JP7768465B1 - クラッド鋼板、溶接継手およびそれらの製造方法 - Google Patents
クラッド鋼板、溶接継手およびそれらの製造方法Info
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Abstract
所定の化学成分を有する母材と、少なくとも片方の面(内面となる面)に接合された所定の化学成分を有する合せ材とを有するクラッド鋼板であって、母材において、引張強度が780MPa以上であり、-40℃でのシャルピー衝撃試験の吸収エネルギーが47J以上であり、母材と合せ材の接合率が70%以上である。
Description
一般に、タンクを大型化する場合、軽量化および施工コスト削減の観点から使用する鋼材の薄肉化が指向されるため、高強度鋼の使用が望まれる。
本発明に係るクラッド鋼板は合せ材がアンモニア等と接するように使用される。そこで、まず、クラッド鋼板の母材側から減厚加工することにより、合せ材部分から、1.5~3.0mm厚×15mm×115mmの試験片を採取する。合せ材厚さが3.0mmを超える場合には、合せ材のうち母材と接合していない側の面から3.0mmの厚さの試験片を採取する。採取した試験片に対してアセトン中で5分間の超音波脱脂を実施する。各試験片に対応する母材の実際の降伏強さYSの100%の応力を4点曲げにより各試験片に負荷する。かかる4点曲げの試験片を試験セルに設置する。次いで、純度が99.999%以上の液体アンモニア2Lに、カルバミン酸アンモニウム:5.00mass%、O2:1.000bar、および、水:0.10mass%を混合した溶液を試験セルに充填する。具体的には、試験セルに所定量のカルバミン酸アンモニウムと水を入れ、さらにO2ガスを吹き込んだ後に液体アンモニアを入れる。浸漬試験片の表面積に対する浸漬液量の比である比液量は42mL/cm2である。試験中の撹拌は、試験セル内に設置した撹拌子を用いて10rpmで連続して行う。試験液温度は25℃に設定する。試験液の温度を25℃に調整してから、ポテンショスタットにより、試験片の腐食電位の測定を行う。ポテンショスタットによる電位の測定および電位の付与は、3電極法により実施し、参照極および対極としては、いずれも白金電極を使用する。腐食電位の測定開始から1時間経過した時点で電位が安定したと判断して、その時点で、+0.5Vvs. Ptの電位が試験片に付与されるように制御して、浸漬試験を開始する。浸漬試験を開始してからの504時間後、試験セルから試験片を取り出す。試験片表面の腐食生成物を除去し、表面および断面において目視により割れの観察を行い、割れを評価する。本発明においては、一つの条件に対して9個の試験片で504時間の浸漬試験を実施する。このうち、深さ1.5mm以上の割れが認められる試験片が2個以下である場合に、耐アンモニアSCC性が良好(○)、すなわち優れていると判定し、3個以上の試験片で割れが発生した場合を耐アンモニアSCC性が不良(×)と判定する。
また、低温靭性に優れるとは、JIS Z 2242(2023)に準拠し、-40℃でシャルピー衝撃試験を行った際の吸収エネルギーが47J以上であることを指す。
また、接合性に優れるとは、母材および合せ材を含む断面において、以下の式で表される接合率が70%以上であることを指す。
接合率(%):100×接合界面長さ(mm)/測定全長(mm)
また、高強度であるとは、JIS Z 2241(2022)に準拠して測定される母材の引張強度(TS)が780MPa以上であることを指す。
すなわち、アンモニアSCCが発生するのは製品(タンク)の内側であるため、耐アンモニアSCC性は、内側になる鋼板表層の特性が支配的である。そのため、強度、低温靭性に優れる鋼板を母材とし、さらには、耐アンモニアSCC性に優れた鋼板を合せ材として上記母材に接合したクラッド鋼板とすることを想起した。
そして、かかるクラッド鋼板を用いることによって、耐アンモニアSCC性、低温靱性および強度特性がいずれも優れた値で得られることを見出した。
[1]母材の少なくとも片面に合せ材を有するクラッド鋼板であって、
前記母材の化学成分が、
質量%で、
C:0.030~0.150%、
Si:0.05~0.55%、
Mn:0.50~2.10%、
P:0.020%以下、
S:0.010%以下、
Al:0.018~0.070%、
Ni:0.30~2.20%、
Ti:0.005~0.020%、
N:0.0020~0.0080%、
O(酸素):0.0050%以下
を含有し、かつTi/Nが2.2以上6.5以下であり、さらに、
Cu:0.50%以下、
Cr:1.60%以下、
Mo:0.60%以下、
Nb:0.030%以下、
V:0.100%以下、
B:0.0050%以下、
Ca:0.0040%以下
のうち1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、
前記合せ材が、
式(1)に示すPRE値が15以上であり、
母材の引張強度が780MPa以上であり、
母材の-40℃でのシャルピー衝撃試験の吸収エネルギーが47J以上であり、
母材と合せ材との接合率が70%以上である、クラッド鋼板。
PRE=Cr%+3.3Mo%+30N%-Mn%・・・(1)
式(1)中、M%は、合せ材が有する元素Mの含有量(質量%)を示し、含有しない元素は0(零)とする。
溶接熱影響部の-40℃でのシャルピー衝撃試験の吸収エネルギーが47J以上である、溶接継手。
母材の素材スラブを表面温度で900℃以上1200℃以下に加熱したのち、圧延終了温度:表面温度で700℃以上とする熱間圧延を施して母材素材とし、
合せ材の素材スラブを加熱したのち、熱間圧延を施して合せ材素材とし、
前記母材素材と前記合せ材素材とを積層してなる積層スラブを、表面温度で1000℃以上1250℃以下に加熱したのち、
累積圧下率が65%以上であり、かつ、圧延終了温度がAr3変態点以上1000℃以下となる熱間圧延を施して、母材と合せ材を有する圧延板を製造し、
前記圧延板に対して以下の(A)または(B)の処理を施す、クラッド鋼板の製造方法。
(A)
熱間圧延後の前記圧延板を冷却した後、
800℃以上1000℃以下に再加熱し、
母材のAr3変態点以上の温度から平均冷却速度:1.0℃/s以上20.0℃/s以下の範囲で350℃以下の冷却停止温度まで加速冷却を行い、
前記加速冷却後、550℃以上700℃以下の温度で焼戻しを行う。
(B)
熱間圧延後の前記圧延板を、母材のAr3変態点以上の温度から平均冷却速度:3℃/s以上50℃/s以下の範囲で500℃以下の冷却停止温度まで加速冷却を行う、あるいはさらに、前記加速冷却後、700℃以下の温度で焼戻しを行う。
ここで、本発明は耐アンモニアSCC性および低温靭性に優れているため、液体アンモニア環境下で使用されるタンクなどの構造用部材に好適であるが、かかる環境は液体アンモニアに限定されず、LPGや液化CO2等の他、液化ガスであってもよい。
