【発明の詳細な説明】
迅速な色直し方法
発明の技術分野
本発明は、塗料を色直しして標準塗料に色合せするための方法および装置に関
する。
従来技術
吹付け方式は、塗料工業において、塗装した試験パネルの調製に用いられるこ
とが良く知られている。典型的には、ベースコートを試験パネルに吹付け、所定
時間、所定温度で焼付けて、その塗料を硬化させる。続いて、クリアコートを塗
布するが、このクリアコートはベースコートに吹付けて焼付けする。こうして得
られたパネルを標準着色パネルと比較するが、色またはその他の質において不一
致がみられる場合、パネルに吹付けられる塗料のバッチはそれに応じて改質され
る。この改質方法が『色直し(shading)』として知られるものである。ベース
コートを塗布し、焼付け、クリアコートを塗布し、続いて焼付けを行う、という
、この時間のかかる操作は、特に水性ベースコート系および溶剤系クリアコート
系においては、色直しを繰り返す毎に、バッチの色を表すサンプルパネルが所定
の色許容差範囲内で色標準と合致するまで繰り返さなければならない。
伝統的に、色直し方法は、自分たちの技能の上達を達成するために多くの実際
の経験を必要とする非常に習熟した、訓練された人々により行われてきた。可視
的な色直しは結局のところは技術(アート)であるので、色直し方法の有効な管
理は困難である。
近年、このような可視的な色直しは、塗料組成物または顔料組成物を器具によ
り特徴付けるための装置の使用により補われてきた。比色計および分光光度計は
当技術分野において良く知られているものであり、入射光源の方向に対して所定
の角度を有する塗装された不透明パネルによって可視スペクトル内の様々な光波
長で反射した光の量を測定するのに用いられる。非金属塗料、すなわち、光反射
性フレークまたはペレットを含有しない塗料では、反射率係数は、光沢角度(鏡
面角度)の場合を除き、入射光の方向に対するパネルの角度に伴い最初限の反射
率変化を有する。したがって、特定の角度におけるただ一度の分光光度計による
読取りは、その塗料を正確に特徴づけるような反射率の値を与えるであろう。
一方、金属塗料は、アルミニウム、ブロンズ(青銅)または被覆マイカ等の材
料の反射性フレークを含有している。このような塗料は『ツートンカラー(2色
調)』または『フリップ−フロップ』効果により特徴付けられ、その塗料の見掛
け上の色は視角が変わると変化する。この効果は塗料フィルム中のフレークの配
向によるものである。このような金属塗料の色は照明(光源)や見る角度の関数
に応じて変化するので、ただ一度の分光光度計による読取りでは、塗料の正確な
特徴づけには不十分である。典型的には、金属塗料の色定数を得るために3種類
の多角的測定が用いられる。例えば、1984年10月30日にアルマン(Alma
n)に発行された米国特許第4,479,718号を参照されたい。
塗料の色は、可視的な均一の色空間における座標であり、かつ国際照明委員会
により規定されている以下の方程式によりX、Y、Zの三刺激値と相関するL*
、a*およびb*値で説明される。
すなわち、L*は明度の軸線を示し、
L*=116(Y/Yo)1/3−16
であり、
a*は赤緑色の軸線を示し、
a*=500[(X/Xo)1/3−(Y/Yo)1/3]
であり、
b*は黄青色の軸線を示し、
b*=200[(Y/Yo)1/3−(Z/Zo)1/3]
であり、式中において、
Xo,YoおよびZoは所定光源に対する完全な白色の三刺激値であり、
X、YおよびZは、その色の三刺激値である。
塗料の調製に用いられる各着色剤の色ベクトルは上記で議論したように付与・
決定される。この色ベクトルは、用いられる各着色剤の単位量の添加を原因とし
て生じる色空間における移動量、すなわち、L*、a*およびb*値の変動である
。例えば、
(式中、C1,C2およびC3はその色に用いられる顔料または色相(ティン
ト)の濃度である。)
で表される。
この色直し方法において用いられる色技術は良く知られているものであり、F.
