本明細書において言及される特許文献、科学文献、および技術文献は、当業者が出願の時点で利用可能であった知識をなすものである。本明細書において引用されている発行されている特許、公開済みおよび係属中の特許出願、ならびに他の刊行物のすべての開示は、それぞれが特異的かつ個別に参照により組み込まれると示されるのと同程度に、参照によって本明細書に組み込まれる。なんらかの不一致が生じた場合には、本開示が優先されるであろう。
本発明の様々な態様を、以下にさらに詳細に記載する。
免疫原性ペプチド
アミノ酸配列FLGPWPAAV(配列番号1)を含む単離されたペプチドが、本明細書において提供される。
アミノ酸配列「FLGPWPAAV」(配列番号1)を含むペプチドは、本明細書において「V変異体」ペプチドまたは「Vペプチド」とも称される。同様に、アミノ酸配列「FLGPWPAAS」(配列番号2)を含むペプチドは、本明細書において「S変異体」ペプチド、「Sペプチド」、または「天然の短鎖エピトープ」、または「天然の短鎖ペプチドエピトープ」とも称される。
本明細書で使用される場合、「単離されたペプチド」は、その天然の環境にないペプチドを指す。ペプチドは、したがって、合成起源のものであってもよい(または代替として、天然起源のものであるが、その天然の環境から単離されている)。本開示の文脈において、これらのペプチドの天然の環境は、ヒトの体内である。したがって、ペプチドが、例えば、医薬組成物(アジュバントなどを含む)中に存在する場合、それらは、その天然の環境にないため、単離された形態であると考えられる。
ペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列のみからなっていてもよい。代替として、ペプチドは、追加のアミノ酸を含んでもよく、したがって、配列番号1のアミノ酸配列を含んでもよい。
一例において、アミノ酸配列FLGPWPAAV(配列番号1)を含むペプチドは、FLGPWPAAV(配列番号1)配列がFLGPWPAAS(配列番号2)と置き換えられている同等のペプチドよりも、HLA-A*02に対して高い結合親和性を有し得る。特定の例において、FLGPWPAAV(配列番号1)を含むペプチドは、FLGPWPAAV(配列番号1)配列がFLGPWPAAS(配列番号2)と置き換えられている同等のペプチドよりも、HLA-A*02:01に対して高い結合親和性を有する。HLA分子に対するペプチドの結合親和性を判定する方法は、当該技術分野において周知である(例えば、以下の「実施例」の節に含まれる実験を参照されたい)。HLA分子に対するペプチドの結合親和性を判定する方法は、当該技術分野において周知であり、Van der Burg et al. 1995およびVan der Burg et al. 1996によって具体的に説明されている。
さらなる例において、単球由来樹状細胞による、アミノ酸配列FLGPWPAAV(配列番号1)を含むペプチドの交差提示は、FLGPWPAAV(配列番号1)配列がFLGPWPAAS(配列番号2)と置き換えられている同等のペプチドの交差提示よりも、有効であり得る(改善されている/より高い)。単球由来樹状細胞による特定のペプチドの交差提示の有効性を判定する方法は、当該技術分野において周知であり、例えば、以下の「実施例」の節に含まれる実験を参照されたい。一例において、同等のペプチドエピトープを含む長鎖ペプチドの交差提示は、単球由来樹状細胞(DC)、およびHLAクラスIの文脈においてペプチドFLGPWPAASを認識するCD8+ T細胞クローンを使用することによって、試験することができる。単球由来DCは、末梢血単核細胞を、抗CD14磁気ビーズとともに4℃で20分間インキュベートすることによって得られ、続いて、CD14陽性単球の単離を、磁気分離カラムを使用して単離した。CD14+単球を、10% FCS、GM-CSF(800単位/ml)、およびIL-4(500単位/ml)を補充したRPMI培地で6日間培養して、未成熟単球由来樹状細胞を生成する。6日目に、未成熟単球由来DCを、異なる用量(例えば、20μg/ml、10μg/m、5μg/ml)の合成長鎖ペプチドとともに24時間インキュベートし、7日目に、LPS(20ng/ml)刺激によって成熟させる。これらの単球由来DCによるペプチドの交差提示を、ペプチドによりパルスした単球由来DCと、異なる比(例えば、T細胞10に対してDC 1、T細胞5に対してDC 1、T細胞1に対してDC 1)で共培養したCD8+ T細胞クローンの反応性によってモニタリングする。CD8+ T細胞クローンの反応性を、共培養物の上清中のサイトカイン産生(例えば、GM-CSFまたはインターフェロン-ガンマ)の測定を含む、様々な方法で試験し、単球由来DCを無関係のHLAクラスI結合ペプチドまたはペプチドなしでパルスした対照共培養物と比較することができる。陽性対照として、単球由来DCを、天然の短鎖エピトープFLGPWPAASでパルスすることができる。
さらなる例において、本明細書に記載されるペプチドは、HLA-A*02(例えば、HLA-A*02:01)に対する高い結合親和性を有し得、単球由来樹状細胞によるこれらのペプチドの交差提示は、同等のペプチドよりも有効であり得る(改善されている/より高い)。
当業者には明らかなように、上記で使用される場合、「同等のペプチド」は、列挙された違い(FLGPWPAAV(配列番号1)がFLGPWPAAS(配列番号2)と置き換えられていること)を除き、同一のアミノ酸配列を有するペプチドである。
単離されたペプチドは、35個以下のアミノ酸、例えば、35個、34個、33個、32個、31個、30個、29個、28個、27個、26個、25個、24個、23個、22個、21個、20個、19個、18個、17個、16個、15個、14個、13個、12個、11個、10個、または9個以下のアミノ酸)の長さであり得る。
1つの例において、単離されたペプチドは、30個以下のアミノ酸の長さであり得る。別の例において、単離されたペプチドは、29個以下のアミノ酸の長さであり得る。1つの例において、単離されたペプチドは、28個以下のアミノ酸の長さであり得る。別の例において、単離されたペプチドは、27個以下のアミノ酸の長さであり得る。別の例において、単離されたペプチドは、26個以下のアミノ酸の長さであり得る。さらに別の例において、単離されたペプチドは、25個以下のアミノ酸の長さであり得る。別の例において、単離されたペプチドは、24個以下のアミノ酸の長さであり得る。
異なる長さのペプチドは、ペプチドワクチンとして特に有効であることが示されている。例えば、Ossendorp et al., (1998)は、9~19個のアミノ酸の長さのペプチドが、CD4+ヘルパーT細胞応答を誘導することができることについて記載している。したがって、本発明の単離されたペプチドは、9~19個のアミノ酸の長さであってもよい。
HLAによって提示される従来的な9量体配列よりも長いペプチドは、免疫応答を誘導するのにより効率的であり得る。したがって、Ossendorp et al., (1998)の教示と一致して、本明細書に記載される単離されたペプチドは、10~19個のアミノ酸の長さであってもよい。
Bijker et al., (2007)は、9量体のHPV CTLエピトープが、RAHYNIVTFに対するCD8+応答を誘導し得るが、このエピトープを含む35量体のペプチドがより効率的であることを示している。これは、35量体のHPVペプチドが、RAHYNIVTF特異的CD8+ T細胞を誘導するのに良好に機能することを示すBeyranvand-Nejad et al., (2016)によってさらに裏付けられている。さらに、Rahimian et al., (2015)は、27量体のHPVペプチドが、RAHYNIVTFに対する応答を誘導するのに良好に機能することを示す。したがって、これらの教示と一致して、本明細書に記載される単離されたペプチドは、10~35個のアミノ酸の長さであってもよい。疑いを回避するために、この文脈において、単離されたペプチドは、合計で10~35個のアミノ酸を有し、これには、FLGPWPAAV配列が含まれる。換言すると、単離されたペプチドは、FLGPWPAAV配列および1~26個の追加のアミノ酸を有する。単離されたペプチドの1~26個の追加のアミノ酸は、FLGPWPAAV配列のN末端側またはC末端側に位置し得る。代替的には、2~26個の追加のアミノ酸が存在する場合、追加のアミノ酸は、FLGPWPAAV配列に隣接し得る(すなわち、FLGPWPAAV配列のN末端側およびC末端側に追加のアミノ酸が存在することになる)。N末端側、C末端側、またはFLGPWPAAVに隣接して位置する追加のアミノ酸は、本明細書において集合的に「追加のアミノ酸」と称される。
別の例において、本明細書に記載される単離されたペプチドは、15~30個のアミノ酸の長さであってもよい。換言すると、単離されたペプチドは、FLGPWPAAV配列および6~21個の追加のアミノ酸を有する。単離されたペプチドの6~21個の追加のアミノ酸は、FLGPWPAAV配列のN末端側またはC末端側に位置し得る。代替的には、6~21個の追加のアミノ酸が存在する場合、追加のアミノ酸は、FLGPWPAAV配列に隣接し得る(すなわち、FLGPWPAAV配列のN末端側およびC末端側に追加のアミノ酸が存在することになる)。
別の例において、本明細書に記載される単離されたペプチドは、18~27個のアミノ酸の長さであってもよい。換言すると、単離されたペプチドは、FLGPWPAAV配列および9~18個の追加のアミノ酸を有する。単離されたペプチドの9~18個の追加のアミノ酸は、FLGPWPAAV配列のN末端側またはC末端側に位置し得る。代替的には、9~18個の追加のアミノ酸が存在する場合、追加のアミノ酸は、FLGPWPAAV配列に隣接し得る(すなわち、FLGPWPAAV配列のN末端側およびC末端側に追加のアミノ酸が存在することになる)。
さらなる例において、本明細書に記載される単離されたペプチドは、21~24個のアミノ酸の長さであってもよい。換言すると、単離されたペプチドは、FLGPWPAAV配列および12~15個の追加のアミノ酸を有する。単離されたペプチドの12~15個の追加のアミノ酸は、FLGPWPAAV配列のN末端側またはC末端側に位置し得る。代替的には、12~15個の追加のアミノ酸が存在する場合、追加のアミノ酸は、FLGPWPAAV配列に隣接し得る(すなわち、FLGPWPAAV配列のN末端側およびC末端側に追加のアミノ酸が存在することになる)。
別の例において、本明細書に記載される単離されたペプチドは、27個のアミノ酸の長さであってもよい。さらなる例において、本明細書に記載される単離されたペプチドは、24個のアミノ酸の長さであってもよい。別の例において、本明細書に記載される単離されたペプチドは、21個のアミノ酸の長さであってもよい。特定の例において、本明細書に記載される単離されたペプチドは、18個のアミノ酸の長さであってもよい。好ましくは、本明細書に記載される単離されたペプチドは、24個のアミノ酸の長さである。疑いを回避するために、この文脈において、単離されたペプチドは、合計で、例えば、27、24、21、または18個のアミノ酸を有し、これには、FLGPWPAAV配列が含まれる。換言すると、単離されたペプチドは、FLGPWPAAV配列、および好適な数の追加のアミノ酸を有する(すなわち、27、24、21、または18個のアミノ酸の長さのペプチドを生成するように)。追加のアミノ酸(例えば、27個のアミノ酸の長さであるペプチドを生成するために必要とされる18個の追加のアミノ酸、24個のアミノ酸の長さであるペプチドを生成するために必要とされる15個の追加のアミノ酸、21個のアミノ酸の長さであるペプチドを生成するために必要とされる12個の追加のアミノ酸、または18個のアミノ酸の長さであるペプチドを生成するために必要とされる9個の追加のアミノ酸)は、FLGPWPAAV配列に対してN末端側またはC末端側に位置し得る。代替として、追加のアミノ酸は、FLGPWPAAV配列に隣接し得る(すなわち、FLGPWPAAV配列のN末端側およびC末端側に追加のアミノ酸が存在することになる)。
ペプチドのN末端(アミノ末端、NH2末端、N末端、またはアミン末端としても知られる)は、遊離アミン基(-NH2)を有するアミノ酸で終了する、ペプチドの開始位置である。慣例により、ペプチド配列は、N末端からC末端へ(左から右へ)記述される。C末端(カルボキシル末端、カルボキシ末端、C末端尾部、C末端、またはCOOH末端としても知られる)は、遊離カルボキシル基(-COOH)で終了する、アミノ酸鎖(タンパク質またはポリペプチド)の末端である。
本明細書で使用される場合、「N末端側」および「C末端側」は、例えば、ペプチド内の配列の相対的な位置を記載するために使用される。したがって、「N末端側」の配列は、ペプチドのC末端よりもN末端に近接して(相対的な意味で)位置する。対照的に、「C末端側」のドメインは、ペプチドのN末端よりもC末端に近接して位置する(相対的な意味で)。本明細書で使用される場合、「位置する」という用語は、ペプチドの直鎖アミノ酸配列内の配列の場所を指す。
N末端側アミノ酸配列(A)およびC末端側アミノ酸配列(B)を含むペプチドは、従来的に、A-B、すなわち、N末端側からC末端側へ(左から右へ)記述される。
本明細書に記載される単離されたペプチドが、FLGPWPAAVのN末端側、C末端側、またはそれに隣接して配置される追加のアミノ酸を含む場合、任意の適切な追加のアミノ酸配列が、含まれ得る。例えば、追加のアミノ酸は、LRPAP1においてFLGPWPAAS配列のN末端側、C末端側、またはそれに隣接して天然に配置される、アミノ酸配列であってもよい。特定の例において、追加のアミノ酸は、FLGPWPAAV配列に対してN末端側に配置されてもよく、LRPAP1においてFLGPWPAAS配列に対してN末端側に見出される天然の配列であってもよい。別の例において、追加のアミノ酸は、FLGPWPAAV配列に対してC末端側に配置されてもよく、LRPAP1においてFLGPWPAAS配列に対してC末端側に見出される天然の配列であってもよい。代替として、追加のアミノ酸は、FLGPWPAAV配列に隣接してもよく(すなわち、FLGPWPAAV配列のN末端側およびC末端側に追加のアミノ酸が存在することになる)、LRPAP1においてFLGPWPAAS配列に隣接する天然の配列であってもよい。
アミノ酸配列FLGPWPAAV(配列番号1)を含み、10~35個のアミノ酸からなる、単離されたペプチドは、任意の適切な追加のアミノ酸配列を含み得る。例えば、追加のアミノ酸は、LRPAP1においてFLGPWPAAS配列のN末端側、C末端側、またはそれに隣接して天然に配置される、アミノ酸配列であってもよい。例えば、追加の1~26個のアミノ酸は、すべてが、FLGPWPAAV配列に対してN末端側に配置されてもよく、LRPAP1においてFLGPWPAAS配列に対してN末端側に見出される天然の配列であってもよい。別の例において、追加の1~26個のアミノ酸は、FLGPWPAAV配列に対してC末端側に配置されてもよく、LRPAP1においてFLGPWPAAS配列に対してC末端側に見出される天然の配列であってもよい。代替として、2~26個の追加のアミノ酸が存在する場合、追加のアミノ酸は、FLGPWPAAV配列に隣接してもよく(すなわち、FLGPWPAAV配列のN末端側およびC末端側に追加のアミノ酸が存在することになる)、LRPAP1においてFLGPWPAAS配列に隣接する天然の配列であってもよい。
特定の例において、アミノ酸配列FLGPWPAAV(配列番号1)を含み、15~30個のアミノ酸からなる、単離されたペプチドは、任意の適切な追加のアミノ酸配列を含み得る。例えば、追加のアミノ酸は、LRPAP1においてFLGPWPAAS配列のN末端側、C末端側、またはそれに隣接して天然に配置される、アミノ酸配列であってもよい。例えば、追加の6~21個のアミノ酸は、すべてが、FLGPWPAAV配列に対してN末端側に配置されてもよく、LRPAP1においてFLGPWPAAS配列に対してN末端側に見出される天然の配列であってもよい。別の例において、追加の6~21個のアミノ酸は、FLGPWPAAV配列に対してC末端側に配置されてもよく、LRPAP1においてFLGPWPAAS配列に対してC末端側に見出される天然の配列であってもよい。代替として、6~21個の追加のアミノ酸が存在する場合、追加のアミノ酸は、FLGPWPAAV配列に隣接してもよく(すなわち、FLGPWPAAV配列のN末端側およびC末端側に追加のアミノ酸が存在することになる)、LRPAP1においてFLGPWPAAS配列に隣接する天然の配列であってもよい。