本発明において、かかる合せ材を有する面は、母材のどちら側の面でも良いが、クラッド鋼板として使用される際には、少なくとも上記アンモニア等に接する側とする。本発明の耐アンモニアSCC性や低温靭性が得られるためである。なお、本発明においてかかるアンモニア等に接する側の面を内面とも言う。また、母材スラブ(母材鋼板の素材)と合せ材スラブ(合せ材鋼板の素材)の積層によって作製された組立スラブ(積層スラブ)のみに限定されず、例えば、かかる母材スラブの片方または両方の面にガス雰囲気中で元素を添加することによって合せ材の化学成分とする組立スラブの作製方法であってもよい。
本発明のクラッド鋼板は、母材の少なくとも片面に合せ材を有するクラッド鋼板であって、母材の化学成分が、質量%で、C:0.030~0.150%、Si:0.05~0.55%、Mn:0.50~2.10%、P:0.020%以下、S:0.010%以下、Al:0.018~0.070%、Ni:0.30~2.20%、Ti:0.005~0.020%、N:0.0020~0.0080%、O(酸素):0.0050%以下を含有し、かつTi/Nが2.2以上6.5以下であり、さらに、
Cu:0.50%以下、Cr:1.60%以下、Mo:0.60%以下、Nb:0.030%以下、V:0.100%以下、B:0.0050%以下、Ca:0.0040%以下のうち1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、
合せ材が、式(1)に示すPRE値が15以上であり、
母材の引張強度が780MPa以上であり、母材の-40℃でのシャルピー衝撃試験の吸収エネルギーが47J以上であり、母材と合せ材との接合率が70%以上である。
PRE=Cr%+3.3Mo%+30N%-Mn%・・・(1)
式(1)中、M%は、合せ材が有する元素Mの含有量(質量%)を示し、含有しない元素は0(零)とする。
なお、以下の成分元素の含有量を表す「%」は、特に断らない限り「質量%」を意味する。
C:0.030~0.150%
Cは、本発明に従う冷却によって製造される鋼板の強度を高めるために最も有効な元素である。かかる効果を得るため、C含有量を0.030%以上に規定する。さらに、他の合金元素の含有量を少なくし、より低コストで製造するという観点からは、C含有量は0.040%以上とすることが好ましく、0.050%以上とすることがより好ましい。
一方、C含有量が0.150%を超えると鋼板の靭性および溶接性の劣化を招く。従って、C含有量を0.150%以下に規定する。さらに、靭性の観点から、C含有量は0.140%以下とすることが好ましく、0.130%以下とすることがより好ましい。
Siは、鋼板の強度を向上させるために加えて、脱酸のため添加する。かかる効果を得るため、Si含有量を0.05%以上に規定する。さらに、Si含有量は0.07%以上とすることが好ましく、0.10%以上とすることがより好ましい。
一方、Si含有量が0.55%を超えると靭性および溶接性の劣化を招く。従って、Si含有量を0.55%以下に規定する。さらに、Si含有量は0.50%以下とすることが好ましく、0.40%以下とすることがより好ましい。
Mnは、鋼の焼入れ性を増加させる作用を有する元素であり、本発明のような高い強度を満足するためには添加が必要になる重要な元素の1つである。かかる効果を得るため、Mn含有量を0.50%以上に規定する。さらに、他の合金元素の含有量を少なくし、より低コストで製造するという観点から、Mn含有量は0.70%以上とすることが好ましい。
一方、Mn含有量が2.10%を超えると、溶接性の劣化を招く。従って、Mn含有量を2.10%以下に規定する。さらに、Mn含有量は1.90%以下とすることが好ましい。
Pは、不可避的不純物として含有している元素であり、粒界に偏析することによって靱性や溶接性を低下させるなど、悪影響を及ぼす。そのため、できる限りP含有量を低くすることが望ましいが、0.020%以下であれば許容できる。さらに、P含有量は、0.015%以下とすることが好ましい。
なお、P含有量の下限は特に限定されず、0%であってよいが、通常、Pは不純物として鋼中に不可避的に含有している元素であるため、工業的には0%超であってよい。また、過剰の低減は精錬コストの高騰を招くため、P含有量は0.001%以上とすることが好ましく、0.003%以上とすることがより好ましい。
Sは、不可避的不純物として含有している元素であり、MnS等の硫化物系介在物として鋼中に存在し、破壊の発生起点となって鋼板の靭性を低下させるなど、悪影響を及ぼす元素である。そのため、できる限りS含有量を低くすることが望ましいが、0.010%以下であれば許容できる。さらに、S含有量は、0.005%以下とすることが好ましく、0.003%以下とすることがより好ましい。
なお、S含有量の下限は特に限定されず、0%であってよいが、通常、Sは不純物として鋼中に不可避的に含有している元素であるため、工業的には0%超であってもよい。また、過剰の低減は精錬コストの高騰を招くため、コストの観点からはS含有量を0.001%以上とすることが好ましい。
Alは、脱酸剤として作用する。かかる効果を得るため、Al含有量を0.018%以上に規定する。さらに、Al含有量は、0.025%以上とすることが好ましい。
一方、Al含有量が0.070%を超えると、酸化物系介在物が増加して清浄度が低下すると共に、靭性が低下する。従って、Al含有量を0.070%以下に規定する。さらに、靭性劣化を防止する観点から、Al含有量は0.060%以下とすることが好ましく、0.050%以上とすることがより好ましい。
Niは、鋼板の強度を向上させるのに有効なだけでなく、母材および溶接熱影響部の靭性も向上させる効果がある。しかしながら、Ni含有量が0.30%未満ではその効果に乏しく、2.20%を超えると鋼板の表面に疵が発生する。従って、Ni含有量を0.30~2.20%の範囲に規定する。さらに、Ni含有量は0.60%以上とすることが好ましく、0.70%以上とすることがさらに好ましい。また、Ni含有量は2.10%以下とすることが好ましく、1.80%以下とすることがより好ましく、1.50%以下とすることがさらに好ましい。
Tiは、窒化物の形成傾向が強く、Nを固定して固溶Nを低減する作用を有する元素である。そのため、Tiの添加により、溶接部の靭性を向上させることができる。かかる効果を得るためには、Ti含有量を0.005%以上とする必要がある。
一方、Ti含有量が0.020%を超えると、かえって靭性が低下する。従って、Ti含有量を、0.005~0.020%の範囲に規定する。さらに、Ti含有量は0.008%以上とすることが好ましい。また、Ti含有量は~0.017%以下とすることが好ましい。
Nは、TiNの形成によって、溶接部の靭性を向上させることができる。かかる効果を得るためには、N含有量を0.0020%以上とする必要がある。
一方、N含有量が0.0080%を超えると、かえって靭性が低下する。従って、N含有量を、0.0020~0.0080%の範囲に規定する。さらに、N含有量は0.0025%以上とすることが好ましい。また、N含有量は0.0070%以下とすることが好ましく、0.0060%以下とすることがより好ましく、0.0050%以下とすることがさらに好ましい。
