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JPH0790534A - 耐硫酸露点腐食用耐食部材 - Google Patents

耐硫酸露点腐食用耐食部材

Info

Publication number
JPH0790534A
JPH0790534A JP5350298A JP35029893A JPH0790534A JP H0790534 A JPH0790534 A JP H0790534A JP 5350298 A JP5350298 A JP 5350298A JP 35029893 A JP35029893 A JP 35029893A JP H0790534 A JPH0790534 A JP H0790534A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
corrosion
based alloy
sulfuric acid
dew point
acid dew
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP5350298A
Other languages
English (en)
Inventor
Katsuo Sugawara
克生 菅原
Tsutomu Takahashi
務 高橋
Hideo Kitamura
英男 北村
Yasushi Toyokura
康司 豊蔵
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Materials Corp filed Critical Mitsubishi Materials Corp
Priority to JP5350298A priority Critical patent/JPH0790534A/ja
Publication of JPH0790534A publication Critical patent/JPH0790534A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Coating By Spraying Or Casting (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 温度100〜200℃程度の硫酸露点腐食環
境下で使用する部材の防食性を向上させる。 【構成】 CrとMoを含むNi基合金で構成したパイ
プ本体6を、Siを14.5〜30.0重量%の範囲で
含むFe基合金で被覆して、ヒートパイプ5を形成す
る。被覆は溶射で行なう。Ni基合金のCrとMo成分
は、重量%で、16.0≦[Cr]≦31、52≦2
[Cr]+[Mo]、398≧3[Cr]+14[M
o]を満たす範囲に組み合せを設定する。 【効果】 耐食部材の腐食速度が0.2mm/年以下に
なる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、硫酸露点腐食を主とす
る湿潤な腐食環境下で長期間使用することのできるヒー
トパイプ等の耐硫酸露点腐食用耐食部材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、熱交換装置例えばヒートパイプ等
は、廃熱回収、ヒートシンク、空調、融雪等の種々の用
途に広く利用されている。そのため、このようなヒート
パイプが設置される環境も様々であり、このうち、腐食
環境下においては、パイプ表面にコーティングする等な
んらかの防食対策がとられている。例えばヒートパイプ
は、比較的クリーンな燃料であるガソリン、軽油を焚い
た小型のボイラーの廃熱回収用に用いられている。この
場合には、排ガス温度が50〜200℃程度であること
から、ヒートパイプの作動液として、この温度領域での
熱回収に適した脱気した水が使用されている。水は、通
常、H2O分子として存在するが、ごく一部がH+イオン
とOH-イオンとに解離しており、このH+イオンは、H
+/H2酸化還元電位より電気化学的に卑なNiやFeと
接すると、還元されてH2ガスを発生する。すると、H2
が発生した分、ヒートパイプ内部での水蒸気分圧が低下
し、ヒートパイプの性能劣化をもたらすことになる。そ
のため、H+/H2酸化還元電位より貴なCu系材料をパ
イプ本体材料としていた。
【0003】又、軽油やガソリン等燃料に含まれるS,
N,Cl成分により、その燃焼ガス成分は、主としてN
2、H2O(ガス)、CO2、O2の他に、微量なCO、S
Ox、NOx、HCl等の腐食性ガスや未燃炭素を含む
ため、ヒートパイプの防食対策として、ニッケルめっき
やフェノールコーティング等がパイプ外表面に施されて
いた。しかしながら、中型以上のボイラーでは、燃料の
グレードも悪くなる。例えば、重油、石炭、アスファル
ト、古タイヤ等を使用しており、それに伴って、CO、
SOx、NOx、HCl等の濃度も高くなり、腐食性が
強く、これに耐えるヒートパイプがないので、従来この
種の環境での熱回収は行われていなかった。
【0004】この点について更に説明する。例えば、火
力発電所等では、発生する廃熱を再利用するために各種
の熱回収方法が提案されている。火力発電所では、ボイ
ラー本体でB,C重油や石炭等が燃焼された後の廃熱回
収については、空気予熱器で燃焼用空気の加熱源として
一部用いられているのみで、残りはそのまま廃棄されて
いるのが実情である。その一例の概念図が図11に示さ
れている。図11に示す火力発電所の発電用ボイラー等
において、ボイラー本体1でB,C重油や石炭等を焚く
ことで生じる廃熱及び燃焼ガス温度が300℃以上の状
態では、熱交換効率等の関係で、廃ガス環境中のガスか
ら硫酸が熱交換体表面に露結することはなく(図12参
照)、ドライの環境下で用いられており、そのために大