別の例において、アミノ酸配列FLGPWPAAV(配列番号1)を含み、18~27個のアミノ酸からなる、単離されたペプチドは、任意の適切な追加のアミノ酸配列を含み得る。例えば、追加のアミノ酸は、LRPAP1においてFLGPWPAAS配列のN末端側、C末端側、またはそれに隣接して天然に配置される、アミノ酸配列であってもよい。例えば、追加の9~18個のアミノ酸は、すべてが、FLGPWPAAV配列に対してN末端側に配置されてもよく、LRPAP1においてFLGPWPAAS配列に対してN末端側に見出される天然の配列であってもよい。別の例において、追加の9~18個のアミノ酸は、FLGPWPAAV配列に対してC末端側に配置されてもよく、LRPAP1においてFLGPWPAAS配列に対してC末端側に見出される天然の配列であってもよい。代替として、9~18個の追加のアミノ酸が存在する場合、追加のアミノ酸は、FLGPWPAAV配列に隣接してもよく(すなわち、FLGPWPAAV配列のN末端側およびC末端側に追加のアミノ酸が存在することになる)、LRPAP1においてFLGPWPAAS配列に隣接する天然の配列であってもよい。
さらなる例において、アミノ酸配列FLGPWPAAV(配列番号1)を含み、21~24個のアミノ酸からなる、単離されたペプチドは、任意の適切な追加のアミノ酸配列を含み得る。例えば、追加のアミノ酸は、LRPAP1においてFLGPWPAAS配列のN末端側、C末端側、またはそれに隣接して天然に配置される、アミノ酸配列であってもよい。例えば、追加の12~15個のアミノ酸は、すべてが、FLGPWPAAV配列に対してN末端側に配置されてもよく、LRPAP1においてFLGPWPAAS配列に対してN末端側に見出される天然の配列であってもよい。別の例において、追加の12~15個のアミノ酸は、FLGPWPAAV配列に対してC末端側に配置されてもよく、LRPAP1においてFLGPWPAAS配列に対してC末端側に見出される天然の配列であってもよい。代替として、12~15個の追加のアミノ酸が存在する場合、追加のアミノ酸は、FLGPWPAAV配列に隣接してもよく(すなわち、FLGPWPAAV配列のN末端側およびC末端側に追加のアミノ酸が存在することになる)、LRPAP1においてFLGPWPAAS配列に隣接する天然の配列であってもよい。
当業者には明らかなように、上記に提供される範囲について記載した例は、特定の長さの単離されたペプチド(例えば、27個、24個、21個、または18個のアミノ酸の長さである本明細書に記載されるペプチド)に同等に適用可能である。例えば、アミノ酸配列FLGPWPAAV(配列番号1)を含み、24個のアミノ酸からなる、単離されたペプチドは、任意の適切な追加のアミノ酸配列を含み得る。例えば、追加のアミノ酸は、LRPAP1においてFLGPWPAAS配列のN末端側、C末端側、またはそれに隣接して天然に配置される、アミノ酸配列であってもよい。例えば、追加の15個のアミノ酸は、すべてが、FLGPWPAAV配列に対してN末端側に配置されてもよく、LRPAP1においてFLGPWPAAS配列に対してN末端側に見出される天然の配列であってもよい。別の例において、追加の25個のアミノ酸は、FLGPWPAAV配列に対してC末端側に配置されてもよく、LRPAP1においてFLGPWPAAS配列に対してC末端側に見出される天然の配列であってもよい。代替として、追加の15個のアミノ酸は、FLGPWPAAV配列に隣接してもよく(すなわち、FLGPWPAAV配列のN末端側およびC末端側に追加のアミノ酸が存在することになる)、LRPAP1においてFLGPWPAAS配列に隣接する天然の配列であってもよい。LRPAP1に由来する好適な天然の配列は、以下の実施例の節に提供されている。
例えば、ペプチドは、C末端側の追加のアミノ酸を含んでもよく、例えば、それは、配列FLGPWPAAVHGGKYSREKNQ(配列番号3)を含み得る。これは、C末端側の追加のアミノ酸を有する20量体の例であるが、他の長さ、例えば、18量体、21量体、24量体、27量体などもまた許容可能であり得る。
別の例において、ペプチドは、N末端側の追加のアミノ酸を含んでもよく、例えば、それは、以下の配列のうちの1つを含んでもよい:LPALLLLLLFLGPWPAAV(配列番号4)、LRGLPALLLLLLFLGPWPAAV(配列番号5)、RSFLRGLPALLLLLLFLGPWPAAV(配列番号6)、またはRRVRSFLRGLPALLLLLLFLGPWPAAV(配列番号7)。これらは、N末端側の追加のアミノ酸を有する18量体、21量体、24量体、および27量体の例であるが、他の長さもまた、許容可能であり得る。
一例において、単離されたペプチドは、配列番号4のアミノ酸配列を含み得る。別の例において、単離されたペプチドは、配列番号4のアミノ酸配列からなり得る。
一例において、単離されたペプチドは、配列番号5のアミノ酸配列を含み得る。別の例において、単離されたペプチドは、配列番号5のアミノ酸配列からなり得る。
別の例において、単離されたペプチドは、配列番号6のアミノ酸配列を含み得る。さらに別の例において、単離されたペプチドは、配列番号6のアミノ酸配列からなり得る。
さらなる例において、単離されたペプチドは、配列番号7のアミノ酸配列を含み得る。別の例において、単離されたペプチドは、配列番号7のアミノ酸配列からなり得る。
LRPAP1に由来する代替的な適切な天然の配列もまた、当業者によって特定され得る。例えば、それらは、配列番号27において見出される全長LRPAP1配列を使用して特定され得る。
代替的な例において、追加のアミノ酸は、LRPAP1においてFLGPWPAAS配列のN末端側、C末端側、またはそれに隣接して天然に配置されない、アミノ酸配列であってもよい。天然および非天然の両方の隣接配列が、単離されたペプチドワクチンにおいて有用であることが示されており、したがって、いずれも、本明細書に記載されるペプチドにおいて使用され得る。例えば、OVA抗原のSIINFEKLエピトープは、その天然の配列が隣接している場合(Bijker et al., (2007)、非天然のC末端側の隣接配列が隣接している場合(Varypataki et al., (2015)、またはN末端側の隣接配列なしだがC末端側の位置においてヘルパーエピトープに結合したグリシンリンカーを有し、したがって完全にそれ自体の天然の隣接配列の状況外である場合(Masuko et al., (2015)、ペプチドワクチンとしての使用が成功している。さらに、Chen et al., (2016)は、エピトープに対するプライミングをもたらす次のエピトープに対する小さな非天然のリンカーを有する15個のCTLエピトープワクチンについて記載している。したがって、N末端側および/またはC末端側の非天然の追加のアミノ酸配列は、ペプチドワクチン形式において許容可能であり得る。これらの配列に対する変化、例えば、RGLPALLLLLFLGPWPAAV(配列番号8)(19量体)などもまた、配列番号2および/または配列番号1のペプチド配列が、これらのペプチドに存在する限りは使用され得る。
ペプチドは、「天然のペプチド」、すなわち、天然のアミノ酸から構成されるペプチドであってもよい。そのようなペプチドは、通常のペプチド結合によって互いに連結された、遺伝子コードによって定義される従来的なアミノ酸から構成される。天然のペプチドは、例えば、細胞によって(タンパク質発現によって、例えば、本明細書に記載される核酸もしくはベクターを使用して)産生され得るか、または合成で作製され得る(すなわち、細胞外で、化学合成を使用して)。
代替的に、ペプチドは、「合成ペプチド」であってもよい。合成ペプチドは、天然のアミノ酸と、遺伝子コードによって定義される従来的なアミノ酸以外のアミノ酸(「合成アミノ酸」)とのミックスを含み得る。代替的に、それは、合成アミノ酸のみから構成されてもよい。合成アミノ酸の例は、文献において公知である。
天然のペプチドおよび合成のペプチドは、改変されていてもよい。換言すると、ペプチドは、天然のプロセス、例えば、翻訳後成熟プロセスによって、または当業者には周知である化学的プロセスによって改変された、アミノ酸を含んでもよい。そのような改変は、文献において詳述されている。これらの改変は、ペプチド内の任意の場所、ペプチド骨格内、アミノ酸鎖内、カルボキシ末端もしくはアミノ末端に、出現し得る。ペプチド改変の非限定的な例としては、アセチル化、アシル化、ADP-リボシル化、アミド化、ヌクレオチドもしくはヌクレオチド誘導体の共有結合による固定、脂質もしくは脂質誘導体の共有結合による固定、ホスファチジルイノシトールの共有結合による固定、共有結合的もしくは非共有結合的架橋、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、グリコシル化、例えばペグ化、ヒドロキシル化、ヨード化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク質分解プロセス、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、アミノ酸付加、例えば、アルギニル化もしくはユビキチン化が挙げられる。そのような改変は、文献において詳述されている。したがって、「ペプチド」、「ポリペプチド」、「タンパク質」という用語は、例えば、リポペプチド、リポタンパク質、グリコペプチド、糖タンパク質などを含み得る。さらなる非限定的な例としては、ペプチドは、ユビキチン化の後に分岐されてもよく、または分岐ありもしくはなしで環状であってもよい。この種類の改変は、当業者には周知である天然または合成の翻訳後プロセスの結果であり得る。
本明細書に記載されるペプチドは、直接的に、またはリンカーを介して、治療用部分、ポリマー、ポリペプチド、リガンド、および/または任意の他の部分、例えば、検出可能な部分にコンジュゲートされていてもよい。そのようなペプチドは、本明細書において、「ペプチドコンジュゲート」と称される。
ペプチドコンジュゲートは、Toll様受容体リガンドに共有結合的に結合したペプチドを含み得る。TLRリガンドはまた、TLRアゴニストとも称され得る。本明細書で使用される場合、「TLRアゴニスト」は、Toll様受容体(TLR)のアゴニストである、すなわち、それは、TLRに結合し、TLRを活性化して、特に、生物学的応答をもたらす。本明細書で使用される場合、「TLRペプチドアゴニスト」は、ペプチドであるTLRアゴニストである。
TLRアゴニストを含むペプチドコンジュゲートは、ペプチドに共有結合的に結合し、特に、合成ペプチドに共有結合的に結合するTLRアゴニストは、当該技術分野において周知である。例えば、Zom et al., (2018)は、TLR2リガンドPam3CSK4の合成長鎖ペプチド(SLP)へのコンジュゲートについて記載している。さらに、Zom et al., (2016)は、ヒトパピローマウイルス16型(HPV16)によりコードされる合成長鎖ペプチドの、Pam3CSK4に基づくTLR2アゴニストへのコンジュゲーションについて記載している。
Toll様受容体(TLR)は、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞質ドメインによって特徴付けられる、膜貫通タンパク質である。馬蹄様形状を有するロイシンリッチ反復配列(LRR)を含む細胞外ドメインは、多様な微生物に由来する共通の分子パターンの認識に関与する。Toll様受容体は、TLR1~10を含む。TLR受容体ならびにその改変形態および誘導体を活性化することができる化合物は、当該技術分野において十分に文書化されている。TLR1は、細菌性リポタンパク質およびそのアセチル化形態によって活性化され得、TLR2は、さらに、グラム陽性菌糖脂質、LPS、LPA、LTA、線毛、外膜タンパク質、細菌または宿主に由来する熱ショックタンパク質、ならびにマイコバクテリウム属(Mycobacterial)リポアラビノマンナンによっても活性化され得る。TLR3は、dsRNA、特にウイルス起源のものによって、または化学的化合物ポリ(LC)によって、活性化され得る。TLR4は、グラム陰性LPS、LTA、宿主または細菌起源の熱ショックタンパク質、ウイルス性コートまたはエンベロープタンパク質、タキソールまたはその誘導体、ヒアルロナン含有オリゴ糖、およびフィブロネクチンによって活性化され得る。TLR5は、細菌鞭毛またはフラジェリンにより活性化され得る。TLR6は、マイコバクテリウム属リポタンパク質およびB群連鎖球菌熱不安定性溶解因子(GBS-F)またはブドウ球菌モジュリンによって活性化され得る。TLR7は、イミダゾキノリンによって活性化され得る。TLR9は、非メチル化CpG DNAまたはクロマチン-lgG複合体によって活性化され得る。
TLRは、細胞表面(TLR1、2、4、5、6、および10)または細胞内オルガネラの膜、例えば、エンドソーム(TLR3、4、7、8、および9)のいずれかに発現される。エンドソーム受容体の天然のリガンドは、核酸に基づく分子である(TLR4を除く)。細胞表面に発現されるTLR1、2、4、5、6、および10は、細胞外微生物の分子パターンを認識する(Monie, T. P., Bryant, C. E., et al. 2009: Activating immunity: Lessons from the TLRs and NLRs. Trends Biochem. Sci. 34(11), 553-561)。TLRは、複数の細胞型に発現されるが、実質的にすべてのTLRが、DCに発現され、これらの特化した細胞がすべての可能性のある病原体および危険シグナルを感知することが可能となっている。
TLR2、4、および5は、DCの表面に構成的に発現される。
TLR2は、細菌、ウイルス、寄生生物、および真菌に由来する広範な種類のリガンドを検出することができる。リガンド特異性は、TLR2と他のTLR、例えば、TLR1、6、もしくは10、または非TLR分子、例えば、デクチン-1、CD14、もしくはCD36との相互作用によって、決定されることが多い。TLR1とのヘテロ二量体を形成することにより、TLR2が、トリアシルリポタンパク質もしくは(マイコバクテリウム)微生物起源のリポペプチド、例えば、Pam3CSK4およびペプチドグリカン(PGA;Gay、N.)を認識することが可能となる(Gangloff, M. (2007): Structure and function of Toll receptors and their ligands. Annu. Rev. Biochem. 76, 141-165、Spohn, R., Buwitt-Beckmann, U., et al. (2004): Synthetic lipopeptide adjuvants and Toll-like receptor 2-Structure-activity relationships. Vaccine 22(19), 2494-2499)。TLR2および6のヘテロ二量体化は、ジアシルリポペプチドおよびザイモサンの検出を可能にする。リポ多糖(LPS)およびその誘導体は、TLR4のリガンドであり、フラジェリンはTLR5のリガンドである(Bryant, C. E., Spring, D. R., et al. (2010). The molecular basis of the host response to lipopolysaccharide. Nat. Rev. Microbiol. 8(1), 8-14)。