W.Bi11meyerおよびM.Saltzmanによる「Principles of Color Technology」[Joh
n Wiley and Sons,New York;第2版(1981年)]において十分議論されて
いる。特に興味深いのは、A.B.J.Rodriguesによる論文である、「第5回有機コ
ーティング化学・技術国際会議議事録」第3巻の『有機塗料・技術シリーズ』に
おける『色の概念、色合わせおよび色の調節の現代技術の理論と実践』(272
〜282頁)(1979年)である。
色の測定操作は、コンピュータを用いることにより自動化することが可能であ
る。例えば、1972年9月12日にアームストロング(Armstrong)に発行さ
れた米国特許第3,690,771号、および1983年9月13日にファルコ
フ(Falcoff)に発行された米国特許第4,403,866号を参照されたい。
この方法において用いられる比色計は電気的にコンピュータに接続されており
、好ましくは調製される塗料のL*、a*およびb*値を決定し、これらの値を該
コンピュータにフィードバックする。この比色計は、例えば、400〜700ナ
ノメーター(nm)の可視光スペクトルにより20nmの増分で塗料を検視し、
このデータに基づいてその塗料に対するL*、a*およびb*値を算
出する。塗料を検視することにより得られる比色計からの処理シグナル(信号)
をコンピュータへ送信し、そのコンピュータにL*、a*およびb*値を決定させ
ることも可能である。
コンピュータはこれらのL*、a*およびb*値を受け取り、調製される塗料の
L*、a*およびb*値と標準塗料の許容差値との差分(すなわち、ΔL*、Δa*
およびΔb*)を決定する。コンピュータは、着色剤のベクトル情報およびこの
ΔL*、Δa*およびΔb*を用いて、その塗料をその許容差値の範囲内にするた
めに添加すべき着色剤の各々の量を決定し、着色剤を混合槽へと供給する計量ポ
ンプを活性化する。上記操作は、調製される塗料がそのL*、a*およびb*の許
容差値を有するようになるまで繰り返す。
ベースコート層およびクリアコート層を有する試験パネルの繰り返し行われる
吹付けおよび焼付けは時間のかかる(つまり、時間を浪費する)工程である。典
型的には、水性ベースコートの吹付け、フラッシュ(flash)および焼付け(典
型的には220°F)には25〜40分必要となる。典型的には、その試験パネ
ルの冷却、そのベースコート上への溶剤系クリアコートの吹付け、フラッシュお
よび焼付け(典型的には275°F)にはさらに1時間必要となる。特に金属塗
料の場合には、3〜4回繰り返し、その後で色直し工程を行って、その塗料のバ
ッチが色許容差に対して許容可能な範囲になるようにする。
本発明は、色直し方法の多段階の繰り返し経て、混合塗料のバッチ、および固
体着色塗料と金属塗料の両方に対する許容可能な許容差に達するための工程に必
要な総時間を短縮する。
発明の開示
本発明は、塗料の色直しをして標準着色塗料の色値に色合せするための改善方
法に関する。透明なフィルムは、通常のクリアコートを通して行われる色値の読
取り効果を光学的にシミュレーションする。全ての色直しの試みに必要とされる
クリアコートの塗布を省略することは、塗料を許容可能な色値許容差の範囲内に
色直しするのに要する時間を短縮する。
一つの具体例において、液状標準塗料を透明フィルムに吹付け、通常の方法に
より焼付けする。このフィルムは、色直し方法において遂時行われる透明フィル
ムの吹付け物を比較する参照(対照)着色プレートとして作用する。
本発明のもう一つの具体例において、この透明フィルムは、通常の色標準プレ
ートと平行に調製され、比色計または分光光度計により測定される色値の差は、
続いて行われる透明フィルムのみを用いた色直しヒット(hit)に対する測定の
ためのオフセット(offset)読取り値として用いられる。この塗料が所定の色許
容差値の範囲内にある場合、通常のプレートは最終的な色分析に用いられる。
発明の詳細な説明
本発明においては、この方法が行われる間に平滑な表面を保持するような表面
を付与するのに十分な厚みを有する透明なマイラー(Mylar(登録商標))GA
−10ポリエステルフィルムまたはその他の透明プラスチックフィルムが、最初
の一連の吹付けおよび色測定のための金属試験パネルの代わりに用いられる。用
いられるフィルムは、均一な光学的密度および色を有し、かつ吹付け工程で用い
られる溶剤に対して耐性であり、さらには吹付けされたパネルの焼付けに用いら
れる温度に耐性でなければならない。
