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JPH04366901A - 炭素膜を有する素子 - Google Patents

炭素膜を有する素子

Info

Publication number
JPH04366901A
JPH04366901A JP3143280A JP14328091A JPH04366901A JP H04366901 A JPH04366901 A JP H04366901A JP 3143280 A JP3143280 A JP 3143280A JP 14328091 A JP14328091 A JP 14328091A JP H04366901 A JPH04366901 A JP H04366901A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
carbon film
dyn
substrate
stress
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP3143280A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasushi Taniguchi
靖 谷口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP3143280A priority Critical patent/JPH04366901A/ja
Publication of JPH04366901A publication Critical patent/JPH04366901A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は炭素膜を有する素子に関
し、例えば、水素化アモルファス炭素膜やダイヤモンド
状炭素膜等を有する多層膜がプラスチック基体上に形成
された素子に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチック等の柔らかい基体上に比較
的硬い炭素膜をコーティングして基体の保護を行った素
子が知られており、又、この素子において、炭素膜の基
体への密着性を高める為に基体上に基体側から順に柔ら
かい炭素膜と炭素膜を重ねてコーティングし多層膜とし
たものも知られている。又、炭素膜を反射防止膜(多層
膜)の構成材料に使用した光学素子も知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】これらの従来の素子は
多層膜の内部応力が大きく、この為、多層膜にクラック
が生じたり多層膜が基体から剥離するといった欠陥が生
じ易かった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、水素化アモル
ファス炭素膜とダイヤモンド状炭素膜の少なくとも一方
の炭素膜を有する多層膜が基体上に形成された素子にお
いて、前記炭素膜を、1×108dyn/cm2〜1×
1010dyn/cm2の範囲内の圧縮応力を持つもの
とすることにより、上記課題を解決するものである。
【0005】又、本発明は、水素化アモルファス炭素膜
とダイヤモンド状炭素膜の少なくとも一方の炭素膜と誘
電体膜とを積層した多層膜が基体上に形成された素子に
おいて、前記多層膜の平均応力を実質的に減少せしめる
べく、前記炭素膜1×108dyn/cm2〜1×10
10dyn/cm2の範囲内の圧縮応力を持つものとす
ることにより、上記課題を解決するものである。
【0006】本発明のある形態では、前記多層膜が前記
基体側から順に比較的柔らかい水素化アモルファス炭素
膜と硬い第2の水素化アモルファス炭素膜とを備える。
【0007】又、本発明のある形態では、前記多層膜が
前記基体側から順に比較的柔らかい第1のダイヤモンド
状炭素膜と硬い第2のダイヤモンド状炭素膜とを備える
【0008】又、本発明のある形態では、前記多層膜が
水素化アモルファス炭素膜とダイヤモンド状炭素膜の夫
々を少なくとも一層備える。
【0009】又、本発明のある形態では、前記多層膜が
干渉膜を成す。
【0010】又、本発明は、前記基体がプラスチックよ
り成るもの、前記基体が金属より成るもの、前記基体が
ガラスより成るもの、を含む。
【0011】又、本発明のある形態では、前記多層膜の
最も前記基体側の膜が金属より成る。
【0012】又、本発明のある形態では、前記誘電体膜
の少なくとも1つが1×108dyn/cm2〜1×1
010dyn/cm2の範囲内の引っ張り応力を備える
【0013】又、本発明のある形態では、前記多層膜が
前記炭素膜と前記誘電体膜の交互層を備える。
【0014】又、本発明は、前記基体がプラスチックよ
り成るもの、前記基体が金属より成るもの、前記基体が
ガラスより成るもの、を含む。又、本発明の素子は、レ
ンズ,ミラー,プリズム,グレーティング等の光学素子
を含む。
【0015】又、本発明の好ましい形態では、多層膜の
内部応力が絶対値で1×109dyn/cm2以下、程
度になるように設定される。
【0016】
【実施例】以下に示す実施例ではプラスチックの表面の
ある面に水素化アモルファスカーボン膜、あるいはダイ
ヤモンド状炭素膜を設けることにより、従来のプラスチ
ック材料の欠点を解決し、ガラスと同等以上の性能を有
するプラスチック光学素子を提供する。
