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JP7739993B2 - 生体高分子吸着シートおよびその製造方法 - Google Patents

生体高分子吸着シートおよびその製造方法

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JP7739993B2 JP2021198710A JP2021198710A JP7739993B2 JP 7739993 B2 JP7739993 B2 JP 7739993B2 JP 2021198710 A JP2021198710 A JP 2021198710A JP 2021198710 A JP2021198710 A JP 2021198710A JP 7739993 B2 JP7739993 B2 JP 7739993B2
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Description

本発明は、生体高分子吸着シートおよびその製造方法に関する。
従来、繊維幅が1000nm以下の微細繊維状セルロースを含有するシートの表面に種々の凹凸形状を設けることで、機能性を付与することが行われている。
特許文献1には、生産性が高く、防眩性に優れた光学フィルムを提供することを目的として、透明フィルムと、この透明フィルムの上に形成されたハードコート層とを含む光学フィルムであって、前記ハードコート層が、硬化性樹脂前駆体およびナノファイバーを含む硬化性組成物の硬化物で形成され、かつ前記ハードコート層の表面に、凹凸の平均間隔Sm5~40μmおよび十点平均粗さRz0.8~2.5μmの凹凸構造が形成されている光学フィルムが記載されている。
特開2014-006448号公報
特許文献1に記載された光学フィルムは、硬化工程を伴うため、製造上の問題がある。また、得られるフィルムは硬度が高く、生体高分子に対する親和性が低いと考えられる。
本発明の目的は、高い透明性を有し、生体高分子に対する吸着性を有する生体高分子吸着用シートおよび該生体高分子吸着用シートの製造方法を提供することである。
本発明者等は、微細繊維状セルロースと、特定の親水性高分子とを含有し、親水性高分子の量が微細繊維状セルロースに対して特定量であるシートにより、上記の課題が解決されることを見出した。
本発明は、以下の<1>~<24>に関する。
<1> 繊維幅が1000nm以下の微細繊維状セルロースと、親水性高分子とを含有するシートであり、前記微細繊維状セルロース100質量部に対し、前記親水性高分子を10質量部以上400質量部以下含む、生体高分子吸着用シート。
<2> 前記親水性高分子が、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、およびセルロース誘導体よりなる群から選択される少なくとも1つであり、<1>に記載の生体高分子吸着用シート。
<3> セルロース誘導体が、セルロースエーテルである、<2>に記載の生体高分子吸着用シート。
<4> セルロースエーテルが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、メチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロースよりなる群から選択されるすくなくとも1つである、<3>に記載の生体高分子吸着用シート。
<5> ヘーズが80%以下である、<1>~<4>のいずれか1つに記載の生体高分子吸着用シート。
<6> 全光線透過率が85%以上である、<1>~<5>のいずれか1つに記載の生体高分子吸着用シート。
<7> 前記シートの生体高分子吸着面の算術平均粗さRaが700nm以下である、<1>~<6>のいずれか1つに記載の生体高分子吸着用シート。
<8> 前記シートが、少なくとも生体高分子吸着面に凹凸形状を有する、<1>~<7>のいずれか1つに記載の生体高分子吸着用シート。
<9> 前記凹凸形状の平均間隔Smが10nm以上60μm以下である、<8>に記載の生体高分子吸着用シート。
<10> 前記凹凸形状が点在されている、<8>または<9>に記載の生体高分子吸着用シート。
<11> 前記凹凸形状が、平均間隔Smが100nm以上500nm以下の微細構造の凹凸形状の転写により形成される、<8>~<10>のいずれか1つに記載の生体高分子吸着用シート。
<12> 前記親水性高分子がポリエチレンオキシドである、<1>~<11>のいずれか1つに記載の生体高分子吸着用シート。
<13> 前記シートの厚みが5μm以上300μm以下である、<1>~<12>のいずれか1つに記載の生体高分子吸着用シート。
<14> 前記シートの固形分中の前記微細繊維状セルロースおよび前記親水性高分子の合計含有量が80質量%以上である、<1>~<13>のいずれか1つに記載の生体高分子吸着用シート。
<15> 前記生体高分子がタンパク質である、<1>~<14>のいずれか1つに記載の生体高分子吸着用シート。
<16> 前記生体高分子が多糖類である、<1>~<14>のいずれか1つに記載の生体高分子吸着用シート。
<17> 繊維幅が1000nm以下の微細繊維状セルロースと、親水性高分子とを含有する生体高分子吸着用シートの製造方法であって、前記微細繊維状セルロース100質量部に対し、前記親水性高分子を10質量部以上400質量部以下含み、下記工程1および工程2をこの順で有する、生体高分子吸着用シートの製造方法。
工程1:微細繊維状セルロースおよび親水性高分子を含有する液状のシート原料を、凹凸を有しない基材上に塗工する工程
工程2:シート原料を乾燥させて、生体高分子吸着用シートを得る工程
<18> 繊維幅が1000nm以下の微細繊維状セルロースと、親水性高分子とを含有する生体高分子吸着用シートの製造方法であって、前記微細繊維状セルロース100質量部に対し、前記親水性高分子を10質量部以上400質量部以下含み、下記工程A1および工程A2をこの順で有する、生体高分子吸着用シートの製造方法。
工程A1:凹凸を有する基材上に、繊維幅1000nm以下の微細繊維状セルロースおよび親水性高分子を含有する液状のシート原料を塗工する工程
工程A2:この状態でシート原料を乾燥させて凹凸を転写したシートを得る工程
<19> 繊維幅が1000nm以下の微細繊維状セルロースと、親水性高分子とを含有する生体高分子吸着用シートの製造方法であって、前記微細繊維状セルロース100質量部に対し、前記親水性高分子を10質量部以上400質量部以下含み、下記工程B1および工程B2をこの順で有する、生体高分子吸着用シートの製造方法。
工程B1:凹凸を有する基材上に、繊維幅1000nm以下の微細繊維状セルロースおよび親水性高分子を含有するシートを載置して、積層体を得る工程
工程B2:積層体を加熱下でプレスし、凹凸を転写する工程
<20> 繊維幅が1000nm以下の微細繊維状セルロースと、親水性高分子とを含有する生体高分子吸着用シートの製造方法であって、前記微細繊維状セルロース100質量部に対し、前記親水性高分子を10質量部以上400質量部以下含み、下記工程C1~工程C3をこの順で有する、生体高分子吸着用シートの製造方法。
工程C1:凹凸を有する基材上に、湿潤状態とした繊維幅1000nm以下の微細繊維状セルロースおよび親水性高分子を含有するシートを載置して、積層体を得る工程
工程C2:積層体を加圧して、シートを基材に密着させる工程
工程C3:シートを基材に密着させた状態で乾燥させて凹凸を転写したシートを得る工程
<21> 前記凹凸を有する基材の表面に離型層を有する、<18>~<20>のいずれか1つに記載のシートの製造方法。
<22> 繊維幅が1000nm以下の微細繊維状セルロースと、親水性高分子とを含有するシートであり、前記親水性高分子が、ポリアルキレンオキシドであり、前記微細繊維状セルロース100質量部に対し、前記親水性高分子を20質量部を超えて含有し、前記親水性高分子の粘度平均分子量が50万を超える、シート。
<23> 繊維幅が1000nm以下の微細繊維状セルロースと、親水性高分子とを含有するシートであり、前記親水性高分子がセルロースエーテルであり、前記微細繊維状セルロースに対し、前記親水性高分子を10質量部を超えて含有する、シート。
<24> 置換基導入量が0.5mmol/g未満であり、かつ平均繊維幅が2nm以上10nm以下の微細繊維状セルロースと、親水性高分子とを含有する、シート。
本発明によれば、高い透明性を有し、生体高分子に対する吸着性を有する生体高分子吸着用シートおよび該生体高分子吸着用シートの製造方法を提供することができる。
図1は、リンオキソ酸基を有する微細繊維状セルロース含有スラリーに対するNaOH滴下量とpHの関係を示すグラフである。 図2は、カルボキシ基を有する微細繊維状セルロース含有スラリーに対するNaOH滴下量とpHの関係を示すグラフである。 図3は、ナノバックリングシートの一例を示す断面斜視図である。 図4は、ナノドットアレイの一例を示す断面斜視図である。 図5は、ナノドットアレイの他の一例を示す断面斜視図である。
[生体高分子吸着用シート]
本発明の生体高分子吸着用シート(以下、単に「シート」ともいう)は、繊維幅が1000nm以下の微細繊維状セルロース(以下、単に「微細繊維状セルロース」ともいう)と、親水性高分子とを含有するシートであり、前記微細繊維状セルロース100質量部に対し、前記親水性高分子を10質量部以上400質量部以下含む。本発明によれば、高い透明性を有し、生体高分子に対する吸着性を有する生体高分子吸着用シートが提供される。前記の効果が得られる詳細な機構は不明であるが、一部は以下のように考えられる。
セルロースは、プラスチック等の合成樹脂材料とは異なり、生体親和性が高く、また、環境負荷が少ないため、該材料に機能性を付与し、生化学用途、医療用途等に使用することが検討されている。微細繊維状セルロースは、セルロースを繊維幅が1000nm以下であるナノレベルにまで解繊した繊維であり、微細繊維状セルロースから構成されるシートは透明性が高く、透明性が要求される多様な用途に使用されている。一方で、一般に得られる微細繊維状セルロースから構成されるシートは、平滑であり、化学変性等を行わない限り、物質との吸着効率が低いという課題があった。
本発明では、親水性高分子を特定量含有するシートとすることにより、透明性を維持しつつ、生体高分子との吸着が向上することを見出したものである。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
<微細繊維状セルロース>
本発明のシートは、微細繊維状セルロースを含有する。
微細繊維状セルロースは、繊維幅が1,000nm以下である繊維状セルロースである。なお、繊維状セルロースの繊維幅は、たとえば電子顕微鏡観察などにより測定することが可能である。
微細繊維状セルロースの繊維幅は、1,000nm以下である。微細繊維状セルロースの繊維幅は、たとえば2nm以上1,000nm以下であることが好ましく、2nm以上100nm以下であることがより好ましく、2nm以上50nm以下であることがさらに好ましく、2nm以上10nm以下であることがとくに好ましい。微細繊維状セルロースの繊維幅を2nm以上とすることにより、セルロース分子として水に溶解することを抑制し、微細繊維状セルロースによる強度や剛性、寸法安定性の向上という効果をより発現しやすくすることができる。
微細繊維状セルロースの平均繊維幅は、たとえば1,000nm以下である。微細繊維状セルロースの平均繊維幅は、2nm以上1,000nm以下であることが好ましく、2nm以上100nm以下であることがより好ましく、2nm以上50nm以下であることがさらに好ましく、2nm以上10nm以下であることがとくに好ましい。微細繊維状セルロースの平均繊維幅を2nm以上とすることにより、セルロース分子として水に溶解することを抑制し、微細繊維状セルロースによる強度や剛性、寸法安定性の向上という効果をより発現しやすくすることができる。なお、微細繊維状セルロースは、たとえば単繊維状のセルロースである。
微細繊維状セルロースの平均繊維幅は、たとえば電子顕微鏡を用いて以下のようにして測定される。まず、濃度0.05質量%以上0.1質量%以下の繊維状セルロースの水系懸濁液を調製し、この懸濁液を親水化処理したカーボン膜被覆グリッド上にキャストしてTEM観察用試料とする。幅の広い繊維を含む場合には、ガラス上にキャストした表面のSEM像を観察してもよい。次いで、観察対象となる繊維の幅に応じて1,000倍、5,000倍、10,000倍あるいは50,000倍のいずれかの倍率で電子顕微鏡画像による観察を行う。ただし、試料、観察条件や倍率は下記の条件を満たすように調整する。
(1)観察画像内の任意箇所に一本の直線Xを引き、該直線Xに対し、20本以上の繊維が交差する。
(2)同じ画像内で該直線と垂直に交差する直線Yを引き、該直線Yに対し、20本以上の繊維が交差する。
上記条件を満足する観察画像に対し、直線X、直線Yと交差する繊維の幅を目視で読み取る。このようにして、少なくとも互いに重なっていない表面部分の観察画像を3組以上得る。次いで、各画像に対して、直線X、直線Yと交差する繊維の幅を読み取る。これにより、少なくとも20本×2×3=120本の繊維幅を読み取る。そして、読み取った繊維幅の平均値を、繊維状セルロースの平均繊維幅とする。
微細繊維状セルロースの繊維長は、とくに限定されないが、たとえば0.1μm以上1,000μm以下であることが好ましく、0.1μm以上800μm以下であることがより好ましく、0.1μm以上600μm以下であることがさらに好ましい。繊維長を上記範囲内とすることにより、微細繊維状セルロースの結晶領域の破壊を抑制できる。また、微細繊維状セルロースのスラリー粘度を適切な範囲とすることも可能となる。なお、微細繊維状セルロースの繊維長は、たとえばTEM、SEM、AFMによる画像解析より求めることができる。
微細繊維状セルロースはI型結晶構造を有していることが好ましい。ここで、微細繊維状セルロースがI型結晶構造を有することは、グラファイトで単色化したCuKα(λ=1.5418Å)を用いた広角X線回折写真より得られる回折プロファイルにおいて同定できる。具体的には、2θ=14°以上17°以下付近と2θ=22°以上23°以下付近の2箇所の位置に典型的なピークをもつことから同定することができる。
微細繊維状セルロースに占めるI型結晶構造の割合は、たとえば30%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましく、50%以上であることがさらに好ましい。これにより、耐熱性と低線熱膨張率発現の点でさらに優れた性能が期待できる。結晶化度については、X線回折プロファイルを測定し、そのパターンから常法により求められる(Seagalら、Textile Research Journal、29巻、786ページ、1959年)。
微細繊維状セルロースの軸比(繊維長/繊維幅)は、とくに限定されないが、たとえば20以上10,000以下であることが好ましく、50以上1,000以下であることがより好ましい。軸比を上記下限値以上とすることにより、微細繊維状セルロースを含有するシートを形成しやすい。また、溶媒分散体を作製した際に十分な増粘性が得られやすい。軸比を上記上限値以下とすることにより、たとえば微細繊維状セルロースを水分散液として扱う際に、希釈等のハンドリングがしやすくなる点で好ましい。
本実施形態における微細繊維状セルロースは、たとえばイオン性基および非イオン性基のうちの少なくとも1種を有することが好ましい。分散媒中における繊維の分散性を向上させ、解繊処理における解繊効率を高める観点からは、微細繊維状セルロースがイオン性基を有することがより好ましい。イオン性基としては、たとえばアニオン性基およびカチオン性基のいずれか一方または双方を含むことができる。また、非イオン性基としては、たとえばアルキル基およびアシル基などを含むことができる。本実施形態においては、イオン性基としてアニオン性基を有することがとくに好ましい。なお、少なくとも解繊処理の際にイオン性基、好ましくはアニオン性基を有していることが好ましく、解繊処理の後に該イオン性基を除去してもよい。
また、微細繊維状セルロースには、イオン性基を導入する処理が行われていなくてもよい。
イオン性基としてのアニオン性基としては、たとえばリンオキソ酸基またはリンオキソ酸基に由来する置換基(単にリンオキソ酸基ということもある)、カルボキシ基またはカルボキシ基に由来する置換基(単にカルボキシ基ということもある)、硫黄オキソ酸基または硫黄オキソ酸基に由来する置換基(単に硫黄オキソ酸基ということもある)、ザンテート基、ホスホン基、ホスフィン基、スルホン基、カルボキシアルキル基等を挙げることができる。中でも、アニオン性基は、リンオキソ酸基、リンオキソ酸基に由来する置換基、カルボキシ基、硫黄オキソ酸基、硫黄オキソ酸基に由来する置換基、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、スルホン基よりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、リンオキソ酸基、リンオキソ酸基に由来する置換基、カルボキシ基、硫黄オキソ酸基、および硫黄オキソ酸基に由来する置換基よりなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましく、リンオキソ酸基であることがとくに好ましい。アニオン性基としてリンオキソ酸基を導入することにより、たとえば、アルカリ性条件下や酸性条件下においても、繊維状セルロースの分散性をより高めることができ、結果として高強度かつ高透明なシートが得られやすくなる。
イオン性基としてのカチオン性基としては、たとえばアンモニウム基、ホスホニウム基、スルホニウム基等を挙げることができる。中でもカチオン性基はアンモニウム基であることが好ましい。
リンオキソ酸基またはリンオキソ酸基に由来する置換基は、たとえば下記式(1)で表される置換基である。各繊維状セルロースには、下記式(1)で表される置換基が複数種導入されていてもよい。この場合、複数導入される下記式(1)で表される置換基はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
式(1)中、a、bおよびnは自然数であり、mは任意の数である(ただし、a=b×mである)。n個あるαおよびα’のうち少なくとも1つはOであり、残りはRまたはORである。なお、各αおよびα’の全てがOであっても構わない。n個あるαは全て同じでも、それぞれ異なっていてもよい。βb+は有機物または無機物からなる1価以上の陽イオンである。
Rは、各々、水素原子、飽和-直鎖状炭化水素基、飽和-分岐鎖状炭化水素基、飽和-環状炭化水素基、不飽和-直鎖状炭化水素基、不飽和-分岐鎖状炭化水素基、不飽和-環状炭化水素基、芳香族基、またはこれらの誘導基である。また、式(1)においては、nは1であることが好ましい。
飽和-直鎖状炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、またはn-ブチル基等が挙げられるが、とくに限定されない。飽和-分岐鎖状炭化水素基としては、i-プロピル基、またはt-ブチル基等が挙げられるが、とくに限定されない。飽和-環状炭化水素基としては、シクロペンチル基、またはシクロヘキシル基等が挙げられるが、とくに限定されない。不飽和-直鎖状炭化水素基としては、ビニル基、またはアリル基等が挙げられるが、とくに限定されない。不飽和-分岐鎖状炭化水素基としては、i-プロペニル基、または3-ブテニル基等が挙げられるが、とくに限定されない。不飽和-環状炭化水素基としては、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられるが、とくに限定されない。芳香族基としては、フェニル基、またはナフチル基等が挙げられるが、とくに限定されない。
また、Rにおける誘導基としては、上記各種炭化水素基の主鎖または側鎖に対し、カルボキシ基、カルボキシレート基(-COO-)、ヒドロキシ基、アミノ基およびアンモニウム基などの官能基から選択される少なくとも1種類が付加または置換した状態の官能基が挙げられるが、とくに限定されない。また、Rの主鎖を構成する炭素原子数はとくに限定されないが、20以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましい。Rの主鎖を構成する炭素原子数を上記範囲とすることにより、リンオキソ酸基の分子量を適切な範囲とすることができ、繊維原料への浸透を容易にし、微細セルロース繊維の収率を高めることもできる。なお、式(1)中にRが複数個存在する場合や繊維状セルロースに上記式(1)で表される複数種の置換基が導入される場合には、複数存在するRはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
βb+は有機物または無機物からなる1価以上の陽イオンである。有機物からなる1価以上の陽イオンとしては、有機オニウムイオンを挙げることができる。有機オニウムイオンとしては、たとえば、有機アンモニウムイオンや有機ホスホニウムイオンを挙げることができる。有機アンモニウムイオンとしては、たとえば、脂肪族アンモニウムイオンや芳香族アンモニウムイオンを挙げることができ、有機ホスホニウムイオンとしては、たとえば、脂肪族ホスホニウムイオンや芳香族ホスホニウムイオンを挙げることができる。無機物からなる1価以上の陽イオンとしては、ナトリウム、カリウム、もしくはリチウム等のアルカリ金属のイオンや、カルシウム、もしくはマグネシウム等の2価金属のイオン、水素イオン、アンモニウムイオン等が挙げられる。なお、式(1)中にβb+が複数個存在する場合や繊維状セルロースに上記式(1)で表される複数種の置換基が導入される場合には、複数存在するβb+はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。有機物または無機物からなる1価以上の陽イオンとしては、βb+を含む繊維原料を加熱した際に黄変しにくく、また工業的に利用し易いナトリウム、またはカリウムのイオンが好ましいが、とくに限定されない。
リンオキソ酸基またはリンオキソ酸基に由来する置換基としては、より具体的には、リン酸基(-PO)、リン酸基の塩、亜リン酸基(ホスホン酸基)(-PO)、亜リン酸基(ホスホン酸基)の塩が挙げられる。また、リンオキソ酸基またはリンオキソ酸基に由来する置換基は、リン酸基が縮合した基(たとえば、ピロリン酸基)、ホスホン酸が縮合した基(たとえば、ポリホスホン酸基)、リン酸エステル基(たとえば、モノメチルリン酸基、ポリオキシエチレンアルキルリン酸基)、アルキルホスホン酸基(たとえば、メチルホスホン酸基)などであってもよい。
また、硫黄オキソ酸基(硫黄オキソ酸基または硫黄オキソ酸基に由来する置換基)は、たとえば下記式(2)で表される置換基である。各繊維状セルロースには、下記式(2)で表される置換基が複数種導入されていてもよい。この場合、複数導入される下記式(2)で表される置換基はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
上記構造式中、bおよびnは自然数であり、pは0または1であり、mは任意の数である(ただし、1=b×mである)。なお、nが2以上である場合、複数あるpは同一の数であってもよく、異なる数であってもよい。上記構造式中、βb+は有機物または無機物からなる1価以上の陽イオンである。有機物からなる1価以上の陽イオンとしては、有機オニウムイオンを挙げることができる。有機オニウムイオンとしては、たとえば、有機アンモニウムイオンや有機ホスホニウムイオンを挙げることができる。有機アンモニウムイオンとしては、たとえば、脂肪族アンモニウムイオンや芳香族アンモニウムイオンを挙げることができ、有機ホスホニウムイオンとしては、たとえば、脂肪族ホスホニウムイオンや芳香族ホスホニウムイオンを挙げることができる。無機物からなる1価以上の陽イオンとしては、ナトリウム、カリウム、もしくはリチウム等のアルカリ金属のイオンや、カルシウム、もしくはマグネシウム等の2価金属のイオン、水素イオン、アンモニウムイオン等が挙げられる。なお、繊維状セルロースに上記式(2)で表される複数種の置換基が導入される場合には、複数存在するβb+はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。有機物または無機物からなる1価以上の陽イオンとしては、βb+を含む繊維原料を加熱した際に黄変しにくく、また工業的に利用し易いナトリウム、またはカリウムのイオンが好ましいが、とくに限定されない。
微細繊維状セルロースに対するイオン性基の導入量は、たとえば微細繊維状セルロース1g(質量)あたり0.10mmol/g以上であることが好ましく、0.20mmol/g以上であることがより好ましく、0.50mmol/g以上であることがさらに好ましく、1.00mmol/g以上であることがとくに好ましい。また、微細繊維状セルロースに対するイオン性基の導入量は、たとえば繊維状セルロース1g(質量)あたり5.20mmol/g以下であることが好ましく、3.65mmol/g以下であることがより好ましく、3.50mmol/g以下であることがさらに好ましく、3.00mmol/g以下であることがよりさらに好ましい。イオン性基の導入量を上記範囲内とすることにより、繊維原料の微細化を容易とすることができ、微細繊維状セルロースの安定性を高めることが可能となる。また、イオン性基の導入量を上記範囲内とすることにより、微細繊維状セルロースの増粘剤などの種々用途において良好な特性を発揮することができる。
ここで、単位mmol/gにおける分母は、イオン性基の対イオンが水素イオン(H)であるときの微細繊維状セルロースの質量を示す。
繊維状セルロースに対するイオン性基の導入量は、たとえば中和滴定法により測定することができる。中和滴定法による測定では、得られた繊維状セルロースを含有するスラリーに、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリを加えながらpHの変化を求めることにより、導入量を測定する。
図1は、リンオキソ酸基を有する繊維状セルロースに対するNaOH滴下量とpHの関係を示すグラフである。
図1は、リンオキソ酸基を有する繊維状セルロース含有スラリーに対するNaOH滴下量とpHの関係を示すグラフである。繊維状セルロースに対するリンオキソ酸基の導入量は、たとえば次のように測定される。
まず、繊維状セルロースを含有するスラリーを強酸性イオン交換樹脂で処理する。なお、必要に応じて、強酸性イオン交換樹脂による処理の前に、後述の解繊処理工程と同様の解繊処理を測定対象に対して実施してもよい。
次いで、水酸化ナトリウム水溶液を加えながらpHの変化を観察し、図1の上側部に示すような滴定曲線を得る。図1の上側部に示した滴定曲線では、アルカリを加えた量に対して測定したpHをプロットしており、図1の下側部に示した滴定曲線では、アルカリを加えた量に対するpHの増分(微分値)(1/mmol)をプロットしている。この中和滴定では、アルカリを加えた量に対して測定したpHをプロットした曲線において、増分(pHのアルカリ滴下量に対する微分値)が極大となる点が二つ確認される。これらのうち、アルカリを加えはじめて先に得られる増分の極大点を第1終点と呼び、次に得られる増分の極大点を第2終点と呼ぶ。滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量が、滴定に使用したスラリー中に含まれる繊維状セルロースの第1解離酸量と等しくなり、第1終点から第2終点までに必要としたアルカリ量が滴定に使用したスラリー中に含まれる繊維状セルロースの第2解離酸量と等しくなり、滴定開始から第2終点までに必要としたアルカリ量が滴定に使用したスラリー中に含まれる繊維状セルロースの総解離酸量と等しくなる。そして、滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量を滴定対象スラリー中の固形分(g)で除して得られる値が、リンオキソ酸基導入量(mmol/g)となる。なお、単にリンオキソ酸基導入量(またはリンオキソ酸基量)と言った場合は、第1解離酸量のことを表す。