きな腐食問題を生じることはなく、一般的には軟鋼レベ
ルの材料が用いられている。
【0005】ところで、このような廃ガス環境は、H2
O(ガス)、SO2,SO3,HCl,NOx,CO2
CO,O2,N2等の多種類のガス及びスス、ダストから
なるといわれている。そして、廃熱回収後に低温熱エネ
ルギー源及び廃ガス環境温度が300℃以上から100
〜200℃程度に変化した場合、廃ガス環境中のガスの
内、H2O(ガス)と、SO2が酸化したSO3とが反応
して、H2SO4として露結する温度にある。このため、
廃ガス温度200℃以下では、硫酸露点腐食による厳し
い腐食環境(特に、硫酸の露結量の多い110〜130
℃)が形成されるため、従来この種の温度領域での熱回
収は行われていなかった。発明者らは、これまで未利用
な低温エネルギーを回収すべく、200℃以下の廃ガス
からヒートパイプによる高効率なエネルギー回収に着目
した。
【0006】しかし、ヒートパイプ5が作動すると考え
られる120℃前後の温度では、図13に示すように、
廃ガス環境に80重量%以上の濃硫酸が生成され、HC
l,NOx,O2をはじめとする腐食性ガスと、ススの
本体である微細な炭素やダストに含まれる酸化性イオン
Fe2+、Fe3+等の多数の腐食因子が複雑に影響しあっ
た過酷な腐食環境がつくり出される。この環境で起こる
腐食現象(図14参照)は、H2SO4が(ヒートパイプ
5全面に)露結するという現象が特徴的であることか
ら、硫酸露点腐食といわれている。又、単純な硫酸環境
に対して耐食性を有する材料でも、ススが硫酸環境に含
まれると全く耐食性を示さなくなるという問題もあっ
た。この複合化した硫酸露点腐食環境下で十分な耐食性
を発揮するためには、上述のような湿潤な廃ガス環境下
で腐食速度0.2mm/年程度以下の耐食材料が必要で
ある。このような材料が得られれば、耐食材料の厚さを
1mm以上とすれば、5年以上廃ガス環境に耐えること
が出来、十分に実用的なヒートパイプの製造が可能とな
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】耐食性が要求される用
途では、ステンレススチール製のヒートパイプが一般的
に用いられている。しかしながら、上述した腐食環境に
おいては、SUS鋼製のヒートパイプでは、硫酸露点腐
食環境下で長期間に亘って使用できるような耐食性がな
く、100〜200℃程度の低温廃ガス環境下では使用
できなかった。更に、従来の既存の汎用材料には、上述
のような複合化した硫酸露点腐食環境下で十分な耐食性
を発揮できるものはなかった。又、このような腐食環境
下で、従来の構成のヒートパイプの腐食を抑制する有効
な防食対策もなかった。そのため、B,C重油焚、石炭
焚等における100℃〜200℃程度の低温廃熱を回収
する用途には、ヒートパイプは使用されなかった。
【0008】本発明は、このような課題に鑑みて、10
0℃〜200℃程度の低温の湿潤な硫酸腐食環境下にお
いても、十分な耐食性を発揮し得る耐硫酸露点腐食用耐
食部材を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明による耐硫酸露点
腐食用耐食部材は、CrとMoを含むNi基合金からな
る基体が、Siを含むFe基合金で被覆されていること
を特徴とするものである。
【0010】Ni基合金は、下記の範囲のCrとMo成
分を含むと共に、残りはNi及び不可避不純物から成る
ことを特徴とするものである。 16.0≦[Cr]≦31.0(重量%),Mo≧0
(重量%)であって、且つ 52≦2[Cr]+[Mo](重量%) 398≧3[Cr]+14[Mo](重量%)
【0011】又、Ni基合金は、更にTa、Nb、Wの
いずれか1種以上の成分を下記の範囲で含んでいてもよ
い。 0.3≦[Ta]+[Nb]≦4.0(重量%) 0.5≦[W]≦4.0(重量%)。
【0012】又、Ni基合金は、更にFe成分を下記の
範囲で含んでいてもよい。 0.5≦[Fe]≦20(重量%)。
【0013】又、Ni基合金は、下記の範囲のCrとM
o成分を含むと共に、残りはNi及び不可避不純物から
成り、且つ熱処理によって溶体化されていることを特徴
とするものである。 16.0≦[Cr]≦31.0(重量%),Mo≧0
(重量%)であって、且つ 52≦2[Cr]+[Mo](重量%) 398≧3[Cr]+14[Mo](重量%) 480≧11[Cr]+10[Mo](重量%)。
【0014】又、Ni基合金は、更にTa、Nb、Wの
いずれか1種以上の成分を下記の範囲で含んでいてもよ
い。 0.3≦[Ta]+[Nb]≦4.0(重量%) 0.5≦[W]≦4.0(重量%)。
【0015】又、Ni基合金は、更にFe成分を下記の
範囲で含んでいてもよい。 0.5≦[Fe]≦20(重量%)。
【0016】又、Fe基合金は、Si成分を下記の範囲
で含むと共に、残りはFe及び不可避不純物から成るこ
とを特徴とするものである。 14.5≦[Si]≦30.0(重量%)
【0017】又、Fe基合金は、更に下記の範囲でCu
成分を含有していてもよい。 0.05≦[Cu]≦1.00(重量%)
【0018】又、Fe基合金は、更にCr、Mnの1種
以上を単独又は合計で2.5重量%以下含有していても
よい。
【0019】又、Fe基合金は、更に下記の範囲でP,
S,C成分の少なくとも1種以上を含有していてもよ
い。 0.05≦[P]≦1.00(重量%) 0.05≦[S]≦1.00(重量%) 0.05≦[C]≦1.00(重量%)
【0020】又、Fe基合金は、溶射によって基体に被
覆されていることを特徴とする。
【0021】又、耐硫酸露点腐食用耐食部材を、ヒート
パイプの少なくとも外表面に用いたことを特徴とするも
のである。
【0022】しかも、ヒートパイプが水を作動液とする