マイラー・ポリエステルフィルムは、測定値がフィルムパネルの非吹付け側か
ら得られる場合、通常のクリアコート層を通して行われる色の読取りの効果を光
学的にシミュレーションし、これにより、試験パネル毎に繰り返されるクリアコ
ートの冷却、吹付け、フラッシュおよび焼付けの工程が省略される。
各吹付け物において、マイラー・ポリエステルフィルムは切断されて、4”(
インチ)×6”(インチ)の金属パネルの上にピタリと合わせる。このフィルム
はその金属パネルに全ての側で貼り付ける。この金属パネルはマイラー・フィル
ムパネルのリッジ(隆起部分)を保持し、かつ過剰な吹付けがこのマイラー・フ
ィルム・パネルの背面から落ちるのを防止するのに用いられる。
色標準は、試験パネルに対する参照のために調製することが可能である。この
ような標準の一つの調製方法は、液状標準着色塗料によるものである。標準着色
塗料が規定されている場合、塗料は、その連続的な吹付けがその標準への許容可
能な許容差限界の範囲内になるまで色直しされる。この塗料は液状標準として知
られているものであるが、これはマイラー・ポリエステルフィルムパネルの上に
吹付けられ、通常の方法で焼付けられる。このパネルは、続いてマイラー・パネ
ルが比較されるであろう参照として用いられる。
一般的に調製される色標準もまた、このマイラー・フィルムパネルからの色オ
フセットを以下のようにして決定することにより、色参照として用いうる。すな
わち、ベースコートを金属パネルとマイラー・ポリエステルフィルムパネルに平
行に吹付ける。続いて、この二つのパネルを平行にして、典型的には220°F
で10分間焼付ける。通常の金属パネルは続いてクリアコートを吹付け、典型的
には275°Fで30分間焼付けて、この被覆物を硬化させる。比色計または分
光光度計を用いて、この金属パネルとマイラー・ポリエステルフィルムパネルに
ついて色の測定を行う。金属パネルについての測定はクリアコートフィルムを通
して行われるが、マイラー・パネルについては、測定はこのマイラー・シートの
非吹付け側について行われる。このマイラー・ポリエステルフィルムは、通常の
クリアコート層を通しての色の読取り効果を光学的にシミュレーションする。
通常の金属パネルとマイラー・パネルとの色差は、各色軸に対して各測定角度
で記録される。各測定は、遂時行われるマイラー・ポリエステルフィルム吹付け
物に対する独特のオフセット修正値として用いられ、通常の金属パネル吹付け色
の位置を得る。この色直し工程が行われる間、試験サンプルであるマイラー・パ
ネルの色の読取りはオフセット測定により調整されて、クリアコートパネルの読
取りに相当する結果を得る。この方法は、通常の金属パネルの色標準が入手可能
な場合に特に有用である。
この測定装置は、コンピュータに直接接続されていてもよく、このコンピュー
タはマイラー・フィルムオフセット値を、続いて吹付けが行われたフィルムパネ
ルの読取り値に自動的に適合するようにプログラムされている。この装置の操作
者は、修正値のみを用いてもよく、その場合、その修正値はマイラー用にクリア
コート・オフセット修正要素に調整された未処理のマイラー・フィルムパネルの
値である。
色直しされるべきベースコート塗料は、通常の吹付け技術により透明なマイラ
ー・ポリエステルフィルム上に吹付けられ、典型的には220°Fで10分間焼
付けを行う。冷却後、このフィルムパネルを支持金属パネルから剥離する。続い
て、ベースコートの色を、このマイラー・ポリエステルフィルム層を通して、通
常の比色計または分光光度計を用いて読取る。測定装置はコンピュータまたは上
記したオフセット値を自動的に適合させるその他の装置に連結されていてもよい
。
色直し用コンピュータはプログラムされており、試験パネルが該コンピュータ
の計算に応じてマイラー・フィルムパネル上のベースコート、あるいはアルミニ
ウム・パネル上の通常のベースコート/クリアコートとして吹き付けられるよう
に操作者に指示する。このコンピュータは、コンピュータが予測する色添加によ
り回復される総誤差が全ての角度および軸線、ΔEにおいて全色移動の0.05
%未満である場合には、操作者に金属パネルの読取りを指示する。0.05%の
レベルでは、コンピュータは、如何なる改善も行う必要がないと予測する。
コンピュータ・プログラムは、マイラー・フィルムパネルの読取り値からの色
位置測定のみに基づいて、塗料のバッチを外したり、あるいは色直しを終結させ
るようなことはしない。このコンピュータは、操作者に対して、そのバッチの色
位置の許容可能性の最終決定のために、アルミニウム・ベースコート/クリアコ