Oは、不可避的不純物として含有している元素であり、Al2O3等の酸化物として鋼中に存在し、破壊の発生起点となって鋼板の靭性を低下させるなど、悪影響を及ぼす元素である。そのため、できる限りO含有量を低くすることが望ましいが、0.0050%以下であれば許容できる。さらに、O含有量は0.0040%以下とすることが好ましく、0.0030%以下とすることがより好ましい。
なお、O含有量の下限は特に限定されず、0%であってよいが、通常、Oは不純物として鋼中に不可避的に含有している元素であるため、工業的には0%超であってもよい。また、過剰の低減は精錬コストの高騰を招くため、コストの観点からはO含有量を0.0005%以上とすることが好ましく、0.0010%以上とすることがより好ましい。
TiNの形成によって、溶接部の靭性を向上させることができる。かかる効果を得るためには、TiとNの含有量の相関関係が重要となる。Ti含有量とN含有量の比として、Ti/Nが2.2未満または6.5超であると結晶粒が粗大化し靱性が劣化する。従って、Ti/Nを、2.2以上6.5以下の範囲に規定する。さらに、Ti/Nは2.3以上とすることが好ましい。また、Ti/Nは3.9以下とすることが好ましく、3.8以下とすることがさらに好ましい。
Cuは、鋼板の強度を向上するのに有効な元素である。しかしながら、Cu含有量が0.05%未満ではその効果に乏しい。そのため、Cu含有量は0.05%以上とすることが好ましい。さらに、Cu含有量は0.10%以上とすることがより好ましく、0.15%以上とすることがいっそう好ましい。
一方、Cu含有量が0.50%を超えると鋼板の表面に疵が発生する。従って、Cuを含有する場合には、Cu含有量は0.50%以下とする。Cu含有量は0.45%以下とすることが好ましく、0.40%以下とすることがより好ましい。
Crは、鋼板の強度を向上するのに有効な元素である。しかしながら、Cr含有量が0.05%未満ではその効果に乏しい。そのため、Cr含有量は0.05%以上とすることが好ましい。さらに、Cr含有量は0.10%以上とすることが好ましい。
一方、Cr含有量が1.60%を超えると鋼板の靭性が劣化する。従って、Crを含有する場合には、Cr含有量は1.60%以下に規定する。Cr含有量は1.50%以下とすることが好ましく、1.40%以下とすることがより好ましい。
Moは、鋼板の強度を向上するのに有効な元素である。しかしながら、Mo含有量が0.05%未満ではその効果に乏しい。そのため、Mo含有量は0.05%以上とすることが好ましい。さらに、Mo含有量は0.10%以上とすることが好ましい。
一方、Mo含有量が0.60%を超えると鋼板の靭性が劣化する。従って、Moを含有する場合には、Mo含有量は0.60%以下とする。Mo含有量は0.55%以下とすることが好ましい。
Nbは、炭窒化物として析出することで旧オーステナイト粒径を小さくし、靭性を向上させる効果を有する元素である。かかる効果を得るために、Nb含有量は0.005%以上とすることが好ましい。さらに、Nb含有量は0.007%以上とすることがより好ましい。
一方、Nb含有量が0.030%を超えるとNbCが多量に析出し、靭性が低下する。従って、Nbを含有する場合には、Nb含有量は0.030%以下とする。さらに、Nb含有量は0.027%以下とすることが好ましく、0.025%以下とすることがより好ましい。
Vは、鋼板の強度を向上するのに有効な元素である。しかしながら、V含有量が0.005%未満ではその効果に乏しい。そのため、V含有量は0.005%以上とすることが好ましい。さらに、V含有量は0.030%以上とすることが好ましい。
一方、V含有量が0.100%を超えると鋼板の靭性が劣化する。従って、Vを含有する場合には、V含有量は0.100%以下とする。V含有量は0.080%以下とすることが好ましく、0.050%以下とすることがより好ましい。
Bは、鋼板の強度を向上するのに有効な元素である。しかしながら、B含有量が0.0005%未満ではその効果に乏しい。そのため、B含有量は0.0005%以上とすることが好ましい。さらに、B含有量は0.0008%以上とすることが好ましい。
一方、B含有量が0.0050%を超えると鋼板の靭性が劣化する。従って、Bを含有する場合には、B含有量は0.0050%以下とする。B含有量は0.0040%以下とすることが好ましく、0.0030%以下とすることがより好ましい。
Caは、Sと結合し、圧延方向に長く伸びるMnS等の形成を抑制する作用を有する元素である。すなわち、Caを含有することにより、硫化物系介在物が球状を呈するように形態制御され、溶接部等の靭性を向上させることができる。かかる効果を得るために、Ca含有量は0.0005%以上とすることが好ましい。Ca含有量は、好ましくは0.0010%以上である。
一方、Ca含有量が0.0040%を超えると、鋼の清浄度が低下する。従って、Caを含有する場合には、Ca含有量は0.0040%以下とする。Ca含有量は、好ましくは0.0030%以下である。
PRE値:15以上
PRE=Cr%+3.3Mo%+30N%-Mn%・・・(1)
式(1)中、M%は、合せ材が有する元素Mの含有量(質量%)を示す。
PREは、耐孔食指数であり、PRE=Cr%+3.3Mo%+30N%-Mn%から求められる。PRE値が高いほど液体アンモニアSCC感受性が低くなる。そのため、合せ材のPRE値を15以上に規定する。
一方、合せ材のPRE値は、高いほど好ましいが、過剰なPRE値はコストの高騰を招く。そのため、PRE値は55以下が好ましく、27以下がより好ましい。合せ材はステンレス鋼とすることが好ましい。ステンレス鋼の組織は問わないが、合せ材における溶接熱影響部の靭性向上の観点から、ステンレス鋼は、オーステナイト系ステンレス鋼または二相ステンレス鋼であることが好ましい。合せ材はNi基合金であってもよい。
上記合せ材の化学成分は、PRE値:15以上を満たしていれば、特に限定されないが、さらに、具体的には、上記合せ材の化学成分は、質量%で、C:0.001~0.080%、Si:0.05~1.00%、Mn:0.30~4.00%、P:0.045%以下、S:0.030%以下、Ni:0.05~80.0%、Cr:11.0~28.0%、N:0.005~0.400%、O(酸素):0.0050%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなることが好ましい。
また、上記合せ材の化学成分は、さらに必要に応じて、Cu:3.00%以下、Mo:5.50%以下、V:0.100%以下、Nb:3.00%以下、Ti:1.00%以下、B:0.0050%以下、Ca:0.0040%以下、Al:0.50%以下、Co:1.20%以下、Ta:3.00%以下を含有してもよい。
以下、具体的に、本発明の実施形態を説明する。
Cは、本発明に従う冷却によって製造される鋼板の強度を高めるために最も有効な元素である。かかる効果を得るために、C含有量を0.001%以上とすることが好ましい。さらに、他の合金元素の含有量を少なくし、より低コストで製造するという観点からは、C含有量は0.010%以上とすることがより好ましい。
