
て使用する。
【0023】アルカリ下浸潤は強力な薬剤を使う必要は
毛頭ない。近年、作業環境や廃水の流出上厳しい規制が
とられているのでむしろそのような薬剤は避けるべきで
あろう。そのような規制にも合致し、かつアルカリ下浸
潤を行うためには弱酸の弱塩基塩類を使えばよい。この
ような塩類は容易に加水分解を生じ、水溶液下で任意の
アルカリを形成する。
【0024】なおアルカリ下浸潤を促進させるために、
この支持体内にたとえばクエン酸トリエチルのような耐
水性に乏しい可塑剤を添加させたり、ショ糖、ブドウ
糖、果糖、麦芽糖、乳糖、ソルビトール糖の酸化生成物
のような耐水性に乏しくかつ親水性の物質を添加させて
もよい。
【0025】さらに支持体を一時期補強させるための補
強物の配合、たとえば繊維の埋入、造影性をもたせるた
めの造影剤の混入、造影糸の埋込、また、蛍光物質、着
色剤、光不透過剤など支持体自体に影響を及ぼさない物
質を添加することも一向に差し支えない。
【0026】この発明による組成物は非刺激性、無味、
無臭かつ保水性、可撓性があるし、切断加工性も容易な
ため、使途は従来のヒドロゲル単体よりもさらに拡大
し、食品、化粧品、医薬、組織培養、バイオリアクタ
ー、微生物の固定、医療用具やその部材のみならず、臨
時汚水配管やジョイント類、廃油処理具、商品模型、釣
り具、養殖用部材、土壌内施肥用配管や育苗用配管など
に使って有用である。
【0027】特に、本発明による複合管状組成物を図3
に示すように、人、動物の消化管、血管、尿管等の導
管、例えば、胆道ステント、人工食道、腸の供給管、吻
合用ステント、血管内ステント、尿管ステントに医療用
デバイスとして使用するには有用である。従来のプラス
チック製、あるいは金属製の管状組成物を使用し除去す
る必要のある場合、侵襲的に取り出さなければならない
ため、費用、時間、医者の手間及び患者の不快感を伴っ
ており、また、生分解性プラスチック製の管状組成物を
使用した際にも、使用中に分解し、強度が保てず管腔が
閉塞するという問題を抱えており、一定期間機能を発揮
させるということが困難であった。使用時には、管状組
成物として管腔を保持する医療用デバイスとして機能を
発揮し、一定期間使用した後には、人為的化学処理によ
り、形状が不定形化して崩壊し、体内から安全に排泄す
ることができる。
【0028】
【実施例】以下、実施例を記す。 [実施例1]エタノール180mlにクエン酸トリエチル
6g、結晶セルロース12g、ヒドロキシプロピルセル
ロース1.6gを加えて室温下均一に攪拌させて一夜放
置熟成させた。この液に棒状型を浸漬させて引揚げ33
3K(60℃)で1時間乾燥させた。その浸漬・乾燥を
2〜5回繰り返した。その後型から外し均一な厚さの管
状組成物を夫々得た。内訳を表1に示す。
【0029】[実施例2]実施例1で結晶セルロースに
代えてエチルセルロースを、またヒドロキシプロピルセ
ルロースに代えて精製セラックを使用した。さらに実施
例1の浸漬・乾燥を2回した後絹糸を巻き、さらに3回
浸漬・乾燥を繰り返して糸を埋入せしめた。その後型か
ら外し均一な厚さの管状組成物を得た。内訳を表1に示
す。
【0030】
【表1】
【0031】[実施例3]エタノール157mlにクエン
酸トリエチル3.4g、ヒドロキシプロピルメチルセル
ロースアセテートサクシネート13.7gを加えて室温
下に均一に攪拌させて一夜放置熟成させた。この液に棒
状型を浸漬させて引揚げ338K(65℃)で1時間乾
燥させた。その浸浸・乾燥を2〜5回繰り返した。その
後、型から外し、均一な厚さの管状組成物を夫々得た。
内訳を表2に示す。
【0032】
【表2】
【0033】[実施例4]アセトン157mlにクエン
酸トリエチル3.4g、エチルセルロース13.7gを
加えて室温下に均一に攪拌させ一夜放置熟成させた(A
液)。アセトン157mlにクエン酸トリエチル3.4
g、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサ
クシネート13.7gを加えて室温下に均一に攪拌させ
て一夜放置熟成させた(B液)。 まず、A液に棒状型
を浸漬させて引揚げ室温298K(20℃)で1時間乾
燥させた。その浸漬・乾燥を2〜5回繰り返した。次に
B液に棒状型を浸漬させて引揚げ室温298K(20
℃)で1時間乾燥させた。その浸漬・乾燥を2〜5回繰
り返した。その後、型から外し、均一な厚さの管状組成
物を各々得た。内訳を表3に示す。
【0034】
【表3】
【0035】[実施例5]グルコマンナン粉末2gを5
0mlの水を加えて攪拌し、膨潤体をつくった。0.2g
の水酸化カルシウムを10mlの水に懸濁させた直後、こ
れを上記膨潤体とよく練り合わせ、型に圧入した。型ご
と蒸し器に入れ40分加熱後型から外し均一な厚さの管
状組成物を得た。内訳を表4に示す。
【0036】
【表4】
【0037】[実施例6]120mlの水に0.02gの