なお、図1において、滴定開始から第1終点までの領域を第1領域と呼び、第1終点から第2終点までの領域を第2領域と呼ぶ。たとえば、リンオキソ酸基がリン酸基の場合であって、このリン酸基が縮合を起こす場合、見かけ上、リンオキソ酸基における弱酸性基量(本明細書では第2解離酸量ともいう)が低下し、第1領域に必要としたアルカリ量と比較して第2領域に必要としたアルカリ量が少なくなる。一方、リンオキソ酸基における強酸性基量(本明細書では第1解離酸量ともいう)は、縮合の有無に関わらずリン原子の量と一致する。また、リンオキソ酸基が亜リン酸基の場合は、リンオキソ酸基に弱酸性基が存在しなくなるため、第2領域に必要としたアルカリ量が少なくなるか、第2領域に必要としたアルカリ量はゼロとなる場合もある。この場合、滴定曲線において、pHの増分が極大となる点は一つとなる。
なお、上述のリンオキソ酸基導入量(mmol/g)は、分母が酸型の繊維状セルロースの質量を示すことから、酸型の繊維状セルロースが有するリンオキソ酸基量(以降、リンオキソ酸基量(酸型)と呼ぶ)を示している。一方で、リンオキソ酸基の対イオンが電荷当量となるように任意の陽イオンCに置換されている場合は、分母を当該陽イオンCが対イオンであるときの繊維状セルロースの質量に変換することで、陽イオンCが対イオンである繊維状セルロースが有するリンオキソ酸基量(以降、リンオキソ酸基量(C型))を求めることができる。
すなわち、下記計算式によって算出する。
リンオキソ酸基量(C型)=リンオキソ酸基量(酸型)/{1+(W-1)×A/1000}
A[mmol/g]:繊維状セルロースが有するリンオキソ酸基由来の総アニオン量(リンオキソ酸基の強酸性基量と弱酸性基量を足した値)
W:陽イオンCの1価あたりの式量(たとえば、Naは23、Alは9)
図2は、カルボキシ基を有する繊維状セルロースに対するNaOH滴下量とpHの関係を示すグラフである。
繊維状セルロースに対するカルボキシ基の導入量は、たとえば次のように測定される。
まず、繊維状セルロースを含有するスラリーを強酸性イオン交換樹脂で処理する。なお、必要に応じて、強酸性イオン交換樹脂による処理の前に、後述の解繊処理工程と同様の解繊処理を測定対象に対して実施してもよい。次いで、水酸化ナトリウム水溶液を加えながらpHの変化を観察し、図2に示すような滴定曲線を得る。なお、必要に応じて、後述の解繊処理工程と同様の解繊処理を測定対象に対して実施してもよい。
図2に示されるように、この中和滴定では、アルカリを加えた量に対して測定したpHをプロットした曲線において、増分(pHのアルカリ滴下量に対する微分値)が極大となる点が一つ観測される。この増分の極大点を第1終点と呼ぶ。ここで、図2における滴定開始から第1終点までの領域を第1領域と呼ぶ。第1領域で必要としたアルカリ量が、滴定に使用したスラリー中のカルボキシ基量と等しくなる。そして、滴定曲線の第1領域で必要としたアルカリ量(mmol)を、滴定対象の微細繊維状セルロース含有スラリー中の固形分(g)で除すことで、カルボキシ基の導入量(mmol/g)を算出した。
なお、上述のカルボキシ基導入量(mmol/g)は、カルボキシ基の対イオンが水素イオン(H)であるときの繊維状セルロースの質量1gあたりの置換基量(以降、カルボキシ基量(酸型)と呼ぶ)を示している。
なお、上述のカルボキシ基導入量(mmol/g)は、分母が酸型の繊維状セルロースの質量であることから、酸型の繊維状セルロースが有するカルボキシ基量(以降、カルボキシ基量(酸型)と呼ぶ)を示している。一方で、カルボキシ基の対イオンが電荷当量となるように任意の陽イオンCに置換されている場合は、分母を当該陽イオンCが対イオンであるときの繊維状セルロースの質量に変換することで、陽イオンCが対イオンである繊維状セルロースが有するカルボキシ基量(以降、カルボキシ基量(C型))(mmol/g)を求めることができる。
すなわち、下記計算式によって算出する。
カルボキシ基量(C型)=カルボキシ基量(酸型)/{1+(W-1)×(カルボキシ基量(酸型))/1000}
W:陽イオンCの1価あたりの式量(たとえば、Naは23、Alは9)
また、微細繊維状セルロースに対する硫黄オキソ酸基・スルホン基の導入量は、得られた繊維状セルロースを過塩素酸と濃硝酸を用いて湿式灰化した後に、適当な倍率で希釈してICP発光分析により硫黄量を測定する。
この硫黄量を、供試した繊維状セルロースの絶乾質量で除した値を硫黄オキソ酸基量・スルホン酸基量(単位:mmol/g)とする。
なお、滴定法による置換基量の測定においては、水酸化ナトリウム水溶液1滴の滴下量が多すぎる場合や、滴定間隔が短すぎる場合、本来より低い置換基量となるなど正確な値が得られないことがある。適切な滴下量、滴定間隔としては、たとえば、0.1N水酸化ナトリウム水溶液を5~30秒間に10~50μLずつ滴定するなどが望ましい。また、繊維状セルロース含有スラリーに溶解した二酸化炭素の影響を排除するため、たとえば、滴定開始の15分前から滴定終了まで、窒素ガスなどの不活性ガスをスラリーに吹き込みながら測定するなどが望ましい。
上述の方法によるイオン性基量の測定は、繊維幅が1,000nm以下の微細繊維状セルロースに適用され、繊維幅が1,000nmを超えるパルプ繊維のイオン性基の量を測定する場合には、パルプ繊維を微細化してから測定する。
本発明において、上述したように、微細繊維状セルロースは、上述したイオン性基を導入して解繊した微細繊維状セルロースから、少なくとも一部のイオン性基を除去したものであってもよい。なお、イオン性基の除去は完全に行われていなくてもよく、たとえば、イオン性基量が0.5mmol/g未満となるようにイオン性基を除去することが好ましい。
この場合、解繊した微細繊維状セルロースからイオン性基を除去した後に、均一分散処理を行って、微細繊維状セルロース分散液を得ることが好ましい。イオン性基を除去することにより、水に浸漬した後の形状保持性(耐水性)に優れるシートが得られるので好ましい。
〔微細繊維状セルロースの製造方法〕
(セルロースを含む繊維原料)
微細繊維状セルロースは、セルロースを含む繊維原料から製造される。
セルロースを含む繊維原料としては、とくに限定されないが、入手しやすく安価である点からパルプを用いることが好ましい。パルプとしては、たとえば木材パルプ、非木材パルプ、および脱墨パルプが挙げられる。木材パルプとしては、とくに限定されないが、たとえば広葉樹クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹クラフトパルプ(NBKP)、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)、ソーダパルプ(AP)、未晒しクラフトパルプ(UKP)および酸素漂白クラフトパルプ(OKP)等の化学パルプ、セミケミカルパルプ(SCP)およびケミグラウンドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ、砕木パルプ(GP)およびサーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)等の機械パルプ等が挙げられる。非木材パルプとしては、とくに限定されないが、たとえばコットンリンターおよびコットンリント等の綿系パルプ、麻、麦わら、竹、およびバガス等の非木材系パルプが挙げられる。脱墨パルプとしては、とくに限定されないが、たとえば古紙を原料とする脱墨パルプが挙げられる。本実施態様のパルプは上記の1種を単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
上記パルプの中でも、入手のしやすさという観点からは、たとえば木材パルプおよび脱墨パルプが好ましい。また、木材パルプの中でも、セルロース比率が大きく解繊処理時の微細繊維状セルロースの収率が高い観点や、パルプ中のセルロースの分解が小さく軸比の大きい長繊維の微細繊維状セルロースが得られる観点から、たとえば化学パルプがより好ましく、クラフトパルプ、サルファイトパルプがさらに好ましい。なお、軸比の大きい長繊維の微細繊維状セルロースを用いると粘度が高くなる傾向がある。
セルロースを含む繊維原料としては、たとえばホヤ類に含まれるセルロースや、酢酸菌が生成するバクテリアセルロースを利用することもできる。
また、セルロースを含む繊維原料に代えて、キチン、キトサンなどの直鎖型の含窒素多糖高分子が形成する繊維を用いることもできる。
上述のようなイオン性基を導入した微細繊維状セルロースを得るためには、上述したセルロースを含む繊維原料にイオン性基を導入するイオン性基導入工程、洗浄工程、アルカリ処理工程(中和工程)、解繊処理工程をこの順で有することが好ましく、洗浄工程の代わりに、または洗浄工程に加えて、酸処理工程を有していてもよい。イオン性基導入工程としては、リンオキソ酸基導入工程、カルボキシ基導入工程、および硫黄オキソ酸基導入工程が例示される。以下、それぞれについて説明する。
(イオン性基導入工程)
-リンオキソ酸基導入工程-
リンオキソ酸基導入工程は、セルロースを含む繊維原料が有する水酸基と反応することで、リンオキソ酸基を導入できる化合物から選択される少なくとも1種の化合物(以下、「化合物A」ともいう)を、セルロースを含む繊維原料に作用させる工程である。この工程により、リンオキソ酸基導入繊維が得られることとなる。
本実施形態に係るリン酸基導入工程では、セルロースを含む繊維原料と化合物Aの反応を、尿素およびその誘導体から選択される少なくとも1種(以下、「化合物B」ともいう)の存在下で行ってもよい。一方で、化合物Bが存在しない状態において、セルロースを含む繊維原料と化合物Aの反応を行ってもよい。
化合物Aを化合物Bとの共存下で繊維原料に作用させる方法の一例としては、乾燥状態または湿潤状態またはスラリー状の繊維原料に対して、化合物Aと化合物Bを混合する方法が挙げられる。これらのうち、反応の均一性が高いことから、乾燥状態または湿潤状態の繊維原料を用いることが好ましく、とくに乾燥状態の繊維原料を用いることが好ましい。繊維原料の形態は、とくに限定されないが、たとえば綿状や薄いシート状であることが好ましい。化合物Aおよび化合物Bは、それぞれ粉末状または溶媒に溶解させた溶液状または融点以上まで加熱して溶融させた状態で繊維原料に添加する方法が挙げられる。これらのうち、反応の均一性が高いことから、溶媒に溶解させた溶液状、とくに水溶液の状態で添加することが好ましい。また、化合物Aと化合物Bは繊維原料に対して同時に添加してもよく、別々に添加してもよく、混合物として添加してもよい。化合物Aと化合物Bの添加方法としては、とくに限定されないが、化合物Aと化合物Bが溶液状の場合は、繊維原料を溶液内に浸漬し吸液させたのちに取り出してもよいし、繊維原料に溶液を滴下してもよい。また、必要量の化合物Aと化合物Bを繊維原料に添加してもよいし、過剰量の化合物Aと化合物Bをそれぞれ繊維原料に添加した後に、圧搾や濾過によって余剰の化合物Aと化合物Bを除去してもよい。
本実施態様で使用する化合物Aとしては、リン原子を有し、セルロースとエステル結合を形成可能な化合物であればよく、リン酸もしくはその塩、亜リン酸もしくはその塩、脱水縮合リン酸もしくはその塩、無水リン酸(五酸化二リン)などが挙げられるが、とくに限定されない。リン酸としては、種々の純度のものを使用することができ、たとえば100%リン酸(正リン酸)や85%リン酸を使用することができる。亜リン酸としては、たとえば99%亜リン酸(ホスホン酸)が挙げられる。脱水縮合リン酸は、リン酸が脱水反応により2分子以上縮合したものであり、たとえばピロリン酸、ポリリン酸等を挙げることができる。リン酸塩、亜リン酸塩、脱水縮合リン酸塩としては、リン酸、亜リン酸または脱水縮合リン酸のリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩などが挙げられ、これらは種々の中和度とすることができる。
これらのうち、リン酸基の導入の効率が高く、後述する解繊工程で解繊効率がより向上しやすく、低コストであり、かつ工業的に適用しやすい観点から、リン酸、リン酸のナトリウム塩、リン酸のカリウム塩、またはリン酸のアンモニウム塩が好ましく、リン酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、またはリン酸二水素アンモニウムがより好ましい。
繊維原料に対する化合物Aの添加量は、とくに限定されないが、たとえば化合物Aの添加量をリン原子量に換算した場合において、繊維原料(絶乾質量)に対するリン原子の添加量が0.5質量%以上100質量%以下となることが好ましく、1質量%以上50質量%以下となることがより好ましく、2質量%以上30質量%以下となることがさらに好ましい。繊維原料に対するリン原子の添加量を上記範囲内とすることにより、微細繊維状セルロースの収率をより向上させることができる。一方で、繊維原料に対するリン原子の添加量を上記上限値以下とすることにより、収率向上の効果とコストのバランスをとることができる。
本実施態様で使用する化合物Bは、上述のとおり尿素およびその誘導体から選択される少なくとも1種である。化合物Bとしては、たとえば尿素、ビウレット、1-フェニル尿素、1-ベンジル尿素、1-メチル尿素、および1-エチル尿素などが挙げられる。
反応の均一性を向上させる観点から、化合物Bは水溶液として用いることが好ましい。また、反応の均一性をさらに向上させる観点からは、化合物Aと化合物Bの両方が溶解した水溶液を用いることが好ましい。
繊維原料(絶乾質量)に対する化合物Bの添加量は、とくに限定されないが、たとえば1質量%以上500質量%以下であることが好ましく、10質量%以上400質量%以下であることがより好ましく、100質量%以上350質量%以下であることがさらに好ましい。
セルロースを含む繊維原料と化合物Aの反応においては、化合物Bの他に、たとえばアミド類またはアミン類を反応系に含んでもよい。アミド類としては、たとえばホルムアミド、ジメチルホルムアミド、アセトアミド、ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。アミン類としては、たとえばメチルアミン、エチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ピリジン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどが挙げられる。これらの中でも、とくにトリエチルアミンは良好な反応触媒として働くことが知られている。
リンオキソ酸基導入工程においては、繊維原料に化合物A等を添加または混合した後、当該繊維原料に対して加熱処理を施すことが好ましい。加熱処理温度としては、繊維の熱分解や加水分解反応を抑えながら、リンオキソ酸基を効率的に導入できる温度を選択することが好ましい。加熱処理温度は、たとえば50℃以上300℃以下であることが好ましく、100℃以上250℃以下であることがより好ましく、130℃以上200℃以下であることがさらに好ましい。また、加熱処理には、種々の熱媒体を有する機器を利用することができ、たとえば撹拌乾燥装置、回転乾燥装置、円盤乾燥装置、ロール型加熱装置、プレート型加熱装置、流動層乾燥装置、バンド型乾燥装置、ろ過乾燥装置、振動流動乾燥装置、気流乾燥装置、減圧乾燥装置、赤外線加熱装置、遠赤外線加熱装置、マイクロ波加熱装置、高周波乾燥装置を用いることができる。
本実施形態に係る加熱処理においては、たとえば薄いシート状の繊維原料に化合物Aを含浸等の方法により添加した後、加熱する方法や、ニーダー等で繊維原料と化合物Aを混練または撹拌しながら加熱する方法を採用することができる。これにより、繊維原料における化合物Aの濃度ムラを抑制して、繊維原料に含まれるセルロース繊維表面へ、より均一にリン酸基を導入することが可能となる。これは、乾燥に伴い水分子が繊維原料表面に移動する際、溶存する化合物Aが表面張力によって水分子に引き付けられ、同様に繊維原料表面に移動してしまう(すなわち、化合物Aの濃度ムラを生じてしまう)ことを抑制できることに起因するものと考えられる。
また、加熱処理に用いる加熱装置は、たとえばスラリーが保持する水分および化合物Aと繊維原料中のセルロース等が含む水酸基等との脱水縮合(リン酸エステル化)反応に伴って生じる水分を常に装置系外に排出できる装置であることが好ましい。このような加熱装置としては、たとえば送風方式のオーブン等が挙げられる。装置系内の水分を常に排出することにより、リン酸エステル化の逆反応であるリン酸エステル結合の加水分解反応を抑制できることに加えて、繊維中の糖鎖の酸加水分解を抑制することもできる。このため、軸比の高い微細繊維状セルロースを得ることが可能となる。
加熱処理の時間は、たとえば繊維原料から実質的に水分が除かれてから1秒間以上300分間以下であることが好ましく、1秒間以上1,000秒間以下であることがより好ましく、10秒間以上800秒間以下であることがさらに好ましい。本実施形態では、加熱温度と加熱時間を適切な範囲とすることにより、リンオキソ酸基の導入量を好ましい範囲内とすることができる。
リンオキソ酸基導入工程は、少なくとも1回行えばよいが、2回以上繰り返して行うこともできる。2回以上のリンオキソ酸基導入工程を行うことにより、繊維原料に対して多くのリンオキソ酸基を導入することができる。本実施形態においては、好ましい態様の一例として、リンオキソ酸基導入工程を2回行う場合が挙げられる。
繊維原料に対するリンオキソ酸基の導入量は、たとえば繊維状セルロース1g(質量)あたり0.10mmol/g以上であることが好ましく、0.20mmol/g以上であることがより好ましく、0.50mmol/g以上であることがさらに好ましく、1.00mmol/g以上であることがとくに好ましい。また、繊維原料に対するリンオキソ酸基の導入量は、たとえば繊維状セルロース1g(質量)あたり5.20mmol/g以下であることが好ましく、3.65mmol/g以下であることがより好ましく、3.00mmol/g以下であることがさらに好ましい。リンオキソ酸基の導入量を上記範囲内とすることにより、繊維原料の微細化を容易にし、微細繊維状セルロースの安定性を高めることができる。
-カルボキシ基導入工程-
カルボキシ基導入工程は、セルロースを含む繊維原料に対し、オゾン酸化やフェントン法による酸化、TEMPO酸化処理などの酸化処理やカルボン酸由来の基を有する化合物もしくはその誘導体、またはカルボン酸由来の基を有する化合物の酸無水物もしくはその誘導体によって処理することにより行われる。
カルボン酸由来の基を有する化合物としては、とくに限定されないが、たとえばマレイン酸、コハク酸、フタル酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、イタコン酸等のジカルボン酸化合物やクエン酸、アコニット酸等のトリカルボン酸化合物が挙げられる。また、カルボン酸由来の基を有する化合物の誘導体としては、とくに限定されないが、たとえばカルボキシ基を有する化合物の酸無水物のイミド化物、カルボキシ基を有する化合物の酸無水物の誘導体が挙げられる。カルボキシ基を有する化合物の酸無水物のイミド化物としては、とくに限定されないが、たとえばマレイミド、コハク酸イミド、フタル酸イミド等のジカルボン酸化合物のイミド化物が挙げられる。
カルボン酸由来の基を有する化合物の酸無水物としては、とくに限定されないが、たとえば無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸、無水グルタル酸、無水アジピン酸、無水イタコン酸等のジカルボン酸化合物の酸無水物が挙げられる。また、カルボン酸由来の基を有する化合物の酸無水物の誘導体としては、とくに限定されないが、たとえばジメチルマレイン酸無水物、ジエチルマレイン酸無水物、ジフェニルマレイン酸無水物等のカルボキシ基を有する化合物の酸無水物の少なくとも一部の水素原子が、アルキル基、フェニル基等の置換基により置換されたものが挙げられる。
カルボキシ基導入工程において、TEMPO酸化処理を行う場合には、たとえばその処理をpHが6以上8以下の条件で行うことが好ましい。このような処理は、中性TEMPO酸化処理ともいう。中性TEMPO酸化処理は、たとえばリン酸ナトリウム緩衝液(pH=6.8)に、繊維原料としてパルプと、触媒としてTEMPO(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル)等のニトロキシラジカル、犠牲試薬として次亜塩素酸ナトリウムを添加することで行うことができる。さらに亜塩素酸ナトリウムを共存させることによって、酸化の過程で発生するアルデヒドを、効率的にカルボキシ基まで酸化することができる。
また、TEMPO酸化処理は、その処理をpHが10以上11以下の条件で行ってもよい。このような処理は、アルカリTEMPO酸化処理ともいう。アルカリTEMPO酸化処理は、たとえば繊維原料としてのパルプに対し、触媒としてTEMPO等のニトロキシラジカルと、共触媒として臭化ナトリウムと、酸化剤として次亜塩素酸ナトリウムを添加することにより行うことができる。
繊維原料に対するカルボキシ基の導入量は、置換基の種類によっても変わるが、たとえばTEMPO酸化によりカルボキシ基を導入する場合、繊維状セルロース1g(質量)あたり0.10mmol/g以上であることが好ましく、0.20mmol/g以上であることがより好ましく、0.50mmol/g以上であることがさらに好ましく、0.90mmol/g以上であることがとくに好ましい。また、2.5mmol/g以下であることが好ましく、2.20mmol/g以下であることがより好ましく、2.00mmol/g以下であることがさらに好ましい。その他、置換基がカルボキシメチル基である場合、繊維状セルロース1g(質量)あたり5.8mmol/g以下であってもよい。
-硫黄オキソ酸基導入工程-
微細繊維状セルロースの製造工程は、イオン性置換基導入工程として、たとえば、硫黄オキソ酸基導入工程を含んでもよい。硫黄オキソ酸基導入工程は、セルロースを含む繊維原料が有する水酸基と硫黄オキソ酸が反応することで、硫黄オキソ酸基を有するセルロース繊維(硫黄オキソ酸基導入繊維)を得ることができる。
硫黄オキソ酸基導入工程では、上述した<リンオキソ酸基導入工程>における化合物Aに代えて、セルロースを含む繊維原料が有する水酸基と反応することで、硫黄オキソ酸基を導入できる化合物から選択される少なくとも1種の化合物(以下、「化合物C」ともいう)を用いる。化合物Cとしては、硫黄原子を有し、セルロースとエステル結合を形成可能な化合物であればよく、硫酸もしくはその塩、亜硫酸もしくはその塩、硫酸アミドなどが挙げられるがとくに限定されない。硫酸としては、種々の純度のものを使用することができ、たとえば96%硫酸(濃硫酸)を使用することができる。亜硫酸としては、5%亜硫酸水が挙げられる。硫酸塩または亜硫酸塩としては、硫酸塩または亜硫酸塩のリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩などが挙げられ、これらは種々の中和度とすることができる。硫酸アミドとしては、スルファミン酸などを使用することができる。硫黄オキソ酸基導入工程では、上述した<リンオキソ酸基導入工程>における化合物Bを同様に用いることが好ましい。
硫黄オキソ酸基導入工程においては、セルロース原料に硫黄オキソ酸、並びに、尿素および/または尿素誘導体を含む水溶液を混合した後、当該セルロース原料に対して加熱処理を施すことが好ましい。加熱処理温度としては、繊維の熱分解や加水分解反応を抑えながら、硫黄オキソ酸基を効率的に導入できる温度を選択することが好ましい。加熱処理温度は、100℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがより好ましく、150℃以上であることがさらに好ましい。また、加熱処理温度は、300℃以下であることが好ましく、250℃以下であることがより好ましく、200℃以下であることがさらに好ましい。
加熱処理工程では、実質的に水分がなくなるまで加熱をすることが好ましい。このため、加熱処理時間は、セルロース原料に含まれる水分量や、硫黄オキソ酸、並びに、尿素および/または尿素誘導体を含む水溶液の添加量によって、変動するが、たとえば、10秒間以上10,000秒間以下とすることが好ましい。加熱処理には、種々の熱媒体を有する機器を利用することができ、たとえば撹拌乾燥装置、回転乾燥装置、円盤乾燥装置、ロール型加熱装置、プレート型加熱装置、流動層乾燥装置、バンド型乾燥装置、ろ過乾燥装置、振動流動乾燥装置、気流乾燥装置、減圧乾燥装置、赤外線加熱装置、遠赤外線加熱装置、マイクロ波加熱装置、高周波乾燥装置を用いることができる。
セルロース原料に対する硫黄オキソ酸基の導入量は、0.05mmol/g以上であることが好ましく、0.10mmol/g以上であることがより好ましく、0.20mmol/g以上であることがさらに好ましく、0.50mmol/g以上であることがよりさらに好ましく、0.90mmol/g以上であることがとくに好ましい。また、セルロース原料に対する硫黄オキソ酸基の導入量は、5.00mmol/g以下であることが好ましく、3.00mmol/g以下であることがより好ましい。硫黄オキソ酸基の導入量を上記範囲内とすることにより、繊維原料の微細化を容易とすることができ、繊維状セルロースの安定性を高めることが可能となる。
-塩素系酸化剤による酸化工程(第二のカルボキシ基導入工程)-
微細繊維状セルロースの製造工程は、イオン性置換基導入工程として、たとえば塩素系酸化剤による酸化工程を含んでもよい。塩素系酸化剤による酸化工程では、塩素系酸化剤を湿潤あるいは乾燥状態の、水酸基を有する繊維原料に加えて反応を行うことで、繊維原料にカルボキシ基が導入される。
塩素系酸化剤としては、次亜塩素酸、次亜塩素酸塩、亜塩素酸、亜塩素酸塩、塩素酸、塩素酸塩、過塩素酸、過塩素酸塩、二酸化塩素などが挙げられる。置換基の導入効率、ひいては解繊効率、コスト、取り扱いやすさの点から、次亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウム、二酸化塩素が好ましい。
塩素系酸化剤は、試薬をそのまま繊維原料に加えてもよいし、適当な溶媒に溶かして加えてもよい。
塩素系酸化剤による酸化工程における塩素系酸化剤の溶液中濃度は、たとえば有効塩素濃度に換算して、1質量%以上1,000質量%以下であることが好ましく、5質量%以上500質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上100質量%以下であることがさらに好ましい。
塩素系酸化剤の繊維原料100質量部に対する添加量は、1質量部以上100,000質量部以下であることが好ましく、10質量部以上10,000質量部以下であることがより好ましく、100質量部以上5,000質量部以下であることがさらに好ましい。
塩素系酸化剤による酸化工程における塩素系酸化剤との反応時間は、反応温度に応じて変わり得るが、たとえば1分間以上1,000分間以下であることが好ましく、10分間以上500分間以下であることがより好ましく、20分間以上400分間以下であることがさらに好ましい。
