JP7780082B2 - 厚鋼板およびその製造方法 - Google Patents
厚鋼板およびその製造方法Info
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Description
(1)鋼板と、前記鋼板の表面に形成されたスケールとを含み、前記スケールが表面から順にヘマタイトからなる第1層と、マグネタイトからなる第2層と、ウスタイトからなるかまたはウスタイトおよびフェライトとマグネタイトの共析組織からなる第3層とを有し、前記第1層の平均厚さが0.5~5.0μmであり、前記第1層による前記鋼板の表面被覆率が50%以上であり、前記第2層の平均厚さが前記スケールの平均厚さの10~40%であり、前記第3層の平均厚さが前記スケールの平均厚さの50%以上であり、前記第3層の厚さの板幅方向における偏差が0.40以下であり、かつ、前記第3層におけるウスタイトの平均粒径が15μm以下である、厚鋼板。
(2)前記スケールの平均厚さが6~60μmである、上記(1)に記載の厚鋼板。
(3)前記鋼板が、質量%で、
C:0.001~0.300%、
Si:0.01~1.00%、
Mn:0.10~2.50%、
P:0.001~0.050%、
S:0.0001~0.0100%、
Al:0.001~0.200%、
N:0.0150%以下、
O:0.0050%以下、
Cu:0~1.00%、
Ni:0~2.00%、
Cr:0~1.00%、
Mo:0~1.00%、
W:0~0.50%、
Nb:0~0.500%、
Ti:0~0.500%、
V:0~1.000%、
B:0~0.0100%、
Sn:0~0.500%、
Sb:0~0.500%、
Ca:0~0.0100%、
Mg:0~0.0100%、
Hf:0~0.0100%、
Te:0~0.0100%、
Sr:0~0.0100%、
REM:0~0.0100%、ならびに
残部:Feおよび不純物からなる化学組成を有する、上記(1)または(2)に記載の厚鋼板。
(4)前記化学組成が、質量%で、
Cu:0.01~1.00%、
Ni:0.01~2.00%、
Cr:0.01~1.00%、
Mo:0.01~1.00%、
W:0.003~0.50%、
Nb:0.003~0.500%、
Ti:0.003~0.500%、
V:0.003~1.000%、
B:0.0003~0.0100%、
Sn:0.003~0.500%、
Sb:0.003~0.500%、
Ca:0.0003~0.0100%、
Mg:0.0003~0.0100%、
Hf:0.0003~0.0100%、
Te:0.0003~0.0100%、
Sr:0.0003~0.0100%、および
REM:0.0003~0.0100%
からなる群から選択される1種または2種以上を含む、上記(3)に記載の厚鋼板。
(5)第3層に占める前記共析組織の割合が20~80%である、上記(1)~(4)のいずれか1項に記載の厚鋼板。
(6)スラブを加熱する工程であって、前記スラブの表面温度が1050~1300℃となる最高加熱温度まで加熱し、1050℃を超えてから加熱工程完了までの経過時間が下記式(1)を満たすように制御される加熱工程、
前記スラブを熱間圧延する工程であって、前記スラブの表面温度が1000~1100℃の温度範囲で累積圧下率が15~30%の圧延を施した後、得られた圧延材の表面温度が1000~1100℃の温度範囲で高圧水デスケーリングを施し、更に1000℃以下の温度域において1000℃に到達した時点の板厚に比して累積圧下率を30%以上とする圧延であって、2以上の圧延パスを含み、各圧延パスの圧下率が30%未満であり、少なくとも1つの圧延パスの圧下率が5%以上であり、最終圧延パスの圧延温度が800~950℃である圧延を施す熱間圧延工程、
得られた鋼板を冷却する工程であって、熱間圧延工程完了から水冷開始までの経過時間が下記式(2)を満たすように制御され、水冷停止温度を500~600℃とする冷却工程
を含む、上記(1)~(5)のいずれか1項に記載の厚鋼板の製造方法。
1.0≦x10≦10.0 ・・・式(1)
x1=D1・D2・(T1 3+D3T1 2+D4T1+D5)・(T1-D6)0.5・{1-exp(D7T1+D8)}0.5・Δt0.5
tn=xn 2・D1 -2・D2 -2・(Tn+1 3+D3Tn+1 2+D4Tn+1+D5)-2・(Tn+1-875)-1・{1-exp(D6Tn+1+D7)}-1
xn=D1・D2・(Tn 3+D3Tn 2+D4Tn+D5)・(Tn-D6)0.5・{1-exp(D7Tn+D8)}0.5・(tn-1+Δt) 0.5
D1=(1-0.850[C]-0.052[Si]-0.026[Mn]-0.065[Al])0.5
xnは、加熱工程においてスラブの表面温度が1050℃を超えてから加熱工程完了までの経過時間を10等分し、各区間が完了した後のスケールの成長度合いを表す指標であり、nは10等分した区間のn番目に当たる計算であることを示し、
D1はスラブの化学組成による影響を考慮したものであり、上記式中の[C]、[Si]、[Mn]および[Al]はスラブにおけるそれぞれの元素の含有量[質量%]であり、
D2、D3、D4、D5、D6、D7およびD8は定数であり、それぞれ8.66×10-10、-3.99×103、5.36×106、-2.32×109、8.75×102、-3.50×10-3および3.06×100であり、
Tnは10等分した区間のn番目の領域における平均スラブ温度[℃]であり、
Δtは前記経過時間の10分の1の時間[秒]であり、
x10は、上記計算式によりx1からx2、x3・・・と順に計算することで得られ、
1.0≦y10≦10.0 ・・・式(2)
y1=E1・(1+E2・Mn)・exp{E3J1+E4/(J1+E5)}・Δk0.5
kn=yn 2・E1 -2・(1+E2・Mn)-2・exp{-2・E3Jn+1-2・E4/(Jn+1+E5)}