と共に、その内表面がNi基合金から成っていて、この
ヒートパイプ内表面にCuメッキが施されていることを
特徴とする。或いは、ヒートパイプが水を作動液とする
と共に、その内表面がNi基合金から成っていて、この
ヒートパイプ内表面にCrメッキが施され且つこのCr
メッキ表面に酸化物が形成されていることを特徴とす
る。
【0023】
【作用】耐硫酸露点腐食用耐食部材が、Ni基合金から
成る基体にFe基合金が被覆されて構成されているか
ら、100〜200℃程度の低温の硫酸露点腐食環境下
において、硫酸が露結しても、Fe基合金との接触によ
って先ずFe基合金のFeが溶けだし、電気化学的に貴
なSiO2膜がFe基合金の表面で形成され、Fe基合
金が貴な腐食電位を示す。これに対応して基体の分極が
進み、その腐食電位はFe基合金の自然電位に近づき、
基体の腐食電位が不働態安定領域内の電位に変位するの
で、基体の腐食速度は大幅に小さくなり、又、基体がF
e基合金で完全に被覆されていなくても同様にFe基合
金の電位の影響を受けて、基体は分極して不働態電位域
に入り、基体の腐食は抑制され、基体単独の耐食性能を
上回る実用的な耐食性を呈することができる。
【0024】Fe基合金が、溶射によって基体に被覆さ
れているため、Fe基合金に加工性がなくてもコーティ
ング材として用いて耐硫酸露点腐食用耐食部材の耐食性
を向上させることができ、又、この場合、被覆層に欠落
部分があっても、同様の耐食性を維持できる。
【0025】又、溶射等による基体の全面コーティング
は比較的容易であり、基体表面にコーティング層が存在
することにより、有害なスス即ち腐食の大幅促進物質を
遮断でき、仮に溶射膜が多孔性であっても、H2SO4
みの浸透にとどまり、基体全体の耐食性があたかも向上
したかの効果も期待できる。
【0026】又、ヒートパイプの外表面に耐硫酸露点腐
食用耐食部材を用いたから、硫酸露点腐食環境下で用い
ても十分な耐食性を発揮して長期間使用できる。
【0027】しかも、ヒートパイプが水を作動液とする
ものであっても、ヒートパイプ内表面がCuメッキされ
ているために、水とNi基合金との接触面がH+/H2
化還元電位よりも電気化学的に貴になることで、水とN
iやFeとの反応がなくなり、熱交換率を低下させるH
2ガスの発生を防止できる。又、ヒートパイプ内表面の
Crメッキ表面に酸化物が形成されていることで、同様
にNiやFeと水との反応を防止できる。
【0028】
【実施例】以下、本発明の好適な実施例と試験例を図1
乃至図9により説明する。図1は本発明の実施例による
ヒートパイプの断面図、図2は図1の変形例、図3は実
施例によるNi基合金のCrとMoの、(1)式による
条件下での組み合せの範囲を示す図、図4は120℃、
80重量%H2SO4に活性炭Cが加えられた硫酸腐食環
境下におけるFe−16.5Si単独の自然電位(接触
前電位)と、合金Aに面積比1:1で被覆(接触)させ
た状態の腐食電位(接触後電位)とを示す図、図5は1
20℃、80重量%H2SO4に活性炭Cが加えられた環
境下における合金A単独の自然電位(接触前電位)と、
Fe−16.5Siを面積比1:1で被覆(接触)させ
た状態の腐食電位(接触後電位)とを示す図、図6は表
1における標本合金Bについてのアノード分極曲線を示
す図、図7は標本合金Cについてのアノード分極曲線を
示す図、図8は標本合金xについてのアノード分極曲線
を示す図、図9は標本合金yについてのアノード分極曲
線を示す図である。
【0029】図1において、ヒートパイプ5は、内部に
水、アルコール等の作動液が封入されたパイプ本体6
と、その外周面を被覆するコーティング材7とからな
り、コーティング材7は溶射によってパイプ本体6の外
周面に被覆されている。ここで、パイプ本体5は、少な
くともその外周面を構成する合金部分が、或る程度の耐
食性を備えるものであり、しかも不働態化が可能な合金
から成ることを必要とする。具体的には、例えば120
℃、80重量%H2SO4に、300g/lの活性炭が含
まれている環境下での、硫酸腐食速度が1.0mm/年
未満のNi−Cr−Mo合金(以下、Ni基合金とい
う)とする。1.0mm/年未満としたのは、後述する
コーティング材7を被覆することで、上述した耐硫酸露
点腐食環境下でのヒートパイプ5の腐食速度を0.2m
m/年以下程度に抑制できることを考慮したためであ
る。そのため、パイプ本体5がNi基合金単体で構成さ
れる場合には、その内周面について作動液との適合性を
考慮して、表面処理を施したものが好ましい。 例え
ば、水を作動液とした場合は、水との適合性即ち水に対
する耐食性を踏まえて、パイプ本体6は、図2に示すよ
うに、その外周部6aがNi基合金から成り、内周部6
bが銅又は銅系合金によって構成されるようにしてもよ
い。この場合、銅又は銅系合金の形成はメッキ或いはク
ラッドで行うのがよい。これについては後述する。
【0030】このようなNi基合金から成るパイプ本体
5が適用される低温廃ガス環境は、主にH2SO4とスス
との組み合せにより、還元性酸に中途半端な酸化性酸の
性質が加わった湿潤な硫酸露点腐食環境である。そのた
め、不働態化が不可能であって、活性態域で高い耐食性
を有する耐硫酸用合金Ni−28Mo<2Fe(以下、
合金xという)は、この環境下では、全く耐食性を有さ
ない。又、Ni−8Cr−25Mo(合金y)等の、下
記に示す(1)式から外れるNi基合金は、不働態化し
ずらく、耐食性を発揮できない。一方、(1)式の範囲
に含まれる高Crの不働態化可能な合金は、本環境で不
働態化し、その耐食性を発揮する。Ni基合金として、
Ni−Cr−Mo系合金を選定したのは、単純硫酸環境
では、Ni−Mo二元系が十分な耐食性を示すが、スス
(活性炭)を含む硫酸環境下では、Ni−Mo二元系は
活性溶解を生じて全く耐食性を示さないものであり、し
