JP7731555B2 - 多能性幹細胞の分化抑制方法 - Google Patents
多能性幹細胞の分化抑制方法Info
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Description
(2)前記液体培地中のPKCβ阻害剤含有濃度が、25nM以上15μM以下である(1)記載の方法。
(3)前記液体培地中のTNKS阻害剤含有濃度が、90nM以上40μM以下である(1)記載の方法。
(4)前記液体培地中のPKCβ阻害剤とTNKS阻害剤の含有濃度の比率が167:1以上1:1600以下の範囲である(1)記載の方法。
(5)前記液体培地が、L-アスコルビン酸、インスリン、トランスフェリン、セレン及び炭酸水素ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも1つを含有する(1)記載の方法。
(6)前記液体培地が、FGF2及び/又はTGF-β1を含む(1)記載の方法。
(7)前記液体培地が、ROCK阻害剤を含有する(1)記載の方法。
(8)前記ROCK阻害剤が、Y-27632である(7)記載の方法。
(9)前記浮遊培養する工程が、細胞凝集塊を形成する工程を含む(1)記載の方法。
(10)前記浮遊培養する工程が、細胞凝集塊を回収する工程を含む(1)記載の方法。
(11)前記多能性幹細胞集団は、OCT4が陽性を呈する細胞の比率が90%以上であり、SOX2が陽性を呈する細胞の比率が90%以上であり、Nanogが陽性を呈する細胞の比率が90%以上である(1)記載の方法。
(12)前記多能性幹細胞が、ES細胞及び/又は人工多能性幹細胞である(1)記載の方法。
(13)上記液体培地中の乳酸濃度が5~15mMになるまで上記浮遊培養する(1)記載の方法。
(14)上記浮遊培養は、翼先端速度を0.05m/s以上1.37m/s以下とした攪拌培養である(1)記載の方法。
(15)前記(1)~(14)の何れかに記載の方法により製造される多能性幹細胞集団。
(16)PKCβ阻害剤及びTNKS阻害剤を含む、多能性幹細胞分化抑制剤。
(17)前記PKCβ阻害剤含有濃度が、50nM以上200mM以下である(16)記載の多能性幹細胞分化抑制剤。
(18)前記TNKS阻害剤含有濃度が、180nM以上113mM以下である(16)記載の多能性幹細胞分化抑制剤。
(19)前記分化抑制剤中のPKCβ阻害剤とTNKS阻害剤の含有濃度の比率が、167:1以上1:1600以下の範囲である(16)記載の多能性幹細胞分化抑制剤。
(20)前記(16)~(19)の何れかに記載の多能性幹細胞分化抑制剤を含む多能性幹細胞分化抑制キット。
(22)前記TNKS阻害剤は、IWR-1-endo、XAV939、G007-LK、G244-LM及びWIKI4からなる群から選ばれる少なくとも1つである(1)記載の方法及び(16)記載の多能性幹細胞分化抑制剤。
(23)前記多能性幹細胞がプライム型多能性幹細胞である(1)記載の方法及び(16)記載の多能性幹細胞分化抑制剤。
(24)前記液体培地がLIFを含まない(1)記載の方法。
(25)LIFを含まない液体培地組成物を含む(20)記載の多能性幹細胞分化抑制キット。
(26)前記液体培地がGSK3阻害剤を含まない(1)記載の方法。
(27)GSK3阻害剤を含まない液体培地組成物を含む(20)記載の多能性幹細胞分化抑制キット。
(28)前記液体培地がGSK3阻害剤とMEK/ERK阻害剤を含まない(1)記載の方法。
(29)GSK3阻害剤とMEK/ERK阻害剤を含まない液体培地組成物を含む(20)記載の多能性幹細胞分化抑制キット。
(30)PKCβ阻害剤は下記構造式[式I]を有する化合物である(1)記載の方法及び(16)記載の多能性幹細胞分化抑制剤。
式Iにおいて、
R1は水素原子または炭素数1~3のアルコキシ基(好ましくはメトキシ基)であり、
R2は、水素原子、炭素数1~3のアルキル基(好ましくはメチル基)、又は、-N(RA)2により置換された炭素数1~3のアルキル基(好ましくは-(CH2)3-N(CH3)2)であり、
RAは独立にエチル基又はメチル基(好ましくはメチル基)であり、
R3は、
又は
RBは、水素原子、-S-C(=NH)(-NH2)により置換された炭素数2~4のアルキル基(好ましくは-(CH2)3-S-C(=NH)(-NH2))、又は
或いは、R2とRBとが一体となって下記の二価基
前記二価基に含まれる不斉炭素の立体配置は特に限定されないが、好ましくは、
RCは、-N(RD)2により置換された炭素数1~3のアルキル基(好ましくは-(CH2)-N(CH3)2)であり、
RDは独立にエチル基又はメチル基(好ましくはメチル基)である。
式Iで表される化合物の塩としては塩酸塩又は硫酸塩が例示できる。
本明細書は本願の優先権の基礎となる日本国特許出願番号2020-021843号の開示内容を包含する。
本発明の多能性幹細胞分化抑制剤によれば、浮遊培養中の多能性幹細胞の未分化状態を維持することができる。
1-1.概要
本発明に係る多能性幹細胞分化抑制剤は、プロテインキナーゼCβ(PKCβ)阻害剤及びタンキレース(TNKS)阻害剤を含有することに特徴がある。また、本発明に係る多能性幹細胞分化抑制剤は、PKCβ阻害剤及びTNKS阻害剤からなる組成物とすることができる。本発明に係る多能性幹細胞分化抑制剤により、浮遊培養中の細胞における未分化状態を維持し、浮遊培養によって多能性幹細胞集団を容易に製造することができる。
本明細書で使用する以下の用語について定義する。
≪細胞≫
本明細書において発明の対象となる「多能性幹細胞」とは、生体を構成する全ての種類の細胞に分化することができる多分化能(多能性)を有し、適切な条件下のインビトロ(in vitro)での培養において多能性を維持したまま無限に増殖を続けることができる細胞をいう。より具体的に、多能性とは、個体を構成する胚葉(脊椎動物では外胚葉、中胚葉及び内胚葉の三胚葉)に分化できる能力を意味する。このような細胞は例えば、胚性幹細胞(ES細胞:embryonic stem cell)、胚性生殖幹細胞(EG細胞:embryonic germ cell)、生殖系幹細胞(GS細胞:Germline stem cell)、そして人工多能性幹細胞(iPS細胞:induced pluripotent stem cells)等が挙げられる。「ES細胞」とは、初期胚より調製された多能性幹細胞である。「EG細胞」とは、胎児の始原生殖細胞より調製された多能性幹細胞である(Shamblott M.J.et al.,1998,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,95:13726-13731)。「GS細胞」とは、細胞精巣より調製された多能性幹細胞である(Conrad S.,2008,Nature,456:344-349)。また、「iPS細胞」とは、分化済みの体細胞に少数の初期化因子をコードする遺伝子を導入することによって体細胞を未分化状態にするリプログラミングが可能となった多能性幹細胞をいう。