ート・パネルを読みとるよう指示する。
また、このコンピュータは、色直しの計算がそれに用いうる色ベクトル成分お
よび現在のバッチの色位置に基づいて色移動に対する解決策を決定できない場合
には、アルミニウム・ベースコート/クリアコート・パネルの読取りを指示する
こともある。これら二つの状態各々において、コンピュータはさらに正確な色の
位置、すなわち、色値に計算されるマイラー・フィルムパネルオフセット値を含
まないものを必要とする。
また、このコンピュータは、標準色パネルに参照される新たな混合物の後で、
等価色差または予測される色差に基づいてアルミニウム・ベースコート/クリア
コートパネルの測定を指示することもある。非金属塗料では、得られた測定値が
その角度に対する所定の許容差の2倍以内である場合、コンピュータは通常のア
ルミニウムの吹付けを指示する。また、金属塗料では、全軸線における読取り値
が3つの測定角度全てにおいて特定の読取り角度に対する許容差の2倍以内であ
る場合には、コンピュータは通常のアルミニウムの吹付けを指示する。したがっ
て、近鏡面(Near Specular)読取りが標準値から±2.4単位以内、ツヤなし
(Flat)が標準から±0.6単位以内、および高反射(High)読取りが±1.2
色単位以内である場合、次の吹付けは通常のパネル上に行われる。
塗料は、所望の色許容差に合致するように調製した後、通常の包装装置および
操作を用いて自動的または手操作により適当な容器に包装することが可能である
。さらに、本方法には、塗料の隠蔽力、塗料の粘度および密度などの特性を測定
するための他の装置も包含される。これらの装置により得られたデータも、コン
ピュータに送られて、計算を行ってもよく、これにより、バインダー溶液、溶媒
および着色剤の添加が、該塗料を上記特性に対する許容差の範囲内にするように
調節される。
所望により、塗料製造方法全体または該製造方法の各工程のあらゆる組合せを
コンピュータにより制御することが可能である。コンピュータが、塗料に用いら
れる成分の供給を制御する計量ポンプにも電気的に接続されており、かつ分光光
度計に電気的に接続されている場合、そのコンピュータは各成分の正確な測定量
を、分光光度計による読取り値およびコンピュータのベクトル強度計算値に基づ
いて初期化することが可能である。
このように行うことはあまり簡便なことではないが、ここにおいて必要な計算
は、単に適切な数式を用いることによって、コンピュータの補助なしに行うこと
が可能である。
実施例 実施例1
着色剤、バインダーおよび溶媒からなる905.6 1bバッチの白色ベース
コートを製造した。厚みが5ミルのマイラー・ポリエステルフィルムパネルを通
常のアルミニウムパネルと平行にして吹付け、焼き付けた。この金属パネルは、
続いてアクリル製クリアコートで被覆した。色の測定は、ツヤなしの測定角に対
応する一角度測定幾何学を用いるX−ライト・モデル968単一角度分光光度計
(X-Rite Model 968 Single Angle Spectrophotometer)を用いて行った。測定
後のこのマイラー・ポリエステルフィルムパネルと通常の金属パネルとのマイラ
ー・オフセット値はΔL=1.72、Δa=0.38およびΔb=−1.65で
あった。L*、a*およびb*に対する許容差値は±0.3色単位であった。
等価パネル読取り値は、マイラー・パネル読取り値+オフセット値として定義
する。等価パネル読取り値は、通常のパネル標準色に対する参照として用いられ
た。
この白色塗料の色直しに使用可能な着色剤およびそれらの色ベクトル移動値は
以下の通りである。
このマイラー・フィルムパネルは吹付けし、焼付け、測定した。これは、この
塗料の色値のそのまま(on-load)または初期の位置を表す。通常の色標準プレ
ートに対するマイラー・パネル色オフセットは以下のように求められた。
このバッチは、通常の色標準プレートと比較して明るく、わずかに緑青であっ
た。
上記の色差および上記の色ベクトル値に基づいて、コンピュータ処理した色直
しプログラムは以下の第1の色直しヒットを推奨した。
また、通常の色標準に対しての新たな色位置がΔL=0.84、Δa=−0.2
7およびΔb=−1.12であることを予測した。
上記の塗料について、上記の黒色および黄色の分散物の添加を行った後で色の
測定を行い、通常の色標準プレートに対する差を測定した。
コンピュータ処理した色直しプログラムは以下の第2の色直しヒットを推奨し
た。
また、通常の色標準に対しての新たな色位置がΔL=0.20、Δa=−0.
