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JPH06192815A - 金属帯の連続浸炭設備 - Google Patents

金属帯の連続浸炭設備

Info

Publication number
JPH06192815A
JPH06192815A JP34931192A JP34931192A JPH06192815A JP H06192815 A JPH06192815 A JP H06192815A JP 34931192 A JP34931192 A JP 34931192A JP 34931192 A JP34931192 A JP 34931192A JP H06192815 A JPH06192815 A JP H06192815A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carburizing
strip
atmosphere
furnace
roll
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP34931192A
Other languages
English (en)
Inventor
Futahiko Nakagawa
二彦 中川
Nobuaki Hanazono
宣昭 花園
Hiroshi Kuramoto
浩史 蔵本
Jiyun Morozumi
順 諸住
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kawasaki Steel Corp filed Critical Kawasaki Steel Corp
Priority to JP34931192A priority Critical patent/JPH06192815A/ja
Publication of JPH06192815A publication Critical patent/JPH06192815A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Landscapes

  • Solid-Phase Diffusion Into Metallic Material Surfaces (AREA)
  • Heat Treatment Of Strip Materials And Filament Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】浸炭炉内でストリップを案内するハースロール
の炭素取込みによる劣化を抑制すると共に、所望される
浸炭濃度分布を達成するために金属帯表面からの脱炭を
抑制することのできる金属帯の連続浸炭設備を提供す
る。 【構成】浸炭炉内でストリップAを案内するハースロー
ル10を非接触型シール装置11を介してハースロール
室12に分離し、このハースロール室内の雰囲気を制御
可能として,ストリップ表層部の浸炭濃度分布制御が要
求される場合にはロール室内を微弱浸炭雰囲気としてス
トリップからの脱炭を抑制しながらロールの劣化を抑制
し、特にロール室内の有効通板長が短く,浸炭濃度分布
制御が要求されない場合にはロール室内を非浸炭雰囲気
としてロールの劣化を最小限に抑制する構成とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、浸炭炉内に送給される
金属帯を連続ガス浸炭する金属帯の連続浸炭設備に関す
るものであり、例えば極低炭素鋼からなるストリップを
浸炭炉内に通板して連続的にガス浸炭して,所望の浸炭
濃度分布を得るための金属帯の連続浸炭設備に適するも
のである。
【0002】
【従来の技術】例えば自動車産業のような金属二次加工
産業界では、加工対象金属板に対してより高い加工性と
強度との両立が要求されている。具体的に前記自動車産
業界では、昨今問題化されている地球環境問題から低燃
費化を追求するために車体を軽量化する必要から、従来
の深絞り性を維持した上でより強度の高い鋼板が要求さ
れる。
【0003】このような金属板の評価指標としては、例
えば延性,深絞り性,時効性,強度,二次加工脆性,焼
付硬化性,スポット溶接性等が考えられる。そこで、前
記の深絞り性を特に重要視して,この深絞り性をランク
フォード値(以下r値:金属板幅歪み/板厚歪み)で評
価した場合、鋼中の炭素(以下Cと記す)量を低減する
ことが最も有利であることは公知であり、加えてこの低
炭素化により延性(Elongation:El)や常温遅時効性
(Aging Index :AIが低い程良い)も向上する。とこ
ろが、一方で鋼中のC量が低下するに従ってその他の評
価指標は大方について劣化する。例えば、析出物が減少
して組織強度が低下するために引張強度(Tensile Stre
ngth:TS)が低下し、粒界強度が低下するために二次
加工脆性が劣化し、固溶C量が低下するために焼付硬化
性が劣化する。また、鋼中C量50ppm以下では,溶
接による加熱で粒成長速度が促進されて熱影響部(Heat
Affected Zone:HAZ)の粗粒化によってスポット溶
接性が劣化する。
【0004】そこで、図1に示すように極低炭素鋼から
なる金属帯を連続焼鈍処理によって再結晶焼鈍すること
により前記延性,深絞り性,常温遅時効性を得ながら、
これに続いて,連続浸炭処理によって表層部に固溶Cを
存在させることにより前記引張強度,二次加工脆性,B
H性,スポット溶接性を向上するために、本出願人は図
2に示すような特開平4−88126号公報に記載され
る連続焼鈍浸炭設備を開発した。
【0005】この連続焼鈍浸炭設備によれば、加熱帯2
又は均熱帯3で金属帯に対して所定の再結晶焼鈍を行っ
た後、浸炭帯4で鋼板温度,雰囲気諸元,搬送速度(在
炉時間),及び冷却条件を制御して浸炭処理を行い、更