本明細書において「細胞凝集塊」とは、浮遊培養において細胞凝集によって形成される塊状の細胞集団であって、スフェロイドとも呼ばれる。細胞凝集塊は、通常、略球状を呈する。細胞凝集塊を構成する細胞は、1種類以上の前記細胞であれば特に限定されない。例えば、ヒト多能性幹細胞又はヒト胚性幹細胞等の多能性幹細胞で構成された細胞凝集塊は、多能性幹細胞マーカーを発現している及び/又は多能性幹細胞マーカーが陽性を呈する細胞を含む。
「浮遊培養」とは、細胞培養方法の一つで、培地中で細胞を浮遊状態で増殖させることをいう。本明細書において「浮遊状態」とは、培養容器等の外部マトリクスに対して細胞が非接着の状態をいう。「浮遊培養法」は、細胞を浮遊培養する方法であって、この方法での細胞は、培養液中で凝集した細胞塊で存在する。浮遊培養法に対する他の培養方法として、接着培養法がある。「接着培養法」は、細胞を接着培養する方法である。「接着培養」とは、細胞を培養容器等の外部マトリクス等に接着させて、原則単層で増殖させることをいう。なお、前述の接着性細胞は、通常、接着培養のみならず、浮遊培養での培養も可能である。
本発明で用いる培地は、好ましくは血清を含まない培地、すなわち無血清培地である。
本明細書において「プロテインキナーゼCβ(PKCβ)阻害剤」とは、PKCβの活性を阻害又は抑制する物質を意味する。プロテインキナーゼは、C末端側の触媒領域及びN末端側の調節領域を有している。触媒領域は、基質タンパク質上のリン酸化残基を認識する配列と、ATP/Mg2+結合する配列とから構成される。調節領域はC1とC2ドメインから構成される。
式Iにおいて、
R1は水素原子または炭素数1~3のアルコキシ基(好ましくはメトキシ基)であり、 R2は、水素原子、炭素数1~3のアルキル基(好ましくはメチル基)、又は、-N(RA)2により置換された炭素数1~3のアルキル基(好ましくは-(CH2)3-N(CH3)2)であり、
RAは独立にエチル基又はメチル基(好ましくはメチル基)であり、
R3は、
又は
RBは、水素原子、-S-C(=NH)(-NH2)により置換された炭素数2~4のアルキル基(好ましくは-(CH2)3-S-C(=NH)(-NH2))、又は
或いは、R2とRBとが一体となって下記の二価基
前記二価基に含まれる不斉炭素の立体配置は特に限定されないが、好ましくは、
RCは、-N(RD)2により置換された炭素数1~3のアルキル基(好ましくは-(CH2)-N(CH3)2)であり、
RDは独立にエチル基又はメチル基(好ましくはメチル基)である。
上記構造式[式I]を有するPKCβ阻害剤としては、具体的に、Go6983、GF109203X、LY-333531、Enzastaurin、Sotrastaurin、Ro-31-8220-mesylate、Ro-32-0432-hydrochloride、Go6976、Rottlerin、Midostaurin、Daphnetin、Dequalinium Chloride、Baicalein、Quercetin、Luteolin、Bisindolylmaleimide II、Calphostin C、Chelerythrine chloride、L-threo Dihydrosphingosine及びMelittinからなる群から選ばれる化合物を挙げることができる。特に、上記構造式を有するPKCβ阻害剤の中でも、Go6983、GF109203X及びLY-333531からなる群から選ばれる化合物を使用することが好ましい。
本明細書において「タンキレース(TNKS)阻害剤」とは、タンキレースの活性を阻害又は抑制する物質を意味する。タンキレース(タンキラーゼと称する場合もある)は、標的タンパク質をポリ(ADP-リボシル)化するポリ(ADP-リボシル)化酵素(PARP)ファミリーに属し、タンキレース1(tankyrase-1/PARP-5a)及びタンキレース2(tankyrase-2/PARP-5b)が知られている。タンキレースについては、テロメア蛋白質TRF1をポリ(ADP-リボシル)化し、これをテロメアから遊離させることにより、テロメラーゼによるテロメア伸長を促進する機能が知られている。
本発明に係る多能性幹細胞分化抑制剤は、上記1-2.で定義したPKCβ阻害剤及びTNKS阻害剤を有効成分として含む。
本発明の多能性幹細胞分化抑制剤によれば、浮遊培養系において多能性幹細胞の未分化状態を維持し、細胞凝集塊を形成させることができる。それによって、大量の多能性幹細胞を効率的に生産することが可能となる。
2.多能性幹細胞集団の製造方法
本発明に係る多能性幹細胞集団の製造方法は、プロテインキナーゼCβ(PKCβ)阻害剤及びタンキレース(TNKS)阻害剤の存在下に多能性幹細胞を浮遊培養する工程を含む。本発明に係る多能性幹細胞集団の製造方法によれば、PKCβ阻害剤及びTNKS阻害剤が存在することで、多能性幹細胞における未分化状態を維持し、浮遊培養によって多能性幹細胞集団を容易に製造することができる。
本態様の方法は、浮遊培養工程を必須の工程として、また、維持培養工程並びに回収工程を選択工程として含む。以下、それぞれの工程について、説明をする。
「維持培養工程」は、浮遊培養工程前の細胞集団、又は浮遊培養工程後、若しくはその後の回収工程後に得られる細胞凝集塊を、未分化状態を維持した状態で細胞を増殖させるために培養する工程である。維持培養は、当該分野で既知の動物細胞培養法を利用することができる。例えば、細胞を容器、担体等培養基材に接着させながら培養する接着培養であってもよいし、浮遊培養であってもよい。
本工程で使用する細胞は、浮遊培養において細胞凝集が可能な細胞である。前述の「1-2.用語の定義」における「培養及び培地」の項で記載したように、動物細胞が好ましく、ヒト細胞はより好ましい。また、細胞の種類は、多能性幹細胞であり、iPS細胞やES細胞のような多能性幹細胞は特に好ましい。
培養に用いる培養容器は、容器内面への細胞の接着性が低い容器が好ましい。容器内面への細胞の接着性が低い容器としては、例えば生体適合性がある物質で親水性表面処理されているようなプレートが挙げられる。例えば、NunclonTM Sphera(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社)を培養容器として使用できる。