【0017】例えば、プラスチックの表面に設けられた
反射防止膜、反射膜、干渉フィルタ、偏光膜等の光学薄
膜の少なくとも一層を水素化アモルファスカーボン膜あ
るいはダイヤモンド状炭素膜にする。
【0018】プラスチック光学素子表面に水素化アモル
ファスカーボン膜もしくはダイヤモンド状炭素膜を形成
する方法としては、プラズマCVD法、ECR−PCV
D法、イオンビーム蒸着法、イオンビーム・スパッタ法
がある。
【0019】図2に水素化アモルファスカーボン膜やダ
イヤモンド状炭素膜や誘電体膜を形成するECR−PC
VD装置の概略図を示す。図中1はプラスチックで例え
ばレンズ、プリズム、ファイバー、光導波路、グレーテ
ィング等の基体であり、ポリアクリル酸エステル樹脂、
ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン
樹脂、CR−39などの透明プラスチック材料から成る
。2はプラズマ生成室、3は反応室、4はガス供給系、
5はマイクロ波導波管等のマイクロ波発振器、6は排気
系、7は外部磁場発生用コイル、8は電子銃、9は膜厚
を制御する膜厚監視装置、10は蒸着材料を示す。
【0020】各種成膜方法により水素化アモルファスカ
ーボン膜やダイヤモンド状炭素膜を形成するときの原料
ガスとしては、含炭素ガスであるメタン,エタン,プロ
パン,エチレン,ベンゼン,アセチレン等の炭化水素,
四フッ化炭素,塩化メチレン,四塩化炭素,クロロホル
ム,トリクロルエタン等のハロゲン化炭化水素、二酸化
炭素、一酸化炭素などのガスが挙げられる。また、これ
らのガスにN2,H2,O2,H2O不活性ガスなどを
混入したガスを用いてもよい。
【0021】図2の装置で、その硬度がビッカース硬度
で、500kg/mm2以上の水素化アモルファスカー
ボン膜が形成ができ、成膜条件を変えることにより、図
1に示すように膜中の水素含有率(濃度)を5〜50a
tom%の範囲で変化させることができる。この水素含
有率を調整することにより水素化アモルファスカーボン
膜の硬度をビッカース硬度で500kg/mm2〜20
00kg/mm2の範囲で制御することができる。又、
この水素含有率を調整することにより水素化アモルファ
スカーボン膜の内部応力を圧縮応力で108dyn/c
m2〜1×1010dyn/cm2の範囲で制御するこ
とが可能である。また、水素含有率5〜50atom%
の範囲での水素化アモルファスカーボン膜の屈折率は1
.48〜1.60の範囲にあり、水素の濃度が高くなる
に従い膜の屈折率は低くなる。更にこの水素化アモルフ
ァスカーボン膜は、表面粗さがRMSで100Å以下と
平滑であり、かつ摩擦係数も0.2と非常に滑らかにす
ることができる。
【0022】一方、図2の装置で得られるダイヤモンド
状炭素膜は完全なダイヤモンド結晶体ではなくダイヤモ
ンド微結晶を含むアモルファスの膜であり、この炭素膜
の屈折率は1.8〜2.4である。又、この炭素膜の機
械的性質は、硬度がビッカース硬度で3000〜600
0kg/mm2、応力が109〜1011dyn/cm
2の圧縮応力を有する。
【0023】この水素化アモルファスカーボン膜(以下
「a−C:H膜」と記す。)とダイヤモンド状炭素膜(
以下「DLC膜」と記す。)をプラスチック光学素子の
基体に形成してやることにより、第一にいずれかの膜も
ガス及び水分の不透過性が高いためプラスチックの吸水
性による膨潤という問題を解決することができる。第二
に膜硬度が高いことからガラスの表面硬度と同等以上の
硬度が得られ、通常のガラス光学素子と同じように取扱
っても傷が入るということがない。第三にプラスチック
基体上に反射防止膜、反射膜、フィルター等の光学薄膜
を形成する場合、基体が非常に柔らかいこと基体の吸水
性に伴う膨潤等により、誘電体多層膜にクラックが発生
したり、膜剥離を起こしてしまう。
【0024】誘電体薄膜の応力は、一般的に引っ張り応
力のものがほとんどであり、その応力の大きさは108
〜1010dyn/cm2の範囲にある。
【0025】多層膜の平均応力は
【0026】
【外1】 で表される。ここで、Siは第i層の内部応力、tiは
第i層の幾何学的膜厚を示す。この式より、多層膜の平
均応力を小さくするためには、引張り応力を有する材料
と、圧縮応力を有する材料を適当に組み合せて多層膜を
形成すればいいことがわかる。そこで、本実施例では、
108〜1010dyn/cm2の圧縮応力を有するa
−C:H膜やDLC膜と、誘電体膜との組合せにより、
内部応力の小さい多層膜を実現させた。この結果、膜剥
離やクラック等の生じない又は生じにくい多層膜が得ら
れる。a−C:H膜、DLC膜の各々の屈折率と応力は
、光学素子が所望の光学性能を達成する構成においては
、かつ、膜全体の応力が小さくなるよう、他の誘電体膜
との関係や両者の関係において決定される。
【0027】なお、基体はプラスチックに限定されるも
のではなく、光学ガラス,金属等であってもかまわない
【0028】
【実施例】図2に示す装置内にポリアクリル酸エステル
製の基板を設置した後、排気系により1×10−6to
rrまで排気し、第1表に示す構成でPMMA基板上に
反射防止膜を成膜した。通常の誘電体は電子銃による真
空蒸着により成膜された。図6に本実施例の素子の模式
図を示す。水素化アモルファスカーボン膜はガス供給系
によりCH425sccm,H225sccmを流し、
装置内圧力を1×10−3torrとする。ここに2.