に第1及び第2冷却帯5,6で所定の冷却速度で所定の
冷却到達温度まで冷却を行うことにより、金属帯の材質
仕様を満足させながら表層浸炭深さと濃度分布を所望の
値とした金属帯を連続的に製造することを可能とする。
【0006】ちなみに浸炭帯4の浸炭炉内に送給される
ストリップはハースロール8,10を介して炉内を昇降
しながら通板されている。このうち,均熱帯3から浸炭
炉内に送給する或いは浸炭炉から第1冷却帯5に送出す
るためのハースロール8はシール装置9を介して個別の
ロール室に分離されている。しかし、その他のハースロ
ール10は浸炭炉内で,一酸化炭素COや水素H2 等を
含有する雰囲気ガスからなる浸炭雰囲気に曝されてい
る。なお、前記シール装置9は単に浸炭炉内の浸炭雰囲
気ガスが流出するのを防止するためだけに設けられてい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら本件発明
者等の研究によれば,前記ハースロール10が高温の浸
炭雰囲気内に曝されると、ハースロールの劣化が進行す
ることが判明した。具体的には以下のような理由によ
る。これらのハースロール10はその回転性及びロール
クラウンを所定状態に保持するために,例えば軸受近傍
等が冷却されている。また、ロール自体の強度及び耐磨
耗性を維持するためにハースロールにはクロムCr合金
が使用されている。ところが、COやH2 を含有する浸
炭雰囲気ガスがハースロール近傍まで及ぶとそれが冷却
されて遊離炭素[C]が発生し,それがすすとなってス
ーティングが進行するため、ハースロールにCが付着し
た後、ハースロール内部にCが拡散する。このようにな
ると前記CrとCが結合してCr炭化物が析出し、これ
によりハースロールに用いられている耐熱合金の結晶粒
が破壊され或いは膨張し、一方で固溶Crが減少するた
め、ハースロールが脆化,酸化されることにより孔状の
腐食が進行する。このようにハースロールを浸炭雰囲気
ガス中に曝すと、本件発明者等の実験によれば2年以内
でハースロールを交換しなければならないことが判明し
た。
【0008】本発明はこれらの諸問題に鑑みて開発され
たものであり、前記ハースロールの劣化を防止しなが
ら,鋼板の仕様諸元から所望される浸炭量又は浸炭濃度
分布を達成することのできる金属帯の連続浸炭設備を提
供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本件発明者等は前記諸問
題に鑑みて鋭意検討を重ねた結果,以下の知見を得て本
発明を開発した。即ち、前記ハースロールの炭化による
劣化を防止するためには,前述したようなシール装置を
用いて各ハースロールを個別のロール室に分離すること
が考えられる。ところが、単にハースロールを個別のロ
ール室に分離しただけでは、通板される金属帯はそのま
わりの非浸炭雰囲気,即ち浸炭反応が全く促進しない雰
囲気に曝されることになり、その結果、金属帯表面から
固溶Cが放散される,所謂脱炭が発生する。前記ロール
室内の有効通板長が短い場合には多少の脱炭は鋼板の仕
様諸元から要求される浸炭量や浸炭濃度分布にさほどの
影響を及ぼさない。しかし、前記ロール室内の有効通板
長が長い場合や,例えば浸炭濃度分布が厳しく要求され
る鋼板の浸炭処理の場合に、このような脱炭が進行した
のでは,鋼板の仕様諸元から要求される浸炭量や浸炭濃
度分布に影響がでてしまって製品性状の面で好ましくな
い。そこで分離されたロール室内を浸炭炉内と個別の雰
囲気制御可能とすることで,前記諸問題を完全に解決で
きることに着目した。
【0010】而して本発明のうち請求項1に記載の金属
帯の連続浸炭設備は、浸炭炉内を浸炭雰囲気とし、その
浸炭炉内にロールを介して連続的に通板される金属帯に
対してガス浸炭浸窒を行う金属帯の連続浸炭設備におい
て、前記ロールを,浸炭炉とは個別の雰囲気制御を可能
としたロール室に分離し、このロール室内を,浸炭炉内
とは異なる雰囲気制御可能としたことを特徴とするもの
である。
【0011】本発明のうち請求項2に記載の金属帯の連
続浸炭設備は、前記ロール室内の有効通板長が短い場合
に,前記ロール室内を,浸炭反応が促進する要因の全く
ない非浸炭雰囲気に制御可能としたことを特徴とするも
のである。本発明のうち請求項3に記載の金属帯の連続
浸炭設備は、前記ロール室内を,金属帯からの脱炭が進
行しない程度以上の微弱浸炭雰囲気に制御可能としたこ
とを特徴とするものである。
【0012】
【作用】本発明の金属帯の連続浸炭設備では、浸炭炉内
で金属帯を案内するためのロールを,浸炭炉とは個別の
雰囲気制御を可能としたロール室に分離し、このロール
室内を,浸炭炉内と異なる雰囲気制御可能としたため
に、例えば当該ロール室内を,金属帯からの脱炭が進行
しない程度以上の微弱浸炭雰囲気に制御することによっ
て、金属帯表面からの脱炭を抑制して,前記浸炭薄鋼板
に要求される浸炭量又は浸炭濃度分布等の仕様諸元を得
るための雰囲気制御を可能とし、同時にロールへの炭素
の拡散を抑制して前記ロールの劣化を抑制することがで
きる。
【0013】また、本発明の金属帯の連続浸炭設備で
は、前記ロール室内の有効通板長が短い場合に,前記ロ
ール室内を,浸炭反応が促進する要因の全くない非浸炭
雰囲気に制御可能としたことにより、例えば前記浸炭薄
鋼板等に浸炭量又は浸炭濃度分布の仕様諸元が厳しく要
求されない場合には、このロール室内を非浸炭雰囲気に
制御して,ロールの劣化を最小限に抑制することを可能
とし、同時にこの場合のロール室内の有効通板長が短い
ので,全体的な脱炭による浸炭量の低下を抑制すること
が可能となる。
【0014】
【実施例】図3は本発明の金属帯の連続浸炭方法を実施
化した極低炭素鋼からなるストリップの連続焼鈍浸炭設
備の一例を示すものである。同図において極低炭素鋼ス