培地や培養液の量は、使用する培養容器によって適宜調整すればよい。例えば12ウェルプレート(平面視でのウェル底面の面積が1ウェルあたり3.5cm2)を使用する場合は、1ウェルあたりの量を0.5mL以上、1.5mL以下、好ましくは約1.3mLとすることができる。また、6ウェルプレート(平面視でのウェル底面の面積が1ウェルあたり9.6cm2)を使用する場合には、1ウェルあたりの量を下限は1.5mL以上、2mL以上、又は3mL以上とすることができ、また上限は6.0mL以下、5mL以下、4mL以下とすることができる。さらに、125mL三角フラスコ(容量が125mLの三角フラスコ)を使用する場合は、容器当たりの量を下限は10mL以上、15mL以上、20mL以上、25mL以上、又は30mL以上とすることができ、また上限は50mL以下、45mL以下、又は40mL以下とすることができる。また、容量が500mLの三角フラスコを使用する場合は、容器当たりの量を下限は100mL以上、105mL以上、110mL以上、115mL以上、又は120mL以上とすることができ、また上限は150mL以下、145mL以下、140mL以下、135mL以下、130mL以下、又は125mL以下とすることができる。さらに、容量が1000mLの三角フラスコを使用する場合は、容器当たりの量を下限は250mL以上、260mL以上、270mL以上、280mL以上、又は290mL以上とすることができ、また上限は350mL以下、340mL以下、330mL以下、320mL以下、又は310mL以下とすることができる。さらに、例えば容量が2Lのディスポーザブル培養バッグを使用する場合は、1バッグ当たりの量を下限は100mL以上、200mL以上、300mL以上、400mL以上、500mL以上、600mL以上、700mL以上、800mL以上、900mL以上、又は1000mL以上とすることができ、上限は2000mL以下、1900mL以下、1800mL以下、1700mL以下、1600mL以下、1500mL以下、1400mL以下、1300mL以下、1200mL以下、又は1100mL以下とすることができる。また、容量が10Lのディスポーザブル培養バッグを使用する場合は、1バッグ当たりの量を下限は500mL以上、1L以上、2L以上、3L以上、4L以上、又は5L以上とすることができ、上限は10L以下、9L以下、8L以下、7L以下、又は6L以下とすることができる。
浮遊培養に際して、新たな培地に播種する細胞の密度(播種密度)は、培養時間や培養後の細胞状態、培養後に必要な細胞数を勘案して適宜調整することができる。限定はしないが、通常、下限は0.01×105 cells/mL以上、0.1×105cells/mL以上、1×105 cells/mL以上、又は2×105cells/mL以上、そして、上限は20×105cells/mL以下、又は10×105 cells/mL以下の範囲にあればよい。
培養温度、時間、CO2濃度等の培養条件は特に限定しない。当該分野における常法の範囲で行えばよい。例えば培養温度は下限が20℃以上、又は35℃以上、そして上限が45℃以下、又は40℃以下であればよいが、好ましくは37℃である。また、培養時間は下限が0.5時間以上又は6時間以上、そして上限が7日間以下、120時間以下、96時間以下、72時間以下、又は48時間以下の範囲にあればよい。培養時のCO2濃度は、下限が4%以上、又は4.5%以上、そして上限が10%以下、又は5.5%以下であればよいが、好ましくは5%である。また、適当な頻度で培地交換を行うことができる。培地交換の頻度は培養する細胞種によって異なるが、例えば、5日に1回以上、4日に1回以上、3日に1回以上、2日に1回以上、1日に1回以上、又は1日に2回以上で行えばよいがそれらに限定されない。培地交換は、回収工程と同様の方法で細胞を回収した後、新鮮な培地を添加し、穏やかに細胞凝集塊を分散させた後、再度培養すればよい。なお、培地交換の頻度や方法等については、上記の頻度や方法には限定されず、適宜最適な方法を採用すればよい。
培養中の培地の流動状態は問わない。静置培養でもよいし、流動培養でもよいが、好ましくは流動培養である。
本工程後は、常法により培養液と細胞を分離し、細胞を回収する。この時、細胞は、剥離又は分散処理によって単一の細胞として回収することが好ましい。具体的な方法については、後述の回収工程で詳述する。回収した細胞は、そのまま、又は必要に応じてバッファ(PBSバッファを含む)、生食、又は培地(次の工程で使用する培地か基礎培地が好ましい)で洗浄後、次の工程に供すればよい。
「浮遊培養工程」は、上述した多能性幹細胞分化抑制剤又はその有効成分であるPKCβ阻害剤及びTNKS阻害剤を含む培地中で細胞を浮遊培養する工程である。
本工程で使用する細胞は、限定はしないが、維持培養工程後に調製された細胞が好ましい。細胞の種類も、維持培養工程に記載のように、多能性幹細胞であり、iPS細胞やES細胞のような多能性幹細胞は特に好ましい。また培地に播種する際の細胞の状態は、単一細胞の状態であることが好ましい。 また、本工程で使用する多能性幹細胞は、一つの細胞でも良いし、複数細胞からなる細胞集団(多能性幹細胞集団)でもよい。前記多能性幹細胞が多能性幹細胞集団の場合、前記集団において多能性幹細胞マーカー(例えばOCT4、SOX2、Nanog)を発現する及び/または多能性幹細胞マーカーが陽性を呈する細胞の割合(比率)は、例えば90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、100%以下である。
本工程は、PKCβ阻害剤及びTNKS阻害剤を含む培地で培養することに特徴があり、この点において、維持培養工程で使用する培地と相違する。培地の種類は、PKCβ阻害剤及びTNKS阻害剤を含み、かつ細胞を増殖及び/又は維持できる培地であれば、限定はしない。
本工程では、浮遊培養を行う。したがって、培養方法は、培地を流動する流動培養が好ましい。PKCβ阻害剤及びTNKS阻害剤を含む培地で多能性幹細胞を浮遊培養することによって、多能性幹細胞の未分化状態を維持することができる。
「回収工程」は、維持培養工程又は浮遊培養工程後の培養液から培養した細胞を回収する工程で、本発明の方法における選択工程である。
本明細書において「単一細胞化」とは、単層細胞片や細胞凝集塊等のように複数の細胞が互いに接着又は凝集した細胞集合体を分散させて、単一の遊離した細胞状態にすることをいう。
3-1.概要
上述した「2.多能性幹細胞集団の製造方法」を適用することで、生産物として細胞凝集塊を得ることができる。本製造方法によれば、多能性幹細胞の未分化状態を維持した細胞凝集塊を製造することができる。
本態様の細胞凝集塊製造方法における基本工程は、上述した「2.多能性幹細胞集団の製造方法」に準ずる。すなわち、必須の工程として浮遊培養工程を、また選択工程として維持培養工程、及び回収工程を含む。各工程の説明は、前述の通りである。
本態様の細胞凝集塊製造方法により、未分化状態を維持した細胞凝集塊を製造することができる。
本態様の細胞凝集塊製造方法によれば、多能性幹細胞の未分化状態を維持した細胞凝集塊を製造することができる。
4-1.概要
