JP7719425B1 - 粉末状の鉄鉱石 - Google Patents
粉末状の鉄鉱石Info
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Abstract
下記(A)、(B)、(C)、及び(D)の要件を満たす粉末状の鉄鉱石。(A)平均粒子径が、1.0μm~5.0mmである。
(B)表面積比(窒素吸脱着等温線により求められる表面積/外表面積)が、20~400である。
(C)窒素吸脱着等温線により求められる細孔容積率が、20~400である。
(D)Fe量に対するO量のモル比(O/Fe)が1.35~1.55である。
Description
特に、流動層還元炉での還元は、数ミリ以下の大きさの粉状の鉄鉱石を水素ガスで流動状態に維持した状態で還元反応を進める。そのため、流動層還元炉での還元には、シャフト炉のように鉄鉱石を焼結させて強度を持たせたペレット状にする工程が省略でき、且つ、粉末状である鉄鉱石と水素ガスとの接触面積が大きく、水素ガスによる還元の反応速度が大きいという利点がある。
そこで、本開示の課題は、水素還元法による鉄鉱石の還元において、還元時間が短縮可能な鉄鉱石を提供することである。
<1> 下記(A)、(B)、(C)、及び(D)の要件を満たす粉末状の鉄鉱石。
(A)平均粒子径が、1.0μm~5.0mmである。
(B)表面積比(窒素吸脱着等温線により求められる表面積/外表面積)が、20~400である。
(C)窒素吸脱着等温線により求められる細孔容積率が、20~400である。
(D)Fe量に対するO量のモル比(O/Fe)が1.35~1.55である。
<2> 下記(E)の要件を満たす前記<1>に記載の粉末状の鉄鉱石。
(E)窒素吸脱着等温線により求められるミクロ孔容積率が、0.020~0.120である。
<3> 下記(F)の要件を満たす前記<1>又は<2>に記載の粉末状の鉄鉱石。
(F)窒素吸脱着等温線により求められるメソ孔容積率が、0.10~0.50である。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値に置き換えてもよい。また、ある数値範囲で記載された下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の下限値に置き換えてもよい。
数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
国際純正・応用化学連合(International Union of Pure and Applied Chemistry,IUPAC)の定義に準じて、「ミクロ孔」とは、マイクロ孔とも呼ばれ、例えば、細孔径2nm未満の孔を示し、「メソ孔」とは、例えば、細孔径2nm以下50nm以下の孔を示し、「マクロ孔」とは、例えば、細孔径50nm超えの孔を示す。
本実施形態に係る粉末状の鉄鉱石(以下単に「特定鉄鉱石」ともいう)は、下記(A)、(B)、(C)、及び(D)の要件を満たす。
(A)平均粒子径が、1.0μm~5.0mmである。
(B)表面積比(窒素吸脱着等温線により求められる表面積/外表面積)が、20~400である。
(C)窒素吸脱着等温線により求められる細孔容積率が、20~400である。
(D)Fe量に対するO量のモル比(O/Fe)が1.35~1.55である。
特定鉄鉱石は、上述の構成により、還元ガスを用いる還元において、還元時間が短縮することができる。
ここで、鉄鉱石の主成分は酸化鉄であり、前記酸化鉄は酸素含有量が多い順に、ゲーサイト(FeO(OH))、ヘマタイト(Fe2O3)、マグネタイト(Fe3O4)及びウスタイト(FeO)のいずれかの状態となっている。そして、酸化鉄は、還元されるにしたがって酸素含有量が減少し、最終的に鉄となる。
(a)第一段階において、鉄鉱石である粒の外側に小さなヒビを形成する。なお、前記ヒビは以下の様に形成される。