かし、高Cr添加したNi−Cr−Mo合金では、不働
態化皮膜中でのCr濃度が高くなって、原子オーダーの
不働態皮膜の保護作用が大きくなり、高い耐食性を示し
て好適であるからである。しかも、本発明は、アノード
防食によりパイプ本体6を不働態化させることが目的な
ので、例えば合金A等、Crを高重量%含有するNi基
合金を、パイプ本体6の外周部(基体)を構成する部材
として選定した。
【0031】次に、このような本実施例によるNi基合
金の組成について説明する。この合金は、腐食速度が1
mm/年以下となる、下記の範囲のCrとMoの組み合
せを含有した範囲にある。又、残りはNi及び不可避不
純物から成る。 16.0≦[Cr]≦31(重量%),Mo≧0(重量%)であって、且つ 52≦2[Cr]+[Mo](重量%) 398≧3[Cr]+14[Mo](重量%) }(1) 上述の(1)式に示すCrとMoの範囲を図で示すと、
図3の斜線で示す領域になる。
【0032】又、上述の(1)式で、Cr単体の重量%
が16重量%未満であると、硫酸露点腐食環境下での腐
食速度が上がって表面酸化膜が形成されず、Ni基合金
が不働態領域を形成する分極曲線を構成することはでき
ない。一方、31重量%を越えて添加しても効果は向上
しない。従って、Crの重量%は、 16.0≦[Cr]≦31.0(重量%) であればよい。
【0033】又、Ni基合金は、更にTa、Nb、Wの
いずれか1種以上の成分を下記の範囲で含むように構成
してもよい。 0.3≦[Ta]+[Nb]≦4.0(重量%) 0.5≦[W]≦4.0(重量%)。 }(2) Ta,Nbは不働態を強化する元素であり、同量のCr
を添加するより耐食性は向上する。4重量%を越えて添
加すると、第2相析出の恐れがあり、好ましくない。
又、0.3重量%未満ではその効果はみられない。Wの
化学的性質はMoに似ているが、耐食性改善効果は同じ
重量%の添加でMoの半分程度である。Wは耐食合金の
耐熱特性の改善を目的として添加される。Wが0.5未
満では、添加効果は見られず、又、4.0を越えても、
それ以上の添加効果の向上は認められない。
【0034】Ni基合金は、更にFe成分を下記の範囲
で含むようにしてもよい。 0.5≦[Fe]≦20(重量%)。 (3) FeはNiの代わりとして低コスト且つ加工性向上を目
的として添加される。この場合、0.5>[Fe]では
添加効果がなく、20<[Fe]では耐食性が低下す
る。
【0035】ところで、Ni基合金は、CrとMoの添
加量が増すほど耐食性が向上する傾向にある。特に、1
250℃の固溶限を越えるほど多量にCrとMoを添加
したならば、腐食速度が0.4mm/年以下の優れた耐
食性を示す。しかし、CrとMoの添加量を増しても耐
食性が向上しなくなる限度がある。このようなCrとM
oの範囲は(1)式の条件を更に絞って、下記(4)式
のようになり、残りはNi及び不可避不純物から成る。 22.0≦[Cr]≦31.0(重量%)、25.0≧[Mo]≧0(重量 %)であって、且つ、 398≧3[Cr]+14[Mo](重量%) }(4) 480≦11[Cr]+10[Mo](重量%)。 尚、[Mo]>25であると、Fe基合金の電気化学効
果が小さくなるため、除いた。又、このようなNi基合
金に、上述した(2)式、(3)式の条件を適用するこ
ともできる。即ち、更にTa、Nb、Wのいずれか1種
以上の成分を(2)式の範囲で含むこと、更にFe成分
を(3)式の範囲で含むこととしてもよい。
【0036】1250℃の固溶限を越えないCrとMo
を含有するNi基合金であっても、熱処理により単相化
したならば、耐食性は一段と向上する。CrとMoを濃
縮した第2相を析出したNi基合金は、その分だけ母相
のCr及びMo濃度が低下している。従って、固溶化処
理をしたものとしていないものとでは、固溶化処理をし
たものの方が耐食性はよい。このようなCrとMoの範
囲は(1)式で示す範囲から(4)式で示す範囲を除い
た部分に対応する下記(5)式のようになり、残りはN
i及び不可避不純物からなり、しかも熱処理により溶体
化されている。 16.0≦[Cr]≦31.0(重量%)、[Mo]≧0(重量%)であっ て、且つ、 52≦2[Cr]+[Mo](重量%) 398≧3[Cr]+14[Mo](重量%) }(5) 480≧11[Cr]+10[Mo](重量%)。 又、このようなNi基合金の、上述した(2)式、
(3)式の条件を適用することもできる。即ち、更にT
a、Nb、Wのいずれか1種以上の成分を(2)式の範
囲で含むこと、更にFe成分を(3)式の範囲で含むこ
ととしてもよい。
【0037】次に、コーティング部材7としては、耐食
性に優れ、熱伝導を損なわず、電気化学的に貴な部材で
あればよく、加工性は問わない。即ち、加工可能で、硫
酸露点腐食に耐えられる合金はない。しかし、加工性を
問わなければ、硫酸露点腐食環境下でSiO2を形成す
るFe−高Si合金(高ケイ素鋳鉄、以下、Fe基合金
ということがある)が耐食性に優れている。Fe−高S
i合金の耐食性は、Feが溶解して残ったSiが親和力
の強いOと結びつき、SiO2を形成することにより発
揮される。本実施例によるFe基合金は、下記の範囲で
Siを含んでいる。 14.5≦[Si]≦30.0(重量%) (6) ここで、Siの重量%は、14.5以上でないと表面に
強力な耐食性皮膜SiO2が形成されない。又、Siが
30.0重量%を越えると脆さが増して皮膜の密着性が
低下するため、コーティング皮膜として不適になる。
【0038】又、Fe基合金には、下記重量%のCuを
添加してもよい。 0.05≦[Cu]≦1.00(重量%) (7) この範囲内のCu添加は、Feの溶解を遅らせ、Fe基
合金自身の耐食性を向上させることができる。又、Fe
基合金に、CrとMnの1種以上を単独又は合計で2.