一方、C含有量が0.080%を超えると結晶粒界に炭化物が析出し、液体アンモニアに接触した際に応力腐食割れを生じさせる場合がある。従って、C含有量を0.080%以下とすることが好ましい。さらに、靭性の観点から、C含有量は0.050%以下とすることがより好ましい。
Siは、鋼板の強度を向上させるために加えて、脱酸のため添加する。かかる効果を得るため、Si含有量を0.05%以上とすることが好ましい。さらに、Si含有量は0.07%以上とすることがより好ましい。
一方、Si含有量が1.00%を超えると靭性や溶接性の劣化を招く場合がある。従って、Si含有量を1.00%以下とすることが好ましい。さらに、Si含有量は0.80%以下とすることがより好ましい。
Mnは、鋼の焼入れ性を増加させる作用を有する元素であることに加え、脱酸のために添加が必要になる重要な元素の1つである。かかる効果を得るため、Mn含有量を0.30%以上とすることが好ましい。さらに、他の合金元素の含有量を少なくし、より低コストで製造するという観点から、Mn含有量は0.40%以上とすることがより好ましい。
一方、Mn含有量が4.00%を超えると、溶接性の劣化を招く場合がある。従って、Mn含有量を4.00%以下とすることが好ましい。さらに、Mn含有量は3.00%以下とすることがより好ましい。
Pは、不可避的不純物として含有している元素であり、粒界に偏析することによって靱性や溶接性を低下させるなど、悪影響を及ぼす可能性がある。そのため、できる限りP含有量を低くすることが望ましいが、0.045%以下であれば許容できる。P含有量は、より好ましくは0.040%以下である。
なお、P含有量の下限は特に限定されず、0%であってよいが、通常、Pは不純物として鋼中に不可避的に含有している元素であるため、工業的には0%超であってよい。また、過剰の低減は精錬コストの高騰を招くため、P含有量は0.001%以上とすることが好ましい。
Sは、不可避的不純物として含有している元素であり、MnS等の硫化物系介在物として鋼中に存在し、破壊の発生起点となって鋼板の靭性を低下させるなど、悪影響を及ぼす可能性がある元素である。そのため、できる限りS含有量を低くすることが望ましいが、0.030%以下であれば許容できる。S含有量は、より好ましくは0.025%以下である。なお、S含有量の下限は特に限定されず、0%であってよいが、通常、Sは不純物として鋼中に不可避的に含有している元素であるため、工業的には0%超であってもよい。また、過剰の低減は精錬コストの高騰を招くため、コストの観点からはS含有量を0.001%以上とすることが好ましい。
Niは、ステンレス鋼やNi基合金の各種酸に対する耐食性を向上するのに有効な元素である。また、鋼板の強度を向上させるのに有効なだけでなく、母材および溶接熱影響部の靭性も向上させる効果がある。しかしながら、Ni含有量が0.05%未満ではその効果に乏しい。従って、Ni含有量は0.05%以上とすることが好ましい。さらに、Ni含有量は0.10%以上とすることがより好ましい。
一方、Niは高価な金属であり、合金コストの観点から、Ni含有量は80.0%以下とすることが好ましい。さらに、Ni含有量は46.0%以下とすることがより好ましい。合せ材としてNi基合金ではなくステンレス鋼を用いる場合には、Ni含有量は、25.0%以下であってもよく、20.0%以下であってもよく、13.0%以下であってもよく、10.0%以下であってもよい。
Crは、ステンレス鋼の耐食性を向上するのに有効な元素である。液体アンモニアに接触した際に応力腐食割れを防ぐために、Cr含有量を11.0%以上とすることが好ましい。さらに、Cr含有量は13.0%以上とすることがより好ましい。
一方、Cr含有量が28.0%を超えると、二相ステンレス鋼の靭性および溶接部の耐食性が劣化する場合がある。したがって、Cr含有量を28.0%以下とすることが好ましい。さらに、Cr含有量は26.0%以下とすることがより好ましい。
Nは、ステンレス鋼の耐食性及び強度を向上するのに有効な元素である。かかる効果を得るためには、N含有量は0.005%以上とすることが好ましい。さらに、N含有量は0.010%以上とすることがより好ましい。
一方、N含有量が0.400%を超えると、かえって靭性が低下する場合がある。従って、N含有量は0.400%以下とすることが好ましい。さらに、N含有量は0.300%以下とすることがより好ましい。
Oは、不可避的不純物として含有している元素であり、Al2O3等の酸化物として鋼中に存在し、破壊の発生起点となって鋼板の靭性を低下させるなど、悪影響を及ぼす元素である。そのため、できる限りO含有量を低くすることが望ましいが、0.0050%以下であれば許容できる。なお、O含有量の下限は特に限定されず、0%であってよいが、通常、Oは不純物として鋼中に不可避的に含有している元素であるため、工業的には0%超であってもよい。また、過剰の低減は精錬コストの高騰を招くため、コストの観点からはO含有量を0.0005%以上とすることが好ましい。
Cuは、鋼板の耐食性、および強度を向上するのに有効な元素である。しかしながら、含有量が0.05%未満ではその効果に乏しい。したがって、Cu含有量は0.05%以上とすることが好ましい。さらに、Cu含有量は、0.10%以上とすることがより好ましい。
Cu含有量が3.00%を超えると熱間加工性が著しく低下する場合がある。従って、Cuを含有する場合には、Cu含有量は3.00%以下の範囲とすることが好ましい。また、Cu含有量は2.20%以下とすることがより好ましい。
Moは、ステンレス鋼の耐孔食性を向上するのに有効な元素である。しかしながら、含有量が0.05%未満ではその効果に乏しい。したがって、Moを含有する場合には、Mo含有量は0.05%以上とすることが好ましい。さらに、Mo含有量は0.10%以上とすることがより好ましい。
Mo含有量が5.50%を超えると、例えば、二相ステンレス鋼の場合、鋼板の冷却速度によってはシグマ相析出が促進されることで著しい耐食性の劣化を生じさせる場合がある。したがって、Moを含有する場合には、Mo含有量は5.50%以下とすることが好ましい。さらに、Mo含有量は5.00%以下とすることがより好ましい。
Vは、Crと比較してCと結合しやすいことから、Cr炭化物生成による耐食性劣化を抑制するために有効な元素である。しかしながら、V含有量が0.005%未満ではその効果に乏しい。したがって、Vを含有する場合には、V含有量は0.005%以上とすることが好ましい。さらに、V含有量は0.010%以上とすることがより好ましい。
一方、合金コストの観点から、Vを含有する場合には、V含有量は0.100%以下とすることが好ましい。さらに、V含有量は0.080%以下とすることがより好ましい。