鉄鉱石である粒の外側から還元が進行し、マグネタイトに変化する。鉄鉱石である粒の外側はマグネタイトに変化する際に収縮するが、内側のヘマタイトは加熱により膨張する。そのため、鉄鉱石である粒の外側にヒビが入る。
(b)前記ヒビから、鉄鉱石である粒の内部に還元ガスが侵入しやすくなる。そのため第一段階において、鉄鉱石である粒の内部の還元が速やかに進行し、第二段階に移る。この時、前記ヒビからの還元ガスの侵入により前記ヒビは拡大し、鉄鉱石である粒の内部まで繋がり孔を形成する。
(c)第二段階において、前記(a)及び(b)によって形成される孔によって、鉄鉱石である粒の内部に還元ガスが侵入しやすくなる。そのため第二段階において、鉄鉱石である粒の還元が内部まで速やかに進行し、第三段階に移る。
還元の進行により、前記(a)及び(b)によって形成される孔に緻密な鉄の被膜が形成される。それにより、鉄鉱石粒子内部への還元ガスの侵入が阻害され、還元が進行しにくくなる。
まず、原料の鉄鉱石を低温にて還元する工程によって、粒の内部まで繋がるメソ孔及びマクロ孔の形成が促進される。低温にて還元することで、酸化鉄はウスタイトを経由せずに鉄となる。これにより、ウスタイトを経由する場合と比較して、体積収縮率が大きくなる。そのため、鉄鉱石の還元に伴って生じるヒビがより拡大し易くなり、粒の内部まで繋がるメソ孔及びマクロ孔の形成が促進される。
続く、高温にて急激に酸化させる工程により、前記還元工程によって生じるメソ孔及びマクロ孔の形状を維持したまま、ミクロ孔を形成する。当該酸化工程により、前記還元工程によって形成される鉄の被膜を急激に酸化し、ヘマタイトとする。鉄の被膜がヘマタイトとなる際、急激な体積膨張を起こす。これにより、鉄鉱石の表面と、メソ孔及びマクロ孔の表面とにヒビが生じ、ミクロ孔が形成される。つまり、ミクロ孔が形成されるまで酸化する必要があるため、特定鉄鉱石は前記(D)の要件を満たすことになる。
特定鉄鉱石の平均粒子径は、1.0μm~5.0mmである。
特定鉄鉱石の平均粒子径を前記範囲内とすることにより、例えば、水素還元法による鉄鉱石の還元において、流動層還元炉を用いた場合に還元されやすくなる。
平均粒子径が、1.0μm未満である場合、流動層還元炉を用いて還元する際に、還元ガスの流通により運び出される粒子が多くなり、安定な流動状態を維持しにくくなる。
平均粒子径が、5.0mm超過である場合、流動層還元炉を用いて還元する際に、還元ガスの流通によっても浮遊しない粒子が多くなり、充分な流動状態が実現しにくくなる。
ここで、鉄鉱石の還元時間を短縮するために、反応には関与しないが、それ自体が流動化し易い、0.1~1.0mmの平均粒子径の粒子(例えば、アルミナ、ジルコニアなどの粒子)を補助粒子として流動層還元炉に挿入し、その流動化状態の補助粒子に、鉄鉱石の粉末を加えて、還元してもよい。特に、鉄鉱石の平均粒子径が1.0μm未満の場合には、補助粒子の添加は有効に作用し、さらなる鉄鉱石の還元時間の短縮化が可能である。
鉄鉱石の平均粒子径は、流動層還元炉を用いて還元する際に、ガスの流通によって浮遊し、充分な流動状態を実現する観点から、3.0mm以下であることが好ましく、2.0mm以下であることがより好ましい。
特定鉄鉱石は、表面積比(窒素吸脱着等温線により求められる表面積/外表面積)が、10~400である。
ここで、前記表面積比は、窒素吸脱着等温線により求められる表面積を、外表面積で除した値である。
外表面積は、上述の方法で測定される特定鉄鉱石の平均粒子径を直径とした真球の鉄鉱石の単位質量当たりの表面積である。
特定鉄鉱石の表面積比が20未満であると、鉄鉱石の粒子内部における細孔の発達が十分でなく、鉄鉱石の粒子内部への還元ガスの侵入が阻害される。
特定鉄鉱石の表面積比が400超過であると、粉末状の鉄鉱石が脆くなるため、還元途中でいわゆる粉化現象を生じ、元々の粒子径に合わせて、鉄鉱石を流動化させていた中で、粉化により生じた小さな鉄鉱石粒子は流動化ガスにより系外へ放出され、鉄鉱石自体の歩留まりが低下する。