上述した「2.多能性幹細胞集団の製造方法」を用いて、多能性幹細胞凝集塊を製造することができる。本製造方法によれば、多能性幹細胞の未分化状態を維持した細胞凝集塊を製造することができる。
本態様の多能性幹細胞塊の製造方法における基本工程は、上述した「2.多能性幹細胞集団の製造方法」に準ずる。すなわち、必須の工程として、PKCβ阻害剤及びTNKS阻害剤を含む培地で浮遊培養する工程(第一工程)を含み、また選択工程として、維持培養工程、及び回収工程を含む。各工程の説明は、原則として上述した「2.多能性幹細胞集団の製造方法」に記載の通りである。
本態様の多能性幹細胞塊の製造方法によれば、適切なサイズの多能性幹細胞凝集塊を、多能性幹細胞の未分化状態を維持しつつ製造することができる。例えば、本態様の多能性幹細胞集団培養方法により得られた多能性幹細胞集団において、多能性幹細胞マーカー(例えばOCT4、SOX2、NANOG)を発現する及び/または多能性幹細胞マーカーが陽性を呈する細胞の割合(比率)は、例えば90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、100%以下である。
本態様の細胞凝集塊製造方法によれば、多能性幹細胞の未分化状態を維持した細胞凝集塊を製造することができる。
5-1.概要
本態様は、細胞の浮遊培養用培地である。本態様の浮遊培養用培地を使用すれば、培地中で多能性幹細胞の未分化状態を維持することができる。
本態様の細胞の浮遊培養用培地は、上述した「1.多能性幹細胞分化抑制剤」に記載の分化抑制剤、又はその有効成分であるPKCβ阻害剤及びTNKS阻害剤を少なくとも含み、浮遊培養における多能性幹細胞の未分化状態を維持するための細胞増殖用培地で構成される。
本態様の浮遊培養用培地を用いて細胞を浮遊培養すれば、多能性幹細胞の未分化状態を維持することができる。
6-1.概要
本発明に係る多能性幹細胞分化抑制剤を含むキットは、PKCβ阻害剤及びTNKS阻害剤からなる多能性幹細胞分化抑制剤を含む、多能性幹細胞の培養に使用されるキットである。本多能性幹細胞分化抑制キットを用いることで、多能性幹細胞の未分化状態を維持しながら浮遊培養により多能性幹細胞を増殖することができる。
多能性幹細胞分化抑制キットは、必須の構成要素としてPKCβ阻害剤及びTNKS阻害剤からなる多能性幹細胞分化抑制剤を、また選択的構成要素として培地、及び/又はプロトコルを包含する。
iMatrix-511 Silk(ニッピ社)を0.25μg/cm2でコーティングした細胞培養用ディッシュに、ヒトiPS細胞WTC-11株(コリエルインスティチュート社)を播種し、37℃、5%CO2雰囲気下で接着培養を行った。培地はStemFit(登録商標)AK02N(味の素社)を使用し、毎日培地交換を行った。細胞播種時のみROCK阻害剤(Y-27632(富士フィルム和光純薬社))を最終濃度が10μMとなるように培地に添加した。
参考例1の手順で接着培養したヒトiPS細胞WTC-11株をDulbecco’s PBS(ナカライテスク社)で洗浄後、0.5 mM EDTA solution in Dulbecco’s PBS(ナカライテスク社)で5分間処理した。EDTA solutionを吸引した後、StemFit(登録商標)AK02N培地をディッシュに加え、セルスクレイパーによって細胞を剥離させた後、ピペッティングによって単一細胞まで分散させた。この細胞を最終濃度10μMのY-27632(富士フィルム和光純薬社)を含むStemFit(登録商標)AK02N培地で懸濁し、その一部をトリパンブルー染色して生細胞数を測定した。細胞懸濁液を最終濃度10μMのY-27632を含むStemFit(登録商標)AK02N培地を用いて1mLあたり1×105個の細胞を含むように調製した。浮遊培養用6ウェルプレート(住友ベークライト社)に1ウェルあたり4mLの細胞懸濁液を播種した。細胞を播種したプレートはロータリーシェーカー(オプティマ社)上で90rpmの速度で水平面に沿って旋回幅(直径)が25mmの円を描くように旋回させ、37℃、5%CO2環境下で浮遊培養を行った。細胞を播種した日を培養0日目とし、培養5日目に継代を行い、培養10日目まで浮遊培養を行った。培養2、4、7、9日目に培地交換を行った。培地交換の方法としては、ウェルから培養上清だけを3 mL吸引除去した後、Y-27632を含まないStemFit(登録商標)AK02N培地3mLをウェルに添加した。培養5日目にウェルから細胞凝集塊と培養上清を遠沈管に回収し、5分程度静置して細胞凝集塊を沈降させて培養上清を除去した。Dulbecco’s PBS で洗浄後、細胞凝集塊にAccutaseを1mL添加して37℃で10分間処理した後、ピペッティングによって単一細胞まで分散させた。この細胞を最終濃度10μMのY-27632を含むStemFit(登録商標)AK02N培地で懸濁し、その一部をトリパンブルー染色して生細胞数を測定した。細胞懸濁液を最終濃度10μMのY-27632を含むStemFit(登録商標)AK02N培地を用いて1mLあたり1×105個の細胞を含むように調製し、培養0日目と同様に細胞を播種して浮遊培養を継続した。培養10日目に位相差顕微鏡を用いて細胞凝集塊の位相差画像を取得した。細胞凝集塊の位相差画像を図1に示した。図1より、細胞凝集塊を形成したことが確認できた。
浮遊培養の播種培地及び培地交換培地をTNKS阻害剤であるIWR-1-endo(富士フィルム和光純薬社)を最終濃度10μMで含むように調製した点を除いて、比較例1と同じ手順で浮遊培養を実施した。
浮遊培養の播種培地及び培地交換培地をPKCβ阻害剤であるGo6983(富士フィルム和光純薬社)を最終濃度10μMで含むように調製した点を除いて、比較例1と同じ手順で浮遊培養を実施した。
浮遊培養の播種培地及び培地交換培地をIWR-1-endo及びGo6983をそれぞれ最終濃度10μMで含むように調製した点を除いて、比較例1と同じ手順で浮遊培養を実施した。