45GHzのマイクロ波を導入し、外部磁場をマイクロ
波導入位置で2000Gaussとし、反応室側に向か
い徐々に磁場強度が小さくなる磁場分布を有する発散磁
界としてECRプラズマを形成する。ECR条件を満足
する875Gaussは、ほぼプラズマ生成室と反応室
の境界とした。こうして得られた水素化アモルファスカ
ーボン膜は、その表面硬度がビッカース硬度で1000
kg/mm2、可視領域では透過率が高く吸収が400
nmで1%以下の屈折率1.54の膜である。
【0029】このようにして得られた反射防止膜の分光
特性を図3に示す。次にSiO2膜、MgF2膜、Zr
O2膜、a−C:H膜の内部応力を円板法により測定し
たところSiO2膜とa−C:H膜は圧縮応力で、それ
ぞれ1×108,5×109dyn/cm2であった。 MgF2,ZrO2は引張り応力でそれぞれ4×109
,1×109dyn/cm2であった。前述の式より、
この反射防止膜の平均応力を評価すると1.8×108
dyn/cm2の圧縮応力となり、非常に小さな応力に
することができる。このプラスチック光学素子(レンズ
)について耐摩耗性、耐候性をMIL規格に従い評価し
たところ、プラスチック光学素子の表面に傷が入ること
もなく、また吸水により膜の剥離、光学素子の変形等は
認められなかった。
【0030】
【表1】
【0031】(実施例2)図2の装置を用い、プラスチ
ック基板に電子銃を用いてAgを2000Å成膜した後
、Ag膜上に実施例1と同条件により水素化アモルファ
スカーボン膜を250Å形成した。2000ÅのAg膜
の内部応力を評価したところ4×108dyn/cm2
の引張り応力であり、この上に形成したa−C:H膜の
内部応力は2×109dyn/cm2の圧縮応力であっ
た。この結果、膜全体の平均的な応力は1.3×108
dyn/cm2の引張り応力にすることができた。この
プラスチックミラーを実施例1と同様に耐摩耗性、耐候
性等を評価したところ実施例1と同等の結果が得られた
。このプラスチックミラーの模式図を図7に示す。
【0032】(実施例3)第2表に示す構成で合成樹脂
上に反射防止膜を形成した。第4層のダイヤモンド状炭
素膜は電子銃によりグラファイトを蒸着すると同時にE
CRプラズマ源によりHプラズマを形成し基体にアシス
ト照射することにより形成した。このとき、ECRプラ
ズマ室にH2を25sccm流し、圧力を1×10−4
torrとした後、2.45GHzのマイクロ波を導入
し外部磁場により室出口を875GaussとしてEC
Rプラズマを形成した。このとき本実施例では図示しな
いが、プラズマ室出口に引出し電極を設けることにより
イオンビームを取出して用いてもよい。この条件で得ら
れる膜はいわゆるダイヤイモンド状炭素膜で、屈折率は
2.0、硬度は3000kg/mm2であった。得られ
た反射防止膜の分光特性を図4に示す。
【0033】
【表2】
【0034】なお、a−C:H膜は実施例1と同じ成膜
条件において、基板位置を実施例1の場合より空洞共振
器の出口(プラズマ吹き出し口)から、100mm多く
離す以外は、同じにして成膜した。ここで、a−C:H
膜とDLC膜の応力を単独に評価したところ、それぞれ
3×109,1×1010dyn/cm2の圧縮応力で
あった。従って膜全体の応力を3.8×108dyn/
cm2の圧縮応力にすることができた。このプラスチッ
ク光学素子(レンズ)について実施例1と同様に耐摩耗
性,耐候性を評価したところ、実施例1と同等の結果が
得られた。この素子の模式図を図8に示す。
【0035】(実施例4,5)第3表に示す構成で、2
種類のフィルターA,Bを形成した。第3表には低屈折
材料としてa−C:H膜を用いたフィルターAと高屈折
率材料として、DLC膜を用いたフィルターBと比較例