特定鉄鉱石は、窒素吸脱着等温線により求められる細孔容積率が、20~400である。
ここで、窒素吸脱着等温線により求められる細孔容積率とは、窒素吸脱着等温線により求められる相対圧0.995の場合の吸着量V0.995(mL/g)を、鉄鉱石の密度
(例えば、ヘマタイトの場合5.24g/mL、マグネタイトの場合5.17g/mL)の逆数で除した値である。
特定鉄鉱石の、窒素吸脱着等温線により求められる細孔容積率が20未満であると、鉄鉱石の粒子内部における細孔の発達が十分でなく、鉄鉱石の粒子内部への還元ガスの侵入が阻害される。
特定鉄鉱石の、窒素吸脱着等温線により求められる細孔容積率が400超過であると、粉末状の鉄鉱石が脆くなるため、流動化の過程で破砕する。そのため、前記細孔容積率が400超過である粉末状の鉄鉱石は実質的に得られない。
特定鉄鉱石は、Fe量に対するO量のモル比(O/Fe)が1.35~1.55である。
後述の特定鉄鉱石の製造方法にて述べるように、Fe量に対するO量のモル比(O/Fe)を前記範囲内とすることで、ミクロ孔が増大する。そのため、水素還元法による鉄鉱石の還元において、鉄鉱石の粒子内部への還元ガスの侵入が促進され、還元時間を短縮することができる。
特定鉄鉱石は、窒素吸脱着等温線により求められるミクロ孔容積率が、0.020~0.120であることが好ましい。
ここで、ミクロ孔容積率とは、窒素吸脱着等温線により求められる相対圧0.1の場合の吸着量(mL/g)を、窒素吸脱着等温線により求められる相対圧0.995の場合の吸着量(mL/g)で除した値である。
5~0.110であることがより好ましく、0.025~0.100であることが更に好ましい。
特定鉄鉱石は、窒素吸脱着等温線により求められるメソ孔容積率が、0.10~0.50であることが好ましい。
ここで、窒素吸脱着等温線により求められるメソ孔容積率とは、窒素吸脱着等温線により求められる相対圧0.96の場合の吸着量V0.96(mL/g)と窒素吸脱着等温線により求められる相対圧0.1の場合の吸着量V0.1(mL/g)との差(V0.96-V0.1)を、窒素吸脱着等温線により求められる相対圧0.995の場合の吸着量V0.995(mL/g)で除した値である。
次に、特定鉄鉱石の製造方法の一例について説明する。
特定鉄鉱石は、例えば、原料の鉄鉱石を低温にて還元する還元工程と、前記還元工程後に鉄鉱石を酸化する酸化工程と、を経て製造する。
一方、酸化工程では、少なくともマグネタイトを超えた、マグネタイトとヘマタイトの混合した酸化状態(理想的には、ヘマタイト単相まで酸化させた酸化状態)まで酸化することで、還元工程で発達したメソ孔及びマクロ孔を維持しつつ、ミクロ孔を有効に発達させる。
それに対して、マグネタイトは、550℃以下の低温還元により鉄へと変態するが、マグネタイトから鉄への変態は大きな体積収縮を伴うため、ひび割れが生じ易い。その結果、低温で還元すると鉄鉱石の粒子内部へ還元ガスが拡散するための細孔が発達し、還元速度が改善される。
つまり、詳細は、以下に述べるが、還元工程で550℃程度以下の低温還元で発達した細孔を、酸化工程で維持しつつ、さらに発達させることが有効である。
なお、酸化工程では300℃程度の低温で酸素濃度を空気よりも低くしてゆっくり酸化させるか、又は、700℃以上の高温で、数%以下の酸素濃度で、短時間でヘマタイト近くまで酸化させるのが、還元工程で発達した細孔を維持しつつ、さらに発達させるためには有効である。
これら還元工程及び酸化工程を経ることで、上記要件(A)~(D)(好ましくは上記要件(A)~(F))を満たし、還元時間が短縮可能な特定鉄鉱石が得られる。
還元工程では、平均粒子径1.0μm~5.0mmの原料の鉄鉱石を、300~550℃の温度条件下で、還元率15~40%まで還元させる。還元率が15%よりも小さいと細孔(メソ孔及びマクロ孔)の発達が十分でなく、上記要件(B)~(C)(好ましくは上記要件(B)~(C)及び(E)~(F))を満たす細孔構造を鉄鉱石に形成できない。