以下に示す手順で定量的リアルタイムPCR解析を行った。参考例1の培養5日目の細胞、及び比較例1、2、実施例1の培養10日目の細胞をDulbecco’s PBSで洗浄し、Monarch Total RNA Miniprep Kit(ニュー・イングランド・バイオラボ・ジャパン社)を用いてtotal RNAを精製した。精製方法はキット付属の使用マニュアルに従った。微量分光光度計で1000ng分のtotal RNAを分取した。分取したRNAに対し、ReverTra Ace(登録商標)(東洋紡社)1μL、5x RT buffer(東洋紡社)4μL、10mM dNTPs Mixture(東洋紡社)2μL、RNase inhibitor(10units/μL)(東洋紡社)1μL、Random primer(25pmol/μL)(東洋紡社)1μL、RNase Free dH2Oを添加して20μLに調製し、SimpliAmp Thermal Cycler(サーモフィッシャーサイエンティフィック社)を用いてcDNA合成を行った。cDNA合成の反応条件は、30℃で10分反応後、42℃で60分反応、99℃で5分反応を連続して行い、4℃に冷却した。合成したcDNA溶液を滅菌水で5倍に希釈した。希釈したcDNA溶液を0.5μL/well、滅菌水を3.98μL/well、THUNDERBIRD(登録商標)Probe qPCR Mix(東洋紡社)を5μL/well、Taqman(商標登録) probeを0.5μL/well、50X ROX reference dye(東洋紡社)を0.02μL/wellをとなるように反応プレートに添加して混合した。TaqmanプローブはGAPDH、OCT4、T、SOX17、PAX6を用いた。TaqMan(商標登録) QuantStudio3 リアルタイムPCRシステム(サーモフィッシャーサイエンティフィック社)を用いて定量的リアルタイムPCR解析を実施した。反応条件を表1に示す。
GAPDH:Hs02786624_g1
OCT4:Hs01088114_m1
T:Hs00610080_m1
SOX17:Hs00751752_s1
PAX6:Hs04260367_gH
遺伝子発現を測定した結果を表2及び図2に示した。
Vitronectin(VTN-N)Recombinant Human Protein,Truncated(サーモフィッシャーサイエンティフィック社)を0.5μg/cm2でコーティングした細胞培養用ディッシュに、ヒトiPS細胞201B7株(京都大学iPS細胞研究所)を播種し、37℃、5%CO2雰囲気下で接着培養を行った。培地はStemFit(登録商標)AK02N(味の素社)を使用し、毎日培地交換を行った。細胞播種時のみY-27632(富士フイルム和光純薬社)を最終濃度が10μMとなるように培地に添加した。
参考例2と同じ手順で接着培養したヒトiPS細胞201B7株をAccutase(イノベーティブセルテクノロジー社)で5分間処理して培養面から剥離し、ピペッティングによって単一細胞まで分散させた。この細胞を最終濃度10μMのY-27632を含むStemFit(登録商標)AK02N培地で懸濁し、その一部をトリパンブルー染色して生細胞数を測定した。細胞懸濁液を最終濃度10μMのY-27632を含むStemFit(登録商標)AK02N培地を用いて1mLあたり2×105個の細胞を含むように調製した。浮遊培養用6ウェルプレートに1ウェルあたり4mLの細胞懸濁液を播種した。細胞を播種したプレートはロータリーシェーカー上で83rpmの速度で水平面に沿って旋回幅(直径)が25mmの円を描くように旋回させ、37℃、5%CO2環境下で浮遊培養を行った。細胞を播種した日を培養0日目とし、培養4日目に継代を行い、培養8日目まで浮遊培養を行った。培地交換は毎日行った。培地交換の方法としては、細胞凝集塊を含む培地の全量を遠沈管に回収し、5分程度静置して細胞凝集塊を沈降させた。その後、培養上清を除去し、StemFit(登録商標)AK02N培地で穏やかに再懸濁し、元のウェルに戻した。培地交換時に、培養1日目及び5日目は培地にY-27632を最終濃度5μMとなるように添加し、培養2日目及び6日目は培地にY-27632を最終濃度2μMとなるように添加した。培養4日目にウェルから細胞凝集塊と培養上清を遠沈管に回収し、5分程度静置して細胞凝集塊を沈降させて培養上清を除去した。細胞凝集塊にAccutaseを1mL添加して37℃で10分間処理した後、ピペッティングによって単一細胞まで分散させた。この細胞を最終濃度10μMのY-27632を含むStemFit(登録商標)AK02N培地で懸濁し、その一部をトリパンブルー染色して生細胞数を測定した。細胞懸濁液を最終濃度10μMのY-27632を含むStemFit(登録商標)AK02N培地を用いて1mLあたり2×105個の細胞を含むように調製し、培養0日目と同様に細胞を播種して浮遊培養を継続した。培養8日目に位相差顕微鏡を用いて細胞凝集塊の位相差画像を取得した。細胞凝集塊の位相差画像を図3に示した。図3より、細胞凝集塊を形成したことが確認できた。
PKCβ以外のPKCアイソザイムを阻害するPKC阻害剤に分化抑制効果があるかどうかを確認するために、以下の方法で浮遊培養を実施した。
浮遊培養の播種培地及び培地交換培地に対し、表3に示す組み合わせでTNKS阻害剤とPKC阻害剤(PKCβ以外のPKCアイソザイムの活性を阻害する)を添加した点を除いて、比較例4と同じ手順で浮遊培養を実施した。
実施例1で使用したGo6983以外のPKCβ阻害剤を使用した場合にも、分化抑制効果があるかどうかを確認するために、以下の方法で浮遊培養を実施した。
浮遊培養の播種培地及び培地交換培地に対し、表4に示す組み合わせでTNKS阻害剤とPKCβ阻害剤を添加した点を除いて、比較例4と同じ手順で浮遊培養を実施した。
以下に示す手順で定量的リアルタイムPCR解析を行った。参考例2の培養4日目の細胞、及び比較例4、5、実施例3の培養8日目の細胞をTRIzolTM Reagent(サーモフィッシャーサイエンティフィック社)を用いて溶解させた。PureLink(登録商標)RNA Miniキット(サーモフィッシャーサイエンティフィック社)を用いて、TRIzolTM Reagentで溶解させた溶液からtotal RNAを単離及び精製した。精製したRNAをBioSpec-nano(島津製作所社)を用いて濃度測定し、500ng分取した。分取したRNAに対し、ReverTra Ace(登録商標)qPCR RT Master mix(東洋紡社)を2μLとRnase Free dH2Oを添加して10μLに調製し、SimpliAmp Thermal Cycler(サーモフィッシャーサイエンティフィック社)を用いてcDNA合成を行った。cDNA合成の反応条件は、37℃で15分反応後、50℃で5分反応、98℃で5分反応を連続して行い、4℃に冷却した。合成したcDNA溶液を10mM Tris-HCl pH8.0(ナカライテスク社)で100倍に希釈し、384well PCRプレート(サーモフィッシャーサイエンティフィック社)に5μL/wellで添加した。KOD SYBR(登録商標)qPCR Mix(東洋紡社)、50μMに調製したForwardプライマー、50μMに調製したReverseプライマー、DEPC処理水(ナカライテスク社)を100:1:1:48の割合で混合し、この混合液を15μL/wellで前記384well PCRプレートに添加して混合した。プライマーはGAPDH、OCT4、T、SOX17、PAX6を用いた。384well PCRプレートを遠心分離してウェル内の気泡を除去し、QuantStudio 7 Flex Real-Time PCR System(サーモフィッシャーサイエンティフィック社)を用いて定量的リアルタイムPCR解析を実施した。反応条件を表5に示す。