ソルビン酸カリウムを添加した後4gのアルギン酸ナト
リウムを加えて攪拌し、膨潤体を形成させた。これを型
に圧入して15%の塩化カルシウム溶液を14ml加えて
硬化させ、型から取り出した。均一な厚さの管状組成物
を得た。内訳は表5に示す。
【0038】
【表5】
【0039】[実施例7]120mlの水に0.02gの
ソルビン酸カリウムを添加した後4gのアルギン酸ナト
リウムを加えて攪拌し、膨潤体を形成させた。これを型
に圧入して15%の塩化カルシウム溶液を14ml加えて
硬化させた。そのゲルを乾燥機に入れ、ゲル液状分を脱
水して乾固させ、吸水率を10%にした後に型から取り
出し、均一な厚さの複合管状組成物を得た。内訳は表6
に示す。
【0040】
【表6】
【0041】[実施例8]120mlの水に4gのアルギ
ン酸ナトリウムを加えて攪拌し、膨潤体を形成させた
(C液)。これを型に圧入して15%の塩化カルシウム
溶液を14ml加えて硬化させた。そのゲルを乾燥機に入
れ、ゲル液状分を脱水して乾固させ、吸水率を10%に
した。その後、実施例4のA液(セルロース液)に、そ
の乾燥したゲルを浸漬させて引揚げ室温298K(20
℃)で1時間乾燥させた。その浸漬・乾燥は1〜5回繰
り返した。その後、そのセルロース膜付きの乾燥ゲルを
型にはめ込み、C液をその型に圧入して15%の塩化カ
ルシウム溶液を14ml加えてC液を硬化させ、型から取
り出した。均一な厚さの複合管状組成物を得た。内訳は
表7に示す。
【0042】
【表7】
【0043】[実施例9]実施例4のA液に棒状型を浸
漬させて引揚げ室温298K(20℃)で1時間乾燥さ
せた。その浸漬・乾燥を1〜5回繰り返した。次にB液
に棒状型を浸漬させて引揚げ室温298K(20℃)で
1時間乾燥させた。その浸漬・乾燥を1〜5回繰り返し
た。そのセルロース膜付きの棒状型を型にはめ込み、実
施例8の手順と同様に、順次、ゲル乾固物、セルロー
ス、ゲルと積層していき、できあがった後に、型から取
り出し、均一な厚さの複合管状組成物を得た。内訳は表
8に示す。
【0044】
【表8】
【0045】[組合せ例]次の組合せにより測定試験片
をつくり、表9に示す。
【表9】
【0046】[試験例]上記組合せ例による試験片を長
さ10mmに切断し、その側面に荷重がかかるようにして
1kg重のロードセルを使用し、1/30mm・s-1(2mm
/分)の速度で試験片を圧縮する圧縮強さを測定した。
試験片が内径(10mm)の半分、すなわち5mmまで歪ん
だところを終点としその荷重(グラム重)を読み次のよ
うな結果を得た。
【0047】
【表10】
【0048】
【発明の効果】上記試験例を比較例と対比して明らかな
ように本発明に従い、作製された複合管状組成物は複合
管状組成物を形成しない場合に比べて使用中支持体によ
る強度を維持できるとともに組成物の作用によってアル
カリ下浸潤され自己崩壊がある時期に急速に進む効果が
顕著である。ここで、二層以上のヒドロゲル層から成っ
ている場合、少なくとも一層はヒドロゲルの液状分を脱
水して、乾固し、ヒドロゲル層の含水率の最大差が10
倍以内である層をもたせることにより、複合管状組成物
の圧縮強度を強めることが出来る。また、薄肉支持体と
ヒドロゲル層により、複合管状組成物を作製することに
より、従来ヒドロゲル層にいろいろな添加剤、補強剤を
配合するような手間は省け、かつ、これら物質によるヒ
ドロゲル層への好ましくない他性状変化、例えば濁りや
着色の発生、部分沈積などは当然回避され、ヒドロゲル
層本来の性状があるがままに発揮できる。更に、ヒドロ
ゲルと薄肉支持体を積層して成形することにより、それ
らの層がより密着するため、ゲルのアルカリ下浸潤速度
が遅くなり、アルカリ下浸潤速度がコントロールするこ
とが出来る。また、この複合管状組成物を、人、動物の
消化管、血管、尿管にステントとして使用すると、使用
時には管状組成物として管腔を保持し、一定期間機能を
発揮した後に、人為的化学処理により、形状が不定形化
し、崩壊し、体内から安全に排泄することのできるとい
う医療用デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明による複合管状組成物の一実施例
を示す図である。 (b)本発明による複合管状組成物の一実施例を示す断
面図である。
【図2】本発明による複合管状組成物の他の実施例を示
す図である。
【図3】本発明による複合管状組成物を医療用デバイス
として使用されている使用状態を示す概略図である。
【符号の説明】 1.ヒドロゲル層(1) 2.ヒドロゲル層(2) 3.薄肉支持体(1) 4.薄肉支持体(2) 5.複合管状組成物 6.食道管 7.胃

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一層以上のヒドロゲル層と一層以上のヒ