この還元工程により、高温条件下で還元させる場合と比べ、特定鉄鉱石中のメソ孔及びマクロ孔の割合が増加する。
特定鉄鉱石中のメソ孔及びマクロ孔の割合を多くする観点から、原料の鉄鉱石としてはヘマタイト又はマグネタイトを主成分として含む鉄鉱石が好ましい。
当該温度条件下で還元を行うことで、酸化鉄はウスタイトを経由せずに鉄となり、鉄鉱石の粒子内部まで繋がるメソ孔及びマクロ孔の形成が促進される。マグネタイトから鉄への変態は大きな体積収縮を伴うため、鉄鉱石の粒子内部に細孔(空隙)が形成されるものと推察される。
ここで還元率とは、原料の鉄鉱石が含有する酸素量のうち、還元工程によって減少した
酸素量の割合を示す。
還元率10~45%に留めることで、還元工程に要する時間を短縮できる。
還元率は、後述の実施例に示す測定方法により測定される。
還元ガスを流体とした流動層還元炉を用いて還元する場合、還元ガスの線速度は10~100cm/秒であることが好ましい。
環境に対する負荷を軽減する観点から、還元ガスとしては水素が好ましい。
酸化工程では、還元工程後の鉄鉱石を、実質的に300℃以上の温度で酸化させる。
この酸化工程により、前記還元工程によって生じるメソ孔及びマクロ孔の形状を維持したまま、ミクロ孔が形成される。
ミクロ孔の形成を促進する観点から、酸化剤としては、純酸素、又は、オゾンが好ましい。
ここで、酸化工程では、温度に応じた酸化ガスの濃度の管理が細孔維持には有効である。具体的には、例えば、300℃で鉄鉱石を酸化する場合には、酸素濃度を5~10%程度で、数時間、酸化すると、殆ど細孔は潰れず、さらに細孔を発達させることができる。
一方で、例えば、700℃を超える高温で鉄鉱石を酸化する場合には、温度による原子移動が著しいため、容易にナノメートルサイズの細孔が潰れる。そのため、高温酸化の場合には、酸化反応は速いので、酸化ガス濃度を下げ(例えば、酸素、オゾンであれば酸化ガス濃度を1~2%程度に下げ)、処理時間を極力短くするのが好ましい。そして、O/Feを1.35以上にするためには、数分~高々10分程度に抑制するのが有効な条件となる。この条件を満たさなければ還元工程で発達させた鉄鉱石の粒子内部の細孔が潰れてしまう。
前記酸化剤を流体とした流動層還元炉を用いて還元する場合、流体の線速度は10~100cm/秒であることが好ましい。
具体的には、酸化処理温度が低温で、酸素濃度を極端に下げ、処理時間を長くする酸化処理条件で、還元前の原料の鉄鉱石に対して、酸化処理が許容される場合には、還元工程を経ずに、酸化工程のみで、本開示の鉄鉱石を得ることができる。
このような酸化処理条件は、酸化処理温度250~350℃、酸素濃度1~5%、酸化処理時間100時間超えの条件が好ましく、処理温度300~350℃、酸素濃度3~5%、処理時間150時間以上の条件がより好ましい。
(平均粒子径の測定方法)
平均粒子径の測定は、粒子径の大小により、適切な測定方法が異なることから、まず大粒径の粒子と小粒径の粒子を分離するため、目開き11.1mmと1.0mmの乾式ふるいを用い、11.1mmのふるい上については現実的に流動層での流動化が困難であるために除外し、11.1mmのふるい下で1.0mmのふるい上に分離された粒子については、さらに目開きの異なる乾式のふるいを用いてふるい分けを行い、粒度分布を測定した。ふるいは、日本工業規格(JIS Z8801)の標準ふるいを用いた。
一方、1.0mmの篩下の小粒径の粒子については、平均粒子径の測定は、レーザー回折式粒子径分布測定装置(例えば、島津製作所製SALD-2300)を用いて行った。
具体的には、特定鉄鉱石、必要に応じて家庭用中性洗剤(商品名、ママレモン)を1~2滴、水等の分散媒に分散させて分散液を調製した。装置の測定値が所定の頻度範囲になるよう、鉄鉱石粉末の量を加減した。この分散液について、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて粒度分布を測定した。