5重量%以下だけ添加すると、Cu程ではないが耐食性
の向上に寄与する。又、Fe基合金は、上述したFe基
合金成分の他に、更に下記の範囲でP,S,C成分の少
なくとも1種以上を含んでいてもよい。 0.05≦[P]≦1.00(重量%) 0.05≦[S]≦1.00(重量%) }(8) 0.05≦[C]≦1.00(重量%) これらは、不可避不純物の許容範囲である。このFe基
合金は、SiO2の形成により、電気化学的にも貴であ
る。又、パイプ本体6に被覆されるコーティング材7と
してのFe基合金の厚みの範囲は、環境条件によるが上
述のような硫酸露点腐食環境下では、好適には100〜
300μm、例えば200μmとする。
【0039】又、パイプ本体6の少なくとも外周部を構
成するNi基合金に対する、コーティング部材7である
Fe基合金のコーティング方法は、溶射による。溶射に
よってパイプ本体6の外周部を被覆する場合、空孔が生
じる欠点があるが、Fe−14.5〜30.0Si合金
とNi基合金との組み合せにより、硫酸露点腐食環境下
で電気化学的に貴であるSiO2が生成されるために、
不働態化し、耐食性を発揮する。
【0040】このような合金によって構成されたパイプ
本体6及びコーティング材7から成るヒートパイプ5
は、主として、100〜200℃の低温熱エネルギー源
を有し、80重量%以上の濃硫酸がヒートパイプ5の表
面に露結する上述のような湿潤な廃ガス環境下におい
て、使用に供される。即ち、このような環境下で、H2
OガスとSO3ガスとが反応して硫酸が生成され、ヒー
トパイプ5の外周側が被包され、更に腐食を促進するス
スやダストがヒートパイプ5に接触する。そして、コー
ティング部材7を構成するFe−14.5〜30.0S
i合金からFeイオンが溶けだし、SiO2が形成され
る。このSiO2は電気化学的に貴であるために、パイ
プ本体6の外周部を構成するNi基合金の内、コーティ
ング部材7で被覆されていない空孔領域の電位が引っ張
られ、その腐食電位がFe基合金の腐食電位付近まで上
昇させられ、不働態領域に至る。このため、Ni基合金
は不働態化され、硫酸露点腐食環境下で耐食性を発揮す
る。又、Fe基合金は違う物質に変化してゆき、環境と
Ni基合金とが遮断される。そのため、Ni基合金から
なるパイプ本体6は安定化し、ヒートパイプ5の腐食速
度は0.2mm/年以下となって大きく低下することに
なる。
【0041】以上のように、本実施例によるヒートパイ
プ5では、従来困難とされてきたB,C重油焚、石炭焚
ボイラー等の100〜200℃程度の低温廃熱を回収す
るための、ススやダストを含む廃ガス環境下において、
硫酸露点腐食に耐えて長期間使用できて、廃熱回収を行
なうことができる。
【0042】次に本発明の試験例について説明する。ま
ず、B,C重油焚、石炭焚ボイラー等の100〜200
℃程度の低温廃熱を回収するための廃ガス環境は、B,
C重油、石炭等使用する燃料や、個々のボイラーや付帯
設備等の相違に応じて、それぞれ微妙に異なる。そのた
め、こうした環境変化への対応を考えたとき、ヒートパ
イプは廃ガス環境の主要腐食因子に対して先ず評価され
るべきである。硫酸露点腐食の主要腐食因子は硫酸によ
る湿食であり、そのほかにススやダストの付着の影響も
大きい。そのため、耐食材料であるべきヒートパイプ5
は、硫酸+活性炭混合環境(活性炭はススを模擬してい
る)での浸漬試験で評価するものとした。従って、こう
した環境変化を考慮して、廃ガス環境の主要腐食因子を
模擬的に設定した。即ち、120℃で80重量%のH2
SO4に加えて、ススを模擬した活性炭をH2SO43.
3ccにつき1gの割合で付加することによって、模擬
的に硫酸露点腐食環境を再現した。この廃ガス環境を模
擬した環境で、浸漬試験を24時間行なう。
【0043】次に、本発明によるパイプ本体6を構成す
る母材として、(a)上述の条件式(1)を満足し、
(b)上述の模擬的に作られた廃ガス環境での腐食速度
が1mm/年未満であるという2つの条件を満たす、C
rとMoを含むNi基合金を試験例として列挙すると、
表1に示すように合金A〜Hが与えられる。又、比較例
1として(a)又は(b)を満足しない合金x〜zを挙
げる。更に、比較例2として、上述の(5)式を満足す
るCr、Moを含むNi基合金のうち、合金A及び合金
Bについて、第2相が析出した状態となっている溶製の
ままの状態で上述の模擬的に作られた廃ガス環境での腐
食速度を測定した結果を示した。尚、これら合金A及び
合金Bの固溶化処理は、1120℃で30分間保持し、
水焼き入れを行うものとした。同時に、コーティング材
として、Siを16.5重量%含有するFe基合金を用
いる。
【0044】
【表1】
【0045】次に、表1に示すパイプ本体6の素材の
内、本発明によるNi基合金として先ず合金A(組成:
Ni−21Cr−13Mo−4Fe−3W)を選び、こ
れと同表によるFe基合金とについて、環境温度120
℃、80重量%H2SO4+活性炭の硫酸露点腐食を模擬
した環境下で、接触前後の腐食電位Ecorrをそれぞ
れ測定した。この結果を図4及び図5に示す。図4に示
すように、Fe基合金は、接触前の自然電位は430m
Vv.s.SCE程度である(表1参照)が、合金Aに
面積比1:1で被覆(接触)されると、接触後の電位は
合金Aの電位と引き合って117.9mVv.s.SC
E程度に低下した。又、図5に示すように、合金Aの自
然電位は−40mVv.s.SCE程度であるが、Fe
基合金を面積比1:1で被覆させると、接触後の電位は
Fe基合金の電位と引き合って192mVv.s.SC
E程度に上昇した。尚、Ni基合金に対するFe基合金
の接触面積比を1:1に設定したのは、実際の被覆比率
よりも厳しい条件を設定したためである。
【0046】又、図6は合金B(組成:Ni−22Cr
−9Mo−18Fe−2W)のアノード反応分極曲線図
であり、横軸に電流、縦軸に電位がとられている。図5
と同一の硫酸腐食環境下で、分極曲線は電圧を毎分20
0mVv.s.SCEの割合で、−500〜1500m
Vv.s.SCEまで変化させて溶解電流密度を測定す
ることで得られた。図6において、合金Bの自然電位は
111.29mVv.s.SCEであり、分極曲線の不
働態領域に既に位置しているが、Fe基合金に面積比
1:1で被覆(接触)させることで、腐食電位Ecor
rはFe基合金の自然電位である400mVv.s.S
CE付近に上昇させられ、不働態領域の中央付近に移動
することになる。これにより防食性が一層安定する。
又、図7は合金C(組成:Ni−30Cr−5Mo−1
5Fe−2.5W−0.7(Nb−Ta))のアノード
反応分極曲線図である。図7において、合金Cの自然電
位は278mVv.s.SCEであり、これも分極曲線
の不働態領域に既に位置しているが、Fe基合金に面積
比1:1で被覆(接触)させることで、腐食電位Eco
rrはFe基合金の自然電位である400mVv.s.