ACTB(Forward):5’-CCTCATGAAGATCCTCACCGA-3’(配列番号1)
ACTB(Reverse):5’-TTGCCAATGGTGATGACCTGG-3’(配列番号2)
OCT4(Forward):5’-AGTGGGTGGAGGAAGCTGACAAC-3’(配列番号3)
OCT4(Reverse):5’-TCGTTGTGCATAGTCGCTGCTTGA-3’(配列番号4)
SOX2(Forward):5’-CACCAATCCCATCCACACTCAC-3’(配列番号5)
SOX2(Reverse):5’-GCAAAGCTCCTACCGTACCAC-3’(配列番号6)
NANOG(Forward):5’-AGCCTCCAGCAGATGCAAGAACTC-3’(配列番号7)
NANOG(Reverse):5’-TTGCTCCACATTGGAAGGTTCCCA-3’(配列番号8)
T(Forward):5’-TCACAAAGAGATGATGGAGGAAC-3’(配列番号9)
T(Reverse):5’-ACATGCAGGTGAGTTGTCAG-3’(配列番号10)
SOX17(Forward):5’-ATCTGCACTTCGTGTGCAAG-3’(配列番号11)
SOX17(Reverse):5’-GAGTCTGAGGATTTCCTTAGCTC-3’(配列番号12)
PAX6(Forward):5’-AGGAATGGACTTGAAACAAGG-3’(配列番号13)
PAX6(Reverse):5’-GCAAAGCTTGTTGATCATGG-3’(配列番号14)
遺伝子発現を測定した結果を表6及び図4に示した。
接着培養した細胞集団の未分化性をフローサイトメトリー解析するため、参考例2と同じ手順で4日間培養を行い、細胞を調製した。
浮遊培養した細胞集団の未分化性をフローサイトメトリー解析するため、比較例4と同じ手順で8日間培養を行い、細胞を調製した。
TNKS阻害剤及びPKC阻害剤(PKCβ以外のPKCアイソザイムの活性を阻害する)を添加して浮遊培養した細胞集団の未分化性をフローサイトメトリー解析するため、比較例5と同じ手順で8日間培養を行い、細胞を調製した。使用したTNKS阻害剤とPKC阻害剤(PKCβ以外のPKCアイソザイムの活性を阻害する)の組み合わせを表7に示す。
TNKS阻害剤及びPKCβ阻害剤を添加して浮遊培養した細胞集団の未分化性をフローサイトメトリー解析するため、実施例3-2及び3-3と同じ手順で8日間培養を行い、細胞を調製した。使用したTNKS阻害剤とPKCβ阻害剤の組み合わせを表8に示す。
以下に示す手順でフローサイトメトリー解析を行った。参考例3、比較例6、比較例7、及び実施例5で得た細胞を、Accutaseで処理し、ピペッティングによって単一細胞まで分散させた。この細胞をPBS(リン酸緩衝生理食塩水)で洗浄した。その後、4%PFA(パラホルムアルデヒド)により室温で20分間固定後、PBSで3回洗浄し、冷メタノールにより-20℃で一晩透過処理を行った。PBSで3回洗浄後、3%FBS(ウシ胎仔血清)/PBSにより室温で1時間ブロッキングした。その後、細胞のサンプルを2つに分けてそれぞれ50μLずつに再懸濁した。一方に蛍光標識済抗OCT4、抗SOX2、及び抗NANOG抗体をそれぞれ加えて混合し、もう一方に蛍光標識済アイソタイプコントロール抗体を加えて混合し、4℃、遮光状態で1時間染色した。使用した抗体とその添加量を表9に示した。
参考例2と同じ手順で接着培養を実施した。
参考例2と同じ手順で接着培養したヒトiPS細胞201B7株をAccutaseで5分間処理して培養面から剥離し、ピペッティングによって単一細胞まで分散させた。この細胞を最終濃度10μMのY-27632を含むStemFit(登録商標)AK02N培地で懸濁し、その一部をトリパンブルー染色して生細胞数を測定した。細胞懸濁液を最終濃度10μMのY-27632を含むStemFit(登録商標)AK02N培地を用いて1mLあたり2×105個の細胞を含むように調製した。浮遊培養用12ウェルプレート(住友ベークライト社)に1ウェルあたり1mLの細胞懸濁液を播種した。細胞を播種したプレートはロータリーシェーカー上で98rpmの速度で水平面に沿って旋回幅(直径)が25mmの円を描くように旋回させ、37℃、5%CO2環境下で浮遊培養を行った。細胞を播種した日を培養0日目とし、培養5日目に継代を行い、培養10日目まで浮遊培養を行った。培地交換は毎日行った。培地交換の方法としては、細胞凝集塊を含む培地の全量を遠沈管に回収し、5分程度静置して細胞凝集塊を沈降させた。その後、培養上清を除去し、StemFit(登録商標)AK02N培地で穏やかに再懸濁し、元のウェルに戻した。培地交換時に、培養1日目及び6日目は培地にY-27632を最終濃度5μMとなるように添加し、培養2日目及び7日目は培地にY-27632を最終濃度2μMとなるように添加した。培養5日目にウェルから細胞凝集塊と培養上清を遠沈管に回収し、5分程度静置して細胞凝集塊を沈降させて培養上清を除去した。細胞凝集塊にAccutaseを1mL添加して37℃で10分間処理した後、ピペッティングによって単一細胞まで分散させた。この細胞を最終濃度10μMのY-27632を含むStemFit(登録商標)AK02N培地で懸濁し、その一部をトリパンブルー染色して生細胞数を測定した。細胞懸濁液を最終濃度10μMのY-27632を含むStemFit(登録商標)AK02N培地を用いて1mLあたり2×105個の細胞を含むように調製し、培養0日目と同様に細胞を播種して浮遊培養を継続した。
実施例1で使用したTNKS阻害剤はWNTシグナルの阻害剤効果を持つことが知られている。そこで、TNKS阻害剤以外にWNTシグナルの阻害効果を持つPorcupine(PORCN)阻害剤を使用した場合にも、分化抑制効果があるかどうかを確認するために、以下の方法で浮遊培養を実施した。
浮遊培養の播種培地及び培地交換培地に対し、PORCN阻害剤としてIWP-2(富士フィルム和光純薬社)又はWNT-C59(ケイマンケミカル社)を添加し、PKCβ阻害剤としてGF109203X又はLY-333531を添加した点を除いて、比較例8と同じ手順で浮遊培養を実施した。
実施例1で使用したIWR-1-endo以外のTNKS阻害剤を使用した場合にも、分化抑制効果があるかどうかを確認するために、以下の方法で浮遊培養を実施した。
浮遊培養の播種培地及び培地交換培地に対し、TNKS阻害剤としてIWR-1-endo又はXAV939(富士フィルム和光純薬社)を添加し、PKCβ阻害剤としてGF109203X又はLY-333531を添加した点を除いて、比較例8と同じ手順で浮遊培養を実施した。
参考例4の培養4日目の細胞、並びに比較例8、比較例9、及び実施例7の培養10日目の細胞に対し、実施例4と同じ手順で定量的リアルタイムPCR解析を実施した。遺伝子発現を測定した結果を表11及び12並びに図6及び7に示した。