なお、乾式ふるい及びレーザ回折式粒子径分布測定装置の双方の粒度分布の測定結果に対し、体積基準で相対粒子量の積算値が50%となる粒子径を平均粒子径とした。
基本的にはASTM D6556-21(Jul 07, 2021)に記載の多点法に準拠した方法で窒素吸脱着等温線を測定した。具体的には、約1g(表面積が小さい試料の場合は約5g)の試料を測り採り、所定の測定用の試料管に挿入し、120℃で2時間真空乾燥した。次いで、自動比表面積測定装置(マイクロトラックベル社製、BELSORP MAX)に試料管をセットし、窒素ガスを吸着質に用いて液体窒素を測定温度として窒素吸脱着等温線を測定した。測定に用いる窒素ガスには高純度窒素ガス(大陽日酸社製G1グレード、不純物濃度0.2vol.ppm以下)を用い、相対圧1×10-5~1×10-2までは対数で等間隔になるように約30点測定し、それ以上では、相対圧0.02毎に1点測定するような測定条件とし、測定点数を多くして、BET解析の精度を高めた。
窒素吸脱着等温線の測定では、相対圧の測定間隔0.005刻みで定点を取るように設定した。
表面積比(窒素吸脱着等温線により求められる表面積/外表面積)の測定は、以下の手順で測定した。
先ず、窒素吸脱着等温線により求められる表面積を算出した。
前述の方法により、窒素吸脱着等温線を測定した。相対圧が0.05~0.20の範囲で窒素吸着等温線をBET解析することにより、窒素吸脱着等温線により求められる表面積を算出した。なお、BET解析は測定装置に付属の解析ソフトを利用した。
次に、外表面積を算出した。上述の方法で、試料の平均粒子径を測定した。算出される平均粒子径を直径とする真球の表面積Sと、体積Vと、を算出した。体積Vに試料の密度(ヘマタイトの場合5.24g/cm3、マグネタイトの場合5.17g/cm3)を乗じた値の逆数を算出し、単位質量当たりの真球の個数とした。前記単位質量当たりの真球の個数に表面積Sを乗じた値を外表面積とした。
そして、窒素吸脱着等温線により求められる表面積を外表面積で除することで、表面積比(窒素吸脱着等温線により求められる表面積/外表面積)を算出した。
ここで、窒素吸脱着等温線により求められる表面積及び外表面積の単位は同一となるようにした。単位としては、m2/gを使用した。
窒素吸脱着等温線により求められる細孔容積率の測定は、以下の手順で測定した。
先ず、前述の方法により、窒素吸脱着等温線を測定した。前記窒素吸脱着等温線により、相対圧0.995における吸着量V0.995(mL/g)を算出した。前記吸着量V0.995を試料の密度(ヘマタイトの場合5.24g/mL、マグネタイトの場合5.17g/mL)の逆数で除した値を、窒素吸脱着等温線により求められる細孔容積率とした。
JIS M8212(2005)に準拠し、原料の鉄鉱石に含まれる鉄含有量を質量%で算出した。前記原料の鉄鉱石に含まれる鉄含有量の値及び原料の鉄鉱石の化学組成(ヘマタイトの場合Fe2O3、マグネタイトの場合Fe3O4)から、原料の鉄鉱石に含まれる酸素含有量を質量%で算出した。
原料の鉄鉱石について、酸化工程及び還元工程を行う前後にて質量変化量を測定した。前記質量変化量は鉄鉱石中の酸素含有量の変化とみなし、酸化工程及び還元工程後の鉄鉱石に含まれる鉄含有量及び酸素含有量を質量%で算出した。そして、酸化工程及び還元工程後の鉄鉱石に含まれる鉄含有量及び酸素含有量をモル%に換算した。モル%に換算した酸素含有量をモル%に換算した鉄含有量で除することにより、Fe量に対するO量のモル
比(O/Fe)を算出した。
なお、原料の鉄鉱石の水分量は、JIS規格(JIS M8211、1985年版)に準拠して測定した。その結果、ヘマタイトとマグネタイトの水分量は、0.5%以下であることを確認した。