    ドロゲル層とは異なる材質の薄肉支持体とで構成された
    複合管状組成物。
  2. 【請求項2】 二層以上のヒドロゲル層から成り、少な
    くとも一層はヒドロゲルの液状分を脱水して乾固し、ヒ
    ドロゲル層の含水率の最大差が10倍以内である層をも
    つ請求項1記載の複合管状組成物。
  3. 【請求項3】 ヒドロゲルと薄肉支持体が積層して形成
    された請求項1又は2記載の複合管状組成物。
  4. 【請求項4】 薄肉支持体が二層以上で積層され、少な
    くとも一層が他の層と異なる材質で形成された請求項
    1、2又は3記載の複合管状組成物。
  5. 【請求項5】 ヒドロゲル層はヘキソース又はヘキソー
    ス置換体が結合した多糖類又はその誘導体である請求項
    1、2、3又は4記載の複合管状組成物。
  6. 【請求項6】 ヒドロゲル層はアルギン酸、ガラクトマ
    ンナン、グルコマンナン、ザンタンガム、ペクチン酸、
    ローカストビーンガム、グアガム並びにその塩類又は,
    K−カラギンナン、シュランガム及びそれらの化合物、
    相互混合物であり、カルシウム、バリウム、ストロンチ
    ウム、マグネシウム、鉄中の少なくとも1種の陽イオン
    により架橋されており、薄肉支持体はセルロースかその
    誘導体から成る請求項1、2、3、4又は5記載の複合
    管状組成物。
  7. 【請求項7】 ヒドロゲル層は炭酸水素ナトリウム、ク
    エン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、及び無機リ
    ン酸塩により化学的処理により形状が不定形化して崩壊
    する請求項1、2、3、4、5又は6記載の複合管状組
    成物。
  8. 【請求項8】 薄肉支持体の少なくとも一層はヒドロキ
    シプロピルセルロース、ピドロキシプロピルメチルセル
    ロースフタレート、ピドロキシプロピルメチルセルロー
    スアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセ
    ルロース、酢酸フタル酸セルロース群から選択されるア
    ルカリ下浸潤のセルロースである請求項1、2、3、
    4、5、6又は7記載の複合管状組成物。
  9. 【請求項9】 薄肉支持体の少なくとも一層がアルカリ
    下浸潤される粘結剤を0.3%以上含むセルロースかそ
    の誘導体である請求項1、2、3、4、5、6又は7記
    載の複合管状組成物。
  10. 【請求項10】 ヒドロゲル層の厚さの合計と薄肉支持
    体の厚さの合計の比が、1:0.06〜1:0.8であ
    る請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9記載の
    複合管状組成物。
  11. 【請求項11】 外径(R)と内径(r)との比R/r
    が1.2〜10である請求項1、2、3、4、5、6、
    7、8、9又は10記載の複合管状組成物。
  12. 【請求項12】 外表面及び、または内表面にヒダをも
    っている請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、
    10又は11記載の複合管状組成物。
  13. 【請求項13】 請求項1、2、3、4、5、6、7、
    8、9、10、11又は12記載の複合管状組成物を
    人、動物の消化管、血管、尿管中の少なくとも1種にス
    テントとして使用されることを特徴とする医療用デバイ
    ス。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003019211A (ja) * 2001-05-08 2003-01-21 Ethicon Inc 体内の内腔用の除去可能なステント
JP2018520818A (ja) * 2015-05-14 2018-08-02 アソシエーション フォー ジ アドバンスメント オブ ティシュー エンジニアリング アンド セル ベイスト テクノロジーズ アンド セラピーズ(エイ4テック)− アソシアソンAssociation For The Advancement Of Tissue Engineering And Cell Based Technologies & Therapies (A4Tec) − Associacao 尿管ステント、方法およびその使用
JP2021107551A (ja) * 2019-12-27 2021-07-29 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター 木材片用接着剤

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