参考例2と同じ手順で接着培養を実施した。
比較例8と同じ手順で浮遊培養を実施した。培養8日目に位相差顕微鏡を用いて細胞凝集塊の位相差画像を取得した。細胞凝集塊の位相差画像を図8に示した。図8より、細胞凝集塊を形成したことが確認できた。
浮遊培養の播種培地及び培地交換培地に対し、TNKS阻害剤としてIWR-1-endoを最終濃度30μM、10μM、3μM、1μM、300nM、100nMのうちいずれかの濃度で添加し、PKCβ阻害剤としてGo6983又はLY-333531を最終濃度10μM、100nM、30nMのいずれかの濃度で添加した点を除いて、比較例8と同じ手順で浮遊培養を実施した。
参考例5の培養4日目の細胞、並びに比較例10及び実施例9の培養10日目の細胞に対し、実施例4と同じ手順で定量的リアルタイムPCR解析を実施した。遺伝子発現を測定した結果を表13及び14並びに図9から11に示した。
参考例2において、接着培養の播種培地及び培地交換培地に対し、XAV939を最終濃度10μMとGF109203Xを最終濃度5μMで添加する条件と、添加しない条件の2通りで接着培養を実施した。培養4日目の細胞の位相差画像を図12に示した。図12より、XAV939とGF109203Xを添加した条件では、大半の細胞が死滅したことが確認できた。培養4日目に細胞をAccutaseで5分間処理して培養面から剥離し、ピペッティングによって単一細胞まで分散させた。この細胞を最終濃度10μMのY-27632を含むStemFit(登録商標)AK02N培地で懸濁し、その一部をトリパンブルー染色して生細胞数を測定した。播種生細胞数に対する培養4日目の生細胞数を増幅率と定義すると、XAV939とGF109203Xを添加した条件の増幅率は2.11×10-2であった。このことから、接着培養において、TNKS阻害剤及びPKCβ阻害剤を添加すると、多能性幹細胞の生存及び増殖に悪影響を及ぼすことが示された。
比較例4において、浮遊培養の播種培地及び培地交換培地に対し、XAV939を最終濃度10μMとGF109203Xを最終濃度5μMで添加する条件と、添加しない条件の2通りで浮遊培養を実施した。培養4日目の細胞の位相差画像を図13に示した。図13より、XAV939とGF109203Xを添加した条件は、無添加条件と同様に細胞凝集塊を形成し、同じ形態を示した。培養4日目に細胞をAccutaseで10分間処理して剥離し、ピペッティングによって単一細胞まで分散させた。この細胞を最終濃度10μMのY-27632を含むStemFit(登録商標)AK02N培地で懸濁し、その一部をトリパンブルー染色して生細胞数を測定した。比較例9と同様に増幅率を算出すると、XAV939とGF109203Xを添加した条件の増幅率は2.68であった。比較例11と実施例11の増幅率比較を図14に示した。これらのことから、実施例11のTNKS阻害剤及びPKCβ阻害剤を浮遊培養で添加した場合では、比較例11の接着培養で確認された生存及び増殖への悪影響が顕著に改善されることが明らかになった。
参考例2と同じ手順で接着培養したヒトiPS細胞1231A3株をAccutase(イノベーティブセルテクノロジー社)で5分間処理して培養面から剥離し、ピペッティングによって単一細胞まで分散させた。この細胞を最終濃度10μMのY-27632を含むStemFit(登録商標)AK02N培地で懸濁し、その一部をトリパンブルー染色して生細胞数を測定した。細胞懸濁液を最終濃度10μMのY-27632を含むStemFit(登録商標)AK02N培地を用いて1mLあたり2×105個の細胞を含むように調製した。浮遊培養用6ウェルプレートに1ウェルあたり4mLの細胞懸濁液を播種した。細胞を播種したプレートはロータリーシェーカー上で90rpmの速度で水平面に沿って旋回幅(直径)が25mmの円を描くように旋回させ、37℃、5%CO2環境下で浮遊培養を行った。
細胞を播種した日を培養0日目とし、培養4、8、16及び20日目に継代を行い、培養24日目まで浮遊培養を行った。培地交換は毎日行った。培地交換の方法としては、先ず、細胞凝集塊を含む培地の全量を遠沈管に回収し、5分程度静置して細胞凝集塊を沈降させた。その後、培養上清を除去し、StemFit(登録商標)AK02N培地で穏やかに再懸濁し、元のウェルに戻すことで培地交換した。培地交換時に、培養1、5、9、13,17,21日目は、培地にY-27632を最終濃度5μMとなるように添加し、培養2、6、10,14,18,22日目は、培地にY-27632を最終濃度2μMとなるように添加した。培養4、8、12、16、20日目にウェルから細胞凝集塊と培養上清を遠沈管に回収し、5分程度静置して細胞凝集塊を沈降させて培養上清を除去した。細胞凝集塊にAccutaseを1mL添加して37℃で10分間処理した後、ピペッティングによって単一細胞まで分散させた。この細胞を最終濃度10μMのY-27632を含むStemFit(登録商標)AK02N培地で懸濁し、その一部をトリパンブルー染色して生細胞数を測定した。細胞懸濁液を最終濃度10μMのY-27632を含むStemFit(登録商標)AK02N培地を用いて1mLあたり2×105個の細胞を含むように調製し、培養0日目と同様に細胞を播種して浮遊培養を継続した。培養8,16、24日目に位相差顕微鏡を用いて細胞凝集塊の位相差画像を取得した。細胞凝集塊の位相差画像を図15に示した。図15より、細胞凝集塊を形成したことが確認できたが、その形状は歪であった。
浮遊培養の培地にTNKS阻害剤としてIWR-1-endoを20μM、PKCβ阻害剤添加としてLY-333531を1μM添加し、培地交換及び継代の直前に培養上清のサンプリングを行い、王子計測機器社製多機能バイオセンサBF-7Dを用いて、乳酸濃度の測定を行った以外は、比較例12と同様に培養を行った。
細胞凝集塊の位相差画像を図16に示した。図16より、球状の綺麗な細胞凝集塊を形成したことを確認できた。また、図17に比較例12と実施例12で行った定量的リアルタイムPCR解析の結果(使用したプライマー及び解析条件は実施例4参照)の推移を示した。図17に示した通り、実施例12では未分化マーカーであるOCT4の相対遺伝子発現量が長期培養においても高く維持されていることが分かった。また、実施例12においては、内胚葉マーカーであるSOX17の相対遺伝子発現量が長期培養においても低く維持されていることが分かる。一方、図18に比較例12と実施例12における未分化マーカーであるOCT4の陽性率の推移を示す。図18から、実施例12においては、未分化マーカーであるOCT4の陽性率が長期培養においても高く維持されていることが分かる。