反応時のpHは、5以上15以下であることが好ましく、7以上14以下であることがより好ましく、9以上13以下であることがさらに好ましい。また、反応開始時、反応中のpHは塩酸や水酸化ナトリウムを適宜添加しながら一定(たとえば、pH11)を保つことが好ましい。また、反応後は濾過等により、余剰の反応試薬、副生物等を水洗・除去してもよい。
-ザンテート基導入工程(キサントゲン酸エステル化工程)-
微細繊維状セルロースの製造工程は、イオン性置換基導入工程として、たとえばザンテート基導入工程(以下、ザンテート化工程ともいう。)を含んでもよい。ザンテート化工程では、二硫化炭素とアルカリ化合物を、湿潤あるいは乾燥状態の、水酸基を有する繊維原料に加えて反応を行うことで、繊維原料にザンテート基が導入される。具体的には、二硫化炭素を後述の手法でアルカリセルロース化した繊維原料に対して加え、反応を行う。
≪アルカリセルロース化≫
繊維原料へのイオン性官能基導入に際しては、繊維原料が含むセルロースにアルカリ溶液を作用させ、セルロースをアルカリセルロース化することが好ましい。この処理により、セルロースの水酸基の一部がイオン解離し、求核性(反応性)を高めることができる。アルカリ溶液に含まれるアルカリ化合物は、とくに限定されず、無機アルカリ化合物であってもよいし、有機アルカリ化合物であってもよい。汎用性が高いことから、たとえば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドを用いることが好ましい。アルカリセルロース化は、イオン性官能基の導入と同時に行ってもよいし、その前段として行ってもよいし、両方のタイミングで行ってもよい。
アルカリセルロース化を始める際の溶液温度は、0℃以上50℃以下であることが好ましく、5℃以上40℃以下であることがより好ましく、10℃以上30℃以下であることがさらに好ましい。
アルカリ溶液濃度としては、モル濃度として0.01mol/L以上4mol/L以下であることが好ましく、0.1mol/L以上3mol/L以下であることがより好ましく、1mol/L以上2.5mol/L以下であることがさらに好ましい。とくに、処理温度が10℃未満である場合は、1mol/L以上2mol/L以下であることが好ましい。
アルカリセルロース化の処理時間は、1分間以上であることが好ましく、10分間以上であることがより好ましく、30分間以上であることがさらに好ましい。また、アルカリ処理の時間は、6時間以下であることが好ましく、5時間以下であることがより好ましく、4時間以下であることがさらに好ましい。
アルカリ溶液の種類、処理温度、濃度、浸漬時間を上述のように調整することで、セルロースの結晶領域へのアルカリ溶液浸透を抑制でき、セルロースI型の結晶構造が維持されやすくなり、微細繊維状セルロースの収率を高めることができる。
イオン性官能基導入とアルカリセルロース化を同時に行わない場合、アルカリ処理で得られたアルカリセルロースは、遠心分離や、濾別などの一般的な脱液方法により、固液分離し、水分を除去しておくことが好ましい。これにより、次いで行われるイオン性官能基導入工程での、反応効率が向上する。固液分離後のセルロース繊維濃度は、5%以上50%以下であることが好ましく、10%以上40%以下であることがより好ましく、15%以上35%以下であることがさらに好ましい。
-ホスホン基またはホスフィン基導入工程(ホスホアルキル化工程)-
イオン性置換基導入工程としては、ホスホン基またはホスフィン基導入工程(ホスホアルキル化工程)を含んでもよい。ホスホアルキル化工程では、必須成分として、反応性基とホスホ基またはホスフィン基とを有する化合物(化合物E)、任意成分としてアルカリ化合物、前述した尿素およびその誘導体から選択される化合物Bを、湿潤あるいは乾燥状態の、水酸基を有する繊維原料に加えて反応を行うことで、繊維原料にホスホン基またはホスフィン基が導入される。
反応性基としては、ハロゲン化アルキル基、ビニル基、エポキシ基(グリシジル基)などが挙げられる。
化合物Eとしては、たとえばビニルホスホン酸、フェニルビニルホスホン酸、フェニルビニルホスフィン酸等が挙げられる。置換基の導入効率、ひいては解繊効率、コスト、取り扱いやすさの点からビニルホスホン酸が好ましい。
さらに任意成分として、上述した<リンオキソ酸基導入工程>における化合物Bを同様に用いることも好ましく、添加量も前述のようにすることが好ましい。
化合物Eを添加する際には、試薬(固形状もしくは液状)としてそのまま繊維原料に加えてもよいし、適当な溶媒に溶かして加えてもよい。繊維原料は事前にアルカリセルロース化するか、反応と同時にアルカリセルロース化されることが好ましい。アルカリセルロース化の方法は、前述のとおりである。
反応時の温度は、たとえば50℃以上300℃以下であることが好ましく、100℃以上250℃以下であることがより好ましく、130℃以上200℃以下であることがさらに好ましい。
化合物Eの繊維原料100質量部に対する添加量は、1質量部以上100,000質量部以下であることが好ましく、2質量部以上10,000質量部以下であることがより好ましく、5質量部以上1,000質量部以下であることがさらに好ましい。
反応時間は、反応温度に応じて変わり得るが、たとえば1分間以上1,000分間以下であることが好ましく、10分間以上500分間以下であることがより好ましく、20分間以上400分間以下であることがさらに好ましい。
また、反応後は濾過等により、余剰の反応試薬、副生物等を水洗・除去してもよい。
-スルホン基導入工程(スルホアルキル化工程)-
微細繊維状セルロースの製造工程は、イオン性置換基導入工程として、たとえば、スルホン基導入工程(スルホアルキル化工程)を含んでもよい。スルホアルキル化では、必須成分として、反応性基とスルホン基とを有する化合物(化合物E)と、任意成分としてアルカリ化合物、前述した、尿素およびその誘導体から選択される化合物Bを、湿潤あるいは乾燥状態の、水酸基を有する繊維原料に加えて反応を行うことで、繊維原料にスルホン基が導入される。
反応性基としては、ハロゲン化アルキル基、ビニル基、エポキシ基(グリシジル基)などが挙げられる。
化合物Eとしては、2-クロロエタンスルホン酸ナトリウム、ビニルスルホン酸ナトリウム、p-スチレンスルホン酸ナトリウム、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。中でも、置換基の導入効率、ひいては解繊効率、コスト、取り扱いやすさの点からビニルスルホン酸ナトリウムが好ましい。
さらに任意成分として、上述した<リンオキソ酸基導入工程>における化合物Bを同様に用いることも好ましく、添加量も前述のようにすることが好ましい。
化合物Eは、試薬をそのまま繊維原料に加えてもよいし、適当な溶媒に溶かして加えてもよい。繊維原料は事前にアルカリセルロース化するか、反応と同時にアルカリセルロース化されることが好ましい。アルカリセルロース化の方法は、前述のとおりである。
反応時の温度は、たとえば50℃以上300℃以下であることが好ましく、100℃以上250℃以下であることがより好ましく、130℃以上200℃以下であることがさらに好ましい。
化合物Eの繊維原料100質量部に対する添加量は、1質量部以上100,000質量部以下であることが好ましく、2質量部以上10,000質量部以下であることがより好ましく、5質量部以上1,000質量部以下であることがさらに好ましい。
反応時間は、反応温度に応じて変わり得るが、たとえば1分間以上1,000分間以下であることが好ましく、10分間以上500分間以下であることがより好ましく、15分間以上400分間以下であることがさらに好ましい。
また、反応後は濾過等により、余剰の反応試薬、副生物等を水洗・除去してもよい。
-カルボキシアルキル化工程(第三のカルボキシ基導入工程)-
微細繊維状セルロースの製造工程は、イオン性置換基導入工程として、たとえば、カルボキシアルキル化工程を含んでもよい。必須成分として、反応性基とカルボキシ基とを有する化合物(化合物E)、任意成分としてアルカリ化合物、前述した、尿素およびその誘導体から選択される化合物Bを、湿潤あるいは乾燥状態の、水酸基を有する繊維原料に加えて反応を行うことで、繊維原料にカルボキシ基が導入される。
反応性基としては、ハロゲン化アルキル基、ビニル基、エポキシ基(グリシジル基)などが挙げられる。
化合物Eとしては、置換基の導入効率、ひいては解繊効率、コスト、取り扱いやすさの点からモノクロロ酢酸、モノクロロ酢酸ナトリウム、2-クロロプロピオン酸、3-クロロプロピオン酸、2-クロロプロピオン酸ナトリウム、3-クロロプロピオン酸ナトリウムが好ましい。
さらに任意成分として、上述した<リンオキソ酸基導入工程>における化合物Bを同様に用いることも好ましく、添加量も前述のようにすることが好ましい。
化合物Eは、試薬をそのまま繊維原料に加えてもよいし、適当な溶媒に溶かして加えてもよい。繊維原料は事前にアルカリセルロース化するか、反応と同時にアルカリセルロース化されることが好ましい。アルカリセルロース化の方法は、前述のとおりである。
反応時の温度は、たとえば50℃以上300℃以下であることが好ましく、100℃以上250℃以下であることがより好ましく、130℃以上200℃以下であることがさらに好ましい。
化合物Eの繊維原料100質量部に対する添加量は、1質量部以上100,000質量部以下であることが好ましく、2質量部以上10,000質量部以下であることがより好ましく、5質量部以上1,000質量部以下であることがさらに好ましい。
反応時間は、反応温度に応じて変わり得るが、たとえば1分間以上1,000分間以下であることが好ましく、3分間以上500分間以下であることがより好ましく、5分間以上400分間以下であることがさらに好ましい。
また、反応後は濾過等により、余剰の反応試薬、副生物等を水洗・除去してもよい。
-カチオン性基導入工程(カチオン化工程)-
必須成分として、反応性基とカチオン性基とを有する化合物(化合物E)、任意成分としてアルカリ化合物、前述した、尿素およびその誘導体から選択される化合物Bを、湿潤あるいは乾燥状態の、水酸基を有する繊維原料に加えて反応を行うことで、繊維原料にカチオン性基が導入される。
反応性基としては、ハロゲン化アルキル基、ビニル基、エポキシ基(グリシジル基)などが挙げられる。
化合物Eとしては、置換基の導入効率、ひいては解繊効率、コスト、取り扱いやすさの点からグリシジルトリメチルアンモニウムクロリド、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド等が好ましい。
さらに任意成分として、上述した<リンオキソ酸基導入工程>における化合物Bを同様に用いることも好ましい。添加量も前述のようにすることが好ましい。
化合物Eは、試薬をそのまま繊維原料に加えてもよいし、適当な溶媒に溶かして加えてもよい。繊維原料は事前にアルカリセルロース化するか、反応と同時にアルカリセルロース化されることが好ましい。アルカリセルロース化の方法は、前述のとおりである。
反応時の温度は、たとえば50℃以上300℃以下であることが好ましく、100℃以上250℃以下であることがより好ましく、130℃以上200℃以下であることがさらに好ましい。
化合物Eの繊維原料100質量部に対する添加量は、1質量部以上100,000質量部以下であることが好ましく、2質量部以上10,000質量部以下であることがより好ましく、5質量部以上1,000質量部以下であることがさらに好ましい。
反応時間は、反応温度に応じて変わり得るが、たとえば1分間以上1,000分間以下であることが好ましく、5分間以上500分間以下であることがより好ましく、10分間以上400分間以下であることがさらに好ましい。
また、反応後は濾過等により、余剰の反応試薬、副生物等を水洗・除去してもよい。
(洗浄工程)
本実施形態における微細繊維状セルロースの製造方法においては、必要に応じてイオン性基導入繊維に対して洗浄工程を行うことができる。洗浄工程は、たとえば水や有機溶媒によりイオン性基導入繊維を洗浄することにより行われる。また、洗浄工程は後述する各工程の後に行われてもよく、各洗浄工程において実施される洗浄回数は、とくに限定されない。
(アルカリ処理工程)
微細繊維状セルロースを製造する場合、イオン性基導入工程と、後述する解繊処理工程との間に、繊維原料に対してアルカリ処理を行ってもよい。アルカリ処理の方法としては、とくに限定されないが、たとえばアルカリ溶液中に、イオン性基導入繊維を浸漬する方法が挙げられる。
アルカリ溶液に含まれるアルカリ化合物は、とくに限定されず、無機アルカリ化合物であってもよいし、有機アルカリ化合物であってもよい。本実施形態においては、汎用性が高いことから、たとえば水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムをアルカリ化合物として用いることが好ましい。また、アルカリ溶液に含まれる溶媒は、水または有機溶媒のいずれであってもよい。中でも、アルカリ溶液に含まれる溶媒は、水、またはアルコールに例示される極性有機溶媒などを含む極性溶媒であることが好ましく、少なくとも水を含む水系溶媒であることがより好ましい。アルカリ溶液としては、汎用性が高いことから、たとえば水酸化ナトリウム水溶液、または水酸化カリウム水溶液が好ましい。
アルカリ処理工程におけるアルカリ溶液の温度は、とくに限定されないが、たとえば5℃以上80℃以下であることが好ましく、10℃以上60℃以下であることがより好ましい。アルカリ処理工程におけるイオン性基導入繊維のアルカリ溶液への浸漬時間は、とくに限定されないが、たとえば5分間以上30分間以下であることが好ましく、10分間以上20分間以下であることがより好ましい。アルカリ処理におけるアルカリ溶液の使用量は、とくに限定されないが、たとえばイオン性基導入繊維の絶対乾燥質量に対して100質量%以上100,000質量%以下であることが好ましく、1,000質量%以上10,000質量%以下であることがより好ましい。
アルカリ処理は、微細繊維状セルロースがアニオン性基を有する場合は、そのアニオン性基の中和処理・イオン交換処理であってもよい。この場合、アルカリ溶液の温度は室温であることが好ましい。
アルカリ処理工程におけるアルカリ溶液の使用量を減らすために、イオン性基導入工程の後であってアルカリ処理工程の前に、イオン性基導入繊維を水や有機溶媒により洗浄してもよい。アルカリ処理工程の後であって解繊処理工程の前には、取り扱い性を向上させる観点から、アルカリ処理を行ったイオン性基導入繊維を水や有機溶媒により洗浄することが好ましい。
(酸処理工程)
微細繊維状セルロースを製造する場合、イオン性基を導入する工程と、後述する解繊処理工程の間に、繊維原料に対して酸処理を行ってもよい。たとえば、イオン性基導入工程、酸処理工程、アルカリ処理工程および解繊処理工程をこの順で行ってもよい。
酸処理の方法としては、とくに限定されないが、たとえば酸を含有する酸性液中に繊維原料を浸漬する方法が挙げられる。使用する酸性液の濃度は、とくに限定されないが、たとえば10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。また、使用する酸性液のpHは、とくに限定されないが、たとえば0以上4以下であることが好ましく、1以上3以下であることがより好ましい。酸性液に含まれる酸としては、たとえば無機酸、スルホン酸、カルボン酸等を用いることができる。無機酸としては、たとえば硫酸、硝酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、次亜塩素酸、亜塩素酸、塩素酸、過塩素酸、リン酸、ホウ酸等が挙げられる。スルホン酸としては、たとえばメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等が挙げられる。カルボン酸としては、たとえばギ酸、酢酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸、シュウ酸、酒石酸等が挙げられる。これらの中でも、塩酸または硫酸を用いることがとくに好ましい。
酸処理における酸溶液の温度は、とくに限定されないが、たとえば5℃以上100℃以下が好ましく、20℃以上90℃以下がより好ましい。酸処理における酸溶液への浸漬時間は、とくに限定されないが、たとえば5分間以上120分間以下が好ましく、10分間以上60分間以下がより好ましい。酸処理における酸溶液の使用量は、とくに限定されないが、たとえば繊維原料の絶対乾燥質量に対して100質量%以上100,000質量%以下であることが好ましく、1,000質量%以上10,000質量%以下であることがより好ましい。
(解繊処理工程)
イオン性基導入繊維を解繊処理工程で解繊処理することにより、微細繊維状セルロースが得られる。
解繊処理工程においては、たとえば解繊処理装置を用いることができる。解繊処理装置は、とくに限定されないが、たとえば高速解繊機、グラインダー(石臼型粉砕機)、高圧ホモジナイザーや超高圧ホモジナイザー、高圧衝突型粉砕機、ボールミル、ビーズミル、ディスク型リファイナー、コニカルリファイナー、二軸混練機、振動ミル、高速回転下でのホモミキサー、超音波分散機、またはビーターなどを使用することができる。上記解繊処理装置の中でも、粉砕メディアの影響が少なく、コンタミネーションのおそれが少ない高速解繊機、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザーを用いることがより好ましい。
解繊処理工程においては、たとえばイオン性基導入繊維を、分散媒により希釈してスラリー状にすることが好ましい。分散媒としては、水、および極性有機溶媒などの有機溶媒から選択される1種または2種以上を使用することができる。極性有機溶媒としては、とくに限定されないが、たとえばアルコール類、多価アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類、非プロトン極性溶媒等が好ましい。アルコール類としては、たとえばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブチルアルコール等が挙げられる。多価アルコール類としては、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどが挙げられる。ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)等が挙げられる。エーテル類としては、たとえばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn-ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。エステル類としては、たとえば酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられる。非プロトン性極性溶媒としてはジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF),ジメチルアセトアミド(DMAc)、N-メチル-2-ピロリジノン(NMP)等が挙げられる。
解繊処理時の微細繊維状セルロースの固形分濃度は適宜設定できる。
また、リンオキソ酸基導入繊維を分散媒に分散させて得たスラリー中には、たとえば水素結合性のある尿素などのリンオキソ酸基導入繊維以外の固形分が含まれていてもよい。
(置換基除去された微細繊維状セルロースの製造方法)
本発明において、微細繊維状セルロースは、上述したイオン性基を導入して解繊した微細繊維状セルロースから、置換基であるイオン性基を除去したものであってもよい。
この場合、置換基、好ましくはイオン性基を有し、かつ、繊維幅が1000nm以下の微細繊維状セルロースから、置換基の少なくとも一部を除去する工程(工程I)と、前記工程Iの後に、均一分散処理する工程IIとを含むことが好ましい。
また、工程Iに供される微細繊維状セルロースは、解繊処理の前に、窒素量を低減させる工程(窒素除去処理工程)を有することが好ましい。
-窒素除去処理工程-
工程Iに供される微細繊維状セルロースの製造工程は、窒素量を低減させる工程(窒素除去処理工程)をさらに含んでもよい。窒素量を低減させることで、さらに着色を抑制し得る微細繊維状セルロースを得ることができる。窒素除去処理工程は、後述する工程IIにおける均一分散処理工程の後に設けられてもよいが、後述する工程IIにおける均一分散処理工程の前に設けられることが好ましい。また、上述した解繊処理工程の前に設けられることが好ましい。
窒素除去処理工程においては、アニオン性基導入繊維を含むスラリーのpHを10以上に調整し、加熱処理を行うことが好ましい。加熱処理においては、スラリーの液温を50℃以上100℃以下とすることが好ましく、加熱時間は15分間以上180分間以下とすることが好ましい。アニオン性基導入繊維を含むスラリーのpHを調整する際には、上述したアルカリ処理工程で用いることができるアルカリ化合物をスラリーに添加することが好ましい。
窒素除去処理工程の後、必要に応じてアニオン性基導入繊維に対して洗浄工程を行うことができる。洗浄工程は、たとえば水や有機溶媒によりアニオン性基導入繊維を洗浄することにより行われる。また、各洗浄工程において実施される洗浄回数は、とくに限定されない。
-工程I-
本発明において、微細繊維状セルロースの製造方法は、置換基を有し、かつ繊維幅が1000nm以下の微細繊維状セルロースから、置換基の少なくとも一部を除去する工程(工程I)を含んでいてもよい。本明細書において、微細繊維状セルロースから、置換基の少なくとも一部を除去する工程(工程I)は、置換基除去処理工程ともいう。
置換基除去処理工程としては、置換基を有し、かつ繊維幅が1000nm以下の微細繊維状セルロースを加熱処理する工程、酵素処理する工程、酸処理する工程、アルカリ処理する工程等が挙げられる。これらは単独で行ってもよく、組み合わせて行ってもよい。中でも、置換基除去処理工程は、加熱処理する工程または酵素処理する工程であることが好ましい。上記処理工程を経ることで、置換基を有し、かつ繊維幅が1000nm以下の微細繊維状セルロースから、置換基の少なくとも一部が除去され、たとえば、置換基導入量が0.5mmol/g未満の微細繊維状セルロースを得ることができる。
置換基除去処理工程後の置換基導入量は、好ましくは0.3mmol/g以下、より好ましくは0.2mmol/g以下、さらに好ましくは0.1mmol/g以下である。
置換基除去処理工程は、スラリー状で行われることが好ましい。すなわち、置換基除去処理工程は、置換基を有し、かつ繊維幅が1000nm以下の微細繊維状セルロースを含むスラリーを、加熱処理する工程、酵素処理する工程、酸処理する工程、アルカリ処理する工程等であることが好ましい。置換基除去処理工程をスラリー状で実施することによって、置換基除去処理時の加熱等によって生じる着色物質や、添加もしくは発生する酸、アルカリ、塩などの残留を防ぐことができる。これにより、工程IIを経て得られる微細繊維状セルロースをスラリーやシートとした場合の着色を抑制することができる。また、置換基除去処理後に除去した置換基由来の塩の除去処理を行う場合、塩の除去効率を高めることも可能となる。
置換基を有し、かつ繊維幅が1000nm以下の微細繊維状セルロースを含むスラリーに対して置換基除去処理を行う場合、該スラリー中の微細繊維状セルロースの濃度は、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.2質量%以上である。また、該スラリー中の微細繊維状セルロースの濃度は、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。スラリー中の微細繊維状セルロースの濃度を上記範囲内とすることにより、置換基除去処理をより効率よく行うことができる。さらに、スラリー中の微細繊維状セルロースの濃度を上記範囲内とすることにより、置換基除去処理時の加熱等によって生じる着色物質や、添加もしくは発生する酸、アルカリ、塩などの残留を防ぐことができる。これにより、工程IIを経て得られる微細繊維状セルロースをスラリーやシートとした場合の着色を抑制することができる。また、置換基除去処理後に除去した置換基由来の塩の除去処理を行う場合、塩の除去効率を高めることも可能となる。
置換基除去処理工程が、置換基を有し、かつ繊維幅が1000nm以下の微細繊維状セルロースを加熱処理する工程である場合、加熱処理する工程における加熱温度は、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上、さらに好ましくは60℃以上である。また、加熱処理する工程における加熱温度は、好ましくは250℃以下、より好ましくは230℃以下、さらに好ましくは200℃以下である。中でも、置換基除去処理工程に供する微細繊維状セルロースが有する置換基がリンオキソ酸基またはスルホン基である場合、加熱処理する工程における加熱温度は、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上、さらに好ましくは120℃以上である。
置換基除去処理工程が加熱処理する工程である場合、加熱処理工程において使用できる加熱装置としては、とくに限定されないが、熱風加熱装置、蒸気加熱装置、電熱加熱装置、水熱加熱装置、火力加熱装置、赤外線加熱装置、遠赤外線加熱装置、マイクロ波加熱装置、高周波加熱装置、撹拌乾燥装置、回転乾燥装置、円盤乾燥装置、ロール型加熱装置、プレート型加熱装置、流動層乾燥装置、バンド型乾燥装置、ろ過乾燥装置、振動流動乾燥装置、気流乾燥装置、減圧乾燥装置を用いることができる。蒸発を防ぐ観点から、加熱は密閉系で行われることが好ましく、さらに加熱温度を高める観点から、耐圧性の装置内や容器内で行われることが好ましい。加熱処理はバッチ処理であってもよく、バッチ連続処理であってもよく、連続処理であってもよい。
置換基除去処理工程が、置換基を有し、かつ繊維幅が1000nm以下の微細繊維状セルロースを酵素処理する工程である場合、酵素処理する工程では、置換基の種類に応じて、リン酸エステル加水分解酵素、硫酸エステル加水分解酵素等を用いることが好ましい。
酵素処理工程では、微細繊維状セルロース1gに対して、酵素活性が、好ましくは0.1nkat以上、より好ましくは1.0nkat以上、さらに好ましくは10nkat以上となるように酵素を添加する。また、微細繊維状セルロース1gに対して、酵素活性が、好ましくは100000nkat以下、より好ましくは50000nkat以下、さらに好ましくは10000nkat以下となるよう酵素を添加する。微細繊維状セルロース分散液(スラリー)に酵素を添加した後には、0℃以上50℃未満の条件下で1分以上100時間以下処理を行うことが好ましい。
酵素反応の後、酵素を失活させる工程を設けてもよい。酵素を失活させる方法としては、酵素処理を施したスラリーに酸成分もしくはアルカリ成分を添加して酵素を失活させる方法、酵素処理を施したスラリーの温度を90℃以上に上昇させて酵素を失活させる方法が挙げられる。
置換基除去処理工程が、置換基を有し、かつ繊維幅が1000nm以下の微細繊維状セルロースを酸処理する工程である場合、酸処理する工程では、上述した酸処理工程で用いることができる酸化合物をスラリーに添加することが好ましい。
置換基除去処理工程が、置換基を有し、かつ繊維幅が1000nm以下の微細繊維状セルロースをアルカリ処理する工程である場合、アルカリ処理する工程では、上述したアルカリ処理工程で用いることができるアルカリ化合物をスラリーに添加することが好ましい。
置換基除去処理工程では、置換基除去反応が均一に進むことが好ましい。反応を均一に進めるためには、たとえば微細繊維状セルロースを含むスラリーを撹拌してもよく、スラリーの比表面積を高めてもよい。スラリーを撹拌する方法としては、外部からの機械的シェアを与えてもよく、反応中のスラリーの送液速度を上げることで自己撹拌を促してもよい。