yn=E1・(1+E2・Mn)・exp{E3Jn+E4/(Jn+E5)}・(kn-1+Δk)0.5
ynは、冷却工程において熱間圧延工程完了から水冷開始までの経過時間を10等分し、各区間が完了した後のスケールの成長度合いを表す指標であり、nは10等分した区間のn番目に当たる計算であることを示し、
E1、E2、E3、E4およびE5は定数であり、それぞれ5.00×107、1.24×10-1、-9.56×10-3、-1.05×104および2.73×102であり、
Jnは10等分した区間のn番目の領域における平均鋼板温度[℃]であり、
Δkは前記経過時間の10分の1の時間[秒]であり、
y10は、上記計算式により、y1からy2、y3・・・と順に計算することで得られる。
(7)水冷停止後、400~500℃の温度範囲における平均冷却速度を0.10~10.0℃/分とする、上記(6)に記載の厚鋼板の製造方法。
本発明の実施形態においては、鋼板の化学組成は、特に限定されず、レーザー切断において適用するのに有用な範囲内で適切に決定すればよい。本発明は、上記のとおり、レーザー切断におけるバーニングの発生が抑制または防止され、それゆえレーザー切断を適用するのに有用な厚鋼板を提供することを目的とするものであって、スケールが表面から順にヘマタイトからなる第1層と、マグネタイトからなる第2層と、ウスタイトからなるかまたはウスタイトおよびフェライトとマグネタイトの共析組織からなる第3層とを有し、第1層の平均厚さを0.5~5.0μm、第1層による鋼板の表面被覆率を50%以上、第2層の平均厚さをスケールの平均厚さの10~40%、第3層の平均厚さをスケールの平均厚さの50%以上、そして第3層の厚さの板幅方向における偏差を0.40以下とし、さらには第3層におけるウスタイトの平均粒径を15μm以下とすることによって上記の目的を達成するものである。したがって、鋼板の化学組成自体は、本発明の目的を達成する上で必須の技術的特徴でないことは明らかである。以下、本発明の実施形態に係る鋼板の好ましい化学組成について説明するが、これらの説明は、単なる例示を意図するものであって、本発明をこのような特定の化学組成を有する鋼板に限定することを意図するものではない。また、以下の説明において、各元素の含有量の単位である「%」は、特に断りが無い限り、「質量%」を意味するものである。
Cは一般的な製鉄法において不可避的に含まれる元素であり、0.001%未満に制限することは製錬工程における負荷が大きく、経済的に好ましくない。この観点から、Cの含有量は0.001%以上とすることが好ましい。Cは強度を大きく高める元素であり、強度を高めるため、0.030%以上含有することが好ましく、0.050%以上含有することが更に好ましい。一方、Cが0.300%を超えると、鋼板の靭性が大きく劣化するため、Cの含有量は0.300%以下とすることが好ましい。また、Cは溶接性および溶接部の靭性を損なう元素であり、この観点から、Cの含有量は0.230%以下であることが好ましく、0.200%以下であることが更に好ましい。
Siは脱酸元素であり、強度の向上にも寄与する元素である。これらの効果を十分に得るため、Si含有量は0.01%以上とすることが好ましい。特に強度を高めるため、Siの含有量は0.05%以上であることが好ましく、0.10%以上であることが更に好ましい。一方、Siの含有量が多いと、鋼板の表面におけるスケールの形成挙動が不均質となる場合があるため、Siの含有量は1.00%以下とすることが好ましい。また、Siは鋼板の靭性を損なう元素であり、この観点からSiの含有量は0.70%以下であることが好ましく、0.50%以下であることが更に好ましい。
Mnは強度の向上に寄与する元素であり、この効果を十分に得るため、Mnの含有量は0.10%以上とすることが好ましい。強度を高める観点から、Mnの含有量は0.30%以上とすることが好ましく、0.50%以上とすることが更に好ましい。一方、Mnを過度に含有すると、粗大なMnSが生成し、鋼板の靭性が大きく劣化する懸念がある。この観点から、Mnの含有量は2.50%以下に制限することが好ましい。また、Mnは溶接性および溶接部の靭性を損なう元素であり、この観点からMnの含有量は2.00%以下であることが好ましく、1.80%以下であることが更に好ましい。
Pは一般的な製鉄法において不可避的に含まれる元素であり、0.001%未満に制限することは製錬工程における負荷が大きく、経済的に好ましくない。この観点から、Pの含有量は0.001%以上とすることが好ましい。一方、Pは靭性を損なう元素であり、この観点から、Pの含有量は0.050%以下に制限することが好ましい。また、Pは溶接性および溶接部の靭性を損なう元素であり、この観点からPの含有量は0.030%以下であることが好ましく、0.020%以下であることが更に好ましい。
Sは一般的な製鉄法において不可避的に含まれる元素であり、0.0001%未満に制限することは製錬工程における負荷が大きく、経済的に好ましくない。この観点から、Sの含有量は0.0001%以上とすることが好ましい。一方、Sは粗大な硫化物を形成して靭性を損なう元素であり、この観点から、Sの含有量は0.0100%以下に制限することが好ましい。また、Sは溶接性および溶接部の靭性を損なう元素であり、この観点からSの含有量は0.0060%以下であることが好ましく、0.0040%以下であることが更に好ましい。
Alは脱酸元素であり、その効果を得るため、Alの含有量は0.001%以上とすることが好ましい。脱酸効果を十分に発揮するためには、Alの含有量は0.005%以上であることが好ましい。一方、Alは靭性を損なう元素であり、Alの含有量は0.200%以下に制限することが好ましい。また、Alは溶接性および溶接部の靭性も損なうことから、Alの含有量は0.120%以下であることが好ましく、0.080%以下であることが更に好ましい。