ゲーサイト(試験に用いたゲーサイトのサンプル)の水分量は、9.6%であった。ゲーサイトは、還元実験前にあらかじめ300℃で60分真空乾燥したものを試験に供した。乾燥後のゲーサイトのサンプルは、X線回折にてヘマタイト単相であることを確認した。また、ゲーサイトの酸素量の計算は、化学組成をFe2O3として、算出した。
窒素吸脱着等温線により求められるミクロ孔容積率の測定は、以下の手順で測定した。
先ず、前述の方法により、窒素吸脱着等温線を測定した。前記窒素吸脱着等温線により、相対圧0.1における吸着量V0.1(mL/g)と、相対圧0.995における吸着量V0.995(mL/g)と、を算出した。窒素吸脱着等温線により求められる相対圧0.1の場合の吸着量V0.1(mL/g)を、窒素吸脱着等温線により求められる相対圧0.995の場合の吸着量V0.995(mL/g)で除した値を窒素吸脱着等温線により求められるミクロ孔容積率とした。
窒素吸脱着等温線により求められるメソ孔容積率は、以下の手順で測定した。
先ず、前述の方法により、窒素吸脱着等温線を測定した。前記窒素吸脱着等温線により、相対圧0.1における吸着量V0.1(mL/g)と、相対圧0.96における吸着量V0.96(mL/g)と、相対圧0.995における吸着量V0.995(mL/g)と、を算出した。前記吸着量V0.96と前記吸着量V0.1との差(V0.96-V0.1)を算出し、前記吸着量V0.995で除した値を窒素吸脱着等温線により求められるメソ孔容積率とした。
JIS M8212(2005)に準拠し、原料の鉄鉱石に含まれる鉄含有量を質量%で算出した。前記原料の鉄鉱石に含まれる鉄含有量の値及び原料の鉄鉱石の化学組成(ヘマタイトの場合Fe2O3、マグネタイトの場合Fe3O4)から、原料の鉄鉱石に含まれる酸素含有量(OA)を質量%で算出した。
原料の鉄鉱石について、還元工程を行う前後にて質量変化量を測定した。前記質量変化量は鉄鉱石中の酸素含有量の変化とみなし、還元工程後の鉄鉱石に含まれる酸素含有量(OB)を質量%で算出した。そして、前記酸素含有量(OA)から前記酸素含有量(OB)を引き(OA-OB)、前記酸素含有量(OA)で除した値に100を掛けた値を還元率とした[つまり、(OA-OB)÷OA×100]。
原料鉄鉱石の種類、還元工程条件及び酸化工程条件を表1~表3の条件として、下記手順により酸化工程及び還元工程後の鉄鉱石(以下、試験鉄鉱石)を得た。
石英管(内径12mmφ)の下部に原料鉄鉱石を置くための石英フィルターを溶接し、下からガスを流して、原料鉄鉱石を流動状態にできる装置(以下、反応管と呼ぶ)を準備した。1.0~2.0gの原料鉄鉱石を反応管内の石英フィルター上に置いた。10~100cm/secの線速度で水素を反応管の石英フィルター下部から上部へ向かって流し、原料鉄鉱石を流動状態にした。原料鉄鉱石を流動状態にしたまま、予め反応したい温度に保持した電気炉に反応管を挿入し、還元反応を開始させた。なお、反応管内部に熱電対を差し込み、内部の温度を測定した。所定の還元率に到達した後、電気炉から反応管を取り出し、同時に、水素をアルゴンガスに同流速で切替え、100℃以下まで冷却した。次に、酸化工程のための温度に電気炉の温度を保持させた後、反応管を電気炉に挿入し、同時に、酸化剤を10~100cm/secの線速度で流した。所定の時間経過後に、電気
炉から反応管を取り出し、同時にアルゴンガスに同流速で切替えて室温まで冷却した後に、試験鉄鉱石を取り出した。
試験例RUN2-1~2-14は、原料鉄鉱石として、平均粒子径12μmで、表2に示す特性を有するマグネタイト鉄鉱石を使用した(参考例参照)。
試験例RUN3-1~1-25は、原料鉄鉱石として、平均粒子径135μmで、表3に示す特性のゲーサイト鉄鉱石を使用した(参考例参照)。