トリップAは、図1に示す板温制御の経緯・履歴を満足
するように、コイル巻戻し機,溶接機,洗浄機等を有す
る図示しない入側設備、予熱帯1、加熱帯2、均熱帯
3、浸炭帯4、第1冷却帯5、第2冷却帯6、剪断機,
巻取り機等の図示しない出側設備の順に通板される。
【0015】前記加熱帯2は、入側設備から連続的に送
給されて予熱帯1で予熱されたストリップAを再結晶温
度以上まで加熱するものであり、具体的には炉内温度が
850〜1000℃でストリップAの温度が700〜9
50℃になるように当該ストリップを加熱する。そして
加熱されたストリップAは前記均熱帯3で必要な時間,
再結晶温度以上に保持されることにより、深絞り性に有
利な{1,1,1}集合組織を発達させることができ
る。
【0016】この加熱帯2及び均熱帯3内を,ハースロ
ールを介して上下に昇降しながら通板されるストリップ
の通板路近傍には多数のラジアントチューブが配設され
ており、このラジアントチューブに送給される燃料ガス
を燃焼させて炉内温度(炉温)を制御する。本実施例で
は、このラジアントチューブへの燃料ガスの供給流量の
設定は,通板されて炉から熱量を運び出すストリップへ
の加熱量に排ガス損失熱及び炉体放散熱等を加えた炉内
の熱収支から求まる炉の要求(必要)熱量と同等であ
り、図示されないホストコンピュータにより後述するラ
イン全体の制御ロジックに則って行われる。
【0017】前記浸炭帯4は、ストリップA表面の極薄
い部分(表層部)に固溶炭素(C)が存在する浸炭層を
形成するために、該浸炭帯4内の浸炭炉は図示されない
ホストコンピュータにより700〜950℃の炉内温度
に制御して,ストリップ温度(板温)が700℃以上,
好ましくは再結晶温度以下となるようにし、またストリ
ップが浸炭炉内を10〜120秒で通過するように通板
速度が制御される。ちなみに前記炉温制御は、浸炭量
(浸炭反応速度)をストリップの通板方向に対して一定
とし、材質上のバラツキを抑止するために行う。また、
既知のようにスーティング,即ち鋼板の表面に遊離炭素
[C]が付着すると、表面品質低下及び後工程の弊害要
因となる。同時に炉内の反応が所定の方向,例えば浸炭
反応方向に促進した結果,露点が上昇すると浸炭反応が
阻害されたり、ストリップ表面に酸化が生じてテンパー
カラーの原因となったりするため、炉内物性及び炉内温
度は後述する浸炭条件設定ロジックに基づいて重要に管
理されている。
【0018】本実施例では、この浸炭炉内の物性,浸炭
温度,通板速度即ち浸炭時間は、連続浸炭の実際におけ
る制御対象物理量(制御量)と見なされ、前記ホストコ
ンピュータにより、ストリップに形成されるべき要求さ
れる浸炭層の浸炭濃度分布,浸炭深さ等の仕様諸元か
ら,例えば必要な浸炭量を与条件として設定し、後述す
る予め設定したこれら制御量に関する各種の基礎式を適
宜取捨選択して,当該浸炭量を実現するための各制御量
を算出し、その他の設備の能力やプロセスをも考慮し
て、それらの制御量を設定するようにしてある。
【0019】また、この実施例において浸炭炉内に供給
される浸炭ガスの組成及び供給・排出流量は、前記ホス
トコンピュータが,後述する炉内の物質収支を考慮して
炉内の自由エネルギを最小とする雰囲気組成モデル式に
基づいて算出した,諸条件に従って制御されている。こ
の浸炭ガスの組成及び供給・排出流量は、前記CO2
び露点上昇を抑制して浸炭反応速度の低下やテンパーカ
ラーを防止するように制御される。
【0020】本発明において、浸炭炉内のストリップは
ハースロール10を介して炉内を昇降しながら通板され
ているが、これらのハースロール10は非接触シール装
置11を介して浸炭炉とは個別の雰囲気制御を可能とし
たハースロール室12に分離されている。これらのハー
スロール10は、前述したように例えば軸受近傍等が冷
却されており、ロール自体の強度及び耐磨耗性を維持す
るためにハースロールにはクロムCr合金が使用されて
いる。ところが、前記浸炭雰囲気ガス中のCがハースロ
ール内部に拡散すると前記CrとCが結合してCr炭化
物が析出し、これによりハースロールに用いられている
耐熱合金の結晶粒が破壊され或いは膨張し、一方で固溶
Crが減少するため、ハースロールが脆化,酸化される
ことにより孔状の腐食が進行する。
【0021】一方、このように分離したハースロール室
12内を全く浸炭反応を促進する要因のない非浸炭雰囲
気にしてしまうと、このハースロール室12内の有効通
板長を通板されるストリップAの表面から固溶Cが脱炭
してしまい、これによって後述する浸炭薄鋼板に要求さ
れる浸炭濃度分布の仕様諸元を満足できない,といった
トラブルが発生する。そこで本発明では、このハースロ
ール室12内を前記ストリップ表面からの脱炭が進行し
ない程度以上又はハースロールの劣化が進行しない程度
以上の何れか又は双方を満足する或いはそれらの中庸と
なる微弱浸炭状態とすることによって、前記脱炭を抑制
しながらハースロールの劣化を抑制することを可能とし
た。また、本発明では前記ハースロール室内の有効通板
長が極めて短い,即ちストリップがハースロール室を通
過する時間が極めて短く,当該時間に係る鋼板表層部か
らの脱炭が問題とならない場合には、前記ハースロール
室内を非浸炭雰囲気に制御可能とし、このような場合の
ハースロールの劣化を最小限に抑制することを可能とし
た。
【0022】前記シール装置11には、非接触型のシー
ル装置を用いるのが望ましく、本実施例の非接触型シー
ル装置は、例えばハースロール室と浸炭炉内の浸炭雰囲
気室との間に介装され且つ通板されるストリップの両表
面に対向するシール層を3層構造とし、このうちハース
ロール室側のシール層には前記弱浸炭雰囲気ガスを噴出
し、浸炭雰囲気室側のシール層には前記浸炭雰囲気ガス
を噴出し、中間のシール層からは排気を行うようにし、
更に各雰囲気ガスの噴射方向及び噴射流量を制御して各