Nは一般的な製鉄法において不可避的に含まれる元素である。多量のNが含まれると粗大な窒化物が形成され、鋼板の靭性が損なわれるため、Nの含有量は0.0150%以下に制限することが好ましい。また、Nは溶接部の靭性を損なう元素であり、この観点から、Nの含有量は0.0100%以下にすることが好ましく、0.0060%以下とすることが更に好ましい。Nの含有量の下限は特に設けないが、0.0003%未満に制限することは製錬工程における負荷が大きく、経済的に好ましくないため、0.0003%以上とすることが好ましい。
Oは一般的な製鉄法において不可避的に含まれる元素である。多量のOが含まれると粗大な酸化物が形成され、鋼板の靭性が損なわれるため、Oの含有量は0.0050%以下に制限することが好ましい。また、Oは溶接部の靭性を損なう元素であり、この観点から、Oの含有量は0.0035%以下にすることが好ましく、0.0025%以下とすることが更に好ましい。Oの含有量の下限は特に設けないが、0.0002%未満に制限することは製錬工程における負荷が大きく、経済的に好ましくないため、0.0002%以上とすることが好ましい。
Cuは、Niと共に鋼板とスケールの密着性を高め、鋼板のレーザー切断性を高める元素である。Cuの含有量は0%であってもよいが、含有させる場合には0.001%以上であってもよい。この効果を得るには、Cuの含有量は0.01%以上とすることが好ましく、0.04%以上とすることが更に好ましい。一方、Cuの含有量が過剰であると、鋳片の表面に疵が発生し、圧延に支障が生じる懸念があるため、Cuの含有量は1.00%以下に制限することが好ましい。また、Cuは溶接性を劣化させるため、Cuの含有量は0.50%以下とすることが更に好ましい。
Niは、Cuと共に鋼板とスケールの密着性を高め、鋼板のレーザー切断性を高める元素である。Niの含有量は0%であってもよいが、含有させる場合には0.001%以上であってもよい。この効果を得るには、Niの含有量は0.01%以上とすることが好ましく、0.04%以上とすることが更に好ましい。一方、Niの含有量が過剰であると、鋳片の表面に疵が発生し、圧延に支障が生じる懸念があるため、Niの含有量は2.00%以下に制限することが好ましい。また、Niは溶接性を劣化させるため、Niの含有量は1.00%以下とすることが更に好ましい。
Crは強度の向上に寄与する元素である。Crの含有量は0%であってもよいが、含有させる場合には0.001%以上または0.01%以上であってもよい。強度を高める観点から、Crの含有量は0.05%以上とすることが好ましく、0.15%以上とすることが更に好ましい。一方、Crを過度に含有すると、粗大なCr炭窒化物が生成し、鋼板の靭性が大きく劣化する懸念がある。この観点から、Crの含有量は1.00%以下に制限することが好ましい。また、Crは溶接性および溶接部の靭性を損なう元素であり、この観点からCrの含有量は0.60%以下であることが好ましい。
Moは強度の向上に寄与する元素である。Moの含有量は0%であってもよいが、含有させる場合には0.001%以上または0.01%以上であってもよい。強度を高める観点から、Moの含有量は0.02%以上とすることが好ましく、0.05%以上とすることが更に好ましい。一方、Moを過度に含有すると、溶接性および溶接部の靭性が損なわれる懸念がある。この観点から、Moの含有量は1.00%以下に制限することが好ましく、0.30%以下であることが更に好ましい。
Wは強度の向上に寄与する元素である。Wの含有量は0%であってもよいが、含有させる場合には0.001%以上または0.003%以上であってもよい。強度を高める観点から、Wの含有量は0.05%以上とすることが好ましく、0.15%以上とすることが更に好ましい。一方、Wを過度に含有すると、溶接性および溶接部の靭性が損なわれる懸念がある。この観点から、Wの含有量は0.50%以下に制限することが好ましく、0.30%以下であることが更に好ましい。
Nbは強度の向上に寄与する元素である。Nbの含有量は0%であってもよいが、含有させる場合には0.001%以上または0.003%以上であってもよい。強度を高める観点から、Nbの含有量は0.005%以上とすることが好ましく、0.010%以上とすることが更に好ましい。一方、Nbを過度に含有すると、粗大なNb炭窒化物が生成し、鋼板および溶接部の靭性が大きく劣化する懸念がある。この観点から、Nbの含有量は0.500%以下に制限することが好ましく、0.100%以下であることが更に好ましい。
Tiは強度の向上に寄与する元素である。Tiの含有量は0%であってもよいが、含有させる場合には0.001%以上または0.003%以上であってもよい。強度を高める観点から、Tiの含有量は0.005%以上とすることが好ましく、0.010%以上とすることが更に好ましい。一方、Tiを過度に含有すると、粗大なTi炭窒化物が生成し、鋼板および溶接部の靭性が大きく劣化する懸念がある。この観点から、Tiの含有量は0.500%以下に制限することが好ましく、0.200%以下であることが更に好ましい。
Vは強度の向上に寄与する元素である。Vの含有量は0%であってもよいが、含有させる場合には0.001%以上または0.003%以上であってもよい。強度を高める観点から、Vの含有量は0.030%以上とすることが好ましく、0.080%以上とすることが更に好ましい。一方、Vを過度に含有すると、溶接性および溶接部の靭性が損なわれる懸念がある。この観点から、Vの含有量は1.000%以下に制限することが好ましく、0.600%以下であることが更に好ましい。