浮遊培養用の培養容器をABLE社製のiPS細胞培養用シングルユースバイオリアクター(30mL)を用い、30mLの細胞懸濁液を播種し、135rpm、すなわち0.23m/sの翼先端速度で攪拌し、培養3、6、9、12日目に継代を行い、培養15日目まで浮遊培養を行った。本例では、培地交換時に、培養1、4、7、10、13日目は培地にY-27632を最終濃度6.9μMとなるように添加し、培養2、5、8、11、14日目は培地にY-27632を最終濃度3.71μMとなるように添加した以外は、実施例12と同様に培養を行った。
参考例2と同じ手順で接着培養したヒトiPS細胞1231A3株をAccutase(イノベーティブセルテクノロジー社)で5分間処理して培養面から剥離し、ピペッティングによって単一細胞まで分散させた。その後、実施例13と同じ培養日数と継代数とした以外は、参考例2と同じ手順での培養と継代を繰り返し行った。
図21に実施例13と参考例6で行った定量的リアルタイムPCR解析の結果(使用したプライマー及び解析条件は実施例4参照)の推移を示した。なお、図21においてデータが欠損しているポイントは、検出限界値以下であったことを意味している。図21に示したように、実施例13では浮遊培養でありながら、未分化マーカーの相対遺伝子発現量が長期培養においても、参考例6の接着培養と同等に高く維持されていることが分かる。また、実施例13においては、代表的な三胚葉マーカーの相対遺伝子発現量が長期培養においても、参考例6の接着培養と同様に低く維持されていることが分かる。また、図22に実施例13で得られた細胞についてG-Band解析した結果を示した(株式会社日本遺伝子研究所に委託)。図22に示す通り、実施例13における浮遊培養によっても、継代3世代及び継代5世代ともに新たな核型異常が発生することは無いことが分かった。
以上の図21及び22に示した結果から、TNKS阻害剤及びPKCβ阻害剤を含む培地を使用することで、多能性幹細胞に対して高い剪断応力を負荷する攪拌培養条件であっても、核型異常を生じることなく、多能性幹細胞の未分化性を維持することができることが分かった。
凍結保存した実施例13の細胞を解凍し、最終濃度10μMのY-27632を含むStemFit(登録商標)AK02N培地で懸濁し、その一部をトリパンブルー染色して生細胞数を測定した。細胞懸濁液を最終濃度10μMのY-27632、20μMのIWR-1-endo、1μMのLY-333531を含むStemFit(登録商標)AK02N培地を用いて1mLあたり2×105個の細胞を含むように調製した。浮遊培養用6ウェルプレートに1ウェルあたり4mLの細胞懸濁液を播種した。細胞を播種したプレートはロータリーシェーカー上で90rpmの速度で水平面に沿って旋回幅(直径)が25mmの円を描くように旋回させ、37℃、5%CO2環境下で4日間の浮遊培養を行った。
培地交換は毎日行った。培地交換の方法としては、先ず、細胞凝集塊を含む培地の全量を遠沈管に回収し、5分程度静置して細胞凝集塊を沈降させた。その後、培養上清を除去し、培地で穏やかに再懸濁し、元のウェルに戻すことで培地交換を行った。ただし、培地交換時に、培養開始から1日後は培地中のY-27632の最終濃度を6.9μMに減らし、培養2日後は培地中のY-27632の最終濃度を3.71μMに減らし、培養3日後は培地中のY-27632の最終濃度を2.53μMに減らした。
次いで、培地及び培地中の添加剤を表15に示すように変化させながら、三胚葉それぞれへの分化誘導を行った。
PDGFRa(Forward):5’-GCTGAGCCTAATCCTCTGCC-3’(配列番号15)
PDGFRa(Reverse):5’-ACTGCTCACTTCCAAGACCG-3’(配列番号16)
凍結保存した参考例6の細胞を解凍し、参考例2と同様に接着培養を行った。ただし、内径6cmの培養皿、培地量は4.2mL、播種密度は1.5×104cells/cm2とし、4日間の培養とした。接着培養後、ヒトiPS細胞1231A3株をAccutase(イノベーティブセルテクノロジー社)で5分間処理して細胞を培養面から剥離し、ピペッティングによって単一細胞まで分散させた。その後、実施例14と同様に三胚葉への分化誘導をそれぞれ実施した。
図23に定量的リアルタイムPCR解析によって三胚葉マーカーの相対遺伝子発現量を測定した結果を示した。図23に示したように、実施例14において長期浮遊培養されたiPS細胞は三胚葉それぞれへの分化誘導能を有していることが明らかとなった。
以上に示したように、TNKS阻害剤及びPKCβ阻害剤を含む培地を使用することで多能性幹細胞の大量調製法として期待される浮遊培養を、その増殖性、未分化性、分化誘導能を維持しながら長期にわたって培養できることが示された。実施例12~14にて使用した多能性幹細胞には、フィーダーフリーで樹立される等、臨床用多能性幹細胞と同等の製法で提供されるものが含まれている。したがって、臨床用多能性幹細胞についてもまた、実施例12~14によって示されたように増殖性、未分化性、分化誘導能を維持しながら大量に調整できることが期待できる。
Claims (12)
- PKCβ阻害剤及びTNKS阻害剤を含む液体培地中で、多能性幹細胞を浮遊培養する工程を含む、多能性幹細胞集団の製造方法であって、
前記液体培地中のPKCβ阻害剤含有濃度が、25nM以上15μM以下であり、
前記液体培地中のTNKS阻害剤含有濃度が、90nM以上40μM以下であり、そして
前記浮遊培養する工程が、細胞凝集塊を形成する工程を含む
前記製造方法。 - 前記PKCβ阻害剤が、LY333531である請求項1記載の方法。
- 前記液体培地中のPKCβ阻害剤とTNKS阻害剤の含有濃度の比率が167:1以上1:1600以下の範囲である請求項1記載の方法。
- 前記液体培地が、L-アスコルビン酸、インスリン、トランスフェリン、セレン及び炭酸水素ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも1つを含有する請求項1記載の方法。
- 前記液体培地が、FGF2及び/又はTGF-β1を含む請求項1記載の方法。
- 前記液体培地が、ROCK阻害剤を含有する請求項1記載の方法。
- 前記ROCK阻害剤が、Y-27632である請求項6記載の方法。
- 前記浮遊培養する工程が、細胞凝集塊を回収する工程を含む請求項1記載の方法。
- 前記多能性幹細胞集団は、OCT4が陽性を呈する細胞の比率が90%以上であり、SOX2が陽性を呈する細胞の比率が90%以上であり、Nanogが陽性を呈する細胞の比率が90%以上である請求項1記載の方法。
- 前記多能性幹細胞が、ES細胞及び/又は人工多能性幹細胞である請求項1記載の方法。
- 上記液体培地中の乳酸濃度が5~15mMになるまで上記浮遊培養する請求項1記載の方法。
- 上記浮遊培養は、翼先端速度を0.05m/s以上1.37m/s以下とした攪拌培養である請求項1記載の方法。
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