TLR2は、微生物および真菌によって発現される分子を含む、広範かつ構造的に多様な範囲のリガンドと相互作用する。天然および合成のリポペプチド(例えば、マイコプラズマ・ファーメンタス(Mycoplasma fermentas)マクロファージ活性化リポペプチド(MALP-2))、ペプチドグリカン(PG、例えば、黄色ブドウ球菌(S. aureus)に由来するもの)、様々な細菌株に由来するリポ多糖(LPS)、多糖(例えば、ザイモサン)、グラム陽性細菌に由来するグリコシルホスファチジル-イノシトールアンカー型構造(例えば、リポテイコ酸(LTA)、ならびにマイコバクテリアに由来するリポ-アラビノマンナンおよび結核菌(M. tuberculosis)に由来するリポマンナン)を含む、複数のTLR2アゴニストが特定されている。ある特定のウイルス決定基もまた、TLR2を介してトリガーし得る(Barbalat R, Lau L, Locksley R M, Barton G M. Toll-like receptor 2 on inflammatory monocytes induces type I interferon in response to viral but not bacterial ligands. Nat Immunol. 2009: 10(11):1200-7)。細菌性リポペプチドは、細胞壁の構造的構成要素である。それらは、ペプチドがシステイン残基を介してコンジュゲートされ得るアセチル化されたs-グリセリルシステイン部分からなる。細菌性リポペプチドであるTLR2アゴニストの例としては、MALP-2およびその合成アナログであるジ-パルミトイル-S-グリセリルシステイン(Pam2Cys)またはトリ-パルミトイル-S-グリセリルシステイン(Pam3Cys)が挙げられる。
サルモネラ・ミネソタ(Salmonella minnesota)R595に由来するモノホスホリルリピドA(MPLA)、リポ多糖(LPS)、マンナン(カンジダ・アルビカンス(Candida albicans))、グリコイノシトールリン脂質(トリパノソーマ(Trypanosoma))、ウイルスエンベロープタンパク質(RSVおよびMMTV)、ならびにフィブリノーゲンおよび熱ショックタンパク質を含む内因性抗原を含む、多様なリガンドが、TLR4と相互作用する。そのようなTLR4のアゴニストは、例えば、Akira S, Uematsu S, Takeuchi O. Pathogen recognition and innate immunity. Cell. Feb. 24; 2006: 124(4):783-801またはKumar H, Kawai T, Akira S. Toll-like receptors and innate immunity. Biochem Biophys Res Commun. Oct. 30; 2009 388(4):621-5に記載されている。グラム陰性菌の外膜において見出されるLPSが、TLR4リガンドの中でもっとも広く研究されているものである。好適なLPS由来のTLR4アゴニストペプチドは、例えば、国際公開第 2013/120073号A1に記載されている。
TLR5は、ほぼすべての運動性細菌によって発現されるフラジェリン分子の領域によってトリガーされる。したがって、フラジェリン、またはフラジェリンおよび/もしくはフラジェリンの変異体もしくはフラグメントに由来するペプチドもしくはタンパク質もまた、本発明のペプチドコンジュゲートに含まれるTLRペプチドアゴニストとして好適である。
したがって、TLRペプチドアゴニストの非限定的な例としては、TLR2リポペプチドアゴニストMALP-2、Pam2Cys、およびPam3Cys、またはこれらの改変形態、TLR4アゴニストLPSの異なる形態、例えば、髄膜炎菌(N. meningitidis)野生型L3-LPSおよび突然変異型ペンタアシル化LpxL1-LPS、ならびにTLR5アゴニストフラジェリンが挙げられる。
TLR2ペプチドアゴニストのさらなる非限定的な例は、アネキシンII、またはその免疫調節フラグメントであり、これは、国際公開第2012/048190号A1および米国特許出願第13/033,1546号に詳述されている。
さらなる非限定的な例において、高移動度群ボックス1タンパク質(HMGB1)およびそのペプチドフラグメントは、TLR4アゴニストであることが想定される。そのようなHMGB1由来のペプチドは、例えば、米国特許出願第2011/0236406号A1に開示されている。
本発明によるペプチドコンジュゲートは、少なくとも1つのTLRアゴニストを含み得、好ましくは、ペプチドコンジュゲートは、1つを上回るTLRアゴニスト、特に、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、またはさらに多くのTLRアゴニストを含み得る。
本発明によるペプチドコンジュゲートによって含まれる少なくとも1つのTLRアゴニストは、同じであってもよく、または異なってもよい。好ましくは、本発明によるペプチドコンジュゲートによって含まれる様々なTLRアゴニストは、互いに異なる。
同じかまたは異なるTLR受容体を活性化するいくつかの異なるTLRアゴニストが、有利なことに、本発明による単一のペプチドコンジュゲートによって含まれ得ることを、理解されたい。
単離されたペプチドは、HLAクラスI抗原提示の損傷と関連するがんまたはウイルス感染症を処置または予防するために、ヒト対象に投与され得る。例えば、単離されたペプチドは、免疫応答を誘導または増強させるために、対象に投与され得る。ペプチドは、したがって、対象においてT細胞活性化(例えば、インビボ(in vivo)T細胞活性化)を誘導するために対象に投与され得、ここで、活性化されたT細胞は、ペプチドに特異的である(したがって、がんまたはウイルスに感染した細胞を特異的に標的化する)。
単離されたペプチドは、HLAクラスI抗原提示の損傷と関連するがんまたはウイルス感染症を処置または予防するためのペプチドワクチンとして投与され得る。単離されたペプチドは、がん性細胞またはウイルスに感染した細胞に特異的なT細胞の活性を誘導または増強させるために投与され得る。
同様に、本明細書に記載されるペプチドをコードする核酸配列およびベクターは、HLAクラスI抗原提示の損傷と関連するがんまたはウイルス感染症を処置または予防するために、核酸ワクチンとして投与され得る。単離された核酸配列およびベクターは、がん性細胞またはウイルスに感染した細胞に特異的なT細胞の活性を誘導または増強させるために投与され得る。
本明細書に記載されるペプチド(およびそれをコードする対応する核酸配列またはベクター)は、HLA-A*02に関して陽性であるヒト対象の免疫療法として特に有用であり得る。
HLA-A*02は、HLA-A血清型群内の世界規模で一般的なヒト白血球抗原血清型である。HLA-A*02群内には、HLA-A*0201、HLA-A*0202、HLA-A*0203、HLA-A*0204、HLA-A*0205、HLA-A*0206、HLA-A*0209、HLA-A*0211、HLA-A*0212、HLA-A*0216、HLA-A*0219、HLA-A*0250を含む、いくつかのサブタイプが存在する。本明細書に提示されるデータは、HLA-A*0201に焦点を当てているが、しかしながら、当業者には明らかなように、HLA-A*02群内の他のサブタイプ(本明細書において列挙されているものを含むがこれらに限定されない)もまた、LRPAP1の天然の短鎖エピトープである配列番号2に結合し得る(例えば、Ressing et al., 1999、特に、表3および2を参照されたい)。したがって、すべてのHLA-A*02サブタイプが、本明細書において包含されるが、HLA-A*0201が、好ましい(以下の表1を参照されたい)。
表1:異なるHLA-A2対立遺伝子に対するFLGPWPAAVおよびFLGPWPAASの予測される結合親和性;HLA-A2対立遺伝子とのFLGPWPAAV(A)およびFLGPWPAAS(B)の予測される結合親和性は、MHCnet 4.0アルゴリズムを使用して判定した。親和性の欄の値(ナノモル単位、nM)から、対応するHLA-A2対立遺伝子との予測される結合親和性がわかる。順位(%)は、予測される結合親和性を400,000個のランダムな天然のペプチドのセットと比較することによって判定した。強い結合剤は、0.5%よりも低い順位として定義し、弱い結合剤は、2%未満の順位を有する。
核酸配列
配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドをコードする、単離された核酸配列が、本明細書に記載されており、同様に、結合剤をコードする核酸配列も本明細書に記載されている。
本明細書で使用される場合、「核酸配列」、「ポリヌクレオチド」、「核酸」、および「核酸分子」は、オリゴヌクレオチド配列またはポリヌクレオチド配列を指して互換可能に使用される。ヌクレオチド配列は、ゲノム起源のものであっても、合成起源のものであっても、組換え起源のものであってもよく、二本鎖であっても一本鎖であってもよい(センス鎖またはアンチセンス鎖を表す)。「ヌクレオチド配列」という用語は、ゲノムDNA、cDNA、合成DNA、およびRNA(例えば、mRNA)、ならびにヌクレオチドアナログの使用によって生成されたDNAもしくはRNAのアナログを含み得る。
本明細書で使用される場合、「単離された核酸配列」とは、その天然の環境にない核酸配列を指し、天然の環境では、それが、同様にその天然の環境にあるその天然に関連する配列に連結されている。換言すると、単離された核酸配列は、天然のヌクレオチド配列ではなく、ここで、「天然のヌクレオチド配列」とは、その天然の環境にあり、かつ天然に関連するプロモーター全体に(このプロモーターもまた天然の環境にある)作動可能に連結されている、ヌクレオチド配列全体を意味する。
ベクターおよび改変された細胞
一態様において、本発明は、本明細書に記載される核酸配列(例えば、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドをコードする核酸配列)を含むベクターを提供する。
任意の適切なベクターを、使用することができる。単なる例として、ベクターは、プラスミドまたはウイルスベクター、例えば、レトロウイルスベクターまたはレンチウイルスベクターであってもよい。アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ワクシニアウイルス、カナリアポックスウイルス、ヘルペスウイルス、ミニサークルベクター、およびネイキッド(合成)DNA/RNAもまた、使用され得る(ミニサークルベクターの詳細については、例えば、non-viral Sleeping Beauty transposition from minicircle vectors as published by R Monjezi, C Miskey, T Gogishvili, M Schleef, M Schmeer, H Einsele, Z Ivics and M Hudecek in Leukemia 2016を参照されたい)。
ベクターは、プロモーターに作動可能に連結された核酸配列を含んでもよい。
本明細書で使用される場合、「ベクター」は、それに作動可能に連結された別の核酸配列を輸送することができる、核酸配列を指す。ベクターは、自律的複製が可能であり得るか、または宿主DNAに組み込まれ得る。ベクターは、組換えDNAの挿入のための制限酵素部位を含み得、1つまたは複数の選択可能なマーカーまたは自殺遺伝子を含み得る。ベクターは、プラスミド、バクテリオファージ、またはコスミドの形態にある核酸配列であってもよい。好ましくは、ベクターは、細胞における発現に好適である(すなわち、ベクターは、「発現ベクター」である)。好ましくは、ベクターは、ヒト抗原提示細胞における発現に好適である。ある特定の態様において、ベクターは、ウイルスベクター、例えば、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、またはアデノ随伴ウイルスベクターである。ベクターは、アデノウイルス、ワクシニアウイルス、カナリアポックスウイルス、ヘルペスウイルス、ミニサークルベクター、および合成DNAまたは合成RNAからなる群から選択されてもよい。
好ましくは、(発現)ベクターは、宿主細胞における増殖が可能であり、次の世代へと安定に伝達される。
本明細書で使用される場合、「作動可能に連結された」とは、互いに機能的関係性にある、例えば、コーディング配列の発現を誘導するように連結された関係性にある、コーディング配列とともに、以下に記載される単一の制御エレメントまたはその組合せを指す。
ベクターは、調節配列を含み得る。本明細書で使用される場合、「調節配列」は、遺伝子発現を制御することができる、DNAまたはRNAエレメントを指す。発現制御配列の例としては、プロモーター、エンハンサー、サイレンサー、TATA-ボックス、内部リボソーム進入部位(IRES)、転写因子の結合部位、転写終結因子、ポリアデニル化部位などが挙げられる。ベクターは、発現させようとする核酸配列に作動可能に連結された1つまたは複数の調節配列を含んでもよい。調節配列には、構成的発現を誘導するもの、ならびに組織特異的調節および/または誘導配列が含まれる。
ベクターは、プロモーターを含み得る。本明細書で使用される場合、「プロモーター」は、RNAポリメラーゼが結合して転写を開始する、DNA内のヌクレオチド配列を指す。プロモーターは、誘導性であってもよく、または構成的に発現されてもよい。代替的に、プロモーターは、リプレッサーまたは刺激性タンパク質の制御下にある。プロモーターは、宿主細胞において天然に見出されないものであってもよい(例えば、それは、外因性プロモーターであってもよい)。当業者であれば、標的タンパク質の発現に使用するのに適切なプロモーターを十分に認識しており、選択されるプロモーターは、宿主細胞に依存するであろう。
ベクターは、転写終結因子を含み得る。本明細書で使用される場合、「転写終結因子」は、DNAをRNAに転写することを担うRNAポリメラーゼの機能を終結させる、DNAエレメントを指す。好ましい転写終結因子は、T残基がGCリッチ二回転対称領域に先行する連続片を特徴とする。
ベクターは、翻訳制御エレメントを含み得る。本明細書で使用される場合、「翻訳制御エレメント」は、mRNAの翻訳を制御するDNAまたはRNAエレメントを指す。好ましい翻訳制御エレメントは、リボソーム結合部位である。好ましくは、翻訳制御エレメントは、プロモーター、例えば、プロモーターおよびその関連するリボザイム結合部位などの相同系に由来する。好ましいリボソーム結合部位は、公知であり、選択される宿主細胞に依存するであろう。
ベクターは、制限酵素認識部位を含み得る。本明細書で使用される場合、「制限酵素認識部位」は、制限酵素によって認識されるDNA上のモチーフを指す。
ベクターは、選択可能なマーカーを含み得る。本明細書で使用される場合、「選択可能なマーカー」は、宿主細胞において発現されると、細胞に表現型を付与し、それによって、該選択可能なマーカー遺伝子を発現する細胞の選択を可能にする、タンパク質を指す。一般に、これは、宿主細胞に新しい有益な特性(例えば、抗生物質耐性)を付与するタンパク質、または細胞表面に発現され、したがって、抗体結合のためにアクセス可能である、タンパク質である。適切な選択可能なマーカーは、当該技術分野において周知である。
ベクターは、自殺遺伝子も含み得る。本明細書で使用される場合、「自殺遺伝子」は、特定の薬物で処置した場合に、改変された細胞の死滅を誘導するタンパク質を指す。例として、ガンシクロビルを含む特定のヌクレオシドアナログでの処置の際に単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ遺伝子によって改変された細胞、抗CD20モノクローナル抗体での処置の際にヒトCD20によって改変された細胞、およびAP1903での処置の際に誘導性Caspase9(iCasp9)によって改変された細胞の自殺を誘導することができる(BS Jones, LS Lamb, F Goldman, A Di Stasi; Improving the safety of cell therapy products by suicide gene transfer. Front Pharmacol. (2014) 5:254による考察。適切な自殺遺伝子は、当該技術分野において周知である。