Bは強度の向上に寄与する元素である。Bの含有量は0%であってもよいが、含有させる場合には0.0001%以上であってもよい。強度を高める観点から、Bの含有量は0.0003%以上とすることが好ましく、0.0008%以上とすることが更に好ましい。一方、Bを過度に含有すると、溶接性および溶接部の靭性が損なわれる懸念がある。この観点から、Bの含有量は0.0100%以下に制限することが好ましく、0.0035%以下であることが更に好ましい。
Snは、鋼板とスケールの界面に濃化し、同界面近傍における他の金属元素の濃縮を促進する元素であり、CuNi濃化部の形成を促進して、スケールの密着性を高める効果がある。Snの含有量は0%であってもよいが、スケールの密着性を高め、レーザー切断性を向上させるため、Snの含有量は0.001%以上または0.003%以上であることが好ましい。この効果を十分に得るには、Snの含有量は0.005%以上であることが好ましく、0.025%以上であることが更に好ましい。一方、Snを多量に含有すると、溶接性および溶接部の靭性が損なわれるため、Snの含有量は0.500%以下に制限することが好ましい。この観点から、Snの含有量は0.300%以下とすることが好ましく、0.200%以下であることが更に好ましい。
Sbは、鋼板とスケールの界面に濃化し、同界面近傍における他の金属元素の濃縮を促進する元素であり、CuNi濃化部の形成を促進して、スケールの密着性を高める効果がある。Sbの含有量は0%であってもよいが、スケールの密着性を高め、レーザー切断性を向上させるため、Sbの含有量は0.001%以上または0.003%以上であることが好ましい。この効果を十分に得るには、Sbの含有量は0.005%以上であることが好ましく、0.025%以上であることが更に好ましい。一方、Sbを多量に含有すると、溶接性および溶接部の靭性が損なわれるため、Sbの含有量は0.500%以下に制限することが好ましい。この観点から、Sbの含有量は0.300%以下とすることが好ましく、0.200%以下であることが更に好ましい。
[Mg:0~0.0100%]
[Hf:0~0.0100%]
[Te:0~0.0100%]
[Sr:0~0.0100%]
[REM:0~0.0100%]
Ca、Mg、Hf、Te、SrおよびREMは、硫化物を微細化し、鋼板の靭性を向上させる元素である。Ca、Mg、Hf、Te、SrおよびREMの含有量は0%であってもよいが、この効果を得るには、Ca、Mg、Hf、Te、SrおよびREMの含有量は、それぞれ0.0001%以上または0.0003%以上であることが好ましい。一方、これらの元素を過度に含有すると、効果が飽和し、それゆえCa、Mg、Hf、Te、SrおよびREMを必要以上に鋼板に含有させることは製造コストの上昇を招く。従って、Ca、Mg、Hf、Te、SrおよびREMの含有量は0.0100%以下に制限することが好ましく、0.0040%以下であることが更に好ましい。ここで、REMとは、Sc、Yおよびランタノイド(La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLu)の総称であり、これら17元素の含有量の総計をREMの含有量とする。
本発明の実施形態に係る厚鋼板は、表層に3つの層を有するスケールを有する。図1に、本発明の実施形態に係る厚鋼板のスケール構造の模式図を示す。図1を参照すると、厚鋼板10は、鋼板(地鉄)11と、当該鋼板11の表面に形成された3つの層を含むスケール12とを備え、スケール12のうち厚鋼板10の最表面にある第1層13は、ヘマタイトからなり、続いて存在する第2層14はマグネタイトからなり、3つの層のうち最もスケール/鋼板(地鉄)界面に近い第3層15はウスタイトからなるかまたはウスタイトおよびフェライトとマグネタイトの共析組織からなる。表層のスケールは、地鉄側から拡散する鉄(Fe)と大気中の酸素(O2)とが反応することによって生成されるため、地鉄側ほどウスタイト等の低次の酸化鉄が生成され、大気側ほどヘマタイト等の高次の酸化鉄が生成されることとなる。本発明の実施形態に係る厚鋼板においては、上記3つの層の厚さを適切なものとしつつ、スケールを構成する主要相であるウスタイトの粒径等を小さくすることによりレーザー切断性を向上させるものである。以下、各層についてより詳細に説明する。
本発明の実施形態に係る厚鋼板におけるスケールの第1層は、レーザーの照射を主に受ける層であり、十分な厚さで存在することにより、第1層を形成する相の物性に応じて、レーザーによる入熱を吸収することができる。第1層の平均厚さが0.5μmを下回ると、レーザーの照射による蒸散や、厚鋼板の取り回しにおける摩耗などにより、第1層がレーザー照射を受ける層として働かない領域が広範囲に渡って発生し、スケールの吸熱性が大きく変動するため、レーザー切断性が損なわれる。一方、第1層の平均厚さを5.0μm超とすると、過剰な酸素供給によってスケール内にき裂や空孔が多数発生し、スケールが剥離しやすくなり、レーザー照射に伴う熱応力によってスケールが剥離して厚鋼板の吸熱性が大きく変動するため、レーザー切断性が損なわれる。以上の観点から、本発明の実施形態に係る厚鋼板において、スケールの第1層の平均厚さは0.5~5.0μmとし、好ましくは0.8~4.0μmとする。第1層がこのような平均厚さを有することで、照射されたレーザーを安定して受けることができ、すなわちレーザー照射による入熱の吸熱性が安定し、バーニング等の発生を十分に抑制または防止してレーザー切断性を改善することが可能となる。
レーザーの照射によるスケールの吸熱性を安定にするには、鋼板のスケール表面における第1層の表面被覆率を50%以上とする必要がある。前記表面被覆率が50%を下回ると、スケールの吸熱性に与える第2層の影響が大きくなり、場所による吸熱性の変動が大きくなり、レーザー切断性が損なわれる。前記表面被覆率は大きいほど好ましいことから、65%以上とすることが好ましく、80%以上とすることがより好ましく、100%とすることが最も好ましい。