10およびΔb=−0.36であることを予測した。
上記の塗料について、上記の黒色および黄色の分散物の添加を行った後で色の
測定を行い、通常の色標準プレートに対する差を測定した。
このバッチは、通常の色標準プレートと比較してわずかに明るく、赤の軸線の
許容差の範囲内であり、わずかに青色がかっていた。
コンピュータ処理した色直しプログラムは以下の第3の色直しヒットを推奨し
た。
また、通常の色標準に対しての新たな色位置がΔL=0.17、Δa=0.04
およびΔb=−0.10であることを予測した。
上記の塗料について、上記の黒色および黄色の分散物の添加を行った後で色の
測定を行い、通常の色標準プレートに対する差を測定した。結果を以下に示す。
これらの値は、L*、a*およびb*値について前記した2倍の許容差値であっ
た。
この塗料を通常のアルミニウムパネルに吹付け、標準的な条件下で焼き付けた
。次に、溶剤系クリアコートを塗布し、標準的条件下で焼き付けた。色値を求め
たところ、通常の色標準に対する色差は以下の通りであった。すなわち、ΔL=
0.16、Δa=0.17およびΔb=−0.26。
これらの値は、L*、a*およびb*値について前記した生成物許容差値の範囲
内であった。したがって、許容可能な塗料が処方された。
この実施例において、アルミニウムパネルはマイラー・フィルムパネルと平行
に吹付けを行う。この金属パネルはクリアコートの添加のみを必要とし、さらに
1時間吹付け、焼付けを行った。通常の吹付け物の色の確認において、マイラー
・フィルム技術を用いた場合の従来の技術を用いた場合に対する全体の短縮時間
は3時間であった。実施例2
3714gのチャーコールグレーの金属化合物(黒色真珠光沢)を処方した。
測定値は、原型のX−ライト・モデルMA100 3角度分光光度計(X-Rite M
odel 100 3-angle Spectrophotometer)を用いて行った。この角度は、金属色自
動車用塗料を測定するための近鏡面、ツヤなし、および高反射の測定角度に対応
させた。通常のパネル色のパネルからの許容差値は以下の通りであった。
この塗料をマイラー・フィルムパネルに、通常のアルミニウム・パネルと平行
に吹付けした。この通常の金属パネルは続いて溶剤系アクリル製クリアコートで
吹き付けた。得られた測定値から以下のオフセット値が得られた。
等価パネル読取り値は、マイラー・パネル読取り値+オフセット値として定義
した。
このチャーコールグレー金属化合物およびその色ベクトル移動値は以下のとお
りであった。
マイラー・フィルムパネルを吹付け、標準的条件下で焼付けを行った。そのま
ま(on-load)での色位置、すなわち色値の初期位置は以下のように求められた
。
近鏡面角では、バッチの等価読取り値は、通常の色標準プレートと比較して明
るく、赤黄であり、ツヤなし角でも、このバッチは標準と比較して明るく、赤黄
であり、高反射角度では、標準と比較して明るく、わずかに青かった。
コンピュータは、吹付けが通常のベースコート/クリアコート金属パネル上に
なされるべきである、と指示した。この理由は、予測された色位置が前記した許
容差の2倍以内であったからであろう。以下の第1の色直しヒットが推奨された
。
また、従来の色標準と比較した新たな色位置を以下のように予測した。
上記の塗料について、青色の分散物の添加を行った後で色の測定を行った。測
定はクリアコートしたアルミニウム・パネルについて行い、結果は以下のように
なった。
近鏡面角では、バッチの等価読取り値は、通常の色標準プレートと比較して明
るく、黄色であり、ツヤなし角では、このバッチは標準と比較してわずかに明る
く、黄色であり、高反射角度では、このバッチは良好に色適合していた。
コンピュータ処理した色直しプログラムは、吹付けが通常のアルミニウム・ベ
ースコート/クリアコートパネルの上になされるべきである、として、以下の第
2の色直しヒットを推奨した。
コンピュータプログラムは、通常の色標準に対しての新たな色位置が以下のよ
うであることを予測した。
このアルミニウム・パネルを吹付け、標準的条件下で焼付けを行った。測定を
行い、以下の結果を得た。
これらの値は、全ての測定角および全ての色軸に対して前記した許容差の範囲
内である。色直し活性はこの色位置で停止させた。
完全な色直しサイクルは、1枚のマイラー・フィルムパネルおよび2枚の通常
のアルミニウムパネルを用いて完了した。従来の吹付け技術と比較した処理時間
の短縮は1時間以上であった。
【手続補正書】特許法第184条の8
【提出日】1995年3月15日
【補正内容】
(原文明細書第3頁)
(式中、C1,C2およびC3はその色に用いられる顔料または色相(ティン
ト)の濃度である。)
で表される。
この色直し方法において用いられる色技術は良く知られているものであり、F.