好ましくは、ベクターは、宿主細胞による本明細書に記載されるポリペプチドの発現に必要であるこれらの遺伝子エレメントを含む。宿主細胞における転写および翻訳に必要とされるエレメントとしては、プロモーター、目的のタンパク質のコーディング領域、および転写終結因子が挙げられる。
当業者であれば、(発現)ベクターの調製に利用可能な分子技法、および(発現)ベクターをどのようにして適切な宿主細胞に形質導入またはトランスフェクトする(それによって本明細書に記載される改変された細胞を生成する)ことができるかに関して、熟知しているであろう。本発明の(発現)ベクターは、従来的な技法、例えば、形質転換、トランスフェクション、または形質導入によって、細胞に導入することができる。「形質転換」、「トランスフェクション」、および「形質導入」は、一般に、外来(外因性)核酸配列を宿主細胞に導入するための技法を指し、したがって、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、遺伝子銃デリバリー、レトロウイルス、レンチウイルス、またはアデノ随伴ウイルスベクターを用いての形質導入、リポフェクション、スーパーフェクションなどの方法が包含される。使用される具体的な方法は、典型的に、ベクターの種類および細胞の両方に依存する。核酸配列およびベクターを宿主細胞、例えば、ヒト細胞に導入するための適切な方法は、当該技術分野において周知であり、例えば、Sambrook et al (1989) Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y、Ausubel et al (1987) Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley and Sons, Inc., NY、Cohen et al (1972) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 69, 2110、Luchansky et al (1988) Mol. Microbiol. 2, 637-646を参照されたい。発現ベクターを調製し、それらを適切な宿主細胞に導入するのに好適なさらなる従来的な方法は、例えば、国際公開第2016/071758号に詳述されている。
一部の実施形態において、宿主細胞は、インビトロ、エキソビボ(ex vivo)でベクター(例えば、ウイルスベクター)と接触され、一部の実施形態において、宿主細胞は、インビボでベクター(例えば、ウイルスベクター)と接触されることを理解されたい。
「宿主細胞」という用語は、本明細書に記載される核酸配列またはベクターが導入され得る(例えば、形質導入され得る)任意の細胞を含む。核酸分子またはベクターが細胞に導入された後、それは、本明細書において「改変された細胞」と称され得る。核酸分子またはベクターが宿主細胞に導入された後、結果として得られる改変された細胞は、コードされるポリペプチドを発現することが可能なはずである。
「改変された細胞」という用語は、遺伝子的に変化した(例えば、形質転換、形質導入、またはトランスフェクトされた)細胞を指す。この用語は、特定の対象細胞を指すとともに、そのような細胞の子孫または潜在的な子孫をも指す。ある特定の改変は、突然変異または環境的影響のいずれかに起因して後続の世代において起こり得るため、そのような子孫は、実際には、親細胞と同一ではない場合があるが、本明細書において使用される場合、この用語の範囲内に依然として含まれる。
宿主細胞(およびしたがって改変された細胞)は、細菌細胞であり得るが、典型的には、真核生物細胞であり、具体的には、抗原提示細胞(APC)による取り込みのために抗原を過剰発現することができるヒト細胞、より具体的には、抗原提示細胞、例えば、樹状細胞(DC)、B細胞、単球、マクロファージである。宿主細胞(およびしたがって改変された細胞)は、自家細胞であってもよく、これは、それが後で投与されるのと同じ個体に由来する細胞を指す。換言すると、宿主細胞(およびしたがって改変された細胞)は、処置しようとする対象に由来する細胞であり得る。好適には、宿主細胞(およびしたがって改変された細胞)は、例えば、白血球アフェレーシスによって、血液サンプルから単離され得る。
改変された細胞は、典型的には、ヒト細胞である。
有利なことに、改変された細胞は、本明細書に記載される核酸配列またはベクターによってコードされるポリペプチドを発現することができ、その結果、改変された細胞は、HLAクラスI抗原提示の損傷と関連するがん性細胞またはウイルスに感染した細胞を特異的に標的とする免疫療法薬を提供し、これを使用して、HLAクラスI抗原提示の損傷と関連するがんまたはウイルス感染症を処置または予防することができる。この使用に関するさらなる詳細は、以下に提供される。
ペプチドを調製するための方法
上述のように、本発明によるペプチドは、天然のペプチドであってもよく、または合成ペプチドであってもよい。別の態様において、本発明のペプチドは、改変されていてもよい。本発明のペプチドを調製する方法もまた、本明細書において提供される。一態様において、本明細書に提供される本発明のペプチドを調製する方法は、天然の方法であってもよい。別の態様において、本発明のペプチドを調製する方法は、合成方法であってもよい。代替的に、本発明のペプチドを調製する方法は、天然および合成の方法を含んでもよい。
本明細書に提供される本発明のペプチドを調製する方法は、天然の方法であってもよい。そのような方法は、目的のペプチドをコードする核酸(例えば、ベクター)が形質転換、トランスフェクト、または形質導入されている改変された細胞を、培養培地で培養すること、および培養培地から、または細胞溶解後に改変された細胞のライセートから、ペプチドを分離することを含む。
この文脈において、改変された細胞は、目的のペプチドを発現させるために使用される。そのような細胞の例としては、細菌細胞例えば、大腸菌(E. coli)、および真核生物細胞、例えば、酵母細胞、動物細胞、または植物細胞が挙げられるが、これらに限定されない。1つの例において、細胞は、哺乳動物、例えば、ヒト、CHO、HEK293T、PER.C6、NS0、骨髄腫、またはハイブリドーマ細胞である。樹状細胞および樹状細胞株が、特に好ましい。
典型的には、上述のように、目的のペプチドをコードする核酸は、ベクター、例えば、発現ベクター内に存在する。いくつかの例において、適切な分泌シグナルを、ベクターに組み込むことができ、そのため、核酸によってコードされるペプチドは、例えば、小胞体の内腔へ、細胞膜周囲腔へ、膜上に、または細胞外環境へと誘導されるであろう。適切な分泌シグナルの選択肢は、後続のタンパク質精製を促進し得る。適切な分泌シグナルの選択は、十分に、平均的な当業者の能力の範囲内である。
典型的には、培養培地の選択肢は、目的のペプチドを発現させるために使用される細胞型および/または細胞株の選択肢に特に依存する。当業者であれば、選択された細胞型および/または細胞株に適切である好適な培養培地について熟知している。
細胞を、コードされるペプチドの発現を誘導するのに十分な期間、適切な培養培地で培養する。細胞を培養するのに好適な期間および条件は、当該技術分野において公知であり、使用される具体的な細胞型および/または細胞株に依存する。
ペプチドが細胞によって発現された後に、それを、標準的な方法を使用して精製してもよい。例えば、タンパク質抽出のための市販入手可能なキットおよび/または試薬、例えば、NovagenのBugBuster(商標)を使用してもよい。代替の標準的な方法、例えば、親和性クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、および免疫親和性方法もまた、使用され得る。
代替的に、本発明のペプチドは、合成方法によって調製されてもよい。そのような方法は、文献において詳述されている。非限定的な例としては、液相ペプチド合成方法または固相ペプチド合成方法、例えば、メリフィールドによる固相ペプチド合成、t-Boc固相ペプチド合成、Fmoc固相ペプチド合成、BOP(ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシ-トリス-(ジメチルアミノ)-ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート)に基づく固相ペプチド合成などが挙げられる。
ペプチドがロードされた細胞
本明細書に記載されるペプチドがロードされた細胞もまた、提供される。これらの細胞は、以下に記載される治療方法において有利に使用され得る。
本明細書で使用される場合、ペプチドが「ロードされた」細胞とは、ペプチドが、細胞の表面上のMHC(主要組織適合複合体)と会合している細胞である。典型的には、ペプチドがロードされた細胞は、ペプチド自体を発現するのではなく、MHCと関連している外因性ペプチドを提示する。細胞は、それらにペプチドを「ロード」するために、外因性ペプチドでパルスしてもよい。ペプチドがロードされた細胞は、したがって、目的のペプチド(例えば、外因性ペプチド)を含む細胞とも称され得、ここで、目的のペプチドは、細胞の表面上のMHC複合体の一部である。換言すると、そのような細胞は、細胞外(または細胞表面)MHCが目的のペプチドと複合体を形成したものを含む。抗原提示細胞のMHC内のペプチドの存在は、本明細書において「抗原提示」と称される。抗原提示は、抗原がCD4+ヘルパーT細胞に提示されている場合には、MHCクラスII分子と会合した、提示がCD8+細胞毒性T細胞に対するものである場合には、MHCクラスI分子と会合した、マクロファージまたは他の抗原提示細胞の表面における抗原分子の発現である。
本明細書において定義されるペプチドがロードされた細胞は、処置しようとする対象に由来する細胞であり得る。特に、それらは、処置しようとする対象から単離されている細胞であり得る。代替的には、細胞株、例えば、抗原提示細胞株もまた、使用され得る。
好ましくは、本明細書において定義されるペプチドがロードされた細胞は、抗原提示細胞(APC)である。好ましくは、抗原提示細胞は、樹状細胞(DC)、マクロファージ、単球、B細胞、および抗原提示細胞の合成形態からなる群から選択される。樹状細胞、特に、処置しようとする対象から単離された樹状細胞(従来的および/または形質細胞様)が、もっとも好ましい。
対象から、抗原提示細胞、特に、樹状細胞を単離するための方法は、当業者に公知である。それらは、骨髄、臍帯血、または末梢血から、単球または造血幹細胞を採取することを含む。それらはまた、胚性幹(ES)細胞および人工多能性幹細胞(iPS)の使用も含む。抗原提示細胞、特に、樹状細胞およびそれらの前駆体は、エルトリエーションおよび磁気ビーズに基づく分離を含む方法によって、濃縮させることができ、これには、CD14+前駆体細胞の濃縮が含まれ得る。
本明細書において定義される複合体を、細胞、好ましくは、上述の抗原提示細胞、より好ましくは、樹状細胞にロードするための方法、およびさらにはそのような細胞を対象に投与する前に調製するための技法は、当業者に公知である。例えば、樹状細胞の調製は、例えば、GM-CSFおよびIL-4を含み得るサイトカインを使用したそれらの培養および分化を含み得る。樹状細胞株もまた、利用され得る。
ペプチドを、細胞、好ましくはAPC、より好ましくは樹状細胞にロードすることは、培養におけるペプチドと細胞との共インキュベーションを伴い得る。効率的な成熟を誘導するためのそのようにしてロードした細胞、例えば、樹状細胞のさらなる培養は、IL-1β、IL-6、TNFα、PGE2、IFNα、およびアジュバントを含むサイトカインの添加を含み得る。適切な方法および試薬は、当業者に周知である。
医薬組成物
本明細書に記載されるa)単離されたペプチド、b)核酸配列、c)ベクター、d)結合剤、またはe)細胞と、薬学的に許容される賦形剤、アジュバント、希釈剤、および/または担体とを含む、医薬組成物が提供される。
疑いを回避するために、a)、b)、c)、またはd)のうちのいずれか1つは、医薬組成物内に存在する細胞によって(適宜)コードまたは発現されることによって、医薬組成物に存在してもよい。例として、b)もしくはc)のうちのいずれか1つは、細胞によってコードされてもよく、それが薬学的に許容される賦形剤、アジュバント、希釈剤、および/もしくは担体と組み合わされて医薬組成物が生成されるか、またはa)もしくはd)のうちのいずれかは、細胞によって発現されてもよく、それが薬学的に許容される賦形剤、アジュバント、希釈剤、および/もしくは担体と組み合わされて医薬組成物が生成される。これに関するさらなる詳細は、以下に提供される。
本明細書に記載される核酸配列、ベクター、細胞、結合剤、単離されたタンパク質、またはペプチドは、したがって、医薬組成物の一部として提供され得る。有利なことに、そのような組成物は、HLAクラスI抗原提示の損傷と関連するがんまたはウイルス感染症を処置または予防するために(例えば、そのようながん性細胞またはウイルスに感染した細胞に対する特異的な免疫応答を誘導または増強することによって)、ヒト対象に投与され得る。
「医薬組成物」および「組成物」という用語は、文脈によりそうでないことが具体的に要求されない限り、本明細書において互換可能に使用される。
医薬組成物は、本明細書に記載される核酸配列、ベクター、細胞、結合剤、または単離されたタンパク質もしくはペプチドを、薬学的に許容される賦形剤、アジュバント、希釈剤、および/または担体とともに含み得る。
疑いを回避するために、核酸配列、ベクター、結合剤、または単離されたペプチドは、細胞の一部として医薬組成物中に存在してもよい。換言すると、核酸配列もしくはベクターは、細胞に組み込まれてもよく、または結合剤もしくはペプチドは、細胞によって発現されてもよい。細胞は、任意の好適な細胞、例えば、細菌細胞、または真核生物細胞、例えば、哺乳動物細胞、例えば、樹状細胞(DC)-(そのような場合には、哺乳動物細胞は、典型的にはエキソビボ細胞である)であり得る。本明細書に記載される核酸配列、ベクター、結合剤、または単離されたタンパク質もしくはペプチドを含む医薬組成物は、したがって、核酸配列もしくはベクターをコードするか、またはペプチドもしくは結合剤を発現することができる、細胞(例えば、細菌細胞、DCなど)を含む医薬組成物を包含する。
好適には、細胞(例えば、細菌細胞、DCなど)は、細胞に、適切な核酸配列/ベクターを(例えば、形質導入、トランスフェクション、または形質転換によって)導入するように改変されている細胞であってもよく、その結果、改変された細胞は、核酸配列/ベクターをコードし、目的の核酸配列、ベクター、ペプチド、または結合剤を発現することができるようになる。そのような細胞を、薬学的に許容される賦形剤、アジュバント、希釈剤、および/または担体と組み合わせて、本発明の医薬組成物を生成してもよい。細胞は、エキソビボで改変されていてもよい。例えば、それは、本明細書に記載される医薬組成物で処置しようとする(例えば、HLAクラスI抗原提示の損傷と関連するがんまたはウイルス感染症を処置または予防するために)対象に由来する自家細胞であってもよい。細胞は、例えば、核酸配列またはベクターを、細胞に導入するためにエキソビボで改変されていてもよく、その結果、改変された細胞は、核酸配列/ベクターをコードし、核酸配列またはベクターを発現して目的のペプチドまたは結合剤を生成することができるようになる。改変された細胞は、次いで、医薬組成物として対象に投与され得る。
組成物は、慣例的に、薬学的に許容される濃度の塩、緩衝化剤、保存剤、適合性担体、補助的な免疫増強剤、例えば、アジュバントおよびサイトカインを含有し得、適宜、他の治療剤または化合物を含有し得る。
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される」とは、生物学的にも別様にも望ましくないことのない材料を指す、すなわち、材料は、なんらかの望ましくない生物学的作用を引き起こすことも、含有される医薬組成物の他の成分のうちのいずれかと有害な様式で相互作用することもなく、選択された核酸配列、ベクター、細胞、結合剤、または単離されたペプチドとともに個人に投与され得る。
