JPH09176603A - 偏光板・位相差板用粘着剤 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐湿剥がれ性を低下させずに耐熱発泡性が向
上した偏光板・位相差板用粘着剤を提供する。 【解決手段】 粘着剤のベースポリマーが、Ｎ−イソプ
ロピルアクリルアミドなどのアクリルアミド誘導体をモ
ノマー成分として含有する共重合体からなることを特徴
としている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、偏光板又は位相
差板に対してガラス、フィルム等を貼付するための粘着
剤に関する。

【０００２】

【従来の技術】偏光板又は位相差板に対してガラス、フ
ィルム等を貼付するための粘着剤としては、高温域にお
いても粘着剤が発泡せずに視界阻害がないこと（耐熱発
泡性）、高湿域においても偏光板や位相差板と粘着剤と
の界面あるいは粘着剤と液晶セルとの界面で剥がれない
こと（耐湿剥がれ性）等が要求される。

【０００３】この対策として、耐熱発泡性に対しては粘
着剤の凝集力（ゲル分率）を高くする方法がとられ、耐
湿剥がれ性に対しては逆に粘着剤の凝集力を低くする方
法がとられるので、凝集力のバランスを如何に上手く保
つかが重要なことであって、配合による調整によりこの
バランスを保ってきた。

【０００４】ところで、近年、液晶表示剤の用途拡大に
伴い過酷な条件、例えば９０℃以上の高温下や６０℃、
湿度９０％以上の高温多湿下での使用が求められるよう
になってきており、前記の配合による調整だけではこれ
らの要求を満たすことはできなくなってきた。

【０００５】そこで、例えば、特開平３−１２４７１号
公報には、アルキル基の炭素数が１〜１２のアクリル酸
系アルキルエステルをモノマー成分とし、架橋官能基と
してアクリル酸及びメタクリル酸２−ヒドロキシエチル
等を共重合したアクリル系共重合体をイソシアネート架
橋したポリマーを粘着剤のベースポリマーとして用いこ
とが提案されている。ここではベースポリマーの分子量
と架橋度を調整して所要の物性を持つ粘着剤を得ようと
している。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上記粘着剤は一部の偏
光板、位相差板に対しては有効な粘着剤であるが、より
耐熱性を高めても耐湿剥がれ性がそれ程向上せず、十分
なものではなかった。

【０００７】この発明は、上記の点に鑑み、耐湿剥がれ
性を低下させずに耐熱発泡性が向上した偏光板・位相差
板用粘着剤を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】この発明の偏光板・位相
差板用粘着剤は、偏光板又は位相差板に対してガラス又
はフィルムを貼付するための粘着剤であって、この粘着
剤のベースポリマーがアクリルアミド誘導体をモノマー
成分として含有する共重合体からなることを特徴として
いる。

【０００９】アクリルアミド誘導体としては、次式
（１）、（２）、（３）で表される化合物があげられ
る。

【００１０】

【化１】

【００１１】上記式（１）中、Ｒは炭素数１〜１０のア
ルキレン基を示し、式（２）中、Ｘは１〜１２の整数を
示し、式（３）中、Ｙは１〜１００の整数を示す。

【００１２】アクリルアミド誘導体としては、例えばＮ
−イソプロピルアクリルアミドがあげられる。なお、ア
クリルアミド誘導体からなるホモポリマーの水溶液にお
ける下限臨界溶解温度が２０〜８０℃であるようなアク
リルアミド誘導体が好適に用いられる。このモノマーの
共重合体に対する含有量は、１〜５０重量％、好ましく
は２〜１０重量％である。

【００１３】また、上記アクリルアミド誘導体をモノマ
ー成分として含有する共重合体としては、アクリル系共
重合体が好適である。このアクリル系共重合体のその他
のモノマー成分としては、粘着成分としてのアクリル酸
エステル、酸性官能基を有するビニル系モノマー等があ
げられる。

【００１４】アクリル酸アルキルエステルとしては、ア
ルキル基の炭素数が２〜１２のものが好ましく、エチル
アクリレート、ブチルアクリレート、２−エチルヘキシ
ルアクリレート、イソオクチルアクリレート等があげら
れる。

【００１５】また、酸性官能基を有するビニル系モノマ
ーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、
（無水）マレイン酸、イタコン酸、２−アクリロイルオ
キシエチルコハク酸、２−アクリロイルオキシエチルフ
タル酸、２−アクリロイルオキシエチルアシッドフォス
フェート、反応性スルホン酸エステル等があげられる。