まず、フリッチュジャパン社製の内容積250mLのジルコニア製の容器に、鉄鉱石の粉体を30mL容積に計量して仕込み、さらに容器内に、直径0.5mmのジルコニア製のボールを80mL容積に計量して挿入し、シリコンゴムパッキンで密閉した。この状態の容器を、粉砕装置としての遊星ボールミル(フリッチュジャパン社P-4)にセットした。次に、この粉砕装置により、400rpmで30分間の粉砕処理を、鉄鉱石の粉体が目的とする平均粒子径になるまで、繰り返した。
粉砕により、平均粒子径0.8μmの鉄鉱石のサンプル(RUN1-44)、平均粒子径1.2μmの鉄鉱石のサンプル(RUN1-45)を用意した。
また、平均粒子径75μmのヘマタイト鉄鉱石の粉体を、目開き4.75mmの篩いで分級することで、平均粒子径4.25mmの鉄鉱石のサンプル(RUN1-47)と平均粒子径5.22mmの鉄鉱石のサンプル(RUN1-48)を用意した。
また、平均粒子径75μmのヘマタイト鉄鉱石の粉体を、目開き425μmの篩いで分級し、平均粒子径550μmの鉄鉱石のサンプル(RUN1-46)を用意した。
なお、平均粒子径0.8μmの鉄鉱石のサンプル(RUN1-44)、及び平均粒子径5.22mmの鉄鉱石のサンプル(RUN1-48)を、反応管中で流動状態を作ろうとしたが、安定した流動状態にすることはできず、流動層還元炉による還元には適用できないことが判明した。
一方、試験例RUN3-13~3-15では、工程省略の観点から、ゲーサイト鉄鉱石を、予め乾燥して通常行う水分除去せずに、そのまま、還元処理とその後の酸化処理を行った。
ただし、試験例RUN3-6~3-9では、酸化処理を行わず、試験例RUN3-10~3-13では、還元処理を行わなかった。
試験例RUN3-16~3-25では、同じく工程省略の観点から、予め乾燥して通常行う水分除去したゲーサイト鉄鉱石に対して、還元処理を行わず、酸化処理のみを行った。ただし、細孔の潰れ抑制を強化するために、酸化処理は、低温、低濃度の酸化ガス(酸素とオゾンガス)、長時間の条件での処理を試みた。
原料鉄鉱石1.0~2.0gを、前記試験鉄鉱石の作製の際に用いた反応管内の石英フィルター上に置いた。10~100cm/secの線速度で水素を縦型電気炉内の石英フィルター下部から上部へ向かって流し、原料鉄鉱石を流動状態にした。原料鉄鉱石を流動状態にしたまま、反応管内部の温度が750℃となる様に加熱した電気炉に反応管を挿入し、還元反応を開始させた。なお、反応管内部に熱電対を差し込み、内部の温度を測定した。そして、原料鉄鉱石が還元率80%に到達するまでの時間を計測した。
続いて、同一の原料鉄鉱石を用いて作製した試験鉄鉱石1.0gを、反応管内の石英フィルター上に置き、同様の条件で原料鉄鉱石が還元率80%に到達するまでに要した時間還元を行った。その後水素をアルゴンガスに同流速で切替え、室温まで冷却した後に、還元後の試験鉄鉱石を取り出した。得られた還元後の試験鉄鉱石の還元率(reduction ratio)を算出した。
ここで、還元後の試験鉄鉱石の還元率が84%以上の場合、還元速度が短縮された鉄鉱
石が得られたと評価した。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
Claims (3)
- 下記(A)、(B)、(C)、及び(D)の要件を満たす粉末状の鉄鉱石。
(A)平均粒子径が、1.0μm~5.0mmである。
(B)表面積比(窒素吸脱着等温線により求められる表面積/外表面積)が、20~400である。
(C)窒素吸脱着等温線により求められる細孔容積率が、20~400である。
(D)Fe量に対するO量のモル比(O/Fe)が1.35~1.55である。 - 下記(E)の要件を満たす請求項1に記載の粉末状の鉄鉱石。
(E)窒素吸脱着等温線により求められるミクロ孔容積率が、0.020~0.120である。 - 下記(F)の要件を満たす請求項1又は請求項2に記載の粉末状の鉄鉱石。
(F)窒素吸脱着等温線により求められるメソ孔容積率が、0.10~0.50である。
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