賦形剤は、活性成分(例えば、本明細書に提供される核酸配列、ベクター、細胞、結合剤、または単離されたペプチド)とともに製剤化される、製剤を増量するか、または最終剤形中の活性成分に治療的増強を付与する、例えば、薬物の吸収または可溶性を促進する目的で含まれる、天然または合成の物質である。賦形剤はまた、製造プロセスにおいて、インビトロ安定性、例えば、予想される保管期間にわたる変性の予防を補助することに加えて、粉末の流動性もしくは非粘着特性を促進することによってなど、考慮される活性物質の取り扱いを補助するためにも有用であり得る。薬学的に許容される賦形剤は、当該技術分野において周知である。好適な賦形剤は、したがって、当業者によって容易に特定可能である。例として、好適な薬学的に許容される賦形剤としては、水、生理食塩水、水性デキストロース、グリセロール、エタノールなどが挙げられる。
アジュバントは、製剤中の他の薬剤の作用を改変する薬理学的および/または免疫学的薬剤である。薬学的に許容されるアジュバントは、当該技術分野において周知である。好適なアジュバントは、したがって、当業者によって容易に特定可能である。
希釈剤は、希釈作用剤である。薬学的に許容される希釈剤は、当該技術分野において周知である。好適な希釈剤は、したがって、当業者によって容易に特定可能である。
担体は、用いられる投薬量および濃度においてレシピエントに対して非毒性であり、製剤の他の成分と適合性がある。「担体」という用語は、適用を容易にするために活性成分と組み合わされる、天然または合成の有機または無機の成分を意味する。薬学的に許容される担体は、当該技術分野において周知である。好適な担体は、したがって、当業者によって容易に特定可能である。
本明細書に記載される医薬組成物は、単剤療法として、または組合せ療法の一部として、対象に投与され得る。例えば、本明細書に記載されるワクチンと免疫チェックポイント阻害剤または他の免疫調節性化合物との組合せもまた、がん-ウイルスワクチン接種とPD-1遮断との組合せに関して示されているように11免疫回避TAP欠損がんを標的とするのに特に有用であり得る。
したがって、本明細書に提供される医薬組成物は、PD-1、CTLA-4、PD-L1、TIM3、TIGIT、VISTA、NKG2A、またはLAG-3を遮断する免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて使用され得る。
特定の例において、本明細書に提供される医薬組成物は、CTLA-1またはPD-1/PD-L1またはNKG2Aを遮断する抗体から選択される免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて使用され得る。そのような抗体は、様々な悪性腫瘍を有する患者の処置において臨床で実際に有望であることが示されている。
特定の例として、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1および/またはPD-L1活性の阻害剤であり得る。換言すると、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1またはPD-L1遮断をもたらし得る。PD-1および/またはPD-L1活性の阻害剤は、例えば、PD-L1のPD1への結合(または逆も同様)を遮断する抗体であり得る。
医薬組成物および免疫チェックポイント阻害剤の投与は、任意の順序であってもよい。好ましくは、医薬組成物は、免疫チェックポイント阻害剤と同時またはその後に投与される。代替的には、医薬組成物は、免疫チェックポイント阻害剤と同時またはその前に投与される。
対象の処置
本明細書に記載される医薬組成物は、医薬品として有利に使用され得る。組成物は、ヒト対象におけるHLAクラスI抗原提示の損傷と関連するがんまたはウイルス感染症を処置または予防するために使用され得る。好ましくは、ヒト対象は、HLA-A*02、例えば、HLA-A*0201に関して陽性である。
医薬品として(例えば、ヒト対象におけるHLAクラスI抗原提示の損傷と関連するがんまたはウイルス感染症の予防または処置において)使用するための医薬組成物は、本明細書に記載される核酸配列、ベクター、細胞、結合剤、または単離されたタンパク質もしくはペプチドを、薬学的に許容される賦形剤、アジュバント、希釈剤、および/または担体とともに含み得る。本明細書の他の箇所において考察されるように、これは、適切な核酸配列、ベクター、ペプチド、または結合剤をコードまたは発現する細胞を含む医薬組成物を包含する。
本明細書に記載されるHLAクラスI抗原提示の損傷と関連するがんまたはウイルス感染症の処置または予防の方法は、対象における免疫応答(例えば、細胞に媒介される応答)の誘導または増強(例えば、HLA-A制限ペプチドを提示するがん性細胞またはウイルスに感染した細胞に対する標的化された免疫応答)をもたらす。
「免疫応答の誘導または増強」という語句は、処置の前の免疫応答と比較した、処置中または処置後における対象の免疫応答(例えば、細胞に媒介される免疫応答、例えば、T細胞に媒介される免疫応答)の増加を指す。免疫応答の「誘導または増強」は、したがって、処置されているがんまたはウイルス感染症を直接的または間接的に標的とする免疫応答の任意の測定可能な増加を包含する。
本発明の組成物は、HLAクラスI抗原提示の損傷と関連するがんを処置または予防するために使用され得る。当業者であれば、HLAクラスI抗原提示の損傷と関連し、したがって、本発明により処置することができるがんについて、熟知しているであろう。
好適には、がんは、ペプチドプロセシング機序の損傷を有するがんである。1つの例において、がんは、肺癌である。
本発明の組成物はまた、HLAクラスI抗原提示の損傷と関連するウイルス感染症を処置または予防するために使用され得る。当業者であれば、HLAクラスI抗原提示の損傷と関連し、したがって、本発明により処置することができるウイルス感染症について、熟知しているであろう。
本明細書で使用される場合、「HLAクラスI抗原提示の損傷と関連する」がんまたはウイルス感染症は、がん性細胞またはウイルスに感染した細胞においてHLAクラスI抗原提示経路の変更をもたらすがんまたはウイルス感染症を指し、この変更により、これらの細胞におけるHLAクラスI抗原提示の低減が生じる。この文脈において、低減は、これらの細胞の細胞表面における(所与の時点での)非TEIPP HLAクラスI制限抗原の提示の、対照細胞(例えば、同じ対象に由来する、がん性でなく、ウイルスに感染していないもの)と比較した、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%などの減少を包含する。
がん性細胞またはウイルスに感染した細胞において、HLAクラスI抗原提示を損傷するように変更され得る分子経路は、いくつか存在する。例として、黒色腫の1~2%は、TAP1またはTAP2において有害な突然変異を有すること、ならびに転移性黒色腫が高い頻度で、エピジェネティックサイレンシングに起因して低いTAP1発現を示すことが、知られている5、7。
HLAクラスI抗原提示の損傷と関連するがんまたはウイルス感染症は、したがって、腫瘍細胞または感染細胞が突然変異型TAP1またはTAP2遺伝子を有する、がんまたはウイルス感染症であり得る。1つの例において、突然変異は、TAP1またはTAP2発現を低減させる(その結果、腫瘍細胞またはウイルスに感染した細胞は、低いTAP1またはTAP2発現を有する)。別の例において、突然変異は、細胞におけるTAP1またはTAP2活性を低減させる(その結果、腫瘍細胞またはウイルスに感染した細胞は、低減された/低いTAP1またはTAP2活性を有する)。他の例において、突然変異は、細胞におけるTAP1またはTAP2タンパク質レベルを低減させる(例えば、腫瘍細胞またはウイルスに感染した細胞は、低減された/低いTAP1もしくはTAP2タンパク質発現、および/または低減された/低いTAP1もしくはTAP2タンパク質安定性を有する)。
TAP1またはTAP2発現はまた、エピジェネティックサイレンシングに起因して、がん性細胞またはウイルスに感染した細胞において低減されている/低い場合がある。TAP1またはTAP2エピジェネティックサイレンシングを検出するための方法は、当該技術分野において周知である。
TAP1またはTAP2発現、活性、タンパク質レベル、および/またはタンパク質安定性はまた、TAP1またはTAP2遺伝子の突然変異以外の理由のために、がん性細胞またはウイルスに感染した細胞において低減されている/低い場合がある(例えば、がん/ウイルスが分子機序および細胞の経路を変化させることに起因して)。
がんまたはウイルス感染症は、したがって、低減された(または低い)TAP1またはTAP2タンパク質発現、活性、レベル、または安定性と関連するがんまたはウイルス感染症であり得る。
TAP1またはTAP2における突然変異の存在を判定するための方法は、当該技術分野において周知である。さらに、TAP1またはTAP2発現レベル、TAP1またはTAP2活性レベル、TAP1またはTAP2タンパク質レベル、およびTAP1またはTAP2タンパク質安定性を判定するための方法は、当該技術分野において周知である。
例えば、発現レベルは、例えば、ノーザンブロット分析またはrtPCR)を使用して、mRNAを測定することによって、検出され得る。タンパク質のレベルは、TAP1またはTAP2特異的抗体(例えば、検出可能なレベルを有する)を使用して検出されてもよく、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫沈降、免疫蛍光、酵素イムノアッセイ(EIA)、放射免疫測定法(RIA)、およびウエスタンブロット分析などの方法が、使用され得る。これらのパラメーターを判定するための他の標準的な方法は、当該技術分野において周知である。
上述のように、がんまたはウイルス感染症は、低減された(または低い)TAP1またはTAP2タンパク質発現、活性、レベル、または安定性と関連するがんまたはウイルス感染症であり得る。
本明細書で使用される場合、「低減された(または低い)TAP1またはTAP2タンパク質発現、活性、レベル、または安定性」とは、対照または参照レベルと比較した、タンパク質発現、活性、レベル、または安定性の減少(例えば、少なくとも5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%の減少)を指す。本明細書で使用される場合、「参照レベル」または「対照」とは、正常なレベルのTAP1またはTAP2タンパク質発現、活性、レベル、または安定性を有する細胞サンプル、例えば、がんもしくはウイルス感染症を有さないかもしくはそれを有することが疑われない健常対象から得られたサンプル、または代替的には、試験されている同じ対象に由来し、対照もしくは参照レベルの細胞サンプルががん性でもウイルスに感染してもいない(また、それが疑われない)細胞サンプルを指す。代替的には、参照レベルは、所定のカットオフ値、すなわち、症状もしくは疾患またはその欠如を統計学的に予測する診断スコアを生成するために使用され得る参照データベースから得られたTAP1もしくはTAP2タンパク質発現、活性、レベル、もしくは安定性の値であり得るか、または標準的な集団サンプルに基づく所定の参照レベルであり得るか、または代替として、対象のベースライン発現レベル、すなわち、がんもしくはウイルス感染症を発症する前もしくはそれが疑われる前のものに基づく所定の参照レベルであり得る。例えば、低減されたまたは低いタンパク質発現は、免疫組織化学法を使用して、抗TAP1または抗TAP2抗体、例えば、抗TAP1抗体、クローンmAb 148.3(MABF125 EMD Millipore)を使用して、判定され得る。1つの例において、サンプルにおけるTAP1またはTAP2の正常なレベルのタンパク質発現の、低減されたまたは低い発現レベルと比較した評価は、「De Ruiter」評価方法によって判定される。例えば、そのような方法において、サンプルは、がんまたは腫瘍サンプルである。代替的には、サンプルがウイルスサンプルである場合、免疫調節性ウイルス遺伝子産物、例えば、CMV、HSV、またはBVSの存在は、TAP機能の発現および/または活性を低減させ、そのような遺伝子産物の存在は、低減されたまたは低いTAP1またはTAP2発現および/または活性のマーカーとして使用することができる。
がん性細胞またはウイルスに感染した細胞において、HLAクラスI抗原提示を損傷させるように変化され得る他の分子経路としては、例えば、タパシン(MHCクラスI分子のTAPに媒介されるペプチドローディングに関与するシャペロンタンパク質)の欠損およびMHCクラスI提示のためのプロテアソームに媒介されるタンパク質のペプチドへの分解の阻害が挙げられる(さらなる詳細については、例えば、米国出願公開第US2009/0220534号を参照されたい)。
本明細書で使用される場合、「処置する」、「処置すること」、および「処置」という用語は、状態、障害、または症状(すなわち、この事例では、HLAクラスI抗原提示の損傷と関連するがんまたはウイルス感染症)の発症を予防するか、またはその病態を変化させることを意図して行われる介入を含むように解釈される。したがって、「処置」は、治療的処置および防止的もしくは予防的措置の両方を指し、ここで、標的とされる状態、障害、または症状の予防または遅延(減弱化)が目的である。「処置」は、したがって、例えば、対象から得られたサンプルにおいて測定される、悪性またはウイルスに感染した細胞の量または濃度の、処置前の悪性細胞(またはウイルスに感染した細胞)の量または濃度と比較して少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%の低減、遅延、または阻害を包含する。悪性細胞(またはウイルスに感染した細胞)の量または濃度を測定する方法としては、例えば、qRT-PCR、および対象から得られたサンプルにおける特定のバイオマーカー、例えば、配列番号2のうちの1つのアミノ酸配列を含むペプチドの定量化が挙げられる。
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、指定された状態、障害、または症状を有するか、またはそれを有する危険性にある、個体、例えば、ヒトを指す。対象は、患者、すなわち、本発明による処置を必要とする対象であり得る。対象は、状態、障害、または症状の処置を受容していてもよい。代替的には、対象は、本発明による処置の前に処置を受けていない。好ましくは、対象は、ヒト対象、好ましくは、HLA*0201陽性ヒト対象である。
本明細書に記載される組成物は、注射または経時的な段階注入によるものを含む、任意の従来的な経路によって、対象に投与することができる。投与は、例えば、注入によるもの、または筋肉内、静脈内、体腔内、脳内、病変内、直腸、皮下、皮内、硬膜外、髄腔内、経皮投与によるものであり得る。
本明細書に記載される組成物は、上述の投与様式に好適な任意の形態であり得る。例えば、細胞を含む組成物は、注入に好適な任意の形態であり得る。さらなる例として、非経口注射(皮下、筋肉内、静脈内、または注入を含む)に好適な形態としては、滅菌溶液、懸濁液、またはエマルションが挙げられ、局所投与に好適な形態としては、軟膏またはクリームが挙げられ、直腸投与に好適な形態としては、坐剤が挙げられる。代替的には、投与の経路は、標的領域への直接的な注射によるもの、または領域的デリバリーによるもの、または局所デリバリーによるものであり得る。本発明の組成物の好適な投薬量の特定は、十分に当業者の日常的な能力の範囲内である。
有利なことに、本発明の組成物は、ワクチンとして使用するために製剤化され得る(例えば、配列番号1のアミノ酸配列(または対応する核酸配列もしくはベクター)を含むペプチドを含む組成物が、ペプチドワクチンとして使用するのに好適な医薬組成物として製剤化され得る)。代替的には、細胞を含む組成物もまた、ワクチンとして使用するのに好適な医薬組成物として製剤化され得る。好適な細胞、結合剤(例えば、抗体)、ペプチド、および核酸ワクチン製剤は、当該技術分野において周知である。
医薬組成物は、好ましくは、対象、好ましくは、ヒトまたは動物対象への投与のためのものであり、したがって、それに好適となるように製剤化される。好ましくは、投与は、非経口、例えば、静脈内、皮下、筋肉内、真皮内、皮内、および/または腫瘍内投与、すなわち、注射によるものである。