Nbは、Crと比較してCと結合しやすいことから、Cr炭化物生成による耐食性劣化を抑制するために有効な元素である。しかしながら、0.005%未満ではその効果に乏しい。したがって、Nbを含有する場合には、Nb含有量は0.005%以上とすることが好ましい。さらに、Nb含有量は0.010%以上とすることがより好ましい。
一方、合金コストの観点から、Nbを含有する場合には、Nb含有量は3.00%以下とすることが好ましい。さらに、Nb含有量は2.50%以下とすることがより好ましい。
Tiは、Crと比較してCと結合しやすいことから、Cr炭化物生成による耐食性劣化を抑制するために有効な元素である。しかしながら、0.01%未満ではその効果に乏しい。したがって、Tiを含有する場合には、Ti含有量は0.01%以上とすることが好ましい。さらに、Ti含有量は0.05%以上とすることがより好ましく、0.07%以上とすることがいっそう好ましい。
一方、合金コストの観点から、Tiを含有する場合には、Ti含有量は1.00%以下とすることが好ましい。さらに、Ti含有量は0.90%以下とすることがより好ましい。
Bは、鋼板の強度を向上するのに有効な元素である。しかしながら、B含有量が0.0005%未満ではその効果に乏しい。したがって、Bを含有する場合には、B含有量は0.0005%以上とすることが好ましい。B含有量は、0.0008%以上とすることがより好ましい。
B含有量が0.0050%を超えると鋼板の靭性が劣化する場合がある。従って、Bを含有する場合には、B含有量は0.0050%以下とすることが好ましい。B含有量は0.0040%以下とすることがより好ましい。
Caは、Sと結合し、圧延方向に長く伸びるMnS等の形成を抑制する作用を有する元素である。すなわち、Caを含有することにより、硫化物系介在物が球状を呈するように形態制御され、溶接部等の靭性を向上させることができる。かかる効果を得るために、Caを含有する場合には、Ca含有量は0.0005%以上とすることが好ましい。Ca含有量は、より好ましくは0.0010%以上である。
一方、Ca含有量が0.0040%を超えると、鋼の清浄度が低下することが懸念される。従って、Caを含有する場合には、Ca含有量は0.0040%以下とすることが好ましい。Ca含有量は、より好ましくは0.0030%以下である。
Alは、有効な脱酸元素である。この効果はAl含有量が0.02%以上で十分に発揮されるので、Alを含有する場合には、Al含有量は0.02%以上であることが好ましい。しかしながら、Al含有量が0.50%を超えると、耐応力腐食割れ性を劣化させる。したがって、Alを含有する場合には、Al含有量は0.50%以下であることが好ましく、0.30%以下であることがより好ましい。
Coも耐食性を向上させる元素であり、0.01%以上の含有によりその効果が発現する。したがって、Co含有量は0.01%以上であることが好ましい。しかしながら、1.20%を超えて含有すると合金価格が上昇する。したがって、Coを含有する場合、Co含有量は1.20%以下とすることが好ましい。Co含有量は、より好ましくは0.05%以上である。Co含有量は、より好ましくは1.00%以下である。
Taは、Cの固定に有効な元素である。この効果はTaが0.02%以上で十分に発揮されるので、Taを含有する場合には、Taは0.02%以上であることが好ましい。一方、Taが過剰であると、Taが低融点の金属間化合物を形成して、熱間加工性を低下させる。したがって、Taを含有する場合には、Taは3.00%以下であることが好ましい。
[引張強度]
本発明のクラッド鋼板は、780MPa以上の母材の引張強度を有するものとする。引張強度の上限は特に限定されないが、本発明の高強度鋼板の引張強度は1000MPa以下であり得る。
本発明のクラッド鋼板は、母材の-40℃でのシャルピー衝撃試験の吸収エネルギーが47J以上である。タンクなどの構造用部材として使用する場合にはPWHT(Post Weld Heat Treatment)処理を実施するが、板厚によっては実施しない可能性がある。その場合、母材に求められる吸収エネルギーはより高くなることから、好ましくは100J以上であり、より好ましくは170J以上である。
クラッド鋼板では、母材と合せ材とが酸化物やボイドを介している箇所と、母材と合せ材が直接接合している箇所が存在する。母材と酸化物との接合強度、および合せ材と酸化物との接合強度は、いずれも母材と合せ材との接合強度よりも小さい。このため、母材と合せ材との接合率が高いほど、クラッド鋼板の接合強度は高くなり、製品への加工時に剥離する問題が生じる可能性が低くなる。本発明のクラッド鋼板は、母材と合せ材との接合率が70%以上である。母材と合せ材との接合率は、好ましくは80%以上であり、より好ましくは85%以上である。母材と合せ材との接合率の上限は、特に限定されず、高いほど好ましく、100%であってもよい。
本発明のクラッド鋼板は、特に限定されないが、板厚は7mm以上としてよい。本発明のクラッド鋼板は、板厚は、好ましくは18mm以上であり、より好ましくは23mm以上である。また、本発明のクラッド鋼板は、板厚は66mm以下としてよい。本発明のクラッド鋼板は、板厚は、好ましくは53mm以下であり、より好ましくは48mm以下であり、いっそう好ましくは41mm以下である。
本発明では、上記のクラッド鋼板を溶接してタンクなどの構造体を製造する。溶接の種類については特に制限はなく、従来公知の鋼板の溶接方法を適用することができるが、TIG溶接が好ましい。
溶接継手では、溶接熱影響部の-40℃でのシャルピー衝撃試験の吸収エネルギーが47J以上であることが好ましい。
本発明のクラッド鋼板を用いて、溶接継手を製造する際、入熱は、50kJ/cm以下と規定する。また、入熱は30kJ/cm以下であることが好ましい。入熱は、さらに好ましくは20kJ/cm以下である。この入熱範囲を満たすことにより、上記の特性を満足することができる。入熱の下限は特に限定されず、過剰の低減は溶接能率の低下を招くため、入熱は5.0kJ/cm以上とすることが好ましい。
本発明では、まず、前述した化学成分を有する母材の素材スラブおよび合せ材の素材スラブを製造する。これらの素材スラブの製造方法については特に制限はなく、従来公知のスラブの製造方法を適用することができる。すなわち、通常の溶製法(転炉法、電気炉法等)により前記の化学成分に調整した溶鋼を、通常の鋳造法(連続鋳造法や造塊法)により鋳造し、素材スラブを得る。
ついで、得られた母材の素材スラブを表面温度で900℃以上1200℃以下に加熱してから熱間圧延を行う。熱間圧延の圧延終了温度は表面温度で700℃以上とし、所定寸法の母材素材とする。また、得られた合せ材の素材スラブを加熱したのち、熱間圧延を施して所定寸法の合せ材素材とする。
本発明のクラッド鋼板における母材の素材スラブの加熱温度が900℃未満では、炭化物の固溶が不十分で必要な強度が得られない。よって、上記加熱温度は、表面温度で900℃以上とする。さらに、加熱温度は、920℃以上とすることが好ましい。
一方、母材の素材スラブを1200℃を超えて加熱すると、エネルギー消費量が増大する。そのため、上記加熱温度は、表面温度で1200℃以下とする。加熱温度は1150℃以下とすることが好ましい。
