JPH09151203A

JPH09151203A - 紫外線硬化型熱線遮断性樹脂組成物及びそれをコーティングしたフィルム

Info

Publication number: JPH09151203A
Application number: JP7318503A
Authority: JP
Inventors: Katsuichi Kaneko; 勝一金子; Kanichiro Yoshioka; 乾一郎吉岡
Original assignee: Nippon Kayaku Co Ltd
Current assignee: Nippon Kayaku Co Ltd
Priority date: 1995-05-09
Filing date: 1995-11-14
Publication date: 1997-06-10

Abstract

(57)【要約】【目的】紫外線で硬化し、可視光領域の吸収が少なく
い、熱線遮断性のある、耐擦傷性に優れた樹脂組成物及
びその樹脂組成物をコ−ティングしたフィルムを作るこ
と。【構成】熱線吸収能を有するするの酸化錫又はアンチモ
ンをドープした酸化錫の超微粒を二個以上の（メタ）ア
クリロイル基を持つ活性エネルギ−線重合性多官能（メ
タ）アクリレ−トとヒドロキシル基を有するポリマ−の
中にカルボン酸あるいはポリカルボン酸系分散剤を使用
して分散せしめた塗膜硬度、および耐擦傷性に優れた紫
外線硬化型熱線遮断性樹脂組成物及びその樹脂組成物で
コ−ティングされたフィルム。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、酸化錫又はアンチモン
をドープした酸化錫（以下ＡＴＯという）の微粒子を含
有する塗膜硬度、耐擦傷に優れた紫外線硬化型熱線遮断
性樹脂組成物及びそれをコ−ティングした熱線遮断性フ
ィルムに関する。

【０００２】熱線遮断性材料は、近年特に研究開発が盛
んに行われている材料であり、近赤外領域の波長を有す
る半導体レ−ザ−光等を光源とする感光材料、光ヂスク
用記録材料などの情報記録材料、赤外線カットフィルタ
−あるいは熱線遮断フィルムとして建物の窓、車両の窓
等に利用することが出来る。

【０００３】

【従来の技術】従来、近赤外線吸収性の光線透過性材料
としては、クロム、コバルト錯塩チオ−ルニッケル錯
体、アントラキノン誘導体等が知られている。この他、
ポリエチレンテレフタレ−トフィルムの片面にアルミニ
ウム、銅などの金属を蒸着した熱線反射フィルムが知ら
れている。かかる熱線反射フィルムは可視光をよく透過
するが近赤外線−赤外線の熱線を反射するので、ガラス
窓などの開口部に適用すると透明性を維持しつつ、太陽
光の熱線あるいは室内からの輻射熱を反射して日照調整
や断熱の効果をもつ。このような特性をいかして透明断
熱フィルムは、建物の窓、冷凍・冷蔵ショウケ−ス、防
熱面、車両用窓、等に利用され、住居環境の向上や省エ
ネルギ−等に役だつ。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
熱線遮断材料は、有機系のものは耐久性が悪く環境条件
の変化や時間の経過とともに初期の性能が劣化していく
と言う欠点があった。一方錯体系のものは耐久性はある
が近赤外領域のみならず可視部にも吸収があり化合物そ
のものが強く着色しているものが多く用途が限られてし
まうと言う欠点があった。

【０００５】また、従来技術の熱線反射フィルムは、熱
線のみならず可視光線まで金属蒸着層で反射するので窓
ガラス等に張り付けると採光性が損なわれ室内が暗くな
ると言う致命的な欠点があった。更に、このような蒸着
層を形成させるには、その装置がおおがかりとなり、従
ってコスト高となるため製品としての汎用性に乏しいも
のであった。

【０００６】さらに、これら熱線反射フィルムは、実用
上耐擦傷性を向上させるために熱線反射フィルムの外側
面にハ−ドコ−ト処理をすることが望まれる。しかしな
がら、熱線吸収材料をコ−ティングした後、再度外面を
ハ−ドコ−ティングをすることはコスト高になり、汎用
性に乏しくなる。