SCE付近に上昇させられ、不働態領域の中央付近に移
動することになり、防食性がより一層安定する。
【0047】又、図8はNi基合金として、比較例であ
る合金x(組成:Ni−28Mo<2Fe)を用いた場
合を示すものであり、合金xはその組成中にCrが含ま
れていない。この場合には、アノード反応分極曲線は不
働態領域が形成されない。従って、Fe基合金を被覆す
ることで腐食電位Ecorrを変動させても、耐食性が
得られない。そのため、合金xはパイプ本体6として好
ましい素材ではない。又、図9はNi基合金として、比
較例合金y(組成:Ni−8Cr−25Mo)を用いた
場合を示すものであり、合金yはCrが8重量%しか含
まれていない。この場合には、アノード反応分極曲線は
不働態領域が形成されない。従って、Fe基合金を被覆
することで腐食電位Ecorrを変動させても、耐食性
が得られない。そのため、合金yもパイプ本体6として
好ましい素材ではないことが理解できる。
【0048】次に、表1に示すパイプ本体6の素材の
内、本発明によるNi基合金の試験例として合金A,合
金Cを選び、比較例としてパイプ本体単独の腐食速度が
これらに比較的近似する合金xを用いて、上述の模擬的
な廃ガス環境下での腐食の試験を行なった。この試験結
果を下記の表2に示す。
【0049】
【表2】
【0050】表2において、コーティング材7は全てF
e−16.5Siの組成を有するFe基合金を溶射する
ものとし、パイプ本体6単独の腐食速度と、コーティン
グ材7単独の腐食速度と、パイプ本体6の表面にコーテ
ィング材7を被覆(接触)させた状態のパイプの腐食速
度とをそれぞれ比較した。尚、コーティング材7単独の
腐食速度の測定に関し、Fe基合金には加工性がないの
で、SUS304やガラスを母材としてその表面にFe
基合金を溶射して、測定に供した。又、パイプ本体の表
面にコーティング材7を被覆させた場合のパイプ本体6
の露出面積とコーティング材7の被覆面積との面積比
(以下、単に面積比という)は、7:4と1:3の二種
類に設定した。これは、溶射の場合、空孔が形成され、
被覆が不完全になることを考慮したものであり、実際の
溶射による両者の面積比より厳しい条件を設定して試験
を行なった。この試験では、便宜上、パイプ本体6を構
成する母材を例えば直方体形状にして、その片面や複数
の面にFe基合金を大気溶射する等して、上述の面積比
を設定した。尚、この場合のパイプ5の腐食速度は、コ
ーティング部分を除いたパイプ本体6の露出面積で腐食
による重量の減少量を割って算出した。
【0051】表2に示す本試験例の結果によれば、コー
ティング材7単独の腐食速度は約0.00mm/年であ
った。これは、大気溶射により、予め強力な耐食皮膜で
あるSiO2が形成されるためである。もちろん、H2
4溶液中でもSiO2は形成されるが、予めSiO2
形成されていないときには、初期にFeが溶出されるこ
とで腐食速度が変わるのである。又、パイプ本体6にコ
ーティング材7を接触させた状態のパイプ5の腐食速度
を、パイプ本体6単独の場合の腐食速度と比較して評価
すると、合金Cについて、パイプ本体とコーティング材
との面積比が7:4の場合には、腐食速度が0.158
mm/年であり、パイプ本体単独の場合の0.410m
m/年と比較して良好な防食性を保有することが理解で
きる。又、面積比1:3の場合には、パイプ5の腐食速
度はほぼ0であり、被覆面積がより大きいほうが極めて
良好な結果が得られた。
【0052】又、合金Aの場合、面積比が7:4の場合
には、パイプ5の腐食速度が0.392mm/年であ
り、パイプ本体6単独の場合の腐食速度0.850mm
/年と比較してこれも良好な防食性を有することが確認
できる。又、面積比1:3の場合には、パイプ5の腐食
速度は0.235であり、上述の場合よりも良好な結果
が得られた。尚、この場合、パイプ5の腐食速度は0.