本発明の実施形態に係る厚鋼板におけるスケールの第2層について、その平均厚さをスケール平均厚さの10~40%に制限する。第2層の厚さが過度に薄いと、第2層が存在しない箇所が発生してスケールの吸熱量が場所によって大きく変動するようになり、レーザー切断性が損なわれるため、第2層の平均厚さをスケール平均厚さの10%以上とする。第2層の平均厚さはスケール平均厚さの15%以上または20%以上であってもよい。一方で、第2層の厚さが過度に厚いと、所定の厚さを有する第1層および/または第3層を得ることが困難となり、レーザー切断性が損なわれるため、第2層の平均厚さをスケール平均厚さの40%以下とする。第2層の平均厚さはスケール平均厚さの35%以下または30%以下であってもよい。
本発明の実施形態に係る厚鋼板におけるスケールの第3層は、本発明の実施形態に係る厚鋼板のスケールを構成する主要な層であり、スケールに占める第3層の割合を高めることで、スケールの溶融時の吸熱量を安定にすることができる。この観点から、第3層の平均厚さはスケールの平均厚さの50%以上とし、60%以上とすることが好ましい。一方、第3層がスケールに占める割合が過剰に大きくなると、第1層および/または第2層が十分に存在できず、レーザー切断性が劣化するため、第3層の平均厚さはスケールの平均厚さの85%以下とすることが好ましく、75%以下とすることが更に好ましい。
第3層における吸熱性は、第1層と同様に、スケールの吸熱性に大きく影響する。スケールの吸熱性は、その結晶方位に依存しており、結晶方位に偏りがあると吸熱性にも偏りが生じ、レーザー切断性が損なわれる。第3層における吸熱性を安定させるため、第3層におけるウスタイトの結晶粒径を微細とすることで、粗大な結晶粒の場合と比較して多様な結晶方位からなるスケールとすることができる。また、第3層にはフェライトとマグネタイトの共析組織も含まれるが、同共析組織はウスタイトを母相として生成するため、ウスタイトの粒径を微細とすることにより、同共析組織も微細となり、多様な結晶方位からなるスケールとなる。以上の観点から、第3層におけるウスタイトの平均粒径は15μm以下とし、12μm以下または10μm以下とすることが好ましく、8μm以下であってもよい。ウスタイトの平均粒径の下限は特に設定しないが、ウスタイトを微細にする過程でスケールにき裂が発生し、スケールの密着性が損なわれ、レーザー切断性が劣化する懸念があることから、ウスタイトの平均粒径は1μm以上または3μm以上に留めることが好ましい。
第3層の厚さはスケールの溶融における吸熱量に大きく影響するため、その厚さは厚鋼板の各所で均質であることが好ましい。第3層の厚さの板幅方向における偏差は0.40以下とすることが好ましく、0.25以下とすることが更に好ましく、0.15以下とすることがより好ましい。下限値は特に限定されないが、例えば、第3層の厚さの板幅方向における偏差は0.01以上または0.02以上であってもよい。
第3層はウスタイトからなるかまたはウスタイトおよびフェライトとマグネタイトの共析組織からなる層である。好ましくは、同共析組織の割合を20%以上とすることで、同共析組織の割合が場所により大きく変動するのを顕著に抑制することができ、第3層の吸熱性および溶融に当たっての吸熱量をより安定化させることが可能となる。より好ましくは、第3層に占めるフェライトとマグネタイトの共析組織の割合は30%以上である。一方、同共析組織の割合を80%超としても共析組織の割合の変動を抑える効果は飽和し、かつ、その割合を得るには圧延工程において長時間の徐冷が必要となる。このため、経済的な観点からは、第3層に占めるフェライトとマグネタイトの共析組織の割合は80%以下とすることが好ましく、70%以下とすることが更に好ましい。
本発明の実施形態に係る厚鋼板におけるスケールの平均厚さは、6~60μmとすることが好ましい。スケールの平均厚さを6μm以上とすることで、各層の厚さを確保することができ、特に第1層の厚さを十分に確保することができるため、上記のスケールの特徴を比較的容易に満足させることが可能となる。スケールの平均厚さは、10μm以上、15μm以上または20μm以上であってもよい。一方、スケールの密着性を十分に確保してレーザー切断性をさらに改善する観点からは、スケールの平均厚さは適度な厚さであることが好ましく、例えば60μm以下であることが好ましく、50μm以下、40μm以下または30μm以下であってもよい。
スラブを加熱する工程であって、前記スラブの表面温度が1050~1300℃となる最高加熱温度まで加熱し、1050℃を超えてから加熱工程完了までの経過時間が下記式(1)を満たすように制御される加熱工程、
前記スラブを熱間圧延する工程であって、前記スラブの表面温度が1000~1100℃の温度範囲で累積圧下率が15~30%の圧延を施した後、得られた圧延材の表面温度が1000~1100℃の温度範囲で高圧水デスケーリングを施し、更に1000℃以下の温度域において1000℃に到達した時点の板厚に比して累積圧下率を30%以上とする圧延であって、2以上の圧延パスを含み、各圧延パスの圧下率が30%未満であり、少なくとも1つの圧延パスの圧下率が5%以上であり、最終圧延パスの圧延温度が800~950℃である圧延を施す熱間圧延工程、
得られた鋼板を冷却する工程であって、熱間圧延工程完了から水冷開始までの経過時間が下記式(2)を満たすように制御され、水冷停止温度を500~600℃とする冷却工程
を含むことを特徴としている。
1.0≦x10≦10.0 ・・・式(1)
x1=D1・D2・(T1 3+D3T1 2+D4T1+D5)・(T1-D6)0.5・{1-exp(D7T1+D8)}0.5・Δt0.5
tn=xn 2・D1 -2・D2 -2・(Tn+1 3+D3Tn+1 2+D4Tn+1+D5)-2・(Tn+1-875)-1・{1-exp(D6Tn+1+D7)}-1
xn=D1・D2・(Tn 3+D3Tn 2+D4Tn+D5)・(Tn-D6)0.5・{1-exp(D7Tn+D8)}0.5・(tn-1+Δt) 0.5