好ましくは、医薬組成物は、薬学的投薬単位を構成する量の活性成分(例えば、核酸配列、ペプチド、ベクター、結合剤、または細胞)を含むか、またはそれからなる。薬学的投薬単位は、本明細書において、所与の時点において対象に適用される活性成分の量(すなわち、例えば、ペプチドに基づくワクチン内のペプチドの総量)として、定義される。薬学的投薬単位は、単一の体積、すなわち、単一ショットで対象に適用されてもよく、または好ましくは身体の異なる位置、例えば、右肢および左肢に適用される2つ、3つ、4つ、5つ、もしくはそれ以上の別個の体積もしくはショットで適用されてもよい。薬学的投薬量の別個の体積は、組成が異なり得る、すなわち、異なる種類または組成の活性成分および/またはアジュバントを含み得ることを、理解されたい。
総薬学的投薬量を含む単一の注射体積もしくはショット(すなわち、ある特定の時点において1つの位置に適用される体積)、または複数のショットが実質的に同じ時点において適用される事例ではその一部は、100~2mL、または100~1mLであり得る。単回注射体積は、100μl、200μl、300μl、400μl、500μl、600μl、700μl、800μl、900μl、1mL、1.1mL、1.2mL、1.3mL、1.4mL、1.5mL、1.6mL、1.7mL、1.8mL、1.9mL、2mL、3mL、またはこれらの間の任意の値であり得る。
所与の時点において対象に適用される活性成分の薬学的投薬量単位または総量は、ワクチンの種類(例えば、ペプチド、細胞、核酸など)に依存するであろう。例として、ある特定の時点において単回または複数回の注射のいずれかで所与の時点において対象に適用されるペプチドの薬学的投薬量単位または総量は、0.1μg~20mgの範囲、例えば、約0.1μg、0.5μg、1μg、5μg、10μg、15μg、20μg、30μg、40μg、50μg、60μg、70μg、80μg、90μg、100μg、150μg、200μg、250μg、300μg、350μg、400μg、450μg、500μg、650μg、700μg、750μg、800μg、850μg、900μg、1mg、1.5mg、2mg、2.5mg、3mg、3.5mg、4mg、4.5mg、5mg、5.5mg、6mg、6.5mg、7mg、7.5mg、8mg、8.5mg、9mg、9.5mg、10mg、15mg、または約20mg、またはこれらの間の任意の値の量のペプチドを含む。薬学的投薬量単位の好ましい範囲は、0.1μg~20mg、1μg~10mg、10μg~5mg、0.5mg~2mg、0.5mg~10mg、または1mg~5mg、または2~4mgである。
本明細書に記載される組成物は、有効量で投与するためのものである。「有効量」は、単独またはさらなる用量と合わせて、所望される(治療的または非治療的)応答をもたらす量である。使用しようとする有効量は、例えば、治療的(または非治療的)目的、投与の経路、および患者/対象の状態に依存するであろう。例えば、所与の患者/対象に好適な本発明の組成物の投薬量は、本発明の組成物の作用を改変することが知られている様々な因子、例えば、血液学的悪性腫瘍の重症度および種類、体重、性別、食事、投与の時間および経路、他の医薬、ならびに他の関連する臨床因子を考慮して、担当医師(または組成物を投与する人物)によって決定されるであろう。投薬量およびスケジュールは、具体的な状態、障害、または症状、患者/対象の全体的な状態に応じて変動し得る。有効な投薬量は、インビトロまたはインビボのいずれかの方法によって決定され得る。
本発明の組成物は、有利なことには、単位剤形において提示される。
結合剤
配列番号1のアミノ酸配列を含む(またはそれからなる)ペプチドに特異的に結合する結合剤が、本明細書に記載される。結合剤は、ヒト対象におけるHLAクラスI抗原提示の損傷と関連するがんまたはウイルス感染症の予防または処置において有用である。
結合剤は、配列番号1によって提供されるアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し得る。本明細書で使用される場合、「エピトープ」という用語は、結合剤が結合する、標的分子(この事例においては、引用されるペプチド)上の部位を指す。エピトープは、アミノ酸または糖側鎖などの分子群であり、通常、特定の構造特徴、ならびに特定の電荷特徴を有する。単一のペプチド(抗原)は、1つを上回るエピトープを有し得る。エピトープは、標的分子の連続的なまたは隣接する非連続的な残基(例えば、アミノ酸残基)の両方から形成され得る。連続的な残基(例えば、アミノ酸残基)から形成されるエピトープは、典型的には、線形エピトープとも称される。エピトープは、典型的には、少なくとも5個~最大約12個の残基、ほとんどの場合は6~10個の残基(例えば、アミノ酸残基)を含む。エピトープはまた、立体構造的(すなわち、非線形)であってもよい。
1つの例において、結合剤は、ペプチド自体によって生成されるエピトープに特異的に結合する。別の例において、結合剤(例えば、抗体)は、ペプチドと、それを提示するHLA分子との組合せによって生成されるエピトープ(すなわち、ペプチドがHLAクラスI、例えば、HLA*0201によって細胞表面上に提示されたときに生成されるエピトープ)に結合する。
本発明の結合剤は、配列番号1のアミノ酸配列を含む(またはそれからなる)ペプチドに特異的に結合する任意の適切な結合剤であり得る。
本発明の好適な結合剤の例としては、配列番号1のアミノ酸配列を含む(またはそれからなる)ペプチドに特異的に結合するHLA-A*02分子が挙げられる。そのようなHLA-A*02分子は、例えば、対象においてT細胞を刺激するために対象に投与するために使用するための多量体構造の一部として有用であり得る(例えば、合成DCの形態で)。
したがって、1つの例において、配列番号1のアミノ酸配列を含む(またはそれからなる)ペプチドに特異的に結合する結合剤は、HLA-A*02分子を含む。典型的には、この文脈において、HLA-A*02分子は、配列番号1のアミノ酸配列を含む(またはそれからなる)ペプチドに特異的に結合する。そのような結合剤は、本明細書において他の箇所に記載されるように、医薬組成物として有用であり得る。
1つの例において、結合剤は、単離された結合剤である。本明細書で使用される場合、「単離された結合剤」は、その天然の環境にない結合剤を指す。結合剤は、したがって、組換え結合剤であってもよく、または結合剤は、合成起源のものであってもよい(または代替として、天然起源のものであるが、その天然の環境から単離されている)。本開示の文脈において、結合剤、例えば、HLA-A2*02分子の天然の環境は、ヒトの体内である。したがって、結合剤(例えば、HLA-A2*02分子)が、例えば、医薬組成物(アジュバントなどを含む)中に存在する場合、それらは、その天然の環境にないため、単離された形態であると考えられる。
本明細書で使用される場合、「特異的結合」および「特異的に結合する」という用語(または他の同等な用語)は、他の生体分子がその領域に有意に結合しないこと(これが、目的のペプチド(すなわち、配列番号1のアミノ酸配列を含む引用されたペプチド)への特異的結合である、を示して互換可能に使用される。いくつかの実施形態において、目的のペプチド以外の生体分子への結合のレベルは、ELISAまたは親和性判定によって、無視できるほどの(例えば、判定できるほどではない)結合親和性をもたらす。
「無視できるほどの結合」とは、目的のペプチド(すなわち、配列番号1のアミノ酸配列を含む引用されたペプチド)への結合よりも少なくとも約85%、具体的には、少なくとも約90%、より具体的には、少なくとも約95%、さらにより具体的には、少なくとも約98%であるが、特に、少なくとも約99%~最大100%低い、結合を意味する。
結合剤の目的のペプチド(すなわち、配列番号1のアミノ酸配列を含む引用されたペプチド)への結合親和性は、標準的な結合アッセイ、例えば、表面プラズモン共鳴技法(BIAcore(登録商標)、GE-Healthcare Uppsala、Sweden)を使用して判定され得る。本明細書で使用される場合、「表面プラズモン共鳴」という用語は、BIAcoreシステム(Pharmacia Biosensor AB、Uppsala、SwedenおよびPiscataway、N.J.)を使用して、バイオセンサーマトリックス内のタンパク質濃度の変化を検出することにより、リアルタイムでの生体特異的相互作用の分析を可能にする、光学的現象を指す。さらなる説明については、Jonsson, U., et al. (1993) Ann. Biol. Clin. 51 : 19-26、Jonsson, U., et al. (1991) Biotechniques 11 :620-627、Johnsson, B., et al. (1995) J. Mol. Recognit. 8: 125-131、およびJohnnson, B., et al. (1991) Anal. Biochem. 198:268-277を参照されたい。
一般的な定義
本明細書で使用される場合、「FLGPWPAAVに特異的に結合する」とは、FLGPWPAAVペプチドのみの選択的な結合を指す。ある特定の条件下において、例えば、本明細書に記載されるイムノアッセイにおいて、「FLGPWPAAVに特異的に結合する」ポリペプチドは、このペプチドに選択的に結合し、他のペプチド(FLGPWPAASを含む)には有意な量で結合しないであろう。したがって、ポリペプチドは、それが対照の抗原性ペプチドに結合するよりも少なくとも10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、または100倍高い親和性で、FLGPWPAAVに結合し得る。選択的結合はまた、本発明の核酸またはベクターを発現する改変された細胞(すなわち、FLGPWPAAVに特異的なTCRを発現するCAR T細胞またはT細胞)の状況では、間接的に判定され得る。例えば、本明細書において考察されるアッセイなどのアッセイにおいて、改変された細胞は、HLA-A*02の状況においてFLGPWPAAVを提示する細胞に対して特異的に反応する。したがって、改変された細胞は、HLA-A*02の状況でFLGPWPAAVを提示しない対照細胞に対するその反応性と比較して、少なくとも10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、または100倍高い反応性で、HLA-A*02の状況でFLGPWPAAVを提示する細胞に結合し得る。選択的結合は、HLA-A*02によるFLGPWPAAV提示の状況におけるものであり得る。換言すると、ある特定の実施形態において、「FLGPWPAAVに特異的に結合する」ポリペプチドは、ペプチドがHLA-A*02により提示されている(すなわち、結合されている)か、またはそれがHLA-A*02によって提示されている場合と同等の構造形式にある場合にのみ、それを行い得る。
「非必須」(または「重要でない」)アミノ酸残基は、生物学的活性を停止させることなく、またはより好ましくはそれを実質的に変化させることなく、(例えば、本明細書において配列番号によって特定される配列の)野生型配列から変化させることができる残基であり、一方で、「必須」(または「重要な」)アミノ酸残基は、そのような変更をもたらす。例えば、保存されているアミノ酸残基は、変化に特に適していないことが予測されるが、ドメインの疎水性コア内のアミノ酸残基は、一般に、活性を有意に変化させることなく、ほぼ同等の疎水性を有する他の残基によって置き換えることができることを除く。
「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が、類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置き換えられるものである。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該技術分野において定義されている。これらのファミリーとしては、塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ分岐側鎖を有するアミノ酸(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)、および芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が挙げられる。したがって、タンパク質内の非必須(または重要でない)アミノ酸残基は、好ましくは、同じ側鎖ファミリーに由来する別のアミノ酸残基と置き換えられる。代替的には、別の実施形態において、突然変異を、ランダムに導入することができ、結果として得られる突然変異体を、活性についてスクリーニングして、活性を保持する突然変異体を特定することができる。
配列間の配列相同性または同一性(これらの用語は、本明細書において互換可能に使用される)の計算は、以下のように行われる。
2つのアミノ酸配列または2つの核酸配列の同一性パーセントを判定するために、配列を、最適な比較の目的でアライメントする(例えば、最適なアライメントのために、ギャップが、第1および第2のアミノ酸または核酸配列のうちの一方または両方に導入されてもよく、非相同配列は、比較目的で、無視してもよい)。好ましい実施形態において、比較目的でアライメントされる参照配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも60%、さらにより好ましくは少なくとも70%、75%、80%、82%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%である。次いで、対応するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置におけるアミノ酸残基またはヌクレオチドを比較する。第1の配列における位置が、第2の配列における対応する位置と同じアミノ酸残基またはヌクレオチドで占められている場合、分子は、その位置において同一である(本明細書で使用される場合、アミノ酸または核酸の「同一性」は、アミノ酸または核酸の「相同性」と同等である)。2つの配列間の同一性パーセントは、それらの配列が共有している同一な位置の数の関数であり、2つの配列の最適なアライメントのために導入する必要のあるギャップの数およびそれぞれのギャップの長さを考慮する。
2つの配列間の配列の比較および同一性パーセントの判定は、数学的アルゴリズムを使用して、達成することができる。好ましい実施形態において、2つのアミノ酸配列間の同一性パーセントは、GCGソフトウェアパッケージ(www.gcg.comにおいて入手可能)内のGAPプログラムに組み込まれている、Needleman et al. (1970) J. Mol. Biol. 48:444-453)のアルゴリズムを使用して、BlOSUM 62マトリックスまたはPAM250マトリックスのいずれか、ならびにギャップ加重16、14、12、10、8、6、または4および長さ加重1、2、3、4、5、または6を使用して、判定される。なおも別の好ましい実施形態において、2つのヌクレオチド配列間の同一性パーセントは、GCGソフトウェアパッケージ(http://www.gcg.comにおいて入手可能)内のGAPプログラムを使用して、NWSgapdna.CMPマトリックス、およびギャップ加重40、50、60、70、または80、および長さ加重1、2、3、4、5、または6を使用して、判定される。特に好ましいパラメーターセット(および実施者が、分子が本発明の配列同一性または相同性の限界内であるかどうかを判定するためにどのパラメーターを適用すべきかについて不確かである場合に使用すべきもの)は、ギャップペナルティ12、ギャップ伸長ペナルティ4、およびフレームシフトギャップペナルティ5のBLOSUM 62スコア付けマトリックスである。
代替的には、2つのアミノ酸配列またはヌクレオチド配列間の同一性パーセントは、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれているMeyers et al. (1989) CABIOS 4:11-17)のアルゴリズムを使用し、PAM120加重残基表、ギャップ長ペナルティ12、およびギャップペナルティ4を使用して、判定することができる。