2mm/年より大きいが、これは被覆面積を実使用より
小さく設定してあるためで、実際にはコーティング材7
による被覆面積がより大きいので、0.2mm/年以下
になる。
【0053】これに対し、合金xの場合、パイプ本体単
独の場合の腐食速度0.460mm/年と比較して、面
積比が7:4の場合には、パイプ5の腐食速度が0.7
60mm/年であり、被覆しない場合より結果が悪かっ
た。又、面積比1:3の場合には、更に腐食速度が速ま
って1.457mm/年となり、コーティング材の被覆
面積が大きくなると腐食が速まるという結果が得られ
た。これは、分極曲線に不働態が形成されないため、腐
食電位の上昇につれて溶解電流が増え、腐食速度が増大
するためである。以上のように、本試験により、本発明
の有効性を確認できた。
【0054】尚、上述の実施例や試験例では、ヒートパ
イプについて説明したが、本発明による耐硫酸露点腐食
用耐食部材はヒートパイプに限定されることなく、上述
のような硫酸露点腐食環境下で使用される他の適宜部材
に用いることができるものである。
【0055】上述のように、ヒートパイプにおいて、排
ガスによる硫酸露点腐食に対しては、図1及び図2に示
すようにパイプ本体6を、Crを含むNi基合金とし
て、その外表面にSiを含むFe基合金をコーティング
することで腐食を抑制することができる。ところが、水
をヒートパイプの作動液とした場合、パイプ内表面をN
i基合金で構成すると、その成分であるNiやFeが水
と徐々に反応して、水素ガスがわずかづつではあるが発
生する。これは、NiやFeがH+/H2酸化還元電位よ
りも電気化学的に卑であるためである。そのために、こ
のようなヒートパイプを長時間使用する場合には、この
水素ガスがパイプ本体6の内表面壁に付着するために、
熱伝導を悪化させるという問題が存在する。
【0056】そのため、図2の構成に関連して上述した
ように、本発明の実施例では、外表面にFe基合金が被
覆された、Ni基合金からなるパイプ本体6の内表面
に、Cuメッキを施すようにした。Cuは、H+/H2
化還元電位よりも電気化学的に貴であるから、Ni基合
金のNiやFeが水と反応しないようにすることができ
る。又、他の実施例として、Cuメッキに代えてCrメ
ッキを施し、Crメッキ表面に酸化皮膜Cr23を形成
させるようにしてもよい。このように構成することで、
水とNi基合金との間に電気的な絶縁膜が形成され、N
iやFeが水と反応しなくなる。
【0057】以上のように、Ni基合金からなるパイプ
本体6の内表面に、Cuメッキを施し、又はCrメッキ
してその表面に酸化膜を形成することで、Ni基合金の
作動液である水との反応を抑えてH2ガスが発生するこ
とを防止し、熱交換効率の低下を抑制できることにな
る。
【0058】次にこのような本発明の、ヒートパイプ内
表面についての試験例を図10により説明する。先ず、
ヒートパイプ本体について、Niと不可避不純物を除く
成分の組成が、下記表3のNo.1、No.2、No.3から成
る3種類の上述のNi基合金で、それぞれヒートパイプ
を製作した。各ヒートパイプは、外径が28.58m
m、厚みが1.65mm、長さが3000mmとする。
そして、3種類の各ヒートパイプは内表面にそれぞれC
uメッキを施したものと、Crメッキを施したものを製
作する。内表面をCrメッキしたものについては、更に
大気雰囲気の電気炉中で500℃で10分間の加熱酸化
を行った。
【0059】
【表3】
【0060】このようにして得られたCuメッキ又はC
rメッキ(+加熱酸化)したヒートパイプは、それぞれ
一方の端部を同一材種で溶接によって閉塞し、他方の端
部は細口の作動液注入パイプを形成する形状に加工し
た。両端の部材はそれぞれ内面となる部分に、予めCu
メッキ又はCrメッキ(+加熱酸化)を施した。次に、
パイプ内面を純水で洗浄及び乾燥させ、更にパイプ全体
を150℃でベーキングし、10-5torrまで真空にした
後、脱気した純水をパイプの内部容積の20%まで注入
して、細口を圧着することで、ヒートパイプ試験体を得
た。又、比較例として、メッキ処理を施さないヒートパ
イプも同様にして試験体を製作した。
【0061】そして、試験に際して、図10に示すよう
に、ヒートパイプ試験体8は、200℃の恒温槽9に水
平方向に対して6゜傾斜させた状態で挿入し、下端(蒸
発部)から全長3000mmの半分までを恒温槽9に入
れて入熱し、上端(凝縮部)から全長の半分までは恒温
槽9の外(室温)に出して除熱するようにした。そし
て、上端からヒートパイプ試験体8の下端方向に、10
cm,30cm、50cmの距離の各点にそれぞれ熱電
対10を設けて、各点の温度を測定するようにする。
【0062】評価方法としては、ヒートパイプ試験体8
の各点10cm,30cm、50cmにおいて、試験開
始後、3時間経過した時の各温度を測定して、それぞれ
の測定点の基準として、その後の温度低下ΔTを記録し
て、比較するようにした。具体的には、試験開始から1
000時間経過後の基準温度からの温度低下ΔTが、1
0℃以上か否かで評価する。このような条件で、ランニ
ング試験を実施した。水とNi基合金との反応で、水素
ガスが発生すると、水素ガスは水蒸気よりも軽い(約1
/10)ために、又、作動液の蒸発と凝縮の繰り返しに
よる分離精製の影響を受けるために、凝縮部先端に溜り
易く、熱交換率低下の反映としての温度低下ΔTは上端
(凝縮部先端)から始まる。そして、試験開始後、10
00時間ヒートパイプのランニングテストをした後の、
各ヒートパイプ試験体8の10cm,30cm、50c
mの各点の温度低下ΔTを、それぞれΔT10、ΔT30
ΔT50で示すものとして、各試験体について温度低下を
測定した。その結果を示すと、表4のようになる。
【0063】
【表4】
【0064】No.1乃至No.3の各種類の試験体8におい
て、恒温槽9に最も近い50cmの点では、いずれの試
験体8も温度低下ΔT50が10℃未満であったが、30
cmの点と10cmの点では、メッキなしの比較例のい
ずれの種類の試験体も、10℃以上の温度低下を示して
いるが、CuメッキとCrメッキのものは、いずれも1
0℃未満の温度低下であった。この試験によって、本発
明の効果が裏付けられた。
【0065】
【発明の効果】上述のように、本発明に係る耐硫酸露点
腐食用耐食部材は、CrとMoを含むNi基合金からな
る基体が、Siを含むFe基合金で被覆されているか
ら、硫酸露点腐食環境下での腐食が抑制されて長期間に
亘って使用することができるという実用上重要な利点が
ある。又、本発明に係る耐硫酸露点腐食用耐食性部材
は、Fe基合金が、溶射によって基体を被覆しているか
ら、Fe基合金に加工性がなくても耐食性に優れた部材
を形成でき、その際、空孔が生じても基体の耐食性に悪
影響を与えることがない。 又、本発明によるヒートパ
イプは、少なくとも外表面に耐硫酸露点腐食用耐食部材