雰囲気ガスの流れが前記中間のシール層側に向かって積
極的に排出されるようにすると共に、ストリップの通板
に伴う板面気流によって発生する循環流をシール層のう
ちストリップの幅方向端面に形成された排出口から排気
する構成とした。この非接触シール装置では、ストリッ
プ表面への接触による損傷の発生の虞れがなく、尚且つ
雰囲気ガスの完全なシーリングを可能とするが、本発明
ではシール装置の構成はこれに限定されるものではな
く、またシーリング方式そのものにしても非接触に限定
されるものではない。
【0023】この浸炭帯4から送出されたストリップA
は前記第1冷却帯5に送給される。この第1冷却帯5で
は,前記浸炭帯4で浸炭された固溶Cをストリップの表
層部のうち表面の極薄い範囲にのみ固定するため、浸炭
後のストリップを、鋼板温度が600℃以下,好ましく
は500〜400℃程度になるまで20℃/sec.以上の
冷却速度で急冷する。この第1冷却帯5内ではこの冷却
条件が達成できるように,前記ホストコンピュータによ
り冷却帯内を搬送されるストリップに対して冷却ガスジ
ェットから吹付けられる冷却ガス流量,流速及び冷却ロ
ール温度,巻付け角等が制御される。
【0024】前記第1冷却帯5から送出されたストリッ
プAは次いで第2冷却帯6に送給される。この第2冷却
帯6では鋼板温度が250〜200℃程度までガス冷却
が行われる。このようにして最終的には表層部にのみ固
溶Cが存在する極低炭素のプレス成形用冷延鋼板を得る
ことができる。次に、本実施例の連続焼鈍浸炭設備にお
いて、前記ホストコンピュータによって行われるトータ
ルな連続焼鈍浸炭制御の構成概念について説明する。
【0025】まず、前述したように浸炭帯における浸炭
制御では、鋼板中の浸炭濃度分布が要求される場合を含
めて,浸炭量は目標材質を得るための与条件として与え
られる。例えば浸炭濃度分布が要求される場合は、その
分布を深さ方向に積分することで浸炭量が設定される。
そして、材質条件から浸炭温度の上限は再結晶温度以下
に設定される。一方、前記浸炭炉の最大処理能力を得る
ためには浸炭量=浸炭反応速度×浸炭時間の原理に基づ
いて浸炭反応速度を大きくする必要があり、この必要か
ら浸炭反応速度に関与する浸炭温度は高いほどよく、こ
れは後述するスーティングの発生を防止してCO濃度上
限を高くすることにも繋がる。
【0026】本実施例では前記スーティングの発生限界
を物質収支を考慮した熱力学(雰囲気組成)モデル式に
より得ることができるが、単にスーティングの発生しな
い範囲からという条件だけでは,雰囲気組成に関与する
CO濃度及びH2 濃度を設定するとことが困難である。
そのため、本実施例では前記浸炭反応速度を阻害しない
関係式を予め設定し、例えば前記スーティングの発生し
ない雰囲気組成モデル式によって得られたCO濃度を基
準として,この関係式を用いてH2 濃度を算出する。具
体的には, H2 濃度=a×(CO濃度) 但し、a:0≦a<5の範囲の定数で表される。この定
数aは、具体的には後述する表面反応速度の基礎式で、
反応を阻害するCO2 とH2 Oの生成濃度を最小に抑え
る値に設定され、通常は0.5〜1.0の範囲で設定す
ることが多い。即ち、この関係式を満足するときに,表
面反応速度式に基づく浸炭反応速度は最大となる。
【0027】また、本実施例では前記設定された表面反
応速度に基づいて所望される浸炭濃度分布を達成するた
めの浸炭時間が設定される。即ち、表層部のC濃度だけ
を高めて内層部のC濃度との勾配を急峻にする場合に
は、浸炭反応速度を大きくして(浸炭力を高めて)浸炭
時間を短くすればよい。逆に、鋼板のC濃度全体を高め
て内層部と表層部とのC濃度勾配を緩やかにする場合に
は、浸炭反応速度を小さくして(浸炭力を低めて)浸炭
時間を長くすればよい。これらの浸炭反応速度と浸炭時
間の制御は、前述した浸炭量一定の制約条件を満足す
る。この場合には前記ハースロール室内の雰囲気条件を
考慮する必要があるのは言うまでもない。
【0028】一方、前記加熱帯や均熱帯等の項でもふれ
たように浸炭帯以外の各板温制御帯でも夫々の炉の能力
計算やプロセス計算等によって最適な通板速度が設定さ
れる。これらの各板温制御帯の最大通板速度と前記浸炭
帯の最大通板速度を考慮した場合,ストリップが一連に
通板される連続焼鈍浸炭設備では、いずれの通板速度が
設備全体の通板速度を律速するかを判断しなければなら
ない。この場合には、鋼板のあらゆる仕様諸元を考慮し
なければならず、しかもその仕様諸元は絶対条件として
与えられる。
【0029】以上から,前記浸炭帯で得られる最大通板
速度が、前記各板温制御帯で得られる各最大通板速度の
最小値よりも大きい場合には、各板温制御帯の最大通板
速度の最小値をライン通板速度として設定し、この通板
速度で前記浸炭量を満足する浸炭炉の雰囲気条件を再度
設定し直す必要がある。なお、この場合は浸炭時間が長
くなるから,浸炭量一定の制約条件下では浸炭反応速度
を低下させる方向,即ち雰囲気ガス中のCO濃度,H2
濃度を低下させる方向に設定し直すことになり、必然的
に前記スーティングを発生しない条件を満足することに
なる。
【0030】逆に前記各板温制御帯で得られる各最大通
板速度の最小値が、前記浸炭帯で得られる最大通板速度
以上である場合には、浸炭帯の最大通板速度をライン通
板速度として設定し、この通板速度で各板温制御帯の板
温を満足するために炉温や燃料供給量を板温制御量とし
て設定し直す必要がある。これらの制御概念を具体化し
たのが前記ホストコンピュータで行われる図4に示すロ
ジックである。
【0031】このロジックでは、まずステップS20で
浸炭帯,各板温制御帯を含む各炉の能力限界から各鋼板
の仕様諸元を満足するために必要な炉温の上限値が設定
される。次にステップS21に移行して、各板温制御帯
での板温制御量及び浸炭帯での浸炭制御量が設定され