置換基除去処理工程では、スペーサー分子を添加してもよい。スペーサー分子は、隣接する微細繊維状セルロースの間に入り込み、それにより微細繊維状セルロース間に微細なスペースを設けるためのスペーサーとして働く。置換基除去処理工程において、このようなスペーサー分子を添加することで、置換基除去処理後の微細繊維状セルロースの凝集を抑制することができる。これにより、微細繊維状セルロースを含む分散液やシートの透明性をより効果的に高めることができる。
スペーサー分子は水溶性有機化合物であることが好ましい。水溶性有機化合物としては、たとえば、糖や水溶性高分子、尿素等を挙げることができる。具体的には、トレハロース、尿素、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキシド(PEO)、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール(PVA)等を挙げることができる。また、水溶性有機化合物として、メタクリル酸アルキル・アクリル酸コポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、イソプレングリコール、ヘキシレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ポリアクリルアミド、キサンタンガム、グアーガム、タマリンドガム、カラギーナン、ローカストビーンガム、クインスシード、アルギン酸、プルラン、カラギーナン、ペクチン、カチオン化デンプン、生デンプン、酸化デンプン、エーテル化デンプン、エステル化デンプン、アミロース等のデンプン類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸の金属塩を用いることもできる。
また、スペーサー分子として公知の顔料を使用することができる。たとえば、カオリン(含クレー)、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、非晶質シリカ(含コロイダルシリカ)、酸化アルミニウム、ゼオライト、セピオライト、スメクタイト、合成スメクタイト、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、珪藻土、スチレン系プラスチックピグメント、ハイドロタルサイト、尿素樹脂系プラスチックピグメント、ベンゾグアナミン系プラスチックピグメント等が挙げられる。
-pH調整工程-
置換基除去処理工程がスラリー状で行われる場合、置換基除去処理工程の前に、微細繊維状セルロースを含むスラリーのpHを調整する工程を設けてもよい。たとえば、セルロース繊維にアニオン性基を導入し、このアニオン性基の対イオンがNaである場合、解繊後の微細繊維状セルロースを含むスラリーは弱アルカリ性を示す。この状態で加熱を行うと、セルロースの分解により着色要因の一つである単糖が発生する場合があるため、スラリーのpHを8以下に調整することが好ましい。また、酸性条件においても同様に単糖が発生する場合があるため、スラリーのpHを3以上に調整することが好ましい。
また、置換基を有する微細繊維状セルロースがリン酸基を有する微細繊維状セルロースである場合、置換基の除去効率向上の観点から、リン酸基のリンが求核攻撃を受けやすい状態であることが好ましい。求核攻撃を受けやすいのは、セルロース-O-P(=O)(-O)(-ONa)と表される中和度1の状態であり、この状態とするには、スラリーのpHを3以上8以下に調整することが好ましく、pHを4以上6以下に調整することがさらに好ましい。
pHを調整する手段はとくに限定されないが、たとえば微細繊維状セルロースを含むスラリーに酸成分やアルカリ成分を添加してもよい。酸成分は無機酸および有機酸のいずれであってもよく、無機酸としては、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸等が挙げられる。有機酸としては、ギ酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、アジピン酸、セバシン酸、ステアリン酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、グルコン酸等が挙げられる。アルカリ成分は、無機アルカリ化合物であってもよいし、有機アルカリ化合物であってもよい。無機アルカリ化合物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられる。有機アルカリ化合物としては、アンモニア、ヒドラジン、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、ブチルアミン、ジアミノエタン、ジアミノプロパン、ジアミノブタン、ジアミノペンタン、ジアミノヘキサン、シクロヘキシルアミン、アニリン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ピリジン、N,N-ジメチル-4-アミノピリジン等が挙げられる。
また、pH調整工程では、pHを調整するためにイオン交換処理を行ってもよい。イオン交換処理に際しては、強酸性陽イオン交換樹脂もしくは弱酸性イオン交換樹脂を用いることができる。適切な量の陽イオン交換樹脂で十分な時間処理することにより、目的とするpHの微細繊維状セルロースを含むスラリーを得ることができる。さらに、pH調整工程では酸成分やアルカリ成分の添加とイオン交換処理を組み合わせてもよい。
<塩の除去処理>
置換基除去処理工程の後には、除去した置換基由来の塩の除去処理を行うことが好ましい。置換基由来の塩を除去することで、着色を抑制し得る微細繊維状セルロースが得られ易くなる。置換基由来の塩を除去する手段はとくに限定されないが、たとえば洗浄処理やイオン交換処理が挙げられる。洗浄処理は、たとえば水や有機溶媒により、置換基除去処理で凝集した微細繊維状セルロースを洗浄することにより行われる。イオン交換処理では、イオン交換樹脂を用いることができる。
-工程II-
本実施形態において、微細繊維状セルロースの製造方法は、置換基を有し、かつ繊維幅が1000nm以下の微細繊維状セルロースから、置換基の少なくとも一部を除去する工程(工程I)と、工程Iの後に、均一分散処理する工程(工程II)とを含んでもよい。均一分散処理する工程(工程II)は、工程Iの置換基除去処理を経て得られた微細繊維状セルロースを均一分散処理する工程である。工程Iにおいて、微細繊維状セルロースに対して置換基除去処理を施すことにより、少なくとも一部の微細繊維状セルロースが凝集する。工程IIは、このように凝集した微細繊維状セルロースを均一分散する工程である。工程IIにおける微細繊維状セルロースが均一分散された状態とは微細繊維状セルロースの繊維幅が10nm以下となる状態をいう。このように、本実施形態で得られる微細繊維状セルロースは、置換基導入量がたとえば0.5mmol/g未満という低置換基導入量であるにも関わらず、その繊維幅が10nm以下となる。
均一分散処理する工程(工程II)では、たとえば高速解繊機、グラインダー(石臼型粉砕機)、高圧ホモジナイザー高圧衝突型粉砕機、ボールミル、ビーズミル、ディスク型リファイナー、コニカルリファイナー、二軸混練機、振動ミル、高速回転下でのホモミキサー、超音波分散機またはビーターなどを使用することができる。上記均一分散処理装置の中でも、高速解繊機、高圧ホモジナイザーを用いることがより好ましい。
均一分散処理する工程(工程II)における処理条件はとくに限定されないが、処理中の微細繊維状セルロースの最高移動速度や、処理時の圧力を大きくすることが好ましい。高速解繊機においては、その周速は、好ましくは20m/sec以上、より好ましくは25m/sec以上、さらに好ましくは30m/sec以上である。高圧ホモジナイザーは、高速解繊機よりも、処理中の微細繊維状セルロースの最高移動速度や、処理時の圧力が大きくなるため、より好ましく使用できる。高圧ホモジナイザー処理においては、処理時の圧力は、好ましくは1MPa以上350MPa以下、より好ましくは10MPa以上300MPa以下、さらに好ましくは50MPa以上250MPa以下である。
なお、工程IIにおいては、上述したスペーサー分子を新たに添加してもよい。工程IIの均一分散処理工程において、このようなスペーサー分子を添加することで、微細繊維状セルロースの均一分散をよりスムーズに行うことができる。これにより、微細繊維状セルロースを含む分散液やシートの透明性をより効果的に高めることができる。
シートの固形分中の微細繊維状セルロースの含有量は、シートの透明性、および微細なパターンの形成を可能とする観点から、好ましくは20質量%以上、より好ましくは45質量%以上、さらに好ましくは65質量%以上であり、そして、好ましくは91質量%以下、さらに好ましくは85質量%以下、よりさらに好ましくは75質量%以下である。
微細繊維状セルロースとして、イオン性基を含有する微細繊維状セルロースと、未変性微細繊維状セルロースとを併用してもよい。
<親水性高分子>
本発明において、シートは親水性高分子を含有する。親水性高分子を微細繊維状セルロースと、特定量併用したシートとすることにより、生体高分子吸着性が得られる。
親水性高分子とは、一般に水に溶解、膨潤、または濡れやすい高分子化合物のことである。分子構造中に、カルボキシ基、スルホン基、またはアミノ基などのイオン性基を有する高分子化合物、水酸基、アミド基、エーテル基、またはポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基等の非イオン性の親水性基を有する高分子化合物が例示される。
親水性高分子としては、たとえばカルボキシビニルポリマー;ポリビニルアルコール;メタクリル酸アルキル・アクリル酸コポリマー;ポリビニルピロリドン;ポリビニルメチルエーテル;ポリアクリル酸ナトリウム等のポリアクリル酸塩;アクリル酸アルキルエステル共重合体;ウレタン系共重合体;変性ポリエステル;変性ポリイミド;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール;ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン等のポリカチオン;ポリアニオン;両性イオン型のポリマー;キサンタンガム、グアーガム、タマリンドガム、カラギーナン、ローカストビーンガム、クインスシード、アルギン酸、アルギン酸の金属塩、プルラン、サクラン、およびペクチンなどに例示される増粘性多糖類;カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、およびヒドロキシエチルセルロースなどに例示されるセルロース誘導体;カチオン化デンプン、生デンプン、酸化デンプン、エーテル化デンプン、エステル化デンプン、デキストリン、およびアミロースなどに例示されるデンプン類;ポリグリセリンなどのグリセリン類;ヒアルロン酸、ヒアルロン酸の金属塩;カゼインなどのタンパク質類等を挙げることができる。また、これらの親水性高分子の共重合体であってもよい。
セルロース誘導体としては、セルロースエーテルが好ましい。
本発明において、親水性高分子は、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、およびセルロースエーテルよりなる群から選択される少なくとも1つであることが好ましい。特定の親水性高分子を微細繊維状セルロースと、特定量併用することによって、より優れた生体高分子吸着性が得られるので好ましい。これらの中でも、より好ましくはポリアルキレンオキシド、ポリアルキレングリコール、変性ポリビニルアルコール、セルロースエーテル、さらに好ましくはポリアルキレンオキシド、セルロースエーテル、とくに好ましくはポリエチレンオキシド、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
ポリビニルアルコールは、部分ケン化または完全ケン化したポリビニルアルコールである。
変性ポリビニルアルコールとしては、エチレン変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、ケイ素変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコールなどが例示される。これらの中でも、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールが好ましい。
ポリアルキレングリコールは、平均分子量が2万以下であり、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールが例示され、好ましくはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、より好ましくはポリエチレングリコールである。
ポリアルキレンオキシドは、粘度平均分子量が2万を超え、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシドが例示され、好ましくはポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、より好ましくはポリエチレンオキシドである。ポリアルキレンオキシドの粘度平均分子量は、強度および生体高分子吸着性に優れるシートを得る観点から、好ましくは20万以上、より好ましくは50万超、さらに好ましくは100万以上、よりさらに好ましくは200万以上、とくに好ましくは300万以上であり、そして、好ましくは1000万以下、より好ましくは800万以下、さらに好ましくは600万以下である。
セルロースエーテルは、セルロースのヒドロキシ基をエーテルに変換した化合物である。
セルロースエーテルとしては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースが好ましく例示される。これらの中でも、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースがより好ましく、ヒドロキシプロピルメチルセルロースがさらに好ましい。
セルロースエーテルの重量平均分子量は、強度および生体高分子吸着性に優れるシートを得る観点から、好ましくは1.0×10以上、より好ましくは3.0×10以上、さらに好ましくは5.0×10以上であり、そして、好ましくは1.0×10以下、より好ましくは5.0×10以下、さらに好ましくは3.0×10以下である。セルロースエーテルの重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定される。
また、セルロースエーテルの置換度は、強度および生体高分子吸着性に優れるシートを得る観点から、全体として、好ましくは0.4以上、より好ましくは0.6以上、さらに好ましくは0.8以上、よりさらに好ましくは1.0以上であり、そして、好ましくは2.8以下、より好ましくは2.5以下、さらに好ましくは2.3以下である。
また、セルロースエーテルがヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロースである場合、ヒドロキシプロポキシ基、ヒドロキシエトキシ基の置換モル数は、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.05以上、さらに好ましくは0.10以上であり、そして、好ましくは0.50以下、より好ましくは0.40以下、さらに好ましくは0.30以下である。
ここで、置換度は、セルロースのグルコース環単位あたり、置換基で置換された水酸基の平均個数を意味し、置換モル数は、グルコース環単位あたりに付加した置換基の平均モル数を意味する。
シート中での親水性高分子の含有量は、微細繊維状セルロース100質量部に対する親水性高分子の含有量は、透明性に優れ、生体高分子に対する吸着性を向上させる観点から、10質量部以上、好ましくは15質量部以上、より好ましくは20質量部以上であり、そして、400質量部以下、好ましくは100質量部以下、より好ましくは50質量部以下である。
親水性高分子がセルロースエーテルである場合、微細繊維状セルロース100質量部に対するセルロースエーテルの含有量は、透明性に優れ、生体高分子に対する吸着性を向上させる観点から、10質量部以上、好ましくは15質量部以上、より好ましくは20質量部以上であり、そして、400質量部以下、好ましくは300質量部以下、より好ましくは200質量部以下である。
本実施形態において、シートの固形分中の微細繊維状セルロースおよび親水性高分子の合計含有量は、高い透明性を得る観点、および生体高分子に対する吸着性の向上させる観点から、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上であり、そして、100質量%以下であり、100質量%であることがとくに好ましい。
<その他の成分>
シートは、微細繊維状セルロース、および親水性高分子の他に、たとえば、紙力増強剤、熱可塑性樹脂(ただし、親水性高分子を除く)、界面活性剤、有機イオン、カップリング剤、無機層状化合物、無機化合物、レベリング剤、防腐剤、消泡剤、有機系粒子、潤滑剤、帯電防止剤、紫外線防御剤、染料、顔料、安定剤、磁性粉、配向促進剤、可塑剤、分散剤、および架橋剤から選択される1種または2種以上を含んでもよい。
これらの中でも、紙力増強剤としては、湿潤紙力増強剤が好ましく、たとえば、ポリアミンポリアミドエピクロロヒドリン(PAE)、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂等が挙げられる。湿潤紙力増強剤の含有量は、とくに限定されないが、湿潤紙力増強剤を添加する場合、微細繊維状セルロース(絶乾質量)100質量部に対して、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.07質量部以上であり、そして、好ましくは1.0質量部以下、より好ましくは0.7質量部以下である。紙力増強剤、好ましくは湿潤紙力増強剤を添加することにより、水に浸漬した後の形状保持性(耐水性)に優れるシートが得られるので好ましい。
また、シートは、耐水性付与の観点から、熱可塑性樹脂(ただし、親水性高分子を除く)を含有してもよく、熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂が例示される。熱可塑性樹脂は、エマルジョンの形態でシート原料に添加することが好ましい。熱可塑性樹脂の含有量はとくに限定されないが、熱可塑性樹脂を添加する場合、微細繊維状セルロース(絶乾質量)100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上であり、そして、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下である。
シートは、溶媒を含んでいてもよい。溶媒としては、たとえば解繊処理工程において分散媒として例示した、水および極性有機溶媒などの有機溶媒が例示される。
シート中における水を含む溶媒の含有量は、たとえばシートの全質量に対して、0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることがさらに好ましい。これにより、シートに柔軟性を付与することができる。一方で、シート中における溶媒の含有量は、たとえばシートの全質量に対して15質量%以下とすることがより好ましい。これにより、湿潤状態としたときにはじめて、基材の表面形状の転写性に優れるシートを得ることができる。
シートが含有する溶媒は、水であることが好ましい。
シート中における水の含有量(質量%)は、たとえば以下の手順で算出することができる。まず、100mm角のシートを温度23℃、相対湿度50%の条件下で24時間調湿した後、シートの質量W0を測定する。次いで、このシートを105℃の恒温乾燥機にて16時間乾燥させた後、シートの質量W1を測定する。測定した質量から、下記式2にしたがってシート中における溶媒の含有量を算出する。
(式2)・・・シート中における水の含有量=(1-W1/W0)×100
<シートの特性>
〔ヘーズ〕
本実施形態のシートは、ヘーズが80%以下であることが好ましい。ヘーズが80%以下であると、透明性に優れ、たとえば、光学顕微鏡や画像解析によりシートへの生体高分子の吸着等を容易に分析、解析、観察することができる。
シートのヘーズは、より好ましくは60%以下、さらに好ましくは50%以下、よりさらに好ましくは30%以下、よりさらに好ましくは10%以下、とくに好ましくは5%以下、最も好ましくは3%以下である。
凹凸形状を形成することによって、ヘーズが高くなる傾向があるため、ヘーズの観点からは、凹凸形状を形成しないことが好ましい。
なお、後述するように、ナノドットアレイを用いて凹凸形状を形成した場合には、ヘーズの低いシートが得られるので好ましい。この場合、凹凸形状の平均間隔Smが100nm以上500nm以下の微細構造(たとえば、ナノドットアレイ(日本登録商標))の凹凸形状の転写により形成された凹凸形状を有すると、とくにヘーズが低く、透明性に優れたシートが得られるので好ましい。
シートのヘーズは、JIS K 7136:2000に準拠してヘーズメータ(株式会社村上色彩技術研究所製、HM-150)により測定される。
〔全光線透過率〕
本実施形態のシートは、透明性に優れることが好ましく、シートの全光線透過率は、好ましくは85%以上、よりに好ましくは88%以上、さらに好ましくは90%以上である。シートの全光線透過率の上限はとくに限定されず、たとえば100%であってもよい。ここで、シートの全光線透過率は、たとえばJIS K 7361-1:1997に準拠し、ヘーズメータ(株式会社村上色彩技術研究所製、HM-150)を用いて測定される値である。
〔算術平均粗さRa〕
本実施形態のシートは、ヘーズが小さく、透明性に優れるシートとする観点から、生体高分子吸着面の算術平均粗さRaが、好ましくは700nm以下、より好ましくは600nm以下、さらに好ましくは300nm以下、よりさらに好ましくは150nm以下であり、そして、下限はとくに限定されないが、製造容易性の観点から、好ましくは10nm以上、より好ましくは20nm以上、さらに好ましくは30nm以上である。
算術平均粗さRaは、JIS B 0601:1994に準拠して測定され、粗さ曲線から、その平均線の方向に基準長さLだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線から測定曲線までの偏差の絶対値を合計し、平均した値である。
具体的には、実施例に記載の方法により測定される。
〔凹凸形状〕
本実施形態のシートは、少なくとも生体高分子吸着面に凹凸形状を有していてもよい。なお、本実施形態のシートは、特定の親水性高分子を特定量含有することによって、凹凸形状を有していなくても、生体高分子吸着能を有するが、表面積を増加させて、生体高分子に対する吸着能を向上させる観点からは、少なくとも生体高分子吸着面に凹凸形状を有することが好ましい。なお、他方の面にも凹凸形状を有していてもよく、用途によって適宜選択すればよい。
(凹凸形状の平均間隔Sm)
凹凸形状の平均間隔Smは、表面積を有意に増加させる観点から、60μm以下であることが好ましい。凹凸形状の平均間隔Smは、より好ましくは45μm以下、さらに好ましくは10μm以下、よりさらに好ましくは1μm以下、とくにさらに好ましくは500nm以下、最も好ましくは200nm以下である。
また、凹凸形状の平均間隔Smの下限はとくに限定されないが、製造容易性の観点から、好ましくは10nm以上、より好ましくは30nm以上、さらに好ましくは50nm以上である。
本発明において、凹凸形状は、凹凸形状の平均間隔Smが100nm以上500nm以下の微細構造の凹凸形状の転写により形成されることがとくに好ましい。また、微細構造は、点在する微細構造であることが好ましい。微細構造および凹凸形状の転写については後述する。
凹凸形状の平均間隔Smは、JIS B 0601:1994に準拠して測定され、粗さ曲線要素の平均長さを意味する。粗さ曲線から、その平均線の方向に、基準長さLだけ抜き取り、1つの山およびそれに隣り合う1つの谷に対応する平均線の長さの和を求め、平均値を表したものである。
なお、より微細な凹凸形状である場合には、JIS B 0601:1994に準拠して測定することが困難である。その場合には、凹凸形成面を観察面とし、走査型電子顕微鏡で観察し、凹凸の基部の間隔の長さを10点測定し、この平均値をSmとする。
具体的には、実施例に記載の方法により測定される。
凹凸形状の平均間隔Smが1μm以下の微細な凹凸形状である場合には、とくにヘーズが小さく、透明性に優れたシートが得られるので好ましい。
(凹凸形状の種類)
本実施形態において、シート表面上の凹凸形状はとくに限定されず、周期性のある凹凸形状、周期性のない凹凸形状のいずれでもよいが、より微細な凹凸形状を形成できる観点から、周期性のある凹凸形状であることが好ましい。
周期性のある凹凸形状としては、表面の一方向に延在する凹部(溝部)であってもよく、また、点在する凹部または凸部を有する形状であってもよいが、表面積をより効果的に増加させる観点から、凹凸形状が点在していることが好ましく、製造容易性の観点から、凹部が点在した凹凸形状であることが好ましい。
上記凹凸形状は、後述するように、凹凸を有する転写基材(以下、「凹凸転写基材」ともいう)の表面形状を転写することにより形成されることが好ましい。
〔厚み〕
本実施形態において、シートの厚みは、強度、透明性、および経済性の観点から、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは20μm以上であり、そして、好ましくは300μm以下、より好ましくは200μm以下、さらに好ましくは100μm以下である。
なお、シートの厚みは定圧厚さ測定器(TECLOCK CORPORATION製、PG-02)で測定することができる。具体的には、50mm角以上の大きさに切り出したシートを23℃、相対湿度50%で24時間調湿した後、任意の点4点の厚みを測定し、その平均値をシートの厚みとする。
〔坪量および密度〕
シートの坪量は、とくに限定されないが、たとえば、好ましくは5g/m以上、より好ましくは10g/m以上、さらに好ましくは20g/m以上であり、そして、好ましくは300g/m以下、より好ましくは200g/m以下、さらに好ましくは100g/m以下である。ここで、シートの坪量は、以下の方法にしたがって算出される値である。具体的には、50mm角以上の大きさに切り出したシートを23℃、相対湿度50%で24時間調湿した後、質量を測定し、この質量を切り出したシートの面積で除し、シートの坪量を算出する。
シートの密度は、とくに限定されないが、たとえば、好ましくは0.1g/cm以上、より好ましくは0.5g/cm以上、さらに好ましくは0.8g/cm以上であり、そして、好ましくは5.0g/cm以下、より好ましくは3.0g/cm以下、さらに好ましくは1.7g/cm以下である。ここで、シートの密度は、50mm角のシートを23℃、50%RH条件下で24時間調湿した後、シートの厚みおよび質量を測定することにより算出することができる。
<シートの用途>
本実施形態のシートは、生体高分子吸着用のシートである。生体高分子は、生体内に存在する高分子の有機化合物を意味し、多糖類、タンパク質(酵素、ペプチド)、核酸、糖タンパク質などが例示される。また、本発明において、生体高分子は、生体組織や細胞を含むものとする。