D1=(1-0.850[C]-0.052[Si]-0.026[Mn]-0.065[Al])0.5
xnは、加熱工程においてスラブの表面温度が1050℃を超えてから加熱工程完了までの経過時間を10等分し、各区間が完了した後のスケールの成長度合いを表す指標であり、nは10等分した区間のn番目に当たる計算であることを示し、
D1はスラブの化学組成による影響を考慮したものであり、上記式中の[C]、[Si]、[Mn]および[Al]はスラブにおけるそれぞれの元素の含有量[質量%]であり、
D2、D3、D4、D5、D6、D7およびD8は定数であり、それぞれ8.66×10-10、-3.99×103、5.36×106、-2.32×109、8.75×102、-3.50×10-3および3.06×100であり、
Tnは10等分した区間のn番目の領域における平均スラブ温度[℃]であり、
Δtは前記経過時間の10分の1の時間[秒]であり、
x10は、上記計算式によりx1からx2、x3・・・と順に計算することで得られ、
1.0≦y10≦10.0 ・・・式(2)
y1=E1・(1+E2・Mn)・exp{E3J1+E4/(J1+E5)}・Δk0.5
kn=yn 2・E1 -2・(1+E2・Mn)-2・exp{-2・E3Jn+1-2・E4/(Jn+1+E5)}
yn=E1・(1+E2・Mn)・exp{E3Jn+E4/(Jn+E5)}・(kn-1+Δk)0.5
ynは、冷却工程において熱間圧延工程完了から水冷開始までの経過時間を10等分し、各区間が完了した後のスケールの成長度合いを表す指標であり、nは10等分した区間のn番目に当たる計算であることを示し、
E1、E2、E3、E4およびE5は定数であり、それぞれ5.00×107、1.24×10-1、-9.56×10-3、-1.05×104および2.73×102であり、
Jnは10等分した区間のn番目の領域における平均鋼板温度[℃]であり、
Δkは前記経過時間の10分の1の時間[秒]であり、
y10は、上記計算式により、y1からy2、y3・・・と順に計算することで得られる。
本発明の実施形態に係る厚鋼板に適用されるスラブの製造方法は特に指定せず、例えば、連続鋳造法、あるいは、分塊法によって製造することができる。また、レーザー切断性の安定化や、製品の外観向上などを目的として、鋳造後のスラブ表面を研削し、スケールおよびスケール/鋼板界面を除いても構わない。
製造したスラブを、熱間圧延するため、最高加熱温度を、1050~1300℃の範囲とする加熱処理に供する。この加熱処理によって、スラブ表面におけるスケールの成長を促し、スケール内部に空隙やき裂を発生させて剥離しやすいスケールとすることで、後述するデスケーリング工程において均質に剥がれ落ちるスケールを有するスラブが得られる。その結果として、その後のスケール形成を均質なものとし、最終的に所望のスケール構造を達成してレーザー照射による入熱の吸熱性を安定化させることで、バーニング等の発生を十分に抑制または防止することが可能となる。加熱温度が1050℃を下回ると、スケールの成長が不十分となって剥離しづらいスケールを有するスラブとなり、デスケーリング後にスケールが過度に残存し、その後のスケールの形成が不均質となり、第3層の厚さ偏差が大きくなる。その結果として、レーザーが照射された際の吸熱性が不安定となり、バーニング等の発生を十分に抑制または防止することができず、レーザー切断性が損なわれる。一方、加熱温度が1300℃を超えると、スラブにおけるスケール/鋼板界面の凹凸が過度に大きくなり、デスケーリング後のスケール残存度合いが不均質となり、その後のスケールの形成が不均質となり、レーザー切断性が損なわれる。以上の観点から、スラブの最高加熱温度は1050~1300℃とし、1080~1250℃とすることが好ましい。
1.0≦x10≦10.0 ・・・式(1)
x1=D1・D2・(T1 3+D3T1 2+D4T1+D5)・(T1-D6)0.5・{1-exp(D7T1+D8)}0.5・Δt0.5
tn=xn 2・D1 -2・D2 -2・(Tn+1 3+D3Tn+1 2+D4Tn+1+D5)-2・(Tn+1-875)-1・{1-exp(D6Tn+1+D7)}-1
xn=D1・D2・(Tn 3+D3Tn 2+D4Tn+D5)・(Tn-D6)0.5・{1-exp(D7Tn+D8)}0.5・(tn-1+Δt) 0.5
D1=(1-0.850[C]-0.052[Si]-0.026[Mn]-0.065[Al])0.5
前記加熱処理を施したスラブの表面には、剥離しやすい不均質なスケールが存在する。よって、熱間圧延および高圧水によるデスケーリングを施し、不均質なスケールの大部分を除去し、かつ、鋼板の表面全域におけるスケールの残存量を揃えることで、その後のスケールの形成挙動を均質化し、その後に適正な圧延および冷却処理を施すことによって、本発明の実施形態に係る厚鋼板におけるスケールの構造を得ることができる。
熱間圧延工程完了から水冷開始までの経過時間を制御し、スケール表層にヘマタイトおよびマグネタイトを形成し、本発明の実施形態に係る厚鋼板におけるスケール構造を形成する。両相の形成速度は温度によって異なるため、熱間圧延工程完了から水冷開始までの経過時間は式(2)によって管理する。ここで、熱間圧延工程完了から水冷開始までの経過時間が短すぎ、y10が1.0を下回ると、スケールの成長が過度に抑制され、スケール表面でのヘマタイトおよび/またはマグネタイトの形成が不十分となり、十分な厚さの第1層および/または第2層を得ることができず、レーザー切断性が損なわれるため、y10を1.0以上とする。一方、熱間圧延工程完了から水冷開始までの経過時間が長すぎ、y10が10.0を超えると、スケールに過度に酸素が供給され、第1層および/または第2層が過度に成長し、レーザー切断性が損なわれるため、y10を10.0以下とする。スケールの構造を整え、レーザー切断性を高めるには、y10は2.0以上、8.0以下とすることが好ましく、3.0以上、7.0以下とすることが更に好ましい。