る。具体的には例えば,前記加熱帯2,均熱帯3におい
て伝熱理論を基礎とした数式モデルに基づいて,前記ラ
ジアントチューブ,炉壁,ストリップ,ハースロール等
の間の伝熱係数を考慮したヒートバランスからプロセス
モデル式を設定し、このプロセスモデル式に基づいて目
標板温を満足する炉内温度,燃料ガス供給流量等を算出
してフィードバック制御を行うためのプロセスモデル計
算や、鋼板,即ちコイルの継ぎ目での板温変動を最小と
する燃料ガス供給流量の最適時系列を算出し、これに基
づいて対象コイル通板時にプリセットしてフィードフォ
ワード制御するための最適ルート計算を行い、これらに
基づいて各炉の最大通板速度を設定する。なお、冷却帯
5,6では前記伝熱係数に冷却ガスジェットによる冷却
ガスとストリップとの伝熱係数を用いる。
【0032】一方、後段に詳述する浸炭帯4のスーティ
ング条件及び浸炭条件(表面反応速度条件,炭素拡散条
件)をモデル化した浸炭モデル式に基づいて,鋼板の仕
様諸元から設定される浸炭濃度分布を得るための雰囲気
ガス組成及び浸炭温度を求め、その条件下で浸炭帯内の
最大通板速度を設定する。次にステップS22に移行し
て、浸炭炉を含む各熱処理炉内のハースロールのヒート
クラウンを板温モデル等により予測計算し、ロールクラ
ウンがストリップの蛇行限界内になるような最大通板速
度を算出するサーマルクラウン計算を行う。これにより
ストリップの蛇行を抑制した安定操業範囲での炉の最大
処理能力を達成することができる。
【0033】次にステップS23に移行して、前記ステ
ップS21で設定された各炉内の最大通板速度を比較
し、前記各板温制御帯の最大通板速度の最小値が浸炭帯
の最大通板速度よりも小さい場合には当該板温制御帯の
最大通板速度の最小値を、浸炭帯の最大通板速度が各板
温制御帯の最大通板速度の最小値以下である場合には当
該浸炭帯の最大通板速度を,夫々ライン全体の通板速度
に設定する。
【0034】次にステップS24に移行して、前記ステ
ップS23で設定されたライン全体の通板速度に基づい
て各熱処理炉の制御量を再度設定し直す,制御量再設定
計算を行う。ここで、前記浸炭帯で行われる浸炭制御に
ついて説明するにあたり、例えばプレス成形性に富み且
つ強度を有する鋼板を得るために要求されるストリップ
の仕様諸元に基づいて,本実施例における浸炭処理条件
が従来の浸炭処理条件に比してどのようなレベルにある
のか、そしてその浸炭処理条件を満足するために必要な
項目について説明する。
【0035】従来の浸炭技術は、歯車,シャフト,ベア
リング等の所謂調質鋼からなる不連続物の耐磨耗性,耐
衝撃性向上等のために表面硬化を目的として行われる。
そのため、素材中のC量は0.05%以上で要求される
浸炭量は0.1%以上,浸炭深さは0.5〜1.5mm
以上であり、従って浸炭所要時間は1〜5時間にも及
ぶ。このような条件下では鋼板表層部のC濃度が時間に
対して平衡濃度に達しているから、図5に示すように浸
炭速度は鋼中への拡散速度に従う鋼中拡散律速域であ
り、その浸炭速度は時間の平方根に比例する。この浸炭
速度域では、鋼板表層部の鋼中平衡C濃度が,所定の値
となるように鋼中拡散速度が表面反応速度と等しくなる
ように雰囲気ガスのカーボンポテンシャル(Cポテンシ
ャル)を制御する必要があり、実際の操業管理指標とし
てはCO/CO2 の管理が重要になる。
【0036】一方、本実施例のようなストリップの連続
浸炭においては、該ストリップが前記極低炭素鋼からな
る連続物であり、このストリップの表面特性を改善する
こと及び鋼板そのものの材質の向上を目的として行われ
る。そのため、例えば前記の耐二次加工脆性の向上を対
象とする金属に要求される仕様(特開平3−19934
4号公報など)から当該金属帯の浸炭条件を求めると、
本実施例では素材中のC量は20ppmで要求される浸
炭量は200ppm以下,浸炭深さは50〜200μm
であり、しかも通板速度に左右される浸炭時間は120
秒以下になる。このような条件下では鋼板表層部のC濃
度が時間に対して平衡濃度に達しないから、葉らの報告
(葉 煦雲,春山 志郎ら:日本金属学会誌49(1985)7,
529 )にあるように、図5に示すように浸炭速度は鋼表
面の反応速度に従う表面反応律速域であり、該浸炭速度
は時間そのものに比例する。この表面反応律速域では浸
炭量,浸炭深さ共に非平衡状態であるから、実際の操業
管理指標として従来のように単に鋼中表層部の平衡C濃
度となるようにCポテンシャル制御によってCO/CO
2 を管理するだけでなく、炉内における多数の制御量を
考慮して,要求される鋼板の仕様諸元から決定される浸
炭量を得るように、浸炭条件を設定する必要がある。以
下、本実施例において浸炭量を制御するために前記ホス
トコンピュータで処理されるロジックに則り,当該ロジ
ックを構築する基本的な原理について説明する。
【0037】まず、前記表面反応律速域において雰囲気
ガスの組成を制御するにあたっては前述のようにスーテ
ィングの発生を防止すると共に露点上昇を抑制する必要
があるが、これらの状態発生メカニズムについて以下の
ように推論する。一般に、浸炭条件における雰囲気ガス
組成は化学平衡により求めることができる。従来の解法
では考え得る反応を全て列挙し、これらの反応の平衡関
係から,非線形の連立方程式を解くことによってガスの
組成を得ている。しかし、気相系の反応式だけからは正
確なすす発生(スーティング)の限界を求めることが極
めて困難である。
【0038】そこで本実施例では以下のようにして熱力
学(雰囲気組成)モデル式を考え、スーティング発生を
防止する雰囲気ガス組成を求めた。等温,等圧の系の場
合、自然に起こる変化ではギブス自由エネルギーが減少
し、平衡状態において系のギブス自由エネルギーは最小
値をとる。従って、雰囲気ガスの平衡状態を求めるため