これらの中でも、本実施形態のシートは、生体高分子として、タンパク質および多糖類から選択される少なくとも1つの生体高分子吸着用シートであることが好ましく、タンパク質に対する生体高分子吸着用シートであることがより好ましい。また、生体組織や細胞に対する吸着性をも有することが好ましい。
たとえば、シートに吸着したタンパク質に対して、該タンパク質の抗体を作用させることにより、サンプル中の特定のタンパク質の量を定量化したり、シートに細胞を吸着させることにより、該細胞に発現している特定のタンパク質の量を定量化することに使用が期待される。
[シートの製造方法]
<第1の生体高分子吸着用シートの製造方法>
本実施形態の第1の生体高分子吸着用シートの製造方法は、繊維幅が1000nm以下の微細繊維状セルロースと、親水性高分子とを含有する生体高分子吸着用シートの製造方法であって、前記微細繊維状セルロース100質量部に対し、前記親水性高分子を10質量部以上400質量部以下含み、下記工程1および工程2をこの順で有する。
工程1:微細繊維状セルロースおよび親水性高分子を含有する液状のシート原料を、凹凸を有しない基材上に塗工する工程
工程2:シート原料を乾燥させて、生体高分子吸着用シートを得る工程
第一の生体高分子吸着用シートの製造方法は、表面に凹凸形状を有していないシートの製造方法である。
第1の生体高分子吸着用シートの製造方法に使用する微細繊維状セルロース、親水性高分子、およびその含有量等に関しては、上述した本実施形態の生体高分子吸着用シートで述べた微細繊維状セルロース、親水性高分子、およびその含有量と同様であり、好ましい態様も同じである。
以下、工程1および工程2について説明する。
〔工程1〕
本実施形態においては、微細繊維状セルロース含有シートは、たとえば上述した微細繊維状セルロースおよび親水性高分子、並びに必要に応じてその他の成分を含有する液状の組成物であるシート原料を基材上に塗工する工程(塗工工程)を含む。
シート原料は、微細繊維状セルロースおよび親水性高分子を含有し、微細繊維状セルロース100質量部に対し、親水性高分子を10質量部以上400質量部以下含む。
シート原料中の微細繊維状セルロースの濃度は、塗工時に適度な粘度を有し、均一なシートを得る観点、および工程2における乾燥を容易にする観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上であり、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。
塗工工程では、たとえば微細繊維状セルロースおよび親水性高分子を含む液状のシート原料(スラリー)を基材上に塗工する。また、塗工装置と長尺の基材を用いることで、シートを連続的に生産することができる。
塗工工程で用いる基材の材質は、とくに限定されないが、シート原料(スラリー)に対する濡れ性が高いものの方が乾燥時のシートの収縮等を抑制することができてよいが、乾燥後に形成されたシートが容易に剥離できるものを選択することが好ましい。中でも樹脂製のフィルムや板、または金属製のフィルムや板が好ましいが、とくに限定されない。たとえばアクリル、ポリエチレンテレフタレート、塩化ビニル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニリデン等の樹脂のフィルムや板、アルミニウム、亜鉛、銅、鉄板の金属のフィルムや板、および、それらの表面を酸化処理したもの、ステンレスのフィルムや板、真ちゅうのフィルムや板等を用いることができる。
塗工工程において、スラリーの粘度が低く、基材上で展開してしまう場合には、所定の厚みおよび坪量のシートを得るため、基材上に堰止用の枠を固定して使用してもよい。堰止用の枠としては、とくに限定されないが、たとえば乾燥後に付着するシートの端部が容易に剥離できるものを選択することが好ましい。このような観点から、樹脂板または金属板を成形したものがより好ましい。本実施形態においては、たとえばアクリル板、ポリエチレンテレフタレート板、塩化ビニル板、ポリスチレン板、ポリプロピレン板、ポリカーボネート板、ポリ塩化ビニリデン板等の樹脂板や、アルミニウム板、亜鉛板、銅板、鉄板等の金属板、およびこれらの表面を酸化処理したもの、ステンレス板、真ちゅう板等を成形したものを用いることができる。
スラリーを基材に塗工する塗工機としては、とくに限定されないが、たとえばロールコーター、グラビアコーター、ダイコーター、カーテンコーター、エアドクターコーター等を使用することができる。シートの厚みをより均一にできることから、ダイコーター、カーテンコーター、スプレーコーターがとくに好ましい。
スラリーを基材へ塗工する際のスラリー温度および雰囲気温度(以下、スラリー温度および雰囲気温度を総称して、「塗工温度」という。)は、とくに限定されないが、たとえば5℃以上80℃以下であることが好ましく、10℃以上60℃以下であることがより好ましく、15℃以上50℃以下であることがさらに好ましく、20℃以上40℃以下であることがとくに好ましい。塗工温度が上記下限値以上であれば、スラリーをより容易に塗工できる。塗工温度が上記上限値以下であれば、塗工中の分散媒の揮発を抑制できる。
塗工工程においては、シートの仕上がり坪量やシートの厚みが上述した好ましい範囲となるように、スラリーを基材に塗工することが好ましい。坪量や厚みが上記範囲内となるように塗工することで、より透明性、強度および柔軟性に優れたシートが得られる。
また、上述のように、スラリーの透過性を有しない基材を使用する所謂塗工だけでなく、基材として濾布を使用することによって、所謂抄紙を行ってもよい。
抄紙機としては、とくに限定されないが、たとえば長網式、円網式、傾斜式等の連続抄紙機、またはこれらを組み合わせた多層抄き合わせ抄紙機等が挙げられる。抄紙工程では、手抄き等の公知の抄紙方法を採用してもよい。
抄紙工程は、スラリーをワイヤーにより濾過、脱水して湿紙状態のシートを得た後、このシートをプレスすることにより行われる。スラリーを濾過、脱水する際に用いられる濾布としては、とくに限定されないが、たとえば繊維状セルロースは通過せず、かつ濾過速度が遅くなりすぎないものであることがより好ましい。このような濾布としては、とくに限定されないが、たとえば有機ポリマーからなるシート、織物、多孔膜が好ましい。有機ポリマーとしてはとくに限定されないが、たとえばポリエチレンテレフタレートやポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のような非セルロース系の有機ポリマーが好ましい。本実施形態においては、たとえば孔径0.1μm以上20μm以下であるポリテトラフルオロエチレンの多孔膜や、孔径0.1μm以上20μm以下であるポリエチレンテレフタレートやポリエチレンの織物等が挙げられる。
抄紙により、シート原料(スラリー)からシートを製造する方法は、たとえば微細繊維状セルロースおよび親水性高分子を含むスラリーを無端ベルトの上面に塗工(たとえば、吐出)し、塗工されたスラリーから分散媒を搾水してウェブを生成する搾水セクションと、後述する工程2に該当する、ウェブを乾燥させてシートを生成する乾燥セクションとを備える製造装置を用いて行うことができる。搾水セクションから乾燥セクションにかけて無端ベルトが配設され、搾水セクションで生成されたウェブが無端ベルトに載置されたまま乾燥セクションに搬送される。
抄紙工程において用いられる脱水方法としては、とくに限定されないが、たとえば紙の製造で通常に使用している脱水方法が挙げられる。これらの中でも、長網、円網、傾斜ワイヤーなどで脱水した後、さらにロールプレスで脱水する方法が好ましい。
〔工程2〕
工程2では、シート原料を乾燥させて、生体高分子吸着用シートを得る。
シート原料(スラリー)を乾燥させる工程は、とくに限定されないが、たとえば非接触の乾燥方法、もしくはシートを固定しながら乾燥する方法、またはこれらの組み合わせにより行われる。
非接触の乾燥方法としては、とくに限定されないが、たとえば熱風、赤外線、遠赤外線もしくは近赤外線により加熱して乾燥する方法(加熱乾燥法)、または真空にして乾燥する方法(真空乾燥法)を適用することができる。加熱乾燥法と真空乾燥法を組み合わせてもよいが、通常は、加熱乾燥法が適用される。赤外線、遠赤外線または近赤外線による乾燥は、とくに限定されないが、たとえば赤外線装置、遠赤外線装置または近赤外線装置を用いて行うことができる。
加熱乾燥法における加熱温度は、とくに限定されないが、たとえば20℃以上150℃以下とすることが好ましく、25℃以上105℃以下とすることがより好ましい。加熱温度を上記下限値以上とすれば、分散媒を速やかに揮発させることができる。また、加熱温度が上記上限値以下であれば、加熱に要するコストの抑制および微細繊維状セルロースの熱による変色の抑制を実現できる。
工程2の後に、乾燥して形成されたシートを基材から剥離することによって、生体高分子吸着用シートが得られる。
また、上述するように、工程1が抄紙工程である場合には、脱水後のウェブを乾燥すればよい。用いられる乾燥方法としては、とくに限定されないが、たとえば紙の製造で用いられている方法が挙げられる。これらの中でも、シリンダードライヤー、ヤンキードライヤー、熱風乾燥、近赤外線ヒーター、赤外線ヒーターなどを用いた乾燥方法がより好ましい。
生体高分子吸着用シートの厚み、坪量、および密度は、シートとしての所望の厚み、坪量、および密度に応じて、適宜設定すればよい。
<第2~第4の生体高分子吸着用シートの製造方法>
本実施形態の第2の生体高分子吸着用シートの製造方法は、以下の方法Aであり、本実施形態の第3の生体高分子吸着用シートの製造方法は、以下の方法Bであり、本実施形態の第4の生体高分子吸着用シートの製造方法は、以下の方法Cである。方法A~方法Cによれば、表面に凹凸を有する生体高分子吸着用シートが得られる。なお、上述した本実施形態のシートの中で、少なくとも一面に凹凸形状を有する生体高分子吸着用シートは、以下の方法A~方法Cのいずれかの方法で製造されることが好ましい。
方法A:
繊維幅が1000nm以下の微細繊維状セルロースと、親水性高分子とを含有する生体高分子吸着用シートの製造方法であって、前記微細繊維状セルロース100質量部に対し、前記親水性高分子を10質量部以上400質量部以下含み、下記工程A1および工程A2をこの順で有する。
工程A1:凹凸を有する基材上に、繊維幅1000nm以下の微細繊維状セルロースおよび親水性高分子を含有する液状のシート原料を塗工する工程
工程A2:この状態でシート原料を乾燥させて凹凸を転写したシートを得る工程
方法B:
繊維幅が1000nm以下の微細繊維状セルロースと、親水性高分子とを含有する生体高分子吸着用シートの製造方法であって、前記微細繊維状セルロース100質量部に対し、前記親水性高分子を10質量部以上400質量部以下含み、下記工程B1および工程B2をこの順で有する。
工程B1:凹凸を有する基材上に、繊維幅1000nm以下の微細繊維状セルロースおよび親水性高分子を含有するシートを載置して、積層体を得る工程
工程B2:積層体を加熱下でプレスし、凹凸を転写する工程
方法C:
繊維幅が1000nm以下の微細繊維状セルロースと、親水性高分子とを含有する生体高分子吸着用シートの製造方法であって、前記微細繊維状セルロース100質量部に対し、前記親水性高分子を10質量部以上400質量部以下含み、下記工程C1~工程C3をこの順で有する。
工程C1:凹凸を有する基材上に、湿潤状態とした繊維幅1000nm以下の微細繊維状セルロースおよび親水性高分子を含有するシートを載置して、積層体を得る工程
工程C2:積層体を加圧して、シートを基材に密着させる工程
工程C3:シートを基材に密着させた状態で乾燥させて凹凸を転写したシートを得る工程
なお、方法A~方法Cで使用する微細繊維状セルロース、親水性高分子、およびその含有量等に関しては、上述した本実施形態の生体高分子吸着用シートで述べた微細繊維状セルロース、親水性高分子、およびその含有量と同様であり、好ましい態様も同じである。
以下、方法Aについて説明した後、方法BおよびCについて説明する。
<方法A>
方法Aは、下記工程A1および工程A2をこの順で有する。
工程A1:凹凸を有する基材上に、繊維幅1000nm以下の微細繊維状セルロースおよび親水性高分子を含有する液状のシート原料を塗工する工程
工程A2:この状態でシート原料を乾燥させて凹凸を転写したシートを得る工程
〔工程A1〕
工程A1で使用する凹凸を有する基材および繊維幅1000nm以下の微細繊維状セルロースを含有する液状のシート原料について説明する。
(凹凸を有する基材)
凹凸を有する基材としては、とくに限定されないが、得られるシートの凹凸形状の平均間隔Smが60μm以下となることが好ましい。
凹凸を有する基材の材質としてはとくに限定されないが、シート原料を塗工する観点から、シート原料を塗工することにより、表面形状が変化しないことが好ましい。
具体的には、基材の表面は、金属、シリコン、セラミックス、プラスチック、ガラス、およびゴムから選択される材料で形成されていることが好ましい。
凹凸形状として多孔質状の凹凸形状を有する基材としては、メンブレンフィルターの他、ガラスフィルター、剥離紙、金属メッシュ等が例示される。
メンブレンフィルターは、ADVANTEC社、GVS社等から上市されており、所望の凹凸形状の平均間隔Smに応じて、適宜選択すればよい。すなわち、所望の凹凸形状の平均間隔Smが得られるように、適宜メンブレンフィルターを選択すればよい。なお、凹凸を有する基材としてメンブレンフィルターを用いる場合、フィルター孔径に応じた凹凸形状が形成されるものではなく、一般には、たとえば、Smが10μm以上60μm以下程度の凹凸形状が形成される。また、該凹凸形状は、明確な周期性を有していない。
凹凸形状として、マイクロメートル~ナノメートルオーダーの一方向に延在する構造(凸形状、凹形状)を有する基材としては、レンチキュラーレンズ、ナノバックリング(日本登録商標)等が例示される。
ナノバックリングは、ナノバックリング形状を有するシートであって、ナノバックリング形状とは、フィルム基材の片面上に設けてある、硬質層を略一方向に圧縮させることによって蛇行変形して得られる形状である。ナノバックリングは、たとえば、特開2011-224916号公報、特開2008-302591号公報に記載の方法により得られる。なお、たとえば、ナノバックリング形状を加熱収縮により製造する場合には、該加熱収縮したシート自体をナノバックリングとして使用してもよく、加熱収縮したシート形状を転写して、凹凸を有する基材としてもよく、とくに限定されない。ナノバックリングとしては、王子エフテックス株式会社から上市されている、ナノバックリングシートを使用してもよい。上記のナノバックリングシートはたとえばPETフィルムとアクリル樹脂層の積層体であり、アクリル樹脂層に蛇行した波状の凸条部を複数有するナノバックリング構造が形成されている。
図3は、ナノバックリングシートの一例を示す断面斜視図である。図3中、ナノバックリングシート10は、基材11と、基材11の片面に設けられた硬質層12とを備え、硬質層12は、凹凸形状12aを有している。凹凸形状12aは、略一方向に沿った波状の凹凸を有し、その波状の凹凸が蛇行しており、凹部の底部12bを有する。
凹凸形状として、マイクロメートル~ナノメートルオーダーの点在した微細構造(凸形状または凹形状)を有する基材としては、ナノドットアレイ(日本登録商標)およびモスアイ構造の他、電子線リソグラフィー、干渉露光法、陽極酸化法などにより作製される微細構造が例示される。
ナノドットアレイは、ナノサイズの突起部が点状に形成された基材であり、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、シクロオレフィン樹脂などの各種樹脂基材を成形するか、シリコン、石英ガラス等を直接加工することにより得られる。ナノドットアレイは、各種のドット形状、ドット間の平均間隔、ドットの高さ等を設計可能である。
図4は、ナノドットアレイの一例を示す断面斜視図である。図4中、ナノドットアレイは、基材14と、基材14の片面に円錐状の凸部116cが、点状に離間して周期的に形成されている。
図5は、ナノドットアレイの他の一例を示す断面斜視図である。図5中、ナノドットアレイは、基材14と、基材14の片面に正弦波形状の凸部116aが、点状に離間して周期的に形成されている。
なお、凸部の形状は、円錐状や正弦波形状に限定されるものではなく、円錐台形状、円柱状などであってもよい。
モスアイ構造を有する基材としては、たとえば、ジオマテック社および三菱ケミカル株式会社製のモスアイ構造フィルム(たとえば、モスアイ反射防止フィルム)が例示される。モスアイ構造を有するフィルムの製造方法としては、たとえば、特開2020-076996号公報が参照される。
なお、上記のような微細構造の製造方法としては、とくに限定されず、たとえば特開2009-034630号公報に記載された、コロイダルリソグラフィー法により作製してもよく、また、電子線リソグラフィー、干渉露光法、陽極酸化法などが挙げられる。
また、微細構造は凸形状に限定されるものではなく、たとえば、特開2009-034630号に記載のナノインプリントモールドを用いて凹凸を転写した場合には、本発明のシートに凸形状が転写されることとなる。このように、凸形状を転写する場合には、方法A~方法Cの中でも、とくに方法Aが好適である。
基材として微細構造を有する基材を使用した場合、凹凸形状が転写された本発明のシートは、三次元方向に凹凸を有する構造となり、二次元方向には、たとえば、三角格子配列、正方格子配列、ランダム配列等を有する。
凹凸を有する基材は、表面に離型層を有していてもよい。離型層を有することにより、工程2Aを経て得られたシートを、凹凸を有する基材から剥離する際に、容易に剥離することができ、剥離の際に凹凸形状の損傷が抑制されるので好ましい。
離型層としては、離型剤が付与された層であってもよく、バインダー樹脂および離型剤を含む層であってもよい。離型剤としては、シリコーン系化合物、フッ素系化合物等が例示され、バインダーとともに離型層を形成する場合には、ワックス、金属石鹸等であってもよい。中でも、フッ素系化合物が好ましい。
前記バインダー樹脂としては、ウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、ポリアミド系樹脂、メラミン系樹脂、ポリオール樹脂、ポリビニルアルコール等が例示される。
離型層の厚みについてはとくに限定されないが、基材と強固に結合できる観点から、20nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがより好ましく、5nm以下であることがさらに好ましい。また、1nm以上であることが好ましい。
(微細繊維状セルロースを含有するシート原料)
上記凹凸を有する基材上に塗工される、微細繊維状セルロースおよび親水性高分子を含有する液状のシート原料は、前記工程1にて使用した液状のシート原料と同様である。
工程A1にて、凹凸を有する基材上に塗工するシート原料の量はとくに限定されず、上述した好ましいシートの厚みが得られるように、適宜設定すればよい。
シート原料を、凹凸を有する基材上に塗工する方法はとくに限定されず、公知の方法から適宜選択すればよい。
シート原料を、凹凸を有する基材上に塗工する際のシート原料の温度および雰囲気温度(以下、シート原料温度および雰囲気温度を総称して、「塗工温度」という。)は、とくに限定されないが、たとえば5℃以上80℃以下であることが好ましく、10℃以上60℃以下であることがより好ましく、15℃以上50℃以下であることがさらに好ましく、20℃以上40℃以下であることがとくに好ましい。塗工温度が上記下限値以上であれば、スラリーをより容易に塗工できる。塗工温度が上記上限値以下であれば、塗工中の分散媒の揮発を抑制できる。
なお、シート原料を、凹凸を有する基材上に塗工する際に、凹凸を有する基材上に堰止用の枠を固定して使用してもよい。堰止用の枠としては、とくに限定されないが、たとえば乾燥後に付着するシートの端部が容易に剥離できるものを選択することが好ましい。このような観点から、樹脂板または金属板を成形したものがより好ましい。本実施形態においては、たとえばアクリル板、ポリエチレンテレフタレート板、塩化ビニル板、ポリスチレン板、ポリプロピレン板、ポリカーボネート板、ポリ塩化ビニリデン板等の樹脂板や、アルミニウム板、亜鉛板、銅板、鉄板等の金属板、およびこれらの表面を酸化処理したもの、ステンレス板、真ちゅう板等を成形したものを用いることができる。
また、凹凸を有する基材の下に、さらに基材を配置してもよく、当該基材としては、後述する工程B1で使用する微細繊維状セルロース含有シートの製造に使用する基材が例示される。
〔工程A2〕
工程A2では、工程A1で凹凸を有する基材上に塗工したシート原料を、この状態で乾燥させて、凹凸を転写したシートを得る。
凹凸を有する基材上に塗工したシート原料を乾燥させる工程は、とくに限定されないが、前記工程2と同様の工程が例示される。
乾燥したシートを、凹凸を有する基材から剥離することによって、凹凸を有する生体高分子吸着用シートが得られる。
<方法B>
方法Bは、下記工程B1および工程B2をこの順で有する。
工程B1:凹凸を有する基材上に、繊維幅1000nm以下の微細繊維状セルロースおよび親水性高分子を含有するシートを載置して、積層体を得る工程
工程B2:積層体を加熱下でプレスし、凹凸を転写する工程
〔工程B1〕
工程B1で使用する凹凸を有する基材および繊維幅1000nm以下の微細繊維状セルロースおよび親水性高分子を含有するシートについて説明する。
なお、以下の説明において、工程B1または後述する工程C1で使用する、繊維幅1000nm以下の微細繊維状セルロースおよび親水性高分子を含有し、該微細繊維状セルロース100質量部に対し、該親水性高分子を10質量部以上400質量部以下含む、凹凸形状を形成前のシートを、微細繊維状セルロース含有シートともいう。
(凹凸を有する基材)
工程B1で使用する凹凸を有する基材としては、上述した工程A1で使用する凹凸を有する基材と同様の基材が例示される。
基材B1で使用する凹凸を有する基材の材料は、工程B2で加熱プレスすることを考慮して、耐熱性を有する材料から適宜選択すればよい。
(微細繊維状セルロース含有シート)
本実施形態においては、微細繊維状セルロース含有シートは、たとえば上述した微細繊維状セルロースおよび親水性高分子、並びにその他の成分を含有する液状の組成物を用いて、後述のシート化工程を実施することにより、得ることができる。
微細繊維状セルロース含有シートの製造工程は、少なくとも前記組成物を基材上に塗工する塗工工程、または当該スラリーを抄紙する抄紙工程を含むことが好ましい。これにより、微細繊維状セルロースおよび親水性高分子を含む微細繊維状セルロース含有シートが得られる。
-塗工工程-
塗工工程では、たとえば微細繊維状セルロースを含むスラリーを基材上に塗工し、これを乾燥して形成されたシートを基材から剥離することによりシートを得ることができる。また、塗工装置と長尺の基材を用いることで、シートを連続的に生産することができる。
塗工工程で用いる基材の材質は、とくに限定されないが、組成物(スラリー)に対する濡れ性が高いものの方が乾燥時のシートの収縮等を抑制することができてよいが、乾燥後に形成されたシートが容易に剥離できるものを選択することが好ましい。中でも樹脂製のフィルムや板、または金属製のフィルムや板が好ましいが、とくに限定されない。たとえばアクリル、ポリエチレンテレフタレート、塩化ビニル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニリデン等の樹脂のフィルムや板、アルミニウム、亜鉛、銅、鉄板の金属のフィルムや板、および、それらの表面を酸化処理したもの、ステンレスのフィルムや板、真ちゅうのフィルムや板等を用いることができる。
塗工工程において、スラリーの粘度が低く、基材上で展開してしまう場合には、所定の厚みおよび坪量のシートを得るため、基材上に堰止用の枠を固定して使用してもよい。堰止用の枠としては、とくに限定されないが、たとえば乾燥後に付着するシートの端部が容易に剥離できるものを選択することが好ましい。このような観点から、樹脂板または金属板を成形したものがより好ましい。本実施形態においては、たとえばアクリル板、ポリエチレンテレフタレート板、塩化ビニル板、ポリスチレン板、ポリプロピレン板、ポリカーボネート板、ポリ塩化ビニリデン板等の樹脂板や、アルミニウム板、亜鉛板、銅板、鉄板等の金属板、およびこれらの表面を酸化処理したもの、ステンレス板、真ちゅう板等を成形したものを用いることができる。
スラリーを基材に塗工する塗工機としては、とくに限定されないが、たとえばロールコーター、グラビアコーター、ダイコーター、カーテンコーター、エアドクターコーター等を使用することができる。シートの厚みをより均一にできることから、ダイコーター、カーテンコーター、スプレーコーターがとくに好ましい。
スラリーを基材へ塗工する際のスラリー温度および雰囲気温度(以下、スラリー温度および雰囲気温度を総称して、「塗工温度」という。)は、とくに限定されないが、たとえば5℃以上80℃以下であることが好ましく、10℃以上60℃以下であることがより好ましく、15℃以上50℃以下であることがさらに好ましく、20℃以上40℃以下であることがとくに好ましい。塗工温度が上記下限値以上であれば、スラリーをより容易に塗工できる。塗工温度が上記上限値以下であれば、塗工中の分散媒の揮発を抑制できる。
塗工工程においては、シートの仕上がり坪量やシートの厚みが上述した好ましい範囲となるように、スラリーを基材に塗工することが好ましい。坪量や厚みが上記範囲内となるように塗工することで、より透明性、強度および柔軟性に優れたシートが得られる。
塗工工程は、上述のとおり、基材上に塗工したスラリーを乾燥させる工程を含む。スラリーを乾燥させる工程は、とくに限定されないが、たとえば非接触の乾燥方法、もしくはシートを固定しながら乾燥する方法、またはこれらの組み合わせにより行われる。
非接触の乾燥方法としては、とくに限定されないが、たとえば熱風、赤外線、遠赤外線もしくは近赤外線により加熱して乾燥する方法(加熱乾燥法)、または真空にして乾燥する方法(真空乾燥法)を適用することができる。加熱乾燥法と真空乾燥法を組み合わせてもよいが、通常は、加熱乾燥法が適用される。赤外線、遠赤外線または近赤外線による乾燥は、とくに限定されないが、たとえば赤外線装置、遠赤外線装置または近赤外線装置を用いて行うことができる。
加熱乾燥法における加熱温度は、とくに限定されないが、たとえば20℃以上150℃以下とすることが好ましく、25℃以上105℃以下とすることがより好ましい。加熱温度を上記下限値以上とすれば、分散媒を速やかに揮発させることができる。また、加熱温度を上記上限値以下であれば、加熱に要するコストの抑制および繊維状セルロースの熱による変色の抑制を実現できる。
-抄紙工程-
抄紙工程は、抄紙機によりスラリーを抄紙することにより行われる。抄紙工程で用いられる抄紙機としては、とくに限定されないが、たとえば長網式、円網式、傾斜式等の連続抄紙機、またはこれらを組み合わせた多層抄き合わせ抄紙機等が挙げられる。抄紙工程では、手抄き等の公知の抄紙方法を採用してもよい。
抄紙工程は、スラリーをワイヤーにより濾過、脱水して湿紙状態のシートを得た後、このシートをプレス、乾燥することにより行われる。スラリーを濾過、脱水する際に用いられる濾布としては、とくに限定されないが、たとえば繊維状セルロースは通過せず、かつ濾過速度が遅くなりすぎないものであることがより好ましい。このような濾布としては、とくに限定されないが、たとえば有機ポリマーからなるシート、織物、多孔膜が好ましい。有機ポリマーとしてはとくに限定されないが、たとえばポリエチレンテレフタレートやポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のような非セルロース系の有機ポリマーが好ましい。本実施形態においては、たとえば孔径0.1μm以上20μm以下であるポリテトラフルオロエチレンの多孔膜や、孔径0.1μm以上20μm以下であるポリエチレンテレフタレートやポリエチレンの織物等が挙げられる。