を用いたから、B,C重油焚、石炭焚ボイラー等の硫酸
露点腐食環境下での使用時に、腐食が抑えられて低温廃
熱の長期間に亘る回収が可能になった。又、耐硫酸露点
腐食用耐食部材から成るヒートパイプのNi基合金によ
る内表面に、Cuメッキが施され、又はCrメッキが施
されて酸化膜が形成されているから、内表面に、水との
反応で水素ガスが発生して付着することを防止できて、
熱交換効率が低下することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例によるヒートパイプの断面図
である。
【図2】図1に示すヒートパイプの変形例である。
【図3】実施例によるNi基合金のCrとMoの、
(1)式による条件下での組み合せの範囲を示す図であ
る。
【図4】120℃、80重量%H2SO4に活性炭が加え
られた硫酸腐食環境下におけるFe−16.5Si合金
単独の自然電位(接触前電位)と、合金Aに面積比1:
1で被覆(接触)させた状態の腐食電位(接触後電位)
とを示す図である。
【図5】120℃、80重量%H2SO4に活性炭Cが加
えられた環境下における合金A単独の自然電位(接触前
電圧)と、Fe−16.5Siを面積比1:1で被覆
(接触)させた状態の腐食電位(接触後電圧)とを示す
図である。
【図6】表1における標本合金Bについてのアノード分
極曲線を示す図である。
【図7】表1における標本合金Cについてのアノード分
極曲線を示す図である。
【図8】表1における標本合金xについてのアノード分
極曲線を示す図である。
【図9】表1における標本合金yについてのアノード分
極曲線を示す図である。
【図10】ヒートパイプ試験体のランニング試験を示す
概略構成図である。
【図11】発電ボイラーのフローシートを示す図であ
る。
【図12】廃ガス環境における金属表面温度と炭素鋼の
腐食速度との関係を示す図である。
【図13】ヒートパイプの金属表面温度と凝縮硫酸濃度
との関係を示す図である。
【図14】露点149℃のときのFeの腐食量と金属表
面温度との関係を示す図である。
【符号の説明】
5 ヒートパイプ 6 パイプ本体 7 コーティング材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 豊蔵 康司 埼玉県大宮市北袋町1丁目297番地 三菱 マテリアル株式会社中央研究所内

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】CrとMoを含むNi基合金からなる基体
    が、Siを含むFe基合金で被覆されている耐硫酸露点
    腐食用耐食部材。
  2. 【請求項2】前記Ni基合金が、下記の範囲のCrとM
    o成分を含むと共に、残りはNi及び不可避不純物から
    成ることを特徴とする請求項1に記載の耐硫酸露点腐食
    用耐食部材。 16.0≦[Cr]≦31(重量%),Mo≧0(重量
    %)であって、且つ 52≦2[Cr]+[Mo](重量%) 398≧3[Cr]+14[Mo](重量%)
  3. 【請求項3】前記Ni基合金が、更にTa、Nb、Wの
    いずれか1種以上の成分を下記の範囲で含むことを特徴
    とする請求項2に記載の耐硫酸露点腐食用耐食部材。 0.3≦[Ta]+[Nb]≦4.0(重量%) 0.5≦[W]≦4.0(重量%)。
  4. 【請求項4】前記Ni基合金が、更にFe成分を下記の
    範囲で含むことを特徴とする請求項2又は3に記載の耐
    硫酸露点腐食用耐食部材。 0.5≦[Fe]≦20(重量%)。
  5. 【請求項5】前記Ni基合金が、下記の範囲のCrとM
    o成分を含むと共に、残りはNi及び不可避不純物から
    成り、且つ熱処理によって溶体化されていることを特徴
    とする請求項1に記載の耐硫酸露点腐食用耐食部材。 16.0≦[Cr]≦31.0(重量%),Mo≧0
    (重量%)であって、且つ 52≦2[Cr]+[Mo](重量%) 398≧3[Cr]+14[Mo](重量%) 480≧11[Cr]+10[Mo](重量%)。
  6. 【請求項6】前記Ni基合金が、更にTa、Nb、Wの
    いずれか1種以上の成分を下記の範囲で含むことを特徴
    とする請求項5に記載の耐硫酸露点腐食用耐食部材。 0.3≦[Ta]+[Nb]≦4(重量%) 0.5≦[W]≦4(重量%)。
  7. 【請求項7】前記Ni基合金が、更にFe成分を下記の
    範囲で含むことを特徴とする請求項5又は6に記載の耐
    硫酸露点腐食用耐食部材。 0.5≦[Fe]≦20(重量%)。
  8. 【請求項8】前記Fe基合金は、Si成分を下記の範囲
    で含むと共に、残りはFe及び不可避不純物から成るこ
    とを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の耐硫
    酸露点腐食用耐食部材。 14.5≦[Si]≦30.0(重量%)
  9. 【請求項9】前記Fe基合金が、更に下記の範囲でCu
    成分を含むことを特徴とする請求項8に記載の耐硫酸露
    点腐食用耐食部材。 0.05≦[Cu]≦1.00(重量%)
  10. 【請求項10】前記Fe基合金が、更にCr、Mnの1
    種以上を単独又は合計で2.5重量%以下含有すること
    を特徴とする請求項8又は9に記載の耐硫酸露点腐食用
    耐食部材。
  11. 【請求項11】前記Fe基合金が、更に下記の範囲で
    P,S,C成分の1種以上を含むことを特徴とする請求
    項8乃至10のいずれかに記載の耐硫酸露点腐食用耐食
    部材。 0.05≦[P]≦1.00(重量%) 0.05≦[S]≦1.00(重量%) 0.05≦[C]≦1.00(重量%)
  12. 【請求項12】前記Fe基合金は、溶射によって基体を
    被覆していることを特徴とする請求項1乃至11のいず
    れかに記載の耐硫酸露点腐食用耐食部材。
  13. 【請求項13】請求項1乃至12のいずれかに記載の耐
    硫酸露点腐食用耐食部材を、ヒートパイプの少なくとも
    外表面に用いたことを特徴とするヒートパイプ。
  14. 【請求項14】前記ヒートパイプが水を作動液とすると
    共に、その内表面が前記Ni基合金から成っていて、こ
    のヒートパイプ内表面にCuメッキが施されていること
    を特徴とする請求項13に記載のヒートパイプ。
  15. 【請求項15】前記ヒートパイプが水を作動液とすると
    共に、その内表面が前記Ni基合金から成っていて、こ
    のヒートパイプ内表面にCrメッキが施され且つこのC
    rメッキ表面に酸化物が形成されていることを特徴とす
    る請求項13に記載のヒートパイプ。
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