のフィルターが示してある。各フィルターA,Bのa−
C:H膜、DLC膜はそれぞれ実施例3と同条件で形成
した。また、ZrO2膜やMgF2膜は電子銃による真
空蒸着法で形成した。各膜の応力を単独に評価したとこ
ろ、ZrO2膜,MgF2膜はそれぞれ1×109dy
n/cm2,4×109dyn/cm2の引張り応力で
あり、a−C:H膜,DLC膜は、それぞれ3×109
dyn/cm2,1×1010dyn/cm2の圧縮応
力であった。これによりフィルターA,Bそれぞれの多
層膜の平均応力を求めると、6.9×108dyn/c
m2の圧縮応力、6.9×108dyn/cm2,1.
5×109dyn/cm2の引張り応力となった。比較
例1のフィルターについては成膜後、膜剥離が生じたが
、サンプルA,Bについては、膜剥離やクラック等の発
生もなく、実施例1と同様の耐摩耗性,耐候性が得られ
た。
【0036】フィルターA,Bの模式図を図9に示す。 同図において、Hで示すのが高屈折率膜、Lで示すのが
低屈折率膜である。
【0037】
【表3】 既に述べた通り、水素化アモルファスカーボン膜は水素
含有率(濃度)を変えることにより、膜の内部応力を1
08dyn/cm2〜1010dyn/cm2の圧縮応
力の範囲で変化させることができる。更に、光学的には
屈折率を1.48〜1.60の範囲で変えることができ
る。 一般に水素(濃度)含有率が高くなるにつれて屈折率は
低下する。この膜の表面粗さはRMSで100Å以下で
平滑であり、かつ摩擦係数も0.2と非常に滑らかであ
る。
【0038】この水素化アモルファスカーボン膜(以下
a−C:H膜)はガス及び水分等の不透過性が高いため
、プラスチックの吸水性による膨潤という問題が解決で
きるだけでなく、膜硬度が高く平滑であるために、耐摩
耗性が高くプラスチックでは傷が入るような取扱に対し
ても傷の発生や膜の剥離といった問題が生じない。しか
しながら、柔らかいプラスチック基板に硬度の高いa−
C:H膜を直接形成すると、硬度の高い膜は内部応力が
大きいために、基体との密着性が必ずしもかんばしくな
い場合がある。そこでa−C:H膜の水素含有率を膜厚
方向において勾配を持たせることにより、この問題を解
決することができる。すなわちプラスチック基板側を水
素含有率の高い、膜硬度か低硬度で、かつ内部応力の小
さいa−C:H膜とし、膜表面側を水素含有率の少ない
高硬度のa−C:H膜とすることにより、基板と膜との
歪みや変形を水素含有率の高いa−C:H膜で吸収・緩
和することにより、膜の機械的強度を改善することがで
きる。また多層膜の一層として水素含有率を変えること
により、屈折率の分布を意図的に変え、いわゆる不均質
膜として光学特性の改善を図ることができる。なお、基
体がプラスチックに限定されるものではなく光学ガラス
,金属等であっても同様である。
【0039】(実施例6)図2に示す装置内にポリアク
リル酸エステル製の基板を設置した後、排気系により1
×10−6torrまで排気し、次にガス供給系により
CH410sccm,H240sccmを流し、装置内
圧力を5×10−2torrとする。ここに2.45G
Hzのマイクロ波を導入し、外部磁場をマイクロ波導入
位置で1800Gaussとし、反応室側に向かい磁場
を小さくする発散磁界とする。ECR(マイクロ波電子
サイクロトロン共鳴)条件を満足する875Gauss
は、ほぼプラズマ生成室と反応室の境界とした。
【0040】基板温度は室温とし、基板にはバイアスを
印加せずに膜圧2000Åの第1のa−C:H膜を成膜
した。その後、CH410sccm、圧力を5×10−
4torr、基板バイアスを−500Vとし、総膜厚2
500Åとなるように第2のa−C:H膜成膜した。
【0041】この場合、基板上に直接成膜したa−C:
H膜は水素含有率が高いため、この上に形成されたa−
C:H膜よりも軟らかく、硬度の低いPMMA基板と硬
度の高いa−C:H膜との密着性や膜の内部応力を緩和
する働きをする。ガラス基板もしくはSi基板を用い、
円板法により膜の応力をそれぞれの成膜条件において測
定したところ、基板バイアスを印加しない第1a−C:
H膜は圧縮応力で7×108dyn/cm2であり、バ
イアスを印加して成膜した第2a−C:H膜は2×10
9dyn/cm2圧縮応力であった。又、平均応力は9
.6×108dyn/cm2であった。また、得られた
プラスチック光学素子(レンズ)を評価したところ、ビ
ッカーズ硬度が1500kg/mm2、吸水率が極めて
小さく機械的・化学的安定性に優れた性能を優していた
。この素子の模式図を図10に示す。
【0042】(実施例7)実施例6と同じ装置を用いて
PMMA基板上に実施例6と同様の第1のα−C:H膜
を形成した。その後、このα−C:H膜上にダイヤモン
ド状炭素膜を100Å成膜した。
【0043】ダイヤモンド状炭素膜は、電子銃によりグ
ラファイトを蒸着すると同様にECRプラズマ源により
水素プラズマを形成し、基体にアシスト照射することに
より形成した。このときECRプラズマ室にH2を25
sccm流し、圧力を1×10−4torrとした後、
2.45GHzのマイクロ波を導入し、外部磁場により
プラズマ室出口を875GaussとしてECR−プラ
ズマを形成した。
【0044】こうして得られたプラスチック光学素子(
レンズ)は、その表面硬度がビッカース硬度で、200
0kg/mm2以外は実施例6と同等の性能が得られた
。又、本実施例のa−C:H膜及びダイヤモンド状カー
ボン膜も1×108dyn/cm2〜1×1010dy
n/cm2の範囲内の圧縮応力を示す。a−C:H膜の
内部応力は実施例6と同様に7×109dyn/cm2
の圧縮応力であった。ダイヤモンド状炭素膜の内部応力
は7×109dyn/cm2の圧縮応力であった。この
ときの平均応力は1×109dyn/cm2である。こ
の素子の模式図を図11に示す。
【0045】(実施例8)表4の膜構成でPMMA基板
上に反射防止膜を形成した、図2に示す装置内にPMM
A基板を設置した後、排気系により1×10−6tor
rまで排気し、表4の構成で成膜した。通常の誘電体は
電子銃により真空蒸着法で形成した。a−C:H膜はガ
ス供給系によりCH425sccm,H225sccm
を流し、装置内圧力を1×10−3torrとした後、
2.45GHzのマイクロ波を導入し、外部磁場をマイ
クロ波導入位置で2000Gaussとし反応室側に向
かい徐々に磁場強度が小さくなる磁場分布を有する発散
磁界としてECRプラズマを形成した。ECR条件を満
足する875Gaussはほぼプラズマ生成室と反応室
の境界とした。このとき基板バイアス0Vで成膜を開始
し、膜厚がなくなるに従い、バイアスを大きく最終的に
は−200Vを印加した。この結果屈折率が1.54〜
1.60に変化した不均質膜を形成することができた。 こうして得た反射防止膜の反射率の分光特性を図9に示
す。また、実施例6と同時の評価により同等の結果が得
られたまた、本実施例のa−C:H膜も1×108kg
/cm2〜1×1010kg/cm2の範囲内の圧縮応
力を示す。
【0046】図12に本実施例の素子の模式図を示す。
【0047】
【表4】
【0048】本実施例の各々の膜の内部応力は実施例1
と同様にSiO2,a−C:H膜は圧縮応力でそれぞれ
1×108dyn/cm2,2×109dyn/cm2
であり、MgF2,ZrO2ma膜はそれぞれ4×10
9dyn/cm2、1×109dyn/cm2の引張り
応力を有していた。この反射防止膜の平均の応力は8.