抄紙工程において、スラリーからシートを製造する方法は、たとえば微細繊維状セルロースを含むスラリーを無端ベルトの上面に吐出し、吐出されたスラリーから分散媒を搾水してウェブを生成する搾水セクションと、ウェブを乾燥させてシートを生成する乾燥セクションとを備える製造装置を用いて行うことができる。搾水セクションから乾燥セクションにかけて無端ベルトが配設され、搾水セクションで生成されたウェブが無端ベルトに載置されたまま乾燥セクションに搬送される。
抄紙工程において用いられる脱水方法としては、とくに限定されないが、たとえば紙の製造で通常に使用している脱水方法が挙げられる。これらの中でも、長網、円網、傾斜ワイヤーなどで脱水した後、さらにロールプレスで脱水する方法が好ましい。また、抄紙工程において用いられる乾燥方法としては、とくに限定されないが、たとえば紙の製造で用いられている方法が挙げられる。これらの中でも、シリンダードライヤー、ヤンキードライヤー、熱風乾燥、近赤外線ヒーター、赤外線ヒーターなどを用いた乾燥方法がより好ましい。
微細繊維状セルロース含有シートの厚み、坪量、および密度は、シートとしての所望の厚み、坪量、および密度に応じて、適宜設定すればよい。
工程B1では、凹凸を有する基材上に、微細繊維状セルロース含有シートを載置して、積層体を得る。凹凸を有する基材と、微細繊維状セルロース含有シートとの中心が一致するように載置することが好ましい。
〔工程B2〕
工程B2では、積層体を加熱下でプレスし、凹凸を転写する。工程B1で得られた積層体を加熱下でプレスするに際し、均一にプレスする観点から、積層体の上下を、たとえばステンレス板2枚で挟持した後に、加熱下でのプレスすることが好ましい。挟持するために使用する板はとくに限定されず、耐熱性を有する平板の板状であればよい。
加熱温度は、凹凸形状を微細繊維状セルロース含有シートに転写する観点から、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上、さらに好ましくは120℃以上であり、そして、微細繊維状セルロース含有シートの着色を抑制する観点から、好ましくは300℃以下、より好ましくは200℃以下、さらに好ましくは180℃以下である。
プレス時の圧力は、凹凸形状を微細繊維状セルロースに含有シートに転写する観点、および凹凸形状の潰れを抑制する観点から、好ましくは0.1MPa以上、より好ましくは0.3MPa以上、さらに好ましくは0.5MPa以上であり、そして、好ましくは10MPa以下、より好ましくは5MPa以下、さらに好ましくは3MPa以下である。
また、プレスする時間は、好ましくは0.05分以上、より好ましくは0.1分以上、さらに好ましくは0.3分以上であり、そして、好ましくは10分以下、より好ましくは5分以下、さらに好ましくは3分以下である。
なお、工程B2において、積層体を加熱してからプレスしてもよく、加熱と同時にプレスしてもよい。
工程B2に使用するプレス機としてはとくに限定されず、公知のプレス機から適宜選択すればよい。
加熱下でプレスしたのち、常温に冷却し、凹凸を有する基材から微細繊維状セルロース含有シートを剥離することにより、凹凸形状が転写された、本実施形態のシートが得られる。
<方法C>
方法Cは、以下の工程C1~工程C3をこの順で有する。
工程C1:凹凸を有する基材上に、湿潤状態とした繊維幅1000nm以下の微細繊維状セルロースおよび親水性高分子を含有するシートを載置して、積層体を得る工程
工程C2:積層体を加圧して、シートを基材に密着させる工程
工程C3:シートを基材に密着させた状態で乾燥させて凹凸を転写したシートを得る工程
〔工程C1〕
工程C1で使用する凹凸を有する基材としては、工程A1および工程B1で使用する凹凸を有する基材と同様のものが例示される。
また、微細繊維状セルロースを含有するシートとしては、工程B1で使用する微細繊維状セルロース含有シートと同様のものが例示される。
工程C1においては、乾燥状態の微細繊維状セルロース含有シートを凹凸を有する基材表面に載置してから湿潤状態としてもよいが、微細繊維状セルロース含有シートを予め湿潤状態としてから、凹凸を有する基材表面に載置して積層体を得ることが好ましい。
微細繊維状セルロース含有シートを湿潤状態とする方法はとくに限定されず、水をスプレー塗布する方法、水浴に浸漬する方法など、いずれの方法であってもよい。これらの中でも、十分にムラなく湿潤状態とする観点から、水浴に浸漬する方法が好ましい。
また、使用する水としては、水道水、イオン交換水、蒸留水等、とくに限定されないが、より透明性に優れた構造体を得る観点から、イオン交換水または蒸留水が好ましい。
湿潤状態にある微細繊維状セルロース含有シートは、凹凸形状を有する基材の凹凸形状を転写する観点から、微細繊維状セルロース含有シートの乾燥質量100質量部に対して、水系媒体を、好ましくは15質量部以上、より好ましくは50質量部以上、さらに好ましくは150質量部以上、よりさらに好ましくは500質量部以上含有する。また、乾燥工程を短縮する観点、および湿潤状態とした微細繊維状セルロース含有シートの形状安定性の観点から、湿潤状態にある微細繊維状セルロース含有シートは、微細繊維状セルロース含有シートの乾燥質量100質量部に対して、水系媒体を、好ましくは10,000質量部以下、より好ましくは5,000質量部以下、さらに好ましくは3,000質量部以下である。
工程C1では、凹凸を有する基材および微細繊維状セルロース含有シートの間に、空気などの隙間が生じないように、微細繊維状セルロース含有シートを載置することが好ましい。
〔工程C2〕
工程C2では、積層体を加圧して、シートを基材に密着させる。工程C2を有することにより、凹凸を有する基材と微細繊維状セルロース含有シートの間の泡抜きが行われ、また、密着性がさらに向上し、微細な凹凸形状が微細繊維状セルロース含有シートに転写される。
工程C2における加圧は、ローラーによる加圧が好ましく、たとえば、ゴムローラーによる加圧が挙げられる。
〔工程C3〕
工程C3では、凹凸を有する基材上に微細繊維状セルロースが載置された状態で乾燥させる。
工程C3における乾燥温度は、シートの収縮やクラックの発生を抑制し、凹凸を有する基材の凹凸形状が精密に転写されたシートを得る観点、および生産性の観点から、好ましくは10℃以上、より好ましくは20℃以上、さらに好ましくは25℃以上であり、そして、好ましくは200℃以下、より好ましくは150℃以下、さらに好ましくは125℃以下、よりさらに好ましくは100℃以下、よりさらに好ましくは80℃以下である。乾燥は、室温にて行ってもよい。
また、工程C3における乾燥時間は、積層体の収縮やクラックの発生を抑制し、柔軟性に優れる積層体を得る観点、および生産性の観点から、好ましくは1分以上、より好ましくは10分以上、さらに好ましくは100分以上であり、そして、好ましくは48時間以下、より好ましくは24時間以下、さらに好ましくは16時間以下である。
乾燥方法としてはとくに限定されないが、放置して乾燥してもよく、また、紙の製造で用いられている方法であってもよい。紙の製造で用いられている方法としては、たとえば、シリンダードライヤー、ヤンキードライヤー、熱風乾燥、赤外線ヒーターなどの方法が挙げられる。
工程C3に続き、乾燥した微細繊維状セルロース含有シートを積層体から剥離して、基材の凹凸形状が転写された本実施態様のシートを得ることができる。
積層体からのシートの剥離の方法はとくに限定されないが、凹凸形状が保持されるように、剥離することが好ましい。また、剥離時のシートの含水率は、転写された凹凸形状を保持する観点から、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましく15質量%以下であり、また、剥離時のシートの割れを抑制する観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上である。
[第2のシート]
本実施形態の第2のシートは、繊維幅が1000nm以下の微細繊維状セルロースと、親水性高分子とを含有するシートであり、前記親水性高分子が、ポリアルキレンオキシドであり、前記微細繊維状セルロース100質量部に対し、前記親水性高分子を20質量部を超えて含有し、前記親水性高分子の粘度平均分子量が50万を超える。
本実施形態の第2のシートによれば、透明性に優れ、生体高分子吸着性に優れるシートが提供される。
ポリアルキレンオキシドとしては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシドが例示され、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドが好ましく、ポリエチレンオキシドがより好ましい。
ポリアルキレンオキシドの粘度分子量は、50万を超え、好ましくは100万以上、より好ましくは200万以上、さらに好ましくは300万以上であり、そして、好ましくは1000万以下、より好ましくは800万以下、さらに好ましくは600万以下である。
シートの製造方法としては、上記工程1および工程2により製造することができる。
本実施形態の第2のシートは、少なくとも一方の面に凹凸形状を有していてもよく、凹凸形状の好ましい態様としては、上述した生体高分子吸着用シートが凹凸形状を有している場合に述べた凹凸形状を有していることが好ましい。また、凹凸形状を有する本実施形態の第2のシートは、上述した方法A~方法Cにより得ることができる。
[第3のシート]
本実施形態の第3のシートは、繊維幅が1000nm以下の微細繊維状セルロースと、親水性高分子とを含有するシートであり、前記親水性高分子が、セルロースエーテルであり、前記微細繊維状セルロース100質量部に対し、前記親水性高分子を10質量部を超えて含有する。
本実施形態の第3のシートによれば、透明性に優れ、生体高分子吸着性に優れるシートが提供される。
セルロース誘導体としては、セルロースエーテルが挙げられ、中でもヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどが例示され。これら中では、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシエチルセルロースが好ましく、ヒドロキシプロピルメチルセルロースがより好ましい。
シートの製造方法としては、上記工程1および工程2により製造することができる。
本実施形態の第3のシートは、少なくとも一方の面に凹凸形状を有していてもよく、凹凸形状の好ましい態様としては、上述した生体高分子吸着用シートが凹凸形状を有している場合に述べた凹凸形状を有していることが好ましい。また、凹凸形状を有する本実施形態の第3のシートは、上述した方法A~方法Cにより得ることができる。
[第4のシート]
本発明の第4のシートは、置換基導入量が0.5mmol/g未満であり、かつ平均繊維幅が2nm以上10nm以下の微細繊維状セルロースと、親水性高分子とを含有する。
本実施形態の第4のシートによれば、透明性に優れ、水に浸漬した後の形状保持性(耐水性)に優れ、さらに、生体高分子吸着性に優れるシートが提供される。
置換基導入量が0.5mmol/g未満であり、かつ繊維幅が1nm以上10nm以下の微細繊維状セルロースは、上述した置換基除去された微細繊維状セルロースとして得ることができる。置換基導入量は、好ましくは0.3mmol/以下、より好ましくは0.2mmol/g以下、さらに好ましくは0.1mmol/g以下であり、そして、下限はとくに限定されず、0mmol/g以上である。
また、親水性高分子としては、たとえばカルボキシビニルポリマー;ポリビニルアルコール;メタクリル酸アルキル・アクリル酸コポリマー;ポリビニルピロリドン;ポリビニルメチルエーテル;ポリアクリル酸ナトリウム等のポリアクリル酸塩;アクリル酸アルキルエステル共重合体;ウレタン系共重合体;変性ポリエステル;変性ポリイミド;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール;ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン等のポリカチオン;ポリアニオン;両性イオン型のポリマー;キサンタンガム、グアーガム、タマリンドガム、カラギーナン、ローカストビーンガム、クインスシード、アルギン酸、アルギン酸の金属塩、プルラン、サクラン、およびペクチンなどに例示される増粘性多糖類;カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、およびヒドロキシエチルセルロースなどに例示されるセルロース誘導体;カチオン化デンプン、生デンプン、酸化デンプン、エーテル化デンプン、エステル化デンプン、デキストリン、およびアミロースなどに例示されるデンプン類;ポリグリセリンなどのグリセリン類;ヒアルロン酸、ヒアルロン酸の金属塩;カゼインなどのタンパク質類等を挙げることができる。また、これらの親水性高分子の共重合体であってもよい。
セルロース誘導体としては、セルロースエーテルが好ましい。
これらの中でも、親水性高分子としては、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、およびセルロースエーテルよりなる群から選択される少なくとも1つであることが好ましい。より好ましくはポリアルキレンオキシド、ポリアルキレングリコール、変性ポリビニルアルコール、セルロースエーテル、さらに好ましくはポリアルキレンオキシド、セルロースエーテル、とくに好ましくはポリエチレンオキシド、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
微細繊維状セルロース100質量部に対する親水性高分子の含有量はとくに限定されないが、好ましくは10質量部以上、より好ましくは15質量部以上、さらに好ましくは20質量部以上であり、そして、好ましくは400質量部以下、より好ましくは100質量部以下、さらに好ましくは50質量部以下である。
親水性高分子がセルロースエーテルである場合、微細繊維状セルロース100質量部に対するセルロースエーテルの含有量は、好ましくは10質量部以上、より好ましくは15質量部以上、さらに好ましくは20質量部以上であり、そして、好ましくは400質量部以下、より好ましくは300質量部以下、さらに好ましくは200質量部以下である。
シートの製造方法としては、上記工程1および工程2により製造することができる。
本実施形態の第4のシートは、少なくとも一方の面に凹凸形状を有していてもよく、凹凸形状の好ましい態様としては、上述した生体高分子吸着用シートが凹凸形状を有している場合に述べた凹凸形状を有していることが好ましい。また、凹凸形状を有する本実施形態の第2のシートは、上述した方法A~方法Cにより得ることができる。
なお、本実施形態の第2のシート、第3のシート、および第4のシートについては、上述した生体高分子吸着用シートに限定されるものではなく、たとえば、保護フィルム、防眩フィルム、反射防止フィルム、防音フィルム、塵埃等の吸着フィルムとして使用してもよく、とくに限定されるものではない。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
<製造例1>
[リン酸化処理]
原料パルプとして、王子製紙製の広葉樹溶解パルプ(ドライシート)を使用した。この原料パルプに対してリン酸化処理を次のようにして行った。まず、上記原料パルプ100質量部(絶乾質量)に、リン酸二水素アンモニウムと尿素の混合水溶液を添加して、リン酸二水素アンモニウム45質量部、尿素120質量部、水150質量部となるように調整し、薬液含浸パルプを得た。次いで、得られた薬液含浸パルプを165℃の熱風乾燥装置で250秒加熱し、パルプ中のセルロースにリン酸基を導入し、リン酸化パルプを得た。
[洗浄処理]
次いで、得られたリン酸化パルプに対して洗浄処理を行った。洗浄処理は、リン酸化パルプ100g(絶乾質量)に対して10Lのイオン交換水を注いで得たパルプ分散液を、パルプが均一に分散するよう撹拌した後、濾過脱水する操作を繰り返すことにより行った。ろ液の電気伝導度が100μS/cm以下となった時点で、洗浄終点とした。
[中和処理]
次いで、洗浄後のリン酸化パルプに対して中和処理を次のようにして行った。まず、洗浄後のリン酸化パルプを10Lのイオン交換水で希釈した後、撹拌しながら1Nの水酸化ナトリウム水溶液を少しずつ添加することにより、pHが12以上13以下のリン酸化パルプスラリーを得た。次いで、当該リン酸化パルプスラリーを脱水して、中和処理が施されたリン酸化パルプを得た。次いで、中和処理後のリン酸化パルプに対して、上記洗浄処理を行った。
これにより得られたリンオキソ酸化パルプに対しFT-IRを用いて赤外線吸収スペクトルの測定を行った。その結果、1230cm-1付近にリン酸基のP=Oに基づく吸収が観察され、パルプにリン酸基が付加されていることが確認された。また、得られたリン酸化パルプを供試して、X線回折装置にて分析を行ったところ、2θ=14°以上17°以下付近と2θ=22°以上23°以下付近の2箇所の位置に典型的なピークが確認され、セルロースI型結晶を有していることが確認された。
[解繊処理]
得られたリン酸化パルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度が2質量%のスラリーを調製した。このスラリーを、湿式微粒化装置(株式会社スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて6回処理し、微細繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース分散液を得た。微細繊維状セルロースの繊維幅を透過型電子顕微鏡を用いて測定したところ、2~5nmであった。なお、後述する[繊維幅の測定]で測定した微細繊維状セルロースの数平均繊維幅は3nmであった。X線回折により、この微細繊維状セルロースがセルロースI型結晶を維持していることが確認された。なお、後述する[リンオキソ酸基量]の測定に記載の測定方法で測定されるリン酸基量(第1解離酸量強酸性基量)は、1.45mmol/gであった。なお、総解離酸量は、2.45mmol/gであった。
<製造例2>
[TEMPO酸化処理]
原料パルプとして、王子製紙製の針葉樹クラフトパルプ(未乾燥)を使用した。この原料パルプに対してアルカリTEMPO酸化処理を次のようにして行った。まず、乾燥質量100質量部相当の上記原料パルプと、TEMPO(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル)1.6質量部と、臭化ナトリウム10質量部を、水10000質量部に分散させた。次いで、13質量%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、1.0gのパルプに対して3.8mmolになるように加えて反応を開始した。反応中は0.5Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHを10以上10.5以下に保ち、pHに変化が見られなくなった時点で反応終了と見なした。
次いで、得られたTEMPO酸化パルプに対して洗浄処理を行った。洗浄処理は、TEMPO酸化後のパルプスラリーを脱水し、脱水シートを得た後、5000質量部のイオン交換水を注ぎ、撹拌して均一に分散させた後、濾過脱水する操作を繰り返すことにより行った。ろ液の電気伝導度が100μS/cm以下となった時点で、洗浄終点とした。
得られたTEMPO酸化パルプを供試して、X線回折装置にて分析を行ったところ、2θ=14°以上17°以下付近と2θ=22°以上23°以下付近の2箇所の位置に典型的なピークが確認され、セルロースI型結晶を有していることが確認された。また、X線回折により、得られた繊維状セルロースがセルロースI型結晶を維持していることが確認された。
製造例1の[解繊処理]において、上述のTEMPO酸化パルプを使用した以外は製造例1と同様にして、微細繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース分散液を得た。
微細繊維状セルロース分散液中の微細繊維状セルロースの繊維幅を透過型電子顕微鏡を用いて測定したところ、2~5nmであった。なお、後述する[繊維幅の測定]で測定した微細繊維状セルロースの数平均繊維幅は3nmであった。X線回折により、この微細繊維状セルロースがセルロースI型結晶を維持していることが確認された。なお、後述する[カルボキシ基量の測定]に記載の方法で測定されるカルボキシ基量は、1.30mmol/gであった。
<製造例3>
[亜リン酸化処理]
製造例1の[リン酸化処理]においてリン酸二水素アンモニウムの代わりに亜リン酸(ホスホン酸)33質量部を用いた以外は、製造例1と同様に操作を行い、亜リン酸化パルプおよび微細繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース分散液を得た。
得られた亜リン酸化パルプに対しFT-IRを用いて赤外線吸収スペクトルの測定を行った。その結果、1210cm-1付近に亜リン酸基の互変異性体であるホスホン酸基のP=Oに基づく吸収が観察され、パルプに亜リン酸基(ホスホン酸基)が付加されていることが確認された。微細繊維状セルロースの繊維幅を透過型電子顕微鏡を用いて測定したところ、2~5nmであった。なお、後述する[繊維幅の測定]で測定した微細繊維状セルロースの数平均繊維幅は3nmであった。また、X線回折により、得られた微細繊維状セルロースがセルロースI型結晶を維持していることが確認された。なお、後述する[リンオキソ酸基量の測定]に記載の測定方法で測定される亜リン酸基量(第1解離酸量)は1.51mmol/gであり、総解離酸量は、1.54mmol/gであった。
<製造例4>
[硫酸化処理]
リン酸化処理においてリン酸二水素アンモニウムの代わりにアミド硫酸(スルファミン酸)38質量部を用いて、加熱時間を20分間に延長した以外は、製造例1と同様に操作行い、硫酸化パルプおよび微細繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース分散液を得た。
これにより得られた硫酸化パルプに対しFT-IRを用いて赤外線吸収スペクトルの測定を行った。その結果、1220-1260cm-1付近に硫黄オキソ酸基(硫黄オキソ酸基)に基づく吸収が観察され、パルプに硫黄オキソ酸基(硫黄オキソ酸基)が付加されていることが確認された。微細繊維状セルロースの繊維幅を透過型電子顕微鏡を用いて測定したところ、2~5nmであった。なお、後述する[繊維幅の測定]で測定した微細繊維状セルロースの数平均繊維幅は3nmであった。また、X線回折により、得られた微細繊維状セルロースがセルロースI型結晶を維持していることが確認された。なお、後述する[硫黄オキソ酸基量の測定]に記載の測定方法で測定される硫黄オキソ酸基量は1.47mmol/gであった。
<製造例5>
製造例1のリン酸化パルプの洗浄処理および中和処理後に以下の処理を行い、置換基除去微細繊維状セルロースを含む置換基除去微細繊維状セルロース分散液を得た。
[窒素除去処理]
リン酸化パルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度が4質量%のスラリーを調製した。スラリーに48質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを13.4に調整し、液温が85℃となる条件で1時間加熱した。その後、このパルプスラリーを脱水し、リン酸化パルプ100g(絶乾質量)に対して10Lのイオン交換水を注いで得たパルプ分散液を、パルプが均一に分散するよう撹拌し、濾過脱水する操作を繰り返すことにより余剰の水酸化ナトリウムを除去した。ろ液の電気伝導度が100μS/cm以下となった時点で、除去の終点とした。
これにより得られたリンオキソ酸化パルプに対しFT-IRを用いて赤外線吸収スペクトルの測定を行った。その結果、1230cm-1付近にリン酸基のP=Oに基づく吸収が観察され、パルプにリン酸基が付加されていることが確認された。
[解繊処理]
得られたリン酸化パルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度が2質量%のスラリーを調製した。このスラリーを、湿式微粒化装置(株式会社スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて6回処理し、微細繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース分散液を得た。微細繊維状セルロースの繊維幅を透過型電子顕微鏡を用いて測定したところ、2~5nmであった。後述する[繊維幅の測定]で測定した微細繊維状セルロースの数平均繊維幅は3nmであった。X線回折により、得られた微細繊維状セルロースがセルロースI型結晶を維持していることが確認された。なお、後述する[リンオキソ酸基量の測定]に記載の測定方法で測定されるリン酸基量(第1解離酸量強酸性基量)は、1.35mmol/gであった。なお、総解離酸量は、2.30mmol/gであった。
[置換基除去処理(高温熱処理)]
微細繊維状セルロース分散液に、1.0質量%のクエン酸水溶液を添加し、分散液のpHを5.5に調整した。得られたスラリーを耐圧容器に入れ、液温160℃で15分間加熱した。この際、リン酸基量が0.08mmol/gとなるまで加熱を行った。この操作により微細繊維状セルロース凝集物の生成が確認された。
[置換基除去後スラリーの洗浄処理]
加熱後のスラリーに、スラリーと同量のイオン交換水を加えて固形分濃度が約1質量%のスラリーとした。このスラリーを撹拌した後、濾過脱水する操作を繰り返すことにより、スラリーの洗浄を行った。ろ液の電気伝導度が10μS/cm以下となった時点で、再びイオン交換水を添加して約1質量%のスラリーとし、24時間静置した。そこからさらに濾過脱水する操作を繰り返し、再びろ液の電気伝導度が10μS/cm以下となった時点を洗浄終点とした。得られた微細繊維状セルロース凝集物にイオン交換水を加え、置換基除去後スラリーを得た。このスラリーの固形分濃度は1.7質量%であった。
[置換基除去後スラリーの均一分散]
得られた置換基除去後スラリーにイオン交換水を加え、固形分濃度が1.0質量%のスラリーとした後、湿式微粒化装置(株式会社スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて3回処理し、置換基除去微細繊維状セルロースを含む置換基除去微細繊維状セルロース分散液を得た。後述する[繊維幅の測定]で測定した置換基除去微細繊維状セルロースの数平均繊維幅は4nmであった。
<製造例6>
[次亜塩素酸酸化処理]
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)を抄き上げたシート(固形分濃度90質量%)を、ハンドミキサー(大阪ケミカル株式会社製、ラボミルサーPLUS)を用い、回転数20000rpmで15秒処理して綿状のフラッフィングパルプ(固形分濃度90質量%)にした。次いで、次亜塩素酸ナトリウム・5水和物をイオン交換水に加え、次亜塩素酸ナトリウムの固形分濃度を22質量%とした水溶液を準備した。綿状のフラッフィングパルプ100質量部に、22質量%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を9000質量部加え、温浴で30℃に調整しながら2時間反応させ、カルボキシ基導入パルプを得た。反応中は1N水酸化ナトリウム水溶液を適宜加え、pHを11に維持した。