【０００７】

【課題を解決すための手段】本発明者は、近赤−遠赤外
領域に吸収がみられ着色が少なくかつ耐久性に優れた熱
線遮断材料について鋭意検討を重ねた結果、特定の酸化
錫又はＡＴＯの超微粒子を紫外線硬化性の樹脂中に分散
せしめたることによって容易に紫外線を照射することに
よって硬化し、耐擦傷に優れた塗膜を、しかも一回のコ
−ティングで得られる紫外線硬化型の熱線遮断性の樹脂
組成物が得られることを見いだし本発明を完成した。

【０００８】すなわち本発明は、熱線吸収性のある酸化
錫又はＡＴＯの粒子径０．５μｍ以下、好ましくは０．
１μｍ以下の微粒子を（メタ）アクリロイル基を持つ活
性エネルギ−線重合性多官能（メタ）アクリレ−トとヒ
ドロキシル基を有するポリマ−に分散剤を使用して分散
せしめた塗膜硬度が堅く、耐擦傷性に優れた紫外線硬化
型熱線遮断性樹脂組成物又はその硬化物に関する。更
に、本発明は、その組成物をコ−ティングされたフィル
ムに関する。

【０００９】熱線吸収のある金属としては、酸化チタ
ン、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫、硫化亜鉛等が
あるが、可視光領域において吸収が少なく、かつ透明な
金属酸化物含有の皮膜を形成するためには、金属酸化物
を粒子径０．５μｍ以下、望ましくは０．１μｍ以下の
微粒子の粉末にする必要がある。本特許の樹脂組成物中
の酸化錫又はＡＴＯの含有量は要求される熱線遮断能に
応じて任意に選ぶことが出来るが、有効な熱線遮断能を
有するためには酸化錫又はＡＴＯの含有量は樹脂組成物
に対し５重量％〜７０重量％が望ましい。樹脂中でこの
粒子が凝集することなく安定に保たれねばならない。酸
化物の含有量が余り多すぎると安定な酸化錫又はＡＴＯ
の分散物が得られず酸化錫又はＡＴＯが分離したり、凝
集して粒子が大きくなり透明な樹脂皮膜を形成しがた
い。又、本特許に用いられるＡＴＯは例えば特開昭５８
−１１７２２８号公報や特開平６−２６２７１７号公報
に記載された方法によって得ることができ、ドーピング
されたアンチモンの酸化錫に対する割合は任意に選択す
ることができる。例えば酸化アンチモン０．１〜５０重
量％含有する酸化錫である。

【００１０】本発明に用いられる紫外線硬化型樹脂の
（メタ）アクリロイル基を持つ重合性（メタ）アクリレ
−トとしては例えばネオペンチルグリコ−ル（メタ）ア
クリレ−ト、１，６−ヘキサンヂオ−ルヂ（メタ）アク
リレ−ト、トリエチレングリコ−ルジ（メタ）アクリレ
−ト、トリエチレングリコ−ルジ（メタ）アクリレ−
ト、トリプロピレングリコ−ルジ（メタ）アクリレ−
ト、トリメチロ−ルプロパントリ（メタ）アクリレ−
ト、ペンタエリスリト−ルトリ（メタ）アクリレ−ト、
ペンタエリスリト−ルテトラ（メタ）アクリレ−ト、ジ
ペンタエリスイト−ルヘキサ（メタ）アクリレ−ト等が
擧げられるが、耐擦傷性に優れた塗膜を得るためには、
ペンタエリスリト−ルテトラ（メタ）アクリレ−ト、ペ
ンタエリスリト−ルトリアクリレ−ト、ジペンタエリス
リト−ルヘキサアクリレ−トなどの多官能アクリレ−ト
が好ましい。紫外線硬化型樹脂の組成物の樹脂成分に対
する該アクリレートの割合は、５０重量％以上９８重量
％以下がよく、より好ましくは８０重量％以上９８％以
下が望ましい。