には,生成系の各成分ガス濃度を変数として得られる全
系のギブス自由エネルギーを目的関数とし、これを原系
が持ち込む元素成分が一定であるという物質収支の制約
条件下,具体的には炉内に供給される雰囲気ガス組成及
び供給量と浸炭によって金属帯に炉内から持ち出される
C量が一定という制約条件下で最小値となるように各成
分ガス濃度を求めればよい。この成分ガス濃度が与えら
れた炉温,炉圧における雰囲気ガスの平衡組成となり、
スーティングC量は以下に述べるロジック中で凝縮種の
一つとして表される。
【0039】雰囲気ガスの組成を算出するにあたり、二
つの仮定を設定する。その一つは、気体は理想気体とす
ること。もう一つは、遊離Cに代表される凝縮相は気体
と混合できないとすることである。この仮定の基にガス
種と凝縮種との全自由エネルギーF(X) は、i番目のガ
ス種の自由エネルギーfg i ,h番目の凝縮種の自由エ
ネルギーfc h に対して下記1式で与えられる。
【0040】 但し、n:ガス種の数,p:凝縮種の数を示す。
【0041】ここで、前記ガス生成物に関するi番目の
ガス種の自由エネルギーfg i は、i番目のガス種のモ
ルエネルギーCg i に対して当該ガス種のモル数がxg
i として下記2式〜4式で与えられる。 fg i =xg i (Cg i +ln(xg i /X)) ……… (2) Cg i =(F/(R・T))g i +lnP ……… (3) 一方、凝縮生成物については、前記仮定の下に圧力及び
混合の影響は除かれるので、h番目の凝縮種の自由エネ
ルギーfc h は、h番目の凝縮種のモルエネルギーCc
h に対して当該凝縮種のモル数がxc h として下記5
式,6式で与えられる。
【0042】 fc h =xc h ・Cc h ……… (5) Cc h =(F/(R・T))C h ……… (6) なお、前記3式,6式中の(F/(R・T))は下記7
式で定義される。 (F/(R・T))i =((F−H298)/T)i /R +ΔH0 f,298,i /RT ……… (7) 次にこの系における物質収支を考慮する。生成系の各成
分量は変化しても、各元素、即ち雰囲気ガス成分中の炭
素C,水素H,窒素N,酸素Oの原子単位で見れば夫々
の総量は一定となる。この物質収支式は下記8式で表さ
れる。
【0043】 但し、 j=1,2,………,m ag ij:i番目のガス種の分子に含まれるj番目の元素
の原子数 ac ij:i番目の凝縮種の分子に含まれるj番目の元素
の原子数 bj :系に存在するj番目の元素の量 m:系に存在する元素種の数 を示す。
【0044】ここで本実施例では、前記ホストコンピュ
ータ内に記憶させたプログラムにより、前記8式及び前
記1式から線形化した雰囲気組成モデル式を設定し、こ
の雰囲気組成モデル式から得られる解を収束して最適解
を得ることとした。次に実際の連続浸炭における雰囲気
ガス組成の必要条件について考慮するにあたり、炉内の
Cバランスを下記9式,10式で与えた。なお、10式
は鋼板の仕様諸元と表面反応速度によって算出される関
数である。
【0045】 Wg I =Ws C +Wg O ……… (9) Ws C =ξ(V,t,w,LS) ) ………(10) 但し、 Wg I :炉内に入る雰囲気ガス中のC質量 Ws C :ストリップに持ち去られるC質量 Wg O :炉内から出る雰囲気ガス中のC質量 V:表面反応速度, t:浸炭時間, w:板幅 を示す。
【0046】このようにして、浸炭炉内の連続浸炭の実
際における物質収支を考慮した熱力学(雰囲気組成)モ
デル式に基づいて前記雰囲気諸元を算出することによ
り、確実にスーティングの発生を防止しながら、炉内の
物質収支を考慮しないで求めた雰囲気諸元に比して雰囲
気組成の浸炭力を高めることが可能となる。従って、例
えば雰囲気ガス中のCO濃度を高めて通板速度を上げる
といった実際の操業能力を向上することができる。
【0047】次に、本実施例の主幹部を構成する浸炭量
制御の原理について説明する。雰囲気ガスにCOを用い
た場合の表面反応は下記11〜13式のように考えられ
る。 CO⇔[C]+O ………(11) CO+O→CO2 ………(12) Fe+[C]→Fe−C(鋼中拡散) ………(13) 前述した葉らによれば鋼板表層部のC濃度が極めて低く
且つ浸炭時間が極めて短い場合には浸炭条件が平衡状態
に達せず、そのため13式の反応速度は12式の吸着酸
素の脱離反応よりも速いために、この反応が律速反応で
あると仮定し、この表面反応律速域における表面反応速
度Vを下記14式で表した。
【0048】 V=k・PCO(PCO/(PCO+(ac/K))) ………(14) 但し、k:反応速度定数,PCO:COガス分圧,ac:
炭素活量,K:平衡定数を示す。しかしながら、前記1
4式にはH2 の影響が考慮されていない。H2 に関する
反応式としては、前記12式で表される反応式に対して
下記15式で表される反応が考えられる。
【0049】 CO+H2 +2O→CO2 +H2 O ………(15) また、生成したCO2 に対して下記16式で表される反
応等が考えられる。 H2 +CO2 ⇔H2 O+CO ………(16) これらの反応式に基づき,H2 は浸炭反応を促進する効
果があり、CO2 ,H 2 Oは浸炭反応を阻害することが
わかる。そこで本実施例では表面反応速度Vを下記17
式で表した。
【0050】 V=k1 ・f1 (PCO,PH2,θO )−k2 ・f2 (PCO2 ,PH2O ) ………(17) 但し、θO :吸着酸素の被覆率,k1 ,k2 :反応速度
定数を示し、反応速度定数k1 ,k2 は下記17’式で
設定することができる。
【0051】 ki =Ai ・exp ( −Ei /RT) ……… (17') 但し、Ai :頻度因子,Ei :活性化エネルギー,R:
気体定数,T:絶対温度を示す。なお、頻度因子Ai