W.BillmeyerおよびM.Saltzmanによる「Principles of Color Technology」[Joh
n Wiley and Sons,New York;第2版(1981年)]において十分議論されて
いる。特に興味深いのは、A.B.J.Rodriguesによる論文である、「第5回有機コ
ーティング化学・技術国際会議議事録」第3巻の『有機塗料・技術シリーズ』に
おける『色の概念、色合わせおよび色の調節の現代技術の理論と実践』(272
〜282頁)(1979年)である。
色の測定操作は、コンピュータを用いることにより自動化することが可能であ
る。例えば、1972年9月12日にアームストロング(Armstrong)に発行さ
れた米国特許第3,690,771号、および1983年9月13日にファルコ
フ(Falcoff)に発行された米国特許第4,403,866号を参照されたい。
この方法において用いられる比色計は電気的にコンピュータに接続されており
、好ましくは調製される塗料のL*、a*およびb*値を決定し、これらの値を該
コンピュータにフィードバックする。この比色計は、例えば、400〜700ナ
ノメーター(nm)の可視光スペクトルにより20nmの増分で塗料を検視し、
このデータに基づいてその塗料に対するL*、a*およびb*値を算出する。塗料
を検視することにより得られる比色計からの処理シグナル(信号)をコンピュー
タへ送信し、そのコンピュータにL*、a*およびb*値を決定させることも可能
である。
コンピュータはこれらのL*、a*およびb*値を受け取り、調製される塗料の
L*、a*およびb*値と標準塗料の許容差値との差分(すなわち、ΔL*、Δa*
およびΔb*)を決定する。コンピュータは、着色剤のベクトル情報およびこの
ΔL*、Δa*およびΔb*を用いて、その塗料をその許容差値の範囲内
にするために添加すべき着色剤の各々の量を決定し、着色剤を混合槽へと供給す
る計量ポンプを活性化する。上記操作は、調製される塗料がそのL*、a*および
b*の許容差値を有するようになるまで繰り返す。
ベースコート層およびクリアコート層を有する試験パネルの繰り返し行われる
吹付けおよび焼付けは時間のかかる(つまり、時間を浪費する)工程である。典
型的には、水性ベースコートの吹付け、フラッシュ(flash)および焼付け[典
型的には104.44℃(220°F)]には25〜40分必要となる。典型的
には、その試験パネルの冷却、そのベースコート上への溶剤系クリアコートの吹
付け、フラッシュおよび焼付け[典型的には135℃(275°F)]にはさら
に1時間必要となる。
(原文明細書第5頁〜第7頁)
これにより、試験パネル毎に繰り返されるクリアコートの冷却、吹付け、フラッ
シュおよび焼付けの工程が省略される。
各吹付け物において、マイラー・ポリエステルフィルムは切断されて、10.