[洗浄処理]
次いで、得られたカルボキシ基導入パルプに対して洗浄処理を行った。洗浄処理は、得られたカルボキシ基導入パルプにイオン交換水を注いで得たパルプ分散液を、パルプが均一に分散するよう撹拌した後、濾過脱水する操作を繰り返すことにより行った。ろ液の電気伝導度が100μS/cm以下となった時点で、洗浄終点とした。
また、得られたカルボキシ基導入パルプを供試して、X線回折装置にて分析を行ったところ、2θ=14°以上17°以下付近と2θ=22°以上23°以下付近の2箇所の位置に典型的なピークが確認され、セルロースI型結晶を有していることが確認された。
[解繊処理]
得られたカルボキシ基導入パルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度が2質量%のスラリーを調製した。このスラリーを、湿式微粒化装置(株式会社スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて6回処理し、微細繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース分散液を得た。
X線回折により、得られた微細繊維状セルロースがセルロースI型結晶を維持していることが確認された。また、微細繊維状セルロースの繊維幅を、透過型電子顕微鏡を用いて測定したところ、2~5nmであった。後述する[繊維幅の測定]で測定した微細繊維状セルロースの数平均繊維幅は3nmであった。なお、得られた微細繊維状セルロースについて、後述する測定方法で測定されるカルボキシ基量は、0.70mmol/gであった。
<製造例7>
[マレイン酸エステル化処理]
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)を抄き上げたシート(固形分濃度90質量%)を、ハンドミキサー(大阪ケミカル株式会社製、ラボミルサーPLUS)を用い、回転数20000rpmで15秒処理して綿状のフラッフィングパルプ(固形分濃度90質量%)にした。オートクレーブに、綿状のフラッフィングパルプ100質量部と無水マレイン酸50質量部とを充填し、150℃で2時間処理して、カルボキシ基導入パルプを得た。
[洗浄処理]
次いで、得られたカルボキシ基導入パルプに対して洗浄処理を行った。洗浄処理は、得られたカルボキシ基導入パルプにイオン交換水を注いで得たパルプ分散液を、パルプが均一に分散するよう撹拌した後、濾過脱水する操作を繰り返すことにより行った。ろ液の電気伝導度が100μS/cm以下となった時点で、洗浄終点とした。
得られたカルボキシ基導入パルプに対しFT-IRを用いて赤外線吸収スペクトルの測定を行った。その結果、1580および1720cm-1付近にカルボキシ基に基づく吸収が観察され、マレイン酸エステル化されていることを確認した。また、カルボキシ基導入パルプを供試して、X線回折装置にて分析を行ったところ、2θ=14°以上17°以下付近と2θ=22°以上23°以下付近の2箇所の位置に典型的なピークが確認され、セルロースI型結晶を有していることが確認された。
[解繊処理]
得られたカルボキシ基導入パルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度が2質量%のスラリーを調製した。このスラリーを、湿式微粒化装置(株式会社スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて6回処理し、微細繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース分散液を得た。
X線回折により、得られた微細繊維状セルロースがセルロースI型結晶を維持していることが確認された。また、微細繊維状セルロースの繊維幅を、透過型電子顕微鏡を用いて測定したところ、2~5nmであった。後述する[繊維幅の測定]で測定した微細繊維状セルロースの数平均繊維幅は3nmであった。なお、得られた微細繊維状セルロースについて、後述する測定方法で測定されるカルボキシ基量は、1.22mmol/gであった。
<製造例8>
[カルボキシメチル化処理]
原料パルプとして、王子製紙株式会社製の針葉樹クラフトパルプ(固形分93質量%、坪量245g/mシート状、離解してJIS P 8121-2:2012に準じて測定されるカナダ標準濾水度(CSF)が700ml)を使用した。
この原料パルプ100質量部(絶乾質量)に、12N NaOH水溶液を83質量部と、モノクロロ酢酸ナトリウム175質量部、イオン交換水313質量部からなる薬液(合計571質量部)を加え、薬液含浸パルプを得た。次いで、得られた薬液含浸パルプを95℃の湯浴で60分加熱し、パルプ中のセルロースにカルボキシメチル基(カルボキシ基)を導入し、カルボキシ基導入パルプを得た。
[洗浄処理]
次いで、得られたカルボキシ基導入パルプに対して洗浄処理を行った。洗浄処理は、得られたカルボキシ基導入パルプにイオン交換水を注いで得たパルプ分散液を、パルプが均一に分散するよう撹拌した後、濾過脱水する操作を繰り返すことにより行った。ろ液の電気伝導度が100μS/cm以下となった時点で、洗浄終点とした。
また、カルボキシ基導入パルプを供試して、X線回折装置にて分析を行ったところ、2θ=14°以上17°以下付近と2θ=22°以上23°以下付近の2箇所の位置に典型的なピークが確認され、セルロースI型結晶を有していることが確認された。
[解繊処理]
得られたカルボキシ基導入パルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度が2質量%のスラリーを調製した。このスラリーを、湿式微粒化装置(株式会社スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて6回処理し、微細繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース分散液を得た。
X線回折により、得られた微細繊維状セルロースがセルロースI型結晶を維持していることが確認された。また、微細繊維状セルロースの繊維幅を、透過型電子顕微鏡を用いて測定したところ、2~5nmであった。後述する[繊維幅の測定]で測定した微細繊維状セルロースの数平均繊維幅は3nmであった。なお、得られた微細繊維状セルロースについて、後述する測定方法で測定されるカルボキシ基量は、1.21mmol/gであった。
<製造例9>
[カルボキシエチル化処理]
原料パルプとして、王子製紙株式会社製の針葉樹クラフトパルプ(固形分93質量%、坪量245g/mシート状、離解してJIS P 8121-2:2012に準じて測定されるカナダ標準濾水度(CSF)が700ml)を使用した。
この原料パルプ100質量部(絶乾質量)に、12N NaOH水溶液を250質量部と、2-クロロプロピオン酸163質量部、イオン交換水140質量部からなる薬液(合計553質量部)を加え、薬液含浸パルプを得た。次いで、得られた薬液含浸パルプを165℃の熱風乾燥機で10分加熱し、パルプ中のセルロースにカルボキシエチル基(カルボキシ基)を導入し、カルボキシ基導入パルプを得た。
[洗浄処理]
次いで、得られたカルボキシ基導入パルプに対して洗浄処理を行った。洗浄処理は、得られたカルボキシ基導入パルプにイオン交換水を注いで得たパルプ分散液を、パルプが均一に分散するよう撹拌した後、濾過脱水する操作を繰り返すことにより行った。ろ液の電気伝導度が100μS/cm以下となった時点で、洗浄終点とした。
[中和処理]
次いで、洗浄後のカルボキシ基導入パルプに対して中和処理を次のようにして行った。まず、洗浄後のカルボキシ基導入パルプを10Lのイオン交換水で希釈した後、撹拌しながら1Nの水酸化ナトリウム水溶液を少しずつ添加することにより、pHが12以上13以下のカルボキシ基導入パルプスラリーを得た。次いで、当該カルボキシ基導入パルプスラリーを脱水および洗浄をして、中和処理が施されたカルボキシ基導入パルプを得た。
また、カルボキシ基導入パルプを供試して、X線回折装置にて分析を行ったところ、2θ=14°以上17°以下付近と2θ=22°以上23°以下付近の2箇所の位置に典型的なピークが確認され、セルロースI型結晶を有していることが確認された。
[解繊処理]
得られたカルボキシ基導入パルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度が2質量%のスラリーを調製した。このスラリーを、湿式微粒化装置(株式会社スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて6回処理し、微細繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース分散液を得た。
X線回折により、得られた微細繊維状セルロースがセルロースI型結晶を維持していることが確認された。また、微細繊維状セルロースの繊維幅を、透過型電子顕微鏡を用いて測定したところ、2~5nmであった。後述する[繊維幅の測定]で測定した微細繊維状セルロースの数平均繊維幅は3nmであった。なお、得られた微細繊維状セルロースについて、後述する測定方法で測定されるカルボキシ基量は、1.41mmol/gであった。
<製造例10>
[スルホエチル化処理]
原料パルプとして、王子製紙株式会社製の針葉樹クラフトパルプ(固形分93質量%、坪量245g/mシート状、離解してJIS P 8121-2:2012に準じて測定されるカナダ標準濾水度(CSF)が700ml)を使用した。
この原料パルプ100質量部(絶乾質量)に、2N NaOH水溶液を180質量部と25質量%濃度のビニルスルホン酸ナトリウム水溶液780質量部からなる薬液(合計960質量部)を加え、薬液含浸パルプを得た。次いで、得られた薬液含浸パルプを165℃の熱風乾燥機で16分加熱し、パルプ中のセルロースにスルホエチル基(スルホン基)を導入し、スルホエチル基導入パルプ(スルホン基導入パルプ)を得た。
[洗浄処理]
次いで、得られたスルホエチル基導入パルプに対して洗浄処理を行った。洗浄処理は、得られたスルホエチル基導入パルプにイオン交換水を注いで得たパルプ分散液を、パルプが均一に分散するよう撹拌した後、濾過脱水する操作を繰り返すことにより行った。ろ液の電気伝導度が100μS/cm以下となった時点で、洗浄終点とした。
また、スルホエチル基導入パルプを供試して、X線回折装置にて分析を行ったところ、2θ=14°以上17°以下付近と2θ=22°以上23°以下付近の2箇所の位置に典型的なピークが確認され、セルロースI型結晶を有していることが確認された。
[解繊処理]
得られたスルホエチル基導入パルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度が2質量%のスラリーを調製した。このスラリーを、湿式微粒化装置(株式会社スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて6回処理し、微細繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース分散液を得た。
X線回折により、得られた微細繊維状セルロースがセルロースI型結晶を維持していることが確認された。また、微細繊維状セルロースの繊維幅を、透過型電子顕微鏡を用いて測定したところ、2~5nmであった。後述する[繊維幅の測定]で測定した微細繊維状セルロースの数平均繊維幅は3nmであった。なお、得られた微細繊維状セルロースについて、後述する測定方法で測定されるスルホエチル基量(スルホン基量)は、1.48mmol/gであった。
<製造例11>
[カチオン化処理]
原料パルプとして、王子製紙株式会社製の針葉樹クラフトパルプ(固形分93質量%、坪量245g/mシート状、離解してJIS P 8121-2:2012に準じて測定されるカナダ標準濾水度(CSF)が700ml)を使用した。
この原料パルプ100質量部(絶乾質量)に、1N NaOH水溶液を180質量部とカチオン化剤(カチオマスターG、四日市合成株式会社製、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド、純分73.1質量%、含水率20.2質量%)325質量部からなる薬液(合計505質量部)を加え、薬液含浸パルプを得た。次いで、得られた薬液含浸パルプを165℃の熱風乾燥機で12分加熱し、パルプ中のセルロースにカチオン性基を導入し、カチオン性基導入パルプを得た。
[洗浄処理]
次いで、得られたカチオン性基導入パルプに対して洗浄処理を行った。洗浄処理は、得られたカチオン性基導入パルプにイオン交換水を注いで得たパルプ分散液を、パルプが均一に分散するよう撹拌した後、濾過脱水する操作を繰り返すことにより行った。ろ液の電気伝導度が100μS/cm以下となった時点で、洗浄終点とした。
[中和処理]
次いで、洗浄後のカチオン性基導入パルプに対して中和処理を次のようにして行った。まず、洗浄後のカチオン性基導入パルプを10Lのイオン交換水で希釈した後、撹拌しながら1Nの塩酸を少しずつ添加することにより、pHが1以上2以下のカチオン性基導入パルプスラリーを得た。次いで、当該カチオン性基導入パルプスラリーを脱水および洗浄をして、中和処理が施されたカチオン性基導入パルプを得た。
X線回折装置にて分析を行ったところ、2θ=14°以上17°以下付近と2θ=22°以上23°以下付近の2箇所の位置に典型的なピークが確認され、セルロースI型結晶を有していることが確認された。
[解繊処理]
得られたカチオン性基導入パルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度が2質量%のスラリーを調製した。このスラリーを、湿式微粒化装置(株式会社スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて6回処理し、微細繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース分散液を得た。
X線回折により、得られた微細繊維状セルロースがセルロースI型結晶を維持していることが確認された。また、微細繊維状セルロースの繊維幅を、透過型電子顕微鏡を用いて測定したところ、2~5nmであった。後述する[繊維幅の測定]で測定した微細繊維状セルロースの数平均繊維幅は3nmであった。なお、後述するカチオン性基の測定方法で測定されるカチオン性基量は、1.45mmol/gであった。
<実施例1>
[シートの作製]
イオン交換水に、ポリエチレンオキシド(住友精化株式会社製、PEO-18P、粘度平均分子量430万~480万)を2.0質量%になるように加え、25℃で30分間撹拌し、溶解した。以上の手順により、ポリエチレンオキシド水溶液を得た。
製造例1で得た微細繊維状セルロース分散液、および上記ポリエチレンオキシド水溶液をそれぞれ固形分濃度が1.0質量%となるようにイオン交換水で希釈した。次いで、微細繊維状セルロース100質量部に対し、ポリエチレンオキシドを40質量部添加し、混合液を得た。さらに、シートの仕上がり坪量が35g/mになるように混合液を計量して、市販のアクリル板上に塗工した。なお、所定の厚みとなるようアクリル板上には堰止用の枠(内寸180mm×180mm、高さ50mm)を配置した。その後70℃に設定した乾燥機で乾燥し、アクリル板から剥離することで、微細繊維状セルロース含有シートを得た。
<実施例2>
実施例1の[シートの作製]において、ポリエチレンオキシドの配合量を、微細繊維状セルロース100質量部に対して20質量部とした以外は実施例1と同様にして、微細繊維状セルロース含有シートを得た。
<実施例3>
実施例1の[シートの作製]において、ポリエチレンオキシドの配合量を、微細繊維状セルロース100質量部に対して100質量部とした以外は実施例1と同様にして、微細繊維状セルロース含有シートを得た。
<実施例4>
[シートの作製]
イオン交換水に、ポリエチレングリコール(富士フイルム和光純薬株式会社製、平均分子量20000)を2.0質量%になるように加え、25℃で30分間撹拌し、溶解した。以上の手順により、ポリエチレングリコール水溶液を得た。
製造例1で得た微細繊維状セルロース分散液および上記ポリエチレングリコール水溶液をそれぞれ固形分濃度が1.0質量%となるようにイオン交換水で希釈した。次いで微細繊維状セルロース100質量部に対し、ポリエチレングリコールを40質量部添加し、混合液を得た。さらに、シートの仕上がり坪量が35g/mになるように混合液を計量して、市販のアクリル板上に塗工した。なお、所定の厚みとなるようアクリル板上には堰止用の枠(内寸180mm×180mm、高さ50mm)を配置した。その後70℃に設定した乾燥機で乾燥し、アクリル板から剥離することで、微細繊維状セルロース含有シートを得た。
<実施例5>
実施例4の[シートの作製]において、ポリエチレングリコールの配合量を、微細繊維状セルロース100質量部に対して20質量部とした以外は実施例4と同様にして、微細繊維状セルロース含有シートを得た。
<実施例6>
実施例4の[シートの作製]において、ポリエチレングリコールの配合量を、微細繊維状セルロース100質量部に対して100質量部とした以外は実施例4と同様にして、微細繊維状セルロース含有シートを得た。
<実施例7>
製造例1で得た微細繊維状セルロース分散液の代わりに、製造例2で得た微細繊維状セルロース分散液を用いた以外は実施例1と同様にして、微細繊維状セルロース含有シートを得た。
<実施例8>
製造例1で得た微細繊維状セルロース分散液の代わりに、製造例3で得た微細繊維状セルロース分散液を用いた以外は実施例1と同様にして、微細繊維状セルロース含有シートを得た。
<実施例9>
製造例1で得た微細繊維状セルロース分散液の代わりに、製造例4で得た微細繊維状セルロース分散液を用いた以外は実施例1と同様にして、微細繊維状セルロース含有シートを得た。
<実施例10>
製造例1で得た微細繊維状セルロース分散液の代わりに、製造例5で得た微細繊維状セルロース分散液を用いた以外は実施例1と同様にして、微細繊維状セルロース含有シートを得た。
<実施例11>
[シートの作製]
製造例1で得た微細繊維状セルロース分散液、および実施例1で得たポリエチレンオキシド水溶液をそれぞれ固形分濃度が1.0質量%となるようにイオン交換水で希釈した。次いで微細繊維状セルロース100質量部に対し、ポリアミンポリアミドエピクロロヒドリン(星光PMC株式会社製、湿潤紙力剤WS4030)を0.5質量部添加し、混合した。その後、微細繊維状セルロース100質量部に対し、ポリエチレンオキシドを40質量部添加し、混合した。さらに、ポリプロピレン樹脂のエマルジョン(東邦化学工業株式会社製、HYTEC P-5060P、粒子径30nm)を、固形分濃度が2.0質量%となるようにイオン交換水で希釈した。微細繊維状セルロース100質量部に対し、ポリプロピレン樹脂を10質量部になるように添加した。さらに、シートの仕上がり坪量が35g/mになるように混合液を計量して、市販のアクリル板上に塗工した。なお、所定の厚みとなるようアクリル板上には堰止用の枠(内寸180mm×180mm、高さ50mm)を配置した。その後70℃に設定した乾燥機で乾燥し、アクリル板から剥離することで、微細繊維状セルロース含有シートを得た。
<実施例12>
実施例1で得たシートに対して、以下の手順で凹凸を付与した。
[凹凸の形成]
微細繊維状セルロース含有シートを150mm角に切り出し、直径142mm、孔径0.45μmのセルロースアセテートメンブレンフィルター(ADVANTEC社製、C045A142C)上に、中心が一致するように載置した。さらにこれらを寸法200mm角のステンレス板2枚で挟んだ。その後、ミニテストプレス(東洋精機工業株式会社製、MP-WCH)に挿入して上下のステンレス板を鉄板と密着させた状態にし、2分かけて150℃まで昇温した。昇温後、1MPaまで加圧し、この状態で0.5分間保持した。その後、加圧をやめ、上下のステンレス板を鉄板と密着させた状態に戻し、1.5分かけて30℃まで冷却した。その後、シートをメンブレンフィルターから剥離した。上記の手順により、凹凸を転写した微細繊維状セルロース含有シートを得た。
<実施例13>
実施例12の[凹凸の形成]において、セルロースアセテートメンブレンフィルターの代わりに、凹凸の平均間隔100nmの円錐状の凸部を有した、ナノドットアレイ(日本登録商標)構造を付与したシリコンウエハーである微細構造を転写基材として用いた以外は実施例12と同様にして、凹凸を転写した微細繊維状セルロース含有シートを得た。なお、本実施例では、特開2009-034630号公報に記載の方法を参考にしてナノサイズの突起を形成した基材(微細構造)を得た。具体的には、以下のように作製を行った。
平均粒径100nmのコロイダルシリカ粒子をシリコンウエハー上にラングミュア-ブロジェット法によって単層コーティングした。得られたシリコンウエハーに対してSF:CH=25:75~75:25の混合ガスを用いた気相エッチングを行った。エッチング条件は、アンテナパワー1500W、バイアスパワー50~300W、ガス流量30~50sccmとした。気相エッチング後のシリコンウエハー表面を走査型電子顕微鏡で計測した結果、ピッチ約100nmで三角格子状に配列した高さ50~200nmの円錐状構造物が観察された。
<実施例14>
[シートの作製]
イオン交換水に、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール(三菱ケミカル株式会社製、ゴーセネックスZ-200)を12質量%になるように加え、95℃で1時間撹拌し、溶解した。以上の手順により、変性ポリビニルアルコール水溶液を得た。
製造例1で得た微細繊維状セルロース分散液、および上記変性ポリビニルアルコール水溶液をそれぞれ固形分濃度が1.0質量%となるようにイオン交換水で希釈した。次いで、希釈後の微細繊維状セルロース分散液100質量部に対し、希釈後の変性ポリビニルアルコール水溶液が40質量部になるように混合し、混合液を得た。さらに、シートの仕上がり坪量が80g/mになるように混合液を計量して、市販のアクリル板上に塗工した。なお、所定の厚みとなるようアクリル板上には堰止用の枠(内寸180mm×180mm、高さ50mm)を配置した。その後70℃に設定した乾燥機で乾燥し、アクリル板から剥離することで、微細繊維状セルロース含有シートを得た。
実施例12の[凹凸の形成]と同様の手順により、凹凸を転写した微細繊維状セルロース含有シートを得た。
<実施例15>
実施例14の[凹凸の形成]において、転写基材を実施例13で使用した転写基材とした以外は実施例14と同様にして、凹凸を転写した微細繊維状セルロース含有シートを得た。
<実施例16>
実施例1の[シートの作製]において、アクリル板上に転写基材としてセルロースアセテートメンブレンフィルターを載置し、その上から原料混合液を塗工した。その後70℃に設定した乾燥機で乾燥し、セルロースアセテートメンブレンフィルターからはく離した。上記の手順により、凹凸を転写した微細繊維状セルロース含有シートを得た。
<実施例17>
実施例16において、転写基材を実施例13で使用した転写基材とした以外は実施例16と同様にして、凹凸を転写した微細繊維状セルロース含有シートを得た。
<実施例18>
実施例1で得た微細繊維状セルロース含有シート([凹凸の形成]を行う前のもの)に対して、以下の手順で凹凸を付与した。
[凹凸の形成]
市販のポリカーボネート板上に直径142mm、孔径0.45μmのセルロースアセテートメンブレンフィルター(ADVANTEC社製、C045A142C)を載置した。150mm角に切り出した微細繊維状セルロース含有シートを、蒸留水を入れたバットに10秒間浸漬し、湿潤状態とした。このシートをセルロースメンブレンフィルター上に載置し、PETフィルム(東レ株式会社製、ルミラーS10)で覆った。PETフィルムの上からゴムローラーで加圧することにより、気泡を除きながらシートとセルロースメンブレンフィルターを密着させた。その後、PETフィルムをはがし、シートの周囲とポリカーボネート板をテープで固定した。40℃の乾燥機で12時間以上乾燥させた後、テープをはがし、シートをメンブレンフィルターから剥離した。上記の手順により、凹凸を転写した微細繊維状セルロース含有シートを得た。
<実施例19>
実施例18において、転写基材を実施例13で使用した転写基材とした以外は実施例18と同様にして、凹凸を転写した微細繊維状セルロース含有シートを得た。
<実施例20>
[シートの作製]
イオン交換水に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学工業株式会社製、メトローズ65SH-1500、メトキシ基の置換度=1.8、ヒドロキシプロポキシ基の置換モル数=0.15、20℃における2%水溶液粘度=1500mPa・s)を2.0質量%になるように加え、室温で1時間撹拌し、溶解した。以上の手順により、ヒドロキシプロピルメチルセルロース水溶液を得た。
製造例1で得た微細繊維状セルロース分散液、および上記ヒドロキシプロピルメチルセルロース水溶液をそれぞれ固形分濃度が1.0質量%となるようにイオン交換水で希釈した。次いで、微細繊維状セルロース100質量部に対し、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを40質量部添加し、混合液を得た。さらに、シートの仕上がり坪量が95g/mになるように混合液を計量して、市販のアクリル板上に塗工した。なお、所定の厚みとなるようアクリル板上には堰止用の枠(内寸180mm×180mm、高さ50mm)を配置した。その後70℃に設定した乾燥機で乾燥し、アクリル板から剥離することで、微細繊維状セルロース含有シートを得た。
<実施例21>
実施例20の[シートの作製]において、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの配合量を、微細繊維状セルロース100質量部に対して100質量部とした以外は実施例20と同様にして、微細繊維状セルロース含有シートを得た。
<実施例22>
製造例1で得た微細繊維状セルロース分散液の代わりに、製造例5で得た微細繊維状セルロース分散液を用いた以外は実施例20と同様にして、微細繊維状セルロース含有シートを得た。
<実施例23>
実施例22において、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの配合量を、微細繊維状セルロース100質量部に対して100質量部とした以外は実施例22と同様にして、微細繊維状セルロース含有シートを得た。
<実施例24>
実施例20で得たシートに対して、実施例12の[凹凸の形成]と同様の手順を行うことで、凹凸を転写した微細繊維状セルロース含有シートを得た。
<実施例25>
実施例24において、転写基材を実施例13で使用した転写基材とした以外は実施例24と同様にして、凹凸を転写した微細繊維状セルロース含有シートを得た。
<実施例26>
実施例20の[シートの作製]において、アクリル板上に転写基材としてセルロースアセテートメンブレンフィルターを載置し、その上から原料混合液を塗工した。その後70℃に設定した乾燥機で乾燥し、セルロースアセテートメンブレンフィルターからはく離した。上記の手順により、凹凸を転写した微細繊維状セルロース含有シートを得た。
<実施例27>
実施例26において、転写基材を実施例13で使用した転写基材とした以外は実施例26と同様にして、凹凸を転写した微細繊維状セルロース含有シートを得た。
<実施例28>