【００１１】ヒドロキシル基を有するポリマ−として
は、ポリエステル樹脂、ブチラ−ル樹脂等を擧げること
ができる。例えばポリエステル樹脂としては、バイロン
（東洋防（株）製のポリエステル樹脂）、ブチラ−ル樹
脂としては、積水化学製のエスレックを擧げることが出
来る。ヒドロキシ基を有するポリマ−は、金属酸化物の
分散性が良好であると同時に、インキの密着性を向上さ
せたり、皮膜の収縮を緩和したりするはたらきがあり必
須の成分である。ヒドロキシル含有のポリマ−の組成物
の樹脂成分に対する割合は、３重量％以上５０重量％以
下、更に好ましくは２０重量％以下が好ましい。ヒドロ
キシル基含有のポリマ−は含有量が多すぎると得られる
塗膜の耐擦傷性が低下し、とくに塗膜面を外側にする使
用方法には適さない。

【００１２】この無機酸化物の超微粒子を紫外線硬化型
樹脂にうまく分散させるためには、更に分散剤が必要で
あり、その分散剤としては、種々の界面活性剤がある。
界面活性剤としては硫酸エステル系、カルボン系、ポリ
カルボン酸系等のアニオン系界面活性剤、高級脂肪族ア
ミンの４級塩等のカチオン界面活性剤、高級脂肪酸ポリ
エチレングリコールエステル系等のノニオン界面活性
剤、シリコン系界面活性剤、フッソ系界面活性剤、アマ
イドエステル結合を有する高分子活性剤等がある。その
なかでも特にカルボン酸系、ポリカルボン酸系の分散剤
が好適であり、例えば、Ｒ−ＣＯＯＨ、ＲＳＯ₂ＮＨＣ
Ｈ₂ＣＯＯＨ、ＲＳＣＨ₂ＣＯＯＨ、ＲＳＯＣＨ₂ＣＯ
ＯＨ、ＲＣＨ₂ＣＯＯＨ、ＲＣＨ（ＳＯ₃Ｈ）ＣＯＯＨ
などのスルホン酸−カルボン酸（Ｒは例えば炭素数が１
０〜２０の飽和又は不飽和アルキル基を示す）などのカ
ルボン酸系界面活性剤、くり返し単位が式−ＣＨ₂−Ｃ
Ｈ（ＣＯＯＨ）−、ＣＨ₂ＣＨ（ＣＨ₂ＣＯＯＨ）−Ｃ
Ｈ（Ｐｈ）−ＣＨ₂−、−ＣＨ（ＣＯＯＨ）−ＣＨ（Ｃ
ＯＯＨ）−Ｃ（ＣＨ₃）₂−ＣＨ₂−、−ＣＨ₂−ＣＨ
（ＣＨ₂ＣＯＯＨ）−などのポリカルボン酸系界面活性
剤が挙げられる。さらに具体的にはフローレンＡＦ−
４０５、Ｇ−６８５、Ｇ−８２０等（共栄社油脂（株）
製）を挙げることが出来る。分散剤の添加料は、酸化錫
又はＡＴＯに対し０．１重量％以上１０重量％以下が好
ましい。

【００１３】本発明の樹脂組成物を硬化させ被膜（塗
膜）を形成させるにあったっては光重合開始剤が使用さ
れ、その光重合開始剤は予め樹脂組成物の中に溶解す
る。光重合開始剤としては、特に制限はなく各種公知の
ものを使用することができ、その使用量は樹脂組成物に
対しで０．１−１５重量％、好ましくは、０．５−１２
重量％が良く、少なすぎると硬化性が低下するので好ま
しくなく、多すぎると硬化被膜の強度が劣化する。光重
合開始剤の具体例としては、イルガキュア−１８４、イ
ルガキュア−６５１（チバガイギ−社製）、ダロキュア
−１１７３（メルク社製）、ベンゾフェノン、ｏ−ベン
ゾイル安息香酸メチル、ｐ−ジメチル安息香酸エステ
ル、チオキサントン、アルキルチオキサントン、アミン
類等が挙げられる。なお、硬化物（硬化被膜）の膜厚は
特に限定されず、用途に応じて例えば０．１〜９μｍの
範囲で選択できる。