本明細書に記載される核酸およびタンパク質配列は、例えば、他のファミリーメンバーまたは関連する配列を特定するために公開データベースに対する検索を実施するための「クエリー配列」として使用することができる。そのような検索は、Altschul, et al. (1990) J. Mol. Biol. 215:403-410)のNBLASTおよびXBLASTプログラム(バージョン2.0)を使用して行うことができる。本発明の核酸分子と相同であるヌクレオチド配列を得るために、BLASTヌクレオチド検索を、NBLASTプログラム、スコア=100、ワード長=12を用いて行うことができる。本発明のタンパク質分子と相同であるアミノ酸配列を得るために、BLASTタンパク質検索を、XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長=3を用いて行うことができる。比較目的でギャップ付きアライメントを得るために、Altschul et al.(1997, Nucl. Acids Res. 25:3389-3402)に記載されるようなギャップ付きBLASTを利用することができる。BLASTおよびギャップ付きBLASTプログラムを使用する場合には、それぞれのプログラムのデフォルトパラメーター(例えば、XBLASTおよびNBLAST)を使用することができる。<http://www.ncbi.nlm.nih.gov>を参照されたい。
本明細書に記載されるポリペプチドおよび核酸分子は、配列番号によって特定される配列に対して十分にまたは実質的に同一であるアミノ酸配列または核酸配列を有し得る。「十分に同一である」または「実質的に同一である」という用語は、第1および第2のアミノ酸またはヌクレオチド配列が、共通の構造ドメインまたは共通の機能的活性を有するように、第1のアミノ酸またはヌクレオチド配列が、第2のアミノ酸またはヌクレオチド配列に対して、十分なまたは最小限の数の同一または同等な(例えば、類似の側鎖を有する)アミノ酸残基またはヌクレオチドを含むことを指す。例えば、少なくとも約60%、または65%の同一性、可能性としては75%の同一性、よりさらなる可能性としては85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する、共通の構造ドメインを含む、アミノ酸またはヌクレオチド配列は、本明細書において、十分にまたは実質的に同一であるとして定義される。
本明細書において別途定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって広く理解されているものと同じ意味を有する。例えば、Singleton and Sainsbury, Dictionary of Microbiology and Molecular Biology, 2d Ed., John Wiley and Sons, NY (1994)およびHale and Marham, The HarperCollins Dictionary of Biology, Harper Perennial, NY (1991)は、当業者に、本発明において使用される用語の多くの一般的用語の説明を提供する。本明細書に記載されるものと類似または同等である任意の方法および材料が、本発明の実施において使用されるが、好ましい方法および材料が、本明細書に記載されている。したがって、直後に定義されている用語は、本明細書を全体として参照することによって、より完全に説明される。また、本明細書で使用される場合、「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」という単数形の用語は、文脈により別途明確に示されない限り、複数形の参照物を含む。別途示されない限り、それぞれ、核酸は、左から右に、5’から3’の方向で記述され、アミノ酸配列は、左から右に、アミノからカルボキシの方向で記述される。特定の手法、プロトコール、および試薬は、当業者がそれらを使用する状況に応じて変動し得るため、本発明は、それらの特定の手法、プロトコール、および試薬に制限されるものではないことを理解されたい。
本発明は、本発明の例示として提供される以下の非限定的な実施例を参照することによって、より良好に理解され得る。以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態をより完全に例示するために提示されているが、しかしながら、決して、本発明の広い範囲を制限するものとして解釈されるものではない。
[実施例1]
がん免疫回避と関連するシグナルペプチドに基づく長鎖ペプチドワクチンの設計
材料および方法
細胞培養
腫瘍細胞を、100ug/mLのストレプトマイシン、100U/mLのペニシリン、2mMのL-グルタミン(Invitrogen)、および10%のFCS(Gibco)を補充したDMEM培地(Gibco)中で培養した。ヒト腫瘍細胞株におけるTAP1遺伝子の遺伝子破壊を、CRISPR/CAS9を用いて、これまでに説明されているように行った7。T細胞を、2mMのL-グルタミン、10%のヒト血清(Sanquin)、および50U/mLのIL-2(proleukine、Novartis)を補充したIMDM培地(Gibco)中で培養した。T細胞を、10~14日ごとに、100U/mlのIL-2およびIL-7(5ng/mL)を補充した合成短鎖ペプチド(社内合成)または800ng/mlのPHA(フィトヘマグルチニン)(Murex Biotech)、ならびに照射PBMC(1×106個の細胞、80Gy)およびEBV-JY細胞(1×105個の細胞、100Gy)を含有するフィーダーミックスを使用して、刺激した。すべての細胞型を、加湿空気インキュベーターにおいて、37℃および5%CO2で維持した。
インビトロワクチン接種プロトコール
HLA-A*02:01陽性PBMCを、告知に基づく同意を得たドナーから得られたバフィーコート(Sanquin bloodbank、Amsterdam)から、フィコール勾配層を使用して、単離した。PBMCを、抗CD14磁気ビーズとともに、4℃で20分間インキュベートし、CD14陽性単球を、磁気分離カラム(miltenyi)を使用して単離した。CD14+単球を、10%のFCS、GM-CSF(800単位/ml)、およびIL-4(500単位/ml)を補充したRPMI培地で6日間培養して、未成熟単球由来樹状細胞を生成した。6日目に、未成熟moDCを、合成長鎖ペプチド(20μg/ml、社内合成)とともに24時間インキュベートし、7日目に、LPS(20ng/ml)刺激により成熟させた。単球の成熟moDCへの分化を、フローサイトメトリー分析によって検証した。成熟したmoDCを、完全T細胞培地で四量体濃縮T細胞バルクと共培養した。T細胞バルクに、14日後に2回目の刺激を行った。T細胞の特異性および反応性を、フローサイトメトリーによって分析した。
増殖させたT細胞バルクからのT細胞クローンの単離
増殖させたCD8 T細胞を、Aria III機械(BD)を使用して、96ウェルプレートにおいて、四量体陽性細胞上に単一細胞分取した。FACS分取の後に、単一T細胞を、10~14日間ごとに、PHA(800ng/mL)、IL-2(100単位/mL)およびIL-7(5ng/mL)を補充した照射PBMC(1×106個の細胞、80Gy)およびEBV-JY細胞(1×105個の細胞、100Gy)を含有するフィーダーミックスを使用して、非特異的に刺激した。増殖したT細胞クローンを、四量体特異性に関して分析し、非特異的(PHA)T細胞増殖プロトコールを使用して、T25培養フラスコにおいて、さらに増殖させた。
T細胞受容体シーケンシング
モノクローナルT細胞(2×106個)を、低温PBS/BSAにおいて洗浄し、遠心分離によってペレット化した。T細胞クローンに由来するmRNAを、Dynabeads mRNA精製キット(Thermofisher)を使用して単離した。TCRαおよびTCRβ由来の全長cDNAを、オリゴがTCRの定常ドメインに結合するSMARTscribe逆転写酵素を使用して生成した28。cDNA転写産物の増幅を、ネステッドプライマーおよび高忠実性Taqポリメラーゼを使用して、標準的なPCR反応によって行った。PCR反応ミックスを、DNA精製カラムで精製し、ヌクレオチド配列分析を、サンガーシーケンシングを使用して(社内配列施設において)行った。TCRシーケンシングの結果を、IMGT(http://www.imgt.org/)からのT細胞受容体配列アライメントソフトウェア(V-quest)を使用して分析した。TCR-アルファおよびTCR-ベータの両方の鎖についてマウス化TCRのための全長コドン最適化cDNA転写産物を、レトロウイルスpMP71 flex発現ベクターにクローニングした28。
レトロウイルス産生およびT細胞形質導入
白金両種指向性レトロウイルス産生(Plat-A)レトロウイルスパッキング細胞(Cell Biolabs)を、レトロウイルス産生に使用した。Plat-A細胞を、6ウェルプレートに播種し、完全に付着するまで一晩インキュベートした。次に、細胞に、リポフェクタミン2000を使用して、2μgのpMP71_1A8 TCRベクターをトランスフェクトした。レトロウイルス上清を、トランスフェクションの24時間後および48時間後に採取し、回転沈降させて細胞を除去し、-80℃で保管した。CD8 T細胞を、磁気ビーズ単離(Miltenyi)を使用して、PBMCから精製し、aCD3/aCD28ビーズ(Thermofisher)によってa特異的に活性化した。48時間後に、1×106個の活性化されたCD8 T細胞を、0.5mLのレトロウイルス上清とともに、レトロネクチン(Takara)をコーティングした24ウェルに播種した。続いて、CD8 T細胞およびレトロウイルスを含有する上清を、1300gで120分間回転沈降させて、形質導入の効率性を増加させた。形質導入の48時間後に、T細胞を、さらに48時間、細胞培養インキュベーターに入れた。
フローサイトメトリー分析
CD8 T細胞に対する四量体染色を、4℃で15分間のインキュベーションによって行い、低温PBS/BSAで3回洗浄した後、細胞表面染色を行った。T細胞を、抗CD3(クローンSK-7、BD)、抗CD4(クローンSK-3、BD)、抗CD8(クローンSK-1、BD)抗体で、4℃で30分間染色し、低温PBS/BSAで3回洗浄した。T細胞活性化を、ICSキット(BioLegend)を製造業者のプロトコールに従って使用して、細胞内IFNγ染色(XMF1.2、Biolegend)によって測定した。moDCを、抗CD1a(クローンHI149、BD)、抗CD14(クローンM5E2、BD)、抗CD80(クローンL307.4、BD)、抗CD83(クローンHB15e、BD)、抗CD86(クローンIT2.2、biolegend)、および抗HLA-DR(クローンG46-6、BD)抗体を用いて、4℃で30分間染色し、低温PBS/BSAで3回洗浄した。サンプルを、BD LSRFortessa(商標)フローサイトメトリーシステムを使用して獲得し、FlowJoソフトウェア(Tree Star)を使用して分析した。単一細胞分取を、BD Aria III(商標)FACSを使用して行った。
統計
統計学的分析を、ウェルチの補正を伴うT検定(対応あり、両側)を使用して計算して、差の統計学的有意性を判定した。最小2つの技術的複製物を、すべての実験において使用した。すべての実験は、少なくとも2回行った。差は、p<0.05で統計学的に有意であると考えた。(*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001)。
結果
LRPAP1のシグナルペプチドは、長鎖ペプチドとして提供された場合には、樹状細胞によって交差提示されない
本発明者らは、これまでに、偏在的に発現されるLRPAP1タンパク質のシグナルペプチドに由来するTEIPP抗原が、広範なTAP欠損がんタイプにおいてHLA-A*0201で提示されることを示している7。本発明者らは、TEIPPの概念をワクチン接種戦略、特に、本発明者らがウイルスに誘導されるがんのために以前に開発した合成長鎖ペプチド(SLP)プラットフォームに利用することにした。この目的で、樹状細胞におけるこのシグナルペプチドLRPAP21-30の長鎖バージョンの交差提示の効率性を、評価した。アミノ末端における非天然の隣接アミノ酸、およびカルボキシ末端における天然の隣接アミノ酸、または両方の末端における天然の隣接アミノ酸を有する3つの異なるSLP変異体を、合成した(図1a)。これらのSLPを、単球由来樹状細胞(moDC)と一緒にインキュベートし、LRPAP1特異的CD8 T細胞クローンを使用して、正しいプロセシングおよび最小TEIPPエピトープの提示について評価した。サイトカイン放出を測定し、これは、3つのSLPのいずれも、T細胞に交差提示されず、一方で短鎖LRPAP21-30ペプチドの外因的パルスは、T細胞を刺激したことが示された(図1a)。これらの結果は、その長鎖ペプチドストレッチに由来するLRPAP21-30エピトープの交差提示は、効率的ではなく、ワクチン適用のために最適化する必要があることを示唆した。
C末端側アンカーのセリンからバリンへの置換は、効率的な結合および交差提示を可能にする
樹状細胞による長鎖ペプチドの交差提示は、エンドサイトーシスを介した取り込み、プロテアソームによりSLPをサイトゾル切断して短鎖ペプチドにすること、TAPによるER膜を越えた輸送、ならびにMHC-I分子へのローディングを含む、複数の逐次的な工程を伴う15。これまでの研究は、LRPAP21-30エピトープが、HLA-A*0201への中等度の結合親和性を有することを示している7。本発明者らは、LRPAP21-30のC末端側のセリンの置き換えが、より効率的にプロセシングされるエピトープをもたらすかどうかを調査した。まず、9位に変動するアミノ酸を有するすべての可能性のあるペプチド配列のHLA-A*0201に対する結合親和性を、インシリコアルゴリズムを使用して推定した(表2、図1b)。C末端側のセリンは、実際に、低い予測結合スコアおよび順位を有した(それぞれ、親和性=364nM、%順位=2.50)。しかしながら、セリン(S)を、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、またはバリン(V)に置換することにより、予測される結合親和性の強力な増強がもたらされた。バリンとの置き換えは、6nMの親和性および0.05%の順位パーセンテージをもたらした。加えて、netCHOPを使用したプロテアソーム切断確率分析により、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、およびバリン(V)については、最大値1に近い確率スコアが得られたが、一方で、C末端における天然のセリン(S)は、ほぼ0の切断確率スコアを有した(図1c)。これらのインシリコ分析により、これらの2つの重要なパラメーターが、C末端においてセリン(S)をイソロイシン(I)、ロイシン(L)、またはバリン(V)で置換することによって強力に改善され得ることが示された。
表2:LRPAP1エピトープのHLA-A*0201ペプチド結合スコア。NetMHC 4.0を使用した、9位におけるアンカー残基がすべての他の公知のアミノ酸と置換された場合のp14ペプチド変異体の予測される結合親和性の概要。太字で強調表示されているペプチド変異体は、HLA-A*0201における強い結合剤として予測される。本明細書で使用される場合、「p14」は、FLGPWPAAS(配列番号2)を指す。