1.00≦y10≦10.00 ・・・式(2)
ここで、ynは下記の計算によって求められる。
y1=E1・(1+E2・Mn)・exp{E3J1+E4/(J1+E5)}・Δk0.5
kn=yn 2・E1 -2・(1+E2・Mn)-2・exp{-2・E3Jn+1-2・E4/(Jn+1+E5)}
yn=E1・(1+E2・Mn)・exp{E3Jn+E4/(Jn+E5)}・(kn-1+Δk)0.5
得られた厚鋼板のレーザー切断性は、レーザー切断試験に供した際のバーニング発生の有無によって以下のようにして評価した。まず、500mm×500mmの寸法に切り出した厚鋼板に対し、以下の条件で照射するCO2レーザーによって100mm×100mmの小片の切断を実施するレーザー切断を行い、次いで同切断を3回行ってバーニングが発生しない物を「◎」、1回発生するものを「○」、2回発生するものを「△」、3回全てで発生するものを「×」とし、「◎」または「○」が得られた厚鋼板を、レーザー切断におけるバーニングの発生が抑制または防止され、それゆえレーザー切断性に優れた厚鋼板として、判断した。切断に供する厚鋼板の厚さは16mmとした。実験例のうち、板厚が16mmを超える厚鋼板はレーザーを照射する面と反対の面を研削して切断部の厚さを16mmとした。実験例のうち、板厚が16mmを下回る厚鋼板はレーザーを照射する面と反対の面を研削し、同じく表面を研削した同一の厚鋼板と研削面同士が重なるように積層し、板厚の合計が16mmとなるようにして切断した。その結果を表3に示す。
レーザー出力:3500W
周波数:500Hz
デューティ:75%
アシストガス圧力:15MPa
切断速度:750mm/分
実験例23は、加熱工程における加熱時間が短く、式(1)が満たされない場合であり、スケールの第3層の厚さが不均質であり、レーザー切断性が劣位となった比較例である。一方、実験例50は、加熱工程における加熱時間が長く、式(1)が満たされない場合であり、スケールの第3層の厚さが不均質であり、レーザー切断性が劣位となった比較例である。
実験例13は、デスケーリング前に熱間圧延を施す温度が低く、スケールの第3層の厚さが不均質であり、レーザー切断性が劣位となった比較例である。また、実験例56は、デスケーリング前に熱間圧延を施す温度が高く、スケールの第3層の厚さが不均質であり、レーザー切断性が劣位となった比較例である。
実験例28は、デスケーリング前に施す熱間圧延の累積圧下率が小さく、スケールの第3層の厚さが不均質であり、レーザー切断性が劣位となった比較例である。また、実験例22は、デスケーリング前に施す熱間圧延の累積圧下率が大きく、スケールの第3層の厚さが不均質であり、レーザー切断性が劣位となった比較例である。
実験例57は、デスケーリングを施す温度が低く、スケールの第3層の厚さが不均質であり、レーザー切断性が劣位となった比較例である。一方、実験例5は、デスケーリングを施す温度が高く、スケールの第3層の厚さが不均質であり、レーザー切断性が劣位となった比較例である。
実験例8は、1000℃以下で施す圧延の最大圧下率が小さく、スケールの第3層のウスタイトが粗大となり、レーザー切断性が劣位となった比較例である。実験例16は、1000℃以下で施す圧延の最大圧下率が大きく、スケールの第2層および第3層の厚さが本発明の範囲を逸脱し、レーザー切断性が劣位となった比較例である。
実験例61は、1000℃以下で施す圧延の累積圧下率が小さく、スケールの第3層のウスタイトが粗大となり、レーザー切断性が劣位となった比較例である。
実験例4は、最終圧延パスの圧延温度が低く、スケールの第2層の厚さが大きくなり、レーザー切断性が劣位となった比較例である。また、実験例60は、最終圧延パスの圧延温度が高く、スケールの第3層のウスタイトが粗大となり、レーザー切断性が劣位となった比較例である。
実験例21および74は、熱間圧延工程完了から水冷開始までの経過時間が短く、式(2)が満たされない場合であり、スケールの第1層あるいは第2層が十分に得られず、レーザー切断性が劣位となった比較例である。一方、実験例3および53は、熱間圧延工程完了から水冷開始までの経過時間が長く、式(2)が満たされない場合であり、スケールの第1層および/または第2層の厚さが過剰となり、レーザー切断性が劣位となった比較例である。
実験例75は、水冷停止温度が低く、スケールの第2層の厚さが過剰となり、レーザー切断性が劣位となった比較例である。また、実験例9は、水冷停止温度が高く、スケールの第1層のスケール表面被覆率が小さく、レーザー切断性が劣位となった比較例である。
実験例82は鋼板のSi含有量が過多であり、スケールの第3層の厚さが不均質となり、レーザー切断性が劣位となった比較例である。
11 鋼板
12 スケール
13 第1層
14 第2層
15 第3層
Claims (7)
- 鋼板と、前記鋼板の表面に形成されたスケールとを含み、前記スケールが表面から順にヘマタイトからなる第1層と、マグネタイトからなる第2層と、ウスタイトからなるかまたはウスタイトおよびフェライトとマグネタイトの共析組織からなる第3層とを有し、前記第1層の平均厚さが0.5~5.0μmであり、前記第1層による前記鋼板の表面被覆率が50%以上であり、前記第2層の平均厚さが前記スケールの平均厚さの10~40%であり、前記第3層の平均厚さが前記スケールの平均厚さの50%以上であり、前記第3層の厚さの板幅方向における偏差が0.40以下であり、かつ、前記第3層におけるウスタイトの平均粒径が15μm以下である、厚鋼板。
- 前記スケールの平均厚さが6~60μmである、請求項1に記載の厚鋼板。
- 前記鋼板が、質量%で、