【００１４】更に、塗膜の表面のスリップ性を向上させ
る目的で、種々のスリップ剤を添加することが出来る。
また組成物を塗工するときに発生する泡を制御する目的
で消泡剤を添加することができる。本発明に於ける紫外
線硬化性熱線遮断性樹脂組成物の製造方法及びこれをフ
ィルムにコーティングする方法としては、例えば次の方
法があげられる。予め湿式微粒子化法等によって有機溶
媒中に０．５μ以下に微分散された酸化錫又はアンチモ
ンをドープした酸化錫の分散液にカルボン酸系又はポリ
カルボン酸系の分散剤を加え、続いてヒドロキシル基を
含有するポリマー樹脂を少量追加して微粒子の分散を安
定化させる。しかる後に紫外線を照射することによって
硬化可能な（メタ）アクリロイル基を持つ重合性（メ
タ）アクリレートから選ばれた未硬化のモノマーを単独
もしくは２種以上添加し、更に光重合開始剤を溶解させ
て紫外線硬化性熱線遮断性樹脂組成物を得る。又この時
必要に応じて粘度調整用に溶媒を添加することができ
る。この組成物をフィルムにコーティングする方法とし
ては例えば浸漬法、グラビアコート法、オフセットコー
ト法、ロールコート法、バーコート法、噴霧法等の常法
によって行われ、コートした後に熱風で溶媒を揮散させ
続いて高圧水銀ランプ、カーボンアーク灯、キセノンラ
ンプ等を用いて紫外線を照射することによってフィルム
表面上にコーティングされた組成物を瞬時に重合硬化さ
せる。なお上記方法で使用される有機溶媒としては例え
ばトルエン、酢酸エチルなどが挙げられ、又コーティン
グフィルムとしてはポリエステル、ポリブチレンテレフ
タレート、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリカー
ボネートなどが挙げられる。

【００１５】

【実施例】次に、実施例を揚げて本発明樹脂組成物の調
整方法について詳細を述べるが、例文中の添加割合はす
べて重量％で示す。実施例１撹はん器を備えた容器にトルエンに分散された０．１μ
ｍ以下のＡＴＯの固形分５０％の微粒子を３０部取り、
これに分散剤フロ−レンＡＦ−４０５（共栄社油脂製の
ポリカルボン酸系分散剤）の３％トルエン溶液６部をよ
く撹はんしながら添加する。さらに撹はんしながらトル
エンを２０部加える。これに良く撹はんしながらポリエ
ステル樹脂バイロン２４ＳＳ（東亜合成製）７部を少し
ずつ添加する。ひきつゞいて紫外線硬化性樹脂ジペンタ
エリスリト−ルヘキサアクリレ−ト（ＫＡＹＡＲＡＤ
ＤＰＨＡ日本化薬製）２０部をよく撹はんしながら少
しずつ添加する。最後に光開始剤イルガキュア−１８４
を１．４部とスリップ剤ＳＨ−２９ＰＡ（サンノプコ
製）０．１部、トルエン１０部を加えて、光開始剤が完
全に溶解するまで撹はんして紫外線硬化型の熱線遮断製
樹脂組成物（１）を得る。この組成物の固形分は４１
％、粘度１１．７ＣＰＳ．で分散安定であった。

【００１６】実施例２分散剤としてフロ−レンＧ−８２０の３％溶液を６部使
用する以外は、実施例１と同様にして固形分４１％、粘
度１３．４ＣＰＳ．の樹脂組成物（２）を得た。

【００１７】実施例３ポリエステ樹脂としてバイロン２４ＳＳを１０部使用す
る以外は実施例１と同様にして固形分４１％、粘度１
１．５ＣＰＳ．の樹脂組成物（３）を得た。

【００１８】実施例４ポリエステル樹脂としてバイロン２０ＳＳを７部使用す
る以外は実施例１と同様にして樹脂組成物（４）を得
た。

【００１９】実施例５分散剤剤フロ−レンＧ−４０５の３％トルエン溶液を１
２部使用する以外は実施例１と同様にして樹脂組成物
（５）を得た。実施例６トルエンに分散された酸化錫５０％溶液を使用する以外
は実施例１と同様にして樹脂組成物（１５）を得た。