前記熱間圧延の圧延終了温度が700℃未満になると、生成したフェライトが加工の影響を受けるため、靭性が悪化する。よって、圧延終了温度は、表面温度で700℃以上とする。さらに、圧延終了温度は750℃以上とすることが好ましい。
上限は特に限定されないが、圧延終了温度は、表面温度で1000℃以下とすることが好ましい。
なお、スラブ積層方法として、後述の実施例の表中、上から母材スラブ、合せ材スラブ、合せ材スラブ、母材スラブの順、もしくは合せ材スラブ、母材スラブ、母材スラブ、合せ材スラブの順に重ねる方法をサンドイッチ方式と表記する。また、上から合せ材スラブ、母材スラブの順、もしくは母材スラブ、合せ材スラブの順に重ねる方法をオープン方式と表記する。また、上から犠牲材、合せ材スラブ、母材スラブの順、もしくは母材スラブ、合せ材スラブ、犠牲材の順に重ねる方法を犠牲材方式と表記する。
母材素材と合せ材素材を重ね合わせたクラッドスラブ(積層スラブ)は、表面温度で1000℃以上1250℃以下の範囲に加熱してから熱間圧延を行う。本発明における熱間圧延は、累積圧下率を65%以上とし、かつ、圧延終了温度をAr3変態点以上1000℃以下とする。さらに、かかる熱間圧延を施したのち、次の(A)または(B)の処理を行う。
(A)熱間圧延後の圧延板を冷却した後、800℃以上1000℃以下に再加熱し、母材のAr3変態点以上の温度から平均冷却速度:1.0℃/s以上20.0℃/s以下の範囲で350℃以下の冷却停止温度まで加速冷却を行う。
ついで、上記圧延板に対する上記の800℃以上1000℃以下に再加熱は、例えば、平均1℃/s以上50℃/s以下の速度とする。加速冷却後、550℃以上700℃以下の温度で焼戻しを行う。
(B)熱間圧延後の圧延板を母材のAr3変態点以上の温度から平均冷却速度:3℃/s以上50℃/s以下の範囲で500℃以下の冷却停止温度まで加速冷却を行う。あるいはさらに、加速冷却後、700℃以下の温度で焼戻しを行う。
母材素材と合せ材素材とを積層してなる積層スラブの加熱温度が1000℃未満では、炭化物の固溶が不十分で必要な強度が得られない。加えて、クラッド鋼の接合性の観点からは、加熱温度は高温である方が好ましい。よって、上記加熱温度は、1000℃以上とする。さらに、上記加熱温度は、1020℃以上であることが好ましい。
一方、1250℃を超えて加熱すると、エネルギー消費量が増大する。そのため、上記加熱温度は1250℃以下とする。さらに、上記加熱温度は、1230℃以下であることが好ましい。
積層スラブの累積圧下率が65%以上となる圧延を行うことにより、オーステナイトの再結晶促進、及びオーステナイト粒内に核生成サイトとなる変形帯が導入され、その後に行われる後述の条件の加速冷却で変態生成するベイナイトやマルテンサイトが微細化し、クラッド鋼板の靱性が向上する。そのため、積層スラブの累積圧下率を65%以上とする。積層スラブの累積圧下率は、70%以上とすることが好ましい。なお、積層スラブの累積圧下率の上限は特に限定されないが、圧延能率の観点から、積層スラブの累積圧下率は95%以下とすることが好ましい。
上記熱間圧延の圧延終了温度がAr3変態点未満になると、フェライトが生成するため、靭性が悪化する。また、圧延終了温度がAr3変態点未満になると低温での熱間圧延となり、拡散接合の観点からクラッド鋼の接合性が劣化する。よって、圧延終了温度はAr3変態点以上とする。さらに、圧延終了温度は、Ar3変態点+20℃以上とすることが好ましい。
一方、圧延終了温度が1000℃を超えると、オーステナイト粒内に核生成サイトとなる変形帯が導入されず、微細なベイナイトやマルテンサイトが得られず、クラッド鋼板の靭性が劣化する。よって、圧延終了温度は1000℃以下とする。さらに、圧延終了温度は、980℃以下とすることが好ましい。
上記の(A)の工程では、ついで、冷却した後、800℃以上1000℃以下に再加熱し、母材のAr3変態点以上の温度から平均冷却速度:1.0℃/s以上20.0℃/s以下の範囲で350℃以下の冷却停止温度まで加速冷却を行う。
ここで、「母材のAr3変態点以上の温度から」とは、加速冷却開始時点の母材表面温度が母材のAr3変態点以上の温度であることを指す。
なお、熱間圧延した後、再加熱する前の冷却は、室温(-5~50℃)まで行なってもよく、また、その際の冷却速度は特に規定する必要はないが、例えば、0.01~1℃/sの空冷とすることができる。
前記母材と合せ材とを有する圧延板の再加熱温度が800℃未満になると、強度が過剰になり靭性が回復しないおそれがある。また、接合率が低下する場合がある。よって、再加熱温度は800℃以上とする。さらに、再加熱温度は820℃以上とすることが好ましい。
一方、再加熱温度が1000℃を超えると、強度不足を招くおそれがある。よって、再加熱温度は1000℃以下とする。さらに、再加熱温度は980℃以下とすることが好ましい。
かかる再加熱後の鋼板に、母材のAr3変態点以上の温度から冷却を行う。ここで、「母材のAr3変態点以上の温度から」とは、加速冷却開始時点の母材表面温度が母材のAr3変態点以上の温度であることを指す。かかる冷却の開始温度が母材のAr3変態点未満では、フェライトが過剰に生成し、また、強度差が大きいマルテンサイト組織あるいはベイナイトと共存することになる。その結果、母材の強度不足と靭性の劣化を招く。よって、再加熱後の冷却開始温度はAr3変態点以上とする。さらに、冷却開始温度は、Ar3変態点+20℃以上とすることが好ましい。Ar3変態点は、以下の式によって求めることができる。
Ar3(℃)=910-310×[C]-80×[Mn]-20×[Cu]-55×[Ni]-15×[Cr]-80×[Mo]
上記式中、[M]は元素Mの鋼板(母材)中の含有量(質量%)を示し、含有しない場合は0(零)とする。
平均冷却速度を1.0℃/s以上で行う冷却は、高強度で高靱性の鋼板を得るために不可欠なプロセスであり、速い速度で冷却することによって変態強化による強度上昇効果が得られる。平均冷却速度が1.0℃/s未満では、ベイナイトやマルテンサイトの粒径が大きくなり、フェライトやパーライトが生成して強度不足や靭性の劣化を招くおそれがある。従って、平均冷却速度は1.0℃/s以上とする。さらに、平均冷却速度は1.5℃/s以上とすることが好ましい。
一方、平均冷却速度が20.0℃/sを超えると、マルテンサイトの体積分率が多くなりすぎてしまい、靭性が低下する場合がある。また、接合性が低下する場合がある。従って、平均冷却速度は、20.0℃/s以下とする。さらに、平均冷却速度は、15.0℃/s以下とすることが好ましい。
ここで、加速冷却における平均冷却速度は、母材鋼板の板厚方向の板厚1/2位置における冷却開始温度と冷却停止温度との差(℃)を、冷却時間(s)で除することにより求められる。
なお、母材鋼板の板厚方向の板厚1/2位置における冷却開始温度、冷却停止温度は、鋼板表面の温度を放射温度計で測定して差分計算により板厚1/2位置の温度を求めることで得られる。また、冷却時間は冷却水を鋼板に供給している時間であり、板厚1/2位置が冷却開始温度から冷却停止温度となるまでに要する時間である。