1×108dyn/cm2の引張り能力であった。
【0049】
【発明の効果】以上、本発明に寄れば、多層膜の平均内
部応力を小さくすることがでるので、多層膜のクラック
や剥離が生じにくい、炭素膜を有する素子を提供できる
。又、本発明では多層膜の平均内部応力を1×109d
yn/cm2以下とすることにより、この効果を高めて
いる。
【図面の簡単な説明】
【図1】水素化アモルファスカーボン膜の水素含有率と
ビッカース硬さの間の関係を示す図。
【図2】成膜用のECR−PCVD装置の概略図。
【図3】本発明の第1の実施例の素子の反射防止膜の反
射率の分光特性を示す図。
【図4】本発明の第2実施例の素子の反射防止膜の反射
率の分光特性を示す図。
【図5】本発明の第1実施例の素子の模式図。
【図6】本発明の第2の実施例の素子の模式図。
【図7】本発明の第3実施例の素子の模式図。
【図8】本発明の第4,5実施例の素子の模式図。
【図9】本発明の第8実施例の素子の反射防止膜の反射
率の分光特性を示す図。
【図10】本発明の第6実施例の素子の模式図。
【図11】本発明の第7実施例の素子の模式図。
【図12】本発明の第8実施例の素子の模式図。
【符号の説明】
1  基板 2  プラズマ生成室 3  反応室 4  ガス供給室 5  マイクロ波導波管 6  排気系 7  外部磁場印加器 8  電子銃 9  光学式膜厚監視装置 10  蒸着材料 H  高屈折率層 L  低屈折率層 DLC  ダイヤモンド状炭素膜

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  水素化アモルファス炭素膜とダイヤモ
    ンド状炭素膜の少なくとも一方の炭素膜を有する多層膜
    が基体上に形成された素子において、前記炭素膜が、1
    ×108dyn/cm2〜1×1010dyn/cm2
    の範囲内の圧縮応力を備えることを特徴とする炭素膜を
    有する素子。
  2. 【請求項2】  前記多層膜が前記基体側から順に比較
    的柔らかい水素化アモルファス炭素膜と硬い第2の水素
    化アモルファス炭素膜とを備えることを特徴とする請求
    項1の炭素膜を有する素子。
  3. 【請求項3】  前記多層膜の内部応力が絶対値で1×
    109dyn/cm2以下に設定されることを特徴とす
    る請求項1の炭素膜を有する素子。
  4. 【請求項4】  前記多層膜が水素化アモルファス炭素
    膜とダイヤモンド状炭素膜の夫々を少なくとも一層備え
    ることを特徴とする請求項1の炭素膜を有する素子。
  5. 【請求項5】  前記多層膜が干渉膜を成すことを特徴
    とする請求項1の炭素膜を有する素子。
  6. 【請求項6】  前記基体がプラスチックより成ること
    を特徴とする請求項1の炭素膜を有する素子。
  7. 【請求項7】  前記基体が金属より成ることを特徴と
    する請求項1の炭素膜を有する素子。
  8. 【請求項8】  前記基体がガラスより成ることを特徴
    とする請求項1の炭素膜を有する素子。
  9. 【請求項9】  前記多層膜の最も前記基体側の膜が金
    属より成ることを特徴とする請求項1の炭素膜を有する
    素子。
  10. 【請求項10】  水素化アモルファス炭素膜とダイヤ
    モンド状炭素膜の少なくとも一方の炭素膜と誘電体膜と
    を積層した多層膜が基体上に形成された素子において、
    前記多層膜の平均応力を実質的に減少せしめるべく、前
    記炭素膜が1×108dyn/cm2〜1×1010d
    yn/cm2の範囲内に圧縮応力を備えることを特徴と
    する炭素膜を有する素子。
  11. 【請求項11】  前記基体がプラスチックより成るこ
    とを特徴とする請求項10の炭素膜を有する素子。
  12. 【請求項12】  前記多層膜の最も前記基体側の膜が
    金属より成ることを特徴とする請求項11の炭素膜を有
    する素子。
  13. 【請求項13】  前記誘電体膜が、1×108dyn
    /cm2〜1×1010dyn/cm2の範囲内の引っ
    張り応力を備えることを特徴とする請求項12の炭素膜
    を有する素子。
  14. 【請求項14】  前記多層膜が前記炭素膜と前記誘電
    体膜の交互層を備えることを特徴とする請求項13の炭
    素膜を有する素子。
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