【００１６】上記モノマーを共重合させる方法として
は、モノマーを溶剤に溶解させてラジカル発生剤のも
と、熱あるいは光重合によりアクリル系共重合体を得る
ことができる。また、エマルジョン重合、塊状重合等に
よっても得られる。得られるアクリル系共重合体の分子
量は特に制限はないが、１０〜１００万程度のものが粘
度面、生産性の両面からみて好ましい。

【００１７】また、上記アクリル系共重合体は、架橋す
ることにより凝集力を付与させることができる。架橋方
法としては、架橋剤を使用して熱、紫外線、電子線ある
いはγ線の照射で架橋させる方法、架橋剤を使用するこ
となく電子線あるいはγ線等で自己架橋させる方法、ま
たはこれらの方法を併用する方法等があげられる。架橋
剤の使用量は、一般的には、重合性モノマー１００重量
部に対して５重量部以下である。

【００１８】架橋剤としては、アクリル系共重合体中の
官能基と反応する官能基を有するか、分子中に複数の不
飽和結合を有する多官能オリゴマーが好適に用いられ
る。前者の反応性官能基を有するオリゴマーとしては、
イソシアネート系、アジリジン系、エポキシ系、有機金
属系の架橋剤として知られているオリゴマーがあげられ
る。また、後者の多官能オリゴマーとしては、１，６−
ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコール
ジアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリ
レート等があげられる。架橋の際、ベンゾイルパーオキ
シド、ｔ−ブチルクミルパーオキシド、アゾビスイソブ
チロニトリル等をラジカル発生剤として併用することが
できる。

【００１９】上記したベースポリマーに、酸化防止剤、
安定剤、粘着性付与剤、可塑剤、着色剤、無機や有機の
充填剤等が必要に応じて配合され、粘着剤が得られる。

【００２０】

【発明の実施の形態】次にこの発明の実施の形態を実施
例により説明する。 （実施例）ブチルアクリレート９０．５重量部、アクリ
ル酸５重量部、Ｎ−イソプロピルアクリルアミド４重量
部、メタクリル酸２−ヒドロキシエチル０．５重量部
を、アゾビスイソブチロニトリル０．０３重量部の存在
下トルエン中にて共重合して固形分２０％の重合液を得
た。この重合液１００重量部に対し、イソシアネート系
架橋剤（コロネートＬ：日本ポリウレタン社製）０．５
重量部及び金属系架橋剤（アルミキレートＤ：川研ファ
インケミカル社製）１．２重量部を加えて架橋させて感
圧性の粘着剤を得た。

【００２１】（比較例）ブチルアクリレート９４．５重
量部、アクリル酸５重量部、メタクリル酸２−ヒドロキ
シエチル０．５重量部を、アゾビスイソブチロニトリル
０．０３重量部の存在下トルエン中にて共重合して固形
分２０％の重合液を得た。この重合液を実施例と同様に
して感圧性の粘着剤を得た。

【００２２】こうして得られた粘着剤を偏光板に塗工し
て粘着剤付偏光板を得、これをガラス板にラミネーター
を用いて圧着した。このガラス板を貼付した偏光板を試
験片として、耐熱性試験と耐湿剥がれ性試験を下記のと
おり行った。

【００２３】耐熱性試験：８５℃と９５℃の雰囲気下に
それぞれ５００時間放置した後、それぞれの試験片の気
泡の発生状況を観察し、気泡が認められない場合を◎、
極めて微小な気泡が僅かに認められるが実用上問題がな
い場合を○、目視により気泡が認められて問題となる場
合を×とした。

【００２４】耐湿剥がれ性：４０℃×９５％ＲＨと、６
０℃×９０％ＲＨの雰囲気下にそれぞれ５００時間放置
した後、それぞれの試験片について剥がれの発生状況を
観察し、剥がれが認められない場合を◎、目視では認め
難い程度の剥がれがある場合を○、目視により剥がれの
発生が認められる場合を×とした。

【００２５】この結果は表１に示すとおりであり、この
発明の粘着剤においては高温時の耐湿剥がれ性が改善さ
れていることが分かる。

【００２６】

【表１】

【００２７】

【発明の効果】この発明は、粘着剤のベースポリマーが
前記したとおりのモノマー成分を含有しているので、耐
湿剥がれ性を低下させることなく耐熱発泡性に優れたも
のとなり、偏光板、位相差板用粘着剤として好適に用い
られる。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 偏光板又は位相差板に対してガラス又は
   フィルムを貼付するための粘着剤であって、この粘着剤
   のベースポリマーがアクリルアミド誘導体をモノマー成
   分として含有する共重合体からなることを特徴とする偏
   光板・位相差板用粘着剤。