これらの置換が、LRPAP1特異的T細胞認識を妨害するかどうかを試験するために、本発明者らは、HLA-A*0201陽性T2細胞において、滴定濃度で、正確なエピトープの短鎖ペプチド変異体を外因的にパルスし、T細胞活性化を測定した(図1d)。予想外なことに、IおよびL変異体ペプチドは、Sペプチドと比較して、類似かまたは悪化したサイトカイン応答を誘導したが、Vペプチドは、より強力なIFNy応答を誘導した(図1d)。EC50値の計算により、Vペプチド変異体が、限られたペプチド濃度において、もっとも強力なT細胞応答を誘起したことを確認した(ug/mL単位のEC50=V:0.1、S:1.9、I:0.7、L:3.7)(図1e)。LRPAP21-30ペプチドのC末端におけるセリン(S)からバリン(V)への置換が、より良好なMHC-I結合親和性および19倍良好なT細胞活性化をもたらしたと結論付けた。続いて、SLPとしてのVペプチド変異体の交差提示を、評価した。moDCを、TEIPPエピトープのS(S-SLP)またはV(V-SLP)変異体を含有するSLPとともにインキュベートした。SLPの取り込みおよびプロセシングの後に、moDCを、LRPAP1特異的T細胞クローンと共培養し、サイトカイン産生を測定した(図1f)。3つのS-SLP変異体は、ここでも、T細胞を活性化することができず、V-SLPのC末端およびN末端延長型ペプチドは、moDCによって効率的にプロセシングされ、提示されたが、両方の末端を延長させた変異体は、そうはならなかった(図1f)。これらの結果は、moDCドナーが異なる独立した実験のほぼすべてにおいて再生され、C末端側の延長が、もっとも効率的にプロセシングされたことが明らかとなった(7/8人のドナー)(図1g)。まとめると、これらのデータは、LRPAP1に由来するTEIPP抗原のC末端におけるセリン(S)からバリン(V)への置換が、SLPワクチン接種プラットフォームにおいて使用可能であることを示した。
最適化されたTEIPPエピトープによる単離されたCD8 T細胞レパートリーの特徴付け
SLPワクチンは、最終的に、TAP欠損腫瘍によって提示される天然の(S変異体)ペプチド配列に対するT細胞反応性を生じるため、本発明者らは、単離し、Vペプチドで増殖させたCD8 T細胞レパートリーの、野生型LRPAP21-30ペプチドに対する交差反応性を評価した。したがって、CD8 T細胞培養物を、HLA-A*0201四量体プルダウン、およびそれに続くペプチド刺激による増殖を伴う、これまでに説明されているアプローチを使用して生成した7。このプロトコールにより、V変異体または天然のS変異体によって刺激されたポリクローナルLRPAP1特異的CD8 T細胞培養物の生成がもたらされた(図2a)。組み合わせた四量体染色により、両方のT細胞培養物が、S変異体ならびにV変異体を有する四量体に結合したことが判明し、これらのT細胞レパートリーが、特異性に関して区別できないことが示された(図2b)。単離し、Vペプチド変異体で刺激したCD8 T細胞レパートリーは、平均蛍光強度がより低かったため、いくらか低い親和性で四量体に結合すると見られた(図2b、c)。これは、Sペプチドの結合能力が低いことによって高い親和性のTCRのみが総レパートリーから動員され、一方で強力に結合するVペプチドは低い親和性のTCRも動員することができたということを反映している可能性がある。
これらのT細胞バルクの機能性を試験するために、不死化HLA-A*0201陽性B細胞にパルスした両方の短鎖ペプチドに対するサイトカイン応答を測定した(図2d)。両方のT細胞バルクが、IFNyおよびGM-CSFの分泌によって、両方のペプチドに対して応答し、高親和性結合Vペプチドを介して選択されたT細胞レパートリーは、天然のSペプチドに対して交差反応性であることが示された。最後に、TAP陰性黒色腫518A2細胞株の表面上に天然に提示されるSペプチドの認識を、試験した(図2e)。重要なことに、Vペプチドにより誘導されたポリクローナルT細胞培養物は、野生型(TAP有効)対応物と比較して、TAP陰性腫瘍株の好ましい認識を示した。これらのデータは、C末端側アミノ酸が、HLA-A2*01分子への結合のためのアンカー位置であり、TCRインターフェースに直接的に関与しないというこれまでの見識と一致する。LRPAP1由来TEIPP抗原のC末端をバリンに交換することにより、総CD8 T細胞プールから、相当なペプチド特異的CD8 T細胞レパートリーの単離がもたらされると結論付けられた。
TCR遺伝子移入はLRPAP1特異性を付与する
合成長鎖ペプチドを用いたワクチン接種は、天然のT細胞レパートリーからT細胞反応性を誘起することを目的としている。TEIPP特異的CD8 T細胞からのTCR遺伝子移入は、TAP欠損がんにT細胞免疫を導入するための代替的な免疫療法的アプローチをなす。本発明者らは、これまでに説明されているCD8 T細胞クローン1A8から再配列したTCRを用いてこれを試験した(図3)。TCR-アルファ鎖およびTCR-ベータ鎖の両方のDNAシーケンシングにより、再配列された配列が判明し、TCR-Vβ2使用頻度を、フローサイトメトリーによって確認した(表3および図3a)。形質導入された遺伝子の正しい対合を改善するためのマウスCドメインを有するこのTCRのレトロウイルスコンストラクトは、マウスTCR-Cβドメインに対する抗体によって測定すると、TCRが形質導入されたCD8 T細胞の生成の成功をもたらした(図3b)。四量体染色により、両方のTCR鎖が発現され、S変異体およびV変異体の両方のペプチドを認識することが確認され、特異性T細胞クローン1A8が保存されていることが示された(図3c)。さらに、S変異体よりも強力なサイトカイン応答が、V変異体ペプチドに対して観察されたという点で、T細胞反応性が、TCR遺伝子移入によって付与された(図3d)。最後に、TCRが形質導入されたT細胞は、本来のT細胞クローンと同等の様式で、TAP欠損黒色腫を選択的に認識した(図3e)7。まとめると、これらの概念を証明するデータは、TEIPP抗原の免疫療法モードとしてのTCR遺伝子移入の実行可能性を示し、V-SLPを用いたワクチン接種が、インビボでT細胞収縮を予防することに役立ち得ることを示唆する。
V-SLPを用いたインビトロワクチン接種は、LRPAP21-30特異的TEIPP T細胞の増殖を促進する。
LRPAP1に誘導されるTEIPP T細胞応答の誘導のためのV変異体SLPのワクチン接種の概念を検証するために、いわゆるインビトロワクチン接種プロトコールを使用した20、21。SLPがロードされたmoDC(図1に示されるペプチドがロードされている)を、四量体が濃縮された自家T細胞の2回の段階刺激のために共培養した(図4a)。1回目の刺激の後にすでに、四量体分析によって測定すると、LRPAP1特異的T細胞の大幅な増殖が、対照培養物と比較して確認された(それぞれ、16.6%に対して1.5%)(図4b)。この特異的な増殖は、2回目の刺激の後にはさらに顕著であり(それぞれ、38.5%に対して0.2%)(図4b)、プロフェッショナル抗原提示細胞が、V-SLPを交差提示し、TEIPP特異的T細胞を活性化することができることが示された。これらの結果は、すべてのLRPAP1特異的CD8 T細胞が依然として健常ドナーのナイーブ状態にある7という本発明者らのこれまでの発見を踏まえると、注目に値するものであり、それらが、共培養物中のインビトロプライミングにおいて実際に観察され、N末端において天然の隣接アミノ酸を用いて延長させた場合に、LRPAP1エピトープを認識するT細胞が得られたことを示唆する(図5も参照されたい)。
次に、TAP欠損がんに対するCD8 T細胞クローンの反応性を判定するために、CD8 T細胞クローンを生成した。四量体陽性T細胞を、単一細胞としてフローサイトメトリーによって分取し、マイトジェンフィトヘマグルチニン(PHA)を使用して、抗原に関連しない方法で増殖させた。T細胞クローンを、四量体分析によってそれらの特異性に関して分析した(図4c)。5つの新しいT細胞クローンが、VペプチドおよびSペプチドの両方の四量体について、前に単離されたクローン1A8に匹敵する、同等な染色を示した7。重要なことには、2つのTAP欠損黒色腫が、これまでに確立されているクローン1A8に非常に類似する様式で、これらの5つのSLPに誘導されるCD8 T細胞クローンのうちの3つ(2H11、2B9、および1A10)によって効率的に認識された(図4d)。まとめると、これらの観察は、V-SLPが、LRPAP1特異的T細胞免疫の誘導に利用する準備ができた機能的なTEIPPワクチンをなすことを示した。
考察
HLA-A*0201により提示されるペプチド-エピトープLRPAP21-30(FLGPWPAAS)は、タンパク質翻訳産物をER膜のsec61転位チャネルに入れるように機能するシグナルペプチドによってコードされる22。プロテアーゼによって媒介される切断の後に、シグナルペプチドの一部は、TAP独立様式で、ERに進入する。正式には示されていないが、LRPAP21-30ペプチドの遊離は、プロテアソームによって媒介されない可能性がもっとも高く、これは、HLAクラスI提示されるペプチドの大半のタンパク質分解性切断に関与する4。実際に、インシリコ確率アルゴリズムNetCHopにより、LRPAP21-30配列のp9における天然のセリンの後での切断は、可能性が低いと予測された(図1c)。したがって、このシグナルペプチドは、プロテアソームおよびTAPから独立した様式でプロセシングされると結論付けた。
合成長鎖ペプチドワクチンの使用は、しかしながら、宿主樹状細胞による取り込み、ならびにプロテアソームおよびペプチド輸送体TAPが関与する古典的な経路を介したプロセシングに依存する26。本発明者らは、最小ペプチド-エピトープを含むLRPAP1の天然の長鎖ペプチドでは、樹状細胞による交差提示が成功しないことを示している(図1)。エピトープのp9におけるセリンからバリンへの単一のアミノ酸置換により、長鎖ペプチドはプロテアソーム切断に感受性となり、さらに、HLA-A*0201に対する結合親和性が改善された。この単一のアミノ酸交換が、このシグナル配列ペプチドのプロセシング経路を、SPaseおよびSPPaseに媒介されるものから、プロテアソームに媒介されるものへと変化させ得ると仮説を立てた。
インビトロワクチン接種プロトコールを使用した、短鎖SおよびVペプチドにより誘導されるT細胞応答の並列比較により、両方のレパートリーが、交差反応性および機能性に関して同程度であったことが明らかとなった(図4)。短鎖Vペプチドを用いた刺激は、四量体を用いた染色があまり強力でないことによって示されるように、低い親和性を有するCD8 T細胞レパートリーを動員すると見られた(図2b)。しかしながら、細胞内交差提示を必要とする長鎖ペプチドがロードされた樹状細胞を用いた刺激は、高い親和性およびTAP欠損黒色腫における天然のS変異体を認識する強い能力を有するポリクローナルCD8 T細胞バルクおよびクローンをもたらした(図4)。これらの発見は、最適化されたV-SLPを用いたワクチン接種により、高親和性TCRを有するLRPAP1特異的T細胞の生成がもたらされることを示唆する。最小の短鎖エピトープを用いたワクチン接種に優るこのSLPの利点は、前臨床マウスモデルにおけるこれまでの調査と一致し、SLPプラットフォームが、高親和性TCRレパートリーを動員するのに十分に適していることを示唆する14、17。
本発明者らは、LRPAP1特異的T細胞がすべて、健常な血液ドナーのナイーブレパートリーに存在することをこれまでに示しており、インビトロワクチン接種プロトコールが、実際にCD8 T細胞をプライミングし、単純にメモリーT細胞を再活性化するだけではないことを示している7。がん患者および特にTAP欠損腫瘍細胞を有するものにおけるLRPAP-1特異的T細胞の分化ステータスは、さらなる分析が必要であるが、マウス腫瘍モデルから得られたデータにより、TEIPPに誘導されるCD8 T細胞が、これらの状況において依然としてナイーブであることが判明している6、27。本発明者らは、TAP欠損腫瘍が、TEIPP T細胞をプライミングすることができず、宿主樹状細胞もまた、TEIPP抗原を取り込みそれを交差プライミングすることができなかったことを見出した。結果として、TEIPP免疫は、本明細書において提案されたSLPワクチンを介したものなどの活性な免疫付与によって、または宿主T細胞へのTCR遺伝子移入によって、導入される必要があり得る。したがって、1つのアミノ酸交換を含むLRPAP1のシグナルペプチドの最適化された長鎖ペプチドは、がん患者においてTEIPP免疫を誘導するための理想的なワクチン候補をなす。
本明細書と同時またはそれよりも前に本出願と関連して提出されており、本明細書とともに公衆の閲覧に付されているすべての論文および文書に、読者の注目が向けられ、すべてのそのような論文および文書は、参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書(任意の添付の特許請求の範囲、要約書、および図面を含む)に開示される特徴のすべて、ならびに/またはそのようにして開示されている任意の方法もしくはプロセスの工程のすべては、任意の組合せで組み合わせることができるが、そのような特徴および/または工程のうちの少なくとも一部が、相互に排他的である場合の組合せは除く。
本明細書(任意の添付の特許請求の範囲、要約書、および図面を含む)において開示されているそれぞれの特性は、別途明示されない限り、同じ、同等、または類似の目的を果たす代替的な特性で置き換えられてもよい。したがって、別途明示されない限り、開示されるそれぞれの特性は、包括的な一連の同等または類似の特性の一例にすぎない。
本発明は、いずれの前述の実施形態の詳細にも制限されない。本発明は、本明細書(任意の添付の特許請求の範囲、要約書、および図面を含む)に開示されている特性の任意の新規なものもしくは任意の新規な組合せ、またはそのようにして開示されている任意の方法もしくはプロセスの工程の任意の新規なものもしくは任意の新規な組合せに及ぶ。
本開示は、例えば以下を提供する。
[項1]
アミノ酸配列FLGPWPAAV(配列番号1)を含む、単離されたペプチド。
[項2]
a)35個以下のアミノ酸を有するか、
b)アミノ酸配列FLGPWPAAV(配列番号1)からなるか、かつ/または
c)アミノ酸配列FLGPWPAAV(配列番号1)を含み、10~35個のアミノ酸からなる、項1に記載のペプチド。
[項3]
TLRリガンドにコンジュゲートされている、前記項のいずれかに記載のペプチド。
[項4]
項1~3のいずれか一項に記載のペプチドをコードする、単離された核酸配列。
[項5]
アミノ酸配列FLGPWPAAV(配列番号1)を含むペプチドに特異的に結合する結合剤であって、HLA-A2*02分子であってもよい、結合剤。
[項6]
項4に記載の核酸配列を含む、ベクター。
[項7]
項4に記載の核酸配列または項6に記載のベクターを用いて形質転換、トランスフェクト、または形質導入された改変された細胞であって、ヒト細胞であってもよい、改変された細胞。
[項8]
項1~3のいずれか一項に記載のペプチドを調製する方法であって、項7に記載の改変された細胞を、培養培地で培養すること、および前記培養培地から、または細胞溶解後に前記改変された細胞のライセートから、前記ペプチドを分離することを含む、方法。
[項9]
項1~3のいずれか一項に記載のペプチドがロードされた細胞であって、抗原提示細胞であってもよく、好ましくは、前記抗原提示細胞が、マクロファージ、樹状細胞、単球、B細胞、または抗原提示細胞の合成形態から選択される、細胞。
[項10]
前記項のいずれかに記載の単離されたペプチド、核酸配列、ベクター、結合剤、または細胞と、薬学的に許容される賦形剤、アジュバント、希釈剤、および/または担体とを含む、医薬組成物。
[項11]
ワクチンとして製剤化される、項10に記載の医薬組成物。
[項12]
医薬品として使用するための、項10または11に記載の医薬組成物。
[項13]
ヒト対象におけるHLAクラスI抗原提示の損傷と関連するがんまたはウイルス感染症の予防または処置における、項12に記載の使用のための医薬組成物。
[項14]
前記がんが、ペプチドプロセシング機序の損傷を伴うがんである、項13に記載の使用のための医薬組成物。
[項15]
ヒト対象におけるHLAクラスI抗原提示の損傷と関連するがんまたはウイルス感染症を処置または予防するのに使用するための、項10または11に記載の医薬組成物であって、前記対象が、前記対象から単離されたサンプル中のペプチドの存在によって、HLAクラスI抗原提示の損傷と関連するがんまたはウイルス感染症を有するとして特定されており、前記ペプチドが、FLGPWPAAS(配列番号2)である、医薬組成物。