6×15.24cm(4”×6”)の金属パネルの上にピタリと合わせる。この
フィルムはその金属パネルに全ての側で貼り付ける。この金属パネルはマイラー
・フィルムパネルのリッジ(隆起部分)を保持し、かつ過剰な吹付けがこのマイ
ラー・フィルム・パネルの背面から落ちるのを防止するのに用いられる。
色標準は、試験パネルに対する参照のために調製することが可能である。この
ような標準の一つの調製方法は、液状標準着色塗料によるものである。標準着色
塗料が規定されている場合、塗料は、その連続的な吹付けがその標準への許容可
能な許容差限界の範囲内になるまで色直しされる。この塗料は液状標準として知
られているものであるが、これはマイラー・ポリエステルフィルムパネルの上に
吹付けられ、通常の方法で焼付けられる。このパネルは、続いてマイラー・パネ
ルが比較されるであろう参照として用いられる。
一般的に調製される色標準もまた、このマイラー・フィルムパネルからの色オ
フセットを以下のようにして決定することにより、色参照として用いうる。
すなわち、ベースコートを金属パネルとマイラー・ポリエステルフィルムパネル
に平行に吹付ける。続いて、この二つのパネルを平行にして、典型的には104
.44℃(220°F)で10分間焼付ける。通常の金属パネルは続いてクリア
コートを吹付け、典型的には135℃(275°F)で30分間焼付けて、この
被覆物を硬化させる。比色計または分光光度計を用いて、この金属パネルとマイ
ラー・ポリエステルフィルムパネルについて色の測定を行う。金属パネルについ
ての測定はクリアコートフィルムを通して行われるが、マイラー・パネルについ
ては、測定はこのマイラー・シートの非吹付け側について行われる。このマイラ
ー・ポリエステルフィルムは、通常のクリアコート層を通しての色の読取り効果
を光学的にシミュレーションする。
通常の金属パネルとマイラー・パネルとの色差は、各色軸に対して各測定角度
で記録される。各測定は、遂時行われるマイラー・ポリエステルフィルム吹付け
物に対する独特のオフセット修正値として用いられ、通常の金属パネル吹付け色
の位置を得る。この色直し工程が行われる間、試験サンプルであるマイラー・パ
ネルの色の読取りはオフセット測定により調整されて、クリアコートパネルの読
取りに相当する結果を得る。この方法は、通常の金属パネルの色標準が入手可能
な場合に特に有用である。
この測定装置は、コンピュータに直接接続されていてもよく、このコンピュー
タはマイラー・フィルムオフセット値を、続いて吹付けが行われたフィルムパネ
ルの読取り値に自動的に適合するようにプログラムされている。この装置の操作
者は、修正値のみを用いてもよく、その場合、その修正値はマイラー用にクリア
コート・オフセット修正要素に調整された未処理のマイラー・フィルムパネルの
値である。
色直しされるべきベースコート塗料は、通常の吹付け技術により透明なマイラ
ー・ポリエステルフィルム上に吹付けられ、典型的には104.44℃(220
°F)で10分間焼付けを行う。冷却後、このフィルムパネルを支持金属パネル
から剥離する。続いて、ベースコートの色を、このマイラー・ポリエステルフィ
ルム層を通して、通常の比色計または分光光度計を用いて読取る。測定装置はコ
ンピュータまたは上記したオフセット値を自動的に適合させるその他の装置に連
結されていてもよい。
色直し用コンピュータはプログラムされており、試験パネルが該コンピュータ
の計算に応じてマイラー・フィルムパネル上のベースコート、あるいはアルミニ
ウム・パネル上の通常のベースコート/クリアコートとして吹き付けられるよう
に操作者に指示する。このコンピュータは、コンピュータが予測する色添加によ
り回復される総誤差が全ての角度および軸線、ΔEにおいて全色移動の0.05
%未満である場合には、操作者に金属パネルの読取りを指示する。0.05%の
レベルでは、コンピュータは、如何なる改善も行う必要がないと予測する。
コンピュータ・プログラムは、マイラー・フィルムパネルの読取り値からの色
位置測定のみに基づいて、塗料のバッチを外したり、あるいは色直しを終結させ
るようなことはしない。このコンピュータは、操作者に対して、そのバッチの色
位置の許容可能性の最終決定のために、アルミニウム・ベースコート/クリアコ
ート・パネルを読みとるよう指示する。
また、このコンピュータは、色直しの計算がそれに用いうる色べクトル成分お
よび現在のバッチの色位置に基づいて色移動に対する解決策を決定できない場合
には、アルミニウム・ベースコート/クリアコート・パネルの読取りを指示する
こともある。これら二つの状態各々において、コンピュータはさらに正確な色の
位置、すなわち、色値に計算されるマイラー・フィルムパネルオフセット値を含