【００２０】比較例１ヒドロキシル基を有するポリエステル樹脂としてバイロ
ン２４ＳＳを使用ない事以外は実施例１と同様にして樹
脂組成物（６）を作成したが、安定した組成物は得られ
ず、酸化錫が分離してきた。

【００２１】比較例２分散剤として、ポリカルボン酸系のフロ−レンＧ−４０
５を使用しない事以外は実施例１と同様にして組成物
（７）を作成した。

【００２２】比較例３紫外線硬化性樹脂としてジペンタエリスリト−ルヘキサ
アクリレ−トと光開始剤イルガキュア−１８４を使用し
ない以外は実施例１と同様にして樹脂組成物（８）を得
た。インキの分散安定性は良好であった。

【００２３】比較例４ポリエステル樹脂としてバイロン２４ＳＳ、分散剤とし
てフロ−レンＧ−４０５を使用しないこと以外は実施１
と同様にして樹脂組成物（９）を得た。

【００２４】コ−ティングフィルムの作成（１）膜厚５０ミクロンのポリエステルフィルムに実施
例１−９で得られた樹脂組成物を、コ−ティングバ−で
コ−ティングし溶剤を熱風で乾燥した後、８０Ｗの高圧
水銀ランプをコンベア−スピ−ド２０ｍ／分のスピ−ド
で照射し、硬化させて、目的のコ−ティングフィルムを
得た。得られたフィルムの擦傷性、透明性を後記表１に
示す。（２）膜厚５０ミクロンのポリエステルフィルムに実施
例３の組成物（３）を膜厚２．７μ、３．５μ、４．６
μにコ−ティングしたフィルム（ａ）、（ｂ）、（ｃ）
及び未コートポリエステルフィルム（ｄ）の分光特性を
図１に示す。（３）空間容積２０×２０×２０ｃｍの発泡スチレン製
容器の内側５面を黒色に塗装した２個の容器を用意し、
その各々の開口部に一方は透明ガラス板（厚さ１．５ｍ
ｍ）をもう一方には同透明ガラスの内側に実施例３の組
成物で作った（Ｃ）のフィルムを貼り合わせたものを置
いて、直射日光下（天候：快晴、気温２６．５℃）に於
ける内温の温度上昇カーブを測定した。温度上昇の少な
い方が熱線遮断性に優れていることを示す。

【００２５】

【表１】

【００２６】 ◎ ：非常に良好 ×× ：非常に悪い

【００２７】

【発明の効果】本発明の紫外線硬化型の熱線遮弊性樹脂
組成物の塗膜は、可視光領域の透過性が高いことが図１
により、透明で耐擦傷性に優れていることが表１によ
り、熱線遮断能のあることが図１及び図２によりそれぞ
れ明らかである。よって熱線遮断フィルムとして建物の
窓、車両の窓等への応用に最適である。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例３の組成物（３）のフィルム（ａ）、
（ｂ）、（ｃ）及び未コートポリエステルフィルム
（ｄ）の分光特性図を示す。

【図２】実施例３の組成物（３）のフィルム（ｃ）付ガ
ラスと何も付けていないガラスを使用した場合の時間経
過と内温上昇の関係を示す。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】熱線吸収能を有する粒子径０．５μｍ以下
の酸化錫又はアンチモンをドープした酸化錫の微粒子を
（メタ）アクリロイル基を持つ活性エネルギ−線重合性
多官能（メタ）アクリレ−トとヒドロキシル基を有する
ポリマ−の中に分散剤を使用して分散せしめた紫外線硬
化性熱線遮断性樹脂組成物。
【請求項２】分散剤がカルボン酸系又はポリカルボン酸
系の分散剤である請求項１の樹脂組成物。
【請求項３】請求項１に記載された樹脂組成物でコ−テ
ィングされたフィルム。