実施例20で得たシートに対して、実施例18の[凹凸の形成]と同様の手順を行うことで、凹凸を転写した微細繊維状セルロース含有シートを得た。
<実施例29>
実施例28において、転写基材を実施例13で使用した転写基材とした以外は実施例28と同様にして、凹凸を転写した微細繊維状セルロース含有シートを得た。
<実施例30>
実施例22で得たシートに対して、実施例12の[凹凸の形成]と同様の手順を行うことで、凹凸を転写した微細繊維状セルロース含有シートを得た。
<実施例31>
実施例30において、転写基材を実施例13で使用した転写基材とした以外は実施例30と同様にして、凹凸を転写した微細繊維状セルロース含有シートを得た。
<実施例32>
実施例22の[シートの作製]において、アクリル板上に転写基材としてセルロースアセテートメンブレンフィルターを載置し、その上から原料混合液を塗工した。その後70℃に設定した乾燥機で乾燥し、セルロースアセテートメンブレンフィルターからはく離した。上記の手順により、凹凸を転写した微細繊維状セルロース含有シートを得た。
<実施例33>
実施例32において、転写基材を実施例13で使用した転写基材とした以外は実施例32と同様にして、凹凸を転写した微細繊維状セルロース含有シートを得た。
<実施例34>
実施例22で得たシートに対して、実施例18の[凹凸の形成]と同様の手順を行うことで、凹凸を転写した微細繊維状セルロース含有シートを得た。
<実施例35>
実施例34において、転写基材を実施例13で使用した転写基材とした以外は実施例34と同様にして、凹凸を転写した微細繊維状セルロース含有シートを得た。
<実施例36>
[シートの作製]
イオン交換水に、ヒドロキシエチルメチルセルロース(信越化学工業株式会社製、メトローズSEB-04T、メトキシ基の置換度=1.5、ヒドロキシエトキシ基の置換モル数=0.20、20℃における2%水溶液粘度=4000mPa・s)を2.0質量%になるように加え、室温で1時間撹拌し、溶解した。以上の手順により、ヒドロキシエチルメチルセルロース水溶液を得た。
製造例1で得た微細繊維状セルロース分散液、および上記ヒドロキシエチルメチルセルロース水溶液をそれぞれ固形分濃度が1.0質量%となるようにイオン交換水で希釈した。次いで、微細繊維状セルロース100質量部に対し、ヒドロキシエチルメチルセルロースを40質量部添加し、混合液を得た。さらに、シートの仕上がり坪量が95g/mになるように混合液を計量して、市販のアクリル板上に塗工した。なお、所定の厚みとなるようアクリル板上には堰止用の枠(内寸180mm×180mm、高さ50mm)を配置した。その後70℃に設定した乾燥機で乾燥し、アクリル板から剥離することで、微細繊維状セルロース含有シートを得た。
<実施例37>
[シートの作製]
イオン交換水に、メチルセルロース(信越化学工業株式会社製、メトローズSM100、メトキシ基の置換度=1.8、20℃における2%水溶液粘度=100mPa・s)を2.0質量%になるように加え、室温で1時間撹拌し、溶解した。以上の手順により、メチルセルロース水溶液を得た。
製造例1で得た微細繊維状セルロース分散液、および上記メチルセルロース水溶液をそれぞれ固形分濃度が1.0質量%となるようにイオン交換水で希釈した。次いで、微細繊維状セルロース100質量部に対し、メチルセルロースを40質量部添加し、混合液を得た。さらに、シートの仕上がり坪量が95g/mになるように混合液を計量して、市販のアクリル板上に塗工した。なお、所定の厚みとなるようアクリル板上には堰止用の枠(内寸180mm×180mm、高さ50mm)を配置した。その後70℃に設定した乾燥機で乾燥し、アクリル板から剥離することで、微細繊維状セルロース含有シートを得た。
<実施例38>
[シートの作製]
イオン交換水に、カルボキシメチルセルロース(第一工業製薬株式会社製、セロゲンF-6HS9、エーテル化度=0.80~0.90、25℃における1%水溶液粘度=3000~4000mPa・s)を2.0質量%になるように加え、室温で1時間撹拌し、溶解した。以上の手順により、カルボキシメチルセルロース水溶液を得た。
製造例1で得た微細繊維状セルロース分散液、および上記カルボキシメチルセルロース水溶液をそれぞれ固形分濃度が1.0質量%となるようにイオン交換水で希釈した。次いで、微細繊維状セルロース100質量部に対し、カルボキシメチルセルロースを40質量部添加し、混合液を得た。さらに、シートの仕上がり坪量が95g/mになるように混合液を計量して、市販のアクリル板上に塗工した。なお、所定の厚みとなるようアクリル板上には堰止用の枠(内寸180mm×180mm、高さ50mm)を配置した。その後70℃に設定した乾燥機で乾燥し、アクリル板から剥離することで、微細繊維状セルロース含有シートを得た。
<実施例39>
製造例6で得た微細繊維状セルロース分散液、およびポリエチレンオキシド水溶液をそれぞれ固形分濃度が1.0質量%となるようにイオン交換水で希釈した。次いで、微細繊維状セルロース100質量部に対し、ポリエチレンオキシドを20質量部添加し、混合液を得た。さらに、シートの仕上がり坪量が60g/mになるように混合液を計量して、市販のアクリル板上に塗工した。なお、所定の厚みとなるようアクリル板上には堰止用の枠(内寸180mm×180mm、高さ50mm)を配置した。その後70℃に設定した乾燥機で乾燥し、アクリル板から剥離することで、微細繊維状セルロース含有シートを得た。このシートに対して、実施例12の[凹凸の形成]と同様の手順を行うことで、凹凸を転写した微細繊維状セルロース含有シートを得た。
<実施例40>
製造例6で得た微細繊維状セルロース分散液の代わりに、製造例7で得た微細繊維状セルロース分散液を用いた以外は実施例39と同様にして、微細繊維状セルロース含有シートを得た。
<実施例41>
製造例6で得た微細繊維状セルロース分散液の代わりに、製造例8で得た微細繊維状セルロース分散液を用いた以外は実施例39と同様にして、微細繊維状セルロース含有シートを得た。
<実施例42>
製造例6で得た微細繊維状セルロース分散液の代わりに、製造例9で得た微細繊維状セルロース分散液を用いた以外は実施例39と同様にして、微細繊維状セルロース含有シートを得た。
<実施例43>
製造例6で得た微細繊維状セルロース分散液の代わりに、製造例10で得た微細繊維状セルロース分散液を用いた以外は実施例39と同様にして、微細繊維状セルロース含有シートを得た。
<実施例44>
製造例6で得た微細繊維状セルロース分散液の代わりに、製造例11で得た微細繊維状セルロース分散液を用いた以外は実施例39と同様にして、微細繊維状セルロース含有シートを得た。
<実施例45>
製造例1で得た微細繊維状セルロース分散液の代わりに、製造例3で得た微細繊維状セルロース分散液を用いた以外は実施例5と同様にして、微細繊維状セルロース含有シートを得た。
<実施例46>
実施例45で得たシートに対して、実施例12の[凹凸の形成]と同様の手順を行うことで、凹凸を転写した微細繊維状セルロース含有シートを得た。
<比較例1>
実施例1において、ポリエチレンオキシドを添加しなかった以外は実施例1と同様にして、微細繊維状セルロース含有シートを得た。
<比較例2>
実施例1において、微細繊維状セルロース100質量部に対し、ポリエチレンオキシドを5質量部添加した以外は実施例1と同様にして、微細繊維状セルロース含有シートを得た。
<比較例3>
実施例1において、微細繊維状セルロース100質量部に対し、ポリエチレンオキシドを500質量部添加した以外は実施例1と同様にして、微細繊維状セルロース含有シートを得た。
<測定>
実施例1~46で得た微細繊維状セルロース含有シートを、以下の方法にしたがって測定した。
[厚みの測定]
微細繊維状セルロース含有シートの厚みを、定圧厚さ測定器(TECLOCK CORPORATION製、PG-02)で測定した。具体的には、50mm角以上の大きさに切り出したシートを23℃、相対湿度50%で24時間調湿した後、任意の点4点の厚みを測定し、その平均値をシートの厚みとした。
[表面粗さの測定]
微細繊維状セルロース含有シートの凹凸の平均間隔Smを、最初に、以下の方法1で測定した。方法1では測定できなかった場合、および、方法1で測定したSmが60μmを超えた場合、方法2で測定した。また、算術平均粗さRaは、方法1により測定した。
方法1:微細繊維状セルロース含有シートの凹凸の平均間隔Smと算術平均粗さRaを、表面粗さ計(株式会社小坂研究所製、SE-3C)により測定した。なお、凹凸を転写したシートについては、転写面を測定面とした。方法1において、上記Sm、Raは、JIS B 0601:1994に準拠する方法で得られる値である。表面粗さ測定器の測定条件としては、カットオフ値:0.8mm、評価長さ:25mmを用いた。
方法2:微細繊維状セルロース含有シートの転写面を観察面とし、走査型電子顕微鏡で観察した。隣接する凹凸の基部の間隔の長さを、重複を避けて10点測定し、この平均値を平均間隔Smとした。
なお、実施例13、15、17、19、25、27、29、31、33、および35で得た微細繊維状セルロース含有シートについては、上記の方法では検出し得ない微細な凹凸を有していたため、平均間隔Smを以下の方法で測定した。
[リンオキソ酸基量の測定]
微細繊維状セルロースのリンオキソ酸基量(リンオキソ酸化パルプのリンオキソ酸基量と等しい)は、対象となる微細繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース分散液にイオン交換水を添加して、含有量を0.2質量%とし、イオン交換樹脂による処理を行った後、アルカリを用いた滴定を行うことにより測定した。
イオン交換樹脂による処理は、上記微細繊維状セルロース含有スラリーに体積で1/10の強酸性イオン交換樹脂(アンバージェット1024;オルガノ株式会社製、コンディショング済)を加え、1時間振とう処理を行った後、目開き90μmのメッシュ上に注いで樹脂とスラリーを分離することにより行った。
また、アルカリを用いた滴定は、イオン交換樹脂による処理後の微細繊維状セルロース含有スラリーに、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液を5秒に10μLずつ加えながら、スラリーが示すpHの値の変化を計測することにより行った。なお、滴定開始の15分前から窒素ガスをスラリーに吹き込みながら滴定を行った。この中和滴定では、アルカリを加えた量に対して測定したpHをプロットした曲線において、増分(pHのアルカリ滴下量に対する微分値)が極大となる点が二つ観測される。これらのうち、アルカリを加えはじめて先に得られる増分の極大点を第1終点と呼び、次に得られる増分の極大点を第2終点と呼ぶ(図1)。滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量が、滴定に使用したスラリー中の第1解離酸量と等しくなる。また、滴定開始から第2終点までに必要としたアルカリ量が滴定に使用したスラリー中の総解離酸量と等しくなる。なお、滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量(mmol)を、滴定対象スラリー中の固形分(g)で除した値をリンオキソ酸基量(第1解離酸量)(mmol/g)とした。また、滴定開始から第2終点までに必要としたアルカリ量(mmol)を、滴定対象スラリー中の固形分(g)で除した値を総解離酸量(mmol/g)とした。
[カルボキシ基量の測定]
微細繊維状セルロースのカルボキシ基量(TEMPO酸化パルプ等のカルボキシ基導入パルプのカルボキシ基量と等しい)は、対象となる微細繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース分散液にイオン交換水を添加して、含有量を0.2質量%とし、イオン交換樹脂による処理を行った後、アルカリを用いた滴定を行うことにより測定した。
イオン交換樹脂による処理は、0.2質量%の微細繊維状セルロース含有スラリーに体積で1/10の強酸性イオン交換樹脂(アンバージェット1024;オルガノ株式会社製、コンディショング済)を加え、1時間振とう処理を行った後、目開き90μmのメッシュ上に注いで樹脂とスラリーを分離することにより行った。
また、アルカリを用いた滴定は、イオン交換樹脂による処理後の繊維状セルロース含有スラリーに、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えながら、スラリーが示すpHの値の変化を計測することにより行った。水酸化ナトリウム水溶液を加えながらpHの変化を観察すると、図2に示されるような滴定曲線が得られる。図2に示されるように、この中和滴定では、アルカリを加えた量に対して測定したpHをプロットした曲線において、増分(pHのアルカリ滴下量に対する微分値)が極大となる点が一つ観測される。この増分の極大点を第1終点と呼ぶ。ここで、図2における滴定開始から第1終点までの領域を第1領域と呼ぶ。第1領域で必要としたアルカリ量が、滴定に使用したスラリー中のカルボキシ基量と等しくなる。そして、滴定曲線の第1領域で必要としたアルカリ量(mmol)を、滴定対象の微細繊維状セルロース含有スラリー中の固形分(g)で除すことで、カルボキシ基の導入量(mmol/g)を算出した。
なお、上述のカルボキシ基導入量(mmol/g)は、カルボキシ基の対イオンが水素イオン(H)であるときの繊維状セルロースの質量1gあたりの置換基量(以降、カルボキシ基量(酸型)と呼ぶ)を示している。
[硫黄オキソ酸基量・スルホン基量の測定]
微細繊維状セルロースの硫黄オキソ酸基量またはスルホン基量は、得られた繊維状セルロースを過塩素酸と濃硝酸を用いて湿式灰化した後に、適宜希釈してICP-OESで硫黄量を測定した。この硫黄量を、供試した繊維状セルロースの絶乾質量で除した値を硫黄オキソ酸基量・スルホン酸基量(mmol/g)とした。
[カチオン性基量の測定]
微細繊維状セルロースのカチオン性基量は、微量窒素分析を行い、下記式で計算した値を微細繊維状セルロースのカチオン性基量(mmol/g)とした。
(カチオン性基量)[mmol/g]=(窒素量)[g]/14×1000/(供試したカチオン性基導入微細繊維状セルロース量)[g]
[繊維幅の測定]
微細繊維状セルロースの繊維幅を下記の方法で測定した。各微細繊維状セルロース分散液を、セルロースの濃度が0.01質量%以上0.1質量%以下となるように水で希釈し、親水化処理したカーボン膜被覆グリッド上にキャストした。これを乾燥した後、酢酸ウラニルで染色し、透過型電子顕微鏡(TEM、日本電子株式会社製、JEOL-2000EX)により観察した。その際、得られた画像内に縦横任意の画像幅の軸を想定し、その軸に対し、20本以上の繊維が交差するよう、倍率を調節した。この条件を満たす観察画像を得た後、この画像に対し、1枚の画像あたり縦横2本ずつの無作為な軸を引き、軸に交差する繊維の繊維幅を目視で読み取っていった。各分散液につき3枚の重複しない観察画像を撮影し、各々2つの軸に交差する繊維の繊維幅の値を読み取った(20本以上×2×3=120本以上)。なお、このようにして得られた繊維幅から数平均繊維幅を算出した。
<評価1>
実施例1~46および比較例1~3で得た微細繊維状セルロース含有シートを、以下の方法にしたがって評価した。
[タンパク質(アルブミン)吸着]
シートから寸法30mm角の試験片を切り出した。卵白由来アルブミン(関東化学株式会社製)をリン酸バッファー(アトー社製、EzPBS(-))で100倍に希釈し、希釈後の溶液を上記シートに20μL滴下した。23℃50%RHで30分間風乾したのち、シャーレに0.2%クマシーブリリアントブルー染色液(アトー社製、EzStainAqua)を注ぎ、各種シートを浸漬し、5分間保持した。その間に、イオン交換水とメタノールを60:40の比で混合して洗浄液を作製し、別のシャーレに注いだ。5分経過後、上記シートを染色液から引き上げ、洗浄液に浸漬し、適宜振とうさせながら10分間洗浄した。洗浄後のシートをポリカーボネート板上に静置し、メタノールが揮発するまでドラフトで乾燥させた。その後、23℃50%RHで水分が揮発するまで風乾し、染色状態を観察した。なお、タンパク質(アルブミン)吸着能は以下の基準にしたがって評価した。
A:洗浄後、ムラなく、十分な濃さで染色された
B:洗浄後、一部ムラがみられるものの、染色された
C:洗浄後、わずかに染色された
D:洗浄後、染色されなかった
各種シートのアルブミン滴下部位の赤外分光スペクトルを、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR;ThermoFischer社製 NicoletNEXUS670)を使用し、ATR法で測定することにより評価を行った。赤外分光スペクトル測定は以下の条件で行った。
(赤外分光スペクトルの測定条件)
積算回数:64回、
波数分解能:4cm-1
測定波数範囲:4000~650cm-1
ATR結晶:ダイヤモンド、
入射角度:45°
アルブミンのアミド基に由来する1540cm-1(C=O結合)、および1650cm-1(N-H結合)付近に吸収が観察されるか確認し、ともに観察された場合をA、一方でも観察されなかった場合をBとして評価を行った。
[全光線透過率]
シートから寸法50mm角の試験片を切り出した。この試験片を使用し、JIS K 7361-1:1997に準拠し、ヘーズメータ(株式会社村上色彩技術研究所製、HM-150)を用いて全光線透過率を測定した。
[ヘーズ]
シートから寸法50mm角の試験片を切り出した。この試験片を使用し、JIS K 7136:2000に準拠し、ヘーズメータ(株式会社村上色彩技術研究所製、HM-150)を用いてヘーズを測定した。
[耐水性(吸水率)]
50mm角のシートを切り出し、23℃、相対湿度50%で24時間調湿したシートの質量をWd(g)、イオン交換水に24時間浸漬した後のシートの質量をW(g)とし、下記の式から吸水率を求めた後、以下の基準(A、B、C)にしたがって耐水性を評価した。
吸水率(%)=(W-Wd)/Wd×100
A:吸水率1000%以下で、形状を極めてよく維持している
B:吸水率1000%を超え2000%未満で、形状を維持している
C:吸水率2000%以上で、形状をほとんど維持していない

実施例1~46で得られたシートでは、クマシーブリリアントブルー染色やFT-IRにてシート上でのアルブミンの吸着を確認できた。また、これらのシートは光学特性も優れていた。一方で、親水性高分子を含有せず、微細繊維状セルロースのみで作製した比較例1のシートでは、アルブミンは吸着しなかった。親水性高分子の質量部数を微細繊維状セルロース100質量部に対して5質量部とした比較例2のシートや、親水性高分子の質量部数を微細繊維状セルロース100質量部に対して500質量部とした比較例3のシートでもアルブミンの吸着は確認されなかった。
<評価2>
なお、実施例1~46については、他の生体高分子も吸着するか確認した。
[リゾチーム吸着]
シートから寸法30mm角の試験片を切り出した。卵白由来リゾチーム(富士フイルム和光純薬株式会社製)をリン酸バッファー(アトー社製、EzPBS(-))で100倍に希釈し、希釈後の溶液を上記シートに20μL滴下した。23℃50%RHで30分間風乾したのち、シャーレに0.2%クマシーブリリアントブルー染色液(アトー社製、EzStainAqua)を注ぎ、各種シートを浸漬し、5分間保持した。その間に、イオン交換水とメタノールを60:40の比で混合して洗浄液を作製し、別のシャーレに注いだ。5分経過後、上記シートを染色液から引き上げ、洗浄液に浸漬し、適宜振とうさせながら10分間洗浄した。洗浄後のシートをポリカーボネート板上に静置し、メタノールが揮発するまでドラフトで乾燥させた。その後、23℃50%RHで水分が揮発するまで風乾し、染色状態を観察した。なお、リゾチーム吸着能は以下の基準にしたがって評価した。
A:洗浄後、ムラなく、十分な濃さで染色された
B:洗浄後、一部ムラがみられるものの、染色された
C:洗浄後、わずかに染色された
D:洗浄後、染色されなかった
各種シートのリゾチーム滴下部位の赤外分光スペクトルを、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR;ThermoFischer社製 NicoletNEXUS670)を使用し、ATR法で測定することにより評価を行った。赤外分光スペクトル測定は以下の条件で行った。
(赤外分光スペクトルの測定条件)
積算回数:64回、
波数分解能:4cm-1
測定波数範囲:4000~650cm-1
ATR結晶:ダイヤモンド、
入射角度:45°
リゾチームのアミド基に由来する1540cm-1(C=O結合)、および1650cm-1(N-H結合)付近に吸収が観察されるか確認し、観察された場合をA、観察されなかった場合をBとして評価を行った。
[デンプン吸着]
シートから寸法30mm角の試験片を切り出した。ヨウ化カリウム(富士フイルム和光純薬株式会社製)2質量部を100質量部のイオン交換水に溶解させ、次いでヨウ素(富士フイルム和光純薬株式会社製)1質量部を加え撹拌し、ヨウ素ヨウ化カリウム溶液を作製した。デンプン(王子コーンスターチ株式会社製、スウェリージェル700)を70℃の熱水で100倍に希釈し、希釈後の溶液を上記シートに20μL滴下した。23℃50%RHで30分間風乾したのち、シャーレに上記ヨウ素ヨウ化カリウム溶液を注ぎ、各種シートを浸漬し、5分間保持した。その間に、イオン交換水とメタノールを60:40の比で混合して洗浄液を作製し、別のシャーレに注いだ。5分経過後、上記シートをヨウ素ヨウ化カリウム溶液から引き上げ、洗浄液に浸漬し、適宜振とうさせながら10分間洗浄した。洗浄後のシートをポリカーボネート板上に静置し、メタノールが揮発するまでドラフトで乾燥させた。その後、23℃50%RHで水分が揮発するまで風乾し、染色状態を観察した。なお、デンプン吸着能は以下の基準にしたがって評価した。
A:洗浄後、ムラなく、十分な濃さで青紫色の呈色がみられた
B:洗浄後、一部ムラがみられるものの、青紫色の呈色がみられた
C:洗浄後、わずかに青紫色の呈色がみられた
D:洗浄後、青紫色の呈色はみられなかった
実施例1~46で得られたシートでは、アルブミンに加え、リゾチームが吸着することを確認できた。よって、種々のタンパク質に対して吸着能があることが示された。さらに、生体高分子の糖類のひとつであるデンプンに対しても吸着能があることが確認された。

Claims (21)

  1. 繊維幅が1000nm以下であり、イオン性基を有する微細繊維状セルロースと、親水性高分子とを含有するシートであり、
    前記微細繊維状セルロース100質量部に対し、前記親水性高分子を10質量部以上400質量部以下含む、
    生体高分子吸着用シート(但し、前記微細繊維状セルロースがブロックポリイソシアネートと化学的に結合している構造を含む生体高分子吸着用シートを除く)
  2. 前記親水性高分子が、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、およびセルロース誘導体よりなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1に記載の生体高分子吸着用シート。
  3. ヘーズが80%以下である、請求項1または2に記載の生体高分子吸着用シート。
  4. 全光線透過率が85%以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の生体高分子吸着用シート。
  5. 前記シートの生体高分子吸着面の算術平均粗さRaが700nm以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の生体高分子吸着用シート。
  6. 前記シートが、少なくとも生体高分子吸着面に凹凸形状を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の生体高分子吸着用シート。
  7. 前記凹凸形状の平均間隔Smが10nm以上60μm以下である、請求項6に記載の生体高分子吸着用シート。
  8. 前記凹凸形状が点在されている、請求項6または7に記載の生体高分子吸着用シート。
  9. 前記親水性高分子がポリエチレンオキシドである、請求項1~8のいずれか1項に記載の生体高分子吸着用シート。
  10. 前記シートの厚みが5μm以上300μm以下である、請求項1~9のいずれか1項に記載の生体高分子吸着用シート。
  11. 前記シートの固形分中の前記微細繊維状セルロースおよび前記親水性高分子の合計含有量が80質量%以上である、請求項1~10のいずれか1項に記載の生体高分子吸着用シート。
  12. 前記生体高分子がタンパク質である、請求項1~11のいずれか1項に記載の生体高分子吸着用シート。
  13. 前記生体高分子が多糖類である、請求項1~11のいずれか1項に記載の生体高分子吸着用シート。
  14. 前記微細繊維状セルロースの繊維幅が10nm以下である、請求項1~13のいずれか1項に記載の生体高分子吸着用シート。
  15. 架橋剤由来の架橋構造を含まない、請求項1~14のいずれか1項に記載の生体高分子吸着用シート。
  16. 繊維幅が1000nm以下であり、イオン性基を有する微細繊維状セルロースと、親水性高分子とを含有する生体高分子吸着用シートの製造方法であって、
    前記微細繊維状セルロース100質量部に対し、前記親水性高分子を10質量部以上400質量部以下含み、
    下記工程A1および工程A2をこの順で有する、生体高分子吸着用シートの製造方法(但し、前記微細繊維状セルロースがブロックポリイソシアネートと化学的に結合している構造を含む生体高分子吸着用シートの製造方法を除く)
    工程A1:凹凸を有する基材上に、繊維幅1000nm以下の微細繊維状セルロースおよび親水性高分子を含有する液状のシート原料を塗工する工程
    工程A2:この状態でシート原料を乾燥させて凹凸を転写したシートを得る工程
  17. 繊維幅が1000nm以下の微細繊維状セルロースと、親水性高分子とを含有する生体高分子吸着用シートの製造方法であって、
    前記微細繊維状セルロース100質量部に対し、前記親水性高分子を10質量部以上400質量部以下含み、
    下記工程B1および工程B2をこの順で有する、生体高分子吸着用シートの製造方法。
    工程B1:凹凸を有する基材上に、繊維幅1000nm以下の微細繊維状セルロースおよび親水性高分子を含有するシートを載置して、積層体を得る工程
    工程B2:積層体を加熱下でプレスし、凹凸を転写する工程
  18. 繊維幅が1000nm以下の微細繊維状セルロースと、親水性高分子とを含有する生体高分子吸着用シートの製造方法であって、
    前記微細繊維状セルロース100質量部に対し、前記親水性高分子を10質量部以上400質量部以下含み、
    下記工程C1~工程C3をこの順で有する、生体高分子吸着用シートの製造方法。
    工程C1:凹凸を有する基材上に、湿潤状態とした繊維幅1000nm以下の微細繊維状セルロースおよび親水性高分子を含有するシートを載置して、積層体を得る工程
    工程C2:積層体を加圧して、シートを基材に密着させる工程
    工程C3:シートを基材に密着させた状態で乾燥させて凹凸を転写したシートを得る工程
  19. 前記凹凸を有する基材の表面に離型層を有する、請求項1618のいずれか1項に記載のシートの製造方法。
  20. 前記微細繊維状セルロースの繊維幅が10nm以下である、請求項16~19のいずれか1項に記載のシートの製造方法。
  21. 架橋剤由来の架橋構造を含まない、請求項16~20のいずれか1項に記載のシートの製造方法。
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