まないものを必要とする。
また、このコンピュータは、標準色パネルに参照される新たな混合物の後で、
等価色差または予測される色差に基づいてアルミニウム・ベースコート/クリア
コートパネルの測定を指示することもある。非金属塗料では、得られた測定値が
その角度に対する所定の許容差の2倍以内である場合、コンピュータは通常のア
ルミニウムの吹付けを指示する。また、金属塗料では、全軸線における読取り値
が3つの測定角度全てにおいて特定の読取り角度に対する許容差の2倍以内であ
る場合には、コンピュータは通常のアルミニウムの吹付けを指示する。したがっ
て、近鏡面(Near Specular)読取りが標準値から±2.4単位以内、ツヤなし
(Flat)が標準から±0.6単位以内、および高反射(High)読取りが±1.2
色単位以内である場合、次の吹付けは通常のパネル上に行われる。
塗料は、所望の色許容差に合致するように調製した後、通常の包装装置および
操作を用いて自動的または手操作により適当な容器に包装することが可能である
。さらに、本方法には、塗料の隠蔽力、塗料の粘度および密度などの特性を測定
するための他の装置も包含される。これらの装置により得られたデータも、コン
ピュータに送られて、計算を行ってもよく、これにより、バインダー溶液、溶媒
および着色剤の添加が、該塗料を上記特性に対する許容差の範囲内にするように
調節される。
所望により、塗料製造方法全体または該製造方法の各工程のあらゆる組合せを
コンピュータにより制御することが可能である。コンピュータが、塗料に用いら
れる成分の供給を制御する計量ポンプにも電気的に接続されており、かつ分光光
度計に電気的に接続されている場合、そのコンピュータは各成分の正確な測定量
を、分光光度計による読取り値およびコンピュータのベクトル強度計算値に基づ
いて初期化することが可能である。
このように行うことはあまり簡便なことではないが、ここにおいて必要な計算
は、単に適切な数式を用いることによって、コンピュータの補助なしに行うこと
が可能である。
実施例 実施例1
着色剤、バインダーおよび溶媒からなる410.773kg(905.61b
)バッチの白色ベースコートを製造した。厚みが5ミルのマイラー・ポリエステ
ルフィルムパネル
請求の範囲
1.a.透明フィルムに塗料を吹付け、該フィルムがクリアコートを通しての色
値の読取り効果を光学的にシミュレーションするものであり、
b.前記の吹付けた塗料のL*、a*およびb*を比色計により測定および決定
し、
c.前記した吹付けされたフィルムのL*、a*およびb*の測定値を、色標準
のL*、a*およびb*値と比較し、
d.前記フィルムのL*、a*およびb*の値と前記標準のL*、a*およびb*の
値との差分を計算して、前記塗料のL*、a*およびb*の値を許容差値の範囲内
にするために前記塗料に添加すべき成分の量を求め、
e.前記塗料が選択した色許容差の範囲内でない場合には、前記塗料が前記の
選択した色許容差の範囲内になるまで、a〜dの工程を少なくとも一度繰り返す
ことを備えることを特徴とする、塗料を色直しして、ベースコート層およびク
リアコート層からなる標準着色塗料の色値L*、a*およびb*に色合せするため
の方法。
2.前記L*、a*およびb*値が分光光度計を用いて測定されることを特徴とす
る請求項1に記載の方法。
3.前記色標準が、透明なフィルムに液状標準着色塗料を吹付けし、焼付けるこ
とにより調製されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
4.前記色素標準が、
a.透明なフィルムにベースコート塗料を吹付け、
b.金属パネルにベースコート塗料を吹付け、
c.前記塗装フィルムと前記塗装金属パネルを平行に焼付け、
d.前記の焼付した金属パネルにクリアコートを吹付け、
e.前記の吹付けした金属パネルを焼付けて、前記クリアコートを硬化し、
f.前記塗装フィルムおよび前記塗装金属パネルの着色成分を比色計を用いて
測定し、
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(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AU,BB,BG,BR,BY,CA,
CN,CZ,FI,GE,HU,JP,KG,KP,K
R,KZ,LK,LV,MD,MG,MN,MW,NO
,NZ,PL,RO,RU,SD,SI,SK,TJ,
TT,UA,UZ,VN
(72)発明者 アンダーソン,スチュワート,ディー.
アメリカ合衆国 48304 ミシガン州 ブ
ルームフィールド ヒルズ クリア ポイ
ント コート 1053