活性化エネルギーEi ,気体定数Rはいずれも定数であ
るため、反応速度定数k1 ,k2 は種々の絶対温度Tの
条件下における実験値から算出した。
【0052】なお、本実施例においてCO濃度だけを考
慮すればよい場合,例えば雰囲気の供給ガス流量が多い
場合には、前記14式を表面反応速度式として使用して
もよい。次に本実施例で所望される浸炭濃度分布を得る
ためにモデル式化された固溶炭素の鋼中拡散について説
明する。鋼中へのCの拡散状態は下記18式に示す炭素
拡散モデル式で表される。
【0053】 dC/dt=D・d2 C/dX2 ………(18) 但し、C:鋼中のC濃度,t:時間,D:拡散係数,
X:拡散距離を示す。前記拡散係数Dは下記18’式で
表されるアレニウスの式によっても設定されるが、本実
施例では実測データにより近似的に表示することとし
た。
【0054】 D= exp(a・T-1+b) ……… (18') 但し、T:浸炭温度,a:比例係数,b:定数を示す。
以上より、前記17式及び18式により鋼板への浸炭量
を算出することができる。このことは浸炭量一定の条件
では所望される浸炭濃度分布の一点の浸炭濃度を設定す
れば前記炭素拡散モデル式が設定され、浸炭量が異なる
場合でも浸炭濃度分布の二点以上の浸炭濃度を設定すれ
ば前記炭素拡散モデル式は設定されることを意味する。
【0055】以上の演算を前記ホストコンピュータに予
め記憶されたプログラムにより順次行って、浸炭後の鋼
板の仕様諸元,即ち本発明では所望される浸炭濃度分布
から与えられるストリップへの浸炭量と,雰囲気ガス中
のC減少量から算出されるストリップへの浸炭量とが一
致する,浸炭条件を設定するためのロジックを図6のフ
ローチャートに示す。
【0056】まずステップS1では、浸炭後の鋼板仕様
諸元として与えられる条件設定から、雰囲気ガスの組
成,投入ガスの流量,浸炭温度及び通板速度,鋼板諸元
等の条件を読込む。次にステップS2に移行して、前記
鋼板諸元及び鋼板仕様から鋼板への設定浸炭量ΔCを算
出する。
【0057】次にステップS3に移行して、前記ステッ
プS1で読込んだ雰囲気ガスの組成から前記雰囲気組成
モデル式を設定する。次にステップS4に移行して、前
記ステップS3で設定した雰囲気組成モデル式に従って
雰囲気ガスの各成分濃度を算出する。次にステップS5
に移行して、前記17式に基づいて鋼板の表面反応速度
を算出する。
【0058】次にステップS6に移行して、前記18式
に基づいて鋼中への浸炭速度を算出し、鋼中へのC拡散
量を算出する。次に当該浸炭処理時間が経過した場合に
はステップS7に移行して、前記ステップS6で算出さ
れた単位時間及び単位面積当たりの鋼中への拡散C量を
処理時間及び鋼板総表面積で積分して鋼板への浸炭量Δ
C’を算出する。
【0059】次にステップS8に移行して、前記設定浸
炭量ΔCと浸炭量ΔC’との差の絶対値が所定値aより
小さいか否かを判定し、両者の差の絶対値が所定値aよ
り小さい場合にはステップS10に移行し、そうでない
場合にはステップS9に移行する。前記ステップS9で
は、前記浸炭量に基づいて設定浸炭量を下記20式に基
づいて補正し、前記ステップS3に移行する。
【0060】 ΔC=ΔC+(ΔC’−ΔC)×b ………(20) 但し、b:定数を示す。前記ステップS10では、上記
演算の結果得られた雰囲気ガス成分の濃度,全浸炭量,
平均浸炭量,鋼板表面からの浸炭分布,スーティングC
量,通板速度等の演算結果を出力してプログラムを終了
する。
【0061】このプログラムによって算出された各浸炭
温度における物質収支を考慮して求めたスーティングの
発生限界を図7に実線で示す。同図において破線は露点
上限を示す。また一点鎖線は物質収支を考慮しないで求
めたスーティングの発生限界を示す。そして同図におい
て斜線を施した部分が実浸炭操業における操業範囲を表
す。
【0062】同図から明らかなように物質収支を考慮し
て求めたスーティングの発生限界では、物質収支を考慮
しないで求めたスーティングの発生限界に比してCO濃
度もH2 濃度も高くなる。即ち、その分だけ浸炭速度も
向上する。一方、浸炭温度が高くなるほどスーティング
の発生限界に伴うCO濃度もH2 濃度も高くなる。この
ことは全体的な浸炭操業効率が温度にも依存することを
意味するから、逆に通板速度を速くする場合には材質の
許す範囲で炉内温度を高くする等の操業の余裕度が増す
ことになり、連続浸炭の実際における諸条件の設定範囲
がより広がることになる。勿論、炉内の物質収支を考慮
しないで求めたスーティングの発生限界に沿って操業範
囲を設定してもスーティングは発生しないが、その分だ
け操業の余裕度は減少し、諸条件の設定範囲は狭くな
る。
【0063】また、このプログラムによって算出された
各浸炭条件,即ち前記各制御量を変化させた場合の浸炭
量と、実測された浸炭量との相関を図8に示す。同図か
ら明らかなように、浸炭量の計算値と実測値とは非常に
よく一致している。このことは、前記浸炭速度,即ち表
面反応速度の設定と、その温度依存係数の設定が正しい
ことを意味しており、表面反応速度の設定が正しい限
り、本実施例の連続浸炭方法は浸炭速度が拡散速度より
も大きい表面反応速度に従う領域での幅広い応用が可能
であることを意味する。
【0064】次に、本発明の連続浸炭設備で前記ハース
ロール室内の雰囲気制御を行った場合に、前記図5及び
図7のロジックに従って行われる具体的な浸炭濃度分布
の状態を図9を用いて説明する。同図において、細線は
前記ハースロール室を分離しない或いはハースロール室
内を浸炭雰囲気条件とした場合を示し、太線は前記分離
されたハースロール室内を前記微弱浸炭雰囲気条件とし
た場合を示し、破線は前記ハースロール室内を非浸炭雰
囲気条件とした場合を示す。この浸炭雰囲気組成におけ
るCO濃度はa%,H2 濃度はb%であり、前記微弱浸