C:0.001~0.300%、
Si:0.01~1.00%、
Mn:0.10~2.50%、
P:0.001~0.050%、
S:0.0001~0.0100%、
Al:0.001~0.200%、
N:0.0150%以下、
O:0.0050%以下、
Cu:0~1.00%、
Ni:0~2.00%、
Cr:0~1.00%、
Mo:0~1.00%、
W:0~0.50%、
Nb:0~0.500%、
Ti:0~0.500%、
V:0~1.000%、
B:0~0.0100%、
Sn:0~0.500%、
Sb:0~0.500%、
Ca:0~0.0100%、
Mg:0~0.0100%、
Hf:0~0.0100%、
Te:0~0.0100%、
Sr:0~0.0100%、
REM:0~0.0100%、ならびに
残部:Feおよび不純物からなる化学組成を有する、請求項1または2に記載の厚鋼板。 - 前記化学組成が、質量%で、
Cu:0.01~1.00%、
Ni:0.01~2.00%、
Cr:0.01~1.00%、
Mo:0.01~1.00%、
W:0.003~0.50%、
Nb:0.003~0.500%、
Ti:0.003~0.500%、
V:0.003~1.000%、
B:0.0003~0.0100%、
Sn:0.003~0.500%、
Sb:0.003~0.500%、
Ca:0.0003~0.0100%、
Mg:0.0003~0.0100%、
Hf:0.0003~0.0100%、
Te:0.0003~0.0100%、
Sr:0.0003~0.0100%、および
REM:0.0003~0.0100%
からなる群から選択される1種または2種以上を含む、請求項3に記載の厚鋼板。 - 第3層に占める前記共析組織の割合が20~80%である、請求項1~4のいずれか1項に記載の厚鋼板。
- スラブを加熱する工程であって、前記スラブの表面温度が1050~1300℃となる最高加熱温度まで加熱し、1050℃以上を超えてから加熱工程完了までの経過時間が下記式(1)を満たすように制御される加熱工程、
前記スラブを熱間圧延する工程であって、前記スラブの表面温度が1000~1100℃の温度範囲で累積圧下率が15~30%の圧延を施した後、得られた圧延材の表面温度が1000~1100℃の温度範囲で高圧水デスケーリングを施し、更に1000℃以下の温度域において1000℃に到達した時点の板厚に比して累積圧下率を30%以上とする圧延であって、2以上の圧延パスを含み、各圧延パスの圧下率が30%未満であり、少なくとも1つの圧延パスの圧下率が5%以上であり、最終圧延パスの圧延温度が800~950℃である圧延を施す熱間圧延工程、
得られた鋼板を冷却する工程であって、熱間圧延工程完了から水冷開始までの経過時間が下記式(2)を満たすように制御され、水冷停止温度を500~600℃とする冷却工程
を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の厚鋼板の製造方法。
1.0≦x10≦10.0 ・・・式(1)
x1=D1・D2・(T1 3+D3T1 2+D4T1+D5)・(T1-D6)0.5・{1-exp(D7T1+D8)}0.5・Δt0.5
tn=xn 2・D1 -2・D2 -2・(Tn+1 3+D3Tn+1 2+D4Tn+1+D5)-2・(Tn+1-875)-1・{1-exp(D6Tn+1+D7)}-1
xn=D1・D2・(Tn 3+D3Tn 2+D4Tn+D5)・(Tn-D6)0.5・{1-exp(D7Tn+D8)}0.5・(tn-1+Δt) 0.5
D1=(1-0.850[C]-0.052[Si]-0.026[Mn]-0.065[Al])0.5
xnは、加熱工程においてスラブの表面温度が1050℃を超えてから加熱工程完了までの経過時間を10等分し、各区間が完了した後のスケールの成長度合いを表す指標であり、nは10等分した区間のn番目に当たる計算であることを示し、
D1はスラブの化学組成による影響を考慮したものであり、上記式中の[C]、[Si]、[Mn]および[Al]はスラブにおけるそれぞれの元素の含有量[質量%]であり、
D2、D3、D4、D5、D6、D7およびD8は定数であり、それぞれ8.66×10-10、-3.99×103、5.36×106、-2.32×109、8.75×102、-3.50×10-3および3.06×100であり、
Tnは10等分した区間のn番目の領域における平均スラブ温度[℃]であり、
Δtは前記経過時間の10分の1の時間[秒]であり、
x10は、上記計算式によりx1からx2、x3・・・と順に計算することで得られ、
1.0≦y10≦10.0 ・・・式(2)
y1=E1・(1+E2・Mn)・exp{E3J1+E4/(J1+E5)}・Δk0.5
kn=yn 2・E1 -2・(1+E2・Mn)-2・exp{-2・E3Jn+1-2・E4/(Jn+1+E5)}
yn=E1・(1+E2・Mn)・exp{E3Jn+E4/(Jn+E5)}・(kn-1+Δk)0.5
ynは、冷却工程において熱間圧延工程完了から水冷開始までの経過時間を10等分し、各区間が完了した後のスケールの成長度合いを表す指標であり、nは10等分した区間のn番目に当たる計算であることを示し、
E1、E2、E3、E4およびE5は定数であり、それぞれ5.00×107、1.24×10-1、-9.56×10-3、-1.05×104および2.73×102であり、
Jnは10等分した区間のn番目の領域における平均鋼板温度[℃]であり、
Δkは前記経過時間の10分の1の時間[秒]であり、
y10は、上記計算式により、y1からy2、y3・・・と順に計算することで得られる。 - 水冷停止後、400~500℃の温度範囲における平均冷却速度を0.10~10.0℃/分とする、請求項6に記載の厚鋼板の製造方法。
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