本発明では、再加熱終了後に、350℃以下の冷却停止温度まで上述した条件の冷却を行うことにより、母材の板厚中心まで一様にベイナイトまたはマルテンサイトを所定の体積分率にすることができる。なお、冷却停止温度が350℃を超えると、フェライトやパーライト組織の組織が過剰に生成して、強度不足や靭性の劣化を招く。従って、冷却停止温度は350℃以下に規定する。冷却停止温度は、300℃以下とすることが好ましい。
一方、かかる冷却停止温度の下限は、特に限定せず、室温でも良いが、生産効率等の観点から100℃とすることが好ましい。
本発明では、母材の靭性回復を目的として、焼戻しを行う。かかる焼戻しの再加熱時に鋼板平均(鋼板板厚1/2位置の温度)での温度が700℃を超えると、転位が回復し、母材の強度が低下するおそれがある。従って、焼戻し温度は700℃以下とする。焼戻し温度は、680℃以下とすることが好ましい。
一方、かかる焼戻しの再加熱時に鋼板平均での温度が550℃未満では、母材の靭性不足のおそれがある。従って、焼戻し温度は550℃以上とする。焼戻し温度は、600℃以上とすることが好ましい。
上記の(B)の工程では、母材のAr3変態点以上の温度から平均冷却速度:3℃/s以上50℃/s以下の範囲で500℃以下の冷却停止温度まで加速冷却を施す。あるいはさらに、加速冷却後、700℃以下の温度で焼戻しを行う。ここで、母材のAr3変態点以上の温度とは、母材表面温度のことを指す。
前記加速冷却の冷却開始温度がAr3変態点未満になると、フェライトが生成するため、靭性が悪化する。また、加速冷却の冷却開始温度がAr3変態点未満になると、拡散接合の観点からクラッド鋼の接合性が劣化する。よって、加速冷却の冷却開始温度はAr3変態点以上とする。加速冷却の冷却開始温度は、Ar3変態点+20℃以上とすることが好ましい。
なお、ここでの冷却(加速冷却)は、熱間圧延後に室温まで空冷したり、圧延板を800℃以上1000℃以下に再加熱したりせずに、直ちに行うことが好ましい。
平均冷却速度を3℃/s以上で行う冷却は、高強度で高靱性の鋼板を得るために不可欠なプロセスであり、速い速度で冷却することによって変態強化による強度上昇効果が得られる。平均冷却速度が3℃/s未満では、ベイナイトやマルテンサイトの粒径が大きくなったり、フェライトやパーライトが生成したりして、強度不足や靭性の劣化を招くおそれがある。従って、平均冷却速度は、3℃/s以上とする。平均冷却速度は、5℃/s以上とすることが好ましく、10℃/s以上とすることがより好ましい。
一方、平均冷却速度が50℃/sを超えると、マルテンサイトの体積分率が多くなりすぎてしまい、靭性が低下する場合がある。また、母材と合せ材との接合率が低下する場合がある。従って、平均冷却速度は、50℃/s以下とする。さらに、平均冷却速度は、45℃/s以下とすることが好ましい。
ここで、加速冷却における平均冷却速度は、母材鋼板の板厚方向の板厚1/2位置における冷却開始温度と冷却停止温度との差(℃)を、冷却時間(s)で除することにより求められる。
なお、母材素材の板厚方向の板厚1/2位置における冷却開始温度、冷却停止温度は、鋼板表面の温度を放射温度計で測定して差分計算により板厚1/2位置の温度を求めることで得られる。また、冷却時間は冷却水を鋼板に供給している時間であり、板厚1/2位置が冷却開始温度から冷却停止温度となるまでに要する時間である。
本発明では、500℃以下の冷却停止温度まで上述した条件の冷却を行うことにより、母材の板厚中心まで一様にベイナイトまたはマルテンサイトを所定の体積分率にすることができる。冷却停止温度が500℃を超えると、フェライトやパーライト組織の組織が過剰に生成して、強度不足や靭性の劣化を招く。従って、冷却停止温度は500℃以下に規定する。冷却停止温度は、300℃以下とすることが好ましい。なお、加速冷却工程に続いて後述の焼き戻しを実施する場合には、冷却停止温度を300℃以下とすることが好ましく、冷却停止温度は280℃以下とすることがより好ましい。
一方、かかる冷却停止温度の下限は、特に限定せず、室温でも良いが、生産効率等の観点から冷却停止温度の下限は150℃とすることが好ましい。
本発明では、母材の靭性回復を目的として、必要に応じて焼戻しを行うことができる。かかる焼戻しの再加熱時に鋼板平均(鋼板板厚1/2位置の温度)での温度が700℃を超えると、転位が回復し、母材の強度が低下するおそれがある。従って、焼戻し温度は700℃以下とする。焼戻し温度は、680℃以下とすることが好ましい。
一方、かかる焼戻しの再加熱時に鋼板平均での温度が550℃未満では、母材の靭性不足のおそれがある。従って、焼戻し温度は550℃以上とすることが好ましい。焼戻し温度は、600℃以上とすることがより好ましい。
表2に、合せ材の化学成分(残部はFeおよび不可避的不純物)を示す。表中、鋼種a~mは本発明の範囲に属する発明例である。一方、鋼種n~pはPRE値が発明の範囲外となっている比較例である。
表1、表2の空欄部分は、元素を含有しない、または不可避的不純物として含有することを示す。
スラブの組立方式は、サンドイッチ方式、オープン方式、犠牲材方式のいずれかにて実施した。表3-1、3-2において、サンドイッチ方式は、上から母材スラブ、合せ材スラブ、合せ材スラブ、母材スラブの順、オープン方式は、上から合せ材スラブ、母材スラブの順、犠牲材方式は、犠牲材、合せ材スラブ、母材スラブの順でスラブを重ねるものである。
得られたクラッド鋼板について、強度特性および靭性の評価、接合率の評価、液体アンモニア環境下における耐アンモニアSCC性の評価をそれぞれ実施した。各試験方法は次のとおりである。
クラッド鋼板の合せ材側を減厚し母材全厚から、JIS Z 2201の1B号試験片を採取して、JIS Z 2241(2022)に記載の要領で引張試験を行い、降伏強さYS(降伏点があるときは降伏点YP(下降伏点YP)、降伏点がないときは0.2%耐力σ0.2)および引張強度(TS)を測定した。そして、母材の引張強度が780MPa以上のものを引張特性に優れた鋼板と評価した。
クラッド鋼板の母材の靭性を評価するため、クラッド鋼板の母材の板厚1/2位置を厚さ方向位置の中心としてJIS Z 2202のVノッチ試験片を採取した。また、クラッド鋼板の溶接継手の靭性を評価するため、溶接継手においてクラッド鋼板の母材の溶接熱影響部であってクラッド鋼板の母材の板厚1/2位置を厚さ方向位置の中心とした位置から、JIS Z 2202のVノッチ試験片を採取した。各条件についてそれぞれ3本の試験片に対して、JIS Z 2242(2023)の要領で、-40℃でシャルピー衝撃試験を行い、吸収エネルギーを測定した。そして、3本の試験片の吸収エネルギーがいずれも47J以上のものを靭性に優れた鋼板と評価した。なお、表3-1、3-2においては、3本の試験片の吸収エネルギーのうち、最も小さい値を記載した。