炭雰囲気組成におけるCO濃度はa/c%,H2 濃度は
d%であり、前記非浸炭雰囲気組成は前記加熱帯や冷却
帯内等と同じHN雰囲気(通常N2 濃度=97%,H2
濃度=3%)と同等とした。但し、前記微弱浸炭雰囲気
組成における定数c,dは具体的に,5≦c≦200,
0<d≦10の範囲で適宜選定される。
【0065】同図から明らかなように、ハースロール室
内を微弱浸炭雰囲気条件とした場合のストリップ表面か
らの脱炭に伴う浸炭濃度分布の低下は、ハースロール室
を分離しない或いはハースロール室内を浸炭雰囲気条件
とした場合に比して小さく、浸炭濃度ピーク値の低下量
が小さく、そのピーク値の存在する表面からの深さ(距
離)もさほど変化がない。しかも,両者の浸炭濃度分布
の差異は内層部につれて小さくなり、総浸炭量の差は極
めて小さい。前述したように微弱浸炭雰囲気条件におけ
るハースロールの劣化は小さいから、製品性状,ハース
ロールの点検や交換をも含む全体的なコストは低廉化で
きることになる。一方、ハースロール室内を非浸炭雰囲
気条件とした場合の脱炭に伴う浸炭濃度分布の低下は著
しく、特にピーク値が大きく低下し、ピーク値の存在す
る表面からの深さ(距離)も大きく変化している。この
ことは、特に前記急峻なC濃度勾配を要求される浸炭濃
度分布の制御には不向きであることを意味するが、特に
こうした浸炭濃度分布を要求されない鋼板に対しては、
ハースロールの劣化を最小限に抑制して,その点検交換
のコストを低減する意味から有用であることも分かる。
本発明の連続浸炭設備では、所望される鋼板の浸炭濃度
分布に応じてハースロール室内の雰囲気条件を設定する
ことが可能であるから、種々の仕様諸元の鋼板を連続的
に製造する本実施例のような連続焼鈍浸炭設備において
は極めて有用なものとなる。
【0066】なお、本実施例では物質収支を考慮したモ
デル式を線形化し、その解を収束することによって最適
解を算出することとしたが、この最適解の算出手段はこ
れに限定されるものではない。また、本実施例では特に
前記表面反応律速域において極低炭素鋼からなるストリ
ップを連続焼鈍・浸炭する場合についてのみ詳述した
が、それ以外の浸炭反応律速域においても,また浸炭の
みを必要とする場合においても,或いはその他の金属帯
についても展開可能である。
【0067】
【発明の効果】以上説明したように本発明の金属帯の連
続浸炭設備によれば、所望される鋼板の浸炭濃度分布に
応じて,浸炭炉とは分離されたロール室内の雰囲気条件
を個別に設定することが可能であるから、このロール室
内を微弱浸炭雰囲気条件として金属帯表面からの脱炭を
抑制して所望する浸炭量又は浸炭濃度分布を得ながら同
時にロールの劣化を抑制することができ、ロール室内の
有効通板長が短く,浸炭量又は浸炭濃度分布が厳しく要
求されない場合にはロール室内を非浸炭雰囲気条件とす
ることによってロールの劣化を最小限に抑制することを
可能とする。
【図面の簡単な説明】
【図1】連続焼鈍浸炭設備で行われる熱処理工程の概念
説明図である。
【図2】図1の熱処理工程を実施化した従来の連続焼鈍
浸炭設備の一例を示す概略構成図である。
【図3】図1の熱処理工程を満足する本発明の連続浸炭
設備の一実施例を用いた連続焼鈍浸炭設備を示す概略構
成図である。
【図4】図3の連続焼鈍浸炭設備で行われる全体的なラ
イン制御のロジックを示すフローチャート図である。
【図5】金属帯表層部の炭素濃度が時間に対して平衡濃
度に達した後の拡散律速域と該平衡濃度に達する以前の
表面反応律速域との説明図である。
【図6】図3の連続焼鈍浸炭設備で行われる浸炭制御ロ
ジックの一例を示すフローチャート図である。
【図7】図6の浸炭制御ロジックにより得られたスーテ
ィング発生限界と炉内の物質収支を考慮しないで得たス
ーティング発生限界とを比較したCO−H2 特性図であ
る。
【図8】図6のロジックによって得られた浸炭量の計算
値と実測値との相関関係図である。
【図9】本発明の金属帯の連続浸炭設備を用いて、ロー
ル室内の雰囲気を制御した場合の浸炭濃度分布特性の一
例を示す説明図である。
【符号の説明】
1は予熱帯 2は加熱帯 3は均熱帯 4は浸炭帯 5は第1冷却帯 6は第2冷却帯 10はハースロール 11は非接触型シール装置 12はハースロール室 Aはストリップ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 蔵本 浩史 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 (72)発明者 諸住 順 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 浸炭炉内を浸炭雰囲気とし、その浸炭炉
    内にロールを介して連続的に通板される金属帯に対して
    ガス浸炭浸窒を行う金属帯の連続浸炭設備において、前
    記ロールを,浸炭炉とは個別の雰囲気制御を可能とした
    ロール室に分離し、このロール室内を,浸炭炉内とは異
    なる雰囲気制御可能としたことを特徴とする金属帯の連
    続浸炭設備。
  2. 【請求項2】 前記ロール室内の有効通板長が短い場合
    に,前記ロール室内を,浸炭反応が促進する要因の全く
    ない非浸炭雰囲気に制御可能としたことを特徴とする請
    求項1に記載の金属帯の連続浸炭設備。
  3. 【請求項3】 前記ロール室内を,金属帯からの脱炭が
    進行しない程度以上の微弱浸炭雰囲気に制御可能とした
    ことを特徴とする請求項1に記載の金属帯の連続浸炭設
    備。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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