クラッド鋼板の接合界面における接合率は、以下のようにして求めたものである。すなわち、クラッド鋼板の母材及び合せ材を含む断面を鏡面研磨し、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を用いて、倍率:1000倍で、前記断面において無作為に選択した界面に沿った方向で長さ1.0×10-1mmの領域を10視野観察する。画像解析によって接合界面長さを求める。そして、測定全長および接合界面長さに基づいて、以下の式を用いて接合率を求めた。
接合率(%):100×接合界面長さ(mm)/測定全長(mm)
ここで、接合界面長さとは、画像解析の結果、界面上にボイドも酸化物も存在しないと判断された部分の長さの合計値である。そして、接合率が70%以上のものを接合性に優れた鋼板と評価した。
本発明における耐アンモニアSCC性は、試験溶液中で4点曲げにより応力を付与した試験片に、電位を付与し評価した。
具体的には、以下の手順で実施した。
本発明に係るクラッド鋼板は合せ材がアンモニア等と接するように使用される。そこで、まず、クラッド鋼板の母材側から減厚加工することにより、合せ材部分から、1.5~3.0mm厚×15mm×115mmの試験片を採取した。合せ材厚さが3.0mmを超える場合には、合せ材のうち母材と接合していない側の面から3.0mmの厚さの試験片を採取した。採取した試験片に対してアセトン中で5分間の超音波脱脂を実施した。各試験片に対応する母材の実際の降伏強さYSの100%の応力を4点曲げにより各試験片に負荷した。かかる4点曲げの試験片を試験セルに設置した。次いで、純度が99.999%以上の液体アンモニア2Lに、カルバミン酸アンモニウム:5.00mass%、O2:1.000bar、および、水:0.10mass%を混合した溶液を試験セルに充填した。具体的には、試験セルに所定量のカルバミン酸アンモニウムと水を入れ、さらにO2ガスを吹き込んだ後に液体アンモニアを入れた。浸漬試験片の表面積に対する浸漬液量の比である比液量は42mL/cm2であった。試験中の撹拌は、試験セル内に設置した撹拌子を用いて10rpmで連続して行った。試験液温度は25℃に設定した。試験液の温度を25℃に調整してから、ポテンショスタットにより、試験片の腐食電位の測定を行った。ポテンショスタットによる電位の測定および電位の付与は、3電極法により実施し、参照極および対極としては、いずれも白金電極を使用した。腐食電位の測定開始から1時間経過した時点で電位が安定したと判断して、その時点で、+0.5Vvs. Ptの電位が試験片に付与されるように制御して、浸漬試験を開始した。浸漬試験を開始してからの504時間後、試験セルから試験片を取り出した。試験片表面の腐食生成物を除去し、表面および断面において目視により割れの観察を行い、割れを評価した。本実施例においては、一つの条件に対して9個の試験片で504時間の浸漬試験を実施した。このうち、深さ1.5mm以上の割れが認められる試験片が2個以下である場合に、耐アンモニアSCC性が良好(○)と判定し、3個以上の試験片で割れが発生した場合を耐アンモニアSCC性が不良(×)と判定した。
得られた評価結果を表3に併記する。
また、No.66~91は、母材および合わせ材の化学成分は本発明の範囲内であるものの、製造条件が本発明の範囲外であるため、引張強度TS、低温靱性、接合率、耐アンモニアSCC性の少なくともいずれかが劣っている。
Claims (4)
- 母材の少なくとも片面に合せ材を有するクラッド鋼板であって、
前記母材の化学成分が、
質量%で、
C:0.030~0.150%、
Si:0.05~0.55%、
Mn:0.50~2.10%、
P:0.020%以下、
S:0.010%以下、
Al:0.018~0.070%、
Ni:0.30~2.20%、
Ti:0.005~0.020%、
N:0.0020~0.0080%、
O(酸素):0.0050%以下
を含有し、かつTi/Nが2.2以上6.5以下であり、さらに、
Cu:0.50%以下、
Cr:1.60%以下、
Mo:0.60%以下、
Nb:0.030%以下、
V:0.100%以下、
B:0.0050%以下、
Ca:0.0040%以下
のうち1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、
前記合せ材の化学成分が、
質量%で、
C:0.001~0.080%、
Si:0.05~1.00%、
Mn:0.30~4.00%、
P:0.045%以下、
S:0.030%以下、
Ni:0.05~80.0%、
Cr:11.0~28.0%、
N:0.005~0.400%、
O(酸素):0.0050%以下を含有し、
あるいはさらに、
Cu:3.00%以下、
Mo:5.50%以下、
V:0.100%以下、
Nb:3.00%以下、
Ti:1.00%以下、
B:0.0050%以下、
Ca:0.0040%以下、
Al:0.50%以下、
Co:1.20%以下、
Ta:3.00%以下を含有し、
式(1)に示すPRE値が15以上であり、
残部がFeおよび不可避的不純物からなり、
母材の引張強度が780MPa以上であり、
母材の-40℃でのシャルピー衝撃試験の吸収エネルギーが47J以上であり、
母材と合せ材との接合率が70%以上である、クラッド鋼板。
PRE=Cr%+3.3Mo%+30N%-Mn%・・・(1)
式(1)中、M%は、合せ材が有する元素Mの含有量(質量%)を示し、含有しない元素は0(零)とする。 - 請求項1に記載のクラッド鋼板を用いる溶接継手であって、
溶接熱影響部の-40℃でのシャルピー衝撃試験の吸収エネルギーが47J以上である、溶接継手。 - 請求項1に記載のクラッド鋼板の製造方法であって、
母材の素材スラブを表面温度で900℃以上1200℃以下に加熱したのち、圧延終了温度:表面温度で700℃以上とする熱間圧延を施して母材素材とし、
合せ材の素材スラブを加熱したのち、熱間圧延を施して合せ材素材とし、
前記母材素材と前記合せ材素材とを積層してなる積層スラブを、表面温度で1000℃以上1250℃以下に加熱したのち、
累積圧下率が65%以上であり、かつ、圧延終了温度がAr3変態点以上1000℃以下となる熱間圧延を施して、母材と合せ材を有する圧延板を製造し、
前記圧延板に対して以下の(A)または(B)の処理を施す、クラッド鋼板の製造方法。
(A)
熱間圧延後の前記圧延板を冷却した後、
800℃以上1000℃以下に再加熱し、
母材のAr3変態点以上の温度から平均冷却速度:1.0℃/s以上20.0℃/s以下の範囲で350℃以下の冷却停止温度まで加速冷却を行い、
前記加速冷却後、550℃以上700℃以下の温度で焼戻しを行う。
(B)
熱間圧延後の前記圧延板を、母材のAr3変態点以上の温度から平均冷却速度:3℃/s以上50℃/s以下の範囲で500℃以下の冷却停止温度まで加速冷却を行う、あるいはさらに、前記加速冷却後、700℃以下の温度で焼戻しを行う。 - 請求項1に記載のクラッド鋼板を用いて、入熱50kJ/cm以下の条件で溶接することにより溶接継手を製造する、溶接継手の製造方法。
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